説明

光学素子、光学素子の製造方法、光学系および光学機器

【課題】小型軽量で非光学面の遮光性能に優れた光学素子、光学素子の製造方法、光学系および光学機器を提供する。
【解決手段】透過する有効光束に光学作用を与える複数の光学面と、前記有効光束が透過しない複数の非光学面31〜37と、前記複数の非光学面に形成されて可視光を吸収する遮光膜38と、を有する光学素子において、前記複数の非光学面は、3つ以上の平面部である非光学面31、33、35、37と、隣り合う2つの平面部を接続する角部にそれぞれ設けられた複数の曲面部である非光学面32、34、36と、を有し、前記平面部に形成された前記遮光膜よりも前記曲面部に形成された前記遮光膜の方が厚い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子、光学素子の製造方法、光学系および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ、顕微鏡、プロジェクタなどの光学機器に使用されるレンズ、プリズム等の光学素子には、有効光束に対して屈折などの光学作用を奏する光学面と、保持面(例えば、コバ面)などの有効光束が入射しない非光学面と、を有する。
【0003】
特許文献1は、光学面に薄膜を形成すると共に外周部(非光学面)に段差を設けた光学素子を開示している。この段差は、外周部に薄膜が付着することを低減して鏡筒に高精度に保持可能であり、また、光学素子を小型で軽量にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−281877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非光学面から非有効光束が入射して迷光にならないようにするために特許文献1に示す段差付き外周部に遮光膜を均一に形成すると、光軸に平行な面と垂直な面の遮光性能の違いにより物体側から見た場合に遮光部がリング状に白く目立ってしまう。
【0006】
本発明の例示的な目的は、小型軽量で非光学面の遮光性能に優れた光学素子、光学素子の製造方法、光学系および光学機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学素子は、透過する有効光束に光学作用を与える複数の光学面と、前記有効光束が透過しない複数の非光学面と、前記複数の非光学面に形成されて可視光を吸収する遮光膜と、を有する光学素子であって、前記複数の非光学面は、3つ以上の平面部と、隣り合う2つの平面部を接続する角部にそれぞれ設けられた複数の曲面部と、を有し、前記平面部に形成された前記遮光膜よりも前記曲面部に形成された前記遮光膜の方が厚いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型軽量で非光学面の遮光性能に優れた光学素子、光学素子の製造方法、光学系および光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の光学素子の断面図である。(実施例1)
【図2】図1の部分拡大図である。(実施例1)
【図3】本発明の光学素子の断面図である。(実施例2)
【図4】図3の部分拡大図である。(実施例1)
【図5】図1または図3に示す光学素子を有する結像光学系の断面図である。(実施例3)
【図6】図5に示す結像光学系を有する光学機器の斜視図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の光学素子20Aの断面図であり、AXは光軸である。光学素子20Aは、透過する有効光束に光学作用を与える光学面21A、22Aと、有効光束が入射しない段差のある非光学部30と、を有する回転対称な透過型光学素子(レンズ)である。光学面21Aは物体側にある光学研磨された光学面、光学面22Aは像側にある光学研磨された光学面である。光学面21A、22Aの一方または両方には、反射防止、カラーフィルタ、偏光分離など様々な光学作用を持たせるために、誘電体薄膜や使用波長以下の微細凹凸構造体が形成されてもよい。
【0012】
光学面21A、22Aを透過した光は光学素子20Aを構成する光学ガラスの屈折率に従って屈折する。また、非光学部30は、光学面21A、22Aの外周に設けられている外周部であり、不図示の外部部材によって保持される保持部(コバ面)として機能することができる。
【0013】
非光学部30に入射した非有効光束を遮光するために、2段階の遮光処理が施されている。まず、非光学部30は算術平均粗さRaが5μm以上20μm以下に加工された粗面である。算術平均粗さRaは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。また、非光学部30には実質的に可視域の光を吸収する遮光膜が形成されている。これにより、非光学部30に入射する可視光は粗面にて散乱し、かつ遮光膜によって吸収される。また、算術平均粗さRaが20μmを越えると散乱効果が低減するため好ましくない。
【0014】
図2は、図1の非光学部30の周辺の拡大図である。非光学部30は、光学面21Aと光学面22Aの間に設けられ、3つ以上の平面部と、隣り合う2つの平面部を接続する角部にそれぞれ設けられた複数の曲面部と、を有する。より具体的には、非光学部30は、光学面21Aから光学面22Aに向かって順に非有効光束が入射する可能性がある複数の非光学面31〜37を有すると共に、非光学面31〜37の上に形成された遮光膜38を有する。
【0015】
非光学面(第1の非光学面)31は光学面21Aに接し、光軸AXに平行な平面部である。非光学面(第2の非光学面)33は光軸AXに垂直な平面部、非光学面(第1の非光学面)35は光軸AXに平行な平面部である。非光学面(第2の非光学面)37は光軸AXに垂直な平面部であり、光学面22Aに接する。
【0016】
非光学面32、34、36は曲面部であり、それぞれの曲率半径は0.1mm以上5mm以下である。0.1mmよりも小さいと全反射を効率良く防ぐことができない。また、5mmを超えると小型軽量化の効果が得られにくくなる。
【0017】
なお、非光学面31、33、35、37は光軸方向に平行または直交する面に限定されない。例えば、非光学面31は光軸AXに厳密に平行である必要はなく、平行成分が主で有ればよい。平行成分が主というのは、非光学面31の光軸AXへの正射影の長さが、非光学面31の長さの85%以上であることを指す。非光学面33に関しても同様で、垂直成分が主でかつ光軸AXに垂直な方向への正射影の長さが非光学面33の長さの85%以上であればよい。
【0018】
曲面部と光軸AXに垂直な平面部によって非光学部30には段差が形成され、非光学面31は非光学面35よりも一段高い位置にある。段差によって装置への組み込み時に保持精度、保持力を向上させることができる。また、段差によって小型で軽量となるので、ズーム群、フォーカス群、防振群等の可動群に好適である。
【0019】
しかし、光学面21Aから非光学部30を見ると、非光学面32、34、36は場所によって入射角の異なる光を観察することになり、リング状に白く見えてしまう場合がある。
【0020】
一般的に遮光性能は光の入射角度によって変化するため、各曲面部は場所によってムラのあるような形に見えてしまう。また、曲面部の場所や角度によっては、全反射した光が光学面21A方面に反射することがある。非光学部30においては、非光学面34で全反射した光が光学面21A方面に反射しやすい。
【0021】
全反射する入射角度の光の遮光性能は遮光膜38によって影響を受ける。基材の屈折率ndが高い場合、臨界角以上の入射角度で入射された光は全て全反射する。その入射部分に遮光膜38が形成されていると、入射光は遮光膜38を通過してから全反射する。遮光膜38を通過しているときに、入射光を十分に吸収できれば、遮光性能を向上させることができる。
【0022】
しかし、吸収効率を向上させるために遮光膜38を厚くし過ぎると遮光膜38の膜厚を均一に制御することが困難となり、段差を設けても、遮光膜38のバラツキによって装置への組み込み時に傾きや偏心などが発生しやすくなってしまう。
【0023】
そこで、本実施例は、非光学面31、33、35、37に形成された遮光膜38の膜厚T1よりも非光学面32、34、36に形成された遮光膜38の膜厚T2の方を大きくしている。これにより、遮光性能を維持しつつ曲面部の全反射を防ぐことができる。遮光膜38は樹脂を主成分とする膜であり、黒色の染料を有する。
【0024】
材料としては、エポキシ系、アクリル系、イミド系、フェノール系等の樹脂を選択することが好ましい。また、アゾ系染料、キノン系染料等の染料を用いることが望ましい。ただし、材料としてはこれらの記述に限定されることは無い。
【0025】
遮光膜38の平面部の膜厚T1は2μm以上8μm以下である。下限を下回ると遮光効果が不十分となり、上限を超えると遮光膜38全体の膜厚を制御することが困難になる。
【0026】
更に、遮光膜38の曲面部の膜厚T2はT1よりも厚いという条件内で6μm以上20μm以下、もしくは、膜厚T1の2倍以上5倍以下を有する。このように、場所によって遮光膜38の膜厚を変更することで、保持精度、保持力を向上させたまま全反射による遮光性能の劣化を抑えることが可能となる。なお、上限(8μmまたは5倍)を超えると遮光膜38全体の膜厚を制御することが困難になる。
【0027】
本実施例は光学素子20Aの基材の屈折率ndが高く、遮光膜38の屈折率が高い場合に特に有効である。例えば、基材の屈折率は1.75以上2.00以下である。また、遮光膜の屈折率は1.65以上2.00以下である。
【0028】
基材の屈折率が高いと入射した光が全反射する確率が高くなり、特に1.75以上の屈折率だと効果が得られやすい。また、屈折率2.00を超えると材料の入手が困難になる。また、遮光膜38の屈折率が高いと全反射する光を吸収するための塗膜の光路長が長くなるため、吸収効率を向上させることができる。加えて、非光学面31、33、35、37に形成される遮光膜38が薄くても十分な遮光性能を得ることができる。このような効果を得るには、遮光膜38の屈折率は1.65以上が好ましく、1.70以上がより好ましく、1.75以上がさらに好ましい。また、遮光膜38の屈折率が2.00を超えると材料の入手が困難になる。
【0029】
光軸AXに平行な非光学面31、35に形成される遮光膜38の膜厚T11よりも、光軸AXに垂直な非光学面33、37に形成される遮光膜38の膜厚T12の方が大きい。特に、第1の非光学面に形成される遮光膜38の膜厚T11は2μm以上5μm以下であり、第2の非光学面に形成される遮光膜38の膜厚T12は膜厚T11の1.3倍以上1.6倍以下である。光学面21Aから非光学面31、35は直接見ることはできないが非光学面33、37は直接見ることができるためである。また、非光学面31、35は光学素子20Aの組み込み精度に影響を与えるため、その遮光膜38の膜厚は薄いほうがよい。このように、非光学部30の場所によって厚みを制御することによって遮光性能と組み込み精度を両立することができる。
【0030】
遮光膜38の厚みに分布を持たせる方法には幾つかある。通常、遮光膜38を形成するには、溶液状の塗膜材料を被塗工面に塗工し、焼成・乾燥することで固着させる方法がある。溶液を塗工する手段としてはバーコート法、スプレーコート法、ディップコート法などの溶液を被塗工面に直接付着させる方法、ロールコート法、刷毛・スポンジコート法など溶液を他の媒体を介して被塗工面に塗工する方法がある。
【0031】
このような方法を用いて厚み分布を持たせる方法としては、一旦、遮光膜を非光学部30の全面に形成した後で曲面部に遮光膜38を追加(多層化)する方法がある。これにより、平面部に比べて曲面部の遮光膜38の膜厚を厚くすることができる。
【0032】
別の方法として、沸点が100度以上150度以下で沸点の差が20度以上40度以下ある少なくとも2つの溶媒を含む溶液を利用して遮光膜38を形成する方法がある。溶液に沸点の異なる溶媒を含むと揮発速度を調整することが可能となる。100度以上の沸点の溶媒を利用することで被塗工面に溶液を塗工する際には液状のまま均一に塗工することが可能となる。沸点の上限、沸点の差の上限は材料の選択を確保するためのものである。
【0033】
沸点が低温の溶媒によって一通り均一な塗工膜が形成された後、沸点が高温の溶媒の揮発が起きる。この時、平面部に比べて曲面部では揮発密度の違いから乾燥が遅くなり、残存溶媒が増える現象が起きる。
【0034】
一方、一度形成された遮光膜38の内部では残存溶媒の分布から材料濃度に分布ができる。濃度に分布ができると均一にさせようとする力が働き、平面部に塗工された溶液の材料成分は曲面部に移動する。その状態で高温の溶媒を揮発させることにより、平面部に比べて曲面部の厚みが厚い非光学部30を作製することができる。
【0035】
材料の粒子の塗膜内の移動を促進して遮光膜38をより効率良く製造するために、遮光膜38を形成する溶液に含まれる材料を全て(0nmよりも大きく)100nm以下の粒子で作製している。この溶液を利用すると、光軸AXに対して平行な非光学面31、35と垂直な非光学面33、37の揮発方向の違いから膜厚を変更することが可能となる。光学面21Aを下、光学面22Aを上にして設置して溶液を塗工すると、揮発方向の違いから非光学面31、35に比べて非光学面33、37の膜厚を厚くすることが可能となる。
【0036】
本実施例では、光学素子20Aの基材としてOHARA社製S−LAH55(nd=1.83481)を利用した。光学素子20Aの径はφ35mm、光学面21Aの曲率半径は78mm、光学面22Aの曲率半径は16mmである。非光学面32、36の曲率半径は0.8mm、非光学面34の曲率半径は1.0mmである。
【0037】
スプレーコート法により、遮光膜38の溶液を非光学部30に塗工し、遮光膜38を形成した。遮光膜38を形成する溶液として、沸点109度のトルエンを溶媒に利用した。非光学部30に均一に溶液を塗工した後、23度の環境で4時間放置した。その後、140度の環境で2時間放置した。この方法により遮光膜38を形成した後、各曲面部に追加で溶液を塗工して遮光膜38を形成した。各平面部の遮光膜38の膜厚は5μm、各曲面部の遮光膜38の膜厚は8μmだった。形成された遮光膜38の屈折率ndは1.68だった。
【実施例2】
【0038】
図3は、実施例2の光学素子20Bの断面図であり、AXは光軸である。光学素子20Bは、光学面21B、22B、段差のある非光学部40を有する回転対称形の光学素子である。
【0039】
図4は、図3の非光学部40の周辺の拡大図である。非光学部40は、光学面21Bと光学面22Bの間に設けられ、光学面21Aから光学面22Aに向かって、非有効光束が入射する可能性がある複数の非光学面41〜45と、非光学面31〜37の上に形成された遮光膜を有する。なお、作図の便宜上遮光膜を省略している。非光学面41は光学面21Bに接し、光軸AXに平行な平面部、非光学面42、44は曲面部、非光学面43は平面部、非光学面45は光軸AXに垂直な平面部である。
【0040】
本実施例では、光学素子20Bの基材としてOHARA社製S−LAH58(nd=1.88300)を利用した。光学素子20Bの径はφ56mm、光学面21Bの曲率半径は80mm、光学面22Bの曲率半径は47mmである。非光学面42の曲率半径は1.3mm、非光学面44の曲率半径は0.8mmとした。
【0041】
刷毛を利用して遮光膜の溶液を非光学部40に塗工し、遮光膜を形成した。遮光膜を形成するための溶液として、沸点が120度のPGME、沸点が146度のPGMEAを溶媒に利用した。非光学部40に均一に溶液を塗工した後、23度の環境で4時間放置した。その後、200度の環境で2時間放置した。非光学面41の遮光膜の厚みは3μm、非光学面43の遮光膜の厚みは6μm、非光学面45の遮光膜の厚みは7μmだった。曲面部42の遮光膜の厚みは12μm、曲面部44の遮光膜の厚みは13μmだった。形成された遮光膜の屈折率ndは1.72だった。
【実施例3】
【0042】
図5は、物体からの光束を結像面IPに結像する、本実施形態の結像光学系10の断面図である。本実施形態の結像光学系10は、一例として可視光で使用され、複数の光学素子を有する。この結像光学系10の構成は単なる一例であり、本実施形態は、望遠タイプの光学系に限定されず、広角系、ズーム系など種々の変形及び変更が可能であり、ミラーなどの反射部材を更に有してもよい。
【0043】
これらの光学素子は、物体側から入射した光の光束径を制限する光学絞り50、光学素子20Aまたは20Bを適用可能な光学素子52〜58を有する。光学素子20Aまたは20Bは光学絞り50の物体側に配置されてもよいし像側に配置されてもよいが、物体側に配置される方が遮光膜の遮光膜の遮光ムラが目立ち易い。また、小型軽量化された光学素子20Aまたは20Bはズーム群、フォーカス群、防振群等の可動群に好適である。光学素子20Aまたは20Bの遮光膜が全反射を防止しつつ非有効光束を遮光するので結像光学系10の光学性能を維持することができ、また、膜圧分布を有する遮光膜は遮光部分の一部が目立つことはない。
【0044】
図6は、結像光学系10を使用可能な光学機器の一例としてのデジタルカメラの斜視図である。60はカメラ本体、61は結像光学系10を有する撮像光学系(またはレンズ鏡筒)である。62はカメラ本体60に内蔵され、撮像光学系61によって形成された光学像を光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。63は固体撮像素子62によって光電変換された情報を記録するメモリ、64は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子62上に形成された被写体像を観察するための表示素子である。光学素子20Aまたは20Bの遮光膜が迷光を防止するのでデジタルカメラは高画質な画像を提供することができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本実施形態の光学素子はレンズには限定されず、光を透過する部材であれば、波長板、ビームスプリッタなどでもよい。また、光学機器はデジタルカメラに限定されず、顕微鏡、プロジェクタ等の光学機器に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
光学素子は、カメラ、顕微鏡、プロジェクタ等の光学機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
20A、20B…光学素子、21A、21B、22A、22B…光学面、31〜37、41〜45…非光学面、38…遮光膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過する有効光束に光学作用を与える複数の光学面と、前記有効光束が透過しない複数の非光学面と、前記複数の非光学面に形成されて可視光を吸収する遮光膜と、を有する光学素子であって、
前記複数の非光学面は、3つ以上の平面部と、隣り合う2つの平面部を接続する角部にそれぞれ設けられた複数の曲面部と、を有し、
前記平面部に形成された前記遮光膜よりも前記曲面部に形成された前記遮光膜の方が厚いことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記複数の非光学面は、それぞれが算術平均粗さ5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記曲面部の曲率半径は0.1mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記平面部に形成された遮光膜の膜厚は2μm以上8μm以下であり、前記曲面部に形成された遮光膜の膜厚は6μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項5】
前記非光学面の平面部に形成された遮光膜の膜厚は2μm以上8μm以下であり、前記曲面部に形成された遮光膜の膜厚は前記平面部に形成された遮光膜の2倍以上5倍以下の膜厚を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記平面部は、前記光学素子の光軸に平行な第1の非光学面と、前記光学素子の前記光軸に垂直な第2の非光学面と、を有し、
前記第1の非光学面に形成された遮光膜よりも前記第2の非光学面に形成された遮光膜の方が厚いことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項7】
前記平面部は、前記光学素子の光軸に平行な第1の非光学面と、前記光学素子の前記光軸に垂直な第2の非光学面と、を有し、
前記第1の非光学面に形成された遮光膜の膜厚は2μm以上5μm以下であり、前記第2の非光学面に形成された遮光膜の膜厚は前記第1の非光学面に形成された遮光膜の膜厚の1.3倍以上1.6倍以下であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項8】
前記遮光膜は、樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項9】
前記遮光膜の屈折率は1.65以上2.00以下であることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項10】
前記光学素子の基材の屈折率は1.75以上2.00以下であることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項11】
有効光束が透過する複数の光学面と、前記有効光束が透過しない複数の非光学面と、前記複数の非光学面に形成されて可視光を吸収する遮光膜と、を有し、前記複数の非光学面は、3つ以上の平面部と、隣り合う2つの平面部を接続する角部にそれぞれ設けられた複数の曲面部と、を有する光学素子の製造方法であって、
前記平面部に形成された前記遮光膜よりも前記曲面部に形成された前記遮光膜の方が厚くなるように、前記遮光膜を前記曲面部において多層化したことを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項12】
前記遮光膜は、沸点が100度以上であり、沸点の差が20度以上ある少なくとも2つの溶媒を含む溶液を前記非光学面に塗工することによって形成されることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
【請求項13】
前記遮光膜を形成するための溶液に含まれている材料は全て100nm以下の粒子で作製されていることを特徴とする請求項11または12に記載の光学素子の製造方法。
【請求項14】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光学素子を有することを特徴とする光学系。
【請求項15】
請求項14に記載の光学系を有することを特徴とする光学機器。
【請求項16】
前記光学系は可動群であることを特徴とする請求項15に記載の光学機器。

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−114235(P2013−114235A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263194(P2011−263194)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】