光学的情報読取装置
【課題】読取口から受光光学系に至るまでの経路上に外部からの異物を除去する防護部材を配置してなる光学的情報読取装置において、防護部材内面の清掃を迅速且つ容易に行い得る構成を提供する。
【解決手段】光学的情報読取装置1は、ケース2内において読取口5と受光光学系との間に透光性の防護部材70が配置されている。この防護部材70は、保持・回転機構によって保持されており、読取時に受光光学系側に面する裏部72を、受光光学系側に面する位置から清掃可能位置に移動させうる構成をなしている。
【解決手段】光学的情報読取装置1は、ケース2内において読取口5と受光光学系との間に透光性の防護部材70が配置されている。この防護部材70は、保持・回転機構によって保持されており、読取時に受光光学系側に面する裏部72を、受光光学系側に面する位置から清掃可能位置に移動させうる構成をなしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学的情報読取装置の分野において、装置内部への異物侵入を防ぐ防護プレートを設けた構成が提供されている。例えば、特許文献1で開示されるバーコードリーダでは、シリンドリカルレンズを一体形成した防塵カバーをケースの開口部(読取口)近傍に設け、装置内部への異物侵入を防止している。
【特許文献1】実開平5−17760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記防護プレートは、一般的に読取口を閉塞する形態で固定されるため、外部からの塵等の異物が外面に付着する場合がある。このような異物の清掃方法としては、例えば読取口から細長の清掃部材を進入させ、当該清掃部材によって防護プレート外面に付着した異物を拭い取るといった方法が効果的である。
【0004】
他方、上記異物は防護プレート内面に付着する場合もありうる。例えば、光学的情報読取装置のケース内では、部品同士の接触等に起因する削れ粉が発生する場合があり、このような削れ粉が防護プレート内面に付着すると、光学系に影響を及ぼし、読み取り不良を招くおそれがある。
【0005】
このように、防護プレートによって読取口を閉塞してなる光学的情報読取装置では、防護プレート内面の異物が問題となり、当該異物(即ち、防護プレート内面に付着した削れ粉など)を効果的に除去できる構成が望まれている。しかしながら、従来のように読取口を閉塞する形態で防護プレートを固定する構成の場合、装置全体を分解しない限り防護プレート内面にアクセスすることができず、防護プレート内面に付着した異物を容易に取り除くことができなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、読取口から受光光学系に至るまでの経路上に外部からの異物を除去する防護部材を配置してなる光学的情報読取装置において、防護部材内面の清掃を迅速且つ容易に行い得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、光学的情報からの反射光を受光する受光光学系を有する光学的情報読取装置であって、読取口を備えたケースと、前記ケース内において前記読取口と前記受光光学系との間に配される透光性の防護部材と、前記防護部材を保持する保持手段と、を備え、前記防護部材は、読取時に前記読取口側に面する表部と、読取時に前記受光光学系側に面する裏部とを有し、前記保持手段は、前記防護部材の前記裏部を、前記受光光学系側に面する位置から清掃可能位置に移動させる移動手段を有することを特徴とする。
請求項1における「清掃可能位置」とは、「前記裏部が前記読取口側に面する位置」、「前記裏部が所定位置に配置された清掃部材に接触する位置」のいずれをも含む概念である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記移動手段は、読取時に前記受光光学系側に面する前記裏部を、前記防護部材を回転させることで前記読取口側に向かせる回転手段からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記防護部材の汚れを拭き取る清掃部材を備え、前記移動手段は、前記裏部を前記清掃部材に接触させつつ移動させることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記防護部材は、円筒状に構成されると共に、外周部の一部分が前記表部として構成され、前記外周部の他部分が前記裏部として構成されており、前記清掃部材は、前記防護部材の前記外周部に接触する構成をなしており、前記移動手段は、前記防護部材の円筒中心を回転軸として前記外周部を周方向に回転させる回転手段からなることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記防護部材は、両面が円筒面状に構成される湾曲部材からなり、一方面側が前記表部として構成され、他方面側が前記裏部として構成されており、前記清掃部材は、前記裏部に接触する位置に配置され、前記移動手段は、前記防護部材を所定の回転軸を中心として回転させることで、前記裏部を前記清掃部材に接触させつつ周方向に移動させることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記清掃部材とは異なる位置に第2の清掃部材が設けられており、前記移動手段は、前記表部を前記第2の清掃部材と接触させつつ移動させることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記防護部材は、前記読取口と前記受光光学系との間において前記受光光学系側に寄った位置に配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記光学的情報に対して光を照射する投光手段を備え、前記防護部材は、前記投光手段によって照射される光の経路を避けた位置であって、且つ前記投光手段に隣接する位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記移動手段は、前記防護部材と連動する操作部を備え、前記操作部が前記ケースの外部に露出した構成をなしていることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項9に記載の光学的情報読取装置において、前記保持手段は、前記表部が前記読取口側に面し、前記裏部が前記受光光学系側に面した状態で前記防護部材を位置決めする位置決め手段を有し、前記移動手段は、前記操作部に対する所定操作に応じて前記位置決め手段による位置決めが解除されたときに前記裏部を前記清掃可能位置に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、読取口を備えたケース内において読取口と受光光学系との間において透光性の防護部材が保持されている。そして、この防護部材の裏部を受光光学系側に面する位置から清掃可能位置に移動させる移動手段が設けられている。このようにすると、読取口からケース内に塵等の異物が進入するのを効果的に防ぐことができ、更に、防護部材の裏部を清掃すべき場合(例えば、防護部材の裏部に、ケース内で生じた削れ粉などが付着した場合)に、容易に清掃作業を行うことができるようになる。
【0018】
請求項2の発明は、防護部材を回転する回転手段が設けられ、この回転手段は、読取時に受光光学系側に面する裏部を、防護部材を回転させることで、読取口側に向かせる構成をなしている。このようにすると、必要に応じて裏部を読取口側に向かせることが可能な構成を簡易に実現でき、これにより、読取口を介して清掃部材等をケース内に進入させ、裏部を良好に清掃できるようになる。
【0019】
請求項3の発明は、防護部材の汚れを拭き取る清掃部材が設けられ、防護部材の裏部を清掃部材に接触させつつ移動させるように構成されている。このようにすると、裏部を清掃するための特別な清掃部材を別途用意する必要がなく、清掃作業を手軽に行うことができる。また、清掃部材の移動に応じて裏部が清掃されるため、裏部の清掃に際し複雑な作業や細かな作業を省略でき、清掃作業を一層容易化できる。
【0020】
請求項4の発明は、防護部材が円筒状に構成されており、外周部の一部分が表部として構成され、外周部の他部分が裏部として構成されている。更に、防護部材の外周部に接触するように清掃部材が設けられ、防護部材の円筒中心を回転軸として外周部を周方向に回転させる構成をなしている。このようにすると、裏部とされた部分を清掃部材によってスムーズに拭き取りうる構成を簡易に実現できる。
【0021】
請求項5の発明は、両面が円筒面状の湾曲部材によって防護部材が構成されると共に、その一方面側が表部として構成され、他方面側が裏部として構成されており、この裏部に接触する位置に清掃部材が配置されている。そして、所定の回転軸を中心として防護部材を回転させることで、当該防護部材の裏部を清掃部材に接触させつつ周方向に移動させる構成をなしている。このようにすると、裏部とされた部分を清掃部材によってスムーズに拭き取りうる構成を簡易に実現できる。
【0022】
請求項6の発明は、清掃部材とは異なる位置に第2の清掃部材が設けられており、防護部材の表部を第2の清掃部材と接触させつつ移動させるように構成されている。このようにすると、防護部材の移動に伴い、当該防護部材の裏部のみならず表部についても清掃できるため、防護部材の表裏両方の清掃を容易に行うことができる。また、防護部材の移動によって表部と裏部をいずれも清掃できるため、より短時間で清掃を完了できる。
【0023】
請求項7の発明は、読取口と受光光学系との間において受光光学系側に寄った位置に防護部材が配置されている。このようにすると、防護部材をより奥まった位置に配置することができるため、作業者の手などが防護部材に触れにくくなり、防護部材の汚損を効果的に抑制できる。
【0024】
請求項8の発明は、投光手段によって照射される光の経路を避けた位置であって、且つ投光手段に隣接する位置に防護部材が配置されている。このように投光経路を避けた位置に防護部材を配置すると、投光手段に起因する位置的な制約をあまり受けずに防護部材を配置でき、防護部材をより奥まった位置に配置しやすくなる。また、投受光路から完全に防護部材を取り除くのではなく、清浄性をより重視すべき受光光学系側に上記防護部材を選択的に配置しているため、内部をより効率的且つ効果的に保護できる。
【0025】
請求項9の発明は、防護部材と連動する操作部が設けられ、この操作部がケースの外部に露出した構成をなしている。このようにすると、防護部材を移動させるために複雑なケース内作業を行う必要がなく、外部に露出する操作部を利用して防護部材を簡易に移動できる。
【0026】
請求項10の発明は、表部が読取口側に面し、裏部が受光光学系側に面した状態で防護部材を位置決めする位置決め手段を有している。このようにすると、読み取りの際には表部及び裏部を所定位置に安定的に配置できる。また、清掃を行う際には、外部に露出する操作部に対して所定操作を行うことで位置決めを解除して裏部を清掃可能位置に容易に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置について図面を参照しつつ説明する。図1は第1実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図であり、図2は、図1の光学的情報読取装置の側面図である。図3は、図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図4は、図2のA−A断面を概略的に例示する断面図であり、図5は、図4のB−B断面を説明する説明図である。図6(a)は、防護部材を回転させる様子を説明する説明図であり、図6(b)は、防護部材の裏部を読取口側に向けた様子を説明する説明図である。
【0028】
まず、図1〜図3を参照して全体構成について説明する。
図1、図2に示す光学的情報読取装置1は、一次元コードや二次元コードを読み取る情報コードリーダとして構成されるものである。
【0029】
図1、図2に示すように、光学的情報読取装置1は、ケース2の内部に回路部20が収容されてなるものであり、ケース2には後述する照明光や反射光を導通させるための読取口5が形成されている。ケース2は、上ケース2aと下ケース2bとが結合する形態で全体的に略長手状に構成されており、図1の例では長手方向一端側において開口する形態で読取口5が設けられている。また、ケース2は、読取口5が形成される先端部側が、プリント配線板25が収容される回路収容部側に対して折れ曲がる形態をなしている。
【0030】
図3に示すように、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ50等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されており、前述したプリント配線板25に実装あるいはケース2に装着されている。
【0031】
光学系は、光学的情報に対して照明光を投光する投光光学系と、光学的情報からの反射光を受光する受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、図1に示すように、赤色のLED22とこのLED22の出射側に設けられるレンズ23とから構成されている。
【0032】
受光光学系は、図1、図3に示すように、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡7によって構成されている。受光センサ28は、読取対象物RやバーコードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるものである。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板25に実装されている。なお、図3では、反射光の受光対象となる光学的情報の一例としての読取対象物Rに貼り付けられたバーコードBを示している。
【0033】
結像レンズ27は、外部から読取口5を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが、バーコードBにて反射した後、反射鏡7で反射されるようになっている。そして、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0034】
また、図3に示す回路部20には、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ50、ブザー44、通信インタフェース48等が設けられている。
【0035】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード像画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0036】
制御回路40は、光学的情報読取装置1全体を制御可能なマイコンからなるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を備えた構成をなしている。この制御回路40は情報処理機能を有しており、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続されている。本実施形態の場合、トリガースイッチ50、ブザー44、通信インタフェース48などが制御回路40に接続されている。
【0037】
次に、防護部材70と、この防護部材70を保持する保持・回転機構60について説明する。
図1に示すように、光学的情報読取装置1は、回路基板20側から読取口5に連通する投受光路6を閉塞するように投光性の防護部材70が設けられている。この防護部材70は、透明な樹脂材材料などによって矩形状かつ板状に構成されており、照明光源21からの照明光Lf、及び読取対象物Rからの反射光Lrのいずれも透過し得る構成をなしている。
【0038】
図4に示すように、防護部材70は、光学的情報読取装置1の幅方向に沿った長手状に構成されており、その長手方向両端部が後述する保持・回転機構60に保持されている。本実施形態では図1のように、投受光路6内における読取口5と上記受光光学系との間において防護部材70が変位可能に保持されている。なお、保持・回転機構60は、「保持手段」の一例に相当し、防護部材70を保持する機能を有する。
【0039】
保持・回転機構60は、図4に示すように、防護部材70の両端に固定される一対の軸部61、62と、これら軸部61、62をそれぞれ回転可能に保持する軸受部68,69と、防護部材70の位置決めを行う位置決め機構63とによって構成されている。
【0040】
軸部61,62は、光学的情報読取装置1の幅方向に延びており、後述する操作部61aに対する回転操作に応じ、幅方向の回転軸Gを中心として回転する構成をなしている。軸受部68、69は、ケース2に形成された孔部によって構成されており、一方の軸受部68は、投受光路8からケース2外部に至るまで孔が貫通しており、軸部61はこの軸受部68に回転可能に支持された状態でその一端部(操作部61a)を外部に露出させている。軸受部69を構成する孔部は、投受光路6から所定の深さ形成されており、軸部62は、この軸受部69と嵌合し当該軸受部69によって回転可能に支持されている。
【0041】
なお、図4では、軸部62側がケース2外部に露出しないように構成した例を示したが、軸受部69が投受光部6からケース2外部まで貫通し、軸部62の一端部が外部に露出するように構成してもよい。
【0042】
上記防護部材70は、この保持・回転機構60によって支持され、読み取りなどの通常の使用の際には、例えば図1のように、板状に構成される防護部材70の一方面側が読取口5側に向き、他方面側が受光光学系側に向いた状態で保持されるようになっている。本実施形態では、防護部材70の一方面側を表部71とし、他方面側を裏部72としており、図1のように、表部71が読取口5側に向き、裏部72が受光光学系側に向いた状態で図4のように投受光路6が閉塞されるようになっており、この状態でバーコード等の読み取りなどを良好に行うことができるようになっている。
【0043】
一方、保持・回転機構60は、上記のように構成される防護部材70を操作部61aに対する操作に応じて移動させる構成をなしている。この操作部61aは、軸部61の一部として構成されて当該軸部61が固定された防護部材70と連動する構成をなしており、図1のように受光光学系側に裏部72が面した状態から、作業者が操作部61aを回転させる操作を行うことにより、図6(a)のように防護部材70が回転軸Gを中心として回転し、図6(b)のように裏部72を反転させて読取口5側に向かせることができるようになっている。
【0044】
図6(b)のように裏部72が読取口5側に向いたときには、読取口5から布等の清掃部材を進入させて裏部72側の面を拭き取ることができ(矢印F1参照)、これにより裏部72を清浄な状態とすることができる。裏部72の清掃終了後には再び防護部材70を回転させて裏部72が受光光学系側に面するように配置し直してもよく、図6(b)の状態で使用し、適当な時期に反転して図1のような状態に戻してもよい。
【0045】
本実施形態では、保持・回転機構60が「移動手段」の一例に相当し、防護部材70の裏部72を、図1のように受光光学系側に面する位置から、図6(b)のような清掃可能位置に移動させるように機能する。なお、本実施形態では、裏部72が読取口5側に面する位置が「清掃可能位置」に相当する。また、保持・回転機構は、「回転手段」の一例に相当し、図1のように読取時に受光光学系側に面する裏部72を、防護部材70を回転させることで読取口5側に向かせるように機能する。
【0046】
また、回転保持機構60は、図5に示す位置決め機構63によって防護部材70を任意の回転位置に保持できるようになっている。この位置決め機構63は、軸部61に固定されて当該軸部61と一体的に回転する歯車部64と、歯車部64と係合する係合部材65とからなり、これらがケース2に形成されたキャビティ状の収容部8に収容されている。係合部材65は、弾性変形可能なアーム状に構成され、基端部65bがケース2に固定されており、係合突起65aが形成された先端部側が歯車部64の外周部側に付勢されている。
【0047】
歯車部64の外周部には、複数の歯が所定ピッチで形成されており、いずれかの歯間に係合突起65aが進入することで、歯車部64と係合部材65とが係合し、軸部61の回転が拘束されるようになっている。例えば図1の状態で、上記位置決め機構63により上記係合がなされると、表部71が読取口5側に面し、裏部72が受光光学系側に面した状態で防護部材70が位置決めされ、防護部材70が安定的に位置保持されることとなる。
【0048】
また、上記位置決め機構63は、操作部61aに対する回転操作によって位置決めを解除できるようになっている。即ち、歯車部64の各歯は、係合突起65a側に面する面が周方向に対して傾斜するテーパ面として構成されており、操作部61aをある程度以上の力で回転させると、係合突起65aがアーム部65cによる付勢に抗してテーパ面によって半径方向外側に案内され、歯間から係合突起65aが離脱するようになっている。
【0049】
このように構成されているため、操作部61aの回転操作を続けることで、歯間と係合突起65aとの係合と、上記のような離脱動作を繰り返すことができ、軸部61を所望の回転位置まで変位させることができる。そして、その所望の回転位置で操作部61aに対する回転操作を止めることにより当該回転位置で位置決めできる。例えば、図1の状態で位置決め機構63によって位置決めされている場合には、操作部61aに対する回転操作に応じて位置決め機構63による位置決めが解除され、図6(a)(b)のように更なる回転操作がなされたときに裏部72を清掃可能位置(図6(b))に移動させることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、図2に示すように、操作部61aに十字状の溝(プラス溝)が形成されており、例えば、プラスドライバーなどの工具を用いることで操作部61aを簡単に回転操作できるようになっている。また、図2の構成はあくまで一例であり、操作部61aの構成は作業者によって操作可能な構成であればよく、例えば、マイナス溝が形成されてマイナスドライバーなどの工具によって操作する構成であってもよく、操作部61aをケース2から突出するように形成し、当該操作部61aを摘んで操作できるようにしてもよい。
【0051】
本実施形態の構成によれば、例えば以下のような効果を奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置1では、ケース2内における読取口5と受光光学系との間に、透光性の防護部材70が保持され、この防護部材70の裏部72を受光光学系側に面する位置から清掃可能位置(図6(b))に移動させるように保持・回転機構60が構成されている。このようにすると、読取口5からケース2内に塵等の異物が進入するのを効果的に防ぐことができ、更に、防護部材70の裏部72を清掃すべき場合(例えば、防護部材70の裏部に、ケース2内で生じた削れ粉などが付着した場合)に、容易に清掃作業を行うことができる。
【0052】
また、「回転手段」に相当する保持・回転機構60は、図1のように読取時に受光光学系側に面する裏部72を、図6(a)(b)のように防護部材70を回転させることで、読取口5側に向かせる構成をなしている。このようにすると、必要に応じて裏部72を読取口5側に向かせうる構成を簡易に実現でき、これにより、読取口5を介して清掃部材等をケース2内に進入させ、裏部72を良好に清掃できるようになる。
【0053】
また、防護部材70と連動する操作部61aが設けられ、この操作部61aがケース2の外部に露出した構成をなしている。このようにすると、防護部材70を移動させるために複雑なケース2内作業を行う必要がなく、外部に露出する操作部61aを利用して防護部材70を簡易に移動できる。
【0054】
また、表部71が読取口5側に面し、裏部72が受光光学系側に面した状態で防護部材70を位置決め可能な位置決め機構63が設けられている。このようにすると、読み取りの際には表部71及び裏部72を図1に示す所定位置に安定的に配置できる。また、清掃を行う際には、外部に露出する操作部61aに対して所定操作を行うことで位置決めを解除して裏部72を清掃可能位置(図6(b))に容易に移動させることができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。図7は第2実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。なお、第2実施形態の光学的情報読取装置200は、防護部材の位置を変更した点が第1実施形態の光学的情報読取装置1と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。例えば、防護部材270の構成は第1実施形態の防護部材70と同様であり、この防護部材270を保持する保持・回転機構は、第1実施形態の保持・回転機構60と同様である。また、ケース2、回路部20、反射鏡7なども第1実施形態と同様である。よって同様の点については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0056】
本実施形態の光学的情報読取装置200も、読取口5を備えたケース2と、ケース2内において読取口5と受光光学系との間に配される透光性の防護部材270と、防護部材270を保持する保持・回転機構60(図4参照、図7では図示略)と、を備えており、防護部材270の一方面側を表部271とし、他方面側を裏部272としている。
【0057】
保持・回転機構60は、第1実施形態と同様に機能し、読取時に受光光学系側に面する防護部材270の裏部272を、受光光学系側に面する位置(図7)から清掃可能位置(図7の状態から防護部材270を反転した位置)に移動し得る構成をなしている。
【0058】
一方、本実施形態に係る光学的情報読取装置200では、図7に示すように、読取口5と受光光学系との間において受光光学系側に寄った位置に防護部材270が配置されている。具体的には、照明光源21によって照射される光の経路(図7のLf参照)を避けた位置であって、且つ照明光源21に隣接する位置に、上記保持・回転機構60によって保持される形態で防護部材が回転可能に配置されている。図7の例では、読取口5よりも、受光光学系のうちの読取口5に最も近い部品(図7では、反射鏡7)に寄った状態で防護部材270が保持されており、その保持位置で回転軸Gを中心に回転しうる構成をなしている。
【0059】
なお、本実施形態でも、保持・回転機構60が「移動手段」の一例に相当し、防護部材270の裏部272を、受光光学系側に面する位置(図7)から清掃可能位置に移動させるように機能する。本実施形態では、裏部272が読取口5側に面する位置(図7の状態から防護部材270を反転した位置)が「清掃可能位置」に相当する。また、本実施形態でも保持・回転機構60が「回転手段」の一例に相当し、図7のように読取時に受光光学系側に面する裏部272を、防護部材270を回転させることで読取口5側に向かせるように機能する。また、本実施形態でも、第1実施形態と同様の操作部61a(図2参照)や位置決め機構63(図5参照)が設けられている。
【0060】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果をも奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置200では、読取口5と受光光学系との間において受光光学系側に寄った位置に防護部材270が配置されている。このようにすると、防護部材270をより奥まった位置に配置することができるため、作業者の手などが防護部材270に触れにくくなり、防護部材270の汚損を効果的に抑制できる。
【0061】
また、照明光源21(投光手段)によって照射される光の経路を避けた位置であって、且つ照明光源21に隣接する位置に防護部材270が配置されている。このように投光経路を避けた位置に防護部材270を配置すると、照明光源21に起因する位置的な制約をあまり受けずに防護部材270を配置でき、防護部材270をより奥まった位置に配置しやすくなる。また、投受光路6から完全に防護部材を取り除くのではなく、清浄性をより重視すべき受光光学系側に上記防護部材270を選択的に配置しているため、内部をより効率的且つ効果的に保護できる。
【0062】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について図8及び図9を参照して説明する。図8は第3実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。図9は、図8のC−C断面を概略的に例示する断面図である。なお、第3実施形態の光学的情報読取装置300は、防護部材の位置、構成を変更した点、及び清掃部材を設けた点が第1実施形態の光学的情報読取装置1と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
【0063】
例えば、防護部材370を保持する保持・回転機構は、第1実施形態の保持・回転機構60と同様であり、ケース2、回路部20、反射鏡7なども第1実施形態と同様である。よって同様の点については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。なお、図9では、保持・回転機構60(図4)の一部となるべき軸部61、62、歯車部64を示しており、軸部61、62を保持する軸受部68、69(図4)や、位置決め機構63を構成する他の部品(図5)などは省略して示している。
【0064】
本実施形態の光学的情報読取装置300も、読取口5を備えたケース2と、ケース2内において読取口5と受光光学系との間に配される透光性の防護部材370と、防護部材370を保持する保持・回転機構60(図4参照、図8では図示略)と、を備えている。
【0065】
防護部材370は、図8、図9に示すように透明な樹脂材料などによって円筒状に構成されており、読取対象物Rからの反射光Lrを透過し得る構成をなしている。
【0066】
また、上記防護部材370は、読取口5と受光光学系との間において受光光学系側に寄った位置に配置されている。具体的には、照明光源21によって照射される光の経路(図8のLf参照)を避けた位置であって、且つ照明光源21に隣接する位置に、上記保持・回転機構60によって保持される形態で防護部材370が回転可能に配置されている。図8の例では、読取口5よりも、受光光学系のうちの読取口5に最も近い部品(図8では、反射鏡7)に寄った状態で防護部材370が保持されており、その保持位置で回転軸Gを中心に回転しうる構成をなしている。
【0067】
また、図8、図9に示すように、防護部材370の円筒軸方向に長手状に延びる形態で清掃部材380が設けられている。この清掃部材380は、防護部材370よりも軟質の樹脂材料などによって構成されており、防護部材370の円筒軸方向ほぼ全体に亘って当該防護部材370の外周部に接触する構成をなしている。
【0068】
このように構成される防護部材370及び清掃部材380は、図8のように、防護部材370における、読み取りの際に読取口5に面する形態で配置されうるいずれかの部分を表部371とし、その表部371とされた部分が読取口5に面するように配置されたときに受光光学系側に面するように配置される部分を裏部372としたとき、防護部材370を回転軸Gを中心として回転することで、読み取りの際に受光光学系側に面していた裏部372を清掃部材380と接触させつつ移動させることができるようになっている。これにより、防護部材370の裏部372が清掃部材380によって拭き取られ、当該裏部372の表面に付着する異物(削れ粉等)が除去される。
【0069】
本実施形態でも、保持・回転機構60が「移動手段」の一例に相当し、防護部材370において裏部とされた部分(図8では、裏部372を例示)を、受光光学系側に面する位置(図8)から清掃可能位置に移動させるように機能する(より具体的には、裏部とされた部分を清掃部材380に接触させつつ移動させるように機能する)。なお、本実施形態では、裏部とされた部分が清掃部材380に接触する位置が「清掃可能位置」に相当する。
【0070】
また、保持・回転機構60は、「回転手段」の一例に相当し、防護部材370の円筒中心を回転軸として当該防護部材370の外周部を周方向に回転させるように機能する。また、本実施形態でも、第1実施形態と同様の操作部61a(図2参照)や位置決め機構63(図5参照)が設けられている。
【0071】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置300では、防護部材370の汚れを拭き取る清掃部材380が設けられ、防護部材370における裏部とされる部分(図8では裏部372)を清掃部材380に接触させつつ移動させるように構成されている。このようにすると、裏部とされた部分を清掃するための特別な清掃部材を用いる必要がなく、清掃作業を手軽に行うことができる。また、清掃部材の移動に応じて裏部が清掃されるため、裏部の清掃に際し複雑な作業や細かな作業を省略でき、清掃作業を一層容易化できる。
【0072】
また、防護部材370が円筒状に構成されており、外周部の一部分を表部(読み取りの際に読取口側に面する部分)として機能させ、外周部の他部分を裏部(読み取りの際に受光光学系側に面する部分)として機能させることができるようになっている。更に、防護部材370の外周部に接触するように清掃部材380が設けられ、防護部材370の円筒中心を回転軸として外周部を周方向に回転させる構成をなしている。このようにすると、裏部とされる部分を清掃部材380によってスムーズに拭き取り得る構成を簡易に実現できる。
【0073】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について図10及び図11を参照して説明する。図10は第4実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。図11は、図10の光学的情報読取装置に用いられる防護部材及び清掃部材を概略的に例示する斜視図である。なお、第4実施形態の光学的情報読取装置400は、防護部材の構成を変更した点、及び清掃部材を設けた点が第1実施形態の光学的情報読取装置1と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
【0074】
例えば、防護部材470を保持する保持・回転機構は、第1実施形態の保持・回転機構60と同様であり、ケース2、回路部20、反射鏡7なども第1実施形態と同様である。よって同様の点については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0075】
本実施形態の光学的情報読取装置400も、読取口5を備えたケース2と、ケース2内において読取口5と受光光学系との間に配される透光性の防護部材470と、防護部材470を保持する保持・回転機構60(図4参照、図8では図示略)とを備えている。
【0076】
本実施形態で用いられる防護部材470は、例えば透明な樹脂材料からなるものであり、図10、図11に示すように両面が円筒面状に構成される湾曲部材によって構成されている。この防護部材470は、一方面側が表部471として構成され、他方面側が裏部472として構成されており、照明光源21からの照明光Lf、及び読取対象物Rからの反射光Lrのいずれも透過し得る構成をなしている。なお、防護部材470の両端部には一対の壁部473、474が固定されており、これら壁部473、474から回転軸Gの方向に延びる形態で上述の軸部61、62(図4参照、図11では図示略)が設けられ、第1実施形態と同様の保持・回転機構60が構成されている。
【0077】
また、図10、図11に示すように、防護部材470の回転軸方向に長手状に延びる形態で清掃部材480が設けられている。この清掃部材480は、防護部材470よりも軟質の樹脂材料などによって構成されており、防護部材470の長手方向ほぼ全体に亘って当該防護部材470の裏部472に接触する構成をなしている。
【0078】
また、清掃部材480とは異なる位置(具体的には、清掃部材480に対し防護部材470を挟んだ反対側)に、第2の清掃部材482が設けられており、表部471が第2の清掃部材480に接触する構成をなしている。図10の例では、清掃部材480と第2の清掃部材482とが所定間隔をあけて配置されており、これら清掃部材480及び第2清掃部材482の間を通りながら防護部材470が変位する構成をなしている。
【0079】
このように構成される防護部材470、清掃部材480、及び第2の清掃部材482は、読み取りの際には、図10のように、表部471が読取口5に面し、裏部472が受光光学系側に面する形態で配置される。一方、清掃する際には、防護部材470を回転軸Gを中心として回転させることで(図10の破線参照)、読み取りの際に受光光学系側に面していた裏部472を清掃部材480と接触させつつ移動させることができ、これにより、防護部材470の裏部472を清掃部材480によって拭き取ることができる。また、上記回転に伴い、表部471を第2の清掃部材482と接触させつつ移動させることができ、表部471についても第2の清掃部材482によって拭き取ることができる。
【0080】
なお、本実施形態でも、保持・回転機構60が「移動手段」の一例に相当し、防護部材470の裏部472を、受光光学系側に面する位置(図10)から清掃可能位置に移動させるように機能する(より具体的には、裏部472を清掃部材480に接触させつつ移動させるように機能する)。なお、本実施形態では、裏部472が清掃部材480に接触する位置が「清掃可能位置」に相当する。
【0081】
また、保持・回転機構60は、「回転手段」の一例に相当し、防護部材470を所定の回転軸Gを中心として回転させることで、裏部472を清掃部材480に接触させつつ周方向に移動させるように機能する。また、本実施形態でも、第1実施形態と同様の操作部61a(図2参照)や位置決め機構63(図5参照)が設けられている。
ことを特徴とする。
【0082】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置400では、防護部材470の汚れを拭き取る清掃部材480が設けられ、防護部材470の裏部472を清掃部材480に接触させつつ移動させるように構成されている。このようにすると、裏部472を清掃するための特別な清掃部材を別途用意する必要がなく、清掃作業を手軽に行うことができる。また、清掃部材480に対する裏部472の相対移動に応じて裏部472が清掃されるため、裏部472の清掃に際し複雑な作業や細かな作業を省略でき、清掃作業を一層容易化できる。
【0083】
また、両面が円筒面状の湾曲部材によって防護部材470が構成されると共に、一方面側が表部471として構成され、他方面側が裏部472として構成されており、この裏部472に接触する位置に清掃部材480が配置されている。そして、所定の回転軸を中心として防護部材470を回転させることで、当該防護部材470の裏部472を清掃部材480に接触させつつ周方向に移動させる構成をなしている。このようにすると、裏部472を清掃部材480によってスムーズに拭き取りうる構成を簡易に実現できる。
【0084】
更に、清掃部材480は異なる位置に第2の清掃部材482が設けられており、防護部材470の表部471を第2の清掃部材482と接触させつつ移動させ得るように構成されている。このようにすると、防護部材470の移動に伴い、裏部472のみならず表部471についても清掃できるため、防護部材470の表裏両方の清掃を容易に行うことができる。また、防護部材470の移動によって表部471及び裏部472を一度に清掃できるため、より短時間で清掃を完了できる。
【0085】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
上記実施形態では、位置決め手段の一例として位置決め機構63を例示したが、防護部材を任意の回転位置に位置決めしうる構成であれば上記例に限定されない。例えば、図4の一点鎖線90に示すように、軸部61又はこれに固定される固定部(図4では、歯車部64)に当接可能な当接部材を設け、当該当接部材と軸部61又は上記固定部とを当接させることでその摩擦力により防護部材を位置決めしてもよい。当接部材の例としては、軸部61或いは固定部に対して進退可能な部材(例えばねじ部材等)などを好適に用いることができる。
【0087】
第3実施形態では、防護部材370や清掃部材380を受光光学系寄りに配置した例を示したが、防護部材370を第1実施形態の防護部材70と同程度の位置(投光光学系及び受光光学系をいずれもカバーしうる位置)に配置し、これと接触するように清掃部材380を配置してもよい。
【0088】
第4実施形態で用いられた防護部材470を受光光学系寄りの位置に配置し、これと接触するように清掃部材480及び第2の清掃部材482を配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は第1実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の光学的情報読取装置の側面図である。
【図3】図3は、図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】図4は、図2のA−A断面を概略的に例示する断面図である。
【図5】図5は、図4のB−B断面付近を説明する説明図である。
【図6】図6(a)は、防護部材を回転させる様子を説明する説明図であり、図6(b)は、防護部材の裏部を読取口5側に向けた様子を説明する説明図である。
【図7】図7は第2実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図8】図8は第3実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図9】図9は、図8のC−C断面付近を概略的に例示する断面図である。
【図10】図10は第4実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図11】図11は、図10の光学的情報読取装置に用いられる防護部材及び清掃部材を概略的に例示する斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
1,200,300,400…光学的情報読取装置
2…ケース
5…読取口
7…反射鏡(受光光学系)
21…照明光源(投光手段)
27…結像レンズ(受光光学系)
28…受光センサ(受光光学系)
60…保持・回転機構(保持手段、移動手段、回転手段)
61a…操作部
63…位置決め機構(位置決め手段)
70,270,370…防護部材
71,271,371,471…表部
72,272,372,472…裏部
380,480…清掃部材
470…防護部材(湾曲部材)
482…第2の清掃部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学的情報読取装置の分野において、装置内部への異物侵入を防ぐ防護プレートを設けた構成が提供されている。例えば、特許文献1で開示されるバーコードリーダでは、シリンドリカルレンズを一体形成した防塵カバーをケースの開口部(読取口)近傍に設け、装置内部への異物侵入を防止している。
【特許文献1】実開平5−17760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記防護プレートは、一般的に読取口を閉塞する形態で固定されるため、外部からの塵等の異物が外面に付着する場合がある。このような異物の清掃方法としては、例えば読取口から細長の清掃部材を進入させ、当該清掃部材によって防護プレート外面に付着した異物を拭い取るといった方法が効果的である。
【0004】
他方、上記異物は防護プレート内面に付着する場合もありうる。例えば、光学的情報読取装置のケース内では、部品同士の接触等に起因する削れ粉が発生する場合があり、このような削れ粉が防護プレート内面に付着すると、光学系に影響を及ぼし、読み取り不良を招くおそれがある。
【0005】
このように、防護プレートによって読取口を閉塞してなる光学的情報読取装置では、防護プレート内面の異物が問題となり、当該異物(即ち、防護プレート内面に付着した削れ粉など)を効果的に除去できる構成が望まれている。しかしながら、従来のように読取口を閉塞する形態で防護プレートを固定する構成の場合、装置全体を分解しない限り防護プレート内面にアクセスすることができず、防護プレート内面に付着した異物を容易に取り除くことができなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、読取口から受光光学系に至るまでの経路上に外部からの異物を除去する防護部材を配置してなる光学的情報読取装置において、防護部材内面の清掃を迅速且つ容易に行い得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、光学的情報からの反射光を受光する受光光学系を有する光学的情報読取装置であって、読取口を備えたケースと、前記ケース内において前記読取口と前記受光光学系との間に配される透光性の防護部材と、前記防護部材を保持する保持手段と、を備え、前記防護部材は、読取時に前記読取口側に面する表部と、読取時に前記受光光学系側に面する裏部とを有し、前記保持手段は、前記防護部材の前記裏部を、前記受光光学系側に面する位置から清掃可能位置に移動させる移動手段を有することを特徴とする。
請求項1における「清掃可能位置」とは、「前記裏部が前記読取口側に面する位置」、「前記裏部が所定位置に配置された清掃部材に接触する位置」のいずれをも含む概念である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記移動手段は、読取時に前記受光光学系側に面する前記裏部を、前記防護部材を回転させることで前記読取口側に向かせる回転手段からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記防護部材の汚れを拭き取る清掃部材を備え、前記移動手段は、前記裏部を前記清掃部材に接触させつつ移動させることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記防護部材は、円筒状に構成されると共に、外周部の一部分が前記表部として構成され、前記外周部の他部分が前記裏部として構成されており、前記清掃部材は、前記防護部材の前記外周部に接触する構成をなしており、前記移動手段は、前記防護部材の円筒中心を回転軸として前記外周部を周方向に回転させる回転手段からなることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記防護部材は、両面が円筒面状に構成される湾曲部材からなり、一方面側が前記表部として構成され、他方面側が前記裏部として構成されており、前記清掃部材は、前記裏部に接触する位置に配置され、前記移動手段は、前記防護部材を所定の回転軸を中心として回転させることで、前記裏部を前記清掃部材に接触させつつ周方向に移動させることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記清掃部材とは異なる位置に第2の清掃部材が設けられており、前記移動手段は、前記表部を前記第2の清掃部材と接触させつつ移動させることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記防護部材は、前記読取口と前記受光光学系との間において前記受光光学系側に寄った位置に配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記光学的情報に対して光を照射する投光手段を備え、前記防護部材は、前記投光手段によって照射される光の経路を避けた位置であって、且つ前記投光手段に隣接する位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記移動手段は、前記防護部材と連動する操作部を備え、前記操作部が前記ケースの外部に露出した構成をなしていることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項9に記載の光学的情報読取装置において、前記保持手段は、前記表部が前記読取口側に面し、前記裏部が前記受光光学系側に面した状態で前記防護部材を位置決めする位置決め手段を有し、前記移動手段は、前記操作部に対する所定操作に応じて前記位置決め手段による位置決めが解除されたときに前記裏部を前記清掃可能位置に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、読取口を備えたケース内において読取口と受光光学系との間において透光性の防護部材が保持されている。そして、この防護部材の裏部を受光光学系側に面する位置から清掃可能位置に移動させる移動手段が設けられている。このようにすると、読取口からケース内に塵等の異物が進入するのを効果的に防ぐことができ、更に、防護部材の裏部を清掃すべき場合(例えば、防護部材の裏部に、ケース内で生じた削れ粉などが付着した場合)に、容易に清掃作業を行うことができるようになる。
【0018】
請求項2の発明は、防護部材を回転する回転手段が設けられ、この回転手段は、読取時に受光光学系側に面する裏部を、防護部材を回転させることで、読取口側に向かせる構成をなしている。このようにすると、必要に応じて裏部を読取口側に向かせることが可能な構成を簡易に実現でき、これにより、読取口を介して清掃部材等をケース内に進入させ、裏部を良好に清掃できるようになる。
【0019】
請求項3の発明は、防護部材の汚れを拭き取る清掃部材が設けられ、防護部材の裏部を清掃部材に接触させつつ移動させるように構成されている。このようにすると、裏部を清掃するための特別な清掃部材を別途用意する必要がなく、清掃作業を手軽に行うことができる。また、清掃部材の移動に応じて裏部が清掃されるため、裏部の清掃に際し複雑な作業や細かな作業を省略でき、清掃作業を一層容易化できる。
【0020】
請求項4の発明は、防護部材が円筒状に構成されており、外周部の一部分が表部として構成され、外周部の他部分が裏部として構成されている。更に、防護部材の外周部に接触するように清掃部材が設けられ、防護部材の円筒中心を回転軸として外周部を周方向に回転させる構成をなしている。このようにすると、裏部とされた部分を清掃部材によってスムーズに拭き取りうる構成を簡易に実現できる。
【0021】
請求項5の発明は、両面が円筒面状の湾曲部材によって防護部材が構成されると共に、その一方面側が表部として構成され、他方面側が裏部として構成されており、この裏部に接触する位置に清掃部材が配置されている。そして、所定の回転軸を中心として防護部材を回転させることで、当該防護部材の裏部を清掃部材に接触させつつ周方向に移動させる構成をなしている。このようにすると、裏部とされた部分を清掃部材によってスムーズに拭き取りうる構成を簡易に実現できる。
【0022】
請求項6の発明は、清掃部材とは異なる位置に第2の清掃部材が設けられており、防護部材の表部を第2の清掃部材と接触させつつ移動させるように構成されている。このようにすると、防護部材の移動に伴い、当該防護部材の裏部のみならず表部についても清掃できるため、防護部材の表裏両方の清掃を容易に行うことができる。また、防護部材の移動によって表部と裏部をいずれも清掃できるため、より短時間で清掃を完了できる。
【0023】
請求項7の発明は、読取口と受光光学系との間において受光光学系側に寄った位置に防護部材が配置されている。このようにすると、防護部材をより奥まった位置に配置することができるため、作業者の手などが防護部材に触れにくくなり、防護部材の汚損を効果的に抑制できる。
【0024】
請求項8の発明は、投光手段によって照射される光の経路を避けた位置であって、且つ投光手段に隣接する位置に防護部材が配置されている。このように投光経路を避けた位置に防護部材を配置すると、投光手段に起因する位置的な制約をあまり受けずに防護部材を配置でき、防護部材をより奥まった位置に配置しやすくなる。また、投受光路から完全に防護部材を取り除くのではなく、清浄性をより重視すべき受光光学系側に上記防護部材を選択的に配置しているため、内部をより効率的且つ効果的に保護できる。
【0025】
請求項9の発明は、防護部材と連動する操作部が設けられ、この操作部がケースの外部に露出した構成をなしている。このようにすると、防護部材を移動させるために複雑なケース内作業を行う必要がなく、外部に露出する操作部を利用して防護部材を簡易に移動できる。
【0026】
請求項10の発明は、表部が読取口側に面し、裏部が受光光学系側に面した状態で防護部材を位置決めする位置決め手段を有している。このようにすると、読み取りの際には表部及び裏部を所定位置に安定的に配置できる。また、清掃を行う際には、外部に露出する操作部に対して所定操作を行うことで位置決めを解除して裏部を清掃可能位置に容易に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置について図面を参照しつつ説明する。図1は第1実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図であり、図2は、図1の光学的情報読取装置の側面図である。図3は、図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図4は、図2のA−A断面を概略的に例示する断面図であり、図5は、図4のB−B断面を説明する説明図である。図6(a)は、防護部材を回転させる様子を説明する説明図であり、図6(b)は、防護部材の裏部を読取口側に向けた様子を説明する説明図である。
【0028】
まず、図1〜図3を参照して全体構成について説明する。
図1、図2に示す光学的情報読取装置1は、一次元コードや二次元コードを読み取る情報コードリーダとして構成されるものである。
【0029】
図1、図2に示すように、光学的情報読取装置1は、ケース2の内部に回路部20が収容されてなるものであり、ケース2には後述する照明光や反射光を導通させるための読取口5が形成されている。ケース2は、上ケース2aと下ケース2bとが結合する形態で全体的に略長手状に構成されており、図1の例では長手方向一端側において開口する形態で読取口5が設けられている。また、ケース2は、読取口5が形成される先端部側が、プリント配線板25が収容される回路収容部側に対して折れ曲がる形態をなしている。
【0030】
図3に示すように、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ50等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されており、前述したプリント配線板25に実装あるいはケース2に装着されている。
【0031】
光学系は、光学的情報に対して照明光を投光する投光光学系と、光学的情報からの反射光を受光する受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、図1に示すように、赤色のLED22とこのLED22の出射側に設けられるレンズ23とから構成されている。
【0032】
受光光学系は、図1、図3に示すように、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡7によって構成されている。受光センサ28は、読取対象物RやバーコードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるものである。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板25に実装されている。なお、図3では、反射光の受光対象となる光学的情報の一例としての読取対象物Rに貼り付けられたバーコードBを示している。
【0033】
結像レンズ27は、外部から読取口5を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが、バーコードBにて反射した後、反射鏡7で反射されるようになっている。そして、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0034】
また、図3に示す回路部20には、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ50、ブザー44、通信インタフェース48等が設けられている。
【0035】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード像画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0036】
制御回路40は、光学的情報読取装置1全体を制御可能なマイコンからなるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を備えた構成をなしている。この制御回路40は情報処理機能を有しており、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続されている。本実施形態の場合、トリガースイッチ50、ブザー44、通信インタフェース48などが制御回路40に接続されている。
【0037】
次に、防護部材70と、この防護部材70を保持する保持・回転機構60について説明する。
図1に示すように、光学的情報読取装置1は、回路基板20側から読取口5に連通する投受光路6を閉塞するように投光性の防護部材70が設けられている。この防護部材70は、透明な樹脂材材料などによって矩形状かつ板状に構成されており、照明光源21からの照明光Lf、及び読取対象物Rからの反射光Lrのいずれも透過し得る構成をなしている。
【0038】
図4に示すように、防護部材70は、光学的情報読取装置1の幅方向に沿った長手状に構成されており、その長手方向両端部が後述する保持・回転機構60に保持されている。本実施形態では図1のように、投受光路6内における読取口5と上記受光光学系との間において防護部材70が変位可能に保持されている。なお、保持・回転機構60は、「保持手段」の一例に相当し、防護部材70を保持する機能を有する。
【0039】
保持・回転機構60は、図4に示すように、防護部材70の両端に固定される一対の軸部61、62と、これら軸部61、62をそれぞれ回転可能に保持する軸受部68,69と、防護部材70の位置決めを行う位置決め機構63とによって構成されている。
【0040】
軸部61,62は、光学的情報読取装置1の幅方向に延びており、後述する操作部61aに対する回転操作に応じ、幅方向の回転軸Gを中心として回転する構成をなしている。軸受部68、69は、ケース2に形成された孔部によって構成されており、一方の軸受部68は、投受光路8からケース2外部に至るまで孔が貫通しており、軸部61はこの軸受部68に回転可能に支持された状態でその一端部(操作部61a)を外部に露出させている。軸受部69を構成する孔部は、投受光路6から所定の深さ形成されており、軸部62は、この軸受部69と嵌合し当該軸受部69によって回転可能に支持されている。
【0041】
なお、図4では、軸部62側がケース2外部に露出しないように構成した例を示したが、軸受部69が投受光部6からケース2外部まで貫通し、軸部62の一端部が外部に露出するように構成してもよい。
【0042】
上記防護部材70は、この保持・回転機構60によって支持され、読み取りなどの通常の使用の際には、例えば図1のように、板状に構成される防護部材70の一方面側が読取口5側に向き、他方面側が受光光学系側に向いた状態で保持されるようになっている。本実施形態では、防護部材70の一方面側を表部71とし、他方面側を裏部72としており、図1のように、表部71が読取口5側に向き、裏部72が受光光学系側に向いた状態で図4のように投受光路6が閉塞されるようになっており、この状態でバーコード等の読み取りなどを良好に行うことができるようになっている。
【0043】
一方、保持・回転機構60は、上記のように構成される防護部材70を操作部61aに対する操作に応じて移動させる構成をなしている。この操作部61aは、軸部61の一部として構成されて当該軸部61が固定された防護部材70と連動する構成をなしており、図1のように受光光学系側に裏部72が面した状態から、作業者が操作部61aを回転させる操作を行うことにより、図6(a)のように防護部材70が回転軸Gを中心として回転し、図6(b)のように裏部72を反転させて読取口5側に向かせることができるようになっている。
【0044】
図6(b)のように裏部72が読取口5側に向いたときには、読取口5から布等の清掃部材を進入させて裏部72側の面を拭き取ることができ(矢印F1参照)、これにより裏部72を清浄な状態とすることができる。裏部72の清掃終了後には再び防護部材70を回転させて裏部72が受光光学系側に面するように配置し直してもよく、図6(b)の状態で使用し、適当な時期に反転して図1のような状態に戻してもよい。
【0045】
本実施形態では、保持・回転機構60が「移動手段」の一例に相当し、防護部材70の裏部72を、図1のように受光光学系側に面する位置から、図6(b)のような清掃可能位置に移動させるように機能する。なお、本実施形態では、裏部72が読取口5側に面する位置が「清掃可能位置」に相当する。また、保持・回転機構は、「回転手段」の一例に相当し、図1のように読取時に受光光学系側に面する裏部72を、防護部材70を回転させることで読取口5側に向かせるように機能する。
【0046】
また、回転保持機構60は、図5に示す位置決め機構63によって防護部材70を任意の回転位置に保持できるようになっている。この位置決め機構63は、軸部61に固定されて当該軸部61と一体的に回転する歯車部64と、歯車部64と係合する係合部材65とからなり、これらがケース2に形成されたキャビティ状の収容部8に収容されている。係合部材65は、弾性変形可能なアーム状に構成され、基端部65bがケース2に固定されており、係合突起65aが形成された先端部側が歯車部64の外周部側に付勢されている。
【0047】
歯車部64の外周部には、複数の歯が所定ピッチで形成されており、いずれかの歯間に係合突起65aが進入することで、歯車部64と係合部材65とが係合し、軸部61の回転が拘束されるようになっている。例えば図1の状態で、上記位置決め機構63により上記係合がなされると、表部71が読取口5側に面し、裏部72が受光光学系側に面した状態で防護部材70が位置決めされ、防護部材70が安定的に位置保持されることとなる。
【0048】
また、上記位置決め機構63は、操作部61aに対する回転操作によって位置決めを解除できるようになっている。即ち、歯車部64の各歯は、係合突起65a側に面する面が周方向に対して傾斜するテーパ面として構成されており、操作部61aをある程度以上の力で回転させると、係合突起65aがアーム部65cによる付勢に抗してテーパ面によって半径方向外側に案内され、歯間から係合突起65aが離脱するようになっている。
【0049】
このように構成されているため、操作部61aの回転操作を続けることで、歯間と係合突起65aとの係合と、上記のような離脱動作を繰り返すことができ、軸部61を所望の回転位置まで変位させることができる。そして、その所望の回転位置で操作部61aに対する回転操作を止めることにより当該回転位置で位置決めできる。例えば、図1の状態で位置決め機構63によって位置決めされている場合には、操作部61aに対する回転操作に応じて位置決め機構63による位置決めが解除され、図6(a)(b)のように更なる回転操作がなされたときに裏部72を清掃可能位置(図6(b))に移動させることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、図2に示すように、操作部61aに十字状の溝(プラス溝)が形成されており、例えば、プラスドライバーなどの工具を用いることで操作部61aを簡単に回転操作できるようになっている。また、図2の構成はあくまで一例であり、操作部61aの構成は作業者によって操作可能な構成であればよく、例えば、マイナス溝が形成されてマイナスドライバーなどの工具によって操作する構成であってもよく、操作部61aをケース2から突出するように形成し、当該操作部61aを摘んで操作できるようにしてもよい。
【0051】
本実施形態の構成によれば、例えば以下のような効果を奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置1では、ケース2内における読取口5と受光光学系との間に、透光性の防護部材70が保持され、この防護部材70の裏部72を受光光学系側に面する位置から清掃可能位置(図6(b))に移動させるように保持・回転機構60が構成されている。このようにすると、読取口5からケース2内に塵等の異物が進入するのを効果的に防ぐことができ、更に、防護部材70の裏部72を清掃すべき場合(例えば、防護部材70の裏部に、ケース2内で生じた削れ粉などが付着した場合)に、容易に清掃作業を行うことができる。
【0052】
また、「回転手段」に相当する保持・回転機構60は、図1のように読取時に受光光学系側に面する裏部72を、図6(a)(b)のように防護部材70を回転させることで、読取口5側に向かせる構成をなしている。このようにすると、必要に応じて裏部72を読取口5側に向かせうる構成を簡易に実現でき、これにより、読取口5を介して清掃部材等をケース2内に進入させ、裏部72を良好に清掃できるようになる。
【0053】
また、防護部材70と連動する操作部61aが設けられ、この操作部61aがケース2の外部に露出した構成をなしている。このようにすると、防護部材70を移動させるために複雑なケース2内作業を行う必要がなく、外部に露出する操作部61aを利用して防護部材70を簡易に移動できる。
【0054】
また、表部71が読取口5側に面し、裏部72が受光光学系側に面した状態で防護部材70を位置決め可能な位置決め機構63が設けられている。このようにすると、読み取りの際には表部71及び裏部72を図1に示す所定位置に安定的に配置できる。また、清掃を行う際には、外部に露出する操作部61aに対して所定操作を行うことで位置決めを解除して裏部72を清掃可能位置(図6(b))に容易に移動させることができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。図7は第2実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。なお、第2実施形態の光学的情報読取装置200は、防護部材の位置を変更した点が第1実施形態の光学的情報読取装置1と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。例えば、防護部材270の構成は第1実施形態の防護部材70と同様であり、この防護部材270を保持する保持・回転機構は、第1実施形態の保持・回転機構60と同様である。また、ケース2、回路部20、反射鏡7なども第1実施形態と同様である。よって同様の点については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0056】
本実施形態の光学的情報読取装置200も、読取口5を備えたケース2と、ケース2内において読取口5と受光光学系との間に配される透光性の防護部材270と、防護部材270を保持する保持・回転機構60(図4参照、図7では図示略)と、を備えており、防護部材270の一方面側を表部271とし、他方面側を裏部272としている。
【0057】
保持・回転機構60は、第1実施形態と同様に機能し、読取時に受光光学系側に面する防護部材270の裏部272を、受光光学系側に面する位置(図7)から清掃可能位置(図7の状態から防護部材270を反転した位置)に移動し得る構成をなしている。
【0058】
一方、本実施形態に係る光学的情報読取装置200では、図7に示すように、読取口5と受光光学系との間において受光光学系側に寄った位置に防護部材270が配置されている。具体的には、照明光源21によって照射される光の経路(図7のLf参照)を避けた位置であって、且つ照明光源21に隣接する位置に、上記保持・回転機構60によって保持される形態で防護部材が回転可能に配置されている。図7の例では、読取口5よりも、受光光学系のうちの読取口5に最も近い部品(図7では、反射鏡7)に寄った状態で防護部材270が保持されており、その保持位置で回転軸Gを中心に回転しうる構成をなしている。
【0059】
なお、本実施形態でも、保持・回転機構60が「移動手段」の一例に相当し、防護部材270の裏部272を、受光光学系側に面する位置(図7)から清掃可能位置に移動させるように機能する。本実施形態では、裏部272が読取口5側に面する位置(図7の状態から防護部材270を反転した位置)が「清掃可能位置」に相当する。また、本実施形態でも保持・回転機構60が「回転手段」の一例に相当し、図7のように読取時に受光光学系側に面する裏部272を、防護部材270を回転させることで読取口5側に向かせるように機能する。また、本実施形態でも、第1実施形態と同様の操作部61a(図2参照)や位置決め機構63(図5参照)が設けられている。
【0060】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果をも奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置200では、読取口5と受光光学系との間において受光光学系側に寄った位置に防護部材270が配置されている。このようにすると、防護部材270をより奥まった位置に配置することができるため、作業者の手などが防護部材270に触れにくくなり、防護部材270の汚損を効果的に抑制できる。
【0061】
また、照明光源21(投光手段)によって照射される光の経路を避けた位置であって、且つ照明光源21に隣接する位置に防護部材270が配置されている。このように投光経路を避けた位置に防護部材270を配置すると、照明光源21に起因する位置的な制約をあまり受けずに防護部材270を配置でき、防護部材270をより奥まった位置に配置しやすくなる。また、投受光路6から完全に防護部材を取り除くのではなく、清浄性をより重視すべき受光光学系側に上記防護部材270を選択的に配置しているため、内部をより効率的且つ効果的に保護できる。
【0062】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について図8及び図9を参照して説明する。図8は第3実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。図9は、図8のC−C断面を概略的に例示する断面図である。なお、第3実施形態の光学的情報読取装置300は、防護部材の位置、構成を変更した点、及び清掃部材を設けた点が第1実施形態の光学的情報読取装置1と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
【0063】
例えば、防護部材370を保持する保持・回転機構は、第1実施形態の保持・回転機構60と同様であり、ケース2、回路部20、反射鏡7なども第1実施形態と同様である。よって同様の点については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。なお、図9では、保持・回転機構60(図4)の一部となるべき軸部61、62、歯車部64を示しており、軸部61、62を保持する軸受部68、69(図4)や、位置決め機構63を構成する他の部品(図5)などは省略して示している。
【0064】
本実施形態の光学的情報読取装置300も、読取口5を備えたケース2と、ケース2内において読取口5と受光光学系との間に配される透光性の防護部材370と、防護部材370を保持する保持・回転機構60(図4参照、図8では図示略)と、を備えている。
【0065】
防護部材370は、図8、図9に示すように透明な樹脂材料などによって円筒状に構成されており、読取対象物Rからの反射光Lrを透過し得る構成をなしている。
【0066】
また、上記防護部材370は、読取口5と受光光学系との間において受光光学系側に寄った位置に配置されている。具体的には、照明光源21によって照射される光の経路(図8のLf参照)を避けた位置であって、且つ照明光源21に隣接する位置に、上記保持・回転機構60によって保持される形態で防護部材370が回転可能に配置されている。図8の例では、読取口5よりも、受光光学系のうちの読取口5に最も近い部品(図8では、反射鏡7)に寄った状態で防護部材370が保持されており、その保持位置で回転軸Gを中心に回転しうる構成をなしている。
【0067】
また、図8、図9に示すように、防護部材370の円筒軸方向に長手状に延びる形態で清掃部材380が設けられている。この清掃部材380は、防護部材370よりも軟質の樹脂材料などによって構成されており、防護部材370の円筒軸方向ほぼ全体に亘って当該防護部材370の外周部に接触する構成をなしている。
【0068】
このように構成される防護部材370及び清掃部材380は、図8のように、防護部材370における、読み取りの際に読取口5に面する形態で配置されうるいずれかの部分を表部371とし、その表部371とされた部分が読取口5に面するように配置されたときに受光光学系側に面するように配置される部分を裏部372としたとき、防護部材370を回転軸Gを中心として回転することで、読み取りの際に受光光学系側に面していた裏部372を清掃部材380と接触させつつ移動させることができるようになっている。これにより、防護部材370の裏部372が清掃部材380によって拭き取られ、当該裏部372の表面に付着する異物(削れ粉等)が除去される。
【0069】
本実施形態でも、保持・回転機構60が「移動手段」の一例に相当し、防護部材370において裏部とされた部分(図8では、裏部372を例示)を、受光光学系側に面する位置(図8)から清掃可能位置に移動させるように機能する(より具体的には、裏部とされた部分を清掃部材380に接触させつつ移動させるように機能する)。なお、本実施形態では、裏部とされた部分が清掃部材380に接触する位置が「清掃可能位置」に相当する。
【0070】
また、保持・回転機構60は、「回転手段」の一例に相当し、防護部材370の円筒中心を回転軸として当該防護部材370の外周部を周方向に回転させるように機能する。また、本実施形態でも、第1実施形態と同様の操作部61a(図2参照)や位置決め機構63(図5参照)が設けられている。
【0071】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置300では、防護部材370の汚れを拭き取る清掃部材380が設けられ、防護部材370における裏部とされる部分(図8では裏部372)を清掃部材380に接触させつつ移動させるように構成されている。このようにすると、裏部とされた部分を清掃するための特別な清掃部材を用いる必要がなく、清掃作業を手軽に行うことができる。また、清掃部材の移動に応じて裏部が清掃されるため、裏部の清掃に際し複雑な作業や細かな作業を省略でき、清掃作業を一層容易化できる。
【0072】
また、防護部材370が円筒状に構成されており、外周部の一部分を表部(読み取りの際に読取口側に面する部分)として機能させ、外周部の他部分を裏部(読み取りの際に受光光学系側に面する部分)として機能させることができるようになっている。更に、防護部材370の外周部に接触するように清掃部材380が設けられ、防護部材370の円筒中心を回転軸として外周部を周方向に回転させる構成をなしている。このようにすると、裏部とされる部分を清掃部材380によってスムーズに拭き取り得る構成を簡易に実現できる。
【0073】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について図10及び図11を参照して説明する。図10は第4実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。図11は、図10の光学的情報読取装置に用いられる防護部材及び清掃部材を概略的に例示する斜視図である。なお、第4実施形態の光学的情報読取装置400は、防護部材の構成を変更した点、及び清掃部材を設けた点が第1実施形態の光学的情報読取装置1と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
【0074】
例えば、防護部材470を保持する保持・回転機構は、第1実施形態の保持・回転機構60と同様であり、ケース2、回路部20、反射鏡7なども第1実施形態と同様である。よって同様の点については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0075】
本実施形態の光学的情報読取装置400も、読取口5を備えたケース2と、ケース2内において読取口5と受光光学系との間に配される透光性の防護部材470と、防護部材470を保持する保持・回転機構60(図4参照、図8では図示略)とを備えている。
【0076】
本実施形態で用いられる防護部材470は、例えば透明な樹脂材料からなるものであり、図10、図11に示すように両面が円筒面状に構成される湾曲部材によって構成されている。この防護部材470は、一方面側が表部471として構成され、他方面側が裏部472として構成されており、照明光源21からの照明光Lf、及び読取対象物Rからの反射光Lrのいずれも透過し得る構成をなしている。なお、防護部材470の両端部には一対の壁部473、474が固定されており、これら壁部473、474から回転軸Gの方向に延びる形態で上述の軸部61、62(図4参照、図11では図示略)が設けられ、第1実施形態と同様の保持・回転機構60が構成されている。
【0077】
また、図10、図11に示すように、防護部材470の回転軸方向に長手状に延びる形態で清掃部材480が設けられている。この清掃部材480は、防護部材470よりも軟質の樹脂材料などによって構成されており、防護部材470の長手方向ほぼ全体に亘って当該防護部材470の裏部472に接触する構成をなしている。
【0078】
また、清掃部材480とは異なる位置(具体的には、清掃部材480に対し防護部材470を挟んだ反対側)に、第2の清掃部材482が設けられており、表部471が第2の清掃部材480に接触する構成をなしている。図10の例では、清掃部材480と第2の清掃部材482とが所定間隔をあけて配置されており、これら清掃部材480及び第2清掃部材482の間を通りながら防護部材470が変位する構成をなしている。
【0079】
このように構成される防護部材470、清掃部材480、及び第2の清掃部材482は、読み取りの際には、図10のように、表部471が読取口5に面し、裏部472が受光光学系側に面する形態で配置される。一方、清掃する際には、防護部材470を回転軸Gを中心として回転させることで(図10の破線参照)、読み取りの際に受光光学系側に面していた裏部472を清掃部材480と接触させつつ移動させることができ、これにより、防護部材470の裏部472を清掃部材480によって拭き取ることができる。また、上記回転に伴い、表部471を第2の清掃部材482と接触させつつ移動させることができ、表部471についても第2の清掃部材482によって拭き取ることができる。
【0080】
なお、本実施形態でも、保持・回転機構60が「移動手段」の一例に相当し、防護部材470の裏部472を、受光光学系側に面する位置(図10)から清掃可能位置に移動させるように機能する(より具体的には、裏部472を清掃部材480に接触させつつ移動させるように機能する)。なお、本実施形態では、裏部472が清掃部材480に接触する位置が「清掃可能位置」に相当する。
【0081】
また、保持・回転機構60は、「回転手段」の一例に相当し、防護部材470を所定の回転軸Gを中心として回転させることで、裏部472を清掃部材480に接触させつつ周方向に移動させるように機能する。また、本実施形態でも、第1実施形態と同様の操作部61a(図2参照)や位置決め機構63(図5参照)が設けられている。
ことを特徴とする。
【0082】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置400では、防護部材470の汚れを拭き取る清掃部材480が設けられ、防護部材470の裏部472を清掃部材480に接触させつつ移動させるように構成されている。このようにすると、裏部472を清掃するための特別な清掃部材を別途用意する必要がなく、清掃作業を手軽に行うことができる。また、清掃部材480に対する裏部472の相対移動に応じて裏部472が清掃されるため、裏部472の清掃に際し複雑な作業や細かな作業を省略でき、清掃作業を一層容易化できる。
【0083】
また、両面が円筒面状の湾曲部材によって防護部材470が構成されると共に、一方面側が表部471として構成され、他方面側が裏部472として構成されており、この裏部472に接触する位置に清掃部材480が配置されている。そして、所定の回転軸を中心として防護部材470を回転させることで、当該防護部材470の裏部472を清掃部材480に接触させつつ周方向に移動させる構成をなしている。このようにすると、裏部472を清掃部材480によってスムーズに拭き取りうる構成を簡易に実現できる。
【0084】
更に、清掃部材480は異なる位置に第2の清掃部材482が設けられており、防護部材470の表部471を第2の清掃部材482と接触させつつ移動させ得るように構成されている。このようにすると、防護部材470の移動に伴い、裏部472のみならず表部471についても清掃できるため、防護部材470の表裏両方の清掃を容易に行うことができる。また、防護部材470の移動によって表部471及び裏部472を一度に清掃できるため、より短時間で清掃を完了できる。
【0085】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
上記実施形態では、位置決め手段の一例として位置決め機構63を例示したが、防護部材を任意の回転位置に位置決めしうる構成であれば上記例に限定されない。例えば、図4の一点鎖線90に示すように、軸部61又はこれに固定される固定部(図4では、歯車部64)に当接可能な当接部材を設け、当該当接部材と軸部61又は上記固定部とを当接させることでその摩擦力により防護部材を位置決めしてもよい。当接部材の例としては、軸部61或いは固定部に対して進退可能な部材(例えばねじ部材等)などを好適に用いることができる。
【0087】
第3実施形態では、防護部材370や清掃部材380を受光光学系寄りに配置した例を示したが、防護部材370を第1実施形態の防護部材70と同程度の位置(投光光学系及び受光光学系をいずれもカバーしうる位置)に配置し、これと接触するように清掃部材380を配置してもよい。
【0088】
第4実施形態で用いられた防護部材470を受光光学系寄りの位置に配置し、これと接触するように清掃部材480及び第2の清掃部材482を配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は第1実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の光学的情報読取装置の側面図である。
【図3】図3は、図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】図4は、図2のA−A断面を概略的に例示する断面図である。
【図5】図5は、図4のB−B断面付近を説明する説明図である。
【図6】図6(a)は、防護部材を回転させる様子を説明する説明図であり、図6(b)は、防護部材の裏部を読取口5側に向けた様子を説明する説明図である。
【図7】図7は第2実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図8】図8は第3実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図9】図9は、図8のC−C断面付近を概略的に例示する断面図である。
【図10】図10は第4実施形態に係る光学的情報読取装置の内部構成を概略的に説明する説明図である。
【図11】図11は、図10の光学的情報読取装置に用いられる防護部材及び清掃部材を概略的に例示する斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
1,200,300,400…光学的情報読取装置
2…ケース
5…読取口
7…反射鏡(受光光学系)
21…照明光源(投光手段)
27…結像レンズ(受光光学系)
28…受光センサ(受光光学系)
60…保持・回転機構(保持手段、移動手段、回転手段)
61a…操作部
63…位置決め機構(位置決め手段)
70,270,370…防護部材
71,271,371,471…表部
72,272,372,472…裏部
380,480…清掃部材
470…防護部材(湾曲部材)
482…第2の清掃部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的情報からの反射光を受光する受光光学系を有する光学的情報読取装置であって、 読取口を備えたケースと、
前記ケース内において前記読取口と前記受光光学系との間に配される透光性の防護部材と、
前記防護部材を保持する保持手段と、
を備え、
前記防護部材は、読取時に前記読取口側に面する表部と、読取時に前記受光光学系側に面する裏部とを有し、
前記保持手段は、前記防護部材の前記裏部を、前記受光光学系側に面する位置から清掃可能位置に移動させる移動手段を有することを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記移動手段は、読取時に前記受光光学系側に面する前記裏部を、前記防護部材を回転させることで前記読取口側に向かせる回転手段からなることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記防護部材の汚れを拭き取る清掃部材を備え、
前記移動手段は、前記裏部を前記清掃部材に接触させつつ移動させることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記防護部材は、円筒状に構成されると共に、外周部の一部分が前記表部として構成され、前記外周部の他部分が前記裏部として構成されており、
前記清掃部材は、前記防護部材の前記外周部に接触する構成をなしており、
前記移動手段は、前記防護部材の円筒中心を回転軸として前記外周部を周方向に回転させる回転手段からなることを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記防護部材は、両面が円筒面状に構成される湾曲部材からなり、一方面側が前記表部として構成され、他方面側が前記裏部として構成されており、
前記清掃部材は、前記裏部に接触する位置に配置され、
前記移動手段は、前記防護部材を所定の回転軸を中心として回転させることで、前記裏部を前記清掃部材に接触させつつ周方向に移動させることを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記清掃部材とは異なる位置に第2の清掃部材が設けられており、
前記移動手段は、前記表部を前記第2の清掃部材と接触させつつ移動させることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記防護部材は、前記読取口と前記受光光学系との間において前記受光光学系側に寄った位置に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記光学的情報に対して光を照射する投光手段を備え、
前記防護部材は、前記投光手段によって照射される光の経路を避けた位置であって、且つ前記投光手段に隣接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記防護部材と連動する操作部を備え、
前記操作部が前記ケースの外部に露出した構成をなしていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項10】
前記保持手段は、前記表部が前記読取口側に面し、前記裏部が前記受光光学系側に面した状態で前記防護部材を位置決めする位置決め手段を有し、
前記移動手段は、前記操作部に対する所定操作に応じて前記位置決め手段による位置決めが解除されたときに前記裏部を前記清掃可能位置に移動させることを特徴とする請求項9に記載の光学的情報読取装置。
【請求項1】
光学的情報からの反射光を受光する受光光学系を有する光学的情報読取装置であって、 読取口を備えたケースと、
前記ケース内において前記読取口と前記受光光学系との間に配される透光性の防護部材と、
前記防護部材を保持する保持手段と、
を備え、
前記防護部材は、読取時に前記読取口側に面する表部と、読取時に前記受光光学系側に面する裏部とを有し、
前記保持手段は、前記防護部材の前記裏部を、前記受光光学系側に面する位置から清掃可能位置に移動させる移動手段を有することを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記移動手段は、読取時に前記受光光学系側に面する前記裏部を、前記防護部材を回転させることで前記読取口側に向かせる回転手段からなることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記防護部材の汚れを拭き取る清掃部材を備え、
前記移動手段は、前記裏部を前記清掃部材に接触させつつ移動させることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記防護部材は、円筒状に構成されると共に、外周部の一部分が前記表部として構成され、前記外周部の他部分が前記裏部として構成されており、
前記清掃部材は、前記防護部材の前記外周部に接触する構成をなしており、
前記移動手段は、前記防護部材の円筒中心を回転軸として前記外周部を周方向に回転させる回転手段からなることを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記防護部材は、両面が円筒面状に構成される湾曲部材からなり、一方面側が前記表部として構成され、他方面側が前記裏部として構成されており、
前記清掃部材は、前記裏部に接触する位置に配置され、
前記移動手段は、前記防護部材を所定の回転軸を中心として回転させることで、前記裏部を前記清掃部材に接触させつつ周方向に移動させることを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記清掃部材とは異なる位置に第2の清掃部材が設けられており、
前記移動手段は、前記表部を前記第2の清掃部材と接触させつつ移動させることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記防護部材は、前記読取口と前記受光光学系との間において前記受光光学系側に寄った位置に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記光学的情報に対して光を照射する投光手段を備え、
前記防護部材は、前記投光手段によって照射される光の経路を避けた位置であって、且つ前記投光手段に隣接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記防護部材と連動する操作部を備え、
前記操作部が前記ケースの外部に露出した構成をなしていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項10】
前記保持手段は、前記表部が前記読取口側に面し、前記裏部が前記受光光学系側に面した状態で前記防護部材を位置決めする位置決め手段を有し、
前記移動手段は、前記操作部に対する所定操作に応じて前記位置決め手段による位置決めが解除されたときに前記裏部を前記清掃可能位置に移動させることを特徴とする請求項9に記載の光学的情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−108126(P2010−108126A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277748(P2008−277748)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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