説明

光学素子の製造方法および光学素子

【課題】フェムト秒レーザの照射により、照射部と非照射部の屈折率差が大きい光学素子を提供する。
【解決手段】フェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させる光学素子の製造方法であって、光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、母材と添加材の屈折率の差が0.07以上である。また、添加材の母材に対する混合率が10質量%であるときの光学高分子構造体の厚さ0.1mmにおける可視光線透過率が80%以上である態様が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス幅が10-15秒〜10-11秒の超短パルスレーザ(以下、「フェムト秒レーザ」ともいう。)を光学高分子構造体内部に照射し、レーザ照射部の屈折率を変化させる光学素子の製造方法および光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リソグラフィなどのプロセスにより光学素子を製造する方法とは別に、フェムト秒レーザをガラスまたは光学高分子構造体の内部に照射し、照射部の屈折率を変化させて、たとえば回折光学素子または光導波路を有する光学素子を製造する方法が知られている。この方法は、照射するレーザをレンズなどにより集光し、焦点位置を、光学高分子構造体の内部で移動させることにより、屈折率などが変化した構造変化部を光学高分子構造体の内部の任意の部分に形成することができる。(特許文献1参照)。屈折率などが異なるレーザ照射部の大きさ、形状、構造変化の程度などは、レーザの照射時間、レーザの焦点位置の移動方向とその速度、光学高分子構造体の材質、レーザのパルス幅と照射エネルギまたはレンズの開口数などにより調整することができる。フェムト秒レーザは、チタン・サファイア結晶をレーザ媒質として得られ、同じ出力であっても、単位時間・単位空間当たりの電場強度が極めて高いため、無機ガラスなどに照射することにより、新たな構造を誘起することができる。
【0003】
フェムト秒レーザによる屈折率などの変化は、熱溶融と冷却による構造の変化、架橋反応による構造の変化、相分離による構造の変化などにより誘起される。たとえば、レーザの照射により、光学高分子材料が溶融し、冷却することにより、照射前の配向状態から照射後の無配向状態に構造が変化する。また、架橋反応により、照射前の未架橋状態が照射後、架橋状態に構造が変化する。あるいは、相分離により、混合もしくは溶解状態から相分離した状態に構造が変化する。屈折率などが変化したレーザ照射部を直接、内部に形成することができるので製造工程を短縮化し、屈折率などが変化した構造変化部を、500mW以下の低いエネルギのレーザ照射により形成することができる。
【0004】
ところで、フェムト秒レーザにより光学素子を製造する場合、誘起する屈折率の変化が大きいことが望まれる。屈折率差が大きいと、たとえば回折光学素子において回折効率が高くなるというメリットがあるためである。ここで、屈折率の変化とは、レーザ照射部に誘起された屈折率と、未照射部の屈折率の差をいう。しかし、特許文献1には、光学高分子構造体として、プラスチック構造体は開示されているが、大きな屈折率差をもたらす方法は具体的に開示されていない。
【0005】
一方、フェムト秒レーザ加工用の光学高分子構造体として、フェムト秒レーザの照射エネルギを吸収する着色剤、光重合開始剤または光安定剤をプラスチック母材に添加した例が知られている(特許文献2参照)。フェムト秒レーザのエネルギ吸収物質は、吸収波長のピークが400nm程度のものが好ましく、レーザのエネルギ吸収物質を0.1質量%〜3質量%の割合で混合する態様が好ましく、亀裂やボイドなどの劣化が生じることがなく、精密な加工が可能であると記載されている。しかし、フェムト秒レーザの吸収物質とプラスチック母材の屈折率の差およびその効果については開示されていない。
【特許文献1】特開2002−249607号公報
【特許文献2】特開2003−160734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、光学高分子構造体の内部にフェムト秒レーザを照射することにより、照射部の屈折率を大きく変化させる光学素子の製造方法を提供することにある。また、回折効率の高い光学素子または伝播損失の少ない光導波路を有する光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学素子の製造方法は、ある実施の形態によれば、フェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させる光学素子の製造方法であって、光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、母材と添加材の屈折率の差が0.07以上である。また、本発明の光学素子の製造方法は、他の実施の形態によれば、フェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させる光学素子の製造方法であって、光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、添加材は、結晶性を示す。
【0008】
本発明の光学素子は、ある実施の形態によれば、フェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させた光学素子であって、光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、母材と添加材の屈折率の差が0.07以上であり、照射部と非照射部の屈折率の差が0.00015以上である。また、本発明の光学素子は、他の実施の形態によれば、フェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させた光学素子であって、光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、添加材は、結晶性を示し、照射部と非照射部の屈折率の差が0.0002以上である。
【発明の効果】
【0009】
フェムト秒レーザの照射により、照射部と非照射部の屈折率差が大きい光学素子を提供できる。したがって、回折光学素子の回折効率を高め、また光学素子の光導波路における伝播損失を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させる光学素子の製造方法であり、光学高分子構造体は、母材と添加材を含む混合物からなり、母材と添加材の屈折率の差が0.07以上である。また、添加材を母材に対して10質量%混合したときの光学高分子構造体の厚さ3mmでの可視光線透過率が80%以上である態様が好ましい。光学高分子構造体の厚みと透過率は、実用的な最小厚みを考慮して、厚さ0.1mmでの可視光線透過率が80%以上であっても、光利用効率の高い光学素子として利用できる。光学高分子構造体の材料として、母材と、屈折率が母材と0.07以上異なる添加材とを含む混合物を使用することにより、フェムト秒レーザの照射後、照射部と非照射部との屈折率の差を大きくすることができる。このような効果を高める点で、母材と添加材との屈折率差は、0.1以上が好ましく、0.14以上がより好ましい。一方、屈折率差は、添加材が有機化合物の場合、光学高分子構造体の可視光線透過率を高める点で、0.50以下が好ましく、0.30以下がより好ましい。また、添加材が無機化合物の場合には、無機粒子の大きさが100nm以下であるときは、同様の点で、屈折率差は、1.24以下が好ましく、1.10以下がより好ましい。
【0011】
かかる母材と添加材とを含む混合物からなる光学高分子構造体にフェムト秒レーザを照射することにより形成される光学素子は、照射部と非照射部の屈折率差が、0.00015以上であり、好ましくは0.0004以上、より好ましくは0.001以上の光学素子を提供することができる。したがって、高回折効率を有する回折光学素子、または伝播損失の小さい光導波路を有する優れた光学素子を提供することができる。光学素子における照射部は、光の利用効率を高め、光の伝播損失を低減するなどの観点から、厚さ0.4mmにおける可視光線透過率が80%以上のものが好ましく、85%以上のものがより好ましい。なお、照射部の厚みと透過率は、実用的な最小厚みを考慮して、厚さ0.01mmでの可視光線透過率が80%以上であっても、光利用効率の高い光学素子として利用できる。可視光線は、たとえば波長400nm〜800nmの電磁波をいい、以下においても同様である。また、光線は、可視光線のほか、波長800nm〜1700nmの近赤外光線でも同様である。
【0012】
光学高分子構造体は、ポリメチルメタクリレートなどの高分子材料を母材とし、添加材を混合して形成された光学部材であり、レーザ加工を容易にし、かつ、レーザ加工により製造された光学素子の光利用効率を高くする点で、添加材を10質量%混合したときの厚さ3mmでの可視光線透過率が好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、とくに好ましくは90%以上である。光学高分子構造体の厚みと透過率は、実用的な最小厚みを考慮して、厚さ0.1mmでの可視光線透過率が80%以上であっても、光利用効率の高い光学素子として利用できる。また、透過率が高いと、構造体内部を視認することができ、フェムト秒レーザの照射位置および焦点位置を容易に調整することができる。
【0013】
母材は、ホモポリマー、コポリマー、ポリマーアロイ、ポリマーブレンドなどの高分子を単独または2種以上組み合わせた材料であり、ポリマーは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、紫外線硬化性ポリマーなどが好ましい。
【0014】
熱可塑性ポリマーは、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートなどのポリメタクリル酸エステル、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレートなどのポリアクリル酸エステル、ブチルアクリレートとエチルアクリレートからなる共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂などのスチレン系ポリマー、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ビスフェノールA系ポリカーボネートなどのポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリノルボルネン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルフィドなどを好ましく使用することができる。また、たとえば、アクリル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの各種熱可塑性エラストマーなども使用することができる。
【0015】
熱硬化性ポリマーには、熱硬化性ポリウレタン、熱硬化性ポリエステル、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂などが含まれる。フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロアセトンなどのフッ素系樹脂を用いることができる。また、作業性が高まる点で、ポリシラン系ポリマーが好ましい。ポリシラン系ポリマーとしては、ポリ(ジメチルシラン)、ポリ(メチルエチルシラン)、ポリ(メチルプロピルシラン)、ポリ(メチルブチルシラン)、ポリ(メチルヘキシルシラン)、ポリ(ジヘキシルシラン)、ポリ(ジドデシルシラン)などのポリ(アルキルアルキルシラン)、ポリ(メチルシクロヘキシルシラン)などのポリ(アルキルシクロアルキルシラン)、ポリ(メチルフェニルシラン)などのポリ(アルキルアリールシラン)、ポリ(ジフェニルシラン)などのポリ(アリールアリールシラン)、ポリフェニルシリン、ポリメチルシリンなどのケイ素原子の3次元構造を有するホモポリマー、ポリ(ジメチルシラン−メチルシクロヘキシルシラン)、ポリ(ジメチルシラン−メチルフェニルシラン)などのコポリマーを使用することができる。
【0016】
添加材としては、たとえば、式(1)に示すジアリルエテンと、含硫黄化合物と、フッ化物とからなる群から選択する少なくとも1種を使用することができる。
【0017】
【化5】

【0018】
(式(1)において、R1とR4は脂肪族炭化水素基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基またはメルカプト基であり、メチル基が好ましい。R2、R3、R5とR6は水素、アミノ基、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基であり、または芳香族炭化水素もしくは芳香族複素環の構成原子である。R2、R3、R5とR6が芳香族炭化水素または芳香族複素環の構成原子であるときは、とくに、t−ブチル基またはトリフェニルアミノ基を有する態様が好ましい。XとYは硫黄、窒素または酸素などであり、XとYが硫黄原子である態様が好ましい。Zは脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または芳香族複素環からなる構造を有し、とくにフッ素で置換された態様が好ましい。)
式(1)に示すジアリルエテンのうち、たとえばつぎの式(2)に示すものは、屈折率が1.56であり、含硫黄化合物は屈折率が1.6以上であり、フッ化系低分子化合物は屈折率が1.4以下である。したがって、母材と添加材との屈折率の差を0.07以上とすることにより、フェムト秒レーザの照射後、照射部と非照射部の屈折率差を大きくすることができる。
【0019】
【化6】

【0020】
含硫黄化合物としては、たとえば、屈折率が1.6328であるジフェニルサルファイド(C1210S)が好適である。また、フッ化物としては、屈折率が1.302であるヘプタフルオロブタン酸エチルが好適である。添加材の母材に対する混合率は、フェムト秒レーザの照射後、照射部と非照射部との屈折率の差を大きくする点で、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、可視光線透過率を高め、レーザ加工を容易にする点で、添加材の混合率は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましい。光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなるが、光学高分子構造体における母材と添加材との含有率は、フェムト秒レーザ照射後、照射部と非照射部との屈折率差を大きくする点で、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
【0021】
本発明の光学素子の製造方法は、他の態様によれば、10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させる光学素子の製造方法であって、光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、添加材は、結晶性を示す。また、添加材の母材に対する混合率が10質量%であるときの光学高分子構造体の厚さ3mmにおける可視光線透過率が80%以上である態様が好ましい。光学高分子構造体の厚みと透過率は、実用的な最小厚みを考慮して、厚さ0.1mmでの可視光線透過率が80%以上であっても、光利用効率の高い光学素子として利用できる。光学高分子構造体の構成材料として、結晶性を示す添加材を混合することにより、フェムト秒レーザの照射後、照射部と非照射部との屈折率の差を大きくすることができる。かかる母材と添加材とを含む混合物からなる光学高分子構造体にフェムト秒レーザを照射して得られる光学素子は、照射部と非照射部の屈折率差が、0.0002以上であり、好ましくは0.0004以上、より好ましくは0.001以上の光学素子を提供できる。したがって、高回折効率を有する回折光学素子、または伝播損失の小さい光導波路を有する優れた光学素子を提供することができる。光学素子における照射部は、光の利用効率を高め、光の伝播損失を低減するなどの観点から、厚さ0.4mmにおける可視光線透過率が70%以上のものが好ましく、80%以上の態様がより好ましい。なお、照射部の厚みと透過率は、実用的な最小厚みを考慮して、厚さ0.01mmでの可視光線透過率が70%以上であっても、光利用効率の高い光学素子として利用できる。
【0022】
結晶性を示す添加材としては、式(1)に示す構造のジアリルエテンが好ましい。
【0023】
【化7】

【0024】
(式(1)において、R1とR4は脂肪族炭化水素基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基またはメルカプト基であり、メチル基が好ましい。R2、R3、R5とR6は水素、アミノ基、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基であり、または芳香族炭化水素もしくは芳香族複素環の構成原子である。XとYは硫黄、窒素または酸素などであり、XとYが硫黄原子である態様が好ましい。Zは脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または芳香族複素環からなる構造を有し、とくにフッ素で置換された態様が好ましい。)
かかるジアリルエテンのうち、本実施の形態においては、つぎの式(3)に示す構造を有し、屈折率が1.56であるジアリルエテン、もしくは、屈折率が1.6以上である含硫黄化合物、またはそれらの混合物が好適であり、かかる含硫黄化合物として、屈折率が1.68であるジフェニルジサルファイド(C12102)を好ましく使用することができる。添加材の母材に対する混合率は、フェムト秒レーザの照射後、照射部と非照射部との屈折率の差を大きくする点で、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、可視光線透過率を高め、レーザ加工を容易にする点で、添加材の混合率は、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0025】
【化8】

【0026】
添加材としては、母剤であるポリマーの屈折率にもよるが、母剤が芳香環を有する屈折率が高いポリマーの場合、母材と親和性があり、屈折率が低い添加材が好ましく、具体的には、フッ素原子を有し、沸点が比較的高いものが望ましい。たとえば、フッ素原子を有する鎖状エーテルが好適であり、ペンタフルオロプロピルテトラフルオロエチルエーテル、ペンタフルオロプロピルペンタフルオロプロピルエーテル、テトラフルオロエチルエチルエーテル、テトラフルオロエチルメチルエーテル、テトラフルオロエチルトリフルオロエチルエーテル、テトラフルオロプロピルジフルオロエチルエーテル、テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル、ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル、ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテルなどが挙げられる。
【0027】
またフッ素原子を有するエステル化合物であって、同様に沸点が高い化合物も好適である。たとえば、エチルトリフルオロエタネート、エチルパーフルオロプロパネート、メチルパーフルオロブタネート、エチルパーフルオロブタネート、メチルパーフルオロヘプタネート、エチルパーフルオロヘプタネート、メチルパーフルオロヘキサネート、エチルパーフルオロヘキサネート、メチルパーフルオロヘプタネート、エチルパーフルオロヘプタネート、メチルパーフルオロオクタネート、エチルパーフルオロオクタネート、メチルジフルオロエタネート、エチルジフルオロエタネート、エチルオクタフルオロペンタネート、エチルオクタフルオロノナネート、エチルドデカフルオロヘプタネート、エチルヘキサデカフルオロノナネート、メチル2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロパネート、などが挙げられる。
【0028】
メタクリレートまたはアクリレートなどのモノマーも同様に、フッ素原子を有し、沸点が比較的高いものが望ましい。たとえば、ペンタフルオロプロピルメタクリレート、(パーフルオロプロピル)エチルメタクリレート、(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、(パーフルオロヘキシル)2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、(パーフルオロオクチル)2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、(トリフルオロメチル)トリフルオロブチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどのメタクリレート誘導体が挙げられる。
【0029】
また、トリフルオロエチルアクリレート、ペンタフルオロプロピルアクリレート、(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、パーフルオロブチル2−ヒドロキシルプロピルアクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、パーフルオロヘキシル2−ヒドロキシルプロピルアクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、パーフルオロオクチル2−ヒドロキシルプロピルアクリレート、(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルアクリレート、ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、(トリフルオロメチル)トリフルオロブチルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレートなどが挙げられる。さらに、かかる化合物は、芳香環を有しないポリマーにも添加する場合においても有効である。
【0030】
芳香環を有していないポリマーに混合する添加材としては、たとえば、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、(パーフルオロブチル)エタノール、(パーフルオロヘキシル)プロパノール、(パーフルオロオクチル)エタノール、(パーフルオロオクチル)プロパノール、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ドデカフルオロヘプタノール、ヘキサデカフルオロノナノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロブタノール、オクタフルオロヘキサン−ジオール、ドデカフルオロオクタンジオールなどのフッ素原子を有するアルコールが好ましい。また、パーフルオロエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレンなどのフッ素原子を有するオレフィン、パーフルオロブチルイオダイド、(パーフルオロブチル)エチルイオダイド、パーフルオロヘキシルイオダイド、(パーフルオロヘキシル)エチルイオダイド、パーフルオロオクチルイオダイド、(パーフルオロオクチル)エチルイオダイド、パーフルオロデシルイオダイド、(パーフルオロデシル)エチルイオダイド、テトラフルオロプロピルイオダイド、オクタフルオロペンチルイオダイド、ドデカフルオロヘプチルイオダイドなどのフッ素原子を有するヨウ素化合物、パーフルオロブチルエポキシプロパン、パーフルオロヘキシルエポキシプロパン、パーフルオロオクチルエポキシプロパン、パーフルオロデシルエポキシプロパン、テトラフルオロプロピルオキシエポキシプロパン、オクタフルオロペンチルオキシエポキシプロパン、ドデカフルオロヘプチルオキシエポキシプロパン、ヘキサデカフルオロノニルオキシエポキシプロパン、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピル)パーフルオロブタンなどのエポキシドも好適である。
【0031】
母剤が比較的に低い屈折率を有するポリマーであるときは、親和性を有する芳香族炭化水素または芳香族複素環で構成される化合物、あるいはこれらに臭素、ヨウ素、硫黄原子が導入されている化合物が添加材として望ましい。たとえば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、フルオレン、カルバゾール、アントラセン、キノン、ナフトキノン、アントラキノン、ターフェニル、テトラセン、フェニルナフチルサルファイド、フェニルナフチルジサルファイド、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルエーテル、安息香酸フェニル、ベンゾフェノン、またはこれらの骨格を有し、臭素、ヨウ素などを導入しているものが好適である。
【0032】
一方、無機化合物のうち、粒径が100nm以下の微粒子も添加材として有効である。たとえば、亜鉛、酸化ジルコニア、ダイヤモンド、タングステン、酸化鉄、銅、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、ニッケル、酸化イットリウム、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ゲルマニウム、硫化銀ガラス、チタン酸バリウムなどを超音波で分散させて使用する態様が好適である。
【0033】
(実施例1)
まず、1.レーザ照射方法、2.回折特性の測定方法と屈折率差の計算方法、3.レーザ照射による屈折率変化部位の透過率の測定方法について述べる。なお、母材と添加材の屈折率の差はΔNで表し、フェムト秒レーザの照射による照射部の屈折率の変化量、すなわち照射部と未照射部との屈折率の差はΔnで表す。
【0034】
1.レーザ照射方法
フェムト秒レーザは、中心波長800nm、パルス幅118×10-15秒、繰返し周波数1kHzとした。また、N.A.(開口数)0.13の対物レンズを使用し、各材料の屈折率をnとしたときに、構造体の表面から内部への移動が500μm/nとなるように、光学高分子構造体の内部に集光照射し、周期Λが10μmで、□の一辺が1mmの回折格子を作製した。また、ステージ速度は1mm/sで走査した。
【0035】
2.回折特性の測定方法と、フェムト秒レーザの照射により誘起される屈折率差Δnの計算方法
回折特性として、回折効率と回折角を測定した。すなわち、フェムト秒レーザにより形成した周期Λが10μmで、□の一辺が1mmの回折格子を、回折格子に垂直な方向からブラッグ角θBだけ傾けて測定した。測定に使用するレーザは、He−Neレーザ(波長λ=632.8nm)とし、ビーム径φ0.5mmで入射した。その後、回折格子から500mmの位置にスクリーンを置き、0次光と1次光の間隔から回折角を算出した。
【0036】
本実施例の場合、2ΛsinθB=λの関係よりθB=1.8°となるため、回折格子を傾ける角度は1.8°とし、また500mm離れた位置での0次光と1次光の距離が31.7mm程度であることから、周期Λ=10μmでの回折光を確認するようにした。一方、屈折率差Δnは、回折効率から導出した。すなわち、測定した1次回折効率をη1、屈折率差をΔn、屈折率変化部の長さをL、測定時の波長をλ、ブラッグ回折角をθBとして、つぎの式(4)から屈折率差Δnを求めた。
【0037】
【数1】

【0038】
改質厚Lは透過型顕微鏡で観察することにより測定した。ここで、回折効率からのΔnの導出に本式を用いているのは、本実施例では、厚みを表すパラメータQ値が10に近い値であり、いわゆる「厚い」回折格子であり、回折格子の透過率が90%以上と吸収がほとんどないためである。なお、Q値は、つぎの式(5)のように表される。
【0039】
【数2】

【0040】
3.レーザ照射による屈折率変化部位の透過率の測定方法
透過率は、波長632.8nmの可視光線による光学高分子構造体への入射光量に対し、厚さ400μmから500μmの回折格子を透過した後、回折分岐した次数光をすべて足し合わせた光量の比率で表した。
【0041】
本実施例においては、母材として、屈折率1.49、ガラス転移点95℃のポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」という。)を用い、添加材として、式(2)に示す構造を有する屈折率1.56のジアリルエテン(以下、「DAE」という。)を10質量%混合して光学高分子構造体を作製した。作成方法として、メチルメタクリレート(以下、「MMA」という。)30gに、MMAに対して10質量%のDAEを溶解し、MMAに対して0.1mol%の開始剤を加えた。その後、窒素雰囲気下、55℃で72時間加熱し、バルク状のDAE含有PMMAを得た。得られた光学高分子構造体のガラス転移点85℃、厚さ3mmにおける波長632.8nmの可視光線による透過率を測定した結果、透過率は93%であった。母材と添加材との屈折率の差ΔNと透過率を表1に示す。
【0042】
【化9】

【0043】
【表1】

【0044】
つぎに、光学高分子構造体の内部に、加工面でのレーザパルスのエネルギが1100nJとなるようにフェムト秒レーザを照射した。この時のブラッグ角での1次回折効率と格子部での透過率を表1と図1に示す。また、改質厚L、Q値とフェムト秒レーザ゛照射による屈折率差Δnも合せて表1に示す。
【0045】
(実施例2)
実施例1におけるDAEの代わりに、屈折率1.6328のジフェニルサルファイド(以下、「DPS」という。)を用いた以外は、実施例1と同様にして光学高分子構造体を作製した。得られた光学高分子構造体のガラス転移点70℃、厚さ3mmにおける波長632.8nmの可視光線による透過率を測定した結果、透過率は90%であった。母材と添加材との屈折率の差ΔNと透過率を表1に示す。
【0046】
つぎに、光学高分子構造体の内部に、加工面でのレーザパルスのエネルギが1000nJとなるようにした以外は、実施例1と同様にして、フェムト秒レーザを照射した。この時のブラッグ角での1次回折効率と格子部での透過率を表1と図1に示す。また、改質厚L、Q値とフェムト秒レーザ゛照射による屈折率差Δnも合せて表1に示す。
【0047】
(実施例3)
実施例1におけるDAEの代わりに、屈折率1.302のヘプタフルオロブタン酸エチル(以下、「EH」という。)を用いた以外は、実施例1と同様にして光学高分子構造体を作製した。得られた光学高分子構造体のガラス転移点70℃、厚さ3mmにおける波長632.8nmの可視光線による透過率を測定した結果、透過率は86%であった。母材と添加材との屈折率の差ΔNと透過率を表1に示す。
【0048】
つぎに、光学高分子構造体の内部に、加工面でのレーザパルスのエネルギが1000nJとなるようにした以外は、実施例1と同様にして、フェムト秒レーザを照射した。この時のブラッグ角での1次回折効率と格子部での透過率を表1と図1に示す。また、改質厚L、Q値とフェムト秒レーザ゛照射による屈折率差Δnも合せて表1に示す。
【0049】
(比較例1)
実施例1において、DAEを混合することなく、母材(PMMA)のみからなる光学高分子構造体を作製した。作成方法は、MMA30gに、MMAに対して0.1mol%の開始材を加え、窒素雰囲気下、55℃で72時間加熱し、バルク状のPMMAを得た。得られた光学高分子構造体のガラス転移点95℃、厚さ3mmにおける波長632.8nmの可視光線による透過率を測定した結果、透過率は93%であった。結果を表1に示す。つぎに、実施例1と同様にして、フェムト秒レーザを照射し、この時のブラッグ角での1次回折効率と格子部の透過率を表1と図1に示す。また、フェムト秒レーザ゛照射による屈折率差Δn、改質厚LとQ値も合せて表1に示す。
【0050】
表1と図1の結果から明らかなとおり、PMMA純材料についての比較例1では、回折効率が1%程度で、屈折率差Δnが10-5オーダーであるのに対して、各種添加材を混合した実施例1〜3では、回折効率が十数%〜数十%であり、屈折率差Δnが10-4オーダーであり、それぞれ1桁大きくなることがわかった。
【0051】
加えて、添加材の中でも、母材と添加材との屈折率差ΔNが大きいDPS(実施例2)とEH(実施例3)では、フェムト秒レーザの照射により形成される回折格子の回折効率と屈折率差Δnは、ともに、DAE(実施例1)よりも数倍大きい。したがって、母材と添加材の屈折率差ΔNの大きい方が、フェムト秒レーザの照射により誘起される屈折率差Δnも大きくなることがわかった。たとえば、母材と屈折率差が大きい添加材として屈折率が2.5である酸化チタンなども有効に使用することができる。
【0052】
(実施例4)
添加材として、式(3)に示す構造を有する屈折率1.56のDAEを用いた以外は、実施例1と同様にして光学高分子構造体を得た。実施例1における式(2)に示す構造のDAEは非晶性であるのに対して、本実施例における式(3)に示す構造のDAEは結晶性である。実施例1と同様に、得られた光学高分子構造体のガラス転移点85℃、厚さ3mmにおける波長632.8nmの可視光線による透過率を測定した結果、透過率は93%であった。母材と添加材との屈折率の差ΔNと透過率を表2に示す。
【0053】
【化10】

【0054】
【表2】

【0055】
つぎに、実施例1と同様に、光学高分子構造体にフェムト秒レーザを照射し、実施例1と同様に評価した。比較のため、実施例1のデータとともに、本実施例におけるブラッグ角での1次回折効率と格子部での透過率を表2と図2に示す。また、フェムト秒レーザの照射による屈折率差Δn、改質厚LとQ値を表2に示す。
【0056】
図2と表2の結果から明らかなとおり、実施例1における非晶性DAEに比べて、本実施例における結晶性DAEの方が、回折効率が2倍程度大きく、屈折率差Δnも5割程度大きくなった。したがって、化学構造が類似する場合には、結晶性材料を添加する方が、フェムト秒レーザ照射により誘起される屈折率差が大きいことがわかった。
【0057】
(実施例5)
実施例2におけるDPSの代わりに、屈折率が1.68であるジフェニルジサルファイド(以下、「DPDS」という。)を用いた以外は、実施例2と同様にして光学高分子構造体を得た。なお、DPDSは結晶性であるため、屈折率は計算値である。得られた光学高分子構造体のガラス転移点70℃、厚さ3mmにおける波長632.8nmの可視光線による透過率を測定した結果、透過率は88%であった。母材と添加材との屈折率の差ΔNと透過率を表2に示す。
【0058】
つぎに、実施例2と同様に、光学高分子構造体にフェムト秒レーザを照射し、実施例2と同様に評価した。ブラッグ角での1次回折効率と格子部の透過率を表2に示す。また、フェムト秒レーザの照射による屈折率差Δn、改質厚LとQ値を表2に示す。表2の結果から明らかなとおり、結晶性材料であるDPDSを添加することにより、フェムト秒レーザ照射後、照射部の屈折率差と回折効率が大きいことがわかった。
【0059】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
低いエネルギのレーザ照射により、構造体の内部の任意の部位に、屈折率の異なる領域を容易に形成できるので、たとえば、回折効率の高い光学素子または伝播損失の小さい光導波路を有する光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1〜3における1次回折効率と格子部での透過率を示す図である。
【図2】実施例1と4における1次回折効率と格子部での透過率を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させる光学素子の製造方法であって、
光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、
母材と添加材の屈折率の差が0.07以上である光学素子の製造方法。
【請求項2】
前記添加材は、式(1)に示すジアリルエテンと、含硫黄化合物と、フッ化物とからなる群から選択する少なくとも1種である請求項1に記載の光学素子の製造方法。
【化1】

(式(1)において、R1とR4は脂肪族炭化水素基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基またはメルカプト基である。R2、R3、R5とR6は水素、アミノ基、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基であり、または芳香族炭化水素もしくは芳香族複素環の構成原子である。XとYは硫黄、窒素または酸素であり、Zは脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または芳香族複素環からなる構造を有する。)
【請求項3】
前記ジアリルエテンは、R2、R3、R5とR6が芳香族炭化水素または芳香族複素環の構成原子であって、t−ブチル基またはトリフェニルアミノ基を有する請求項2に記載の光学素子の製造方法。
【請求項4】
前記ジアリルエテンは、式(2)に示す構造を有する請求項3に記載の光学素子の製造方法。
【化2】

【請求項5】
前記含硫黄化合物は、ジフェニルサルファイドである請求項2に記載の光学素子の製造方法。
【請求項6】
前記フッ化物は、ヘプタフルオロブタン酸エチルである請求項2に記載の光学素子の製造方法。
【請求項7】
パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させる光学素子の製造方法であって、
光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、
添加材は、結晶性を示す光学素子の製造方法。
【請求項8】
前記添加材は、式(1)に示すジアリルエテンもしくは含硫黄化合物またはそれらの混合物である請求項7に記載の光学素子の製造方法。
【化3】

(式(1)において、R1とR4は脂肪族炭化水素基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基またはメルカプト基である。R2、R3、R5とR6は水素、アミノ基、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基であり、または芳香族炭化水素もしくは芳香族複素環の構成原子である。XとYは硫黄、窒素または酸素であり、Zは脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または芳香族複素環からなる構造を有する。)
【請求項9】
前記ジアリルエテンは、式(3)に示す構造を有する請求項8に記載の光学素子の製造方法。
【化4】

【請求項10】
前記含硫黄化合物は、ジフェニルジサルファイドである請求項8に記載の光学素子の製造方法。
【請求項11】
添加材の母材に対する混合率が10質量%であるときの光学高分子構造体の厚さ3mmにおける可視光線透過率が80%以上である請求項1〜10に記載の光学素子の製造方法。
【請求項12】
前記添加材の母材に対する混合率が、3質量%以上である請求項1〜11に記載の光学素子の製造方法。
【請求項13】
前記母材は、ポリメチルメタクリレートである請求項1〜12に記載の光学素子の製造方法。
【請求項14】
パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させた光学素子であって、
光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、
母材と添加材の屈折率の差が0.07以上であり、
照射部と非照射部の屈折率の差が0.00015以上である光学素子。
【請求項15】
前記照射部は、厚さ0.4mmにおける可視光線透過率が80%以上である請求項14に記載の光学素子。
【請求項16】
パルス幅が10-15秒〜10-11秒のフェムト秒レーザを光学高分子構造体の内部に照射することにより、照射部の屈折率を変化させた光学素子であって、
光学高分子構造体は、母材と添加材とを含む混合物からなり、
添加材は、結晶性を示し、
照射部と非照射部の屈折率の差が0.0002以上である光学素子。
【請求項17】
前記照射部は、厚さ0.4mmにおける可視光線透過率が70%以上である請求項16に記載の光学素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−214389(P2008−214389A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49851(P2007−49851)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】