説明

光学的情報読取装置

【課題】表示画面における表示領域内に情報を入力する光学的情報読取装置を提供する。
【解決手段】所定の領域51内に配置されて当該所定の領域51に対して配置された位置に関する位置情報を有する位置情報コードCが複数表示される用紙50が予め用意されている。そして、各位置情報コードCの少なくともいずれか1つが読み取られるとき、この位置情報コードCの位置情報に基づいて、所定の領域51に対する照明光Lfの中心位置Loが読取位置として演算される。そして、所定の領域51および表示領域46aの位置関係を対応させることで、上述のように演算された読取位置に対応する表示領域46aでの情報入力位置にカーソルKを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面における表示領域内に情報を入力する光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表示画面における表示領域内に情報を入力する光学的情報読取装置として、下記特許文献1に示す表データ入出力装置が知られている。この表データ入出力装置では、表データ記憶手段に記憶された表データの中から見直しあるいは修正が必要なものが選択されると、この表データが表示手段に表示される。続いて、選択された表示データと、この表の種別および表中の各データの行方向の位置並びに列方向の位置を指定するための複数のバーコードとが、データ表帳票として印刷される。そして、データ表帳票に表示されているデータを修正する場合には、そのデータに対応してデータ表帳票に表示されている行と列とのバーコードをバーコードリーダで読み取らせることで、表示手段において修正対象のデータを修正可能な位置にセルポインタを移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−342239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光学的情報読取装置としては、通常、入力装置としてキーボードのみを備えマウス等の表示画面上のカーソルを容易に移動可能な入力補助装置を備えていないために、表示画面上での所望の位置に対してカーソルを移動させる手間が掛かっていた。そこで、上記特許文献1のように、各入力位置の行および列に対応するバーコードをそれぞれ印刷し、この印刷物にて所望のデータ入力領域に対応するバーコードを行および列と2つ読み取ることで、所望の位置に対してカーソルを移動させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、表示画面毎に印刷する必要があるだけでなく、所望の位置に対応するバーコードを行および列と2つ確実に読み取る必要があるため、カーソルの移動に関する作業性を十分に高めることが困難であった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、カーソルを表示領域内の所望の位置に容易に移動させ得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学的情報読取装置では、情報コードに対して照明光を照射する照明手段と、前記情報コードからの反射光を受光する受光手段と、前記受光手段からの受光信号に基づいて前記情報コードを光学的に読み取る読取手段と、複数の情報が表示可能な表示領域を有しこの表示領域にて入力情報が表示される入力位置を示すカーソルが表示される情報表示手段と、を備える光学的情報読取装置であって、所定の領域内に配置されて当該所定の領域に対して配置された位置に関する位置情報を有する位置情報コードが複数表示される位置情報コード表示手段と、前記読取手段により前記各位置情報コードの少なくともいずれか1つが読み取られるとき、この位置情報コードの前記位置情報に基づいて、前記所定の領域に対する読取位置を演算する読取位置演算手段と、前記所定の領域および前記表示領域の位置関係を対応させることで、前記読取位置に対応する前記表示領域での位置に前記カーソルを移動させるカーソル移動手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記読取位置演算手段は、前記所定の領域に照射される前記照明光によって当該照明光と前記各位置情報コードの少なくともいずれか1つとからの反射光が前記受光手段により受光されるとき、前記読取手段により読み取られる前記位置情報コードの前記位置情報と、当該位置情報コードが前記所定の領域にて前記照明光に対して占める位置と、から求められる当該照明光の中心位置を前記読取位置として演算することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記読取位置演算手段は、前記所定の領域に照射される前記照明光によって当該照明光と前記各位置情報コードの少なくとも2つとからの反射光が前記受光手段により受光されるとき、前記読取手段により読み取られる前記2つの位置情報コードのそれぞれの前記位置情報と、当該両位置情報コードが前記所定の領域にて前記照明光に対してそれぞれ占める位置と、から当該照明光の中心位置を前記読取位置として演算することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記情報表示手段には、前記カーソル移動手段により前記カーソルが移動されることで前記入力情報が入力可能になる複数のデータ入力領域が表示されることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の光学的情報読取装置において、前記データ入力領域は、複数の隅部を有するように矩形状に形成され、前記カーソル移動手段は、前記読取位置に対応する前記表示領域での位置に対して最も近い前記隅部を有するデータ入力領域に前記カーソルを移動させることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記所定の領域は、前記表示領域に対して相似形であることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記位置情報コード表示手段には、モード切替用コードが表示され、前記モード切替用コードからの反射光を前記受光手段にて受光して前記読取手段により読み取ることで、前記カーソル移動手段により前記カーソルを移動させるカーソル移動モードと移動されたカーソル位置に情報を入力する情報入力モードとを切り替え可能なモード切替手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、所定の領域内に配置されて当該所定の領域に対して配置された位置に関する位置情報を有する位置情報コードが複数表示される位置情報コード表示手段が設けられている。そして、読取手段により各位置情報コードの少なくともいずれか1つが読み取られるとき、この位置情報コードの位置情報に基づいて、所定の領域に対する読取位置が演算される。そして、所定の領域および表示領域の位置関係を対応させることで、上述のように演算された読取位置に対応する表示領域での位置(以下、情報入力位置ともいう)にカーソルを移動させる。
【0015】
これにより、作業者が表示領域での所望の位置にカーソルを移動させる場合には、表示領域内での所望の位置に応じた上記所定の領域内での位置情報コードを読み取るだけで、その読取位置に対応する情報入力位置、すなわち上記所望の位置にカーソルを移動させることができる。例えば、表示領域の右上にカーソルを移動させる場合には、位置情報コード表示手段における所定の領域内の右上の位置情報コードを読み取ることで、カーソルを所望の位置である表示領域の右上に移動させることができる。
したがって、カーソルを表示領域内の所望の位置に容易に移動させることができる。
【0016】
請求項2の発明では、読取手段により読み取られる位置情報コードの位置情報と、当該位置情報コードが所定の領域にて照明光に対して占める位置と、から求められる当該照明光の中心位置が読取位置として演算される。
【0017】
読み取った位置情報コードが反射光のどの位置に占めるかを求めることで、当該位置情報コードが所定の領域にて照明光に対して占める位置が求められることから、読み取った位置情報コードに対する照明光の中心位置、すなわち、所定の領域内での照明光の中心位置を求めることができる。そこで、照明光の中心位置を読取位置とすることで、読み取った位置情報コードの位置を読取位置とする場合と比較して、カーソルを所望の位置に対してより近づけるように移動させることができる。
【0018】
請求項3の発明では、各位置情報コードの少なくとも2つからの反射光が受光されて読み取られるとき、2つの位置情報コードのそれぞれの位置情報と、当該両位置情報コードが所定の領域にて照明光に対してそれぞれ占める位置と、から当該照明光の中心位置が読取位置として演算される。
【0019】
1つの位置情報コードの位置情報に基づいて照明光の中心位置を求める場合、その位置情報コードが読み取れる範囲内で当該位置情報コードの配列方向(読取方向)に対して照射される照明光が上記所定の領域上にて傾くと、その傾き度合いがデコード結果のバー幅から推定できないので、照明光の中心位置を正確に求めることが困難になる場合がある。そこで、少なくとも2つの位置情報コードの位置情報から照明光の中心位置を求めることで、上記傾き度合いが求められるので、照明光の中心位置をより正確に求めることができる。
【0020】
請求項4の発明では、情報表示手段には、カーソル移動手段によりカーソルが移動されることで入力情報が入力可能になる複数のデータ入力領域が表示される。これにより、上述のように演算された情報入力位置を基準に各データ入力領域のいずれかを選択してその選択されたデータ入力領域にカーソルを移動させることで、情報表示手段に表示される複数のデータ入力領域のうちの所望のものを容易に選択することができる。
【0021】
請求項5の発明では、データ入力領域は、複数の隅部を有するように矩形状に形成されており、カーソル移動手段は、読取位置に対応する表示領域での位置に対して最も近い隅部を有するデータ入力領域にカーソルを移動させる。これにより、上述のように演算された情報入力位置を基準とするデータ入力領域の選択を容易に実施することができる。
【0022】
請求項6の発明では、位置情報コード表示手段での所定の領域は、情報表示手段での表示領域に対して相似形であるため、視覚的に作業者が望む所望のカーソル位置と読取位置とを対応させやすくなるので、上述のように演算された情報入力位置を上記所望の位置に対してより近づけることができる。
【0023】
請求項7の発明では、モード切替用コードを読み取ることで、カーソル移動モードと情報入力モードとが切り替えられるので、両モードを切り替えるためのスイッチ等を別途設けて操作する場合と比較して、容易にモードを切り替えることができ、部品点数の増大をも抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る光学的情報読取装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】本実施形態における情報入力処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】用紙の所定の領域内に配置される各位置情報コードを示す説明図である。
【図5】用紙の所定の領域に照明光が照射された状態を示す説明図である。
【図6】カーソルの移動を説明するための説明図である。
【図7】本実施形態の第1の変形例に係る読取位置演算処理を説明するための説明図である。
【図8】本実施形態の第2の変形例に係る表示領域を説明するための説明図である。
【図9】本実施形態の第3の変形例に係る用紙を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した一実施形態について図を参照して説明する。
図1に示す光学的情報読取装置10は、バーコード等の一次元コードや二次元コード等の情報コードを読み取る携帯型のコードリーダであって、筐体11内にコードリーダを構成するための回路部20等が収容されている。また、筐体11の上面には表示画面を有する液晶表示器46と、テンキー入力用のキーボード49とが設けられている。また、筐体11の両側面には、読み取りを指示するためのトリガースイッチ42が設けられている。
【0026】
図2に示すように、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0027】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、情報コードBが付された物品Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。また、照明光源21および照明光Lfは、特許請求の範囲に記載の「照明手段」および「照明光」の一例に相当し得る。
【0028】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、CCDエリアセンサとして構成されるものであり、情報コードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されている。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。なお、受光センサ28は、特許請求の範囲に記載の「受光手段」の一例に相当し得る。
【0029】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードBにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0030】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48、キーボード49等から構成されている。
【0031】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0032】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有するとともに、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。本第1実施形態では、制御回路40に対し、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48、キーボード49等が接続されている。
【0033】
これにより、制御回路40は、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、情報コードBの読み取りに関する情報を報知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、液晶表示器46の表示制御や外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御、キーボード49からの入力信号の処理等を可能にしている。
【0034】
特に、液晶表示器46は、制御回路40により制御されて、例えば、後述するように、デコード成功時には表示画面に情報コードBの内容が表示され、情報入力処理時には所定の情報とともに表示画面の所定の位置に対して情報の入力を促す表示がなされるように構成されている。なお、液晶表示器46は、特許請求の範囲に記載の「情報表示手段」の一例に相当し得る。
【0035】
このように構成される光学的情報読取装置10の読取処理は以下のように行われる。
例えば、電源スイッチ(図示略)がオンされて所定の自己診断処理等が正常終了し、情報コードBの読み取りが可能な状態になると、照明光Lfの発光を指示するトリガースイッチ42の入力を受け付ける。このような状態で、作業者がいずれかのトリガースイッチ42を押圧しオンにすると、それをトリガとして制御回路40が同期信号を基準に照明光源21に発光信号を出力する。当該発光信号を受けた照明光源21は、LEDを発光させて照明光Lfを照射する。照明光Lfは、読取口13を通って情報コードBに照射される。
【0036】
すると、情報コードBに照射された照明光Lfが反射し、その反射光Lrが読取口13を通って筐体11内に入射することとなる。この反射光Lrが結像レンズ27を介して受光センサ28の受光面28aに到達することにより、当該受光面28aの撮像領域には情報コードBの像、つまりコード像が結像されることとなる。これにより、受光センサ28を構成する各受光素子が露光され、それら各受光素子から情報コードBの像に応じた受光信号が出力され、画像データが生成されてメモリ35に記憶される。そして、メモリ35に記憶されたコード画像を2値化した後、公知のデコード処理が行われ、情報コードBとして符号化された文字データ等がデコード(解読)される。なお、デコードに成功した場合には、その旨を示す報知出力(例えば「OK」の文字、短いビープ音や緑色光)を、またデコードに失敗した場合には、その旨を示す報知出力(例えば「NG」の文字、長いビープ音や赤色光)を、液晶表示器46、ブザー44やバイブレータ45によって出力し、当該光学的情報読取装置10の使用者に情報コードBの読み取りの可否を報知する。また、デコードに成功した場合には、デコードされたデータ、つまり情報コードBの内容を液晶表示器46に出力したり、通信インタフェース48を介してホストコンピュータ(図示略)等に出力する。なお、読取処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「読取手段」の一例に相当し得る。
【0037】
次に、本発明の特徴部分である、液晶表示器46の表示画面において所定の位置に対して情報を入力する情報入力処理について図を用いて説明する。
情報入力処理では、入力情報が表示される入力位置を示すカーソルKを移動させるカーソル移動モードと、このカーソル移動モードにより移動されたカーソルKの位置にて所定の情報を入力するための情報入力モードとが切り替え可能に構成されている。以下、制御回路40により実行される情報入力処理について、図3のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0038】
制御回路40により情報入力処理が開始されると、液晶表示器46における表示画面の表示領域46aに所定の情報とともに情報の入力を促す表示がなされる情報入力モードに移行する。この情報入力モード時において、図3のステップS101にてカーソル移動モードに切り替えられたか否かについて判定される。本実施形態では、例えば、キーボード49の所定のキーを押下することによりカーソル移動モードと情報入力モードとが切り替えられるように構成されており、情報入力モード時に上記所定のキーが押下されるまで、ステップS101にてNoとの判定が繰り返される。
【0039】
そして、上記所定のキーが押下されると(S101でYes)、情報入力モードからカーソル移動モードに切り替えられて、ステップS103にて画像データ生成処理がなされて、上記読取処理と同様に照明光Lfが照射されこの反射光Lrの受光に応じて画像データが生成されると、ステップS105にてデコード処理がなされて、この画像データに含まれる情報コードがデコードされる。
【0040】
次に、ステップS107において、ステップS105にてデコードされた情報コードが位置情報コードCであるか否かについて判定される。ここで、位置情報コードCとは、予め用意される用紙50の紙面上にて区画される所定の領域51内に複数表示されて配置されるコードであって、各位置情報コードCは、所定の領域51に対して配置された位置に関する位置情報をそれぞれ個別に有するように構成されている。本実施形態では、図4に例示するように、所定の領域51は、液晶表示器46における表示画面の表示領域46aに対して相似形に形成されており、この所定の領域51内に12行6列のバーコードが位置情報コードCとしてそれぞれ配列されている。なお、用紙50は、特許請求の範囲に記載の「位置情報コード表示手段」の一例に相当し得る。
【0041】
ここで、ステップS105にてデコードされた情報コードが位置情報コードCでない場合、または、デコードが失敗した場合には(S107でNo)、ステップS103からの処理がなされる。一方、ステップS105にてデコードされた情報コードのうち少なくとも1つが位置情報コードCである場合には、ステップS107にてYesと判定される。
【0042】
続いて、ステップS109において、読取位置演算処理がなされる。この処理では、位置情報コードCを読み取るために所定の領域51に対して照射された照明光Lfの中心位置Loが読取位置として演算される。この読取位置演算処理を、図5に示すように、照明光Lfの照射による反射光Lrを受光することで、3行5列目の位置情報コードC35と、3行6列目の位置情報コードC36とが読み取られた場合を想定して、以下に説明する。
【0043】
この演算処理では、まず、ステップS103にて生成された画像データから得られるバー幅情報や照明光Lf等から、照明光Lfのどの位置で位置情報コードC35および位置情報コードC36が読み取られたかわかるので、位置情報コードC35および位置情報コードC36の少なくともいずれか1つに対する照明光Lfの中心位置Loが相対的に求められる。そして、ステップS105にてデコードされて得られた位置情報コードC35の位置情報と位置情報コードC36の位置情報との少なくともいずれか1つに基づいて、所定の領域51に対する照明光Lfの中心位置Loが、読取位置として演算されることとなる。
【0044】
上述のように読取位置が演算されると、ステップS111において、カーソル移動処理がなされる。この処理では、所定の領域51および表示領域46aの位置関係を対応させることで、読取位置(中心位置Lo)に対応する表示領域46aでの位置(情報入力位置)にカーソルKが移動する。例えば、表示領域46aの右上近傍にカーソルKを移動させる場合には、図5に示すように所定の領域51内の右上近傍の位置情報コードC35,36を読み取ることで、図6に示すように、カーソルKが表示領域46aの右上近傍に移動することとなる。
【0045】
このようにカーソルKが読取位置に応じて表示領域46aでの情報入力位置に移動すると、ステップS113にて情報入力モードか否かについて判定される。ここで、移動したカーソルKの位置が所望の位置であることから、上記所定のキーが再度押下されると、ステップS113にてYesと判定されて、カーソル移動モードから情報入力モードに切り替えられる。そして、ステップS115にて入力処理がなされ、このカーソルKの位置に対して所定の情報がキーボード49の操作等に応じて入力可能になる。一方、移動したカーソルKの位置を変更させるために情報入力モードへの切り替え操作が所定時間なされない場合には(S113でNo)、ステップS103からの処理がなされることとなる。
【0046】
ステップS115にてカーソルKの位置に対して所定の情報が入力された後に、表示領域46aの他の位置に所定の情報を入力するために上記所定のキーが再度押下されると、ステップS117にてYesと判定されて、上記ステップS103からの処理がなされる。また、ステップS115にてカーソルKの位置に対して所定の情報が入力されたことで全ての情報の入力が完了すると、ステップS119にてYesと判定されて、当該情報入力処理が終了する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、所定の領域51内に配置されて当該所定の領域51に対して配置された位置に関する位置情報を有する位置情報コードCが複数表示される用紙50が予め用意されている。そして、各位置情報コードCの少なくともいずれか1つが読み取られるとき、この位置情報コードCの位置情報に基づいて、所定の領域51に対する照明光Lfの中心位置Loが読取位置として演算される。そして、所定の領域51および表示領域46aの位置関係を対応させることで、上述のように演算された読取位置(中心位置Lo)に対応する表示領域46aでの情報入力位置にカーソルKを移動させる。
【0048】
これにより、作業者が表示領域46aでの所望の位置にカーソルKを移動させる場合には、表示領域46a内での所望の位置に応じた上記所定の領域51内に照明光Lfを照射して位置情報コードCを読み取るだけで、その読取位置(中心位置Lo)に対応する情報入力位置、すなわち上記所望の位置にカーソルKを移動させることができる。したがって、カーソルKを表示領域46a内の所望の位置に容易に移動させることができる。
【0049】
特に、読み取られた位置情報コードCの位置情報と、当該位置情報コードCが所定の領域51にて照明光Lfに対して占める位置と、から求められる当該照明光の中心位置Loが読取位置として演算されるので、例えば、読み取った位置情報コードCの位置を読取位置とする場合と比較して、カーソルKを所望の位置に対してより近づけるように移動させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、用紙50での所定の領域51は、液晶表示器46における表示画面の表示領域46aに対して相似形であるため、視覚的に作業者が望む所望のカーソル位置と読取位置とを対応させやすくなるので、上述のように演算された情報入力位置を上記所望の位置に対してより近づけることができる。
【0051】
図7は、本実施形態の第1の変形例に係る読取位置演算処理を説明するための説明図である。
本実施形態の第1の変形例に係る光学的情報読取装置として、上述したステップS109における読取位置演算処理では、所定の領域51に対する照明光Lfの中心位置Loを以下のように演算してもよい。
【0052】
具体的には、例えば、図7に示すように、照明光Lfが位置情報コードCの配列方向に対して傾くことから、1行3列目の位置情報コードC13と、2行1列目の位置情報コードC21とが読み取られた場合を想定して、以下に説明する。
【0053】
この場合、まず、ステップS103にて生成された画像データから得られるバー幅情報と照明光Lfと等から、照明光Lfのどの位置で位置情報コードC13および位置情報コードC21が読み取られたかわかるので、位置情報コードC13および位置情報コードC21の2つの位置情報コードに対する照明光Lfの中心位置Loが相対的に求められる。このとき、2つの位置情報コードから中心位置Loの相対的位置を求めるので、照明光Lfが両位置情報コードの配列方向(読取方向)に対して傾いている場合でもこの傾き度合いが求められるので、中心位置Loの相対的位置を正確に求めることができる。これにより、この中心位置Loの相対的位置と、ステップS105にてデコードされて得られた位置情報コードC13および位置情報コードC21の2つの位置情報とに基づいて、所定の領域51に対する照明光Lfの中心位置Loを、読取位置として正確に演算することができる。
【0054】
図8は、本実施形態の第2の変形例に係る表示領域46aを説明するための説明図である。
本実施形態の第2の変形例に係る光学的情報読取装置として、図8に示すように、液晶表示器46における表示画面の表示領域46aに、カーソルKが移動されることで入力情報が入力可能になる矩形状のデータ入力領域S1〜S8が複数表示されてもよい。これにより、上述のように演算された情報入力位置を基準に各データ入力領域S1〜S8のいずれかを選択してその選択されたデータ入力領域SにカーソルKを移動させることで、表示領域46aに表示される複数のデータ入力領域S1〜S8のうちの所望のものを容易に選択することができる。なお、図8では、データ入力領域S6にカーソルKが移動された状態を示している。
【0055】
特に、各データ入力領域S1〜S8は、複数の隅部を有するように矩形状に形成されているため、例えば、情報入力位置に対して最も近い隅部を有するデータ入力領域SにカーソルKを移動させることで、データ入力領域Sの選択を容易に実施することができる。また、例えば、各データ入力領域Sの中心位置を基準に情報入力位置に対して最も近いもののデータ入力領域SにカーソルKを移動させてもよい。
【0056】
図9は、本実施形態の第3の変形例に係る光学的情報読取装置の要部を説明するための説明図である。
本実施形態の第3の変形例に係る位置情報コード表示手段として、図9に示す用紙50aを採用してもよい。この用紙50aは、上述した用紙50に対して所定の領域51外にカーソル移動モードと情報入力モードとを切り替える際に読み取るモード切替用コードCoが配置されている。これにより、これら両モードを切り替える場合には、上述のように所定のキーを押下する場合と比較してモード切替用コードを読み取るだけでいいので、容易にモードを切り替えることができ、上記所定のキーを別途採用することによる部品点数の増大をも抑制することができる。
【0057】
また、このモード切替用コードCoを、上記情報入力処理を実行するモード(情報入力モード)と読取処理を実行するモード(読取モード)とを切り替える際に読み取られるモード切替用コードとして使用してもよい。これにより、これら両モードを切り替える場合には、両モードを切り替えるために別途設けられる専用キー等を操作する場合と比較してモード切替用コードを読み取るだけでいいので、容易にモードを切り替えることができ、上記専用キー等を採用することによる部品点数の増大をも抑制することができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)上記各位置情報コードCは、用紙50の所定の領域51内に配置されることに限らず、例えば、他の液晶表示器等を位置情報コード表示手段としてこの位置情報コード表示手段に対して所定の領域51内にて複数配置されてもよい。また、各位置情報コードCは、図4に示すように所定の領域51内にて12行6列として配置されることに限らず、読取位置の演算精度を向上させるためにより多くの位置情報コードCを配置してもよいし、対応する表示領域46aに応じてm行n列(m,nは任意の自然数)として配置されてもよい。また、各位置情報コードCは、m行n列として整列して配置させることなく、所定の領域51に対する正確な位置情報を有していることを前提に、当該所定の領域51内にランダムに配置されてもよい。
【0059】
(2)各位置情報コードCは、バーコードに限ることなく、所定の領域51に対する位置情報を有する二次元コード等の情報コードであってもよい。
【0060】
(3)ステップS109では、所定の領域51内での位置情報コードCの配置数が少ない場合には、照明光Lfの中心位置Loを読取位置として演算することに限らず、読み取った位置情報コードCの所定の領域51に対する位置を読取位置として演算してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…光学的情報読取装置
21…照明光源
28…受光センサ
40…制御回路
46…液晶表示器
46a…表示領域
50…用紙(位置情報コード表示手段)
51…所定の領域
C…位置情報コード
K…カーソル
Lf…照明光
Lo…中心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードに対して照明光を照射する照明手段と、
前記情報コードからの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段からの受光信号に基づいて前記情報コードを光学的に読み取る読取手段と、
複数の情報が表示可能な表示領域を有しこの表示領域にて入力情報が表示される入力位置を示すカーソルが表示される情報表示手段と、
を備える光学的情報読取装置であって、
所定の領域内に配置されて当該所定の領域に対して配置された位置に関する位置情報を有する位置情報コードが複数表示される位置情報コード表示手段と、
前記読取手段により前記各位置情報コードの少なくともいずれか1つが読み取られるとき、この位置情報コードの前記位置情報に基づいて、前記所定の領域に対する読取位置を演算する読取位置演算手段と、
前記所定の領域および前記表示領域の位置関係を対応させることで、前記読取位置に対応する前記表示領域での位置に前記カーソルを移動させるカーソル移動手段と、
を備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記読取位置演算手段は、
前記所定の領域に照射される前記照明光によって当該照明光と前記各位置情報コードの少なくともいずれか1つとからの反射光が前記受光手段により受光されるとき、前記読取手段により読み取られる前記位置情報コードの前記位置情報と、当該位置情報コードが前記所定の領域にて前記照明光に対して占める位置と、から求められる当該照明光の中心位置を前記読取位置として演算することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記読取位置演算手段は、
前記所定の領域に照射される前記照明光によって当該照明光と前記各位置情報コードの少なくとも2つとからの反射光が前記受光手段により受光されるとき、前記読取手段により読み取られる前記2つの位置情報コードのそれぞれの前記位置情報と、当該両位置情報コードが前記所定の領域にて前記照明光に対してそれぞれ占める位置と、から当該照明光の中心位置を前記読取位置として演算することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記情報表示手段には、前記カーソル移動手段により前記カーソルが移動されることで前記入力情報が入力可能になる複数のデータ入力領域が表示されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記データ入力領域は、複数の隅部を有するように矩形状に形成され、
前記カーソル移動手段は、前記読取位置に対応する前記表示領域での位置に対して最も近い前記隅部を有するデータ入力領域に前記カーソルを移動させることを特徴とする請求項4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記所定の領域は、前記表示領域に対して相似形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記位置情報コード表示手段には、モード切替用コードが表示され、
前記モード切替用コードからの反射光を前記受光手段にて受光して前記読取手段により読み取ることで、前記カーソル移動手段により前記カーソルを移動させるカーソル移動モードと移動されたカーソル位置に情報を入力する情報入力モードとを切り替え可能なモード切替手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−154432(P2011−154432A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13948(P2010−13948)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】