説明

光学系エンジンを含む光学式スキャナ

【課題】交換可能な光学系エンジンを含む光学式スキャナを提供する。
【解決手段】スキャナ・ハウジング・アパーチャを含むスキャナ・ハウジングと、ハウジング内のパターン・ミラーと、光学系エンジンとを備える。光学系エンジンは、スキャナ・ハウジング・アパーチャ内に挿入可能なエンジン・ハウジングと、レーザ・ビームをパターン・ミラーに向け、パターン・ミラーからのアイテムから反射した光を受光するためのエンジン・ハウジング内のミラー付きスピナと、ミラー付きスピナを回転するためのエンジン・ハウジング内のモータと、レーザ・ビームを生成するためのエンジン・ハウジング内のレーザと、レーザとレーザ・ビームが通過するアパーチャを含むミラー付きスピナとの間のエンジン・ハウジング内に位置し、ミラー付きスピナからのアイテムから反射した光を受光する集光装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等に貼られたバーコードを光学的に読み取る(スキャニング)光学式スキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
固定位置式小売バーコード・スキャナ、特に双光学式スキャナ(bi−optic scanner)は、効率的な処理能力のために必要なラップアラウンド(wrap−around)パターンを形成するために、広い間隔を有していなければならない複数の組のパターン形成ミラーを必要とする。これらのミラーの設置精度に関する要件は厳格なものではないが、これらのハウジングがスキャナのアクティブ光学素子を位置決めする追加要件のために、そのマウントおよびハウジングは、多くの場合、どうしても不必要なほど精度が高いもの(また高価なもの)にならざるをえない。このようなアクティブ光学素子は、レーザ源、走査多角体およびモータ、集光光学素子、検出装置および関連するレンズおよび光学フィルタを含む。これらの構成部品は、多くの場合、小型で、ポインティングおよびアラインメント要件は厳しい。レーザは、それ自身と走査ゾーンの間に最も長い距離を有し、コヒーレントなパターンを得るためにポインティング要件は厳しい。集光した光が確実に検出装置上に入射するようにするために、集光光学素子、レーザおよび検出装置すべては、相互に正確に位置合わせされていなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
種々のアクティブ光学素子および関連する電子回路を1つの小さな精度の高いパッケージに結合する光学式スキャナ用の光学系エンジンを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、光学系エンジンを含む光学式スキャナを提供する。スキャナは、スキャナ・ハウジング・アパーチャを含むスキャナ・ハウジングと、ハウジング内のパターン・ミラーと、光学系エンジンとを含む。この光学系エンジンは、スキャナ・ハウジング・アパーチャ内に挿入可能なエンジン・ハウジングと、レーザ・ビームをパターン・ミラーに向け、パターン・ミラーからのアイテムから反射した光を受光するためのエンジン・ハウジング内のミラー付きスピナと、ミラー付きスピナを回転するためのエンジン・ハウジング内のモータと、レーザ・ビームを生成するためのエンジン・ハウジング内のレーザと、レーザとレーザ・ビームが通過するアパーチャを含むミラー付きスピナとの間のエンジン・ハウジング内に位置し、ミラー付きスピナからのアイテムから反射した光を受光する集光装置と、集光装置からの光を受光し、光を電気信号に変換するためのエンジン・ハウジング内の検出装置とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1を参照すると、光学式スキャナ10の例示としての実施形態は、光学系エンジン14と、パターン・ミラー18と、電源および制御回路28とを含む。
【0006】
光学系エンジン14は、実用的な電気部品、他の構成部品よりもスキャナの寿命の間のある時期に交換しなければならない可能性が高い構成部品を含む。これらの構成部品を光学系エンジン14内に設置することにより、また光学系エンジン14を容易に取り外せるようにすることにより、スキャナ10の保守時間が最小限度に短縮される。構成部品が故障した場合、スキャナ10が再度迅速にフル稼働できるように、代わりの光学系エンジン14が設置される。故障した構成部品を含む光学系エンジン14は、次の構成部品の故障のために修理することができる。
【0007】
光学系エンジン14は、また、アラインメントを必要とする光学部品を含む。これらの構成部品を光学系エンジン14内に設置することにより、これらの構成部品のアラインメントをスキャナ10の外部で行うことができる。
【0008】
詳細に説明すると、光学系エンジン14は、1つまたは複数のレーザ12と、ミラー付きスピナ16と、1つまたは複数の集光装置20と、1つまたは複数の検出装置22と、電子回路24と、モータ26とを含む。
【0009】
レーザ12は、レーザ・ビームを生成する。
【0010】
ミラー付きスピナ16は、走査パターンを生成するためにレーザ・ビームをパターン・ミラー18に向け、パターン・ミラー18からのアイテム30からの反射光を受光する。モータ26は、ミラー付きスピナ16を回転する。
【0011】
集光装置20は、ミラー付きスピナ16からの反射光を集光し、この光を検出装置22の方向に向ける。
【0012】
検出装置22は、反射光を電気信号に変換する。
【0013】
電子回路24は、レーザ12およびモータ26用の駆動回路を提供し、検出装置22からの電気信号を増幅し、濾波する。
【0014】
パターン・ミラー18は、レーザ・ビームをバーコード・ラベル32の方向に向け、反射光をミラー付きスピナ16に向ける。
【0015】
電源および制御回路28は、スキャナ10の動作を制御し、バーコード・ラベル32の符号化された情報を入手するために、電子回路24からの処理電気信号を処理する。電源および制御回路28は、1つまたは複数のケーブル34を通して電子回路24に接続することができ、スキャナ・ハウジング内に設置しなくてもよい。
【0016】
図2〜図6を参照すると、これらの図面は、デュアル・アパーチャ・スキャナで使用するための光学系エンジン14の例示としての実施形態の詳細図である。この例示としての実施形態の場合には、光学系エンジン14は、デュアル・アパーチャ・スキャナで使用するためのものであるが、代替的に、光学系エンジン14は、単一アパーチャ・スキャナで使用することもできる。実際には、単一アパーチャ・タイプの光学系エンジン14を、異なるパターン・ミラー配置構成を有する異なるスキャナで使用することもできる。
【0017】
光学系エンジン14は、レーザ12、ミラー付きスピナ16、モータ26、集光装置20、検出装置22および電子回路24の装着を支持するハウジング40を含む。
【0018】
この例の場合には、ハウジング40は、一般に、矩形の形をしていて、最大4つのレーザ12、2つの集光装置20、4つの検出装置22を収容することができる。レーザ12a、集光装置20a、および検出装置22aは、デュアル・アパーチャ・スキャナ10の第1のアパーチャ34(図6)に関連する。レーザ12b、集光装置20b、および検出装置22bは、デュアル・アパーチャ・スキャナの第2のアパーチャ36に関連する。それ故、レーザ12aは、スキャナ・ハウジング70(図6)内の第1の組のパターン・ミラー18に入射する走査ビームを生成し、第1のアパーチャ34から出る第1の組の走査ライン35となるように、ハウジング40の1つの側面からミラー付きスピナ16に直接入射するように、集光装置20a内のアパーチャ50aを通過するレーザ・ビームを生成する。アイテム30から反射した光は、第1のアパーチャを通って戻り、反射光を検出装置22aの方向に向ける集光装置20aに入射する。同様に、レーザ12bは、第2の組のパターン・ミラー18に入射するあるものはスキャナ・ハウジング70の基部60内に位置し、あるものは基部60に装着されているタワー61内に位置する走査ビームを生成し、第2のアパーチャ36から出る第2の組の走査ライン37となるように、ハウジング40の他の側面からミラー付きスピナ16に直接入射するように、集光装置20b内のアパーチャ50bを通過するレーザ・ビームを生成する。アイテム30から反射した光は、第2のアパーチャを通って戻り、反射光を検出装置22bの方向に向ける集光装置20bに入射する。
【0019】
ハウジング40は、ウエル部分42と、フレーム44とを含む。ウエル部分42は、底部のところの中央に位置するアパーチャ46を含む凹部を含む。レーザ12aおよび12bは、ウエル部分42の対向端部内のアパーチャを通って延びる。集光装置20aおよび20bは、その各レーザ12aおよび12bに隣接するアパーチャ50aおよび50bを含む対向端部のところに装着される。検出装置22aおよび22bおよび電子回路24を含む第1のプリント回路基板48(図3)は、ウエル部分42内に上から延びる検出装置22aおよび22bと一緒に下からアパーチャ上に固定される。モータ26を含む第2のプリント回路基板52(図2)は、第1のプリント回路基板48の上のウエル部分42に固定される。ミラー付きスピナ16は、ウエル部分42の中央のモータ26に装着される。
【0020】
図4〜図6を参照すると、フレーム44はウエル部分42を囲んでいる。フレーム44は、ハウジング40をスキャナ10の底面63に位置合わせし、固定するために装着孔部54、56および58を含む。
【0021】
光学系エンジン14は、スキャナ・ハウジング70の底面63のアパーチャ62内に装着される。アパーチャ62は、ウエル部分42の周辺とほぼ同じ形をしている。
【0022】
スキャナ・ハウジング70の底面63は、位置合わせパッド72および位置合わせピン66および68を含む。位置合わせパッド72は、光学系エンジン14を設置するための平面基準を確立する。3つの点接触を近似することにより、位置合わせパッド72は、ハウジング40の揺れを最小限度に低減する。
【0023】
位置合わせピン66は、回転の原点を確立する。
【0024】
位置合わせピン68は、原点を中心とする回転の一点を確立する。
【0025】
底面63は、また、ハウジング40内の孔部58を通るネジ64を収容するためのネジ孔74も含む。ネジ64は、光学系エンジン14をハウジング70に固定する。
【0026】
ハウジング40のような固体部分を位置決めするために、最大6つの制限が使用される。位置合わせパッド72上にハウジング40を圧着することにより、第1の方向の運動を制限する3つの制限を行うことができる。対応する孔部54内に位置合わせピン66を挿入することにより、第2および第3の方向の運動を制限する第4および第5の制限が行われる。位置合わせピン66は、狭い隙間で孔部54内に挿入される。孔部56内に位置合わせピン68を挿入することにより、第3の方向の運動を制限する第6の制限を行うことができる。孔部54は円く、孔部56はスロットを有することができる。
【0027】
位置合わせピン66および68間のラインに直交する隙間は非常に狭いが、このラインに対してより平行である。これによりピン間および孔部間の距離が完全に一致しなくても部材を嵌合することができる。
【0028】
光学系エンジン14は、他の光学系エンジン14により容易に交換することができる。交換用光学系エンジン14は、類似の方法で位置合わせされ、スキャナを簡単に修理することができ、コストのかかる光学素子の位置合わせを行わなくてもすむ。
【0029】
いくつかの実施形態について特に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなしに、種々の変更および修正も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】光学式スキャナのブロック図である。
【図2】光学系エンジンの斜視図である。
【図3】スピナを除去した場合の光学系エンジンの斜視図である。
【図4】スキャナ・ハウジングの底面図である。
【図5】光学系エンジンの装着フィーチャを示すスキャナの底面図である。
【図6】光学系エンジンの設置を示すスキャナの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式スキャナであって、
スキャナ・ハウジング・アパーチャを含むスキャナ・ハウジングと、
前記スキャナ・ハウジング内のパターン・ミラーと、
光学系エンジンとを備え、前記光学系エンジンが、
前記スキャナ・ハウジング・アパーチャ内に挿入可能なエンジン・ハウジングと、
レーザ・ビームを前記パターン・ミラーに向け、前記パターン・ミラーからのアイテムから反射した光を受光するための前記エンジン・ハウジング内のミラー付きスピナと、
前記ミラー付きスピナを回転するための前記エンジン・ハウジング内のモータと、
前記レーザ・ビームを生成するための前記エンジン・ハウジング内のレーザと、
前記レーザと前記レーザ・ビームが通過するアパーチャを含む前記ミラー付きスピナとの間の前記エンジン・ハウジング内に位置し、前記ミラー付きスピナからの前記アイテムから反射した光を受光する集光装置と、
前記集光装置からの光を受光し、前記光を電気信号に変換するための前記エンジン・ハウジング内の検出装置とを含む光学式スキャナ。
【請求項2】
光学式スキャナであって、
スキャナ・ハウジング・アパーチャを含むスキャナ・ハウジングと、
前記スキャナ・ハウジング内のパターン・ミラーと、
光学系エンジンであって、
前記スキャナ・ハウジング・アパーチャに挿入および取外し可能なエンジン・ハウジングと、
前記パターン・ミラーに第1および第2の組のレーザ・ビームを向け、前記パターン・ミラーからのアイテムから反射した第1および第2の組の光を受光するための前記エンジン・ハウジング内のミラー付きスピナと、
前記ミラー付きスピナを回転するための前記エンジン・ハウジング内のモータと、
前記第1の組のレーザ・ビームを生成するための前記エンジン・ハウジング内の第1の組の1つまたは複数のレーザと、
前記第2の組のレーザ・ビームを生成するための前記エンジン・ハウジング内の第2の組の1つまたは複数のレーザと、
前記第1の組のレーザと前記第1の組のレーザ・ビームが通過する前記第1の組の各レーザのための第1の組のアパーチャを含む前記ミラー付きスピナとの間の前記エンジン・ハウジング内に位置し、前記ミラー付きスピナからの前記アイテムから反射した前記第1の組の光を受光する第1の集光装置と、
前記第2の組のレーザと前記第2の組のレーザ・ビームが通過する前記第2の組の各レーザのための第2の組のアパーチャを含む前記ミラー付きスピナとの間の前記エンジン・ハウジング内に位置し、前記ミラー付きスピナからの前記アイテムから反射した前記第2の組の光を受光する第2の集光装置と、
前記第1の集光装置からの前記第1の組の光を受光し、前記第1の組の光を第1の組の電気信号に変換するための前記エンジン・ハウジング内の第1の組の1つまたは複数の検出装置と、
前記第2の集光装置からの前記第2の組の光を受光し、前記第2の組の光を第2の組の電気信号に変換するための前記エンジン・ハウジング内の第2の組の1つまたは複数の検出装置と、
を含む光学系エンジンと、
前記第1および第2の組の電気信号からバーコード情報を入手するための復号回路とを備える光学式スキャナ。
【請求項3】
前記ミラー付きスピナが、前記エンジン・ハウジング内の中央に位置する、請求項2に記載のスキャナ。
【請求項4】
前記エンジン・ハウジングが、第1および第2の対向端部を有し、前記第1および第2の組のレーザが、前記第1および第2の端部のところに位置する、請求項3に記載のスキャナ。
【請求項5】
前記第1の集光装置が、前記第1の組のレーザと前記ミラー付きスピナとの間に位置し、前記第2の集光装置が、前記第2の組のレーザと前記ミラー付きスピナとの間に位置する、請求項4に記載のスキャナ。
【請求項6】
前記第1の組の検出装置が、前記ミラー付きスピナの下に位置し、前記第1の集光装置の方を向いていて、前記第2の組の検出装置が、前記ミラー付きスピナの下に位置し、前記第2の集光装置の方を向いている、請求項5に記載のスキャナ。
【請求項7】
前記ミラー付きスピナの下に装着され、前記モータと、前記第1および第2の組の検出装置と、前記第1および第2の組のレーザおよび前記モータの動作を制御するための制御回路とを含むプリント回路基板をさらに備える、請求項6に記載のスキャナ。
【請求項8】
前記第1および第2の組のレーザが、それぞれ2つのレーザを含む、請求項2に記載のスキャナ。
【請求項9】
前記第1および第2の組の検出装置が、それぞれ2つの検出装置を含む、請求項2に記載のスキャナ。
【請求項10】
前記パターン・ミラーが、前記第1の組のレーザ・ビームから第1の組の走査光ビームを生成する第1の組のパターン・ミラーと、前記第2の組のレーザ・ビームから第2の組の走査光ビームを生成する第2の組のパターン・ミラーとを含む、請求項2に記載のスキャナ。
【請求項11】
前記第1の組の走査光ビームが通過する実質的に水平な窓と、前記第2の組の走査光ビームが通過する実質的に垂直な窓とをさらに備える、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項12】
前記スキャナ・ハウジングおよび前記エンジンが、前記スキャナ・ハウジング・アパーチャ内に設置中、前記光学系エンジンを位置合わせするための位置合わせ素子を含む、請求項2に記載のスキャナ。
【請求項13】
前記位置合わせ素子が、ある平面内で前記光学系エンジンを位置合わせするための前記スキャナ・ハウジング・アパーチャの周囲に位置合わせパッドを含む、請求項12に記載のスキャナ。
【請求項14】
前記位置合わせ素子が、前記スキャナ・ハウジング上に位置合わせピンと、前記平面の方向に沿って前記光学系エンジンを位置合わせするために、前記位置合わせピンが通過する前記光学系エンジン内に位置合わせアパーチャとをさらに含む、請求項13に記載のスキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−77085(P2008−77085A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237412(P2007−237412)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】