光学的に可変のセキュリティ・デバイス及び方法
【課題】光学的に可変のセキュリティ・デバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも、高屈折率の誘電体材料で形成された反射層を含む表面レリーフ・ミクロ構造を有する第1の光学的可変効果発生構造(3〜5)と体積ホログラムである第2の光学的可変効果発生構造(3’〜5’)を重ね合わせた光学的可変効果発生構造を含むセキュリティ・デバイスであって、該第2の光学的可変効果発生構造(3’〜5’)が該第1の光学的可変効果発生構造(3〜5)を通して見ることができる、セキュリティ・デバイス。
【解決手段】少なくとも、高屈折率の誘電体材料で形成された反射層を含む表面レリーフ・ミクロ構造を有する第1の光学的可変効果発生構造(3〜5)と体積ホログラムである第2の光学的可変効果発生構造(3’〜5’)を重ね合わせた光学的可変効果発生構造を含むセキュリティ・デバイスであって、該第2の光学的可変効果発生構造(3’〜5’)が該第1の光学的可変効果発生構造(3〜5)を通して見ることができる、セキュリティ・デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ・デバイス及びそのようなセキュリティ・デバイスを製造する方法に関する。このようなセキュリティ・デバイスは、証券(documents)、前払式証票(tokens of value)及びその他の物品のセキュリティを保護するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
慣例的に、このような証券が金融取引において用いられており、銀行券、小切手、債券、トラベラーズチェック、及びバウチャーの形態をとる。より最近では、安全な証券及びセキュリティ・デバイスそれ自体を用いて商品及び/又はサービスに信頼性を付与している。セキュリティ・デバイスは、ソフトウエア、娯楽メディア、高価値の消費財、及び日用消費財(fast moving consumer goods)などの商品に付随する包装、ラベル、及び証明書に適用されている。
【0003】
現代的な応用でも従来からある応用でも、本質的な問題は依然として同じであり、一般人にも容易に認識でき、偽造に対して安全な認証手段を提供するということである。光学的可変デバイスの使用が、これらの基準を満たす特に効果的な方法であることが見出された。さらに、セキュリティ・デバイスの作製に関わる技術の範囲が広ければ広いほど、偽造がしにくくなるということが一般に認められている。熱的に活性化される転写構造(例えば、ホット・ホイル)又は(圧力を加えて適用される)ラベル・デバイスとして機能させることを意図した、多数の回折光学的可変識別デバイス(DOVID)は、その製造のために光物理学、材料科学、化学、エンボス加工、変換、そして多くの場合、印刷技術における専門的な知識を必要とする。
【0004】
DOVIDをセキュリティ・デバイスとして用いることは近年ますます拡がっており、したがって、その基礎をなす構成部分の技術/科学は、偽造者であろうものにとってますますアクセス可能となっている。これは特には、攻撃が組織犯罪として行われる場合である。これに対して、ホログラフィック産業では、次第に、その再現に特殊機器の非常に大きな設備投資と厳しい生産/製造管理を必要とする、ますますより複雑で公然の、秘密の、及び機械読み取り可能な特徴をDOVIDに含めるようにまでなっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1様態によれば、セキュリティ・デバイスは少なくとも第1及び第2の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を含み、各構造は表面レリーフ・ミクロ構造を有し、該第2の光学的可変効果発生構造は該第1の構造を通して見ることができる。
【0006】
本発明の第2様態によれば、セキュリティ・デバイスを製造する方法は、各構造が表面レリーフ・ミクロ構造を有する、少なくとも第1及び第2の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を設けることを含み、それにより該第2の光学的可変効果発生構造は該第1の構造を通して見ることができる。
【0007】
容易に認証可能であるが偽造することが非常に難しい、新しいタイプのセキュリティ・デバイスが考案された。これは、その又はそれぞれの下にある構造が、1つ又は複数の上にある構造を通して見ることができるよう構成された2つ(以上)の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を設けることを伴う。
【0008】
もっとも、積層した体積ホログラムが、重ね合わせた層の数によって決まる幾つかの波長で再生される複合構造を作製する目的で、従来技術、例えば、ヨーロッパ特許第576173号明細書及び米国特許第5606433号明細書において公知である。具体的に、これが必要とされるのは、体積ホログラムがBragg反射によって機能し、それゆえ、特定の色の波長及び入射角の入射光を再生するだけであるからである。
【0009】
本発明は、DOVID中に存在する回折又はホログラフィック画像の視覚的な精巧さ、セキュリティ及び差別化を高める。
【0010】
現在、安全なOVDの製造には、ますます複雑化するマーケット需要と、ローエンドな作成技術(例えば、低スペックのドット・マトリックス及び干渉マスキング法)を用いて偽造者よりも一歩先を行かなければならないという二重の重圧が存在している。その結果、作成プロバイダーは、一次ミクロ構造のマスタリング段階で、いくつかの相補的な作成技術を組み合わせるか(最もよく用いられるのは、ドット・マトリックス画像を古典的な3D又は2D/3Dホログラムに重ねるものである)、あるいはまた、異なる技術を用いて生成した画像成分を機械的に再結合して最終的な複合画像を構築することに、限定された努力を払ってきた。
【0011】
本発明は、画像発生的又は機械読み取り可能であることができる2つ以上の別々に配向した光学的可変ミクロ構造(OVM)を単一の膜アセンブリに結合する新しいデバイス及び方法を提供する。基本的に、この方法は、2つ以上の光学的/干渉計的に結合していないミクロ構造サブアセンブリを重ね合わすか又は積層することを伴う。
【0012】
好ましい例では、第1のOVMレリーフ(OVM1)を画定する一番上の又は第1のOVMサブアセンブリは、反射増強層でしっかりと被覆されており、これは次のいずれかの形態をとることができる:
1)(実質的に脱金属化されている実質的領域若しくは透明な窓を備えた)不連続反射金属コーティング、又は
2)厚さを最適化したHRI材料(例えば、ZnS、TiO2)の連続透明コーティング。
【0013】
下方のOVMサブアセンブリは、選択的に脱金属化することができる(又は、反射HRI材料を備えた)反射不透明層又は金属で被覆された第2のOVMレリーフ(OVM2)を画定する。
【0014】
提案されるDOVIDの所望の外観は、そのDOVIDが1つの複雑な単一金属化OVMであるようなものであり、このOVMのミクロ構造は、2つの別々の作成プロセスを重ね合わせることによって生成されるようであることに注意すべきである。作成プロセスは、DOVIDが単に互いに積層された2つの別々のミクロ構造層から構成されているとは見えないように選ぶべきである。
【0015】
今日まで、ホログラフィック産業では、主要な作成プロバイダーのそれぞれが、画像を生成する光学的可変ミクロ構造(OVM)を製造するのに利用できる、限られた数の作成技術の1つに専門化する傾向があった。このような作成技術の例としては、古典的な二段階レインボー・ホログラフィー、ドット・マトリックス・インターフェロメトリー、リソグラフィック・インターフェロメトリー、及びe−ビーム・リソグラフィーがある。
【0016】
2つの明確に異なる作成技術、例えば、e−ビーム・リソグラフィーと二段階レインボー・ホログラフィーを用いてOVM1とOVM2を作製することが好ましい。
【0017】
更なる実施態様では、光学的ミクロ構造の1つが体積Bragg平面として存在し、したがって、関連する光学的可変層は体積ホログラムとして機能する。体積ホログラムの例は、ヨーロッパ特許第516173号明細書及び同第5606433号明細書に見出すことができる。物理的には、このミクロ構造は、局所的に屈折率が変化した(増強又は低減された)平面領域の周期的分布として存在し、各層がその層を通して伝播する光の一部を散乱させる。ある特定の波長(例えば、オリジナルの記録波長又はそれに近い波長)及び入射角(オリジナルの参照ビーム記録角度又はそれに近い角度)の光がこの層を通って伝播すると、その場合、各平面から散乱/反射される部分振幅のすべてが同位相になり、建設的に干渉する。このことはBragg効果として知られている。
【0018】
ミクロ構造は体積的かつ多平面的な性質のものであるから、反射強化コーティングの必要(又は利益)がないということは言うまでもない。しかしながら、通例、体積ホログラムから得られた画像が、基材によって後方散乱された光と競合しなくてもよいようにすることを確実にするため、基材に接着されることになる体積ホログラムの側は暗色の不透明膜(典型的には黒)で被覆される。もっとも当然ながら、不透明な着色剤を接着剤又は接着層に加えてもよい。フォトポリマー層及びそれに関連したPET支持層の厚さ(例えば、デュポンのOmnidex(登録商標)材料の場合、それぞれ15μm及び50μm)のため、複合アセンブリ(OVM1+OVM2)は、必然的にホット・スタンプ・デバイス又は熱的ロールオン・デバイスとしてではなく、ダイカットラベルとして適用されることが理解されるであろう。
【0019】
デバイスは、保護されるべき基材又は物品に2つの異なる方法で適用することができる。第一に、キャリヤーホイルからの熱活性化転写(例えば、ホット・ホイリング/スタンピング、ロールオン等)、又は非熱活性化接着剤を利用したラベルとしての適用である。本発明によるセキュリティ・デバイスを適用できる基材又は物品の例としては、銀行券、小切手、債券、トラベラーズチェック、スタンプ、認証証書、高価値の包装財及びバウチャーがある。
【0020】
次に、本発明によるデバイス及び方法のいくつかの例が、添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1a】熱転写の実施態様に関する第1の例の断面図であり、転写プロセスが完了する前の状態を示している。
【図1b】転写後の図1aの例を示す。
【図2a】図1aに示す第1OVMの第1の例を示す。
【図2b】図1aに示す第1OVMの第2の例を示す。
【図3】図1aに示す第2OVMの概略断面図である。
【図4a】2つのOVM構造を互いに積層する際の一連の段階を示す。
【図4b】2つのOVM構造を互いに積層する際の一連の段階を示す。
【図5】図4aと類似の図であるが、UVランプの使用を示している。
【図6】図5の例の変形態様である。
【図7】ラベル・デバイスの例の概略断面図である。
【図8】各層を順次製造して転写ホイルを作製することによって形成されるデバイスを示す。
【図9】層を順次設けることによって形成されるラベル・デバイスの概略断面図を示す。
【図10】更なる例を示す。
【図11】更なる例を示す。
【図12】更なる例を示す。
【図13】更なる例を示す。
【図14】更なる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[熱転写デバイス]
まず、デバイス/発明が熱転写構造として機能できるようにするために必要な層アセンブリを製造する方法を説明する(図1a及び1b参照)。
【0023】
[OVM1サブアセンブリの製造]
典型的に16〜50μmのPETであるキャリヤー層1の上に、典型的に0.01〜0.1μm厚さのワックス剥離層2が適用され、続いて熱成形可能なラッカー層3が典型的に1〜2μmの厚さに適用される。次いで、熱成形可能な層3に光学的ミクロ構造4がエンボス加工される。次いで、この光学的ミクロ構造が反射増強層5で被覆される。この適用には、2つのタイプの反射増強層が適切である。
【0024】
第1のオプション(図2a)は、(例えば、約0.2〜0.6μmの厚さに堆積されるZnS、TiO2、ZrO2である)誘電材料の透明な高屈折率(HRI)層でミクロ構造4を真空被覆することである。
【0025】
第2のオプション(図2b)は、まず本質的に不透明なアルミニウム層5Aでミクロ構造4を真空被覆し、次いでOVM区域の領域5Bを選択的に脱金属化することであり、これはミクロ構造の画像に合わせて行うことができる。脱金属化は、通例、プリントマスクとエッチのアプローチを用いること、又はエッチ液を直接プリントすることにより達成される。
【0026】
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)キャリヤー1を用いることにより、エンボス用ラッカーの存在を必要としなくなることに注目すべきである。光学的ミクロ構造は、OPPに直接エンボス加工することができる。OVM1サブアセンブリ製造プロセスの残りの部分は変わらないままである。
【0027】
[OVM2サブアセンブリの製造]
キャリヤー1’と剥離層2’を備えたOVM1に類似の第2のホイル・アセンブリが製造される(図3)。剥離層2’はOVM1の剥離層2よりも弱く又はゆるくなっている(2つのサブアセンブリの結合を容易にするため)。ラッカー層3’がさらに設けられる。次いで、このホイル構造に第2の光学的可変ミクロ構造4’がエンボス加工され、不透明な反射性金属コーティング5’(典型的に30〜60nm厚さのアルミニウム)がコーティングされる。
【0028】
次に、サブアセンブリは、重量が数g/m2の光学的に透明な接着層又は積層6で被覆される。この接着層6に好適な材料は、COATES UV CC E50などのUV硬化性接着剤、及び例えば、アクリル/イソシアネート硬化性ウレタンをベースとする自己硬化性接着剤である。
【0029】
[2つのサブアセンブリの積層]
次に、2つのサブアセンブリOVM1とOVM2を互いに積層しなければならない。これには、2つのサブアセンブリを1対の積層用ニップ・ローラー20に通すことにより、OVM2サブアセンブリの転写可能な層(即ち、剥離層より下の層3’〜6)をOVM1サブアセンブリの背面に転写し(図4a、4b)、次いでOVM2のキャリヤー1’をはがすことが必要である。
【0030】
積層用接着剤6がUV硬化性組成物である場合、複合ホイル・アセンブリはニップ・ローラー20に通す直前にUVで照射することができ、UV源21は必ず複合アセンブリのOVM1側にある(図5)。あるいはまた、積層体のOVM1側のニップ・ローラー20’は、UV光を透過する材料で製造することができ、UV源21がその円周の内側に配置される(図6)。
【0031】
最後に、複合アセンブリの背面をDLRH RK14などの熱活性化接着剤9で被覆し(被覆重量1.5〜3g/m2)、次いでそれを巻き戻す。これでスリッチングとホット・スタンピングが可能になる。
【0032】
ホット・スタンピング・ホイルに関して、きれいに破れて剥離するのを助けるために、転写アセンブリの合計厚さは7〜8μm以下であることが好ましい。ロールオン・ストライプの用途に関しては、これは10μmまで増やすことができる。
【0033】
使用においては、図1aに示す構造体を有価証券などのような基材10と接触させ、ホット・スタンピング・ダイなどを用いて接着剤9を熱活性化する。活性化の後、ワックス剥離層2が存在する結果としてキャリヤー1がはがされ、図1bに示すようにデバイスが基材10に固定された状態で残される。
【0034】
上記の構成をさらに変更してラベル・デバイスを形成することができる。このようなデバイスの構造が図7に示されている。ワックス剥離層2が今度はOVM1サブアセンブリに存在せず、キャリヤー1が透明であるということを除いて、その構造は本質的に変わらないままである。典型的にはPVC又はOPPを用いる場合に、キャリヤーとエンボス層を1つの材料/層に一体化することも可能である。
【0035】
このようなラベル・デバイスの製造は、ホット・スタンピング製品と2つの点で異なる。OVM1の製造の際、ワックス剥離層2は存在せず、エンボス用ラッカー3は前述のように任意選択である。第二に、熱活性化接着剤9が感圧接着剤9’で置き換わる。NA1197(National Adhesives)などの好適な感圧接着剤を10〜15g/m2の被覆重量で適用すべきである。
【0036】
[別の製造方法]
別のアプローチでは、2つのサブアセンブリは、別々に製造した後に接着して一緒にするというやり方をとらない。そうではなく、完全なアセンブリが各層を逐次的に適用及び処理することで製造され、ホット・ホイル用途については図8、及びラベル用途については図9に示す構造を結果として得る。これらについて以下でさらに詳しく説明する。
【0037】
[ホット・ホイル]
上述のように、OVM1サブアセンブリは層1から5を用いて製造される(図2a)。次いで、反射増強層5(HRI又はデメット(demet))の背面にエンボス用ラッカー11がグラビア・コーティングにより適用され、次いで、第2の光学的ミクロ構造4’がエンボス加工される(図8)。このエンボス用ラッカー11は、第1の光学的可変ミクロ構造4を支持するラッカー3よりも相当に低いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。別のアプローチは、エンボス用ラッカーではなくてUV硬化性モノマー組成物を用いることである。その場合、第2の光学的可変レリーフは、UV硬化性モノマーに鋳造して硬化させることができる。このような方法は、米国特許第4,758,296号明細書により詳細に記載されている。次に、第2の光学的可変レリーフ4’が、アルミニウム5’などの金属で真空被覆され(アルミニウムの典型的な厚さは30〜60nm)、次いで、熱活性化接着剤9(例えば、DLRH RK14)で被覆される。次いで、最終製品を基材10に適用できる状態で巻き戻す。
【0038】
[ラベル]
ラベルの製造に関して2つのアプローチが確認された。第1のアプローチ(図9)は、ワックス剥離層2がOVM1アセンブリになく、熱活性化接着剤9ではなくて感圧接着剤9’が用いられるという点だけが熱活性化転写構造と異なっている。
【0039】
別のアプローチとして(図示せず)、光学的に透明なポリマー膜(典型的に25〜100μm厚さ)を用いて、それが好適な熱可塑特性(適切なガラス転移温度など)を有する場合に、その下面と称されるところのものに光学的ミクロ構造を直接エンボス加工する。好適なポリマーとしては、ポリプロピレン、PVCがあるが、ポリエステルはガラス転移温度が高いのであまり好適でない。好適でない熱可塑特性を有するポリマーにはポリエステルがあり、又はより詳しくは液晶ポリマーは、その下面がエンボス加工の前に好適な熱可塑性膜若しくはラッカー(1〜5μm厚さ)で被覆されることが必要である。
【0040】
ラッカーにOVM1のミクロ構造がエンボス加工され、次に、そのミクロ構造に実質的に不透明な金属層が真空蒸着される。10〜100nm、特には30〜60nmの厚さで被覆するのが通常である。典型的にはアルミニウムが用いられるが,銅又は任意のはっきりと色のついた合金を用いることもできる。次いで、この金属層は、必要に応じて選択的に脱金属化することができる。
【0041】
次いで、OVM2サブアセンブリが、10〜20g/m2の感圧接着剤で被覆されたグラシン紙の上に積層される。次に、OVM2サブアセンブリの上面が、光学的に透明な積層用接着剤で被覆される(この接着剤は、前述の通り、熱、UV又は自己硬化性であることができる)。最後に、熱又はUV光の作用を介して積層用接着剤を活性化させながら、OVM1サブアセンブリが、ニップへの通過により(そのキャリヤーから)OVM2サブアセンブリの上面に転写される。
【0042】
[印刷又はコーティングの付加的な強化]
適切な層に又はその層間に追加の材料を取り込むことによって、デバイスをさらに強化できることが理解されるであろう。ヨーロッパ特許第497837号明細書に記載されている全ての実施態様はその参照により本明細書に含まれる。ヨーロッパ特許第497837号明細書に記載されている様々な強化方法を、OVM1又はOVM2におけるミクロ構造と反射増強層の間に取り入れることができる。
【0043】
これに加えて、染料又は顔料を積層用接着剤に組み込むこともできる。このような顔料は着色又は発光作用(リン光性及び蛍光性)を提供することができる。このような材料はセキュリティ産業において周知であり、ストークス又はアンチストークス・シフトを示す材料を用いることが周知である。最後に、フォトクロミック材料及びサーモクロミック材料など、他の光学的に可変な材料を積層用接着剤で用いることができる。
【0044】
前に述べたように、本発明は、その光学的に可変の発生効果が、1つの光学的効果発生ミクロ構造に由来するようであるミクロ構造の2つ以上の表面/層から構成される積層構造を作り出す。
【0045】
OVM1とOVM2は、それぞれ単一の作成技術、例えば、古典的ホログラフィーによって生成できることに注目すべきである。しかしながら、ミクロ構造のそれぞれは、2つ以上の異なる作成技術を用いて別々に生成して、それゆえ、それ自体非常に安全に作製することが可能である。したがって、原理的には、OVM1とOVM2により発生する光学的に可変の効果を表面上単一のミクロ構造に視覚的に統合することによって、独自の光学的外観を有するデバイスを作り出すことができ、偽造者も非常に熟練したホログラファーでもそれを再現することはひどく困難であると考えるであろう。
【0046】
好ましい実施態様では、OVM1は、完全に透明な高屈折率(HRI)誘電材料5(典型的には、すべて約2の屈折率を有するZnS、TiO2又はZrO2)で以って、約4分の1波長の光学的厚さ(即ち、屈折率が2では約100nm)でしっかりと被覆されるが、鏡のように滑らかな界面とは対照的に、回折レリーフ上のHRI層の厚さは決定的に重要ではない。この好ましい実施態様では、HRIの反射率は(例えば、明るさがせいぜい6分の1程度の)不透明に近いアルミニウム膜と比べた場合に相対的に低いので、OVM1はOVM2に比べて本質的に高い回折輝度を有することが重要である。即ち、OVM1は回折光の拡散が最小であり、深さ効果が全くないような純粋な格子構造から構成されるべきである。この場合においてOVM1を生成するのに好適な作成方法は、ドット・マトリックス・インターフェロメトリー、リソグラフィック・インターフェロメトリー及びe−ビーム・リソグラフィーである(リソグラフィック・インターフェロメトリー及びe−ビーム・リソグラフィーは、Kinegram(登録商標)及びExelgram(登録商標)などの作成技術を含む)。OVM2は、好ましくは、ある形態の真珠光沢又は事実上/見かけの深さ効果を発生させるべきであり、その効果は、OVM1により発生する光学的可変効果とコントラストを成しかつ相補的である。したがって、OVM2は、古典的ホログラム(モデル、2D−3D)、ゼロ次回折デバイス(ZOD)、又は最も低い高調波で作用するフレネル構造(回折と反射のハイブリッド効果)であることが好ましい。輝度をバランスさせるため、さらに着色剤又は染料を積層用接着剤に組み込んで、OVM2からの再生にスペクトルでフィルターをかける(色をつける)ことができる。
【0047】
第2の好ましい実施態様は以下の通りである。一様に透明なHRI反射増強層5は、アルミニウムの選択的に金属化されたコーティングで置き換えられ(図2b)、それゆえ、OVM1は必ずしも本質的に非常に明るい必要はない。したがって、OVM1は、(上の実施態様におけるOVM2のような)拡散的な回折、並びに(上の実施態様におけるOVM1のような)非拡散的な回折を生ずる作成技術により得ることができる。一般に、選択的な金属化がOVM1により提供される画像パターンと合っていることが特に望ましい。
【0048】
2つのこのような例は次のようなものである:
1. OVM1とOVM2は相補的なZODである。例えば、OVM1の背面で、金属化は透明な周囲の上にDe La Rueヘッドの形に設けることができる。OVM1は、垂直に向いたときに緑色の真珠光沢を再生し、水平に向いたときに褐色を再生するよう製造することができる。一方で、OVM2は、垂直に向いたときに褐色を再生し、水平に向いたときに緑色を再生するよう設けることができる。それゆえ、デバイス全体は、垂直に向いたときには褐色の背景上に緑色のヘッドという外観を有し、水平に向いたときには緑色の背景上に褐色のヘッドという外観を有する。この単純なスワップオーバー(swap-over)効果は強力な認証特徴である。
2. Kinegram(登録商標)及びExelgram(登録商標)並びに他の形態の干渉及び非干渉型のリソグラフィーで生成される回折式光学的可変デバイスの設計者らは、しばしば、製造の観点から、基本的な格子構造の配向(方位角)を±90°変えることにより容易に直交画像を作り出すことができるという事実を利用している。垂直配向では第1のグラフィック画像が回折されて観察者の眼に入り、他方、デバイスを(その面に直角な軸のまわりで)90°回転させると、第2のグラフィック画像が生成され(水平配向)、回折され又は中継されて観察者の眼に入る。この直交画像の切り替えは非常に強力な特徴である。
【0049】
それとは対照的に、古典的な二段階レインボーホログラムでは、配向(方位角)を変えることができる能力は抑制されており、真に直交する画像を作り出すことは困難である。それゆえ、本発明の幾つかの例についての重要な態様は、OVM1とOVM2が古典的ホログラフィーで作り出される直交ホログラフィック画像を含むという設計の特徴である。もっとも当然ながら、ミクロ構造のどちらか又はその両方は、他の作成技術(例えば、ドット−マトリックス・オーバーレイ)を含むこともできる。
【0050】
OVM2の体積ホログラムを利用する更なる例が図10に示されている。それは本質的に下方アセンブリ(OVM2)から構成され、このアセンブリはMylar(登録商標)PET支持層に設けられたフォトポリマーBragg又は体積ホログラム層を含み、その支持層は保護物品の基材に接着される。上方アセンブリ(OVM1)は、透明な高屈折率コーティングで真空被覆され、次いで下方アセンブリ(即ち、フォトポリマー)の上面に転写−積層又は接着されたOVM1ミクロ構造をエンボス加工したラッカー又は熱可塑性材料から構成される。このアセンブリは、そのままの状態では透明又は少なくとも半透明であり、それゆえ、基材上にある任意の印刷又は写真の情報を見ることができる。所望であれば、着色剤は、接着剤に加えることができるか又は支持層(PET)と接着剤の間にある着色した(場合によって不透明な)プライマー層に加えることができる。
【0051】
このアセンブリの製造方法は以下の通りである:
1)OVM2サブアセンブリの製造
1)まず、体積ホログラムが光重合性層30に記録され、次いで、得られたBragg構造が光(典型的には化学線又はUV)への曝露によって安定化又は硬化される。次いで任意選択で、ホログラムをその後の加熱処理にさらして、その輝度又は再生効率を高めることができる。10〜200μm厚さの支持層32の露出表面には、連続的な着色不透明コーティングの外観を有することができるか又は(接着強度を低下させないよう表面の大部分を覆う)印刷された着色パターンとして提供することができるプライマー・コーティング(図示せず)を任意選択で設けることができる。あるいはまた、支持層に染料を組み込んで不透明性及び/又は色を与えることができる。硬化した後、光重合プロセスが酸素により害されるのを防ぐ最上部の保護シート又は層(典型的には弱く接着した20μmのPET)は除去してもよいし、2つのサブアセンブリを最終的に積層するまで保持してもよい。
2)次いで、体積ホログラムが接着剤(感圧)をコーティングしたグラシン剥離紙に積層される。即ち、接着剤は支持層と接触している。接着剤は、PET支持層32と非常に強い結合を形成し、かつ化学的な攻撃に耐性のあるタイプであるべきである。それとは別に、剥離剤をコーティングしたキャリヤー38(典型的にはポリエステル、厚さが12〜50μm、特には25μm)に設けた熱可塑性又はラッカー層36(0.5〜5μm厚さ)に、OVM1表面レリーフ・ミクロ構造34をエンボス加工することによってOVM1サブアセンブリを作製する。あるいはまた、キャリヤー38は、透明な反射増強層(HRI)40又は半透明反射増強層(例えば、OVM1により提供される光学的に可変の画像と合っていても、合っていなくてもよい部分的金属化)で真空被覆することができる。最後に、この構造は、熱活性化(ホット−スタンピング)できるか、圧力活性化できるか又はUV硬化接着剤であることができる積層用接着剤又は接着層42で被覆される。
3)最後に、OVM2サブアセンブリのフォトポリマー表面30上に(剥離可能なキャリヤーと向かい合って)OVM1サブアセンブリを転写する。積層プロセスの間、OVM1とOVM2によって提供される画像が所定の空間的関係又は正確な重ね合わせを維持するということは、重要なセキュリティ・デザインの特徴である場合がある。同様に、OVM1の反射増強層40が選択的な金属化という形をとる場合、この金属化は、OVM1及び/又はOVM2により提供される光学的効果で得られる画像にぴったり合っていることが望ましい場合がある。最後に、その場合、画像又はホログラムの連続シート又はウェブは、ラベル・ユニットに型抜きすることができ、不要になったマトリックスが剥ぎ取られる。得られたラベルは、通常の転写プロセスにより感圧接着剤44を介して基材46に接着することができる。
【0052】
第2の実施態様が図11に示されているが、これは本質的に、OVM1サブアセンブリの構成に関して前の実施の形態と異なっている。具体的に言うと、OVM1は転写可能なラッカーにエンボス加工されるのではなく、その代わり、剥離コーティングされていない支持/キャリヤー層48に直接エンボス加工されている。構成のステップは以下の通りである:
[OVM2サブアセンブリの製造]
1)上で述べた通り。
2)当てはまらない。即ち、今度は、接着剤をコーティングしたグラシン紙又は剥離シート46への積層は2つのサブアセンブリが一体化された後で行われる。
[OVM1サブアセンブリの製造]
3)OVM1ミクロ構造を支持/キャリヤー層48(例えば、PVC、ポリカーボネート、OPP又はあまり適切でないがPET、10〜100μm厚さ)に直接エンボス加工するか、又はエンボス加工可能なラッカーで被覆されたキャリヤー層に、今度は剥離層を省いてエンボス加工する。キャリヤーは12〜50μm、好ましくは12〜25μmの典型的な厚さ範囲を有する。
4)次に、反射増強層36(HRI又は部分金属化)を真空コーティングする。
5)次に、積層用接着剤42(熱活性化、圧力活性化、又はUV硬化するもの)をコーティングする。
6)次に、2つのサブアセンブリは、OVM2サブアセンブリのフォトポリマー側が、OVM1サブアセンブリの接着又は積層用接着剤と接触するよう配向した状態で、1対のニップ・ローラーに通すことにより互いに積層される。先に、2つの表面レリーフ・ミクロ構造を含むアセンブリの製造を説明した際、積層用接着剤が熱活性化されるか又は(例えば、UV硬化された)フォトポリマー架橋を介して作用する場合に関する特定の積層プロセス/システムについて説明したので、ここでは繰り返さない。任意選択で、PET支持層32は、着色プライマー層を連続コーティング又はパターニングされた不連続コーティングとして設けることもできる。最後に、この複合構造は、接着剤44(感圧)をコーティングしたグラシン紙46に積層して、前と同様に型抜き等することができる。
7)この段階で構成オプションがあることにも注意すべきである(それはフォトポリマー・ホログラム層が支持層に弱く接着している場合に実行できる)。積層した後、体積ホログラム支持層をはがすことができる。次いで、複合アセンブリが接着剤をコーティングしたグラシン紙に積層される。UV硬化材料は、多くの場合、接着が困難であるので、特別な調合の感圧接着剤を開発するか、又は体積ホログラムと接着剤の間に中間のプライマー層を設けることが必要な場合がある。
【0053】
2つのデバイスを積層して一緒にする必要なく、複合デバイスを構築することも可能である(図12)。この場合には、体積ホログラム30と下地の支持層32とから成るOVM2サブアセンブリを選びとり、その体積ホログラムの表面をエンボス加工可能な熱可塑性又はUV重合性コーティング50で被覆する。次いで、熱及び圧力の作用により、このコーティングに適切な表面レリーフ構造をエンボス加工する。あるいはまた、表面レリーフは、鋳造及び硬化技術を用いて形成することもできる。OVM1の表面レリーフ構造をトップコート又はワニス52により保護することができる場合、その時には、表面レリーフに反射増強層、例えば、HRI又は部分的金属化を設ける必要がある。
【0054】
最後に、体積ホログラム(OVM2)支持層に接着剤44を直接的に又は先のように接着剤をコーティングした剥離シート46に積層することによって間接的に設ける。
【0055】
第2の実施態様を製造するために提案された構成方法は、銀行券(紙及びポリマー)、セキュリティ・ラベル等に組み込むためのホログラフィック・スレッドとして用いるのに好適な層アセンブリを作製するのに利用することもできることが理解されるであろう。本質的に、それは最終的な接着剤コートの提供を削除することを意味する。2つの可能なスレッド構造が図13と図14に示されているが、この2つは、前者(図13)ではフォトポリマーのPET支持層32が外側に向いた層の1つとして保持されているのに対し、後者(図14)ではフォトポリマー30が外側に向いた層の1つになっているという点で区別される。
【0056】
図13では、アセンブリ全体の厚さが45μm以下であることが望ましく、それゆえ、2つの外側に向いたポリマー支持層の個々の厚さは10〜15μm程度であることが好ましく、フォトポリマー・ホログラム層は10〜20μmであることが好ましい。同じ全体厚さの制限は図14の構造にも当てはまるが、体積ホログラム支持層がなくなっているので、これはより容易に達成される。
【0057】
最後に、本発明のコンセプトは、視覚的に統合された画像というコンセプト、例えば、回折又はホログラフィック表面レリーフ画像と、体積/Braggホログラムとの組み合わせによって得られるものであって、アセンブリの細かい構成ではないということを強調しておかなければならない。即ち、例えば、記載された実施態様の幾つかにおいては、体積ホログラムとその支持層の順序を逆転させて、体積ホログラムが基材に最も近く、支持層がOVM1サブアセンブリに最も近くなるようにすることが望ましい場合もある。また、PETを支持層としてあげたが、それは、所望の光学的/機械的性質を有する任意の光学ポリマー材料で代用することもできる。
【0058】
層の厚さ及び被覆重量について明記した数値は、決して包括的であるとして予想されるものではなく、したがって、本発明のコンセプトに従って機能するが、本明細書で明記したものの範囲外である層の厚さや組成を有する構造は、依然として本発明の範囲内にあるとみなされる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ・デバイス及びそのようなセキュリティ・デバイスを製造する方法に関する。このようなセキュリティ・デバイスは、証券(documents)、前払式証票(tokens of value)及びその他の物品のセキュリティを保護するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
慣例的に、このような証券が金融取引において用いられており、銀行券、小切手、債券、トラベラーズチェック、及びバウチャーの形態をとる。より最近では、安全な証券及びセキュリティ・デバイスそれ自体を用いて商品及び/又はサービスに信頼性を付与している。セキュリティ・デバイスは、ソフトウエア、娯楽メディア、高価値の消費財、及び日用消費財(fast moving consumer goods)などの商品に付随する包装、ラベル、及び証明書に適用されている。
【0003】
現代的な応用でも従来からある応用でも、本質的な問題は依然として同じであり、一般人にも容易に認識でき、偽造に対して安全な認証手段を提供するということである。光学的可変デバイスの使用が、これらの基準を満たす特に効果的な方法であることが見出された。さらに、セキュリティ・デバイスの作製に関わる技術の範囲が広ければ広いほど、偽造がしにくくなるということが一般に認められている。熱的に活性化される転写構造(例えば、ホット・ホイル)又は(圧力を加えて適用される)ラベル・デバイスとして機能させることを意図した、多数の回折光学的可変識別デバイス(DOVID)は、その製造のために光物理学、材料科学、化学、エンボス加工、変換、そして多くの場合、印刷技術における専門的な知識を必要とする。
【0004】
DOVIDをセキュリティ・デバイスとして用いることは近年ますます拡がっており、したがって、その基礎をなす構成部分の技術/科学は、偽造者であろうものにとってますますアクセス可能となっている。これは特には、攻撃が組織犯罪として行われる場合である。これに対して、ホログラフィック産業では、次第に、その再現に特殊機器の非常に大きな設備投資と厳しい生産/製造管理を必要とする、ますますより複雑で公然の、秘密の、及び機械読み取り可能な特徴をDOVIDに含めるようにまでなっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1様態によれば、セキュリティ・デバイスは少なくとも第1及び第2の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を含み、各構造は表面レリーフ・ミクロ構造を有し、該第2の光学的可変効果発生構造は該第1の構造を通して見ることができる。
【0006】
本発明の第2様態によれば、セキュリティ・デバイスを製造する方法は、各構造が表面レリーフ・ミクロ構造を有する、少なくとも第1及び第2の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を設けることを含み、それにより該第2の光学的可変効果発生構造は該第1の構造を通して見ることができる。
【0007】
容易に認証可能であるが偽造することが非常に難しい、新しいタイプのセキュリティ・デバイスが考案された。これは、その又はそれぞれの下にある構造が、1つ又は複数の上にある構造を通して見ることができるよう構成された2つ(以上)の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を設けることを伴う。
【0008】
もっとも、積層した体積ホログラムが、重ね合わせた層の数によって決まる幾つかの波長で再生される複合構造を作製する目的で、従来技術、例えば、ヨーロッパ特許第576173号明細書及び米国特許第5606433号明細書において公知である。具体的に、これが必要とされるのは、体積ホログラムがBragg反射によって機能し、それゆえ、特定の色の波長及び入射角の入射光を再生するだけであるからである。
【0009】
本発明は、DOVID中に存在する回折又はホログラフィック画像の視覚的な精巧さ、セキュリティ及び差別化を高める。
【0010】
現在、安全なOVDの製造には、ますます複雑化するマーケット需要と、ローエンドな作成技術(例えば、低スペックのドット・マトリックス及び干渉マスキング法)を用いて偽造者よりも一歩先を行かなければならないという二重の重圧が存在している。その結果、作成プロバイダーは、一次ミクロ構造のマスタリング段階で、いくつかの相補的な作成技術を組み合わせるか(最もよく用いられるのは、ドット・マトリックス画像を古典的な3D又は2D/3Dホログラムに重ねるものである)、あるいはまた、異なる技術を用いて生成した画像成分を機械的に再結合して最終的な複合画像を構築することに、限定された努力を払ってきた。
【0011】
本発明は、画像発生的又は機械読み取り可能であることができる2つ以上の別々に配向した光学的可変ミクロ構造(OVM)を単一の膜アセンブリに結合する新しいデバイス及び方法を提供する。基本的に、この方法は、2つ以上の光学的/干渉計的に結合していないミクロ構造サブアセンブリを重ね合わすか又は積層することを伴う。
【0012】
好ましい例では、第1のOVMレリーフ(OVM1)を画定する一番上の又は第1のOVMサブアセンブリは、反射増強層でしっかりと被覆されており、これは次のいずれかの形態をとることができる:
1)(実質的に脱金属化されている実質的領域若しくは透明な窓を備えた)不連続反射金属コーティング、又は
2)厚さを最適化したHRI材料(例えば、ZnS、TiO2)の連続透明コーティング。
【0013】
下方のOVMサブアセンブリは、選択的に脱金属化することができる(又は、反射HRI材料を備えた)反射不透明層又は金属で被覆された第2のOVMレリーフ(OVM2)を画定する。
【0014】
提案されるDOVIDの所望の外観は、そのDOVIDが1つの複雑な単一金属化OVMであるようなものであり、このOVMのミクロ構造は、2つの別々の作成プロセスを重ね合わせることによって生成されるようであることに注意すべきである。作成プロセスは、DOVIDが単に互いに積層された2つの別々のミクロ構造層から構成されているとは見えないように選ぶべきである。
【0015】
今日まで、ホログラフィック産業では、主要な作成プロバイダーのそれぞれが、画像を生成する光学的可変ミクロ構造(OVM)を製造するのに利用できる、限られた数の作成技術の1つに専門化する傾向があった。このような作成技術の例としては、古典的な二段階レインボー・ホログラフィー、ドット・マトリックス・インターフェロメトリー、リソグラフィック・インターフェロメトリー、及びe−ビーム・リソグラフィーがある。
【0016】
2つの明確に異なる作成技術、例えば、e−ビーム・リソグラフィーと二段階レインボー・ホログラフィーを用いてOVM1とOVM2を作製することが好ましい。
【0017】
更なる実施態様では、光学的ミクロ構造の1つが体積Bragg平面として存在し、したがって、関連する光学的可変層は体積ホログラムとして機能する。体積ホログラムの例は、ヨーロッパ特許第516173号明細書及び同第5606433号明細書に見出すことができる。物理的には、このミクロ構造は、局所的に屈折率が変化した(増強又は低減された)平面領域の周期的分布として存在し、各層がその層を通して伝播する光の一部を散乱させる。ある特定の波長(例えば、オリジナルの記録波長又はそれに近い波長)及び入射角(オリジナルの参照ビーム記録角度又はそれに近い角度)の光がこの層を通って伝播すると、その場合、各平面から散乱/反射される部分振幅のすべてが同位相になり、建設的に干渉する。このことはBragg効果として知られている。
【0018】
ミクロ構造は体積的かつ多平面的な性質のものであるから、反射強化コーティングの必要(又は利益)がないということは言うまでもない。しかしながら、通例、体積ホログラムから得られた画像が、基材によって後方散乱された光と競合しなくてもよいようにすることを確実にするため、基材に接着されることになる体積ホログラムの側は暗色の不透明膜(典型的には黒)で被覆される。もっとも当然ながら、不透明な着色剤を接着剤又は接着層に加えてもよい。フォトポリマー層及びそれに関連したPET支持層の厚さ(例えば、デュポンのOmnidex(登録商標)材料の場合、それぞれ15μm及び50μm)のため、複合アセンブリ(OVM1+OVM2)は、必然的にホット・スタンプ・デバイス又は熱的ロールオン・デバイスとしてではなく、ダイカットラベルとして適用されることが理解されるであろう。
【0019】
デバイスは、保護されるべき基材又は物品に2つの異なる方法で適用することができる。第一に、キャリヤーホイルからの熱活性化転写(例えば、ホット・ホイリング/スタンピング、ロールオン等)、又は非熱活性化接着剤を利用したラベルとしての適用である。本発明によるセキュリティ・デバイスを適用できる基材又は物品の例としては、銀行券、小切手、債券、トラベラーズチェック、スタンプ、認証証書、高価値の包装財及びバウチャーがある。
【0020】
次に、本発明によるデバイス及び方法のいくつかの例が、添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1a】熱転写の実施態様に関する第1の例の断面図であり、転写プロセスが完了する前の状態を示している。
【図1b】転写後の図1aの例を示す。
【図2a】図1aに示す第1OVMの第1の例を示す。
【図2b】図1aに示す第1OVMの第2の例を示す。
【図3】図1aに示す第2OVMの概略断面図である。
【図4a】2つのOVM構造を互いに積層する際の一連の段階を示す。
【図4b】2つのOVM構造を互いに積層する際の一連の段階を示す。
【図5】図4aと類似の図であるが、UVランプの使用を示している。
【図6】図5の例の変形態様である。
【図7】ラベル・デバイスの例の概略断面図である。
【図8】各層を順次製造して転写ホイルを作製することによって形成されるデバイスを示す。
【図9】層を順次設けることによって形成されるラベル・デバイスの概略断面図を示す。
【図10】更なる例を示す。
【図11】更なる例を示す。
【図12】更なる例を示す。
【図13】更なる例を示す。
【図14】更なる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[熱転写デバイス]
まず、デバイス/発明が熱転写構造として機能できるようにするために必要な層アセンブリを製造する方法を説明する(図1a及び1b参照)。
【0023】
[OVM1サブアセンブリの製造]
典型的に16〜50μmのPETであるキャリヤー層1の上に、典型的に0.01〜0.1μm厚さのワックス剥離層2が適用され、続いて熱成形可能なラッカー層3が典型的に1〜2μmの厚さに適用される。次いで、熱成形可能な層3に光学的ミクロ構造4がエンボス加工される。次いで、この光学的ミクロ構造が反射増強層5で被覆される。この適用には、2つのタイプの反射増強層が適切である。
【0024】
第1のオプション(図2a)は、(例えば、約0.2〜0.6μmの厚さに堆積されるZnS、TiO2、ZrO2である)誘電材料の透明な高屈折率(HRI)層でミクロ構造4を真空被覆することである。
【0025】
第2のオプション(図2b)は、まず本質的に不透明なアルミニウム層5Aでミクロ構造4を真空被覆し、次いでOVM区域の領域5Bを選択的に脱金属化することであり、これはミクロ構造の画像に合わせて行うことができる。脱金属化は、通例、プリントマスクとエッチのアプローチを用いること、又はエッチ液を直接プリントすることにより達成される。
【0026】
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)キャリヤー1を用いることにより、エンボス用ラッカーの存在を必要としなくなることに注目すべきである。光学的ミクロ構造は、OPPに直接エンボス加工することができる。OVM1サブアセンブリ製造プロセスの残りの部分は変わらないままである。
【0027】
[OVM2サブアセンブリの製造]
キャリヤー1’と剥離層2’を備えたOVM1に類似の第2のホイル・アセンブリが製造される(図3)。剥離層2’はOVM1の剥離層2よりも弱く又はゆるくなっている(2つのサブアセンブリの結合を容易にするため)。ラッカー層3’がさらに設けられる。次いで、このホイル構造に第2の光学的可変ミクロ構造4’がエンボス加工され、不透明な反射性金属コーティング5’(典型的に30〜60nm厚さのアルミニウム)がコーティングされる。
【0028】
次に、サブアセンブリは、重量が数g/m2の光学的に透明な接着層又は積層6で被覆される。この接着層6に好適な材料は、COATES UV CC E50などのUV硬化性接着剤、及び例えば、アクリル/イソシアネート硬化性ウレタンをベースとする自己硬化性接着剤である。
【0029】
[2つのサブアセンブリの積層]
次に、2つのサブアセンブリOVM1とOVM2を互いに積層しなければならない。これには、2つのサブアセンブリを1対の積層用ニップ・ローラー20に通すことにより、OVM2サブアセンブリの転写可能な層(即ち、剥離層より下の層3’〜6)をOVM1サブアセンブリの背面に転写し(図4a、4b)、次いでOVM2のキャリヤー1’をはがすことが必要である。
【0030】
積層用接着剤6がUV硬化性組成物である場合、複合ホイル・アセンブリはニップ・ローラー20に通す直前にUVで照射することができ、UV源21は必ず複合アセンブリのOVM1側にある(図5)。あるいはまた、積層体のOVM1側のニップ・ローラー20’は、UV光を透過する材料で製造することができ、UV源21がその円周の内側に配置される(図6)。
【0031】
最後に、複合アセンブリの背面をDLRH RK14などの熱活性化接着剤9で被覆し(被覆重量1.5〜3g/m2)、次いでそれを巻き戻す。これでスリッチングとホット・スタンピングが可能になる。
【0032】
ホット・スタンピング・ホイルに関して、きれいに破れて剥離するのを助けるために、転写アセンブリの合計厚さは7〜8μm以下であることが好ましい。ロールオン・ストライプの用途に関しては、これは10μmまで増やすことができる。
【0033】
使用においては、図1aに示す構造体を有価証券などのような基材10と接触させ、ホット・スタンピング・ダイなどを用いて接着剤9を熱活性化する。活性化の後、ワックス剥離層2が存在する結果としてキャリヤー1がはがされ、図1bに示すようにデバイスが基材10に固定された状態で残される。
【0034】
上記の構成をさらに変更してラベル・デバイスを形成することができる。このようなデバイスの構造が図7に示されている。ワックス剥離層2が今度はOVM1サブアセンブリに存在せず、キャリヤー1が透明であるということを除いて、その構造は本質的に変わらないままである。典型的にはPVC又はOPPを用いる場合に、キャリヤーとエンボス層を1つの材料/層に一体化することも可能である。
【0035】
このようなラベル・デバイスの製造は、ホット・スタンピング製品と2つの点で異なる。OVM1の製造の際、ワックス剥離層2は存在せず、エンボス用ラッカー3は前述のように任意選択である。第二に、熱活性化接着剤9が感圧接着剤9’で置き換わる。NA1197(National Adhesives)などの好適な感圧接着剤を10〜15g/m2の被覆重量で適用すべきである。
【0036】
[別の製造方法]
別のアプローチでは、2つのサブアセンブリは、別々に製造した後に接着して一緒にするというやり方をとらない。そうではなく、完全なアセンブリが各層を逐次的に適用及び処理することで製造され、ホット・ホイル用途については図8、及びラベル用途については図9に示す構造を結果として得る。これらについて以下でさらに詳しく説明する。
【0037】
[ホット・ホイル]
上述のように、OVM1サブアセンブリは層1から5を用いて製造される(図2a)。次いで、反射増強層5(HRI又はデメット(demet))の背面にエンボス用ラッカー11がグラビア・コーティングにより適用され、次いで、第2の光学的ミクロ構造4’がエンボス加工される(図8)。このエンボス用ラッカー11は、第1の光学的可変ミクロ構造4を支持するラッカー3よりも相当に低いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。別のアプローチは、エンボス用ラッカーではなくてUV硬化性モノマー組成物を用いることである。その場合、第2の光学的可変レリーフは、UV硬化性モノマーに鋳造して硬化させることができる。このような方法は、米国特許第4,758,296号明細書により詳細に記載されている。次に、第2の光学的可変レリーフ4’が、アルミニウム5’などの金属で真空被覆され(アルミニウムの典型的な厚さは30〜60nm)、次いで、熱活性化接着剤9(例えば、DLRH RK14)で被覆される。次いで、最終製品を基材10に適用できる状態で巻き戻す。
【0038】
[ラベル]
ラベルの製造に関して2つのアプローチが確認された。第1のアプローチ(図9)は、ワックス剥離層2がOVM1アセンブリになく、熱活性化接着剤9ではなくて感圧接着剤9’が用いられるという点だけが熱活性化転写構造と異なっている。
【0039】
別のアプローチとして(図示せず)、光学的に透明なポリマー膜(典型的に25〜100μm厚さ)を用いて、それが好適な熱可塑特性(適切なガラス転移温度など)を有する場合に、その下面と称されるところのものに光学的ミクロ構造を直接エンボス加工する。好適なポリマーとしては、ポリプロピレン、PVCがあるが、ポリエステルはガラス転移温度が高いのであまり好適でない。好適でない熱可塑特性を有するポリマーにはポリエステルがあり、又はより詳しくは液晶ポリマーは、その下面がエンボス加工の前に好適な熱可塑性膜若しくはラッカー(1〜5μm厚さ)で被覆されることが必要である。
【0040】
ラッカーにOVM1のミクロ構造がエンボス加工され、次に、そのミクロ構造に実質的に不透明な金属層が真空蒸着される。10〜100nm、特には30〜60nmの厚さで被覆するのが通常である。典型的にはアルミニウムが用いられるが,銅又は任意のはっきりと色のついた合金を用いることもできる。次いで、この金属層は、必要に応じて選択的に脱金属化することができる。
【0041】
次いで、OVM2サブアセンブリが、10〜20g/m2の感圧接着剤で被覆されたグラシン紙の上に積層される。次に、OVM2サブアセンブリの上面が、光学的に透明な積層用接着剤で被覆される(この接着剤は、前述の通り、熱、UV又は自己硬化性であることができる)。最後に、熱又はUV光の作用を介して積層用接着剤を活性化させながら、OVM1サブアセンブリが、ニップへの通過により(そのキャリヤーから)OVM2サブアセンブリの上面に転写される。
【0042】
[印刷又はコーティングの付加的な強化]
適切な層に又はその層間に追加の材料を取り込むことによって、デバイスをさらに強化できることが理解されるであろう。ヨーロッパ特許第497837号明細書に記載されている全ての実施態様はその参照により本明細書に含まれる。ヨーロッパ特許第497837号明細書に記載されている様々な強化方法を、OVM1又はOVM2におけるミクロ構造と反射増強層の間に取り入れることができる。
【0043】
これに加えて、染料又は顔料を積層用接着剤に組み込むこともできる。このような顔料は着色又は発光作用(リン光性及び蛍光性)を提供することができる。このような材料はセキュリティ産業において周知であり、ストークス又はアンチストークス・シフトを示す材料を用いることが周知である。最後に、フォトクロミック材料及びサーモクロミック材料など、他の光学的に可変な材料を積層用接着剤で用いることができる。
【0044】
前に述べたように、本発明は、その光学的に可変の発生効果が、1つの光学的効果発生ミクロ構造に由来するようであるミクロ構造の2つ以上の表面/層から構成される積層構造を作り出す。
【0045】
OVM1とOVM2は、それぞれ単一の作成技術、例えば、古典的ホログラフィーによって生成できることに注目すべきである。しかしながら、ミクロ構造のそれぞれは、2つ以上の異なる作成技術を用いて別々に生成して、それゆえ、それ自体非常に安全に作製することが可能である。したがって、原理的には、OVM1とOVM2により発生する光学的に可変の効果を表面上単一のミクロ構造に視覚的に統合することによって、独自の光学的外観を有するデバイスを作り出すことができ、偽造者も非常に熟練したホログラファーでもそれを再現することはひどく困難であると考えるであろう。
【0046】
好ましい実施態様では、OVM1は、完全に透明な高屈折率(HRI)誘電材料5(典型的には、すべて約2の屈折率を有するZnS、TiO2又はZrO2)で以って、約4分の1波長の光学的厚さ(即ち、屈折率が2では約100nm)でしっかりと被覆されるが、鏡のように滑らかな界面とは対照的に、回折レリーフ上のHRI層の厚さは決定的に重要ではない。この好ましい実施態様では、HRIの反射率は(例えば、明るさがせいぜい6分の1程度の)不透明に近いアルミニウム膜と比べた場合に相対的に低いので、OVM1はOVM2に比べて本質的に高い回折輝度を有することが重要である。即ち、OVM1は回折光の拡散が最小であり、深さ効果が全くないような純粋な格子構造から構成されるべきである。この場合においてOVM1を生成するのに好適な作成方法は、ドット・マトリックス・インターフェロメトリー、リソグラフィック・インターフェロメトリー及びe−ビーム・リソグラフィーである(リソグラフィック・インターフェロメトリー及びe−ビーム・リソグラフィーは、Kinegram(登録商標)及びExelgram(登録商標)などの作成技術を含む)。OVM2は、好ましくは、ある形態の真珠光沢又は事実上/見かけの深さ効果を発生させるべきであり、その効果は、OVM1により発生する光学的可変効果とコントラストを成しかつ相補的である。したがって、OVM2は、古典的ホログラム(モデル、2D−3D)、ゼロ次回折デバイス(ZOD)、又は最も低い高調波で作用するフレネル構造(回折と反射のハイブリッド効果)であることが好ましい。輝度をバランスさせるため、さらに着色剤又は染料を積層用接着剤に組み込んで、OVM2からの再生にスペクトルでフィルターをかける(色をつける)ことができる。
【0047】
第2の好ましい実施態様は以下の通りである。一様に透明なHRI反射増強層5は、アルミニウムの選択的に金属化されたコーティングで置き換えられ(図2b)、それゆえ、OVM1は必ずしも本質的に非常に明るい必要はない。したがって、OVM1は、(上の実施態様におけるOVM2のような)拡散的な回折、並びに(上の実施態様におけるOVM1のような)非拡散的な回折を生ずる作成技術により得ることができる。一般に、選択的な金属化がOVM1により提供される画像パターンと合っていることが特に望ましい。
【0048】
2つのこのような例は次のようなものである:
1. OVM1とOVM2は相補的なZODである。例えば、OVM1の背面で、金属化は透明な周囲の上にDe La Rueヘッドの形に設けることができる。OVM1は、垂直に向いたときに緑色の真珠光沢を再生し、水平に向いたときに褐色を再生するよう製造することができる。一方で、OVM2は、垂直に向いたときに褐色を再生し、水平に向いたときに緑色を再生するよう設けることができる。それゆえ、デバイス全体は、垂直に向いたときには褐色の背景上に緑色のヘッドという外観を有し、水平に向いたときには緑色の背景上に褐色のヘッドという外観を有する。この単純なスワップオーバー(swap-over)効果は強力な認証特徴である。
2. Kinegram(登録商標)及びExelgram(登録商標)並びに他の形態の干渉及び非干渉型のリソグラフィーで生成される回折式光学的可変デバイスの設計者らは、しばしば、製造の観点から、基本的な格子構造の配向(方位角)を±90°変えることにより容易に直交画像を作り出すことができるという事実を利用している。垂直配向では第1のグラフィック画像が回折されて観察者の眼に入り、他方、デバイスを(その面に直角な軸のまわりで)90°回転させると、第2のグラフィック画像が生成され(水平配向)、回折され又は中継されて観察者の眼に入る。この直交画像の切り替えは非常に強力な特徴である。
【0049】
それとは対照的に、古典的な二段階レインボーホログラムでは、配向(方位角)を変えることができる能力は抑制されており、真に直交する画像を作り出すことは困難である。それゆえ、本発明の幾つかの例についての重要な態様は、OVM1とOVM2が古典的ホログラフィーで作り出される直交ホログラフィック画像を含むという設計の特徴である。もっとも当然ながら、ミクロ構造のどちらか又はその両方は、他の作成技術(例えば、ドット−マトリックス・オーバーレイ)を含むこともできる。
【0050】
OVM2の体積ホログラムを利用する更なる例が図10に示されている。それは本質的に下方アセンブリ(OVM2)から構成され、このアセンブリはMylar(登録商標)PET支持層に設けられたフォトポリマーBragg又は体積ホログラム層を含み、その支持層は保護物品の基材に接着される。上方アセンブリ(OVM1)は、透明な高屈折率コーティングで真空被覆され、次いで下方アセンブリ(即ち、フォトポリマー)の上面に転写−積層又は接着されたOVM1ミクロ構造をエンボス加工したラッカー又は熱可塑性材料から構成される。このアセンブリは、そのままの状態では透明又は少なくとも半透明であり、それゆえ、基材上にある任意の印刷又は写真の情報を見ることができる。所望であれば、着色剤は、接着剤に加えることができるか又は支持層(PET)と接着剤の間にある着色した(場合によって不透明な)プライマー層に加えることができる。
【0051】
このアセンブリの製造方法は以下の通りである:
1)OVM2サブアセンブリの製造
1)まず、体積ホログラムが光重合性層30に記録され、次いで、得られたBragg構造が光(典型的には化学線又はUV)への曝露によって安定化又は硬化される。次いで任意選択で、ホログラムをその後の加熱処理にさらして、その輝度又は再生効率を高めることができる。10〜200μm厚さの支持層32の露出表面には、連続的な着色不透明コーティングの外観を有することができるか又は(接着強度を低下させないよう表面の大部分を覆う)印刷された着色パターンとして提供することができるプライマー・コーティング(図示せず)を任意選択で設けることができる。あるいはまた、支持層に染料を組み込んで不透明性及び/又は色を与えることができる。硬化した後、光重合プロセスが酸素により害されるのを防ぐ最上部の保護シート又は層(典型的には弱く接着した20μmのPET)は除去してもよいし、2つのサブアセンブリを最終的に積層するまで保持してもよい。
2)次いで、体積ホログラムが接着剤(感圧)をコーティングしたグラシン剥離紙に積層される。即ち、接着剤は支持層と接触している。接着剤は、PET支持層32と非常に強い結合を形成し、かつ化学的な攻撃に耐性のあるタイプであるべきである。それとは別に、剥離剤をコーティングしたキャリヤー38(典型的にはポリエステル、厚さが12〜50μm、特には25μm)に設けた熱可塑性又はラッカー層36(0.5〜5μm厚さ)に、OVM1表面レリーフ・ミクロ構造34をエンボス加工することによってOVM1サブアセンブリを作製する。あるいはまた、キャリヤー38は、透明な反射増強層(HRI)40又は半透明反射増強層(例えば、OVM1により提供される光学的に可変の画像と合っていても、合っていなくてもよい部分的金属化)で真空被覆することができる。最後に、この構造は、熱活性化(ホット−スタンピング)できるか、圧力活性化できるか又はUV硬化接着剤であることができる積層用接着剤又は接着層42で被覆される。
3)最後に、OVM2サブアセンブリのフォトポリマー表面30上に(剥離可能なキャリヤーと向かい合って)OVM1サブアセンブリを転写する。積層プロセスの間、OVM1とOVM2によって提供される画像が所定の空間的関係又は正確な重ね合わせを維持するということは、重要なセキュリティ・デザインの特徴である場合がある。同様に、OVM1の反射増強層40が選択的な金属化という形をとる場合、この金属化は、OVM1及び/又はOVM2により提供される光学的効果で得られる画像にぴったり合っていることが望ましい場合がある。最後に、その場合、画像又はホログラムの連続シート又はウェブは、ラベル・ユニットに型抜きすることができ、不要になったマトリックスが剥ぎ取られる。得られたラベルは、通常の転写プロセスにより感圧接着剤44を介して基材46に接着することができる。
【0052】
第2の実施態様が図11に示されているが、これは本質的に、OVM1サブアセンブリの構成に関して前の実施の形態と異なっている。具体的に言うと、OVM1は転写可能なラッカーにエンボス加工されるのではなく、その代わり、剥離コーティングされていない支持/キャリヤー層48に直接エンボス加工されている。構成のステップは以下の通りである:
[OVM2サブアセンブリの製造]
1)上で述べた通り。
2)当てはまらない。即ち、今度は、接着剤をコーティングしたグラシン紙又は剥離シート46への積層は2つのサブアセンブリが一体化された後で行われる。
[OVM1サブアセンブリの製造]
3)OVM1ミクロ構造を支持/キャリヤー層48(例えば、PVC、ポリカーボネート、OPP又はあまり適切でないがPET、10〜100μm厚さ)に直接エンボス加工するか、又はエンボス加工可能なラッカーで被覆されたキャリヤー層に、今度は剥離層を省いてエンボス加工する。キャリヤーは12〜50μm、好ましくは12〜25μmの典型的な厚さ範囲を有する。
4)次に、反射増強層36(HRI又は部分金属化)を真空コーティングする。
5)次に、積層用接着剤42(熱活性化、圧力活性化、又はUV硬化するもの)をコーティングする。
6)次に、2つのサブアセンブリは、OVM2サブアセンブリのフォトポリマー側が、OVM1サブアセンブリの接着又は積層用接着剤と接触するよう配向した状態で、1対のニップ・ローラーに通すことにより互いに積層される。先に、2つの表面レリーフ・ミクロ構造を含むアセンブリの製造を説明した際、積層用接着剤が熱活性化されるか又は(例えば、UV硬化された)フォトポリマー架橋を介して作用する場合に関する特定の積層プロセス/システムについて説明したので、ここでは繰り返さない。任意選択で、PET支持層32は、着色プライマー層を連続コーティング又はパターニングされた不連続コーティングとして設けることもできる。最後に、この複合構造は、接着剤44(感圧)をコーティングしたグラシン紙46に積層して、前と同様に型抜き等することができる。
7)この段階で構成オプションがあることにも注意すべきである(それはフォトポリマー・ホログラム層が支持層に弱く接着している場合に実行できる)。積層した後、体積ホログラム支持層をはがすことができる。次いで、複合アセンブリが接着剤をコーティングしたグラシン紙に積層される。UV硬化材料は、多くの場合、接着が困難であるので、特別な調合の感圧接着剤を開発するか、又は体積ホログラムと接着剤の間に中間のプライマー層を設けることが必要な場合がある。
【0053】
2つのデバイスを積層して一緒にする必要なく、複合デバイスを構築することも可能である(図12)。この場合には、体積ホログラム30と下地の支持層32とから成るOVM2サブアセンブリを選びとり、その体積ホログラムの表面をエンボス加工可能な熱可塑性又はUV重合性コーティング50で被覆する。次いで、熱及び圧力の作用により、このコーティングに適切な表面レリーフ構造をエンボス加工する。あるいはまた、表面レリーフは、鋳造及び硬化技術を用いて形成することもできる。OVM1の表面レリーフ構造をトップコート又はワニス52により保護することができる場合、その時には、表面レリーフに反射増強層、例えば、HRI又は部分的金属化を設ける必要がある。
【0054】
最後に、体積ホログラム(OVM2)支持層に接着剤44を直接的に又は先のように接着剤をコーティングした剥離シート46に積層することによって間接的に設ける。
【0055】
第2の実施態様を製造するために提案された構成方法は、銀行券(紙及びポリマー)、セキュリティ・ラベル等に組み込むためのホログラフィック・スレッドとして用いるのに好適な層アセンブリを作製するのに利用することもできることが理解されるであろう。本質的に、それは最終的な接着剤コートの提供を削除することを意味する。2つの可能なスレッド構造が図13と図14に示されているが、この2つは、前者(図13)ではフォトポリマーのPET支持層32が外側に向いた層の1つとして保持されているのに対し、後者(図14)ではフォトポリマー30が外側に向いた層の1つになっているという点で区別される。
【0056】
図13では、アセンブリ全体の厚さが45μm以下であることが望ましく、それゆえ、2つの外側に向いたポリマー支持層の個々の厚さは10〜15μm程度であることが好ましく、フォトポリマー・ホログラム層は10〜20μmであることが好ましい。同じ全体厚さの制限は図14の構造にも当てはまるが、体積ホログラム支持層がなくなっているので、これはより容易に達成される。
【0057】
最後に、本発明のコンセプトは、視覚的に統合された画像というコンセプト、例えば、回折又はホログラフィック表面レリーフ画像と、体積/Braggホログラムとの組み合わせによって得られるものであって、アセンブリの細かい構成ではないということを強調しておかなければならない。即ち、例えば、記載された実施態様の幾つかにおいては、体積ホログラムとその支持層の順序を逆転させて、体積ホログラムが基材に最も近く、支持層がOVM1サブアセンブリに最も近くなるようにすることが望ましい場合もある。また、PETを支持層としてあげたが、それは、所望の光学的/機械的性質を有する任意の光学ポリマー材料で代用することもできる。
【0058】
層の厚さ及び被覆重量について明記した数値は、決して包括的であるとして予想されるものではなく、したがって、本発明のコンセプトに従って機能するが、本明細書で明記したものの範囲外である層の厚さや組成を有する構造は、依然として本発明の範囲内にあるとみなされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1及び第2の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を含むセキュリティ・デバイスであって、各構造が表面レリーフ・ミクロ構造を有し、該第2の光学的可変効果発生構造が該第1の構造を通して見ることができる、セキュリティ・デバイス。
【請求項2】
前記第1の光学的可変効果発生構造が不連続な金属層を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の光学的可変効果発生構造が、高屈折率の誘電材料で形成された反射層を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の光学的可変効果発生構造が、実質的に純粋な格子構造を高屈折率の誘電層と組み合わせて含み、前記第2の光学的可変効果発生構造が、古典的ホログラム、ゼロ次回折デバイス、又はフレネル構造のうち1つを含む、請求項3に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が、相補的なゼロ次回折デバイスを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が、典型的に古典的ホログラフィーによって作り出される直交ホログラフィック画像を発生させる、請求項1〜5の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の光学的可変効果発生構造が不透明な反射層を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が互いに積層された、請求項1〜7の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2の表面レリーフ・ミクロ構造が異なるプロセスによって作り出された、請求項1〜8の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2の表面レリーフ・ミクロ構造が、ドット・マトリックス・インターフェロメトリー、リソグラフィック・インターフェロメトリー、e−ビーム・リソグラフィー、及び古典的なレインボー・リソグラフィーのうちの1つによって作り出された、請求項1〜9の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造を支持するキャリヤー層をさらに含む、請求項1〜10の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記キャリヤー層が、剥離層を介して前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造に固定された、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
1つ又は複数の前記光学的可変効果発生構造がそれぞれのラッカー層に形成された、請求項1〜12の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記光学的可変効果発生構造の少なくとも1つがポリマー材料に形成された、請求項1〜13の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスを基材に固定できるよう接着剤層をさらに含む、請求項1〜14の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記光学的可変効果発生構造の層又はその層間に提供する染料又は顔料をさらに含む、請求項1〜15の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造の間に設けられた1つ又は複数の追加の光学的可変効果発生構造をさらに含む、請求項1〜16の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
セキュリティ・デバイスを製造する方法であって、各構造が表面レリーフ・ミクロ構造を有する、少なくとも第1及び第2の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を設けることを含み、それにより該第2の光学的可変効果発生構造が該第1の構造を通して見ることができる、セキュリティ・デバイスを製造する方法。
【請求項19】
各光学的可変効果発生構造が、対応する表面レリーフ・ミクロ構造をエンボス層にエンボス加工することによって形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エンボス層がエンボス用ラッカー又はポリマーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
各ミクロ構造が異なる作成プロセスから得られる、請求項18〜20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記作成プロセスが、ドット・マトリックス・インターフェロメトリー、リソグラフィック・インターフェロメトリー、e−ビーム・リソグラフィー、及び古典的なレインボー・リソグラフィーから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の光学的可変効果発生構造の前記表面レリーフ・ミクロ構造に部分反射層を設けることをさらに含む、請求項18〜22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記部分反射層が、高屈折率の誘電材料又は不連続な金属化によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が別々に製造され、次いで互いに接合される、請求項18〜24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が、中間の積層用接着剤によって互いに積層される(固定工程)、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記積層用接着剤がUV硬化性であり、前記固定工程が、前記第1の光学的可変効果発生構造を通して該積層用接着剤にUV照射し、該接着剤を活性化することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造がキャリヤー上に設けられる、請求項18〜27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
剥離層が、前記キャリヤーと前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造との間に設けられる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜17の何れか1項に記載のセキュリティ・デバイス、又は請求項18〜29の何れか1項に従って製造されたセキュリティ・デバイスを担持する有価証券。
【請求項31】
銀行券などの有価証券を含む、請求項30に記載の証券。
【請求項1】
少なくとも第1及び第2の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を含むセキュリティ・デバイスであって、各構造が表面レリーフ・ミクロ構造を有し、該第2の光学的可変効果発生構造が該第1の構造を通して見ることができる、セキュリティ・デバイス。
【請求項2】
前記第1の光学的可変効果発生構造が不連続な金属層を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の光学的可変効果発生構造が、高屈折率の誘電材料で形成された反射層を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の光学的可変効果発生構造が、実質的に純粋な格子構造を高屈折率の誘電層と組み合わせて含み、前記第2の光学的可変効果発生構造が、古典的ホログラム、ゼロ次回折デバイス、又はフレネル構造のうち1つを含む、請求項3に記載のセキュリティ・デバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が、相補的なゼロ次回折デバイスを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が、典型的に古典的ホログラフィーによって作り出される直交ホログラフィック画像を発生させる、請求項1〜5の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の光学的可変効果発生構造が不透明な反射層を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が互いに積層された、請求項1〜7の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2の表面レリーフ・ミクロ構造が異なるプロセスによって作り出された、請求項1〜8の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2の表面レリーフ・ミクロ構造が、ドット・マトリックス・インターフェロメトリー、リソグラフィック・インターフェロメトリー、e−ビーム・リソグラフィー、及び古典的なレインボー・リソグラフィーのうちの1つによって作り出された、請求項1〜9の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造を支持するキャリヤー層をさらに含む、請求項1〜10の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記キャリヤー層が、剥離層を介して前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造に固定された、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
1つ又は複数の前記光学的可変効果発生構造がそれぞれのラッカー層に形成された、請求項1〜12の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記光学的可変効果発生構造の少なくとも1つがポリマー材料に形成された、請求項1〜13の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスを基材に固定できるよう接着剤層をさらに含む、請求項1〜14の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記光学的可変効果発生構造の層又はその層間に提供する染料又は顔料をさらに含む、請求項1〜15の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造の間に設けられた1つ又は複数の追加の光学的可変効果発生構造をさらに含む、請求項1〜16の何れか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
セキュリティ・デバイスを製造する方法であって、各構造が表面レリーフ・ミクロ構造を有する、少なくとも第1及び第2の重ね合わせた光学的可変効果発生構造を設けることを含み、それにより該第2の光学的可変効果発生構造が該第1の構造を通して見ることができる、セキュリティ・デバイスを製造する方法。
【請求項19】
各光学的可変効果発生構造が、対応する表面レリーフ・ミクロ構造をエンボス層にエンボス加工することによって形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エンボス層がエンボス用ラッカー又はポリマーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
各ミクロ構造が異なる作成プロセスから得られる、請求項18〜20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記作成プロセスが、ドット・マトリックス・インターフェロメトリー、リソグラフィック・インターフェロメトリー、e−ビーム・リソグラフィー、及び古典的なレインボー・リソグラフィーから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の光学的可変効果発生構造の前記表面レリーフ・ミクロ構造に部分反射層を設けることをさらに含む、請求項18〜22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記部分反射層が、高屈折率の誘電材料又は不連続な金属化によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が別々に製造され、次いで互いに接合される、請求項18〜24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造が、中間の積層用接着剤によって互いに積層される(固定工程)、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記積層用接着剤がUV硬化性であり、前記固定工程が、前記第1の光学的可変効果発生構造を通して該積層用接着剤にUV照射し、該接着剤を活性化することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造がキャリヤー上に設けられる、請求項18〜27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
剥離層が、前記キャリヤーと前記第1及び第2の光学的可変効果発生構造との間に設けられる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜17の何れか1項に記載のセキュリティ・デバイス、又は請求項18〜29の何れか1項に従って製造されたセキュリティ・デバイスを担持する有価証券。
【請求項31】
銀行券などの有価証券を含む、請求項30に記載の証券。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−253192(P2011−253192A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−154462(P2011−154462)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【分割の表示】特願2003−580098(P2003−580098)の分割
【原出願日】平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願人】(598151304)ドゥ ラ リュ インターナショナル リミティド (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154462(P2011−154462)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【分割の表示】特願2003−580098(P2003−580098)の分割
【原出願日】平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願人】(598151304)ドゥ ラ リュ インターナショナル リミティド (20)
【Fターム(参考)】
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