説明

光学的情報読取装置

【課題】情報コードに対して照明光を照射する複数の光源を備えた光学的情報読取装置において、装置から情報コードまでの距離が変化する場合でも、情報コード上での照度分布を距離に応じて適切に調整し得る構成を提供する。
【解決手段】複数の光源21(LED)によりバーコードBに対して照明光Lfを照射し、このバーコードBからの反射光Lrを受光センサ28により受光し、バーコードBからの反射光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて当該バーコードBをデコード手段(制御回路40)によりデコードする。当該光学的情報読取装置10(読取口13)からバーコードBまでの距離を距離測定手段(制御回路40)により測定し、この測定された測定距離に基づいて複数の光源21の光量バランスを光量調整手段(調整回路49及び制御回路40)により調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、バーコード、QRコード等の情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置が提供されている。この光学的情報読取装置では、LED(Light Emitted Diode)などの光源を用いてその照明光を情報コード上に照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)上に結像させ、そのCCD出力に基づき情報コードを読み取る技術が知られている。このような光学的情報読取装置に関する技術として、例えば下記特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
特許文献1には、照明光を発する複数の光源(31)と、光源(31)から発せられた光を拡散する拡散板(32)と、拡散された光を照射するレンズ(33)と、撮像素子(34)と、データシンボル(情報コード)(7)を撮像素子(34)の受光面に結像するように導く撮像レンズ(35)とを備えたデータシンボル読み取り装置(1)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−69516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の光学的情報読取装置では、複数の光源から情報コードに対して照明光を照射したときに、情報コード上での照度分布にムラができてしまうという問題がある。このように情報コード上での照度分布にムラがあると、一部領域の輝度が相当大きくなったり小さくなったりするため、例えば本来的に明色と認識されるべき領域が暗色と認識されてしまったり、逆に暗色と認識されるべき領域が明色と認識されるような誤判定が生じやすくなってしまい、その結果、読み取り精度の低下を招いてしまうことになる。そのため、情報コードに照明光を照射する際、照射ムラをできるだけ抑えることが望ましい。
【0006】
一方、LEDなどの光源は、その製造条件(例えば、原料ガス流量や基板温度、不純物濃度)のわずかの差で輝度などの発光特性にバラツキが生じやすい。そのため、特に複数のLEDを光源に用いる場合には、予め、輝度選別されたLEDを用い、さらに、選別されたLEDに対応した電流制限用抵抗(固定値)を用いて光量を調整するなどの方法が採られていた。しかしながら、このような方法を用いても、照射対象物上において照度がある程度バラつくことは避けられず、照度分布をより適切に調整するための更なる方法が求められていた。
【0007】
特に、使用者が光学的情報読取装置を手に持った状態で、情報コードから読取口をある程度離して読み取る場合、読取口から情報コードまでの距離が読み取り毎に変化するという事情があり、情報コード上での照度分布は距離によっても光の入射方向や光量が変わり得るため、上述の方法のように光源の発光量を固定化してしまうと、情報コードまでの距離が想定した距離から変化した場合に適切な照度分布が得られ難いといった問題があった。一方、光学的情報読取装置を置台などに固定する場合であっても、照射対象物の高さの違いによる情報コードまでの距離に加え、当該読取装置の周囲の環境(例えば、周囲の物の配置や人の往来などによる周辺環境の変化)で光の入射方向や光量が変わり得るため、照度分布を適切に調整し得る構成が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、情報コードに対して照明光を照射する複数の光源を備えた光学的情報読取装置において、装置から情報コードまでの距離が変化する場合でも、情報コード上での照度分布を距離に応じて適切に調整し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、情報コードに対して照明光を照射する複数の光源と、前記情報コードからの反射光を受光する受光手段と、前記情報コードからの反射光に応じて前記受光手段から出力される信号に基づいて当該情報コードをデコードするデコード手段と、を備えた光学的情報読取装置であって、当該光学的情報読取装置から前記情報コードまでの距離を測定する距離測定手段と、前記距離測定手段により測定された測定距離に基づいて前記複数の光源の光量バランスを調整する光量調整手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、複数の光源により情報コードに対して照明光を照射し、この情報コードからの反射光を受光手段により受光し、情報コードからの反射光に応じて受光手段から出力される信号に基づいて当該情報コードをデコード手段によりデコードするようにしている。そして、当該光学的情報読取装置から情報コードまでの距離を距離測定手段により測定し、この測定された測定距離に基づいて複数の光源の光量バランスを光量調整手段により調整するようにしている。
【0011】
この構成によれば、複数の光源を用いて情報コードに対して十分な光量の照明光を広範囲に照射することができ、更に、複数の光源の光量バランスを調整することができるため、各光源(例えばLEDなど)に製造上のバラツキ(輝度など)等が存在していても、照度分布を改善することが出来る。特に、光学的情報読取装置から情報コードまでの距離(以下、「照射距離」という)を測定し、その測定距離に基づき光量のバランスを調整しているため、複数の光源の光量を撮像時の実際の距離に適したバランスに設定することができ、照射距離が変動し得る環境(例えば、携帯型の読取装置を手で持って、情報コードを読み取る場合など)において、より適切な照度分布とすることができる。
【0012】
請求項2の発明では、情報コードの読み取りに際し、距離測定手段は、デコード手段によるデコードに先立って当該光学的情報読取装置から情報コードまでの距離を測定し、光量調整手段は、その測定距離に基づいて複数の光源の光量バランスを調整するようになっている。そして、デコード手段は、複数の光源の光量バランスが調整された状態での情報コードからの反射光に応じて受光手段から出力される信号に基づいてデコードを行うようにしている。
【0013】
この構成では、デコード手段によるデコードに先立ち、複数の光源の光量バランスを測定距離に応じたバランスに調整し、このように照度分布を改善した状態で情報コードを撮像し、デコードを行うことができる。従って、情報コードの画像において輝度の偏り等を抑えて画像全体をより鮮明化することができ、このように鮮明化された情報コードの画像に基づいてより確実にデコードを行うことができる。
【0014】
請求項3の発明では、光量調整手段は、複数の光源の各々の光量をそれぞれ個別に調整可能に構成されている。この構成では、それぞれの光源の光量を個別に制御できるので、複数の光源の光量バランスを調整する上で自由度が大きくなる。従って、より細かな調整が可能となり、照度分布をより適切に改善することができる。
【0015】
請求項4の発明では、複数の光源は、所定の調整モード時に照射対象物に対して照明光を照射するように構成されており、さらに、受光手段は、調整モード時の照射対象物からの反射光に基づいて光量調整に用いる調整用データを取得するように構成されている。そして、調整用データにおいて各光源による各照射位置から照度情報を照度情報取得手段により取得し、照度情報取得手段によって取得された各照射位置の照度情報に基づき、情報コード上での照度分布を所定の均一化状態とするように、複数の光源の光量バランスを均一化手段により調整するようにしている。この構成では、情報コード上での照度分布をより均一化するように光量バランスを調整することができるため、情報コード上で照度ムラが生じることに起因して画像が不鮮明状態となることをより確実に防ぐことができ、情報コードの読み取りの精度を一層高めることができる。
【0016】
請求項5の発明では、受光手段は、光学的情報読取装置から情報コードまでの所定距離毎に調整用データを取得し、照度情報取得手段は、所定距離毎に取得される調整用データにおいて、各光源による各照射位置から照度情報を取得するようにしている。また、光量調整手段は、照度情報に基づき、情報コード上での照度分布が所定の均一化状態となるように複数の光源の各々に供給する基準電流値又はそれに相当する計算値を所定距離毎に決定する決定手段と、決定手段により決定された基準電流値又はそれに相当する計算値を記憶する記憶手段とを有している。そして、均一化手段は、距離測定手段により測定された測定距離に対応する基準電流値又はそれに相当する計算値を記憶手段から読み出し、該基準電流値又はそれに相当する計算値に基づいて複数の光源の各々に供給する電流を調整するようにしている。この構成では、各光源に供給する基準電流値又はそれに相当する計算値が所定距離毎に予め記憶されているので、距離を測定した後に複雑な処理を行うことなく、容易に照度分布を改善することができる。
【0017】
請求項6の発明では、均一化手段は、距離測定手段により測定された測定距離に対応する基準電流値又はそれに相当する計算値が記憶手段に記憶されていない場合には、測定距離の前後2つの距離、又は前2つの距離、若しくは後2つの距離に対応する基準電流値又はそれに相当する計算値から補間値を算出し、該補間値に基づいて複数の光源の各々に供給する電流を調整するようにしている。この構成では、測定された測定距離に対応する基準電流値又はそれに相当する計算値がない場合でも、測定距離の前後2つ、又は前2つ、若しくは後2つの基準電流値又はそれに相当する計算値を基に各光源への供給電流を算出することができるので、任意の距離において容易に照度分布を改善することができる。また、測定距離範囲外に対しても対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、調整回路の構成を説明する回路図である。
【図3】図3は、各光源の配置を概略的に例示する説明図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置で行われる設定値算出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図5】図5は、光源の光量バランスを調整する前のある任意の距離における受光センサの波形を例示する図であり、図5(A)は、各LEDを単独で点灯させたときの図であり、図5(B)は、各LEDを全て同時に点灯させたときの図である。
【図6】図6は、光源の光量バランスを調整した後のある任意の距離における受光センサの波形を例示する図であり、図6(A)は、各LEDを単独で点灯させたときの図であり、図6(B)は、各LEDを全て同時に点灯させたときの図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8は、情報コードまでの距離を測定する測定方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、図1は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置の電気的構成を示すブロック図である。図2は、調整回路の構成を説明する回路図である。図3は、各光源の配置を概略的に例示する説明図である。
【0020】
(全体構成)
光学的情報読取装置10は、読取対象物(照射対象物)に表示されたバーコード等の情報コード(以下、単に「バーコードB」ともいう)を光学的に読み取る装置として構成されるものであり、外郭部を構成するケース(図示略)内に各種電子部品が収容された構成をなしている。また、情報コードに対して、複数の光源21から照明光を照射し、情報コードからの反射光を受光して情報コードをデコードし得るように構成されている。ケースの内部には、回路部20が収容されており、回路部20は、主に、光源21、ポインタ光源22、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガスイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0021】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する各光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、各光源21は、図3に示すように、4つの赤色LED1〜4(各光源21がLED1〜4のいずれかにそれぞれ対応する)から構成されている。図1では、紙面の都合上、2つの光源21のみ示している。また、図1では、バーコードBが表示された対象物Sに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。なお、これら光源21は、所定の調整モード時に対象物Sに対して照明光を照射するように構成されている。また、ポインタ光源22は、読取口13からバーコードBまでの距離を測定するための光源として機能するもので、結像レンズ27近傍に設けられている。
【0022】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、CCDエリアセンサとして構成されるものであり、バーコードBまたは対象物Sに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されている。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。なお、受光センサ28は、「受光手段」の一例に相当する。
【0023】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本第1実施形態では、照明光源21から照射された照明光LfがバーコードBにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0024】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガスイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48、調整回路49等から構成されている。
【0025】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。なお、メモリ35は、「記憶手段」の一例に相当し、複数の光源21(LED1〜4)の各々に供給する基準電流値又はそれに相当する計算値を記憶するように構成されている。
【0026】
制御回路40は、光学的情報読取装置1全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有するとともに、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。本実施形態では、制御回路40に対し、トリガスイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48、調整回路49等が接続されている。
【0027】
これにより、制御回路40は、例えば、トリガスイッチ42の監視や管理、バーコードBの読み取りに関する情報を報知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置1の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、液晶表示器46の表示制御や外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。また、制御回路40は、バーコードBからの反射光に応じて、受光センサ28から出力される信号に基づいて、当該情報コードをデコードするように構成されており、「デコード手段」の一例に相当する。
【0028】
調整回路49は、複数の光源21(LED1〜4)の各々に対応して設けられており、制御回路40からの信号(詳細は後述)に基づき、光源21に供給する電流をそれぞれ調整するように構成されている。すなわち、調整回路49は、複数の光源21の各々の光量をそれぞれ個別に調整可能に構成されている。なお、このように各光源21の光量バランスを調整する調整回路49は、「光量調整手段」の一例に相当する。
【0029】
この、調整回路49は、例えば、図2に示すように、DAコンバータ(DAC)60、オペアンプ61、トランジスタ62、抵抗63等から構成されている。オペアンプ61の正相入力側にはDAC60の出力電圧(発光強度信号)が入力され、オペアンプ61の逆相入力側は抵抗63を介してグランドGNDに接続されている。また、オペアンプ61の出力側は、トランジスタ62を介して逆相入力側に帰還される。
【0030】
トランジスタ62は、コレクタ側がLEDに接続されており、エミッタ側が抵抗63を介してグランドGNDに接続されている。そして、トランジスタ62のベースには、オペアンプ61からの出力信号が供給されるようになっている。したがって、トランジスタ62は、電流源として機能し、オペアンプ61からの出力信号に応じた電流値を、LEDに流すようになっている。なお、このLEDに流れる電流Iは、オームの法則(I=V/R)から、次式で求めることができる。
I=Vmax×SDA/(R×DAfull)・・・(1)
ただし、Vmaxは、DAコンバータの最大電圧、SDAは、DAコンバータの設定値、Rは、抵抗63の抵抗値、DAfullは、DAコンバータのフルスケール値である。
【0031】
(設定値算出処理)
次に、上述のように構成される光学的情報読取装置10において実施される各光源21の光量バランス(すなわち、バーコードB上での照度分布)を調整するための設定値を算出する処理を、図2〜図7等を用いて説明する。なお、この処理は、「所定の調整モード」に相当する。
なお、図4は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置における設定値算出処理の流れを例示するフローチャートである。図5は、光源の光量バランスを調整する前のある任意の距離における受光センサの波形を例示する図であり、図5(A)は、各LEDを単独で点灯させたときの図であり、図5(B)は、各LEDを全て同時に点灯させたときの図である。図6は、光源の光量バランスを調整した後のある任意の距離における受光センサの波形を例示する図であり、図6(A)は、各LEDを単独で点灯させたときの図であり、図6(B)は、各LEDを全て同時に点灯させたときの図である。
【0032】
まず、ステップS1にて、図3に示すLED1〜4のそれぞれに最大電流Imax(x)を流し、受光センサ28により、照射対象物からの反射光に基づいて光量調整に用いる調整用データを取得する。具体的に、例えば、ある任意の距離L1(光学的情報読取装置10からバーコードBまでの距離L1)に白紙(照射対象物)を置き、LED1〜4をそれぞれ単独に点灯させたときの光学的情報読取装置10の受光センサ28の波形は、例えば図5(A)(紙面の都合上、LED1〜4の各波形を一緒に示す)に示すようになり、LED1〜4をそれぞれ同時に全部点灯させたときには、図5(B)に示すようになる。すなわち、光源21の光量バランスを調整する前の状態(LED1〜4のそれぞれに最大電流Imax(x)を流した状態)でのある任意の距離における受光センサ28の波形は、均一ではなくバラついている(凹凸になっている)ことがわかる。そして、この図5(A)に示す波形を、調整用データとして取得する。なお、本処理では、受光センサ28の波形を均一化する(図6参照)ために光源を調整するための設定値(DAコンバータの設定値S(x,y))を、各LED1〜4において所定距離毎に算出する。
【0033】
なお、これら各LED1〜4に対するピーク値は、電圧値でも表すことができ、次式のようになる。
pmax(x,y)=Imax(x)×a(x,y)・・・(2)
ただし、xは、LED番号(1〜4)であり、yは、光学的情報読取装置10(読取口13)からバーコードBまでの距離L1である。また、a(x,y)は、LED固有の係数とする。
【0034】
そして、ステップS2にて、予め決められた所定距離毎に(例えば、y1=50mm、y2=100mm、y3=150mm、y4=200mm、y5=250mmなど)、各LED1〜4のVpmax(x,y)を取得する。なお、このVpmax(x,y)は、「照度情報」の一例に相当する。また、調整用データにおいて各光源(LED1〜4)による各照射位置からVpmax(x,y)を取得する受光センサ28、調整回路49及び制御回路40は、「照度情報取得手段」の一例に相当する。
【0035】
次に、ステップS3にて、全てのLED1〜4で個別に点灯したか否かが判定される。そして、LED1〜4が個別に全て点灯されるまでは、ステップS1〜3の処理が繰り返し行われ、全てのLED1〜4が点灯されたと判定されると(S3でYes)、ステップS4にて、全ての距離で個別に点灯されたか否かが判定され、全ての距離で個別に点灯されて(S4でYes)、所定距離毎に各LED1〜4のVpmax(x,y)の取得が完了する。
【0036】
次に、ステップS5にて、各距離での最小ピーク波形電圧Vpmin(y)を算出する。ここでは、ステップS2にて取得された各LED1〜4の各Vpmax(x,y)のうちの最小値Vpmin(y)を各所定距離(y1〜yn)毎に算出する。例えば、距離がy1(y1は例えば50mm)のときに、取得した各LED1〜4のVpmax(1,y1)〜Vpmax(4,y1)のうちから最小の値をVpmin(y)(例えば、Vpmax(3,y1))、として算出する。
【0037】
次に、ステップS6にて、各距離において、各LED1〜4のDAコンバータの設定値S(x,y)を算出する。ここでは、各LED1〜4のピーク波形が、各距離での最小ピーク波形と同じ大きさとなる各DAコンバータの設定値S(x,y)を算出する。具体的に、DAコンバータの設定値S(x,y)の算出方法を以下に説明する。
【0038】
ここで、図2に示した調整回路49において、LED1〜4に流すことができる最大の電流をImax_DA(x)とすると、DAコンバータの設定可能な最大電圧はVmaxであるため、これらの関係は以下の式(3)で表される。
R(x)=Vmax /Imax_DA(x)・・・(3)
なお、Vmax、Imax_DA(x)は、固有の値(既知の値)であるため、R(x)も既知の値になる。
【0039】
そして、上述したように、ある距離でのLED1〜4の明るさの最小の電圧値をVpmin(y)とすると、以下の式(4)で表される。
pmin(y)=Vpmax(x,y)×c(x,y)・・・(4)
なお、c(x,y)は、固有の値(既知の値)になる。
【0040】
また、DAコンバータの設定値SDA(x)とDAコンバータの出力電圧VDA(x)の関係は、以下の式(5)で表される。
DA(x)=Vmax×SDA(x)/(DAfull)・・・(5)
ただし、DAfullは、DAコンバータのフルスケールの値(既知の値)とする。
【0041】
ここで、式(4)となるDAコンバータの設定値S(x、y)は、式(5)を用いると、以下の式(6)で表される。
pmin(y)=Vmax×S(x,y)/(DAfull)=Vpmax(x,y)×c(x,y)・・・(6)
【0042】
したがって、式(6)を変形すると、以下の式(7)が導かれる。
S(x,y)=Vpmax(x,y)×c(x,y)×(DAfull)/Vmax・・・(7)
なお、Vpmax(x,y)は、実際の測定値であり、c(x,y)、(DAfull)、Vmaxは、既知の値であるため、これらを式(7)に代入し、DAコンバータの設定値S(x,y)を算出することができる(端数は四捨五入する)。
【0043】
次に、ステップS7にて、全てのLED1〜4でDAコンバータの設定値S(x,y)が算出されたか否かが判定されるとともに、ステップS8にて、全ての距離(y1〜yn)分算出したか否かが判定される。そして、各LED1〜4で、DAコンバータの設定値S(x,y)が所定距離(y1〜yn)毎に算出されたと判定された場合には(S7及びS8でYes)、この算出された各設定値Sをメモリ35に記憶し、当該処理を終了する。
【0044】
なお、このように、照度情報に基づき、バーコードB上での照度分布が所定の均一化状態となるように複数の光源(LED1〜4)の各々に供給する基準電流値に相当する計算値(DAコンバータの設定値SDA(x))を所定距離毎に決定する受光センサ28、調整回路49及び制御回路40は、「決定手段」の一例に相当する。
【0045】
(読取処理)
次に、上述のように構成される光学的情報読取装置10により行われる読取処理について、図7及び図8を用いて説明する。なお、図7は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。図8は、情報コードまでの距離を測定する測定方法を説明するための説明図である。
【0046】
まず、ステップS11にて、使用者等によりトリガスイッチ42が押されたか否かが判定される。そして、トリガスイッチ42が押されたと判定されると(S11でYes)、LED1〜4が点灯され、ステップS12にて、光学的情報読取装置10の読取口13からバーコードBまでの距離L1が測定される。
【0047】
距離L1の測定は、具体的には、例えば、特開2010−277214公報などに開示された技術や、公知の距離センサなどを好適に用いることができる。特開2010−277214公報の方法を用いる場合、図8に示すように、読取口13から結像レンズ27までの距離をL2、結像レンズ27から受光センサ28の受光面28aまでの距離をL3、光軸の中心からポインタ光源22までの距離をa1、光軸の中心からポインタ光源22が対象物Sを照らす距離をA1、光軸の中心からポインタ光源22による光の受光センサ28での結像距離をb、ポインタ光源22と光軸との角度をθとするとき、A1とbとの間には、以下の式(8)の関係が成立する。
A1/(L1+L2)=b/L3・・・(8)
また、a1とA1との間には、以下の式(9)の関係が成立する。
A1=a1+(L1+L2)×tanθ・・・(9)
これら式(8)(9)をL1について解くと以下の式(10)の関係が成立し、この式(10)に基づいて測定距離L1が測定されることとなる。
L1={(L3×tanθ−b)×L2+a1×L3}/(b−L3×tanθ)・・・(10)
なお、ステップS12を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「距離測定手段」に相当し、測定距離L1は、特許請求の範囲に記載の「測定距離」の一例に相当し得るものである。
【0048】
次に、ステップS13にて、ステップS12にて測定された読取口13からバーコードBまでの測定距離L1に対応するDAコンバータの設定値S(x,L1)(すなわち、測定距離L1において、バーコードB上での照度分布が所定の均一化状態となるように光源(LED1〜4)の光量バランスを調整するための設定値)を決定する。
【0049】
なお、測定距離L1に対応するDAコンバータの設定値S(x,L1)が、メモリ35に記憶されていない場合には、測定距離L1の前後2つの距離、又は前2つの距離、若しくは後2つの距離(例えば、具体的に、測定距離L1が130mmであった場合、前後2つの距離はy2=100mm、y3=150mm、前2つの距離はy1=50mm、y2=100mm、後2つの距離はy3=150mm、y4=200mmとなる)に対応する基準電流値に相当する計算値(DAコンバータの設定値SDA(x))から補間値を算出し、該補間値に基づいてLED1〜4に供給する電流を調整することができる。
【0050】
より具体的に、補間値は、測定距離L1から遠い方の一番近い距離LFと、近い方の一番近い距離LNに相当するDAコンバータの設定値SDA(x)を比例配分して求めることができる(すなわち、距離と明るさの関係は、ほぼ比例関係である場合が多く、また比例でなくても近傍のデータ間ではほぼ比例とみなすことができる。)。そして、求める補間値をSL1(x)とすると、次式(11)のようになる(端数は四捨五入する)。
L1(x)=S(x,LN)+{S(x,LF)−S(x,LN)}/(LF−LN)×(L1−LN)・・・(11)
ただし、
L1:読取口からバーコードラベルまでの実際の測定距離(mm)
LF:(前後2つの設定値SDA(x)を持つ場合)読取口からバーコードまでの距離データのうちL1に近い前後2つの値のうちの遠い方の予め持っているデータの距離(mm)、若しくは、(前、または、後ろの設定値SDA(x)しか持たない場合)読取口からバーコードまでの距離データのうちL1に二番目に近い予め持っているデータの距離(mm)
LN:(前後2つの設定値SDA(x)を持つ場合)読取口からバーコードまでの距離データのうちL1に近い前後2つの値のうちの近い方の予め持っているデータの距離(mm)、若しくは、(前、または、後ろの設定値SDA(x)しか持たない場合)読取口からバーコードまでの距離データのうちL1に一番近い予め持っているデータの距離(mm)
L1(x):距離L1の時のDAコンバータの設定値
S(x,LF):距離LFの時のDAコンバータの設定値
S(x,LN):距離LNの時のDAコンバータの設定値
である。また、xは、LED番号(1〜4)である。
【0051】
そして、ステップS14にて、DAコンバータに、設定値S(x,L1)を設定する。また、このステップS14では、この設定値S(x,L1)に基づき、バーコードB上での照度分布を所定の均一化状態(図6参照)とするように、LED1〜4の光量バランスを調整する(設定値S(x,L1)に基づいた電流を各LED1〜4に供給する)。なお、LED1〜4の光量バランスを調整する調整回路49及び制御回路40は、「光量調整手段」及び「均一化手段」の一例に相当する。
【0052】
そして、このように、バーコードB上での照度分布が所定の均一化状態となるように、LED1〜4の光量バランスが調整された状態で、ステップS15にて、バーコードBの読取動作が開始され、バーコードBからの反射光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいてデコードが行われ、読み取りが完了したと判定されると(S16でYes)、当該読取処理を終了する。なお、デコードが失敗した場合など読み取りが完了できていないと判定された場合には(S16でNo)、ステップS12からの処理が再び行われることとなる。
【0053】
以上説明したように、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、複数の光源21(LED1〜4)によりバーコードBに対して照明光を照射し、このバーコードBからの反射光を受光センサ28により受光し、バーコードBからの反射光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて当該バーコードBをデコード手段(制御回路40)によりデコードするようにしている。そして、当該光学的情報読取装置10(読取口13)からバーコードBまでの距離を距離測定手段(制御回路40)により測定し、この測定された測定距離L1に基づいて複数の光源21の光量バランスを光量調整手段(調整回路49及び制御回路40)により調整するようにしている。
【0054】
この構成によれば、複数の光源21を用いてバーコードBに対して十分な光量の照明光を広範囲に照射することができ、更に、複数の光源21の光量バランスを調整することができるため、各光源21に製造上のバラツキ(輝度など)等が存在していても、照度分布を改善することが出来る。特に、光学的情報読取装置10からバーコードBまでの距離(照射距離)を測定し、その測定距離L1に基づき光量のバランスを調整しているため、複数の光源21の光量を撮像時の実際の距離に適したバランスに設定することができ、照射距離が変動し得る環境(例えば、携帯型の読取装置10を手で持って、バーコードBを読み取る場合など)において、より適切な照度分布とすることができる。
【0055】
また、バーコードBの読み取りに際し、距離測定手段は、デコード手段によるデコードに先立って当該光学的情報読取装置10からバーコードBまでの距離を測定し、光量調整手段は、その測定距離L1に基づいて複数の光源21の光量バランスを調整するようになっている。そして、デコード手段は、複数の光源21の光量バランスが調整された状態でのバーコードBからの反射光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいてデコードを行うようにしている。
【0056】
この構成では、デコード手段によるデコードに先立ち、複数の光源21の光量バランスを測定距離L1に応じたバランスに調整し、このように照度分布を改善した状態でバーコードBを撮像し、デコードを行うことができる。従って、バーコードBの画像において輝度の偏り等を抑えて画像全体をより鮮明化することができ、このように鮮明化されたバーコードBの画像に基づいてより確実にデコードを行うことができる。
【0057】
また、光量調整手段は、複数の光源21の各々の光量をそれぞれ個別に調整可能に構成されている。この構成では、それぞれの光源21の光量を個別に制御できるので、複数の光源21の光量バランスを調整する上で自由度が大きくなる。従って、より細かな調整が可能となり、照度分布をより適切に改善することができる。
【0058】
また、複数の光源21は、所定の調整モード時に照射対象物に対して照明光を照射するように構成されており、さらに、受光センサ28は、調整モード時の照射対象物からの反射光に基づいて光量調整に用いる調整用データ(受光センサ28の波形)を取得するように構成されている。そして、調整用データにおいて各光源21による各照射位置から照度情報を照度情報取得手段(受光センサ28、制御回路40、調整回路49)により取得し、照度情報取得手段によって取得された各照射位置の照度情報に基づき、バーコードB上での照度分布を所定の均一化状態とするように、複数の光源21の光量バランスを均一化手段により調整するようにしている。この構成では、バーコードB上での照度分布をより均一化するように光量バランスを調整することができるため、バーコードB上で照度ムラが生じることに起因して画像が不鮮明状態となることをより確実に防ぐことができ、バーコードBの読み取りの精度を一層高めることができる。
【0059】
また、受光センサ28は、光学的情報読取装置10からバーコードBまでの所定距離毎に調整用データを取得し、照度情報取得手段は、所定距離毎に取得される調整用データにおいて、各光源21による各照射位置から照度情報(Vpmax(x,y))を取得するようにしている。また、光量調整手段は、照度情報に基づき、バーコードB上での照度分布が所定の均一化状態となるように複数の光源21の各々に供給する基準電流値に相当する計算値(DAコンバータの設定値SDA(x))を所定距離毎に決定する決定手段(受光センサ28、制御回路40、調整回路49)と、決定手段により決定された計算値を記憶するメモリ35とを有している。そして、均一化手段(調整回路49)は、この計算値をメモリ35から読み出し、該計算値に基づいて複数の光源21の各々に供給する電流を調整するようにしている。この構成では、各光源21に供給する基準電流値に相当する計算値が所定距離毎に予め記憶されているので、距離を測定した後に複雑な処理を行うことなく、容易に照度分布を改善にすることができる。
【0060】
また、均一化手段は、距離測定手段により測定された測定距離L1に対応する基準電流値に相当する計算値がメモリ35に記憶されていない場合には、測定距離L1の前後2つの距離、又は前2つの距離、若しくは後2つの距離に対応する基準電流値に相当する計算値から補間値を算出し、該補間値に基づいて複数の光源21の各々に供給する電流を調整するようにしている。この構成では、測定された測定距離L1に対応する基準電流値に相当する計算値がない場合でも、測定距離L1の前後2つ、又は前2つ、若しくは後2つの基準電流値に相当する計算値を基に各光源21への供給電流を算出することができるので、任意の距離において容易に照度分布を改善することができる。また、測定距離範囲外に対しても対応することができる。
【0061】
次に、本発明の第1実施形態における第1変形例に係る当該光学的情報読取装置10について説明する。上記第1実施形態では、測定された測定距離L1に対応する基準電流値に相当する計算値(DAコンバータの設定値SDA(x))に基づいてLED1〜4に供給する電流を調整するようにしたが、本第1変形例では、基準電流値に基づいてLED1〜4に供給する電流を調整する点が異なる点以外は、上記第1実施形態と同様である。以下、これ以外の上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。なお、上記第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
本第1変形例では、図7のステップS13において、読取口13からバーコードBまでの測定距離L1に対応する基準電流値IL1(x)を算出する。なお、基準電流値IL1(x)は、DAコンバータの設定値SDA(x)と対応するため、例えば、この設定値SDA(x)から算出することができる。また、測定距離L1に対応する基準電流値IL1(x)がメモリ35に記憶されていない場合には、測定距離L1の前後2つの距離、又は前2つの距離、若しくは後2つの距離に対応する基準電流値IL1(x)から補間値を算出し、該補間値に基づいてLED1〜4に供給する電流を調整することができる。
【0063】
より具体的に、補間値は、測定距離L1から遠い方の一番近い距離LFと、近い方の一番近い距離LNに相当する基準電流値IL1(x)を比例配分して求めることができる。そして、求める補間値をIL1(x)とすると、次式(12)のようになる(端数は四捨五入する)。
L1(x)=IL1(x,LN)+{I(x,LF)−I(x,LN)}/(LF−LN)×(L1−LN)・・・(12)
ただし、
L1:読取口からバーコードラベルまでの実際の測定距離(mm)
LF:(前後2つの基準電流値IL1(x)を持つ場合)読取口からバーコードまでの距離データのうちL1に近い前後2つの値のうちの遠い方の予め持っているデータの距離(mm)、若しくは、(前、または、後ろの基準電流値IL1(x)しか持たない場合)読取口からバーコードまでの距離データのうちL1に二番目に近い予め持っているデータの距離(mm)
LN:(前後2つの基準電流値IL1(x)を持つ場合)読取口からバーコードまでの距離データのうちL1に近い前後2つの値のうちの近い方の予め持っているデータの距離(mm)、若しくは、(前、または、後ろの基準電流値IL1(x)しか持たない場合)読取口からバーコードまでの距離データのうちL1に一番近い予め持っているデータの距離(mm)
L1(x):距離L1の時の基準電流値
I(x,LF):距離LFの時の基準電流値
I(x,LN):距離LNの時の基準電流値
である。また、xは、LED番号(1〜4)である。
【0064】
そして、ステップS14にて、DAコンバータに、基準電流値IL1(x,L1)を設定する。また、このステップS14では、この基準電流値IL1(x,L1)に基づき、バーコードB上での照度分布を所定の均一化状態(図6参照)とするように、LED1〜4の光量バランスを調整する。
【0065】
このように、バーコードB上での照度分布が所定の均一化状態となるように複数の光源21の各々に供給する基準電流値を所定距離毎に予め決定し、この基準電流値に基づいて複数の光源21の各々に供給する電流を調整するようにすることで、距離を測定した後に複雑な処理を行うことなく、容易に照度分布を改善にすることができる。
【0066】
また、測定距離L1に対応する基準電流値がメモリ35に記憶されていない場合には、測定距離L1の前後2つの距離、又は前2つの距離、若しくは後2つの距離に対応する基準電流値から補間値を算出し、該補間値に基づいて複数の光源21の各々に供給する電流を調整するようにしている。この構成では、測定された測定距離L1に対応する基準電流値がない場合でも、測定距離L1の前後2つ、又は前2つ、若しくは後2つの基準電流値を基に各光源21への供給電流を算出することができるので、任意の距離において容易に照度分布を改善することができる。また、測定距離範囲外に対しても対応することができる。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
上記実施形態では、光源としてLEDが全部で4つ設けられている例を示したが、LEDの数は複数であればこれに限定されない。
【0068】
上記実施形態では、光学的情報読取装置10の読取口13からバーコードBまでの距離L1を、ポインタ光源22を用いて測定するようにしたが、ポインタ光源22を設けない構成とすることもできる。この場合、複数の光源(LED1〜4)のうちのいずれかを代用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10…光学的情報読取装置
13…読取口
21…光源(LED1〜4)
22…ポインタ光源
28…受光センサ(受光手段、照度情報取得手段、決定手段)
35…メモリ(記憶手段)
40…制御回路(デコード手段、照度情報取得手段、決定手段、距離測定手段、光量調整手段、均一化手段)
49…調整回路(照度情報取得手段、決定手段、光量調整手段、均一化手段)
60…DAC
61…オペアンプ
62…トランジスタ
63…抵抗
B…バーコード(情報コード)
L1…測定距離
S…対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードに対して照明光を照射する複数の光源と、
前記情報コードからの反射光を受光する受光手段と、
前記情報コードからの反射光に応じて前記受光手段から出力される信号に基づいて当該情報コードをデコードするデコード手段と、
を備えた光学的情報読取装置であって、
当該光学的情報読取装置から前記情報コードまでの距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段により測定された測定距離に基づいて前記複数の光源の光量バランスを調整する光量調整手段と、
を有することを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記情報コードの読み取りに際し、前記距離測定手段は、前記デコード手段によるデコードに先立って当該光学的情報読取装置から前記情報コードまでの距離を測定し、
前記光量調整手段は、その測定距離に基づいて前記複数の光源の光量バランスを調整し、
前記デコード手段は、前記複数の光源の光量バランスが調整された状態での情報コードからの反射光に応じて前記受光手段から出力される信号に基づいてデコードを行うことを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記光量調整手段は、前記複数の光源の各々の光量をそれぞれ個別に調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記複数の光源は、所定の調整モード時に照射対象物に対して前記照明光を照射するように構成され、
前記受光手段は、前記調整モード時の前記照射対象物からの反射光に基づいて光量調整に用いる調整用データを取得するように構成されており、
前記調整用データにおいて各光源による各照射位置から照度情報を取得する照度情報取得手段と、
前記照度情報取得手段によって取得された各照射位置の照度情報に基づき、前記情報コード上での照度分布を所定の均一化状態とするように、前記複数の光源の光量バランスを調整する均一化手段と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記受光手段は、前記光学的情報読取装置から前記情報コードまでの所定距離毎に前記調整用データを取得し、
前記照度情報取得手段は、前記所定距離毎に取得される前記調整用データにおいて、各光源による各照射位置から照度情報を取得し、
前記光量調整手段は、
前記照度情報に基づき、前記情報コード上での照度分布が所定の均一化状態となるように前記複数の光源の各々に供給する基準電流値又はそれに相当する計算値を前記所定距離毎に決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記基準電流値又はそれに相当する計算値を記憶する記憶手段と、を有し、
前記均一化手段は、前記距離測定手段により測定された測定距離に対応する前記基準電流値又はそれに相当する計算値を前記記憶手段から読み出し、該基準電流値又はそれに相当する計算値に基づいて前記複数の光源の各々に供給する電流を調整することを特徴とする請求項4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記均一化手段は、前記距離測定手段により測定された測定距離に対応する基準電流値又はそれに相当する計算値が前記記憶手段に記憶されていない場合には、前記測定距離の前後2つの距離、又は前2つの距離、若しくは後2つの距離に対応する基準電流値又はそれに相当する計算値から補間値を算出し、該補間値に基づいて前記複数の光源の各々に供給する電流を調整することを特徴とする請求項5に記載の光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−97511(P2013−97511A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238683(P2011−238683)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】