光学的情報読取装置
【課題】マーカ光により撮像領域を好適に視認させ得る光学的情報読取装置を提供する。
【解決手段】マーカ光Lmを照射するためのマーカ光照射部51と、マーカ光Lmの照度を制御可能なマーカ光照度制御手段としての制御回路40と、制御回路40により制御されて受光センサ28による撮像領域Sを囲うようにマーカ光Lmを回転させるマーカ光回転機構52と、読取対象Rとの距離を測定するための距離測定用のレーザ光照射部60と、が設けられている。そして、測定距離Lが大きくなると測定距離Lが小さい場合に対してマーカ光Lmの照度が高くなるとともにマーカ光の回転速度Vが速くなる。
【解決手段】マーカ光Lmを照射するためのマーカ光照射部51と、マーカ光Lmの照度を制御可能なマーカ光照度制御手段としての制御回路40と、制御回路40により制御されて受光センサ28による撮像領域Sを囲うようにマーカ光Lmを回転させるマーカ光回転機構52と、読取対象Rとの距離を測定するための距離測定用のレーザ光照射部60と、が設けられている。そして、測定距離Lが大きくなると測定距離Lが小さい場合に対してマーカ光Lmの照度が高くなるとともにマーカ光の回転速度Vが速くなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学的情報読取装置に関する技術として、下記特許文献1に示すバーコードスキャナが知られている。このバーコードスキャナでは、トリガーを最初に引いたときに、照準を合わせるための明るいスポット(小さな可視パターン)として、振動する円又は螺旋パターンがバーコードを付した読取対象に照射される。これによりバーコードの向きが推定され、2回目にトリガーを引くと、上述のように推定されたバーコードの向きに応じて走査されて、バーコード全体がデコードされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−254041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、読取対象に付された情報コードの読取精度を向上させるためには、読取作業時における読取対象に対する撮像領域を作業者に明確に視認させる必要がある。そこで、例えば、撮像領域の周囲を囲むマーカ光を読取対象に照射することで、撮像領域の視認性が向上する。また、マーカ光を上記特許文献1のように振動する円又は螺旋パターンとして読取対象に照射することで、さらに撮像領域の視認性を向上させることもできる。
【0005】
しかしながら、単に読取対象に対してマーカ光を照射するだけでは、近くに読取対象がある場合には、読取対象にて反射するマーカ光の反射光が眩しすぎて、この反射光を目視する作業者の目が疲労してしまうという問題がある。この問題を解決するためにマーカ光の照度を単に低くすると、遠くに読取対象がある場合にはマーカ光の反射光が弱くなり、撮像領域の視認性が悪化してしまうという問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、マーカ光により撮像領域を好適に視認させ得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学的情報読取装置では、読取対象に付された情報コードからの反射光を受光する受光手段と、前記受光手段による受光結果に基づいて前記情報コードを含めた撮像領域に対応する画像データを生成する生成手段と、前記生成手段にて生成された前記画像データに基づいて前記情報コードを読み取る読取手段と、を備える光学的情報読取装置であって、マーカ光を照射するマーカ光照射手段と、前記マーカ光の照度を制御可能なマーカ光照度制御手段と、前記撮像領域を囲うように前記マーカ光を回転させるマーカ光回転手段と、前記読取対象との距離を測定する距離測定手段と、を備え、前記マーカ光照度制御手段は、前記距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりも前記マーカ光の照度を高くし、前記マーカ光回転手段は、前記距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりも前記マーカ光の回転速度を速くすることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記撮像領域内に距離測定用光を照射可能であってその光軸が前記受光手段の光軸に対して所定の角度を有する距離測定用光照射手段を備え、前記距離測定手段は、前記画像データに含まれる前記距離測定用光の位置に応じて前記測定距離を測定することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記マーカ光回転手段は、前記読取手段により前記情報コードの読み取りが完了すると、前記マーカ光の回転を停止することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記マーカ光回転手段は、前記読取手段により前記情報コードの読み取りが完了すると、前記マーカ光の回転方向を逆転させることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記マーカ光照度制御手段は、前記距離測定手段による測定距離が所定の閾値以上になると、前記マーカ光の照度を回転回数に応じて変更することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記マーカ光が前記撮像領域の外縁近傍に照射されるとき、当該マーカ光の色および形状の少なくともいずれか1つを変更する変更手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、マーカ光を照射するマーカ光照射手段と、マーカ光の照度を制御可能なマーカ光照度制御手段と、受光手段による撮像領域を囲うようにマーカ光を回転させるマーカ光回転手段と、読取対象との距離を測定する距離測定手段と、が設けられている。そして、マーカ光照度制御手段は、距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりもマーカ光の照度を高くする。また、マーカ光回転手段は、距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりもマーカ光の回転速度を速くする。
【0014】
これにより、当該装置に対して遠くに読取対象がある場合には、マーカ光の照度が高くなりかつマーカ光の回転速度が早くなるので、作業者が遠くの読取対象に付された情報コードを読み取る場合でも受光手段による撮像領域を明確に視認することができる。また、当該装置に対して近くに読取対象がある場合には、マーカ光の照度が低くなりかつマーカ光の回転速度が遅くなるので、作業者が近くの読取対象に付された情報コードを読み取る場合でも目の疲労を軽減させて受光手段による撮像領域を明確に視認することができる。
したがって、本発明に係る光学的情報読取装置は、当該装置に対する読取対象の遠近に関わらず、作業者に対してマーカ光により撮像領域を好適に視認させることができる。
【0015】
請求項2の発明では、受光手段の撮像領域内に距離測定用光を照射可能であってその光軸が受光手段の光軸に対して所定の角度を有する距離測定用光照射手段が設けられている。そして、距離測定手段は、生成手段にて生成された画像データに含まれる距離測定用光の位置に応じて測定距離を測定する。
【0016】
距離測定用光照射手段は、その光軸が受光手段の光軸に対して所定の角度を有するように配置されるため、撮像領域内に照射される距離測定用光の位置は、読取対象との距離が遠くなるほど上記所定の角度に応じた方向に移動することとなる。このため、画像データに含まれる距離測定用光の位置に応じて測定距離を容易に測定することができる。
【0017】
請求項3の発明では、マーカ光回転手段は、読取手段により情報コードの読み取りが完了すると、マーカ光の回転を停止するため、作業者は、情報コードの読み取りの完了を確実に認識することができる。
【0018】
請求項4の発明では、マーカ光回転手段は、読取手段により情報コードの読み取りが完了すると、マーカ光の回転方向を逆転させるため、請求項3の発明と同様に、作業者は、情報コードの読み取りの完了を確実に認識することができる。
【0019】
請求項5の発明では、マーカ光照度制御手段は、距離測定手段による測定距離が所定の閾値以上になると、マーカ光の照度を回転回数に応じて変更するため、作業者が遠くの読取対象に付された情報コードを読み取る場合でもマーカ光の照度を単に高くすることなくマーカ光による撮像領域の視認性を更に向上させることができる。
【0020】
請求項6の発明では、変更手段により、マーカ光が撮像領域の外縁近傍に照射されるとき、当該マーカ光の色および形状の少なくともいずれか1つが変更される。これにより、撮像領域の外縁がより明確となり、マーカ光による撮像領域の視認性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】マーカ光発生部50の構成を概念的に示す説明図である。
【図3】図2のフォログラム55をマーカ光照射部側から見た正面図である。
【図4】第1実施形態におけるマーカ光Lmの軌跡と撮像領域Sとの関係を例示する概念図である。
【図5】撮像領域Sのレーザ光Lsと測定距離Lとの関係を例示する概念図であり、図5(A)は読取口13を読取対象Rに最接近させたときのレーザ光Lsの位置を示し、図5(B)は読取口13を図5(A)よりも読取対象Rから遠ざけたときのレーザ光Lsの位置を示す。
【図6】制御回路40にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートの一部である。
【図7】制御回路40にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートの一部である。
【図8】読取処理に用いられる測定距離−回転速度マップの一例を示す説明図である。
【図9】第2実施形態に係る光学的情報読取装置10の要部を例示する概念図である。
【図10】図9の第2フォログラム56をマーカ光照射部側から見た正面図である。
【図11】第2実施形態におけるマーカ光Lmの軌跡と撮像領域Sとの関係を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、光学的情報読取装置10は、梱包箱等の読取対象に付されたバーコードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取る携帯型の読取装置として構成されている。この光学的情報読取装置10は、筐体(図示略)の内部に回路部20が収容されてなるものであり、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0023】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図1では、情報コードCが表示された読取対象Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0024】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、CCDエリアセンサとして構成されるものであり、情報コードCまたは読取対象Rに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されている。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。なお、受光センサ28は、特許請求の範囲に記載の「受光手段」の一例に相当し得るものである。
【0025】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本第1実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0026】
また、本第1実施形態では、上記光学系に加え、マーカ光発生部50が設けられている。マーカ光発生部50は、図2に示すように、マーカ光照射部51とマーカ光回転機構52とを備えている。マーカ光照射部51は読取対象Rに向けてマーカ光となるレーザ光を照射する機能を有するものであり、レーザダイオードおよびレーザダイオード駆動回路等によって構成されている(いずれも図示略)。レーザダイオードは、制御回路40からの信号に応じて駆動するレーザダイオード駆動回路により制御されて、後述するように所定の照度に設定されるレーザ光を照射する構成をなしている。なお、マーカ光照射部51は、特許請求の範囲に記載の「マーカ光照射手段」の一例に相当し、マーカ光回転機構52は、特許請求の範囲に記載の「マーカ光回転手段」の一例に相当し得るものである。
【0027】
マーカ光回転機構52は、モータ53と、このモータ53のモータ軸に形成されるピニオンギヤ53aに常時噛合する歯車54と、この歯車54に固定されて同軸的に回転するフォログラム55とを備えている。モータ53は、制御回路40のモータ駆動回路(図示略)からの駆動信号に応じてフォログラム55を所定の回転速度で回転させるように構成されている。歯車54には、中央の貫通穴外縁に略円筒状の第1ボス部54aおよび第2ボス部54bが形成されている。当該歯車54は、第1ボス部54aの外周面にて軸支されており、ピニオンギヤ53aの回転に応じて回転中心Gを中心に所定の変速比で回転するように構成されている。また、第1ボス部54aの内方には、マーカ光照射部51が第2ボス部側にレーザ光を照射可能に配置されている。
【0028】
フォログラム55は、図3に示すように、円形の透過部55aを除きレーザ光が透過できないように構成されている。このフォログラム55は、歯車54とともに回転するように当該歯車54の第2ボス部54bの開口部を閉塞するように固定されており、透過部55aは、歯車54の回転に応じて回転中心Gを中心に回転する。このため、マーカ光照射部51からフォログラム55に向けて照射されるレーザ光は、透過部55aを透過することで、所定の領域を囲うように回転するマーカ光Lmとして読取対象Rに照射される。
【0029】
本第1実施形態では、上述のように回転するマーカ光Lmの軌跡が読取対象Rとの距離にかかわらず受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍を通過するように(図4参照)、受光センサ28およびマーカ光発生部50が配置されている。これにより、作業者は、回転するマーカ光Lmにより受光センサ28による撮像領域Sを視認することができる。
【0030】
また、本第1実施形態では、図1および図4に示すように、上記光学系に加え、距離測定用のレーザ光照射部60が設けられている。レーザ光照射部60は、レーザダイオードおよびレーザダイオード駆動回路等によって構成されており、このレーザダイオードは、制御回路40からの信号に応じて駆動するレーザダイオード駆動回路により制御されて、距離測定用のレーザ光Lsを照射する構成をなしている。当該レーザ光照射部60は、撮像領域S内に距離測定用のレーザ光Lsを照射可能であって、その光軸が受光センサ28の光軸に対して所定の角度を有するように配置されている。
【0031】
具体的には、レーザ光照射部60は、読取口13を読取対象Rに最接近させるとき、レーザ光Lsが撮像領域Sの右下の位置(図5(A)のP1参照)に対応する位置に照射されるように配置されている。このため、レーザ光Lsは、読取口13を読取対象Rから離間させるほど、撮像領域S内に照射される位置が上記所定の角度に応じて図5(B)中の矢印α方向へ移動する(図5(B)のP2参照)。したがって、撮像領域Sに照射されるレーザ光Lsの位置に応じて読取対象Rまでの距離を容易に測定することができる。
【0032】
また、上述したマイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。
【0033】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定の増幅率で増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0034】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルなども確保されるようになっている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定のプログラムや、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラムなどが予め格納されている。
【0035】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置と接続可能に構成されており、本第1実施形態の場合、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。
【0036】
これにより、制御回路40は、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、情報コードCの読み取りに関する情報を通知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の作業者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、液晶表示器46の表示制御や外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。なお、通信インタフェース48に接続される外部装置には、当該光学的情報読取装置10の上位システムに相当するホストコンピュータ等が含まれる。
【0037】
次に、このように構成される光学的情報読取装置10において制御回路40により実施される読取処理について、図6および図7に示すフローチャートを用いて説明する。
電源が投入されて所定の初期設定等が実施されると、図6のステップS101において、フォログラム回転駆動処理がなされる。この処理では、後述するようにメモリ35に前回記憶された回転速度に応じてマーカ光回転機構52のモータ53が駆動されることで、フォログラム55が設定された回転速度に応じて回転する。そして、ステップS103にてマーカ光照射処理がなされる。この処理では、低照度のレーザ光がマーカ光照射部51から照射される。これにより、回転する透過部55aを透過したレーザ光が、受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍を通過するように回転するマーカ光Lmとして、読取対象Rに照射される。
【0038】
次に、ステップS105にて距離測定用レーザ光照射処理がなされる。この処理では、レーザ光照射部60により読取対象Rに向けて距離測定用のレーザ光Lsが照射される。続いて、ステップS107にて画像取得処理がなされて、受光センサ28により撮像領域Sに対応する画像データが生成されて取得されると、ステップS109にて消灯処理がなされ、レーザ光照射部60によるレーザ光Lsの照射が停止される。なお、ステップS107の処理および後述するステップS127を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「生成手段」の一例に相当する。
【0039】
そして、ステップS111において、距離測定処理がなされる。この処理では、ステップS107にて取得した画像データ(撮像領域S)に含まれる距離測定用のレーザ光Lsの位置に応じて読取対象Rまでの距離(以下、測定距離Lという)が測定される。具体的には、図5(A),(B)に示すように、レーザ光Lsが撮像される可能性がある領域を8つの領域(図5中の領域A1〜A8参照)に区画することで、レーザ光Lsが含まれる領域に応じて測定距離Lが測定される。なお、本第1実施形態では、例えば、領域A4および領域A5の境界にてレーザ光Lsが撮像されるとき、測定距離Lが1mになるように上記所定の角度が設定されている。また、レーザ光Lsが隣接する領域の双方に含まれるときには、含まれる面積が多い領域に応じて測定距離Lが測定される。なお、ステップS111の処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「距離測定手段」の一例に相当する。
【0040】
続いて、ステップS113において、回転速度設定処理がなされる。この処理では、上記ステップS111にて測定された測定距離Lに応じて回転速度が設定される。本第1実施形態では、回転速度Vは、測定距離Lが大きくなるほど段階的に増加するように設定され、具体的には、図8の測定距離−回転速度マップに示すように、撮像領域Sにおいてレーザ光Lsが撮像される領域がA1である場合には回転速度VがV1に設定され、A2、A3、・・・、A8のいずれかでは回転速度VがV2、V3、・・・、V8に設定される。なお、本第1実施形態では、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8は、例えば、それぞれ、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0(回転/秒)に設定されている。
【0041】
これにより、近距離の情報コードCを読み取る場合にはマーカ光Lmの回転速度が遅く設定され、遠距離の情報コードCを読み取る場合にはマーカ光Lmの回転速度が速く設定されることとなる。なお、全ての領域にレーザ光Lsが撮像されていない場合には、測定距離Lが大きいことからレーザ光Lsが領域A8よりもさらに矢印α方向に照射される状態であると推定されて、回転速度VがV8よりも大きな値、例えば、10.0(回転/秒)に設定される。
【0042】
そして、ステップS115にて読取対象Rまでの距離が遠距離か否かについて判定される。ここで、上記ステップS107にて取得された画像データにおいてレーザ光Lsが含まれる領域が領域A5を含めた遠距離に対応する領域(A5〜A8)であるか全ての領域にレーザ光Lsが含まれない場合には、読取対象Rまでの距離が遠距離(測定距離Lが1m以上)であることから、ステップS115にてYesと判定される。そして、ステップS117にて、フラグFが、読取対象Rまでの距離が遠距離であることを示すF=1に設定される。
【0043】
一方、上記ステップS107にて取得された画像データにおいてレーザ光Lsが含まれる領域が領域A4を含めた近距離に対応する領域(A1〜A4)である場合には、読取対象Rまでの距離が近距離(測定距離Lが1m未満)であることから、ステップS115にてNoと判定される。そして、ステップS119にて、フラグFが、読取対象Rまでの距離が近距離であることを示すF=2に設定される。
【0044】
上述のようにステップS117またはステップS119にてフラグFが設定されると、図7のステップS121において、フォログラム回転駆動処理がなされる。この処理では、上記ステップS113にて設定された回転速度Vに応じてマーカ光回転機構52のモータ53を駆動することで、フォログラム55が設定された回転速度Vに応じて回転する。
【0045】
そして、ステップS123にてマーカ光照射処理がなされる。この処理では、上記ステップS117にてフラグF=1に設定されている場合にはマーカ光照射部51により高照度のレーザ光が照射され、上記ステップS119にてフラグF=2に設定されている場合にはマーカ光照射部51により低照度のレーザ光が照射される。なお、ステップS123の処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「マーカ光照度制御手段」の一例に相当する。
【0046】
このように、回転する透過部55aを透過したレーザ光が、受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍を通過するように回転するマーカ光Lmとして、読取対象Rに照射されることにより、当該撮像領域Sの視認性を向上させる。特に、遠距離の情報コードCを読み取る場合にはマーカ光の照度が高くかつマーカ光の回転速度が早くなり、近距離の情報コードCを読み取る場合にはマーカ光の照度が低くかつマーカ光の回転速度が遅くなる。すなわち、測定距離Lが大きくなると測定距離Lが小さい場合に対してマーカ光Lmの照度が高くなるとともにマーカ光の回転速度Vが速くなる。
【0047】
このように撮像領域Sの視認性を向上させるためにマーカ光Lmが撮像領域Sの四隅近傍を通過するように回転する状態において、作業者がトリガースイッチ42を操作するまでステップS125にてNoと判定されて、上記ステップS105からの処理が繰り返される。
【0048】
そして、作業者が読取作業を行うためにトリガースイッチ42を操作すると、S125にてYesと判定されて、ステップS127にて画像取得処理がなされ、受光センサ28により情報コードCを含めた撮像領域Sに対応する画像データが生成されて取得される。続いて、ステップS129にて情報コードCとして符号化された文字データ等を公知のデコード方法に基づいて読み取るデコード処理がなされる。なお、ステップS129の処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「読取手段」の一例に相当する。
【0049】
そして、ステップS129におけるデコードが成功すると(S131でYes)、ステップS133にてフォログラム回転停止処理がなされて、モータ53の停止によりフォログラム55の回転が停止することから、マーカ光Lmの回転が停止する。これにより、作業者は情報コードCの読み取りに成功したことを認識することができる。
【0050】
そして、ステップS135において、上記ステップS113にて設定された回転速度Vがメモリ35に記憶されると、ステップS137にて電源がオフ状態になったと判定されるまで、上記ステップS101からの処理が繰り返される。一方、ステップS129におけるデコードが失敗すると(S131でNo)、上記ステップS105からの処理が繰り返される。
【0051】
以上説明したように、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、マーカ光Lmを照射するためのマーカ光照射部51と、マーカ光Lmの照度を制御可能なマーカ光照度制御手段としての制御回路40と、制御回路40により制御されて受光センサ28による撮像領域Sを囲うようにマーカ光Lmを回転させるマーカ光回転機構52と、読取対象Rとの距離を測定するための距離測定用のレーザ光照射部60と、が設けられている。そして、測定距離Lが大きくなると測定距離Lが小さい場合に対してマーカ光Lmの照度が高くなるとともにマーカ光の回転速度Vが速くなる。
【0052】
これにより、当該装置(読取口13)に対して遠くに読取対象Rがある場合には、マーカ光Lmの照度が高くなりかつマーカ光Lmの回転速度Vが早くなるので、作業者が遠くの読取対象Rに付された情報コードCを読み取る場合でも受光センサ28による撮像領域Sを明確に視認することができる。また、当該装置(読取口13)に対して近くに読取対象Rがある場合には、マーカ光Lmの照度が低くなりかつマーカ光Lmの回転速度Vが遅くなるので、作業者が近くの読取対象Rに付された情報コードCを読み取る場合でも目の疲労を軽減させて受光センサ28による撮像領域Sを明確に視認することができる。
したがって、当該装置に対する読取対象Rの遠近に関わらず、作業者に対してマーカ光Lmにより撮像領域Sを好適に視認させることができる。
【0053】
また、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、受光センサ28の撮像領域S内に距離測定用のレーザ光Lsを照射可能であってその光軸が受光センサ28の光軸に対して所定の角度を有するレーザ光照射部60が設けられている。そして、画像データに含まれるレーザ光Lsの位置に応じて測定距離Lが測定される。撮像領域S内に照射されるレーザ光Lsの位置は、読取対象Rとの距離が遠くなるほど上記所定の角度に応じた方向(矢印α方向)に移動するため、画像データに含まれるレーザ光Lsの位置に応じて測定距離Lを容易に測定することができる。
【0054】
さらに、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、情報コードCの読み取りが完了すると、マーカ光Lmの回転が停止されるため、作業者は、情報コードCの読み取りの完了を確実に認識することができる。
【0055】
本第1実施形態の第1変形例として、ステップS123において、フラグFがF=1に設定されている場合には、フォログラム55の回転回数に応じて照度が変化するようにマーカ光照射部51からレーザ光が照射されてもよい。具体的には、本第1変形例では、一回転毎に低照度と高照度とを繰り返すようにレーザ光が照射されるが、例えば、所定の回転回数毎に低照度と高照度とを繰り返すようにレーザ光が照射されてもよい。これにより、測定距離Lが例えば予め設定される所定の閾値以上になることから遠距離の情報コードCを読み取る場合には、マーカ光Lmの照度を回転回数に応じて変更するため、作業者が遠くの読取対象Rに付された情報コードCを読み取る場合でもマーカ光Lmの照度を単に高くすることなくマーカ光Lmによる撮像領域Sの視認性を更に向上させることができる。
【0056】
また、本第1実施形態の第2変形例として、ステップS123において、フラグFにかかわらずステップS111にて測定される測定距離Lが大きくなるほど徐々にマーカ光Lmの照度を高くするようにしてもよい。
【0057】
また、本第1実施形態の第3変形例として、ステップS133において、情報コードCの読み取りが完了すると、マーカ光Lmの回転を逆転させてもよい。このようにしても、作業者は、情報コードCの読み取りの完了を確実に認識することができる。
【0058】
[第2実施形態]
次に、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第2実施形態について図9〜図11を用いて説明する。
本第2実施形態に係る光学的情報読取装置10では、マーカ光発生部50に代えてマーカ光発生部50aを採用している点が、上記第1実施形態に係る光学的情報読取装置と異なる。したがって、第1実施形態の光学的情報読取装置と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
マーカ光発生部50aは、図9に示すように、上述したマーカ光発生部50に対して第2フォログラム56を新たに追加するように構成されている。この第2フォログラム56は、筐体に回転不能に固定されており、上記フォログラム55と異なり、図10に示すように、4つの星形の光形状変更部56aの周囲のみレーザ光が透過できないように構成されている。また、各光形状変更部56aは、回転するフォログラム55の透過部55aからのレーザ光が透過してマーカ光Lmとして受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍に照射されるように、回転中心Gに対して円周方向等間隔に配置される。なお、第2フォログラム56は、特許請求の範囲に記載の「変更手段」の一例に相当する。
【0060】
これにより、本第2実施形態では、上記ステップS123にてマーカ光照射部51によりレーザ光が照射される場合、図11に示すように、受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍を通過するときではマーカ光Lmが光形状変更部56aの形状に応じて星形になり、それ以外ではマーカ光Lmが透過部55aの形状に応じて円形になる。これにより、撮像領域Sの外縁がより明確となり、マーカ光Lmによる撮像領域Sの視認性を更に向上させることができる。
【0061】
本第2実施形態の第1変形例として、光形状変更部56aを透過する前のマーカ光Lmの色と光形状変更部56aを透過した後のマーカ光Lmの色とを変更するように、光形状変更部56a内にフィルタ等を配置してもよい。これにより、撮像領域Sの四隅近傍を通過するマーカ光Lmの色と、他の領域を通過するマーカ光Lmの色とが変更されるので、撮像領域Sの外縁がより明確となり、マーカ光Lmによる撮像領域Sの視認性を更に向上させることができる。また、光形状変更部56aの形状は、星形に限らず、透過部55aの形状(円形)と異なる形状であればよい。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)測定距離Lは、Lsが含まれる領域Aに基づいて測定されることに限らず、最接近させた状態(図5(A)のP1参照)から矢印α方向への移動量に応じて測定されてもよい。また、測定距離Lは、レーザ光照射部60を使用することで測定されることに限らず、例えば、超音波センサ等の距離測定センサにより測定されてもよい。
【0063】
(2)マーカ光回転機構52は、撮像領域Sが長方形である場合にこの撮像領域Sの四隅をマーカ光Lmが通過するように、フォログラム55を回転中心Gに対して偏心させるように回転させてもよい。
【0064】
(3)上述した読取処理は、電源投入に応じて図6のステップS101以降の処理が開始されることに限らず、例えば、トリガースイッチ42の操作に応じてステップS101以降の処理を開始してもよい。
【0065】
(4)マーカ光Lmによる撮像領域Sの視認性を更に向上させるために、撮像領域Sの四隅近傍では、マーカ光照射部51から照射されるレーザ光の照度を変更してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…光学的情報読取装置
28…受光センサ(受光手段)
40…制御回路(生成手段、読取手段、マーカ光制御手段,距離測定手段)
50,50a…マーカ光発生部
51…マーカ光照射部(マーカ光照射手段)
52…マーカ光回転機構(マーカ光回転手段)
55…フォログラム
55a…透過部
56…第2フォログラム(変更手段)
56a…光形状変更部
60…レーザ光照射部(距離測定用光照射手段)
C…情報コード
L…測定距離
Lm…マーカ光
Ls…レーザ光(距離測定用光)
R…読取対象
S…撮像領域
V…回転速度
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学的情報読取装置に関する技術として、下記特許文献1に示すバーコードスキャナが知られている。このバーコードスキャナでは、トリガーを最初に引いたときに、照準を合わせるための明るいスポット(小さな可視パターン)として、振動する円又は螺旋パターンがバーコードを付した読取対象に照射される。これによりバーコードの向きが推定され、2回目にトリガーを引くと、上述のように推定されたバーコードの向きに応じて走査されて、バーコード全体がデコードされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−254041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、読取対象に付された情報コードの読取精度を向上させるためには、読取作業時における読取対象に対する撮像領域を作業者に明確に視認させる必要がある。そこで、例えば、撮像領域の周囲を囲むマーカ光を読取対象に照射することで、撮像領域の視認性が向上する。また、マーカ光を上記特許文献1のように振動する円又は螺旋パターンとして読取対象に照射することで、さらに撮像領域の視認性を向上させることもできる。
【0005】
しかしながら、単に読取対象に対してマーカ光を照射するだけでは、近くに読取対象がある場合には、読取対象にて反射するマーカ光の反射光が眩しすぎて、この反射光を目視する作業者の目が疲労してしまうという問題がある。この問題を解決するためにマーカ光の照度を単に低くすると、遠くに読取対象がある場合にはマーカ光の反射光が弱くなり、撮像領域の視認性が悪化してしまうという問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、マーカ光により撮像領域を好適に視認させ得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学的情報読取装置では、読取対象に付された情報コードからの反射光を受光する受光手段と、前記受光手段による受光結果に基づいて前記情報コードを含めた撮像領域に対応する画像データを生成する生成手段と、前記生成手段にて生成された前記画像データに基づいて前記情報コードを読み取る読取手段と、を備える光学的情報読取装置であって、マーカ光を照射するマーカ光照射手段と、前記マーカ光の照度を制御可能なマーカ光照度制御手段と、前記撮像領域を囲うように前記マーカ光を回転させるマーカ光回転手段と、前記読取対象との距離を測定する距離測定手段と、を備え、前記マーカ光照度制御手段は、前記距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりも前記マーカ光の照度を高くし、前記マーカ光回転手段は、前記距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりも前記マーカ光の回転速度を速くすることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記撮像領域内に距離測定用光を照射可能であってその光軸が前記受光手段の光軸に対して所定の角度を有する距離測定用光照射手段を備え、前記距離測定手段は、前記画像データに含まれる前記距離測定用光の位置に応じて前記測定距離を測定することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記マーカ光回転手段は、前記読取手段により前記情報コードの読み取りが完了すると、前記マーカ光の回転を停止することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記マーカ光回転手段は、前記読取手段により前記情報コードの読み取りが完了すると、前記マーカ光の回転方向を逆転させることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記マーカ光照度制御手段は、前記距離測定手段による測定距離が所定の閾値以上になると、前記マーカ光の照度を回転回数に応じて変更することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記マーカ光が前記撮像領域の外縁近傍に照射されるとき、当該マーカ光の色および形状の少なくともいずれか1つを変更する変更手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、マーカ光を照射するマーカ光照射手段と、マーカ光の照度を制御可能なマーカ光照度制御手段と、受光手段による撮像領域を囲うようにマーカ光を回転させるマーカ光回転手段と、読取対象との距離を測定する距離測定手段と、が設けられている。そして、マーカ光照度制御手段は、距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりもマーカ光の照度を高くする。また、マーカ光回転手段は、距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりもマーカ光の回転速度を速くする。
【0014】
これにより、当該装置に対して遠くに読取対象がある場合には、マーカ光の照度が高くなりかつマーカ光の回転速度が早くなるので、作業者が遠くの読取対象に付された情報コードを読み取る場合でも受光手段による撮像領域を明確に視認することができる。また、当該装置に対して近くに読取対象がある場合には、マーカ光の照度が低くなりかつマーカ光の回転速度が遅くなるので、作業者が近くの読取対象に付された情報コードを読み取る場合でも目の疲労を軽減させて受光手段による撮像領域を明確に視認することができる。
したがって、本発明に係る光学的情報読取装置は、当該装置に対する読取対象の遠近に関わらず、作業者に対してマーカ光により撮像領域を好適に視認させることができる。
【0015】
請求項2の発明では、受光手段の撮像領域内に距離測定用光を照射可能であってその光軸が受光手段の光軸に対して所定の角度を有する距離測定用光照射手段が設けられている。そして、距離測定手段は、生成手段にて生成された画像データに含まれる距離測定用光の位置に応じて測定距離を測定する。
【0016】
距離測定用光照射手段は、その光軸が受光手段の光軸に対して所定の角度を有するように配置されるため、撮像領域内に照射される距離測定用光の位置は、読取対象との距離が遠くなるほど上記所定の角度に応じた方向に移動することとなる。このため、画像データに含まれる距離測定用光の位置に応じて測定距離を容易に測定することができる。
【0017】
請求項3の発明では、マーカ光回転手段は、読取手段により情報コードの読み取りが完了すると、マーカ光の回転を停止するため、作業者は、情報コードの読み取りの完了を確実に認識することができる。
【0018】
請求項4の発明では、マーカ光回転手段は、読取手段により情報コードの読み取りが完了すると、マーカ光の回転方向を逆転させるため、請求項3の発明と同様に、作業者は、情報コードの読み取りの完了を確実に認識することができる。
【0019】
請求項5の発明では、マーカ光照度制御手段は、距離測定手段による測定距離が所定の閾値以上になると、マーカ光の照度を回転回数に応じて変更するため、作業者が遠くの読取対象に付された情報コードを読み取る場合でもマーカ光の照度を単に高くすることなくマーカ光による撮像領域の視認性を更に向上させることができる。
【0020】
請求項6の発明では、変更手段により、マーカ光が撮像領域の外縁近傍に照射されるとき、当該マーカ光の色および形状の少なくともいずれか1つが変更される。これにより、撮像領域の外縁がより明確となり、マーカ光による撮像領域の視認性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】マーカ光発生部50の構成を概念的に示す説明図である。
【図3】図2のフォログラム55をマーカ光照射部側から見た正面図である。
【図4】第1実施形態におけるマーカ光Lmの軌跡と撮像領域Sとの関係を例示する概念図である。
【図5】撮像領域Sのレーザ光Lsと測定距離Lとの関係を例示する概念図であり、図5(A)は読取口13を読取対象Rに最接近させたときのレーザ光Lsの位置を示し、図5(B)は読取口13を図5(A)よりも読取対象Rから遠ざけたときのレーザ光Lsの位置を示す。
【図6】制御回路40にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートの一部である。
【図7】制御回路40にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートの一部である。
【図8】読取処理に用いられる測定距離−回転速度マップの一例を示す説明図である。
【図9】第2実施形態に係る光学的情報読取装置10の要部を例示する概念図である。
【図10】図9の第2フォログラム56をマーカ光照射部側から見た正面図である。
【図11】第2実施形態におけるマーカ光Lmの軌跡と撮像領域Sとの関係を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、光学的情報読取装置10は、梱包箱等の読取対象に付されたバーコードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取る携帯型の読取装置として構成されている。この光学的情報読取装置10は、筐体(図示略)の内部に回路部20が収容されてなるものであり、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0023】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図1では、情報コードCが表示された読取対象Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0024】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、CCDエリアセンサとして構成されるものであり、情報コードCまたは読取対象Rに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されている。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。なお、受光センサ28は、特許請求の範囲に記載の「受光手段」の一例に相当し得るものである。
【0025】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本第1実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0026】
また、本第1実施形態では、上記光学系に加え、マーカ光発生部50が設けられている。マーカ光発生部50は、図2に示すように、マーカ光照射部51とマーカ光回転機構52とを備えている。マーカ光照射部51は読取対象Rに向けてマーカ光となるレーザ光を照射する機能を有するものであり、レーザダイオードおよびレーザダイオード駆動回路等によって構成されている(いずれも図示略)。レーザダイオードは、制御回路40からの信号に応じて駆動するレーザダイオード駆動回路により制御されて、後述するように所定の照度に設定されるレーザ光を照射する構成をなしている。なお、マーカ光照射部51は、特許請求の範囲に記載の「マーカ光照射手段」の一例に相当し、マーカ光回転機構52は、特許請求の範囲に記載の「マーカ光回転手段」の一例に相当し得るものである。
【0027】
マーカ光回転機構52は、モータ53と、このモータ53のモータ軸に形成されるピニオンギヤ53aに常時噛合する歯車54と、この歯車54に固定されて同軸的に回転するフォログラム55とを備えている。モータ53は、制御回路40のモータ駆動回路(図示略)からの駆動信号に応じてフォログラム55を所定の回転速度で回転させるように構成されている。歯車54には、中央の貫通穴外縁に略円筒状の第1ボス部54aおよび第2ボス部54bが形成されている。当該歯車54は、第1ボス部54aの外周面にて軸支されており、ピニオンギヤ53aの回転に応じて回転中心Gを中心に所定の変速比で回転するように構成されている。また、第1ボス部54aの内方には、マーカ光照射部51が第2ボス部側にレーザ光を照射可能に配置されている。
【0028】
フォログラム55は、図3に示すように、円形の透過部55aを除きレーザ光が透過できないように構成されている。このフォログラム55は、歯車54とともに回転するように当該歯車54の第2ボス部54bの開口部を閉塞するように固定されており、透過部55aは、歯車54の回転に応じて回転中心Gを中心に回転する。このため、マーカ光照射部51からフォログラム55に向けて照射されるレーザ光は、透過部55aを透過することで、所定の領域を囲うように回転するマーカ光Lmとして読取対象Rに照射される。
【0029】
本第1実施形態では、上述のように回転するマーカ光Lmの軌跡が読取対象Rとの距離にかかわらず受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍を通過するように(図4参照)、受光センサ28およびマーカ光発生部50が配置されている。これにより、作業者は、回転するマーカ光Lmにより受光センサ28による撮像領域Sを視認することができる。
【0030】
また、本第1実施形態では、図1および図4に示すように、上記光学系に加え、距離測定用のレーザ光照射部60が設けられている。レーザ光照射部60は、レーザダイオードおよびレーザダイオード駆動回路等によって構成されており、このレーザダイオードは、制御回路40からの信号に応じて駆動するレーザダイオード駆動回路により制御されて、距離測定用のレーザ光Lsを照射する構成をなしている。当該レーザ光照射部60は、撮像領域S内に距離測定用のレーザ光Lsを照射可能であって、その光軸が受光センサ28の光軸に対して所定の角度を有するように配置されている。
【0031】
具体的には、レーザ光照射部60は、読取口13を読取対象Rに最接近させるとき、レーザ光Lsが撮像領域Sの右下の位置(図5(A)のP1参照)に対応する位置に照射されるように配置されている。このため、レーザ光Lsは、読取口13を読取対象Rから離間させるほど、撮像領域S内に照射される位置が上記所定の角度に応じて図5(B)中の矢印α方向へ移動する(図5(B)のP2参照)。したがって、撮像領域Sに照射されるレーザ光Lsの位置に応じて読取対象Rまでの距離を容易に測定することができる。
【0032】
また、上述したマイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。
【0033】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定の増幅率で増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0034】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルなども確保されるようになっている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定のプログラムや、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラムなどが予め格納されている。
【0035】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置と接続可能に構成されており、本第1実施形態の場合、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。
【0036】
これにより、制御回路40は、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、情報コードCの読み取りに関する情報を通知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の作業者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、液晶表示器46の表示制御や外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。なお、通信インタフェース48に接続される外部装置には、当該光学的情報読取装置10の上位システムに相当するホストコンピュータ等が含まれる。
【0037】
次に、このように構成される光学的情報読取装置10において制御回路40により実施される読取処理について、図6および図7に示すフローチャートを用いて説明する。
電源が投入されて所定の初期設定等が実施されると、図6のステップS101において、フォログラム回転駆動処理がなされる。この処理では、後述するようにメモリ35に前回記憶された回転速度に応じてマーカ光回転機構52のモータ53が駆動されることで、フォログラム55が設定された回転速度に応じて回転する。そして、ステップS103にてマーカ光照射処理がなされる。この処理では、低照度のレーザ光がマーカ光照射部51から照射される。これにより、回転する透過部55aを透過したレーザ光が、受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍を通過するように回転するマーカ光Lmとして、読取対象Rに照射される。
【0038】
次に、ステップS105にて距離測定用レーザ光照射処理がなされる。この処理では、レーザ光照射部60により読取対象Rに向けて距離測定用のレーザ光Lsが照射される。続いて、ステップS107にて画像取得処理がなされて、受光センサ28により撮像領域Sに対応する画像データが生成されて取得されると、ステップS109にて消灯処理がなされ、レーザ光照射部60によるレーザ光Lsの照射が停止される。なお、ステップS107の処理および後述するステップS127を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「生成手段」の一例に相当する。
【0039】
そして、ステップS111において、距離測定処理がなされる。この処理では、ステップS107にて取得した画像データ(撮像領域S)に含まれる距離測定用のレーザ光Lsの位置に応じて読取対象Rまでの距離(以下、測定距離Lという)が測定される。具体的には、図5(A),(B)に示すように、レーザ光Lsが撮像される可能性がある領域を8つの領域(図5中の領域A1〜A8参照)に区画することで、レーザ光Lsが含まれる領域に応じて測定距離Lが測定される。なお、本第1実施形態では、例えば、領域A4および領域A5の境界にてレーザ光Lsが撮像されるとき、測定距離Lが1mになるように上記所定の角度が設定されている。また、レーザ光Lsが隣接する領域の双方に含まれるときには、含まれる面積が多い領域に応じて測定距離Lが測定される。なお、ステップS111の処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「距離測定手段」の一例に相当する。
【0040】
続いて、ステップS113において、回転速度設定処理がなされる。この処理では、上記ステップS111にて測定された測定距離Lに応じて回転速度が設定される。本第1実施形態では、回転速度Vは、測定距離Lが大きくなるほど段階的に増加するように設定され、具体的には、図8の測定距離−回転速度マップに示すように、撮像領域Sにおいてレーザ光Lsが撮像される領域がA1である場合には回転速度VがV1に設定され、A2、A3、・・・、A8のいずれかでは回転速度VがV2、V3、・・・、V8に設定される。なお、本第1実施形態では、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8は、例えば、それぞれ、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0(回転/秒)に設定されている。
【0041】
これにより、近距離の情報コードCを読み取る場合にはマーカ光Lmの回転速度が遅く設定され、遠距離の情報コードCを読み取る場合にはマーカ光Lmの回転速度が速く設定されることとなる。なお、全ての領域にレーザ光Lsが撮像されていない場合には、測定距離Lが大きいことからレーザ光Lsが領域A8よりもさらに矢印α方向に照射される状態であると推定されて、回転速度VがV8よりも大きな値、例えば、10.0(回転/秒)に設定される。
【0042】
そして、ステップS115にて読取対象Rまでの距離が遠距離か否かについて判定される。ここで、上記ステップS107にて取得された画像データにおいてレーザ光Lsが含まれる領域が領域A5を含めた遠距離に対応する領域(A5〜A8)であるか全ての領域にレーザ光Lsが含まれない場合には、読取対象Rまでの距離が遠距離(測定距離Lが1m以上)であることから、ステップS115にてYesと判定される。そして、ステップS117にて、フラグFが、読取対象Rまでの距離が遠距離であることを示すF=1に設定される。
【0043】
一方、上記ステップS107にて取得された画像データにおいてレーザ光Lsが含まれる領域が領域A4を含めた近距離に対応する領域(A1〜A4)である場合には、読取対象Rまでの距離が近距離(測定距離Lが1m未満)であることから、ステップS115にてNoと判定される。そして、ステップS119にて、フラグFが、読取対象Rまでの距離が近距離であることを示すF=2に設定される。
【0044】
上述のようにステップS117またはステップS119にてフラグFが設定されると、図7のステップS121において、フォログラム回転駆動処理がなされる。この処理では、上記ステップS113にて設定された回転速度Vに応じてマーカ光回転機構52のモータ53を駆動することで、フォログラム55が設定された回転速度Vに応じて回転する。
【0045】
そして、ステップS123にてマーカ光照射処理がなされる。この処理では、上記ステップS117にてフラグF=1に設定されている場合にはマーカ光照射部51により高照度のレーザ光が照射され、上記ステップS119にてフラグF=2に設定されている場合にはマーカ光照射部51により低照度のレーザ光が照射される。なお、ステップS123の処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「マーカ光照度制御手段」の一例に相当する。
【0046】
このように、回転する透過部55aを透過したレーザ光が、受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍を通過するように回転するマーカ光Lmとして、読取対象Rに照射されることにより、当該撮像領域Sの視認性を向上させる。特に、遠距離の情報コードCを読み取る場合にはマーカ光の照度が高くかつマーカ光の回転速度が早くなり、近距離の情報コードCを読み取る場合にはマーカ光の照度が低くかつマーカ光の回転速度が遅くなる。すなわち、測定距離Lが大きくなると測定距離Lが小さい場合に対してマーカ光Lmの照度が高くなるとともにマーカ光の回転速度Vが速くなる。
【0047】
このように撮像領域Sの視認性を向上させるためにマーカ光Lmが撮像領域Sの四隅近傍を通過するように回転する状態において、作業者がトリガースイッチ42を操作するまでステップS125にてNoと判定されて、上記ステップS105からの処理が繰り返される。
【0048】
そして、作業者が読取作業を行うためにトリガースイッチ42を操作すると、S125にてYesと判定されて、ステップS127にて画像取得処理がなされ、受光センサ28により情報コードCを含めた撮像領域Sに対応する画像データが生成されて取得される。続いて、ステップS129にて情報コードCとして符号化された文字データ等を公知のデコード方法に基づいて読み取るデコード処理がなされる。なお、ステップS129の処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「読取手段」の一例に相当する。
【0049】
そして、ステップS129におけるデコードが成功すると(S131でYes)、ステップS133にてフォログラム回転停止処理がなされて、モータ53の停止によりフォログラム55の回転が停止することから、マーカ光Lmの回転が停止する。これにより、作業者は情報コードCの読み取りに成功したことを認識することができる。
【0050】
そして、ステップS135において、上記ステップS113にて設定された回転速度Vがメモリ35に記憶されると、ステップS137にて電源がオフ状態になったと判定されるまで、上記ステップS101からの処理が繰り返される。一方、ステップS129におけるデコードが失敗すると(S131でNo)、上記ステップS105からの処理が繰り返される。
【0051】
以上説明したように、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、マーカ光Lmを照射するためのマーカ光照射部51と、マーカ光Lmの照度を制御可能なマーカ光照度制御手段としての制御回路40と、制御回路40により制御されて受光センサ28による撮像領域Sを囲うようにマーカ光Lmを回転させるマーカ光回転機構52と、読取対象Rとの距離を測定するための距離測定用のレーザ光照射部60と、が設けられている。そして、測定距離Lが大きくなると測定距離Lが小さい場合に対してマーカ光Lmの照度が高くなるとともにマーカ光の回転速度Vが速くなる。
【0052】
これにより、当該装置(読取口13)に対して遠くに読取対象Rがある場合には、マーカ光Lmの照度が高くなりかつマーカ光Lmの回転速度Vが早くなるので、作業者が遠くの読取対象Rに付された情報コードCを読み取る場合でも受光センサ28による撮像領域Sを明確に視認することができる。また、当該装置(読取口13)に対して近くに読取対象Rがある場合には、マーカ光Lmの照度が低くなりかつマーカ光Lmの回転速度Vが遅くなるので、作業者が近くの読取対象Rに付された情報コードCを読み取る場合でも目の疲労を軽減させて受光センサ28による撮像領域Sを明確に視認することができる。
したがって、当該装置に対する読取対象Rの遠近に関わらず、作業者に対してマーカ光Lmにより撮像領域Sを好適に視認させることができる。
【0053】
また、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、受光センサ28の撮像領域S内に距離測定用のレーザ光Lsを照射可能であってその光軸が受光センサ28の光軸に対して所定の角度を有するレーザ光照射部60が設けられている。そして、画像データに含まれるレーザ光Lsの位置に応じて測定距離Lが測定される。撮像領域S内に照射されるレーザ光Lsの位置は、読取対象Rとの距離が遠くなるほど上記所定の角度に応じた方向(矢印α方向)に移動するため、画像データに含まれるレーザ光Lsの位置に応じて測定距離Lを容易に測定することができる。
【0054】
さらに、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、情報コードCの読み取りが完了すると、マーカ光Lmの回転が停止されるため、作業者は、情報コードCの読み取りの完了を確実に認識することができる。
【0055】
本第1実施形態の第1変形例として、ステップS123において、フラグFがF=1に設定されている場合には、フォログラム55の回転回数に応じて照度が変化するようにマーカ光照射部51からレーザ光が照射されてもよい。具体的には、本第1変形例では、一回転毎に低照度と高照度とを繰り返すようにレーザ光が照射されるが、例えば、所定の回転回数毎に低照度と高照度とを繰り返すようにレーザ光が照射されてもよい。これにより、測定距離Lが例えば予め設定される所定の閾値以上になることから遠距離の情報コードCを読み取る場合には、マーカ光Lmの照度を回転回数に応じて変更するため、作業者が遠くの読取対象Rに付された情報コードCを読み取る場合でもマーカ光Lmの照度を単に高くすることなくマーカ光Lmによる撮像領域Sの視認性を更に向上させることができる。
【0056】
また、本第1実施形態の第2変形例として、ステップS123において、フラグFにかかわらずステップS111にて測定される測定距離Lが大きくなるほど徐々にマーカ光Lmの照度を高くするようにしてもよい。
【0057】
また、本第1実施形態の第3変形例として、ステップS133において、情報コードCの読み取りが完了すると、マーカ光Lmの回転を逆転させてもよい。このようにしても、作業者は、情報コードCの読み取りの完了を確実に認識することができる。
【0058】
[第2実施形態]
次に、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第2実施形態について図9〜図11を用いて説明する。
本第2実施形態に係る光学的情報読取装置10では、マーカ光発生部50に代えてマーカ光発生部50aを採用している点が、上記第1実施形態に係る光学的情報読取装置と異なる。したがって、第1実施形態の光学的情報読取装置と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
マーカ光発生部50aは、図9に示すように、上述したマーカ光発生部50に対して第2フォログラム56を新たに追加するように構成されている。この第2フォログラム56は、筐体に回転不能に固定されており、上記フォログラム55と異なり、図10に示すように、4つの星形の光形状変更部56aの周囲のみレーザ光が透過できないように構成されている。また、各光形状変更部56aは、回転するフォログラム55の透過部55aからのレーザ光が透過してマーカ光Lmとして受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍に照射されるように、回転中心Gに対して円周方向等間隔に配置される。なお、第2フォログラム56は、特許請求の範囲に記載の「変更手段」の一例に相当する。
【0060】
これにより、本第2実施形態では、上記ステップS123にてマーカ光照射部51によりレーザ光が照射される場合、図11に示すように、受光センサ28による撮像領域Sの四隅近傍を通過するときではマーカ光Lmが光形状変更部56aの形状に応じて星形になり、それ以外ではマーカ光Lmが透過部55aの形状に応じて円形になる。これにより、撮像領域Sの外縁がより明確となり、マーカ光Lmによる撮像領域Sの視認性を更に向上させることができる。
【0061】
本第2実施形態の第1変形例として、光形状変更部56aを透過する前のマーカ光Lmの色と光形状変更部56aを透過した後のマーカ光Lmの色とを変更するように、光形状変更部56a内にフィルタ等を配置してもよい。これにより、撮像領域Sの四隅近傍を通過するマーカ光Lmの色と、他の領域を通過するマーカ光Lmの色とが変更されるので、撮像領域Sの外縁がより明確となり、マーカ光Lmによる撮像領域Sの視認性を更に向上させることができる。また、光形状変更部56aの形状は、星形に限らず、透過部55aの形状(円形)と異なる形状であればよい。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)測定距離Lは、Lsが含まれる領域Aに基づいて測定されることに限らず、最接近させた状態(図5(A)のP1参照)から矢印α方向への移動量に応じて測定されてもよい。また、測定距離Lは、レーザ光照射部60を使用することで測定されることに限らず、例えば、超音波センサ等の距離測定センサにより測定されてもよい。
【0063】
(2)マーカ光回転機構52は、撮像領域Sが長方形である場合にこの撮像領域Sの四隅をマーカ光Lmが通過するように、フォログラム55を回転中心Gに対して偏心させるように回転させてもよい。
【0064】
(3)上述した読取処理は、電源投入に応じて図6のステップS101以降の処理が開始されることに限らず、例えば、トリガースイッチ42の操作に応じてステップS101以降の処理を開始してもよい。
【0065】
(4)マーカ光Lmによる撮像領域Sの視認性を更に向上させるために、撮像領域Sの四隅近傍では、マーカ光照射部51から照射されるレーザ光の照度を変更してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…光学的情報読取装置
28…受光センサ(受光手段)
40…制御回路(生成手段、読取手段、マーカ光制御手段,距離測定手段)
50,50a…マーカ光発生部
51…マーカ光照射部(マーカ光照射手段)
52…マーカ光回転機構(マーカ光回転手段)
55…フォログラム
55a…透過部
56…第2フォログラム(変更手段)
56a…光形状変更部
60…レーザ光照射部(距離測定用光照射手段)
C…情報コード
L…測定距離
Lm…マーカ光
Ls…レーザ光(距離測定用光)
R…読取対象
S…撮像領域
V…回転速度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象に付された情報コードからの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段による受光結果に基づいて前記情報コードを含めた撮像領域に対応する画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段にて生成された前記画像データに基づいて前記情報コードを読み取る読取手段と、
を備える光学的情報読取装置であって、
マーカ光を照射するマーカ光照射手段と、
前記マーカ光の照度を制御可能なマーカ光照度制御手段と、
前記撮像領域を囲うように前記マーカ光を回転させるマーカ光回転手段と、
前記読取対象との距離を測定する距離測定手段と、を備え、
前記マーカ光照度制御手段は、前記距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりも前記マーカ光の照度を高くし、
前記マーカ光回転手段は、前記距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりも前記マーカ光の回転速度を速くすることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記撮像領域内に距離測定用光を照射可能であってその光軸が前記受光手段の光軸に対して所定の角度を有する距離測定用光照射手段を備え、
前記距離測定手段は、前記画像データに含まれる前記距離測定用光の位置に応じて前記測定距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記マーカ光回転手段は、前記読取手段により前記情報コードの読み取りが完了すると、前記マーカ光の回転を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記マーカ光回転手段は、前記読取手段により前記情報コードの読み取りが完了すると、前記マーカ光の回転方向を逆転させることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記マーカ光照度制御手段は、前記距離測定手段による測定距離が所定の閾値以上になると、前記マーカ光の照度を回転回数に応じて変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記マーカ光が前記撮像領域の外縁近傍に照射されるとき、当該マーカ光の色および形状の少なくともいずれか1つを変更する変更手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項1】
読取対象に付された情報コードからの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段による受光結果に基づいて前記情報コードを含めた撮像領域に対応する画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段にて生成された前記画像データに基づいて前記情報コードを読み取る読取手段と、
を備える光学的情報読取装置であって、
マーカ光を照射するマーカ光照射手段と、
前記マーカ光の照度を制御可能なマーカ光照度制御手段と、
前記撮像領域を囲うように前記マーカ光を回転させるマーカ光回転手段と、
前記読取対象との距離を測定する距離測定手段と、を備え、
前記マーカ光照度制御手段は、前記距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりも前記マーカ光の照度を高くし、
前記マーカ光回転手段は、前記距離測定手段の測定距離が大きくなると測定距離が小さい場合よりも前記マーカ光の回転速度を速くすることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記撮像領域内に距離測定用光を照射可能であってその光軸が前記受光手段の光軸に対して所定の角度を有する距離測定用光照射手段を備え、
前記距離測定手段は、前記画像データに含まれる前記距離測定用光の位置に応じて前記測定距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記マーカ光回転手段は、前記読取手段により前記情報コードの読み取りが完了すると、前記マーカ光の回転を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記マーカ光回転手段は、前記読取手段により前記情報コードの読み取りが完了すると、前記マーカ光の回転方向を逆転させることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記マーカ光照度制御手段は、前記距離測定手段による測定距離が所定の閾値以上になると、前記マーカ光の照度を回転回数に応じて変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記マーカ光が前記撮像領域の外縁近傍に照射されるとき、当該マーカ光の色および形状の少なくともいずれか1つを変更する変更手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−81655(P2011−81655A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234268(P2009−234268)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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