光学的検査のための照明システム
光学放射を発生するための装置は、複数の横モードで同時に動作するように構成されて、第1のスペックルコントラストで特徴付けられる入力ビームを発生するためのレーザを備えている。入力ビームの横モードを光学的に混合して、第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、同日に出願された「Dark Field Inspection System」及び「Inspection System with Oblique ViewingAngle」と題する他の2つの米国特許出願に関連している。これら関連出願は、両方とも、参考としてここに援用する。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、光学的検査に係り、より詳細には、半導体ウェハのような固体表面を検査し、その上の特徴部及び欠陥部を検出するための方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0003】
[0003]光学的検査は、半導体デバイス製造において、ウェハ表面上の欠陥、例えば、汚染粒子、スクラッチ及び材料層の非除去部分を検出するために通常使用されている。欠陥は、デバイスの故障を引き起こすことがあり、従って、プロセスの収率を実質的に低下させる。それ故、製造プロセスの種々の段階で非パターン化ウェア及びパターン化ウェハの清潔さ及び品質の両方を検証するために入念な検査が要求される。
【0004】
[0004]半導体ウェハを検査するための通常の方法は、ウェハ表面上をレーザビームで走査し、ビームが入射した各ポイントから散乱される光を測定することである。暗フィールド散乱検出をベースとする1つのこのような方法が、参考としてここにその開示を援用する米国特許第6,366,690号においてスミランスキー氏等により提案されている。スミランスキー氏等は、レーザと、該レーザの周りに配列された光ファイバー型集光器により信号供給される多数の光センサとを備えた光学検出ヘッドをベースとするウェハ検査システムを説明している。この光学ヘッドは、ウェハ表面上に配置され、ウェハを回転及び並進移動して、レーザビームで表面を走査する。センサは、光ファイバーの位置で決定されるように、表面から異なる角度方向に同時に散乱される放射を検出する。従って、全ウェハ表面が、螺旋経路に沿って一度に1ピクセルで走査される。
【0005】
[0005]別の暗フィールドウェハ検査システムが、参考としてここにその開示を援用する米国特許第6,271,916号においてマークサー氏等により説明されている。このシステムでは、レーザビームがウェハ表面に直角方向に向けられ、螺旋経路に沿って表面を走査する。直角とは異なる角度で表面から散乱されるレーザ放射を収集するために楕円ミラーが使用される。好ましくは、第1の角度範囲内で散乱された光が1つの検出器により収集され、一方、第2の角度範囲内で散乱された光が別の検出器により散乱される。異なる検出信号を使用して、大きな欠陥を小さな欠陥から区別する。
【0006】
[0006]この解決策をベースとする更に別の欠陥検出システムが、参考としてここに援用する米国特許第6,538,730においてベイツ−イラバニ氏等により説明されている。この場合には、広角度及び狭角度の異なる収集チャンネルが使用される。狭角度及び広角度の収集チャンネルから得られた信号を比較して、極微スクラッチと粒子との間を区別することができる。又、この目的で、前方散乱放射を収集して使用してもよい。更に、S及びP−偏光放射をもつ順次照明を使用して散乱の強度を測定してもよい。
【0007】
[0007]チャン氏等は、参考としてここにその開示を援用する米国特許第6,392,793号において開口数(NA)の高い像形成システムを説明している。このシステムは、ミラー及びレンズの反射屈折グループをベースとするもので、これを使用して、ある角度範囲にわたり反射、回折及び散乱された光を収集することができる。このシステムは、暗フィールド像形成を含む幾つかの用途を有する。
【0008】
[0008]キニー氏等は、参考としてここにその開示を援用する米国特許第5,909,276号において粒子及び欠陥を検出するための光学検査モジュール及び方法を説明している。このモジュールは、すれすれの入射角で被検査表面を照明する光源を備えている。表面上の欠陥により光ビーム路から散乱される非鏡面反射光を収集するようにレンズが向けられる。レンズの焦点面に設けられた光検出器アレイが散乱光を受ける。このアレイの各ピクセルは、表面上のあるエリアに対応し、複数のピクセルで、実質的に全表面をカバーする視野が形成される。
【0009】
[0009]スペックルは、コヒレントな照明を使用する像形成システムにおいて、ビーム振幅の強力な自己相関により生じる良く知られた効果である。通常連続波(CW)レーザ照明をベースとする既知のコヒレント照明システムでは、レーザビームを回転する拡散器に通して、自己相関を減少させ、ひいては、スペックルコントラストをそれに応じて減少させる。或いは又、例えば、参考としてここにその開示を援用する米国特許第6,249,381号においてスガムラ氏により説明されたように、異なる長さの光ファイバーの束にレーザビームを通してもよい。又、参考としてここにその開示を援用する、本特許出願の譲受人に譲渡された米国特許出願公告US2002/0067478A1号においてカーポル氏等により説明されたように、光路に沿って順次配置された2つの光ファイバー束を使用することによりスペックル除去の改善を達成することができる。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明の実施形態は、半導体ウェハのようなサンプルの表面を照明するための改良された方法及び装置であって、このような表面を高い解像度及び高いデータ収集率で検査することのできる方法及び装置を提供する。これら実施形態において、検査システムは、通常パルスレーザビームをベースとする強力な光放射のソースであって、被検査表面のエリアを照射するソースを備えている。1つ以上の検出器アレイが、表面から散乱された放射を受け取って、各像を形成するように構成される。
【0011】
[0011]本発明のある実施形態では、パルスレーザビームを表面に入射させる前に、通常ビームのコヒレンスのために生じるスペックルを減少するようにビームが処理される。これら実施形態に使用されるスペックル減少サブシステムは、10ns程度に短いレーザパルスの厳密な時間制約内で、非常に低いレベルのスペックルコントラスト(サンプル表面上の照明エリアにわたり1%程度に低い強度変動)を達成するように新規なやり方で適応される。
【0012】
[0012]これら実施形態の幾つかでは、異なる長さの光ファイバーの束にレーザビームを通すことによりスペックルコントラストが減少される。これら実施形態の1つでは、ファイバー束は、長さの変化するマルチモードファイバーを含む。別の実施形態では、2つのファイバー束を、端−端接続状態で使用することができる。このように2つのファイバー束を使用すると、希望のスペックル減少を達成するために各束に含ませねばならないファイバーの本数が、単一ファイバー束の場合に比して実質的に減少される。
【0013】
[0013]別の実施形態では、スペックル減少システムは、通常高速の音響−光学トランスジューサをベースとする高速スキャナであって、希望のスペックル減少を達成するに充分な速度でターゲット平面(サンプル表面のような)にわたり入射角のパルスレーザビームを走査する高速スキャナを備えている。
【0014】
[0014]本発明のある実施形態では、レーザソースは、少なくとも2つの異なる波長の放射を放出するように構成され、従って、表面の散乱特性を両方の波長において同時に評価することができる。レーザビームは、光学スイッチにより表面に向けられ、この光学スイッチは、異なる波長を、表面の同じエリアに対して同じ角度で又は異なる角度で合成し又は別々に向けるように構成可能である。この光学スイッチは、ビームが直角の入射角及び斜めの入射角の両方で表面に収束されるのを許容する。照明サブシステムは、直角及び斜めの両ビームがサンプル表面上の実質的に同じエリアを照射するように両ビームを整形する。
【0015】
[0015]それ故、本発明の実施形態によれば、光学放射を発生するための装置であって、次のものを備えた装置が提供される。
【0016】
[0016]複数の横モードで同時に動作するように構成されて、第1のスペックルコントラストで特徴付けられる入力ビームを発生するレーザ;及び
[0017]入力ビームの横モードを混合して、第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生するための光学系。
【0017】
[0018]ここに開示する実施形態では、光学系は拡散器を含み、又、光学系は、異なる各々の長さを有するマルチモード光ファイバーの少なくとも1つの束を含む。通常、レーザは、ビーム発散比M2によって特徴付けられ、又、第2のスペックルコントラストは、M2に第1のスペックルコントラストを乗じたものより小さい。レーザの横モードを拡散器でスクランブルした後に、レーザビームのスペックルコントラストがM2だけ減少される。ファイバー束に続いて、スペックルコントラストは、レーザの縦モードの数とファイバーの数との小さい方の平方根だけ更に減少される。
【0018】
[0019]更に、本発明の実施形態によれば、レーザ放射ビームのスペックルを減少する装置であって、次のものを備えた装置が提供される。
【0019】
[0020]ターゲット平面に対してある入射角のビームを走査するように結合された光学スキャナ;及び
[0021]スキャナから出て来るビームを、そのビームがある範囲の異なる角度にわたってターゲット平面の単一エリアを照射するように向けて、放射を相関除去するように結合された出力光学系。
【0020】
[0022]通常、レーザ放射は、巾が1μsより短いパルスを含み、又、光学スキャナは、エリアに形成されるスペックルのコントラストを10%未満に減少するに充分な速度でビームを走査するように適応される。好ましくは、光学スキャナは、エリアに形成されるスペックルのコントラストを約1%以下に減少するに充分な速度でビームを走査するように適応される。
【0021】
[0023]ある実施形態では、光学スキャナは、ビームの一部分を回折により偏向すると共に、上記入射角のビームのその偏向された部分を上記範囲の異なる角度にわたって走査するように適応された光学−電子スキャナを備えている。これら実施形態の1つにおいて、この光学−電子スキャナは、音響−光学トランスジューサと、周波数チャープパルスをこのトランスジューサに印加して、上記ビームの偏向された部分を走査させるように結合されたドライブ回路とを備えている。
【0022】
[0024]更に、本発明の実施形態によれば、サンプルを光学的に検査する装置であって、次のものを備えた装置が提供される。
【0023】
[0025]サンプル上のエリアの像を捕獲するように構成された検出器アッセンブリ;
[0026]第1及び第2の異なる各波長を有する第1及び第2の放射ビームを発生するように適応されたレーザソース;及び
[0027]第1及び第2の放射ビームを、サンプル上のエリアを照射するように向けるよう結合された照明モジュールであって、各ビームがエリアを直角に又は斜めに照射するように第1及び第2の両ビームを同時に且つ独立して向けさせるよう動作する光学スイッチを含む照明モジュール。
【0024】
[0028]一実施形態において、光学スイッチは、第1ビームを表面に直角に入射するように向ける一方、第2ビームを表面に斜めに入射するように向けるよう構成できる。通常、照明モジュールは、表面に斜めに入射する放射を、第1及び第2の両ビームが実質的に同様の幾何学的プロフィールで表面のエリアを照射するように向けるよう結合されたリレー光学系を備えている。
【0025】
[0029]それに加えて又はそれとは別に、照明モジュールは、レーザソース又は照明モジュールの他の要素を移動せずに、レーザソースにより照射されるエリアのサイズを変更するように選択可能な倍率をもつテレセントリック拡大光学系を備えている。
【0026】
[0030]更に、本発明の実施形態によれば、光学放射を発生するための方法であって、次のステップを備えた方法が提供される。
【0027】
[0031]レーザを複数の横モードで同時に動作して、第1のスペックルコントラストにより特徴付けられる入力ビームを発生するステップ;及び
[0032]入力ビームの横モードを混合して、第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生するステップ。
【0028】
[0033]更に、本発明の実施形態によれば、レーザ放射のビームのスペックルを減少するための方法であって、次のステップを備えた方法が提供される。
【0029】
[0034]実質的に固定の拡散器に対してある入射角のビームを光学的に走査して、ビームがある範囲の異なる角度にわたって拡散器を通るようにするステップ;及び
[0035]上記範囲の異なる角度にわたり拡散器から出て来るビームを、ターゲットの単一エリアを照射するように向けるステップ。
【0030】
[0036]更に、本発明の実施形態によれば、サンプルを光学的に検査するための方法であって、次のステップを備えた方法が提供される。
【0031】
[0037]第1及び第2の異なる各波長を有する第1及び第2のレーザ放射ビームを発生するステップ;
[0038]第1及び第2の放射ビームを、光学スイッチを経てサンプル上のエリアを照射するように向けるステップであって、光学スイッチは、各ビームがエリアを直角に又は斜めに照射するように第1及び第2の両ビームを同時に且つ独立して向けさせるよう動作するステップ;及び
[0039]エリアから散乱された放射を捕獲して、エリアの像を形成するステップ。
【0032】
[0040]本発明は、添付図面を参照した実施形態の以下の詳細な説明から充分に理解されよう。
【実施形態の詳細な説明】
【0033】
[0053]図1は、本発明の一実施形態により半導体ウェハ22を光学的に検査するためのシステム20を概略的に示すブロック図である。通常、ウェハ22は、この技術で知られた半導体デバイスの製造方法を使用してパターン化され、又、システム20は、暗フィールド光学的技術を適用して、ウェハの表面上の欠陥を検出する。しかしながら、それとは別に、システム20で実施される原理は、非パターン化ウェハや、他の形式のサンプル及び表面、例えば、マスク及びレチクルの検査にも適用できる。更に、システム20は、暗フィールド検査に専用のものであるが、本発明の態様は、明フィールド検査や、他の分野の照明、検査及び像形成にも適用することができる。
【0034】
[0054]システム20は、パルスレーザ放射を使用してサンプル22の表面を照明する照明モジュール24を備えている。通常、このモジュール24は、2つ以上の異なる波長のレーザ放射を、同時に又は一度に1つづつ、選択的に放出することができる。いずれのレーザ波長のレーザ放射も、以下に述べるように、モジュール24により、ウェハ表面に直角に又は斜めに、ウェハ22に当たるように向けることができる。照明モジュールは、可視光線、紫外線(UV)及び/又は赤外線(IR)範囲の波長において光学放射を放出するように構成することができる。それ故、ここで使用する「照明」及び「光学放射」という語は、可視、UV及びIR範囲のいずれか又は全部を指すものとして理解されたい。
【0035】
[0055]ウェハ22から散乱された放射は、広い角度範囲にわたり光学収集モジュール26により収集される。このモジュール26は、ウェハ22の表面を複数のカメラ30に像形成する収集光学系28を備えている。この光学系28は、開口数(NA)の高い単一の対物レンズで構成されてもよいし、或いは各カメラに1つずつの個々の対物レンズの集合で構成されてもよい。これら別々の光学構成及びカメラ30の両方を以下に詳細に述べる。光学系28及びカメラ30は、全てのカメラが、ウェハ表面の同じエリア、即ち照明モジュール24で照明されたエリアを像形成する一方、各カメラが異なる角度範囲へと散乱された放射を捕獲するように配列される。各カメラ30は、この技術で良く知られたように、CCD又はCMOSアレイのような検出素子の二次元アレイを備えている。各アレイの各検出素子は、照明モジュール24により照射されるエリア内の対応スポットに像形成される。従って、角度の関数としてのウェハ22上の所与のスポットの散乱特性は、異なるカメラ30の対応検出素子により発生される信号に基づいて決定することができる。
【0036】
[0056]カメラ30は、通常、システムコントローラ32により照明モジュールからのレーザパルスと同期され、各カメラにより発生される各像出力フレームが単一レーザパルスから散乱された放射に対応するようにされる。各カメラからの出力は、像プロセッサ34により受信され、デジタル化され、分析される。像プロセッサは、以下に詳細に述べるように、通常、専用ハードウェア信号処理回路及び/又はプログラム可能なデジタル信号プロセッサ(DSP)を備えている。X−Y−Zステージ36のような機械的スキャナは、ウェハ22を通常ラスタパターンで並進移動し、照明モジュール24からの各レーザパルスが、手前のパルスで照射されたエリアに隣接する(且つ通常はそれと若干重畳する)ウェハ表面の異なるエリアを照射するようにする。それとは別に又はそれに加えて、照明及び収集モジュールがウェハに対して走査されてもよい。
【0037】
[0057]像プロセッサ34は、各カメラ30により出力された各像フレームを処理して、ウェハ表面上の欠陥を表わし得る像特徴部を抽出する。これら像特徴部は、ホストコンピュータ38、通常、適当なソフトウェアを伴う汎用コンピュータワークステーションへ通され、該コンピュータは、特徴部を分析して、被検査ウェハに対する欠陥リスト(又は欠陥マップ)を発生する。
【0038】
[0058]モジュール24により照射されてカメラ30により像形成されるエリアは、全ウェハ表面にわたり或いは表面の選択されたエリアにわたりステージ36を使用して走査することができる。モジュール24により放出されるパルスが充分に短いもので、例えば、実質的に1μs未満である場合には、ステージ36は、カメラにより捕獲された像に著しいボケを生じることなく、ウェハ22をこのように連続的に並進移動することができる。照射されるエリアは、通常、2x1mm程度の大きさを有するが、以下に述べるように、このエリアは、照明モジュールに拡大光学系を使用することにより増加又は減少することもできる。各カメラ30が約2000x1000検出素子のアレイを含むと仮定すれば、ウェハ表面に投影される各ピクセルのサイズは、おおよそ1x1μmとなる。モジュール24が400パルス/秒の繰り返し率で動作する状態では、像プロセッサ34への各カメラ30のデータ出力率は、800Mピクセル/秒となる。この率では、例えば、全12インチの半導体ウェハを、2分以内に1μm解像度で走査することができる。しかしながら、像の解像度、サイズ及び速度のこれら典型的な指数は、単に一例として取り上げたもので、システム速度及び解像度要求に基づいて更に大きな又は小さな指数を使用してもよいことが理解されよう。
【0039】
[0059]又、コントローラ32は、ステージ36のZ位置(高さ)を調整して、ウェハ表面上にカメラ30の適切な焦点を維持する。それとは別に又はそれに加えて、コントローラは、この目的でカメラの光学系を調整してもよい。更に、それとは別に又はそれに加えて、コントローラは、異なるカメラ30により捕獲される像のスケール及び整列のずれを補正して高さ変動を補償するように、像プロセッサ34及びホストコンピュータ38に命令することもできる。
【0040】
[0060]焦点を確認して調整するために、コントローラ32は、自動焦点照明装置40及び自動焦点センサモジュール42を使用する。照明装置40は、通常、CWダイオードレーザのようなレーザ(図示せず)を備え、これは、照明モジュール24により照明されたウェハ22の表面のエリア又はその隣接部に、コリメートされたビームを斜めの角度で放出し、ウェハ表面にスポットを形成する。従って、収集モジュール26に対してウェハ22のZ位置が変化すると、スポットの横方向変位が生じる。センサモジュール42は、通常、ウェハ表面上のスポットの像を捕獲する検出器アレイ(図示せず)を備えている。スポットの像を分析して、スポットの横方向位置を検出し、これは、収集モジュールに対するウェハ表面のZ位置の測定値をコントローラ32に与える。コントローラは、スポットが、適切な焦点を表わす予め校正された基準位置となるまで、ステージ36を駆動することができる。
【0041】
[0061]照明装置40により放出されたビームは、ウェハ表面への途中で収集光学系28を通過することができ、又、センサモジュール42も同様に、収集光学系を経て表面上のスポットの像を捕獲することができる。この場合に、照明装置40は、照明モジュール24とは異なる波長範囲で動作するのが好ましい。従って、適当なフィルタを使用して、自動焦点ビームがカメラ30へ散乱するのを阻止すると共に、モジュール24からのパルスビームが自動焦点測定と干渉するのを防止することができる。
【0042】
[0062]或いは又、この技術で良く知られた自動焦点検出の他の手段を使用することもできる。例えば、容量性センサを使用して、光学系とウェハ表面との間の垂直距離を決定し調整することもできる。
【0043】
[0063]図2は、本発明の一実施形態による照明モジュール24を絵画的に示す図である。レーザヘッド50は、単一波長の光を放出するか又は2つの波長の光を同時に放出するように構成できるパルスレーザを含む。例えば、レーザヘッドは、ポジティブ・ライト・インク(カリフォルニア州ロスゲータス)により製造されたエボリューション15レーザのようなNd:YLFレーザを、このレーザヘッドが基本レーザ周波数の第2高調波(527nm)の光を放出するようにさせる内部周波数コンバータと共に含むことができる。又、第4高調波出力(263nm)を与えるように外部周波数コンバータが追加されてもよい。或いは又、モジュール24は、3つ以上の波長を同時に放出するか、更に、それとは別に又はそれに加えて、波長同調可能な出力を与えるように構成されてもよい。通常、レーザヘッド50は、上述したように1μs未満(及びおそらくは10ns程度に短い)のパルス巾をもつ短い強力なパルスを放射するようにQスイッチされる。レーザ空洞は、以下に述べるように、ウェハ表面におけるコヒレンス関連スペックルを減少するのを助けるために、レーザが複数の横モードで動作するように構成されるのが好ましい。
【0044】
[0064]高調波分離モジュール52は、レーザヘッド50の出力を異なる波長の2つの別々のビームに分離する。一実施形態では、モジュール52は、この技術で良く知られた二色性ビームスプリッターのみで構成される。分離されたビームは、以下に詳細に述べるスペックル減少モジュール54により処理されて、コヒレンス関連スペックルを除去する。選択可能なテレスコープ56を使用してレーザビームを伸張し、ウェハ22の表面上に希望の照射エリアが与えられる。テレスコープを回転可能なホイールに取り付けて、図示されたように、希望のテレスコープの便利な選択を許容することができる。図2に示す実施形態は、レーザヘッド50により出力される異なる波長の各々に対して個別のスペックル減少モジュール及びテレスコープを含むが、他の実施形態では、高調波分離モジュールを光学経路において更に下流に配置して、両波長が単一のスペックル減少モジュール及び/又は共通セットのテレスコープを共有するようにしてもよい。
【0045】
[0065]テレスコープ56により出力された伸張されたビームは、コリメートレンズ58により可変光学密度フィルタ60へ搬送される。回転可能なフィルタホイールに便利に取り付けることのできるこれらのフィルタは、ウェハ22における2つのレーザビームの強度を、用途の要求に応じて調整するのを許容する。偏光器62も同様に回転して、ビームの偏光角度を決定することができる。ピックオフビームスプリッター64は、各レーザビームの光の僅かな既知の部分を各エネルギーメーター66に向けて偏向する。このエネルギーメーターは、各レーザビームの強度の測定値を与え、これは、パルス対パルスエネルギー偏差を補正すると共に、おそらくレーザヘッド50へフィードバック制御を与えるために像プロセッサ34により使用される。又、エネルギーメーター66は、以下に述べるように、カメラ30へ同期入力を与えるのにも使用できる。
【0046】
[0066]リレーミラー68を含む光学スイッチモジュール70は、各波長が直角又は斜めの入射角でウェハ22に入射するように、各レーザ波長のビーム経路を選択するのを許容する。従って、以下に詳細に述べるスイッチモジュール70は、直角出力光学系72及び斜め出力光学系74の両方に信号供給する。斜めの光学系74は、通常、表面から約5°乃至50°の角度でウェハ表面を照明するように構成されるが、それより大きな及び小さな照明角度も考えられる。光学系72及び74は、通常、約0.01乃至0.2の範囲の開口数(NA)を有する。又、スイッチモジュールは、レーザ波長の1つを阻止して、単一の波長しかウェハに入射しない(直角又は斜めのいずれかで)ようにセットされてもよい。両方の波長を同時に使用するときには、通常適当なレンズで構成される色補償素子76を一方のビーム(この実施形態では、斜めのビーム)の経路に導入して、斜め及び直角ビームの両方がウェハ表面上の同じエリアを実質的に同じ幾何学的プロフィールで照明するようにしてもよい。
【0047】
[0067]図3Aは、本発明の一実施形態によるスペックル減少モジュール54の概略側面図である。この図に示されたモジュールは、図2に示す構成において、レーザ波長の1つに適用することもできるし、或いはモジュールの光学素子が両波長に適切に設計される限り、両波長に一緒に適用することもできる。
【0048】
[0068]上述したように、連続波(CW)レーザ照明に基づくこの技術で知られたコヒレントな照明システムでは、レーザビームが回転拡散器に通され、これが自己相関を減少させ、ひいては、スペックルコントラストをそれに応じて減少させる。しかしながら、システム20では、レーザヘッド50により放出されるパルス巾が短いために、この従来の解決策を無効にしてしまう。というのは、スペックルコントラストを充分に減少するには、拡散器に実際的でないほど高い回転速度が要求されるからである。
【0049】
[0069]それ故、図3Aに示すモジュール54の実施形態では、音響−光学トランスジューサ82が、ターゲット平面84に対して入射角のレーザビームを高い速度で走査するように駆動される。この高速度の走査は、希望のスペックルコントラスト減少を達成するためにレーザパルスの時間巾中に充分な角度範囲にわたってターゲット平面(ひいては、ウェハ22)にビームを入射させる。レーザヘッド50からモジュール54に入力されるビームは、通常、円筒状のビーム伸張器86により伸張される。トランスジューサ82は、レーザパルスと同期されたドライバ88によりレーザビームの一部分を回折するように駆動される。ドライバ88は、周波数チャープされる電気駆動信号を発生し、従って、トランスジューサ82は、一次のレーザビーム90を、レーザパルスの巾にわたり変化する角度で回折する。像形成レンズ97は、回折された一次ビーム90をターゲット平面84に像形成する。レンズ97のフーリエ平面にあるダイアフラム94は、偏向されないゼロ次のビーム96が通過するのを停止する。或いは又、効率を改善するために(入力に対するモジュール54からの出力の強度に関して)、第2の音響−光学トランスジューサを追加して、ゼロ次ビームを走査することもできる。
【0050】
[0070]ドライバ88により適用される周波数チャープの結果として、ターゲット平面84における回折された一次ビームの入射角は、レーザパルス中に迅速に変化する。所与のチャープ帯域巾Δf及び走査時間T(レーザパルス巾に等しい)に対して、音響−光学走査の解像度ポイントの数(NRP)は、おおよそNRP=ΔfTにより与えられる。レーザビームは、換言すれば、相互に非相関のNRP個の異なる角度成分に分割される。出力光学系98は、ターゲット平面84から角度ビーム成分を収集し、それをテレスコープ56へ収束する。ターゲット平面84(ひいては、ウェハ22)におけるスペックルコントラストの減少は、おおよそ次式で与えられる。
【0051】
【数1】
【0052】
例えば、100−300nsのレーザパルス巾が与えられると、400から800MHzのチャープ帯域巾Δfは、ビームのスペックルを、入力ビームコントラストの6−16%の範囲に減少させる。入力レーザビームの偏光は、出力に保持される。
【0053】
[0071]更に別のオプションとして、トランスジューサは、この技術で良く知られたように、回転ミラースキャナのような他の形式の高速スキャナと置き換えられてもよい。しかしながら、スペックルの減少程度は、走査速度に依存する。
【0054】
[0072]図3Bは、本発明の別の実施形態によるスペックル減少モジュール54の概略側面図である。この実施形態は、光ファイバー束100及び102を使用して、レーザ50からテレスコープ56へビームを搬送する。或いは又、以下に詳細に述べるように、単一の光ファイバー束を使用してもよい。通常、束100及び102は、石英又は他のUV透明ファイバーで構成される。
【0055】
[0073]各束100及び102の個々のファイバーは、長さの異なるものであり、従って、N個の異なるスペックルパターンを形成し、それらは拡散器104により混合される。その結果、テレスコープ56へ出力されるビームにおけるスペックルコントラストは、N1/2の係数で減少される。この技術で知られたシステムの場合と同様に、単一モード光ファイバーの単一束がモジュール54に使用された場合には、出力のスペックルコントラストを入力コントラストの1%に減少するのに、異なる長さのファイバーが10,000本必要とされる。この解決策は、コストがかかると共に、実施が困難である。このため、ここでは、2つの束100及び102が端−端関係で使用され、束100及び102における個々のファイバーの数を各々n及びmとすれば、N=nxm個の異なるスペックルパターンを生じる。従って、束100及び102の各々が百本のファイバーを含む場合には、1%出力コントラストへの希望の減少を達成することができる。しかしながら、以下に述べるように、マルチモードファイバーの束を使用することで、実際的な困難さを少なくしながら、より良好なスペックル減少を得ることができる。
【0056】
[0074]入力カプラー108は、レーザ50からのビームを、拡散器104を経てファイバー束100へ収束する。この目的で、この技術で知られたように、マイクロレンズアレイ又はモードスクランブラーのような適当な形式の拡散素子を使用してもよい。レーザビームのコヒレンス長さが1mmであると仮定すれば、束100は、例えば、百本のファイバーを含み、これらは、1−2mmのステップで長さが均一に等級付けされてもよい。フーリエレンズ110は、束100の出力を束102へ収束し、束100における各ファイバーの出力が束102の実質的に全てのファイバー間に分布されるようにする。束102のファイバーも、長さが等級付けされる。出力カプラー112は、束102からの放射出力をテレスコープ56へ収集する。カプラー108及び112と、フーリエレンズ110は、単純なレンズとして図示されているが、実際には、カプラー及びフーリエレンズは、多素子のテレセントリック光学系で構成されてもよい。端−端ファイバー束をベースとするスペックル除去(de-speckling)システムは、前記米国特許出願公告US2002/0067478A1号に更に詳細に示されている。
【0057】
[0075]図示されていない別の実施形態では、モジュール54は、マルチモードファイバーの単一束で構成されてもよい。この実施形態は、図3Bに示したものと構造が同様であるが、フーリエレンズ110及び束102が除去される。これは、特にレーザ50が複数の横モードを発生するときに有用である。束100のマルチモードファイバーの各々は、ファイバーを通る異なる光学経路長さを有する複数の伝播モードをサポートする。本発明者は、マルチモードレーザと一緒に動作する100本から200本のマルチモードファイバー(ファイバー直径、NA及び長さ等のファイバー特性に基づき)の束は、出力コントラストを1%に減少するのに必要なN=10,000個の異なるスペックルパターンを発生することができる。しかしながら、マルチモードファイバーを使用すると、入力ビームの偏光が破壊される。
【0058】
[0076]マルチモードレーザが放射を放出する横モードの数は、単一モードレーザに対するマルチモードレーザビームの角度発散と、x及びyの各方向における同じビームくびれ直径との良く知られた比をM2とすれば、おおよそ係数Mx2・My2で与えられる。従って、例えば、Mx2=My2=30を有するレーザは、ほぼ1000個の異なる横モードを発生する。各横モードは、自己コヒレントである(レーザのコヒレント長さ内で)が、他の横モードとは空間的に非重畳であり且つ非コヒレントである。ファイバー束が存在しない場合でも、ビームを拡散器に通すことにより横モードを混合すると、ビームのスペックルコントラストは、次式の分だけ減少され、即ち約30の係数で減少される。
【0059】
【数2】
【0060】
或いは又、レーザビームは、上述したように、拡散器を経てフーリエレンズにより異なる長さのマルチモードファイバーの束へ収束されてもよい。この場合に、スペックル減少モジュール54は、レーザの横モード及び縦モードの両方を混合し、束におけるファイバーの数をNとすれば、スペックルコントラストを次式の分だけ減少させる。
【0061】
【数3】
【0062】
N=100、Mx2=My2=10の場合には、レーザビームのスペックルコントラストは、その入力値の1%に減少される。
【0063】
[0077]それとは別に又はそれに加えて、スペックル減少モジュール54は、この技術で知られた他のスペックル減少方法を実施してもよい。又、モジュール54は、レーザビームを均質化する目的も果たし、ビームのエリア、ひいては、ウェハ22の表面に照射されるエリアにわたり実質的に均一の強度プロフィールを与えることができることに注意されたい。
【0064】
[0078]図4は、本発明の一実施形態による照明モジュール24の更に別の要素を示す概略側面図である。この実施形態の幾つかの観点は、図2に示した実施形態とは異なるが、図2に示した他の要素は、簡単化のためにここでは省略されている。当業者であれば、図2及び4に示す特徴及び要素の種々の他の組合せも、システム20に使用できることが理解されよう。
【0065】
[0079]図4に示す実施形態では、異なる倍率のテレスコープ56を備えた単一のテレスコープアッセンブリ120が、レーザヘッド50の両出力波長に使用される。或いは又、図2に示されたように、出力波長の各々に対して個別のテレスコープ56が使用されてもよい。通常、テレスコープ56は、対物平面124の各ポイント(スペックル減少モジュール54からの出力における)が、テレスコープの出力におけるフーリエ平面126の全てのポイントを照明するように、テレセントリックのケラー型光学系を含む。全てのテレスコープ56が同じ焦点面を有し、従って、対物平面124及びフーリエ平面126は、アッセンブリ120の倍率が切り換えられても移動しない。又、テレスコープは、色補正され、両方のレーザ波長において同じ焦点面を有する。テレスコープは、コントローラ32の制御のもとで、必要なときに倍率を容易に切り換えられるように、回転ホイール122に取り付けられてもよい。
【0066】
[0080]この実施形態の二色性ビームスプリッター128は、図2に示した高調波分離モジュール52に置き換わる。このビームスプリッター128は、レーザ波長の一方を第1光学経路130へ通すと共に、他方の波長を第2光学経路132へ通す。各光学経路は、上述したように、フィルタ60及び偏光器62を含む。光学スイッチ134は、どの波長を直角光学系72へ搬送し、どの波長を斜めの光学系74へ搬送するか決定する。スイッチ134は、136a及び136bで示された2つの設定のいずれかに配置される回転ミラー136を含む。この回転ミラーが設定136aにあるときには、光学経路132の放射を斜めの光学系74へと偏向し、一方、経路130の放射を直角光学系72へ向けるように通すのを許容する。スイッチ134の回転ミラーを設定136bへ切り換えると、経路132の放射を直角光学系72へ通す一方、経路130の放射が斜めの光学系74へ偏向される。スイッチ134は、両方の経路130及び132の放射を一緒に直角光学系72又は斜めの光学系74のいずれかに搬送するという更に別の設定を有してもよい。二色性ビーム合成器138は、一方又は両方の経路を必要に応じて直角チャンネルへ向ける。又、スイッチ134は、ウェハ22を単一波長のみで照射することが望まれるときに経路130又は132のいずれかを阻止するためのビームブロック(図示せず)を備えてもよい。
【0067】
[0081]直角及び斜めの光学系72及び74は、レーザビームをウェハ22の希望のエリアへ搬送するためのリレーレンズ140を備えている。更に、斜めの光学系74は、レーザビームを適切な斜めの角度で表面に向ける回転ミラー142を備えている。通常、光学系72及び74は、非像形成光学系であり、直角及び斜めのビームの両方がウェハ表面の実質的に同じエリアを照射するように整列される。(例えば、斜めの光学系74は、レーザビームが軸を外れてこれら光学系を通過して、斜めの入射角を補償するように、整列されてもよい。)カメラ30により像形成されるウェハのエリアは、変化してもよく、ある場合には、以下に述べるように、方形ではなく長方形でもよい。それ故、リレーレンズ140は、レーザビームにより照射されるエリアを、カメラ30により像形成されるエリアに一致させるために、1つ以上の円筒状レンズのようなアナモルフィック素子を含んでもよい。
【0068】
[0082]図5は、本発明の一実施形態による収集モジュール26の概略側面図である。この実施形態及び図1に示す実施形態では、モジュール26は、5つのカメラ30を含むものとして示されている。或いは又、モジュール26は、より少数の又は多数のカメラを備えてもよく、通常、10個ほどのカメラを備えてもよい。上述したように、全てのカメラは、ウェハ22の表面上の共通のエリア148からの散乱放射を像形成するが、各カメラは、異なる角度軸(即ち異なる高さ及び/又は方位)に沿った放射を収集するように構成される。システム20は、主として暗フィールド検出に使用するように設計されるが、1つ以上のカメラ30が、直角入射又は斜め入射のいずれかの照明ビームに関連して、明フィールド検出に使用されてもよい。
【0069】
[0083]対物レンズ150は、エリア148からの散乱光を収集し、コリメートする。散乱光を低い高さで収集するために、対物レンズ150は、高いNAを有するのが好ましく、0.95といった高いNAを有するのが最も好ましい。複数の屈折素子を使用した対物レンズ150の例示的設計を、図6を参照して以下に説明する。或いは又、対物レンズ150は、例えば、上述した米国特許第6,392,793号に説明されたように屈折又は反射屈折素子を備えてもよい。各カメラ30は、図5に示すように、対物レンズ150により収集される光の特定角度部分を受光するように配置される。
【0070】
[0084]各カメラ30に対して、バンドパスフィルタ152は、カメラが受け取るべき波長範囲を選択する。通常、フィルタ152は、照明モジュール24により放出される2つの波長の一方を選択し、他方の波長を拒絶する。又、フィルタ152は、二色性ビームスプリッターとして実施されてもよく、更に、カメラ30の1つが1つの波長における所与の角度に沿った散乱光を受光する一方、別のカメラが他の波長における同じ角度に沿った散乱光を受光するように構成されてもよい。更に別の態様として、フィルタ152は、ウェハ22が蛍光を発すると予想される帯域のような別の波長範囲における放射を通過させるように選択されてもよい。例えば、ホトレジストのような有機材料は、266nmにおいて照射されると、400nmの範囲で蛍光を発する傾向がある。従って、400nm帯域の光を通過するようにフィルタ152を設定すると、カメラ30は、有機材料又はその残留物における欠陥を検出することができる。
【0071】
[0085]空間的フィルタ154は、コリメートされた散乱光のある領域を阻止することにより、各カメラ30の収集角度を制限するように使用することができる。この空間的フィルタは、パターン化されたウェハにおける繰り返し特徴部からのバックグランド回折を排除するのに特に有用である。この空間的フィルタは、ウェハ表面上の特徴部の既知の回折パターンに基づいて、これら強力な回折の節を阻止し、この技術で知られたように、実際の欠陥に対するシステム20の感度を向上させる。この目的で空間的フィルタリングをこのように使用することが、例えば、本特許出願の譲受人に譲渡され、参考としてその開示をここに援用する2002年1月15日に出願された米国特許出願第10/050,890号に説明されている。この特許出願は、異なる分類のウェハパターンの回折ローブに応答して空間的フィルタを適応式に生成する方法を説明している。この方法は、モジュール26のフィルタ154において実施されてもよい。或いは又、空間的フィルタ154は、この技術で知られたように、固定のパターンを含んでもよい。
【0072】
[0086]カメラ30により受光されるべき散乱光の偏光の方向を選択するために、回転可能な偏光器156が光学経路に設けられる。この偏光器は、例えば、ウェハ22の粗面及び/又は高反射面構造によるバックグランド散乱を拒絶することにより検出感度を改善する上で有用である。任意であるが、偏光器156は、2つのカメラ30が直交偏光における所与の角度に沿って散乱された光を受光するように構成された偏光ビームスプリッターとして実施される。
【0073】
[0087]更に別のオプションとして(図示せず)、光学経路は、所与の収集角度に沿って散乱された光を2つ以上の異なるカメラ30間に分割するビームスプリッターを備えてもよい。このビームスプリッターは、上述したように、波長分割に使用されてもよいし、或いは同じ波長を2つ以上のカメラ間で所定の比率で分割するのに使用されてもよい。異なるカメラへのビーム経路においてビームスプリッターに続いて異なる空間的フィルタ154を使用して、ウェハ上の異なる分類のパターンによる回折ローブをフィルタ除去してもよい。更に別の態様として、ビームスプリッターは、所与の角度に沿って散乱された光を2つ以上のカメラ間で不平等に、例えば、100:1の比率で分割してもよい。この構成は、システム20のダイナミックレンジを効果的に増加する。というのは、より小さな分担で放射を受け取るカメラは、より大きな分担で放射を受け取るカメラが飽和するような明るい散乱のエリアでも、依然、意味のある像データを発生できるからである。この種の構成が、例えば、本特許出願の譲受人に譲渡され、参考としてその開示をここに援用する2002年1月15日に出願された米国特許出願第10/050,889号に説明されている。
【0074】
[0088]集束レンズ158は、収集されてフィルタされた光をカメラ30に収束する。このレンズ158は、手動で又はモータ制御のもとで調整可能であってもよい。可変拡大器160を使用して、カメラにより受け取られる拡大像のサイズを変更することができる。或いは又、レンズ158及び拡大器160の機能は、各カメラの単一光学ユニット内に結合されてもよい。拡大器は、カメラ30により捕獲される像の解像度、即ちカメラからの出力像における各ピクセルに対応するウェハ表面上のエリアのサイズを決定する。拡大器160は、通常、照明モジュール24におけるテレスコープ56に関連して動作され、照明されるエリアのサイズが、カメラにより像形成されるエリアにほぼ等しくなるようにする。
【0075】
[0089]各カメラ30は、像増強装置162を備え、そのホトカソードは、集束レンズ及び拡大器の像平面に整列される。この目的で、浜松ホトニクス株式会社(日本、静岡県)により製造されたC6654像増強装置のような第1及び第2世代の両形式を含む適当な形式の像増強管を使用してもよい。システム20の需要環境において最適な像形成を与えるために、増強装置162は、広い帯域巾及び高い解像度を有するのが好ましく、又、通常、約1000パルス/秒までのレーザヘッド50の繰り返し率において、高い電流及び低い蛍光体記憶でゲート動作を実行できるのが好ましい。増強装置162の有用な直径は、少なくとも18mmであるのが好ましいが、それより大きな25−40mmの範囲の直径が更に効果的であろう。
【0076】
[0090]像増強装置162の出力は、リレー光学系164により像センサ166に収束される。このリレー光学系は、例えば、像センサチップに直結されたリレーレンズ又は光ファイバフェイスプレートのいずれを含んでもよい。像センサ166は、この技術で知られたように、CCD又はCMOSアレイのような検出素子の二次元マトリクスで構成される。例えば、像センサは、ミクロン・テクノロジー・インク(アイダホ州、ボイス)により製造されたモデルMI−MV13のようなCMOSデジタル像センサでよい。このセンサは、1280x1024ピクセルを有し、垂直及び水平ピッチが12μmであり、フレーム率が全フレームに対して500フレーム/秒までである。
【0077】
[0091]カメラ30における像増強装置162の使用は、増強を伴わずに像センサ166しか使用しないカメラに対し、カメラの感度を著しく高める。増強装置は、照明モジュール24からの光パルスと同期してゲート作動され、カメラの感度を高めると共に、それらのノイズレベルを更に引き下げることができる。通常、増強装置162のホトカソードは、照明モジュールにより放出される波長において高い量子効率を有するように選択されるが、増強装置の蛍光体は、像センサ166が高い応答性を有する異なる波長範囲において光を放出するように選択することができる。従って、像増強装置は、入射する散乱光を増幅するのに加えて、ウェハ22から散乱される紫外線(UV)及び青い光を、シリコン像センサがより応答し得る緑又は赤の範囲へダウン変換するのにも有用である。更に、増強装置162は、ローパス空間フィルタとして働き、従って、センサ166により出力される像にエイリアシングを引き起こすことのある散乱光における高周波構造を平滑化するのに役立つことができる。
【0078】
[0092]増強装置162は、センサ166の解像度で指令されるような高い解像度を有するのが好ましい。例えば、上述したMV13センサの解像度の完全な利点を取り入れるためには、増強装置162は、像の対角方向に沿って1640個の個別ピクセルを与えるように設計されねばならない。又、この解像度基準は、増強装置の変調伝達関数(MTF)に関して表現されてもよく、これは、33ライン対/mmのテスト像に対してMTF=30%を与える。カメラ30により捕獲された像における明るいポイントは、一般に、像増強管の内部の反射のために明るいハローを形成することになり、これは、像の解像度との妥協になる。増強装置162は、このような反射を抑制して、ハローの直径がいかなる場合も0.2mm以下となるように設計されるのが好ましい。更に、センサ166の感度の全範囲を利用するためには、増強装置162が、通常、600μW/cm2程度の高い最大出力輝度(MOB)まで直線的な振舞いを示さねばならない。
【0079】
[0093]図6は、本発明の一実施形態による対物レンズ150の詳細を示す概略光学図である。この実施形態では、対物レンズ150は、以下に示す寸法(単位mm)を有する全て溶融シリカ(屈折率1.499679)で作られた10個の素子を備えている。各素子の第1表面は、対物平面に接近した表面(図面の右側)であり、又、曲率半径は、曲率の中心が表面の右に配置された表面について、正としてリストされる。
・レンズ170
−第1表面曲率:−554.32;対物平面からの距離:0.10
−厚み:28.92
−第2表面曲率:38.23
・レンズ172
−第1表面曲率:22.17;レンズ172の第2表面からの距離:14.35
−厚み:42.86
−第2表面曲率:59.97
・レンズ174
−第1表面曲率:116.11;レンズ172の第2表面からの距離:0.10
−厚み:28.99
−第2表面曲率:90.24
・レンズ176
−第1表面曲率:233.96;レンズ174の第2表面からの距離:0.10
−厚み:10.00
−第2表面曲率:578.50
・レンズ178
−第1表面曲率:260.16;レンズ176の第2表面からの距離:15.94
−厚み:53.07
−第2表面曲率:136.10
・レンズ180
−第1表面曲率:446.16;レンズ178の第2表面からの距離:0.10
−厚み:10.00
−第2表面曲率:−2850.63
・レンズ182
−第1表面曲率:473.81;レンズ180の第2表面からの距離:34.11
−厚み:28.54
−第2表面曲率:294.90
・レンズ184
−第1表面曲率:701.43;レンズ182の第2表面からの距離:0.10
−厚み:10.00
−第2表面曲率:−4117.15
・レンズ186
−第1表面曲率:1275.43;レンズ184の第2表面からの距離:21.78
−厚み:48.42
−第2表面曲率:395.84
・レンズ188
−第1表面曲率:−11047.73;レンズ186の第2表面からの距離:0.10
−厚み:132.30
−第2表面曲率:313.99
[0094]図6に示す対物レンズ150は、NA=0.95を有する。
【0080】
[0095]図7は、本発明の別の実施形態による収集モジュール26の概略側面図である。この場合に、モジュール26は、図5及び図6のような単一共有対物レンズではなく、それ自身の収集光学系を各々有する複数の別々の像形成チャンネル190を備えている。これらチャンネル190は、各々の異なる角度でウェハ22から散乱された光を収集するように分布される。各チャンネルは、その対物レンズとして、無限焦点リレー192と、傾斜補正ユニット(TCU)194とを備え、これらは、ウェハ表面の中間像196を形成する。拡大モジュール(MGM)198は、中間像を、倍率を調整できる状態で、カメラ30の入口平面に収束する。上述したように、システム20におけるカメラの入口平面は、通常、上述したように、カメラの一部分を形成する像増強装置のホトカソード平面である。
【0081】
[0096]無限焦点リレー192及びTCU194は、斜めの角度で表面を像形成するときに生じる次の2つの問題を解決するように設計される。
【0082】
1.表面上のポイントから対物レンズの入口瞳孔までの対物距離が、対物レンズの視野にわたって変化する。
【0083】
2.対物レンズにより形成される中間像が、対物レンズの光学軸に対する表面の傾斜により傾斜及びスキューされる。
無限焦点リレー及びTCUは、以下に詳細に述べるように、これらの問題を解消し、従って、全てのチャンネル190の中間像196は、チャンネル190がそれらの像を捕獲する角度が異なるにも関わらず、均一な倍率で、ウェハ表面上の同じエリア148のフラットな無歪像となる。ビュー角度に関わらず、全ての無限焦点リレー192に対して、且つ全ての拡大モジュール198に対して、同じ光学設計を使用することができる。TCU194の設計は、チャンネルの光学軸に対する対物平面の傾斜の高さに伴う変化のために、各チャンネル190のビュー角度の高さの関数として変化する。
【0084】
[0097]図8は、本発明の一実施形態による無限焦点リレー192及びTCU196を詳細に示す概略光学図である。無限焦点リレーは、単位倍率のテレセントリック設計のもので、対物平面の傾斜にも関わらず、根本的な歪を生じることがなく、且つエリア148の像を均一に拡大する。無限焦点リレーは、その瞳孔214の周りで光学的に対称的で、以下に示す寸法(単位mm)を有する次の素子(図面の左側から始めて)を含む。各素子の第1表面は、対物平面に接近した表面(図面の左側)であり、又、曲率半径は、曲率の中心が表面の右に配置された表面について、正としてリストされる。
・レンズ200
−第1表面曲率:−29.53;対物平面からの距離:60.48
−厚み:9.99
−第2表面曲率:−36.37
・レンズ202
−第1表面曲率:469.41;レンズ200の第2表面からの距離:32.98
−厚み:14.85
−第2表面曲率:−100.00
・レンズ204
−第1表面曲率:−69.56;レンズ202の第2表面からの距離:36.50
−厚み:4.41
−第2表面曲率:−76.35
・レンズ206
−第1表面曲率:61.15;レンズ204の第2表面からの距離:10.20
−厚み:11.78
−第2表面曲率:−345.29
・レンズ208
−第1表面曲率:−89.75;レンズ206の第2表面からの距離:4.72
−厚み:5.50
−第2表面曲率:54.75
・レンズ210
−第1表面曲率:255.13;レンズ208の第2表面からの距離:38.23
−厚み:18.21
−第2表面曲率:−63.34
・レンズ212
−第1表面曲率:−60.74;レンズ210の第2表面からの距離:41.26
−厚み:19.39
−第2表面曲率:−165.26
レンズ212の第2表面から瞳孔214までの距離は、20.00mmである。瞳孔の右側の素子は、上述した素子と鏡像において同一である。
【0085】
[0098]図8に示す無限焦点リレー192は、波長に基づいて約0.25から0.3のNAを有する。空間的フィルタ154及び偏光器156(並びに必要であれば波長フィルタ)を、図示されたように、瞳孔214に位置するリレー192のフーリエ平面に挿入することができる。
【0086】
[0099]TCU194は、プリズム216を備え、その入口面218は、無限焦点リレー192の像平面にほぼ平行に向けられる。(上述したように、リレー192の光学軸に対するこの像平面の角度は、光学軸に対する対物平面の角度、即ちウェハ22の表面の角度、に等しい。ここに示す実施例では、対物平面及び像平面は、光学軸に対して60°傾斜される。)リレー192により出力される光線の屈折は、中間像196を虚像として生成し、これは、プリズム216の出口面220にほぼ平行となろう。ここに示す実施形態では、リレー192の光学軸とウェハ22の法線との間が60°であり、プリズム216の面218と220との間の頂角が46.56°である。プリズムの角度及び方向は、ウェハ表面に対するリレー192の光学軸の仰角の関数として変化することが明らかである。
【0087】
[0100]プリズム216により導入される擬似コマを補償するために、TCU194は、次の特性(寸法単位mm)を有する一対の溶融シリカ円筒状レンズ222及び224を備えている。
・レンズ222(平凹)
−第1表面曲率:フラット;レンズ200(リレー192の最後のレンズ)の第2表面からの距離:18.51
−厚み:13.78
−第2表面曲率:92.90
−偏心:5.65;傾斜:−4.93°(リレー192の軸に対する)
・レンズ224(平凸)
−第1表面曲率:フラット;レンズ200の第2表面からの距離:39.27
−厚み:11.38
−第2表面曲率:−103.17
−偏心:−15.39;傾斜:−16.77°
この構成では、プリズム216の面218がレンズ200の第2表面から71.27mmに配置され、偏心が−3.84mmで、傾斜が−69.69°である。
【0088】
[0101]図9は、本発明の一実施形態による像形成チャンネル190の1つの概略側面図で、光学系及びカメラ30の機械的設計の態様を示す図である。この実施形態では、機械的便宜性の理由で、無限焦点リレー192は、該リレーの光学軸を、図示された屈曲形態へと曲げる回転ミラー(図示せず)を備えている。しかしながら、機能的には、リレー192は、実質的に上述したように動作する。リレー192の中心に配置されたフィルターユニット230は、偏光器156と、必要に応じて波長フィルタ152(図示せず)及び空間的フィルタ154とを受け入れる。
【0089】
[0102]この実施形態では、集束レンズ158及び拡大モジュール198の位置が、図5の集束レンズ及び拡大器160の位置に対して逆転されているが、それらの機能は、実質的に同じである。モジュール198は、テレスコープアッセンブリ120(図4)の場合のようにモジュールを回転することにより選択できる異なる倍率をもつ複数の異なるレンズを備えている。増強装置162の解像度を約15μmと仮定すれば、カメラ30が、0.5μmから4μmの解像度(対物平面で測定された)でウェハ表面の像を形成することが意図される間に、モジュール198が約4Xから32Xの倍率を与えることが望ましい。拡大モジュール198は、特注の対物レンズ及び/又は既製の顕微鏡用対物レンズの選択を含んでもよく、これは、例えば、これらの倍率要求を満足するように選択される。
【0090】
[0103]図10は、本発明の一実施形態によりシステム20で走査される像236のパターンを示すウェハ22の概略上面図である。ウェハ22は、この技術で知られたように、ダイ232に分割される。ステージ36(図1)は、ウェハ22をラスタパターンで走査し、その走査方向が図10に矢印234で示されている。或いは又、次々の走査線が互いに逆方向に横断されてもよい。ここに示す実施例では、カメラ30は、最初にダイA’、B’、C’、…の像236をラスタの1つの走査線で捕獲し、次いで、像A、B、C、…を後続走査線で捕獲する。各走査線において、a、b、c及びdと示された4つの隣接する次々の像236が各ダイの巾をカバーする。通常、ラスタパターンは、次々の走査線がウェハ22の実質的に全面をカバーするように選択される。しかしながら、図10は、図示明瞭化のために、2本の走査線しか示していない。
【0091】
[0104]照明モジュール24及びカメラ30(図1)は、像236がウェハ24上のダイ232と整列されるようにステージ36と同期される。換言すれば、図10に示すように、像236は、各像a、b、c及びdがダイの所定エリアをカバーするようにダイ境界と整列される。各像のエリアは、それ以前の対応する走査線において同じ像によりカバーされたエリアと一貫したものである。それ故、いずれかのカメラ30によりダイBを捕獲した像aは、同じカメラで捕獲されたダイAの像aと実質的に同じ特徴を像内の同じ位置に含むことが予想される。この対応性は、以下に述べるように、ダイ対ダイの比較を容易にする。上述したように、全てのカメラ30がウェハ22上の同じエリアの各像を同時に捕獲する。従って、図10に示すパターンは、いずれかの及び全てのカメラにより捕獲される像の特性であるが、ビュー角度が異なるためにカメラごとに若干の歪が生じることがある。この歪は、通常、以下に述べるように、ダイ対ダイの比較の後にのみ補正される。
【0092】
[0105]像236とダイ232の境界との整列は、カメラの光学系及び/又はセンサ166(図5)の像捕獲エリアの調整により達成される。上述したMV−13のようなCMOS像センサの利点は、出力のピクセル率を必ずしも減少せずに像における行の数を調整できることである。換言すれば、アクティブな行の数を減少又は増加して希望の像高さを与え、各ダイ232を固定の整数個の像236に分割することができる。次いで、センサのフレーム率を増加又は減少して、像高さの変化を補償し、希望の出力ピクセル率(ひいては、システム20の希望のスループット)を維持する。
【0093】
[0106]図11は、本発明の一実施形態により像プロセッサ34及びホストコンピュータ38で遂行される信号処理オペレーションを概略的に示すブロック図である。像プロセッサ34は、通常各カメラ30に対して1チャンネルずつの、複数の処理チャンネル240を備えている。カメラ30により捕獲された各像フレームは、通常、一連のデジタルピクセル値の形態で対応チャンネル240へ転送される。通常、カメラ30は、8ビットのデジタル値を出力する。上述したCMOSのMV−13センサのようなセンサ166は、通常、オンボードのアナログ/デジタルコンバータを備え、これは、10ビットのような高いビット解像度をもつ強度値を出力することができる。この場合に、各カメラ30は、センサ出力を8ビット値へスケールダウンする10B/8Bコンバータ(図示せず)を備えてもよい。スケーリングは、直線的でもよいし、又は低い強度の特徴を強調するように選択されてもよい。この後者の目的で、例えば、10B/8Bコンバータは、10ビット入力から8ビット出力への平方根又は対数スケーリングをもつルックアップテーブル(LUT)を備えてもよい。
【0094】
[0107]各チャンネル240において、正規化モジュール242は、エネルギーセンサ66(図2)により報告されるレーザエネルギーのパルス対パルス変動を補償するためにピクセル値を補正する。次いで、像補償モジュール246は、所与のカメラで発生される全ての像に生じる一貫した偏差に対してピクセル値を補正し、この偏差は基準入力248により与えられる。基準入力は、通常、予め校正されたもので、カメラにより像形成されるエリア148にわたるレーザビームの強度分布の変動や、カメラにより発生されるピクセル対ピクセル感度変動及び固定パターンノイズを反映するものである。モジュール246の目的は、全てのカメラにより発生される全ての像における全てのピクセルに対して実質的に均一な感度を与えることである。
【0095】
[0108]所与のカメラから受け取られる各像フレームにおける各ピクセルのピクセル値は、ステージ36(図1)の座標に基づき、ウェハ22の既知のダイ上の特定の既知の位置からある角度へ散乱される光の強度に対応する。ダイ対ダイ比較モジュール250は、現在像フレームにおける各ピクセルのピクセル値を、以前に走査されたダイの同じ位置から同じカメラで受け取られたピクセル値と比較する。従って、図10を参照すれば、ダイBの像aの各ピクセルは、ダイAの像aの対応ピクセルと比較され、等々となる。この目的で、以前のダイを走査する際に記録されたピクセル値が遅延線バッファ252に保持される。モジュール250は、座標偏差データ254を使用して、現在のダイと以前のダイを互いに適切に整列させる。座標偏差は、例えば、ステージ36による配置の不正確さ(これは、ビュー角度に関わらず全てのカメラ30に共通となる)から生じるか、或いは光学的焦点に対するウェハ表面の高さ変動(斜めの収集角度のために、カメラごとに異なる座標の偏差を生じさせる)から生じ得る。
【0096】
[0109]所与のダイに欠陥がない限り、現在フレームにおける各ピクセルの全てのピクセル値は、規定の公差内で、バッファ252から読み出されるフレームにおける対応ピクセルのピクセル値と同一でなければならない。一方、所与のピクセルの値が、バッファされたフレームの対応ピクセルの値から所与のスレッシュホールドを越えて異なる場合には、その差が、ピクセルの位置における欠陥を表わすことができる。像処理チャンネル240は、ダイ対ダイ比較においてこのような偏差が見つかったピクセルをホストコンピュータ38へ報告し、該コンピュータは、次いで、種々のチャンネルにより報告される偏差ピクセルの値を、以下に述べるように比較する。
【0097】
[0110]しかしながら、チャンネル240が偏差値をホストコンピュータに報告する前に、歪補正装置255が、異なるカメラ及び処理チャンネル間の像歪及び不整列を補正すべくピクセル値を調整する。この種の歪は、一般に、異なるカメラの角度及び光学経路の差から生じる。歪の補正は、甚だしい計算を伴うタスクである。それ故、補正装置255は、欠陥の疑いのあるエリアのピクセル、例えば、その値が、1つのチャンネル240における比較モジュール250により、以前のダイにおける対応ピクセルから所定スレッシュホールド以上ずれていることが分かったピクセルのみについて、歪を補正するように構成されてもよい。比較モジュール250がチャンネルに異常がないと分かったピクセルについては、それ以上の計算が必要とされない(これは、ウェハ22上の大多数のピクセルを含まねばならない)。スレッシュホールド及び/又は他のピクセル選択基準は、ピクセルのあるパーセンテージ以下、例えば、1%が補正装置255に提示されるように設定されてもよい。
【0098】
[0111]ホストコンピュータにおけるマルチパースペクティブ判断モジュール256(通常ソフトウェアプロセス)は、全ての異なるチャンネル240からの歪補正された偏差ピクセル読みを合成する。所与の疑いのあるピクセルに対して異なるチャンネルから受け取った値に基づいて、モジュール256は、ウェハ22上の対応位置からの散乱放射の角度プロフィールをアッセンブルすることができる。この散乱プロフィールは、モジュール256が、ウェハ上のこの位置で生じた欠陥を、予めプログラムされた判断ルール及びスレッシュホールドに基づいて識別し、一般的に言えば、分類できるようにする。これらのルールは、例えば、所与の位置からの1組の散乱測定値が粒子又はスクラッチ(及び粒子又はスクラッチのサイズ)を表わすかどうか指示する。ウェハ22の走査が完了すると、ホスト38は、見つかった全ての欠陥の位置及び形式を指示する欠陥リストレポート258を発行する。
【0099】
[0112]或いは又、チャンネル240は、ダイ対ダイ比較又は他の欠陥検出処理が実行される前に、全ての像ピクセルにわたり座標歪を補正するように構成されてもよい。この場合には、上述した実施形態のように、像236をダイ232に整列させる必要はない。次いで、各ピクセルに対するダイ対ダイ比較を複数の散乱角度(即ち複数のカメラ30により捕獲される放射)に対して同時に実行してもよい。本特許出願の譲受人に譲渡され、参考としてここにその開示を援用する米国特許出願第10/097,442号は、個々の相違を考慮してこの場合に適用できる多検出器欠陥検出方法を説明している。それとは別に又はそれに加えて、チャンネル240は、モジュール250が、現在ダイを、そのピクセル値が以前に記録された別のウェハの同等のダイと比較するように構成されてもよい(ウェハ対ウェハ比較)。
【0100】
[0113]上述したように、ここに述べた実施形態は、システム20におけるウェハ22の暗フィールド検査を特に参照したが、本発明の原理は、他の分野の光学的検査、並びに他の形式の照明及び像形成システムにも適用できる。従って、上述した実施形態は、一例として取り上げたもので、本発明は、特に図示して上述したものに限定されないことが明らかであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述した種々の特徴の結合及び副次的結合や、従来技術に開示されておらず且つ前記説明を読んだときに当業者に明らかとなるその変更や修正も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態による光学的検査システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による照明モジュールを絵画的に示す図である。
【図3A】本発明の一実施形態によるレーザスペックル減少モジュールの概略側面図である。
【図3B】本発明の別の実施形態によるレーザスペックル減少モジュールの概略側面図である。
【図4】本発明の一実施形態による照明モジュールに使用される光学的拡大及びスイッチ素子の概略側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による光学収集モジュールの概略側面図である。
【図6】本発明の一実施形態による高NAの対物レンズを示す概略光学図である。
【図7】本発明の別の実施形態による光学収集モジュールの概略側面図である。
【図8】本発明の一実施形態による無限焦点リレーレンズ及び傾斜補正ユニットの概略光学図である。
【図9】本発明の一実施形態による光学的検査システムに使用される光学収集チャンネルを絵画的に示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によりウェハ表面の捕獲像のエリアを示す被検査半導体ウェアの概略上面図である。
【図11】本発明の一実施形態により光学的検査に使用するための信号処理サブシステムを概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0102】
20…光学的検査システム、22…半導体ウェハ、24…照明モジュール、26…光学収集モジュール、28…収集光学系、30…カメラ、32…システムコントローラ、34…像プロセッサ、36…X−Y−Zステージ、38…ホストコンピュータ、40…自動焦点照明装置、42…自動焦点センサモジュール、50…レーザヘッド、52…高調波分離モジュール、54…スペックル減少モジュール、56…テレスコープ、58…コリメートレンズ、60…可変光学密度フィルタ、62…偏光器、64…ピックオフビームスプリッター、66…エネルギーメーター、68…リレーミラー、70…光学スイッチモジュール、72…直角出力光学系、74…斜めの出力光学系、82…音響−光学トランスジューサ、84…ターゲット平面、86…円筒状ビーム伸張器、88…ドライバ、97…像形成レンズ、100、102…光ファイバー束、104…拡散器、108…入力カプラー、110…フーリエレンズ、112…出力カプラー、120…単一テレスコープアッセンブリ、124…対物平面、126…フーリエ平面、128…二色性ビームスプリッター、134…光学スイッチ、136…回転ミラー
【関連出願への相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、同日に出願された「Dark Field Inspection System」及び「Inspection System with Oblique ViewingAngle」と題する他の2つの米国特許出願に関連している。これら関連出願は、両方とも、参考としてここに援用する。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、光学的検査に係り、より詳細には、半導体ウェハのような固体表面を検査し、その上の特徴部及び欠陥部を検出するための方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0003】
[0003]光学的検査は、半導体デバイス製造において、ウェハ表面上の欠陥、例えば、汚染粒子、スクラッチ及び材料層の非除去部分を検出するために通常使用されている。欠陥は、デバイスの故障を引き起こすことがあり、従って、プロセスの収率を実質的に低下させる。それ故、製造プロセスの種々の段階で非パターン化ウェア及びパターン化ウェハの清潔さ及び品質の両方を検証するために入念な検査が要求される。
【0004】
[0004]半導体ウェハを検査するための通常の方法は、ウェハ表面上をレーザビームで走査し、ビームが入射した各ポイントから散乱される光を測定することである。暗フィールド散乱検出をベースとする1つのこのような方法が、参考としてここにその開示を援用する米国特許第6,366,690号においてスミランスキー氏等により提案されている。スミランスキー氏等は、レーザと、該レーザの周りに配列された光ファイバー型集光器により信号供給される多数の光センサとを備えた光学検出ヘッドをベースとするウェハ検査システムを説明している。この光学ヘッドは、ウェハ表面上に配置され、ウェハを回転及び並進移動して、レーザビームで表面を走査する。センサは、光ファイバーの位置で決定されるように、表面から異なる角度方向に同時に散乱される放射を検出する。従って、全ウェハ表面が、螺旋経路に沿って一度に1ピクセルで走査される。
【0005】
[0005]別の暗フィールドウェハ検査システムが、参考としてここにその開示を援用する米国特許第6,271,916号においてマークサー氏等により説明されている。このシステムでは、レーザビームがウェハ表面に直角方向に向けられ、螺旋経路に沿って表面を走査する。直角とは異なる角度で表面から散乱されるレーザ放射を収集するために楕円ミラーが使用される。好ましくは、第1の角度範囲内で散乱された光が1つの検出器により収集され、一方、第2の角度範囲内で散乱された光が別の検出器により散乱される。異なる検出信号を使用して、大きな欠陥を小さな欠陥から区別する。
【0006】
[0006]この解決策をベースとする更に別の欠陥検出システムが、参考としてここに援用する米国特許第6,538,730においてベイツ−イラバニ氏等により説明されている。この場合には、広角度及び狭角度の異なる収集チャンネルが使用される。狭角度及び広角度の収集チャンネルから得られた信号を比較して、極微スクラッチと粒子との間を区別することができる。又、この目的で、前方散乱放射を収集して使用してもよい。更に、S及びP−偏光放射をもつ順次照明を使用して散乱の強度を測定してもよい。
【0007】
[0007]チャン氏等は、参考としてここにその開示を援用する米国特許第6,392,793号において開口数(NA)の高い像形成システムを説明している。このシステムは、ミラー及びレンズの反射屈折グループをベースとするもので、これを使用して、ある角度範囲にわたり反射、回折及び散乱された光を収集することができる。このシステムは、暗フィールド像形成を含む幾つかの用途を有する。
【0008】
[0008]キニー氏等は、参考としてここにその開示を援用する米国特許第5,909,276号において粒子及び欠陥を検出するための光学検査モジュール及び方法を説明している。このモジュールは、すれすれの入射角で被検査表面を照明する光源を備えている。表面上の欠陥により光ビーム路から散乱される非鏡面反射光を収集するようにレンズが向けられる。レンズの焦点面に設けられた光検出器アレイが散乱光を受ける。このアレイの各ピクセルは、表面上のあるエリアに対応し、複数のピクセルで、実質的に全表面をカバーする視野が形成される。
【0009】
[0009]スペックルは、コヒレントな照明を使用する像形成システムにおいて、ビーム振幅の強力な自己相関により生じる良く知られた効果である。通常連続波(CW)レーザ照明をベースとする既知のコヒレント照明システムでは、レーザビームを回転する拡散器に通して、自己相関を減少させ、ひいては、スペックルコントラストをそれに応じて減少させる。或いは又、例えば、参考としてここにその開示を援用する米国特許第6,249,381号においてスガムラ氏により説明されたように、異なる長さの光ファイバーの束にレーザビームを通してもよい。又、参考としてここにその開示を援用する、本特許出願の譲受人に譲渡された米国特許出願公告US2002/0067478A1号においてカーポル氏等により説明されたように、光路に沿って順次配置された2つの光ファイバー束を使用することによりスペックル除去の改善を達成することができる。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明の実施形態は、半導体ウェハのようなサンプルの表面を照明するための改良された方法及び装置であって、このような表面を高い解像度及び高いデータ収集率で検査することのできる方法及び装置を提供する。これら実施形態において、検査システムは、通常パルスレーザビームをベースとする強力な光放射のソースであって、被検査表面のエリアを照射するソースを備えている。1つ以上の検出器アレイが、表面から散乱された放射を受け取って、各像を形成するように構成される。
【0011】
[0011]本発明のある実施形態では、パルスレーザビームを表面に入射させる前に、通常ビームのコヒレンスのために生じるスペックルを減少するようにビームが処理される。これら実施形態に使用されるスペックル減少サブシステムは、10ns程度に短いレーザパルスの厳密な時間制約内で、非常に低いレベルのスペックルコントラスト(サンプル表面上の照明エリアにわたり1%程度に低い強度変動)を達成するように新規なやり方で適応される。
【0012】
[0012]これら実施形態の幾つかでは、異なる長さの光ファイバーの束にレーザビームを通すことによりスペックルコントラストが減少される。これら実施形態の1つでは、ファイバー束は、長さの変化するマルチモードファイバーを含む。別の実施形態では、2つのファイバー束を、端−端接続状態で使用することができる。このように2つのファイバー束を使用すると、希望のスペックル減少を達成するために各束に含ませねばならないファイバーの本数が、単一ファイバー束の場合に比して実質的に減少される。
【0013】
[0013]別の実施形態では、スペックル減少システムは、通常高速の音響−光学トランスジューサをベースとする高速スキャナであって、希望のスペックル減少を達成するに充分な速度でターゲット平面(サンプル表面のような)にわたり入射角のパルスレーザビームを走査する高速スキャナを備えている。
【0014】
[0014]本発明のある実施形態では、レーザソースは、少なくとも2つの異なる波長の放射を放出するように構成され、従って、表面の散乱特性を両方の波長において同時に評価することができる。レーザビームは、光学スイッチにより表面に向けられ、この光学スイッチは、異なる波長を、表面の同じエリアに対して同じ角度で又は異なる角度で合成し又は別々に向けるように構成可能である。この光学スイッチは、ビームが直角の入射角及び斜めの入射角の両方で表面に収束されるのを許容する。照明サブシステムは、直角及び斜めの両ビームがサンプル表面上の実質的に同じエリアを照射するように両ビームを整形する。
【0015】
[0015]それ故、本発明の実施形態によれば、光学放射を発生するための装置であって、次のものを備えた装置が提供される。
【0016】
[0016]複数の横モードで同時に動作するように構成されて、第1のスペックルコントラストで特徴付けられる入力ビームを発生するレーザ;及び
[0017]入力ビームの横モードを混合して、第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生するための光学系。
【0017】
[0018]ここに開示する実施形態では、光学系は拡散器を含み、又、光学系は、異なる各々の長さを有するマルチモード光ファイバーの少なくとも1つの束を含む。通常、レーザは、ビーム発散比M2によって特徴付けられ、又、第2のスペックルコントラストは、M2に第1のスペックルコントラストを乗じたものより小さい。レーザの横モードを拡散器でスクランブルした後に、レーザビームのスペックルコントラストがM2だけ減少される。ファイバー束に続いて、スペックルコントラストは、レーザの縦モードの数とファイバーの数との小さい方の平方根だけ更に減少される。
【0018】
[0019]更に、本発明の実施形態によれば、レーザ放射ビームのスペックルを減少する装置であって、次のものを備えた装置が提供される。
【0019】
[0020]ターゲット平面に対してある入射角のビームを走査するように結合された光学スキャナ;及び
[0021]スキャナから出て来るビームを、そのビームがある範囲の異なる角度にわたってターゲット平面の単一エリアを照射するように向けて、放射を相関除去するように結合された出力光学系。
【0020】
[0022]通常、レーザ放射は、巾が1μsより短いパルスを含み、又、光学スキャナは、エリアに形成されるスペックルのコントラストを10%未満に減少するに充分な速度でビームを走査するように適応される。好ましくは、光学スキャナは、エリアに形成されるスペックルのコントラストを約1%以下に減少するに充分な速度でビームを走査するように適応される。
【0021】
[0023]ある実施形態では、光学スキャナは、ビームの一部分を回折により偏向すると共に、上記入射角のビームのその偏向された部分を上記範囲の異なる角度にわたって走査するように適応された光学−電子スキャナを備えている。これら実施形態の1つにおいて、この光学−電子スキャナは、音響−光学トランスジューサと、周波数チャープパルスをこのトランスジューサに印加して、上記ビームの偏向された部分を走査させるように結合されたドライブ回路とを備えている。
【0022】
[0024]更に、本発明の実施形態によれば、サンプルを光学的に検査する装置であって、次のものを備えた装置が提供される。
【0023】
[0025]サンプル上のエリアの像を捕獲するように構成された検出器アッセンブリ;
[0026]第1及び第2の異なる各波長を有する第1及び第2の放射ビームを発生するように適応されたレーザソース;及び
[0027]第1及び第2の放射ビームを、サンプル上のエリアを照射するように向けるよう結合された照明モジュールであって、各ビームがエリアを直角に又は斜めに照射するように第1及び第2の両ビームを同時に且つ独立して向けさせるよう動作する光学スイッチを含む照明モジュール。
【0024】
[0028]一実施形態において、光学スイッチは、第1ビームを表面に直角に入射するように向ける一方、第2ビームを表面に斜めに入射するように向けるよう構成できる。通常、照明モジュールは、表面に斜めに入射する放射を、第1及び第2の両ビームが実質的に同様の幾何学的プロフィールで表面のエリアを照射するように向けるよう結合されたリレー光学系を備えている。
【0025】
[0029]それに加えて又はそれとは別に、照明モジュールは、レーザソース又は照明モジュールの他の要素を移動せずに、レーザソースにより照射されるエリアのサイズを変更するように選択可能な倍率をもつテレセントリック拡大光学系を備えている。
【0026】
[0030]更に、本発明の実施形態によれば、光学放射を発生するための方法であって、次のステップを備えた方法が提供される。
【0027】
[0031]レーザを複数の横モードで同時に動作して、第1のスペックルコントラストにより特徴付けられる入力ビームを発生するステップ;及び
[0032]入力ビームの横モードを混合して、第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生するステップ。
【0028】
[0033]更に、本発明の実施形態によれば、レーザ放射のビームのスペックルを減少するための方法であって、次のステップを備えた方法が提供される。
【0029】
[0034]実質的に固定の拡散器に対してある入射角のビームを光学的に走査して、ビームがある範囲の異なる角度にわたって拡散器を通るようにするステップ;及び
[0035]上記範囲の異なる角度にわたり拡散器から出て来るビームを、ターゲットの単一エリアを照射するように向けるステップ。
【0030】
[0036]更に、本発明の実施形態によれば、サンプルを光学的に検査するための方法であって、次のステップを備えた方法が提供される。
【0031】
[0037]第1及び第2の異なる各波長を有する第1及び第2のレーザ放射ビームを発生するステップ;
[0038]第1及び第2の放射ビームを、光学スイッチを経てサンプル上のエリアを照射するように向けるステップであって、光学スイッチは、各ビームがエリアを直角に又は斜めに照射するように第1及び第2の両ビームを同時に且つ独立して向けさせるよう動作するステップ;及び
[0039]エリアから散乱された放射を捕獲して、エリアの像を形成するステップ。
【0032】
[0040]本発明は、添付図面を参照した実施形態の以下の詳細な説明から充分に理解されよう。
【実施形態の詳細な説明】
【0033】
[0053]図1は、本発明の一実施形態により半導体ウェハ22を光学的に検査するためのシステム20を概略的に示すブロック図である。通常、ウェハ22は、この技術で知られた半導体デバイスの製造方法を使用してパターン化され、又、システム20は、暗フィールド光学的技術を適用して、ウェハの表面上の欠陥を検出する。しかしながら、それとは別に、システム20で実施される原理は、非パターン化ウェハや、他の形式のサンプル及び表面、例えば、マスク及びレチクルの検査にも適用できる。更に、システム20は、暗フィールド検査に専用のものであるが、本発明の態様は、明フィールド検査や、他の分野の照明、検査及び像形成にも適用することができる。
【0034】
[0054]システム20は、パルスレーザ放射を使用してサンプル22の表面を照明する照明モジュール24を備えている。通常、このモジュール24は、2つ以上の異なる波長のレーザ放射を、同時に又は一度に1つづつ、選択的に放出することができる。いずれのレーザ波長のレーザ放射も、以下に述べるように、モジュール24により、ウェハ表面に直角に又は斜めに、ウェハ22に当たるように向けることができる。照明モジュールは、可視光線、紫外線(UV)及び/又は赤外線(IR)範囲の波長において光学放射を放出するように構成することができる。それ故、ここで使用する「照明」及び「光学放射」という語は、可視、UV及びIR範囲のいずれか又は全部を指すものとして理解されたい。
【0035】
[0055]ウェハ22から散乱された放射は、広い角度範囲にわたり光学収集モジュール26により収集される。このモジュール26は、ウェハ22の表面を複数のカメラ30に像形成する収集光学系28を備えている。この光学系28は、開口数(NA)の高い単一の対物レンズで構成されてもよいし、或いは各カメラに1つずつの個々の対物レンズの集合で構成されてもよい。これら別々の光学構成及びカメラ30の両方を以下に詳細に述べる。光学系28及びカメラ30は、全てのカメラが、ウェハ表面の同じエリア、即ち照明モジュール24で照明されたエリアを像形成する一方、各カメラが異なる角度範囲へと散乱された放射を捕獲するように配列される。各カメラ30は、この技術で良く知られたように、CCD又はCMOSアレイのような検出素子の二次元アレイを備えている。各アレイの各検出素子は、照明モジュール24により照射されるエリア内の対応スポットに像形成される。従って、角度の関数としてのウェハ22上の所与のスポットの散乱特性は、異なるカメラ30の対応検出素子により発生される信号に基づいて決定することができる。
【0036】
[0056]カメラ30は、通常、システムコントローラ32により照明モジュールからのレーザパルスと同期され、各カメラにより発生される各像出力フレームが単一レーザパルスから散乱された放射に対応するようにされる。各カメラからの出力は、像プロセッサ34により受信され、デジタル化され、分析される。像プロセッサは、以下に詳細に述べるように、通常、専用ハードウェア信号処理回路及び/又はプログラム可能なデジタル信号プロセッサ(DSP)を備えている。X−Y−Zステージ36のような機械的スキャナは、ウェハ22を通常ラスタパターンで並進移動し、照明モジュール24からの各レーザパルスが、手前のパルスで照射されたエリアに隣接する(且つ通常はそれと若干重畳する)ウェハ表面の異なるエリアを照射するようにする。それとは別に又はそれに加えて、照明及び収集モジュールがウェハに対して走査されてもよい。
【0037】
[0057]像プロセッサ34は、各カメラ30により出力された各像フレームを処理して、ウェハ表面上の欠陥を表わし得る像特徴部を抽出する。これら像特徴部は、ホストコンピュータ38、通常、適当なソフトウェアを伴う汎用コンピュータワークステーションへ通され、該コンピュータは、特徴部を分析して、被検査ウェハに対する欠陥リスト(又は欠陥マップ)を発生する。
【0038】
[0058]モジュール24により照射されてカメラ30により像形成されるエリアは、全ウェハ表面にわたり或いは表面の選択されたエリアにわたりステージ36を使用して走査することができる。モジュール24により放出されるパルスが充分に短いもので、例えば、実質的に1μs未満である場合には、ステージ36は、カメラにより捕獲された像に著しいボケを生じることなく、ウェハ22をこのように連続的に並進移動することができる。照射されるエリアは、通常、2x1mm程度の大きさを有するが、以下に述べるように、このエリアは、照明モジュールに拡大光学系を使用することにより増加又は減少することもできる。各カメラ30が約2000x1000検出素子のアレイを含むと仮定すれば、ウェハ表面に投影される各ピクセルのサイズは、おおよそ1x1μmとなる。モジュール24が400パルス/秒の繰り返し率で動作する状態では、像プロセッサ34への各カメラ30のデータ出力率は、800Mピクセル/秒となる。この率では、例えば、全12インチの半導体ウェハを、2分以内に1μm解像度で走査することができる。しかしながら、像の解像度、サイズ及び速度のこれら典型的な指数は、単に一例として取り上げたもので、システム速度及び解像度要求に基づいて更に大きな又は小さな指数を使用してもよいことが理解されよう。
【0039】
[0059]又、コントローラ32は、ステージ36のZ位置(高さ)を調整して、ウェハ表面上にカメラ30の適切な焦点を維持する。それとは別に又はそれに加えて、コントローラは、この目的でカメラの光学系を調整してもよい。更に、それとは別に又はそれに加えて、コントローラは、異なるカメラ30により捕獲される像のスケール及び整列のずれを補正して高さ変動を補償するように、像プロセッサ34及びホストコンピュータ38に命令することもできる。
【0040】
[0060]焦点を確認して調整するために、コントローラ32は、自動焦点照明装置40及び自動焦点センサモジュール42を使用する。照明装置40は、通常、CWダイオードレーザのようなレーザ(図示せず)を備え、これは、照明モジュール24により照明されたウェハ22の表面のエリア又はその隣接部に、コリメートされたビームを斜めの角度で放出し、ウェハ表面にスポットを形成する。従って、収集モジュール26に対してウェハ22のZ位置が変化すると、スポットの横方向変位が生じる。センサモジュール42は、通常、ウェハ表面上のスポットの像を捕獲する検出器アレイ(図示せず)を備えている。スポットの像を分析して、スポットの横方向位置を検出し、これは、収集モジュールに対するウェハ表面のZ位置の測定値をコントローラ32に与える。コントローラは、スポットが、適切な焦点を表わす予め校正された基準位置となるまで、ステージ36を駆動することができる。
【0041】
[0061]照明装置40により放出されたビームは、ウェハ表面への途中で収集光学系28を通過することができ、又、センサモジュール42も同様に、収集光学系を経て表面上のスポットの像を捕獲することができる。この場合に、照明装置40は、照明モジュール24とは異なる波長範囲で動作するのが好ましい。従って、適当なフィルタを使用して、自動焦点ビームがカメラ30へ散乱するのを阻止すると共に、モジュール24からのパルスビームが自動焦点測定と干渉するのを防止することができる。
【0042】
[0062]或いは又、この技術で良く知られた自動焦点検出の他の手段を使用することもできる。例えば、容量性センサを使用して、光学系とウェハ表面との間の垂直距離を決定し調整することもできる。
【0043】
[0063]図2は、本発明の一実施形態による照明モジュール24を絵画的に示す図である。レーザヘッド50は、単一波長の光を放出するか又は2つの波長の光を同時に放出するように構成できるパルスレーザを含む。例えば、レーザヘッドは、ポジティブ・ライト・インク(カリフォルニア州ロスゲータス)により製造されたエボリューション15レーザのようなNd:YLFレーザを、このレーザヘッドが基本レーザ周波数の第2高調波(527nm)の光を放出するようにさせる内部周波数コンバータと共に含むことができる。又、第4高調波出力(263nm)を与えるように外部周波数コンバータが追加されてもよい。或いは又、モジュール24は、3つ以上の波長を同時に放出するか、更に、それとは別に又はそれに加えて、波長同調可能な出力を与えるように構成されてもよい。通常、レーザヘッド50は、上述したように1μs未満(及びおそらくは10ns程度に短い)のパルス巾をもつ短い強力なパルスを放射するようにQスイッチされる。レーザ空洞は、以下に述べるように、ウェハ表面におけるコヒレンス関連スペックルを減少するのを助けるために、レーザが複数の横モードで動作するように構成されるのが好ましい。
【0044】
[0064]高調波分離モジュール52は、レーザヘッド50の出力を異なる波長の2つの別々のビームに分離する。一実施形態では、モジュール52は、この技術で良く知られた二色性ビームスプリッターのみで構成される。分離されたビームは、以下に詳細に述べるスペックル減少モジュール54により処理されて、コヒレンス関連スペックルを除去する。選択可能なテレスコープ56を使用してレーザビームを伸張し、ウェハ22の表面上に希望の照射エリアが与えられる。テレスコープを回転可能なホイールに取り付けて、図示されたように、希望のテレスコープの便利な選択を許容することができる。図2に示す実施形態は、レーザヘッド50により出力される異なる波長の各々に対して個別のスペックル減少モジュール及びテレスコープを含むが、他の実施形態では、高調波分離モジュールを光学経路において更に下流に配置して、両波長が単一のスペックル減少モジュール及び/又は共通セットのテレスコープを共有するようにしてもよい。
【0045】
[0065]テレスコープ56により出力された伸張されたビームは、コリメートレンズ58により可変光学密度フィルタ60へ搬送される。回転可能なフィルタホイールに便利に取り付けることのできるこれらのフィルタは、ウェハ22における2つのレーザビームの強度を、用途の要求に応じて調整するのを許容する。偏光器62も同様に回転して、ビームの偏光角度を決定することができる。ピックオフビームスプリッター64は、各レーザビームの光の僅かな既知の部分を各エネルギーメーター66に向けて偏向する。このエネルギーメーターは、各レーザビームの強度の測定値を与え、これは、パルス対パルスエネルギー偏差を補正すると共に、おそらくレーザヘッド50へフィードバック制御を与えるために像プロセッサ34により使用される。又、エネルギーメーター66は、以下に述べるように、カメラ30へ同期入力を与えるのにも使用できる。
【0046】
[0066]リレーミラー68を含む光学スイッチモジュール70は、各波長が直角又は斜めの入射角でウェハ22に入射するように、各レーザ波長のビーム経路を選択するのを許容する。従って、以下に詳細に述べるスイッチモジュール70は、直角出力光学系72及び斜め出力光学系74の両方に信号供給する。斜めの光学系74は、通常、表面から約5°乃至50°の角度でウェハ表面を照明するように構成されるが、それより大きな及び小さな照明角度も考えられる。光学系72及び74は、通常、約0.01乃至0.2の範囲の開口数(NA)を有する。又、スイッチモジュールは、レーザ波長の1つを阻止して、単一の波長しかウェハに入射しない(直角又は斜めのいずれかで)ようにセットされてもよい。両方の波長を同時に使用するときには、通常適当なレンズで構成される色補償素子76を一方のビーム(この実施形態では、斜めのビーム)の経路に導入して、斜め及び直角ビームの両方がウェハ表面上の同じエリアを実質的に同じ幾何学的プロフィールで照明するようにしてもよい。
【0047】
[0067]図3Aは、本発明の一実施形態によるスペックル減少モジュール54の概略側面図である。この図に示されたモジュールは、図2に示す構成において、レーザ波長の1つに適用することもできるし、或いはモジュールの光学素子が両波長に適切に設計される限り、両波長に一緒に適用することもできる。
【0048】
[0068]上述したように、連続波(CW)レーザ照明に基づくこの技術で知られたコヒレントな照明システムでは、レーザビームが回転拡散器に通され、これが自己相関を減少させ、ひいては、スペックルコントラストをそれに応じて減少させる。しかしながら、システム20では、レーザヘッド50により放出されるパルス巾が短いために、この従来の解決策を無効にしてしまう。というのは、スペックルコントラストを充分に減少するには、拡散器に実際的でないほど高い回転速度が要求されるからである。
【0049】
[0069]それ故、図3Aに示すモジュール54の実施形態では、音響−光学トランスジューサ82が、ターゲット平面84に対して入射角のレーザビームを高い速度で走査するように駆動される。この高速度の走査は、希望のスペックルコントラスト減少を達成するためにレーザパルスの時間巾中に充分な角度範囲にわたってターゲット平面(ひいては、ウェハ22)にビームを入射させる。レーザヘッド50からモジュール54に入力されるビームは、通常、円筒状のビーム伸張器86により伸張される。トランスジューサ82は、レーザパルスと同期されたドライバ88によりレーザビームの一部分を回折するように駆動される。ドライバ88は、周波数チャープされる電気駆動信号を発生し、従って、トランスジューサ82は、一次のレーザビーム90を、レーザパルスの巾にわたり変化する角度で回折する。像形成レンズ97は、回折された一次ビーム90をターゲット平面84に像形成する。レンズ97のフーリエ平面にあるダイアフラム94は、偏向されないゼロ次のビーム96が通過するのを停止する。或いは又、効率を改善するために(入力に対するモジュール54からの出力の強度に関して)、第2の音響−光学トランスジューサを追加して、ゼロ次ビームを走査することもできる。
【0050】
[0070]ドライバ88により適用される周波数チャープの結果として、ターゲット平面84における回折された一次ビームの入射角は、レーザパルス中に迅速に変化する。所与のチャープ帯域巾Δf及び走査時間T(レーザパルス巾に等しい)に対して、音響−光学走査の解像度ポイントの数(NRP)は、おおよそNRP=ΔfTにより与えられる。レーザビームは、換言すれば、相互に非相関のNRP個の異なる角度成分に分割される。出力光学系98は、ターゲット平面84から角度ビーム成分を収集し、それをテレスコープ56へ収束する。ターゲット平面84(ひいては、ウェハ22)におけるスペックルコントラストの減少は、おおよそ次式で与えられる。
【0051】
【数1】
【0052】
例えば、100−300nsのレーザパルス巾が与えられると、400から800MHzのチャープ帯域巾Δfは、ビームのスペックルを、入力ビームコントラストの6−16%の範囲に減少させる。入力レーザビームの偏光は、出力に保持される。
【0053】
[0071]更に別のオプションとして、トランスジューサは、この技術で良く知られたように、回転ミラースキャナのような他の形式の高速スキャナと置き換えられてもよい。しかしながら、スペックルの減少程度は、走査速度に依存する。
【0054】
[0072]図3Bは、本発明の別の実施形態によるスペックル減少モジュール54の概略側面図である。この実施形態は、光ファイバー束100及び102を使用して、レーザ50からテレスコープ56へビームを搬送する。或いは又、以下に詳細に述べるように、単一の光ファイバー束を使用してもよい。通常、束100及び102は、石英又は他のUV透明ファイバーで構成される。
【0055】
[0073]各束100及び102の個々のファイバーは、長さの異なるものであり、従って、N個の異なるスペックルパターンを形成し、それらは拡散器104により混合される。その結果、テレスコープ56へ出力されるビームにおけるスペックルコントラストは、N1/2の係数で減少される。この技術で知られたシステムの場合と同様に、単一モード光ファイバーの単一束がモジュール54に使用された場合には、出力のスペックルコントラストを入力コントラストの1%に減少するのに、異なる長さのファイバーが10,000本必要とされる。この解決策は、コストがかかると共に、実施が困難である。このため、ここでは、2つの束100及び102が端−端関係で使用され、束100及び102における個々のファイバーの数を各々n及びmとすれば、N=nxm個の異なるスペックルパターンを生じる。従って、束100及び102の各々が百本のファイバーを含む場合には、1%出力コントラストへの希望の減少を達成することができる。しかしながら、以下に述べるように、マルチモードファイバーの束を使用することで、実際的な困難さを少なくしながら、より良好なスペックル減少を得ることができる。
【0056】
[0074]入力カプラー108は、レーザ50からのビームを、拡散器104を経てファイバー束100へ収束する。この目的で、この技術で知られたように、マイクロレンズアレイ又はモードスクランブラーのような適当な形式の拡散素子を使用してもよい。レーザビームのコヒレンス長さが1mmであると仮定すれば、束100は、例えば、百本のファイバーを含み、これらは、1−2mmのステップで長さが均一に等級付けされてもよい。フーリエレンズ110は、束100の出力を束102へ収束し、束100における各ファイバーの出力が束102の実質的に全てのファイバー間に分布されるようにする。束102のファイバーも、長さが等級付けされる。出力カプラー112は、束102からの放射出力をテレスコープ56へ収集する。カプラー108及び112と、フーリエレンズ110は、単純なレンズとして図示されているが、実際には、カプラー及びフーリエレンズは、多素子のテレセントリック光学系で構成されてもよい。端−端ファイバー束をベースとするスペックル除去(de-speckling)システムは、前記米国特許出願公告US2002/0067478A1号に更に詳細に示されている。
【0057】
[0075]図示されていない別の実施形態では、モジュール54は、マルチモードファイバーの単一束で構成されてもよい。この実施形態は、図3Bに示したものと構造が同様であるが、フーリエレンズ110及び束102が除去される。これは、特にレーザ50が複数の横モードを発生するときに有用である。束100のマルチモードファイバーの各々は、ファイバーを通る異なる光学経路長さを有する複数の伝播モードをサポートする。本発明者は、マルチモードレーザと一緒に動作する100本から200本のマルチモードファイバー(ファイバー直径、NA及び長さ等のファイバー特性に基づき)の束は、出力コントラストを1%に減少するのに必要なN=10,000個の異なるスペックルパターンを発生することができる。しかしながら、マルチモードファイバーを使用すると、入力ビームの偏光が破壊される。
【0058】
[0076]マルチモードレーザが放射を放出する横モードの数は、単一モードレーザに対するマルチモードレーザビームの角度発散と、x及びyの各方向における同じビームくびれ直径との良く知られた比をM2とすれば、おおよそ係数Mx2・My2で与えられる。従って、例えば、Mx2=My2=30を有するレーザは、ほぼ1000個の異なる横モードを発生する。各横モードは、自己コヒレントである(レーザのコヒレント長さ内で)が、他の横モードとは空間的に非重畳であり且つ非コヒレントである。ファイバー束が存在しない場合でも、ビームを拡散器に通すことにより横モードを混合すると、ビームのスペックルコントラストは、次式の分だけ減少され、即ち約30の係数で減少される。
【0059】
【数2】
【0060】
或いは又、レーザビームは、上述したように、拡散器を経てフーリエレンズにより異なる長さのマルチモードファイバーの束へ収束されてもよい。この場合に、スペックル減少モジュール54は、レーザの横モード及び縦モードの両方を混合し、束におけるファイバーの数をNとすれば、スペックルコントラストを次式の分だけ減少させる。
【0061】
【数3】
【0062】
N=100、Mx2=My2=10の場合には、レーザビームのスペックルコントラストは、その入力値の1%に減少される。
【0063】
[0077]それとは別に又はそれに加えて、スペックル減少モジュール54は、この技術で知られた他のスペックル減少方法を実施してもよい。又、モジュール54は、レーザビームを均質化する目的も果たし、ビームのエリア、ひいては、ウェハ22の表面に照射されるエリアにわたり実質的に均一の強度プロフィールを与えることができることに注意されたい。
【0064】
[0078]図4は、本発明の一実施形態による照明モジュール24の更に別の要素を示す概略側面図である。この実施形態の幾つかの観点は、図2に示した実施形態とは異なるが、図2に示した他の要素は、簡単化のためにここでは省略されている。当業者であれば、図2及び4に示す特徴及び要素の種々の他の組合せも、システム20に使用できることが理解されよう。
【0065】
[0079]図4に示す実施形態では、異なる倍率のテレスコープ56を備えた単一のテレスコープアッセンブリ120が、レーザヘッド50の両出力波長に使用される。或いは又、図2に示されたように、出力波長の各々に対して個別のテレスコープ56が使用されてもよい。通常、テレスコープ56は、対物平面124の各ポイント(スペックル減少モジュール54からの出力における)が、テレスコープの出力におけるフーリエ平面126の全てのポイントを照明するように、テレセントリックのケラー型光学系を含む。全てのテレスコープ56が同じ焦点面を有し、従って、対物平面124及びフーリエ平面126は、アッセンブリ120の倍率が切り換えられても移動しない。又、テレスコープは、色補正され、両方のレーザ波長において同じ焦点面を有する。テレスコープは、コントローラ32の制御のもとで、必要なときに倍率を容易に切り換えられるように、回転ホイール122に取り付けられてもよい。
【0066】
[0080]この実施形態の二色性ビームスプリッター128は、図2に示した高調波分離モジュール52に置き換わる。このビームスプリッター128は、レーザ波長の一方を第1光学経路130へ通すと共に、他方の波長を第2光学経路132へ通す。各光学経路は、上述したように、フィルタ60及び偏光器62を含む。光学スイッチ134は、どの波長を直角光学系72へ搬送し、どの波長を斜めの光学系74へ搬送するか決定する。スイッチ134は、136a及び136bで示された2つの設定のいずれかに配置される回転ミラー136を含む。この回転ミラーが設定136aにあるときには、光学経路132の放射を斜めの光学系74へと偏向し、一方、経路130の放射を直角光学系72へ向けるように通すのを許容する。スイッチ134の回転ミラーを設定136bへ切り換えると、経路132の放射を直角光学系72へ通す一方、経路130の放射が斜めの光学系74へ偏向される。スイッチ134は、両方の経路130及び132の放射を一緒に直角光学系72又は斜めの光学系74のいずれかに搬送するという更に別の設定を有してもよい。二色性ビーム合成器138は、一方又は両方の経路を必要に応じて直角チャンネルへ向ける。又、スイッチ134は、ウェハ22を単一波長のみで照射することが望まれるときに経路130又は132のいずれかを阻止するためのビームブロック(図示せず)を備えてもよい。
【0067】
[0081]直角及び斜めの光学系72及び74は、レーザビームをウェハ22の希望のエリアへ搬送するためのリレーレンズ140を備えている。更に、斜めの光学系74は、レーザビームを適切な斜めの角度で表面に向ける回転ミラー142を備えている。通常、光学系72及び74は、非像形成光学系であり、直角及び斜めのビームの両方がウェハ表面の実質的に同じエリアを照射するように整列される。(例えば、斜めの光学系74は、レーザビームが軸を外れてこれら光学系を通過して、斜めの入射角を補償するように、整列されてもよい。)カメラ30により像形成されるウェハのエリアは、変化してもよく、ある場合には、以下に述べるように、方形ではなく長方形でもよい。それ故、リレーレンズ140は、レーザビームにより照射されるエリアを、カメラ30により像形成されるエリアに一致させるために、1つ以上の円筒状レンズのようなアナモルフィック素子を含んでもよい。
【0068】
[0082]図5は、本発明の一実施形態による収集モジュール26の概略側面図である。この実施形態及び図1に示す実施形態では、モジュール26は、5つのカメラ30を含むものとして示されている。或いは又、モジュール26は、より少数の又は多数のカメラを備えてもよく、通常、10個ほどのカメラを備えてもよい。上述したように、全てのカメラは、ウェハ22の表面上の共通のエリア148からの散乱放射を像形成するが、各カメラは、異なる角度軸(即ち異なる高さ及び/又は方位)に沿った放射を収集するように構成される。システム20は、主として暗フィールド検出に使用するように設計されるが、1つ以上のカメラ30が、直角入射又は斜め入射のいずれかの照明ビームに関連して、明フィールド検出に使用されてもよい。
【0069】
[0083]対物レンズ150は、エリア148からの散乱光を収集し、コリメートする。散乱光を低い高さで収集するために、対物レンズ150は、高いNAを有するのが好ましく、0.95といった高いNAを有するのが最も好ましい。複数の屈折素子を使用した対物レンズ150の例示的設計を、図6を参照して以下に説明する。或いは又、対物レンズ150は、例えば、上述した米国特許第6,392,793号に説明されたように屈折又は反射屈折素子を備えてもよい。各カメラ30は、図5に示すように、対物レンズ150により収集される光の特定角度部分を受光するように配置される。
【0070】
[0084]各カメラ30に対して、バンドパスフィルタ152は、カメラが受け取るべき波長範囲を選択する。通常、フィルタ152は、照明モジュール24により放出される2つの波長の一方を選択し、他方の波長を拒絶する。又、フィルタ152は、二色性ビームスプリッターとして実施されてもよく、更に、カメラ30の1つが1つの波長における所与の角度に沿った散乱光を受光する一方、別のカメラが他の波長における同じ角度に沿った散乱光を受光するように構成されてもよい。更に別の態様として、フィルタ152は、ウェハ22が蛍光を発すると予想される帯域のような別の波長範囲における放射を通過させるように選択されてもよい。例えば、ホトレジストのような有機材料は、266nmにおいて照射されると、400nmの範囲で蛍光を発する傾向がある。従って、400nm帯域の光を通過するようにフィルタ152を設定すると、カメラ30は、有機材料又はその残留物における欠陥を検出することができる。
【0071】
[0085]空間的フィルタ154は、コリメートされた散乱光のある領域を阻止することにより、各カメラ30の収集角度を制限するように使用することができる。この空間的フィルタは、パターン化されたウェハにおける繰り返し特徴部からのバックグランド回折を排除するのに特に有用である。この空間的フィルタは、ウェハ表面上の特徴部の既知の回折パターンに基づいて、これら強力な回折の節を阻止し、この技術で知られたように、実際の欠陥に対するシステム20の感度を向上させる。この目的で空間的フィルタリングをこのように使用することが、例えば、本特許出願の譲受人に譲渡され、参考としてその開示をここに援用する2002年1月15日に出願された米国特許出願第10/050,890号に説明されている。この特許出願は、異なる分類のウェハパターンの回折ローブに応答して空間的フィルタを適応式に生成する方法を説明している。この方法は、モジュール26のフィルタ154において実施されてもよい。或いは又、空間的フィルタ154は、この技術で知られたように、固定のパターンを含んでもよい。
【0072】
[0086]カメラ30により受光されるべき散乱光の偏光の方向を選択するために、回転可能な偏光器156が光学経路に設けられる。この偏光器は、例えば、ウェハ22の粗面及び/又は高反射面構造によるバックグランド散乱を拒絶することにより検出感度を改善する上で有用である。任意であるが、偏光器156は、2つのカメラ30が直交偏光における所与の角度に沿って散乱された光を受光するように構成された偏光ビームスプリッターとして実施される。
【0073】
[0087]更に別のオプションとして(図示せず)、光学経路は、所与の収集角度に沿って散乱された光を2つ以上の異なるカメラ30間に分割するビームスプリッターを備えてもよい。このビームスプリッターは、上述したように、波長分割に使用されてもよいし、或いは同じ波長を2つ以上のカメラ間で所定の比率で分割するのに使用されてもよい。異なるカメラへのビーム経路においてビームスプリッターに続いて異なる空間的フィルタ154を使用して、ウェハ上の異なる分類のパターンによる回折ローブをフィルタ除去してもよい。更に別の態様として、ビームスプリッターは、所与の角度に沿って散乱された光を2つ以上のカメラ間で不平等に、例えば、100:1の比率で分割してもよい。この構成は、システム20のダイナミックレンジを効果的に増加する。というのは、より小さな分担で放射を受け取るカメラは、より大きな分担で放射を受け取るカメラが飽和するような明るい散乱のエリアでも、依然、意味のある像データを発生できるからである。この種の構成が、例えば、本特許出願の譲受人に譲渡され、参考としてその開示をここに援用する2002年1月15日に出願された米国特許出願第10/050,889号に説明されている。
【0074】
[0088]集束レンズ158は、収集されてフィルタされた光をカメラ30に収束する。このレンズ158は、手動で又はモータ制御のもとで調整可能であってもよい。可変拡大器160を使用して、カメラにより受け取られる拡大像のサイズを変更することができる。或いは又、レンズ158及び拡大器160の機能は、各カメラの単一光学ユニット内に結合されてもよい。拡大器は、カメラ30により捕獲される像の解像度、即ちカメラからの出力像における各ピクセルに対応するウェハ表面上のエリアのサイズを決定する。拡大器160は、通常、照明モジュール24におけるテレスコープ56に関連して動作され、照明されるエリアのサイズが、カメラにより像形成されるエリアにほぼ等しくなるようにする。
【0075】
[0089]各カメラ30は、像増強装置162を備え、そのホトカソードは、集束レンズ及び拡大器の像平面に整列される。この目的で、浜松ホトニクス株式会社(日本、静岡県)により製造されたC6654像増強装置のような第1及び第2世代の両形式を含む適当な形式の像増強管を使用してもよい。システム20の需要環境において最適な像形成を与えるために、増強装置162は、広い帯域巾及び高い解像度を有するのが好ましく、又、通常、約1000パルス/秒までのレーザヘッド50の繰り返し率において、高い電流及び低い蛍光体記憶でゲート動作を実行できるのが好ましい。増強装置162の有用な直径は、少なくとも18mmであるのが好ましいが、それより大きな25−40mmの範囲の直径が更に効果的であろう。
【0076】
[0090]像増強装置162の出力は、リレー光学系164により像センサ166に収束される。このリレー光学系は、例えば、像センサチップに直結されたリレーレンズ又は光ファイバフェイスプレートのいずれを含んでもよい。像センサ166は、この技術で知られたように、CCD又はCMOSアレイのような検出素子の二次元マトリクスで構成される。例えば、像センサは、ミクロン・テクノロジー・インク(アイダホ州、ボイス)により製造されたモデルMI−MV13のようなCMOSデジタル像センサでよい。このセンサは、1280x1024ピクセルを有し、垂直及び水平ピッチが12μmであり、フレーム率が全フレームに対して500フレーム/秒までである。
【0077】
[0091]カメラ30における像増強装置162の使用は、増強を伴わずに像センサ166しか使用しないカメラに対し、カメラの感度を著しく高める。増強装置は、照明モジュール24からの光パルスと同期してゲート作動され、カメラの感度を高めると共に、それらのノイズレベルを更に引き下げることができる。通常、増強装置162のホトカソードは、照明モジュールにより放出される波長において高い量子効率を有するように選択されるが、増強装置の蛍光体は、像センサ166が高い応答性を有する異なる波長範囲において光を放出するように選択することができる。従って、像増強装置は、入射する散乱光を増幅するのに加えて、ウェハ22から散乱される紫外線(UV)及び青い光を、シリコン像センサがより応答し得る緑又は赤の範囲へダウン変換するのにも有用である。更に、増強装置162は、ローパス空間フィルタとして働き、従って、センサ166により出力される像にエイリアシングを引き起こすことのある散乱光における高周波構造を平滑化するのに役立つことができる。
【0078】
[0092]増強装置162は、センサ166の解像度で指令されるような高い解像度を有するのが好ましい。例えば、上述したMV13センサの解像度の完全な利点を取り入れるためには、増強装置162は、像の対角方向に沿って1640個の個別ピクセルを与えるように設計されねばならない。又、この解像度基準は、増強装置の変調伝達関数(MTF)に関して表現されてもよく、これは、33ライン対/mmのテスト像に対してMTF=30%を与える。カメラ30により捕獲された像における明るいポイントは、一般に、像増強管の内部の反射のために明るいハローを形成することになり、これは、像の解像度との妥協になる。増強装置162は、このような反射を抑制して、ハローの直径がいかなる場合も0.2mm以下となるように設計されるのが好ましい。更に、センサ166の感度の全範囲を利用するためには、増強装置162が、通常、600μW/cm2程度の高い最大出力輝度(MOB)まで直線的な振舞いを示さねばならない。
【0079】
[0093]図6は、本発明の一実施形態による対物レンズ150の詳細を示す概略光学図である。この実施形態では、対物レンズ150は、以下に示す寸法(単位mm)を有する全て溶融シリカ(屈折率1.499679)で作られた10個の素子を備えている。各素子の第1表面は、対物平面に接近した表面(図面の右側)であり、又、曲率半径は、曲率の中心が表面の右に配置された表面について、正としてリストされる。
・レンズ170
−第1表面曲率:−554.32;対物平面からの距離:0.10
−厚み:28.92
−第2表面曲率:38.23
・レンズ172
−第1表面曲率:22.17;レンズ172の第2表面からの距離:14.35
−厚み:42.86
−第2表面曲率:59.97
・レンズ174
−第1表面曲率:116.11;レンズ172の第2表面からの距離:0.10
−厚み:28.99
−第2表面曲率:90.24
・レンズ176
−第1表面曲率:233.96;レンズ174の第2表面からの距離:0.10
−厚み:10.00
−第2表面曲率:578.50
・レンズ178
−第1表面曲率:260.16;レンズ176の第2表面からの距離:15.94
−厚み:53.07
−第2表面曲率:136.10
・レンズ180
−第1表面曲率:446.16;レンズ178の第2表面からの距離:0.10
−厚み:10.00
−第2表面曲率:−2850.63
・レンズ182
−第1表面曲率:473.81;レンズ180の第2表面からの距離:34.11
−厚み:28.54
−第2表面曲率:294.90
・レンズ184
−第1表面曲率:701.43;レンズ182の第2表面からの距離:0.10
−厚み:10.00
−第2表面曲率:−4117.15
・レンズ186
−第1表面曲率:1275.43;レンズ184の第2表面からの距離:21.78
−厚み:48.42
−第2表面曲率:395.84
・レンズ188
−第1表面曲率:−11047.73;レンズ186の第2表面からの距離:0.10
−厚み:132.30
−第2表面曲率:313.99
[0094]図6に示す対物レンズ150は、NA=0.95を有する。
【0080】
[0095]図7は、本発明の別の実施形態による収集モジュール26の概略側面図である。この場合に、モジュール26は、図5及び図6のような単一共有対物レンズではなく、それ自身の収集光学系を各々有する複数の別々の像形成チャンネル190を備えている。これらチャンネル190は、各々の異なる角度でウェハ22から散乱された光を収集するように分布される。各チャンネルは、その対物レンズとして、無限焦点リレー192と、傾斜補正ユニット(TCU)194とを備え、これらは、ウェハ表面の中間像196を形成する。拡大モジュール(MGM)198は、中間像を、倍率を調整できる状態で、カメラ30の入口平面に収束する。上述したように、システム20におけるカメラの入口平面は、通常、上述したように、カメラの一部分を形成する像増強装置のホトカソード平面である。
【0081】
[0096]無限焦点リレー192及びTCU194は、斜めの角度で表面を像形成するときに生じる次の2つの問題を解決するように設計される。
【0082】
1.表面上のポイントから対物レンズの入口瞳孔までの対物距離が、対物レンズの視野にわたって変化する。
【0083】
2.対物レンズにより形成される中間像が、対物レンズの光学軸に対する表面の傾斜により傾斜及びスキューされる。
無限焦点リレー及びTCUは、以下に詳細に述べるように、これらの問題を解消し、従って、全てのチャンネル190の中間像196は、チャンネル190がそれらの像を捕獲する角度が異なるにも関わらず、均一な倍率で、ウェハ表面上の同じエリア148のフラットな無歪像となる。ビュー角度に関わらず、全ての無限焦点リレー192に対して、且つ全ての拡大モジュール198に対して、同じ光学設計を使用することができる。TCU194の設計は、チャンネルの光学軸に対する対物平面の傾斜の高さに伴う変化のために、各チャンネル190のビュー角度の高さの関数として変化する。
【0084】
[0097]図8は、本発明の一実施形態による無限焦点リレー192及びTCU196を詳細に示す概略光学図である。無限焦点リレーは、単位倍率のテレセントリック設計のもので、対物平面の傾斜にも関わらず、根本的な歪を生じることがなく、且つエリア148の像を均一に拡大する。無限焦点リレーは、その瞳孔214の周りで光学的に対称的で、以下に示す寸法(単位mm)を有する次の素子(図面の左側から始めて)を含む。各素子の第1表面は、対物平面に接近した表面(図面の左側)であり、又、曲率半径は、曲率の中心が表面の右に配置された表面について、正としてリストされる。
・レンズ200
−第1表面曲率:−29.53;対物平面からの距離:60.48
−厚み:9.99
−第2表面曲率:−36.37
・レンズ202
−第1表面曲率:469.41;レンズ200の第2表面からの距離:32.98
−厚み:14.85
−第2表面曲率:−100.00
・レンズ204
−第1表面曲率:−69.56;レンズ202の第2表面からの距離:36.50
−厚み:4.41
−第2表面曲率:−76.35
・レンズ206
−第1表面曲率:61.15;レンズ204の第2表面からの距離:10.20
−厚み:11.78
−第2表面曲率:−345.29
・レンズ208
−第1表面曲率:−89.75;レンズ206の第2表面からの距離:4.72
−厚み:5.50
−第2表面曲率:54.75
・レンズ210
−第1表面曲率:255.13;レンズ208の第2表面からの距離:38.23
−厚み:18.21
−第2表面曲率:−63.34
・レンズ212
−第1表面曲率:−60.74;レンズ210の第2表面からの距離:41.26
−厚み:19.39
−第2表面曲率:−165.26
レンズ212の第2表面から瞳孔214までの距離は、20.00mmである。瞳孔の右側の素子は、上述した素子と鏡像において同一である。
【0085】
[0098]図8に示す無限焦点リレー192は、波長に基づいて約0.25から0.3のNAを有する。空間的フィルタ154及び偏光器156(並びに必要であれば波長フィルタ)を、図示されたように、瞳孔214に位置するリレー192のフーリエ平面に挿入することができる。
【0086】
[0099]TCU194は、プリズム216を備え、その入口面218は、無限焦点リレー192の像平面にほぼ平行に向けられる。(上述したように、リレー192の光学軸に対するこの像平面の角度は、光学軸に対する対物平面の角度、即ちウェハ22の表面の角度、に等しい。ここに示す実施例では、対物平面及び像平面は、光学軸に対して60°傾斜される。)リレー192により出力される光線の屈折は、中間像196を虚像として生成し、これは、プリズム216の出口面220にほぼ平行となろう。ここに示す実施形態では、リレー192の光学軸とウェハ22の法線との間が60°であり、プリズム216の面218と220との間の頂角が46.56°である。プリズムの角度及び方向は、ウェハ表面に対するリレー192の光学軸の仰角の関数として変化することが明らかである。
【0087】
[0100]プリズム216により導入される擬似コマを補償するために、TCU194は、次の特性(寸法単位mm)を有する一対の溶融シリカ円筒状レンズ222及び224を備えている。
・レンズ222(平凹)
−第1表面曲率:フラット;レンズ200(リレー192の最後のレンズ)の第2表面からの距離:18.51
−厚み:13.78
−第2表面曲率:92.90
−偏心:5.65;傾斜:−4.93°(リレー192の軸に対する)
・レンズ224(平凸)
−第1表面曲率:フラット;レンズ200の第2表面からの距離:39.27
−厚み:11.38
−第2表面曲率:−103.17
−偏心:−15.39;傾斜:−16.77°
この構成では、プリズム216の面218がレンズ200の第2表面から71.27mmに配置され、偏心が−3.84mmで、傾斜が−69.69°である。
【0088】
[0101]図9は、本発明の一実施形態による像形成チャンネル190の1つの概略側面図で、光学系及びカメラ30の機械的設計の態様を示す図である。この実施形態では、機械的便宜性の理由で、無限焦点リレー192は、該リレーの光学軸を、図示された屈曲形態へと曲げる回転ミラー(図示せず)を備えている。しかしながら、機能的には、リレー192は、実質的に上述したように動作する。リレー192の中心に配置されたフィルターユニット230は、偏光器156と、必要に応じて波長フィルタ152(図示せず)及び空間的フィルタ154とを受け入れる。
【0089】
[0102]この実施形態では、集束レンズ158及び拡大モジュール198の位置が、図5の集束レンズ及び拡大器160の位置に対して逆転されているが、それらの機能は、実質的に同じである。モジュール198は、テレスコープアッセンブリ120(図4)の場合のようにモジュールを回転することにより選択できる異なる倍率をもつ複数の異なるレンズを備えている。増強装置162の解像度を約15μmと仮定すれば、カメラ30が、0.5μmから4μmの解像度(対物平面で測定された)でウェハ表面の像を形成することが意図される間に、モジュール198が約4Xから32Xの倍率を与えることが望ましい。拡大モジュール198は、特注の対物レンズ及び/又は既製の顕微鏡用対物レンズの選択を含んでもよく、これは、例えば、これらの倍率要求を満足するように選択される。
【0090】
[0103]図10は、本発明の一実施形態によりシステム20で走査される像236のパターンを示すウェハ22の概略上面図である。ウェハ22は、この技術で知られたように、ダイ232に分割される。ステージ36(図1)は、ウェハ22をラスタパターンで走査し、その走査方向が図10に矢印234で示されている。或いは又、次々の走査線が互いに逆方向に横断されてもよい。ここに示す実施例では、カメラ30は、最初にダイA’、B’、C’、…の像236をラスタの1つの走査線で捕獲し、次いで、像A、B、C、…を後続走査線で捕獲する。各走査線において、a、b、c及びdと示された4つの隣接する次々の像236が各ダイの巾をカバーする。通常、ラスタパターンは、次々の走査線がウェハ22の実質的に全面をカバーするように選択される。しかしながら、図10は、図示明瞭化のために、2本の走査線しか示していない。
【0091】
[0104]照明モジュール24及びカメラ30(図1)は、像236がウェハ24上のダイ232と整列されるようにステージ36と同期される。換言すれば、図10に示すように、像236は、各像a、b、c及びdがダイの所定エリアをカバーするようにダイ境界と整列される。各像のエリアは、それ以前の対応する走査線において同じ像によりカバーされたエリアと一貫したものである。それ故、いずれかのカメラ30によりダイBを捕獲した像aは、同じカメラで捕獲されたダイAの像aと実質的に同じ特徴を像内の同じ位置に含むことが予想される。この対応性は、以下に述べるように、ダイ対ダイの比較を容易にする。上述したように、全てのカメラ30がウェハ22上の同じエリアの各像を同時に捕獲する。従って、図10に示すパターンは、いずれかの及び全てのカメラにより捕獲される像の特性であるが、ビュー角度が異なるためにカメラごとに若干の歪が生じることがある。この歪は、通常、以下に述べるように、ダイ対ダイの比較の後にのみ補正される。
【0092】
[0105]像236とダイ232の境界との整列は、カメラの光学系及び/又はセンサ166(図5)の像捕獲エリアの調整により達成される。上述したMV−13のようなCMOS像センサの利点は、出力のピクセル率を必ずしも減少せずに像における行の数を調整できることである。換言すれば、アクティブな行の数を減少又は増加して希望の像高さを与え、各ダイ232を固定の整数個の像236に分割することができる。次いで、センサのフレーム率を増加又は減少して、像高さの変化を補償し、希望の出力ピクセル率(ひいては、システム20の希望のスループット)を維持する。
【0093】
[0106]図11は、本発明の一実施形態により像プロセッサ34及びホストコンピュータ38で遂行される信号処理オペレーションを概略的に示すブロック図である。像プロセッサ34は、通常各カメラ30に対して1チャンネルずつの、複数の処理チャンネル240を備えている。カメラ30により捕獲された各像フレームは、通常、一連のデジタルピクセル値の形態で対応チャンネル240へ転送される。通常、カメラ30は、8ビットのデジタル値を出力する。上述したCMOSのMV−13センサのようなセンサ166は、通常、オンボードのアナログ/デジタルコンバータを備え、これは、10ビットのような高いビット解像度をもつ強度値を出力することができる。この場合に、各カメラ30は、センサ出力を8ビット値へスケールダウンする10B/8Bコンバータ(図示せず)を備えてもよい。スケーリングは、直線的でもよいし、又は低い強度の特徴を強調するように選択されてもよい。この後者の目的で、例えば、10B/8Bコンバータは、10ビット入力から8ビット出力への平方根又は対数スケーリングをもつルックアップテーブル(LUT)を備えてもよい。
【0094】
[0107]各チャンネル240において、正規化モジュール242は、エネルギーセンサ66(図2)により報告されるレーザエネルギーのパルス対パルス変動を補償するためにピクセル値を補正する。次いで、像補償モジュール246は、所与のカメラで発生される全ての像に生じる一貫した偏差に対してピクセル値を補正し、この偏差は基準入力248により与えられる。基準入力は、通常、予め校正されたもので、カメラにより像形成されるエリア148にわたるレーザビームの強度分布の変動や、カメラにより発生されるピクセル対ピクセル感度変動及び固定パターンノイズを反映するものである。モジュール246の目的は、全てのカメラにより発生される全ての像における全てのピクセルに対して実質的に均一な感度を与えることである。
【0095】
[0108]所与のカメラから受け取られる各像フレームにおける各ピクセルのピクセル値は、ステージ36(図1)の座標に基づき、ウェハ22の既知のダイ上の特定の既知の位置からある角度へ散乱される光の強度に対応する。ダイ対ダイ比較モジュール250は、現在像フレームにおける各ピクセルのピクセル値を、以前に走査されたダイの同じ位置から同じカメラで受け取られたピクセル値と比較する。従って、図10を参照すれば、ダイBの像aの各ピクセルは、ダイAの像aの対応ピクセルと比較され、等々となる。この目的で、以前のダイを走査する際に記録されたピクセル値が遅延線バッファ252に保持される。モジュール250は、座標偏差データ254を使用して、現在のダイと以前のダイを互いに適切に整列させる。座標偏差は、例えば、ステージ36による配置の不正確さ(これは、ビュー角度に関わらず全てのカメラ30に共通となる)から生じるか、或いは光学的焦点に対するウェハ表面の高さ変動(斜めの収集角度のために、カメラごとに異なる座標の偏差を生じさせる)から生じ得る。
【0096】
[0109]所与のダイに欠陥がない限り、現在フレームにおける各ピクセルの全てのピクセル値は、規定の公差内で、バッファ252から読み出されるフレームにおける対応ピクセルのピクセル値と同一でなければならない。一方、所与のピクセルの値が、バッファされたフレームの対応ピクセルの値から所与のスレッシュホールドを越えて異なる場合には、その差が、ピクセルの位置における欠陥を表わすことができる。像処理チャンネル240は、ダイ対ダイ比較においてこのような偏差が見つかったピクセルをホストコンピュータ38へ報告し、該コンピュータは、次いで、種々のチャンネルにより報告される偏差ピクセルの値を、以下に述べるように比較する。
【0097】
[0110]しかしながら、チャンネル240が偏差値をホストコンピュータに報告する前に、歪補正装置255が、異なるカメラ及び処理チャンネル間の像歪及び不整列を補正すべくピクセル値を調整する。この種の歪は、一般に、異なるカメラの角度及び光学経路の差から生じる。歪の補正は、甚だしい計算を伴うタスクである。それ故、補正装置255は、欠陥の疑いのあるエリアのピクセル、例えば、その値が、1つのチャンネル240における比較モジュール250により、以前のダイにおける対応ピクセルから所定スレッシュホールド以上ずれていることが分かったピクセルのみについて、歪を補正するように構成されてもよい。比較モジュール250がチャンネルに異常がないと分かったピクセルについては、それ以上の計算が必要とされない(これは、ウェハ22上の大多数のピクセルを含まねばならない)。スレッシュホールド及び/又は他のピクセル選択基準は、ピクセルのあるパーセンテージ以下、例えば、1%が補正装置255に提示されるように設定されてもよい。
【0098】
[0111]ホストコンピュータにおけるマルチパースペクティブ判断モジュール256(通常ソフトウェアプロセス)は、全ての異なるチャンネル240からの歪補正された偏差ピクセル読みを合成する。所与の疑いのあるピクセルに対して異なるチャンネルから受け取った値に基づいて、モジュール256は、ウェハ22上の対応位置からの散乱放射の角度プロフィールをアッセンブルすることができる。この散乱プロフィールは、モジュール256が、ウェハ上のこの位置で生じた欠陥を、予めプログラムされた判断ルール及びスレッシュホールドに基づいて識別し、一般的に言えば、分類できるようにする。これらのルールは、例えば、所与の位置からの1組の散乱測定値が粒子又はスクラッチ(及び粒子又はスクラッチのサイズ)を表わすかどうか指示する。ウェハ22の走査が完了すると、ホスト38は、見つかった全ての欠陥の位置及び形式を指示する欠陥リストレポート258を発行する。
【0099】
[0112]或いは又、チャンネル240は、ダイ対ダイ比較又は他の欠陥検出処理が実行される前に、全ての像ピクセルにわたり座標歪を補正するように構成されてもよい。この場合には、上述した実施形態のように、像236をダイ232に整列させる必要はない。次いで、各ピクセルに対するダイ対ダイ比較を複数の散乱角度(即ち複数のカメラ30により捕獲される放射)に対して同時に実行してもよい。本特許出願の譲受人に譲渡され、参考としてここにその開示を援用する米国特許出願第10/097,442号は、個々の相違を考慮してこの場合に適用できる多検出器欠陥検出方法を説明している。それとは別に又はそれに加えて、チャンネル240は、モジュール250が、現在ダイを、そのピクセル値が以前に記録された別のウェハの同等のダイと比較するように構成されてもよい(ウェハ対ウェハ比較)。
【0100】
[0113]上述したように、ここに述べた実施形態は、システム20におけるウェハ22の暗フィールド検査を特に参照したが、本発明の原理は、他の分野の光学的検査、並びに他の形式の照明及び像形成システムにも適用できる。従って、上述した実施形態は、一例として取り上げたもので、本発明は、特に図示して上述したものに限定されないことが明らかであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述した種々の特徴の結合及び副次的結合や、従来技術に開示されておらず且つ前記説明を読んだときに当業者に明らかとなるその変更や修正も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態による光学的検査システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による照明モジュールを絵画的に示す図である。
【図3A】本発明の一実施形態によるレーザスペックル減少モジュールの概略側面図である。
【図3B】本発明の別の実施形態によるレーザスペックル減少モジュールの概略側面図である。
【図4】本発明の一実施形態による照明モジュールに使用される光学的拡大及びスイッチ素子の概略側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による光学収集モジュールの概略側面図である。
【図6】本発明の一実施形態による高NAの対物レンズを示す概略光学図である。
【図7】本発明の別の実施形態による光学収集モジュールの概略側面図である。
【図8】本発明の一実施形態による無限焦点リレーレンズ及び傾斜補正ユニットの概略光学図である。
【図9】本発明の一実施形態による光学的検査システムに使用される光学収集チャンネルを絵画的に示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によりウェハ表面の捕獲像のエリアを示す被検査半導体ウェアの概略上面図である。
【図11】本発明の一実施形態により光学的検査に使用するための信号処理サブシステムを概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0102】
20…光学的検査システム、22…半導体ウェハ、24…照明モジュール、26…光学収集モジュール、28…収集光学系、30…カメラ、32…システムコントローラ、34…像プロセッサ、36…X−Y−Zステージ、38…ホストコンピュータ、40…自動焦点照明装置、42…自動焦点センサモジュール、50…レーザヘッド、52…高調波分離モジュール、54…スペックル減少モジュール、56…テレスコープ、58…コリメートレンズ、60…可変光学密度フィルタ、62…偏光器、64…ピックオフビームスプリッター、66…エネルギーメーター、68…リレーミラー、70…光学スイッチモジュール、72…直角出力光学系、74…斜めの出力光学系、82…音響−光学トランスジューサ、84…ターゲット平面、86…円筒状ビーム伸張器、88…ドライバ、97…像形成レンズ、100、102…光ファイバー束、104…拡散器、108…入力カプラー、110…フーリエレンズ、112…出力カプラー、120…単一テレスコープアッセンブリ、124…対物平面、126…フーリエ平面、128…二色性ビームスプリッター、134…光学スイッチ、136…回転ミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学放射を発生するための装置において、
複数の横モードで同時に動作するように構成されて、第1のスペックルコントラストで特徴付けられる入力ビームを発生するためのレーザと、
上記入力ビームの上記横モードを混合して、上記第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生するための光学系と、
を備えた装置。
【請求項2】
上記光学系は拡散器を備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記光学系は、異なる各々の長さを有するマルチモード光ファイバーの少なくとも1つの束を備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記レーザは、ビーム発散比M2によって特徴付けられ、更に、上記第2のスペックルコントラストは、M2に上記第1のスペックルコントラストを乗じたものより小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
レーザ放射ビームのスペックルを減少するための装置において、
ターゲット平面に対してある入射角のビームを走査するように結合された光学スキャナと、
上記スキャナから出て来るビームを、そのビームがある範囲の異なる角度にわたって上記ターゲット平面の単一エリアを照射するように向けて、上記放射を相関除去するように結合された出力光学系と、
を備えた装置。
【請求項6】
上記レーザ放射は、巾が1μsより短いパルスを含み、更に、上記光学スキャナは、上記エリアに形成されるスペックルのコントラストを10%未満に減少するに充分な速度で上記ビームを走査するように適応される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
上記光学スキャナは、上記エリアに形成されるスペックルのコントラストを約1%以下に減少するに充分な速度で上記ビームを走査するように適応される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
上記光学スキャナは、上記ビームの一部分を回折により偏向すると共に、上記入射角のビームの上記偏向された部分を上記範囲の異なる角度にわたって走査するように適応された光学−電子スキャナを備えた、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
上記光学−電子スキャナは、
音響−光学トランスジューサと、
周波数チャープされたパルスを上記トランスジューサに印加して、上記ビームの上記偏向された部分を走査するように結合されたドライブ回路と、
を備えた請求項8に記載の装置。
【請求項10】
サンプルを光学的に検査するための装置において、
上記サンプル上のエリアの像を捕獲するように構成された検出器アッセンブリと、
第1及び第2の異なる各波長を有する第1及び第2の放射ビームを発生するように適応されたレーザソースと、
上記第1及び第2の放射ビームを、上記サンプル上の上記エリアを照射するように向けるよう結合された照明モジュールであって、各ビームが上記エリアを直角に又は斜めに照射するように第1及び第2の両ビームを同時に且つ独立して向けさせるよう動作する光学スイッチを含む照明モジュールと、
を備えた装置。
【請求項11】
上記光学スイッチは、上記第1ビームを表面に直角に入射するように向ける一方、上記第2ビームを表面に斜めに入射するように向けるよう構成できる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記照明モジュールは、上記表面に斜めに入射する放射を、上記第1及び第2の両ビームが実質的に同様の幾何学的プロフィールで上記表面の上記エリアを照射するように向けるよう結合されたリレー光学系を備えた、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
上記照明モジュールは、上記レーザソース又は上記照明モジュールの他の要素を移動せずに、上記レーザソースにより照射される上記エリアのサイズを変更するように選択できる倍率をもつテレセントリック拡大光学系を備えた、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
光学放射を発生するための方法において、
レーザを複数の横モードで同時に動作して、第1のスペックルコントラストにより特徴付けられる入力ビームを発生するステップと、
上記入力ビームの上記横モードを混合して、上記第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生するステップと、
を備えた方法。
【請求項15】
上記横モードを混合する上記ステップは、上記入力ビームを拡散器に通すことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記横モードを混合する上記ステップは、上記入力及び出力ビームの少なくとも1つを、各々異なる長さを有するマルチモード光ファイバーの束に通すことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
上記レーザは、ビーム発散比M2によって特徴付けられ、更に、上記第2のスペックルコントラストは、M2に上記第1のスペックルコントラストを乗じたものより小さい、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
レーザ放射ビームのスペックルを減少するための方法において、
ターゲット平面に対する上記ビームの入射角を変化させるように上記ビームを光学的に走査するステップと、
上記走査されたビームを、上記ビームが上記ターゲット平面の単一エリアをある範囲の異なる角度にわたって照射するように向けて、上記放射を相関除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項19】
上記レーザ放射は、巾が1μsより短いパルスを含み、更に、上記入射角のビームを光学的に走査する上記ステップは、上記エリアに形成されるスペックルのコントラストを10%未満に減少するに充分な速度で上記入射角のビームを走査することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記ビームを走査する上記ステップは、上記エリアに形成されるスペックルのコントラストを約1%以下に減少するに充分な速度で上記ビームを走査することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記ビームを光学的に走査する上記ステップは、光学−電子スキャナを適用して、上記ビームの一部分を回折により偏向し、上記入射角のビームの上記偏向された部分を上記範囲の異なる角度にわたって走査することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
光学−電子スキャナを適用する上記ステップは、周波数チャープされたパルスを音響−光学トランスジューサに印加して、上記ビームの上記偏向された部分を走査することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
サンプルを光学的に検査するための方法において、
第1及び第2の異なる各波長を有する第1及び第2のレーザ放射ビームを発生するステップと、
上記第1及び第2の放射ビームを、光学スイッチを経て上記サンプル上のエリアを照射するように向けるステップであって、上記光学スイッチは、各ビームが上記エリアを直角に又は斜めに照射するように、上記第1及び第2の両ビームを同時に且つ独立して向けるよう動作するものであるステップと、
上記エリアから散乱された放射を捕獲して、上記エリアの像を形成するステップと、
を備えた方法。
【請求項24】
上記第1及び第2のビームを向ける上記ステップは、上記第1ビームを表面に直角に入射するように向ける一方、上記第2ビームを表面に斜めに入射するように向けるよう上記光学スイッチを操作することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
上記第2ビームを向けることは、上記表面に斜めに入射する放射を、上記第1及び第2の両ビームが実質的に同様の幾何学的プロフィールで上記表面の上記エリアを照射するように向けることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記第1及び第2のビームを向ける上記ステップは、レーザソース又は照明モジュールの他の要素を移動せずに、上記レーザソースにより照射されるエリアのサイズを変更するように選択できる倍率をもつテレセントリック拡大光学系に上記ビームを通すことを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
光学放射を発生するための装置において、
複数の横モードで同時に動作するように構成されて、第1のスペックルコントラストで特徴付けられる入力ビームを発生するためのレーザと、
上記入力ビームの上記横モードを混合して、上記第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生するための光学系と、
を備えた装置。
【請求項2】
上記光学系は拡散器を備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記光学系は、異なる各々の長さを有するマルチモード光ファイバーの少なくとも1つの束を備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記レーザは、ビーム発散比M2によって特徴付けられ、更に、上記第2のスペックルコントラストは、M2に上記第1のスペックルコントラストを乗じたものより小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
レーザ放射ビームのスペックルを減少するための装置において、
ターゲット平面に対してある入射角のビームを走査するように結合された光学スキャナと、
上記スキャナから出て来るビームを、そのビームがある範囲の異なる角度にわたって上記ターゲット平面の単一エリアを照射するように向けて、上記放射を相関除去するように結合された出力光学系と、
を備えた装置。
【請求項6】
上記レーザ放射は、巾が1μsより短いパルスを含み、更に、上記光学スキャナは、上記エリアに形成されるスペックルのコントラストを10%未満に減少するに充分な速度で上記ビームを走査するように適応される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
上記光学スキャナは、上記エリアに形成されるスペックルのコントラストを約1%以下に減少するに充分な速度で上記ビームを走査するように適応される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
上記光学スキャナは、上記ビームの一部分を回折により偏向すると共に、上記入射角のビームの上記偏向された部分を上記範囲の異なる角度にわたって走査するように適応された光学−電子スキャナを備えた、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
上記光学−電子スキャナは、
音響−光学トランスジューサと、
周波数チャープされたパルスを上記トランスジューサに印加して、上記ビームの上記偏向された部分を走査するように結合されたドライブ回路と、
を備えた請求項8に記載の装置。
【請求項10】
サンプルを光学的に検査するための装置において、
上記サンプル上のエリアの像を捕獲するように構成された検出器アッセンブリと、
第1及び第2の異なる各波長を有する第1及び第2の放射ビームを発生するように適応されたレーザソースと、
上記第1及び第2の放射ビームを、上記サンプル上の上記エリアを照射するように向けるよう結合された照明モジュールであって、各ビームが上記エリアを直角に又は斜めに照射するように第1及び第2の両ビームを同時に且つ独立して向けさせるよう動作する光学スイッチを含む照明モジュールと、
を備えた装置。
【請求項11】
上記光学スイッチは、上記第1ビームを表面に直角に入射するように向ける一方、上記第2ビームを表面に斜めに入射するように向けるよう構成できる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記照明モジュールは、上記表面に斜めに入射する放射を、上記第1及び第2の両ビームが実質的に同様の幾何学的プロフィールで上記表面の上記エリアを照射するように向けるよう結合されたリレー光学系を備えた、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
上記照明モジュールは、上記レーザソース又は上記照明モジュールの他の要素を移動せずに、上記レーザソースにより照射される上記エリアのサイズを変更するように選択できる倍率をもつテレセントリック拡大光学系を備えた、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
光学放射を発生するための方法において、
レーザを複数の横モードで同時に動作して、第1のスペックルコントラストにより特徴付けられる入力ビームを発生するステップと、
上記入力ビームの上記横モードを混合して、上記第1のスペックルコントラストより実質的に小さい第2のスペックルコントラストを有する出力ビームを発生するステップと、
を備えた方法。
【請求項15】
上記横モードを混合する上記ステップは、上記入力ビームを拡散器に通すことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記横モードを混合する上記ステップは、上記入力及び出力ビームの少なくとも1つを、各々異なる長さを有するマルチモード光ファイバーの束に通すことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
上記レーザは、ビーム発散比M2によって特徴付けられ、更に、上記第2のスペックルコントラストは、M2に上記第1のスペックルコントラストを乗じたものより小さい、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
レーザ放射ビームのスペックルを減少するための方法において、
ターゲット平面に対する上記ビームの入射角を変化させるように上記ビームを光学的に走査するステップと、
上記走査されたビームを、上記ビームが上記ターゲット平面の単一エリアをある範囲の異なる角度にわたって照射するように向けて、上記放射を相関除去するステップと、
を備えた方法。
【請求項19】
上記レーザ放射は、巾が1μsより短いパルスを含み、更に、上記入射角のビームを光学的に走査する上記ステップは、上記エリアに形成されるスペックルのコントラストを10%未満に減少するに充分な速度で上記入射角のビームを走査することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記ビームを走査する上記ステップは、上記エリアに形成されるスペックルのコントラストを約1%以下に減少するに充分な速度で上記ビームを走査することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記ビームを光学的に走査する上記ステップは、光学−電子スキャナを適用して、上記ビームの一部分を回折により偏向し、上記入射角のビームの上記偏向された部分を上記範囲の異なる角度にわたって走査することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
光学−電子スキャナを適用する上記ステップは、周波数チャープされたパルスを音響−光学トランスジューサに印加して、上記ビームの上記偏向された部分を走査することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
サンプルを光学的に検査するための方法において、
第1及び第2の異なる各波長を有する第1及び第2のレーザ放射ビームを発生するステップと、
上記第1及び第2の放射ビームを、光学スイッチを経て上記サンプル上のエリアを照射するように向けるステップであって、上記光学スイッチは、各ビームが上記エリアを直角に又は斜めに照射するように、上記第1及び第2の両ビームを同時に且つ独立して向けるよう動作するものであるステップと、
上記エリアから散乱された放射を捕獲して、上記エリアの像を形成するステップと、
を備えた方法。
【請求項24】
上記第1及び第2のビームを向ける上記ステップは、上記第1ビームを表面に直角に入射するように向ける一方、上記第2ビームを表面に斜めに入射するように向けるよう上記光学スイッチを操作することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
上記第2ビームを向けることは、上記表面に斜めに入射する放射を、上記第1及び第2の両ビームが実質的に同様の幾何学的プロフィールで上記表面の上記エリアを照射するように向けることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記第1及び第2のビームを向ける上記ステップは、レーザソース又は照明モジュールの他の要素を移動せずに、上記レーザソースにより照射されるエリアのサイズを変更するように選択できる倍率をもつテレセントリック拡大光学系に上記ビームを通すことを含む、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−515668(P2006−515668A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541513(P2004−541513)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/028054
【国際公開番号】WO2004/031741
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(504273782)アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド (18)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/028054
【国際公開番号】WO2004/031741
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(504273782)アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド (18)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]