説明

光学素子、光ピックアップ、光情報処理装置、光減衰器、偏光変換素子、プロジェクタ光学系、光学機器

【課題】光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、製造を容易化可能な光学素子、これを有する光ピックアップ、これを有する光情報処理装置、かかる光学素子を有する光減衰器、偏光変換素子、かかる光学素子、光減衰器、偏光変換素子を有するプロジェクタ光学系、これらを有する光学機器の提供。
【解決手段】光学素子が、ピッチp1、p2、p3、p4、p5が入射光の波長以下であり溝深さdが互いに等しい3種以上のサブ波長凹凸構造21、22、23、24、25を備えた、入射光の波長以上のピッチPnの周期構造13を有し、入射光の所定の偏光方向を所定の次数に偏りをもって回折する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光をその偏光方向に応じて回折し得る光学素子、これを有する光ピックアップ、これを有する光情報処理装置、かかる光学素子を有する光減衰器、偏光変換素子、かかる光学素子、光減衰器、偏光変換素子を有するプロジェクタ光学系、これらを有する光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる光ピックアップ、光情報処理装置、光減衰器、偏光変換素子、プロジェクタ光学系、これらを有するプロジェクタ等の各種の光学機器において、入射光の偏光方向に応じて光路分離を行う偏光分離素子等の光学素子が用いられている(たとえば、〔特許文献1〕ないし〔特許文献7〕、及び、〔非特許文献1〕ないし〔非特許文献3〕参照)。
【0003】
かかる光学素子として、図17に示すような、薄膜を用いた偏光分離素子がよく知られている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。この偏光分離素子100は、2つの三角柱プリズム101と、これらを接合する境界面に配設された薄膜102とを有し、偏光方向に応じて境界面でP偏光成分及びS偏光成分を含む入射光AをたとえばP偏光成分については透過(A1)させS偏光成分については反射(A2)させることで偏光を分離している。しかし、このような偏光分離素子100は、2つの三角柱プリズム101を張り合わせた構造のため大型になるという問題や、入射光Aの入射角の変化による透過率変動が大きいという問題がある。
【0004】
(サブ波長凹凸構造を用いた偏光分離素子(1))
これに対し、図18、図19に示すような、ピッチが入射光Aの波長よりも小さな微細周期構造を有するサブ波長凹凸構造Bを有し、複屈折波長板、反射防止構造、偏光分離素子などとしての様々な機能を有する光学素子110、120が提案されている(たとえば、〔特許文献1〕、及び、〔非特許文献1〕ないし〔非特許文献3〕参照)。このような光学素子では、入射光Aの入射角の変化による光学性能変動が少なく、光学的に優れているという報告もなされている。
【0005】
光学素子110は、材質nAと材質nBとから構成されているとともに、格子周期Ptの一部がサブ波長凹凸構造Bから構成された偏光分離素子である。サブ波長凹凸構造Bは材質nAと材質nBとによって形成された素子境界が矩形格子を形成しており、この微小周期構造の格子周期はpAであり、また1周期pA内で材質nBがしめる割合であるフィリングファクタがfAとなっているとともに、材質nA側に厚さdA、材質nB側に厚さdBだけの厚みを有している。
【0006】
光学素子120は、材質nAと材質nBと材質nCとから構成されているとともに、格子周期Ptの一部がサブ波長凹凸構造Bから構成された偏光分離素子である。サブ波長凹凸構造Bは材質nAと材質nBからなる多層膜の一部が三角格子からなるサブ波長凹凸構造となっており、素子境界で材質nCと接している。
【0007】
光学素子110、120の何れも、P偏光成分及びS偏光成分を含む入射光Aに対して、S偏光成分は0次回折光として一方向に伝播するのに対し、P偏光成分は±1次回折光の2方向に伝播している。よって、特定の偏光方向(ここではP偏光成分)の光束が、異なる2方向に分離される為、光束の使用効率の点で問題がある。
【0008】
(サブ波長凹凸構造を用いた偏光分離素子(2))
このような問題点を改善した光学素子として図20に示すような偏光分離素子130が提案されている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。同図(a)は偏光分離素子130の斜視図を示しており、同図(b)は偏光分離素子130の、同図(a)におけるb−b断面を示している。
【0009】
同図(a)に示すように、偏光分離素子130は、基板Cの上に偏光分離を行う回折格子Dを設けている。同図(b)に示すように、回折格子Dは1次元のブレーズド型の格子形状からなり、同図(a)中b−bの方向に同図(b)に示すように格子周期Ptを有している。同図(b)に示すように、回折格子Dの断面格子形状は、基板C上に設けられたブレーズド型の第1の回折格子部Eと、第1の回折格子部Eの上に形成されたブレーズド型の第2の回折格子部Fとから構成されている。そして、第2の回折格子部Fは、光入射面全面が使用波長より小さな微細周期構造を有するサブ波長凹凸構造Bが重畳されている。
【0010】
このような構造とすることにより、この回折素子Dに入射した光束は偏光方向により回折方向が異なり、且つ各偏光方向の光束の回折する方向が特定の次数のみに回折されるように構成されているとともに、薄膜構成の偏光分離素子と同様に使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、同図に示したようなブレーズド型の構成は、作製が難しい構造であるという問題がある。すなわち、一般にサブ波長凹凸構造の溝の作製にはエッチング法を用いる場合が多いにもかかわらず、エッチング法は均一な溝深さを形成することを特徴としている方法であるため、同図に示したようなブレーズド型の、サブ波長凹凸構造の溝深さが連続的に変化した構造においては製造上の課題が予想される。
【0012】
本発明は、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、製造を容易化可能な光学素子、これを有する光ピックアップ、これを有する光情報処理装置、かかる光学素子を有する光減衰器、偏光変換素子、かかる光学素子、光減衰器、偏光変換素子を有するプロジェクタ光学系、これらを有する光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ピッチが入射光の波長以下であり溝深さが互いに等しい3種以上のサブ波長凹凸構造を備えた、前記波長以上のピッチの周期構造を有し、前記入射光の所定の偏光方向を所定の次数に偏りをもって回折する光学素子にある。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、前記3種以上のサブ波長凹凸構造を構成する各サブ波長凹凸構造の屈折率が前記所定の偏光方向と異なる偏光方向について互いに同一となるように、同各サブ波長凹凸構造の形成方向を互いに異ならせるとともに同各サブ波長凹凸構造のフィリングファクタが設定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の光学素子において、前記所定の偏光方向を所定の次数に偏りをもって回折するように前記溝深さが設定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の光学素子において、前記周期構造のピッチが、前記所定の偏光方向を所定の方向に回折するように不均一に設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の光学素子において、透過型または反射型であることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の光学素子を複数有し、何れかの光学素子を経た光が他の光学素子に対する入射光となることを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子を有し、記録媒体に情報を記録し及び/又は記録媒体に記録されている情報を読み取る光ピックアップにある。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の光ピックアップを有し、この光ピックアップによって記録媒体の情報の処理を行う光情報処理装置にある。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子と、この光学素子を経た光を減衰させる減衰手段とを有する光減衰器にある。
【0022】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子と、この光学素子を経た光の偏光方向を変換する変換素子とを有する偏光変換素子にある。
【0023】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子、または、請求項9記載の光減衰器、または、請求項10記載の偏光変換素子を有し、前記光学素子を経た光を投射するプロジェクタ光学系にある。
【0024】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子、または、請求項7記載の光ピックアップ、または、請求項8記載の光情報処理装置、または、請求項9記載の光減衰器、または、請求項10記載の偏光変換素子、または、請求項11記載のプロジェクタ光学系を有する光学機器にある。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、ピッチが入射光の波長以下であり溝深さが互いに等しい3種以上のサブ波長凹凸構造を備えた、前記波長以上のピッチの周期構造を有し、前記入射光の所定の偏光方向を所定の次数に偏りをもって回折する光学素子にあるので、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を提供することができる。
【0026】
前記3種以上のサブ波長凹凸構造を構成する各サブ波長凹凸構造の屈折率が前記所定の偏光方向と異なる偏光方向について互いに同一となるように、同各サブ波長凹凸構造の形成方向を互いに異ならせるとともに同各サブ波長凹凸構造のフィリングファクタが設定されていることとすれば、各サブ波長凹凸構造の形成方向及びフィリングファクタを適宜設定することで所定の偏光方向と異なる偏光方向については回折することなく、所定の偏光方向を特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を提供することができる。
【0027】
前記所定の偏光方向を所定の次数に偏りをもって回折するように前記溝深さが設定されていることとすれば、溝深さの設定により光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を提供することができる。
【0028】
前記周期構造のピッチが、前記所定の偏光方向を所定の方向に回折するように不均一に設定されていることとすれば、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な、任意の方向にレンズパワーを持たせ得る光学素子を提供することができる。
【0029】
透過型または反射型であることとすれば、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な、用途等に応じて透過型か反射型かを選択可能な光学素子を提供することができる。
【0030】
かかる光学素子を複数有し、何れかの光学素子を経た光が他の光学素子に対する入射光となることとすれば、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な、より幅広い光学特性を得ることが可能な光学素子を提供することができる。
【0031】
本発明は、かかる光学素子を有し、記録媒体に情報を記録し及び/又は記録媒体に記録されている情報を読み取る光ピックアップにあるので、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を用いた、低廉化、小型化可能な光ピックアップを提供することができる。
【0032】
本発明は、かかる光ピックアップを有し、この光ピックアップによって記録媒体の情報の処理を行う光情報処理装置にあるので、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を有する、低廉化、小型化可能な光ピックアップを用い、低廉化、小型化可能な光情報処理装置を提供することができる。
【0033】
本発明は、かかる光学素子と、この光学素子を経た光を減衰させる減衰手段とを有する光減衰器にあるので、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を用いた、低廉化、小型化可能な光減衰器を提供することができる。
【0034】
本発明は、かかる光学素子と、この光学素子を経た光の偏光方向を変換する変換素子とを有する偏光変換素子にあるので、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を用いた、低廉化、小型化可能な偏光変換素子を提供することができる。
【0035】
本発明は、かかる光学素子、または、かかる光減衰器、または、かかる偏光変換素子を有し、前記光学素子を経た光を投射するプロジェクタ光学系にあるので、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を有する、低廉化、小型化可能なプロジェクタ光学系を提供することができる。
【0036】
本発明は、かかる光学素子、または、かかる光ピックアップ、または、かかる光情報処理装置、または、かかる光減衰器、または、かかる光変換素子、または、かかるプロジェクタ光学系を有する光学機器にあるので、光をその偏光方向に応じて特定の次数に回折し得る、たとえばフォトリソグラフィ及びエッチングを用いた方法により製造を容易化可能であるとともに同時に多数を製造可能であり、薄型化、軽量化が可能であり、材料選択の自由度が広く、また組み立てを省略した低廉化可能な、ブレーズド型よりも強度を向上可能な光学素子を有する、低廉化、小型化可能な光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を適用した光学素子の概略斜視図である。
【図2】図1に示した光学素子に備えられたサブ波長凹凸構造の概略図である。
【図3】図1に示した光学素子による偏向の様子を示した概略斜視図である。
【図4】図2に示したサブ波長凹凸構造のフィリングファクタと有効屈折率との関係を示した相関図である。
【図5】図2に示したサブ波長凹凸構造の溝深さと回折効率との関係を示した相関図である。
【図6】図1に示した光学素子を製造するための型の製造方法を示した概略図である。
【図7】図1に示した光学素子を製造するための他の型の製造方法を示した概略図である。
【図8】図1に示した光学素子を製造するための工程を示した概略図である。
【図9】図1に示した光学素子を製造するための他の工程を示した概略図である。
【図10】図1に示した光学素子を製造するためのさらに他の工程を示した概略図である。
【図11】光学素子が複数の光学素子を有する場合の構成例を示した断面図である。
【図12】反射型の光学素子を示した概略斜視図である。
【図13】図1に示した光学素子を備えた光ピックアップ及びこれを備えた光情報処理装置の一部を示した概略正面図である。
【図14】図1に示した光学素子を備えた光減衰器の概略断面図である。
【図15】図1に示した光学素子を備えた偏光変換素子の概略断面図である。
【図16】図1に示した光学素子を備えたプロジェクタ光学系及びこれを備えた光学機器の一部を示した概略正面図である。
【図17】従来の光学素子の一例を示した概略正面図である。
【図18】従来の光学素子の他の例を示した概略断面図である。
【図19】従来の光学素子のまた他の例を示した概略断面図である。
【図20】従来の光学素子のさらに他の例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に本発明を適用した光学素子の概略を示す。光学素子10は、透明基板である基板11と、基板11上に形成された回折構造12とを有し、回折素子として機能する。回折構造12は、複数の周期構造13を有している。同図においては、周期構造13を2つのみ示しているが、実際には多数の周期構造13が基板11上に形成されている。各周期構造13のそれぞれの幅である周期長言い換えるとピッチPnは、光学素子10への入射光の波長以上となっている。
【0039】
各周期構造13は、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25を備えている。よって回折構造12はサブ波長凹凸構造21、22、23、24、25を一組とした周期構造13からなるピッチPnの周期の回折格子周期を備えている。本形態においては各周期構造13が5種のサブ波長凹凸構造21、22、23、24、25を備えている。
【0040】
図2(a)に回折構造12の1周期分である周期構造13を拡大して示すように、周期構造13に備えられたサブ波長凹凸構造21、22、23、24、25のそれぞれの幅はL1、L2、L3、L4、L5であり、幅L1、L2、L3、L4、L5はそれぞれ、光学素子10への入射光の波長以下となっている。よって回折構造12は光学素子10への入射光の波長以上の周期構造に同波長以下の周期構造が重畳された構造となっている。なお、幅L1、L2、L3、L4、L5は、本形態では互いに同一となっているが、同一でなくともよい。
【0041】
同図(a)において、符号X、Y、Zで示す矢印は互いに垂直な3つの軸の方向を示している。矢印Xは、周期構造13、回折構造12、基板11、光学素子10への入射光の進行方向を示している。矢印Yは、周期構造13及びサブ波長凹凸構造21、22、23、24、25並びに回折構造12の幅方向言い換えると周期構造13の周期方向を示しており、本形態において入射光に含まれるS偏光成分の偏光方向に一致しているものとする。矢印Zは、本形態において入射光に含まれるP偏光成分の偏光方向に一致しているものとする。
【0042】
同図(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)はそれぞれ、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25の拡大断面図を示している。同図(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)から分かるように、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25は互いに同じ深さdの溝深さを有する凹凸構造をなしている。
【0043】
サブ波長凹凸構造21は、Z方向に沿って溝が形成されており、Z方向がその溝方向に一致している。サブ波長凹凸構造21は、この溝方向言い換えると形成方向に垂直な断面すなわち同図(a)で示すY方向に平行な太線を含むXY平面その他のXY平面による断面が全て同図(b−1)に示した形状となるように構成されている。
【0044】
サブ波長凹凸構造25は、Y方向に沿って溝が形成されており、Y方向がその溝方向に一致している。サブ波長凹凸構造25は、この溝方向言い換えると形成方向に垂直な断面すなわち同図(a)で示すZ方向に平行な太線を含むZX平面その他のZX平面による断面が全て同図(b−5)に示した形状となるように構成されている。
【0045】
サブ波長凹凸構造23は、サブ波長凹凸構造21の溝方向とサブ波長凹凸構造25の溝方向とに等しい角度をなす方向、具体的にはZ方向とY方向とに、言い換えるとP偏光方向及びS偏光方向に45度をなす方向に沿って溝が形成されており、かかる方向がその溝方向に一致している。サブ波長凹凸構造23は、この溝方向言い換えると形成方向に垂直な断面が全て同図(b−3)に示した形状となるように構成されている。同図(a)でサブ波長凹凸構造23の形成領域内に示す太線はサブ波長凹凸構造23の溝方向に垂直である。
【0046】
サブ波長凹凸構造22は、サブ波長凹凸構造21の溝方向とサブ波長凹凸構造23の溝方向とに等しい角度をなす方向に沿って溝が形成されており、かかる方向がその溝方向に一致している。この溝方向はP偏光方向に22.5度をなしS偏光方向に67.5度をなす方向である。サブ波長凹凸構造22は、この溝方向言い換えると形成方向に垂直な断面が全て同図(b−2)に示した形状となるように構成されている。同図(a)でサブ波長凹凸構造22の形成領域内に示す太線はサブ波長凹凸構造22の溝方向に垂直である。
【0047】
サブ波長凹凸構造24は、サブ波長凹凸構造23の溝方向とサブ波長凹凸構造25の溝方向とに等しい角度をなす方向に沿って溝が形成されており、かかる方向がその溝方向に一致している。この溝方向はP偏光方向に67.5度をなしS偏光方向に22.5度をなす方向である。サブ波長凹凸構造24は、この溝方向言い換えると形成方向に垂直な断面が全て同図(b−4)に示した形状となるように構成されている。同図(a)でサブ波長凹凸構造24の形成領域内に示す太線はサブ波長凹凸構造24の溝方向に垂直である。
【0048】
同図(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)に示すように、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25のそれぞれの周期長言い換えるとピッチp1、p2、p3、p4、p5は光学素子10への入射光の波長以下、特に本形態ではかかる波長の1/2以下であり、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25のそれぞれの凸部の幅はq1、q2、q3、q4、q5である。よって、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25のそれぞれのフィリングファクタf1、f2、f3、f4、f5はq1/p1、q2/p2、q3/p3、q4/p4、q5/p5である。これらフィリングファクタf1、f2、f3、f4、f5は、後述する有効屈折率の計算に用いる。
【0049】
なお、ピッチp1、p2、p3、p4、p5は光学素子10への入射光の波長以下であれば以下述べる回折効果を発揮するが、ピッチp1、p2、p3、p4、p5がかかる波長程度であると、回折効果とサブ波長効果といわれる現象とが混在した共鳴現象と呼ばれる不安定な現象が出る場合があるため、サブ波長効果による影響をより減じるためには、ピッチp1、p2、p3、p4、p5は光学素子10への入射光の波長の1/2以下であることが望ましく、このような理由により、本形態では、ピッチp1、p2、p3、p4、p5を光学素子10への入射光の波長の1/2以下としている。
【0050】
入射光はその波長以上の周期構造に応じて回折し、波長以下の周期構造に応じてP、S何れかの偏光成分で回折するかの偏光選択性を生ずる。本形態においては、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25がS偏光成分の光を回折する偏光選択性を呈する。よって、光学素子10は、図3(a)に示すように、入射光に含まれるP偏光成分の光については不感帯透過し、図3(b)に示すように、入射光に含まれるS偏光成分の光については回折するようになっている。
【0051】
サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25は、一般に知られている構造性複屈折を呈する(発現する)。
構造性複屈折とは、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25のように屈折率の異なる2種類の媒質を光の波長よりも短いピッチでストライプ状に配置したとき、ストライプに平行な偏光成分(TE波)とストライプに垂直な偏光成分(TM波)とで屈折率が異なり、複屈折作用が生じることをいう。
【0052】
ここで、屈折率の異なる2種類の媒質として、空気と屈折率nの媒質を想定して、サブ波長凹凸構造のピッチよりも2倍以上の波長をもつ光が垂直入射したと仮定する。このときの入射光の偏光方向がサブ波長凹凸構造の溝に平行(TE方向)であるか垂直(TM方向)であるかによってサブ波長凹凸構造の有効屈折率は各々次式で与えられる。入射光の偏光方向がサブ波長凹凸構造の溝に平行である場合の有効屈折率をn(TE)、垂直である場合の有効屈折率をn(TM)とし、フィリングファクタをfとしている。
【0053】
【数1】

【0054】
よって、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25のうち、入射光に含まれる光の偏光方向と平行あるいは垂直な溝方向を形成されているサブ波長凹凸構造21、25のTE方向の有効屈折率:n1(TE)、n5(TE)及びTM方向の有効屈折率:n1(TM)、n5(TM)を示すと次のようになる。
【0055】
【数2】

【0056】
サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25のうち、入射光に含まれる光の偏光方向と平行でも垂直でもない溝方向を形成されているサブ波長凹凸構造22、23、24の有効屈折率については次のようになる。
【0057】
サブ波長凹凸構造23は、サブ波長凹凸構造21とサブ波長凹凸構造25との中間の溝方向を有するため、そのフィリングファクタf3をt1=t5=t3とすると、その有効屈折率はサブ波長凹凸構造21とサブ波長凹凸構造25との中間値となる。
【0058】
同様に、サブ波長凹凸構造22は、サブ波長凹凸構造21とサブ波長凹凸構造23との中間の溝方向を有するため、そのフィリングファクタf2をt1=t3=t2とすると、その有効屈折率はサブ波長凹凸構造21とサブ波長凹凸構造23との中間値となる。またサブ波長凹凸構造24は、サブ波長凹凸構造23とサブ波長凹凸構造25との中間の溝方向を有するため、そのフィリングファクタf4をt3=t5=t4とすると、その有効屈折率はサブ波長凹凸構造23とサブ波長凹凸構造25との中間値となる。
【0059】
ここで、上述の構造性複屈折についてさらに述べると、ピッチp1、p2、p3、p4、p5が入射光の波長λの1/2以下のサブ波長凹凸構造21、22、23、24、25は、入射光を回折することなく、そのまま透過させる一方で、複屈折特性を示す。すなわち、入射光の偏光方向に応じて異なる屈折率を示す。
【0060】
図4に、フィリングファクタに対する偏光方向別の有効屈折率の計算結果の例を示す。計算にはn=2.313、入射光の波長として405nmを用いた。それぞれの溝方向を上述のように設定したサブ波長凹凸構造21、22、23、24、25の有効屈折率は、同図に示すようにフィリングファクタに応じて変化する。
【0061】
ここで、f1=0.30、f2=0.40、f3=0.50、f4=0.60、f5=0.70とすると、同図から、
サブ波長凹凸構造21のTE方向の有効屈折率:n1(P偏光)=1.52
サブ波長凹凸構造21のTM方向の有効屈折率:n1(S偏光)=1.15
サブ波長凹凸構造22のTE方向の有効屈折率:n2(P偏光)=1.52
サブ波長凹凸構造22のTM方向の有効屈折率:n2(S偏光)=1.31
サブ波長凹凸構造23のTE方向の有効屈折率:n3(P偏光)=1.52
サブ波長凹凸構造23のTM方向の有効屈折率:n3(S偏光)=1.52
サブ波長凹凸構造24のTE方向の有効屈折率:n4(P偏光)=1.52
サブ波長凹凸構造24のTM方向の有効屈折率:n4(S偏光)=1.77
サブ波長凹凸構造25のTE方向の有効屈折率:n5(P偏光)=1.52
サブ波長凹凸構造25のTM方向の有効屈折率:n5(S偏光)=2.01
であり、
n1(P偏光)=n2(P偏光)=n3(P偏光)=n4(P偏光)=n5(P偏光)
=1.52
となり、互いに等しい値となることがわかる。
【0062】
すなわち、各サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25の、回折されるS偏光成分でないP偏光成分についての有効屈折率が、互いに同一となるように、各サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25の溝方向を互いに異ならせるとともに各サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25のフィリングファクタf1、f2、f3、f4、f5が設定される。
【0063】
一方、n1(S偏光)、n2(S偏光)、n3(S偏光)、n4(S偏光)、n5(S偏光)の値は直線的に変化する。
【0064】
よって、このような構造とすることにより、光学素子10は、図3(a)に示すように,回折構造の周期方向に平行なP偏光をもつ入射光に対しては一様な屈折率をもつ板状体となり、この入射光は光学素子10をそのまま通過し、回折現象は生じないが、図3(b)に示すように、回折構造の周期に垂直なS偏光をもつ入射光に対しては回折格子周期で屈折率が変化した回折素子としてのパワーを持つため、この入射光は回折される。
このようにして、回折素子として機能する光学素子10は偏光選択型の光路分岐を行う偏光分離素子の機能をもつ。
【0065】
光学素子10の回折効率が、サブ波長凹凸構造21、22、23、24、25の溝深さd、言い換えると回折構造12の溝深さdにより調整可能であることについて説明する。
図5に、上述の条件に加え、ピッチPn=5μnとし、幅L1、L2、L3、L4、L5を全て1μmとした場合の、溝深さdに応じた回折効率を示す。
【0066】
同図から明らかなように、かかる光学素子10では+1次回折光と−1次回折光の回折効率は異なり、たとえば溝深さdが0.3<d≦0.4の範囲では+1次回折光にその大半を集中している。このことから、領域分割されたサブ波長凹凸構造の溝深さdを適宜設定することにより特定の次数の光のみに偏りをもって回折させることが可能であることがわかる。このことは、他の次数の回折光についても同様に可能である。すなわち、所定の偏光成分を所定の次数に偏りを持って回折するように溝深さdが設定される。
このように、光学素子10に入射した光束は偏光方向により回折方向が異なり、且つ各偏光方向の光束の回折する方向が特定の次数のみに回折されるように設定される。
【0067】
なお、図3において符号αは光学素子10の回折格子面によるS偏光成分の光の回折角度を示す。回折角度αは、かかる光の波長をλ1とした場合、ピッチPnを用いて下式を満足する値として求められる。
【0068】
【数3】

【0069】
よって、ピッチPnは、光学素子10の使用用途に応じて選択可能である。
【0070】
・光学素子10の作製方法
光学素子10の作製の説明に先立ってモールド型の作成方法を説明する。
【0071】
(石英を基材とした型)
図6(a)に示すように、石英材料を基板とし、その表面に電子線描画用のレジストを所定の厚さに塗布し、プリベークする。予め設計されたプログラムにより、回折格子の諸元に対応したピッチ・線幅に描画する。
レジストに対し、現像およびリンスを行うことにより、同図(b)に示すように、レジスト上にサブ波長凹凸構造に対応した構造が形成される。溝の底は石英基材が露出している。
同図(c)に示すように、サブ波長凹凸構造に対応した構造のレジストパターンをマスクとして石英のドライエッチングを行う。エッチングには、RIENLD、TCP等のエッチング装置にて、CF4、CF3ガスを用いる。基板にバイアスをかけることで、面に垂直にエッチングを進行させる。
同図(d)に示すように、レジストを剥離する。剥離の方法はドライエッチング装置内で、酸素ガスを導入し、酸素ガスプラズマ中でレジスト除去を行う方法と、基板を装置から取り出してCAROS洗浄で除去する方法とがある。
完成したものを石英型として用いる。
【0072】
(シリコンを基材とした型)
図7(a) に示すように、シリコン(110)を基板とし、その表面に電子線描画用のレジストを所定の厚さに塗布し、プリベークする。予め設計されたプログラムにより、回折格子の諸元に対応したピッチ・線幅に描画する。
レジストに対し、現像およびリンスを行うことにより、同図(b)に示すように、レジスト上にサブ波長凹凸構造に対応した構造が形成される。溝の底はシリコン基材が露出している。
同図(c)に示すように、サブ波長凹凸構造に対応した構造のレジストパターンをマスクとしてシリコンのアルカリウェットエッチング(KOH溶液使用)を行う。シリコン基板は{111}面の壁として、ピッチを維持したまま深さ方向にエッチングされる。
なお、ボッシュプロセス用いたドライエッチングでも同様の構造を制作できる。
同図(d)に示すように、レジストを剥離する。
完成したものをシリコン型として用いる。
このようにして作られた石英型、あるいはシリコン型を便宜上、金型と呼ぶことがある。
【0073】
・モールド型を利用して回折格子作製
図6、図7に示した方法によって作成したモールド型を用いて回折構造を作製し、光学素子を製造する。
【0074】
図8にシリコン膜とモールド型を利用してガラス基板に回折素子を形成する手順を示す。
同図(a)に示すように、ガラス基板表面にシリコン膜(Si膜)を形成する。
シリコン膜の形成方法としては、スパッタリング法を次のような条件で用いる。
1.基板温度 :70〜100℃
2.製膜時圧力:7〜8×10―4Torr
3.成膜速度 :0.5〜1.0Å/sec
4.RFパワー:100〜200W
【0075】
同図(b)に示すように、Si膜上にUV硬化樹脂を塗布し、上からモールドで押圧する。UV硬化樹脂はグランディックRC8790(大日本インキ製)を用いる。モールド型としてはシリコン型、石英型ともに使用しうるが、微細構造を形成するナノインプリントにおいては、石英金型の方が光透過性なので適している。
【0076】
同図(c)に示すように、モールド背面からUV(紫外線)を照射し、樹脂を固める。
モールド型としてシリコン金型を用いる場合は、UVをガラス基板側から与える。
同図(d)に示すように、モールド型を離型する。UV硬化樹脂に凸状の微細構造が形成されている。
【0077】
同図(e)に示すように、ドライエッチングで、Siが露出するまで樹脂を除去する。
ドライエッチングは以下の条件で行う。
1.ガス種 :酸素ガス(O
2.ガス流入量 :20sccm
3.圧力 :0.4Pa
4.樹脂エッチング速度:30nm/sec
5.上部バイアス電力 :1KW
6.下部バイアス電力 :60W
【0078】
同図(f)に示すように、ガラスが露出するまでSiと樹脂をドライエッチングする。
ドライエッチングは以下の条件で行う。
1.ガス種 :SF6、CHF3
2.ガス流入量
SF6 :20sccm
CHF3: 5sccm
3.圧力 :0.3Pa
4.樹脂エッチング速度: 5nm/sec
Siエッチング速度:30nm/sec
5.上部バイアス電力 :1KW
6.下部バイアス電力 :50W
【0079】
同図(g)に示すように、ガラス溝が所望の深さになるまでドライエッチングする。
ドライエッチングは以下の条件で行う。
1.ガス種 :CHF、Ar
2.ガス流入量
Ar : 5sccm
CHF3:20sccm
3.圧力 :0.3Pa
4.Siエッチング速度: 4nm/sec
ガラスエッチング速度:12nm/sec
5.上部バイアス電力 :1KW
6.下部バイアス電力 :400W
【0080】
同図(h)に示すように、最上部に残ったSi膜を剥離処理により除去する。シリコンマスクはアルカリ(KOH)液でウェット剥離する。
同図(i)に示す状態になって回折素子完成。ガラス基板自身の片面が回折素子になっている。
【0081】
図9にガラス基板にTiを成膜し、モールド型を利用してTiに回折素子を形成する手順を示す。
同図(a)に示すように、ガラス基板表面にTi膜(5酸化タンタル膜)を形成する。
Ti膜の形成方法としては、スパッタリング法を次のような条件で用いる。
1.基板温度 :70〜100℃
2.製膜時圧力:5〜8×10―4Torr
3.成膜速度 :0.7〜1.0Å/sec
4.RFパワー:300〜500W
【0082】
同図(b)に示すように、Ti膜上にUV硬化樹脂を塗布し、上からモールド型で押圧する。UV硬化樹脂はグランディックRC8790(大日本インキ製)を用いる。モールド型としてはシリコン型、石英型ともに使用しうるが、微細構造を形成するナノインプリントにおいては、石英金型の方が光透過性なので適している。
【0083】
同図(c)に示すように、モールド背面からUV(紫外線)を照射し、樹脂を固める。
モールド型としてシリコン金型を用いる場合は、UVをガラス基板側から与える。
同図(d)に示すように、モールド型を離型する。UV硬化樹脂に凸状の微細構造が形成されている。
【0084】
同図(e)に示すように、Tiが露出するまで樹脂をドライエッチングする。
ドライエッチングは以下の条件で行う。
1.ガス種 :酸素ガス(O
2.ガス流入量 :20sccm
3.圧力 :0.4Pa
4.樹脂エッチング速度:30nm/sec
5.上部バイアス電力 :1KW
6.下部バイアス電力 :60W
【0085】
同図(f)に示すように、Ti溝が所望の深さになるまでドライエッチングする。
ドライエッチングは以下の条件で行う。
1.ガス種 :CHF、Ar
2.ガス流入量
Ar : 5sccm
CHF3:20sccm
3.圧力 :0.3Pa
4.Ti2O5エッチング速度: 8nm/sec
5.上部バイアス電力 :1KW
6.下部バイアス電力 :400W
最後に、最上部に残った樹脂マスクを酸素ガス(プラズマ)中でドライエッチングによる剥離処理により除去する。
【0086】
同図(g)に示す状態になって回折素子完成。ガラス基板上の5酸化タンタルが回折素子を形成している。
【0087】
・モールド型を利用せずに回折格子作製
図10(a)に示すように、ガラス基板表面にシリコン膜(Si膜)を形成する。
シリコン膜の形成方法としては、スパッタリング法を次のような条件で用いる。
1.基板温度 :70〜100℃
2.製膜時圧力:7〜8×10―4Torr
3.成膜速度 :0.5〜1.0Å/sec
4.RFパワー:100〜200W
【0088】
同図(b)に示すように、Si膜上に電子線用レジストを塗布する。
同図(c)に示すように、「高精度微細幅露光装置」によって、I線ステッパを使用する。露光後、現像工程を経て部分的にレジストを除去し、Siを露出させる。残っているレジストは、以後のエッチング用マスクパターンとなる。
【0089】
同図(d)に示すように、ガラスが露出するまでSiをドライエッチングする。
ドライエッチングは以下の条件で行う。
1.ガス種 :SF、CHF
2.ガス流入量
SF6 :20sccm
CHF3: 5sccm
3.圧力 :0.4Pa
4.Siエッチング速度:30nm/sec
5.上部バイアス電力 :1KW
6.下部バイアス電力 :50W
【0090】
同図(e)に示すように、ガラス溝が所望の深さになるまでドライエッチングする。
ドライエッチングは以下の条件で行う。
1.ガス種 :CHF、Ar
2.ガス流入量
Ar : 5sccm
CHF3:20sccm
3.圧力 :0.3Pa
4.ガラスエッチング速度:12nm/sec
5.上部バイアス電力 :1KW
6.下部バイアス電力 :400W
【0091】
同図(f)に示すように、最上部に残ったSi膜を剥離処理により除去する。
シリコンマスクはアルカリ(KOH)液でウェット剥離する。
同図(g)に示す状態になって回折素子完成。ガラス基板自身の片面が回折素子になっている。
【0092】
基板11、回折構造12を形成する材質は、使用条件によって適宜選択される。たとえば、入射光として短波長でエネルギー密度の高い光を用いる場合は耐久性を考慮しガラスや無機系の材料を基板11とすることが可能であり、また入射光の波長の透過率が高い材料を基板11に用いることが可能である。回折構造12についても同様に耐久性、用途を考慮しつつその材料が選択される。
【0093】
上述の形態では基板11の一方の表面上に回折構造12を形成した光学素子10について説明したが、光学素子10の構造はこれに限られるものではなく、基板11のもう一方の面に同一或いは異なる回折構造12が形成された、実質的に複数の光学素子を備えた光学素子であってもよい。
【0094】
かかる光学素子として、たとえば、図11に示すように、基板11の両面に回折構造12を形成し、一方の回折構造12はP偏光成分のみを回折しS偏光成分は透過し、もう一方の回折構造12はS偏光成分のみを回折しP偏光成分は透過する構造の光学素子20が挙げられる。各回折構造12の回折方向が各々異なるようにサブ波長凹凸構造の溝方向およびフィリングファクタを設定することにより、光学素子20はP偏光成分、S偏光成分ともに回折する回折素子として機能し、分離角α1を大きくとり得る。このように、光学素子を複数備え何れかの光学素子を経た光が他の光学素子に対する入射光となるように構成すると、その他図15(後述)にも示すように、種々の構成・機能の光学素子が得られる。
【0095】
以上述べた光学素子10、20、回折構造12は入射光を透過させる透過型のものであるが、図12に示すように、反射型の光学素子30も構成可能である。この場合、入射光を反射させる反射膜を設ける必要があり、かかる反射膜は、スパッタリング等の適宜の方法で形成する。
【0096】
同図に示した光学素子30は、基板11と回折構造12との間に図示しない反射膜を有しており、入射ランダム偏光のうち、P偏光成分は回折面を不感帯透過しそのまま反射面を正反射し、S偏光成分は回折して往路と同じ側に反射回折するようになっている。反射膜が基板11と回折構造12との間に、いわば回折構造12の下地として位置することから、S偏光成分は回折構造12により2回の回折作用を受けるため、回折角度α2が大きくなっている。反射膜は回折構造12の表面に設けてもよい。また反射型の光学素子30は、たとえば図11に示した光学素子20において同図右側部分に位置する回折構造12の代わりに配設するなど、透過型の光学素子と組み合わせて用いてもよい。その他、目的に応じて反射膜の反射率の調整や回折構造12の構造の変更等により、各偏光成分の光量比、反射回折光の方向を任意に設定することが可能である。
【0097】
以下、図13ないし図16にそれぞれ、光学素子10を備えた種々の構成例を示す。なお、光学素子10の適用は、これらの図に示した構成に限定されるものではない。また、上述の光学素子20、30もその機能に応じて適宜採用され得る。
【0098】
図13は、光ディスク等の光学的記録媒体としての光記録媒体である記録媒体に情報を記録し、また記録媒体41に記録されている情報を読み取って、かかる情報の処理を行う光情報処理装置の一部を示している。この光情報処理装置50は、かかる記録や読み取りを行うための光ピックアップ40を備えている。
【0099】
光ピックアップ40は、光源としての半導体レーザ42と、半導体レーザ42から出射された出射光であるレーザ光を記録媒体42に導く光ピックアップ光学系43と、光ピックアップ43によって記録媒体42に導かれ記録媒体42を経て再度光ピックアップ43を経たレーザ光を受光する受光素子44とを有している。
【0100】
光ピックアップ光学系43は、半導体レーザ42から出射されたレーザ光を直線偏光とする偏光分離素子として機能する光学素子10と、光学素子10を経たレーザ光をコリメートするコリメータ・レンズ45と、コリメータ・レンズ45でコリメートされたレーザ光を円偏光に変換する1/4波長板46と、1/4波長板46を経たレーザ光を記録媒体41上に集光する対物レンズ47とを有し、対物レンズ47によって記録媒体41上に集光することで記録媒体41に対する情報の記録・再生を行う。
【0101】
記録媒体41で反射した光は対物レンズ47を再度透過し、続く1/4波長板46によって往路とは直交する円偏光に変換され、コリメータ・レンズ45を経てから再度光学素子10に入射し、往路とは異なる方向に偏光回折されて受光素子44に導かれる。なお光学素子10と受光素子44との間には集光レンズ等の受光光学系を設けてもよい。
【0102】
受光素子44により記録媒体41からの情報信号や、対物レンズ47を支持する不図示のアクチュエータを動作させるためのサーボ信号が形成される。サーボ信号は、例えば非点収差法によるフォーカシング・エラー信号およびプッシュプル法によるトラッキング・エラー信号などが生成されることが一般に知られている。
【0103】
このように、光学素子10は、光ピックアップ光学系43において、半導体レーザ42から出射された光と、記録媒体41から反射された光を受光素子44に導くための光とについての光路分岐素子として機能し、半導体レーザ42への戻り光を防止する光アイソレータとして使用可能である。
【0104】
このように光ピックアップ用の偏光分離素子として、光学素子10を用いた場合、三角プリズムをはり合わせたキューブ型の偏光分離素子に比べ光学系がコンパクト化される。とくに光ピックアップ光学系の場合、近年のノートPCなどへの適用を考えると小型化は光学素子に求められる重要事項である。光学素子10は特定次数の光のみを回折可能な偏光分離素子であるため、かかる光ピックアップに関して高効率な偏光光学系を実現可能としている。
【0105】
その他、光学素子10は、近年大容量光媒体として注目されてなるホログラフィを利用して光記録媒体に情報を記録する光ピックアップに用いられても良い。光学素子10は、このようなホログラフィ用光ピックアップにおいて、入射光を入射光の光軸と異なる2つの直交する直線偏光の光に光路を分離する偏光分離素子として用いられ得る。
【0106】
また、光学素子10は、波長の異なる半導体レーザチップを1パッケージ化した所謂ツインレーザを用いた光学系などに用いてもよい。すなわち波長の異なるレーザ光の一方を波長選択型の1/2波長板を介して偏光方向を他の光源とは直交させ、該2つのレーザ光を同軸光とするための偏光選択型の光路補正手段として光学素子10を用いてもよい。
【0107】
図14は、直線透過光の効率が変化する液晶素子及びこれを用いた電圧可変の光減衰器を示している。
かかる液晶素子60は、一対の電極付き基板61と、これら基板61間に位置する液晶セルとしての液晶層62と、液晶層62を構成する液晶をかかる基板61間に封入して液晶層62を形成するシール63とを有している。
かかる光減衰器70は、液晶素子60と、基板61間に電圧を印加して液晶層62を形成する液晶の配向を制御する電圧印加部71と、液晶素子60の両側に設けられた光学素子10とを有している。
【0108】
このような光減衰器70において、液晶素子60へ入射する、直交した偏光方向を有する2つの直線偏光は、第1の偏光性ビームスプリッタとして機能する偏光性回折構造である一方の光学素子10により偏光方向に応じて進行経路が互いに異なって液晶層62を透過し、液晶層62が特定のリタデーション値を有するとき第2の偏光性ビームスプリッタとして機能する偏光性回折構造である他方の光学素子10を透過する2つの直線偏光は液晶素子60の入射光と同じ進行方向に互いに揃って出射するようになっている。
【0109】
したがって、光減衰器70において、互いに揃って出射するように電圧印加部71により液晶素子60に電圧を印加した場合が直線透過光は最大となり、回折によって直進方向から光がずれると直線透過光は減衰される。液晶素子60は光学素子10を経た光を減衰させる減衰手段として機能する。
【0110】
このように光学素子10を光減衰器70に適用する場合、液晶層62を挟持するガラス基板11の表面に偏光分岐を行う回折構造12を形成するだけで同機能が実現され、部品点数を最小限に抑えることが可能である。
【0111】
図15は、ランダム偏光を一偏光方向に揃える偏光変換素子を示している。
この偏光変換素子80は、光学素子10と、光学素子10に対して入射光を入射させる開口部81を形成する遮光部材82と、光学素子10の出射側の、開口部81に対する対向位置において基板11上に形成された1/2波長板83と、光学素子10の出射側に1/2波長板83を挟むようにして基板11上に形成されたプリズム84とを有している。
【0112】
偏光変換素子80において、開口部81から入射されるランダムな偏光方向を有する光束は、偏光分離を行う回折構造12に入射し、P偏光成分は0次回折光として回折せずに直進し、S偏光成分は1次回折光として回折分離される。回折構造12を直進したP偏光成分は、光学素子10を透過した後、1/2波長板83で偏光方向をS偏光に変換され射出する。よって1/2波長板83は光学素子10を経た光の偏光成分を変換する変換素子として機能している。一方、回折構造12に入射したS偏光成分は回折構造12で回折した後、プリズム84で偏向され、1/2波長板83を通過した光束と射出方向が揃えられS偏光のまま射出する。よってプリズム84は偏光変換素子80への光束の入射方向と射出方向をほぼ平行とする偏向部材たる光学部材として機能している。
このようにして、偏光変換素子80により、ランダムな偏光方向を有する光束は、射出時にはS偏光成分に揃った光束として射出することになる。
【0113】
偏光変換素子80は、1/2波長板83、プリズム84に代えて、これらと同機能の回折構造12を備えた構成としてもよく、この場合、一枚のガラス基板11の各面に回折構造12を形成するだけで偏光変換素子80が実現される。
このように光学素子10を偏光変換素子に適用することにより、簡易な構成で高精度な偏光変換素子が実現される。
【0114】
図16は、被投影体としてのスクリーンに所定の画像を投影して画像を形成する画像形成装置としての投影装置たる光学機器であるプロジェクタの一部を示している。このプロジェクタ90は、P偏光成分とS偏光成分とを含む光束を出射する光源部92と、光源部92から出射された光束を用いて画像をスクリーン91に投影するためのプロジェクタ光学系93と、プロジェクタ光学系93によってスクリーン91に投影する画像を処理するパーソナルコンピュータ等によって構成される画像処理部94とを有している。
【0115】
プロジェクタ光学系93は、光源部92とスクリーン91との間に位置する光学素子10と、光源部92からの光束のうち光学素子10と反対側に射出した光束を光学素子10側に反射させる反射鏡95と、光学素子10からの出射光を与えられた画像信号に基づいて変調する、液晶素子等から成る光変調手段としての液晶パネル96と、液晶パネル96を経た光をスクリーン91上に結像させる等の機能を有する投射光学系97とを有し、光学素子10により変調された光束をスクリーン91に投写し、スクリーン91上に、液晶パネル96によって調整された画像を形成する。光学素子10はプロジェクタ光学系93におけるキーパーツとなっている。
【0116】
プロジェクタ光学系93は、上述した種々の光学素子10、20、30、光減衰器70、偏光変換素子80等を適宜組み込むことが可能であり、プロジェクタ90は、上述した種々の光学素子10、20、30、光ピックアップ40、光情報処理装置50、光減衰器70、偏光変換素子80等を適宜組み込むことが可能である。
【0117】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0118】
たとえば、上述の形態においては各周期構造が5種のサブ波長凹凸構造を備えているが、各周期構造が備えているサブ波長凹凸構造の種類は3種以上であればよい。サブ波長凹凸構造が5種の場合、これを備えた周期構造は5段の段差を有する階段状のプリズムによって構成される光学素子と等価である。
【0119】
サブ波長凹凸構造の種類の数に応じて特定の次数の回折光の最大回折効率、すなわち特定の溝深さを設定することにより発生する回折光の強度が決まる。サブ波長凹凸構造の種類、言い換えると領域の数が多いほど回折効率は大きくなる。またサブ波長凹凸構造の種類の数が多いほど、これに等価なプリズム状の光学素子は図17に示したような三角柱形状に近づくこととなる。
各周期構造におけるサブ波長凹凸構造の種類は互いに同数でなくともよい。
【0120】
各周期構造のピッチは同一である必要はなく、不等間隔であってもよい。この場合、最小のピッチが入射光の波長以上であればよい。回折される偏光成分の回折角度を各周期構造で異ならせ、所定の方向に回折するように不均一に設定し、たとえば各周期構造で回折された光が一点に集中するように各周期構造の回折角度を設定するなど不等間隔の周期構造とすることにより、レンズ機能をもった光学素子・回折素子が実現される。
【0121】
上述の形態では回折構造のパタンが一定の溝方向を向く直線の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、曲線状のパタンであってもよい。このような曲線状のパタンとすることによりレンズ機能や収差補正などの用途に適用可能となる。
上述の形態ではサブ波長凹凸構造が平板上に形成された場合について説明したが、これに限られるものではなく、レンズのような曲面上に形成してもよい。
【0122】
本発明にかかる光学素子を適用し得る光学機器としては、上述のプロジェクタの他、光ファイバ通信等に用いられる通信機器、その他撮像光学系及びこれを有する撮像機器、複写機、プリンタ等の画像形成装置などが挙げられる。
【0123】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0124】
10、20、30 光学素子
10 透過型の光学素子
13 周期構造
20 複数の光学素子を有する光学素子
21、22、23、24、25 サブ波長凹凸構造
30 反射型の光学素子
40 光ピックアップ
41 記録媒体
50 光情報処理装置
60 減衰手段
70 光減衰器
80 偏光変換素子
83 変換素子
90 光学機器
93 プロジェクタ光学系
d 溝深さ
p1、p2、p3、p4、p5 サブ波長凹凸構造のピッチ
Pn 周期構造のピッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【特許文献1】特開2001−343512号公報
【特許文献2】特開2008−27771号公報
【特許文献3】特開2008−262620号公報
【特許文献4】特開2008−276823号公報
【特許文献5】特開2005−3758号公報
【特許文献6】特開2004−37480号公報
【特許文献7】特開2004−184505号公報
【非特許文献】
【0126】
【非特許文献1】菊田久雄・岩田耕一、「波長より細かな格子構造による光制御」、光学、1998年、27巻、1号、p.12−17
【非特許文献2】小野雄三、「偏光性ホログラム光学素子」、O plus E、1991年3月、No.136、p.86−90
【非特許文献3】佐藤尚、「誘電体フォトニック結晶の作製と応用デバイス」、O plus E、1999年12月、Vol.21,No.12、p.1554−1559

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッチが入射光の波長以下であり溝深さが互いに等しい3種以上のサブ波長凹凸構造を備えた、前記波長以上のピッチの周期構造を有し、前記入射光の所定の偏光方向を所定の次数に偏りをもって回折する光学素子。
【請求項2】
請求項1記載の光学素子において、
前記3種以上のサブ波長凹凸構造を構成する各サブ波長凹凸構造の屈折率が前記所定の偏光方向と異なる偏光方向について互いに同一となるように、同各サブ波長凹凸構造の形成方向を互いに異ならせるとともに同各サブ波長凹凸構造のフィリングファクタが設定されていることを特徴とする光学素子。
【請求項3】
請求項1または2記載の光学素子において、
前記所定の偏光方向を所定の次数に偏りをもって回折するように前記溝深さが設定されていることを特徴とする光学素子。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の光学素子において、
前記周期構造のピッチが、前記所定の偏光方向を所定の方向に回折するように不均一に設定されていることを特徴とする光学素子。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の光学素子において、
透過型または反射型であることを特徴とする光学素子。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の光学素子を複数有し、何れかの光学素子を経た光が他の光学素子に対する入射光となることを特徴とする光学素子。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子を有し、
記録媒体に情報を記録し及び/又は記録媒体に記録されている情報を読み取る光ピックアップ。
【請求項8】
請求項7記載の光ピックアップを有し、この光ピックアップによって記録媒体の情報の処理を行う光情報処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子と、
この光学素子を経た光を減衰させる減衰手段とを有する光減衰器。
【請求項10】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子と、
この光学素子を経た光の偏光方向を変換する変換素子とを有する偏光変換素子。
【請求項11】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子、または、請求項9記載の光減衰器、または、請求項10記載の偏光変換素子を有し、
前記光学素子を経た光を投射するプロジェクタ光学系。
【請求項12】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の光学素子、または、請求項7記載の光ピックアップ、または、請求項8記載の光情報処理装置、または、請求項9記載の光減衰器、または、請求項10記載の偏光変換素子、または、請求項11記載のプロジェクタ光学系を有する光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−164749(P2010−164749A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6527(P2009−6527)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】