説明

光学的観察装置

【課題】マウス等の小動物の脳等の働きを、小動物の自由な動作を許容しつつ光学的に観察する。
【解決手段】光源2と、光源2からの照明光を被検体の観察対象部位に照射する照明光学系3と、観察対象部位からの戻り光を導光する検出光学系4と、導光された戻り光を検出し電気信号に変換する光検出器5と、これらを固定する鏡枠6とを備え、照明光学系3が、照明用集光レンズ7、ダイクロイックミラー11および対物レンズ12を備え、検出光学系4が検出用集光レンズ14を備え、鏡枠6が光源2および光検出器5から対物レンズ12まで連絡し、照明用集光レンズ7、ダイクロイックミラー11および検出用集光レンズ14を収容する溝15を備える第1の鏡枠部材6Aと、溝15を閉塞するように第1の鏡枠部材6Aに固定される第2の鏡枠部材6Bとを備える光学的観察装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マウス等の小動物から発せられる放射線を電位信号として検出し、検出された電位信号を無線によって解析装置に送信する観察システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0298700号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マウス等の脳の働きは光学的に検出することが可能であり、特許文献1の電位信号を検出する観察システムでは観察することができない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、マウス等の小動物の脳等の働きを、小動物の自由な動作を許容しつつ光学的に観察することができる小型の光学的観察装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、光源と、該光源からの照明光を被検体の観察対象部位に照射する照明光学系と、前記観察対象部位からの戻り光を導光する検出光学系と、該検出光学系により導光された戻り光を検出し電気信号に変換する光検出器と、これらを固定する鏡枠とを備え、前記照明光学系が、光源からの照明光を集光する照明用集光レンズと、該照明用集光レンズにより集光された照明光から励起波長帯域の照明光を分離するダイクロイックミラーと、該ダイクロイックミラーにより分離された励起波長帯域の照明光を集光して観察対象部位に照射する対物レンズとを備え、前記検出光学系が、前記対物レンズにより集光され、前記ダイクロイックミラーにより前記照明光の光路から分離された前記観察対象部位からの戻り光を前記光検出器に集光する検出用集光レンズを備え、前記鏡枠が、前記光源および前記光検出器から前記対物レンズまで連絡し、前記照明用集光レンズ、前記ダイクロイックミラーおよび前記検出用集光レンズを収容する溝を備える第1の鏡枠部材と、前記溝を閉塞するように前記第1の鏡枠部材に固定される第2の鏡枠部材とを備える光学的観察装置を提供する。
【0006】
本発明によれば、第1の鏡枠部材に備えられた溝内に照明用集光レンズ、ダイクロイックミラーおよび検出用集光レンズを収容し、第2の鏡枠部材を第1の鏡枠部材に固定して溝を閉塞することにより、照明用集光レンズ、ダイクロイックミラーおよび対物レンズを備える照明光学系と、該照明光学系に交差する検出用集光レンズを備えた検出光学系とがコンパクトに構成される。
【0007】
光源からの照明光は、照明光学系に入射して、照明用集光レンズにより集光された後にダイクロイックミラーによって励起波長帯域の照明光が分離され、分離された照明光が対物レンズを介して観察対象部位に照射される。観察対象部位において発生した蛍光は、対物レンズによって集光された後、ダイクロイックミラーによって照明光の光路から分離されて検出光学系に入射され、検出光学系を構成する検出用集光レンズによって光検出器に集光され、光検出器により検出される。
【0008】
すなわち、本発明によれば、第1の鏡枠部材に形成された溝内に光学部品を収容して第2の鏡枠部材によって溝を閉塞した鏡枠に、光源と、光検出器と対物レンズとを取り付けただけのコンパクトな構成によって、観察対象部位において発生した蛍光を検出することができる。その結果、本発明によれば、小型軽量化を図り、被検体にかかる負担を軽減して、被検体の自由な動作を許容しつつ、観察対象部位を光学的に観察することができる。
【0009】
上記発明においては、前記溝内に、前記照明用集光レンズ、前記ダイクロイックミラーおよび前記検出用集光レンズを光軸方向に位置決めする突当面を備えていてもよい。
このようにすることで、溝内に収容した前記照明用集光レンズ、前記ダイクロイックミラーおよび前記検出用集光レンズを突当面に突き当てることにより簡易に光軸方向に位置決めすることができる。
【0010】
また、上記発明においては、前記鏡枠に、前記対物レンズ側の側面の縁部に面取部が設けられていてもよい。
このようにすることで、被検体の観察対象部位に配置される対物レンズを鏡枠の外部から確認する際に、面取部により視認し易くすることができる。
【0011】
上記発明においては、前記溝が、前記光源から前記対物レンズまで連続する第1の溝と、前記光検出器に連絡し前記第1の溝に交差する第2の溝とを備え、前記第1の溝と前記第2の溝との交差位置に前記ダイクロイックミラーが収容されていてもよい。
このようにすることで、第1の溝内を導光されてきた照明光が、ダイクロイックミラーによって対物レンズに指向される一方、対物レンズにより集光された観察対象部位からの蛍光は、ダイクロイックミラーによって第2の溝内に指向され、光検出器により検出される。
【0012】
また、上記発明においては、前記第1の溝が前記第2の溝と略平行な平行溝部を有し、該平行溝部の一端の前記光検出器と並列に配置される位置に前記光源が配置されていてもよい。
このようにすることで、光源と光検出器とを同一の平板状の基板上に実装することができる。これにより、構造を簡易化してコンパクトに構成することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記第1の溝が、前記光源から前記ダイクロイックミラーまで直線状に形成され、該第1の溝の前記交差位置とは反対側の一端に配置される位置に前記光源が配置され、前記第2の溝が、前記光検出器から前記ダイクロイックミラーまで直線状に形成され、該第2の溝の前記交差位置とは反対側の一端に配置される位置に前記光検出器が配置されていてもよい。
【0014】
このようにすることで、照明光学系および検出光学系の構成をシンプルにして光束がケラれる箇所を減らし、光量ロスを低減することができる。また、光源と光検出器とを距離を離して配置し、光検出器における光源からの漏れ光の影響を低減してS/N比を向上することができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記第1の鏡枠部材が、平坦面を有するベース部材と、該ベース部材に、前記平坦面に沿う方向に間隔をあけて固定された少なくとも3つのブロック部材とにより、前記第1の溝および前記第2の溝を区画形成してなっていてもよい。
このようにすることで、照明光学系および検出光学系を収容する第1の溝および第2の溝を精度よく構成することができる。
【0016】
また、上記発明においては、前記対物レンズが、前記鏡枠に着脱可能に取り付けられていてもよい。
このようにすることで、被検体毎、あるいは観察対象部位毎に、異なる対物レンズを取り付けて、観察対象部位に適した観察を行うことができる。
【0017】
また、上記発明においては、前記照明用集光レンズおよび前記検出用集光レンズがGRINレンズまたは非球面レンズにより構成されていてもよい。
このようにすることで、照明用集光レンズおよび検出用集光レンズをコンパクトに構成することができ、被検体に搭載されて被検体とともに移動する装置の軽量化を図り、被検体の運動を阻害することなく光学的な観察を行うことができる。
【0018】
また、上記発明においては、前記照明光学系が、前記集光レンズにより集光された照明光をリレーするリレーレンズを備え、該リレーレンズが前記溝内に収容されていてもよい。
このようにすることで、照明用集光レンズにより集光された光源からの光がリレーレンズによりリレーされ、光束径を細く維持することができる。これにより、光束がケラれることを防止しつつ、ポイント照明を行うことができる。
【0019】
また、上記発明においては、前記リレーレンズがGRINレンズまたは非球面レンズにより構成されていてもよい。
このようにすることで、リレーレンズもコンパクトに構成することができ、被検体に搭載されて被検体とともに移動する装置の軽量化を図り、被検体の運動を阻害することなく光学的な観察を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、マウス等の小動物の脳等の働きを、小動物の自由な動作を許容しつつ光学的に観察することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る光学的観察装置の内部構造を示す図である。
【図2】図1の光学的観察装置を示す斜視図である。
【図3】図1の光学的観察装置の第2の鏡枠部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図4】図1の光学的観察装置の第1の鏡枠部材を示す斜視図である。
【図5】図1の光学的観察装置の第1の鏡枠部材に対物レンズが着脱される様子を示す斜視図である。
【図6】図1の光学的観察装置を備える光学的観察システムを示す全体構成図である。
【図7】対物レンズの変形例を示す縦断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の変形例に係る光学的観察装置の内部構造を示す図である。
【図9】図8の光学的観察装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る光学的観察装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る光学的観察装置1は、図1に示されるように、マウス等の小動物等の被検体Aに固定される装置である。
【0023】
本実施形態に係る光学的観察装置1は、LED光を射出するLED等の光源2と、該光源2からのLED光を観察対象部位Bに照射する照明光学系3と、観察対象部位Bにおいて発生した蛍光を導光する検出光学系4と、該検出光学系4により導光された蛍光を検出する光検出器5と、これらを固定する鏡枠6とを備えている。
【0024】
照明光学系3は、光源2から発せられたLED光を集光するコレクタレンズ7と、光路を90°折り曲げるプリズム8と、LED光内の所定の励起波長帯域のLED光のみを透過させる励起フィルタ9と、該励起フィルタ9を通過したLED光をリレーするリレーレンズ10と、該リレーレンズ10によりリレーされたLED光を反射して90°偏向する一方、後述する蛍光を透過するダイクロイックミラー11と、該ダイクロイックミラー11により反射されたLED光を観察対象部位Bに集光する対物レンズ12とを備えている。
【0025】
コレクタレンズ7、リレーレンズ10および対物レンズ12は、GRINレンズによって構成されている。対物レンズ12は、図2に示されるように、被検体Aの観察対象、例えば、脳組織に容易に刺される尖端12aを有するとともに、LED光を90°偏向して側方に射出させる偏向面12bを有している。
【0026】
検出光学系4は、対物レンズ12により集光されダイクロイックミラー11を透過した蛍光内に含まれる励起波長帯域の光を遮断し蛍光のみを透過させるバリアフィルタ13と、該バリアフィルタ13を透過した蛍光をリレーするリレーレンズ14とを備えている。リレーレンズ14もGRINレンズによって構成されている。
光検出器5は、例えば、フォトダイオードであり、蛍光を受光するとその強度に応じた電気信号を出力するようになっている。
【0027】
鏡枠6は、図2および図3に示されるように、一表面に形成された溝15を有する第1の鏡枠部材6Aと、溝15を閉塞するように第1の鏡枠部材6Aに固定される第2の鏡枠部材6Bとを備えている。溝15は、図3に示されるように、照明光学系3を構成するコレクタレンズ7、プリズム8、励起フィルタ9、リレーレンズ10およびダイクロイックミラー11を収容する第1の溝16と、検出光学系4を構成するバリアフィルタ13およびリレーレンズ14を収容する第2の溝17とから構成されている。
【0028】
第1の溝16は、直角に2回屈曲させたクランク形状を有し、各屈曲部にプリズム8およびダイクロイックミラー11が収容され、光路をそれぞれ90°屈曲させるようになっている。第2の溝17は、直線状に形成され、ダイクロイックミラー11の位置で第1の溝16に交差している。これにより、第1の溝16には第2の溝17と平行に配される平行溝部16aが設けられている。
【0029】
第1の溝16内および第2の溝17内には、図4に示されるように、それぞれ、コレクタレンズ7、プリズム8、励起フィルタ9、リレーレンズ10、ダイクロイックミラー11、バリアフィルタ13およびリレーレンズ14を光軸方向に突き当てる突当面18が設けられている。第1の溝内16および第2の溝17内に、各光学部品を収容する際に、各光学部品を突当面18に突き当てて接着することにより、光軸方向に簡易かつ精度よく位置決め状態に固定することができるようになっている。
【0030】
第2の溝17の一端には光検出器5が配置されるようになっている。一方、第1の溝16の平行溝部16aの一端には、光源2が配置されるようになっている。光検出器5および光源2は、同一の平板状の回路基板19上に並列に実装されている。
【0031】
第1の溝16の他端には対物レンズ12が固定されている。対物レンズ12は、支持枠12cによって支持され、図5に矢印Cで示されるように、該支持枠12cを第1の溝16の他端に、深さ方向に設けられた案内溝20に沿って嵌め込むことにより着脱可能に取り付けられている。
対物レンズ12は、鏡枠6の一表面に偏心した位置に配置されており、該対物レンズ12に最も近接する鏡枠6の縁部には、部分的に切り欠かれた面取部21が設けられている。
【0032】
第1の鏡枠部材6Aは、略平坦な表面を有するベース部材22と、該ベース部材22の表面に間隔をあけて固定された3つのブロック23,24,25とを備えている。ベース部材22および各ブロック23,24,25は、個別に精密に加工された後に、位置決めピン(図示略)によって相互に位置決めされた状態で固定されている。これにより、これらのブロック23,24,25間の隙間に、第1の溝16および第2の溝17が精度よく形成されている。
【0033】
このように構成された本実施形態に係る光学的観察装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る光学的観察装置1は、例えば、図6に示されるような光学的観察システム26において使用される。
【0034】
この光学的観察システム26は、マウス等の被検体Aに固定される可搬装置27と、外部に配置される外部装置28とを備えている。可搬装置27は光学的観察装置1と送信部29とを備えている。送信部29は図示しない送信器と可搬装置27全体に電力供給を行うバッテリとを備えている。
【0035】
外部装置28は、送信部29により可搬装置27から送られてきた電気信号を受信する受信器30と、該受信器30により受信された電気信号を処理する信号処理部31と、モニタ32を備えている。信号処理部31は、電気信号から画像を生成する画像化処理と、生成された画像をモニタ32に表示する表示処理とを行うようになっている。
【0036】
光学的観察装置1は、対物レンズ12の尖端12aを被検体Aの観察対象、例えば、脳組織に刺して、被検体Aの頭部に固定される。また、バッテリを含む比較的重量の大きな送信部29は被検体Aの胴体にベルト等によって固定される。
【0037】
そして、光源2を作動させLED光を射出させると、射出されたLED光はコレクタレンズ7より集光され、プリズム8により偏向され、励起フィルタ9を通過した励起波長帯域のLED光がリレーレンズ10によりリレーされた後、ダイクロイックミラー11により反射されて対物レンズ12を介して被検体A内の観察対象部位Bに照射される。対物レンズ12は偏向面12bを有しているので、LED光は90°偏向されて、対物レンズ12を刺した方向に対して側方に位置する観察対象部位Bに照射される。
【0038】
観察対象部位Bにおいて発生した蛍光は、対物レンズ12により集光され、ダイクロイックミラー11を透過して、バリアフィルタ13により励起波長帯域のLED光が除去されたものがリレーレンズ14によりリレーされて光検出器5により検出される。光検出器5においては、蛍光の強度に応じた強度の電気信号が出力され、送信部29に送られる。
【0039】
送信部29においては、光学的観察装置1から送られてきた電気信号が送信器によって無線により外部に送信される。
外部装置28においては、送信器から送られてきた電気信号が受信器30により受信され、信号処理部31によって画像化された後、モニタ32に表示される。
【0040】
このように構成された本実施形態に係る光学的観察システム26によれば、光学的観察装置1において、観察対象部位BにLED光を照射することにより発生した蛍光を検出し、電気信号に変換して出力し、無線によって外部に送信するので、被検体Aの動きを拘束することなく、自由に活動させた状態での観察対象部位Bの状態を光学的に観察することができるという利点がある。
【0041】
この場合において、本実施形態に係る光学的観察装置1によれば、コレクタレンズ7、リレーレンズ10,14および対物レンズ12をGRINレンズによって構成しているので、照明光学系3および検出光学系4がコンパクトに構成され、小型軽量に構成することができる。その結果、被検体Aにかかる負担を軽減して、活動を阻害することを防止し、ストレスの少ない自由な活動状態における観察を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る光学的観察装置1によれば、第1の鏡枠部材6Aに設けられた溝15にコレクタレンズ7、プリズム8、励起フィルタ9、リレーレンズ10、ダイクロイックミラー11、バリアフィルタ13およびリレーレンズ14を組み込み、突当面18に突き当てて接着した後に、第2の鏡枠部材6Bで閉じるだけで、簡易かつコンパクトに構成することができる。
【0043】
また、第1の溝16をクランク状に屈曲させて第2の溝17に略平行な平行溝部16aを設けているので、光源2と光検出器5とを並列に配列でき、平坦な基板19上に実装することができる。これにより、光学的観察装置1をさらにコンパクトに構成することができる。
【0044】
また、鏡枠6の対物レンズ12近傍の鏡枠6に面取部21を設けたので、対物レンズ12の尖端12aを被検体Aに配置する際に、面取部21によって外部からの対物レンズ12の視認性を向上することができ、所望の位置に的確に配置することができる。例えば、尖端12aを有する対物レンズ12を脳組織に刺し入れる際に、その位置を目視により確認しながら行うことができる。
【0045】
また、本実施形態においては、案内溝20によって対物レンズ12を着脱可能に取り付けることとしたので、観察対象部位Bに合わせて、適当な対物レンズ12に交換して観察を行うことができるという利点がある。例えば、図7に示されるように、尖端12aおよび偏向面12bを有さず、挿入容易性向上のために、先端に向かって先細となるテーパ部12dを有し、観察対象部位Bを直視可能な形態の対物レンズ12を採用してもよい。
【0046】
また、溝15を有する第1の鏡枠部材6Aをベース22と3つのブロック23〜25とにより構成したので、ベース22および3つのブロック23〜25を個別に精密に加工して相互に固定するだけで、高精度の溝15を有する第1の鏡枠部材6Aを簡易に構成することができ、高精度の蛍光観察を行うことができるという利点がある。これに代えて、第1の鏡枠部材6Aを射出成形等によって単一の部品として成形してもよい。
【0047】
なお、本実施形態においては、コレクタレンズ7、リレーレンズ10,14および対物レンズ12をGRINレンズによって構成したが、これに代えて、非球面レンズによって構成してもよい。また、照明光学系3にリレーレンズ10を配置することにより、観察対象部位Bに対して照明範囲を絞ったポイント照明を可能としたが、これに代えて、リレーレンズ10を用いることなく、広域照明を行うことにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、第1の溝16に平行溝部16aを設けることとしたが、これに代えて、第1の溝16に平行溝部16aを設けないこととしてもよい。すなわち、照明光学系3からプリズム8を取り除き、第1の溝を光源2からダイクロイックミラー11まで一直線状に形成してもよい。この場合には、光検出器5と光源2とを鏡枠6の異なる面に配置するように、基板19を構成すればよい。
【0049】
例えば、図8に示すように、第1の溝16は、第2の溝17に交差して延びる直線状に形成することとすればよい。また、照明光学系3は、基板19を、光検出器5を実装する検出器用の基板(以下、「検出器用基板」とする。)19Aと光源2を実装する光源用の基板(以下、「光源用基板」とする。)19Bとに分け、検出器用基板19Aは第2の溝17の一端に配置し、光源用基板19Bは第1の溝16の一端に配置することとすればよい。
【0050】
このようにすることで、照明光学系3の構成をシンプルにして光束がケラれる箇所を減らし、照明光学系3での光量ロスを低減することができる。具体的には、プリズム8により光路を折り曲げる際に発生していた光量ロスを回避することができる。また、光学的観察装置1をコンパクトに形成しつつ光源2と光検出器5とを距離を離して配置し、光源2からの漏れ光を低減してS/N比を向上することができる。
【0051】
本変形例においては、照明用集光レンズとして、GRINレンズにより構成されたコレクタレンズ7を採用することとしてもよいが、図8に示すように、非球面レンズにより構成されたコレクタレンズ7を採用することが好ましい。GRINレンズ(0.55)に対して非球面レンズは高NA(0.62)のため、より効率よく照明光を集光することができる。図8においては、照明光学系3からプリズム8と共にリレーレンズ10も取り除いた構成を例示している。
【0052】
また、本変形例においては、対物レンズとして、尖端12aおよび偏向面2bを有する対物レンズ12を例示したが、これに代えて、図9に示すように、尖端12aおよび偏向面2bを有さず、先端が平坦な形状を有し、ダイクロイックミラー11からのLED光を偏向させずに直進する方向に射出する対物レンズ12´を採用することとしてもよい。
【0053】
観察対象や蛍光プローブに合わせて、先端12aおよび偏向面2bを有するタイプの対物レンズ12と先端が平坦なタイプの対物レンズ12´とを選択可能としてもよい。例えば、脳内部の側面を対象として観察する場合は尖端12aおよび偏向面2bを有するタイプの対物レンズ12を選択し、直下を観察したい場合は先端が平坦なタイプの対物レンズ12´を選択することとしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
A 被検体
B 観察対象部位
1 光学的観察装置
2 光源
3 照明光学系
4 検出光学系
5 光検出器
6 鏡枠
6A 第1の鏡枠部材
6B 第2の鏡枠部材
7 コレクタレンズ(照明用集光レンズ)
10 リレーレンズ
11 ダイクロイックミラー
12,12´ 対物レンズ
14 リレーレンズ(検出用集光レンズ)
15 溝
16 第1の溝
16a 平行溝部
17 第2の溝
18 突当面
21 面取部
22 ベース(ベース部材)
23〜25 ブロック(ブロック部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源からの照明光を被検体の観察対象部位に照射する照明光学系と、前記観察対象部位からの戻り光を導光する検出光学系と、該検出光学系により導光された戻り光を検出し電気信号に変換する光検出器と、これらを固定する鏡枠とを備え、
前記照明光学系が、光源からの照明光を集光する照明用集光レンズと、該照明用集光レンズにより集光された照明光から励起波長帯域の照明光を分離するダイクロイックミラーと、該ダイクロイックミラーにより分離された励起波長帯域の照明光を集光して観察対象部位に照射する対物レンズとを備え、
前記検出光学系が、前記対物レンズにより集光され、前記ダイクロイックミラーにより前記照明光の光路から分離された前記観察対象部位からの戻り光を前記光検出器に集光する検出用集光レンズとを備え、
前記鏡枠が、前記光源および前記光検出器から前記対物レンズまで連絡し、前記照明用集光レンズ、前記ダイクロイックミラーおよび前記検出用集光レンズを収容する溝を備える第1の鏡枠部材と、前記溝を閉塞するように前記第1の鏡枠部材に固定される第2の鏡枠部材とを備える光学的観察装置。
【請求項2】
前記溝内に、前記照明用集光レンズ、前記ダイクロイックミラーおよび前記検出用集光レンズを光軸方向に位置決めする突当面を備える請求項1に記載の光学的観察装置。
【請求項3】
前記鏡枠に、前記対物レンズ側の側面の縁部に面取部が設けられている請求項1または請求項2に記載の光学的観察装置。
【請求項4】
前記溝が、前記光源から前記対物レンズまで連続する第1の溝と、前記光検出器に連絡し前記第1の溝に交差する第2の溝とを備え、前記第1の溝と前記第2の溝との交差位置に前記ダイクロイックミラーが収容されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学的観察装置。
【請求項5】
前記第1の溝が前記第2の溝と略平行な平行溝部を有し、該平行溝部の一端の前記光検出器と並列に配置される位置に前記光源が配置されている請求項4に記載の光学的観察装置。
【請求項6】
前記第1の溝が、前記光源から前記ダイクロイックミラーまで直線状に形成され、該第1の溝の前記交差位置とは反対側の一端に配置される位置に前記光源が配置され、
前記第2の溝が、前記光検出器から前記ダイクロイックミラーまで直線状に形成され、該第2の溝の前記交差位置とは反対側の一端に配置される位置に前記光検出器が配置されている請求項4に記載の光学的観察装置。
【請求項7】
前記第1の鏡枠部材が、平坦面を有するベース部材と、該ベース部材に、前記平坦面に沿う方向に間隔をあけて固定された少なくとも3つのブロック部材とにより、前記第1の溝および前記第2の溝を区画形成してなる請求項4から請求項6のいずれかに記載の光学的観察装置。
【請求項8】
前記対物レンズが、前記鏡枠に着脱可能に取り付けられている請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学的観察装置。
【請求項9】
前記照明用集光レンズおよび前記検出用集光レンズがGRINレンズまたは非球面レンズにより構成されている請求項1から請求項8のいずれかに記載の光学的観察装置。
【請求項10】
前記照明光学系が、前記集光レンズにより集光された照明光をリレーするリレーレンズを備え、該リレーレンズが前記溝内に収容されている請求項1から請求項9のいずれかに記載の光学的観察装置。
【請求項11】
前記リレーレンズがGRINレンズまたは非球面レンズにより構成されている請求項10に記載の光学的観察装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−36991(P2013−36991A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−156621(P2012−156621)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】