説明

光学的空気データシステムおよび方法

【課題】改良された、遠隔で空気を検知する方法および光学的に空気データを検知するシステムを提供すること。
【解決手段】遠隔で空気を検知する方法であって、該方法は、同調可能なレーザによってレーザ放射を生成することと、該レーザ放射を投射される成分およびコントロール成分にスプリットすることと、 該コントロール成分を1つ以上の電子的コントロール信号に変換することと、 該投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘発することと、該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信することと、該後方散乱放射を1つ以上の電子的後方散乱放射信号に変換することとを包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、共有に係る同時係属中の米国特許出願第11/488,259号に対する優先権の利益を請求し、かつ該米国特許出願第11/488,259号の一部継続である。米国特許出願第11/488,259号は、2005年7月15日に出願された米国仮特許出願第60/699,630号に対する優先権の利益を請求する。この出願はまた、2005年4月11日に出願された米国出願第11/103,020号の一部継続であり、該米国出願第11/103,020号は、2003年8月1日に出願された米国出願第10/632,735号の継続であり、該米国出願第10/632,735号は今では米国特許第6,894,768号であり、該米国特許第6,894,768号は、2002年8月2日に出願された米国仮特許出願第60/400,462号に対する優先権の利益を請求する。前記出願のすべては参考として本明細書に援用される。
【0002】
(米国政府権利)
本発明は一部分、米国政府の支持によってなされた。米国政府は、NASA Dryden Flight Reseach Centerによって授与された許諾#NAS4−02043の条件によって規定されているように、本発明における特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
空気データシステム(「ADS])は、パイロット、ナビゲータまたは車両管理システムコンピュータに、航空機の安定性に影響を与える空気パラメータについて知らせる検知式テレメトリを提供する。これらの空気パラメータは、例えば、対気速度、気温および気圧を含み、各々は、ナビゲーションおよびフライトコントロールに対して有用である。ADSは多くの形式で、例えば機械的デバイス、光学機械式デバイス、または光電子工学デバイスとして存在する。
【0004】
光学的空気データシステム(「OADS」)は、対気速度のパラメータを決定するために光を使用する。OADSは、光パルスを大気の中に伝送し、エアロゾルが航空機に向かって反射、または「後方散乱」させる光を受信する。エアロゾルは、空気または他の気体中に漂う細かな固体粒子および/または液体粒子である。OADSはまた、後方散乱させられた光を受信し、そのリターン周波数を測定することによってドップラー効果を測定して、速度を決定する。特定の先行技術OADSは散乱光に依存しているが、散乱光は、高度および雲の含有量によって大きく変化するエアロゾルの分布により予測不可能である。さらに、大気の一部の領域は、エアロゾルの含有量が少なすぎて、確実な空気データ測定が不可能であり、かかるOADSは、気温も気圧も決定し得ない。
【0005】
地上を基地とする空気データ測定は、例えば天候モニタリングのための風の測定、天候の予測、および交通警報のような他の適用においても興味深い。
【0006】
飛行場の近くでの、および飛行場への進入経路での風の状態は、パイロットにとって大きな関心があり得る。特に、1985年、ダラスに着陸を試みたロッキードL−1011の訃報はマイクロバーストが原因であり、これ以来、ウインドシアー、上昇気流、下降気流、およびマイクロバースト状態の改良された検出および測定に関心が集まっている。航空機は特に、離着陸の大事な段階では、かかる風の状態に対して敏感である。航空機の破壊および乗員乗客の死亡を避け得るために、飛行場にかかる状態の検出のためのデバイスを装備することが望ましい。
【0007】
潜在的に有害な風の状態を検出する試みとして、風の状態はしばしば、飛行場の1つよりも多い点で測定される。ウインドシアーは、高度に対する対気速度および方向の差によって特徴付けられるので、地表近くだけではなく、幾つかの高度で風の状態を測定することが望ましい。
【0008】
米国および幾つかの州による税および他の誘因が、風力システムを含む再生可能なエネルギー源から電力を取得することに対する関心を増大させた。地表および地表から数百メータ内の高度での、風速、気温、乱気流の詳細な測定、および同様な情報は、風力システムのための位置を評価する際に有用である。さらに、地表および高度での風の状態、乱気流、および温度のリアルタイム測定は、風力システムを制御する際に、およびかかるシステムを悪条件から保護するために上昇気流およびマイクロバーストを予測することに役立てる際に有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
空気を検知する方法は、レーザエネルギーをレーザ放射として空気に投射するための少なくとも1つの、時として3つのトランシーバを含む。3つのトランシーバを使用するとき、トランシーバは、幾つかの異なる軸に沿って整列させられ、1つのトランシーバを使用するときは、投射された放射がスキャンされ得る。各トランシーバは、レーザエネルギーが空気から後方散乱させられるとき、レーザエネルギーを受信する。コンピュータが、1つ以上のトランシーバからの信号を処理して、分子散乱レーザ放射をエアロゾル散乱レーザ放射から区別して、散乱レーザ放射に基づいて気温、風速、および風向を決定する。風力サイト評価、風力タービン制御、天候モニタリング、航空機空気データ検知、および飛行場の安全に対する方法の適用が提示される。一部の実施形態において、レーザエネルギーが、関心のある領域をカバーするためにスキャンされる。
【0010】
空気データを光学的に検知するシステムは、レーザ放射を生成するための同調可能なレーザ、およびレーザ放射を投射される成分およびコントロール成分にスプリットするためのビームスプリッタを有する。コントロール成分検出器は、光ノッチフィルタを通してコントロール成分の少なくとも一部分を受信して、電子的コントロール信号を生成する。投射される成分は空気の中に発散され、散乱放射の一部分は、後方散乱放射として受信され、その一部分は、光ノッチフィルタを通して後方散乱放射検出器の中で受信されて、後方散乱放射検出器から電子的後方散乱信号を生成する。同調可能なレーザの波長がスイープされ、かつコントロール信号および後方散乱信号が比較されて、ドップラーシフトを決定し、これは、風速を決定するために使用される。一実施形態において、擬似乱数シーケンス発生器がレーザ放射を変調し、電子的後方散乱信号がランダムシーケンスと相互に関連付けられて、システムからの幾つかの範囲においてドップラーシフトを決定する。
【0011】
例えば、本発明は以下を提供する。
【0012】
(項目1)
遠隔で空気を検知する方法であって、該方法は、
同調可能なレーザによってレーザ放射を生成することと、
該レーザ放射を投射される成分およびコントロール成分にスプリットすることと、
該コントロール成分を1つ以上の電子的コントロール信号に変換することと、
該投射される成分を空気の中に投射して、散乱放射を誘発することと、
該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信することと、
該後方散乱放射を1つ以上の電子的後方散乱放射信号に変換することであって、
第1の部分をフィルタがかけられていない後方散乱電子信号に変換することと、
光ノッチフィルタを使用して、該後方散乱放射の少なくとも一部分にフィルタをかけて、フィルタがかけられた部分を形成することと、
該フィルタがかけられた部分をフィルタがかけられた後方散乱電子信号に変換することとを含む、変換することと、
該1つ以上の電子的コントロール信号および該1つ以上の電子的後方散乱放射信号を処理して、ドップラーシフトを決定することと、
該ドップラーシフトを処理して、風速を決定することと
を包含する、方法。
【0013】
(項目2)
少なくとも1つの電子的コントロール信号は、上記コントロール成分を上記光ノッチフィルタでフィルタをかけることによって導き出される、項目1に記載の方法。
【0014】
(項目3)
レーザ放射は、少なくとも2つの軸に沿って投射され、ドップラーシフトが、該軸の各々に沿って決定され、該軸のおのおのに沿った該ドップラーシフトが、風速および風向を決定するために使用される、項目2に記載の方法。
【0015】
(項目4)
レーザ放射は、少なくとも3つの軸に沿って投射され、ドップラーシフトが、該軸の各々に沿って決定され、該軸のおのおのに沿った該ドップラーシフトが、風速および風向を決定するために使用される、項目3に記載の方法。
【0016】
(項目5)
上記後方散乱放射のレイリー散乱成分から気温を決定することをさらに包含する、項目3に記載の方法。
【0017】
(項目6)
上記レーザ放射をスキャンして、ある体積の空気内における複数の位置で、風速および風向情報を取得することをさらに包含する、項目4に記載の方法。
【0018】
(項目7)
風力システムサイト調査のために上記風速および風向を周期的に記録することをさらに包含する、項目4に記載の方法。
【0019】
(項目8)
擬似乱数シーケンスによって上記レーザを変調することと、ヒストグラミングタイプのメモリで上記受信された後方散乱放射を格納することと、この受信された後方散乱放射を該擬似乱数シーケンスと相互に関連付け、上記同調可能なレーザから少なくとも1つの特定の距離における風速を取得することとをさらに包含する、項目4に記載の方法。
【0020】
(項目9)
上記レーザ放射をスキャンして、ある体積の空気内における複数の位置で、風速および風向情報を取得することをさらに包含する、項目8に記載の方法。
【0021】
(項目10)
風力システムサイト調査のために上記風速および風向を記録することをさらに包含する、項目8に記載の方法。
【0022】
(項目11)
風力タービンの少なくとも1つのブレードに対するブレードピッチを決定することをさらに包含する、項目9に記載の方法。
【0023】
(項目12)
上記レーザ放射が、風力タービンの1つの位置から空気の中に発散される、項目1に記載の方法。
【0024】
(項目13)
上記風力タービンの上記位置は、風力タービンのハブまたはナセル上にある、項目12に記載の方法。
【0025】
(項目14)
上記レーザを擬似乱数シーケンスによって変調することと、ヒストグラミングタイプのメモリ内に上記受信された後方散乱放射を格納することと、該受信された後方散乱放射を該擬似乱数シーケンスと相互に関連付け、上記同調可能なレーザから少なくとも1つの特定の距離における風速を取得することとをさらに包含する、項目13に記載の方法。
【0026】
(項目15)
複数の高度における風速および風向を決定し、該風速および風向に応答して、上記風力タービンに対するブレードピッチを決定することをさらに包含する、項目14に記載の方法。
【0027】
(項目16)
光学的に空気データを検知するシステムであって、該システムは、
レーザ放射を生成する同調可能なレーザと、
該レーザ放射を投射される成分およびコントロール成分にスプリットする少なくとも1つのビームスプリッタと、
少なくとも1つの光ノッチフィルタと、
少なくとも1つのコントロール成分検出器であって、該少なくとも1つの光ノッチフィルタを通して該コントロール成分の少なくとも一部分を受信して、該コントロール成分の少なくとも一部分から電子的コントロール信号を生成するように結合された、検出器と、
装置であって、該投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘発し、該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信する、装置と、
少なくとも1つの後方散乱放射検出器であって、該少なくとも1つの光ノッチフィルタを通して、該後方散乱放射の少なくとも一部分を受信し、該後方散乱放射の少なくとも一部分から電子的後方散乱信号を生成するように結合された、検出器と、
コントロールおよび計算装置であって、該同調可能なレーザの波長をスイープし、該電子的後方散乱信号および該電子的コントロール信号を受信して、該電子的後方散乱信号および該電子的コントロール信号からドップラーシフトを決定し、そして該ドップラーシフトを処理して風速を決定する、装置と
を備えている、システム。
【0028】
(項目17)
擬似乱数シーケンスを生成する擬似乱数シーケンス発生器と、
該擬似乱数シーケンスによって上記レーザ放射を変調する変調器と
をさらに備え、
上記コントロールおよび計算装置が、該擬似乱数シーケンスを上記電子的後方散乱信号と相互に関連付けて、上記システムからの複数の範囲において上記ドップラーシフトを決定する、項目16に記載のシステム。
【0029】
(項目18)
上記コントロールおよび計算装置は、上記電子的後方散乱信号を分析して、レイリー散乱を決定し、かつ上記システムからの複数の範囲において該レイリー散乱から気温を決定する、項目17に記載のシステム。
【0030】
(項目19)
デジタルデータレコーダをさらに備え、該デジタルデータレコーダは、1時間毎に少なくとも4回、最小風速、平均風速、およびピーク突風風速データを気温データと共に記録するように構成される、項目18に記載のシステム。
【0031】
(項目20)
上記デジタルデータレコーダは、上記システムからの少なくとも4つの範囲において、最小風速、平均風速、およびピーク突風風速を気温と共に記録するように構成される、項目19に記載のシステム。
【0032】
(項目21)
上記コントロールおよび計算装置は、上記電子的後方散乱信号を分析して、レイリー散乱を決定し、かつ上記システムからの複数の範囲において該レイリー散乱から気温を決定する、項目17に記載のシステム。
【0033】
(項目22)
上記投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘導し、かつ該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信する上記装置は、ある体積の空域をスキャンするように適合される、項目21に記載のシステム。
【0034】
(項目23)
少なくとも1つの風力タービンの少なくとも1つのブレードピッチを制御するコントロール装置をさらに備えている、項目22に記載のシステム。
【0035】
(項目24)
上記コントロールおよび計算装置は、少なくとも1つの風力タービンのブレードの動きを風として読み取ることを避けるために、上記後方散乱放射の少なくとも一部を選択的に無視する、項目23に記載のシステム。
【0036】
(項目25)
上記コントロールおよび計算装置は、角度および範囲の情報を上記少なくとも1つの風力タービンの位置と比較することによって、どの後方散乱放射を無視するべきかを決定する、項目24に記載のシステム。
【0037】
(項目26)
上記システムの少なくとも一部分は、ナセルおよびハブからなる群から選択された風力タービンの要素内に位置する、項目23に記載のシステム。
【0038】
(項目27)
上記コントロールおよび計算装置は、危険な風速、ウインドシアー、マイクロバースト、およびダストデビルからなる群から選択される風の状態に関する警報を提供するように適合される、項目22に記載のシステム。
【0039】
(項目28)
上記コントロールおよび計算装置は、対流不安定性、地形によって誘発された流れの不規則性、障害によって誘発された流れの不規則性および粗い地表の上を押す風からなる群から選択される事象によって引き起こされる乱気流に関する警報を提供するように適合される、項目22に記載のシステム。
【0040】
(項目29)
光学的に空気データを検知するシステムであって、該システムは、
擬似乱数シーケンスを発生させる擬似乱数シーケンス発生器と、
擬似乱数シーケンスによって変調されるレーザ放射を生成する同調可能なレーザと、
該レーザ放射を投射される成分およびコントロール成分にスプリットする少なくとも1つのビームスプリッタと、
少なくとも1つの光ノッチフィルタと、
少なくとも1つのコントロール成分検出器であって、該少なくとも1つの光ノッチフィルタを通して該コントロール成分の少なくとも一部分を受信して、該コントロール成分の少なくとも一部分から電子的コントロール信号を生成するように結合された、検出器と、
装置であって、該投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘発し、該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信する、装置と、
少なくとも1つの後方散乱放射検出器であって、該少なくとも1つの光ノッチフィルタを通して、該後方散乱放射の少なくとも一部分を受信して、該後方散乱放射の少なくとも一部分から電子的後方散乱信号を生成するように結合された、検出器と、
コントロールおよび計算装置であって、該同調可能なレーザの波長をスイープし、該電子的後方散乱信号および該電子的コントロール信号を受信し、そして該擬似乱数シーケンスを該電子的後方散乱信号と相互に関連付けて、該システムからの複数の範囲においてドップラーシフトを決定する、装置と
を備え、該コントロールおよび計算装置は、該電子的後方散乱信号を分析して、レイリー散乱を決定し、かつ該システムからの複数の範囲において該レイリー散乱から気温を決定する、システム。
【0041】
(項目30)
上記レーザ放射は複数の軸に沿って向けられ、上記コントロールおよび計算装置は、複数の範囲における該複数の軸に沿って、決定されたドップラーシフトからの該複数の範囲において、風速および風向を決定する、項目29に記載のシステム。
【0042】
(項目31)
デジタルデータレコーダをさらに備え、該デジタルデータレコーダは、1時間毎に少なくとも4回、上記システムからの少なくとも4つの範囲において、最小風速、平均風速、およびピーク突風風速データを気温データと共に記録するように構成され、該デジタルデータレコーダは、少なくとも1ヶ月間の風速データに対して格納容量を有する、項目30に記載のシステム。
【0043】
(項目32)
上記投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘導し、かつ該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信する上記装置は、ある体積の空域をスキャンするように適合される、項目31に記載のシステム。
【0044】
(項目33)
少なくとも1つの風力タービンの少なくとも1つのブレードピッチを制御するコントロール装置をさらに備えている、項目32に記載のシステム。
【0045】
(項目34)
上記コントロールおよび計算装置は、少なくとも1つの風力タービンのブレードの動きを風として読み取ることを避けるために、決定された角度および範囲の情報を該少なくとも1つの風力タービンの位置と対応する角度および範囲の情報と比較することによって風速データにフィルタをかける、項目33に記載のシステム。
【0046】
(項目35)
第2の風力タービンの少なくとも1つのブレードピッチを制御するコントロール装置をさらに備えている、項目34に記載のシステム。
【0047】
(項目36)
上記システムの少なくとも一部分は、ナセルおよびハブからなる群から選択された風力タービンの要素内に位置する、項目35に記載のシステム。
【0048】
(項目37)
上記コントロールおよび計算装置は、関心のある領域における速い風速の災害、乱気流、ウインドシアー、マイクロバースト、およびダストデビルからなる群から選択される風の状態に関する警報を提供するように適合される、項目32に記載のシステム。
【0049】
(項目38)
上記コントロールおよび計算装置は、関心のある領域における、接近する風の状態、および航空機の進入路内の風の状態に関する警報を提供するように適合される、項目32に記載のシステム。
【0050】
(項目39)
上記システムが飛行場の近くに設置され、関心のある領域は、飛行場トラフィックパターン領域を包含し、上記コントロールおよび計算装置は、該飛行場トラフィックパターン領域における危険な風の状態に関して警報を提供するように適合される、項目32に記載のシステム。
【0051】
(項目40)
上記システムが設置され、関心のある領域は、ハイウェーの近くの領域を包含し、上記コントロールおよび計算装置は、危険な風の状態が該関心のある領域において検出されると、交通警報を提供するように適合される、項目32に記載のシステム。
【0052】
(開示の要約)
空気を検知するシステムおよび方法は、レーザエネルギーをレーザ放射として空気に投射するための少なくとも1つの、一部の実施形態においては3つのトランシーバを含む。トランシーバは、幾つかの異なる軸に沿ってスキャンされるか、または整列させられる。各トランシーバは、レーザエネルギーが空気から後方散乱させられるとき、レーザエネルギーを受信する。コンピュータが、送受信きからの信号を処理して、分子散乱レーザ放射をエアロゾル散乱レーザ放射から区別して、散乱レーザ放射に基づいて気温、風速、および風向を決定する。風力サイト評価、風力タービン制御、交通安全、一般的気象モニタリング、および飛行場の安全に対するシステムの適用が提示される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、一実施形態による一光学的空気データシステム(「OADS」)を示す。
【図2】図2は、一実施形態による1つのOADSを示す。
【図3】図3は、一実施形態による、OADSに対する例示的な対気速度計算を示す。
【図4】図4〜図7は、一実施形態による、OADSに対する他の空気パラメータのための例示的な計算を示すグラフを示す。
【図5】図4〜図7は、一実施形態による、OADSに対する他の空気パラメータのための例示的な計算を示すグラフを示す。
【図6】図4〜図7は、一実施形態による、OADSに対する他の空気パラメータのための例示的な計算を示すグラフを示す。
【図7】図4〜図7は、一実施形態による、OADSに対する他の空気パラメータのための例示的な計算を示すグラフを示す。
【図8】図8は、一実施形態による、OADSの動作の一例示的な方法を示す流れ図である。
【図9】図9は、一実施形態による、OADSの動作の一例示的な方法を示す流れ図である。
【図10】図10は、範囲レゾルーションに対するランダム変調連続波アップローチを使用するOADSの実施形態のブロック図である。
【図11】図11は、飛行場の近くの航空機または風力システムに対して危険を及ぼし得る一部の風の状態を図示する。
【図12】図12は、風力システムに対する適用を図示する。
【図13】図13は、地上を基地とする適用に対して適切な空気データシステムの実施形態のブロック図である。
【図14】図14は、地上を基地とする空気データシステムの代替の実施形態を図示する。
【図15】図15は、ある位置の周りの風速および温度をマッピングする地上を基地とする空気データシステムのスキャニング実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(実施形態の詳細な説明)
図1は、航空機102に取り付けられた、またはこの中の1つの光学的空気データシステム(「OADS」)101を示す。この実施形態において、OADS101は、空気104に対してレーザ放射103を放出するように構成されている。レーザ放射103は、空気104およびエアロゾル粒子105(空気104中の)に衝突し、レーザ放射103の散乱を引き起こし、レーザ放射103の散乱は、図1において散乱フィールド106として表されている。航空機102と散乱フィールド106との間の距離は、レーザ放射103と航空機102からやや離れたトランシーバ110フィールドとの間の重複部分によって制御され、リターンレーザ放射107に最適化された強度を提供し、かつ航空機102に近接する押しのけられた空気から生じる起こり得る測定誤差をなくする。OADS101は、レーザ散乱フィールド106において空気104から後方散乱させられた後方散乱レーザ放射107を検出する。放射107は、例えば250nm〜270nmの範囲内にある波長を有する紫外線(UV)スペクトルの中にあり得る。しかしながら、他の範囲が代替として、散乱フィールド106を生み出すために使用され得る。
【0055】
リターンレーザ放射107は通常、分子散乱(例えばレイリー)成分107Aおよび/またはエアロゾル散乱(例えばミー)成分107Bを含む。OADS101は、分子散乱成分107Aをエアロゾル散乱成分107Bから区別し、これに応じて、後方散乱レーザ放射107に基づき、1つ以上の空気パラメータを決定する。かかる空気パラメータの例は、対気速度、気圧、気温および/または局地的な風に対する航空機配向角度を含む。OADS101は、無人航空機(UAV)、ヘリコプタ、ミサイル、グライダーおよびスペースシャトルを含む他の航空機に対しても構成され得る。航空機102の「ノーズ」108内に図示されているが、OADS101は、航空機102の任意の他の部分に構成され得る。
【0056】
図1に示されるように、OADS101は、レーザ放射103を生成するように構成されたレーザ109を含む。トランシーバ110は、光結合111を介してレーザ109からレーザ放射103を伝送し、後方散乱レーザ放射107を受信するように構成される。光結合111は、光ファイバ接続または自由空間伝送の形式で存在し得る。従って、トランシーバ110は、レーザ放射をレーザ放射103として空気104に対して投射する。空気104は、レーザ放射103を散乱フィールド106において複数の方向に(例えばベクトル112として図示された)散乱させる。散乱フィールド106はまた、放射107をトランシーバ110に向かって戻すか、または後方散乱させ、トランシーバ110は次に、後方散乱させられたレーザ放射107を受取る。トランシーバ110は、後方散乱させられたレーザ放射107をコンピュータ113を介して処理可能な電子信号に変換し、空気パラメータを決定する。
【0057】
コンピュータ113は、トランシーバ110と通信的に結合し、トランシーバ110からの信号を処理し、分子散乱成分107Aをエアロゾル散乱成分107Bから区別する。コンピュータ113は、空気104中の分子および/またはエアロゾルから後方散乱させられたレーザ放射107に基づいて空気パラメータを決定する。従って、以下に記述されるように、コンピュータ113は、1つ以上のデジタル信号処理アルゴリズムを使用してかかるパラメータを決定し得る。
【0058】
OADS101は、例示的な実施形態において、1つのトランシーバ110を図示するが、用途に依存して複数のトランシーバが使用され得る。例えば、OADS101を使用するミサイルは、2つのトランシーバ110を使用して、例えば前進速度(例えば対気速度)のような空気パラメータおよびミサイルの垂直平面、または迎角を決定し得る。飛行機は、特定の態様で位置決めされた3つのトランシーバ110を使用して、例えば、対気速度の空気パラメータ、気圧、および気温に加えて、迎角およびサイドスリップのような様々な航空機の幾何学的形状を決定し得る。さらに、航空機(固定された翼およびロータリ)は、3つ以上のトランシーバおよび/またはレーザを使用して、冗長システムアーキテクチャにより、光学的空気データシステムの信頼性を高め得る。3つのOADSを使用して、3つの非同一平面上の軸に取り付けられたトランシーバは、対気速度ベクトルに対する独立した測定を提供することによって、合計対気速度ベクトルを完全に解き得る。トランシーバは例えば、非共通平面に位置し、それらの幾何学的形状は、航空機の中心線に対して知られている。ベクトル代数学が次に使用されて、前方対気速度、アングルオブサイドスリップ、および迎角を含む全対気速度ベクトルを決定し得る。
【0059】
図2は、1つのOADS140を示す。OADS140は、空気分子とエアロゾルの両方から後方散乱させられたレーザ放射に基づいて、図1に記述されたもののような、空気パラメータを決定するために使用される別の実施形態を図示する。この実施形態において、OADS140は、レーザ放射142を生成するように構成されたレーザ141を含む。他の波長が使用され得るが、レーザ141は、約253.7nmの同調された中心波長を有する同調可能なレーザであり得る。例えば、レーザ141は、4倍にされた周波数、Nd:YAG(すなわち、ネオジウム:イットリウム−アルミニウム−ガーネット)励起Ti:サファイア(チタン−サファイア)レーザであり得る。あるいは、Nd:YAG励起Ti:サファイアレーザと比較して、より小型、より軽量、増加したロバストネスおよび向上した信頼性という重要な利益を提供する周波数4倍Yb添加(イッテルビウム添加)ファイバレーザが使用され得る。あるいは、ダイオードレーザ、ダイオードレーザバー、ダイオードレーザバーの積層、および周波数上方変換技術が、レーザを作成するために使用され得る。レーザ141は、約40GHzの周波数範囲にわたって同調可能であるレーザ放射を生成し得る。レーザ141は、周波数でこの範囲をスイープする連続波レーザであり得るか、またはレーザ141は、各パルスが調整可能なピーク周波数の周りに集中する周波数分布を有するように制御されたパルスレーザであり得る。一実施形態において、ピーク周波数は、各パルスから次のパルスへと約100MHzだけ増加する。レーザ141は、ほぼ1182.5THz、またはc/253.7nmの中心周波数の周りで+/−20GHzを調整し得、ここでcは光の速度である(ほぼ3x10m/s)。図示された実施形態において、レーザ141は、レーザ放射142をビームスプリッタ143に放射し、ビームスプリッタ143は、ビームを2つの成分、143Aおよび143Bにスプリットする。成分143Aは、空気144を通るように向けられ、成分143Bは、ビームスプリッタ145に向けられる。
【0060】
特に、空気144に向けられたレーザ放射142の成分143Aは、散乱フィールド146の中に散乱させられる。成分143Aの散乱は、散乱フィールド146の散乱ベクトル147によって図示され、一方、リターン散乱は、後方散乱レーザ放射148によって図示される。レーザ放射142の成分143Bは、後方散乱レーザ放射148との比較のための基準として使用される。かかる比較は、例えば対気速度のような空気パラメータを決定する際に有用である。なぜならば、レーザ放射の伝送された周波数および受信された周波数は、ドップラー方程式における使用に対して確かめられ得るからである。かかる処理は、本明細書の以下でより詳細に説明される。
【0061】
図示された実施形態において、後方散乱レーザ放射148は、光学149を通して受信される。一例において、光学149は、後方散乱レーザ放射148を集めてビーム150にする望遠鏡である。光学149はまた,ビーム150をビームスプリッタ151に向け、ビーム150を2つの成分150A/150Bにスプリットする。ビーム150の成分150Bは、蒸気フィルタ152を通って検出器153に向かい、電子信号158を生み出し、電子信号158は、検出器153に衝突する成分150Bを表し、一方、成分150Aは、ビームスプリッタ151によって検出器154に向けられる。
【0062】
一実施形態において、検出器154は、放射150Aを受信してそれを電子信号155に変換する光検出器である。検出器154は、電子信号155を処理するための中央コンピュータ156と接続する。同様に、検出器153は、成分150Bを検出するように構成された光検出器であり、成分150Bは、フィルタがかけられた成分157として蒸気フィルタ152によってフィルタがかけられる。検出器153は、成分157を電子信号158に変換し、中央コンピュータ156によって処理する。
【0063】
従って、電子信号158は、蒸気フィルタ152によってフィルタがかけられた後方散乱レーザ放射148と対応する。そして、電子信号155は、フィルタがかけられていない後方散乱レーザ放射150Aと対応する。従って、電子信号155は、コンピュータ156が電子信号158を処理するとき、特定の異常を無効にするために使用される。例えば、電子信号158で処理されるとき、信号155は、空気144における大気の変化によって引き起こされた、フィルタがかけられた成分157の特定のレーザ伝送パワー変動を、信号158から除去するために使用され得る。かかる処理は、図4〜図7と関連してさらに詳細に説明される。
【0064】
コンピュータ156は、ルックアップテーブル170および172を含み、ルックアップテーブル170および172は、以下に論じられるように、温度および/または圧力を決定するために利用され得る。
【0065】
レーザ放射142の基準成分143Bは、ビームスプリッタ145によって2つの成分159および160にスプリットされる。成分160は、ビームスプリッタ145によって、ミラーされた表面161を介して、蒸気フィルタ152に向けられてフィルタ特性を測定し、一方、成分159は、ビームスプリッタ145によって検出器162に向けられて電子信号163を生成する。電子信号163は、例えば、後方散乱レーザ放射148のリターンにおけるパワー変動を正規化するために使用され、このパワー変動は、レーザ141によるレーザ放射142の生成におけるパワー変動によって引き起こされる。かかる処理は、図4〜図7においてより詳細に説明される。
【0066】
蒸気フィルタ152は成分160にフィルタをかけて、フィルタがかけられた成分164を生み出す。フィルタがかけられた成分164は、ミラーされた表面166を介して、検出器165に向けられ、次に電子信号167に変換される。中央コンピュータ156は、電子信号167を処理して、例えば蒸気フィルタ152のバンドストップ領域の周波数および抑圧特長のようなフィルタ特性を決定する。かかる一処理も、図4〜図7の文脈においてより詳細に説明される。
【0067】
図2は、自由空間光伝送ならびに、例えばビームスプリッタ143、145および151およびミラー161および166のような光学コンポーネントを有するとして、OADS140を示すが、光ファイバが、経路142、143A、143B、159、160、164、150、150A、150Bおよび/または157に沿ったレーザ141伝送に対して使用され得る。かかる実施形態においては、ファイバスプリッタが、ビームスプリッタ143、151および145の代わりに使用され得、ミラー161および/または166は削除され得る。
【0068】
図2のOADS140に示される実施形態は、蒸気フィルタ152を使用するが、他のタイプのフィルタが利用され得る。例えば、干渉フィルタ、ダイクロイックフィルタ、ファイバブラッググレーティングフィルタ、ボリュームホログラフィックグレーティングフィルタ、および/またはルゲートフィルタのようなノッチフィルタまたは光ノッチフィルタが利用され得る。蒸気フィルタ152の代わりに使用されるフィルタは有利にも、例えば次のような特性を有し得る:(1)40〜60dB以上のオーダーでのストップバンド領域内での高い光学的吸収;(2)約5GHzと100GHzとの間のノッチフィルタ吸収幅、ただし10GHz未満の吸収幅が好まれる;および(3)約5GHz以下内で生じる10%〜90%吸収遷移を有する急な吸収側壁。パスバンドフィルタも使用され得る。複数の吸収特徴を有するシングルフィルタが利用され得るか、または光学スプリッタもしくはファイバスプリッタが、複数のフィルタを通して光学的信号を発送するために使用され得、各フィルタは、単一の吸収特徴を有する。
【0069】
原子蒸気フィルタ以外のフィルタは、特定の利点を提供し得る。例えば、原子蒸気フィルタの吸収周波数は、使用される原子蒸気の特性と確実に結びついている一方、それらの使用は、かかる周波数での出力を有する同調可能なレーザを含むOADSを拘束し得る。しかしながら、特定の同調可能なレーザは、都合がいいことに原子蒸気フィルタ吸収周波数とマッチングしない周波数で、改良された性能および/または安定性を有し得る。特に、ブラッググレーティングフィルタは、例えば1550nmのようなより長い波長での対気速度測定に対して効果的な、低価格の光ノッチフィルタである。例えば、干渉フィルタ、ダイクロイックフィルタ、ファイバブラッググレーティングフィルタ、ボリュームホログラフィックグレーティングフィルタ、および/またはルゲートフィルタのような特定のフィルタは、レーザをフィルタに同調させるのではなく、同調可能なレーザの好ましい周波数出力範囲に同調された吸収特徴を有するように設計され得る。従って、OADSにおける同調可能なレーザおよびマッチングするノッチフィルタの使用は、(1)改良されたリターン信号強度に対してより高いレーザ出力電力の使用を可能にし、(2)熱安定性、振動および衝撃に対してOADSをよりロバストにし、(3)OADSから危険な材料(例えば水銀)をなくし、かつ/または(4)OADSの大きさ、重量および/またはコストを低減する。
【0070】
図3は、OADS140による例示的な対気速度計算を示す際に有用な1つのグラフ200を示す。グラフ200は、2つの曲線201および202を示し、周波数の関数として、正規化されたレーザ放射マグニチュードを比較する(信号強度、つまり、正規化されたレーザ放射マグニチュードは、軸205に対してプロットされ、周波数は、軸204に対してプロットされる)。曲線202は、例えば図2のフィルタがかけられた成分164のような、フィルタがかけられ放射されたレーザ放射を図示する。このように、曲線202は、電子信号167の処理によって決定された図2の蒸気フィルタ152のフィルタ特性を示す。曲線202は、0GHzの、下方に並進させられた周波数で生じるフィルタ152のピーク吸収を示す。例として、フィルタ152の実際のピーク吸収周波数は、約1182.5THzであり得る(すなわち約253.7nmの対応する波長を有する)。
【0071】
レーザ141によって生成されたレーザ放射142は、フィルタ152を通り、フィルタがかけられた成分164を提供する。フィルタがかけられた成分164が一旦、検出器165によって電子信号167に変換されると、コンピュータ156は、信号167のデジタル信号処理によって、蒸気フィルタ152の特徴を分析、格納する(例えばコンピュータ156は、制御された条件の下で取得された基準特徴を、将来の計算における使用のために格納する)。この例に示されるように、蒸気フィルタ152の特徴は、ピーク吸収周波数の周りでほぼ+/−5GHz(すなわち、軸205に従ってほぼ+/−5GHzにおける0.9正規化伝送ファクタ)でほぼ10%正規化吸収を有する。他のタイプの適切なフィルタは、様々な吸収/伝送特徴を含み得る。
【0072】
曲線201は、例えば図2のフィルタがかけられた成分157のような、フィルタがかけられた後方散乱レーザ放射を図示する。一実施形態において、曲線201は、曲線202との比較によって対気速度を決定するために使用される。例えば、曲線202は、蒸気フィルタ152がレーザ放射142にどのように影響を与えるかを図示し、曲線201は同様に、レーザ放射142が空気144から後方散乱(例えば放射148としてのリターン)させられるとき、蒸気フィルタ152がレーザ放射142にどのように影響を与えるかを示す。周波数シフト203は、伝送レーザ放射142とリターンレーザ放射148との間の、蒸気フィルタ152に対するピーク吸収の周波数の変化を表す。コンピュータ156は、ドップラー速度式を適用するアルゴリズムを処理して、周波数シフト203から対気速度を決定する。
【0073】
一実施形態において対気速度を決定するために、コンピュータ156は、フィルタがかけられた成分157のピーク吸収周波数が、初めのレーザ周波数から周波数においてどのくらい遠くまでシフトしたかを、曲線202を曲線201と比較することによって決定する(例えば、フィルタがかけられた成分157と164とのピーク吸収周波数を比較する)。周波数シフト203は、ドップラー速度方程式、
【0074】
【数1】

による半径方向の風速に実質的に等しく、ここでΔνは、ドップラー周波数シフトを表し、Vは、乗り物(例えば図1の航空機101)の、伝播143Aのレーザ方向に沿った速度成分を表し、λは、レーザ放射142の波長を表す。
【0075】
一実施形態において、風の速度成分Vは、グラフ200の曲線201と比較された、グラフ200の曲線202からの周波数シフトを決定することによって測定され得る。これは、各曲線201および202の対称点を計算して、2つの曲線の間の対称点の差を決定することによって達成される。
【0076】
蒸気フィルタ152は、複数の吸収特徴を有し得る。従って、OADSは、例えば図3の曲線201および202によって図示されるような複数の吸収最大値を有し得、これら複数の吸収最大値は、乗り物の速度のより正確な推定を提供するために使用され得る。乗り物の速度Vは、各吸収特徴に対して、式1を使用して計算され得る。乗り物の平均速度は次に、Vの各値から計算され得る。
【0077】
図4〜図7は、OADS140に対する他の空気パラメータに対する例示的な計算を示すグラフを示す。例えば、図3に示されるような対気速度による周波数シフトを決定した後、例えば気温および気圧のような他の空気パラメータが、計算され得る。一例において、コンピュータ156は初めに、検出された後方散乱レーザ放射(例えば検出器153によって検出されたフィルタがかけられた成分157)の強度の測定を、電子信号158から決定する。リターンレーザ放射のこの実験的に確証された強度の測定は、次の式に対応し、
【0078】
【数2】

ここで、S(ν)は、検出器153からの電子信号158であり、Pは、レーザパワーであり、Tは、レーザ経路143Aに沿って空気144を通る伝送係数であり、L(νlaser)は、レーザ周波数νlaserの関数として、レーザ141出力に固有のレーザライン形状であり、Tは、レーザ経路148に沿って空気144を通る伝送係数であり、Eは、検出器153を通る検出器チャンネルの光学的効率であり、F(ν)は、νの周波数において集中する蒸気フィルタ152のバンドストップ周波数範囲であり、Rは、後方散乱レーザ放射−レーザ周波数νlaserの量−ドップラーシフトΔνに対する周波数νの関数としてのレイリー散乱であり、rは、空気密度およびレイリー後方散乱係数に依存するレイリー散乱マグニチュード係数であり、Mは、ν−νlaser−Δνの量の関数としてのミー散乱であり、mは、エアロゾル濃度およびミー後方散乱係数に依存するミー散乱マグニチュード係数であり、Dは、検出器153の効率である。レイリー後方散乱係数rおよびミー後方散乱係数mは、特定の大気に対して一定である。これらの係数は、大気の単位体積当たりの散乱体(すなわちレイリーに対する分子、ミーに対するエアロゾル)の数に対応する。
【0079】
次に、コンピュータ156は、リターンレーザエネルギーの測定された強度に対して取得された結果を利用して、他の空気パラメータを決定し得る。かかる処理は、例えば、蒸気フィルタ152を通して基準レーザ放射160を伝送することによって、蒸気フィルタ152の特性を決定することによって始め得る。例えば、実験の間にレーザ141で(例えば、成分143Bを介して電子信号167へ向かう)蒸気フィルタ152のバンドストップ特性を測定することは、次の式に従って、レーザ波長およびフィルタのコンボリューションを生じ、
【0080】
【数3】

ここで、S(ν)は、周波数ν(例えば、図4の曲線221で図示されるような)の関数としての、検出器165からの信号167であり、Eは、経路160および164に沿ったフィルタ152の収集の光学的効率であり、Dは検出器165の効率である。
【0081】
すべての光学的効率EおよびEは、性質が光学的である信号損失を捕捉することに留意されたい。例えば、検出器165に対する光学的効率であるEは、ビームスプリッタ143および145に対する光学的ビームスプリッティング比率と、フィルタ152を横断する光伝送および光結合と、検出器165への光学的送達効率とを含む。検出器153に対する光学的収集効率であるEは、望遠鏡149の収集効率と、経路150の中への光結合効率と、ビームスプリッタ151のビームスプリッタ比率と、フィルタ152を横断する伝送効率と、検出器153への送達効率とを含む。検出器効率DおよびDは、検出器165および153に対する検出器変換効率をそれぞれ含む。従って、Dは変換効率であり、これによって検出器165は、経路164に沿ったレーザ放射を電気的信号167に変換する。同様に、Dは変換効率であり、これによって検出器153は、経路157に沿ったレーザ放射を電気的信号158に変換する。
【0082】
後方散乱レーザ放射148は、レーザ141によってレーザ放射142を生成しながら引き起こされるパワー変動を含み得る。従って、検出器162によって検出される(例えば成分159を介して)レーザ放射は、レーザ141に起因するパワー変動を正規化するために利用され得る。一実施形態において、検出器162は、成分159を電子信号163に変換する。引き続いて、コンピュータ156が、次の式に従って処理、正規化し、
【0083】
【数4】

ここで、S(ν)は検出器162からの電子信号163であり、Eは検出器162に対する光学的収集効率であり、Dは検出器162の変換効率であり、Pはレーザ141の電力である。光学的収集効率Eは、ビームスプリッタ143および145のビームスプリッティング比率と、レーザビーム経路159の検出器162への送達効率とを含むことに留意されたい。
【0084】
図4のグラフ220の曲線221は、蒸気フィルタ152によってフィルタがかけられ、かつ0と1との間で正規化されたレーザ放射(成分164)のマグニチュードを表す。曲線221は、周波数の関数としてのレーザ放射のマグニチュードを表す(すなわち、軸222に対してプロットされたレーザ放射マグニチュード、および軸223に対してプロットされた周波数)。従って、曲線221は、電子信号167のコンピュータ処理によって決定されたとおりの、成分160を介するフィルタがかけられたレーザ放射を図示し、周波数に対して0と1との間で正規化されたレーザ放射マグニチュードとしてプロットされる。
【0085】
一実施形態において、蒸気フィルタ152の吸収/伝送特性は、式3および式4を使用して正規化される。式3は、フィルタ152のストップバンド特性を生じ、式4は、レーザ放射142の生成におけるパワー変動を明らかにする。式4のパワー変動が実質的に除去されることにより、「正規化チャンネル」が作成され、大気の変化に起因するパワー変動が明らかにされ得る。
【0086】
一実施形態において、空気144における大気の変化によって引き起こされたさらなるパワー変動も除去される。例えば、検出器154(例えば成分150Aを介して)によって検出されたレーザ放射は、空気144における大気の変化によって引き起こされたレーザパワー変動を除去することを助ける。従って、検出器154は、受信されたレーザ放射を電子信号155に変換する。コンピュータ156は、引き続いて、電子信号155を処理して、次の式に従って、正規化されたレーザ放射マグニチュードを決定し、
【0087】
【数5】

ここで、Sは検出器154からの信号155であり、Eは検出器154の光学的収集効率であり、Dは検出器154の変換効率である。
【0088】
一実施形態において、様々な特性の機能を正規化して、温度および圧力を決定する処理に対する閉ループソリューションを可能にすることが有利である。従って、一例において、コンピュータ156は、次の式に従って、正規化されたレーザライン形状を計算し、
【0089】
【数6】

ここで(以前と同じように)、νlaserは、レーザライン形状周波数であり、Lは周波数の関数としてのレーザライン形状を示す。別の例において、コンピュータ156は、次の式に従って、正規化されたレイリー関数を計算し、
【0090】
【数7】

ここで、Rは周波数νの関数としてのレイリーライン形状を示し、レイリーレジーム(regime)に対して適用可能である。別の例において、コンピュータ156は、次の式に従って、最大値によってすべての記録された値を除すことによって、検出器165から記録された電子信号167をスケールし、
【0091】
【数8】

ここで、MAXは特定の関数の最大値を見つける演算を示し、Sは、周波数ν(例えば図4の曲線221で図示されたような)の関数として、検出器165から測定された電子信号167を示す。別の例において、コンピュータ156は、次の式に従って、ミー関数を正規化し、
【0092】
【数9】

ここで、δ(ν)はデルタ関数である。
【0093】
一実施形態において、検出器165から収集された信号167(上の式3によって表された)を、検出器162から収集された信号163(上の式4によって表された)で除すことは、レーザ141パワー変動を、次のように除去し、
【0094】
【数10】

式10は、
【0095】
【数11】

に簡略化され、
ここで、LF(ν)は、関数LとFとのコンボリューション(つまり、各周波数νで結合された関数LおよびFの効果を表す関数)を表す。
【0096】
一実施形態において、蒸気フィルタ152の影響から十分遠くまで移された基準周波数に、レーザ141を同調することは、信号チャンネル167(上の式3によって表されたS)と163(上の式4によって表されたS)との光学的効率と検出器効率との比率の測定を可能にする。これによって、レーザに対して同時にチェックするために、スキャンごとに1つの検出器およびフィルタの異常に対して信号167の測定値を正規化することが可能となる。
【0097】
【数12】

一実施おいて、LF(ν)が決定されて、測定されたフィルタの機能を備えた理論上のレイリー関数(温度および圧力の観点から計算された)のコンボリューションのルックアップテーブルを生成する。測定されたフィルタの機能は既に、レーザおよびフィルタスペクトルのコンボリューションであるので、測定されたフィルタ信号167でレイリー関数をコンボリューションすることは、純粋なレイリー散乱体の大気から予期されたリターン信号を生じる。
【0098】
一実施形態において、蒸気フィルタ152を通る大気144からの後方散乱リターンである測定された信号158(上の式2によって表された)は、信号155で除され、信号155は、蒸気フィルタ152を通らない大気144からの後方散乱である(上の式5によって表された)。この計算は、測定されるファクタから独立している信号伝送の変化を除去する。
【0099】
【数13】

Mはデルタ関数であり、式13は、
【0100】
【数14】

と、簡略化され、
ここで、LFR(ν)は、上に論議されたコンボリューションLF(ν)の意味で、関数L、FおよびRのコンボリューションを表す。
【0101】
一実施形態において、蒸気フィルタ152の影響から十分遠くまで移された基準周波数νrefに、レーザ141を同調することは、信号チャンネル158(上の式2によって表されたとおりのS)と155(上の式5によって表されたとおりのS)の光学的効率と検出器効率との比率の測定を可能にする。これは、スキャンごとにフィルタにおける異常に対するチェックを可能にする。
【0102】
【数15】

一実施形態において、変数Krefは、
【0103】
【数16】

として定義され得る。
【0104】
一旦、両データセット(すなわちSとS)が、同じデータポイントの周りで対称的であると、コンピュータ156は、リターン信号から温度および圧力を計算する。初めに、コンピュータ156は、測定されたフィルタ伝送と共に、温度および圧力の関数である理論上のレイリー関数を使用して、レーザ、レイリー、ならびに大気温度および大気圧に依存するフィルタ(LFR(ν))コンボリューションを格納するルックアップテーブル170を生成する。コンピュータ156は次に、正規化されたリターン信号をルックアップテーブル170に格納された値と比較して、大気温度および大気圧を決定する。リターン信号をルックアップテーブル170と比較するために、コンピュータ156は、ミー散乱体のマグニチュードおよびレイリー信号のマグニチュードを変化し得る空気密度の任意の変化を明らかにする。
【0105】
蒸気フィルタは、バンドストップフィルタとして使用され得、かかるフィルタは通常、周波数の安定性、光学的深さ、および光学的フィルタ形状を提供する。レイリー散乱とミー散乱とを分離する目的で、ほぼ60dBの光学的深さが、ν(すなわち、νが0GHzの正規化された周波数である場所)の周りの小さな周波数の分散内でミー散乱の優れた吸収を提供する。例えば、原子蒸気フィルタは、ミー散乱によって悪影響を受けていない周波数領域において60dBの吸収を提供する。この領域は、圧力と温度の初めの推定を取得する際に使用され得る(下の図5で説明される)。かかる吸収は、測定された信号Sとして、下の図5で観察可能であり、測定された信号Sは、νの周りに集中するゼロのマグニチュードを有する。このデータは、純粋なレイリー散乱に関する情報を提供し、純粋なレイリー散乱は、式17に示されるように、ミー散乱のレイリー散乱に対する比率を計算するために使用され得る。
【0106】
【数17】

蒸気フィルタは、この領域においてミー散乱を完全に減衰するので、
【0107】
【数18】

となり、ここでLFR(ν)は、特定の大気温度および大気圧での理論上のリターン信号の値である。従って、コンピュータ156は、次のように分散Kを最初に定義することによってミー散乱の比率を計算し、
【0108】
【数19】

次に比率
【0109】
【数20】

に対して解く。
関心の領域における正規化された信号のリターンを使用し、かつrに対するmの比の観点から結果を記入すると、次を生じる。
【0110】
【数21】

式20のmとrとの比率を式21に代入すると、
【0111】
【数22】

を生じる。
LFR(ν)に対して解くと、
【0112】
【数23】

となり、
ここで、測定された信号リターンLFR(ν)は、測定された量および理論上のLFR(ν)の値の観点から記入される。コンピュータ156は次に、LFR(ν)を計算し、それをルックアップテーブル170と比較して、大気温度および大気圧を決定する。より詳細には図5に記述される。
【0113】
パワー変動を明らかにすると、本明細書に記述されたとおり、光学的効率および検出器効率は、OADS140が動作している間に、蒸気フィルタ152に対する独立したチェックを可能にする。検出器チャンネルの可変的特性およびパワー変動が明らかにされると、コンピュータ156は、例えば、蒸気フィルタ152の実質的に一定の特性を決定し得、その結果、受信された後方散乱レーザ放射(例えばレーザ放射148)のより正確な測定値が取得される。
【0114】
一実施形態において、図4に示された正規化チャンネルは、レーザ放射148の大気によるパワー変動を除去するために使用される。そのようにする際に、コンピュータ156は、光学的効率および検出器効率の観点から、レーザ放射147のレイリー成分およびミー成分を測定する。かかる効率は通常、分析処理の間にショットごとに測定される。動作の例示的な実施形態において、レーザ141は、特定のパルス反復周波数(「PRF」)での一連のパルスとしてレーザ放射142を生成、伝送し、一方、他の実施形態において、レーザ141は、連続波レーザ(図2と共に論議されたように)である。コンピュータ156は次にパルスごとに、光学的効率および検出器効率の観点からレイリー成分およびミー成分を測定する。
【0115】
レイリー成分およびミー成分を測定するために、一実施形態において、OADS140は、レーザ141によって伝送されるレーザ放射142の周波数に同調する。例えば、レーザ141は、フィルタ152のピーク吸収周波数(図4のνによって図示される)から遠位の周波数でレーザ放射142を伝送し、周波数独立測定を提供する。コンピュータ156は次に、フィルタ152を通るレーザ放射142のライン形状を決定する。
【0116】
一実施形態において、検出された後方散乱レーザ放射(例えば電子信号158によって決定されるような)の測定された強度は、正規化された大気のファクタと関数的に比較される。測定された強度はしばしば、ミー散乱体(例えばエアロゾル)に依存し、空気密度は、高度変化および温度変化により変化する。しかしながら、空気密度変化および温度変化は、本明細書に記述される正規化処理によっては除去されない。コンピュータ156が、例えば空気144の温度および圧力のような空気パラメータを正確に決定するためには、空気密度変化が、検出された後方散乱レーザ放射から除去され、その結果、コンピュータ156は、空気パラメータを正確に決定し得る。
【0117】
図5は、曲線241(レイリー散乱とミー散乱の両方を引き起こすより高い空気密度において検出された後方散乱レーザ放射)、曲線242(レイリー散乱を引き起こす空気密度において検出された後方散乱レーザ放射)、および曲線243(正規化されたレイリー散乱)を有するグラフ240を示す。曲線241、242および243は、周波数(軸251に対してプロットされた)の関数として、レーザ放射マグニチュード(軸250に対してプロットされた)を図示する。一実施形態において、コンピュータ156は、曲線241、242および243からのデータを処理して、他の空気パラメータを決定する。例えば、ミー散乱の影響は、計算から実質的に分離、除去され、気温および気圧を決定する。なぜならば、これらのミー散乱の影響は、不均一なエアロゾル濃度により不正確な測定を生じるからである。
【0118】
一実施形態において、気温および気圧を決定するために、コンピュータ156は、曲線241、242および243からのデータを処理して、例えば曲線241に見られるようなミー散乱の影響を実質的に分離、除去する。曲線241、242および243からのデータを処理する際に、コンピュータ156は、特定の温度および圧力(例えば、曲線242および243によって図示されたような)に対する理論上のレイリー関数とコンボリューションされる、測定されたレーザ/フィルタプロファイル(すなわち、図2の検出器165において測定されたような)を使用して、実質的にリアルタイムで、ルックアップテーブル170を計算する。コンピュータ156は次に、式20によって決定されたm対rの比率で、測定されたリターン信号LFR(ν)(例えば、この例において曲線241によって図示された)をスケールする。コンピュータ156は次に、フィルタ減衰の最も深い部分(すなわち、νからほぼ+/−0.5GHz)に近いデータを分析し、圧力および/または温度を推定する。この部分は、ミー散乱によって悪影響を受けていない、60dB領域の吸収に対応する。この領域の使用は、計算技術の好ましい局面であり、この計算技術は、温度推定および/または圧力推定をそれによって増加させるための信頼し得る温度ベースを提供することによって、温度および圧力の精度を提供する。
【0119】
コンピュータ156は、初めの温度推定値を仮定して、理論上のレイリーリターンを計算し、最小2乗誤差(LSE)計算を実行して、理論上のレイリー関数に対する温度の精度を決定する。最適合(すなわち、設計仕様に対応するLSE計算)が達成されるまで、コンピュータ156は、温度および/または圧力の増分変化に対して処理を反復する。LSEに対して詳細に論議されたが、例えばNewton−RaphsonおよびMonte Carloのような他の近似方法が、代替の実施形態において使用され得る。従って、この開示は、例として教示し、限定するものとして教示しない。
【0120】
温度は、圧力とは逆の態様で空気密度に影響を与える。圧力を高めると空気密度が高まり、一方、温度を高めると密度が下がる。さらに、温度を高めると、レイリーライン形状幅が広くなり、一方、圧力を高めると、レイリーライン形状高さが高くなる。従って、温度および/または圧力の各増分値に対して、レイリーライン形状には唯一の結果が出る。かかる散乱理論は、「On The Kinetic Model Description Of Rayleigh−Brillouin Scattering From Molecular Gases」、G.C.Tenti、D.BoleyおよびR.C.Desai、Canadian Journal of Physics、52巻、285〜290ページ(1974)において論議されている。
【0121】
一例において、コンピュータ156は、周波数νで示される、曲線241、242および243のピーク吸収周波数を整列させることによって空気密度変化を決定する。曲線243は、実質的にミー散乱を含まない検出された後方散乱レーザ放射を表すので、曲線243は、ミー散乱が除去された基準として使用され得る。従って、一例において、曲線241、242および243を整列させることによって、かつ空気密度を決定するために利用され得る、検出された後方散乱レーザ放射対理論上純粋なレイリー散乱の比率(曲線241と曲線242との比率)を計算することによってミー散乱の影響を除去するために、コンピュータ156は、曲線243を使用する。ミー散乱の影響は次に、曲線241と曲線242との計算された比率から曲線243を差し引くことによって除去される。ミー散乱が測定値から本質的に除去されると、コンピュータ156は、気温および気圧力をより正確に決定する。
【0122】
図6および図7は、気圧および気温を決定する際に使用され得る他の例示的なグラフを示す。図6は、図2の検出器162および165によってそれぞれ生成された図2の電子信号163および167のグラフ260を図示する。グラフ260は電子信号163および167を示し、電子信号163および167は、周波数(軸262)に対する正規化された信号強度の関数としての光強度(軸261)を表す。図7は、検出器153および154によってそれぞれ生成された電子信号158および155(図2を参照)のグラフ280を図示し、電子信号158および155は、周波数(軸282)に対する正規化された信号強度の関数としての光強度(軸281)を表す。これらの4つの光強度(電子信号163、167、158および155によって表される)は、レーザパルスに対応する光の伝送および収集によって、時間に対して測定され得るか、またはそれらは、その周波数が連続的に変化する連続波レーザに対応する光の伝送および収集によって測定され得る。一例において、特定のPRFでレーザ141によって生成される図2のレーザ放射142の伝送周波数は、各レーザパルスが異なる周波数で発せられるようにスイープされ得る。従って、電子信号163および167は、レーザ141のレーザ放射142が、蒸気フィルタ152の吸収バンド263を横断していかに周波数においてスイープし得るかを図示する。実例として、図6は、レーザ141によって生成され、検出器162および165によって検出されたレーザ放射142の1つの完全な周波数スイープを示す。同様に、図7の電子信号155および158は、レーザ141のレーザ放射142が、蒸気フィルタ152の吸収バンド283を横断して周波数において完全なスイープを実行するときの、検出器153および154の検出された信号を示す。
【0123】
信号163および167から、コンピュータ156は、例えば、電子信号167の離散点を信号163の対応する離散点で除すことによって、正規化されたフィルタ伝送を決定し得る。同様に、コンピュータ156は、信号158の離散点を信号155の対応する離散点で除すことによって、蒸気フィルタ152を通る正規化された大気リターンを決定し得る。本明細書に記述されたこれらの離散点は、レーザ放射142の個々のパルスと対応する。
【0124】
フィルタ伝送の正規化された計算(例えばグラフ260から)および大気リターンの正規化された計算(例えばグラフ280から)を使用することによって、コンピュータ156は、蒸気フィルタ152における相対的な光学的効率を決定する。
【0125】
一実施形態において、コンピュータ156は、図6のグラフ260からのデータの周波数独立成分を使用して、蒸気フィルタ152に対する光伝送を決定する(点264、265、266および267において図示された0GHzから±18GHzよりもマグニチュードが大きい周波数では、信号163および167に対する振幅の実質的変化はない)。従って、コンピュータ156は、0GHzから±18GHzよりもマグニチュードが大きい周波数を表す点に対して、信号の周波数対応点を介して、信号167対信号163の比率を計算することによって、蒸気フィルタ152に対する光伝送の比率を決定する。
【0126】
同様に、コンピュータ156は、図7のグラフ280からのデータの周波数独立部分を使用して、蒸気フィルタ152を通して受信された大気リターンレーザ放射の強度のマグニチュードを決定する(点284、285、286および287において図示された0GHzから±18GHzよりもマグニチュードが大きい周波数では、信号155および158に対する振幅の実質的変化はない)。それによって、コンピュータ156は、0GHzから±18GHzよりもマグニチュードが大きい周波数を表す点に対して、信号の周波数対応点を介して、信号158対信号155の比率を計算することによって、レーザパワー測定により大気リターンの比率を決定する。
【0127】
一実施形態において、コンピュータ156は、±0.5GHz(点288および289で図示されている)間の周波数に対して、信号158対信号155の比率を計算する。かかる周波数範囲は、空気144に対するレーザ放射142のミー散乱を実質的には含まない。従って、この周波数範囲は、実質的に純粋なレイリー散乱に対応する。従って、コンピュータ156は、信号158対信号155の比率に基づいて、レイリー散乱強度をミー散乱強度と比較する。コンピュータ156は、±0.5GHz間の周波数における信号158対信号155の比率を、±0GHzから±18GHzよりも大きい周波数における信号158対信号155の比率と比較することによって、レイリー散乱強度対ミー散乱強度を決定する。一実施形態において、コンピュータ156は、点268および269を使用して、図6に図示されたデータに基づいて、「非散乱」レーザ放射142(例えば図2の成分143B)に対する同様な計算を実行する。かかる処理は、図8でさらに記述される。
【0128】
非散乱レーザ放射142および散乱レーザ放射148に対して決定された比率は、データからレーザ−レイリー−フィルタコンボリューション(例えばLRF(ν))を数値計算するために連携して使用され得る。レーザ−レイリー−フィルタコンボリューションは引き続き、理論上のレーザ−レイリー−フィルタコンボリューション値のルックアップテーブルと比較され、温度および圧力を決定する。
【0129】
図8は、OADSの1つの例示的な体系的動作400の流れ図を示す。方法400は、OADS140のコンピュータ156によって部分的にまたは完全に実行され得る。コンピュータ156は、ソフトウエアおよび/またはファームウエアからの動作命令を受信し得る。レーザ(例えば図2のレーザ141)は、ステップ401において、所定の周波数スペクトルにわたってレーザ放射をスイープする。レーザは、特定のPRFでレーザ放射を伝送することによって、約+/−20GHzの周波数範囲にわたってレーザ放射をスイープし得る(または、レーザは、上で図2と共に論議されたように、連続的に周波数をスイープする)。一実施形態において、PRFは約1kHzであり、パルス幅は約50nsと100nsとの間であり、スイープされる周波数範囲は、フィルタ(例えば図2の蒸気フィルタ152)のピーク吸収周波数(約260nm)と対応する周波数の周りに集中する。
【0130】
レーザ放射は通常、4つの明瞭な経路にスプリットされ、その結果レーザ放射は、ステップ402において、4つの異なる入力として検出され得る。これらの4つのレーザ放射の経路は、1)レーザによって伝送されたレーザ放射(例えば図2の成分159);2)フィルタを通してレーザによって伝送されたレーザ放射(例えば図2の成分164);3)レーザによって空気の中に伝送され、かつ後方散乱させられたレーザ放射(例えば図2の成分150A);および4)レーザによって空気の中に伝送され、かつフィルタを通して後方散乱させられたレーザ放射(例えば図2の成分157)と対応する。簡潔さのために、これらの成分は今後、1)フィルタがかけられていないレーザ放射;2)フィルタがかけられたレーザ放射;3)フィルタがかけられていない後方散乱させられたレーザ放射、またはフィルタがかけられていない散乱させられたレーザ放射;および4)フィルタがかけられた後方散乱させられたレーザ放射、またはフィルタがかけられた散乱させられたレーザ放射と称される。
【0131】
レーザ放射の4つの成分を検出した後、コンピュータ(例えば図2のコンピュータ156)は、ステップ403において、蒸気フィルタの正規化されたフィルタ伝送を決定する。例えば、一実施形態において、コンピュータは、フィルタがかけられたレーザ放射のマグニチュードを、フィルタがかけられていないレーザ放射のマグニチュードで除すことによって、フィルタがかけられていないレーザ放射およびフィルタがかけられたレーザ放射を処理する。一実施形態において、分割が、パルスごとに実行され、この場合、パルスの分割されたマグニチュードは対応する周波数を有する。
【0132】
一実施形態において、コンピュータはまた、ステップ404において、レーザ放射の正規化された大気リターンを決定する。例えば、コンピュータは、フィルタがかけられた後方散乱レーザ放射のマグニチュードをフィルタがかけられていない後方散乱レーザ放射のマグニチュードで除すことによって、フィルタがかけられた後方散乱レーザ放射およびフィルタがかけられていない後方散乱レーザ放射を処理し得る。ここでもやはり、一実施形態において、分割は、パルスごとに実行され、この場合、パルスの分割されたマグニチュードは、対応する周波数を有する。
【0133】
一旦、レーザ放射の正規化されたフィルタ伝送および正規化された大気リターンが決定されると、コンピュータは、フィルタ伝送および大気リターンの各々に対する信号強度を決定する。例えば、コンピュータは、ステップ405および407において、特定の周波数範囲で、フィルタがかけられたレーザ放射対フィルタがかけられていないレーザ放射の比率を計算することによって、フィルタを通した光伝送を決定する。コンピュータは同様に、ステップ406および408において、特定の周波数範囲で、フィルタがかけられた後方散乱レーザ放射対フィルタがかけられていないレーザ放射の比率を計算することによって、フィルタを通る大気リターン(散乱)信号強度を決定する。
【0134】
コンピュータはまた、ステップ407において、ピーク吸収周波数の周りで約+/−18GHzよりもマグニチュードが大きい周波数において、ここでもやはりパルスごとに、フィルタがかけられたレーザ放射をフィルタがかけられていないレーザ放射で除すことによって、正規化されたフィルタ伝送に対する信号強度の比率を決定する。コンピュータはさらに、ステップ405において、約+/−0.5GHz間の周波数において、パルスごとに、フィルタがかけられたレーザ放射をフィルタがかけられていないレーザ放射で除すことによって正規化されたフィルタ伝送に対する信号強度の比率を決定する。これらの信号強度の決定は、ミー散乱(例えば+/−18GHz)およびレイリー散乱(例えば+/−0.5GHz)が最も優勢であり、従って、正規化された大気リターンに対する同様な信号強度の決定と組み合わされるとき有用である周波数範囲と対応する。コンピュータは、ステップ408において、ピーク吸収周波数の周りで約+/−18GHzよりもマグニチュードが大きい周波数において、ここでもやはりパルスごとに、フィルタがかけられた後方散乱レーザ放射をフィルタがかけられていない後方散乱レーザ放射で除すことによって、レーザ放射の正規化された大気リターンに対するミー散乱信号強度の比率を決定する。コンピュータはまた、ステップ406において、約+/−0.5GHz間の周波数において、パルスごとに、フィルタがかけられた散乱レーザ放射をフィルタがかけられていない後方散乱レーザ放射で除すことによって、レーザ放射の正規化された大気リターンに対するレイリー散乱信号強度の比率を決定する。
【0135】
フィルタに対する信号の光伝送およびレイリー散乱とミー散乱の両方に対する信号強度が決定されると、コンピュータは、ステップ409において、レイリーレーザフィルタコンボリューションを決定する。例えば、一実施形態において、コンピュータは、レイリーおよびミー散乱信号強度が、+/−0.5GHzおよび+/−18GHzのレイリーおよびミー散乱に対する周波数範囲とそれぞれ対応する状態で、光伝送のコンボリューションを実行する。コンピュータは次に、ステップ410において、例えば、理論上のレイリーレーザフィルタコンボリューション値を有する図2のルックアップテーブル170のようなルックアップテーブルにアクセスして、空気の温度および圧力を決定する。
【0136】
測定されたフィルタの機能のコンボリューションを理論上のレイリー−ブリュアンリターン(レイリーライン形状)によって計算して、該コンボリューションをフィルタがかけられた散乱レーザ放射と直接比較することも可能である。これは、レイリー−ブリュアン信号の解析を計算することなく、大気のパラメータの計算を可能にし、大気のパラメータを決定するために必要とされるリアルタイムの計算の複雑さを低減する。特に、測定された信号の比率は、測定されたフィルタの機能でコンボリューションされたレイリーライン形状の理論上の比率と直接的に比較され得、自己較正測定を可能にし得る。例えば、データ収集チャンネルを横断する信号強度の差異および散乱させられたレーザ放射の電力は、かかる比率が使用されるとき、固有的に正規化され得る。ミー散乱は、測定されたデータから削除されるので、光ノッチフィルタのフィルタがかけられたバンド内にあるレーザ周波数において測定されたデータの特定の比率(例えば、上に論議されたように、原子蒸気細胞の吸収特徴、または他のフィルタの等価な特徴)は、温度および圧力を決定することに対して有用である。測定されたデータのデコンボリューションを計算してレイリー−ブリュアン表現とし、かつレイリー−ブリュアン表現から、測定されたデータの解析を計算することと比較して、コンボリューションの計算は、コンピュータ(例えば、OADS140のコンピュータ156)に対するより低い計算上の負荷を表す。
【0137】
例えば、信号チャンネルにおいてフィルタがかけられた散乱レーザ放射データは、式、
【0138】
【数24】

によって特徴付けられ得、
ここでパレメータは、既に定義されたとおりであり、下付き添付1は、測定周波数を示す。式24は、上に定義されたとおりの、レーザのコンボリューションに対する表記LFR(ν)、フィルタの機能およびレイリーリターン、ならびにレーザのコンボリューションに対する同様な表記LFM(ν)、フィルタの機能、およびミー散乱リターンを使用することによって簡略化され得る。
【0139】
【数25】

周波数1が、フィルタ吸収バンドに位置する場合、ミー散乱項は、実際上削除され、
【0140】
【数26】

を生じる。
周波数1で取得された信号と、別のフィルタ吸収バンドにおいて別の周波数2で取得された信号との比率を形成すると、
【0141】
【数27】

を生じ、
ここで、周波数1は時間aで測定され、周波数2は、時間bで測定される。時間aおよびbが互いに十分接近して、時間aと時間bとの間に大気の変化が生じない場合(または、例えばP、L、T、E、Dおよびrのようなパラメータの平均値が、測定のタイムスパンにわたって同一であるような態様で、測定値が散在する場合)、式27の比率はさらに、
【0142】
【数28】

に簡略化される。
【0143】
一実施形態において、ルックアップテーブルは、温度と圧力との対を格納し、温度と圧力との対は、式28において定義された測定比率のうちの2つと対応する。2つの比率は、2つの未知数を有する2つの式を本質的に定義する(すなわち、単一のかかる比率は、圧力と温度の両方ともを決定するわけではない)。データは、3つより多い、フィルタがかけられたバンドにおいても取られ得、式28の比率のうちの2つより多くを生じる。2つより多くのかかる比率が利用可能である場合、平均され得るかまたは「最適合」方法で使用されて、ノイズ入り測定環境において温度および圧力決定を向上させる、温度および圧力の複数の値が決定され得る。
【0144】
一実施形態において、温度および圧力の組み合わせに対応する理論上のレイリーライン形状は、ルックアップテーブルに格納される。推定される温度および圧力に対応するレイリーライン形状をルックアップテーブルから取得し、かつ正規化された大気リターン曲線でレイリーライン形状をコンボリューションすることによって、基準曲線が計算される。吸収特徴最大値におけるLFR(ν)の値が次に、基準曲線から決定され得、式28を使用して1つ以上の空気パラメータ(例えば温度および/または圧力)を決定するために使用され得る。
【0145】
測定されたフィルタの機能のコンボリューションを理論上のレイリーライン形状で計算することはまた、曲線適合ルーチンの利用が、コンボリューションされた曲線を真の温度および圧力状態にマッピングすることを可能にし、その結果上のTenti、BoleyおよびDesai論文によって示唆された解析計算は必要とされない。OADSは、格納された曲線形状が予め編集されたテーブルを格納し得、該格納された曲線形状は、既知の温度および圧力値の大きなデータベースを模することによって生成される(例えば、テーブルはOADS140のコンピュータ156に格納され得る)。測定値が取られるとき、データ曲線が測定されたデータから生成され得、かつ曲線適合ルーチンが使用され得、それによってデータ曲線を格納された曲線形状と比較して、真の温度および圧力を導き出す。解析計算と比較して、曲線適合ルーチンの利用はまた、ノイズ入りデータに対してより少ない感度を有し、真の温度および圧力の決定をよりロバストにする。
【0146】
図9は、OADSの動作450の一例示的な方法を示す流れ図であり、1つ以上の空気パラメータを計算するために使用され得る。方法450は、OADS140のコンピュータ156によって部分的にまたは完全に実行され得る。コンピュータ156は、ソフトウエアおよび/またはファームウエアから動作命令を受信し得る。
【0147】
ステップ460の実施形態において、レーザ(例えば、図2のレーザ141)は、所定の周波数領域(スイープされる周波数範囲)にわたってレーザ放射をスイープし、該所定の周波数領域は、フィルタの深い吸収ラインの周りに集中する。レーザは、特定のPRFでレーザ放射を伝送するか、または連続波レーザの周波数をスイープすることによって、約+/−20GHzのスイープされる周波数範囲にわたってレーザ放射をスイープし得る。一実施形態において、PRFは約1kHzであり、パルス幅は約50nsと100nsとの間であり、スイープされる周波数範囲は、フィルタ(例えば図2の蒸気フィルタ152、または干渉フィルタ、ファイバブラッググレーティングフィルタ、ダイクロイックフィルタ、ボリュームホログラフィックグレーティングフィルタ、またはルゲートフィルタ)のピーク吸収周波数(例えば260nm)と対応する周波数の周りに集中する。一実施形態において、スイープされる周波数範囲は、少なくとも1つのバンドストップフィルタの少なくとも2つの吸収特徴と対応する周波数を含む。別の実施形態において、スイープされる周波数範囲は、少なくとも1つのバンドストップフィルタの少なくとも3つの吸収特徴と対応する周波数を含む。
【0148】
ステップ462は、フィルタがかけられた散乱レーザ放射(例えば図2の成分157)、フィルタがかけられたレーザ放射(例えば図2の成分164)、およびフィルタがかけられていないレーザ放射(例えば図2の成分159)と各周波数で対応するレーザ放射を検出する。各ステップ460および462は、例えば、スイープされる周波数範囲における各レーザパルスに対して実行される。
【0149】
ステップ464は、スイープされる周波数範囲における各パルスに対して、フィルタがかけられたレーザ放射のマグニチュードをフィルタがかけられていないレーザ放射のマグニチュードで除すことによって、正規化されたフィルタ伝送曲線を決定する。ステップ466は、スイープされる周波数範囲における各パルスに対して、フィルタがかけられた散乱レーザ放射のマグニチュードをフィルタがかけられていないレーザ放射のマグニチュードで除すことによって、正規化された大気リターン曲線を決定する。ステップ464および466における計算のために必要とされるデータは、ステップ460および462の動作によって収集されるので、ステップ464および466は、任意の順序でまたは平行してなされ得ることは理解される。
【0150】
ステップ468は、正規化されたフィルタ伝送曲線(ステップ464で計算された)と正規化された大気リターンフィルタ伝送曲線(ステップ466で計算された)との間での周波数シフトであるドップラーシフトΔνを計算し、次に、上の式1を使用して、局地的な半径方向の風速Vを計算する。上述のように、バンドストップフィルタは、複数の吸収特徴を有し得る。従って、複数のドップラーシフトΔν計算および半径方向の風速ν計算は、ステップ468で計算され得る。
【0151】
ステップ470は、3つ以上の特定のフィルタ吸収バンド内で正規化された大気リターン曲線マグニチュード値(ステップ466で計算された)のみを利用し、2つ以上の正規化された大気リターン比率(実際の比率)を形成する。例えば、大気リターンデータが周波数1、2、および3(上の式28を参照して論議されたように、共に十分に密接している)に対して導き出される場合、2つの比率が、例えば、
【0152】
【数29】

のように、周波数のうちの1つをベースライン(分母)として使用して形成され得る。1つ以上のバンドストップフィルタの吸収特徴最大値に対応する大気リターン曲線マグニチュード値が使用され得る。例えば、ただ1つの空気パラメータ(例えば圧力または温度)が計算される場合、1つの大気リターン比率(実際の比率)が決定され得る。
【0153】
ステップ472は、ステップ470で利用された周波数で、理論上導き出されたレイリーライン形状とコンボリューションされた正規化されたフィルタ伝送のルックアップテーブルから理論上の温度および圧力データを取得する。1つ以上の空気パラメータ(例えば温度および/または圧力)が次に推定される。推定された1つ以上の空気パラメータと対応するレイリーライン形状は、例えば、ルックアップテーブルから取得される。基準曲線が次に、ステップ464からの正規化されたフィルタ伝送曲線で、レイリーライン形状をコンボリューションすることによって計算される。
【0154】
ステップ474では、ステップ470において形成された比率と対応する比率が、ステップ472で計算された基準曲線のマグニチュード値から形成される。ステップ474で形成された比率は、基準比率と称され得る。
【0155】
ステップ476では、1つ以上の空気パラメータ(例えば温度および圧力)が決定される。1つ以上の実際の比率とこれに対応する1つ以上の基準比率との間の差と対応する誤差が計算され得る。誤差が受容可能な範囲内である場合、推定された1つ以上の空気パラメータ(レイリーライン形状と対応する)が、実際の1つ以上の空気パラメータとして公開される。しかし、誤差が許容可能な範囲内にはない場合、ステップ472、474、および476は、誤差が許容可能な範囲内に入るまで、1つ以上の異なる推定された空気パラメータを用いて反復される。
【0156】
ステップ476の誤差は、最小2乗平均誤差アルゴリズムを使用して計算され得る。ステップ470、474、および476は任意であり得る。ステップ466において計算された正規化された大気リターン曲線は、例えば、ステップ472において計算された基準曲線と、曲線適合ルーチンを使用して相互に関連付けられる。
【0157】
上述の実施形態の特定の利点は以下を含み得る。
【0158】
(1)実質的に、高度および/またはミー散乱に関わりなく、例えば対気速度、気温および気圧のような様々な空気パラメータの正確な計算を取得すること。
【0159】
(2)振動を伴う様々な環境において、正確に作動するシステムを取得すること。
【0160】
(3)大気に関する予備知識なく、大気の特定の領域内における温度および圧力を決定する能力を取得すること。
【0161】
(4)既存のシステムと比較して、航空機搭載のシステム較正およびシステムヘルスチェックに対する必要性が低減すること。
【0162】
(5)強い振動環境に対するロバストネスを提供すること。
【0163】
(6)既存のシステムと比較して、計算がより迅速となることおよび/または航空機のコンピュータに対する計算上の要件が減少すること。
【0164】
(7)変化する温度および/または圧力を有する環境において速度を正確に計算する能力、ならびに/または
(8)レーザ周波数を正確に制御することなく、1つ以上の空気パラメータ(例えば速度、温度、および/または圧力)を正確に計算する能力。
【0165】
光学的空気データシステムから選択された距離(または範囲)で、例えば速度および温度のような空気パラメータを測定することが望ましいことがあり得る。航空機において、航空機近くの対気速度と航空機前方のより遠い区域の対気速度との間の相違は、ウインドシアーまたはマイクロバースト活動に関する警告を提供し得る。地上を基地とする適用においては、風速、風向、および気温は、高度と共に変化し得、空気データシステム上方の高度は、システム上方の範囲と対応することが知られている。
【0166】
図1〜図9を参照して本明細書に論議されるタイプのOADSは、パルスモードで操作され得る。このモードにおいて、レーザ141がレーザ放射のパルスを発するたびに、パルス後の幾つかの特定の時間遅延のうちの1つ以上で、検出器153によって測定がなされる。パルスからの各特定の時間遅延でなされた測定から導き出された空気データパラメータは、OADSシステムからの特定の距離または範囲での空気データパラメータと対応する。
【0167】
距離分解能を提供し、かつOADSがより低いピークレーザ出力パワーで動作することを可能にすることによってより低価格のレーザを使用することを可能にするOADSの代替実施形態は、図10に図示された「ランダム変調連続波(Random Modulated Continuous Wave)」(RMCW)方法である。このシステムにおいて、擬似乱数シーケンス発生器550は、2進の擬似乱数コードシーケンスを継続的に、かつ反復して発生させる。擬似乱数コードは、デルタ関数自己相関を有する。ということは、それ自体に対するコードの数学的な相互相関は、ゼロ時間遅延でデルタ関数を生み出すことを意味する。擬似乱数コードは振幅変調器553に送られ、振幅変調器553は、同調可能なレーザ552を振幅変調する。同調可能なレーザ552は、図2のレーザ141と対応する。変調器553は、レーザ552と一体の小部分(ダイオードレーザもそのようになっている)であり得るか、または例えばリチウム:ニオブ酸塩変調器、音響光学変調器もしくは同様のデバイスのように、レーザ552の外部にある分離したコンポーネントであり得る。レーザ552からのレーザ放射は、ビームスプリッタ554の中に入る。ビームスプリッタ554からの放射の一部分は、フィルタ556を通り、検出器558に達する。ビームスプリッタ554からの放射の別の一部分は、空気の中に伝送され、エアロゾルおよび分子散乱体560によって散乱させられ、かつエアロゾルおよび分子散乱体560によってドップラーシフトにさらされ、OADSに戻され、フィルタ556を通り検出器562に向かう。
【0168】
一方、シーケンス発生器550からの擬似乱数コードは、デジタル信号プロセッサ554に通され、検出器562からの出力を解釈する際に使用される。検出器562からの出力は最初、アナログデジタル変換器563を使用して、デジタル表現に変換される。シーケンス発生器550によって発生させられた擬似乱数コードの各々に対して、アナログデジタル変換器563からの出力は、ユニークメモリ位置の中に付加される。これらの「n」ユニークメモリ位置は、ヒストグラミングメモリ555と総称される。同様に、ヒストグラミングメモリ555は第1のユニークメモリ位置に戻り、最初のユニーク位置から始順次前進して、各ユニークメモリ位置に含まれる蓄積された値にアナログデジタル変換器563からの各新しい出力を加算し始める。この継続的な処理は、一回反復されるか、または所望される回数反復される。
【0169】
十分なライダー信号対ノイズ比(または同様なライダーシステム性能メトリック)が達成されるまで、一実施形態は、擬似乱数シーケンスによりヒストグラミングメモリ555の中に十分な繰り返しを反復して伝送し、これらを収集する。一旦ヒストグラミングメモリ555で十分なデータが収集されると、「n」ユニークメモリ位置の中に蓄積された「n」値は、デジタル信号プロセッサ554に渡される。デジタル信号プロセッサ554は、数学的な相互相関を2つの「n」値シーケンスについて実行し、そのうちの1つは、擬似乱数コード発生器550から到着し、もう1つは、ヒストグラミングメモリ555から到着する。結果として生じる出力は、相互関連信号570と呼ばれ、距離分解能リターン信号を提供する。相互関連信号570は次に、OADSからのすべての特定の距離における空気パラメータを決定するために使用される。
【0170】
アメリカ合衆国の大部分における暑い夏の日には、空気604は、例えば滑走路602(図11)のような地表近くで加熱される。午後までには、これはしばしば、「不安定な空気」状態を生じ、この場合暖かい空気604は、時として急速に上昇606し得る。空気は内側に引かれ、結果として生じる上昇する気柱の基部に向かい、回転し得る。条件次第では、結果として生じる乱気流は、「ダストデビル」から、例えば雷雨、ハリケーン、またはトルネードのような広範囲な現象を誘発するものに及ぶ。ダストデビルでさえも、それを通って離着陸することを試みる航空機にとっては危険を及ぼし得る。同様に、ダストデビルは突風を引き起こし得、突風は、突風が遭遇し得る風力システムに対して問題を起こし得る。
【0171】
上昇する暑い空気は共に水分を運び、高い高度にまで上がり、そこで水分が凝縮して雨になる。降雨は、時として気柱を急速に下方608に引き下げ得る。地面は気流を阻害するので、下に動く気柱608からの空気は、柱の中心から1つ以上の方向に外に向かう突風となり得、マイクロバーストとして知られる現象を生じ得る。航空機は通常、水平から3度と6度との間のグライドスロープ610に沿って着陸し、通常、着陸する間、滑走路と整列する進入経路に沿って所定の進入対気速度を維持する。調査官によると、ロッキードL−1011が、マイクロバーストが進入経路を横切る間にダラスで着陸を試みた。機がグライドスロープに沿って高度を下げていたとき、機は最初に向かい風に会い、次に下降気流に会い、最終的に追い風に会った。L−1011は、向かい風の中にある間は、対気速度を維持するために速度を落とし、機が下降気流を通って追い風の中に入ると、飛行を続けるためには不十分な対気速度を有し、滑走路手前で地面に墜落した。この事故は、同様の事故を避け得るために、飛行場の近くでマイクロバーストおよび他の低いレベルのウインドシアーを検出することに対する大きな関心につながった。
【0172】
例えば図12に図示された風力システムは、根本的に風速で変わる量の電力を生み出す。特に、風速が最小、またはカットイン(cut−in)風速よりも下に下がると、電力は生成されず、この最小値は、ハブと発電機との間のギア比、発電機設計、ブレード設計、およびブレード長さを含む特定の風力タービンパラメータの関数である。これらの風力タービンパラメータはまた、風力タービンに対する最適の発電風速範囲を部分的に決定する。
【0173】
風力システムは、強風または乱気流によっても損害を受け得、風力タービンは通常、これらの風力タービンパラメータ、ならびに他の風力タービン特有パラメータ、例えばタワー高さおよび強度、ブレード強度、およびハブベアリング設計によって決定される動作に対する最大許容風条件を有し、風速または乱気流がこの最大値を超過すると、風力タービンは一般的にファーリングしなくてはならず、ファーリングされると、電力を生成しない。風は季節および地形と共に変化し得るので、長期間(少なくとも数ヶ月から一年に及ぶ)にわたって短い間隔で風の状態を記録し、風力システムまたは風力発電基地の建設に対して適切な位置および最適の風力タービン仕様を決定することが望ましい。地表、ハブ高度、ならびにブレードの最小および最大高度を含む、各提案されたサイトでの複数の高度での風速および風向データを取得することが望ましい。このデータを取得することが、風力システムに対するサイト調査の一部分である。風力システムまたは風力発電基地に対する最適の風力タービン仕様を決定するために、および風力システムまたは風力発電基地から予測される電力出力を予想するために、蓄積されたデータが使用され得る。
【0174】
通常、風力システムは、1つ以上の風力タービン702の配列を有する。風力発電基地として知られる大きな風力システムは、互いに密集して、例えばカリフォルニア州、リバーモアの近くのアルタモントパスのような有利な風を有する有利なサイトに位置する何十ものまたは何百もの個々の風力タービンを含み得る。システムの各風力タービン702は、1つ、2つ、またはより多くのブレード704を有し、これらブレード704はハブ706に取り付けられ、ハブ706は、直接的にまたは間接的にトランスミッションを介してナセル708に通常位置する発電機を駆動する。
【0175】
ほとんどの風力タービンは、水平軸タイプであり、風力タービンおよびそのブレードが、風向の変化に関わりなく、風に対して正しい角度で維持されるようにするために配向サブシステムを必要とする。配向サブシステムは、テール710の形を取り得、テール710は、タワー712の風上にブレードを有するより小さい風力タービンに対して普通使用される。一部の他の風力タービン713においては、配向システムはナセル715の下にピボット(図示されず)を有し、ブレード717はタワー712の風下側に配置され、その結果ブレードに対する風抗力(wind drag)が、風力タービンを風に対して正しい角度に配向することに資する。配向サブシステムは通常、タワー712に対するナセル708、715の旋回可能な取り付け(図示されず)を含む。他の形式の能動的配向システムおよび受動的配向システムが公知である。
【0176】
多くの風力タービンはファーリングシステムを有し、該ファーリングシステムは、ブレードピッチを粗くするかもしくはフェザリングするか、またはブレードを風からそむけるかして、例えば突風または強風および嵐状態のような損害を与える可能性のある風からタービンを保護する。ファーリングシステムは、配向システムまたはブレードピッチシステム、他の公知の変形物と相互作用し得、それらはエアブレーキ、機械的ブレーキ、および引込み可能な取り付けを含む。
【0177】
多くの風力タービンは、ブレードピッチを制御するためのピッチシステムを有し、この場合、風に対するブレード704の迎角は、弱風におけるきめ細かなピッチから、より強い強風における粗いピッチを経て、損害を及ぼす可能性のある風の状態におけるフェザリングされたピッチへと変化し、ブレードピッチ制御は、ファーリングシステムとして役立ち得る。一部のより大きい風力タービンは、独立したブレードピッチ制御を有し、この場合、ブレードの迎角は独立して調節され得、一部のシステムにおいては、ブレードピッチは、回転中に周期的に独立的に調節され得る。
【0178】
電気的エネルギーは、エネルギー収集および処理装置720によってシステムのすべての風力タービン702の発電機から収集される。一旦収集されると、エネルギーは、電力グリッドに供給され、後の使用のために蓄積され、または局地的に使用され得る。
【0179】
風力タービンは、例えばグライダーまたは飛行機に少量の電力を提供するために使用されている数ワットの容量の小さなタービンから、例えば送電系統から外れた住人に対してしばしば使用される数百ワットまたは数千ワットの容量のタービンを経て、2メガワットを超えるピーク出力容量を有し、通常大きなパワーグリッドに電力を供給する大きなタービンにいたるまで、広く様々なタイプおよび大きさが入手可能である。ウインドシステムは、1つより多くのタイプの風力タービンを含み得、他のタイプの再生可能および/または再生不可能なエネルギー発生装置に補足されるか、またはこれと共に配置され得る。
【0180】
風力タービン702およびブレード704を含む関連するタワー712は、様々な、時として大きな風荷重を受ける。ブレード704はしばしば極めて長いので、それらの急速に回転する質量は、強いそしておそらく不均衡な風荷重と組み合わさって、ナセルおよびタワーにかなりの振動および応力を引き起こす。過度の風荷重が、タービンおよびタワーに、倒壊までも含む損害を引き起こしている。
【0181】
ウインドシアーは局地的な天候状態であり、この場合、風速および/または風向が、高度と共に変化し、これは、丘、樹木、他の風力タービン、および分水線からの乱気流から、ならびにマイクロバーストおよびダストデビルのような対流現象から生じる。飛行場の近くの航空機に危険を及ぼすことに加えて、ウインドシアーは、風力タービンにも危険を及ぼす。なぜならば、ブレードは、回転により大きく変化する風力にさらされ、この結果、振動および荷重応力を悪化させるからである。この問題に対する標準的な解決は、タワーの高さを高くし、これによって風力タービンが、より低い高度で利用可能である風よりもより均一な風にさらされるようにすることである。これは、タワーのコストおよび強度に対する要求を大きく増加させ、他の解決が望ましい。長期間にわたる振動は、タワーの金属疲労を含んで、タービンおよびタワーに損害を及ぼしている。高度に対する風速および風向が分かれば、ウインドシアーによって誘発される振動も、ブレードピッチを調節することによって低減され得る。なぜならば、ブレードは、1つの高度からもう1つの高度へとスイングし、その結果高いブレードに対する応力は、より低いブレードに対する応力によってより均一にバランスがとられるからである。
【0182】
雷雨、マイクロバースト、およびダストデビル条件、ならびに他の天候条件は、突風の吹く条件を引き起こし得、この突風の吹く条件は、風力タービンのブレード704に対する風荷重が、わずか数秒で劇的に変化するという結果を生じ得ることが知られている。従ってこれらの条件は、良好な発電条件から、タービンまたはタワーに対する過度の風荷重および損害を避けるために、ブレードピッチを変更し、迅速なファーリングさえも必要とする条件に変化し得る。
【0183】
多くの風力タービンは、電力出力および/またはブレード704の回転速度をモニタすることによって、風の条件が変化したことを検知し、これらの風力タービンは、変化が生じた後、初めて対応し得る。
【0184】
地面に取り付けられた空気データシステム714は、システムの1つ以上の風力タービンの近くに配列されて、さらなる早期のリアルタイム風情報を提供し得、不安定な空気の状態について知らせ、この情報によって、これらの状態が風力タービンに達する前に、ブレードピッチを最適化するか、またはファーリングする。同様に、空気データシステム722は、風力タービンのハブまたはナセルに位置し、迫り来る突風に関する警報を含む接近する風の情報を提供し得る。
【0185】
米国特許第7,342,323号、米国特許第7,281,891号、および米国特許第6,320,272号は風力タービンについて記述し、この風力タービンは、風力タービンのナセルまたはハブに取り付けられたレーザ風速測定システムを含み、風力タービンの前の対気速度を決定する。システムは、測定された迫り来る風速に従ってブレードピッチを変える。すべてのこれらのシステムは、コヒーレントな、パルス波または連続波ライダーを使用する。かかるシステムは、ミー散乱を使用することができるだけであり、レイリー散乱を利用することができず、澄んだ大気の空気におけるそれらの測定ロバストネスを下げ、大気の温度および圧力を測定するそれらの能力を前もって排除する。かかるシステムは速度を測定するが、風向が高度に対して一定であり、かつ風力タービンの軸と整列していると仮定する。これらのシステムのうちの一部は、高度に対する風速の差異を測定する。7,281,891のシステムは特に、軸から外れてハブに取り付けられたライダーを有し、このライダーは、タービンが回転するとき、タービンの前方の円錐状の領域をスキャンする。7,281,891のシステムは、円錐状のスキャンされた領域でのドップラーライダー技術による風速の検出を開示するが、温度の検出、ライダー動作および範囲決定の詳細も開示しない。
【0186】
従って、本発明者らは、サイト調査のための地上を基地とする風マッピングシステム、および/または、大気がエアロゾルで汚れていないときでも、関心のある様々な高度および範囲での風向および風速ならびに気温を風力システムにマッピング、記録することのできるシステム制御を提供する。本発明者らは、ある範囲の高度および風力タービンの風上の区域における範囲で、風向および風速をマッピングすることができるハブ取り付けシステムも提供する。
【0187】
地上を基地とする空気データシステム800は、例えば図1〜図10を参照して既に記述されたレイリー−ミートランシーバデバイスのような3つのレーザトランシーバ802、804、806を、共通の筐体808およびウインドウ810の中に組み立てることによって図13に示されるように組み立てられ得る。3つのトランシーバはすべて、コンピュータ812にデータを提供し、コンピュータ812の制御の下で動作する。3つのトランシーバ802、804、806はすべて、共通のウインドウ810を通して狙いを定められるが、各々は、わずかに異なる軸814、816、818に沿って狙いを定められ、その結果3つの軸は共通の平面にはない。
【0188】
コンピュータ812は、トランシーバ802、804、806の各々を使用して、システム800からの第1の距離でドップラーシフトを測定する。システムの公知の配向と共に、これらのドップラーシフトがコンピュータ812によって使用されて、その距離または高度での風速および風向を計算する。同様に、コンピュータ812は、トランシーバ802、804、806のうちの少なくとも1つを使用して、同じ高度で温度を検知する。一実施形態において、風速、風向、および気温が、ゼロから二千フィートまたはこれよりも高い幾つかの高度で、周期的な時間間隔で、検知、記録される。
【0189】
図13の実施形態は、太陽熱発電システム830およびデジタルデータレコーダ832と組み合わせられ得、風力システムのために提案された位置のサイトモニタリングを実行し得、一実施形態において、デジタルデータレコーダ832は、4つの選択された高度で15分間隔で、最小、平均、かつピーク突風風速を気温と共に記録し、少なくとも一ヶ月間記録されたデータに上書きすることなくそのようにするために充分な格納容量を有する。他の実施形態はさらなるデータを記録し得、予測される実施形態は、6つの高度から、10分間隔での最小、平均、かつ最大風速および風向観察を記録する。サイト調査システムのさらなる他の実施形態は、図15の実施形態を参照して以下に記述されるように、ある領域のスキャニングと、関心のある領域における複数の位置、複数の高度での風速および風向の記録とを含む。
【0190】
図13の実施形態は飛行場にも配列され得て、ウインドシアーおよび他の風からの危険条件を検知し得る。同様に、図13の実施形態は、天候モニタリングおよび予測を含む気象学的な適用に対する風速および温度プロファイルをモニタするためにも使用され得る。
【0191】
同様に、図13の実施形態は飛行場に配置され得、かつ進入経路およびグライドスロープに沿って整列させられ得る。航空機は、それらに向かって飛行するので、これらのシステムは、例えばヒトの目に見えずかつ害のない1500ナノメータのような長い波長を使用することが必要である。これらのデバイスは、グライドスロープに沿ったいくつかの距離で風速および風向を測定する。これらのデータは、対流不安定性、低いレベルのウインドシアー、ダストデビル、トルネード、危険なクロスウインド、マイクロバーストおよび同様の風に関係する危険な状態に関する警報を提供するために処理され得る。
【0192】
地上を基地とする空気データシステム900の代替の実施形態において、図14に図示されるように、トランスミッタアセンブリ902は、変調器903から3つ(またはこれよりも多く)のインコヒーレントなRMCWトランスミッタレーザ−望遠鏡トランスミッタアセンブリ904、906、908へ擬似乱数変調を提供するように適合される。3つ(またはこれよりも多く)のトランスミッタレーザ−望遠鏡アセンブリ904、906、908の各々は、異なる軸910、912、914上に整列させられ、これらの軸は、3つの軸が互いに同一平面上にはなく、かつ筐体918のウインドウ916を通して向けられるように配向される。トランスミッタレーザ−望遠鏡アセンブリの各々は、それと関連付けられた軸に沿って、変調されたレーザ放射を空気の中に伝送し、この場合、ミー散乱およびレイリー散乱が起きる。特定の実施形態において、トランスミッタレーザ−望遠鏡アセンブリは、1550ナノメータで動作する。
【0193】
同様に、レシーバアセンブリ920は、3つ(またはこれよりも多く)の光検出器−望遠鏡アセンブリ922、924、926を有し、各々は軸928、930、932上に整列させられる。これらレシーバ軸928、930、932の各々は、トランスミッタ軸910、912、914と平行に整列させられ、かつわずかにこれらに収斂する。レシーバ電子機器940、942、944は、関連付けられた光検出器−望遠鏡アセンブリ922、924、926から信号を受信し、受信された信号と変調器903からサンプリングされたとおりの変調とを相互に関連させ、関連付けられた光検出器−望遠鏡アセンブリによって受信されたミーおよびレイリー散乱放射のドップラーシフトの距離分解測定を提供する。
【0194】
コンピュータ950は、3つ(またはこれよりも多く)のレシーバ電子機器940、942、944すべてから情報を受信し、装置900から様々な範囲における風速および風向を、受信されたレイリーおよびミー散乱データから計算し、検出された風速および風向測定値を10分の1秒ごとに、または必要に応じてこれよりも速く更新する。
【0195】
特定の実施形態において、トランシーバ904/926のうちの1つ、または図1〜図10を参照して既に記述されたようなさらなるレーザトランシーバ952は、ユニットからの様々な範囲での温度を決定するために使用される。従って、このユニットは、高度に対する風速、風向、および温度のプロファイルを提供し得、これらの測定値は、限度と比較され得、飛行場におけるウインドシアーに関する警報を提供するか、またはデジタルレコーダに記録され得、風力システムのためのサイト調査を実行し得る。さらに、別個の地表−レベル湿度センサの助けで、システムからの温度対高度のデータが処理され、対流不安定性の測定値を提供する。例えばダストデビル、マイクロバースト、雷雨、およびトルネードがシステムの視界内に存在しなくとも、かかる風の状態が発達する可能性があるとき、対流不安定性のこの測定値は、状態に関する早期の警報を提供する。
【0196】
温度対高度の測定値は、他の装置からの湿度の測定値と組み合わされ得、空気の不安定性の測定値を与え得る。不安定な空気は、単なるダストデビルからトルネード(これらはすべて、突風状態を生み出し得る)にまでおよぶ対流活動につながり得、かつこれに動力を供給するので、不安定な空気状態が存在するときは、ファーリング閾値は風力タービンコントローラによって低減され得る。
【0197】
OADS1000の代替の実施形態が、図15に図示されている。この実施形態においては、図1〜図10のRMCW OADSを参照して既に論議されたように、少なくとも1つの空気データレーザトランスミッタ1002およびレシーバ1004が、スキャニングウェッジ1006、または例えば関心のある領域をスイープするホログラフィックグレーティングもしくはステアリングミラーに向けられる。スキャニングウェッジが、その視界の向きを直す。スキャニングウェッジ1006が、動力を備える取付け1008に取り付けられ、動力を備える取付け台1008はウェッジを動かし、空気データレーザトランスミッタおよびレシーバ1002、1004の視界を垂直にスキャンし、その結果、視界が、例えば水平からOADSのまっすぐ上までの範囲の角度にわたってスキャンされる。
【0198】
一実施形態において、空気データレーザトランスミッタ1002、レシーバ1004、ミラー1006、および動力を備える取付け台1008は、回転可能なタレット1010内に取り付けられ、回転可能なタレット1010は、OADSの視界が、OADSの周り360度の領域にわたって水平にスキャンされるように配列される。代替の実施形態において、レーザトランスミッタ1002およびレシーバ1004は据付けであるが、スキャニングウェッジ1006は、動力を備える取付け台1008によって回転させられてスキャンする。このように、OADSの視界は、OADSの位置に中心がある、半径2キロメータ以上までの空気の半球状の体積にわたってスキャンされる。
【0199】
図15の実施形態に類似するさらなるOADSの実施形態は、図1〜図10のRMCW OADSを参照して既に論議されたように、1つの空気データレーザトランスミッタ1002とレシーバ1004とを含み、2つのプリズムまたはホログラフィックグレーティング(図示されず)に向けられ、スキャンを円錐状の視界における所定の点に向ける。
【0200】
図15のOADSの実施形態は、3つのレーザトランシーバ1002、1004を有し、3つすべてのドップラー測定値を使用し、RMCW範囲弁別によって、半球状体積の空気における関心のある様々な領域での風速および風向を決定する。
【0201】
図15のOADSの代替の実施形態は、半球状体積の空気の領域における風向測定のために必要とされる3つのドップラー測定値を取得し、該3つのドップラー測定値は、2つのわずかに異なる垂直の角度および2つのわずかに異なる水平のタレットまたはスキャニングウェッジ角度で測定されたドップラーシフトを記録することによって、単一のレーザトランスミッタ1002およびレシーバ1004から取得される。この実施形態も、半球状体積の空気全体にわたって風速および風向をマッピングすることができる。
【0202】
図15のOADSは、風力タービン702の近傍714(図12)か、または一群の風力タービンの近傍に位置し得、タービン702の制御のため、様々な位置および高度での空気データを提供し得る。このOADSは、ウインドシアーおよび悪い風の条件を検出することができ、かつタービンの回転の間、周期的にブレードピッチを調節することによって風力タービン702を調節することができ、一部の実施形態においては、能動的配向サブシステムの調節によって偏揺をトリミングすることができ、かつ必要なときは、ブレード704が被る負荷を低減するためにファーリングすることができ、これによって風力タービン702がよりうまく存続することを可能にする。一実施形態において、風力タービンは従って、高度に対して風向および風速に相違がある乱気流およびウインドシアーをよりうまく切り抜けることができ、ファーリングを必要とする状態においても電力を提供することが可能とされる。従って、システムは、当技術分野で公知のシステムよりも、風力タービンのより良い保護および利用を提供する。一実施形態において、RMCW OADSのコンピュータは、ブレードの動きを風として読み取ることを避けるために、風力タービンの位置と一致する角度および遅延、従って位置からの散乱を無視するようにプログラムされる。
【0203】
別の実施形態において、図15のRMCW OADSは、風力タービンのナセル708に取り付けられ得、風力タービンのブレードと一致する角度および遅延、従って位置からの散乱を無視するようにプログラムされ得る。一実施形態において、RMCW OADSのコンピュータは、ブレードの動きを風として読み取ることを避けるために、風力発電基地の他の風力タービンの位置からの散乱を無視するようにプログラムされる。
【0204】
同様に、図15のOADSは、飛行場の近傍で風をマッピングするために滑走路近傍に位置し得るか、またはサイト調査の目的で、提案された風力発電基地のサイトに配置され得る。
【0205】
同様に、図15のOADSは、例えば強い突風的または乱気流的な風が、トラックおよび他の目立つ乗り物に危険を及ぼすレベルに達し得る山の峠のような領域に位置し得る。このOADSのコンピュータは、所定の閾値を超過する強い突風的または乱気流的な風が検出されるとき、交通警報を生成するようにプログラムされる。
【0206】
代替の実施形態において、図1〜図10または図13を参照して記述されたようなRMCW OADSは、風力タービン702のハブ704の722に位置する。このOADSは、風力タービンの軸から外れた軸に取り付けられ、その結果このOADSは、風力タービン702の前方の円錐724の幾つかの範囲で風速および風向をマッピングする。RMCW OADSのコンピュータは、ブレードの動きを風として読み取ることを防止するために、風力発電基地の他の風力タービンの位置と一致する角度および範囲からの散乱を無視するようにプログラムされる。
【0207】
このOADSは風向および範囲と高度に対する風向の差異、ならびに風速を検知し得るので、このOADSは、ウインドシアーの方向成分および速度成分を検出する。従って、OADSは、風力タービン702がかかるウインドシアーに対してファーリングするか、または補正するための情報を提供する。
【0208】
代替の実施形態(図示されず)において、OADSは、風力システムのブレードに取り付けられ、風対ブレードの迎角情報と相対速度情報の両方を提供する。この情報は、ブレードピッチを制御するために使用される。情報は、回転の間、複数の点においても格納され、ブレードの各回転を通してブレードピッチを調節するために使用され得る。
【0209】
本明細書の開示の範囲から逸脱することなく上記の方法およびシステムには、特定の変更がなされ得るので、上記に含まれるか、または添付の図面に示されるすべての事項は、例示として解釈され、限定的な意味には解釈されないことが意図されている。例えば、本明細書に記述されたようなOADSおよびOADSトランシーバは、示されたものに相当する方法で、構成、接続、かつ/または組み合わせがなされ得ることを当業者は理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔で空気を検知する方法であって、該方法は、
同調可能なレーザによってレーザ放射を生成することと、
該レーザ放射を投射される成分およびコントロール成分にスプリットすることと、
該コントロール成分を1つ以上の電子的コントロール信号に変換することと、
該投射される成分を空気の中に投射して、散乱放射を誘発することと、
該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信することと、
該後方散乱放射を1つ以上の電子的後方散乱放射信号に変換することであって、
第1の部分をフィルタがかけられていない後方散乱電子信号に変換することと、
光ノッチフィルタを使用して、該後方散乱放射の少なくとも一部分にフィルタをかけて、フィルタがかけられた部分を形成することと、
該フィルタがかけられた部分をフィルタがかけられた後方散乱電子信号に変換することとを含む、変換することと、
該1つ以上の電子的コントロール信号および該1つ以上の電子的後方散乱放射信号を処理して、ドップラーシフトを決定することと、
該ドップラーシフトを処理して、風速を決定することと
を包含する、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの電子的コントロール信号は、前記コントロール成分を前記光ノッチフィルタでフィルタをかけることによって導き出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レーザ放射は、少なくとも2つの軸に沿って投射され、ドップラーシフトが、該軸の各々に沿って決定され、該軸のおのおのに沿った該ドップラーシフトが、風速および風向を決定するために使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
レーザ放射は、少なくとも3つの軸に沿って投射され、ドップラーシフトが、該軸の各々に沿って決定され、該軸のおのおのに沿った該ドップラーシフトが、風速および風向を決定するために使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記後方散乱放射のレイリー散乱成分から気温を決定することをさらに包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザ放射をスキャンして、ある体積の空気内における複数の位置で、風速および風向情報を取得することをさらに包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
風力システムサイト調査のために前記風速および風向を周期的に記録することをさらに包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
擬似乱数シーケンスによって前記レーザを変調することと、ヒストグラミングタイプのメモリで前記受信された後方散乱放射を格納することと、この受信された後方散乱放射を該擬似乱数シーケンスと相互に関連付け、前記同調可能なレーザから少なくとも1つの特定の距離における風速を取得することとをさらに包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザ放射をスキャンして、ある体積の空気内における複数の位置で、風速および風向情報を取得することをさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
風力システムサイト調査のために前記風速および風向を記録することをさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
風力タービンの少なくとも1つのブレードに対するブレードピッチを決定することをさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記レーザ放射が、風力タービンの1つの位置から空気の中に発散される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記風力タービンの前記位置は、風力タービンのハブまたはナセル上にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記レーザを擬似乱数シーケンスによって変調することと、ヒストグラミングタイプのメモリ内に前記受信された後方散乱放射を格納することと、該受信された後方散乱放射を該擬似乱数シーケンスと相互に関連付け、前記同調可能なレーザから少なくとも1つの特定の距離における風速を取得することとをさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の高度における風速および風向を決定し、該風速および風向に応答して、前記風力タービンに対するブレードピッチを決定することをさらに包含する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
光学的に空気データを検知するシステムであって、該システムは、
レーザ放射を生成する同調可能なレーザと、
該レーザ放射を投射される成分およびコントロール成分にスプリットする少なくとも1つのビームスプリッタと、
少なくとも1つの光ノッチフィルタと、
少なくとも1つのコントロール成分検出器であって、該少なくとも1つの光ノッチフィルタを通して該コントロール成分の少なくとも一部分を受信して、該コントロール成分の少なくとも一部分から電子的コントロール信号を生成するように結合された、検出器と、
装置であって、該投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘発し、該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信する、装置と、
少なくとも1つの後方散乱放射検出器であって、該少なくとも1つの光ノッチフィルタを通して、該後方散乱放射の少なくとも一部分を受信し、該後方散乱放射の少なくとも一部分から電子的後方散乱信号を生成するように結合された、検出器と、
コントロールおよび計算装置であって、該同調可能なレーザの波長をスイープし、該電子的後方散乱信号および該電子的コントロール信号を受信して、該電子的後方散乱信号および該電子的コントロール信号からドップラーシフトを決定し、そして該ドップラーシフトを処理して風速を決定する、装置と
を備えている、システム。
【請求項17】
擬似乱数シーケンスを生成する擬似乱数シーケンス発生器と、
該擬似乱数シーケンスによって前記レーザ放射を変調する変調器と
をさらに備え、
前記コントロールおよび計算装置が、該擬似乱数シーケンスを前記電子的後方散乱信号と相互に関連付けて、前記システムからの複数の範囲において前記ドップラーシフトを決定する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントロールおよび計算装置は、前記電子的後方散乱信号を分析して、レイリー散乱を決定し、かつ前記システムからの複数の範囲において該レイリー散乱から気温を決定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
デジタルデータレコーダをさらに備え、該デジタルデータレコーダは、1時間毎に少なくとも4回、最小風速、平均風速、およびピーク突風風速データを気温データと共に記録するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記デジタルデータレコーダは、前記システムからの少なくとも4つの範囲において、最小風速、平均風速、およびピーク突風風速を気温と共に記録するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントロールおよび計算装置は、前記電子的後方散乱信号を分析して、レイリー散乱を決定し、かつ前記システムからの複数の範囲において該レイリー散乱から気温を決定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘導し、かつ該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信する前記装置は、ある体積の空域をスキャンするように適合される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも1つの風力タービンの少なくとも1つのブレードピッチを制御するコントロール装置をさらに備えている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントロールおよび計算装置は、少なくとも1つの風力タービンのブレードの動きを風として読み取ることを避けるために、前記後方散乱放射の少なくとも一部を選択的に無視する、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントロールおよび計算装置は、角度および範囲の情報を前記少なくとも1つの風力タービンの位置と比較することによって、どの後方散乱放射を無視するべきかを決定する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムの少なくとも一部分は、ナセルおよびハブからなる群から選択された風力タービンの要素内に位置する、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記コントロールおよび計算装置は、危険な風速、ウインドシアー、マイクロバースト、およびダストデビルからなる群から選択される風の状態に関する警報を提供するように適合される、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記コントロールおよび計算装置は、対流不安定性、地形によって誘発された流れの不規則性、障害によって誘発された流れの不規則性および粗い地表の上を押す風からなる群から選択される事象によって引き起こされる乱気流に関する警報を提供するように適合される、請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
光学的に空気データを検知するシステムであって、該システムは、
擬似乱数シーケンスを発生させる擬似乱数シーケンス発生器と、
擬似乱数シーケンスによって変調されるレーザ放射を生成する同調可能なレーザと、
該レーザ放射を投射される成分およびコントロール成分にスプリットする少なくとも1つのビームスプリッタと、
少なくとも1つの光ノッチフィルタと、
少なくとも1つのコントロール成分検出器であって、該少なくとも1つの光ノッチフィルタを通して該コントロール成分の少なくとも一部分を受信して、該コントロール成分の少なくとも一部分から電子的コントロール信号を生成するように結合された、検出器と、
装置であって、該投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘発し、該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信する、装置と、
少なくとも1つの後方散乱放射検出器であって、該少なくとも1つの光ノッチフィルタを通して、該後方散乱放射の少なくとも一部分を受信して、該後方散乱放射の少なくとも一部分から電子的後方散乱信号を生成するように結合された、検出器と、
コントロールおよび計算装置であって、該同調可能なレーザの波長をスイープし、該電子的後方散乱信号および該電子的コントロール信号を受信し、そして該擬似乱数シーケンスを該電子的後方散乱信号と相互に関連付けて、該システムからの複数の範囲においてドップラーシフトを決定する、装置と
を備え、該コントロールおよび計算装置は、該電子的後方散乱信号を分析して、レイリー散乱を決定し、かつ該システムからの複数の範囲において該レイリー散乱から気温を決定する、システム。
【請求項30】
前記レーザ放射は複数の軸に沿って向けられ、前記コントロールおよび計算装置は、複数の範囲における該複数の軸に沿って、決定されたドップラーシフトからの該複数の範囲において、風速および風向を決定する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
デジタルデータレコーダをさらに備え、該デジタルデータレコーダは、1時間毎に少なくとも4回、前記システムからの少なくとも4つの範囲において、最小風速、平均風速、およびピーク突風風速データを気温データと共に記録するように構成され、該デジタルデータレコーダは、少なくとも1ヶ月間の風速データに対して格納容量を有する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記投射される成分を空気に投射して、散乱放射を誘導し、かつ該散乱放射の一部分を後方散乱放射として受信する前記装置は、ある体積の空域をスキャンするように適合される、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
少なくとも1つの風力タービンの少なくとも1つのブレードピッチを制御するコントロール装置をさらに備えている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記コントロールおよび計算装置は、少なくとも1つの風力タービンのブレードの動きを風として読み取ることを避けるために、決定された角度および範囲の情報を該少なくとも1つの風力タービンの位置と対応する角度および範囲の情報と比較することによって風速データにフィルタをかける、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
第2の風力タービンの少なくとも1つのブレードピッチを制御するコントロール装置をさらに備えている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記システムの少なくとも一部分は、ナセルおよびハブからなる群から選択された風力タービンの要素内に位置する、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記コントロールおよび計算装置は、関心のある領域における速い風速の災害、乱気流、ウインドシアー、マイクロバースト、およびダストデビルからなる群から選択される風の状態に関する警報を提供するように適合される、請求項32に記載のシステム。
【請求項38】
前記コントロールおよび計算装置は、関心のある領域における、接近する風の状態、および航空機の進入路内の風の状態に関する警報を提供するように適合される、請求項32に記載のシステム。
【請求項39】
前記システムが飛行場の近くに設置され、関心のある領域は、飛行場トラフィックパターン領域を包含し、前記コントロールおよび計算装置は、該飛行場トラフィックパターン領域における危険な風の状態に関して警報を提供するように適合される、請求項32に記載のシステム。
【請求項40】
前記システムが設置され、関心のある領域は、ハイウェーの近くの領域を包含し、前記コントロールおよび計算装置は、危険な風の状態が該関心のある領域において検出されると、交通警報を提供するように適合される、請求項32に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−300425(P2009−300425A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−18858(P2009−18858)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(509029357)オフィル コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】