光学的情報読取装置
【課題】情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく部品の位置ずれや分解を抑制し、高い組付精度を確保しつづけ得る光学的情報読取装置を提供する。
【解決手段】情報コードを光学的に読み取り可能な照明光源21や受光センサ28などの読取手段が保持される光学ホルダ60には、基板50への組み付け時に当該基板50に形成される各ホルダ用係合穴51〜54にそれぞれ挿通する係合ピン62a,62bおよび割りピン63a,63bが形成され、係合ピン62a,62bは、対応するホルダ用係合穴51,53に対して位置決め可能に係合するように形成され、割りピン63a,63bは、挿通時に弾性的に拡がることでホルダ用係合穴52,54に嵌合するように形成される。
【解決手段】情報コードを光学的に読み取り可能な照明光源21や受光センサ28などの読取手段が保持される光学ホルダ60には、基板50への組み付け時に当該基板50に形成される各ホルダ用係合穴51〜54にそれぞれ挿通する係合ピン62a,62bおよび割りピン63a,63bが形成され、係合ピン62a,62bは、対応するホルダ用係合穴51,53に対して位置決め可能に係合するように形成され、割りピン63a,63bは、挿通時に弾性的に拡がることでホルダ用係合穴52,54に嵌合するように形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダを有する光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学的情報読取装置のような電子機器では、一般的に、電子部品が実装された基板などを、筐体にねじを使用して固定した状態で収容している。しかしながら、部品間の組み立てや筐体への組み付けなどにねじを使用すると、組立工程の簡易化や部品削減による低コスト化が困難になるという問題がある。
【0003】
そこで、下記特許文献1に開示される電子機器では、以下のように構成されることで、使用するねじの本数を削減した組み付けを実現している。まず、電源基板およびI/O基板を、それぞれの円孔がリアケース側ボスを貫通するようにリアケースの内部に導入した後、さらにCPU基板を、リアケースの内部に導入する。そして、フロントケース側ボスがCPU基板の円孔を貫通するようにフロントケースをリアケースに被せる。このとき、フロントケース側ボスとリアケース側ボスとが締結代となる僅かの隙間を介して突き合わせ状態となっている。この状態で、ねじを、リアケース側ボスのねじ挿通孔内にねじ込ませて当該リアケース側ボスを貫通させ、さらにフロントケース側ボスにねじ込ませることで、両ボスが締結されて、フロントケースとリアケースとの組み付けが完了する。
【0004】
また、下記特許文献2に開示される電子機器では、以下のように構成されることで、使用するねじの本数を削減した組み付けを実現している。まず、プリント基板を第2半体(下ケース)の内部に収容し、このプリント基板の四隅に穿孔されている取付け孔を、第2半体に形成される雄型スタッドのピン部に嵌合させて、位置決めする。この状態で第1半体(上ケース)を第2半体の上方から被せることで、両半体の外周壁同士が嵌合し、第1半体の天壁の上面が第2半体の外周壁の上端面と同一面になるように位置決めされる。それと同時に、両方の外周壁上の係合凹部と係合突起が係合して半体同士の相互位置がロックされ、密閉空間を有するケース本体の組み付けが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−171837号公報
【特許文献2】特開平06−021666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2に開示されるような使用するねじの本数を削減した筐体構造では、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段を有する光学的情報読取装置に適用した場合、読取手段が保持される光学ホルダの基板等への組み付けについて、部品の位置ずれや分解が発生しやすく高い組付精度を確保しつづけるすることが困難であるという問題がある。このように、従来の筐体構造では、ねじを使用することなく高い組付精度を確保することが困難であり、高い組付精度を確保するために少ないながらもねじを使用する必要があるので、やはり、組立工程の簡易化や部品削減による低コスト化が困難である。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく部品の位置ずれや分解を抑制し、高い組付精度を確保しつづけ得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学的情報読取装置では、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段(28,21)と、前記読取手段が保持される光学ホルダ(60)と、前記光学ホルダが組み付けられる基板(50)と、前記光学ホルダおよび前記基板が収容される筐体(11)と、を備える光学的情報読取装置(10)であって、前記光学ホルダには、前記基板への組み付け時に当該基板に形成される複数の係合穴(51〜54)にそれぞれ挿通する係合突起(62a,62b,63a,63b)が複数形成され、複数の前記係合突起のうち、少なくとも2つ(62a,62b)は、対応する前記係合穴に対して位置決め可能に係合するように形成され、少なくとも1つ(63a,63b)は、挿通時に弾性的に拡がることで対応する前記係合穴に嵌合するように形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記光学ホルダには、前記各係合突起が対応する前記係合穴にそれぞれ挿通するときに、前記基板の外縁(50a)を引き寄せるように当該外縁に対して弾性的に係合する係合片(64)が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記筐体には、前記光学ホルダを収容する際に当該光学ホルダに設けられるホルダ側ガイド(65a〜65d)を案内する筐体側ガイド(14a〜14d)が設けられ、前記ホルダ側ガイドおよび前記筐体側ガイドは、収容時に一方のガイドが他方のガイドを挟持するように形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記一方のガイドには、収容時の前記他方のガイドの端面(66)に対して隙間を介して対向するストッパ(15)が形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記筐体は、一側ケース(11a)および他側ケース(11b)を組み付けることで構成され、前記一側ケースおよび前記他側ケースには、両ケースの組み付け時に互いに係合する係合部(16a,16b)がそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記筐体には、収容した前記基板のいずれかの前記係合穴(55〜58)に挿通する筐体側係合突起(18)が形成されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダには、基板への組み付け時に当該基板に形成される複数の係合穴にそれぞれ挿通する係合突起が複数形成され、これら複数の係合突起のうち、少なくとも2つは、対応する係合穴に対して位置決め可能に係合するように形成され、少なくとも1つは、挿通時に弾性的に拡がることで当該係合穴に嵌合するように形成される。
【0015】
これにより、光学ホルダを基板に組み付ける場合には、少なくとも2つの係合突起が、対応する係合穴に対して位置決め可能に係合するので、光学ホルダを基板に対して所定の位置に容易に位置決めすることができる。それと同時に、少なくとも1つ係合突起が、対応する係合穴に対して挿通時に弾性的に拡がって嵌合するので、光学ホルダの基板に対する基板面に沿う方向の相対移動(これは係合突起と係合穴の勘合余裕により起こりうる移動)が抑制される。同時に弾性的に拡がる係合突起が基板の係合穴との摩擦力を大きくすることにより、基板面に直行する方向の相対移動も若干抑制される。
したがって、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく位置ずれを抑制し、基板に対して高い組付精度を確保しつづけることができる。
【0016】
請求項2の発明では、光学ホルダには、各係合突起が対応する係合穴にそれぞれ挿通するときに、基板の外縁を引き寄せるように当該外縁に対して弾性的に係合する係合片が形成される。このため、光学ホルダを基板に組み付ける場合には、さらに、係合片が、基板の外縁を引き寄せるように当該外縁に対して弾性的に係合するので、光学ホルダの基板に対する基板面に直交する方向の相対移動が抑制される。これにより、光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく位置ずれ・分解を抑制し、基板に対してより高い組付精度を確保しつづけることができる。
【0017】
請求項3の発明では、光学ホルダのホルダ側ガイドおよび筐体の筐体側ガイドは、収容時に一方のガイドが他方のガイドを挟持するように形成される。これにより、光学ホルダを筐体に収容する場合には、他方のガイドが一方のガイドにより挟持されるので、筐体に対する光学ホルダの位置決めが案内機能により容易になるだけでなく、収容後の光学ホルダを、筐体に対して高い組付精度で保持しつづけることができる。
【0018】
請求項4の発明では、一方のガイドには、収容時の他方のガイドの端面に対して隙間を介して対向するストッパが形成される。このため、光学ホルダが収容された筐体が落下等して衝撃が作用する場合でも、他方のガイドの端面がストッパに当接することで、両ガイドの相対移動が規制され、光学ホルダが基板から離れようとする動きが抑制される。これにより、両ガイドによる光学ホルダの基板に対する組付け保持機能を高めることができる。
【0019】
請求項5の発明では、筐体を構成する一側ケースおよび他側ケースには、両ケースの組み付け時に互いに係合する係合部がそれぞれ形成されるため、光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく高い組付精度を確保できるだけでなく、両ケースの組み付けに関して、ねじを使用することなく組付精度を確保し、かつ衝撃に対し筐体が分解することを抑制することができる。
【0020】
請求項6の発明では、筐体には、収容した基板のいずれかの係合穴に挿通する筐体側係合突起が形成されるため、基板を筐体に対して所定の位置に容易に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る光学的情報読取装置の構成概要を示す断面図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】光学ホルダを基板に組み付けた状態を示す説明図であり、図3(A)は側面図であり、図3(B)は背面図である。
【図4】図4(A)は、図3(A)の光学ホルダを拡大した側面図であり、図4(B)は、図3(B)の光学ホルダを拡大した背面図である。
【図5】図5は、光学ホルダ60の詳細形状を示す説明図であり、図5(A)は背面図を示し、図5(B)は下面図を示し、図5(C)は側面図を示す。
【図6】図5の割ピンの詳細形状を示す斜視図であり、図6(A)は外力が作用しない状態を示し、図6(B)は径方向の外力が作用する場合の状態を示す。
【図7】図7(A)は、上側ケースの詳細形状を説明するための説明図であり、図7(B)は、図7(A)に示す7B−7B線相当の切断面による断面図である。
【図8】図8(A)は、下側ケースの詳細形状を説明するための説明図であり、図8(B)は、図8(A)を矢印8B方向から見た図である。
【図9】光学ホルダを筐体に組み付けた状態を拡大して示す断面図である。
【図10】光学的情報読取装置から上側ケースの一部を除いた状態を示す説明図である。
【図11】本実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図であり、図11(A)は十字状のスリットを有する割りピンを示す斜視図であり、図11(B)は抜け止め機能を有する割りピンを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の構成概要を示す断面図である。図2は、図1の光学的情報読取装置10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示す光学的情報読取装置10は、物品に付された情報コード、例えば、バーコードなどの一次元コードやQRコード(登録商標)などの二次元コードを光学的に読み取る携帯型の情報端末として構成されている。
【0023】
光学的情報読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成されるガンタイプの筐体11によって外郭が形成され、下端部には、当該筐体11から外部に延びて上位システムと電気的な接続を可能にするケーブル71が設けられている。筐体11には、両ケース11a,11bを組み付けることで、情報コードからの反射光の入射を可能とする読取口12が形成され、筐体11内には、基板50に組み付けられた光学ホルダ60(後述する)が読取口12に対向するように配置(収容)されている。なお、上側ケース11aおよび下側ケース11bは、特許請求の範囲に記載の「一側ケース」および「他側ケース」の一例に相当し得る。
【0024】
また、筐体11の読取口12の周囲と、筐体11のケーブル71を保持するケーブル取付部13の周囲とには、落下時の衝撃を緩和するための読取口チップ72とボトムピース73とが組み付けられている。これら読取口チップ72およびボトムピース73は、保護機能を実現するだけでなく、両ケース11a,11bの組み付けを強固にするため、環状の弾性部材から構成されている。
【0025】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように、筐体11の内部には、回路部20が収容されており、この回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0026】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、情報コードCが付された物品Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0027】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、情報コードC等に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。
【0028】
結像レンズ27は、外部から読取口12を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0029】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等から構成されている。
【0030】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0031】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述したコード画像情報格納領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、読取処理や解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0032】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有すると共に、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。本実施形態では、制御回路40に対し、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等が接続されている。
【0033】
これにより、制御回路40は、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、情報コードCの読み取りに関する情報を報知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御やケーブル71を介した外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。
【0034】
照明光源21や受光センサ28などの上記光学系を構成する各部品は、光学ホルダ60内に保持されており、制御回路40やメモリ35などの上記マイコン系を構成する各部品の一部は、基板50に実装されている。そして、光学ホルダ60が後述するように基板50に組み付けられることで、照明光源21や受光センサ28等と制御回路40等とが制御可能に電気的に接続される。なお、照明光源21や受光センサ28などの上記光学系を構成する各部品は、特許請求の範囲に記載の「読取手段」の一例に相当し得る。
【0035】
次に、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の特徴的構成について図3〜図8を用いて説明する。図3は、光学ホルダ60を基板50に組み付けた状態を示す説明図であり、図3(A)は側面図であり、図3(B)は背面図である。図4(A)は、図3(A)の光学ホルダ60を拡大した側面図であり、図4(B)は、図3(B)の光学ホルダ60を拡大した背面図である。図5は、光学ホルダ60の詳細形状を示す説明図であり、図5(A)は背面図を示し、図5(B)は下面図を示し、図5(C)は側面図を示す。図6は、図5の割ピンの詳細形状を示す斜視図であり、図6(A)は外力が作用しない状態を示し、図6(B)は径方向の外力が作用する場合の状態を示す。図7(A)は、上側ケース11aの詳細形状を説明するための説明図であり、図7(B)は、図7(A)に示す7B−7B線相当の切断面による断面図である。図8(A)は、下側ケース11bの詳細形状を説明するための説明図であり、図8(B)は、図8(A)を矢印8B方向から見た図である。
【0036】
まず、基板50の形状について説明する。
図3(A),(B)に示すように、基板50は、光学ホルダ60が組み付けられるホルダ側部位が幅広くなるように形成されており、このホルダ側部位の外縁50aの近傍には、4つのホルダ用係合穴51〜54が矩形領域の四隅に位置するように設けられている。これら4つのホルダ用係合穴51〜54のうち対角に位置する2つのホルダ用係合穴51,53は、その内径が、他の対角に位置する2つのホルダ用係合穴52,54の内径よりも小さくなるように形成されている。また、基板50のケーブル側部位には、4つの筐体用係合穴55〜58が矩形領域の四隅に位置するように設けられている。
【0037】
次に、光学ホルダ60の形状について説明する。
光学ホルダ60の外郭を構成するホルダ本体61は、一方が開口するように箱状に形成されており、当該ホルダ本体61内には、上記開口を介して照明光源21や受光センサ28などが読取手段として機能するように所定の場所に配置されている。図4および図5に示すように、ホルダ本体61の底壁61aには、基板50の4つのホルダ用係合穴51〜54にそれぞれ挿通する4つの係合突起が矩形領域の四隅に位置するように設けられている。
【0038】
これら4つの係合突起のうち対角に位置する2つの係合突起(以下、係合ピン62a,62bという)は、基板50のホルダ用係合穴51,53に対して位置決め可能に係合するようにそれぞれ略円柱状に形成されている。すなわち、両係合ピン62a,62bの外径は、ホルダ用係合穴51,53の内径よりも僅かに小さくなるように形成されている。
【0039】
また、上述した4つの係合突起のうち他の対角に位置する2つの係合突起(以下、割りピン63a,63bという)は、基板50のホルダ用係合穴52,54に対して挿通時に弾性的に拡がることで嵌合するようにそれぞれ形成されている。具体的には、図6(A)に示すように、割りピン63a,63bは、円柱にスリットを設けたように形成されている。そして、割りピン63a,63bは、図6(B)に示すように、径方向の外力が作用するとスリット幅が狭まることで外径が小さくなるように弾性変形し、外力が作用しない場合には、その外径がホルダ用係合穴52,54の内径よりも僅かに大きくなるようにそれぞれ形成されている。
【0040】
ホルダ本体61の両側壁61b,61cには、基板50の外縁50aを引き寄せるように当該外縁50aに対して弾性的に係合する係合片として、スナップフィット64が側壁61b,61cに沿って延出するようにそれぞれ設けられている。両スナップフィット64は、その厚さ方向に弾性的に変形するように略U字状に形成されており、その先端部の内側に外縁50aに係合するための爪部が設けられている。
【0041】
ホルダ本体61の上壁61dと下壁61eとには、図5(A)〜(C)に示すように、当該光学ホルダ60の光軸方向(図5(C)の図面左右方向)に延びる2つの上壁側リブ65a,65bと2つの下壁側リブ65c,65dとが設けられている。なお、両上壁側リブ65a,65bおよび両下壁側リブ65c,65dは、特許請求の範囲に記載の「ホルダ側ガイド」の一例に相当し得る。
【0042】
次に、筐体11を構成する上側ケース11aおよび下側ケース11bの形状について説明する。
図7(A),(B)に示すように、上側ケース11aの読取口12近傍の内壁面には、光学ホルダ60を筐体11に収容する際に上壁61dに形成される両上壁側リブ65a,65bを案内する2つの溝部14a,14bが設けられている。両溝部14a,14bは、ホルダ本体61を上側ケース11aに組み付ける際に両上壁側リブ65a,65bを案内し、収容時に当該両上壁側リブ65a,65bをそれぞれ挟持するように形成されている。
【0043】
また、図8(A),(B)に示すように、下側ケース11bの読取口12近傍の内壁面には、光学ホルダ60を筐体11に収容する際に下壁61eに形成される両下壁側リブ65c,65dを案内する2つの溝部14c,14dが設けられている。両溝部14c,14dは、ホルダ本体61を下側ケース11bに組み付ける際に両下壁側リブ65c,65dを案内し、収容時に当該両下壁側リブ65c,65dをそれぞれ挟持するように形成されている。
【0044】
特に、溝部14c,14dには、収容時の下壁側リブ65c,65dの読取口側の端面(以下、読取口側端面66という)に対して隙間を介して対向するストッパ15がそれぞれ形成されている。なお、各溝部14a〜14dは、特許請求の範囲に記載の「筐体側ガイド」の一例に相当し、読取口側端面66は、特許請求の範囲に記載の「他方のガイドの端面」の一例に相当し得る。
【0045】
また、上側ケース11aおよび下側ケース11bには、両ケース11a,11bの組み付け時に互いに係合する係合部がそれぞれ形成される。具体的には、図7(A),(B)に示すように、上側ケース11aには、上記係合部としてスナップフィット16aが、下側ケース方向に延出するように、長手方向中間部位とケーブル側部位とに2つずつ設けられている。各スナップフィット16aは、その厚さ方向に弾性変形可能に形成されており、その先端部には矩形状の開口がそれぞれ設けられている。そして、下側ケース11bには、図8(A)に示すように、上記係合部として各スナップフィット16aの開口に係合可能な凸部16bが、計4箇所形成されている。
【0046】
また、上側ケース11aには、収容した基板50の筐体用係合穴55〜58に対向する位置にそれぞれ断面十字状の台座17が設けられ、各台座17は、その端面が筐体11内に収容された基板50の基板面に接触する程度の高さに形成されている。各台座17の端面には、対応する筐体用係合穴55〜58に位置決め可能に挿通する筐体側係合突起18がそれぞれ形成されている。
【0047】
次に、上述のように構成される光学ホルダ60、基板50および筐体11の組み付けについて以下に説明する。図9は、光学ホルダ60を筐体11に組み付けた状態を拡大して示す断面図である。図10は、光学的情報読取装置10から上側ケース11aの一部を除いた状態を示す説明図である。
まず、図3(A),(B)に示すように、受光センサ28等が保持された光学ホルダ60を基板50に組み付ける。これにより、照明光源21や受光センサ28等と制御回路40等とが制御可能に電気的に接続される。このとき、図4(A),(B)に示すように、光学ホルダ60の係合ピン62a,62bが、基板50のホルダ用係合穴51,53にそれぞれ挿通して係合し、割りピン63a,63bが、ホルダ用係合穴52,54にそれぞれ弾性的に拡がるように挿通して嵌合し、両スナップフィット64がその爪部にて基板50の外縁50aに対して弾性的に係合する。なお、光学ホルダ60は、その光軸が基板50の基板面に対して所定の傾斜角度θを形成するように基板50に組み付けられる(図3(A)参照)。
【0048】
次に、基板50に組み付けられた光学ホルダ60を、その下壁側リブ65c,65dが溝部14c,14dに案内されるように、下側ケース11bに組み付ける。このとき、両下壁側リブ65c,65dは、その読取口側端面66が所定の隙間を介して両溝部14c,14dに設けられたストッパ15に対向するように、溝部14c,14dに挟持された状態で案内される(図9参照)。
【0049】
続いて、基板50および光学ホルダ60が組み付けられた下側ケース11bに、上側ケース11aを組み付ける。このとき、上側ケース11aは、その溝部14a,14bにて光学ホルダ60の上壁側リブ65a,65bを挟持した状態で案内され(図9参照)、各筐体側係合突起18が対応する筐体用係合穴55〜58に挿通することで、上側ケース11aと基板50との位置決めがなされる。
【0050】
そして、上述のように位置決めされた状態で、上側ケース11aの各スナップフィット16aが下側ケース11bの対応する凸部16bにそれぞれ係合することで、上側ケース11aと下側ケース11bとが組み付けられる(図10参照)。そして、両ケース11a,11bを組み付けることで構成される読取口12とケーブル取付部13とに対して、読取口チップ72およびボトムピース73を組み付けることで、両ケース11a,11bが強固に組み付けられる。
これにより、ねじを使用することなく、図1に示す光学的情報読取装置10の組立が完了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、情報コードを光学的に読み取り可能な照明光源21や受光センサ28などの読取手段が保持される光学ホルダ60には、基板50への組み付け時に当該基板50に形成される各ホルダ用係合穴51〜54にそれぞれ挿通する係合ピン62a,62bおよび割りピン63a,63bが形成され、係合ピン62a,62bは、対応するホルダ用係合穴51,53に対して位置決め可能に係合するように形成され、割りピン63a,63bは、挿通時に弾性的に拡がることでホルダ用係合穴52,54に嵌合するように形成される。
【0052】
これにより、光学ホルダ60を基板50に組み付ける場合には、係合ピン62a,62bが、対応するホルダ用係合穴51,53に対して位置決め可能に係合するので、光学ホルダ60を基板50に対して所定の位置に容易に位置決めすることができる。それと同時に、割りピン63a,63bが、対応するホルダ用係合穴52,54に対して挿通時に弾性的に拡がって嵌合するので、光学ホルダ60の基板50に対する基板面に沿う方向の相対移動(係合ピン62a,62bとホルダ用係合穴51,53の勘合余裕により起こりうる移動)が抑制される。同時に弾性的に拡がる割りピン63a,63bがホルダ用係合穴52,54との摩擦力を大きくすることにより、基板面に直行する方向の相対移動も若干抑制される。
したがって、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダ60の組み付けに関して、ねじを使用することなく位置ずれを抑制し、基板50に対して高い組付精度を確保しつづけることができる。
【0053】
また、光学ホルダ60には、係合ピン62a,62bおよび割りピン63a,63bが対応するホルダ用係合穴51〜54にそれぞれ挿通するときに、基板50の外縁50aを引き寄せるように当該外縁50aに対して弾性的に係合するスナップフィット64が形成される。このため、光学ホルダ60を基板50に組み付ける場合には、さらに、スナップフィット64が、基板50の外縁50aを引き寄せるように当該外縁50aに対して弾性的に係合するので、光学ホルダ60の基板50に対する基板面に直交する方向の相対移動が抑制される。これにより、光学ホルダ60の組み付けに関して、ねじを使用することなく位置ずれ・分解を抑制し、基板50に対してより高い組付精度を確保しつづけることができる。
【0054】
なお、スナップフィット64に代えて、基板50の外縁50aを引き寄せるように当該外縁50aに対して弾性的に係合する係合片を採用してもよい。
【0055】
さらに、光学ホルダ60のリブ65a〜65dおよび筐体11の溝部14a〜14dは、収容時に溝部14a〜14dがリブ65a〜65dを挟持するように形成される。これにより、光学ホルダ60を筐体11に収容する場合には、各リブ65a〜65dが溝部14a〜14dにより挟持されるので、筐体11に対する光学ホルダ60の位置決めが案内機能により容易になるだけでなく、収容後の光学ホルダ60を、筐体11に対して高い組付精度で保持しつづけることができる。
【0056】
特に、下側ケース11bに設けられる溝部14c,14dには、収容時の下壁側リブ65c,65dの読取口側端面66に対して隙間を介して対向するストッパ15がそれぞれ形成される。このため、光学ホルダ60が収容された筐体11が落下等して衝撃が作用する場合でも、読取口側端面66がストッパ15に当接することで、下壁側リブ65c,65dと溝部14c,14dとの相対移動が規制され、光学ホルダ60が基板50から離れようとする動きが抑制される。これにより、下壁側リブ65c,65dと溝部14c,14dによる光学ホルダ60の基板50に対する組付け保持機能を高めることができる。なお、ストッパ15は、下側ケース11bに設けられる溝部14c,14dに形成されることに限らず、各溝部14a〜14dの少なくともいずれか1つに設けられてもよい。
【0057】
なお、光学ホルダ60においてリブ65a〜65dに代えて溝部14a〜14dの様に形成される溝部を採用し、筐体11において溝部14a〜14dに代えてリブ65a〜65dの様に形成されるリブを採用してもよい。また、リブ65a〜65dおよび溝部14a〜14dに代えて、相対的に案内可能なホルダ側ガイドおよび筐体側ガイドを採用し、収容時に一方のガイドが他方のガイドを挟持するように形成されてもよい。
【0058】
また、筐体11を構成する上側ケース11aおよび下側ケース11bには、両ケース11a,11bの組み付け時に互いに係合するスナップフィット16aおよび凸部16bがそれぞれ形成されるため、光学ホルダ60の組み付けに関して、ねじを使用することなく高い組付精度を確保できるだけでなく、両ケース11a,11bの組み付けに関して、ねじを使用することなく高い組付精度を確保し、かつ衝撃に対し筐体が分解することを抑制することができる。
【0059】
なお、スナップフィット16aおよび凸部16bに代えて、両ケース11a,11bの組み付け時に互いに係合する係合部を採用してもよい。
【0060】
さらに、筐体11には、収容した基板50の筐体用係合穴55〜58に挿通する筐体側係合突起18が形成されるため、基板50を筐体11に対して所定の位置に容易に位置決めすることができる。
【0061】
図11は、本実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置10の要部を示す説明図であり、図11(A)は十字状のスリットを有する割りピン63cを示す斜視図であり、図11(B)は抜け止め機能を有する割りピン63dを示す断面図である。
本実施形態の変形例として、光学ホルダ60において、割りピン63a,63bは、円柱にスリットを設けたように形成されることに限らず、基板50のホルダ用係合穴52,54に対して挿通時に弾性的に拡がることで嵌合する係合突起として形成されてもよい。具体的には、図11(A)に示すように、円柱に十字状のスリットを設けたように形成される割りピン63cを採用してもよい。また、抜け止め防止として、図11(B)に示すように、各割りピンの先端部が根元部に比べて拡径するように形成される割りピン63dを採用してもよい。
【0062】
また、このように形成される係合突起は、2つ設けられることに限らず、1つ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。この場合、基板50のホルダ用係合穴は、対応する上記係合突起が挿通時に弾性的に拡がることで嵌合するように形成される。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)全ての組み立てにおいてねじを使用しないように構成されることに限らず、主要部品、例えば、光学ホルダ60と基板50との組み立てについてのみ、本発明の特徴的構成を採用することで、ねじを使用することなく高い組付精度を確保してもよい。
【0064】
(2)本実施形態では、基板50に組み付けた光学ホルダ60を下側ケース11bに組み付けた後に、上側ケース11aを組み付けたが、これに限らず、基板50に組み付けた光学ホルダ60を上側ケース11aに組み付けた後に、下側ケース11bを組み付けてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…光学的情報読取装置
11…筐体
11a…上ケース(一側ケース)
11b…下ケース(他側ケース)
14a〜14d…溝部(筐体側ガイド)
15…ストッパ
16a…スナップフィット(係合部)
16b…凸部(係合部)
18…筐体側係合突起
50…基板
50a…外縁
51〜54…ホルダ用係合穴(係合穴)
55〜58…筐体用係合穴(係合穴)
60…光学ホルダ
61…ホルダ本体
62a,62b…係合ピン(係合突起)
63a,63b…割りピン(係合突起)
64…スナップフィット(係合片)
65a,65b…上壁側リブ(ホルダ側ガイド)
65c,65d…下壁側リブ(ホルダ側ガイド)
66…読取口側端面(端面)
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダを有する光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学的情報読取装置のような電子機器では、一般的に、電子部品が実装された基板などを、筐体にねじを使用して固定した状態で収容している。しかしながら、部品間の組み立てや筐体への組み付けなどにねじを使用すると、組立工程の簡易化や部品削減による低コスト化が困難になるという問題がある。
【0003】
そこで、下記特許文献1に開示される電子機器では、以下のように構成されることで、使用するねじの本数を削減した組み付けを実現している。まず、電源基板およびI/O基板を、それぞれの円孔がリアケース側ボスを貫通するようにリアケースの内部に導入した後、さらにCPU基板を、リアケースの内部に導入する。そして、フロントケース側ボスがCPU基板の円孔を貫通するようにフロントケースをリアケースに被せる。このとき、フロントケース側ボスとリアケース側ボスとが締結代となる僅かの隙間を介して突き合わせ状態となっている。この状態で、ねじを、リアケース側ボスのねじ挿通孔内にねじ込ませて当該リアケース側ボスを貫通させ、さらにフロントケース側ボスにねじ込ませることで、両ボスが締結されて、フロントケースとリアケースとの組み付けが完了する。
【0004】
また、下記特許文献2に開示される電子機器では、以下のように構成されることで、使用するねじの本数を削減した組み付けを実現している。まず、プリント基板を第2半体(下ケース)の内部に収容し、このプリント基板の四隅に穿孔されている取付け孔を、第2半体に形成される雄型スタッドのピン部に嵌合させて、位置決めする。この状態で第1半体(上ケース)を第2半体の上方から被せることで、両半体の外周壁同士が嵌合し、第1半体の天壁の上面が第2半体の外周壁の上端面と同一面になるように位置決めされる。それと同時に、両方の外周壁上の係合凹部と係合突起が係合して半体同士の相互位置がロックされ、密閉空間を有するケース本体の組み付けが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−171837号公報
【特許文献2】特開平06−021666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2に開示されるような使用するねじの本数を削減した筐体構造では、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段を有する光学的情報読取装置に適用した場合、読取手段が保持される光学ホルダの基板等への組み付けについて、部品の位置ずれや分解が発生しやすく高い組付精度を確保しつづけるすることが困難であるという問題がある。このように、従来の筐体構造では、ねじを使用することなく高い組付精度を確保することが困難であり、高い組付精度を確保するために少ないながらもねじを使用する必要があるので、やはり、組立工程の簡易化や部品削減による低コスト化が困難である。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく部品の位置ずれや分解を抑制し、高い組付精度を確保しつづけ得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学的情報読取装置では、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段(28,21)と、前記読取手段が保持される光学ホルダ(60)と、前記光学ホルダが組み付けられる基板(50)と、前記光学ホルダおよび前記基板が収容される筐体(11)と、を備える光学的情報読取装置(10)であって、前記光学ホルダには、前記基板への組み付け時に当該基板に形成される複数の係合穴(51〜54)にそれぞれ挿通する係合突起(62a,62b,63a,63b)が複数形成され、複数の前記係合突起のうち、少なくとも2つ(62a,62b)は、対応する前記係合穴に対して位置決め可能に係合するように形成され、少なくとも1つ(63a,63b)は、挿通時に弾性的に拡がることで対応する前記係合穴に嵌合するように形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記光学ホルダには、前記各係合突起が対応する前記係合穴にそれぞれ挿通するときに、前記基板の外縁(50a)を引き寄せるように当該外縁に対して弾性的に係合する係合片(64)が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記筐体には、前記光学ホルダを収容する際に当該光学ホルダに設けられるホルダ側ガイド(65a〜65d)を案内する筐体側ガイド(14a〜14d)が設けられ、前記ホルダ側ガイドおよび前記筐体側ガイドは、収容時に一方のガイドが他方のガイドを挟持するように形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記一方のガイドには、収容時の前記他方のガイドの端面(66)に対して隙間を介して対向するストッパ(15)が形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記筐体は、一側ケース(11a)および他側ケース(11b)を組み付けることで構成され、前記一側ケースおよび前記他側ケースには、両ケースの組み付け時に互いに係合する係合部(16a,16b)がそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記筐体には、収容した前記基板のいずれかの前記係合穴(55〜58)に挿通する筐体側係合突起(18)が形成されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダには、基板への組み付け時に当該基板に形成される複数の係合穴にそれぞれ挿通する係合突起が複数形成され、これら複数の係合突起のうち、少なくとも2つは、対応する係合穴に対して位置決め可能に係合するように形成され、少なくとも1つは、挿通時に弾性的に拡がることで当該係合穴に嵌合するように形成される。
【0015】
これにより、光学ホルダを基板に組み付ける場合には、少なくとも2つの係合突起が、対応する係合穴に対して位置決め可能に係合するので、光学ホルダを基板に対して所定の位置に容易に位置決めすることができる。それと同時に、少なくとも1つ係合突起が、対応する係合穴に対して挿通時に弾性的に拡がって嵌合するので、光学ホルダの基板に対する基板面に沿う方向の相対移動(これは係合突起と係合穴の勘合余裕により起こりうる移動)が抑制される。同時に弾性的に拡がる係合突起が基板の係合穴との摩擦力を大きくすることにより、基板面に直行する方向の相対移動も若干抑制される。
したがって、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく位置ずれを抑制し、基板に対して高い組付精度を確保しつづけることができる。
【0016】
請求項2の発明では、光学ホルダには、各係合突起が対応する係合穴にそれぞれ挿通するときに、基板の外縁を引き寄せるように当該外縁に対して弾性的に係合する係合片が形成される。このため、光学ホルダを基板に組み付ける場合には、さらに、係合片が、基板の外縁を引き寄せるように当該外縁に対して弾性的に係合するので、光学ホルダの基板に対する基板面に直交する方向の相対移動が抑制される。これにより、光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく位置ずれ・分解を抑制し、基板に対してより高い組付精度を確保しつづけることができる。
【0017】
請求項3の発明では、光学ホルダのホルダ側ガイドおよび筐体の筐体側ガイドは、収容時に一方のガイドが他方のガイドを挟持するように形成される。これにより、光学ホルダを筐体に収容する場合には、他方のガイドが一方のガイドにより挟持されるので、筐体に対する光学ホルダの位置決めが案内機能により容易になるだけでなく、収容後の光学ホルダを、筐体に対して高い組付精度で保持しつづけることができる。
【0018】
請求項4の発明では、一方のガイドには、収容時の他方のガイドの端面に対して隙間を介して対向するストッパが形成される。このため、光学ホルダが収容された筐体が落下等して衝撃が作用する場合でも、他方のガイドの端面がストッパに当接することで、両ガイドの相対移動が規制され、光学ホルダが基板から離れようとする動きが抑制される。これにより、両ガイドによる光学ホルダの基板に対する組付け保持機能を高めることができる。
【0019】
請求項5の発明では、筐体を構成する一側ケースおよび他側ケースには、両ケースの組み付け時に互いに係合する係合部がそれぞれ形成されるため、光学ホルダの組み付けに関して、ねじを使用することなく高い組付精度を確保できるだけでなく、両ケースの組み付けに関して、ねじを使用することなく組付精度を確保し、かつ衝撃に対し筐体が分解することを抑制することができる。
【0020】
請求項6の発明では、筐体には、収容した基板のいずれかの係合穴に挿通する筐体側係合突起が形成されるため、基板を筐体に対して所定の位置に容易に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る光学的情報読取装置の構成概要を示す断面図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】光学ホルダを基板に組み付けた状態を示す説明図であり、図3(A)は側面図であり、図3(B)は背面図である。
【図4】図4(A)は、図3(A)の光学ホルダを拡大した側面図であり、図4(B)は、図3(B)の光学ホルダを拡大した背面図である。
【図5】図5は、光学ホルダ60の詳細形状を示す説明図であり、図5(A)は背面図を示し、図5(B)は下面図を示し、図5(C)は側面図を示す。
【図6】図5の割ピンの詳細形状を示す斜視図であり、図6(A)は外力が作用しない状態を示し、図6(B)は径方向の外力が作用する場合の状態を示す。
【図7】図7(A)は、上側ケースの詳細形状を説明するための説明図であり、図7(B)は、図7(A)に示す7B−7B線相当の切断面による断面図である。
【図8】図8(A)は、下側ケースの詳細形状を説明するための説明図であり、図8(B)は、図8(A)を矢印8B方向から見た図である。
【図9】光学ホルダを筐体に組み付けた状態を拡大して示す断面図である。
【図10】光学的情報読取装置から上側ケースの一部を除いた状態を示す説明図である。
【図11】本実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図であり、図11(A)は十字状のスリットを有する割りピンを示す斜視図であり、図11(B)は抜け止め機能を有する割りピンを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の構成概要を示す断面図である。図2は、図1の光学的情報読取装置10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示す光学的情報読取装置10は、物品に付された情報コード、例えば、バーコードなどの一次元コードやQRコード(登録商標)などの二次元コードを光学的に読み取る携帯型の情報端末として構成されている。
【0023】
光学的情報読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成されるガンタイプの筐体11によって外郭が形成され、下端部には、当該筐体11から外部に延びて上位システムと電気的な接続を可能にするケーブル71が設けられている。筐体11には、両ケース11a,11bを組み付けることで、情報コードからの反射光の入射を可能とする読取口12が形成され、筐体11内には、基板50に組み付けられた光学ホルダ60(後述する)が読取口12に対向するように配置(収容)されている。なお、上側ケース11aおよび下側ケース11bは、特許請求の範囲に記載の「一側ケース」および「他側ケース」の一例に相当し得る。
【0024】
また、筐体11の読取口12の周囲と、筐体11のケーブル71を保持するケーブル取付部13の周囲とには、落下時の衝撃を緩和するための読取口チップ72とボトムピース73とが組み付けられている。これら読取口チップ72およびボトムピース73は、保護機能を実現するだけでなく、両ケース11a,11bの組み付けを強固にするため、環状の弾性部材から構成されている。
【0025】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように、筐体11の内部には、回路部20が収容されており、この回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0026】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、情報コードCが付された物品Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0027】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、情報コードC等に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。
【0028】
結像レンズ27は、外部から読取口12を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0029】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等から構成されている。
【0030】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0031】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述したコード画像情報格納領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、読取処理や解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0032】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有すると共に、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。本実施形態では、制御回路40に対し、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等が接続されている。
【0033】
これにより、制御回路40は、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、情報コードCの読み取りに関する情報を報知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御やケーブル71を介した外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。
【0034】
照明光源21や受光センサ28などの上記光学系を構成する各部品は、光学ホルダ60内に保持されており、制御回路40やメモリ35などの上記マイコン系を構成する各部品の一部は、基板50に実装されている。そして、光学ホルダ60が後述するように基板50に組み付けられることで、照明光源21や受光センサ28等と制御回路40等とが制御可能に電気的に接続される。なお、照明光源21や受光センサ28などの上記光学系を構成する各部品は、特許請求の範囲に記載の「読取手段」の一例に相当し得る。
【0035】
次に、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の特徴的構成について図3〜図8を用いて説明する。図3は、光学ホルダ60を基板50に組み付けた状態を示す説明図であり、図3(A)は側面図であり、図3(B)は背面図である。図4(A)は、図3(A)の光学ホルダ60を拡大した側面図であり、図4(B)は、図3(B)の光学ホルダ60を拡大した背面図である。図5は、光学ホルダ60の詳細形状を示す説明図であり、図5(A)は背面図を示し、図5(B)は下面図を示し、図5(C)は側面図を示す。図6は、図5の割ピンの詳細形状を示す斜視図であり、図6(A)は外力が作用しない状態を示し、図6(B)は径方向の外力が作用する場合の状態を示す。図7(A)は、上側ケース11aの詳細形状を説明するための説明図であり、図7(B)は、図7(A)に示す7B−7B線相当の切断面による断面図である。図8(A)は、下側ケース11bの詳細形状を説明するための説明図であり、図8(B)は、図8(A)を矢印8B方向から見た図である。
【0036】
まず、基板50の形状について説明する。
図3(A),(B)に示すように、基板50は、光学ホルダ60が組み付けられるホルダ側部位が幅広くなるように形成されており、このホルダ側部位の外縁50aの近傍には、4つのホルダ用係合穴51〜54が矩形領域の四隅に位置するように設けられている。これら4つのホルダ用係合穴51〜54のうち対角に位置する2つのホルダ用係合穴51,53は、その内径が、他の対角に位置する2つのホルダ用係合穴52,54の内径よりも小さくなるように形成されている。また、基板50のケーブル側部位には、4つの筐体用係合穴55〜58が矩形領域の四隅に位置するように設けられている。
【0037】
次に、光学ホルダ60の形状について説明する。
光学ホルダ60の外郭を構成するホルダ本体61は、一方が開口するように箱状に形成されており、当該ホルダ本体61内には、上記開口を介して照明光源21や受光センサ28などが読取手段として機能するように所定の場所に配置されている。図4および図5に示すように、ホルダ本体61の底壁61aには、基板50の4つのホルダ用係合穴51〜54にそれぞれ挿通する4つの係合突起が矩形領域の四隅に位置するように設けられている。
【0038】
これら4つの係合突起のうち対角に位置する2つの係合突起(以下、係合ピン62a,62bという)は、基板50のホルダ用係合穴51,53に対して位置決め可能に係合するようにそれぞれ略円柱状に形成されている。すなわち、両係合ピン62a,62bの外径は、ホルダ用係合穴51,53の内径よりも僅かに小さくなるように形成されている。
【0039】
また、上述した4つの係合突起のうち他の対角に位置する2つの係合突起(以下、割りピン63a,63bという)は、基板50のホルダ用係合穴52,54に対して挿通時に弾性的に拡がることで嵌合するようにそれぞれ形成されている。具体的には、図6(A)に示すように、割りピン63a,63bは、円柱にスリットを設けたように形成されている。そして、割りピン63a,63bは、図6(B)に示すように、径方向の外力が作用するとスリット幅が狭まることで外径が小さくなるように弾性変形し、外力が作用しない場合には、その外径がホルダ用係合穴52,54の内径よりも僅かに大きくなるようにそれぞれ形成されている。
【0040】
ホルダ本体61の両側壁61b,61cには、基板50の外縁50aを引き寄せるように当該外縁50aに対して弾性的に係合する係合片として、スナップフィット64が側壁61b,61cに沿って延出するようにそれぞれ設けられている。両スナップフィット64は、その厚さ方向に弾性的に変形するように略U字状に形成されており、その先端部の内側に外縁50aに係合するための爪部が設けられている。
【0041】
ホルダ本体61の上壁61dと下壁61eとには、図5(A)〜(C)に示すように、当該光学ホルダ60の光軸方向(図5(C)の図面左右方向)に延びる2つの上壁側リブ65a,65bと2つの下壁側リブ65c,65dとが設けられている。なお、両上壁側リブ65a,65bおよび両下壁側リブ65c,65dは、特許請求の範囲に記載の「ホルダ側ガイド」の一例に相当し得る。
【0042】
次に、筐体11を構成する上側ケース11aおよび下側ケース11bの形状について説明する。
図7(A),(B)に示すように、上側ケース11aの読取口12近傍の内壁面には、光学ホルダ60を筐体11に収容する際に上壁61dに形成される両上壁側リブ65a,65bを案内する2つの溝部14a,14bが設けられている。両溝部14a,14bは、ホルダ本体61を上側ケース11aに組み付ける際に両上壁側リブ65a,65bを案内し、収容時に当該両上壁側リブ65a,65bをそれぞれ挟持するように形成されている。
【0043】
また、図8(A),(B)に示すように、下側ケース11bの読取口12近傍の内壁面には、光学ホルダ60を筐体11に収容する際に下壁61eに形成される両下壁側リブ65c,65dを案内する2つの溝部14c,14dが設けられている。両溝部14c,14dは、ホルダ本体61を下側ケース11bに組み付ける際に両下壁側リブ65c,65dを案内し、収容時に当該両下壁側リブ65c,65dをそれぞれ挟持するように形成されている。
【0044】
特に、溝部14c,14dには、収容時の下壁側リブ65c,65dの読取口側の端面(以下、読取口側端面66という)に対して隙間を介して対向するストッパ15がそれぞれ形成されている。なお、各溝部14a〜14dは、特許請求の範囲に記載の「筐体側ガイド」の一例に相当し、読取口側端面66は、特許請求の範囲に記載の「他方のガイドの端面」の一例に相当し得る。
【0045】
また、上側ケース11aおよび下側ケース11bには、両ケース11a,11bの組み付け時に互いに係合する係合部がそれぞれ形成される。具体的には、図7(A),(B)に示すように、上側ケース11aには、上記係合部としてスナップフィット16aが、下側ケース方向に延出するように、長手方向中間部位とケーブル側部位とに2つずつ設けられている。各スナップフィット16aは、その厚さ方向に弾性変形可能に形成されており、その先端部には矩形状の開口がそれぞれ設けられている。そして、下側ケース11bには、図8(A)に示すように、上記係合部として各スナップフィット16aの開口に係合可能な凸部16bが、計4箇所形成されている。
【0046】
また、上側ケース11aには、収容した基板50の筐体用係合穴55〜58に対向する位置にそれぞれ断面十字状の台座17が設けられ、各台座17は、その端面が筐体11内に収容された基板50の基板面に接触する程度の高さに形成されている。各台座17の端面には、対応する筐体用係合穴55〜58に位置決め可能に挿通する筐体側係合突起18がそれぞれ形成されている。
【0047】
次に、上述のように構成される光学ホルダ60、基板50および筐体11の組み付けについて以下に説明する。図9は、光学ホルダ60を筐体11に組み付けた状態を拡大して示す断面図である。図10は、光学的情報読取装置10から上側ケース11aの一部を除いた状態を示す説明図である。
まず、図3(A),(B)に示すように、受光センサ28等が保持された光学ホルダ60を基板50に組み付ける。これにより、照明光源21や受光センサ28等と制御回路40等とが制御可能に電気的に接続される。このとき、図4(A),(B)に示すように、光学ホルダ60の係合ピン62a,62bが、基板50のホルダ用係合穴51,53にそれぞれ挿通して係合し、割りピン63a,63bが、ホルダ用係合穴52,54にそれぞれ弾性的に拡がるように挿通して嵌合し、両スナップフィット64がその爪部にて基板50の外縁50aに対して弾性的に係合する。なお、光学ホルダ60は、その光軸が基板50の基板面に対して所定の傾斜角度θを形成するように基板50に組み付けられる(図3(A)参照)。
【0048】
次に、基板50に組み付けられた光学ホルダ60を、その下壁側リブ65c,65dが溝部14c,14dに案内されるように、下側ケース11bに組み付ける。このとき、両下壁側リブ65c,65dは、その読取口側端面66が所定の隙間を介して両溝部14c,14dに設けられたストッパ15に対向するように、溝部14c,14dに挟持された状態で案内される(図9参照)。
【0049】
続いて、基板50および光学ホルダ60が組み付けられた下側ケース11bに、上側ケース11aを組み付ける。このとき、上側ケース11aは、その溝部14a,14bにて光学ホルダ60の上壁側リブ65a,65bを挟持した状態で案内され(図9参照)、各筐体側係合突起18が対応する筐体用係合穴55〜58に挿通することで、上側ケース11aと基板50との位置決めがなされる。
【0050】
そして、上述のように位置決めされた状態で、上側ケース11aの各スナップフィット16aが下側ケース11bの対応する凸部16bにそれぞれ係合することで、上側ケース11aと下側ケース11bとが組み付けられる(図10参照)。そして、両ケース11a,11bを組み付けることで構成される読取口12とケーブル取付部13とに対して、読取口チップ72およびボトムピース73を組み付けることで、両ケース11a,11bが強固に組み付けられる。
これにより、ねじを使用することなく、図1に示す光学的情報読取装置10の組立が完了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、情報コードを光学的に読み取り可能な照明光源21や受光センサ28などの読取手段が保持される光学ホルダ60には、基板50への組み付け時に当該基板50に形成される各ホルダ用係合穴51〜54にそれぞれ挿通する係合ピン62a,62bおよび割りピン63a,63bが形成され、係合ピン62a,62bは、対応するホルダ用係合穴51,53に対して位置決め可能に係合するように形成され、割りピン63a,63bは、挿通時に弾性的に拡がることでホルダ用係合穴52,54に嵌合するように形成される。
【0052】
これにより、光学ホルダ60を基板50に組み付ける場合には、係合ピン62a,62bが、対応するホルダ用係合穴51,53に対して位置決め可能に係合するので、光学ホルダ60を基板50に対して所定の位置に容易に位置決めすることができる。それと同時に、割りピン63a,63bが、対応するホルダ用係合穴52,54に対して挿通時に弾性的に拡がって嵌合するので、光学ホルダ60の基板50に対する基板面に沿う方向の相対移動(係合ピン62a,62bとホルダ用係合穴51,53の勘合余裕により起こりうる移動)が抑制される。同時に弾性的に拡がる割りピン63a,63bがホルダ用係合穴52,54との摩擦力を大きくすることにより、基板面に直行する方向の相対移動も若干抑制される。
したがって、情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段が保持される光学ホルダ60の組み付けに関して、ねじを使用することなく位置ずれを抑制し、基板50に対して高い組付精度を確保しつづけることができる。
【0053】
また、光学ホルダ60には、係合ピン62a,62bおよび割りピン63a,63bが対応するホルダ用係合穴51〜54にそれぞれ挿通するときに、基板50の外縁50aを引き寄せるように当該外縁50aに対して弾性的に係合するスナップフィット64が形成される。このため、光学ホルダ60を基板50に組み付ける場合には、さらに、スナップフィット64が、基板50の外縁50aを引き寄せるように当該外縁50aに対して弾性的に係合するので、光学ホルダ60の基板50に対する基板面に直交する方向の相対移動が抑制される。これにより、光学ホルダ60の組み付けに関して、ねじを使用することなく位置ずれ・分解を抑制し、基板50に対してより高い組付精度を確保しつづけることができる。
【0054】
なお、スナップフィット64に代えて、基板50の外縁50aを引き寄せるように当該外縁50aに対して弾性的に係合する係合片を採用してもよい。
【0055】
さらに、光学ホルダ60のリブ65a〜65dおよび筐体11の溝部14a〜14dは、収容時に溝部14a〜14dがリブ65a〜65dを挟持するように形成される。これにより、光学ホルダ60を筐体11に収容する場合には、各リブ65a〜65dが溝部14a〜14dにより挟持されるので、筐体11に対する光学ホルダ60の位置決めが案内機能により容易になるだけでなく、収容後の光学ホルダ60を、筐体11に対して高い組付精度で保持しつづけることができる。
【0056】
特に、下側ケース11bに設けられる溝部14c,14dには、収容時の下壁側リブ65c,65dの読取口側端面66に対して隙間を介して対向するストッパ15がそれぞれ形成される。このため、光学ホルダ60が収容された筐体11が落下等して衝撃が作用する場合でも、読取口側端面66がストッパ15に当接することで、下壁側リブ65c,65dと溝部14c,14dとの相対移動が規制され、光学ホルダ60が基板50から離れようとする動きが抑制される。これにより、下壁側リブ65c,65dと溝部14c,14dによる光学ホルダ60の基板50に対する組付け保持機能を高めることができる。なお、ストッパ15は、下側ケース11bに設けられる溝部14c,14dに形成されることに限らず、各溝部14a〜14dの少なくともいずれか1つに設けられてもよい。
【0057】
なお、光学ホルダ60においてリブ65a〜65dに代えて溝部14a〜14dの様に形成される溝部を採用し、筐体11において溝部14a〜14dに代えてリブ65a〜65dの様に形成されるリブを採用してもよい。また、リブ65a〜65dおよび溝部14a〜14dに代えて、相対的に案内可能なホルダ側ガイドおよび筐体側ガイドを採用し、収容時に一方のガイドが他方のガイドを挟持するように形成されてもよい。
【0058】
また、筐体11を構成する上側ケース11aおよび下側ケース11bには、両ケース11a,11bの組み付け時に互いに係合するスナップフィット16aおよび凸部16bがそれぞれ形成されるため、光学ホルダ60の組み付けに関して、ねじを使用することなく高い組付精度を確保できるだけでなく、両ケース11a,11bの組み付けに関して、ねじを使用することなく高い組付精度を確保し、かつ衝撃に対し筐体が分解することを抑制することができる。
【0059】
なお、スナップフィット16aおよび凸部16bに代えて、両ケース11a,11bの組み付け時に互いに係合する係合部を採用してもよい。
【0060】
さらに、筐体11には、収容した基板50の筐体用係合穴55〜58に挿通する筐体側係合突起18が形成されるため、基板50を筐体11に対して所定の位置に容易に位置決めすることができる。
【0061】
図11は、本実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置10の要部を示す説明図であり、図11(A)は十字状のスリットを有する割りピン63cを示す斜視図であり、図11(B)は抜け止め機能を有する割りピン63dを示す断面図である。
本実施形態の変形例として、光学ホルダ60において、割りピン63a,63bは、円柱にスリットを設けたように形成されることに限らず、基板50のホルダ用係合穴52,54に対して挿通時に弾性的に拡がることで嵌合する係合突起として形成されてもよい。具体的には、図11(A)に示すように、円柱に十字状のスリットを設けたように形成される割りピン63cを採用してもよい。また、抜け止め防止として、図11(B)に示すように、各割りピンの先端部が根元部に比べて拡径するように形成される割りピン63dを採用してもよい。
【0062】
また、このように形成される係合突起は、2つ設けられることに限らず、1つ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。この場合、基板50のホルダ用係合穴は、対応する上記係合突起が挿通時に弾性的に拡がることで嵌合するように形成される。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)全ての組み立てにおいてねじを使用しないように構成されることに限らず、主要部品、例えば、光学ホルダ60と基板50との組み立てについてのみ、本発明の特徴的構成を採用することで、ねじを使用することなく高い組付精度を確保してもよい。
【0064】
(2)本実施形態では、基板50に組み付けた光学ホルダ60を下側ケース11bに組み付けた後に、上側ケース11aを組み付けたが、これに限らず、基板50に組み付けた光学ホルダ60を上側ケース11aに組み付けた後に、下側ケース11bを組み付けてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…光学的情報読取装置
11…筐体
11a…上ケース(一側ケース)
11b…下ケース(他側ケース)
14a〜14d…溝部(筐体側ガイド)
15…ストッパ
16a…スナップフィット(係合部)
16b…凸部(係合部)
18…筐体側係合突起
50…基板
50a…外縁
51〜54…ホルダ用係合穴(係合穴)
55〜58…筐体用係合穴(係合穴)
60…光学ホルダ
61…ホルダ本体
62a,62b…係合ピン(係合突起)
63a,63b…割りピン(係合突起)
64…スナップフィット(係合片)
65a,65b…上壁側リブ(ホルダ側ガイド)
65c,65d…下壁側リブ(ホルダ側ガイド)
66…読取口側端面(端面)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段と、
前記読取手段が保持される光学ホルダと、
前記光学ホルダが組み付けられる基板と、
前記光学ホルダおよび前記基板が収容される筐体と、
を備える光学的情報読取装置であって、
前記光学ホルダには、前記基板への組み付け時に当該基板に形成される複数の係合穴にそれぞれ挿通する係合突起が複数形成され、
複数の前記係合突起のうち、少なくとも2つは、対応する前記係合穴に対して位置決め可能に係合するように形成され、少なくとも1つは、挿通時に弾性的に拡がることで対応する前記係合穴に嵌合するように形成されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記光学ホルダには、前記各係合突起が対応する前記係合穴にそれぞれ挿通するときに、前記基板の外縁を引き寄せるように当該外縁に対して弾性的に係合する係合片が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記筐体には、前記光学ホルダを収容する際に当該光学ホルダに設けられるホルダ側ガイドを案内する筐体側ガイドが設けられ、
前記ホルダ側ガイドおよび前記筐体側ガイドは、収容時に一方のガイドが他方のガイドを挟持するように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記一方のガイドには、収容時の前記他方のガイドの端面に対して隙間を介して対向するストッパが形成されることを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記筐体は、一側ケースおよび他側ケースを組み付けることで構成され、
前記一側ケースおよび前記他側ケースには、両ケースの組み付け時に互いに係合する係合部がそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記筐体には、収容した前記基板のいずれかの前記係合穴に挿通する筐体側係合突起が形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項1】
情報コードを光学的に読み取り可能な読取手段と、
前記読取手段が保持される光学ホルダと、
前記光学ホルダが組み付けられる基板と、
前記光学ホルダおよび前記基板が収容される筐体と、
を備える光学的情報読取装置であって、
前記光学ホルダには、前記基板への組み付け時に当該基板に形成される複数の係合穴にそれぞれ挿通する係合突起が複数形成され、
複数の前記係合突起のうち、少なくとも2つは、対応する前記係合穴に対して位置決め可能に係合するように形成され、少なくとも1つは、挿通時に弾性的に拡がることで対応する前記係合穴に嵌合するように形成されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記光学ホルダには、前記各係合突起が対応する前記係合穴にそれぞれ挿通するときに、前記基板の外縁を引き寄せるように当該外縁に対して弾性的に係合する係合片が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記筐体には、前記光学ホルダを収容する際に当該光学ホルダに設けられるホルダ側ガイドを案内する筐体側ガイドが設けられ、
前記ホルダ側ガイドおよび前記筐体側ガイドは、収容時に一方のガイドが他方のガイドを挟持するように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記一方のガイドには、収容時の前記他方のガイドの端面に対して隙間を介して対向するストッパが形成されることを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記筐体は、一側ケースおよび他側ケースを組み付けることで構成され、
前記一側ケースおよび前記他側ケースには、両ケースの組み付け時に互いに係合する係合部がそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記筐体には、収容した前記基板のいずれかの前記係合穴に挿通する筐体側係合突起が形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−21090(P2013−21090A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152480(P2011−152480)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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