光学素子アレイおよびその形成方法、表示装置、電子機器
【課題】製造性に優れた構造であり、正確な駆動を実現することができる光学素子アレイを提供する。
【解決手段】この光学素子アレイは、対向配置された第1および第2の基板と、第1の基板の、第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、隣り合う第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、第2の基板の、第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、第1の基板の内面および第1の壁を部分的に覆い、第1の基板と第2の基板とが挟む空間の少なくとも一部を部分的もしくは全体的に取り囲む第2の壁と、第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体とを備える。
【解決手段】この光学素子アレイは、対向配置された第1および第2の基板と、第1の基板の、第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、隣り合う第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、第2の基板の、第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、第1の基板の内面および第1の壁を部分的に覆い、第1の基板と第2の基板とが挟む空間の少なくとも一部を部分的もしくは全体的に取り囲む第2の壁と、第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレクトロウェッティング現象を利用した光学素子アレイ、それらを備えた表示装置および電子機器、ならびにそのような光学素子アレイの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレクトロウェッティング現象(電気毛管現象)により光学作用を発揮する液体光学素子が開発されている。エレクトロウェッティング現象とは、電極と導電性を有する液体(極性液体)との間に電圧を印加した場合に、その電極の表面と液体との界面エネルギーが変化し、液体の表面形状が変化する現象をいう。
【0003】
本出願人は、このような複数の液体光学素子からなる光学素子アレイをレンチキュラーレンズとして用いた立体画像表示装置を、既に提案している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−247480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、このような光学素子アレイに対し、より正確な駆動制御が求められつつある。そのためには、対向する電極同士の間隔など、各部の寸法精度の向上が必要となる。その一方で全体構成の大型化への対応も求められている。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、大型化した場合であっても十分な寸法精度を確保しつつ、製造性に優れた構造を有する光学素子アレイ、ならびにそれを備えた表示装置および電子機器を提供することにある。また、本開示の第2の目的は、そのような光学素子アレイを効率的かつ高い精度で形成可能な光学素子アレイの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の光学素子アレイは、以下の(A1)〜(A6)の各構成要件を備えたものである。
(A1)対向配置された第1および第2の基板。
(A2)第1の基板の、第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁。
(A3)隣り合う第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極。
(A4)第2の基板の、第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極。
(A5)第1の基板の内面および第1の壁を部分的に覆い、第1の基板と第2の基板とが挟む空間の少なくとも一部を部分的もしくは全体的に取り囲む第2の壁。
(A6)第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体。
【0008】
本開示の表示装置は、表示手段と光学素子アレイとを備えたものであって、光学素子アレイが以下の(B1)〜(B6)の各構成要件を含むものである。
(B1)対向配置された第1および第2の基板。
(B2)第1の基板の、第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁。
(B3)隣り合う第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極。
(B4)第2の基板の、第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極。
(B5)第1の基板の内面と第1の壁とを部分的に覆い、表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁。
(B6)第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体。
【0009】
本開示の電子機器は、表示手段と光学素子アレイとを有する表示装置を備えたものであって、光学素子アレイが以下の(C1)〜(C6)の各構成要件を含むものである。
(C1)対向配置された第1および第2の基板。
(C2)第1の基板の、第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁。
(C3)隣り合う第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極。
(C4)第2の基板の、第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極。
(C5)第1の基板の内面と第1の壁とを選択的に覆い、表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁。
(C6)第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体。
【0010】
本開示の光学素子アレイの形成方法は、以下の(D1)〜(D5)の各工程を含むものである。
(D1)第1の基板の表面に立設する複数の第1の壁を形成する工程。
(D2)第1の壁の壁面に、互いに対向するように第1および第2の電極を形成する工程。
(D3)第1の基板の表面と第1の壁とを選択的に覆い、かつ、第1の基板上の空間を部分的もしくは全体的に取り囲むように第2の壁を形成する工程。
(D4)一方の面に第3の電極が設けられた第2の基板を、第3の電極が第1の基板と対向するように配置する工程。
(D5)第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体を封入する工程。
【0011】
本開示の光学素子アレイ、表示装置、電子機器および光学素子アレイの形成方法では、第1の壁と第2の壁とを別体として設けるようにしたので、第1および第2の壁がそれぞれ高精度の寸法を有するものとなる。これは、第1の基板上に、第1および第2の壁のうち、第1の壁のみを複数配置した構造であれば、比較的加工しやすい構造となるからである。すなわち、一軸方向において連続した同一断面形状を有するものとなり、あるいは一定の周期で変化する断面形状を有するものとなるからである。このような構造であれば、一軸方向への押し出し成型や型ロールを使用したラミネート転写などの、高速かつ高精度の加工方法による成型が可能である。
【発明の効果】
【0012】
本開示の光学素子アレイ、表示装置、電子機器および光学素子アレイの形成方法によれば、第1の壁と第2の壁とを別体として設けるようにしたので、大型化した場合であっても製造性に優れ、かつ、十分な寸法精度を有する構造を実現することができる。それら第1および第2の壁を、各々の形状や寸法などに適した形成方法を選択して個別に形成することができるからである。その結果、設計上の自由度を向上させることができるうえ、大画面化にも対応可能となる。また、高い寸法精度が確保されることにより、駆動時における、より正確な挙動を実現することができる。また、本開示の光学素子アレイの形成方法によれば、大型化した場合であっても効率的に、かつ精度よく作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の一実施の形態に係る立体表示装置の構成を表す概略図である。
【図2】図1に示した波面変換偏向部の要部構成を表す斜視図である。
【図3】図1に示した波面変換偏向部の要部構成を表す平面図である。
【図4】図3に示した波面変換偏向部のIV- IV線に沿った断面図である。
【図5】図3に示した波面変換偏向部のV-V線に沿った断面図である。
【図6】図3に示した液体光学素子の動作を説明するための概念図である。
【図7】図3に示した液体光学素子の動作を説明するための他の概念図である。
【図8】図1に示した波面変換偏向部の製造方法における一工程を説明するための斜視図である。
【図9】図8に続く一工程を説明するための断面模式図である。
【図10】図9に続く一工程を説明するための断面模式図である。
【図11】図10に示した工程の一部を詳細に説明するための断面模式図である。
【図12】変形例としての立体表示装置における波面変換偏向部の構成を表す断面図である。
【図13】表示装置を用いた電子機器としてのテレビジョン装置の構成を表す斜視図である。
【図14】図1に示した波面変換偏向部の他の使用例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(図1〜図11):立体表示装置
2.変形例(図12):立体表示装置の変形例
3.適用例(図13):立体表示装置の適用例(電子機器)
【0015】
[1.立体表示装置]
<立体表示装置の構成>
まず、図1を参照して、本開示における一実施の形態としての液体光学素子アレイを用いた立体表示装置について説明する。図1は、本実施の形態の立体表示装置の、水平面内における一構成例を表す概略図である。
【0016】
図1に示したように、この立体表示装置は、光源(図示せず)の側から、画素11を複数有する表示部1と、液体光学素子アレイとしての波面変換偏向部2とを順に備えている。ここでは、光源からの光の進行方向をZ軸方向とし、水平方向をX軸方向とし、鉛直方向をY軸方向としている。
【0017】
表示部1は、映像信号に応じた2次元表示画像を生成するものであり、例えばバックライトBLが照射されることにより表示画像光を射出するカラー液晶ディスプレイである。表示部1は、光源の側からガラス基板11と、それぞれ画素電極および液晶層を含む複数の画素12(12L,12R)と、ガラス基板13とが順に積層された構造を有している。ガラス基板11およびガラス基板13は透明であり、いずれか一方には例えば赤(R),緑(G),青(B)の着色層を有するカラーフィルタが設けられている。このため、画素12は、赤色を表示する画素R−12と緑色を表示する画素G−12と青色を表示する画素B−12とに分類される。この表示部1では、X軸方向においては画素R−12と、画素G−12と、画素B−12とが順に繰り返し配置される一方、Y軸方向においては同色の画素12が揃うように配置されている。さらに、画素12は、左眼用の画像を形成する表示画像光を射出するものと、右眼用の画像を形成する表示画像光を射出するものとに分類され、それらはX軸方向において交互に配置されている。図1では、左眼用の表示画像光を射出する画素12を画素12Lと表し、右眼用の表示画像光を射出する画素12を画素12Rと表す。
【0018】
波面変換偏向部2は、例えばX軸方向に隣り合う1組の画素12L,12Rに対応して設けられた1つの液体光学素子20が、X軸方向に複数配列されたアレイ状をなすものである。波面変換偏向部2は、表示部1から射出された表示画像光に対し、波面変換処理および偏向処理を行う。具体的には、波面変換偏向部2では、各画素12に対応する各液体光学素子21がシリンドリカルレンズとして機能する。すなわち、波面変換偏向部2は、全体としてレンチキュラーレンズとして機能する。これによって各画素12L,12Rからの表示画像光の波面が、鉛直方向(Y軸方向)に並ぶ一群の画素12を一単位として所定の曲率を有する波面に一括して変換される。波面変換偏向部2では、併せて、必要に応じてそれらの表示画像光を水平面内(XZ平面内)において一括して偏向することも可能となっている。
【0019】
図2〜図4を参照して、波面変換偏向部2の具体的な構成について説明する。
【0020】
図2は、波面変換偏向部2の要部を表す斜視図である。また、図3は、表示画像光の進行方向から眺めた波面変換偏光部2のXY平面における平面図である。また、図4は、図3に示したIV−IV線に沿った矢視方向の断面図である。さらに、図5は、図3に示したV−V線に沿った矢視方向の断面図である。
【0021】
図2〜図5に示したように、波面変換偏向部2は、対向配置された一対の平面基板21,22と、平面基板21における平面基板22と対向する内面21Sに立設し、接着層ALを介して平面基板22を支持する側壁23および隔壁24とを備えている。波面変換偏向部2では、Y軸方向へ延在する複数の隔壁24によって区画された複数の液体光学素子20がX軸方向へ並び、全体として液体光学素子アレイを構成している。液体光学素子20は、屈折率の異なる2種の液体(極性液体29Pおよび無極性液体29N)を含み、入射光線に対して偏向や屈折などの光学的作用(すなわち、波面変換作用および偏向作用)を及ぼすものである。なお、図2および図3では、接着層AL、側壁23、平面基板22、極性液体29Pおよび無極性液体29Nのほか、絶縁膜28(後出)および第3の電極27(後出)の図示を省略している。
【0022】
平面基板21,22は、例えばガラスや透明なプラスチックなど、可視光を透過する透明な絶縁材料によって構成される。平面基板21は、内面21Sおよび外面21SSにそれぞれ形成された第1および第2の接続部21T1,21T2、ならびに第1および第2の引出線31,32と共に配線基板を構成している。平面基板21,22の厚さは、例えば数百〜数千μmである。平面基板21の内面21Sには、この平面基板21上の空間領域を、複数の液体光学素子20ごとに仕切る複数の隔壁24が立設している。すなわち液体光学素子20は、隣り合う隔壁24同士に挟まれた空間である素子領域20Rごとに設けられている。複数の隔壁24は各々Y軸方向へ延在していることから、液体光学素子20(素子領域20R)は、Y軸方向に並ぶ一群の表示画素12に対応して矩形状の平面形状を有している。各素子領域20Rには、それぞれ無極性液体29Nが保持されている。すなわち、無極性液体29Nは、隔壁24の存在により、隣り合う他の素子領域20Rへ移動(流出)しないようになっている。なお、無極性液体29Nは、Y軸方向においては封止壁23(後述)によって外部へ流出しないように封止されている。隔壁24は、極性液体29Pおよび無極性液体29Nに溶解等しない材料、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などによって構成されることが望ましい。なお、平面基板21と隔壁24とが同種の透明なプラスチック材料からなり、一体成型されたものであってもよい。隔壁24は、X軸方向において例えば数十〜数千μmのピッチで配置されている。隔壁24の高さは、例えばX軸方向における上記の配置ピッチと同程度である。
【0023】
各隔壁24の壁面には、隔壁24の延在方向(Y軸方向)に沿って延伸し、互いの一部が対向するように配置された第1および第2の電極25,26が設けられている。波面変換偏向部2における第1および第2の電極25,26が互いに重なり合う領域(対向する領域)は、表示部1から射出された表示画像光に対し、波面変換処理および偏向処理を行うことのできる有効領域20Z1である。この有効領域20Z1は、表示部1において表示画像を形成する有効表示領域に対応している。波面変換偏向部2では、この有効領域20Z1をY軸方向において挟むように、第1および第2の電極25,26の一方のみが形成された接続領域20Z2,20Z3が設けられている。接続領域20Z2,20Z3には、平面基板21における内面21Sと反対側の外面21SSに複数の第1および第2の引出線31,32(図3では破線で示す)が設けられている。第1および第2の引出線31,32は、いずれもY軸と交差する方向(ここではX軸方向)に延在する帯状をなすものである。また、接続領域20Z2,20Z3のうちの隣り合う一対の隔壁24に挟まれた領域には、第1および第2の貫通孔21H1,21H2が、平面基板21を厚さ方向(Z軸方向)に貫くように形成されている。
【0024】
各々の第1の電極25は、第1の貫通孔21H1を通じて一の第1の引出線31と接続されている。同様に、各々の第2の電極26は、第2の貫通孔21H2を通じて一の第2の引出線32と接続されている。すなわち、一の第1の電極25に対して一の第1の貫通孔21H1が設けられ、一の第2の電極26に対して一の第2の貫通孔21H2が設けられている。第1および第2の貫通孔21H1,21H2は、例えばレーザビームを照射して行うレーザビーム加工のほか、機械加工(マイクロビア加工)によって形成される。
【0025】
ここで、第1の電極25は、周期的に(図3では6つおきに)同一の第1の引出線31と接続され、第2の電極26は、周期的に(図3では6つおきに)同一の第2の引出線32と接続されている。但し、この周期は図3に示したものに限定されず、任意に設定可能である。
【0026】
第1および第2の電極25,26、第1および第2の引出線31,32、ならびに第1および第2の接続部21T1,21T2は、例えば以下の材料によって形成される。すなわち、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化亜鉛(ZnO)などの透明な導電性材料のほか、銅(Cu)などの金属材料、あるいは炭素(C)もしくは導電性高分子などの他の導電性材料が適用可能である。
【0027】
接続領域20Z2,20Z3では、第1および第2の接続部21T1,21T2が、平面基板21の内面21Sと、隔壁24を覆う第1および第2の電極25,26とそれぞれ連結されている。第1および第2の電極25,26は、それぞれ、第1および第2の接続部21T1,21T2と、第1および第2の引出線31,32とを介して外部電源と接続され、電圧供給が可能となっている。第1および第2の電極25,26は、例えば平面基板21の外面21SSに設けられた制御部(図示せず)によってそれぞれ所定の大きさの電位に設定できるようになっている。
【0028】
平面基板21には、さらに、その内面21Sおよび隔壁24を選択的に覆うように立設し、平面基板21と平面基板22との間に挟まれた空間の少なくとも一部を取り囲む封止壁23が設けられている。この封止壁23は、平面基板21と平面基板22との間に挟まれた極性液体29Pおよび無極性液体29Nを封止するためのものであり、表示部1の有効表示領域に対応する有効領域20Z1の外縁に沿って設けられている。したがって、封止壁23は、その一部が、複数の液体光学素子20を横断するように設けられている。なお、封止壁23は、図2および図3に示したように、有効領域20Z1の外縁を周回するように、所定の空間の全てを取り囲む形状のものに限定されず、その一部が欠如した開放部分を有していてもよい。その場合、他の部材によってその開放部分を封止するようにすればよい。
【0029】
封止壁23の構成材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル系樹脂などの熱硬化型樹脂や紫外線(UV)硬化型樹脂を用いることができる。
【0030】
また、封止壁23の上端面23TSの高さ位置は、隔壁24の上端面24TSの高さ位置よりも高い位置にあるとよい。平面基板21と平面基板22との間隔の、面内でのばらつきが低減されるからである。なお、高さ位置とは、内面21Sを基準位置としたときの、Z軸方向(厚さ方向)の位置である。本実施の形態では、隔壁24と封止壁23とが別体であるため互いに異なる工程において作製可能である。よって、それらを一体として一括形成する場合と比較して、作製方法や使用材料の点で自由度が高い反面、相対位置精度の点では不利である。そこで、封止壁23の上端面23TSを隔壁24の上端面24TSよりも高い位置とすることにより、隔壁24の高さに関わらず、封止壁23の高さを制御することのみによって平面基板21と平面基板22との間隔を規定することができる。
【0031】
なお、封止壁23は、第1および第2の電極25,26をも選択的に覆うように設けられているとよい。すなわち、第1および第2の電極25,26が隔壁24と共に、封止壁23を貫く構造であるとよい。第1および第2の電極25,26が封止壁23を跨ぐような構造であると、その構造に起因した問題が懸念されるからである。具体的には、封止壁23と内面21Sとの段差に起因して、第1および第2の電極25,26の断面積の不足による抵抗増大や、第1および第2の電極25,26の破断などを招くおそれが生じるからである。
【0032】
第1および第2の電極25,26は、絶縁膜28によって密に覆われている。絶縁膜28は、第1および第2の電極25,26だけでなく、封止壁23、隔壁24および平面基板21を全面的に覆うように形成されていてもよい。この絶縁膜28は、極性液体29Pに対して疎水性(撥水性)を示す(より厳密には無電界下において無極性液体29Nに親和性を示す)と共に、電気的絶縁性に優れた性質を有する材料からなるものである。具体的には、フッ素系の高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいはシリコーンなどが挙げられる。但し、第1の電極25と第2の電極26との電気的絶縁性をより高めることを目的として、第1および第2の電極25,26と絶縁膜28との間に例えばスピン・オン・グラス(SOG)などからなる他の絶縁膜を設けるようにしてもよい。なお、隔壁24の上端もしくはそれを覆う絶縁膜28は、平面基板22および第3の電極27と離間していることが望ましい。
【0033】
平面基板22の、平面基板21と対向する内面22Sには、第3の電極27が設けられている。第3の電極27は、例えばITOやZnOなどの透明な導電材料によって構成されており、接地電極として機能する。
【0034】
一対の平面基板21,22および封止壁23などによって完全に密閉された空間領域には、無極性液体29Nおよび極性液体29Pが密封されている。無極性液体29Nおよび極性液体29Pは、その閉空間において互いに溶解せずに分離して存在し、界面IFを形成している。無極性液体29Nおよび極性液体29Pは透明であることから、界面IFを透過する光は、その入射角と、無極性液体29Nおよび極性液体29Pの屈折率とに応じて屈折する。
【0035】
無極性液体29Nは、ほとんど極性を有さず、かつ、電気絶縁性を示す液体材料であり、例えばデカン、ドデカン、ヘキサデカンもしくはウンデカンなどの炭化水素系材料のほか、シリコンオイルなどが好適である。無極性液体29Nは、第1の電極25と第2の電極26との間に電圧を印加しない場合において、平面基板21(もしくはそれを覆う絶縁膜28)の表面を全て覆う程度に十分な容量を有していることが望ましい。
【0036】
一方、極性液体29Pは極性を有する液体材料であり、例えば水のほか、塩化カリウムや塩化ナトリウムなどの電解質を溶解させた水溶液が好適である。極性液体29Pに電圧を印加すると、素子領域20Rにおいて対向する内表面28A,28Bに対する濡れ性(極性液体29Pと内表面28A,28Bとの接触角)が無極性液体29Nと比べて大きく変化する。極性液体29Pは、接地電極としての第3の電極27と接している。
【0037】
ここで、X軸方向に並ぶ隔壁24の間隔(より厳密には、X軸方向において隣り合う隔壁24を覆う絶縁膜28同士の間隔W1(図3および図4参照))は、以下の式(1)で表される毛管長K-1以下の長さであるとよい。そうすることで、無極性液体29Nおよび極性液体29Pが、安定して初期位置(図4に示した位置)に保持される。これは、無極性液体29Nおよび極性液体29Pが隔壁24を覆う絶縁膜28と接することにより、その接触界面における界面張力が無極性液体29Nおよび極性液体29Pに対し作用するからである。ここでいう毛管長K-1とは、無極性液体29Nと極性液体29Pとの界面に生じる界面張力に対して重力の影響を全く無視できる最大の長さをいう。
【0038】
Κ-1 ={Δγ/(Δρ×g)}0.5 ……(1)
但し、
Κ-1 :毛管長(mm)
Δγ:極性液体と無極性液体との界面張力(mN/m)
Δρ:極性液体と無極性液体との密度差(g/cm3 )
g:重力加速度(m/s2 )
【0039】
各液体光学素子20では、第1および第2の電極25,26の間に電圧が印加されていない状態(第1および第2の電極25,26の電位がいずれも零である状態)では、図4に示したように、界面IFは、極性液体29Pの側から無極性液体29Nへ向けて凸の曲面をなしている。このときの界面IFの曲率はY軸方向において一定であり、各液体光学素子20は1つのシリンドリカルレンズとして機能する。また、界面IFの曲率はこの状態(第1および第2の電極25,26の間に電圧を印加しない状態)が最大となる。内表面28Aに対する無極性液体29Nの接触角θ1、および内表面28Bに対する無極性液体29Nの接触角θ2は、例えば絶縁膜28の材料種を選択することによって調整することができる。ここで、無極性液体29Nが極性液体29Pよりも大きな屈折率を有していれば、液体光学素子20は負の屈折力を発揮する。これに対し、無極性液体29Nが極性液体29Pよりも小さな屈折率を有していれば、液体光学素子20は正の屈折力を発揮する。例えば、無極性液体29Nが炭化水素系材料またはシリコンオイルであり、極性液体29Pが水または電解質水溶液であれば、液体光学素子20が負の屈折力を発揮することとなる。
【0040】
第1および第2の電極25,26の間に電圧が印加されると界面IFの曲率が小さくなり、ある一定以上の電圧を印加すると例えば図6(A)〜6(C)に表したように平面となる。なお、図6(A)は、第1の電極25の電位(V1とする)と第2の電極26の電位(V2とする)とが互いに等しい(V1=V2)場合を示している。この場合、例えば接触角θ1,θ2がいずれも直角(90°)となる。このとき、液体光学素子20へ入射して界面IFを通過した入射光は、界面IFにおいて収束、発散もしくは偏向などの光学作用を受けることなく、そのまま液体光学素子20から射出する。
【0041】
電位V1と電位V2とが異なる場合(V1≠V2)には、例えば図6(B),6(C)に表したように、X軸およびZ軸に対して傾斜した平面(Y軸に対しては平行な面)となる(θ1≠θ2)。具体的には、電位V1が電位V2よりも大きい場合(V1>V2)、図6(B)に示したように接触角θ1が接触角θ2よりも大きくなる(θ1>θ2)。反対に、電位V1よりも電位V2が大きいと(V1<V2)、図6(C)に示したように、接触角θ1よりも接触角θ2が大きくなる(θ1<θ2)。これらの場合(V1≠V2)、例えば第1の電極25,26と平行に進行して液体光学素子20へ入射した入射光は、界面IFにおいてXZ平面内で屈折し、偏向される。したがって、電位V1および電位V2の大きさを調整することで、入射光をXZ平面内の所定の向きへ偏向可能となる。
【0042】
なお、上記の現象(電圧の印加による接触角θ1,θ2の変化)は以下のように生じるものと推察される。すなわち、電圧印加により、内表面28A,28Bに電荷が蓄積され、その電荷のクーロン力によって、極性を有する極性液体29Pが絶縁膜28へ引き寄せられる。すると、極性液体29Pが内表面28A,28Bと接触する面積を拡大する一方、無極性液体29Nが内表面28A,28Bと接触する部分から極性液体29Pによって排除されるように移動(変形)し、結果として界面IFが平面に近づくこととなる。
【0043】
また、電位V1および電位V2の大きさの調整により界面IFの曲率が変わるようになっている。例えば、電位V1,V2(V1=V2とする)を、界面IFが水平面となる場合の電位Vmaxよりも低い値とすれば、例えば図7(A)に表したように、電位V1,V2が零の場合の界面IF0(破線で表示)よりも曲率の小さな界面IF1(実線で表示)が得られる。このため、界面IFを透過する光に対して発揮する屈折力は、電位V1および電位V2の大きさを変えることで調整可能である。すなわち、液体光学素子20は、可変焦点レンズとして機能する。さらに、その状態で電位V1と電位V2とが互いに異なる大きさ(V1≠V2)となれば、界面IFは適度な曲率を有しつつ、傾斜した状態となる。例えば電位V1のほうが大きい(V1>V2)場合には、図7(B)において実線で表した界面IFaが形成される。一方、電位V2のほうが大きい(V1<V2)場合には、図7(B)において破線で表した界面IFbが形成される。したがって、電位V1および電位V2の大きさを調整することで、液体光学素子20は、入射光に対して適度な屈折力を発揮しつつ、その入射光を所定の向きへ偏向することが可能である。なお、図7(A),7(B)では、無極性液体29Nが極性液体29Pよりも大きな屈折率を有しており、液体光学素子20が負の屈折力を発揮する場合に、界面IF1,IFaを形成したときの入射光の変化を表している。
【0044】
<波面変換偏向部の製造方法>
次に、波面変換偏向部2の製造方法について、図8に示した斜視図ならびに図9,図10に表した断面模式図を参照して説明する。なお、図9および図10は、XZ平面における断面図である。
【0045】
まず、図8に示したように、上記の所定材料からなる平面基板21を用意したのち、その一方の面(内面21S)の上の所定位置に立設する隔壁24を複数形成する。これにより、隔壁24によって仕切られた複数の素子領域20Rが形成される。具体的には、例えばスピンコーティング法により所定の樹脂を内面21Sの上にできるだけ均一な厚みとなるように塗布したのち、フォトリソグラフィ法を利用して選択的な露光を行うことにより、パターニングを行う。あるいは、所定形状の金型を使用した一括成型により、同種の材料からなる一体化した平面基板21および隔壁24を形成するようにしてもよい。さらには、押出成型、射出成型、熱プレス成型、フィルム材を用いた転写成型または2P(Photoreplication Process)法などによりそれらを形成することも可能である。このように本実施の形態では、平面基板21に複数の隔壁24を立設させた形状が一軸方向において連続した同一断面形状を有する単純なものであることから、種種の形成方法を採用することができる。特に、一軸方向への押出成型や型ロールを使用したラミネート転写などは、高速かつ高精度の加工が可能であるため、これを採用することが望ましい。
【0046】
次に、複数の隔壁24によって仕切られた各素子領域20Rの所定位置に、第1および第2の貫通孔21H1,21H2(図8では図示せず)を1つずつ、例えばレーザビーム加工(好ましくはCO2 レーザビームを用いたもの)などにより形成する。
【0047】
第1および第2の貫通孔21H1,21H2を形成したのち、それらの内面を被覆し、もしくはそれらの内部を充填するように第1および第2の接続部21T1,21T2を形成する。具体的には、スクリーン印刷、凸版印刷、あるいはオフセット印刷などの手法を用いる。ここでは、外面21SSの側から第1および第2の貫通孔21H1,21H2の内面に銀(Ag)などを含む導電性ペーストを塗布し、もしくはそれらの内部に導電性ペーストを充填する。導電性ペーストは、例えば10000cP以上の粘度を有し、熱硬化型もしくは紫外線硬化型の、Agペースト(望ましくはAgナノペースト)あるいはカーボンペーストである。このとき、第1および第2の貫通孔21H1,21H2に塗布もしくは充填された導電性ペーストは、平面基板21の内面21Sにおける第1および第2の貫通孔21H1,21H2の近傍に広がるように流出する場合がある。ところが隔壁24の存在により、隣接する素子領域20Rに至るまで導電性ペーストが広がるような事態は回避される。このため、隣接する第1の電極25同士や、隣接する第2の電極26同士の短絡は生じない。
【0048】
次に、図9に示したように、隔壁24の壁面24Sを覆うように、例えば直流スパッタリング法により第1および第2の電極25,26を形成する。その際、有効領域20Z1においては相互に対向するように第1および第2の電極25,26の双方を形成する。一方、接続領域20Z2においてはメタルマスクなどを用いて第1の電極25のみを形成し、接続領域20Z3においてはメタルマスクなどを用いて第2の電極26のみを形成するようにする。これにより、第1の接続部21T1は第1の電極25のみと導通した状態となり、第2の接続部21T2は第2の電極26のみと導通した状態となる。さらに、平面基板21の外面21SSの所定の位置に、第1および第2の引出線31,32を複数形成する。第1および第2の引出線31,32は、例えばスピンコート法によりレジストを塗布したのちパターニングして所定形状のレジストマスクを形成し、さらにめっき法やスパッタリング法によって金属膜を形成したのちリフトオフすることにより得る。
【0049】
続いて、図10に示したように、複数の隔壁24と、隔壁24によって仕切られた複数の空間とを横断するように封止壁23を形成する。ここでは、封止壁23の上端面23TSを、隔壁24の上端面24TSよりも高い位置とする。例えば、隔壁24の高さ(内面21Sから上端面24TSまでの寸法)を80μmとしたとき、封止壁23の高さ(内面21Sから上端面23TSまでの寸法)を100μmとする。封止壁23は、例えば図11に示した手順で作製される。なお、図11は、封止壁23を形成する際の詳細なステップを表す断面図である。
【0050】
まず、図11(A)に示したように、有効領域20Z1の外縁に沿って、例えばディスペンサによって描画するように所定の位置に例えばUV硬化型の樹脂を塗布し、樹脂パターン23Z1を形成する。次に、図11(B)に示したように、封止壁23の高さ調整用の平板ガラスG1を、所定の高さ23Hを有するギャップ調整治具23Gを介して平面基板21と対向するように配置する。このとき、樹脂パターン23Z1の頭頂部が平坦化され、高さ23Hを有する樹脂パターン23Z2が形成される。その状態を維持しつつ、平板ガラスG1を透過させた紫外線を樹脂パターン23Z2に照射する。これにより樹脂パターン23Z2が硬化し、高さ23Hを有する封止壁23が形成される。そののち、平板ガラスG1を除去することにより、封止壁23が現れる。
【0051】
封止壁23を形成したのち、例えば図10に示したように、全体を覆うように例えば真空蒸着法により絶縁膜28を形成する。なお、封止壁23を形成する前に、隔壁24に設けられた第1および第2の電極25,26を覆うように絶縁膜28を形成してもよい。但し、その場合には、絶縁膜28を選択的に覆うように封止壁23が形成されるので、絶縁膜28に局所的な応力が加わることとなる。そのため、絶縁膜28の一部に亀裂が生じることのないように留意する必要がある。
【0052】
そののち、無極性液体29Nを、隔壁24で仕切られた空間に注入もしくは滴下する。さらに、封止壁23によって取り囲まれた空間に極性液体29Pを注入する。最後に、平面基板22に第3の電極27を設けたものを用意し、平面基板21と平面基板22とが一定の間隔となるように対向配置する。その際、平面基板21と平面基板22とが重なり合う領域の外縁、すなわち、封止壁23に沿って接着層ALを設け、その接着層ALを介して平面基板22と封止壁23とを固定するようにする。あるいは、接着層ALの一部には注入口を形成しておき、平面基板22を封止壁23に貼り合わせたのち、その注入口から、平面基板21、封止壁23および平面基板22によって囲まれた空間に極性液体29Pを充填してもよい。その場合、最後に注入口を封止する。
【0053】
以上の手順により、応答性に優れた液体光学素子20を複数備えた波面変換偏向部2を簡便に製造することができる。
【0054】
<立体表示装置の動作>
この立体表示装置では、図1に示したように、表示部1に映像信号が入力されると、表示画素12Lから左眼用の表示画像光I−Lが射出されると共に表示画素12Rから右眼用の表示画像光I−Rが射出される。表示画像光I−L,I−Rは、いずれも液体光学素子20に入射する。液体光学素子20では、その焦点距離が、例えば表示画素12L,12Rと界面IFとの間の屈折率を空気換算した距離となるように、適切な値の電圧を第1および第2の電極25,26に印加する。なお、観察者の位置に応じて、液体光学素子20の焦点距離を前後させるようにしてもよい。液体光学素子20における無極性液体29Nと極性液体29Pとの界面IFが形成するシリンドリカルレンズの作用により、表示部1の各表示画素12L,12Rから射出された表示画像光I−L,I−Rの射出角度が選択される。そのため、図1に示したように、表示画像光I−Lは観察者の左眼10Lに入射し、表示画像光I−Rは観察者の右眼10Rに入射する。これにより、観察者は立体映像を観察することができる。
【0055】
また、液体光学素子20において界面IFを平坦面(図6(A)参照)とし、表示画像光I−L,I−Rに対する波面変換を行わないことにより、高解像度な二次元画像の表示も可能となる。
【0056】
<立体表示装置の効果>
このように、本実施の形態の波面変換偏向部2では、隔壁24とは別に封止壁23を別体として設けるようにしたので、隔壁24および封止壁23がそれぞれ高精度の寸法を有するものとなる。これは、隔壁24と封止壁23とをそれぞれ別々の工程で形成可能であるからである。すなわち、平面基板21の上に複数の隔壁24のみを所定の位置に配置した構造であれば、比較的加工しやすい構造となるからである。比較的加工しやすい構造とは、例えば、一軸方向において連続した同一断面形状を有するものである。このような構造であれば、一軸方向への押し出し成型や型ロールを使用したラミネート転写などの、高速かつ高精度の加工方法による成型が可能である。その結果、設計上の自由度を向上させることができるうえ、大画面化にも対応可能となる。また、高い寸法精度が確保されることにより、駆動時における、より正確な挙動を実現することができる。また、本実施の形態の波面変換偏向部2の形成方法によれば、大型化した場合であっても効率的に、かつ精度よく作製することができる。したがって、この波面変換偏向部2を備えた立体表示装置によれば、より優れた品質の立体映像を観察することができる。
【0057】
また、封止壁23の上端面23TSを、隔壁24の上端面24TSよりも高い位置としたので、平面基板21と平面基板22との間隔のばらつきを低減することができる。その結果、よりいっそう正確な挙動を実現することができ、よりいっそう優れた品質の立体映像を観察することができる。
【0058】
また、絶縁膜28を、封止壁23を形成したのちに全体を覆うように形成したので、第1および第2の電極25,26を緻密に、ほぼ一定の厚さで覆うことができる。よって、この波面変換偏向部2は、動作安定性に優れたものとなる。
【0059】
[2.立体表示装置の変形例]
図12に、本実施の形態の変形例としての波面変換偏向部2Aを示す。本変形例は、封止壁23に取り囲まれた有効領域20Z1において、隔壁24と平面基板22の内面22Sを覆う第3の電極27との間にスペーサSPを設けるようにしたものである。スペーサSPは絶縁膜28によって覆われており、接着層ALを介して第3の電極27と接合されているとよい。このスペーサSPを設けることにより、平面基板22がスペーサSPおよび隔壁24によって支持され、平面基板21と平面基板22との適切な間隔が確実に維持される。それにより、平面基板22の撓みや歪みなどによる意図しない光学的作用が回避される。したがって、この波面変換偏向部2を備えた立体表示装置によれば、よりいっそう優れた品質の立体映像を観察することができる。
【0060】
このスペーサSPは、例えば封止壁23と同一の材料によって構成されることが望ましい。封止壁23と同一の過程で一括形成することができるからである。そのような一括形成されたものであれば、各スペーサSPの上面の高さ位置と、封止壁23の上面の高さ位置とを比較的容易に揃えることができ、平面基板21と平面基板22との間隔の精度向上が期待できる。なお、高さ位置とは、内面21Sを基準位置としたときの、Y軸方向(厚さ方向)の位置である。
【0061】
また、スペーサSPは可視光を反射もしくは吸収する遮光性材料によって構成してもよい。この場合には、隣り合う視点映像を十分に分離することができる。観察者の眼に対し、所定の視点映像光のみを入射させ、隣接する不要な視点映像の入射を排除することができるからである。
【0062】
[3.立体表示装置の適用例]
<電子機器>
次に、上記した立体表示装置の適用例について説明する。
【0063】
本技術の表示装置は、各種用途の電子機器に適用可能であり、その電子機器の種類は特に限定されない。この表示装置は、例えば、以下の電子機器に搭載可能である。ただし、以下で説明する電子機器の構成はあくまで一例であるため、その構成は適宜変更可能である。
【0064】
図13は、テレビジョン装置の外観構成を表している。このテレビジョン装置は、例えば、表示装置としての映像表示画面部200を備えている。映像表示画面部200は、フロントパネル210およびフィルターガラス220を含むものである。
【0065】
本技術の表示装置は、図13に示したテレビジョン装置のほか、例えばタブレット型パーソナルコンピュータ(PC)、ノート型PC、モバイルフォン、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラあるいはカーナビゲーションシステムにおける映像表示部分として用いることができる。
【0066】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、波面変換偏向部2における液体光学素子20により、集光もしくは発散作用と、偏向作用との双方を発揮させるようにした。しかしながら、波面変換部と偏向部とを個別に設け、集光もしくは発散作用と、偏向作用とを別々のデバイスによって表示画像光に付与するようにしてもよい。
【0067】
また、図14に示したように、1組の表示画素12L,12Rについて複数の液体光学素子20を対応させ、それら複数の液体光学素子20を組み合わせて1つのシリンドリカルレンズとして機能させるようにしてもよい。なお、図14では、液体光学素子20A,20B,20Cにより、1つのシリンドリカルレンズを構成する例を示している。
【0068】
また、上記実施の形態では、隔壁24の壁面24Sが平面基板21の内面21Sに対して垂直な場合について例示したが、壁面24Sは、内面21Sに対して傾斜した斜面であってもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、2次元画像生成手段(表示部)としてバックライトを使用するカラー液晶ディスプレイを例示したが、本技術はこれに限定されるものではない。例えば有機EL素子を用いたディスプレイやプラズマディスプレイであってもよい。
【0070】
また、本技術の液体光学素子アレイは、立体表示装置に限定して適用されるものではなく、光学的作用を必要とする種種のデバイスへの応用が可能である。
【0071】
また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面および前記第1の壁を部分的に覆い、前記第1の基板と前記第2の基板とが挟む空間の少なくとも一部を部分的もしくは全体的に取り囲む第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を備えた光学素子アレイ。
(2)
前記第2の壁の上端は、前記第1の壁の上端よりも高い位置にある
上記(1)記載の光学素子アレイ。
(3)
前記第1の壁の上端と、前記第2の基板との間にスペーサを有する
上記(1)または(2)に記載の光学素子アレイ。
(4)
前記スペーサおよび前記第2の壁が同一材料からなる
上記(3)記載の光学素子アレイ。
(5)
前記スペーサは遮光性材料からなる
上記(3)または(4)に記載の光学素子アレイ。
(6)
前記第1および第2の電極をそれぞれ覆う絶縁膜をさらに備えた
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光学素子アレイ。
(7)
前記第2の壁をも覆うように前記絶縁膜が設けられている
上記(6)に記載の光学素子アレイ。
(8)
前記第2の壁は、前記第1および第2の電極をも選択的に覆うように設けられている
上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光学素子アレイ。
(9)
前記第2の壁は、前記複数の第1の壁と、前記第1の壁によって仕切られた複数の空間とを横断するように設けられている
上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の光学素子アレイ。
(10)
表示部と、光学素子アレイとを備え、
前記光学素子アレイは、
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面と前記第1の壁とを部分的に覆い、前記表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を含む
表示装置。
(11)
表示部と光学素子アレイとを有する表示装置を備え、
前記光学素子アレイは、
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面と前記第1の壁とを選択的に覆い、前記表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を含む
電子機器。
(12)
第1の基板の表面に立設する複数の第1の壁を形成する工程と、
前記第1の壁の壁面に、互いに対向するように第1および第2の電極を形成する工程と、
前記第1の基板の表面と前記第1の壁とを選択的に覆い、かつ、前記第1の基板上の空間を部分的もしくは全体的に取り囲むように第2の壁を形成する工程と、
一方の面に第3の電極が設けられた第2の基板を、前記第3の電極が前記第1の基板と対向するように配置する工程と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体を封入する工程と
を含む光学素子アレイの形成方法。
(13)
前記第2の壁の上端を、前記第1の壁の上端よりも高い位置とする
上記(12)記載の光学素子アレイの形成方法。
(14)
前記第1の壁の上端と前記第2の基板との間にスペーサを形成する工程をさらに含む
上記(12)または(13)に記載の光学素子アレイの形成方法。
(15)
前記スペーサおよび前記第2の壁と、同一材料を用いて一括して形成する
上記(14)記載の光学素子アレイ。
(16)
前記スペーサを、遮光性材料を用いて形成する
上記(14)または(15)に記載の光学素子アレイの形成方法。
(17)
前記第1および第2の電極をそれぞれ覆うように絶縁膜を形成する工程をさらに含む
上記(12)から(16)のいずれか1つに記載の光学素子アレイの形成方法。
(18)
前記絶縁膜の形成を、前記第2の壁を形成する前の段階で行う
上記(17)記載の光学素子アレイの形成方法。
(19)
前記第1および第2の電極の形成を、前記第2の壁を形成する前の段階で行う
上記(12)から(18)のいずれか1つに記載の光学素子アレイの形成方法。
(20)
前記第2の壁を、前記複数の第1の壁と前記第1の壁によって仕切られた複数の空間とを横断するように形成する
上記(12)から(19)のいずれか1つに記載の光学素子アレイの形成方法。
【符号の説明】
【0072】
1…表示部、11,13…ガラス基板、12(12L,12R)…画素、2,2A…波面変換偏向部、20…液体光学素子、20A…素子領域、20Z1…有効領域、20Z2,20Z3…接続領域、21,22…平面基板、23…封止壁、24…隔壁、25…第1の電極、26…第2の電極、27…第3の電極、28…絶縁膜、29P…極性液体、29N…無極性液体、31,32…引出線、AL…接着層、IF…界面、SP…スペーサ。
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレクトロウェッティング現象を利用した光学素子アレイ、それらを備えた表示装置および電子機器、ならびにそのような光学素子アレイの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレクトロウェッティング現象(電気毛管現象)により光学作用を発揮する液体光学素子が開発されている。エレクトロウェッティング現象とは、電極と導電性を有する液体(極性液体)との間に電圧を印加した場合に、その電極の表面と液体との界面エネルギーが変化し、液体の表面形状が変化する現象をいう。
【0003】
本出願人は、このような複数の液体光学素子からなる光学素子アレイをレンチキュラーレンズとして用いた立体画像表示装置を、既に提案している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−247480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、このような光学素子アレイに対し、より正確な駆動制御が求められつつある。そのためには、対向する電極同士の間隔など、各部の寸法精度の向上が必要となる。その一方で全体構成の大型化への対応も求められている。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、大型化した場合であっても十分な寸法精度を確保しつつ、製造性に優れた構造を有する光学素子アレイ、ならびにそれを備えた表示装置および電子機器を提供することにある。また、本開示の第2の目的は、そのような光学素子アレイを効率的かつ高い精度で形成可能な光学素子アレイの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の光学素子アレイは、以下の(A1)〜(A6)の各構成要件を備えたものである。
(A1)対向配置された第1および第2の基板。
(A2)第1の基板の、第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁。
(A3)隣り合う第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極。
(A4)第2の基板の、第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極。
(A5)第1の基板の内面および第1の壁を部分的に覆い、第1の基板と第2の基板とが挟む空間の少なくとも一部を部分的もしくは全体的に取り囲む第2の壁。
(A6)第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体。
【0008】
本開示の表示装置は、表示手段と光学素子アレイとを備えたものであって、光学素子アレイが以下の(B1)〜(B6)の各構成要件を含むものである。
(B1)対向配置された第1および第2の基板。
(B2)第1の基板の、第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁。
(B3)隣り合う第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極。
(B4)第2の基板の、第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極。
(B5)第1の基板の内面と第1の壁とを部分的に覆い、表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁。
(B6)第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体。
【0009】
本開示の電子機器は、表示手段と光学素子アレイとを有する表示装置を備えたものであって、光学素子アレイが以下の(C1)〜(C6)の各構成要件を含むものである。
(C1)対向配置された第1および第2の基板。
(C2)第1の基板の、第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁。
(C3)隣り合う第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極。
(C4)第2の基板の、第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極。
(C5)第1の基板の内面と第1の壁とを選択的に覆い、表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁。
(C6)第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体。
【0010】
本開示の光学素子アレイの形成方法は、以下の(D1)〜(D5)の各工程を含むものである。
(D1)第1の基板の表面に立設する複数の第1の壁を形成する工程。
(D2)第1の壁の壁面に、互いに対向するように第1および第2の電極を形成する工程。
(D3)第1の基板の表面と第1の壁とを選択的に覆い、かつ、第1の基板上の空間を部分的もしくは全体的に取り囲むように第2の壁を形成する工程。
(D4)一方の面に第3の電極が設けられた第2の基板を、第3の電極が第1の基板と対向するように配置する工程。
(D5)第1の基板、第2の基板および第2の壁によって取り囲まれた空間に、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体を封入する工程。
【0011】
本開示の光学素子アレイ、表示装置、電子機器および光学素子アレイの形成方法では、第1の壁と第2の壁とを別体として設けるようにしたので、第1および第2の壁がそれぞれ高精度の寸法を有するものとなる。これは、第1の基板上に、第1および第2の壁のうち、第1の壁のみを複数配置した構造であれば、比較的加工しやすい構造となるからである。すなわち、一軸方向において連続した同一断面形状を有するものとなり、あるいは一定の周期で変化する断面形状を有するものとなるからである。このような構造であれば、一軸方向への押し出し成型や型ロールを使用したラミネート転写などの、高速かつ高精度の加工方法による成型が可能である。
【発明の効果】
【0012】
本開示の光学素子アレイ、表示装置、電子機器および光学素子アレイの形成方法によれば、第1の壁と第2の壁とを別体として設けるようにしたので、大型化した場合であっても製造性に優れ、かつ、十分な寸法精度を有する構造を実現することができる。それら第1および第2の壁を、各々の形状や寸法などに適した形成方法を選択して個別に形成することができるからである。その結果、設計上の自由度を向上させることができるうえ、大画面化にも対応可能となる。また、高い寸法精度が確保されることにより、駆動時における、より正確な挙動を実現することができる。また、本開示の光学素子アレイの形成方法によれば、大型化した場合であっても効率的に、かつ精度よく作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の一実施の形態に係る立体表示装置の構成を表す概略図である。
【図2】図1に示した波面変換偏向部の要部構成を表す斜視図である。
【図3】図1に示した波面変換偏向部の要部構成を表す平面図である。
【図4】図3に示した波面変換偏向部のIV- IV線に沿った断面図である。
【図5】図3に示した波面変換偏向部のV-V線に沿った断面図である。
【図6】図3に示した液体光学素子の動作を説明するための概念図である。
【図7】図3に示した液体光学素子の動作を説明するための他の概念図である。
【図8】図1に示した波面変換偏向部の製造方法における一工程を説明するための斜視図である。
【図9】図8に続く一工程を説明するための断面模式図である。
【図10】図9に続く一工程を説明するための断面模式図である。
【図11】図10に示した工程の一部を詳細に説明するための断面模式図である。
【図12】変形例としての立体表示装置における波面変換偏向部の構成を表す断面図である。
【図13】表示装置を用いた電子機器としてのテレビジョン装置の構成を表す斜視図である。
【図14】図1に示した波面変換偏向部の他の使用例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(図1〜図11):立体表示装置
2.変形例(図12):立体表示装置の変形例
3.適用例(図13):立体表示装置の適用例(電子機器)
【0015】
[1.立体表示装置]
<立体表示装置の構成>
まず、図1を参照して、本開示における一実施の形態としての液体光学素子アレイを用いた立体表示装置について説明する。図1は、本実施の形態の立体表示装置の、水平面内における一構成例を表す概略図である。
【0016】
図1に示したように、この立体表示装置は、光源(図示せず)の側から、画素11を複数有する表示部1と、液体光学素子アレイとしての波面変換偏向部2とを順に備えている。ここでは、光源からの光の進行方向をZ軸方向とし、水平方向をX軸方向とし、鉛直方向をY軸方向としている。
【0017】
表示部1は、映像信号に応じた2次元表示画像を生成するものであり、例えばバックライトBLが照射されることにより表示画像光を射出するカラー液晶ディスプレイである。表示部1は、光源の側からガラス基板11と、それぞれ画素電極および液晶層を含む複数の画素12(12L,12R)と、ガラス基板13とが順に積層された構造を有している。ガラス基板11およびガラス基板13は透明であり、いずれか一方には例えば赤(R),緑(G),青(B)の着色層を有するカラーフィルタが設けられている。このため、画素12は、赤色を表示する画素R−12と緑色を表示する画素G−12と青色を表示する画素B−12とに分類される。この表示部1では、X軸方向においては画素R−12と、画素G−12と、画素B−12とが順に繰り返し配置される一方、Y軸方向においては同色の画素12が揃うように配置されている。さらに、画素12は、左眼用の画像を形成する表示画像光を射出するものと、右眼用の画像を形成する表示画像光を射出するものとに分類され、それらはX軸方向において交互に配置されている。図1では、左眼用の表示画像光を射出する画素12を画素12Lと表し、右眼用の表示画像光を射出する画素12を画素12Rと表す。
【0018】
波面変換偏向部2は、例えばX軸方向に隣り合う1組の画素12L,12Rに対応して設けられた1つの液体光学素子20が、X軸方向に複数配列されたアレイ状をなすものである。波面変換偏向部2は、表示部1から射出された表示画像光に対し、波面変換処理および偏向処理を行う。具体的には、波面変換偏向部2では、各画素12に対応する各液体光学素子21がシリンドリカルレンズとして機能する。すなわち、波面変換偏向部2は、全体としてレンチキュラーレンズとして機能する。これによって各画素12L,12Rからの表示画像光の波面が、鉛直方向(Y軸方向)に並ぶ一群の画素12を一単位として所定の曲率を有する波面に一括して変換される。波面変換偏向部2では、併せて、必要に応じてそれらの表示画像光を水平面内(XZ平面内)において一括して偏向することも可能となっている。
【0019】
図2〜図4を参照して、波面変換偏向部2の具体的な構成について説明する。
【0020】
図2は、波面変換偏向部2の要部を表す斜視図である。また、図3は、表示画像光の進行方向から眺めた波面変換偏光部2のXY平面における平面図である。また、図4は、図3に示したIV−IV線に沿った矢視方向の断面図である。さらに、図5は、図3に示したV−V線に沿った矢視方向の断面図である。
【0021】
図2〜図5に示したように、波面変換偏向部2は、対向配置された一対の平面基板21,22と、平面基板21における平面基板22と対向する内面21Sに立設し、接着層ALを介して平面基板22を支持する側壁23および隔壁24とを備えている。波面変換偏向部2では、Y軸方向へ延在する複数の隔壁24によって区画された複数の液体光学素子20がX軸方向へ並び、全体として液体光学素子アレイを構成している。液体光学素子20は、屈折率の異なる2種の液体(極性液体29Pおよび無極性液体29N)を含み、入射光線に対して偏向や屈折などの光学的作用(すなわち、波面変換作用および偏向作用)を及ぼすものである。なお、図2および図3では、接着層AL、側壁23、平面基板22、極性液体29Pおよび無極性液体29Nのほか、絶縁膜28(後出)および第3の電極27(後出)の図示を省略している。
【0022】
平面基板21,22は、例えばガラスや透明なプラスチックなど、可視光を透過する透明な絶縁材料によって構成される。平面基板21は、内面21Sおよび外面21SSにそれぞれ形成された第1および第2の接続部21T1,21T2、ならびに第1および第2の引出線31,32と共に配線基板を構成している。平面基板21,22の厚さは、例えば数百〜数千μmである。平面基板21の内面21Sには、この平面基板21上の空間領域を、複数の液体光学素子20ごとに仕切る複数の隔壁24が立設している。すなわち液体光学素子20は、隣り合う隔壁24同士に挟まれた空間である素子領域20Rごとに設けられている。複数の隔壁24は各々Y軸方向へ延在していることから、液体光学素子20(素子領域20R)は、Y軸方向に並ぶ一群の表示画素12に対応して矩形状の平面形状を有している。各素子領域20Rには、それぞれ無極性液体29Nが保持されている。すなわち、無極性液体29Nは、隔壁24の存在により、隣り合う他の素子領域20Rへ移動(流出)しないようになっている。なお、無極性液体29Nは、Y軸方向においては封止壁23(後述)によって外部へ流出しないように封止されている。隔壁24は、極性液体29Pおよび無極性液体29Nに溶解等しない材料、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などによって構成されることが望ましい。なお、平面基板21と隔壁24とが同種の透明なプラスチック材料からなり、一体成型されたものであってもよい。隔壁24は、X軸方向において例えば数十〜数千μmのピッチで配置されている。隔壁24の高さは、例えばX軸方向における上記の配置ピッチと同程度である。
【0023】
各隔壁24の壁面には、隔壁24の延在方向(Y軸方向)に沿って延伸し、互いの一部が対向するように配置された第1および第2の電極25,26が設けられている。波面変換偏向部2における第1および第2の電極25,26が互いに重なり合う領域(対向する領域)は、表示部1から射出された表示画像光に対し、波面変換処理および偏向処理を行うことのできる有効領域20Z1である。この有効領域20Z1は、表示部1において表示画像を形成する有効表示領域に対応している。波面変換偏向部2では、この有効領域20Z1をY軸方向において挟むように、第1および第2の電極25,26の一方のみが形成された接続領域20Z2,20Z3が設けられている。接続領域20Z2,20Z3には、平面基板21における内面21Sと反対側の外面21SSに複数の第1および第2の引出線31,32(図3では破線で示す)が設けられている。第1および第2の引出線31,32は、いずれもY軸と交差する方向(ここではX軸方向)に延在する帯状をなすものである。また、接続領域20Z2,20Z3のうちの隣り合う一対の隔壁24に挟まれた領域には、第1および第2の貫通孔21H1,21H2が、平面基板21を厚さ方向(Z軸方向)に貫くように形成されている。
【0024】
各々の第1の電極25は、第1の貫通孔21H1を通じて一の第1の引出線31と接続されている。同様に、各々の第2の電極26は、第2の貫通孔21H2を通じて一の第2の引出線32と接続されている。すなわち、一の第1の電極25に対して一の第1の貫通孔21H1が設けられ、一の第2の電極26に対して一の第2の貫通孔21H2が設けられている。第1および第2の貫通孔21H1,21H2は、例えばレーザビームを照射して行うレーザビーム加工のほか、機械加工(マイクロビア加工)によって形成される。
【0025】
ここで、第1の電極25は、周期的に(図3では6つおきに)同一の第1の引出線31と接続され、第2の電極26は、周期的に(図3では6つおきに)同一の第2の引出線32と接続されている。但し、この周期は図3に示したものに限定されず、任意に設定可能である。
【0026】
第1および第2の電極25,26、第1および第2の引出線31,32、ならびに第1および第2の接続部21T1,21T2は、例えば以下の材料によって形成される。すなわち、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化亜鉛(ZnO)などの透明な導電性材料のほか、銅(Cu)などの金属材料、あるいは炭素(C)もしくは導電性高分子などの他の導電性材料が適用可能である。
【0027】
接続領域20Z2,20Z3では、第1および第2の接続部21T1,21T2が、平面基板21の内面21Sと、隔壁24を覆う第1および第2の電極25,26とそれぞれ連結されている。第1および第2の電極25,26は、それぞれ、第1および第2の接続部21T1,21T2と、第1および第2の引出線31,32とを介して外部電源と接続され、電圧供給が可能となっている。第1および第2の電極25,26は、例えば平面基板21の外面21SSに設けられた制御部(図示せず)によってそれぞれ所定の大きさの電位に設定できるようになっている。
【0028】
平面基板21には、さらに、その内面21Sおよび隔壁24を選択的に覆うように立設し、平面基板21と平面基板22との間に挟まれた空間の少なくとも一部を取り囲む封止壁23が設けられている。この封止壁23は、平面基板21と平面基板22との間に挟まれた極性液体29Pおよび無極性液体29Nを封止するためのものであり、表示部1の有効表示領域に対応する有効領域20Z1の外縁に沿って設けられている。したがって、封止壁23は、その一部が、複数の液体光学素子20を横断するように設けられている。なお、封止壁23は、図2および図3に示したように、有効領域20Z1の外縁を周回するように、所定の空間の全てを取り囲む形状のものに限定されず、その一部が欠如した開放部分を有していてもよい。その場合、他の部材によってその開放部分を封止するようにすればよい。
【0029】
封止壁23の構成材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル系樹脂などの熱硬化型樹脂や紫外線(UV)硬化型樹脂を用いることができる。
【0030】
また、封止壁23の上端面23TSの高さ位置は、隔壁24の上端面24TSの高さ位置よりも高い位置にあるとよい。平面基板21と平面基板22との間隔の、面内でのばらつきが低減されるからである。なお、高さ位置とは、内面21Sを基準位置としたときの、Z軸方向(厚さ方向)の位置である。本実施の形態では、隔壁24と封止壁23とが別体であるため互いに異なる工程において作製可能である。よって、それらを一体として一括形成する場合と比較して、作製方法や使用材料の点で自由度が高い反面、相対位置精度の点では不利である。そこで、封止壁23の上端面23TSを隔壁24の上端面24TSよりも高い位置とすることにより、隔壁24の高さに関わらず、封止壁23の高さを制御することのみによって平面基板21と平面基板22との間隔を規定することができる。
【0031】
なお、封止壁23は、第1および第2の電極25,26をも選択的に覆うように設けられているとよい。すなわち、第1および第2の電極25,26が隔壁24と共に、封止壁23を貫く構造であるとよい。第1および第2の電極25,26が封止壁23を跨ぐような構造であると、その構造に起因した問題が懸念されるからである。具体的には、封止壁23と内面21Sとの段差に起因して、第1および第2の電極25,26の断面積の不足による抵抗増大や、第1および第2の電極25,26の破断などを招くおそれが生じるからである。
【0032】
第1および第2の電極25,26は、絶縁膜28によって密に覆われている。絶縁膜28は、第1および第2の電極25,26だけでなく、封止壁23、隔壁24および平面基板21を全面的に覆うように形成されていてもよい。この絶縁膜28は、極性液体29Pに対して疎水性(撥水性)を示す(より厳密には無電界下において無極性液体29Nに親和性を示す)と共に、電気的絶縁性に優れた性質を有する材料からなるものである。具体的には、フッ素系の高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいはシリコーンなどが挙げられる。但し、第1の電極25と第2の電極26との電気的絶縁性をより高めることを目的として、第1および第2の電極25,26と絶縁膜28との間に例えばスピン・オン・グラス(SOG)などからなる他の絶縁膜を設けるようにしてもよい。なお、隔壁24の上端もしくはそれを覆う絶縁膜28は、平面基板22および第3の電極27と離間していることが望ましい。
【0033】
平面基板22の、平面基板21と対向する内面22Sには、第3の電極27が設けられている。第3の電極27は、例えばITOやZnOなどの透明な導電材料によって構成されており、接地電極として機能する。
【0034】
一対の平面基板21,22および封止壁23などによって完全に密閉された空間領域には、無極性液体29Nおよび極性液体29Pが密封されている。無極性液体29Nおよび極性液体29Pは、その閉空間において互いに溶解せずに分離して存在し、界面IFを形成している。無極性液体29Nおよび極性液体29Pは透明であることから、界面IFを透過する光は、その入射角と、無極性液体29Nおよび極性液体29Pの屈折率とに応じて屈折する。
【0035】
無極性液体29Nは、ほとんど極性を有さず、かつ、電気絶縁性を示す液体材料であり、例えばデカン、ドデカン、ヘキサデカンもしくはウンデカンなどの炭化水素系材料のほか、シリコンオイルなどが好適である。無極性液体29Nは、第1の電極25と第2の電極26との間に電圧を印加しない場合において、平面基板21(もしくはそれを覆う絶縁膜28)の表面を全て覆う程度に十分な容量を有していることが望ましい。
【0036】
一方、極性液体29Pは極性を有する液体材料であり、例えば水のほか、塩化カリウムや塩化ナトリウムなどの電解質を溶解させた水溶液が好適である。極性液体29Pに電圧を印加すると、素子領域20Rにおいて対向する内表面28A,28Bに対する濡れ性(極性液体29Pと内表面28A,28Bとの接触角)が無極性液体29Nと比べて大きく変化する。極性液体29Pは、接地電極としての第3の電極27と接している。
【0037】
ここで、X軸方向に並ぶ隔壁24の間隔(より厳密には、X軸方向において隣り合う隔壁24を覆う絶縁膜28同士の間隔W1(図3および図4参照))は、以下の式(1)で表される毛管長K-1以下の長さであるとよい。そうすることで、無極性液体29Nおよび極性液体29Pが、安定して初期位置(図4に示した位置)に保持される。これは、無極性液体29Nおよび極性液体29Pが隔壁24を覆う絶縁膜28と接することにより、その接触界面における界面張力が無極性液体29Nおよび極性液体29Pに対し作用するからである。ここでいう毛管長K-1とは、無極性液体29Nと極性液体29Pとの界面に生じる界面張力に対して重力の影響を全く無視できる最大の長さをいう。
【0038】
Κ-1 ={Δγ/(Δρ×g)}0.5 ……(1)
但し、
Κ-1 :毛管長(mm)
Δγ:極性液体と無極性液体との界面張力(mN/m)
Δρ:極性液体と無極性液体との密度差(g/cm3 )
g:重力加速度(m/s2 )
【0039】
各液体光学素子20では、第1および第2の電極25,26の間に電圧が印加されていない状態(第1および第2の電極25,26の電位がいずれも零である状態)では、図4に示したように、界面IFは、極性液体29Pの側から無極性液体29Nへ向けて凸の曲面をなしている。このときの界面IFの曲率はY軸方向において一定であり、各液体光学素子20は1つのシリンドリカルレンズとして機能する。また、界面IFの曲率はこの状態(第1および第2の電極25,26の間に電圧を印加しない状態)が最大となる。内表面28Aに対する無極性液体29Nの接触角θ1、および内表面28Bに対する無極性液体29Nの接触角θ2は、例えば絶縁膜28の材料種を選択することによって調整することができる。ここで、無極性液体29Nが極性液体29Pよりも大きな屈折率を有していれば、液体光学素子20は負の屈折力を発揮する。これに対し、無極性液体29Nが極性液体29Pよりも小さな屈折率を有していれば、液体光学素子20は正の屈折力を発揮する。例えば、無極性液体29Nが炭化水素系材料またはシリコンオイルであり、極性液体29Pが水または電解質水溶液であれば、液体光学素子20が負の屈折力を発揮することとなる。
【0040】
第1および第2の電極25,26の間に電圧が印加されると界面IFの曲率が小さくなり、ある一定以上の電圧を印加すると例えば図6(A)〜6(C)に表したように平面となる。なお、図6(A)は、第1の電極25の電位(V1とする)と第2の電極26の電位(V2とする)とが互いに等しい(V1=V2)場合を示している。この場合、例えば接触角θ1,θ2がいずれも直角(90°)となる。このとき、液体光学素子20へ入射して界面IFを通過した入射光は、界面IFにおいて収束、発散もしくは偏向などの光学作用を受けることなく、そのまま液体光学素子20から射出する。
【0041】
電位V1と電位V2とが異なる場合(V1≠V2)には、例えば図6(B),6(C)に表したように、X軸およびZ軸に対して傾斜した平面(Y軸に対しては平行な面)となる(θ1≠θ2)。具体的には、電位V1が電位V2よりも大きい場合(V1>V2)、図6(B)に示したように接触角θ1が接触角θ2よりも大きくなる(θ1>θ2)。反対に、電位V1よりも電位V2が大きいと(V1<V2)、図6(C)に示したように、接触角θ1よりも接触角θ2が大きくなる(θ1<θ2)。これらの場合(V1≠V2)、例えば第1の電極25,26と平行に進行して液体光学素子20へ入射した入射光は、界面IFにおいてXZ平面内で屈折し、偏向される。したがって、電位V1および電位V2の大きさを調整することで、入射光をXZ平面内の所定の向きへ偏向可能となる。
【0042】
なお、上記の現象(電圧の印加による接触角θ1,θ2の変化)は以下のように生じるものと推察される。すなわち、電圧印加により、内表面28A,28Bに電荷が蓄積され、その電荷のクーロン力によって、極性を有する極性液体29Pが絶縁膜28へ引き寄せられる。すると、極性液体29Pが内表面28A,28Bと接触する面積を拡大する一方、無極性液体29Nが内表面28A,28Bと接触する部分から極性液体29Pによって排除されるように移動(変形)し、結果として界面IFが平面に近づくこととなる。
【0043】
また、電位V1および電位V2の大きさの調整により界面IFの曲率が変わるようになっている。例えば、電位V1,V2(V1=V2とする)を、界面IFが水平面となる場合の電位Vmaxよりも低い値とすれば、例えば図7(A)に表したように、電位V1,V2が零の場合の界面IF0(破線で表示)よりも曲率の小さな界面IF1(実線で表示)が得られる。このため、界面IFを透過する光に対して発揮する屈折力は、電位V1および電位V2の大きさを変えることで調整可能である。すなわち、液体光学素子20は、可変焦点レンズとして機能する。さらに、その状態で電位V1と電位V2とが互いに異なる大きさ(V1≠V2)となれば、界面IFは適度な曲率を有しつつ、傾斜した状態となる。例えば電位V1のほうが大きい(V1>V2)場合には、図7(B)において実線で表した界面IFaが形成される。一方、電位V2のほうが大きい(V1<V2)場合には、図7(B)において破線で表した界面IFbが形成される。したがって、電位V1および電位V2の大きさを調整することで、液体光学素子20は、入射光に対して適度な屈折力を発揮しつつ、その入射光を所定の向きへ偏向することが可能である。なお、図7(A),7(B)では、無極性液体29Nが極性液体29Pよりも大きな屈折率を有しており、液体光学素子20が負の屈折力を発揮する場合に、界面IF1,IFaを形成したときの入射光の変化を表している。
【0044】
<波面変換偏向部の製造方法>
次に、波面変換偏向部2の製造方法について、図8に示した斜視図ならびに図9,図10に表した断面模式図を参照して説明する。なお、図9および図10は、XZ平面における断面図である。
【0045】
まず、図8に示したように、上記の所定材料からなる平面基板21を用意したのち、その一方の面(内面21S)の上の所定位置に立設する隔壁24を複数形成する。これにより、隔壁24によって仕切られた複数の素子領域20Rが形成される。具体的には、例えばスピンコーティング法により所定の樹脂を内面21Sの上にできるだけ均一な厚みとなるように塗布したのち、フォトリソグラフィ法を利用して選択的な露光を行うことにより、パターニングを行う。あるいは、所定形状の金型を使用した一括成型により、同種の材料からなる一体化した平面基板21および隔壁24を形成するようにしてもよい。さらには、押出成型、射出成型、熱プレス成型、フィルム材を用いた転写成型または2P(Photoreplication Process)法などによりそれらを形成することも可能である。このように本実施の形態では、平面基板21に複数の隔壁24を立設させた形状が一軸方向において連続した同一断面形状を有する単純なものであることから、種種の形成方法を採用することができる。特に、一軸方向への押出成型や型ロールを使用したラミネート転写などは、高速かつ高精度の加工が可能であるため、これを採用することが望ましい。
【0046】
次に、複数の隔壁24によって仕切られた各素子領域20Rの所定位置に、第1および第2の貫通孔21H1,21H2(図8では図示せず)を1つずつ、例えばレーザビーム加工(好ましくはCO2 レーザビームを用いたもの)などにより形成する。
【0047】
第1および第2の貫通孔21H1,21H2を形成したのち、それらの内面を被覆し、もしくはそれらの内部を充填するように第1および第2の接続部21T1,21T2を形成する。具体的には、スクリーン印刷、凸版印刷、あるいはオフセット印刷などの手法を用いる。ここでは、外面21SSの側から第1および第2の貫通孔21H1,21H2の内面に銀(Ag)などを含む導電性ペーストを塗布し、もしくはそれらの内部に導電性ペーストを充填する。導電性ペーストは、例えば10000cP以上の粘度を有し、熱硬化型もしくは紫外線硬化型の、Agペースト(望ましくはAgナノペースト)あるいはカーボンペーストである。このとき、第1および第2の貫通孔21H1,21H2に塗布もしくは充填された導電性ペーストは、平面基板21の内面21Sにおける第1および第2の貫通孔21H1,21H2の近傍に広がるように流出する場合がある。ところが隔壁24の存在により、隣接する素子領域20Rに至るまで導電性ペーストが広がるような事態は回避される。このため、隣接する第1の電極25同士や、隣接する第2の電極26同士の短絡は生じない。
【0048】
次に、図9に示したように、隔壁24の壁面24Sを覆うように、例えば直流スパッタリング法により第1および第2の電極25,26を形成する。その際、有効領域20Z1においては相互に対向するように第1および第2の電極25,26の双方を形成する。一方、接続領域20Z2においてはメタルマスクなどを用いて第1の電極25のみを形成し、接続領域20Z3においてはメタルマスクなどを用いて第2の電極26のみを形成するようにする。これにより、第1の接続部21T1は第1の電極25のみと導通した状態となり、第2の接続部21T2は第2の電極26のみと導通した状態となる。さらに、平面基板21の外面21SSの所定の位置に、第1および第2の引出線31,32を複数形成する。第1および第2の引出線31,32は、例えばスピンコート法によりレジストを塗布したのちパターニングして所定形状のレジストマスクを形成し、さらにめっき法やスパッタリング法によって金属膜を形成したのちリフトオフすることにより得る。
【0049】
続いて、図10に示したように、複数の隔壁24と、隔壁24によって仕切られた複数の空間とを横断するように封止壁23を形成する。ここでは、封止壁23の上端面23TSを、隔壁24の上端面24TSよりも高い位置とする。例えば、隔壁24の高さ(内面21Sから上端面24TSまでの寸法)を80μmとしたとき、封止壁23の高さ(内面21Sから上端面23TSまでの寸法)を100μmとする。封止壁23は、例えば図11に示した手順で作製される。なお、図11は、封止壁23を形成する際の詳細なステップを表す断面図である。
【0050】
まず、図11(A)に示したように、有効領域20Z1の外縁に沿って、例えばディスペンサによって描画するように所定の位置に例えばUV硬化型の樹脂を塗布し、樹脂パターン23Z1を形成する。次に、図11(B)に示したように、封止壁23の高さ調整用の平板ガラスG1を、所定の高さ23Hを有するギャップ調整治具23Gを介して平面基板21と対向するように配置する。このとき、樹脂パターン23Z1の頭頂部が平坦化され、高さ23Hを有する樹脂パターン23Z2が形成される。その状態を維持しつつ、平板ガラスG1を透過させた紫外線を樹脂パターン23Z2に照射する。これにより樹脂パターン23Z2が硬化し、高さ23Hを有する封止壁23が形成される。そののち、平板ガラスG1を除去することにより、封止壁23が現れる。
【0051】
封止壁23を形成したのち、例えば図10に示したように、全体を覆うように例えば真空蒸着法により絶縁膜28を形成する。なお、封止壁23を形成する前に、隔壁24に設けられた第1および第2の電極25,26を覆うように絶縁膜28を形成してもよい。但し、その場合には、絶縁膜28を選択的に覆うように封止壁23が形成されるので、絶縁膜28に局所的な応力が加わることとなる。そのため、絶縁膜28の一部に亀裂が生じることのないように留意する必要がある。
【0052】
そののち、無極性液体29Nを、隔壁24で仕切られた空間に注入もしくは滴下する。さらに、封止壁23によって取り囲まれた空間に極性液体29Pを注入する。最後に、平面基板22に第3の電極27を設けたものを用意し、平面基板21と平面基板22とが一定の間隔となるように対向配置する。その際、平面基板21と平面基板22とが重なり合う領域の外縁、すなわち、封止壁23に沿って接着層ALを設け、その接着層ALを介して平面基板22と封止壁23とを固定するようにする。あるいは、接着層ALの一部には注入口を形成しておき、平面基板22を封止壁23に貼り合わせたのち、その注入口から、平面基板21、封止壁23および平面基板22によって囲まれた空間に極性液体29Pを充填してもよい。その場合、最後に注入口を封止する。
【0053】
以上の手順により、応答性に優れた液体光学素子20を複数備えた波面変換偏向部2を簡便に製造することができる。
【0054】
<立体表示装置の動作>
この立体表示装置では、図1に示したように、表示部1に映像信号が入力されると、表示画素12Lから左眼用の表示画像光I−Lが射出されると共に表示画素12Rから右眼用の表示画像光I−Rが射出される。表示画像光I−L,I−Rは、いずれも液体光学素子20に入射する。液体光学素子20では、その焦点距離が、例えば表示画素12L,12Rと界面IFとの間の屈折率を空気換算した距離となるように、適切な値の電圧を第1および第2の電極25,26に印加する。なお、観察者の位置に応じて、液体光学素子20の焦点距離を前後させるようにしてもよい。液体光学素子20における無極性液体29Nと極性液体29Pとの界面IFが形成するシリンドリカルレンズの作用により、表示部1の各表示画素12L,12Rから射出された表示画像光I−L,I−Rの射出角度が選択される。そのため、図1に示したように、表示画像光I−Lは観察者の左眼10Lに入射し、表示画像光I−Rは観察者の右眼10Rに入射する。これにより、観察者は立体映像を観察することができる。
【0055】
また、液体光学素子20において界面IFを平坦面(図6(A)参照)とし、表示画像光I−L,I−Rに対する波面変換を行わないことにより、高解像度な二次元画像の表示も可能となる。
【0056】
<立体表示装置の効果>
このように、本実施の形態の波面変換偏向部2では、隔壁24とは別に封止壁23を別体として設けるようにしたので、隔壁24および封止壁23がそれぞれ高精度の寸法を有するものとなる。これは、隔壁24と封止壁23とをそれぞれ別々の工程で形成可能であるからである。すなわち、平面基板21の上に複数の隔壁24のみを所定の位置に配置した構造であれば、比較的加工しやすい構造となるからである。比較的加工しやすい構造とは、例えば、一軸方向において連続した同一断面形状を有するものである。このような構造であれば、一軸方向への押し出し成型や型ロールを使用したラミネート転写などの、高速かつ高精度の加工方法による成型が可能である。その結果、設計上の自由度を向上させることができるうえ、大画面化にも対応可能となる。また、高い寸法精度が確保されることにより、駆動時における、より正確な挙動を実現することができる。また、本実施の形態の波面変換偏向部2の形成方法によれば、大型化した場合であっても効率的に、かつ精度よく作製することができる。したがって、この波面変換偏向部2を備えた立体表示装置によれば、より優れた品質の立体映像を観察することができる。
【0057】
また、封止壁23の上端面23TSを、隔壁24の上端面24TSよりも高い位置としたので、平面基板21と平面基板22との間隔のばらつきを低減することができる。その結果、よりいっそう正確な挙動を実現することができ、よりいっそう優れた品質の立体映像を観察することができる。
【0058】
また、絶縁膜28を、封止壁23を形成したのちに全体を覆うように形成したので、第1および第2の電極25,26を緻密に、ほぼ一定の厚さで覆うことができる。よって、この波面変換偏向部2は、動作安定性に優れたものとなる。
【0059】
[2.立体表示装置の変形例]
図12に、本実施の形態の変形例としての波面変換偏向部2Aを示す。本変形例は、封止壁23に取り囲まれた有効領域20Z1において、隔壁24と平面基板22の内面22Sを覆う第3の電極27との間にスペーサSPを設けるようにしたものである。スペーサSPは絶縁膜28によって覆われており、接着層ALを介して第3の電極27と接合されているとよい。このスペーサSPを設けることにより、平面基板22がスペーサSPおよび隔壁24によって支持され、平面基板21と平面基板22との適切な間隔が確実に維持される。それにより、平面基板22の撓みや歪みなどによる意図しない光学的作用が回避される。したがって、この波面変換偏向部2を備えた立体表示装置によれば、よりいっそう優れた品質の立体映像を観察することができる。
【0060】
このスペーサSPは、例えば封止壁23と同一の材料によって構成されることが望ましい。封止壁23と同一の過程で一括形成することができるからである。そのような一括形成されたものであれば、各スペーサSPの上面の高さ位置と、封止壁23の上面の高さ位置とを比較的容易に揃えることができ、平面基板21と平面基板22との間隔の精度向上が期待できる。なお、高さ位置とは、内面21Sを基準位置としたときの、Y軸方向(厚さ方向)の位置である。
【0061】
また、スペーサSPは可視光を反射もしくは吸収する遮光性材料によって構成してもよい。この場合には、隣り合う視点映像を十分に分離することができる。観察者の眼に対し、所定の視点映像光のみを入射させ、隣接する不要な視点映像の入射を排除することができるからである。
【0062】
[3.立体表示装置の適用例]
<電子機器>
次に、上記した立体表示装置の適用例について説明する。
【0063】
本技術の表示装置は、各種用途の電子機器に適用可能であり、その電子機器の種類は特に限定されない。この表示装置は、例えば、以下の電子機器に搭載可能である。ただし、以下で説明する電子機器の構成はあくまで一例であるため、その構成は適宜変更可能である。
【0064】
図13は、テレビジョン装置の外観構成を表している。このテレビジョン装置は、例えば、表示装置としての映像表示画面部200を備えている。映像表示画面部200は、フロントパネル210およびフィルターガラス220を含むものである。
【0065】
本技術の表示装置は、図13に示したテレビジョン装置のほか、例えばタブレット型パーソナルコンピュータ(PC)、ノート型PC、モバイルフォン、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラあるいはカーナビゲーションシステムにおける映像表示部分として用いることができる。
【0066】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、波面変換偏向部2における液体光学素子20により、集光もしくは発散作用と、偏向作用との双方を発揮させるようにした。しかしながら、波面変換部と偏向部とを個別に設け、集光もしくは発散作用と、偏向作用とを別々のデバイスによって表示画像光に付与するようにしてもよい。
【0067】
また、図14に示したように、1組の表示画素12L,12Rについて複数の液体光学素子20を対応させ、それら複数の液体光学素子20を組み合わせて1つのシリンドリカルレンズとして機能させるようにしてもよい。なお、図14では、液体光学素子20A,20B,20Cにより、1つのシリンドリカルレンズを構成する例を示している。
【0068】
また、上記実施の形態では、隔壁24の壁面24Sが平面基板21の内面21Sに対して垂直な場合について例示したが、壁面24Sは、内面21Sに対して傾斜した斜面であってもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、2次元画像生成手段(表示部)としてバックライトを使用するカラー液晶ディスプレイを例示したが、本技術はこれに限定されるものではない。例えば有機EL素子を用いたディスプレイやプラズマディスプレイであってもよい。
【0070】
また、本技術の液体光学素子アレイは、立体表示装置に限定して適用されるものではなく、光学的作用を必要とする種種のデバイスへの応用が可能である。
【0071】
また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面および前記第1の壁を部分的に覆い、前記第1の基板と前記第2の基板とが挟む空間の少なくとも一部を部分的もしくは全体的に取り囲む第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を備えた光学素子アレイ。
(2)
前記第2の壁の上端は、前記第1の壁の上端よりも高い位置にある
上記(1)記載の光学素子アレイ。
(3)
前記第1の壁の上端と、前記第2の基板との間にスペーサを有する
上記(1)または(2)に記載の光学素子アレイ。
(4)
前記スペーサおよび前記第2の壁が同一材料からなる
上記(3)記載の光学素子アレイ。
(5)
前記スペーサは遮光性材料からなる
上記(3)または(4)に記載の光学素子アレイ。
(6)
前記第1および第2の電極をそれぞれ覆う絶縁膜をさらに備えた
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光学素子アレイ。
(7)
前記第2の壁をも覆うように前記絶縁膜が設けられている
上記(6)に記載の光学素子アレイ。
(8)
前記第2の壁は、前記第1および第2の電極をも選択的に覆うように設けられている
上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光学素子アレイ。
(9)
前記第2の壁は、前記複数の第1の壁と、前記第1の壁によって仕切られた複数の空間とを横断するように設けられている
上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の光学素子アレイ。
(10)
表示部と、光学素子アレイとを備え、
前記光学素子アレイは、
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面と前記第1の壁とを部分的に覆い、前記表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を含む
表示装置。
(11)
表示部と光学素子アレイとを有する表示装置を備え、
前記光学素子アレイは、
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面と前記第1の壁とを選択的に覆い、前記表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を含む
電子機器。
(12)
第1の基板の表面に立設する複数の第1の壁を形成する工程と、
前記第1の壁の壁面に、互いに対向するように第1および第2の電極を形成する工程と、
前記第1の基板の表面と前記第1の壁とを選択的に覆い、かつ、前記第1の基板上の空間を部分的もしくは全体的に取り囲むように第2の壁を形成する工程と、
一方の面に第3の電極が設けられた第2の基板を、前記第3の電極が前記第1の基板と対向するように配置する工程と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体を封入する工程と
を含む光学素子アレイの形成方法。
(13)
前記第2の壁の上端を、前記第1の壁の上端よりも高い位置とする
上記(12)記載の光学素子アレイの形成方法。
(14)
前記第1の壁の上端と前記第2の基板との間にスペーサを形成する工程をさらに含む
上記(12)または(13)に記載の光学素子アレイの形成方法。
(15)
前記スペーサおよび前記第2の壁と、同一材料を用いて一括して形成する
上記(14)記載の光学素子アレイ。
(16)
前記スペーサを、遮光性材料を用いて形成する
上記(14)または(15)に記載の光学素子アレイの形成方法。
(17)
前記第1および第2の電極をそれぞれ覆うように絶縁膜を形成する工程をさらに含む
上記(12)から(16)のいずれか1つに記載の光学素子アレイの形成方法。
(18)
前記絶縁膜の形成を、前記第2の壁を形成する前の段階で行う
上記(17)記載の光学素子アレイの形成方法。
(19)
前記第1および第2の電極の形成を、前記第2の壁を形成する前の段階で行う
上記(12)から(18)のいずれか1つに記載の光学素子アレイの形成方法。
(20)
前記第2の壁を、前記複数の第1の壁と前記第1の壁によって仕切られた複数の空間とを横断するように形成する
上記(12)から(19)のいずれか1つに記載の光学素子アレイの形成方法。
【符号の説明】
【0072】
1…表示部、11,13…ガラス基板、12(12L,12R)…画素、2,2A…波面変換偏向部、20…液体光学素子、20A…素子領域、20Z1…有効領域、20Z2,20Z3…接続領域、21,22…平面基板、23…封止壁、24…隔壁、25…第1の電極、26…第2の電極、27…第3の電極、28…絶縁膜、29P…極性液体、29N…無極性液体、31,32…引出線、AL…接着層、IF…界面、SP…スペーサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面および前記第1の壁を部分的に覆い、前記第1の基板と前記第2の基板とが挟む空間の少なくとも一部を部分的もしくは全体的に取り囲む第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を備えた光学素子アレイ。
【請求項2】
前記第2の壁の上端は、前記第1の壁の上端よりも高い位置にある
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項3】
前記第1の壁の上端と、前記第2の基板との間にスペーサを有する
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項4】
前記スペーサおよび前記第2の壁が同一材料からなる
請求項3記載の光学素子アレイ。
【請求項5】
前記スペーサは遮光性材料からなる
請求項3記載の光学素子アレイ。
【請求項6】
前記第1および第2の電極をそれぞれ覆う絶縁膜をさらに備えた
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項7】
前記第2の壁をも覆うように前記絶縁膜が設けられている
請求項6記載の光学素子アレイ。
【請求項8】
前記第2の壁は、前記第1および第2の電極をも選択的に覆うように設けられている
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項9】
前記第2の壁は、前記複数の第1の壁と、前記第1の壁によって仕切られた複数の空間とを横断するように設けられている
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項10】
表示部と、光学素子アレイとを備え、
前記光学素子アレイは、
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面と前記第1の壁とを部分的に覆い、前記表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を含む
表示装置。
【請求項11】
表示部と光学素子アレイとを有する表示装置を備え、
前記光学素子アレイは、
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面と前記第1の壁とを選択的に覆い、前記表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を含む
電子機器。
【請求項12】
第1の基板の表面に立設する複数の第1の壁を形成する工程と、
前記第1の壁の壁面に、互いに対向するように第1および第2の電極を形成する工程と、
前記第1の基板の表面と前記第1の壁とを選択的に覆い、かつ、前記第1の基板上の空間を部分的もしくは全体的に取り囲むように第2の壁を形成する工程と、
一方の面に第3の電極が設けられた第2の基板を、前記第3の電極が前記第1の基板と対向するように配置する工程と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体を封入する工程と
を含む光学素子アレイの形成方法。
【請求項13】
前記第2の壁の上端を、前記第1の壁の上端よりも高い位置とする
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項14】
前記第1の壁の上端と前記第2の基板との間にスペーサを形成する工程をさらに含む
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項15】
前記スペーサおよび前記第2の壁と、同一材料を用いて一括して形成する
請求項14記載の光学素子アレイ。
【請求項16】
前記スペーサを、遮光性材料を用いて形成する
請求項14記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項17】
前記第1および第2の電極をそれぞれ覆うように絶縁膜を形成する工程をさらに含む
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項18】
前記絶縁膜を、前記第2の壁をも覆うように形成する
請求項17記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項19】
前記第1および第2の電極の形成を、前記第2の壁を形成する前の段階で行う
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項20】
前記第2の壁を、前記複数の第1の壁と前記第1の壁によって仕切られた複数の空間とを横断するように形成する
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項1】
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面および前記第1の壁を部分的に覆い、前記第1の基板と前記第2の基板とが挟む空間の少なくとも一部を部分的もしくは全体的に取り囲む第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を備えた光学素子アレイ。
【請求項2】
前記第2の壁の上端は、前記第1の壁の上端よりも高い位置にある
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項3】
前記第1の壁の上端と、前記第2の基板との間にスペーサを有する
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項4】
前記スペーサおよび前記第2の壁が同一材料からなる
請求項3記載の光学素子アレイ。
【請求項5】
前記スペーサは遮光性材料からなる
請求項3記載の光学素子アレイ。
【請求項6】
前記第1および第2の電極をそれぞれ覆う絶縁膜をさらに備えた
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項7】
前記第2の壁をも覆うように前記絶縁膜が設けられている
請求項6記載の光学素子アレイ。
【請求項8】
前記第2の壁は、前記第1および第2の電極をも選択的に覆うように設けられている
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項9】
前記第2の壁は、前記複数の第1の壁と、前記第1の壁によって仕切られた複数の空間とを横断するように設けられている
請求項1記載の光学素子アレイ。
【請求項10】
表示部と、光学素子アレイとを備え、
前記光学素子アレイは、
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面と前記第1の壁とを部分的に覆い、前記表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を含む
表示装置。
【請求項11】
表示部と光学素子アレイとを有する表示装置を備え、
前記光学素子アレイは、
対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板の、前記第2の基板と対向する内面に立設する複数の第1の壁と、
隣り合う前記第1の壁の対向する壁面にそれぞれ設けられた第1および第2の電極と、
前記第2の基板の、前記第1の基板と対向する内面に設けられた第3の電極と、
前記第1の基板の内面と前記第1の壁とを選択的に覆い、前記表示手段の有効領域の外縁に沿って設けられた第2の壁と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に封入され、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体と
を含む
電子機器。
【請求項12】
第1の基板の表面に立設する複数の第1の壁を形成する工程と、
前記第1の壁の壁面に、互いに対向するように第1および第2の電極を形成する工程と、
前記第1の基板の表面と前記第1の壁とを選択的に覆い、かつ、前記第1の基板上の空間を部分的もしくは全体的に取り囲むように第2の壁を形成する工程と、
一方の面に第3の電極が設けられた第2の基板を、前記第3の電極が前記第1の基板と対向するように配置する工程と、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記第2の壁によって取り囲まれた空間に、互いに異なる屈折率を有する極性液体および無極性液体を封入する工程と
を含む光学素子アレイの形成方法。
【請求項13】
前記第2の壁の上端を、前記第1の壁の上端よりも高い位置とする
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項14】
前記第1の壁の上端と前記第2の基板との間にスペーサを形成する工程をさらに含む
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項15】
前記スペーサおよび前記第2の壁と、同一材料を用いて一括して形成する
請求項14記載の光学素子アレイ。
【請求項16】
前記スペーサを、遮光性材料を用いて形成する
請求項14記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項17】
前記第1および第2の電極をそれぞれ覆うように絶縁膜を形成する工程をさらに含む
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項18】
前記絶縁膜を、前記第2の壁をも覆うように形成する
請求項17記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項19】
前記第1および第2の電極の形成を、前記第2の壁を形成する前の段階で行う
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【請求項20】
前記第2の壁を、前記複数の第1の壁と前記第1の壁によって仕切られた複数の空間とを横断するように形成する
請求項12記載の光学素子アレイの形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−104913(P2013−104913A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246771(P2011−246771)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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