説明

光学的に透明な導電性のエレクトロルミネセンス・カーボンナノチューブ接地面を有する自己消去型感光体

【課題】エレクトロルミネセンス導電層を有する感光体の「自己消去」を行う。
【解決手段】電子写真感光体100は、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む導電層110と導電層の第1縁部及び電気接地に電気的に接続される第1の接点122、並びに導電層の第2縁部及びDC電源に電気的に接続される第2の接点124を含み、第2の接点に横方向電圧バイアスを供給するDC電源125を有し、導電層の両側面にわたり局在化したエレクトロルミネセンス光140を発生し、内部から消去光を出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、感光体に関する。より詳細には、本発明の主題は、電子写真装置において使用するための、光学的に透明な導電性のエレクトロルミネセンス・カーボンナノチューブ接地面を有する自己消去型感光体に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー・ゼログラフィ印刷の動向は、コストを最小化し、生産性及び信頼性を高めるために、ボックスの重量及びサイズの削減、処理スピードの高速化及び並列印刷を含む。これは、より小さい感光体、特にドラム感光体の推進をもたらし、その結果、感光体の周囲に配置されるサブシステム・コンポーネントが利用できるスペースが狭められる。電子写真システムにおいて、トナーを紙に転写した後、トナーは感光体からクリーニングされ、感光体は、残留潜像を除去するために消去光に露光される。しかし、単一の画像を長時間印刷すると、画像内容に関連する光学的透明性における変動がもたらされる。さらに、Al、Ti、Zrのような強い還元性金属に基づく導電性接地面は、ゼログラフィ・サイクルの結果として、徐々にその酸化物へと変換される。また、感光体を移動するホールは、周囲水分(ambient water)と組み合わされて、これらの金属をその絶縁性酸化物へと変換し、その結果、電荷受容性及び透過性が変化する。従って、消去光及び接地面の導電性は、画像内容に応じて空間的に変化して、感光体の寿命を制限する画像ゴーストをもたらす。電気化学的に非反応性の光学的に透明な導電性接地面のための適切な材料は限定されている。分散された炭素粒子は電気化学的に非反応性であるが、光学的透明性に乏しいため、導電性接地平面のための材料としては不適切である。酸化第一銅、並びにポリピロール及びポリアニリンを含む導電性ポリマーのような、他の代替的な光学的透明性の導電性接地平面は、技術が比較的未発達なため、問題がある。
【0003】
さらに、炭素充填接地面、又はAl、Ti、Zrのような材料に基づく導電性接地面のいずれにおいても、高い光学的透明性と低い接地面抵抗率(すなわち、シート抵抗率)を同時に達成することは、困難である。さらに、接地面を通して照明することによって、すなわち「背面消去(rear erase)」によって消去されるベルト感光体は、消去ランプ強度のさらなる増強を必要とする。それに加えて、ベルト感光体上で抗カール性(カールしにくい)バックコートを使用すると、時間が経つと、その表面がかなり掻き傷がついて、磨耗してくるため、より高強度の消去光の必要性がさらに高まる。その結果、光のうちの幾らかは散乱又は回折されて、電荷発生層に到達することを妨げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来技術のこれら及び他の問題を克服して、エレクトロルミネセンス導電性接地面を含む感光体の内部消去光又は「自己消去」のための方法及びシステムを提供することが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、電子写真の感光体は、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む導電層を含む。電子写真感光体はまた、導電層の第1縁部及び電気接地に電気的に接続される第1の接点、並びに導電層の第2縁部及びDC電源に電気的に接続される第2の接点を含む。さらに、電子写真感光体は、第2の接点に横方向(lateral)電圧バイアスを供給するように構成されたDC電源を有し、導電層の両側面にわたり局在化したエレクトロルミネセンス光を発生し、電子写真感光体内部から消去光を出すことができる。電子写真感光体は、導電層の上に配置された感光層を含み、この感光層は電荷発生材料及び電荷輸送材料を含むことができる。
【0006】
本教示の別の実施形態によれば、画像形成装置が存在する。その画像形成装置は電子写真感光体を含み、電子写真感光体は導電層を含み、導電層は複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む。画像形成装置はまた、電子写真感光体を均一に帯電させるための帯電ステーション、及び電子写真感光体上に潜像を形成するための画像形成ステーションを含むこともできる。画像形成装置は、電子写真感光体上で潜像を可視像に変換するための現像サブシステム、及び可視像を媒体の上に転写及び定着するための転写ステーションをさらに含む。画像形成装置は、第1の縁部及び第1の縁部に対向する第2の縁部を備えた導電層を有し、第1の縁部は電気接地に接続された第1の接点を有し、第2の縁部はDC電源に接続された第2の接点を有する。さらに、画像形成装置は、第2の接点に横方向電圧バイアスを供給するように構成されたDC電源を有し、導電層の両側面にわたり局在化したエレクトロルミネセンス光を発生し、電子写真感光体内部から消去光を出すことができる。
【0007】
本教示のさらに別の実施形態によれば、画像を形成する方法が存在する。本方法は、電子写真感光体を提供するステップを含む。その電子写真感光体は導電層を含み、導電層は複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む。本方法はまた、電子写真感光体上に潜像を形成するための像形成ステーションを提供し、電子写真感光体上で潜像を可視像に変換するための現像サブシステムを提供するステップを含む。本方法は、可視像を媒体の上に転写及び定着させ、バイアス電圧を導電層の両面に横方向に印加して、導電層を横方向に光らせ、電子写真感光体内部から消去光を出すステップをさらに含む。
【0008】
実施形態のさらなる利点は、一部は以下の記述において述べられ、一部はこの記述から明らかとなり、或いは本発明の実施によって習得することができる。利点は、特許請求の範囲において特に指摘された要素及び組み合わせによって、実現され、達成されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
「電子写真感光体」という用語は、本明細書において「画像受容体」及び「感光体」と互換的に用いられる。「導電層」という用語は、本明細書において「接地面」、「導電性接地面」、「エレクトロルミネセンス導電層」、「光学的透明性の導電性接地平面」等と互換的に用いられる。「ナノ材料」という用語は、本明細書において約0.1nmから約100nmまでのナノスケール領域の少なくとも1つの寸法を有する任意の材料を指し、例えば、これらに限定されるものではないが、ナノチューブ、ナノファイバ、ナノトーラス等を含む。それゆえ、カーボンナノチューブのようなナノ材料は、直径がナノスケール領域である必要があるのみであり、カーボンナノチューブの長さは数ミリメートルであってよく、同様に、カーボンナノチューブ・シートは、厚さがナノスケール領域である必要があるのみであり、カーボンナノチューブ・シートの幅及び長さは、ナノスケール領域、顕微鏡領域、又は巨視的領域(肉眼で見える領域)であってよい。
【0010】
複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む導電性接地面を含む自己消去型感光体は、幾つもの利点を提供することができる。幾つかの実施形態において、内部消去光は、電荷発生層の近傍にあるため、必要とされる消去光が最小限であるという光学的利点を提供することができる。他の実施形態において、内部反射の少なさもまた、必要とされる消去エレクトロルミネセンス光を最小化することができる。それに加えて、内部で発生される光は、時間が経つと発生するベルト感光体の掻き傷がついた背面によって回折されることがない。
【0011】
図1は、種々の実施形態による、例示的な電子写真感光体100の概略図である。電子写真感光体100は、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む導電層110を含むことができる。電子写真感光体100は、導電層110の第1縁部112及び電気接地120に電気的に接続した第1の接点122、並びに導電層110の第2縁部114及びDC電源125に電気的に接続した第2の接点124を含むことができる。電子写真感光体100は、さらに、第2の接点124に近接し、DC電源に接続したバイアス接点128を含んで、導電層110の両側面に電圧バイアスを横方向に印加することができる。電気写真感光体100は、図2に示されるように、導電層110の上に配置された感光層130を含むこともできる。感光層130は、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含むことができる。幾つかの実施形態において、電子写真感光体100は、感光層130の上に保護ハードコート層を含むこともできる。ハードコート層は、約1ミクロンから約5ミクロンまで、典型的には約2ミクロンから約4ミクロンまでの厚さを有することができる。
【0012】
種々の実施形態によれば、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料は、複数のカーボンナノチューブを含むことができる。幾つかの実施形態において、導電層110は、カーボンナノチューブ・ポリマー複合体、エポキシベースのカーボンナノチューブ複合体、及びカーボンナノチューブ充填樹脂を含むがこれらに限定されない、カーボンナノチューブ複合体を含むことができる。図5は、カーボンナノチューブ複合体590の中に複数のカーボンナノチューブ595を含む、例示的な導電層510の概略図である。導電層110は、約0.01μmから約1.5μmまで、幾つかの場合には約0.05μmから約1μmまでの厚さを有することができる。カーボンナノチューブ複合体中のカーボンナノチューブの濃度は、約0.01wt%から約10wt%まで、幾つかの場合には、約0.05wt%から約5wt%までとすることができる。種々の実施形態によれば、カーボンナノチューブは、SWNT(単一壁カーボンナノチューブ)又はMWNT(多壁カーボンナノチューブ)とすることができる。カーボンナノチューブは、約1nmから約100nmまで、幾つかの場合には約5nmから約50nmまでの直径を有することができ、且つ約50nmから約5mmまで、幾つかの場合には約100nmから約1mmまでの長さを有することができる。他の実施形態においては、導電層110は、基板上に少なくとも1つのカーボンナノチューブ・シートの層を含むことができる。カーボンナノチューブ・シートは、約50nmから約500nmまでの範囲の厚さを有することができる。幾つかの実施形態において、導電層110は、1つ又はそれ以上の光学的透明性支持層によって支持されるカーボンナノチューブ・シートを含むことができる。光学的透明性支持層の非限定的な例は、ポリエチレン、配向Mylarシート、ポリカーボネート、及び電子写真感光体100に抗カール性層(カールしにくい層)として付与される他の合成ポリマー材料を含む。
【0013】
カーボンナノチューブを含む導電層110は、導電性接地面として用いられる従来の金属フィルムと比べて幾つかの利点を有し得る。カーボンナノチューブは、電気伝導性を有すると共に高い光学的透明性を有する、酸化しない、可撓性である、及び高い引っ張り強さを有するなどの、導電性接地平面のための多くの望ましい特性を示す。カーボンナノチューブはまた、感光体における消去のために用いられる波長範囲である可視及び赤外スペクトルのエレクトロルミネセンスを示すこともできる。これらの最適化されていないカーボンナノチューブ・シートは、重力強度(gravimetric strength)において、鋼鉄、及びケブラー(Kevlar:商標)のような炭素繊維材料を超えることがある。例えば、ミクロン厚のカーボンナノチューブ・シートは、自己重量の50,000倍の液滴を支持することができる。また、カーボンナノチューブ・シートは、電気伝導性を失うことなく可逆的に変形できる電極として作用することもできる。さらに、電極として、カーボンナノチューブ・シートは、非常に広い温度範囲にわたって極めて少ない導電性の変化しか示さないことができる。
【0014】
図1に戻ると、電子写真感光体100は、第2の接点124に横方向の電圧バイアスを供給して、導電層110の両側面にわたり局在化したエレクトロルミネセンス光140を発生し、電子写真感光体100の内部から消去光を出すように構成された、DC電源125を有する。導電層110の両側面にわたる局在化したエレクトロルミネセンス光140は、約0.5mmから約10cmまで、幾つかの場合には約1mmから約5cmまでの幅とすることができる。エレクトロルミネセンス光140を発生させるための第2の接点124における横方向の電圧バイアスは、約20Vから約80Vまで、幾つかの場合には約30Vから約60Vまでとすることができる。種々の実施形態によれば、横方向バイアスは、バイアス接点128を用いて印加することができ、バイアス接点128は、例えば、ローラ、ブラシ、金属又はカーボンクリップのようなすり接点等とすることができる。幾つかの実施形態において、第2の接点124は、半導体材料のストリップとすることができる。第2の接点124は、約104オーム/sq.(□=スケア)から約106オーム/sq.までのシート抵抗を有するのが好ましい。適切な接点124は、炭素濃度を所望の抵抗率を提供するように調整した任意の種類の炭素粒子充填樹脂又はポリマーとすることができる。第1の接点122の非限定的な例は、ステンレス鋼ローラ、金属又は炭素粒子充填ローラ、金被覆卑金属(アルミニウム、銅、真鍮等)及び金属(アルミニウム、銅、真鍮等)又は炭素充填樹脂ブラシを含む。
【0015】
図2において、感光層130は、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含むことができる。感光層130は、約5μmから約50μmまで、幾つかの場合には約15μmから約35μmまでの厚さを有することができる。幾つかの実施形態において、感光層130は、電荷発生層の上に配置された電荷輸送層を含むことができる。他の実施形態において、感光層130は、電荷輸送層の上に配置された電荷発生層を含むことができる。さらに他の実施形態において、電荷発生材料及び電荷輸送材料は、ポリマー又は樹脂のような共通のマトリクス中に分散させることができる。ポリマー又は樹脂の非限定的な例は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルカルバゾール等を含む。電荷発生材料は、有機顔料及び有機染料、例えば、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、メタルフリー・フタロシアニン、ベンゾイミダゾールペリレン及び同族体のようなペリレン、スクアライン(squaraine)染料、顔料等、並びにこれらの混合物等を含むことができる。電荷輸送材料は、有機アリールアミン化合物、例えば、そのアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミノ置換同族体を含むトリアリールアミン、アリールアミン置換ビフェニル及びトリフェニル等、並びにこれらの混合物等を含むことができる。
【0016】
図3は、電子写真感光体300の別の例示的な実施形態の概略図である。電子写真感光体300は、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む導電層310を含む。電子写真感光体300は、導電層310の第1の縁部312及び電気接地320に電気的に接続された第1の接点322、並びに導電層310の第2の縁部314及びDC電源325に電気的に接続された第2の接点324を含む。幾つかの実施形態において、電子写真感光体300は、さらに、第2の接点324に近接し、DC電源325に接続されたバイアス接点328を含み、導電層310の両側面にわたり電圧バイアスを横方向に印加して、導電層310にわたり局在化するエレクトロルミネセンス光340を発生し、電子写真感光体300の内部から消去光を出すことができる。導電層310の両側面にわたる局在化したエレクトロルミネセンス光340は、約0.5mmから約10cmまで、幾つかの場合には約1mmから約5cmまでの幅とすることができる。エレクトロルミネセンス光340を発生させるための第2の接点324における横方向の電圧バイアスは、約20Vから約80Vまで、幾つかの場合には約30Vから約60Vまでとすることができる。特定の実施形態において、第2の接点324は、区分化された千鳥配列の(segmented staggered)接点アレイ324を含むことができる。区分された千鳥配列の接点アレイ324は、少なくとも2つの列を含むことができ、第1の列は第2の列から空間的に分離し、各列は互いに空間的に分離した区分された接点を含む。第1及び第2の列は、第1の列の区分が第2の列の区分に対して垂直方向にずれるように、互いに垂直方向にずらして配置することができる。区分された千鳥配列の接点アレイ324の区分化は、導電層310全体が電圧バイアスによって通電されることを防ぐことができる。さらに、垂直方向のずれにより区分された千鳥配列接点アレイ324の千鳥配列は、導電層110の全領域が発光して、消去光を生み出すことを確実にすることができ、それゆえ、残留潜像の消去を完全にすることができる。種々の実施形態によれば、第1の接点322及び第2の接点324は、同じ導電性材料から作製することができる。幾つかの実施形態において、第1の接点322及び第2の接点324は、ステンレス鋼ローラ、金属又は炭素粒子充填ローラ、金被覆卑金属(アルミニウム、銅、真鍮等)及び金属(アルミニウム、銅、真鍮等)又は炭素充填樹脂ブラシ接点のうちの少なくとも1つとすることができる。電子写真受容体300は、図2に示されるような導電層110の上に配置された感光層130を含むこともできる。種々の実施形態において、電子写真受容体300は、感光層130の上に保護ハードコート層を含むこともできる。
【0017】
種々の実施形態によれば、電子写真感光体100、300は、ベルト感光体又はドラム感光体とすることができる。しかし、現行のドラム感光体は、導電性のドラム基板をベースとしている。それゆえ、ドラム感光体の導電性基板は、導電層110に印加される横方向電圧バイアスをショートさせないように、陽極酸化処理されるのが好ましい。或いは、プラスチック基板をドラム感光体で用いてもよく、電子写真感光体100、300はプラスチック基板の上に配置することができる。さらに、ドラム感光体のスペースを節約するために、発光の位置は、クリーニング・サブシステムと同じ場所にすることができる。
【0018】
図4は、例示的な画像形成装置400を示す。例示的な画像形成装置は、電子写真感光体401を含むことができる。電子写真受容体401は、導電層410、及び導電層410の上に配置された感光層430を含むことができる。導電層410は、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含むことができる。画像形成装置400は、電子写真感光体401に均一に帯電させるための帯電ステーション440を含むことができる。電子写真感光体401は、図4に示されるようなドラム感光体又はベルト感光体(図示せず)とすることができる。画像形成装置400は、電子写真感光体401上に潜像を形成するために元の原稿(図示せず)を光源(これも図示せず)に露光することができる画像形成ステーション450を含むこともできる。画像形成装置400は、電子写真感光体401上で潜像を可視像に変換するための現像サブシステム460、並びに可視像を紙又は他の媒体の上に転写及び定着するための転写ステーション470をさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、導電層410は、第1の縁部112、及び第1の縁部112に対向する第2の縁部114を、図4の紙面に直交する表裏面に有し、第1の縁部112は、電気接地120に接続する第1の接点122を有し、第2の縁部114は、図1に示されるDC電源125に接続する第2の接点124を有する。種々の実施形態において、DC電源125は、第2の接点124に電圧バイアスを供給するように構成して、導電層410両側面にわたり局在化したエレクトロルミネセンス光140を発生させ、電子写真感光体401の内部から消去光を出すことができる。幾つかの実施形態において、消去光は、約0.5mmから約10cmまでの幅、幾つかの場合には、約1mmから約5mmまでの幅とすることができる。種々の実施形態によれば、第2の接点124は、図1に示されるような、シート抵抗が約104オーム/sq.から約106オーム/sq.までの半導体材料のストリップとすることができる。幾つかの実施形態において、第2の接点124は、図3に示されるような区分された接点のアレイ324を含むことができ、これは導電層全体がバイアス電圧によって通電されることを防ぐことができる。さらに他の実施形態において、第2の接点は、区分された千鳥配列の接点アレイ324を含むことができ、接点の千鳥配列は、導電層の全領域が発光して、図3に示すように消去光を出すことを確実にすることができ、第2の接点は、第1の接点と同じ導電性材料で作製することができる。
【0019】
本発明によれば、画像を形成する方法が存在する。この方法は、電子写真感光体401を提供するステップを含む。電子写真感光体401は、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む導電層410と、導電層410の上に配置された感光層430とを含むことができる。本方法はまた、電子写真感光体401に均一に帯電させるための帯電ステーション440を提供するステップを含む。本方法は、電子写真感光体401上に潜像を形成するために元の原稿(図示せず)を光源(これも図示せず)に露光することができる画像形成ステーション450さらに含む。本方法は、電子写真感光体401上で潜像を可視像に変換するための現像サブシステム460、並びに紙又は他の媒体の上に可視像を転写及び定着するための転写ステーション470を含むこともできる。さらに、本方法は、導電層410にわたりバイアス電圧を横方向に印加して、横方向に導電層410を光らせ、それにより消去光を出すステップを含む。導電層410にわたる消去光は、約0.5mmから約10cmまで、幾つかの場合には、約1mmから約5cmまでの幅とすることができる。種々の実施形態によれば、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料は、複数のカーボンナノチューブを含むことができる。他の実施形態において、複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ・シートを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本教示の種々の実施形態による、例示的な電子写真感光体の概略図である。
【図2】本教示の種々の実施形態による、例示的な電子写真感光体の側面図である。
【図3】本教示の種々の実施形態による、別の例示的な電子写真感光体の概略図である。
【図4】本教示の種々の実施形態による、例示的な画像形成装置を表す。
【図5】本教示の種々の実施形態による、複数のカーボンナノチューブを含む例示的な導電層の概略図である。
【符号の説明】
【0021】
100、300、401:電子写真感光体
110、310、410、510:導電層
112、312:第1の縁部
114、314:第2の縁部
120、320:電気接地
122、322:第1の接点
124、324:第2の接点
125、325:DC電源
128、328:バイアス接点
130、430:感光層
140、340:エレクトロルミネセンス光
400:画像形成装置
590:カーボンナノチューブ複合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体であって、
複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料を含む導電層と、
前記導電層の第1縁部及び電気接地に電気的に接続される第1の接点と、
前記導電層の第2縁部及びDC電源に電気的に接続される第2の接点と、
電荷発生材料及び電荷輸送材料を含む、前記導電層の上に配置される感光層と
を含むことを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料は、複数のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記複数のエレクトロルミネセンス・ナノ材料は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ・シートを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記第2の接点は、約104オーム/sq.(□=スケア)から約106オーム/sq.までのシート抵抗を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−77086(P2008−77086A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240586(P2007−240586)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】