説明

光学素子及び光学素子の製造方法

【課題】樹脂製の成形部の表面に無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜を積層させた無機/有機積層膜を設けることによって、耐光性を向上させた光学素子、及びその光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂材料から成形された成形部50を有する光学素子(対物レンズ)であって、樹脂材料は、脂環式炭化水素構造を有し、成形部50の表面に少なくとも無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜52を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子及び光学素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置において、光ディスクに記録された情報の再生や、光ディスクへの情報の記録のための光源として使用されるレーザ光源の短波長化が進み、例えば、青紫色半導体レーザや、第2高調波発生を利用した赤外半導体レーザの波長変換を行う青紫色SHGレーザなどの波長390〜420nmのレーザ光源が実用化されつつある。
一方、光ピックアップ装置に設置された光学系として、安価に大量生産が可能なプラスチック製の光学素子(例えば対物レンズ)が使用されている。そのプラスチック材料としては、環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体などが知られている。また、環状オレフィン系重合体を用いた樹脂レンズ(樹脂製の成形部)の表面には、反射防止膜やハードコート等の表面コーティングとして、無機化合物が蒸着法などにより積層されている。レンズ材料としてプラスチックを用いた場合には、レンズ材料と膜との屈折率の差が小さくなるため、単層では十分な反射防止効果が得られず、しばしば無機化合物の多層膜が積層されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−176381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、青色光源を用いて再生や記録を行う高密度記録媒体用の光ピックアップ装置において、プラスチックの光学素子が用いられている場合、短波長の青色光を長時間照射することで樹脂レンズの熱変形や変質などにより、無機多層膜間や樹脂レンズと無機膜との界面に応力がかかり、無機膜にマイクロクラックが生じるといった問題があった。マイクロクラックの発生は表面コート膜の酸素ガス透過性を高め、樹脂レンズの劣化を促進させる。しいては、収差変動, 透過率低下, 表面形状変化といったレンズ特性の劣化を引き起こす。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、樹脂レンズの表面に無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜を積層させた無機/有機積層膜を設けることによって耐光性を向上させた光学素子、及びその光学素子の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様によれば、樹脂材料から成形された成形部を有する光学素子であって、
前記樹脂材料は、脂環式炭化水素構造を有し、
前記成形部の表面に少なくとも無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜を有することを特徴とする光学素子が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、樹脂材料から成形された成形部を有する光学素子の製造方法であって、
前記樹脂材料は、脂環式炭化水素構造を有し、
前記成形部の表面に少なくとも一対の、真空蒸着により成膜した窒化珪素からなる無機層と、当該無機層上に蒸着重合により成膜したパラキシリレン類からなる有機層とを有する無機/有機積層膜を設けることを特徴とする光学素子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、樹脂製の成形部の表面に無機層−有機層の順からなる無機/有機積層膜を施すことにより、レーザ照射時に発生する無機化合物間の界面及び成形部と無機化合物の界面の応力が緩和され、マイクロクラックの発生を抑えることができる。マイクロクラックの発生を抑えることにより、成形部の表面に施したコート膜の膜密着性低下やコート膜の酸素ガスバリア性低下による成形部の酸化劣化を起点とするレンズ特性の劣化、すなわち収差変動の進行、透過率低下、表面形状変化進行を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る光ピックアップ装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る光学素子の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1に示すように、光ピックアップ装置30は、半導体レーザ発振器32を備えている。半導体レーザ発振器32は光源の1例であり、BD(Blu−ray Disc:登録商標)用として波長350〜450nmの特定波長(例えば405nm)のブルーレーザ光(青紫色レーザ)を出射するようになっている。半導体レーザ発振器32から出射されるブルーレーザ光の光軸上には、半導体レーザ発振器32から離間する方向に向かって、コリメータ33、ビームスプリッタ34、1/4波長板35、絞り36、対物レンズ37が順次配設されている。
【0010】
ビームスプリッタ34と近接した位置であって、上述した青紫色光の光軸と直交する方向には、2組のレンズを含むセンサーレンズ群38、センサー39が順次配設されている。
対物レンズ37は、高密度な光ディスクD(BD用光ディスク)に対向した位置に配置されており、半導体レーザ発振器32から出射されたブルーレーザ光を光ディスクDの一面上に集光するようになっている。対物レンズ37は光学素子の1例であり、像側開口数NAが0.7以上となっている。対物レンズ37の周縁部にはフランジ部が形成されており、当該フランジ部に2次元アクチュエータ40が装着されている。2次元アクチュエータ40の動作により、対物レンズ37は光軸上で移動自在となっている。
【0011】
図2は、対物レンズ37の一部を拡大した図である。
図2に示すように、対物レンズ37は主に樹脂製の成形部50で構成されており、その表面37aと裏面37bとに対しそれぞれ無機−有機の順からなる一対の無機/有機積層膜52が形成されている。また無機/有機積層膜52の上で、最外面には無機化合物からなる反射防止膜51が形成されている。図2では表面37aに対してのみ無機/有機積層膜52と無機化合物からなる反射防止膜52とが描写されている。成形部50は、レンズ形状に成形されており、表面37aと裏面37bとが光学面となって集光機能などの本質的な光学機能を発揮するようになっている。
本発明では、樹脂製の成形部50の表面に無機−有機の順からなる一対の無機/有機積層膜52を設けることによって、成形部50と第1層目の無機層との間で生じる応力は、成形部50から第2層目の有機層でほぼ緩和される。また、成形部50から第2層目の有機層の外側にあるコート層間で生じる応力も、成形部50から第2層目の有機層でほぼ緩和される。これは、レーザ照射を行った際に最も大きな歪みが生じる部位である成形部50の応力が、成形部50から第2層目の有機層の柔軟性により緩和されるためであると考えられる。
ここで、成形部50に無機−有機の順からなるように無機/有機積層膜52を形成したのは、有機−無機の順からなる有機/無機積層膜を成形部50に形成した場合、成形部50と第1層目の有機層における膜の低密着性及び作製上の問題により適さないためである。例えば、成形部50上に成形部50と親和性の高い有機層を溶媒塗布で積層させようとした場合、塗布時に成形部50も溶解してしまい形状が変化してしまう。また、例えば成形部50上に成形部50が溶解しない溶媒を用いて有機層を溶媒塗布した場合、成形部50と有機層の親和性は悪くなってしまう。さらに、例えば、成形部50にパラキシリレン類の有機層を積層させようとした場合、通常パラキシリレン類積層前に密着性向上のため基材のシランカップリング剤処理を行うが、基材が脂環式炭化水素構造を有する樹脂であるため、シランカップリング剤を基材と結合させることができない。このように、成形部50の溶解による変形や、成形部50と有機層間の密着性低下により、成形部50に有機−無機の順からなるコートではレーザ照射に耐えうる膜を作製することができない。したがって、成形部50に無機−有機の順にコートする必要がある。
【0012】
〈成形部〉
成形部50は、脂環式炭化水素構造を有する樹脂材料で構成されている。脂環式炭化水素樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環のシクロ(環状)オレフィン系樹脂、シクロ(環状)共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
【0013】
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体又はそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体又はそれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
【0014】
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
極性基の種類としては、ヘテロ原子、又はヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
【0016】
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノシクロ(環状)オレフィン類及びその誘導体、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどのシクロ(環状)共役ジエン及びその誘導体などが挙げられる。
【0017】
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
【0018】
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0019】
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
【0020】
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、及び、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
【0021】
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの質量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。
【0022】
この実施形態に用いるシクロ(環状)オレフィン樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選定される。溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常20,000〜150,000である。好ましくは25,000〜100,000、より好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成型加工性が高度にバランスされ好適である。
【0023】
シクロ(環状)オレフィン樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されれば良い。好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜150℃の範囲である。
【0024】
この実施形態に用いられる上記シクロオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、JSR株式会社製 商品名:ARTON、日本ゼオン株式会社製 商品名:ゼオネックス、三井化学株式会社製 商品名:アペル、積水化学工業株式会社製 商品名:エスシーナ等を挙げることができる。
【0025】
なお、成形部50に、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、抗菌剤、顔料等を含ませても良い。例えば、1〜2wt%の酸化防止剤を成形部50に含ませることで、ブリードアウトの発生を抑制しつつ、耐光性を向上させることができる。
【0026】
〈無機/有機積層膜〉
(無機層)
無機層にはSi、Al、Zr、Ti、Ta、Ce、Hf、La、Geのうち少なくとも1つの元素を含有している化合物からなるものがよい。中でもSiO2, SiN, ZrO2を用いるのが好ましい。
【0027】
(有機層)
有機層には、ポリパラキシリレン類, 脂環式炭化水素樹脂類, ポリメタクリル酸メチル樹脂類, ポリエステル樹脂類, ポリカーボネート樹脂類, ポリジメチルシロキサン類等を用いることができるが、上記に限定されるものではない。また、前記樹脂類に酸化防止剤, 親水安定剤, UV吸収剤等の耐光安定剤が含まれていてもよい。
ここでポリパラキシリレン類とは、ポリパラキシリレン(パリレンN)、ポリモノクロロパラキシリレン(パリレンC)、ポリジクロロパラキシリレン(パリレンD)、ポリテトラフルオロパラキシリレン(パリレンHT)などである。
【0028】
〈反射防止膜〉
反射防止膜51は単層構造を有していても良いし、複数層構造を有しても良い。反射防止膜51は単層構造であっても反射防止機能を発揮できるが、2層以上の層から構成される複数層構造の方が、反射防止効果を高めることができるため好ましい。
この実施形態では、反射防止膜51のうち少なくとも1層が無機化合物層(無機化合物から構成された層)であり、その無機化合物層はSi、Al、Zr、Ti、Ta、Ce、Hf、La、Geのうち少なくとも1つの元素を含有している。
【0029】
次に、対物レンズ37の製造方法について説明する。
〈成形部の形成〉
まず、上記脂環式炭化水素構造を有する樹脂を一定条件下で金型に対して射出成形し、所定形状を有する成形部50を形成する。また、耐光性を向上させるために、1〜2wt%の酸化防止剤を成形部50に含ませても良い。
【0030】
〈無機/有機積層膜〉
無機/有機積層膜52は、無機層及び有機層を順次積層させることにより形成する。ここで、無機層の積層について説明する。
(無機層の積層)
無機層の積層は真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、プラズマCVD法等またはゾルゲル法であってもよいが、好ましくは真空蒸着を利用するのがよい。
真空蒸着では無機層の蒸着源となる無機化合物をセットし、成膜を行う。このとき、必要に応じてチャンバー内に酸素等のガスを導入する。蒸着時の圧力は、1.0×10−3Paから5.0×10−2Paの範囲で行うのが好ましい。
【0031】
次に、有機層の積層について説明する。
(有機層の積層)
有機層の積層は、真空蒸着, 蒸着重合, 化学気相蒸着といった蒸着法であっても、スピンコート, ディップコート, スプレーコート等の液相塗布であってもよいが、好ましくは蒸着重合またはスピンコートを利用するのがよい。また、より好ましくは蒸着重合を利用するのがよい。
(1)スピンコート
有機層のスピンコートは、コート対象である光学素子をスピンコーターにセットし、積層させる有機化合物が溶解した溶液を光学素子に滴下後し、スピンさせることにより達成される。スピンコートは、4000rpmで30秒以上回転させるのが好ましい。
【0032】
(2)蒸着重合
本方法は、積層させたい有機化合物が高分子化合物である場合に可能である。蒸着重合では、蒸着源に積層対象となる有機化合物のモノマーまたはダイマーが気化し、コート対象である光学素子に吸着した際に重合反応が進行し、膜が形成される方法である。このとき、積層させる有機化合物は蒸着重合可能なものであれば何でもよいが、パラキシリレン類を用いるのが好ましい。また、無機層と有機層の密着性を上げるため、有機層積層前にシランカップリング剤による前処理を行うのがよい。シランカップリング剤による前処理では、シランカップリング剤の蒸気が無機材料表面を晒すことによって、その構成分子のシラノール基が無機材料表面と結合する。また、シランカップリング剤の他端のエポキシ基やアミノ基は有機材料と結合しやすくなり、有機層の密着力は高くなる。シランカップリング剤としては、エポキシ基またはアミノ基を有するものを使用するのが好ましい。
パラキシリレン類の有機層を積層させる場合、次のような処理により成膜することができる。はじめに表面に無機層をコートしてある光学素子を真空チャンバにセットし、エポキシ基またはアミノ基を有するシランカップリング剤を40℃〜100℃下で圧力1.0×10Paから1.0×10Paで蒸着させる。続いて、パラキシリレン膜の原料であるダイマーを150℃〜165℃の昇華炉内で気化させ、気化したジパラキシリレンを690℃の熱分解炉内で熱分解してパラキシリレンラジカルを発生させ、発生したパラキシリレンラジカルを4.3〜4.5×10Paに減圧された成膜槽内に導入し、この成膜槽内で、成膜時間をコントロールすることにより、無機層をコートしてある光学素子上にパラキシリレン類からなる有機層を積層させることができる。
【0033】
〈反射防止膜の成膜〉
無機/有機積層膜52の上に反射防止膜51を形成する。この工程は、真空蒸着法等の気相法により行う。蒸着機のチャンバー内に反射防止膜の蒸着源となる無機化合物をセットし、無機/有機積層膜52上に成膜を行う。このとき、必要に応じてチャンバー内に酸素等のガスを導入する。また、反射防止膜が複数の層から構成される場合、蒸着源の化合物を順次変えて蒸着を行うことで、多層膜を得ることができる。またその厚みは、対象とする光学素子の光学機能と該当する膜の機械的特性に照らして不都合が生じない範囲で、自由に変更することが可能である。また、反射防止膜の成膜は真空蒸着法の他に、スパッタリング法、CVD法、プラズマCVD法等の他の気相法により行うこともできる。
【0034】
次に、光ピックアップ装置30の動作について図1を参照して説明する。
光ディスクDへの情報の記録動作時や光ディスクDに記録された情報の再生動作時に、半導体レーザ発振器32からブルーレーザ光が出射される。出射されたブルーレーザ光は、コリメータ33を透過して無限平行光にコリメートされた後、ビームスプリッタ34を透過して、1/4波長板35を透過する。さらに、当該ブルーレーザ光は絞り36及び対物レンズ37を透過した後、光ディスクDの保護基板Dを介して情報記録面Dに集光スポットを形成する。
【0035】
集光スポットを形成したブルーレーザ光は、光ディスクDの情報記録面Dで情報ビットによって変調され、情報記録面Dによって反射される。そして、この反射光は、対物レンズ37及び絞り36を順次透過した後、1/4波長板35によって偏光方向が変更され、ビームスプリッタ34で反射する。その後、当該反射光は、センサーレンズ群38を透過して非点収差が与えられ、センサー39で受光されて、最終的には、センサー39によって光電変換されることによって電気的な信号となる。
【0036】
以後、このような動作が繰り返し行われ、光ディスクDに対する情報の記録動作や、光ディスクDに記録された情報の再生動作が完了する。
【0037】
以上のように、脂環式炭化水素構造を有する樹脂製の成形部50の表面に、無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜52及びその上に無機化合物からなる反射防止膜51を形成することで、成形部50の表面と無機層との界面及び無機層間で生じる応力を緩和することができる。その結果、マイクロクラック発生が抑えられ、コート膜の膜密着性低下やコート膜の酸素ガスバリア性低下による成形部50の酸化劣化を起点とするレンズ特性の劣化、すなわち収差変動の進行、透過率低下、表面形状変化進行を抑えることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。
(樹脂レンズ(成形部50)の作製)
脂環式炭化水素構造を有する樹脂として、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとエチレンの共重合体を用い、これにHALSとしてビス−[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]セバシエートを2w%添加し使用し、当該樹脂を射出成形して有効径φ3mm、開口数0.85の対物レンズ(成形部50)を作製した。また、成形部50に2wt%の酸化防止剤Irgafos12を含有させた。
【0039】
[実施例1の試料作製]
前記工程により得られた成形部50にSiN層を真空蒸着により積層した。本検討では、真空蒸着機ACE1150(シンクロン社製)を用いて真空蒸着を行った。具体的には窒素ガスを導入しながら圧力1.0×10−2Pa下、成膜レート3Å / secでSiN層を20nm積層した。
続いて、ポリジクロロパラキシリレン層を蒸着重合により積層した。本検討では、シランカップリング剤による前処理とパリレン蒸着重合はパリレン蒸着装置ラボコータPDS-2010(日本パリレン株式会社製)を用いて行った。SiN層を積層させた光学素子をパリレン蒸着装置にセットし、パリレン蒸着の前処理として5mlのアミノプロピルトリメトキシシランを80℃, 圧力1.0×10Paで蒸着させた。続いて5gのジクロロパラキシリレンダイマーを160℃, 1.3×10Pa下昇華炉内で気化させ、気化させた後、690℃, 65Pa下で熱分解してジクロロパラキシリレンラジカルを発生させ、発生したジクロロパラキシリレンラジカルを25℃, 13Pa下で蒸着重合させることで膜厚50nmのジクロロパラキシリレン膜を積層させた。続いて、反射防止膜SiN/ SiO2層の積層を行った。ここで反射防止膜の蒸着には、真空蒸着機ACE1150(シンクロン社製)を用いた。反射防止膜のSiN層積層は、第1層目のSiN層積層と同様の方法により20nm積層した。続いて、圧力1.0×10−3Pa下でSiO2を20nm積層し、目的の試料を得た。
【0040】
[実施例2の試料作製]
実施例1のSiO2層真空蒸着と同様の方法により、成形部50にSiO2層を20nm積層させた。続いて実施例1のジクロロパラキシリレン膜積層と同様の方法により膜厚50nmのジクロロパラキシリレン膜を積層させた。続いて、反射防止膜SiO2 / ZrO2 / SiO2層の積層を行った。圧力1.0×10−3Pa下でSiO2を100nm、酸素ガスを導入しながら圧力1.0×10−2Pa下でZrO2を20nm、圧力1.0×10−3Pa下でSiO2を20nm蒸着し、目的の試料を得た。
【0041】
[実施例3の試料作製]
実施例1のSiN層真空蒸着と同様の方法により、成形部50にSiN層を20nm積層させた。続いて、脂環式炭化水素構造を有する樹脂を積層させた。具体的には、SiN層を積層させた成形部50をスピンコーターにセットし、成形部50形成に用いた脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液(10w%)を10μL滴下し、4000rpmで30秒間回転させることで膜厚50nmの脂環式炭化水素構造を有する樹脂膜を積層させた。続いて、実施例1と同様の方法により反射防止膜SiN/ SiO2層の積層を行うことで目的の試料を得た。
【0042】
[実施例4の試料作製]
実施例2において、有機層としてジクロロパラキシリレン膜の代わりに、実施例3と同様の方法により脂環式炭化水素構造を有する樹脂を積層させることにより目的の試料を得た。
【0043】
[実施例5の試料作製]
実施例1において、有機層の原料のジクロロパラキシリレンダイマーの仕込み量を1gとしてジクロロパラキシリレン層の膜厚を10nmとすることで目的の試料を得た。
【0044】
[実施例6の試料作製]
実施例2において、有機層の原料のジクロロパラキシリレンダイマーの仕込み量を1gとしてジクロロパラキシリレン層の膜厚を10nmとして目的の試料を得た。
【0045】
[実施例7の試料作製]
実施例3において、脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液の濃度を4w%とすることで脂環式炭化水素構造を有する樹脂層の膜厚を10nmとして目的の試料を得た。
【0046】
[実施例8の試料作製]
実施例4において、脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液の濃度を4w%とすることで脂環式炭化水素構造を有する樹脂層の膜厚を10nmとして目的の試料を得た。
【0047】
[実施例9の試料作製]
実施例1において、有機層の原料のジクロロパラキシリレンダイマーの仕込み量を10gとしてジクロロパラキシリレン層の膜厚を100nmとすることで目的の試料を得た。
【0048】
[実施例10の試料作製]
実施例2において、有機層の原料のジクロロパラキシリレンダイマーの仕込み量を10gとしてジクロロパラキシリレン層の膜厚を100nmとすることで目的の試料を得た。
【0049】
[実施例11の試料作製]
実施例3において、脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液の濃度を15w%とすることで脂環式炭化水素構造を有する樹脂層の膜厚を100nmとして目的の試料を得た。
【0050】
[実施例12の試料作製]
実施例4において、脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液の濃度を15w%とすることで脂環式炭化水素構造を有する樹脂層の膜厚を100nmとして目的の試料を得た。
【0051】
[実施例13の試料作製]
実施例1において、有機層の原料のジクロロパラキシリレンダイマーの仕込み量0.5gとしてジクロロパラキシリレン層の膜厚を5nmとすることで目的の試料を得た。
【0052】
[実施例14の試料作製]
実施例2において、有機層の原料のジクロロパラキシリレンダイマーの仕込み量0.5gとしてジクロロパラキシリレン層の膜厚を5nmとすることで目的の試料を得た。
【0053】
[実施例15の試料作製]
実施例3において、脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液の濃度を1w%とすることで脂環式炭化水素構造を有する樹脂層の膜厚を10nmとして目的の試料を得た。
【0054】
[実施例16の試料作製]
実施例4において、脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液の濃度を1w%とすることで脂環式炭化水素構造を有する樹脂層の膜厚を10nmとして目的の試料を得た。
【0055】
[実施例17の試料作製]
実施例1において、有機層の原料のジクロロパラキシリレンダイマーの仕込み量を20gとしてジクロロパラキシリレン層の膜厚を200nmとすることで目的の試料を得た。
【0056】
[実施例18の試料作製]
実施例2において、有機層の原料のジクロロパラキシリレンダイマーの仕込み量を20gとしてジクロロパラキシリレン層の膜厚を200nmとすることで目的の試料を得た。
【0057】
[実施例19の試料作製]
実施例3において、脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液の濃度を20w%とすることで脂環式炭化水素構造を有する樹脂層の膜厚を200nmとして目的の試料を得た。
【0058】
[実施例20の試料作製]
実施例4において、脂環式炭化水素構造を有する樹脂のシクロへキサン溶液の濃度を20w%とすることで脂環式炭化水素構造を有する樹脂層の膜厚を200nmとして目的の試料を得た。
【0059】
[比較例1の試料作製]
実施例1において、反射防止膜SiN/ SiO2層のみを積層することにより目的の試料を得た。
【0060】
[比較例2の試料作製]
実施例1において、反射防止膜SiO2 / ZrO2 / SiO2層のみを積層することにより目的の試料を得た。
【0061】
[比較例3の試料作製]
実施例1において、第1層目のSiN層蒸着を行わないことにより目的の試料を得た。
【0062】
[比較例4の試料作製]
実施例2において、第1層目のSiO2層蒸着を行わないことにより目的の試料を得た。
【0063】
[比較例5の試料作製]
実施例3において、第1層目のSiN層蒸着を行わないことにより目的の試料を得た。
【0064】
[比較例6の試料作製]
実施例4において、第1層目のSiO2層蒸着を行わないことにより目的の試料を得た。
【0065】
[比較例7の試料作製]
成形部50に実施例1と同様の方法によりポリジクロロパラキシリレンを50nm積層させることにより目的の試料を得た。
【0066】
[比較例8の試料作製]
成形部50に実施例と同様の方法によりポリジクロロパラキシリレンを50nm積層させることにより目的の試料を得た。
【0067】
(評価)
続いて、上記各試料の評価法について説明する。
(1)有機層の膜厚測定
有機層の膜厚は、試料成膜面の反射率測定及び得られた反射率スペクトルの屈折率と膜厚相関シミュレーション計算ソフトを用いて求めた。反射率測定にはUSPM-RU III(オリンパス社製)を、シミュレーション計算ソフトにはTFCalc 3.5.6(Software Spectra社製)を用いた。
【0068】
(2)マイクロクラックの評価
マイクロクラックの発生は、共焦点レーザ顕微鏡(LEXT OLS3500, オリンパス製)観察により評価した。具体的には、レーザ照射後試料のレーザ照射部位において0.1μm以上のマイクロクラックが発生しているかを評価した。
【0069】
(3)収差の評価
収差は、各サンプルについて75 ℃下、35 mW, 405 nmのレーザ光を500時間照射した際の球面収差の変動(ΔSA)を干渉計にて測定した。その測定結果を表1に示す。表1中、ΔSAの評価基準を下記の通りとした。
《球面収差の変動(ΔSA)》
レーザ照射前後で変化がない→◎
レーザ処理前後で5mλ以下の変化を生じた→○
レーザ処理前後で5mλより大きく、10mλ以下の変化を生じた→△
レーザ照射前後で10mλより大きい変化を生じた→×
【0070】
(4)白濁の評価
白濁は、各サンプルについて75 ℃下、35 mW, 405 nmのレーザ光を500時間照射した際のレンズの中心φ1mmのエリアの透過率で評価した。具体的には、分光光度計U−4100(日立ハイテク製)でサンプルの405nmにおける透過率を測定することにより評価した。その結果を表1に示す。表1中、白濁の評価基準を下記の通りとした。
《白濁の評価》
75 ℃下、35 mW, 405 nmのレーザ光を透過させた場合の透過率測定
透過率が98 %以上→◎
透過率が96 %以上98 %未満→○
透過率が94 %以上96 %未満→△
透過率が94 %未満→×
【0071】
(5)表面形状の評価
表面形状は、各サンプルについて75 ℃下、35 mW, 405 nmのレーザ光を500時間照射した際のレンズの中心φ1mmのエリアの表面形状変化で評価した。具体的には、3次元光干渉粗さ計(WYKO NT9800, Veeco社製)を用いて表面形状変化を測定した。その測定結果を表1に示す。表1中、表面形状変化の評価基準を下記の通りとした。
《表面形状評価》
75 ℃下、35 mW, 405 nmのレーザ光を透過させた場合の表面形状測定
レーザ処理前後で0.005μm以下の変化を生じた→◎
レーザ処理前後で0.005μmより大きく0.008μm以下の変化を生じた→○
レーザ処理前後で0.008μmより大きく0.010μm以下の変化を生じた→△
レーザ照射前後で0.010mλより大きい変化を生じた→×
【0072】
【表1】

【0073】
(まとめ)
以上のように、実施例1から実施例20のように、成形部50の表面に無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜有する対物レンズ37では、レーザ照射の際に発生する応力が緩和され、マイクロクラックの発生が抑えられていた。さらに、表面形状変化、収差変動ΔSA及び白濁といった耐光性についても良好な結果が得られた。
さらに、有機層として蒸着重合により膜厚10nm〜100nmの範囲でポリジクロロパラキシリレンを積層させ、無機層にSiNを含む膜を積層させた試料の場合(実施例1,5,9)、より高い耐光性が見られた。これは、有機層による応力の緩和効果に加え、水蒸気及び酸素ガスバリア性の高いポリジクロロパラキシリレンとSiNの効果が寄与したためであると考えられる。
【0074】
以上のことから、成形部50の表面に無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜52を有する対物レンズ37では、レーザ照射の際に発生する応力が緩和され、マイクロクラックによる表面劣化や、マイクロクラックを介した水蒸気や酸素ガスの侵入を抑えることができたため、高い耐光性が実現したと考えることができる。
一方で、無機/有機積層膜の導入をしていない比較例1及び比較例2では、マイクロクラックの発生が見られた。このため、樹脂への水蒸気や酸素ガスの侵入を抑えることができず、耐光性が悪くなるという結果であった。
また、成形部50の表面に有機層をポリジクロロパラキシリレンとして有機−無機層の順で有機/無機積層膜を導入した比較例3及び比較例4では、成形部50とポリジクロロパラキシリレン層の界面の膜密着性が悪く、レーザ照射直後にマイクロクラックが起こった。このため、樹脂への水蒸気や酸素ガスの侵入を抑えることができず、耐光性が悪くなるという結果であった。
また、成形部50の表面に有機層を脂環式炭化水素構造を有する樹脂として有機−無機層の順で有機/無機積層膜を導入した比較例5及び比較例6では、成形部50に脂環式炭化水素構造を有する樹脂溶液をコートした際に、成形部50表面の部分的な溶解が発生し、コート後の表面形状に歪みが生じた。このため、有機層の上へ積層させた無機膜の密着性が低下し、レーザ照射直後にマイクロクラックが起こった。このため、樹脂への水蒸気や酸素ガスの侵入を抑えることができず、耐光性が悪くなるという結果であった。
また、成形部50の表面に有機層のポリジクロロパラキシリレンのみを導入した比較例7では、成形部50とポリジクロロパラキシリレン層の界面の膜密着性が悪く、レーザ照射直後にマイクロクラックが起こった。このため、樹脂への水蒸気や酸素ガスの侵入を抑えることができず、耐光性が悪くなるという結果であった。
また、成形部50の表面に有機層の脂環式炭化水素構造を有する樹脂のみを導入した比較例8では、成形部50に脂環式炭化水素構造を有する樹脂溶液をコートした際に、成形部50表面の部分的な溶解が発生し、コート後の表面形状に歪みが生じた。このため、成形部50全体の応力は大きくなり、レーザ照射直後にマイクロクラックが起こった。このため、樹脂への水蒸気や酸素ガスの侵入を抑えることができず、耐光性が悪くなるという結果であった。
なお、実施例として挙げていないものであっても、成形部50の表面に無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜52を有する対物レンズ37では、実施例1から実施例6と同様に良好な結果が得られた。
【符号の説明】
【0075】
30 光ピックアップ装置
32 半導体レーザ発振器
33 コリメータ
34 ビームスプリッタ
35 1/4波長板
36 絞り
37 対物レンズ(光学素子)
37a 表面
37b 裏面
38 センサーレンズ群
39 センサー
40 2次元アクチュエータ
50 成形部
51 反射防止膜
52 無機/有機積層膜
D 光ディスク
保護基板
情報記録面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料から成形された成形部を有する光学素子であって、
前記樹脂材料は、脂環式炭化水素構造を有し、
前記成形部の表面に少なくとも無機層−有機層の順からなる少なくとも一対の無機/有機積層膜を有することを特徴とする光学素子。
【請求項2】
最外に反射防止機能がある無機層を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記有機層の厚みが10nm〜100nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記無機/有機積層膜を構成する無機層は、蒸着で成膜した窒化珪素を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項5】
前記無機/有機積層膜を構成する有機層は、蒸着重合により成膜したパラキシリレン類を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項6】
樹脂材料から成形された成形部を有する光学素子の製造方法であって、
前記樹脂材料は、脂環式炭化水素構造を有し、
前記成形部の表面に少なくとも一対の、真空蒸着により成膜した窒化珪素からなる無機層と、当該無機層上に蒸着重合により成膜したパラキシリレン類からなる有機層とを有する無機/有機積層膜を設けることを特徴とする光学素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−107509(P2011−107509A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263861(P2009−263861)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】