説明

光学的な火炎センサー

この開示は、火炎の中の温度を決定するように、且つ火炎の中に存在する燃料の粒径を決定するように構成された光学的測定装置(100)に係る。この光学的測定装置(100)は、火炎の中の光の情報を測定して測定結果を出力するためのカラー・カメラ(10)と、それらの測定結果を評価するように構成された評価ユニット(20)とを含んでいる。更に、石炭燃焼発電プラント(200)に、粉砕された石炭を、それぞれ、火炎の中で燃焼させるための多数のバーナ(35)、及び上記の多数の光学的な測定装置(100)が設けられている。更に、温度及び火炎の中に存在する燃料の粒径を決定するための対応する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、一般的に、測定装置及び測定のための方法に係る。特に、本発明は、測定装置、及び火炎の中のホットスポットを光学的に検出する方法に係る。特に、この装置及び方法は、酸化窒素の形成を決定することを可能にする。この開示の装置及び方法は、特に、石炭燃焼において使用され、また特に、バーナの化学量論をバランスさせることを可能にすることがある。
【背景技術】
【0002】
酸化窒素(NO)または二酸化窒素(NO)などのような、酸化窒素(NOx)が、石炭燃焼の間に形成される可能性がある。窒素酸化物は、健康に対する深刻な影響を及ぼす可能性がある。それに加えて、窒素酸化物は、温室効果ガスと認定されている。大気中のNOxは、酸性雨に寄与する硝酸を形成する。従って、環境規制は、炉及びボイラー内の燃焼反応の際の、酸化窒素の形成の減少を要求していて、また、エミッタのための経済的なフィンの適用までをも含んでいることがある。
【0003】
酸化窒素(短く、NOxまたはNOxとも記す)は、とりわけ、火炎のいわゆるホットスポット(そこでは温度が望まれるものと比べて本質的に高い)で形成される。光学的な技術が、燃焼プロセスをモニターするために適用され、それは、酸化窒素の形成をもたらす反応が、火炎の中の高い温度のスポットと関連があると言う前提に基づいている。ホットスポットの直接的な測定が、このようにして、燃焼を最適化するための、そしてそれによりN0xの形成を減少させるための、コントロール・パラメータとして利用されることが可能である。
【0004】
更に、燃焼プロセスにおける一酸化炭素(CO)の形成は、同様に注意を要する問題である。NOx及びCOの両者の形成は、幾つかの変数に依存していて、特に、温度、燃料と燃焼プロセスの中に存在する空気との間の比、及び燃料の粒径に依存している。
【0005】
これらの変数を決定し且つコントロールするために、光学的なモニタリングが燃焼プロセスにおいて使用されている。気体及び液体の炭化水素などのような、クリア燃焼燃料の燃焼においては、分光法などのような光学的な標準的な方法が、ホットスポットの決定及び局在化において満足できる結果をもたらす。しかしながら、石炭燃焼の光学的なモニタリングは、固体の石炭のより長い揮発時間に起因して、同じように直裁的なものではない。即ち、石炭を燃焼させるとき、常に、火炎の中に小さい粒子が存在していて、それが分光法を複雑にする。
【0006】
石炭燃焼における更なる課題は、粒径を知ることであり、その理由は、最適なサイズから外れた粒子が、ホットスポットなどをもたらす可能性がある最適でない燃焼プロセスを更にもたらすことになるからである。粒径のバラツキはまた、燃焼コントロールに対して強い影響を有している。より小さい粒子は、より早く燃焼し、より大きい粒子は、気化するためにより多くの時間を必要とする。
【0007】
火炎の中に存在するラジカル種からの放射(OH、CH及びC−3など)を光学的に測定することが、提案されている。クリア燃焼気体及び液体燃料の燃焼において、火炎の中のこれらのラジカルからの放射のモニタリングは、火炎温度及び反応の化学量論の正確な読みを与えることが可能である。しかしながら、石炭に適用した場合には、様々なサイズの固体の粒子の存在に起因して、ラジカル種の直接的な検出は、同じように実現可能ではない。石炭粒子は、火炎から発せられた光を散乱させ、それによって、ラジカルからの火炎温度の直接的な測定を困難にし、または不可能にさえする。それに加えて、化学量論は、フィルタ、レンズ、鏡などのような、光学的な要素を含んでいて、それらは、高価で且つ高い程度のメインテナンスを必要とする。例えば、多数のバーナを有している石炭燃焼発電プラントにおいて、これらの光学的な要素を各バーナに対して設け、設定し、且つ維持することは、多額の投資を意味している。
【0008】
それ故に、温度、特にホットスポット並びに燃料の粒径を決定することが可能な、改善された光学的なモニタリング方法及び装置に対するニーズが存在している。特に、多数の装置が幾つかのバーナに据付けられることが可能になるように、据付が容易で且つ比較的安価な光学的なモニタリング方法及び装置に対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【0009】
以上に鑑み、一つのアスペクトによれば、光学的測定装置が提供される。この光学的測定装置は、火炎の中の温度を決定するように、且つ火炎の中に存在する燃料の粒径を決定するように、構成され、火炎の中の光の情報を測定して測定結果を出力するためのカラー・カメラを含んでいる。この光学的測定装置は、更に、測定結果を評価するように構成された評価ユニットを含んでいる。
【0010】
この開示の文脈において、“燃料”とは、燃焼可能物を意味していて、気体および/または液体および/または固体状態の燃焼可能物を含み、特に、任意の形態の石炭を含んでいる。開示された装置及び方法が効率良く作動するために、燃料は、特定の粒径の粒子を有する燃料を、特定の程度、常に有していなければならない。
【0011】
他のアスペクトによれば、石炭燃焼発電プラントが提供される。この石炭燃焼発電プラントは、粉砕された石炭を火炎の中でそれぞれ燃焼させるための多数のバーナ、及び、この記載に基づく多数の光学的な測定装置を有している。
【0012】
更なるアスペクトによれば、温度及び火炎の中に存在する燃料の粒径を決定するための方法が提供される。この方法は、火炎から光の情報を受け取って、カラー・カメラを使用してそれを測定すること;測定結果を評価ユニットへ提供すること;及び、その測定結果を評価すること;を含んでいる。
【0013】
更なるアスペクトによれば、バーナをコントロールするための方法が提供される。これらの方法は、この中に記載された温度及び火炎の中に存在する燃料の粒径を決定するための方法を含んでいる。それは、評価された測定結果に依存して燃焼パラメータをコントロールすることを、更に含んでいる。
【0014】
更なる代表的な実施形態は、従属請求項、説明、及び添付図面に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この開示に基づく光学的測定装置の概略的な実施形態を示している。
【図2】図2は、この開示に基づく光学的測定装置の概略的な実施形態を示している。
【図3a】図3aは、この開示に基づく光学的測定装置の概略的な実施形態を示している。
【図3b】図3bは、この開示に基づく光学的測定装置の概略的な実施形態を示している。
【図4】図4は、理論的な黒体放射スペクトラムの概略図を示している。
【図5】図5は、ミー散乱理論により修正された代表的な黒体放射スペクトラムの概略図を示している。
【図6】図6は、代表的な測定結果、及び修正された黒体放射スペクトラムへのそれらの当て嵌めを示している。
【図7】図7は、この開示に基づく光学的測定装置の概略的な実施形態を示している。
【図8】図18は、この開示に基づく光学的測定装置の概略的な実施形態を示している。
【図9】図9は、この中に記載された方法の実施形態に基づくコントロール及び最適化の図を概略的に示している。
【図10】図10は、この中に記載された方法の実施形態に基づくコントロール及び最適化の図を概略的に示している。
【図11】図11は、空気対燃料比と燃焼パラメータとの間の関係を概略的に示している。
【図12】図12は、石炭燃焼発電プラントの代表的な実施形態を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
完全な且つ当業者にその実施を可能にする開示が、そのベストモードを含めて、添付図面を参照することにより、特にこの明細書の残りの部分で説明される。
【0017】
以下において、様々な代表的な実施形態に対する参照が、詳細に行われ、それらの内の一つまたはそれ以上の例が、図面の中に示されている。各例は、説明のために提供されたものであって、本発明を限定することを意図していない。例えば、一つの実施形態の一部として示されまたは記載された特徴は、他の実施形態でまたはそれに関連して使用され、更なる実施形態を生み出すことが可能である。この開示は、そのような変更及び変形を含むと言うことが意図されている。
【0018】
多くの実施形態が、以下において説明される。この場合に、同一の構造的な特徴は、これらの図面において同一の参照符号により識別されている。これらの図面の中に示された構造は、正確な縮尺に基づいて描かれておらず、むしろ、実施形態のより良い理解のための役割のみを果たすものである。
【0019】
一般的に、ここで提案されたシステム及び方法は、火炎の温度及び火炎の中の燃料粒子の粒径の分布から、火炎をモニタリングすることにより、酸化窒素の形成を減少させることを可能にする。実施形態において、COの形成もまた、モニターされ且つコントロールされることが可能である。一般的に、標準的な燃焼の間に、粒径は、一定の値を有していることが望ましい。粉砕の設定値などのような、個々のパラメータのコントロールは、それに向けて方向付けられている。遷移期間の間にのみ、即ち、燃焼のスタートアップの間に、より大きい粒径が望まれることもある。
【0020】
一つの実施形態において、燃焼が最適化アルゴリズムの助けによりコントロールされ、この最適化アルゴリズムの出力が、燃焼温度、粒径、および/または、加えられた燃料対空気の比を最適化するように、燃焼パラメータを変更することを可能にする。石炭燃焼において、この方法及び装置は、一つの実施形態において、燃焼プロセスおよび/または石炭粒径を最適化することを可能にする。
【0021】
例示的な目的のために、空気対燃料比、温度とNOx及びCOの形成との間の関係が、一般的な傾向として、図11の中に概略的に示されている。バーナでの状態が示されているが、炉の中の全体的な燃焼を必ずしも表していない。
【0022】
一般的に、NOxの量は、200ppmから1200ppmまでの範囲であることが可能である。火炎温度は、典型的に、1400Kから2400Kまでの範囲にあることが可能である。COの量は、バーナで、0%から10%までの範囲にあることが可能である。それは、オーバーファイアリングの間に、更に減少されることもある。最終的に、典型的に、50ppmから200ppmまでの間のCOが、炉から放出される。
【0023】
炭化水素火炎の中での酸化窒素またはNO形成は、主として以下の三つメカニズムにより生ずる:
1. 熱的NO(高い温度で生成される酸素原子による分子の窒素の固定);
2. 燃料NO(空気中の酸素による燃焼の間の、燃料に中に含まれる窒素の酸化);及び、
3. 即発NO(分子の窒素に対する炭化水素ラジカルのアタック)。
【0024】
石炭燃焼において、NOの多く(70%から90%)は、燃料NOに由来している(第二のケース)。
【0025】
それ故に、NOxを減少させる際のクリティカルなステップは、燃料窒素(短く燃料N)と反応することが可能な空気を制限することである。この中に記載された実施形態によれば、段階的な燃焼が提供される。この段階的な燃焼によれば、バーナは、炉の低い方の端にあって、石炭の燃焼を完了させるために必要されるものと比べて、より低い空気対燃料比即ち化学量論で作動される。燃焼生成物が炉の中ので増大するに従い、空気の量が、オーバーファイアでまたは二次オーバーファイア・ステージで次第に増大して、燃焼プロセスを完了させる。この配置は、Oが乏しいかまたはOが減少する環境において、燃料の中に含まれるNを、NOではなく、Nに変換することを可能にする。
【0026】
より小さい粒径を有することは、また、役に立ち、その理由は、燃料に中に含まれる窒素原子(短くN)が、窒素原子がオーバーファイア・ステージに到達する前に、より迅速にNに変わることが可能であるからである。
【0027】
この開示に基づく一つの実施形態において、温度および/または粒径が測定される。燃焼モデルが、バーナ・ステージでの有効空気対燃料比を評価するために使用される。この情報を知って、温度を低くを維持することにより、両方の熱的NOがコントロールされることが可能であり、そして、より重要なことに、空気の挿入及び粒径をコントロールすることにより空気対燃料比をその適切な値に維持することにより、燃料NOがコントロールされることが可能である。
【0028】
実施形態によれば、多数の、少なくとも6個の、または少なくとも12個のバーナが提供される。例えば、36個のバーナを有し且つ個々の火炎・スキャナー/測定値を知ることにより、加えられる空気の量を調整するために使用される個々のダンパーが、燃焼空気を操作するために、コントロールされることが可能である。このようにして、個々のバーナの全てで、所望の状態を維持することが可能である。これは、以下において、“個々のバーナの化学量論的平衡”と呼ばれるものである。
【0029】
更なるアスペクトによれば、一酸化炭素の形成もまたコントロールされる。COは、典型的に、汚染物質として比較的重要でない。その理由は、煙道ガスの中で、即ちオーバーファイア・ゾーンの中で、過剰な酸素を維持することによりコントロールすることが可能であるからである。しかしながら、図11の中に示されているように、効率は、温度に関係し、温度は、空気対燃料比に、及び石炭の内のどの位が高い温度で燃やされるかに関係している(COは、不完全燃焼の程度を表していて、オーバーファイア空気のステージでCOを燃焼させることは、あまり有効ではない)。その理由は、温度がそこでより低いからである。
【0030】
それ故に、効率とNOx形成との間に、トレードオフの関係がある。効率を増大させるために、より多くのCOが、高い温度で燃やされなけらばならならず、それが、より多くのNOxを放出することをもたらす(図11の温度曲線Tの最大値の前の、図の左部分を参照方)。しかしながら、空気対燃料比を増大させると、CO変換が火炎温度を冷却し、次いで、効率が再び低下する(図11の図の右部分を参照方)。一般的に、燃焼プロセスにおける最適なポイントは、図11において、最大から幾らか右に外れている。これは、通常、より完全な燃焼を確保する。しかしながら、もし、例えば、発電プラントが、特定のNOxの閾値に適合しなければならない場合には、一つの実施形態において、運転温度が、温度曲線の最大値の幾らか左に選択されるように(Tにより示されている)、コントロールが行われると言うことも事実である。
【0031】
図1は、この開示の実施形態を概略的に示している。光学的測定装置100は、火炎5から光の情報を受け取るためのカラー・カメラ10を含んでいる。例えば、カラー・カメラは、標準的な消費者向けのカメラで使用されているような赤・緑・青カメラであることが可能である。一般的に、カラー・カメラは、約400nmから800nmまでの波長の、可視範囲についての情報を出力するために構成される。カメラ10は、火炎の中の温度を決定するように構成された評価ユニット20に接続され、それにより、火炎の中の酸化窒素の形成を決定することを可能にする。更に、評価ユニット20は、火炎の中に存在する燃料の粒径の分布を決定するように構成されても良い。
【0032】
実施形態によれば、カメラは、3チャンネルのRGB(赤−緑−青)カメラである。一つの実施形態において、このカメラは、CCDまたはCMOSセンサー・チップを有している。このカメラは、バイエルのフィルタ・モザイク(Bayer filter mosaic)などのような、一つまたはそれ以上フィルタを更に備えていても良い。例えば、バイエルのフィルタ・モザイクの場合と同様に、様々なデモザイク・アルゴリズムが、各点に対してフル・カラー・イメージを得るために、完全な赤、緑及び青の値のセットを内挿するために、使用されることが可能である。これらのアルゴリズムは、一つの実施形態においては、カメラの中で実施される。一つの実施形態においては、低コストのカメラを使用することが可能である。カメラは、赤の波長範囲内の赤の光信号、緑の波長範囲内の緑の光信号、及び青の波長範囲内の青の光信号の個別の測定を可能にする。代替の実施形態において、ブロード・バンド・カメラ及び追加的な小さいバンド・フィルタが使用される。しかしながら、標準的なまたは低コストのカメラと比較して、これは、より高いコストをもたらす。
【0033】
一般的に、測定結果は、評価ユニットに伝送される。例えば、評価ユニットは、データ記憶装置及びマイクロプロセッサ、例えばパーソナル・コンピュータ、であることが可能である。測定された光の情報に基づいて、評価ユニットは、対応する温度を決定する。温度は、酸化窒素の形成速度についての直接的な結論を出すことを可能にする。その理由は、NOxが火炎のホットスポットの中で形成されるからである。温度は、更に、COの形成についての結論を可能にすることもある。更に、以下により詳細に記載されているように、温度は、火炎の中の燃料の粒径についての結論を可能にする。
【0034】
カメラは、実施形態によれば、位置に依存する測定、即ち、空間的に分解されたやり方での測定を可能にする。例えば、モニターされた火炎5は、典型的に、カメラ10の中の二次元の矩形平面の上に投影され、ここで、カメラ10のピクセルは、マトリクス形態に配置されている。それにより、入射光を測定するとき、ピクセルに依存する温度および/またはピクセル・サイズの結果をモニターすることが可能であリ、即ち、火炎5の中の投影された二次元の位置についてモニターすることが可能である。この結果を、光学的なスクリーンにマップ状のやり方で出力することが可能である。システムのオペレータは、火炎の上方での温度および/または粒径の分布を、このようにして、光学的にモニターすることが可能である。
【0035】
一つの実施形態において、火炎の熱がカメラに損傷を与えないように、カメラを離れた位置に配置することが可能である。このようにして、光をバーナからカメラへを伝送するために、光ファイバの束などのような、トランスミッタを設けることが可能である。セットアップは、更に、フロントエンド光学系11を有していても良く、このフロントエンド光学系は、火炎5の中に露出され、火炎5から放射された光を、ファイバの束12などのようなトランスミッタ12の中へ集めるように構成されている。
【0036】
そのようなセットアップは、図2の中に概略的に示されていて、この図は、バーナの中の火炎5、トランスミッタ12が接続されるフロントエンド光学系11を示している。図2の実施形態において、カメラ10は、トランスミッタ12の一方に端に配置されている。このカメラ10は、評価ユニット20に接続されている。
【0037】
一般的に、且つこの実施形態のみに限定されないが、カメラと評価ユニットとの間に増幅器を設けることが可能である。更に、一般的に、フロントエンド光学系に、またはフロントエンド光学系とカメラとの間に、フィルタを設けることが可能であり、それにより、可視領域の中の波長などのような、特定の波長のみを通過させるようにする。特定のフィルタを設けることは、感度を改善することを更に可能にすることがある。
【0038】
受光光学系を火炎の方向に、例えば、火炎の背後に、または火炎の横へ、向けることが可能である。用語“受光光学系”は、この中において理解されるように、火炎から放射された放射を集めて、それをカメラに伝送するフロントエンド光学系を包含すべきである。このようにして、フロントエンド光学系は、カメラが火炎に面して直接的に配置されるアプリケーションにおいて、カメラそれ自体であることが可能であり、あるいは、より適切には、それは、図2,3a及び3bの中で参照符号11により示されているようなフロントエンド光学系である。受光光学系11は、一つの実施形態において、視野角度を有していて、この視野角度は、受光光学系またはフロントエンド光学系11から火炎15の方への視線と、火炎の方向との間で規定され、180度までの、オプションとして90度までの、オプションとして60度までの角度であって、火炎5の大きな部分を見ることを可能にする。
【0039】
フロントエンド光学系が火炎の前方に配置された形態が、図3aの中に概略的に示されている。横方向のセットアップが、図3bの中に概略的に示されている。先に述べたように、火炎の背後に受光光学系を配置することも可能である(図面の中に示されていない)。
【0040】
図3a及び3bにおいて、参照符号35は、燃焼チャンバを示している。用語“燃焼チャンバ”及び“バーナ”は、この中において同じ意味で使用されている。粉砕された石炭を酸素または空気と共にバーナ35の中に吹き込む供給管30が、典型的に設けられる。
【0041】
図3aの中に、評価ユニット10の測定結果を出力するための、スクリーン25が示されている。このスクリーンは、この中に記載された全ての実施形態において、設けられることが可能である。一般的に、カラー・カメラの各ピクセルの測定結果は、火炎の中の温度及び粒径の二次元の投影図をもたらす。これは、マップ状のやり方でスクリーンに出力されることが可能であり、ここで、例えば、温度が色により示され、例えば、低い温度に対する赤色から高い温度に対する青色までの色により示される。粒径に対するプロットも、同様に視覚化されることが可能である。
【0042】
特に、石炭燃焼において、浮遊石炭粒子による光の散乱に起因して、標準的な周波数で分解する光学的な方法の多くが、先に説明されたように、失敗している。この開示によれば、バックグラウンドの散乱光を処理して温度を特定する方法が提供される。この方法は、修正された黒体放射スペクトラムの仮定に基づく温度評価に基づいている。
【0043】
黒体放射は、黒体が熱力力学的な平衡状態にあると言う場合に対して、対象物の温度に起因して、対象物の表面から放射される電磁的な放射である。放射のプランクの法則(Plank's law)によれば、黒体の熱的な放射の放出される波長は、温度のみに依存する確率/強度分布により説明される。
【0044】
例示のために、図4は、二つの対象物の黒体放射を概略的に示していて、それらの内の一つは、任意の温度のTにあり、他の一つは任意の温度のTにあり、ここで、T>T である。波長λに依存する強度Iが概略的に示されている
この開示の実施形態によれば、プランクの黒体放射スペクトラムがミー散乱理論(Mie scattering theory)と結合されている。ミー理論は、粒子が放射の波長のオーダーの物理的なサイズを有しているときの、電磁的な放射に対するマクスウエル方程式の解を意味している。ミー散乱理論に基づき粒径の分布を考察することは、プランクに基づく黒体のスペクトラムの補正された形態をもたらす。
【0045】
理論的に、プランクのスペクトラム Iplank は、次の式に基づき、いわゆる放射率εにより修正される:
TMie=ε(λ)*IPlank
一般的に、放射率εは、ホッテル(Hottel)及びブロートン(Broughton)により導き出された広く使用されている経験式に基づいて、以下のように仮定される:
【数1】

【0046】
ここで、
Kは吸収係数(m−1);
Lは光学的な軸に沿う火炎の幾何学的な厚さ(光学的な経路の長さ);
αは、経験的なパラメータ(ミー散乱)であって、一般的に、波長λ(μm)に依存する;
一つの実施形態において、αは、定常的な光り輝く火炎に対して、約1.4であるとみなされることが可能である。
【0047】
修正されたスペクトラムが、例として図5の中に示され、そこで、強度Iについてのスペクトラムが、先に述べた二つの温度T及びTに対して、波長λに依存してプロットされている。用語“修正された黒体スペクトラム”、“修正されたプランク・スペクトラム”などは、この中において使用されているように、“ミー散乱理論を用いて修正された”として、即ち、放射率を考慮することにより修正されたとして、理解されるべきである。
【0048】
この開示によれば、火炎は、カラー・カメラによりモニターされる。例えば、カラー・カメラは、三色のそれぞれが互いに対して独立に測定されるような赤−緑−青カメラである。
【0049】
一般的に、カメラの二つの色の測定された強度は、対応する修正された黒体回転スペクトラムを見出すために十分であることがある。これは、例示的な目的のために、例として図6の中に示されている。カラー・カメラにより提供される測定範囲が、青(B)、緑(G)及び赤(R)で示されている。ここで、例示のために、我々は、カメラの赤チャネルが、図6の中でハッチングが施された領域に対応する分布を測定したと仮定する。同様に、緑チャネルに対してのみ示されているが、緑及び青チャネルも、同様に、示された修正された黒体スペクトラムに適合するスペクトラムを測定している。従って、測定された値から対応する黒体スペクトラムを推定することが可能であり、それによって、モニターされたスポットの温度及び粒径を推定することが可能である。
【0050】
実施形態によれば、この当て嵌めは、少なくとも二つの測定結果、即ち、三色の内の任意の二色からの結果を使用する当て嵌め方法により実行される。それにもかかわらず、もし、三色全ての測定された値が考慮に入れられた場合には、結果が改善されることが可能であり、それにより、個々のスペクトラムが遥かにより正確に定められることが可能になる。そのようにするために、一つの実施形態において、先ず最初に、色の第一の対が当て嵌め方法のために使用される。次いで、第二のステップにおいて、当て嵌めの結果を改善するために色の第二の対が使用され、ここで、色の第二の対は、一つの色で第一の対と異なっている。
【0051】
放射率が隣りの色に対して(即ち青及び緑;緑及び赤)僅かしか異なっていない(典型的に10%以下)と言うことを前提にして、赤及び緑並びに青及び緑の測定結果が、対応するスペクトラムの決定のために使用されることが可能である。個々のスペクトラム分布を知ることは、火炎の中の対応するスポットの温度を決定することを可能にする。
【0052】
ミー散乱の修正値KLは、同様に、この方法により決定される。注目すべきことは、KLが理論上二つのパラメータからなるにも拘わらず、ここで、吸収係数Kと火炎の光学的な軸Lに沿う幾何学的な厚さとの積のみが、散乱に対する尺度として、従って、粒径の分布に対する尺度として、決定されると言うことである。
【0053】
換言すれば、この中に記載された方法は、火炎の中の粒径の分布と温度とを、別個に決定することを可能にする。そのようにするために、カラー・カメラからの結果が、測定結果に適合する、ミー散乱KLにより修正された黒体放射スペクトラムを決定するために、アルゴリズムの中で使用される。ミー散乱理論により修正された黒体放射スペクトラムは、各温度T及び各ミー散乱修正値KLに対して固有の分布である。それ故に、カメラの三色からの二つの測定された値に基づいて、個々の温度及びミー散乱修正値を理論的に決定することが可能である。
【0054】
しかしながら、この方法は、もし、三つの全ての値が考慮に入れられた場合には、正確さに関して本質的に改善される。それにより、青色の測定された強度と緑色の測定された強度との比を計算することが可能になる。それに加えて、赤色の測定された強度と緑色の測定された強度との比を計算することが可能である。
【0055】
提案された方法により、二次元カメラ表面に投影された火炎の中の温度及び粒径の分布が、各ピクセルに対して別個に測定される。結果として、温度及び粒径の分布のマップが、各瞬間に対して早めに計算されることが可能になる。これは、ホットスポットの存在の決定だけではなく、それらの位置の特定までも可能にする。それに加えて、ここに記載された実施形態に基づく方法は、ミー散乱理論に基づく粒径の分布の決定を可能にする。
【0056】
ホットスポットの存在及び及び粒径の分布についての結合された情報は、例えば、粉砕プロセスなどのような、対応する前工程のパラメータのコントロールにおいて、または、石炭の粉および/または空気の供給プロセスにおいて、燃焼プロセスを最適化することを可能にする。更に、評価ユニットの出力が、供給される空気をコントロールするために提供されることがあるダンパのコントロールのために、直接的にまたは関接的に使用されても良い。実施形態によれば、ダンパが、各バーナに対して設けられ、それにより、燃焼プロセスが、各バーナに対して個別にコントロールされることが可能であるようになる。
【0057】
燃焼プロセスの連続する最適化により、幾つかの好ましい効果が、実現される。酸化窒素の形成及び放出の速度が実質的に減少されることが可能になる;COの発生速度が最適化されることが可能になる;石炭の粉砕サイズが最適化されることが可能になる;燃料対空気の比が最適化されることが可能になる;プロセスの効率が改善されることが可能になる;など。
【0058】
より詳細には、以下の方法要素が実施されることが可能である:先ず最初に、二つの波長λ1及びλ2での強度の結果Iλ1及びIλ2に基づいて、各ピクセルの温度が以下のように評価される。ここで、λ1が赤色に属し、λ2が緑色に属するか、あるいは、λ1が緑色に属し、λ2が青色に属するかの何れかある:
【数2】

【0059】
定数Cは、ウィーン定数(Wien constant)に対応している。典型的に、ln(Sλ2/Sλ2)は、一定であり、ここで、Sλ2,Sλ2は、波長の関数としての放射率である。この定数、“s”と短く呼ばれることがあり、1に等しいと仮定されることが可能である。即ち、s=ln(Sλ2/Sλ1)。このようにして、温度が決定されることが可能である。この温度を前提にして、放射率ε及びεが、依存性を想定して計算されることが可能である:
【数3】

【0060】
ここで、Cは比例係数である。
【0061】
放射率(ε及びε)が分かると、吸収ファクターKLが、比I/Iを計算することにより決定されることが可能である。KLは、燃やされない粒子の数に強く関係する。従って、燃焼最適化は、KLを可能な限り小さく維持することを狙っている。
【0062】
一つの実施形態において、この計算は、隣り合う色の第一の対に対して行われることが可能である(即ち赤及び緑、または緑及び青)。更に、この計算は、隣り合う色の残りの対に対して、追加的に行われても良い。両方の計算の結果は、重み付けられた平均値を計算するために恐らくは較正からの係数を考慮に入れて、使用されても良い。それに代わって、放射率ε及びεについての結果を改善するために、例えば、最小二乗法評価を行うために、両方の結果を使用することが可能である。
【0063】
従って、この方法は、光散乱パラメータを測定することを可能にする。それは、更に、火炎の二次元の温度評価を得るための修正方法を使用する。大雑把に言って、この方法は、カメラの三色を火炎の放射と重複させて、火炎の修正された黒体放射曲線を再構築すること)に基づいている。実施形態によれば、アルゴリズムは、燃料の中で当然に生ずる変動に基づく平均粒径の分布を計算する。標準的なブロード・バンド・パイロメータに対する優位性は、散乱の直接的な処理の際により良い温度評価を得るための第三の色の使用である。一部の実施形態によれば、追加的な光学的なフィルタリングが、測定の感度を改善するために実施されることが可能である。
【0064】
更なる実施形態によれば、レーザが追加的に設けられる。レーザ・ソースは、火炎に向けられる。レーザ光の散乱が、粒径及び粒径の分布を測定するために使用される。
【0065】
図7は、レーザを用いた原理的なセットアップを概略的に示している。ここで、レーザ40は、火炎5の方へ向けられ、そこでレーザ光が散乱される。レーザ光は、一般的に、カメラ10により記録されることが可能である。図7の中に示されたこれらの実施形態において、レーザ光は、追加的な検出器15の中で検出される。それらの測定結果は、評価ユニット20に伝送されることが可能である。
【0066】
図8は、レーザを有する更なる実施形態を、例としてを示している。レーザ光は、燃焼チャンバ35の中に向けられる。開口またはガラス窓が、レーザ光を伝送するために、燃焼チャンバ壁面の中に設けられても良い。一般的に、またこの実施形態に限定されないが、カラー・カメラ10および/または追加的な検出器15が、評価ユニット20にリンクされても良い。図8の中に、レーザ40と評価ユニット20との間の代表的なリンク50が示されている。カメラ10、検出器15および/または評価ユニット20の間のリンクに起因して、カメラ10、検出器15および/またはレーザ40の間のデータ接続がもたらされることが可能である。
【0067】
レーザ光は、火炎の中の粒子により散乱され、それにより、散乱されたフォトンの一部が、カメラおよび/または検出器で測定されることが可能になる。バックグラウンドの火炎の光の影響を取り除くかあるいは減少させるために、レーザを特定の波長で変調し、例えば、ロックイン検出を実施することにより、レーザ光を検出器15によりを検知することが一般的に可能である。
【0068】
選択された角度βでの散乱されたレーザ光の強度は、散乱角度の分布と粒径の分布との間の既知の関係に起因して、粒径の分布の決定を可能にする。それにより、βが、散乱強度が“sin β/2”に対して比例すると言うことを考慮して選択される。一つの実施形態において、角度βが変えられることが可能であり、それにより、異なる角度での測定結果が評価されることが可能になる。一般的に、より小さい粒子は、より小さい強度をもたらし、これに対してより大きな粒子の存在は、散乱を増大させる。
【0069】
一般的に、この開示によれば、カメラの出力は、評価ユニットの中に入力され、その中で、火炎の状態及び粒径を解明するコントロール最適化−ソフトウエアが走っている。閾値は、最大パラメータに、即ち、酸化窒素の形成を減少させるように、設定されることが可能であり、それは、大きな粒子が観察されたときに、火炎温度を制限するために必要なまたは先行する粉砕機での石炭の粉砕を改善するために必要な、コントロールの応答をトリガーすることにより行われる。
【0070】
一般的に、約200ミクロンまでの範囲内の粒径が可能である。一つの実施形態において、約75ミクロンより小さい(特に74ミクロンより小さい)サイズを有する粒子の少なくとも約70%の量が、僅かな酸化窒素の形成のみで、効率の良い燃焼プロセスを可能にする。
【0071】
図9に、この中に記載された実施形態に基づくコントロール及び最適化の図を示す。ここに示されているように、燃焼空気の流れなどのような燃焼パラメータ51、並びに、測定された火炎光分布に由来する計算された温度信号52が、ローカルな燃焼モデル60に基づいて評価される。燃焼パラメータは、バーナ・ゾーンへの空気の流れの測定値(一次及び二次空気)、および/または、粉砕された燃料の化学的組成に対する測定値または評価を有していても良い。ローカルな燃焼モデル60が、図1,2,3a,3b,7,及び8の中に示された評価ユニット20の中で、計算されることが可能である。
【0072】
温度信号及び燃焼パラメータに基づいて、実際のバーナの化学量論に対する評価70をモデル化することが可能である。この計算は、ローカルな燃焼モデル60に基づいていて、このモデルは、ローカルな燃焼反応及び熱及びマス移送現象のモデルである。ローカルな燃焼モデルから得られる更なる化学量論は、一つの実施形態において、燃焼オプティマイザ80に供給され、この燃焼オプティマイザは、個々のバーナの化学量論91を平衡させること、即ち、燃焼パラメータ(バーナの中への空気の流れ、オーバーファイア空気の流れ92、または、バーナの傾き93など)を調整することが可能であり、酸化窒素または一酸化炭素などのような汚染物質のレベルをそれらの許容限界以下に維持しながら、効率または負荷を最大にする。
【0073】
実施形態によれば、粉砕された燃料の粒径の分布が、この中に記載されているように評価される。図10の図を参照すると、粒径の信号53が、評価ユニット10の中で燃焼モデル60に基づいて評価される。出力は、燃焼オプティマイザ80に供給される実際のバーナの化学量論70に対する評価である。燃焼オプティマイザは、石炭粉砕機の運転パラメータなどのような、前工程のパラメータを追加的にコントロールするために、この情報を使用することが可能であって、それらのパラメータは、例えば、平均粒径を所望の値に維持するためのまたは平均粒径をこの所望の値にするための、粉砕機のフィーダーの設定94、粉砕機の分級機の設定95、または、粉砕機の粉砕圧力96などである。
【0074】
用語“グローバル(global)”が、図9及び10の中で、括弧の中に示されている。一部の実施形態によれば、燃焼オプティマイザは、グローバルな燃焼オプティマイザであって、それにより、オプティマイザは、石炭燃焼発電プラントの中で使用される全ての粉砕機及びバーナなどのような、恐らくはモニターされ且つコントロールされ全ての粉砕機及びバーナについての、幾つかの粉砕機及び幾つかのバーナの状態についてのグローバルな情報を有している。
【0075】
従って、燃焼オプティマイザが、粉砕機及びバーナの状態についての十分な情報を有していると仮定して、所与の荷重に対して最適化の目標に到達するために、異なる粉砕機及びバーナの負荷を再配置することが可能である。
【0076】
しかしながら、個別の燃焼オプティマイザを設けることもまた可能である。例えば、火炎センサーが、二次空気の流れがダンパ配置などにより個々に修正されることが可能であるバーナと対にされたとき、代替の実施形態は、グローバルな燃焼オプティマイザを使用する必要無しに、個々のバーナの化学量論コントローラを作動可能な状態にするであろう。例えば、そのような実施形態において、特定のバーナへの二次空気の流れが、バーナの化学量論評価からのフィードバックに基づいて調整されることが可能であり、それは、次に、測定された光の情報の評価から推定される。
【0077】
実施形態において、コントロール・アクションが、比例−積分コントローラ(PIコントローラ)または比例−積分−微分コントローラ(PIDコントローラ)により、火炎センサーからの温度信号に基づいて、決定されることが可能であり、ここで、コントローラのゲインは、バーナ・ゾーンの温度信号と化学量論との間の単純化された線形関係に基づいて、選択されることが可能である。
【0078】
それに加えて、減少剤を燃焼チャンバにを添加することが、更に可能である。石炭燃焼における酸化窒素の形成は、揮発が減圧条件下で生ずるとき、減少されることが可能である。この開示に基づくモニタリング方法を前提にして、減少剤の添加を、測定された状態に依存してコントロールすることが可能であり、即ち、許容できない程度の酸化窒素の形成をもたらすことになるホットスポットが存在するか否かに依存して、コントロールすることが可能である。
【0079】
火炎モニタリング・システム及び方法は、この中に記載されているように、一般的に、火炎のオン/オフ状態を検知するために、および/または、燃焼最適化のために、および/または、火炎の空間的なモニタリングのために、使用されることが可能である。火炎温度及び粒径を測定することが可能である、および/または、燃焼パラメータを調整するための、特に、酸化窒素の形成を制限するための、コントロール・アルゴリズムとともに使用されることが可能である、低コスト、直接的な、迅速な、且つ適切な光学的な技術を有していることが好ましい。この方法及び装置は、ここに記載されているように、NOxの形成及び燃焼プロセスにおける燃焼石炭の効率をコントロールすることを可能にする。RGBカメラなどのような、標準的なカラー・カメラの使用は、非常に低いコストで、そのようなモニタリング・システムをもたらすこと可能にする。更に、分光法の必要性が無いと言うことを前提にして、フィルタ、鏡、レンズなどのような、更なる光学的な装置の準備が省略可能である。それにより、全体的な手間が大幅に減少される。
【0080】
低コストのカメラの使用及び黒体放射または修正された黒体放射の仮定は、温度及び化学量論測定を行うために、ラジアル分光法に基づく他の技術と比較して、正確さに劣る技術であるかも知れない。しかしながら、これらの技術は、火炎の中の粒子の存在が無視しうる程度である場合に、気体及び液体の燃料の燃焼のために、主として有用である。特に、石炭燃焼に対して、この中に記載されているような方法及び装置で得ることが可能な解決策は、燃焼最適化を改善するためにそして酸化窒素の形成を減少させるために、一般的に十分である。
【0081】
この提案された方法は、レーザを使用しなくても十分に正確であるが、温度、放射率及び吸収ファクターを得るために、測定された光の分布を、修正された黒体放射に当て嵌めることを含んでいる。オンライン・モニタリングを可能にする高速のマイクロプロセッサが、実施形態において設けられる。しかしながら、受動的なモニタリングに基づく粒径評価のアルゴリズムは、多くの実施形態において、上述のようにレーザが追加的に設けられるレーザに基づく散乱技術のようには正確でないであろう。恐らくは、追加的な検出器および/またはカメラと協働して変調されることが可能であるレーザを、追加的に使用することにより、測定精度が更に改善されることが可能である。
【0082】
実施形態によれば、提案された火炎を決定する装置が、既存の火炎スキャナーに加えて使用される。
【0083】
実施形態によれば、燃焼チャンバ当り二つの光学的な測定装置が設けられも良い。例えば、一方の測定装置が火炎の横に方向付けられても良く、これに対して、もう一方の測定装置が火炎の背後またはその前方に配置されても良い。
【0084】
一般的に、多数のバーナを設けることが可能であり、それぞれに対して、この中で記載されたような光学的測定装置が設けられる。例えば、石炭燃焼発電プラント200に、少なくとも24個のバーナ及び少なくとも24個の光学的な測定装置が、更には、少なくとも36個のバーナ及び少なくとも36個の光学的な測定装置が、設けられることが可能である。セットアップのコストは、フィルタなどの複雑なセットアップを含む先行技術と比較して、減少される。更にまた、青−緑測定の比較及び緑−赤測定の比較の両方の可能性のある評価を前提にすると、測定結果は、バーナを効率的に且つ環境的に良く運転するために十分に正確になる。
【0085】
そのような配置が、図12の中に例として示されている。石炭燃焼発電プラント200は、多数のバーナ35を含んでいる。各バーナ35は、この開示に基づき光学的測定装置100によりモニターされる。
【0086】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴が、幾つかの図面の中に示され、他の図面の中に示されていないかも知れないが、これは、便宜上の理由のみによる。本発明の原理に基づいて、図面の特徴が、他の図面の特徴との組み合わせで参照されおよび/または請求されても良い。
【0087】
ここに記載された説明は、本発明を説明するために、また、装置またはシステムを製造すること及び使用すること、及び組み込まれた方法を実施することを含めて、当業者が本発明を実施することを可能にするために、ベストモードを含む例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、請求項により規定され、また、当業者が思いつくような他の例を含んでいても良い。そのような他の例は、もし、それらの例が請求項の言葉と異なることがない構造的な要素を有している場合には、あるいは、もし、それらの例が請求項の言葉との間に実質的な相違が無い同等の構造的な要素を含んでいる場合には、請求項の範囲の中にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0088】
5・・・火炎、10・・・3チャンネルのカメラ、11・・・フロントエンド光学系、12・・・トランスミッタ、15・・・検出器、20・・・評価ユニット、25・・・スクリーン、30・・・供給管、35・・・バーナ、40・・・レーザ、50・・・レーザへのリンク、51,52,52,60,70,80,91,92,93,94,95,96・・・図9及び10の中の方法要素、100・・・光学的測定装置、200・・・石炭燃焼発電プラント、T,T,T・・・温度、I・・・強度、λ・・・波長、β・・・レーザ光と視線角度との間の角度、B,G,R・・・青、緑、赤、CO・・・一酸化炭素、NOx・・・窒素酸化物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎(5)の中の温度を決定するように、且つ火炎(5)の中に存在する燃料の粒径を決定するように、構成された光学的測定装置(100)であって、
この光学的測定装置(100)は、火炎(5)の中の光の情報を測定した測定結果を出力するためのカラー・カメラ(10)と、
それらの測定結果を評価するように構成された評価ユニット(20)と、
を有していることを特徴とする光学的測定装置。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載の光学的測定装置(100)、
更に、酸化窒素および/または一酸化炭素の濃度を決定するように構成されている。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項1または2に記載の光学的測定装置(100)、
当該光学的測定装置(100)は、火炎の方向に対して、180度までの、オプションとして90度までの、オプションとして60度までの、画角を有するように、配置され且つ位置合わせされる。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項1から3の何れか1項に記載の光学的測定装置(100)、
火炎(5)の方へレーザ光を方向付けるためのレーザ(40)を、更に有している。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項4に記載の光学的測定装置(100)、
火炎(5)の中でレーザにより散乱された光を測定するための検出器(15)を、更に有し、
そのレーザ光は、オプションとして、ロックイン技術を使用する検出器(15)により変調され且つ検出される。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項1から5の何れか1項に記載の光学的測定装置(100)、
空間的に分解されたやり方で、オプションとして二次元のマップ状のやり方で、測定結果を光学的に出力するためのスクリーン(25)を更に有している。
【請求項7】
石炭燃焼発電プラント(200)であって、
− 粉砕された石炭を、火炎(5)の中でそれぞれ燃焼させるための多数のバーナ(35)と、
− 先行する請求項1〜6の内の何れかに基づく、多数の光学的な測定装置(100)と、を有すること、
バーナ(35)の数は、オプションとして、光学的な測定装置(100)の数と同一であること、
を特徴とする石炭燃焼発電プラント。
【請求項8】
火炎(5)の中に存在する燃料の温度及び粒径を決定するための方法であって、
火炎(5)から光の情報を受け取り、
カラー・カメラ(10)により、それを測定し、
測定結果を評価ユニット(20)に提供し、
測定結果を評価すること、
を特徴とする方法。
【請求項9】
下記特徴を有する請求項8に記載の方法、
前記評価することは、青色及び緑色の測定結果を評価すること、及び、緑色及び赤色の測定結果を追加的に評価すること、を有している。
【請求項10】
下記特徴を有する請求項8または9に記載の方法、
評価することは、測定結果を黒体放射スペクトラムに当て嵌めることを有していて、
この黒体放射スペクトラムは、オプションとして、ミー散乱理論により修正された黒体放射スペクトラムである。
【請求項11】
下記特徴を有する請求項8から10の何れか1項に記載の方法、
燃焼パラメータについての更なる情報を前記評価ユニット(20)に提供することを更に有している。
【請求項12】
下記特徴を有する請求項8から11の何れか1項に記載の方法、
火炎(5)の中での窒素酸化物の形成、火炎(5)の中での一酸化炭素の形成、及び火炎(5)の放射率の内の、一つまたはそれ以上を決定する工程を、更に有している。
【請求項13】
下記特徴を有する請求項8から12の何れか1項に記載の方法、
レーザ光を火炎(5)に向けることを、更に有している。
【請求項14】
下記特徴を有する請求項13に記載の方法、
検出器(15)を設けること、及び、
オプションとして、レーザ光を変調すること、及び、
検出器(15)によりレーザ光を検知すること、
オプションとして、ロックイン技術を使用して検出器によりレーザ光を検知すること、
を更に有している。
【請求項15】
バーナ(35)をコントロールするための方法であって、
請求項8から14の何れか1項に記載の方法に基づく、温度及び火炎(5)の中に存在する燃料の粒径を決定するための方法を有し、
評価された測定結果に依存して燃焼パラメータをコントロールすることを、更に有していること、
を特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−514522(P2013−514522A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543483(P2012−543483)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067246
【国際公開番号】WO2011/072730
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(594075499)アーベーベー・リサーチ・リミテッド (89)
【氏名又は名称原語表記】ABB RESEARCH LTD.
【Fターム(参考)】