説明

光学素子用内面反射防止黒色塗料

【課題】高屈折率の光学素子に対しても十分な内面反射防止効果があり、かつ塗料を長期保管した場合でも、塗膜作業性を確保できる光学素子用内面反射防止黒色塗料を提供すること。
【解決手段】二酸化チタンとカーボンブラックとバインダ樹脂と分散剤と溶剤とを含有する塗料であり、二酸化チタンはメタノール疎水化度が30〜80%、pHが3.0〜8.0、かつ塗料固形分中35〜75質量%含有され、カーボンブラックは揮発分が0.6〜6.0質量%、pHが3.0〜8.0、かつ塗料固形分中2〜20質量%含有され、分散剤としてフタロシアニン化合物および高分子系分散剤を併用し、フタロシアニン化合物はカーボンブラック100質量%に対し1〜20質量%以下含有され、高分子分散剤はアミン価が5〜100mgKOH/gであり、二酸化チタンとカーボンブラックの合計を100質量%としたときに5〜40質量%含有される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズやプリズム等の光学素子の縁や稜部、コバなどの周辺部に塗布膜を形成し、フレアやゴーストの発生原因となる迷光を吸収するための、光学素子用内面反射防止黒色塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズやプリズム等の光学素子を組み合わせて構成される光学系では、各光学素子の縁や稜部などの周辺部に光が差し込むと乱反射や散乱による迷光を生じ、結像した画像にゴーストやフレアが発生し、画質低下の原因の一つとなってしまう。
【0003】
そこで、このような迷光による光学性能の低下を抑制するため、光学素子の縁や稜部などの周辺部に内面反射防止のため、高屈折率の黒色塗料の塗膜を形成している。
【0004】
そこでこのような内面反射防止機能を有する塗料として、屈折率が1.5以上で粒子径が0.1μm以下の黒色顔料を含有する方法、屈折率が1.5以上で粒子径が0.1μm以下の非黒色無機粒子と黒色顔料を含有する方法が提案されている。(特許文献1)。
【0005】
しかし昨今求められる1.7以上という高屈折率の光学素子についてここで提案された構成を用いた場合、十分な内面反射防止効果を得る為には塗膜固形分に対する高屈折率無機粒子の含有率が最低でも35質量%以上が必要であった。しかし、このような高い無機顔料含有率の塗料を作成しても塗料の経時安定性が悪く、塗料を室温で数日保管しただけで急激な粘度上昇の発生により、塗工作業そのものが困難となることが分かった。
【0006】
このため、高屈折率の光学素子に対しても十分な内面反射防止効果があり、かつ塗料を長期保管した場合でも、塗膜作業性を確保可能な光学素子用内面反射防止黒色塗料の開発が待たれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−82510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高屈折率の光学素子に対しても十分な内面反射防止効果があり、かつ塗料を長期保管した場合でも、塗膜作業性を確保できる光学素子用内面反射防止黒色塗料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、
少なくとも二酸化チタンと、カーボンブラックと、バインダ樹脂と、分散剤と、溶剤と、を含有する光学素子用内面反射防止黒色塗料において、
前記二酸化チタンは、メタノール疎水化度が30%以上80%以下であり、pHが3.0以上8.0以下であり、かつ前記光学素子用内面反射防止黒色塗料の固形分に対して35質量%以上75質量%以下含有され、
前記カーボンブラックは、揮発分が0.6質量%以上6.0質量%以下であり、pHが3.0以上8.0以下であり、かつ前記光学素子用内面反射防止黒色塗料の固形分に対して2質量%以上20質量%以下含有され、
前記分散剤は、フタロシアニン化合物と高分子系分散剤とを併用したものであり、
前記フタロシアニン化合物は、前記カーボンブラック100質量%に対して1質量%以上20質量%以下含有され、
前記高分子分散剤は、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、前記二酸化チタンと前記カーボンブラックの合計を100質量%としたときに5質量%以上40質量%以下含有されることを特徴とする光学素子用内面反射防止黒色塗料である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高屈折率の光学素子に対しても十分な内面反射防止効果があり、かつ塗料を長期保管した場合でも、塗膜作業性を確保できる光学素子用内面反射防止黒色塗料を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の光学素子用内面反射防止黒色塗料をカメラ用レンズに塗工して、反射防止膜を形成した一例を示す断面概略図である。
【図2】本発明の光学素子用内面反射防止黒色塗料を直角三角プリズムに塗工して、反射防止膜を形成した内面反射率評価用試料の概略図である。
【図3】分光光度計による内面反射率の測定方法を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、少なくとも二酸化チタンと、カーボンブラックと、バインダ樹脂と、分散剤と、溶剤と、を含有する光学素子用内面反射防止黒色塗料において、
前記二酸化チタンは、メタノール疎水化度が30%以上80%以下であり、pHが3.0以上8.0以下であり、かつ前記光学素子用内面反射防止黒色塗料の固形分に対して35質量%以上75質量%以下含有され、
前記カーボンブラックは、揮発分が0.6質量%以上6.0質量%以下であり、pHが3.0以上8.0以下であり、かつ前記光学素子用内面反射防止黒色塗料の固形分に対して2質量%以上20質量%以下含有され、
前記分散剤は、フタロシアニン化合物と高分子系分散剤とを併用したものであり、
前記フタロシアニン化合物は、前記カーボンブラック100質量%に対して1質量%以上20質量%以下含有され、
前記高分子分散剤は、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、前記二酸化チタンと前記カーボンブラックの合計を100質量%としたときに5質量%以上40質量%以下含有されることを特徴とする。
【0013】
図1は、本発明の反射防止黒色塗料を光学素子の一形態であるカメラ用レンズに塗工した一例の断面概略図である。ここでは、レンズ1のコバ縁に本発明の反射防止黒色塗料の塗膜2を形成している。この塗膜2により、レンズ外から差し込む入射光3のうちコバ縁に到達し内面反射する光(迷光)4を抑制・防止し、カメラで撮影した画像にいわゆるゴーストやフレアといった現象が抑制されている。
【0014】
内面反射光の抑制・防止の度合いは、例えば、図2のような直角三角プリズム5の底面全面に塗膜2を形成し、図3のような測定法にて内面反射率を測定することで測定可能である。
光源6から放出された光をN偏光に設定した偏光板12に通し、スリット13にて集光した入射光7を、直角三角プリズム5内に差込ませ、塗膜2にて内面反射させ、三角プリズムから放出された(内面)反射光8を積分球・光受光器9で受光し光強度を計測する。この時、内面反射光8の測定値は、偏光板12の向き、スリット13による入射光7の集光の程度や、直角三角プリズム5の大きさや積分球9との距離A、積分球9の大きさや同開口径の大きさBなどによって、値が異なってくるので注意が必要である。
なお、塗膜2のない直角三角プリズム5において、その屈折率をn、空気の屈折率を1.0とした場合、プリズム底面での入射光7の全反射の臨界角は、プリズム底面に対する鉛直線(垂線)10とのなす角度をθとすると、スネルの法則により、下記式で求まる。
θ=sin−1(sin90°/n)
すなわち、n=1.8の直角三角プリズム5では、θ=sin−1(sin90°/1.8)≒33.7°が臨界角で、入射光7が33.7°乃至90°の入射角で、全反射を起こす。
このような全反射を起こす角度領域を狭くするには、塗膜7の屈折率を直角三角プリズムの屈折率に近づける、あるいはそれ以上にすることが有効とされている。
【0015】
本発明の反射防止黒色塗料によれば、塗膜の屈折率を向上させるために高屈折剤である二酸化チタン(屈折率2.5乃至2.7)を塗料固形分に対し35質量%以上という高い含有率で、さらに光吸収剤としてカーボンブラックを塗料固形分に対し2%以上含有することが可能となり、かつ得られた反射防止黒色塗料の経時安定性が高いため、高屈折の光学素子用の内面反射防止黒色塗料として好適である。
これを実現させることが可能となった本発明では、該二酸化チタンのメタノール疎水化度を30%以上80%以下かつ、pHを3.0以上8.0以下に限定されるものを用い、該カーボンブラックの揮発分を0.6質量%以上6.0質量%以下かつ、pHを3.0以上8.0以下に限定されるものを用いることにより、通常起こりうることが懸念される両者顔料同士間での凝集を防止することができる。
さらに、該二酸化チタンおよび該カーボンブラック(以下、「両顔料粒子」と略すことがある。)の経時分散安定性を高めるため、分散剤としてフタロシアニン化合物と高分子系分散剤とを併用し、上記で規定したpHに対して、アミン価が5mg/KOH以上100mg/KOH以下の高分子系分散剤を、両顔料粒子表面の極性部分にそれぞれ吸着させ、両者顔料同士間での凝集防止効果を維持させた。さらに、自己凝集力が高いカーボンブラックには、その疎水性表面部分にπ電子共役系を平面構造として持つフタロシアニン化合物を効率よく吸着させ、かつ高分子系分散剤のカーボンブラックへの吸着を阻害しないために、pH3.0乃至8.0に限定することで、本発明を見出すことに成功した。
【0016】
ここで、該高分子系分散剤および該フタロシアニン化合物は、両顔料粒子表面に効果的に吸着させるべく、本発明の反射防止黒色塗料に用いる溶剤中で溶解し、分子レベルにまで分離されることが望ましい。
本課題を解決するに至った本発明の反射防止塗料に含有する各材料の特徴および製造方法は下記の通りである。
【0017】
(二酸化チタン)
二酸化チタンは、通常硫酸法、塩素法など湿式法により合成したものが使用できる。これら湿式法で合成される際にはアンモニア等の塩基を加え中性化させて製造されるが、この塩基の添加量の増減や、得られた二酸化チタンの洗浄方法を調整などすることにより、pH2.0〜10.0程度の範囲で調整ができる。本発明で用いる二酸化チタンはpH3.0以上8.0以下に調整されたものを用いる。pHが3.0よりも小さいと相対的に塩基性の官能基を有するカーボンブラックとの相互作用により凝集してしまう懸念が出てくる。またpH8.0より大きいと本発明に用いる高分子系分散剤との親和性が弱く凝集しやすくなってしまう。
【0018】
二酸化チタンのpHの測定方法は、ビーカーに二酸化チタン5.0g、蒸留水(高速液体クロマト用、キシダ化学株式会社製)100ml、エチルアルコール(純分99.5%以上、高速液体クロマト用、キシダ化学株式会社製)5mlを加え、ビーカーを時計皿で(密閉しない程度に)覆い、5分間煮沸させる。常温まで冷却し、煮沸で減量分した分量の蒸留水を補填混合した後、上澄み液についてガラス電極pH計によって求めることができる。
また本発明で用いる二酸化チタンのメタノール疎水化度は30%以上80%以下である必要がある。30%より低いと、二酸化チタン表面に親水性官能基が多く存在することにより二酸化チタン自身の自己凝集が発生しやすくなり、ひいては経時により凝集塊が沈降しケーキングを引き起こしてしまう。また80%より大きいと、二酸化チタン表面に高分子分散剤と親和性を確保する官能基が極端に少なくなり、疎水性官能基同士が緩やかな分子間力による凝集で、経時により粘度上昇を引き起こしてしまう。
二酸化チタンのメタノール疎水化度を制御するには、例えばアルキルシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーン、チタネートカップリング剤、ジルコニア、アルミナ、シリカなどにより表面処理を施す方法が挙げられ、これらの表面処理剤を1種類あるいは複数種併用することあるいは表面処理剤の量を調節することが可能である。
好ましくは、アルキルシラン化合物による疎水処理で、具体的にはメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシランなどがあげられる。
【0019】
二酸化チタンのメタノール疎水化度(%)は、室温(約25℃)において、200mlのビーカーに試料0.1gを計量し、イオン交換水50gを加えマグネチックスターラで攪拌する。その中に、メタノールを、ビュレットから10秒ごとに約2ml滴下し、液面上に浮いた試料が完全になくなった状態を終点として、次式からメタノール疎水化度(%)を算出する。
メタノール疎水化度(%)=[滴定量/(滴定量+50)]×100
【0020】
上記のように二酸化チタンに表面処理を施すと、表面処理前に対してpHが僅かに変化する場合があるが、最終的にメタノール疎水化度が30%以上80%以下でかつ、pHが3.0以上8.0以下の範囲に収まっていれば差し支えない。
また、本発明で用いる二酸化チタンの平均一次粒子径は7nm以上50nm以下であることが好ましい。
また本発明に用いる二酸化チタンは塗料固形分に対し35質量%以上75質量%以下とする必要がある。35質量%より少ないと、光学素子の屈折率が1.7以上、さらには1.8以上となった場合、十分な内面反射防止効果を得られなくなる。逆に75質量%より多いと、塗膜を構成するバインダの量が極端に少ないため、塗膜強度が弱くなり光学素子から剥がれ落ちやすくなるという懸念が生じる。
【0021】
ここで、二酸化チタン粒子の表面には、通常水分が数質量%程度付着しているため、塗料固形分中の二酸化チタン量T(質量%)を求める場合、以下のように換算する。
1)まず、配合に使用する二酸化チタン粒子中に含有する、水分を除く二酸化チタン固形分(質量%)を求める。デシケータ内に保管して十分に乾燥したアルミ皿に、二酸化チタン粉末をX1(g)計量する。次に、この二酸化チタンの入ったアルミ皿を140℃、1時間乾燥機に入れ、二酸化チタン表面に付着している水分を揮発させる。乾燥機から取り出したアルミ皿を、デシケータに保管し、ゆっくり室温まで冷ます。このアルミ皿に残った乾燥二酸化チタンをX2(g)計量する。そして、二酸化チタンの固形分A1(質量%)を下記式で求める。
A1=[(X2)/(X1)]/100
2)次に、この二酸化チタンを用いた塗料を配合調製し、この塗料全体に対する二酸化チタンの配合量(質量%)をA2とおく。
3)配合調製した塗料を、デシケータに保管して十分に乾燥したアルミ皿にZ1(g)計量する。この塗料の入ったアルミ皿を室温にて30分放置した後、140℃、1時間乾燥機に入れ、乾燥・硬化させる。乾燥機から取り出したアルミ皿を、デシケータに保管し、ゆっくり室温まで冷ます。このアルミ皿に残った乾燥・硬化した塗料固形物をZ2(g)計量する。
4)以上の測定結果より、塗料固形分中の二酸化チタン量T(質量%)を下記式1で求める。
T=[(Z1)×(A2)×(A1)]/[(Z2)×100] (式1)
本発明においては、上記二酸化チタンは、塗料固形分に対して35質量%以上75質量%以下含有することが必要である。35質量%より少ないと、十分な内面反射防止効果を発揮することができない。また75質量%より多いと、塗料固形分中に占めるバインダ樹脂の比率が少なくなりすぎてしまい、塗膜の強度が低下する恐れがある。
また本発明に使用する二酸化チタンの平均一次粒子径は、7nm以上50nm以下であることが好ましい。
ここで、二酸化チタンの平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡の観察画像により、求めることが出来る。
本発明においては、上記二酸化チタンは上記疎水化処理の異なるもの、pHが異なるものなどを、2種以上混合して使用しても良い。
【0022】
(カーボンブラック)
本発明では光吸収剤としてカーボンブラックを使用する。カーボンブラックは赤外から紫外領域までの波長の光を吸収することができ、光吸収剤として極めて優れた材料であるが、塗料中に均一に分散しなければ、光吸収性能(内面反射防止性能)落ちてしまう。
特に塗料中に他の分散粒子が存在する場合(本発明では二酸化チタンにあたる)、その分散粒子との相互作用で凝集が起きないよう配合材料の選定には注意が必要である。
【0023】
特に本発明の塗料中には、塗料固形分に対して上記の特徴を有する二酸化チタンを35質量%以上75質量%以下含有・分散している。
そこで本発明では、使用するカーボンブラックの揮発分を0.6質量%以上6.0質量%以下で、かつpHが3.0以上8.0以下のものを採用することを特徴としている。
カーボンブラックの揮発分が0.6質量%より少ないと、カーボンブラック表面に存在する親水性官能基が極僅かしかなく疎水性が高くなりすぎ、本発明で用いる高分子分散剤が吸着しづらくなり、カーボンブラック粒子同士の自己凝集が起こりやすくなってしまう。また,6.0質量%より多いと、カーボンブラック表面に存在する親水性官能基が多すぎ、フタロシアニン化合物との親和性が弱くなり、カーボンブラック粒子が適度に分散されなくなってしまう。ここでカーボンブラックの揮発分とは、カーボンブラックの表面官能基がCO、CO、HOなどの形で脱離したものであり、カーボンブラックをルツボに入れ、950℃で7分間加熱した時の減量の百分率(%)で表したものをいう。
またカーボンブラックのpHが3.0より小さいと、カーボンブラック表面に存在する酸性の親水性官能基が多すぎてしまい、相対的に塩基性の官能基を有する二酸化チタンと相互作用し凝集する懸念がある。またpHが8.0より大きいと、カーボンブラック表面に存在する酸性の親水性官能基数が少なくなりすぎ、本発明で用いる高分子系分散剤が吸着しにくくなり、カーボンブラック粒子同士の自己凝集が起こりやすくなってしまう。
カーボンブラックのpHは、上記二酸化チタンのpHを測定する方法において、二酸化チタンをカーボンブラックに置き換え、同様の方法にて求めることができる。
【0024】
さらに本発明で用いるカーボンブラックの平均一次粒子径は14nm以上80nm以下であることが好ましく、DBP吸収量は40ml/100g以上170ml/100g以下であることが好ましい。ここで、カーボンブラックの平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡の観察画像により求めることが出来る。またここで、DBP吸収量は、JIS K6217に準拠する。
これらカーボンブラックは、1種を、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。
【0025】
さらに上記カーボンブラックは塗料固形分に対し2質量%以上20質量%以下含有させる必要がある。カーボンブラックが2質量%より少ないと、カーボンブラックの光吸収性が二酸化チタンの光散乱性と比較して弱くなり、急激に内面反射率が高くなってしまう。また20質量%より多いと、塗料中でカーボンブラックの分散安定性が悪化し経時保管安定性が悪くなってしまう。
また、本発明に用いるカーボンブラックの表面にも二酸化チタンと同様、通常水分が数質量%程度付着していると考えられる。塗料固形分中のカーボンブラック量(質量%)は、二酸化チタン量(質量%)を求める「式1」について、「二酸化チタン」を「カーボンブラック」に置き換えることで同様に求めることができる。
本発明に使用するカーボンブラックは、特に限定されないが、例えば、チャンネルブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ボーンブラックなどを挙げることができる。これらのカーボンブラックの中でも、好ましくはチャネルブラック、ガスファーネスブラックおよびオイルファーネスブラックが分散性に優れていて良い。
【0026】
(フタロシアニン化合物)
本発明に用いるフタロシアニン化合物の構造は下記式で示される。
【化1】

上記構造式において、Mは中心金属あるいは無金属(配位位置の4つの窒素のうち2つは水素が結合する)、X〜XはCl、Br、アルキルスルホニル、カルボキシル、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、チオール、チオニル、チオエステル、イミン、イミドメチル、フタルイミドメチル、クロロメチル、クロロスルホニル、スルホン酸塩、スルホニルアミド、スルフィド、スルフォキシド、アルキルアミド、アルキル、アルキルアミノ、芳香族アミンなどの置換基を表し、n、m、l、kは0から4の整数である。
また、フタロシアニンの中心金属は、イオン結合的な要素の強いNa、K、Be、Ca、Ba、Cd、Mg及びHg等の元素や、共有結合的要素の強いCu、Fe、Zn、Co、Pt、Cr、Ni及びPt等が挙げられる。
【0027】
上記フタロシアニン化合物は様々な方法で合成されるが、例えば金属塩の存在下ジイミノイソインドレニンから合成する方法、金属塩化物存在下フタロニトリルを前駆体として用いる方法(フタロニトリル法)、無水フタル酸、金属塩および尿素を用いる方法(ワイラー法)などがある。その中でも特に、銅フタロシアニン化合物が好ましい。
また、ジイミノイソインドレニンあるいはフタロニトリル(1,2-ジシアノベンゼン)から直接合成することにより、無金属フタロシアニン化合物を合成することも可能であり、本発明のフタロシアニン化合物として利用することができる。
【0028】
一般にフタロシアニン化合物は様々なものがあるが、本発明で用いられるフタロシアニン化合物は塗料中で本発明に用いるカーボンブラックの疎水性表面部分に吸着し、カーボンブラック同士の凝集を防止するために使用する。本発明に使用するフタロシアニン化合物のpHは3.0以上8.0以下であることが好ましい。
ここでフタロシアニン化合物のpHは、上記二酸化チタンのpHを測定する方法において、二酸化チタンをフタロシアニン化合物に置き換え、同様の方法にて求めることができる。
【0029】
本発明に用いることのできるフタロシアニン化合物としては、例えば以下のものが市販されている。
オリヱント化学工業株式会社製、VALIFAST BLUE2670(pH7.7)。保土谷化学工業株式会社製、Aizen Spilon Blue2BNH(pH7.5)。BASFジャパン株式会社製、EFKA6745(pH4.5)。日本ルーブリゾール株式会社製、SOLSPERS5000(pH3.8)。ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK−SYNERGIST2100(pH6.1)。
フタロシアニン化合物の添加量は、導電性微粒子100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、より好ましくは1〜50質量部である。0.1質量部より少ないと導電粒子の沈降や抵抗変化を抑制する効果が小さくなるし、100質量部より多いとフタロシアニン化合物自体が再凝集物をし始めてしまうので好ましくない。
フタロシアニン化合物は、カーボンブラック100質量%に対して1質量%以上20質量%以下含有させるのが好ましい。
【0030】
(高分子系分散剤)
本発明で用いる高分子系分散剤は、本発明に使用するカーボンブラックと二酸化チタンの表面に吸着させ分散安定化させる為に用いる。
本発明で用いる高分子系分散剤とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。好ましくは重量平均分子量2,000〜300,000の範囲であり、さらに好ましくは重量平均分子量3,000〜10,000の範囲である。
高分子系分散剤の主鎖骨格は、特に制限は無いが、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリウレア骨格等が挙げられ、インク組成物の保存安定性の点で、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格が好ましい。また、高分子系分散剤の構造に関しても特に制限はないが、ランダム構造、ブロック構造、くし型構造、星型構造等が挙げられ、同様に保存安定性の点で、ブロック構造又はくし型構造が好ましい。
【0031】
さらに本発明に用いる高分子系分散剤はアミン価が、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが必要である。ここでアミン価とは、高分子分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
アミン価の値は、該高分子系分散剤分子中に存在する塩基性官能基数の指標として重要であり、アミン価が5mgKOH/gより小さいと、本発明に用いるニ酸化チタンおよびカーボンブラックの親水性官能基との親和性が弱くなり、両顔料粒子の分散安定性が悪くなってしまう。また、アミン価が100mgKOH/gより大きいと、高分子系分散剤分子中に塩基性官能基の数が多くなりすぎ、該高分子系分散剤が両顔料粒子の架け橋凝集を引き起こし、経時保管により塗料の粘度が増大する恐れがある。
【0032】
また高分子系分散剤は、本発明に使用するカーボンブラックと二酸化チタンの合計を100質量%としたときに5質量%以上40質量%以下含有させる。5質量%より少ないと、カーボンブラックおよび二酸化チタンの表面全体に高分子系分散剤を吸着させることができず、塗料中で両顔料を分散させた状態を保つことができない。また40質量%より多いと、塗膜化した際の塗膜強度が弱くなり、塗膜が基材の光学素子から剥離してしまう懸念が生じる。
【0033】
本発明に用いることのできる高分子系分散剤としては、例えば以下のものが市販されている。
BASFジャパン株式会社製、EFKAシリーズの4008(アミン価15.8mgKOH/g)、4009(アミン価19.2mgKOH/g)、4010(アミン価(11.8mgKOH/g)、4015(アミン価21.0gKOH/g)、4020(アミン価13.8mgKOH/g)、4046(アミン価47.5mgKOH/g)、4047(アミン価48.6mgKOH/g)、4050(アミン価30.0mgKOH/g)、4060(アミン価26.7mgKOH/g)。日本ルーブリゾール株式会社製、SOLSPERSシリーズの13240(アミン価93.5mgKOH/g)、20000(アミン価32.1mgKOH/g)、24000SC(アミン価41.6mgKOH/g)、26000(アミン価37.4mgKOH/g)、32000(アミン価31.2mgKOH/g)、71000(アミン価77.4mgKOH/g)。味の素ファインテクノ株式会社製、アジスパーシリーズPB821(アミン価9.0mgKOH/g)、PB822(アミン価13.0mgKOH/g)。
【0034】
(バインダ樹脂)
本発明に用いるバインダ樹脂は、被塗工体である光学素子の表面に密着し、実使用上弊害のない程度に塗膜強度が確保される樹脂であれば特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ニトロセルロースなどが挙げられ、好ましくは、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂であり、より好ましくはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂である。
【0035】
エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する化合物の総称であり、通常硬化剤(アミン系、酸または酸無水物系、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類などの活性水素化合物)と併用して、二液硬化型塗料として用いることができる。また硬化反応速度制御のため、触媒を添加することも可能である。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、4官能型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0036】
アミン系硬化剤としては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ポリアミン、直鎖状ジアミン、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピリジン、ベンジルジメチルアミン等の2級アミン類または3級アミン類、ダイマー酸とジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミンとを反応させて得たポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0037】
酸または酸無水物系硬化剤としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、デカンジカルボン酸等のポリカルボン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の芳香族酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の環状脂肪族酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ポリ(エチル)オクタデカン二酸無水物等の脂肪族酸無水物などが挙げられる。
【0038】
塩基性活性水素化合物としては、例えば、有機酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0039】
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタンデシルイミダゾールなどが挙げられる。
【0040】
触媒としては、例えば3級アミン、イミダゾール、三フッ化ホウ素−アミン錯体などが挙げられる。
【0041】
ポリウレタン樹脂は、水酸基を2個以上有する化合物(ポリオールともいう)に、2個以上のイソシアネート基を有する化合物(イソシアネート化合物ともいう)を硬化剤として、二液硬化型塗料として用いることができる。また、イソシアネート化合物は、上記水酸基以外にも、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基などの官能基をもつ活性水素化合物とも硬化反応するため、これら活性水素化合物との併用、あるいはポリオール分子中にこれら活性水素官能基の導入する等により、硬化塗膜強度や塗料安定性の調整も可能である。また、硬化反応速度制御のため、触媒を添加することも可能である。また上記イソシアネート化合物は、あらかじめイソシアネート基をブロック剤によりマスキングしておくことで、塗料中でポリオールと共存させておき、塗膜形成時に加熱硬化が可能な、一液硬化型塗料とすることもできる。また、イソシアネート化合物の分子量を高くすることで、硬化反応を遅くさせ、大気中の水分と反応硬化させる、湿気硬化型塗料とすることもできる。
【0042】
ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、シリコーングリコール、ポリオレフィン系ポリオール、ひまし油ポリオール、水添ひまし油ポリオール、アクリルポリオール、含リンポリオール、含ハロゲンポリオール、ポリマーポリオール、フェノール系ポリオールや1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールやその誘導体が挙げられる。
【0043】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどがある。
【0044】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、以下のものを挙げることができる。ポリエチレングリコールアジペート、ジエチレンアジペートグリコール、ブチレングリコールアジペート、ジエチレングリコールアジペート、ポリカプロラクトンポリオール、ラクトン変性スチレン−アクリルアルコール共重合体、ラクトン変性アクリルモノマー、ポリカーボネートポリオール、カプロラクトン変性ポリカーボネートジオール、カプロラクトン変性アクリルポリオールなどが挙げられる。
【0045】
シリコーングリコールの例としては、分子中に活性水酸基を含有する反応性シリコーンオイルが挙げられる。
【0046】
ポリオレフィン系ポリオールの例としては、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添イソプレンポリオールが挙げられる。
【0047】
アクリルポリオールは、水酸基を有するアクリル(メタクリル)モノマーとアクリル(メタクリル)酸エステル、スチレンなどと共重合して得られる。
【0048】
含リンポリオールは、リン酸化合物にアルキレンオキサイドを付加して得られる。また、含ハロゲンポリオールは、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキサイドを開環重合して得られる。
【0049】
ポリマーポリオールは、ポリオール中で重合開始剤の存在下でエチレン性不飽和単量体を重合させたものが挙げられる。
【0050】
フェノール系ポリオールは、例えばピロガロール、ハイドロキノン、フロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォン等のビスフェノール類;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック)などが挙げられる。
【0051】
上記で挙げたポリオールのうち、好ましいものはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオールである。また、これらポリオールは、必要により、2種以上を混合して使用しても良い。
【0052】
イソシアネート化合物としては、1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族−脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート類;ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、水素化されたTDI(HTDI)、水素化されたXDI(H6XDI)、水素化されたMDI(H12MDI)等の水素添加ジイソシアネート類;これらの2量体、3量体、4量体以上の多量体のポリイソシアネート類;これらとトリメチロールプロパン等の多価アルコール、水又は低分子量ポリエステル樹脂との付加物等を挙げることができる。
【0053】
上記ポリオールとイソシアネート化合物は、塗料中に混合した時点からウレタン硬化反応が開始するため、ポットライフが短い。このポットライフを延長させるため、イソシアネート化合物の反応基(イソシアネート基)を適当なブロック剤でブロックしたブロックイソシアネート化合物として使用することもできる。上記ブロック剤としては特に限定されず、例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック化剤;m−クレゾール、キシレノール等のフェノール系ブロック化剤;メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール系ブロック化剤;ε−カプロラクタム等のラクタム系ブロック化剤;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等のジケトン系;チオフェノール等のメルカプタン系ブロック化剤;チオ尿素等の尿素系ブロック化剤;イミダゾール系ブロック化剤;カルバミン酸系ブロック化剤等を挙げることができる。なかでも、ラクタム系ブロック化剤、オキシム系ブロック化剤、アルコール系ブロック化剤、ジケトン系ブロック化剤が好ましい。
【0054】
触媒としては、例えばトリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、N,N,N’N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノ)エチルピペラジン、ジアザビシクロウンデセン等の三級アミン類が挙げられる。また、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレエート、ジオクチルチンマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物が挙げられる。さらに、前記三級アミンのカルボン酸塩等が挙げられる。
【0055】
アクリル樹脂は、(メタ)アクリレート([(メタ)アクリレート]とはアクリレートおよびメタクリレート双方を意味する)からなる重合体およびその共重合体として用いることができる。上記の(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0056】
上記の重合体および共重合体としては、例えば、メチルメタクリレート重合体、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリレート共重合体、その他、(メタ)アクリレートを主成分として、これらに、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、アクリルアミド、ビニルトルエン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸ヒドロキシエチルなどのコモノマーの共重合体などである。
【0057】
また、上記の共重合体に、例えば水酸基をもつモノマーを導入することで、イソシアネート化合物を硬化剤とした2液常温硬化型塗料や、メラミン樹脂を硬化剤とした焼付け硬化塗料としてもよい。また、上記共重合体に、例えばカルボキシル基、エポキシ基を持つモノマーを導入することで、エポキシ樹脂や酸無水物を硬化剤とした熱硬化型塗料としてもよい。他にも、上記共重合体に、アルコキシシリル基モノマーなどを共重合して、自己硬化型塗料としてもよい。
【0058】
ビニル樹脂としては例えば、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂が挙げられる。塩化ビニル系樹脂は塩化ビニルを単独あるいは塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等と共に懸濁または乳化重合したものである。これら塩化ビニル系樹脂を使用する場合は、可塑剤(例えばジオクチルフタレートなど)や、安定剤(例えば金属石鹸、エポキシ化合物、アミン化合物など)を加えてゾル型塗料として使用できる。
【0059】
酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルを単独あるいはエチレン、脂肪酸ビニルエステルモノマー等と共にポリビニルアルコール等を保護コロイドとして乳化重合したものである。
【0060】
ポリエステル樹脂としては例えば、アルキド樹脂、不飽和ポリエステルが挙げられる。
アルキド樹脂は、例えばエチレングリコール、グリセリン(グリセロール)やペンタエリトリトールなどの多価アルコールと、無水フタル酸や無水マレイン酸などの二塩基性酸とを加熱しエステル結合させて得られる。これに乾性油(あまに油、桐油(きりゆ)、大豆油など)またはそれらを構成している不飽和脂肪酸(リノール酸、オレイン酸など)、または脱水ひまし油などにより変性させたものでも良い。これら油脂のうち油長45%以上である中・長油アルキド樹脂 とした場合は、不飽和二重結合を多く有するため、ナフテン酸鉛、コバルト、マンガン等の硬化触媒(ドライヤー)を添加して酸化重合により架橋させる一液常温硬化型塗料として使用しても良い。
不飽和ポリエステル樹脂は、例えば多価アルコールと不飽和多価カルボン酸をエステル結合させて、主鎖中にラジカル重合性二重結合を導入したものである。得られた塗料には共重合性モノマーであるビニル化合物を加えておき、有機過酸化物系開始剤、硬化触媒(ドライヤー)を添加して常温硬化塗料としたり、紫外線や電子線硬化させることもできる。
【0061】
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジブロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノール・アルキレンオキシド付加物等を挙げることができる。
【0062】
不飽和多価カルボン酸としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、フマル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等を例示できる。また不飽和多価カルボン酸に他の多価カルボン酸(芳香族多価カルボン酸や飽和多価カルボン酸)を併用することもできる。他の多価カルボン酸としては、例えば無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、コハク酸、シトラコン酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。
【0063】
ビニル化合物としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、ビニルトルエンなどを例示できる。
【0064】
また不飽和ポリエステル樹脂は、例えば桐油、アマニ油、大豆油、綿実油、サフラワ油、やし油などにより変性したものでも良い。
【0065】
さらに不飽和ポリエステル樹脂は、塗料として使用する際に硬化触媒を配合し、二液硬化型塗料としたり、あらかじめ配合し1液型硬化塗料としても良い。
【0066】
硬化触媒の具体例としては、塩酸、硝酸、リン酸、硼酸等の無機酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フタル酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、ジブチルスズラウリレート、ジブチルスズオクチエート、ジブチルスズアセテート、ジオクチルスズラウレート等の有機スズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブトキシチタネート等の有機チタン化合物、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート等のリン酸エステル、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等の有機アルミニウム化合物、テトラブチルジルコネート、ブトキシトリス(アセチルアセトナート)等の有機ジルコニウム化合物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ化合物、エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0067】
これらの中でも、無機酸、有機酸、有機スズ化合物、有機アルミニウム等が好ましい。硬化触媒は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。硬化触媒の使用量は触媒の種類により広い範囲から適宜選択できるが、例えば塩酸を使用する場合は不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して0.1〜2質量部が好ましい。
【0068】
シリコーン樹脂は、樹脂結合成分として、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を主骨格とし、側鎖あるいは主鎖のSi原子にメチル基、フェニル基等の有機基や、水酸基、アルコキシ基等の硬化反応性官能基が結合したオルガノポリシロキサンを含有したものである。またこのようなシリコーン系樹脂は、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等の各種樹脂にて変性されていてもよい。このようなシリコーン系樹脂を塗料として使用する際には、例えば、モノメチルトリクロロシラン、モノエチルトリクロロシラン等のモノアルキルトリクロロシランに、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシランなどを反応させるとともに、さらには、硬化反応性官能基としての水酸基、アルコキシ基などを含有する硬化反応性官能基含有クロロシランなどを反応させてなる初期縮合物を、溶剤に溶解し、これに流動パラフィン、シリコーンオイルなどの撥水剤等を配合しても良い。
【0069】
また、このようなシリコーン系樹脂には、予め加水分解可能な基(例:アセトキシ基、オキシム基、ケトキシ基、ケトシム基等)を導入(結合)しておき、多官能性シラン化合物を架橋剤として用い、金属有機酸塩を硬化触媒として用いて、該塗料中の上記加水分解性シリコーン樹脂と上記多官能シラン化合物とを反応させると、常温あるいは加熱下で硬化させることができる。
【0070】
架橋剤としての多官能性シラン化合物としては、例えば、メチル−トリアセトキシシラン、メチル−トリメトキシシラン、メチル-トリ(シクロヘキシルアミノ)シラン、トリ(メチル-メトキシカルボニルアミノ)メチルシラン、環状アミノキシシロキサン等が挙げられる。硬化触媒としての金属有機酸塩としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクテン酸錫、ステアリン酸鉄、オクチル酸鉛、過酸化物、有機アミン等が挙げられる。
【0071】
フッ素樹脂は、テトラまたはトルフルオロ(モノクロル)エチレンの重合体または共重合体で、その重合度や各種の共重合体を取ることにより、焼付け型や常温硬化型などとして使用することができる。
【0072】
フェノール樹脂は、酸触媒を用いてフェノールとホルマリンを結合したノボラック形と、アルカリ触媒によるレゾール形とがある。ノボラック形は熱可塑性であり、蒸発乾固型塗料として、レゾール型は熱硬化的性質が大きく、熱硬化型塗料として使用することができる。
【0073】
ニトロセルロースは、主バインダ樹脂としてあるいは、速乾性などの作業性改善のために、上記各種のバインダ樹脂に添加剤として加えることができる。
【0074】
(溶剤)
本発明で使用する溶剤は、塗料としての流動性の確保の為に使用し、公知の一般の塗料に使用する溶剤が適用できる。
具体的には例えば、ネオペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ソルベッソ等の鎖状炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、セロソブル、ブチルソルブ、セロソルブアセテートなどのエーテル類、ミネラルスピリット(炭化水素油)などが挙げられる。
なお、上記溶剤は1種を単独あるいは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0075】
本発明には上記必須剤材料の他に、各種の添加剤を加えても良い。
各種の添加剤は、塗料の粘度調整、塗膜のレべリング性向上、塗膜の表面艶消し、黒色の色調調整、防カビ、防錆等を図るために加えられる。例えば、粘度調整としてベントナイト、シリカ微粒子、シリコーン系エラストマー、増粘多糖類、グリコール類などの増粘剤や希釈溶剤を添加する。塗膜の基材への密着性向上のため、シランカップリング剤、シリコーン系カップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤など。塗膜のレベリング性向上のため、シリコーンオイル、界面活性剤などのレベリング剤を、また、塗膜表面を艶消しするために0.1乃至20μm程度の樹脂粒子やガラス粉末、石英粉末、シリカ粉末などを添加する。黒色塗料の色調を調整するために、補色として着色染料や着色顔料を添加する。防カビには防カビ剤を、また防錆には防錆剤を添加する。
【0076】
(塗料の製造方法)
本発明の光学素子用反射防止黒色塗料の製造方法としては、一般的な顔料分散系の塗料の製造方法を適用することができる。例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、バインダ樹脂の一部、分散剤、溶剤の一部をステンレスタンクにはかりとり、スリーワンモータにて十分に攪拌混合しておき(プレミックス)、このスラリーを湿式メディア分散機と循環連結されたタンクに移し、ビーズミルによる循環分散を行う。スラリーの分散中には適宜サンプリングしヘイズやグロス、粒度分布などを二酸化チタン、カーボンブラックの分散度の指標として、目的の分散度に仕上げる。得られたスラリーにバインダ樹脂の残り、溶剤の残りを追加混合、必要に応じて各種添加剤を加えて本発明の光学素子用内面反射防止黒色塗料を得る。
【0077】
ここで、使用するバインダ樹脂が二液硬化型樹脂の場合、例えば二液硬化型ポキシ樹脂であれば、アミン類や酸無水物などの硬化剤は光学素子に塗布する直前に配合、攪拌して使用する。
【0078】
ここで、湿式メディア分散機としては、例えばボールミル、ペイントシェーカー、バスケットミル、ダイノーミル、ウルトラビスコミル、アニュラー型分散機などが上げられる。
【0079】
また湿式メディア分散機に使用するメディアとしては、アルミナ、ジルコニア、スチール、ガラスなどの材質が好ましく、メディア径としては0.1〜5.0mmが好ましい。
【0080】
また本発明の塗料は、二酸化チタンとカーボンブラックの共分散系であるため、より塗料としての安定化を狙い、両顔料別々に最適な分散度まで分散させたのち、混合して本発明の塗料とする方法を用いても良い。
【実施例】
【0081】
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明する。
以下の実施例、比較例では下記の材料を用いた。
【0082】
○二酸化チタン
・二酸化チタンA:下記製造例1にて製造した表面処理二酸化チタン。平均一次粒子径21nm、メタノール疎水化度57%、固形分99質量%で、この二酸化チタンのpHは6.5であった。pHの測定法は以下の通りである。二酸化チタン5.0gをイオン交換水50g、エタノール5gを入れた広口ガラス瓶に投入し、ホットプレートにて2分間煮沸。室温まで冷まし、煮沸減量分のイオン交換水を加え撹拌したものをガラス電極pHメータで測定。
【0083】
〔製造例1(二酸化チタンAの製造)〕
1)表面未処理二酸化チタンの製造:
(i)希釈工程:チラーと接続したステンレス製の20リットルのジャケット付撹拌タンクに、脱イオン水10kgを加え、撹拌機回転数を300rpmに設定した状態で、タンク内を5〜10℃に維持した状態で、四塩化チタン(含量98%)500gを投入し、撹拌混合を2時間行い、溶液が透明なり四塩化チタンの溶解を確認した。
(ii)中和工程:撹拌機回転数を600rpmに設定し、20%濃度のアンモニア水を5g/minの速度で加え溶液のpH変化を観察しながら、白色析出物を生成させた。pHが7.0となったところでアンモニア水添加を終了。
(iii)洗浄工程(1):この溶液を真空ろ過機でろ過した後、白色ろ過ケーキ(水酸化チタン含有)を洗浄するため、予め蒸留水100質量部を入れておいた200リットル洗浄用タンクに入れ、プロペラ撹拌機の回転数を300rpmに設定し2時間撹拌して、再度真空ろ過を行い この洗浄作業を3回繰り返した。
(iv)形状転化工程:3回洗浄後のろ過ケーキを、予め脱イオン水20質量部を入れておいた40リットルタンクに入れ、プロペラ撹拌機の回転数を300rpmに設定し1時間撹拌混合し、過塩素酸0.05質量部を加えてさらに30分撹拌した。続けて撹拌しながらこのタンクをバンドヒータにより加熱させ、溶液の温度を80〜90℃まで上昇させた状態で6時間撹拌した後、冷却させ次いで、20%濃度のアンモニア水を加えて溶液のpHが7.0となったところでアンモニア水添加を終了。
(v)洗浄工程(2):この溶液を真空ろ過機でろ過した後、白色ろ過ケーキ(高純度の二酸化チタン)を洗浄するため、予め蒸留水100質量部を入れておいた200リットル洗浄用タンクに入れ、プロペラ撹拌機の回転数を300rpmに設定し2時間撹拌して、再度真空ろ過を行い この洗浄作業を3回繰り返した。
(vi)乾燥粉砕工程:3回洗浄後のろ過ケーキを、110℃乾燥機に投入し乾燥させた後、室温まで冷却したら粉砕機により、二酸化チタンの乾燥凝集塊を解砕し、平均一次粒子径21nm、表面未処理の二酸化チタンを得た。
【0084】
2)二酸化チタンの表面処理:
トルエン100質量部を入れたステンレスタンクに上記で得られた表面未処理二酸化チタン10質量部、イソブチルトリメトキシシラン0.9質量部をプロペラ撹拌機の回転数600rpmで攪拌しながら粒子が合一しないように加え、3時間撹拌を続けた。この溶液を真空ろ過機に通し、ろ過ケーキを110℃乾燥機で乾燥させた後、室温まで冷却し粉砕機により解砕して、表面処理を施した二酸化チタンAを得た。
【0085】
二酸化チタンB:上記製造例1の 「2)二酸化チタンの表面処理」において、イソブチルトリメトキシシランを0.6質量部に置き換えたこと以外は同様の操作を行い、二酸化チタンBを得た。物性は平均一次粒子径21nm、メタノール疎水化度31%、固形分98質量%で、この二酸化チタンのpHは6.4であった。
【0086】
二酸化チタンC:上記製造例1の 「2)二酸化チタンの表面処理」において、イソブチルトリメトキシシランを1.8質量部に置き換えたこと以外は同様の操作を行い、二酸化チタンCを得た。物性は平均一次粒子径21nm、メタノール疎水化度78%、固形分99質量%で、この二酸化チタンのpHは7.2であった。
【0087】
二酸化チタンD:上記製造例1の 「1)表面未処理二酸化チタンの製造」において、中和工程及び形状転化工程のpH調整値を2.8に置き換えたこと以外は同様の操作を行い、二酸化チタンDを得た。物性は平均一次粒子径21nm、メタノール疎水化度58%、固形分98質量%で、この二酸化チタンのpHは3.0であった。
【0088】
二酸化チタンE:上記製造例1の「1)表面未処理二酸化チタンの製造」において、中和工程及び形状転化工程のpH調整値を8.5に置き換えたこと以外は同様の操作を行い、二酸化チタンEを得た。物性は平均一次粒子径21nm、メタノール疎水化度60%、固形分99質量%で、この二酸化チタンのpHは8.0であった。
【0089】
二酸化チタンF:下記製造例2にて製造した表面処理二酸化チタン。平均一次粒子径7nm、メタノール疎水化度66%、固形分98質量%で、この二酸化チタンのpHは6.4であった。
【0090】
〔製造例2(二酸化チタンFの製造)〕
トルエン100質量部を入れたステンレスタンクに平均一次粒子径7nmの二酸化チタン「ST−01」(商品名、石原産業株式会社製)10質量部、イソブチルトリメトキシシラン0.9質量部をプロペラ撹拌機の回転数600rpmで攪拌しながら粒子が合一しないように加え、3時間撹拌を続けた。この溶液を真空ろ過機に通し、ろ過ケーキを110℃乾燥機で乾燥させた後、室温まで冷却し粉砕機により解砕して、表面処理を施した二酸化チタンFを得た。
【0091】
二酸化チタンG:上記製造例2について二酸化チタン「ST−01」を、平均一次粒子径50nmの二酸化チタン「MT−600B」(商品名、テイカ株式会社製)に置き換えたこと以外は同様の操作を行い、二酸化チタンGを得た。物性は平均一次粒子径50nm、メタノール疎水化度52%、固形分99質量%で、この二酸化チタンのpHは6.7であった。
【0092】
二酸化チタンH:上記製造例1において、「2)二酸化チタンの表面処理」を行わない表面未処理二酸化チタンを二酸化チタンHとした。物性は平均一次粒子径21nm、メタノール疎水化度0%、固形分97質量%で、この二酸化チタンのpHは6.9であった。
【0093】
二酸化チタンI:上記製造例1の「1)表面未処理二酸化チタンの製造」において、中和工程及び形状転化工程のpH調整値を10.0に置き換えたこと以外は同様の操作を行い、二酸化チタンIを得た。物性は平均一次粒子径21nm、メタノール疎水化度41%、固形分98質量%で、この二酸化チタンのpHは8.6であった。
【0094】
○カーボンブラック
・カーボンブラックA:三菱カーボンブラックMA100(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径24nm、DBP吸収量100ml/100g、揮発分1.5質量%、固形分97質量%で、このカーボンブラックのpHは6.0であった。pHの値は二酸化チタンのpH測定と同様の方法にて測定した。
【0095】
カーボンブラックB:三菱カーボンブラック#40(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径24nm、DBP吸収量110ml/100g、揮発分0.8質量%、固形分97質量%で、このカーボンブラックのpHは7.5であった。
【0096】
カーボンブラックC:三菱カーボンブラックMA200RB(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径30nm、DBP吸収量91ml/100g、揮発分5.5質量%、固形分96質量%で、このカーボンブラックのpHは3.0であった。
【0097】
カーボンブラックD:三菱カーボンブラックMA8(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径24nm、DBP吸収量51ml/100g、揮発分3.0質量%、固形分97質量%で、このカーボンブラックのpHは3.0であった。
【0098】
カーボンブラックE:三菱カーボンブラック#52(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径27nm、DBP吸収量63ml/100g、揮発分0.8質量%、固形分98質量%で、このカーボンブラックのpHは8.0であった。
【0099】
カーボンブラックF:トーカブラック#7050(商品名、東海カーボン株式会社製)。平均一次粒子径66nm、DBP吸収量66ml/100g、揮発分1.0質量%、固形分97質量%で、このカーボンブラックのpHは8.0であった。
【0100】
カーボンブラックH:SUNBLACK240(商品名、旭カーボン株式会社製)。平均一次粒子径80nm、DBP吸収量63ml/100g、揮発分0.7質量%、固形分97質量%で、このカーボンブラックのpHは7.5であった。
【0101】
カーボンブラックI:三菱カーボンブラック#45(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径24nm、DBP吸収量46ml/100g、揮発分0.8質量%、固形分98質量%で、このカーボンブラックのpHは8.0であった。
【0102】
カーボンブラックJ:三菱カーボンブラック#3350B(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径24nm、DBP吸収量165ml/100g、揮発分1.4質量%、固形分97質量%で、このカーボンブラックのpHは7.0であった。
【0103】
カーボンブラックK:三菱カーボンブラック#2350(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径13nm、DBP吸収量73ml/100g、揮発分7.5質量%、固形分96質量%で、このカーボンブラックのpHは3.0であった。
【0104】
カーボンブラックL:三菱カーボンブラック#4000B(商品名、三菱化学株式会社製)。平均一次粒子径20nm、DBP吸収量102ml/100g、揮発分0.3質量%、固形分98質量%で、このカーボンブラックのpHは10.0であった。
【0105】
○フタロシアニン化合物
・分散剤A:銅フタロシアニン誘導体「EFKA−6745」(商品名、BASFジャパン株式会社製)、pH4.5。このpHの値は二酸化チタンのpH測定と同様の方法にて測定した。
・分散剤B:銅フタロシアニン誘導体「SOLSPERSE5000」(商品名、日本ルーブリゾール株式会社製)、pH3.8。
・分散剤C:銅フタロシアニンスルホン酸誘導体「VALIFAST BLUE2670」(商品名、オリヱント化学工業株式会社製)、pH7.7。
【0106】
○高分子系分散剤
・分散剤D:高分子系分散剤溶液・・・「SOLSPERSE24000SC」(商品名、日本ルーブリゾール株式会社製、有効成分100質量%、アミン価42mgKOH/g)予めメチルイソブチルケトンに溶解させて40質量%濃度とした溶液。
・分散剤E:高分子系分散剤「KF−1500」(商品名、川研ファインケミカル株式会社製)、有効成分100質量%、アミン価7mgKOH/g。
・分散剤F:高分子系分散剤溶液「EFKA−4401」(商品名、BASFジャパン株式会社製)、有効成分50質量%、アミン価50mgKOH/g(=有効成分に対するアミン価は100mgKOH/g)。
・分散剤G:高分子系分散剤溶液「PA−111」(商品名、味の素ファインテクノ株式会社製)、アミン価0mgKOH/g
【0107】
○バインダ樹脂成分
・イソシアネートA:HDIのイソシアヌレート体「デュラネートTPA−100」(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製)、NCO含有量23.1質量%を、メチルイソブチルケトンにて40質量%濃度に希釈混合した溶液。
・イソシアネートB:HDIのイソシアヌレート体、メチルエチルケトオキシムブロック品「デュラネートTPA−B80E」(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製)、NCO含有量12.5質量%。
【0108】
〔実施例1〕
(内面反射防止黒色塗料の調製)
ステンレス製タンクに下記材料を計量し、プロペラ撹拌機により12時間撹拌混合してミルベースを得た。
・二酸化チタンA:2.500質量部
・カーボンブラックA:0.284質量部
・変性ポリカーボネートジオール(「ニッポラン983」商品名、日本ポリウレタン工業株式会社製、OH価115mgKOH/g):1.550質量部
・分散剤A:0.014質量部
・分散剤D:1.375質量部
・メチルイソブチルケトン:2.219質量部
このミルベースについて、メディア(平均粒径0.8mmのガラスビーズ)をベッセルの80容積%の充填率で充填した湿式メディア分散機(ウルトラビスコミル(商品名)、株式会社アイメックス製)を用いて、1パス分散を実施した。なお、処理条件はディスク周速6m/s、処理速度200ml/minであった。
【0109】
この1パス分散処理を実施したミルベースを、ステンレス製循環用タンクに移し変え、同分散機にてディスク周速6m/s、処理速度200ml/minにて、循環分散を12時間実施した後、ディスク周速を3m/s、処理速度400ml/minに変更し、メチルイソブチルケトン1.000質量部を添加してさらに1時間分散を実施して、塗料Aの主剤を作製した。
【0110】
上記塗料Aの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA 1.06質量部を容器にとり、ディスパーで泡が立ちすぎないよう注意しながら1分間攪拌混合した。
この混合液を少量サンプリング、E型粘度計にて23℃の粘度を測定して、粘度値が30〜60mPa・s以内に入るようメチルイソブチルケトンを1.00質量部づつ加え希釈し、ディスパーで撹拌、粘度値の測定を繰り返したところ、メチルイソブチルケトン2.00質量部加えたところで、粘度値が32.5mPa・sとなり希釈終了し、この値を初期粘度値(M)mPa・sとした。
また上記「式1」を用いて、この塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量を求めたところ、それぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
【0111】
[各種評価]
(内面反射率評価用試料の作成)
上記で得られた塗料Aを、評価用の直角三角プリズムを底面が上向き水平になるようスピンコータの回転台にセットし、底面全体に均一膜厚に広がるようスピンコートした。これを室温で30分乾燥後、電気炉にて140℃で1時間硬化を行い、図2に示すような内面反射率評価用試料を得た。この塗膜の厚みは塗膜の透明性が無くなる膜厚10μm以上となるよう調整した。直角三角プリズムとして、S−LAH53(株式会社オハラ製、nd=1.81)を用いた。この直角三角プリズムの大きさは直角を挟む2辺の長さをそれぞれ30mmとした。またこの直角三角プリズムの全ての面は鏡面に研磨した。
【0112】
〈内面反射率の測定方法〉
図3のように分光光度計内に塗膜2を作成した三角プリズム5を試料設置部に設置し、光源6から入射光7を通すと、プリズム内へ入射角θで屈折した後、塗膜2で反射し、内面反射光8が放出される。その内面反射光8を積分球、光検出器9で受光し、各波長における光の強度を測定する。
塗膜2を設けない未塗工の三角プリズム5について、あらかじめ波長400乃至700nmの光に対する内面反射光強度を5nm間隔で測定しておき、この各波長の光強度を内面反射率100%とする。その後、上記で作成した内面反射率測定用試料(塗工した三角プリズム)について5nm間隔で測定した波長400乃至700nmの光に対する内面反射光強度を%換算し、その結果の算術平均の値をとり、当該試料の内面反射率(L)とした。
【0113】
(塗料の経時保管安定性評価)
上記で作成した塗料Aの主剤をガラス瓶に密閉し、10℃環境下で30日間経時保管した。この経時保管した塗料Aの主剤をペイントシェーカーにかけ1分間攪拌したものについて、上記「内面反射防止黒色塗料の調製」で配合調製した時と同じ質量部比で塗料Aの主剤、イソシアネートAおよびメチルエチルケトンを容器にとり、ディスパーで泡が立ちすぎないように注意し撹拌、経時保管粘度(N)mPa・sを測定した。
そして、下記に式にて、塗料の経時保管安定性を評価した。
「塗料の経時増粘率(%)」=(N)/(M)×100
なお、「塗料の経時増粘率(%)」は、1のとき最も安定性が高く、1より大きくなるにつれて安定性が悪いと見なすことができる。また1より小さくなる場合も安定性が悪いと見なすことができる。
【0114】
(経時保管塗料の塗工作業性評価)
上記「塗料の経時保管安定性評価」にて、経時保管粘度測定に使用した塗料を、アルミ皿に0.1g滴下しておき、予めアセトンで洗浄し乾燥させて筆(HC−9000化繊筆シリーズ、平筆厚口3/8inch、株式会社ハンディ・クラウン製)の穂先に浸し、万遍なく馴染ませる。予めアセトンにて表面を洗浄しておいたスライドグラス(水縁磨フロスト、76×26mm 厚さ0.9〜1.2mm フロスト幅15×26mm、松浪硝子工業株式会社製)のフロスト部を除いた一面を10秒間かけて塗り(23±3℃、53±10%RH環境下)、塗工ムラ発生程度を目視にて下記の3段階評価を行った。
○:スライドグラス全体をスムーズに塗工でき、塗工ムラも殆どない
△:スライドグラス全体を塗ることは出来たが、塗工ムラが発生した
×:スライドグラス全体を塗ることが出来ず、塗工かすれが発生した
上記、各種評価結果は表1に記載した。
【0115】
〔実施例2〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する二酸化チタンAを二酸化チタンB 2.526質量部、メチルイソブチルケトン 2.193質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Bの主剤を得た。
この塗料Bの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA 1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Bを得た。この塗料Bの初期粘度値は35.8mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0116】
〔実施例3〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する二酸化チタンAを二酸化チタンCに置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Cの主剤を得た。
この塗料Cの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA 1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Cを得た。この塗料Cの初期粘度値は40.3mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0117】
〔実施例4〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する二酸化チタンAを二酸化チタンD 2.526質量部、メチルイソブチルケトンを2.193質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Dの主剤を得た。
この塗料Dの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA 1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Dを得た。この塗料Dの初期粘度値は50.2mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0118】
〔実施例5〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する二酸化チタンAを二酸化チタンEに置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Eの主剤を得た。
この塗料Eの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA 1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Eを得た。この塗料Eの初期粘度値は45.0mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
【0119】
〔実施例6〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する二酸化チタンAを 1.667質量部、ニッポラン983を 2.253質量部、分散剤Dを 0.963質量部、メチルイソブチルケトンを2.282質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Fの主剤を得た。
この塗料Fの主剤 8.46質量部およびイソシアネートA 1.54質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Fを得た。この塗料Fの初期粘度値は36.3mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ35.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0120】
〔実施例7〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する二酸化チタンAを 3.889質量部、ニッポラン983を 0.419質量部、分散剤Dを 1.925質量部、メチルイソブチルケトンを2.184質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Gの主剤を得た。
この塗料Gの主剤 9.71質量部およびイソシアネートA 0.29質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Gを得た。この塗料Gの初期粘度値は39.1mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ75.0質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0121】
〔実施例8〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックBに置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Hの主剤を得た。
この塗料Hの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA 1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Hを得た。この塗料Hの初期粘度値は42.0mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0122】
〔実施例9〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックC0.287質量部に、メチルイソブチルケトンを2.216質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Iの主剤を得た。
この塗料Iの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA 1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Iを得た。この塗料Iの初期粘度値は50.3mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0123】
〔実施例10〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックDに換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Jの主剤を得た。
この塗料Jの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA 1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Jを得た。この塗料Jの初期粘度値は52.6mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0124】
〔実施例11〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックE0.281質量部、ニッポラン983を1.361質量部、メチルイソブチルケトン2.439質量部に換え、イソシアネートB 1.031質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Kの主剤を得た。
この塗料Kの主剤 10.00質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Kを得た。この塗料Kの初期粘度値は51.1mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0125】
〔実施例12〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックF0.028質量部、ニッポラン983を1.554質量部、分散剤Aを0.0014質量部、分散剤Dを1.251質量部、メチルイソブチルケトン2.488質量部に換え、イソシアネートB 1.177質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Lの主剤を得た。
この塗料Lの主剤 10.00質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Lを得た。この塗料Lの初期粘度値は39.8mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、0.50質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0126】
〔実施例13〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAを1.134質量部、ニッポラン983を0.719質量部、分散剤Aを0.055質量部、分散剤Dを1.788質量部、メチルイソブチルケトン2.259質量部に換え、イソシアネートB 0.545質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Mの主剤を得た。
この塗料Mの主剤 10.00質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Mを得た。この塗料Mの初期粘度値は40.8mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、20.2質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0127】
〔実施例14〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するニッポラン983をアクリル樹脂(「アクリディックA−136−55」商品名、DIC株式会社製、有効成分55.0質量%)3.995質量部、分散剤Aを0.0028質量部、メチルイソブチルケトン0.844質量部に換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Nの主剤を得た。
この塗料Nの主剤 10.00質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Nを得た。この塗料Nの初期粘度値は35.5mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0128】
〔実施例15〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するニッポラン983をポリエステル樹脂(「KA−2070」商品名、荒川化学工業株式会社製、有効成分40.0質量%)5.363質量部、分散剤Aを0.055質量部、メチルイソブチルケトンを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Oの主剤を得た。
この塗料Oの主剤 10.00質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Oを得た。この塗料Oの初期粘度値は33.6mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0129】
〔実施例16〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するニッポラン983をシリコーン樹脂(「TSR108」商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、有効成分55.0質量%)3.895質量部、分散剤Dを分散剤E 0.550質量部、メチルイソブチルケトンを1.421質量部に置き換え、硬貨触媒(「CR12」商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、有効成分13.0質量%)0.336質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Pの主剤を得た。
この塗料Pの主剤 10.00質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Pを得た。この塗料Pの初期粘度値は50.2mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0130】
〔実施例17〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するニッポラン983をエポキシ樹脂(「jER828」商品名、三菱化学株式会社製、エポキシ当量190)1.457質量部、分散剤Dを分散剤F 1.100質量部、メチルイソブチルケトンを1.421質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Qの主剤を得た。
この塗料Qの主剤 9.271質量部およびエポキシ硬化剤(「ダイトクラールD−677」商品名、大都産業株式会社製、活性水素当量94.4)0.729質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Qを得た。この塗料Qの初期粘度値は51.3mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0131】
〔実施例18〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するニッポラン983を1.843質量部、分散剤Dを0.344質量部、メチルイソブチルケトンを2.756質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Rの主剤を得た。
この塗料Rの主剤 8.74質量部およびイソシアネートA1.26質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Rを得た。この塗料Rの初期粘度値は45.8mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0132】
〔実施例19〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するニッポラン983を1.160質量部、分散剤Dを2.750質量部、メチルイソブチルケトンを1.500質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Sの主剤を得た。
この塗料Sの主剤 9.21質量部およびイソシアネートA0.79質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Sを得た。この塗料Sの初期粘度値は46.0mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0133】
〔実施例20〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する酸化チタンAを酸化チタンF 2.526質量部、メチルイソブチルケトンを2.193質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Tの主剤を得た。
この塗料Tの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Tを得た。この塗料Tの初期粘度値は49.2mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0134】
〔実施例21〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する酸化チタンAを酸化チタンG 2.526質量部、メチルイソブチルケトンを2.193質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Uの主剤を得た。
この塗料Uの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Uを得た。この塗料Uの初期粘度値は41.5mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.0質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0135】
〔実施例22〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックG0.286質量部、メチルイソブチルケトンを2.216質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Vの主剤を得た。
この塗料Vの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Vを得た。この塗料Vの初期粘度値は33.9mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0136】
〔実施例23〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックHに置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Wの主剤を得た。
この塗料Wの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Wを得た。この塗料Wの初期粘度値は45.4mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0137】
〔実施例24〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックI0.281質量部に、メチルイソブチルケトンを2.222質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Xの主剤を得た。
この塗料Xの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Xを得た。この塗料Xの初期粘度値は38.7mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0138】
〔実施例25〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラックAをカーボンブラックJに置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Yの主剤を得た。
この塗料Yの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Yを得た。この塗料Yの初期粘度値は53.2mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0139】
〔実施例26〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する分散剤Aを分散剤Bに置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料Zの主剤を得た。
この塗料Zの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料Zを得た。この塗料Zの初期粘度値は55.8mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0140】
〔実施例27〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する分散剤Aを分散剤Cに置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料イの主剤を得た。
この塗料イの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料イを得た。この塗料イの初期粘度値は57.7mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0141】
〔比較例1〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する酸化チタンAを酸化チタンH 2.552質量部、メチルイソブチルケトン2.167質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料ロの主剤を得た。
この塗料ロの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料ロを得た。この塗料ロの初期粘度値は38.2mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0142】
〔比較例2〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する酸化チタンAを酸化チタンI 2.526質量部、メチルイソブチルケトン2.193質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料ハの主剤を得た。
この塗料ハの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料ハを得た。この塗料ハの初期粘度値は35.6mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0143】
〔比較例3〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する酸化チタンAを 1.389質量部、ニッポラン983を2.487質量部、分散剤Dを0.825質量部、メチルイソブチルケトン2.303質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料ニの主剤を得た。
この塗料ニの主剤 8.30質量部およびイソシアネートA1.70質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料ニを得た。この塗料ニの初期粘度値は45.8mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ25.0質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0144】
〔比較例4〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラクAをカーボンブラックK 0.286質量部、メチルイソブチルケトン2.216質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料ホの主剤を得た。
この塗料ホの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料ホを得た。この塗料ホの初期粘度値は48.3mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0145】
〔比較例5〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入するカーボンブラクAをカーボンブラックL 0.281質量部、メチルイソブチルケトン2.222質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料ヘの主剤を得た。
この塗料ヘの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料ヘを得た。この塗料ヘの初期粘度値は50.1mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.2質量%、5.1質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0146】
〔比較例6〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する分散剤Aは未添加とし、ニッポラン983を1.560質量部、メチルイソブチルケトン2.215質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料トの主剤を得た。
この塗料ヘの主剤 8.93質量部およびイソシアネートA1.07質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料ヘを得た。この塗料ヘの初期粘度値は48.2mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0147】
〔比較例7〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する分散剤Aを0.083質量部に、ニッポラン983を1.501質量部、メチルイソブチルケトン2.232質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料チの主剤を得た。
この塗料チの主剤 8.97質量部およびイソシアネートA1.03質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料チを得た。この塗料チの初期粘度値は43.2mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0148】
〔比較例8〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する分散剤Dを未添加とし、ニッポラン983を1.940質量部、メチルイソブチルケトン2.937質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料リの主剤を得た。
この塗料リの主剤 8.67質量部およびイソシアネートA1.33質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料リを得た。この塗料リの初期粘度値は46.6mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0149】
〔比較例9〕
実施例1の「内面反射防止黒色塗料の調製」において、ミルベース調製時に投入する分散剤Dを分散剤G 0.550質量部に、メチルイソブチルケトンを3.044質量部に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、塗料ヌの主剤を得た。
この塗料ヌの主剤 8.94質量部およびイソシアネートA1.06質量部を容器にとり攪拌し、実施例1と同様にしてメチルイソブチルケトンにより希釈調製し塗料ヌを得た。この塗料ヌの初期粘度値は40.7mPa・s、塗料固形分中の二酸化チタンおよびカーボンブラックの含有量がそれぞれ45.1質量%、5.0質量%であった。
[各種評価]
得られた塗料を実施例1と同様に各種評価を行った。各種評価結果は表1に記載した。
【0150】
【表1】

【符号の説明】
【0151】
1 レンズ
2 内面反射防止黒色塗料の塗膜
3 入射光(外光)
4 内面反射光(迷光)
5 直角三角プリズム(30×30mm、t15mm、頂角90°)
6 光源(400乃至700nm間で5nm単位の分光が可能)
7 入射光
8 内面反射光
9 光検出器付きのφ60mmの積分球
10 プリズム底面に対する鉛直線(垂線)
11 積分球入り口との接面
12 偏光板(N偏光に設定)
13 スリット(縦1mm×横3mm長方形のアパーチャ)
θ 入射光7と垂線10とのなす角
A プリズム頂点からの垂線10から積分球入り口11の距離(15・√2mm)
B 積分球開口径(φ15mm)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二酸化チタンと、カーボンブラックと、バインダ樹脂と、分散剤と、溶剤と、を含有する光学素子用内面反射防止黒色塗料において、
前記二酸化チタンは、メタノール疎水化度が30%以上80%以下であり、pHが3.0以上8.0以下であり、かつ前記光学素子用内面反射防止黒色塗料の固形分に対して35質量%以上75質量%以下含有され、
前記カーボンブラックは、揮発分が0.6質量%以上6.0質量%以下であり、pHが3.0以上8.0以下であり、かつ前記光学素子用内面反射防止黒色塗料の固形分に対して2質量%以上20質量%以下含有され、
前記分散剤は、フタロシアニン化合物と高分子系分散剤とを併用したものであり、
前記フタロシアニン化合物は、前記カーボンブラック100質量%に対して1質量%以上20質量%以下含有され、
前記高分子分散剤は、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、前記二酸化チタンと前記カーボンブラックの合計を100質量%としたときに5質量%以上40質量%以下含有されることを特徴とする光学素子用内面反射防止黒色塗料。
【請求項2】
前記二酸化チタンの平均一次粒子径が、7nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用内面反射防止黒色塗料。
【請求項3】
前記カーボンブラックの平均一次粒子径が、14nm以上80nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子用内面反射防止黒色塗料。
【請求項4】
前記カーボンブラックのDBP吸収量が、40ml/100g以上170ml/100g以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子用内面反射防止黒色塗料。
【請求項5】
前記フタロシアニン化合物のpHが、3.0以上8.0以下あることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子用内面反射防止黒色塗料。
【請求項6】
前記フタロシアニン化合物が、銅フタロシアニン化合物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子用内面反射防止黒色塗料。
【請求項7】
前記バインダ樹脂として、少なくともエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂のいずれかを含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子用内面反射防止黒色塗料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−149197(P2012−149197A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10533(P2011−10533)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】