説明

光学的情報記録再生装置

【目的】 キャリッジに固定する反射部材の接着作業性と信頼性を向上することがねらいである。
【構成】 可動光学ヘッドと、光源を有する固定光学ヘッドで構成された分離型光学系ヘッドを有する光学的情報記録再生装置において、プリズム6を有するキャリッジ3内部に壁面11を設け、しかもその壁面11のプリズム6の45度斜面に対抗する位置に切り欠けを設けている。
【効果】 反射部材固定の際、接着剤の流れだし等による接着剤塗布位置の偏りや接着強度の低下、強度ばらつきが解消され、均一でしかも確実な接着が可能になった。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分離型光学ヘッドを有する光学的情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の装置におけるキャリッジ内部の反射部材の固定は、反射部材の光束通過面以外の面と対向するキャリッジ内の一面への接着剤塗布により行われた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のキャリッジ構造では反射部材固定の際、接着剤の流れだし等により接着剤塗布が偏った位置になり、接着強度の低下や強度ばらつきが大きく、信頼性の確保が困難であった。
【0004】本発明はこれらの欠点を解決するためになされたものであり、キャリッジに固定する反射部材の接着作業性と信頼性を向上することがねらいである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に、本発明の光学的情報記録再生装置は(1)記録メディアに情報の記録再生を行う移動光学部材と光源を有した固定光学部材から構成される分離光学ヘッド型の光学的情報記録再生装置において、前記移動光学部材は前記記録メディアの半径方向に移動するキャリッジ部材と、前記固定光学部材から前記キャリッジ部材の移動方向と略平行に出射される光束を前記記録メディアの垂直方向に反射する反射部材とを有し、前記キャリッジ部材に前記反射部材の前記光束の通過面を除く面と対向した壁面を設置し、前記反射部材は前記キャリッジ部材の移動方向に対し略45度の斜面を有し、前記キャリッジ部材の壁面は前記反射部材の斜面部に対向する位置に切り欠き部を有することを特徴とする。
【0006】
【実施例】
(実施例1)図1は本発明の実施例における装置の一部構成を示す図である。図中2は固定光学ヘッドであり、周知のように半導体レーザ、光学系、光磁気信号を検出するセンサー系(図示なし)で構成されている。8は記録メディアであり、円盤状の記録面を有し、円周方向に情報の記録消去が可能である。7はコリメート光軸であり、固定光学ヘッド2より図1で示されるx軸の矢印方向に出射される。3はキャリッジであり、これに付随するリニアモータ(図示なし)の駆動力により記録メディア8の半径方向へ二本のガイド軸4に従い平行に移動する。二本のガイド軸4は互いに平行な状態でメインシャーシ1に取り付けられている。31はベアリングであり、キャリッジ3に取り付けられており、ガイド軸4の転がり軸受けである。メインシャーシ1は固定光学ヘッド2、キャリッジ3を含む可動光学ヘッド(一部図示)、モータ駆動系(図示なし)を搭載するものである。5は貫通穴であり、ガイド軸4に対して固定光学ヘッド2より平行に出射されるコリメート光軸7の直線延長上にある。本実施例では固定光学ヘッド2と可動光学ヘッドを結合する光束は平行光線であり、いわゆる無限系の光学系を成している。6はプリズムであり、固定光学ヘッド2より出射するコリメート光軸7を記録メディア8に垂直入射する向きに屈曲させるものである。9はコリメート光出射穴であり、プリズム6からのコリメート光はコリメート光出射穴9を介してキャリッジ3の外部に出射される。
【0007】図2は本発明の実施例におけるキャリッジ3の平面図である。固定光学ヘッド2よりキャリッジ3に入射するコリメート光軸7は、コリメート光入射穴10、貫通穴5を経て図中x軸の矢印方向へ向かう。コリメート光入射穴10、貫通穴5はそれぞれ光束を遮らない大きさの径をもつ。なお、図中プリズム6、記録メディア8はコリメート光軸7の角度調整時にはキャリッジ3に取り付けられていないため点線に記した。二本のガイド軸4に直交する平面に対してのコリメート光軸7の角度は、コリメート光出射方向延長上に配置した光学測定器(図示なし)で観測される。なお分離光学系の場合、コリメート光軸7をガイド軸4に対して数分以内の角度精度で調整しないと、エラー信号オフセット、光束のけられ等の弊害が生じる。コリメート光軸7の角度調整には光学測定器により観測したコリメート光軸7の角度を用いる。11は階段状壁面であり本発明の特徴を有するところである。階段状壁面11はコリメート光軸7を基準とする左右対称に平行な位置にある。向かい合う階段状壁面11の間隔はプリズム6をはさみ若干の隙間が残る程度である。また、コリメート光出射穴9はプリズム6と階段状壁面11を紙面上部方向より充分に確認することができる大きさをもつものである。
【0008】図3は本発明の実施例におけるキャリッジ3の側面図である。プリズム6と階段状壁面11の空隙は一定であり、少なくともこの空隙の巾は、プリズム6の若干の傾斜変動を妨げない程度である。階段状壁面11の図中でy軸方向の厚さはプリズム6と階段状壁面11の空隙に対して充分に大きいものである。貫通穴5は特に丸穴に限られるものではなく、角穴等の形状であっても良い。つまり、固定光学ヘッド2より出射されるコリメート光軸7を光学測定器で観測可能な範囲内においては、貫通穴5は形状に自由度をもたせることが可能である。
【0009】図4は本発明の実施例におけるキャリッジ3の内部に設けられた階段状壁面11と、プリズム6を用いた場合の構成を示す図である。プリズム6の透過反射面以外の面601は階段状壁面11に対面しており、その面同士の間隔は図3にも示した通り一定であり、少なくとも、プリズム6の若干の傾斜変動を妨げない程度である。階段状壁面11における階段部分は図のようにプリズム6の透過反射面以外の面601にちょうど位置している。階段状壁面11の階段部分には接着剤12を塗布し、接着剤12を介してプリズム6を階段状壁面11に接着固定している。プリズム6は二つの階段状壁面11に接着剤12を介して挟まれるようにして固定される為、図に示すz方向にはプリズム6を支える構造は不要になり、プリズム6はキャリッジ3の内部に階段状壁面11を介して、ちょうどはさまれた状態での固定が可能である。なお、プリズム6を固定する接着剤12には樹脂系接着剤、ゴム系接着剤等を用いることが可能である。階段状壁面11の階段部は塗装面ではなく表面は粗目仕上げである。
【0010】図6は本発明の実施例におけるキャリッジ3の側面断面を示す図である。キャリッジ3には、コリメート光出射穴9に対してコリメート光軸7をはさんで対向面側にキャリッジ穴17を設けている。キャリッジ穴17はプリズム6の外形より大きい貫通穴である。プリズム6をキャリッジ3内部に固定する際、プリズム6はキャリッジ穴17から挿入され、キャリッジ3の階段状壁面11にはさまれた適切な(点線に示す)位置に位置決めされる。なお、キャリッジ穴17はプリズム6の外形より大きい穴である条件を満たしている限りにおいて、穴の形状は図6のように長方形に限られるものではない。
【0011】図7は本発明の実施例におけるプリズム6の支持手段と移動、回転手段の構成を示す図である。図中13はプリズム支持部であり、プリズム6の下部に位置し、45度斜面131及び、度当たり132によりプリズム6を支持している。プリズム支持部13は、θ回転ステージ14、XY移動ステージ15、Z移動ステージ16に連動している。xy移動ステージ15、z移動ステージ16はそれぞれ図のxyz方向に移動し、θ回転ステージ14はコリメート光軸7がプリズム6の反射面に交差する点を原点に含むXY軸をそれぞれを回転中心とする回転運動をするものであり、プリズム6はこれに連動し、動作する。そしてプリズム6により反射屈曲されたコリメート光軸7の理想光軸からの角度ズレをその直線延長上に位置した光学測定器(図示なし)で観測し、キャリッジ3への取付位置及び取付角度の調整を行う。
【0012】図8、図9はそれぞれ本発明の実施例におけるプリズム6の取付角度調整を示す図である。例えば図8のように、プリズム支持部13が理想調整位置13aから13bのように回転した場合、プリズム6により反射屈曲したコリメート光軸7はそれぞれ理想調整光軸7aから7bのように変化する。また、同様に図9のように、プリズム支持部13が13aから13bのように回転した場合、プリズム6により反射屈曲したコリメート光軸7はそれぞれ7aから7bのように変化する。このようにコリメート光軸調整において、プリズム6の角度ズレに伴う理想調整光軸からの角度ズレは、その直線延長上に位置した光学測定器(図示なし)で観測される。したがってプリズム6の取付角度調整では、プリズム6により反射屈曲したコリメート光軸7が理想光軸に重なるようにプリズム支持部13の角度を調整することにより行う。なお、コリメート光軸調整終了後は貫通穴5及びキャリッジ穴17を遮光テープ等で穴全面を塞ぐ。
【0013】(実施例2)図5は本発明の実施例におけるキャリッジ3内部の階段状壁面11に固定する反射光学部材に平面ミラー61を用いた場合の構成を示す図である。図5のように平面ミラー61の透過反射面以外の面は階段状壁面11に対面している。これらは接着剤12を介することにより結合されている。平面ミラー61はこの結合力により保持固定されている。なお、平面ミラー61を固定する接着剤12には実施例2と同様で樹脂系接着剤、ゴム系接着剤等を用いることが可能である。接着剤12は平面ミラー61の有効径内には付着することがないように塗布されている。
【0014】
【発明の効果】以上に述べた通り本発明によれば、キャリッジ内部への階段状壁面の設置及びキャリッジ部材の壁面において前記反射部材の斜面部に対向する位置に切り欠き部を設けることにより反射部材固定の際、接着剤の流れだし等による接着剤塗布位置の偏りや接着強度の低下、強度ばらつきが解消され、接着剤の塗布作業性が向上し、均一でしかも確実な接着が可能になり、接着信頼性の向上が図れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における装置の一部構成を示す図。
【図2】 本発明の実施例におけるキャリッジの平面図を示す図。
【図3】 本発明の実施例におけるキャリッジ側面図を示す図。
【図4】 本発明の実施例におけるキャリッジ内部構成を示す図。
【図5】 本発明の実施例におけるキャリッジ内部構成を示す図。
【図6】 本発明の実施例におけるキャリッジ側面断面を示す図。
【図7】 本発明の実施例におけるプリズム支持部と移動、回転手段の構成を示す図。
【図8】 本発明の実施例におけるプリズムの取付角度調整を示す図。
【図9】 本発明の実施例におけるプリズムの取付角度調整を示す図。
【符号の説明】
1 メインシャーシ
2 固定光学ヘッド
3 キャリッジ
4 ガイド軸
5 貫通穴
6 プリズム
7 コリメート光軸
8 記録メディア
9 コリメート光出射穴
10 コリメート光入射穴
11 階段上壁面
12 接着剤
13 プリズム支持部
14 θ回転ステージ
15 x、y移動ステージ
16 z移動ステージ
17 キャリッジ穴
31 ベアリング
61 平面ミラー
131 45度斜面
132 度当たり
601 透過反射面以外の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録メディアに情報の記録再生を行う移動光学部材と光源を有した固定光学部材から構成される分離光学ヘッド型の光学的情報記録再生装置において、前記移動光学部材は前記記録メディアの半径方向に移動するキャリッジ部材と、前記固定光学部材から前記キャリッジ部材の移動方向と略平行に出射される光束を前記記録メディアの垂直方向に反射する反射部材とを有し、前記キャリッジ部材に前記反射部材の前記光束の通過面を除く面と対向した壁面を設置し、前記反射部材は前記キャリッジ部材の移動方向に対し略45度の斜面を有し、前記キャリッジ部材の壁面は前記反射部材の斜面部に対向する位置に切り欠き部を有することを特徴とする光学的情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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