説明

光学色が励起光の照射角度によって変化する蛍光偽造防止線維および偽造防止材料

本発明「光学色が励起光の照射角度によって変化する蛍光偽造防止線維および偽造防止材料」は蛍光線維および偽造防止材料に関するものであり、その光学色は励起光の照射角度によって変化する。本発明の偽造防止線維は一緒にねじれずに偽造防止線維の長手方向に沿って平行に伸びる材料の少なくとも2つの構成要素から成り、その材料の少なくとも1つの構成要素は光ルミネセンス材料を含み、そこにおいて横断面における前記偽造防止線維の少なくとも2つの構成要素の分布は、前記偽造防止線維に励起光のための遮蔽構造を形成させ、そして方向構造を有する。前記励起光遮蔽構造および方向構造は、前記偽造防止線維が水平面に平行にされる平面内に自由に置かれるとき、水平面に平行にされる前記平面より上の励起光の、角度Aおよび角度Bと呼ばれる、少なくとも2つの照射角度の存在を可能にし、それから励起光は前記偽造防止線維にそれぞれ照射し、そしてこのことにより前記偽造防止線維は明らかな視覚的違いのある2つの異なる発光色を表示する。本発明は、蛍光偽造防止線維の視覚的特徴が印刷フィラメントにより模倣されるために容易であるという普遍的な問題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学色が励起光の照射角度によって変化することが可能である蛍光偽造防止線維および前記蛍光偽造防止線維を含む偽造防止材料に関する。より詳細には、前記蛍光偽造防止線維および前記偽造防止材料に見える蛍光偽造防止線維は、光学色が励起光の照射角度によって変化する蛍光線維である。
【背景技術】
【0002】
蛍光偽造防止線維紙は、紙幣、パスポート、印紙、および様々な証券の分野で広く使われているが、偽造者が偽造防止線維紙の視覚的特徴を模倣するために蛍光インクで細い線を印刷するとき、肉眼はそれらを区別することができない。その直接の結果は、偽造者が困難で複雑な製紙工程から容易に避けることができて、模倣のために最も簡単な印刷方法を使用できるということである。これは我々が排除したがっていた長年の不備であるが、この世界的難題は数十年間解決されなかった。
【0003】
特許文献1は、二重バンド発光材料でできているコア・シースの平行した線維を記載している。前記発明の目的は,あらゆる入射角から異なる波長(それぞれ365nmおよび254nm)を有する励起光によって前記線維に照射することである。前記紙の線維があらゆる入射角からの365nmのより長い波長で単一周波励起光にさらされるとき、線維はより長い波の発光材料の色を表示する。前記紙の線維があらゆる入射角から254nmのより短い波長で単一周波励起光にさらされるとき、線維はより短い波の発光材料の色を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第1412355号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この構造は価値がない。なぜならばより短い波の発光材料とより長い波の発光材料の混成は、より単純な単一構成要素回転によって同じ視覚作用を正確に達成できるからである。同様に、偽造者は、同じ構成要素を有する、より短い波の蛍光インクとより長い波の蛍光インクを混ぜ合わせることができて、上記の長いおよび短いバンド蛍光線維とぴったり同じ視覚作用を有する細い線を印刷するので、蛍光偽造防止線維の視覚的特徴が印刷することにより模倣されるという問題は解決されなかった。
【0006】
前記特許の実施形態2は、2つの構成要素が同じ波長を有する一種の平行した丸い線維についでに言及している(請求項はこの特徴の保護を求めなかったので、発明者はこの構造の可能性がある視覚的特徴を知らなかった)。
【0007】
最初は、前記特許はこの構造の固有の視覚的特徴−すなわち、励起光の照射角度の変化はこの構造の光学特性によってもたらされる光学色の変化を引き起こすことを記載しなかった。また、それは、発明の効果だけでなく、発明が対処すべき問題に関して記載しなかった。実際に、革新者が光ルミネセンス材料の発光原理(それは、他の一連の推論と同様に、光ルミネセンス材料は光を放出し、そしてそれが励起光により照射されるとき励起光を吸収し、それはこの構造を有する線維の光学色が励起角度の変化によって変化できるという結論を出すことができるということである)を深く理解しない限り(または発明者が具体的な練習経験を有しない限り)、それは構造だけによってこの種の結論を想像するのは困難である。
【0008】
第2に、光の照射角度によって変化する光学色の作用が製紙の後にまだ存在できる場合にだけ、価値を反映できるので、最初に解決されるべき問題は、線維が製紙の後に同一の方向を有しなければならないということである。特許の実施形態において、線維はまっすぐになっていて、製紙の後のこの種の線維の方向は極めて混乱している。特定の製紙実験は、紙の表面の線維のわずか15%が照射角度によって変化する光学色の作用を生じることができる(製紙用パルプに埋め込まれた線維または製紙の間に変形する線維を計数せずに)ことを示している。線維のこの構造は実用的価値を有せず、そして誤った判断に容易に導く。製紙の間に線維の方向づけの問題に対処することは3つの論理ステップに従わなければならない:
1.線維のどんな形状が安定な方向を有するか?
2.紙表面の線維のどの方向が、励起光の照射角度によって変化する光学色の最適作用を有するか?
3.すべての線維を所望の方向に向けるように処理中に実行する方法は?
【0009】
前記特許の発明者が、構造が励起光の照射角度によって変化する光学色の作用を生じることができるということを決して知っているように見えないので、上記の推論は不可能である。
【0010】
第3に、製紙の後の紙の色の変化する線維に関して、本特許の発明者は、多くの実践によって線維が製紙のために用いられるときに照射角度によって変化する光学色の作用に影響を及ぼす2つの重要な要因があると結論する。1つの要因は、蛍光線維が製紙用パルプ層に埋め込まれるとき、蛍光線維のまわりの紙線維は励起光の定位照射を拡散し、その結果、蛍光線維に照射する実際の励起光の方向は変化することである。製紙用パルプに埋め込まれる蛍光線維がより深いほど、拡散反射の悪影響はより深刻であり、そして励起光の方向はより悪い。それは、照射角度によって変化する光学色の作用に悪影響を与えて、照射角度によって変化する光学色の作用の消滅に結果としてなる。この問題を解決することができない場合、それは実用的な目的のために役に立たない。第2要因は、照射角度によって色が変化する線維が製紙の間に圧縮プロセスを受けて、圧縮プロセスは線維横断面を平坦な断面にする場合があることである。それは照射角度によって、変化する光学色の作用に悪影響を与えて、この作用の消滅に結果としてなる。それが克服されない場合、それは実用的な目的のために役に立たない。前記発明の特許請求の範囲に記載されている平行(円形)線維の場合は、上記の理論的解析および多量の実行の後に、2つの構成要素の平行した構造は前述の2つの主な要因の作用に打ち勝つことが証明されない。
【0011】
要約すると、前記特許は、この世界的困難な問題に対処せず、前記特許はまたこの問題を発明の目的として見なさず、またこの問題に対処するためにいかなる特定の解決策も有していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、複合蛍光偽造防止線維およびこれらの偽造防止線維を含む偽造防止材料を提供することであり、偽造防止材料の視覚的特徴は横断面における材料構成要素の分布構造および特別に設計された材料構成要素に依存する。前記蛍光偽造防止線維が偽造防止材料に加えられるとき、特定の分布構造および特別に設計された部品は偽造防止材料の表面に提示されることができる。励起光が照射角度を変えるとき、偽造防止材料中の蛍光偽造防止線維の色は著しく変化する。この固有の視覚的特徴は、偽造者によって蛍光インクで細い線を印刷することにより模倣されることが不可能である。
【0013】
本発明は以下により達成される:
蛍光偽造防止線維、前記偽造防止線維は、横断面に分布して、且つ捩れずに一緒に偽造防止線維の長手方向とともに平行に伸びる少なくとも2つの構成要素材料を含み、そこでは少なくとも1つの構成要素は光ルミネセンス材料を含み、特徴として、横断面における前記偽造防止線維の少なくとも2つの構成要素の分布により、前記偽造防止線維は励起光を遮蔽できる励起光遮蔽構造および特定の方向を有する方向構造を形成し、その両方とも、前記偽造防止線維が水平面に平行にされる面に自由に置かれるとき、水平面に平行にされる前記面より上の励起光の、角度Aおよび角度Bと呼ばれる、少なくとも2つの照射角度の存在を可能にし、そこから励起光は前記偽造防止線維にそれぞれ照射されて、それによって前記偽造防止線維は明らかな視覚的違いの2つの異なる発光色を表示し、そして前記視覚的違いは少なくとも以下の2つの状況の1つにある:
(1)角度Aを有する励起光により照射されるとき、前記偽造防止線維は発光色Mを表示し、偽造防止線維が角度Bを有する励起光により照射されるとき、前記偽造防止線維により表示される発光色は消えた。
(2)角度Aを有する励起光により照射されるとき、前記偽造防止線維は発光色Mを表示し、角度Bを有する励起光により照射されるとき、前記偽造防止線維は発光色Nを表示し、そこにおいて前記発光色Mおよび前記発光色Nには明らかな視覚的違いがある。
【0014】
さらに、前述の方式で、角度Aから、そして角度Bから照射される励起光の波長は同じに選ばれることができる。
【0015】
さらに、前述の励起光としては紫外光および赤外光が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0016】
蛍光偽造防止線維の視覚的特徴の重要な変化をもたらす励起光の照射角度の変化は、「照射角度によって変化する光学色」と呼ばれることがある。本発明の「構成要素」という用語は「幾何学構造を構成している構成要素」の意味に等しい。
【0017】
照射角度によって変化する光学色の前記偽造防止線維の作用の開示および実現は、横断面における材料の構成要素の分布およびすべての構成要素の特別な設計に依存する。光ルミネセンス材料を含む偽造防止線維の1つの構成要素が励起光により照射されるとき、この構成要素の発光の性質は前記構成要素が励起光エネルギーを吸収するということである。励起光の全てまたは大部分のエネルギーが光ルミネセンス材料を含む構成要素により吸収されるとき、この構成要素のまわりの材料は励起光によって照射を受けることができないので、照射角度で変化する光学色の作用は材料の構成要素の選択および分布の設計により実現されることができる。照射角度によって変化する線維自体の光学色が達成され得るが、しかしながら線維のこの種の作用がこの偽造防止材料を例えば紙に加えた後に消える場合、製造は実用的な価値を有しない。解決されるべき重要な問題のうちの1つは、紙層の表面に対応する前記偽造防止線維の横断面の同一で安定な方向である。理論的解析および特定の実験から、前記励起光の遮蔽構造および方向構造は前記線維が水平面に置かれるとき、前記平面より上の空間が同じ波長を有する励起光の少なくとも2つの照射角度AおよびBで存在することを可能にすることが示される。そして前記偽造防止線維がこれらの2つの角度の照射にさらされるときに明らかな視覚的違いがあり、偽造防止線維は偽造防止線維が紙に埋め込まれた後に明らかな視覚的違いを呈することができる。
【0018】
さらにまた、光学色の前記視覚的違いは色Mと無色の違いである。これは典型的な視覚的特徴であり、この状況において前記線維のたった1つの構成要素だけが光ルミネセンス材料を含む。
【0019】
さらに別の典型的な視覚的特徴は視覚的違いが色Mと色Nの違いであるということである。この状態では、前記線維の少なくとも2つの構成要素は異なる光学色を有する発光材料を含む。
【0020】
好ましくは、前記構成要素はコーティングされたかまたは印刷された材料よりもむしろ、溶融合成物回転プロセスによってフィラメントから作られる。この特徴は前記偽造防止線維の処理をプロセスにとって可能にする。結論は、多数のプロセス(例えば、印刷、コーティング方法など)の比較の後の本発明者による最良の選択である。
【0021】
さらにまた、本発明は非常に精巧な設計を有する。認識を容易にするために、上述のプログラムで、あらゆる材料の構成要素は透明でありえる。その結果、肉眼によっていかなる入射角でも偽造防止線維の明らかな視覚的違いがわかる。前記偽造防止線維の発光の損失は最小である。最も大きな利点は、前記偽造防止線維に照射される励起光の角度が変えられるとき、照射角度によって変化する光学色の作用が現れて、肉眼によっていかなる方向でも見ることができるので、人々が特定の識別作業を行うことは便利であるということである。
【0022】
横断面における前記偽造防止線維の各構成要素の分布を簡単に説明するために、座標の原点として前記線維の横断面の幾何中心をとっている横X軸、縦Y軸を有する平面座標を設定する。偽造防止線維の1つの構成要素だけが光ルミネセンス材料を含むとき、光ルミネセンス材料を含むこの構成要素はすべてのY軸から成る中間の垂直な平面の左または右の側に分布されて、X軸によって対称的に分けられる。偽造防止線維が異なる光ルミネセンス材料を有する2つの構成要素を含むとき、前記2つの構成要素はすべてのY軸から成る中間の垂直な平面の左側および右側にそれぞれ分布されて、両方ともX軸によって対称的に分けられて、そこにおいて異なる光ルミネセンス材料を有する前記2つの構成要素は同じ波長の励起光を有するが、明らかに異なる光学色を表示する。
【0023】
偽造防止線維の方向制御の説明を容易にするために、本発明は偽造防止線維横断面平坦化の定義を導入する。すなわち平坦化は比率D/Hに等しく、そこにおいてDはX軸における偽造防止線維横断面の幅であり、そしてHはY軸の偽造防止線維横断面の高さである。
【0024】
線維が製紙用パルプの層の下に埋められた後に偽造防止線維横断面を確かな方向に向けるために、前記偽造防止線維横断面の平坦化が1.5未満のとき、湾曲した線維、特に方向的に湾曲した線維に設計することが選択されることが好ましく、それは最適化された方向構造である。
【0025】
偽造防止線維を方向的に湾曲させるために、前記偽造防止線維の異なる熱収縮度を有する少なくとも2つの構成要素はY軸から成る中間垂直平面の両側にそれぞれ位置しなければならない。
【0026】
理論的解析および発明者の大規模な実験は、扁円の偽造防止線維の場合は、線維の平坦化が0.7以下であり、そして図1aに示す横断面を有する前記線維がまっすぐであるとき、レベルと平行である平坦面に置かれる自由配置本体としての偽造防止線維のY軸は前記平坦面とほぼ100%平行であるということを証明した。この状態では、この平面より上のすべての角度からの照射は線維の発光色を変化させない。まっすぐな偽造防止線維の平坦化が1であり、その横断面が図2aに示すような円であるとき、Y軸から成る中間垂直平面上に自由に置かれる線維の方向はランダムであり、そして前記平坦面を有する角度と同じ可能性がある。前記平坦面に同時に置かれるとき、多くの偽造防止線維は照射角度によって変化する光学色の作用を少しかまたは全く呈さない。この状態では、Y軸の中間垂直平面が前記平面に対して垂直であるごく少しの偽造防止線維だけが照射角度によって変化する光学色の作用を明らかに呈する。これは我々の実験と符合する。それが解決されない場合、本発明は実用的な価値を有しないだろう。
【0027】
解決策のうちの1つは、前記偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、線維のあらゆる横断面のY軸は湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに偽造防止線維は湾曲するということである。前記偽造防止線維が前記平坦面に自由に置かれるとき、湾曲した偽造防止線維により決定される平坦面は前記平坦面と100%平行であり、そして偽造防止線維のY軸から成るあらゆる中間垂直平面は、前記平坦面のすべての偽造防止線維が照射角度によって変化する光学色の最良の作用を呈することを確実にするために、100%確実であり、そして前記平坦面に垂直である。
【0028】
本発明者により実行される理論的解析および具体的な実験の両方とも、前記平坦面に自由に置かれる上記の湾曲した偽造防止線維の方向法則が製紙用パルプの層に自由に置かれる場合と同じであるという事実を証明した。
【0029】
技術上Y軸を囲むこの種の細い線維を方向的に湾曲させることは困難である。本発明者は長期の研究の後にこの問題を巧みに解決した。方法は、前記偽造防止線維の異なる熱収縮度を有する少なくとも2つの構成要素がY軸の中間垂直平面の両側にそれぞれ位置するということである。偽造防止線維が加熱されるとき、それらはY軸の中間垂直平面を確実に囲む。この発見は大きな一致である。それは異なる材料の熱収縮量が異なるという事実を利用する。それで偽造防止線維は切断されて、それから水中に分散されて水で加熱されて、前記線維の湾曲した方向はちょうどY軸の中間垂直平面に沿っている。従って偽造防止線維がパルプの層中に落ちるとき、紙の平坦面はそのY軸に垂直である。これは各蛍光偽造防止線維の特定の方向が同じことであることを確かに保証し、従って各偽造防止線維は照射角度によって変化する蛍光の作用を呈することができる。そのことによって非扁円の蛍光偽造防止線維は偽造防止材料を加えた後に照射角度によって変化する光学色の視覚作用を呈する。この技術は私の2年間の検討の結果であり、そしてそれは創造性で満ちている。
【0030】
理論的解析および大規模な実験は、前記偽造防止線維の横断面の平坦化が1.5未満であるとき、パルプの層中に置かれる前記偽造防止線維が確実で指向的な方向を有するために、偽造防止線維は偽造防止線維のすべてのY軸から成る湾曲した中間垂直平面とともに湾曲しなければならないということを証明した。平坦化が1.5以上であるとき、前記線維がまっすぐだったとしても、前記偽造防止線維は、それがパルプの層中に置かれた後に前記偽造防止線維の方向を制御できる。また、偽造防止線維をまっすぐにするために、あらゆる構成要素または少なくとも幾何学的に対称の構成要素の熱収縮度は同じでなければならない。
【0031】
さらにまた、座標系の上記の定義で、偽造防止線維の2つの構成要素が光ルミネセンス材料を含むとき、偽造防止線維横断面の励起光遮蔽構造のシェルター機能を特に説明するために、我々はシェルター比率をここで規定する。
【0032】
(数1) Z45°=(1―A/A)X100%
【0033】
図7に示すように、式で、Z45°は、励起光AのXに対する入射角度が45°であることを表し、Aは、発光色Mを表示する光ルミネセンス材料構成要素の垂直照射領域であり、Aは、発光色Nを表示する光ルミネセンス材料構成要素の垂直照射領域である。
【0034】
45°が100%であるとき、照射角度によって変化する光学色の作用は明らかである。Z45°が0であるとき、照射角度によって変化する光学色の作用は消える。
【0035】
同じシェルター比率の場合は、励起光AのXに対する入射角度がZ70°のように大きいほど、偽造防止線維の照射角度によって変化する光学色の作用はより良好である。
【0036】
前記偽造防止線維の2つの構成要素がそれぞれ異なる発光色MおよびNを有する光ルミネセンス材料であるとき、設計は前記偽造防止線維のシェルター比率Z45°を100%として選択する。
【0037】
理論的解析および具体的な実験の両方とも、Z45°が100%未満であるとき、照射角度によって変化する光学色の作用が明らかな損失を有することを証明した。特に、前記偽造防止線維がパルプの層中に置かれるとき、この種の損失は紙線維の拡散反射により一層明らかになる。
【0038】
図2bは、2つの構成要素から成る丸い平行にされた偽造防止線維を示し、そこにおいて第2構成要素の発光色はMであり、そして第3構成要素の発光色はNであり、そこにおいて7に示すように、Z45°は83%である。前記偽造防止線維がパルプの層中に置かれるとき、照射角度によって変化する光学色のその作用は紙線維の拡散反射の追加のために弱い。
【0039】
図3bは、3つの構成要素から成る丸い平行にされた偽造防止線維横断面を示す。全線維表面積に対する各光ルミネセンス材料の表面積の比率は1/4以下であり、そこにおいて、図8に示すように、Z45°は100%である。前記偽造防止線維がパルプの層中に置かれるとき、照射角度によって変化する光学色のその作用は、紙線維の拡散反射の追加をさえ有する同じ実験条件で、図2bに示す2つの構成要素から成る丸い平行にされた偽造防止線維のそれより良好である。
【0040】
図3eは、3つの構成要素から成る丸くてシースコア偏心の偽造防止線維を示す。全線維表面積に対する各光ルミネセンス材料の表面積の比率は1/8以下であり、そこにおいて、図9に示すように、Z45°は100%である。前記偽造防止線維がパルプの層中に置かれるとき、照射角度によって変化する光学色のその作用は、紙線維の拡散反射の追加によってさえ、同じ実験条件で、図2bに示す2つの構成要素から成る丸い平行にされた偽造防止線維のそれより良好である。
【0041】
その上、周りの紙の圧力および周りの紙線維の拡散反射のため、偽造防止線維が光ルミネセンス材料を含む1つの構成要素を含むだけであるとき、光ルミネセンス材料の構成要素を含む前記偽造防止線維の照射を受けた領域は偽造防止線維の全表面積の2/5未満でありえる。さらにまた、この比率は1/5未満、または1/8未満、または1/10未満でもありえる。
【0042】
以下は偽造防止線維の典型的構造の一部である。
【0043】
構造1において、前記偽造防止線維は遮蔽構成要素(1)および発光構成要素(2)から成り、そこにおいて光ルミネセンス材料を含まない前記遮蔽構成要素(1)は可視光が透過可能であるが、励起光を遮蔽し、そして光ルミネセンス材料を含む前記発光構成要素(2)は発光色Mを表示する。偽造防止線維の表面の発光構成要素(2)の表面積は全線維表面積の2/5以下である。
【0044】
さらにまた、上記の構造1で、前記偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、線維のあらゆる横断面のY軸は湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに偽造防止線維は湾曲する。偽造防止線維を方向的に湾曲させるために、異なる熱収縮度を有する遮蔽構成要素(1)および発光構成要素(2)はY軸の中間垂直平面の両側に位置する。
【0045】
さらにまた、上記の構造1で、前記偽造防止線維の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維はまっすぐである。偽造防止線維をまっすぐにするために、遮蔽構成要素(1)および発光構成要素(2)は同じ熱収縮度を有する。
【0046】
構造2において、前記偽造防止線維は前記2つの発光構成要素を平行に結合することによって発光構成要素(2)および発光構成要素(3)を含む。前記第1発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。前記第2発光構成要素(3)は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含む。発光色MおよびNには明らかな視覚的違いがある。偽造防止線維の表面の第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)の表面積はそれぞれ全表面積の1/2である。
【0047】
上記の構造2において、第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)の励起光の波長は同じでなければならない。それらが同じでない場合、1つの構成要素は他の構成要素を保護することができず、そして照射角度によって変化する光学色の作用は呈されることができない。我々が、例えば、254nmおよび365nmの波長をそれぞれ有する励起光の材料を選ぶ場合、市場に出ていて一般的である単一波長紫外線識別光も2波長励起光源も照射角度によって変化する光学色の作用を呈することができない。
【0048】
さらにまた、上記の構造2で、偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、線維のあらゆる横断面のY軸は湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに偽造防止線維は湾曲する。偽造防止線維を方向的に湾曲させるために、異なる熱収縮度を有する第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)はY軸の中間垂直平面の2つの側にそれぞれ位置する。
【0049】
上記の構造2において、前記偽造防止線維の横断面の平坦化が1.2以上であるとき、特にそれが1.5以上であるとき、照射角度によって変化する光学色の作用が急速に減少するように、そのシェルター比率Z45°も急速に減少する。それで我々は構造2が扁円でありえないと結論することができ、従って前記線維はまっすぐな線維に設計することができない。
【0050】
構造3において、前記偽造防止線維は、遮蔽構成要素(1)、第1発光構成要素(2)、および第2発光構成要素(3)から成る。前記遮蔽構成要素(1)は光ルミネセンス材料を含まず、そしてそれは可視光が透過可能であるが、励起光を遮蔽する。前記第1発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。前記第2発光構成要素(3)は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含む。発光色MおよびNには明らかな視覚的違いがある。
【0051】
遮蔽材料(1)および励起光源の選択の要求をより低くするために、上記の構造3の2つの発光構成要素は励起光と同じ波長を有することが好ましい。励起光のそれらの波長が異なり、例えば、それぞれ254nmおよび365nmである場合、遮蔽材料(1)は励起光の両方の波長を吸収しなければならない。そして励起光源は2つの波長を有する励起光を同時に送らなければならない。しかしながら、単一波長励起光源は構造3のための照射角度によって変化する光学色の作用を有しない。しかし、今日では、ほとんどすべての普及した紫外識別光は単一波長である。それで要求は実際に満たすのが困難である。
【0052】
さらにまた、上記の構造3で、偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、選ばれた偽造防止線維は湾曲する。線維のあらゆる横断面のY軸は湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに偽造防止線維は湾曲する。Y軸の中間垂直平面とともに偽造防止線維を湾曲させるために、異なる熱収縮度を有する第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)はY軸の中間垂直平面の2つの側にそれぞれ位置しなければならない。
【0053】
構造3において、前記偽造防止線維の横断面の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維はまっすぐである。偽造防止線維をまっすぐにするために、少なくとも第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)は同じ熱収縮度を有する。
【0054】
構造4において、前記偽造防止線維は、遮蔽構成要素(1)、発光構成要素(2)、および伝達構成要素(4)から成る。前記遮蔽構成要素(1)は光ルミネセンス材料を含まず、それは光が透過可能であるが、励起光を遮蔽する。前記発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。前記伝達構成要素(4)は励起光および可視光が透過可能である。前記偽造防止線維の横断面において、遮蔽構成要素(1)および伝達構成要素(4)の側面は半円または半偏円、その他であり、それらは遮蔽構成要素(1)と伝達構成要素(4)の中間の伝達構成要素(2)とともに平行に配置される。
【0055】
さらにまた、上記の構造4で、偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、選ばれた偽造防止線維は湾曲する。線維のあらゆる横断面のY軸はY軸の湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに偽造防止線維は湾曲する。Y軸の中間垂直平面とともに偽造防止線維を方向的に湾曲させるために、発光構成要素(1)および伝達構成要素(4)は異なる熱収縮度を有する。
【0056】
構造4において、前記偽造防止線維の横断面の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維はまっすぐである。前記偽造防止線維をまっすぐにするために、少なくとも遮蔽構成要素(1)および伝達構成要素(4)は同じ熱収縮度を有する。
【0057】
さらに、前記偽造防止線維の照射角度によって変化する光学色の作用に対する紙線維の拡散反射の影響を減らすかまたは除去さえするために、上記の構造4で、選ばれる伝達構成要素(4)の硬度は前記伝達構成要素(2)のそれより小さくなければならない。
【0058】
構造5において、前記偽造防止線維は、第1発光構成要素(2)、第2発光構成要素(3)、および伝達構成要素(4)から成る。前記第1発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。前記第2発光構成要素(3)は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含む。発光色MおよびNには明らかな視覚的違いがある。前記伝達構成要素(4)は励起光および可視光が透過可能である。偽造防止線維の前記横断面において、第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)の側面はそれぞれ半偏円であって、完全な偏円になるように平行に配置される。伝達構成要素(4)の側面は円かまたは偏円であり、それは励起光および可視光が透過可能である。第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)を接合した平らな側面は、伝達構成要素(4)の円または扁円の側面の内側に含まれる。扁円の伝達構成要素(4)の長い軸はX軸と平行である。そして第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)の界面はX軸に垂直である。
【0059】
構造5において、構造2の同じ原理のために、第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)の励起光の波長は同じでなければならない。
【0060】
さらにまた、上記の構造5で、偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、選ばれた偽造防止線維は湾曲する。線維のあらゆる横断面のY軸は湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに偽造防止線維は湾曲する。偽造防止線維を方向的に湾曲させるために、第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)は異なる熱収縮度を有する。
【0061】
さらにまた、構造5で、前記偽造防止線維の横断面の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維はまっすぐである。偽造防止線維をまっすぐにするために、少なくとも第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)は同じ熱収縮度を有する。
【0062】
さらに、前記偽造防止線維の照射角度によって変化する光学色の作用に対する紙線維の拡散反射の影響を減らすかまたは除去さえするために、上記の構造5で、選ばれる伝達構成要素(4)の硬度は前記第1発光構成要素(3)のそれより小さくなければならない。
【0063】
構造6において、前記偽造防止線維は、遮蔽構成要素(1)、第1発光構成要素(2)、第2発光構成要素(3)、および伝達構成要素(4)から成る。前記遮蔽構成要素(1)は、可視光が透過可能であるが、励起光を遮蔽する光ルミネセンス材料を含む。前記第1発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。前記第2発光構成要素(3)は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含む。発光色MおよびNには明らかな視覚的違いがある。前記伝達構成要素(4)は励起光および可視光が透過可能である。遮蔽構成要素(1)は伝達構成要素(4)の2つの部分の間に位置し、そしてそれらは2つの界面を構成するために平行である。前記界面はX軸に垂直である。第1発光構成要素(2)および第2発光構成要素(3)は2つの界面の中央にそれぞれ位置する。第1発光構成要素(2)および第2発光の構成要素(3)は、Y軸の中間垂直平面とともに前記偽造防止線維を曲げるように異なる熱収縮度を有する。
【0064】
識別をさらに容易にするために、前記湾曲した線維は偽造防止線維の長さの方向に沿って旋回する閉じたリングであるように曲がる。前記湾曲した線維がこの状態の下であらゆる角度からの励起光によって照射を受ける場合、励起光源に近い半円は発光色が励起光源から遠く離れた他の半円のそれと異なる光を送る。別のケースにおいて、励起光源に近い半円は光を送らず、一方、励起光源から遠い他の半円は発光色を呈する。これは識別の動作を容易にすることができる一種の固有の視覚的特徴である。線維がまっすぐであるか、またはわずかに湾曲している場合、励起光の照射角度は基本的に線維の長さの方向に垂直でなければならず、その結果、前記線維は照射角度によって変化する光学色の明らかな作用を呈することができる。閉じたリング線維は上記の難題を解決し、たとえ励起光がすべての方向に照射しても、閉じたリング線維は照射角度によって変化する光学色の作用を呈することができる。前記閉じたリングの偽造防止線維は識別の動作をより便利に、そしてより柔軟にする。
【0065】
理論的解析および具体的な実験は、偽造防止線維の横断面の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維は曲線よりもむしろ線でよく、製紙用パルプの層中に置かれる前記偽造防止線維の開始は安定して制御されることができるということを証明した。
【0066】
蛍光偽造防止線維を含む偽造材料は紙またはプラスチック膜であり、特徴として、前記偽造材料を構成する蛍光偽造防止線維の前記横断面における構成要素の構造分布、すべての構成要素の光学特性、および前記偽造防止線維の横断面と前記偽造材料の表面間の相対的位置の適切な選択は、励起光の少なくとも2つの照射角度を表面に引き起こし、そこにおいて前記2つの照射角度から前記偽造材料の同じ偽造防止線維を照射する励起光によって明らかな視覚的違いが生じる。
【0067】
さらにまた、前記偽造防止材料は上記の偽造防止材料構成に記載のすべての偽造防止線維を含む。前記偽造防止線維が製紙用パルプの層中に置かれるとき、すべての前記偽造防止線維は照射角度によって変化する光学色の作用を呈することができる。
【0068】
製紙用パルプの層に深く埋め込まれた前記偽造防止線維の照射角度によって変化する光学色の作用に対する紙線維の拡散反射の影響を除去するかまたは減らすために、前記偽造防止線維の前記遮蔽構成要素は紙線維の拡散反射を遮蔽するために製紙用パルプの層中に加えられる。
【0069】
さらにまた、励起光の遮蔽構成要素はチタンホワイトである。チタンホワイトは紙の被覆能力を向上させる一種の白色化材料だけでなく、紫外線を吸収する優れた材料でもある。
【0070】
製紙用パルプの層中の前記チタンホワイトの含有量は4%以上であり、好ましくは5%以上である。
【0071】
遮蔽構成要素も、UV327などのように、他の特性を有する他の励起光吸収体でありえる。
【0072】
紙線維も励起光を遮蔽するために励起光吸収体で着色されるかまたは包まれることができる。
【0073】
多層製紙用パルプ紙またはボール紙の場合は、遮蔽構成要素は、コストを節約するために蛍光偽造防止線維を含む製紙用パルプの層に加えられることを必要とするだけである。
【0074】
また、紙線維の拡散反射の影響を除去するために、前記紙は少なくとも2つの層の製紙用パルプから成ることが可能であり、そこにおいて偽造防止線維を含む製紙用パルプの定量は、蛍光偽造防止線維の照射角度で変化する光学色の作用に対する紙線維の拡散反射の悪い影響を減らして除去さえするために、30g/m以下でなければならない。
【0075】
前記紙も少なくとも2つの層の製紙用パルプから成ることが可能であり、そこにおいて偽造防止線維は製紙用パルプの表面層と他の層の中間にある。製紙用パルプの表面層の定量は25g/m以下でなければならない。
【0076】
さらに、前記偽造防止材料は、紙が少なくとも3つの層の製紙用パルプから成ることを特徴とする前記紙であり、そこにおいて偽造防止線維を含む製紙用パルプの層は製紙用パルプの表層と製紙用パルプの他の層の間に分布する。製紙用パルプの表層の定量は25g/m以下でなければならない。偽造防止線維を含む製紙用パルプの層の定量は20g/m以下でなければならない。プラスチック膜は照射角度によって変化する光学色の作用に対する拡散反省の影響を有しない。
【発明の効果】
【0077】
1.本発明は、蛍光偽造防止線維の視覚的特徴が印刷フィラメントにより模倣されるのに容易であるという汎用問題を解決する。本発明を採用することによって偽造が優れて困難な製紙閾値を処理するのを防止できる。
2.本発明では、発明者は、方向曲げ偽造防止線維の問題を創造的に解決するために異なる熱収縮度を有する2つの材料を巧みに利用し、それは方向湾曲線維の動作をより便利にする。
3.本発明は、肉眼によってあらゆる角度からの蛍光偽造防止線維の照射角度によって変化する光学色の明らかな作用を便利に観察できるために、あらゆる構成要素が可視光によって透明である設計を採用する。
4.回転装置の既存の状況についての深い理解に基づいて、本発明は、照射角度によって変化する光学色(発光色MとNとの視覚的違いだけ)を呈する扁円の横断面(D/H≧1.5)を有するまっすぐな偽造防止線維を設計する。この種の線維は3構成要素回転装置によって作られることが可能であるだけである。しかしながら、回転装置は現在存在せず、そしてこの種の構造に対応する装置が排他的に所有されることができるように、それは専用にされなければならない。これは線維生成の源を制御し、さらに偽造防止の作用を増大させるのに効果的である。
5.照射角度によって変化する光学色を呈する前記線維の色の変化は、線維構成要素により形成される3次元断面の形状に依存するだけでなく、励起光の照射方向にも依存する。それで偽造防止線維が製紙用パルプの層中に置かれるとき、それは2つの制限に直面する。第1制限は、製紙の圧力が偽造防止線維の横断面を扁円にするということである。第2の制限は、より多くの紙線維が前記蛍光偽造防止線維をカバーするほど、励起光の方向変化に対する紙線維の拡散反射の影響は大きくなり、励起光に対する蛍光偽造防止線維の周りの紙線維の拡散反射が上記の2つの要因の影響を減らすために励起光の方向を変えることができるので、発明者は、上記の2つの要因の影響を減らすかまたは除去さえして、それを実際には適用することを可能にするために、実験および分析を繰り返すことによって、本発明の線維横断面の多くの特別な設計を採用し、そして選択するということである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】光ルミネセンス材料の構成要素を含む2構成要素偽造防止線維の横断面を示す。
【図2】光ルミネセンス材料を両方とも含む2構成要素偽造防止線維の横断面を示す。
【図3】光ルミネセンス材料の2つの構成要素を含む3構成要素偽造防止線維の横断面を示す。
【図4】光ルミネセンス材料の構成要素、励起光吸収体の構成要素、および透明材料の構成要素を含む3構成要素偽造防止線維の横断面を示す。
【図5】透明材料の構成要素および異なる光ルミネセンス材料の2つの構成要素を含む3構成要素偽造防止線維の横断面を示す。
【図6】4構成要素湾曲偽造防止線維の横断面を示し、それは、透明材料の構成要素、励起光吸収体の構成要素、および異なる熱収縮度を有する光ルミネセンス材料の2つの構成要素を含む。
【図7】偽造防止線維のすべての横断面の励起光シェルター比率の略図を示す。
【図8】偽造防止線維のすべての横断面の励起光シェルター比率の略図を示す。
【図9】偽造防止線維のすべての横断面の励起光シェルター比率の略図を示す。
【図10】偽造防止線維が分布する偽造防止紙の断面略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
実施形態1:図1a、図1b、図1c、図1d、図1e、および図1fは、光ルミネセンス材料の構成要素を含む2構成要素偽造防止線維の横断面を示す。
【0080】
偽造防止線維の横断面は遮蔽構成要素1および発光構成要素2から成る。これらの2つの構成要素は横断面において平行に分布して、線維の長手方向にねじれずに平行に伸びる。遮蔽構成要素1は光ルミネセンス材料を含まなくて、可視光が透過可能であるが励起光を遮蔽できる励起光吸収体を含む。吸収材料の吸収スペクトルは発光材料の励起光波長を少なくともカバーする。発光構成要素2は発光色が中間垂直平面のY軸の側に位置するMである光ルミネセンス材料を含む。横断面の水平軸であるX軸は発光色Mを有する光ルミネセンス材料の横断面を等しく分割する。好ましくは、偽造防止線維の表面の発光構成要素2の面積は全線維表面積の2/5以下でなければならない。
【0081】
図1a、図1b、図1d、および図1eに示される偽造防止線維において、偽造防止線維の横断面の平坦化は1以下である。偽造防止線維はY軸の中間垂直平面に沿って方向的に曲げられ、そして線維のあらゆる横断面のY軸はY軸の湾曲した中間垂直平面に変わる。遮蔽構成要素1および発光構成要素2は異なる熱収縮度を有しなければならない。例えば、遮蔽構成要素1はUV吸収体を含むPET材でありえ、および/または発光構成要素2は赤い蛍光材料を含むPBT材料でありえる。
【0082】
図1cおよび図1fに示される偽造防止線維において、偽造防止線維の横断面の平坦化は1.5以上であり、例えば、遮蔽構成要素1はUV吸収体を有するPET材でありえ、および/または発光構成要素2は赤い光ルミネセンス材料を含むPET材でありえる。または遮蔽構成要素1は紫外線を吸収するPEN材料でありえ、および/または発光構成要素2は赤い蛍光材料を含むPET材でありえる。
【0083】
上記の材料の中で、可視光を遮蔽できる吸光材料を選択してはならない。
【0084】
励起光によって角度Bから直接に照射を受けるとき、遮蔽構成要素1は励起光のすべてのエネルギーを吸収し、それは隣接する発光構成要素2に直接照射されなければならなかった励起光を遮蔽することに等しい、すなわち遮蔽構成要素1は遮蔽構造そのものを形成する。この時に、肉眼によって観察のすべての方向の偽造防止線維の発光を見ることができない。励起光によって角度Aから直接に照射を受けるとき、励起光は発光構成要素2を直接照射して、遮蔽構成要素1を透過できる発光色Mを有する発光を励起し、そして偽造防止線維の観察のすべての方向から肉眼によって見ることができる。
【0085】
実施形態1において、発光構成要素2が偽造防止線維の表面にほとんど何も露出させない理由は、照射角度によって変化する光学色の作用に及ぼす紙線維の拡散反射によって生じる励起光の拡散光の影響、および照射角度によって変化する光学色の作用に及ぼす製紙圧力によって生じる偽造防止線維の横断面の歪曲の影響を除去するためである。表面における構成要素の露出が少ないほど、この構成要素の発光強度が向上するという事由により、図1a、1b、および/または1cに示される偽造防止線維の扁円の発光構成要素2は、輝度、遮蔽効果、紙線維の拡散反射の除去、および/または偽造防止線維の横断面の歪曲に及ぼす製紙圧力の影響の除去において、1dおよび1fに示される偽造防止線維の丸い発光構成要素2より良好である。
【0086】
この実施形態1において、2構成要素混合偽造防止線維の設計は色Mと無色の間の光学色の視覚的違いを呈することができるだけである。
【0087】
実施形態2:図2aおよび図2bに示す横断面を有する線維は第1発光構成要素2および第2発光構成要素3から平行に成る。これらの2つの構成要素は偽造防止線維の横断面に平行に配置され、そしてねじれずに偽造防止線維の長手方向に平行に伸びる。偽造防止線維の横断面の平坦化は1以下であるので、前記線維は2構成要素湾曲線維である。第1発光構成要素2は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。第2発光構成要素3は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含む。そして双方とも同じ波長の励起光を有するが、発光色MおよびNは肉眼によって明らかに異なる。2つの構成要素は中間垂直平面のY軸の2つの側にそれぞれ位置する。横断面の水平軸(X軸)は中間垂直平面にある2つの部分を等しく分ける。偽造防止線維の表面の第1発光構成要素2および第2発光構成要素3の面積は両方とも1/2である。
【0088】
発光構成要素2は青い蛍光材料を有するPET材でありえる。第2発光構成要素3は赤い蛍光材料を有するPBT材料でありえる。蛍光材料に対して可視光を遮蔽できる吸光線維を加えてはならない。
【0089】
励起光によって角度Aから直接に照射を受けるときに、光ルミネセンス材料を含む第1発光構成要素2は発光色Mを表示し、そして同時に励起光のエネルギーを使い尽くし、それによって励起光が第1発光構成要素2を通して第2発光構成要素3を照射するのを防止する。これは、励起光が第2発光構成要素3を照射するのを防止するために遮蔽構造を構成する第1発光構成要素2を意味する。その一方で、発光色Mは透明である第2発光構成要素3を通って偽造防止線維のあらゆる方向に伝達することができ、そして前記線維周辺で肉眼によって見ることができる。角度Bから直接に照射を受けるとき、光ルミネセンス材料を含む第2発光構成要素3は発光色Nを表示し、そして同時に励起光のエネルギーを使い尽くし、それによって励起光が第2発光構成要素3を通して第1発光構成要素2を照射するのを防止する。これは、励起光が第1発光構成要素2を照射するのを防止するために遮蔽構造を構成する第2発光構成要素3を意味する。その一方で、発光色Nは透明である第1発光構成要素2を通って偽造防止線維のあらゆる方向に伝達することができ、そして前記線維周辺で肉眼によって見ることができる。
【0090】
実施形態2の照射角度によって変化する光学色の作用を呈する2つの発光色の2つの構成要素を有するこの構造が、偽造防止線維の横断面の歪曲に対する製紙圧力の影響だけでなく、照射角度によって変化する光学色の作用に対する紙線維の拡散反射の影響を除去するために劣っている能力を有するということが多量の実験により証明された。製紙工程の高圧または製紙用パルプの層に深く埋め込まれた前記偽造防止線維があるとき、照射角度によって変化する光学色の作用を得るのは難しい。
【0091】
実施形態2において、2つの構成要素の線維構造の平坦化は、偽造防止線維の横断面の歪曲に対する製紙圧力の影響だけでなく、照射角度によって変化する光学色の作用に対する紙線維の拡散反射を除去するために増強されることができる。しかし平坦化が1.2以上であるとき、シェルター比率Z45は70%未満であるので、前記線維が製紙用パルプの層中に置かれるとき、照射角度によって変化する光学色の作用を呈するのは難しい。このようにこの構造は実際には限られた価値である。言い換えれば、この構造は有効な励起光シェルターとして用いることができない。
【0092】
実施形態3:図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、および図3fは、2つの構成要素が光ルミネセンス材料を含む3構成要素偽造防止線維を示す。
【0093】
前記遮蔽構成要素1は光ルミネセンス材料を含まず、可視光が透過可能であるが励起光を遮蔽できる光吸収材料である。吸収材料の吸収スペクトルは発光材料の励起波長をカバーする。第1発光構成要素2は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。第2発光構成要素3は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含む。そして双方とも同じ波長の励起光を有するが、発光色MおよびNは肉眼では明らかに異なる。前記線維の横断面において、第1発光構成要素2および第2発光構成要素3はY軸の2つの側に位置する。好ましくは、前記2つの発光構成要素はY軸の2つの側に対称的に位置し、線維の横断面におけるその部分は実施形態3のすべての図に示すようにX軸によって分けられる。遮蔽構成要素1は前記2つの発光構成要素の間にある。これらの3つの構成要素はねじれずに偽造防止線維の長さ方向に沿って平行に伸びる。
【0094】
図3a、図3b、図3d、および図3eに示すように、前記偽造防止線維の平坦化が1以下であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、そして線維のあらゆる横断面のY軸は湾曲した中間垂直平面に変化し、それとともに偽造防止線維は湾曲する。方向性湾曲線維は前記湾曲線維と同程度であり、そこにおいて第1発光構成要素2および第2発光構成要素3は同じ熱収縮度を有する。前記線維において、遮蔽構成要素1はUV吸収材料を有するPBT材料であり、第1発光構成要素2は青い蛍光粉を有するPBT材料であり、そして第2発光構成要素3は赤い蛍光粉を有するPET材である。上記の材料において、遮蔽構成要素1はUV吸収体そのものであるPEN材料でもありえる。しかしながら、3つの構成要素の全てが可視光を遮蔽する吸光線維材を選択することができない。
【0095】
図3cおよび図3fに示すように、まっすぐである偽造防止線維の平坦化は1.5以上である。第1発光の構成要素2および第2発光の構成要素3は同じ熱収縮度を有する。遮蔽構成要素1はUV吸収材料を有するPBT材料であり、第1発光構成要素2は青い蛍光粉を有するPBT材料であり、そして第2発光構成要素3は赤い蛍光粉を有するPBT材料でありえる。上記の材料において、遮蔽構成要素1はUV吸収体そのものであるPEN材料でもありえる。しかしながら、3つの構成要素の全てが可視光を遮蔽する吸光線維材を選択することができない。
【0096】
励起光によって角度Aから直接に照射を受けるとき、光ルミネセンス材料を含む第1発光構成要素2および遮蔽構成要素1は発光色Mを表示して、励起光のエネルギーを吸収し、それは励起光が第1発光構成要素2および遮蔽構成要素1によって第2構成要素3を照射するのを防止する。それは、遮蔽構成要素1および第1発光構成要素2が第2発光構成要素3を照射する励起光を遮蔽するために遮蔽構造を構成することを意味する。この時に、発光色Mは外へ伝達することができて、肉眼によって偽造防止線維を観察することがあらゆる方向で見ることができる。励起光によって角度Bから直接に照射を受けるとき、第2発光構成要素3(それは光ルミネセンス材料を含む)および遮蔽構成要素1は発光色Nを表示して、励起光が第1構成要素2に放射するのを防止する励起光のエネルギーを吸収する。それは、遮蔽構成要素1および第2発光構成要素3が第1発光構成要素2に照射する励起光を遮蔽するために遮蔽構造を構成することを意味する。この時に、発光色Nは、外へ伝達することができて、肉眼によって偽造防止線維を観察するあらゆる方向で見ることができる。
【0097】
実施形態3において、偽造防止線維が押圧されて歪められるとき、それは照射角度によって変化する光学色の優れた作用を呈することができて、紙線維の拡散反射を強く除去できる。両方とも光ルミネセンス材料を含む第1および第2の発光構成要素2および3は、線維が紙の中に置かれるときの紙線維の拡散反射および製紙の進行中の紙圧の影響を除去するために、線維の表面にほとんど何も露出させない。図3a、3b、および/または3cに示される偽造防止線維の扁円の第1および第2の発光構成要素2および3は、図3d、3e、および/または3fに示される偽造防止線維の丸い第1および第2の発光構成要素2および3より多くの面積を前記線維の表面に露出させる。前者は、輝度において後者より良好であるが、偽造防止線維の横断面の歪曲に対する製紙圧力の影響の除去だけでなく、紙線維の拡散反射の除去においてより悪い。
【0098】
実施形態3に記載されている前記線維の複合回転構造の3構成要素は、照射角度によって変化する光学色の作用に関して製紙圧力によって生じる横断面歪曲だけでなく、紙線維の拡散反射を除去することにおいて複合回転構造の2構成要素より良好であることが豊富な実験により判明された。それでそれは実用的価値がある。
【0099】
実施形態4:3構成要素偽造防止線維の横断面が図4a、4b、4c、および4dに示され、それは、遮蔽構成要素1、発光構成要素2、および伝達構成要素4から成り、そしてそれはねじれずに偽造防止線維長の方向に沿って平行に伸びる。発光構成要素2は前記線維の横断面において遮蔽構成要素1と伝達構成要素4の間に分布する。実施形態4において、好ましくは、遮蔽構成要素1および伝達構成要素4はY軸の2つの側に位置して、Y軸によって等しく分けられる。一方、これらの3つの構成要素はX軸によって等しく分けられる。中心に位置する発光構成要素2もY軸によっても分けられる。遮蔽構成要素1は光ルミネセンス材料を含まない吸収材料であり、可視光が透過可能であるが励起光を遮蔽できる。その吸収スペクトルは少なくとも発光材料の励起波長をカバーする。発光構成要素2は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。伝達構成要素4は励起光および可視光の両方が透過可能である。好ましくは、偽造防止線維の横断面において遮蔽構成要素1および/または伝達構成要素4はそれぞれ半円または半扁円であり、そして平行に組み合わされる。これらの2つの部分は協調的に組み合わされる。発光構成要素2は発光構成要素14と伝達構成要素4の界面の中央にある。
【0100】
前記偽造防止線維の平坦化が図4aおよび4bに示すように1以下であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、線維のあらゆる横断面のY軸は湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに偽造防止線維は湾曲する。遮蔽構成要素1および伝達構成要素4は異なる熱収縮度を有する材料である。前記遮蔽構成要素1はUV吸収材料を有するPBT材料であり、前記構成要素2は赤い蛍光粉を有するPBT材料であり、そして前記伝達構成要素4は澄んだ透明なPET材料でありえる。前記遮蔽構成要素1はUV吸収体自体であるPEN材料でもありえる。上記の構成要素のいずれも可視光を遮蔽できる吸光線維を選択してはならない。PEN材料は可視光が透過可能であるけれども、それは紫外線を吸収できるので、前記伝達構成要素4は澄んだPEN材料を選択することができない。
【0101】
前記偽造防止線維の平坦化が図4cおよび4dで示すように1.5以上であるとき、前記偽造防止線維はまっすぐな線維である。前記遮蔽構成要素1は前記伝達構成要素4と同じ熱収縮度を有する。前記遮蔽構成要素1はUV吸収材料を有するPBT材料であり、前記発光構成要素2は赤い蛍光粉を有するPBT材料であり、そして前記伝達構成要素4は澄んだ透明なPBT材料でありえる。前記遮蔽構成要素1はUV吸収体自体であるPEN材料でもありえる。上記の構成要素のいずれも可視光を遮蔽できる吸光線維を選択してはならない。PEN材料は可視光が透過可能であるけれども、それは紫外線を吸収できるので、前記伝達構成要素4は澄んだPEN材料を選択することができない。
【0102】
励起光によってBの角度から照射を受けるとき、前記遮蔽構成要素1は励起光のエネルギーを完全に吸収し、それは隣接する発光構成要素2に直接照射されるはずであった励起光を遮蔽することに等しい。この時に、肉眼によって観察のすべての方向の偽造防止線維の発光を見ることができない。励起光がAの角度から照射するとき、励起光は伝達合成物4によって発光構成要素2を直接照射し、そして遮蔽構成要素1および伝達構成要素4を透過できる発光色Mを有する発光を励起する。この時に、肉眼によって観察のあらゆる方向の偽造防止線維の発光を見ることができる。
【0103】
前記偽造防止線維のこの構造は紙線維の拡散反射の影響を強く除去できる。前記偽造防止線維が製紙の圧力によって歪められる場合であっても、それはまだ照射角度によって変化する光学色の優れた作用を呈する。さらに、製紙圧の下で、伝達構成要素4は透明でありえる紙線維としっかりと結合できる。従って、それは発光構成要素2周辺で紙線維の拡散反射を回避する。
【0104】
実施形態5:3構成要素偽造防止線維の横断面は図5a、5b、5c、5d、5e、および5fに示され、それは透明材料の構成要素および光ルミネセンス材料の2つの構成要素から成る。平行したこれらの3つの構成要素はねじれずに偽造防止線維長の方向に伸びる。前記偽造防止線維は、第1発光構成要素2、第2発光構成要素35、および伝達構成要素4から成る。第1発光構成要素2は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。第2発光構成要素3は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含む。そして双方とも同じ波長の励起光を有するが、発光色MおよびNは肉眼によって明らかに異なる。伝達構成要素4は励起光および可視光が透過可能である。偽造防止線維の横断面において、伝達構成要素4は丸いかまたは扁円であり、そして半円または半扁円である第1発光構成要素2および/または第2発光構成要素3はそれぞれ円または楕円を平行に合成し、それは丸いかまたは扁円の遮蔽構成要素4の中央に位置する。伝達構成要素4の側面が扁円であるとき、その長い軸はX軸と平行である。第1発光構成要素2および第2発光構成要素3の界面はX軸に対して垂直である。好ましくは、第1発光構成要素2および第2発光構成要素3の界面はY軸によって等しく分けられて、そしてすべての構成要素はX軸によって等しく分けられる。
【0105】
図5a、図5c、および図5eに示される偽造防止線維において、偽造防止線維の横断面の平坦化は1以下である。前記偽造防止線維は湾曲し、線維のあらゆる横断面のY軸は湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに偽造防止線維は湾曲する。第1発光構成要素2および第2発光構成要素3は異なる熱収縮度を有する。第1発光構成要素2は青い蛍光粉を有するPEN材料であり、第2発光構成要素3は赤い蛍光粉を有するPEN材料であり、そして伝達構成要素4はPPの硬度がPENおよびPETのそれよりはるかに小さい澄んだPP透明材料でありえる。これらの構成要素の全てが可視光を遮蔽する吸光線維材料を選択できるというわけではない。加えて、伝達構成要素4は、それが可視光が透過可能であるにもかかわらず、紫外線を吸収できる澄んだPEN透明材料を選択することができない。
【0106】
図5b、図5d、および図5fに示す偽造防止線維において、平坦化は1.5以上であり、前記偽造防止線維はまっすぐな線維である。第1発光構成要素2は青い蛍光粉を有するPEN材料であり、第2発光構成要素3は赤い蛍光粉を有するPEN材料であり、そして伝達構成要素4は澄んだPBT透明材料でありえる。これらの構成要素の全てが可視光を遮蔽する吸光線維材料を選択できるというわけではない。加えて、伝達構成要素4は、それが可視光が透過可能であるにもかかわらず、紫外線を吸収できる澄んだPEN透明材料を選択することができない。
【0107】
励起光がAの角度から照射するとき、それは伝達構成要素4によって第1発光構成要素2に照射する。第1発光構成要素2の光ルミネセンス材料は発光色Mを表示し、そして励起光のエネルギーを吸収し、それは励起光が第1発光構成要素2によって第2構成要素3に照射するのを防止する。それは第1発光構成要素2が第2発光構成要素3に照射する励起光を遮蔽するために遮蔽構造を構成することを意味する。この時に、発光色Mは外へ伝達することができて、肉眼によって偽造防止線維を観察するあらゆる方向で見ることができる。励起光がBの角度から照射するとき、それは伝達構成要素4によって、第2発光構成要素3に照射する。第2発光構成要素3の光ルミネセンス材料は発光色Nを表示し、そして励起光のエネルギーを吸収し、それは励起光が第2発光構成要素3によって第1構成要素2に照射するのを防止する。それは第2発光構成要素3が第1発光構成要素2に照射する励起光を遮蔽するために遮蔽構造を構成することを意味する。この時に、発光色Nは外へ伝達することができて、肉眼によって偽造防止線維を観察するあらゆる方向で見ることができる。
【0108】
図5aおよび5bに示される実施形態5のこの構造は紙線維の拡散反射の影響を強く除去できる。前記偽造防止線維が製紙の圧力によって歪められる場合であっても、それはまだ照射角度によって変化する光学色の優れた作用を呈する。さらに、製紙の圧力の下で、第1発光構成要素25および第2発光構成要素35から成る扁円の横断面はまだ扁円であり、せいぜい円であり、それはまだ凹および凸状シェルターである。従ってそれは発光構成要素2周辺で紙線維の拡散反射を回避する。さらに、製紙圧力の下で、伝達構成要素4は透明でありえる紙線維ときつく結合できる。従ってそれは励起光の方向において第1発光構成要素2および第2発光構成要素3周辺で紙線維の拡散反射を回避する。
【0109】
図5cおよび5dに示される実施形態5において、第1発光構成要素2および第2発光構成要素3は伝達構成要素4の中央に位置する。この構造は紙線維の拡散反射の影響を強く除去できる。前記偽造防止線維が製紙の圧力によって歪められる場合であっても、それはまだ照射角度によって変化する光学色の優れた作用を呈する。さらに、伝達構成要素4が第1発光構成要素2および第2発光構成要素3より比較的柔らかいとき、第1発光構成要素2および第2発光構成要素3が全くまたはほとんど歪められないのに対して、伝達構成要素4は製紙の圧力の下で第1発光構成要素2および第2発光構成要素3に先立ってより柔軟に歪められる。さらに、製紙圧力の下で、伝達構成要素4は透明でありえる紙線維ときつく結合できる。従ってそれは励起光の方向において第1発光構成要素2および第2発光構成要素3周辺で紙線維の拡散反射を回避する。
【0110】
図5eおよび5fに示される実施形態5の構造は実施形態5の上記の構造と類似している。違いは、偽造防止線維の横断面において、半円または半扁円である第1発光構成要素2および/または第2発光構成要素3はそれぞれ平行に円を合成するということである。この構造は容易に回転する。構造のこの種の機能は実施形態5の前述の構造のそれと全く類似している。
【0111】
実施形態例6:横断面が図6に示される偽造防止線維は湾曲した線維である。それは、遮蔽構成要素1、第1発光構成要素2、第2発光構成要素3、および伝達構成要素4から成る。これらの4つの構成要素は偽造防止線維の横断面に平行に分布されて、ねじれずに偽造防止線維の長手方向に平行に伸びる。吸収材料の吸収スペクトルが少なくとも発光材料の励起波長をカバーする光ルミネセンス材料のない前記遮蔽構成要素1。第1発光構成要素2は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含む。第2発光構成要素3は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含む。第1発光構成要素2および第2発光構成要素3の光ルミネセンス材料は同じ励起光の波長を有する。しかし発光色Mと発光色Nには明らかな視覚的違いがある。伝達構成要素4は励起光および可視光とも透過可能である。遮蔽構成要素1は伝達構成要素4の2つの部分の間に位置し、そしてそれらは2つの界面を構成するために平行である。前記界面はX軸に垂直である。第1発光構成要素2および第2発光構成要素3は2つの界面の中央にそれぞれ位置する。好ましくは、すべてのこれらの4つの達構成要素の構造はX軸およびY軸によって等しく分けられる。
【0112】
励起光がAの角度から照射するとき、励起光は伝達構成要素4を通して第1発光構成要素2に直接照射して、発光色Mを有する発光を励起する。第1発光構成要素2および遮蔽構成要素1は励起光のエネルギーを吸収し、それは励起光が第1発光構成要素2および遮蔽構成要素1を通して第2構成要素3に照射するのを防止する。それは、遮蔽構成要素1および第1発光構成要素2が第2発光構成要素3に照射する励起光を遮蔽するために遮蔽構造を構成することを意味する。この時に、発光色Mは外へ伝達することができて、肉眼によって偽造防止線維を観察するあらゆる方向で見ることができる。励起光がBの角度から照射するとき、励起光は伝達構成要素4を通して第2発光構成要素3に直接照射して、発光色Nを有する発光を励起する。第2発光構成要素3および遮蔽構成要素1は励起光のエネルギーを吸収し、それは励起光が第2発光構成要素3および遮蔽構成要素1を通して第1構成要素2に照射するのを防止する。それは、遮蔽構成要素1および第2発光構成要素3が第1発光構成要素2に照射する励起光を遮蔽するために遮蔽構造を構成することを意味する。この時に、発光色Nは外へ伝達することができて、肉眼によって偽造防止線維を観察するあらゆる方向で見ることができる。
【0113】
実施形態6の前記偽造防止線維のこの構造は紙線維の拡散反射の影響を強く除去できる。前記偽造防止線維が製紙の圧力によって歪められる場合であっても、それはまだ照射角度によって変化する光学色の優れた作用を呈する。賢明にも、中央遮蔽構成要素1は周囲の紙線維の拡散反射を吸収できる。さらに、製紙圧の下で、2つの側の伝達構成要素4の2つの部分は透明でありえる紙線維としっかりと結合できる。
【0114】
通常、上記の偽造防止線維の長さは8mm以下であり、横断面の幅Dは250μm以下であり、そして横断面の高さは120μm以下である。
【0115】
実施形態7:数字10は、上部製紙用パルプおよび下部製紙用パルプの定量がそれぞれ15g/mおよび60g/mであることを特徴とする、上記の前記偽造防止線維を含む2パルプ層構造を有する偽造防止紙を示す。前記偽造防止線維は上部パルプ層に位置する。励起光によって上部パルプ層の上面に照射を受けるとき、偽造防止線維は偽造防止作用を呈する。
【符号の説明】
【0116】
1 遮蔽構成要素
遮蔽構成要素
遮蔽構成要素
遮蔽構成要素
遮蔽構成要素
2 発光構成要素
発光構成要素
発光構成要素
第1発光構成要素
発光構成要素
第1発光構成要素
第1発光構成要素
発光構成要素
第2発光構成要素
第2発光構成要素
第2発光構成要素
伝達構成要素
伝達構成要素
伝達構成要素
A 角度
垂直照射領域
垂直照射領域
B 角度
D 幅
H 高さ
M 発光色
N 発光色
45° シェルター比率
70° シェルター比率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維の横断面に分布して、ねじれずに線維長の方向に沿って平行に伸びる少なくとも2つの構成要素から成る蛍光偽造防止線維であって、前記構成要素の少なくとも1つは光ルミネッセント材料を含む蛍光偽造防止線維において、該偽造防止線維の前記横断面の該偽造防止線維の前記少なくとも2つ構成要素の分布は、該偽造防止線維に特定の方向を有する励起光および方向構造を遮蔽できる励起光遮蔽構造を構成させ、その両方とも、該偽造防止線維が水平面に平行にされる平面に自由に置かれるとき、前記水平面(そこから前記励起光が該偽造防止線維にそれぞれ照射する)に平行にされる前記平面より上の励起光の、角度Aおよび角度Bと呼ばれる、少なくとも2つの照射角度の存在を可能にし、それによって該偽造防止線維は明らかな視覚的違いの有る2つの異なる発光色を表示し、そして前記視覚的違いは少なくとも以下の2つの状況のうちの1つにあることを特徴とする蛍光偽造防止線維。
(1)励起光によって角度Aから照射を受けるとき、該偽造防止線維は発光色Mを表示するのに対して、該偽造防止線維が角度Bから照射を受けるとき、前記発光色は消える。
(2)励起光によって角度Aから照射を受けるとき、該偽造防止線維は発光色Mを表示するのに対して、励起光によって角度Bから照射を受けるとき、偽造防止線維は発光色Nを表示し、そこにおいて発光色MおよびNには明らかな視覚的違いがある。
【請求項2】
発光色の前記明らかな視覚的違いが肉眼によって前記偽造防止線維を観察するあらゆる方向に見ることができるために、前記偽造防止線維のすべての構成要素が可視光が透過することを特徴とする請求項1に記載の蛍光偽造防止線維。
【請求項3】
角度Aから放射する励起光の波長が角度Bからのそれに等しいことを特徴とする請求項1に記載の蛍光偽造防止線維。
【請求項4】
横のX軸および縦のY軸を有する平面座標を設定し、それは前記偽造防止線維の前記横断面の幾何学的中心をその原点として使用し、前記偽造防止線維の1つの構成要素だけが光ルミネセンス材料を含むとき、光ルミネセンス材料を含む前記構成要素はすべてのY軸から成る中間垂直平面の左側または右側に分布し、そしてX軸によって対称的に分けられ、また一方、前記偽造防止線維の2つの構成要素が異なる光ルミネセンス材料を含むとき、異なる光ルミネセンス材料を含む前記2つの構成要素はすべてのY軸から成る中間垂直平面の左側および右側にそれぞれ分布し、そして両方ともX軸によって対称的に分けられ、そこにおいて前記2つの構成要素は同じ波長の励起光を有するが、明らかに異なる発光色を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に蛍光偽造防止線維。
【請求項5】
前記偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、そして線維のあらゆる横断面のY軸がY軸から成る湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに前記偽造防止線維は湾曲し、したがって異なる熱収縮度を有する前記偽造防止線維の少なくとも2つの構成要素が、Y軸から成る前記中間垂直平面に沿って偽造防止線維を方向的に湾曲させるために、Y軸から成る前記中間垂直平面の2つの側にそれぞれ位置することを必要とし、または前記偽造防止線維の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維はまっすぐであり、したがって偽造防止線維のすべての構成要素または少なくとも対称的に分布する前記構成要素の熱収縮度が、偽造防止線維をまっすぐにするために同じであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に蛍光偽造防止線維。
【請求項6】
前記偽造防止線維の2つの構成要素が異なる発光色MおよびNを有する光ルミネセンス材料を含むとき、前記偽造防止線維の前記励起光遮蔽構造のシェルター比率はZ45°=100%であり、前記光ルミネセンス遮蔽構造の遮蔽率Z45°は100%であり、前記偽造防止線維の1つの構成要素だけが光ルミネセンス材料を含むとき、偽造防止線維の表面における光ルミネセンス材料を含む前記発光構成要素の表面積は全線維表面積の2/5以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に蛍光偽造防止線維。
【請求項7】
前記蛍光偽造防止線維が前記遮蔽構成要素(1)および前記発光構成要素(2)から成り、光ルミネセンス材料を含まない前記遮蔽構成要素(1)は可視光が透過可能であるが、前記励起光を遮蔽することが可能であり、そして光ルミネセンス材料を含む前記発光構成要素(2)は発光色Mを表示し、そこにおいて偽造防止線維の表面の発光構成要素の(2)の表面積が全線維表面積の2/5以下であり、そこにおいて前記偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、線維のあらゆる横断面のY軸がY軸から成る湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに前記偽造防止線維は湾曲し、したがって遮蔽構成要素(1)および発光構成要素(2)は偽造防止線維を方向的に湾曲させるために異なる熱収縮度を有し、または前記偽造防止線維の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維は直線であり、したがって遮蔽構成要素(1)および発光構成要素(2)は、偽造防止線維を直線にするために同じ熱収縮度を有することを特徴とする請求項4に記載の蛍光偽造防止線維。
【請求項8】
前記偽造防止線維が2つの発光構成要素を平行に結合することによって前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)を含み、そこにおいて前記第1発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含み、そして前記第2発光構成要素(3)は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含み、そこにおいて発光色MおよびNには明らかな視覚的違いがあり、そこにおいて光ルミネセンス材料を含む前記2つの構成要素は同じ波長の励起光を有し、そこにおいて前記偽造防止線維の表面の前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)の表面積がそれぞれ全表面積の1/2であり、偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、そして線維のあらゆる横断面のY軸がY軸から成る湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに前記偽造防止線維は湾曲し、前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)は偽造防止線維を方向的に湾曲させるために異なる熱収縮度を有し、または前記偽造防止線維の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維は直線であり、したがって前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)は偽造防止線維を直線にするために同じ熱収縮度を有することを特徴とする請求項4に記載の蛍光偽造防止線維。
【請求項9】
前記偽造防止線維が、前記遮蔽構成要素(1)、前記第1発光構成要素(2)、および前記第2発光構成要素(3)から成り、そこにおいて光ルミネセンス材料を含まない前記遮蔽構成要素(1)は可視光が透過可能であるが、前記励起光を遮蔽することが可能であり、前記第1発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含み、そして前記第2発光構成要素(3)は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含み、そこにおいて発光色MおよびNには明らかな視覚的違いがあり、そこにおいて偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、そして線維のあらゆる横断面のY軸がY軸から成る湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに前記偽造防止線維は湾曲し、そこにおいて前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)は、Y軸の前記中間垂直平面とともに前記偽造防止線維を湾曲させるために異なる熱収縮度を有し、または前記偽造防止線維の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維は直線であり、少なくとも前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)は偽造防止線維をまっすぐにするために同じ熱収縮度を有することを特徴とする請求項4に記載の蛍光偽造防止線維。
【請求項10】
前記偽造防止線維が、遮蔽構成要素(1)、発光構成要素(2)、および伝達構成要素(4)から成り、そこにおいて前記遮蔽構成要素(1)は光ルミネセンス材料を含まず、そして可視光が透過可能であるが、前記励起光を遮蔽し、前記発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含み、そして前記伝達構成要素(4)は可視光だけでなく励起光も透過可能であり、そこでは前記偽造防止線維の横断面において、遮蔽構成要素(1)および前記伝達構成要素(4)の側面はそれぞれ半円または半扁円であり、それらは遮蔽構成要素(1)および伝達構成要素(4)の中間にある発光構成要素(2)とともに平行に配置され、そこにおいて前記偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、そして線維のあらゆる横断面のY軸がY軸から成る湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに前記偽造防止線維は湾曲し、したがって前記遮蔽構成要素(1)および伝達構成要素(4)はY軸の前記中間垂直平面とともに偽造防止線維を方向的に湾曲させるために異なる熱収縮度を有し、または前記偽造防止線維の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維は直線であり、したがって少なくとも前記遮蔽構成要素(1)および前記伝達構成要素(4)は前記偽造防止線維をまっすぐにするために同じ熱収縮度を有することを特徴とする請求項1に記載の蛍光偽造防止線維。
【請求項11】
前記偽造防止線維が、前記第1発光構成要素(2)、前記第2発光構成要素(3)、および伝達構成要素(4)から成り、そこにおいて前記第1発光構成要素(2)は発光色Mを有する光ルミネセンス材料を含み、そして前記第2発光構成要素(3)は発光色Nを有する光ルミネセンス材料を含み、そこにおいて前記2つの発光構成要素(2)および(3)は同じ波長の励起光を有し、しかしながら同じ波長の励起光を有する発光色MおよびNには明らかな視覚的違いがあり、そして前記伝達構成要素(4)は可視光だけでなく励起光も透過可能であり、そこでは前記偽造防止線維の横断面において、前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)の側面はそれぞれ半扁円であり、そして完全な扁円となるように一緒に平行に配置され、そして伝達構成要素(4)の側面は円または扁円であり、そこにおいて前記第1発光構成要素(2)と前記第2発光構成要素(3)を接合した前記扁円の側面は伝達構成要素(4)の円または扁円の側面の中央で内側に含まれ、そこにおいて扁円の伝達構成要素(4)の長い軸がX軸と平行であり、そして前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)の界面がX軸に垂直であり、そこにおいて偽造防止線維の平坦化が1.5未満であるとき、前記偽造防止線維は湾曲し、そして線維のあらゆる横断面のY軸がY軸から成る湾曲した中間垂直平面に変わり、それとともに前記偽造防止線維は湾曲し、したがって前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)は、偽造防止線維を方向的に湾曲させるために異なる熱収縮度を有し、または前記偽造防止線維の平坦化が1.5以上であるとき、前記偽造防止線維は直線であり、したがって少なくとも前記第1発光構成要素(2)および前記第2発光構成要素(3)は偽造防止線維をまっすぐにするために同じ熱収縮度を有することを特徴とする請求項1に記載の蛍光偽造防止線維。
【請求項12】
蛍光偽造防止線維を含む偽造防止材料であって、紙またはプラスチック膜から成る偽造防止材料において、前記蛍光偽造材料の前記偽造防止線維は異なる光学特性を有する構成要素から成り、そこにおいて前記蛍光偽造防止線維の前記横断面における構成要素の構造分布の適切な選択が前記偽造材料を構成し、全ての構成要素の光学特性および前記偽造防止線維の横断面と前記偽造材料の表面の間の相対的な位置が、励起光の少なくとも2つの照射角度を表面に生じさせ、そこにおいて前記2つの照射角度から前記偽造材料の同じ偽造防止線維に照射する励起光が明らかな視覚的違いを生じさせることを特徴とする偽造防止材料。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の蛍光偽造防止線維を含むことを特徴とする蛍光偽造防止線維を含む請求項12に記載の蛍光偽造防止材料。
【請求項14】
前記偽造防止材料が、製紙用パルプの層における深い埋め込みに起因する照射角度によって変化する光学色の作用に及ぼす紙線維の拡散反射の影響を除去するために、励起光遮蔽材料とともに前記偽造防止線維を含む製紙用パルプの前記層を有する紙であることを特徴とする請求項12に記載の蛍光偽造防止線維を含む蛍光偽造防止材料。
【請求項15】
前記遮蔽材料が製紙用パルプの前記層の少なくとも4%を占めるチタンホワイトであり、または前記紙線維が励起光吸収体自体である励起光の前記遮蔽材料により着色されるかまたは包まれることを特徴とする請求項14に記載の蛍光偽造防止線維を含む蛍光偽造防止材料。
【請求項16】
前記紙が少なくとも2つの層の製紙用パルプから成り、そこにおいて前記製紙用パルプの定量は、前記蛍光偽造防止線維の照射角度によって変化する光学色の作用に及ぼす紙線維の拡散反射の悪影響を減らすか、または排除さえするために、30g/m以下であるか、または前記紙はやはり少なくとも2つの層の製紙用パルプから成り、そこにおいて前記偽造防止線維は前記表層と製紙用パルプの他の層の中央に、またはそれらの間にあり、そこにおいて製紙用パルプの前記表層の定量が25g/m以下であるか、または前記紙は少なくとも3つの層の製紙用パルプから成り、そこにおいて偽造防止線維を含む製紙用パルプの前記層は製紙用パルプの前記表層と製紙用パルプの他の層の中央に、またはそれらの間に分布し、そこでは製紙用パルプの前記表層の定量は25g/m以下であり、そして偽造防止線維を含む製紙用パルプの前記層の定量は20g/m以下であることを特徴とする請求項12に記載の蛍光偽造防止線維を含む蛍光偽造防止材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−514937(P2011−514937A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547936(P2010−547936)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000220
【国際公開番号】WO2009/105970
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(507095091)
【Fターム(参考)】