説明

光学的情報読取装置

【課題】復号鍵を保有する保有者による設定変更を容易とし復号鍵を保有しない非保有者による設定変更を防止し得る光学的情報読取装置を提供する。
【解決手段】デコード処理により設定用コードが読み取られたとき、メモリ35に復号鍵が記憶される場合に、この復号鍵を用いて当該設定用コードに記録される暗号化された暗号化設定情報が解読処理により復号されて解読される。そして、第2設定処理により、解読処理にて暗号化設定情報を解読して得られた高レベル設定情報に応じた設定が実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置では、読み取り可能なコード種別などの設定変更を実施する方法としては、所望の設定に応じて構成される設定用の情報コードを読み取らせることで、その設定変更を実施する方法がある。また、当該読取装置がネットワークを介して接続されている場合には、上位機器である情報端末からの入力に応じて、直接設定変更を実施する方法もある。
【0003】
また、上述のような設定変更を可能とする権限を所定の使用者に限定するための技術として、下記特許文献1に示すICカード更新システムが知られている。このICカード更新システムでは、旧カードの公開鍵と新カードの公開鍵をカード同士で交換した後に、旧カード内で共通鍵を生成させ、この鍵を新カードの公開鍵で暗号化して新カードに送り、新カード内で新カードの秘密鍵で復号化した後、新カードにも保持させることによりこの共通鍵を旧カードと新カードに共有させ、次に、旧カード内の情報をこの共通鍵で暗号化して吸い出し、新カードに送り、この共通鍵で復号化して新カードに書き込むことで、ICカードの更新を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−312725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、管理者(権限者)だけでなく誰でも光学的情報読取装置の一部または全ての設定項目について設定変更を実施できてしまうと、変更された設定項目の管理が困難になる。このため、例えば、管理者と作業者複数人が同じ作業ラインで作業をする場合、各作業者ごとに自由に設定変更ができてしまうと、異なる設定の読取装置が同じ作業ラインに無秩序に混在してしまい、読取結果が読取装置ごとにばらついてしまうという問題が生じる。
上記特許文献1の発明のように、ネットワークに接続される読取装置であれば、当該ネットワークを利用して所定の処理を実施することで、各読取装置の設定項目を管理することも可能となるが、ネットワークに接続されていない読取装置では、上記問題が顕著となる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、復号鍵を保有する保有者による設定変更を容易とし復号鍵を保有しない非保有者による設定変更を防止し得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の光学的情報読取装置は、情報コードを光学的に読み取る読取手段(28,40)を有し、暗号化された設定情報が読み取り可能に記録される設定用コードを前記読取手段により読み取ることで、当該設定情報に応じた設定が実施される光学的情報読取装置(10)であって、前記暗号化された設定情報を復号するための復号鍵が記憶可能な記憶手段(35)と、前記読取手段により前記設定用コードが読み取られたとき、前記記憶手段に前記復号鍵が記憶される場合に、この復号鍵を用いて当該設定用コードに記録される前記暗号化された設定情報を復号して解読する暗号解読手(40)段と、前記暗号解読手段により解読された設定情報に応じた設定を実施する設定手段(40)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記設定用コードには、前記暗号化された設定情報に加えて暗号化されない設定情報が読み取り可能に記録され、前記設定手段は、前記読取手段により前記設定用コードが読み取られたとき、前記記憶手段に前記復号鍵が記憶される場合に、前記暗号解読手段により解読された設定情報と前記暗号化されない設定情報とに応じた設定を実施し、前記記憶手段に前記復号鍵が記憶されない場合に、前記暗号化されない設定情報に応じた設定を実施することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記設定用コードには、暗号化された複数項目の設定情報が読み取り可能に記録され、前記復号鍵は、前記暗号化された複数項目の設定情報に対して各項目ごとに用意され、前記暗号解読手段は、前記読取手段により前記設定用コードが読み取られたとき、前記記憶手段に1または2以上の前記復号鍵が記憶される場合に、これらの復号鍵を用いることで当該設定用コードに記憶される前記暗号化された複数項目の設定情報のうちの少なくとも一部の項目の設定情報を解読することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記復号鍵は、前記暗号化された複数項目の設定情報のうち少なくとも2項目以上を復号可能に構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記設定用コードには、前記設定情報に応じた設定を実施するタイミングに関するタイミング情報が読み取り可能に記録され、前記設定手段は、前記設定情報に応じた設定を、前記タイミング情報に対応するタイミングにて実施することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記設定手段により実施された設定に関する情報を報知する報知手段(46)を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する各実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、読取手段により設定用コードが読み取られたとき、記憶手段に復号鍵が記憶される場合に、この復号鍵を用いて当該設定用コードに記録される暗号化された設定情報が暗号解読手段により復号されて解読される。そして、設定手段により、暗号解読手段により解読された設定情報に応じた設定が実施される。
【0014】
これにより、設定内容を変更したい光学的情報読取装置の記憶手段に復号鍵を記憶させた状態で所望の設定用コードを読み取ることで、当該設定用コードに暗号化されて記録された設定情報が解読されて設定が実施されるので、復号鍵を保有する保有者による当該光学的情報読取装置の設定変更を容易に実施できる。一方、復号鍵が記憶手段に記憶されない光学的情報読取装置では、設定用コードを読み取っても設定情報が解読できず設定が変更されないため、復号鍵を保有しない非保有者による設定変更を確実に防止することができる。
したがって、復号鍵を保有する保有者による設定変更を容易とし復号鍵を保有しない非保有者による設定変更を防止することができる。
【0015】
請求項2の発明では、読取手段により設定用コードが読み取られたとき、記憶手段に復号鍵が記憶される場合に、暗号解読手段により解読された設定情報と暗号化されない設定情報とに応じた設定が設定手段により実施される。また、記憶手段に復号鍵が記憶されない場合には、暗号化されない設定情報に応じた設定が設定手段により実施される。
【0016】
このように、所望の設定用コードを読み取ることで、復号鍵を保有する保有者では、暗号化された設定情報と暗号化されない設定情報との双方に応じた設定を実施することができ、復号鍵を保有しない非保有者では、暗号化されない設定情報に応じた設定を実施することができる。
【0017】
請求項3の発明では、読取手段により設定用コードが読み取られたとき、記憶手段に1または2以上の復号鍵が記憶される場合に、これらの復号鍵を用いることで当該設定用コードに記憶される暗号化された複数項目の設定情報のうちの少なくとも一部の項目の設定情報が暗号解読手段により解読される。
【0018】
これにより、変更可能な複数の設定項目のうちのいずれかの設定項目の変更したい場合には、その設定項目に対応して暗号化された設定情報を解読する復号鍵を記憶手段に記憶させればよいので、変更可能な設定項目を細かく設定することができる。
【0019】
請求項4の発明では、復号鍵は、暗号化された複数項目の設定情報のうち少なくとも2項目以上を復号可能に構成される。
これにより、例えば、暗号化された全項目の設定情報を1つの復号鍵で復号可能に設定することで、変更すべき設定項目が多数あっても記憶手段に記憶される復号鍵は1つだけでよいので、記憶手段に記憶すべき復号鍵の数が減り各復号鍵を記憶手段に記憶するために必要な記憶容量を削減することができる。
【0020】
請求項5の発明では、設定情報に応じた設定が、設定用コードに記録されるタイミング情報に対応するタイミングにて設定手段により実施される。
これにより、例えば、100個のQRコード(登録商標)を読み取った後に100個のバーコードを読み取る場合、100個読み取るまで読取可能なコード種別をQRコードに限定し、101個目から読取可能なコード種別をバーコードに限定するようにタイミング情報が記録される設定用コードを一度読み取ることで、特別な操作をすることなく、読取限定されるコード種別を好適に変更することができる。すなわち、設定用コードを一度読み取ることで、設定項目を変更するタイミングまで設定されるため、設定項目を変更すべきタイミングごとに設定用コードを読み取る必要がないので、読取作業の効率化を図ることができる。
【0021】
請求項6の発明では、設定手段により実施された設定に関する情報が報知手段により報知されるので、復号鍵を保有する保有者等は、設定用コードを読み取ることで設定が実施された設定項目の内容を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における設定変更処理の流れを例示するフローチャートである。
【図3】図2中の暗号解読処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【図4】第2実施形態における設定用コードを構成する通常領域および暗号化領域を説明する説明図である。
【図5】第2実施形態における暗号解読処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る光学的情報読取装置について図を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、光学的情報読取装置10は、物品に付されたバーコードなどの一次元コードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取る装置として構成されている。この光学的情報読取装置10は、図示しないケースの内部に回路部20が収容されてなるものであり、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0025】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図1では、情報コードCが付された物品Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0026】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、情報コードC等に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。
【0027】
結像レンズ27は、外部から読取口(図示略)を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0028】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46等から構成されている。
【0029】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0030】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述したコード画像情報格納領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する設定変更処理、解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。なお、メモリ35は、特許請求の範囲に記載の「記憶手段」の一例に相当し得る。
【0031】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有すると共に、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。本実施形態では、制御回路40に対し、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46等が接続されている。
【0032】
これにより、制御回路40は、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、情報コードCの読み取りに関する情報を報知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、液晶表示器46の表示制御等を可能にしている。
【0033】
次に、このように構成される光学的情報読取装置10について、読み取り可能なコード種別などの設定内容を変更する設定変更処理について、以下に説明する。
本実施形態では、以下に示す設定変更処理を実施することで、所望の設定内容に応じて構成される設定用の情報コード(以下、単に、設定用コードという)を光学的に読み取って取得される設定情報に応じて、その設定内容の変更が実施される。これにより、キーボード等の入力手段を有しない光学的情報読取装置であっても、その設定変更を容易に実施することができる。なお、本実施形態では、QRコードを用いて設定用コードを構成しているが、これに限らず、バーコード等の一次元コードや、データマトリックコード、マキシコード等の他の二次元コードを用いて設定用コードを構成してもよい。
【0034】
特に、本実施形態では、設定用コードを光学的に読み取ることで取得される設定情報として、暗号化されない設定情報(以下、通常レベル設定情報という)と、対応する復号鍵を用いた復号により高レベル設定情報が解読されて取得される暗号化された設定情報(以下、暗号化設定情報という)とが設けられている。すなわち、設定用コードは、その公開領域(通常領域)に通常レベル設定情報が記録され、その非公開領域(暗号化領域)に高レベル設定情報が記録されるように、構成される。
【0035】
これにより、設定用コードを光学的に読み取ることで、暗号化設定情報を復号して得られる高レベル設定情報については、復号鍵を保有する保有者、例えば、製造ラインを管理する管理者(以下、単に管理者という)による設定変更を容易とし、復号鍵を保有しない非保有者、例えば、製造ラインにて所定の読取作業を行う一作業者(以下、単に作業者という)による設定変更を防止している。また、暗号化されない通常レベル設定情報については、保有者(管理者)だけでなく非保有者(作業者)による設定変更を容易としている。
【0036】
ここで、上述した通常レベル設定情報としては、例えば、照明レベルの照度や通信速度、編集機能など、読取装置ごとに個別に設定変更しても読取結果が読取装置ごとにばらつきにくい設定内容があげられる。また、暗号化設定情報を解読して得られる高レベル設定情報としては、例えば、読み取り可能なコード種別や読取条件、読取方式など、読取対象を限定することで処理負荷が軽減されるものの、読取装置ごとに個別に設定変更すると読取結果が読取装置ごとにばらつきやすい設定内容があげられる。なお、通常レベル設定情報および高レベル設定情報は、上述のように構成されることに限らず、当該光学的情報読取装置が使用される作業環境に応じて設定可能な設定内容からそれぞれ任意に設定されてもよい。
【0037】
以下、制御回路40にて実行される設定変更処理について図2および図3に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。図2は、第1実施形態における設定変更処理の流れを例示するフローチャートである。図3は、図2中の暗号解読処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。なお、以下に示す設定変更処理が実施される光学的情報読取装置10は、管理者が管理する装置であり、メモリ35には、上述した復号鍵が予め記憶されているものとする。
【0038】
まず、制御回路40では、図2のステップS101に示す撮像処理がなされる。この処理では、管理者等のトリガースイッチ42の操作に応じて照明光源21から照明光Lfが照射されて、情報コードにて反射された反射光Lrが受光センサ28にて受光されると、受光センサ28から出力される信号に基づいて、当該情報コードを含む画像データが生成される。次に、ステップS103に示すデコード処理がなされ、生成された画像データのうち情報コードに相当するコード画像に対して公知のデコード処理が実施される。この処理により、情報コードとして符号化された文字データ等がデコードされると、ステップS105に示す判定処理にて、設定用コードの読み取りか否かについて判定される。ここで、撮像処理(S101)にて撮像された情報コードが設定用コードでないことから、ステップS105にてNoと判定されると、ステップS107に示す読取処理がなされる。この処理では、デコード処理(S103)にてデコードされた文字データに対して所定の処理を施す等のデコード結果に応じた通常の読取処理がなされる。
【0039】
一方、当該装置の設定内容を変更するために、撮像処理(S101)にて管理者等により所望の設定変更内容に対応する設定用コードが撮像されると、デコード処理(S103)にて通常レベル設定情報および暗号化設定情報が取得され、判定処理(S105)にてYesと判定される。そして、ステップS109に示す第1設定処理がなされ、デコード処理(S103)にて通常レベル設定情報が取得されていることから、この通常レベル設定情報に基づいて、当該装置の設定が変更される。例えば、上記設定用コードを読み取ることで取得される通常レベル設定情報が照明レベルの照度の変更であれば、照明光源21から照射される照明光Lfの照度が、当該通常レベル設定情報に応じて変更される。なお、撮像処理(S101)等を実行する制御回路40および受光センサ28は、特許請求の範囲に記載の「読取手段」の一例に相当し得る。また、第1設定処理(S109)および後述する第2設定処理(S113)を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「設定手段」の一例に相当し得る。
【0040】
次に、ステップS111に示す判定処理にて、暗号化設定情報が取得されたか否かについて判定される。上述のようにデコード処理(S103)にて暗号化設定情報が取得されている場合には、判定処理(S111)にてYesと判定されて、ステップS200に示す暗号解読処理のサブルーチンが実行される。なお、暗号解読処理のサブルーチン(S200)を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「暗号解読手段」の一例に相当し得る。
【0041】
このサブルーチンでは、まず、図3のステップS201に示す判定処理にて、復号鍵がメモリ35に記憶されているか否かについて判定される。上述したように、復号鍵がメモリ35に予め記憶されていることから、ステップS201にてYesと判定されると、ステップS203に示す復号鍵読出処理がなされ、メモリ35から復号鍵が読み出される。
【0042】
そして、ステップS205に示す解読処理がなされる。この処理では、デコード処理(S103)にて取得した暗号化設定情報について、復号鍵読出処理(S203)にて読み出した復号鍵を用いて復号して解読することで、高レベル設定情報が取得される。これにより、暗号解読処理のサブルーチンが終了する。
なお、復号鍵がメモリ35に記憶されていない場合には、ステップS201にてNoと判定されて、復号鍵読出処理(S203)以降の処理を実施することなく、暗号解読処理のサブルーチンが終了する。
【0043】
このように、暗号化設定情報が解読されて高レベル設定情報が取得されると、図2のステップS113に示す第2設定処理がなされ、高レベル設定情報に基づいて、当該装置の設定が変更される。例えば、暗号化設定情報を解読することで取得される高レベル設定情報が、読み取り可能なコード種別をQRコードのみに限定する設定であれば、この第2設定処理以降の処理において、QRコードに限定されたデコード処理が上記ステップS103にて実施されることとなる。このように、読取対象がQRコードのみであることから、QRコードに限定されたデコード処理を実施することで、どのコード種別の情報コードを読み取るか不明であることから全ての種別の情報コードを読み取り可能にデコード処理を実施する場合と比較して、デコード処理等における処理負荷を軽減して、処理速度を向上させることができる。
【0044】
このように第2設定処理(S113)がなされるか、暗号化設定情報が取得されていないことから第1設定処理(S109)後に判定処理(S111)にてNoと判定されると、ステップS115に示す報知処理がなされる。この処理では、各設定処理にて設定された具体的な設定内容が液晶表示器46の表示画面に表示されることで報知される。例えば、読み取り可能なコード種別がQRコードのみに限定されるように設定変更されていると、その設定変更内容が液晶表示器46の表示画面に表示されることで報知される。これにより、管理者等は、設定用コードを読み取ることで変更された設定内容を、液晶表示器46の表示画面から容易に視認することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、デコード処理(S103)により設定用コードが読み取られたとき、メモリ35に復号鍵が記憶される場合に、この復号鍵を用いて当該設定用コードに記録される暗号化された暗号化設定情報が解読処理(S205)により復号されて解読される。そして、第2設定処理(S113)により、解読処理(S205)にて暗号化設定情報を解読して得られた高レベル設定情報に応じた設定が実施される。
【0046】
これにより、設定内容を変更したい光学的情報読取装置10のメモリ35に復号鍵を記憶させた状態で所望の設定用コードを読み取ることで、当該設定用コードに暗号化されて記録された暗号化設定情報が解読されて設定が実施されるので、復号鍵を保有する保有者(例えば、管理者)による当該光学的情報読取装置10の設定変更を容易に実施できる。一方、復号鍵がメモリ35に記憶されない光学的情報読取装置では、設定用コードを読み取っても設定情報が解読できず設定が変更されないため、復号鍵を保有しない非保有者(例えば、作業者)による設定変更を確実に防止することができる。
したがって、復号鍵を保有する保有者による設定変更を容易とし復号鍵を保有しない非保有者による設定変更を防止することができる。
【0047】
また、デコード処理(S103)により設定用コードが読み取られたとき、メモリ35に復号鍵が記憶される場合に、解読処理(S205)により解読された高レベル設定情報と通常レベル設定情報とに応じた設定が第2設定処理(S113)と第1設定処理(S109)とにより実施される。また、メモリ35に復号鍵が記憶されない場合には、通常レベル設定情報に応じた設定が第1設定処理(S109)により実施される。
【0048】
このように、所望の設定用コードを読み取ることで、復号鍵を保有する保有者では、暗号化設定情報と通常レベル設定情報との双方に応じた設定を実施することができ、復号鍵を保有しない非保有者では、通常レベル設定情報に応じた設定を実施することができる。
【0049】
さらに、第1設定処理(S109)および第2設定処理(S113)により実施された設定に関する情報が液晶表示器46の表示画面に表示されることで報知されるので、復号鍵を保有する保有者等は、設定用コードを読み取ることで設定が実施された設定項目の内容を容易に認識することができる。
なお、実施された設定に関する情報は、液晶表示器46の表示画面に表示されることで報知されることに限らず、発光部43の点灯やブザー44の鳴動等の報知手段を利用して報知してもよい。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光学的情報読取装置10について図4および図5を参照して説明する。図4は、第2実施形態における設定用コードを構成する通常領域および暗号化領域を説明する説明図である。図5は、第2実施形態における暗号解読処理のサブルーチンを例示するフローチャートである。
【0051】
本第2実施形態に係る光学的情報読取装置10では、暗号化された複数項目の設定情報、すなわち、複数種類の暗号化設定情報が記録されるように設定用コードが構成され、上述した暗号解読処理のサブルーチンについて図3に示すフローチャートに代えて図5に示すフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第1実施形態に係る光学的情報読取装置と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の光学的情報読取装置と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0052】
具体的には、図4に示すように、設定用コードは、1つの通常領域と、複数の暗号化領域とを有するように構成されており、通常領域には、通常レベル設定情報が記録され、各暗号化領域には、それぞれ異なる暗号化設定情報が記録されている。そして、復号鍵は、各暗号化設定情報に応じてそれぞれ用意される。すなわち、n個の暗号化領域にそれぞれ暗号化設定情報が記録される場合、n種類の復号鍵が用意されることとなる。
【0053】
以下、本第2実施形態における設定変更処理について、図2および図5のフローチャートを用いて説明する。なお、以下に示す設定変更処理が実施される光学的情報読取装置10は、管理者が管理する装置であり、この管理者が読み取り可能なコード種別をQRコードに限定する設定変更を所望することから、この設定変更に対応する1つの復号鍵がメモリ35に予め記憶されているものとする。
【0054】
上記第1実施形態における設定変更処理と同様に、図2に示す撮像処理(S101)にて管理者等により所望の設定変更内容に対応する設定用コードが撮像されると、デコード処理(S103)にて通常レベル設定情報と複数の暗号化設定情報が取得され、判定処理(S105)にてYesと判定される。次に、第1設定処理(S109)がなされて通常レベル設定情報に基づく当該装置の設定が変更されると、暗号化設定情報が取得されていることから判定処理(S111)にてYesと判定されて、ステップS200に示す暗号解読処理のサブルーチンが実行される。
【0055】
本実施形態における暗号解読処理では、まず、図5のステップS201に示す判定処理にて、復号鍵がメモリ35に記憶されているか否かについて判定され、上述したように、読み取り可能なコード種別をQRコードに限定する設定変更に対応する復号鍵がメモリ35に予め記憶されていることから、ステップS201にてYesと判定される。次に、ステップS203に示す復号鍵読出処理がなされ、メモリ35に記憶されている復号鍵が読み出される。現段階では、読み取り可能なコード種別をQRコードに限定する設定変更に対応する復号鍵がメモリ35から読み出されることとなる。
【0056】
続いて、ステップS204に示す暗号化設定情報抽出処理がなされ、デコード処理(S103)にて取得された複数の暗号化設定情報のうちの1つが抽出される。そして、この抽出された暗号化設定情報について、復号鍵読出処理(S203)にて読み出された復号鍵を用いて、ステップS205に示す解読処理がなされる。ここで、抽出された暗号化設定情報が読み取り可能なコード種別をQRコードに限定する設定変更に対応していない場合には、復号鍵による解読が不能となる。一方、抽出された暗号化設定情報が上記設定変更に対応している場合には、復号鍵により解読されて、読み取り可能なコード種別をQRコードに限定する設定変更に対応する高レベル設定情報が取得される。
【0057】
なお、複数種類の復号鍵がメモリ35に記憶されている場合、各復号鍵のいずれかが抽出された暗号化設定情報に解読可能に対応していると、この暗号化設定情報が解読されて高レベル設定情報が取得され、各復号鍵のいずれもが抽出された暗号化設定情報に解読可能に対応していないと、この暗号化設定情報は解読されないこととなる。
【0058】
そして、デコード処理(S103)にて取得された複数の暗号化設定情報のうち未抽出の暗号化設定情報があれば、ステップS207にてYesと判定されて、暗号化設定情報抽出処理(S204)がなされ、取得された複数の暗号化設定情報のうちの他の1つが抽出される。続いて、この抽出された暗号化設定情報について、復号鍵読出処理(S203)にて読み出された復号鍵を用いて、ステップS205に示す解読処理がなされる。すなわち、メモリ35に記憶されている復号鍵を用いることで、当該設定用コードに記憶される暗号化された複数項目の設定情報のうちの少なくとも一部の項目の設定情報が解読処理(S205)により解読されることとなる。
【0059】
そして、デコード処理(S103)にて取得された複数の暗号化設定情報が全て抽出されるまで暗号化設定情報抽出処理(S204)からの処理が繰り返され、全ての暗号化設定情報が抽出されて解読処理(S205)がなされると(S207でNo)、暗号解読処理のサブルーチンが終了する。
【0060】
このように、暗号化設定情報が解読されて高レベル設定情報が取得されると、図2のステップS113に示す第2設定処理がなされ、取得された高レベル設定情報に基づいて、当該装置の設定が変更される。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、デコード処理(S103)により設定用コードが読み取られたとき、メモリ35に1または2以上の復号鍵が記憶される場合に、これらの復号鍵を用いることで当該設定用コードに記憶される暗号化された複数項目の設定情報のうちの少なくとも一部の項目の設定情報が解読処理(S205)により解読される。
【0062】
これにより、変更可能な複数の設定項目のうちのいずれかの設定項目の変更したい場合には、その設定項目に対応して暗号化された設定情報を解読する復号鍵をメモリ35に記憶させればよいので、変更可能な設定項目を細かく設定することができる。すなわち、所望の設定内容に対応する暗号化設定情報に対して、その暗号化設定情報が記録される暗号化領域に対応する復号鍵をメモリ35に記憶させることで、上記所望の設定内容に容易に変更することができる。
【0063】
なお、復号鍵は、各暗号化設定情報に応じてそれぞれ用意されることなく、例えば、1つの復号鍵で全ての暗号化設定情報を復号して解読するように構成されてもよい。また、所定の復号鍵で各暗号化設定情報のうちの少なくとも2以上を復号して解読するように構成されてもよい。具体的には、例えば、復号鍵K1は、1番目〜3番目の暗号化領域にそれぞれ記録される各暗号化設定情報を復号可能に構成され、復号鍵K2は、4番目〜7番目の暗号化領域にそれぞれ記録される各暗号化設定情報を復号可能に構成されてもよい。
【0064】
これにより、例えば、全ての暗号化設定情報を1つの復号鍵で復号可能に設定することで、変更すべき設定項目が多数あってもメモリ35に記憶すべき復号鍵は1つだけとすることができる。また、各暗号化設定情報のうちの少なくとも2以上を1つの復号鍵で復号可能に設定することで、変更すべき設定項目が多数あってもメモリ35に記憶すべき復号鍵の数を減らすことができる。
【0065】
このように、メモリ35に記憶すべき復号鍵の数が減るので、各復号鍵をメモリ35に記憶するために必要な記憶容量を削減することができる。
なお、1つの復号鍵で各暗号化設定情報のうちの少なくとも2以上を復号可能に設定する場合には、設定用コードは、複数の暗号化領域を有するように構成されることに限らず(図4参照)、1つの復号鍵に応じて1つの設定項目の変更がなされるように、例えば、1つの暗号化設定情報が記録される1つの暗号化領域を有するように構成されてもよい。
【0066】
また、各暗号化設定情報の少なくとも1つは、対応する1つの復号鍵を用いることで復号して解読するように構成されることに限らず、複数種類の復号鍵を用いることで復号して解読するように構成されてもよい。すなわち、所定の暗号化設定情報を解読する場合には、その暗号化設定情報を復号するために、対応する複数の復号鍵をメモリ35に記憶することが必要となる。このように、設定項目のレベルに応じて必要な復号鍵の数を増やすことで、セキュリティ性を高めることができる。
【0067】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上述した設定用コードは、暗号化された設定情報または暗号化されない設定情報に応じた設定を実施するタイミングに関するタイミング情報が記録されるように構成されてもよい。すなわち、設定情報に応じた設定が、設定用コードに記録されるタイミング情報に対応するタイミングにて設定される。
これにより、例えば、100個のQRコードを読み取った後に100個のバーコードを読み取る場合、100個読み取るまで読取可能なコード種別をQRコードに限定し、101個目から読取可能なコード種別をバーコードに限定するようにタイミング情報が記録される設定用コードを一度読み取ることで、特別な操作をすることなく、読取限定されるコード種別を好適に変更することができる。すなわち、設定用コードを一度読み取ることで、設定項目を変更するタイミングまで設定されるため、設定項目を変更すべきタイミングごとに設定用コードを読み取る必要がないので、読取作業の効率化を図ることができる。
【0068】
(2)解読処理(S205)にて解読して取得した高レベル設定情報に応じて第2設定処理(S113)がなされる場合には、設定用コードを読み取ることによる設定内容の変更を1つの設定項目にするため、第1設定処理(S109)における通常レベル設定情報に基づく設定変更を実施しなくてもよい。
【0069】
(3)暗号化設定情報が記録される非公開領域(暗号化領域)は、設定用コードに設けられることに限らず、通常の読取作業により読み取られる情報コードに設けられてもよい。この場合、次の読取対象となる情報コードの読取に関する設定を暗号化設定情報として非公開領域(暗号化領域)に記録することで、対応する復号鍵がメモリ35に記憶される光学的情報読取装置10では、読取作業と同時に次の情報コードに対する設定変更が実施され、読取作業をより円滑に実施することができる。例えば、読み取り可能なコード種別を所定の情報コードに限定することで、読み取り間違えをなくすことができる。
【符号の説明】
【0070】
10…光学的情報読取装置
28…受光センサ(読取手段)
35…メモリ(記憶手段)
40…制御回路(読取手段,暗号解読手段,設定手段)
46…液晶表示器(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを光学的に読み取る読取手段を有し、暗号化された設定情報が読み取り可能に記録される設定用コードを前記読取手段により読み取ることで、当該設定情報に応じた設定が実施される光学的情報読取装置であって、
前記暗号化された設定情報を復号するための復号鍵が記憶可能な記憶手段と、
前記読取手段により前記設定用コードが読み取られたとき、前記記憶手段に前記復号鍵が記憶される場合に、この復号鍵を用いて当該設定用コードに記録される前記暗号化された設定情報を復号して解読する暗号解読手段と、
前記暗号解読手段により解読された設定情報に応じた設定を実施する設定手段と、
を備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記設定用コードには、前記暗号化された設定情報に加えて暗号化されない設定情報が読み取り可能に記録され、
前記設定手段は、前記読取手段により前記設定用コードが読み取られたとき、
前記記憶手段に前記復号鍵が記憶される場合に、前記暗号解読手段により解読された設定情報と前記暗号化されない設定情報とに応じた設定を実施し、
前記記憶手段に前記復号鍵が記憶されない場合に、前記暗号化されない設定情報に応じた設定を実施することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記設定用コードには、暗号化された複数項目の設定情報が読み取り可能に記録され、
前記復号鍵は、前記暗号化された複数項目の設定情報に対して各項目ごとに用意され、
前記暗号解読手段は、前記読取手段により前記設定用コードが読み取られたとき、前記記憶手段に1または2以上の前記復号鍵が記憶される場合に、これらの復号鍵を用いることで当該設定用コードに記憶される前記暗号化された複数項目の設定情報のうちの少なくとも一部の項目の設定情報を解読することを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記復号鍵は、前記暗号化された複数項目の設定情報のうち少なくとも2項目以上を復号可能に構成されることを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記設定用コードには、前記設定情報に応じた設定を実施するタイミングに関するタイミング情報が読み取り可能に記録され、
前記設定手段は、前記設定情報に応じた設定を、前記タイミング情報に対応するタイミングにて実施することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記設定手段により実施された設定に関する情報を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−25731(P2013−25731A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162822(P2011−162822)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】