説明

光学色素のための配列装置

本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態は、光学基材に結合された光学色素のための配列装置を作製する方法を提供する。例えば、1つの非限定的な実施形態は、基材の少なくとも一部分に少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングを形成することによって、光学基材(例えば、眼科用基材)の少なくとも一部分に結合された光学色素のための配列装置を作製する方法を提供する。他の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を含む光学エレメント(例えば、限定されないが、眼科用エレメント)に関する。なお他の非限定的な実施形態は、少なくとも部分的に配列した液晶材料のコーティングまたはシートを含む、光学色素のための配列装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2003年7月1日に出願された米国仮出願番号60/484,100号(本明細書中で参考として具体的に援用される)の利益を主張する。
【0002】
(連邦支援研究または連邦支援開発に関する記載)
該当なし。
【0003】
(配列表の参照)
該当なし。
【背景技術】
【0004】
(背景)
本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態は、光学基材の少なくとも一部分に結合された光学色素のための配列装置を作製する方法に関する。他の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を含む光学エレメント(例えば、限定されないが、眼科用エレメント)に関する。なお他の非限定的な実施形態は、少なくとも部分的に配列した液晶材料のコーティングまたはシートを含む、光学色素のための配列装置に関する。
【0005】
液晶分子は、それらの構造に起因して、全体的な方向をなすように配列または配列され得る。材料または構造の配列または配列に関して本明細書中で使用される場合、用語「全体的な方向」とは、材料または構造の全体的な配置または配向をいう。より詳しくは、液晶分子は、ロッド状構造または円盤状構造、強固な長軸および強い双極子を有することから、液晶分子は、各々の分子の長軸が、共通の軸と全体的に平行な配向をなすように、外部力または別の構造との相互作用によって、配列または配列され得る。例えば、電場または磁場が、液晶分子の配列されていない流体混合物を含有するセルに付与される場合、本質的に全てのこの液晶分子の長軸を、付与された場に対する方向に配列させることができる。しかし、この場が除去されると、分子は、流体混合物中で、それら自身が再びランダムに分配される。
【0006】
液晶分子と配向された表面とを配列させることも可能である。すなわち、液晶分子は、例えば、摩擦、溝付けまたは光配列法によって配向された表面に付与されることができ、次いで、液晶分子のそれぞれの長軸がその表面の配向の全体的な方向に対してほぼ平行な配向をなすように、配列される。
【0007】
前述のように液晶材料と配向した表面とを配列させる工程は、通常、液晶材料の融点未満の温度で、液晶分子が配列することが可能な時間、配向した表面に液晶分子を保持する工程を包含する。配列のために必要とされる時間は、いくつかの因子に依存するが、一般的にいうと、配向した表面に付与される液晶材料の層が厚くなるほど、液晶材料を完全に配列させるのに必要な時間は長くなる。さらに、液晶材料のいくつかの厚い層のために、完全な配列は達成されない場合がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(本開示の簡単な要旨)
本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を作製する方法およびそれによって作製された配列装置に関する。例えば、1つの非限定的な実施形態は、眼科用基材の少なくとも一部分の上に光学色素のための配列装置を作製する方法を提供し、この方法は、上記眼科用基材の少なくとも一部分の上に第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程、および上記第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程とを包含し、ここで、上記第1の少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも第1の全体的な方向を有する、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、上記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも上記第1の全体的な方向に対してほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む。
【0009】
別の非限定的な実施形態は、光学基材の少なくとも一部分の上に光学色素のための配列装置を作製する方法を提供し、この方法は、上記光学基材の少なくとも一部分の上に第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程、および上記第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程を包含し、ここで、上記第1の少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、上記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、上記第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも上記第1の全体的な方向に対してほぼ平行である少なくとも第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、上記第1の少なくとも部分的なコーティングの厚にと上記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計が20ミクロンを超える。
【0010】
なお別の非限定的な実施形態は、光学基材の少なくとも一部分の上に光学色素のための配列装置を作製する方法を提供し、この方法は、上記光学基材の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的なコーティングを形成する工程を包含し、上記少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、上記少なくとも部分的なコーティングは、6ミクロンを超える厚みを有する。
【0011】
なお別の非限定的な実施形態は、光学基材の少なくとも一部分の上に相分離したポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングを含む光学色素のための配列装置を作製する方法を提供し、この方法は、上記光学基材の少なくとも一部分の上に相分離ポリマー系を付与する工程であって、ここで、上記相分離ポリマー系は、液晶材料を含むマトリックス相形成材料および液晶材料を含むゲスト相形成材料を含む、工程、上記マトリックス相形成材料の少なくとも一部分および上記ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させ、その結果、上記マトリックス相形成材料の少なくとも部分的に配列した部分は、第1の全体的な方向を有し、上記ゲスト相形成材料の少なくとも一部分が配列された部分は、上記第1の全体的な方向とほぼ平行な第2の全体的な方向を有する、工程、およびポリマー化誘導性相分離および溶解誘導性相分離のうち少なくとも1つによって、上記ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、上記マトリックス相形成材料の少なくとも一部分から分離させる工程を包含する。
【0012】
別の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を作製する方法を提供し、この方法は、第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーおよび少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配し、上記第1の全体的な方向とほぼ平行な第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーを含むシートを形成する工程を包含する。
【0013】
なお別の非限定的な実施形態は、相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングを含む配列装置を作製する方法を提供し、この方法は、光学基材の少なくとも一部分の上に配向装置を付与する工程;ポリマー化可能組成物および液晶材料を上記配向装置の少なくとも一部分の上に付与する工程;上記液晶材料の少なくとも一部分を上記配向装置の少なくとも一部分と少なくとも部分的に配列させる工程;上記液晶材料の少なくとも一部分および上記ポリマー化可能組成物の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程を包含する。
【0014】
本明細書中に開示される他の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を含む光学エレメントを提供する。例えば、ある非限定的な実施形態は、眼科用エレメントを提供し、この眼科用エレメントは、眼科用基材および眼科用基材の少なくとも一部分に結合した光学色素のための配列装置を含み、上記配列装置は、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングを含む。
【0015】
別の非限定的な実施形態は、光学基材;および光学基材の少なくとも一部分に結合した光学色素のための配列装置を含む光学エレメントを提供し、上記配列装置は、6ミクロンを超える厚みを有する少なくとも部分的なコーティングおよび光学エレメントの少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む。
【0016】
なお別の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を提供し、この配列装置は、少なくとも第1の全体的な方向に少なくとも部分的に配列する液晶材料を含むマトリックス相;および上記マトリックス相内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する液晶材料を含むゲスト相を含む少なくとも部分的なコーティングを含み、少なくとも上記第2の全体的な方向は、少なくとも上記第1の全体的な方向に対してほぼ平行である。
【0017】
別の非限定的な実施形態は、光学エレメントを提供し、この光学エレメントは、光学基材;および少なくとも一部分の上記光学基材に結合した少なくとも部分的なコーティングを含む配列装置を含み、上記少なくとも部分的なコーティングは少なくとも第1の全体的な方向に少なくとも部分的に配列する液晶材料を含むマトリックス相および上記マトリックス相内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する液晶材料を含むゲスト相を含み、少なくとも上記第2の全体的な方向は少なくとも上記第1の全体的な方向に対してほぼ平行である。
【0018】
なお別の非限定的な実施形態は、光学エレメントを提供し、この光学エレメントは、光学基材;および上記光学基材の少なくとも一部分に結合した光学色素のための配列装置を含み、上記配列装置は、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマー;および少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、少なくとも上記第2の全体的な方向は、少なくとも上記第1の全体的な方向に対してほぼ平行である。
【0019】
なお別の非限定的な実施形態は、光学エレメントを提供し、この光学エレメントは、光学基材;および上記光学基材の少なくとも一部分に結合した光学色素のための配列装置を含み、上記配列装置は、ポリマーを含む相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングおよび少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む。
【0020】
本明細書中に開示される他の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置に関する。例えば、1つの非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を提供し、この配列装置は、以下:少なくとも第1の全体的な方向に少なくとも部分的に配列する液晶材料を含むマトリックス相;および上記マトリックス相内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する液晶材料を含むゲスト相を含む少なくとも部分的なコーティングを含み、上記少なくとも第2の全体的な方向は、上記少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ平行である。
【0021】
別の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を提供し、この配列装置は、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料;および少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含むシートを含み、少なくとも上記第2の全体的な方向は、少なくとも上記第1の全体的な方向に対してほぼ平行である。
【0022】
なお別の非限定的な実施形態は、光学色素のための配列装置を提供し、この配列装置は、ポリマーを含む相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングおよび少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(詳細な説明)
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、冠詞「a」、「an」、および「the」は、1つの指示物に明示的かつ明瞭に限定されない限り、複数の指示物を含む。
【0024】
さらに、本明細書の目的のために、別に示されない限り、本明細書中で使用される成分の量、反応条件および他の性質またはパラメーターを示す全ての数は、用語「約」によって全ての場合において改変されることが理解されるべきである。従って、別に示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲において記載される数のパラメーターは概算値であることが理解されるべきである。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、数のパラメーターは、報告された有意なディジットの数および通常の概数技術の適用の観点で読まれるべきである。
【0025】
さらに、本発明の広い範囲を記載する数の範囲およびパラメーターが前述のように概算値である一方、実施例のセクションで記載される数値は可能な限り正確に報告される。しかし、このような数値は、本質的に、装置および/または測定技術から生じる特定の誤差を含むことが理解されるべきである。
【0026】
本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態は、1つ以上の液晶材料を使用して光学色素のための配列装置を作製する方法に関する。本明細書中で使用される場合、用語「光学色素」は、それが結合される目的物の1つ以上の光学的性質に作用することができる色素を意味する。例えば、本明細書において制限しないが、光学色素は、それが結合されるコーティングまたは基材の色、偏光、UV吸収および発光(例えば蛍光およびリン光)の性質の1つ以上に作用することができる。本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態との組み合わせにおいて有用な光学色素としては、広範囲な種々の有機色素、無機色素およびそれらの混合物が挙げられる。光学色素の非限定的な例としては、固定された着色色素、光二色性色素および/またはフォクロミック色素が挙げられる。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語「配列装置」とは、装置の少なくとも一部分に対して直接または間接的に暴露される、1つ以上の他の構造または材料の位置決めを容易にすることができる構造を意味する。従って、本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態に従う配列装置は、光学色素の位置決めを容易にするために使用することができる。より詳しくは、光学色素は、配列装置との直接的および/または間接的な相互作用によって配列されることができる。本明細書中で使用される場合、用語「配列する」とは、別の材料、化合物または構造との相互作用によって適切な配置または位置に置くことを意味する。例えば、本明細書において限定しないが、本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態に従う配列装置は、配列装置と直接接触する光学色素の位置決めを直接的に容易にすることができる。あるいは、配列装置は、別の構造または材料(例えば、限定されないが、光学色素が接触する液晶材料のコーティング)の位置決めを容易にすることによって、光学色素の位置決めを間接的に容易にすることができる。
【0028】
本明細書において制限されないが、本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態に従う配列装置は、光学的に異方性である光学色素の位置決めを直接的および/または間接的に容易にすることができる。本明細書中で使用される場合、用語「異方性」とは、少なくとも1つの異なる方向で測定される場合、値が異なる少なくとも1つの性質を有することを意味する。従って、光学的に異方性の色素は、少なくとも一つの異なる方向において測定される場合、値が異なる少なくとも一つの光学的性質を有する。光学的に異方性の色素の1つの非限定的な例は、光二色性の色素である。本明細書中で使用される場合、用語「光二色性」とは、少なくとも透過線の2つの直行面の偏光成分の1つを、他よりも強く吸収可能であることを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「直線偏光する」または「直線偏光」とは、光の波長の電子ベクトルの振動を1方向に制限することを意味する。従って、光二色性の色素は、透過線の2つの直行面の偏光成分の1つを他よりも強く吸収可能であり、それによって、透過線の直線偏光が生じる。しかし、光二色性の色素が透過線の2つの直行面の偏光成分のうち1つを優先的に吸収可能な場合、光二色性の色素の分子が配列しなければ、透過線の正味の直線偏光は達成されない。すなわち、光二色性の色素の分子のランダムな位置決めに起因して、個々の分子による選択的な吸収は、正味または全体的に直線偏光する効果を達成されないように、互いに打ち消すことができる。従って、通常は、正味の直線偏光を達成するために光二色性の色素の分子を配列することが必要である。本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態に従う配列装置を使用して、光学的に異方性の色素(例えば光二色性の色素)の位置決めを容易にすることができ、それにより、所望の光学的な性質または効果を得ることができる。
【0029】
さらに、本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態は、光学基材(例えば、限定されないが、眼科用基材)の少なくとも一部分上に光学色素のための配列装置を作製する方法を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「光学」とは、光および/または視力に関するまたは関連することを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「眼科用」とは、眼および視力に関するまたは関連することを意味する。本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用可能な光学基材の非限定的な例としては、眼科用基材ならびに光学エレメントおよび光学デバイスにおいて使用するための基材が挙げられる。光学エレメントおよび光学デバイスの例としては、限定されないが、眼科用光学ディスプレイ、眼科用光学ウィンドウおよび眼科用光学鏡が挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「ディスプレイ」とは、語、数、シンボル、デザインまたは図面の情報の可視的な表現または機械で読み取ることができる表現を意味する。本明細書中で使用される場合、用語「ウィンドウ」とは、それを通って照射の透過ができるようにするのに適している開口を意味する。ウィンドウの非限定的な例としては、自動車用および航空機用のスライド、フィルタ、シャッタ、および光学的スイッチが挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「鏡」とは、大部分の投射光を鏡面として反射する表面を意味する。
【0030】
眼科用エレメントの非限定的な例としては、単焦点(single vision)レンズまたは多焦点(multi−vision)レンズを含む矯正レンズおよび非矯正レンズが挙げられ、これらのレンズは、分割型多焦点レンズまたは非分割型多焦点レンズ(例えば、限定されないが、2焦点レンズ、3焦点レンズおよび進行型レンズ)のいずれかであり得る。眼科用エレメントの非限定的な例としてはまた、視力を矯正するか、保護するかまたは増強するために使用される他のエレメントが挙げられ、これらのエレメントとしては、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズおよび保護レンズ、またはバイザー(visor)が挙げられる。眼科用基材のさらなる非限定的な例としては、レンズ(特に形成されたレンズ)およびレンズブランクが挙げられる。
【0031】
本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態に従う、眼科用基材の形成における使用のために適した有機材料の非限定的な例としては、限定されないが、眼用レンズのような眼科用基材(例えば光学的アプリケーションのための光学的に明澄な鋳造物を調製するために用いる有機光学的樹脂)として有用である、技術的に公認されたポリマーが挙げられる。本明細書中で開示される眼科用基材を形成するのに使用されてもよい有機材料の具体的な非限定的例としては、ポリマー材料(例えば、米国特許第5,962,617号および同第5,658,501号の第15欄第28行〜第16欄第17行に開示されるモノマーおよびモノマー混合物から調製されるホモポリマーおよびコポリマー)が挙げられる(これらの米国特許の開示は、具体的に本明細書中に参考として援用される)。例えば、このようなポリマー材料は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料であることができ、透明または光学的にクリアであることができ、必要な任意の屈折率を有することができる。このような開示されたモノマーおよびポリマーの非限定的な例としては、以下が挙げられる:ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えば、アリルジグリコールカーボネート(例えば、そのモノマーがPPG Industries,Inc.によって商標CR−39の下で販売される、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート));例えばポリウレタンプレポリマーとジアミン硬化剤との反応によって調製されるポリ尿素−ポリウレタン(ポリ尿素ウレタン)ポリマー(このようなポリマーの組成物がPPG Industries,Inc.によって商標TRIVEXの下で販売される);ポリオール(メタ)アクリロイル末端カーボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシル化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシル化トリメチルオールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(塩化ビニリデン);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;熱可塑性ポリカーボネート(例えば、ビスフェノールAおよびホスゲンから誘導されるカーボネート架橋樹脂(例えば商標LEXANの下で販売されるカーボネート架橋樹脂));ポリエステル(例えば、商標MYLARの下で販売されるポリエステル);ポリ(エチレンテレフタラート);ポリビニルブチラール;ポリ(メタクリル酸メチル)(例えば、商標PLEXIGLASの下で販売される材料)およびポリチオールモノマーまたはポリエピスルフィドモノマーと多官能性イソシアネートとを反応させることによって調製されるポリマー(ポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートおよび場合によりエチレン性不飽和モノマーまたはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーとホモポリマー化またはコポリマー化および/またはターポリマー化される)。このようなモノマーのコポリマー、ならびに記載のポリマーおよびコポリマーと他のポリマー(例えば、ブロックコポリマーまたは相互貫入高分子網目生成物を形成するポリマー)とのブレンドもまた、企図される。
【0032】
なおさらに、本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態に従う基材は、非着色基材、着色基材、直線偏光基材、フォトクロミック基材または着色フォトクロミック基材であり得る。基材に関して本明細書中で使用される場合、用語「非着色」とは、着色剤添加物(例えば、限定されないが、従来の色素)を本質的に含まず、化学線照射に応答して有意に変化しない可視光吸収スペクトルを有する基材を意味する。さらに、基材に関して本明細書中で使用される場合、用語「着色」とは、着色剤添加物(例えば、限定されないが、従来の色素)および化学線照射に応答して有意に変化しない可視光吸収スペクトルを有する基材を意味する。基材に関して本明細書中で使用される場合、用語「直線偏光」とは、照射を直線偏光するように適合された基材をいう。
【0033】
基材に関して本明細書中で使用される場合、用語「フォトクロミック」とは、少なくとも化学線照射に応答して変化する、可視光照射についての吸収スペクトルを有する基材をいう。本明細書中で使用される場合、用語「化学線照射」とは、応答を引き起こすことができる電磁放射線を意味する。化学線照射とは、例えば、限定されるものではないが、可視光照射および紫外線照射が挙げられる。さらに、基材に関して本明細書中で使用される場合、用語「着色フォトクロミック」とは、着色剤添加物およびフォトクロミック材料を含み、少なくとも化学線照射に応答して変化する、可視光照射についての吸収スペクトルを有する基材を意味する。従って、例えば、1つの非限定的な実施形態では、着色フォトクロミック基材は、第1に、着色剤の色特性を有しており、第2に、化学線照射に暴露された場合、着色剤とフォトクロミック材料とをあわせた色特性を有する。
【0034】
ここで、光学色素のための配列装置を作製する方法の種々の非限定的な実施形態が記載される。1つの非限定的な実施形態は、眼科用基材の少なくとも一部分の上に光学色素のための配列装置を作製する方法を提供し、この方法は、上記眼科用基材の少なくとも一部分の上に、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程;およびその後に、上記第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程を包含する。さらに、この非限定的な実施形態によれば、上記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分は、上記第1の少なくとも部分的なコーティングの上記第1の全体的な方向に対してほぼ平行である少なくとも第2の全体的な方向を有することができる。以前に議論されたように、材料または構造の配列または配列に関して本明細書中で使用される場合、用語「全体的な方向」とは、材料、化合物または構造の全体的な配置または配向をいう。さらに、材料または構造の配置内にいくつかの変更があったとしても材料または構造は全体的な方向を有することができ、ただし、材料または構造は少なくとも1つの全体的な配列を有することが、当業者に理解される。さらに、液晶材料の全体的な方向に関して本明細書中で使用される場合、用語「第1」および「第2」とは、序数または生物分布的な順番であることは意図されず、変わりに、本明細書中の種々の全体的な方向をいう場合に明確化のために使用される。
【0035】
前述のように、本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態に従って、第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料は、少なくとも第1の全体的な方向を有することができる。すなわち、少なくとも部分的に配列した液晶材料は、材料全体で1つの全体的な方向を有することができるか、または、異なる全体的な方向を有する異なる領域を有することができる。例えば、第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料は、第1の全体的な方向を有する第1の領域と、第1の全体的な方向とは異なる第2の全体的な方向を有する第1の領域に隣接する第2の領域を有することができる。さらに、第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料は、複数の領域を有することができ、ここで、それぞれの領域は、残りの領域と同じであるかまたは異なる全体的な方向を有し、一緒になってパターンまたはデザインを形成する。以下に詳細に議論されるように、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングはまた、第1の少なくとも部分的なコーティングの全体的な方向とほぼ平行な全体的な方向を有し、そして、一緒になって第1の少なくとも部分的なコーティングと本質的に同じパターンまたはデザインを形成する複数の領域を有することができる。
【0036】
本明細書中で使用される場合、用語「コーティング」とは、流動可能な組成物から誘導される支持フィルムを意味し、これは、均一な厚みであってもそうでなくてもよい。さらに、本明細書中で使用される場合、コーティングという用語は、特に、ポリマー性シートを排除する。本明細書中で使用される場合、用語「シート」とは、ほぼ均一な厚みを有し、自己支持可能なあらかじめ形成したフィルムを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「の上に(on)」とは、物体(例えば、限定されないが基材またはコーティング)に直接結合しているか、または1つ以上の他のコーティング、シートまたは他の構造を介して物体に間接的に結合していることを意味する。
【0037】
より詳細には、種々の非限定的な実施形態に従うと、第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、眼科用基材の少なくとも一部分の上に液晶材料を付与する工程、液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させ、その結果、上記液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分が少なくとも第1の全体的な方向を有する、工程、および少なくとも部分的に配列させた液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程を包含することができる。
【0038】
本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態に従って基材の少なくとも一部分に液晶材料を付与する適切な方法としては、限定されないが、以下が挙げられる:スピンコーティング、スプレーコーティング、スプレーコーティングおよびスピンコーティング、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、キャスティング、ロールコーティング、ワイヤコーティング、オーバーレイおよびそれらの組み合わせ。例えば、本明細書中で限定されないが、1つの具体的な非限定的実施形態では、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料は、スピンコーティングによって眼科用基材の少なくとも一部分の上に付与され、その後、少なくとも部分的に配列させることができる。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「配列する」とは、例えば、別の構造または材料と配列させることによって、またはいくつかの他の力または効果によって、適切な配置または位置にすることを意味する。従って、本明細書中で使用される場合、用語「配列する」とは、材料を配列させる接触方法(例えば、別の構造または材料と配列させること)、および材料を配列させる非接触方法(例えば、外力または効果にさらすことによる)の両方を包含する。用語「配列する」はまた、接触方法と非接触方法との組み合わせを包含する。
【0040】
本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態に従う液晶材料を少なくとも部分的に配列させる方法の非限定的な例としては、磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射、直線偏光可視光線照射および剪断力のうち少なくとも1つに上記液晶材料の少なくとも一部分を暴露する工程が挙げられる。液晶材料を少なくとも部分的に配列させる上述の方法に加えて、以下に詳細に議論されるように、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態に従う液晶材料は、別の材料または構造、例えば配向装置を用いて液晶材料の少なくとも一部分を配列させることによって、少なくとも部分的に配列させることができる。
【0041】
1つの非限定的な実施形態では、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料は、液晶材料の少なくとも一部分に剪断力をかけることによって少なくとも部分的に配列される。例えば、本明細書中で限定されないが、この非限定的な実施形態に従って、その表面の少なくとも一部分の上に液晶材料を有する光学基材または眼科用基材は、遠心機に配置することができ、遠心機は、基材が遠心機の周辺部を横断して、液晶材料が基材の表面に対して流れるように回転することができる。
【0042】
さらに、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態に従って、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、液晶材料を基材の少なくとも一部分の上に付与する工程と本質的に同時に起こっても、液晶材料を基材に付与した後に起こってもよい。例えば、液晶材料を付与する工程と液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程とが本質的に同時に起こる1つの非限定的な実施形態では、液晶材料は、液晶材料の少なくとも一部分に剪断力を導入可能な付与技術を用いて、眼科用基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分の上に付与することができ、その結果、付与中の剪断力の方向にほぼ平行な全体的な方向に液晶材料の分子の長軸を配列させることができる。例えば、本明細書中で限定されないが、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料は、付与される液晶材料に対する眼科用基材の表面の相対移動に起因して剪断力が液晶材料に導入されるように、眼科用基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分の上にカーテンコーティングすることができる。剪断力は、配列される液晶材料の分子の少なくとも一部分に生じさせることができ、その結果、液晶分子の長軸は、眼科用基材の移動方向にほぼ平行な全体的な方向を有する。
【0043】
液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる前に第1の部分的なコーティングの液晶材料を付与する別の非限定的な実施形態では、液晶材料は、例えば、スピンコーティングによって付与することができ、その後に、液晶材料を少なくとも部分的に配列することができる。例えば、液晶材料は、液晶材料の少なくとも一部分が磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射、直線偏光可視光線照射および/または剪断力に暴露されることによって、少なくとも部分的に配列されることができる。加えてまたは代替的に、液晶材料の少なくとも一部分を、以下に詳細に議論されるように、配向装置の少なくとも一部分と配列させることによって少なくとも部分的に配列させることができる。
【0044】
前述のように、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも一部分が少なくとも部分的に配列された後に、少なくとも部分的に配列された液晶材料が少なくとも部分的に硬化される。本明細書中で使用される場合、用語「硬化する」とは、液晶材料を所望の配向に固定することを意味する。液晶材料を少なくとも部分的に硬化する方法の非限定的な例としては、液晶材料から溶媒を少なくとも部分的に乾燥させる工程および液晶材料を少なくとも部分的に硬化させる工程(例えば、少なくとも部分的に架橋結合させる工程および/または液晶材料を少なくとも部分的にポリマー化させる工程)が挙げられる。液晶材料を少なくとも部分的にポリマー化させる非限定的な方法としては、光誘導性ポリマー化、熱誘導性ポリマー化およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、光誘導性ポリマー化としては、限定されないが、紫外線誘導性ポリマー化、可視光誘導性ポリマー化およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
一般的に、第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みは、さらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みと組み合わせた場合に、配列装置全体の所望の厚みを達成するのに必要な任意の厚みであることができ、これについては以下に詳細に記載される。例えば、限定されないが、種々の非限定的な実施形態に従って、第1の少なくとも部分的なコーティングは、0.5ミクロン〜20ミクロン、0.5ミクロン〜10ミクロンおよび2ミクロン〜8ミクロンの範囲の厚みを有することができる。さらに、本明細書中で限定されないが、特定の非限定的な実施形態に従って、第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みは、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚み未満であることができる。
【0046】
前述のように、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、第1の少なくとも部分的なコーティングを形成した後に、液晶材料を含む少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングが、第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に形成される。より詳しくは、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、液晶材料を第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に付与する工程;液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させて、その結果、液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分が、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する、工程;液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程を含む。少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料を付与し、そして、少なくとも部分的に硬化させる非限定的な方法は、第1の少なくとも部分的なコーティングに関して上に詳細に記載される。
【0047】
前述のように、液晶材料は、一般的に、1つ以上の他の構造または材料を用いて配列させることができ、その結果、液晶材料の分子の長軸は、分子が配列する構造の全体的な方向とほぼ平行な全体的な方向をなす。より詳しくは、本明細書中で限定されないが、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料は、第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料の少なくとも一部分を用いて液晶材料の少なくとも一部分を配列させることによって少なくとも部分的に配列させることができ、その結果、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の分子の長軸は、第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料の少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ平行である。従って、この様式で、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の全体的な方向は、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料に移すことができる。さらに、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料が、(以前に記載されたように)一緒になってデザインまたはパターンを形成する全体的な方向を有する複数の領域を含む場合、このデザインまたはパターンは、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料と第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料とを配列させることによって、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料に移すことができる。さらに、必須ではないが、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも一部分と少なくとも部分的に配列しつつ、以下:磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射および直線偏光可視光線照射のうち少なくとも1つに暴露することができる。
【0048】
第1の少なくとも部分的なコーティングについて前述のように、種々の非限定的な実施形態によれば、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、配列装置全体の所望の厚みを達成するのに必要な任意の厚みを有することができる。従って、例えば、限定されないが、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、1〜25ミクロンの範囲の厚みを有することができ、さらに、5〜20ミクロンの範囲の厚みを有することができる。なお別の非限定的な実施形態によれば、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、6ミクロンを超える厚みを有することができ、さらに少なくとも10ミクロンの厚みを有することができる。
【0049】
前述のように、液晶材料の厚い層を配列表面と完全に配列させるのに必要な時間は、実質的なものであり得る。さらに、いくつかの場合には、配向表面と近接した液晶材料の一部分のみが配列することができる。従って、さらに厚い配列装置が望ましい種々の非限定的な実施形態によれば、配列装置は、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングを含むことができ、それぞれは、独立して選択された厚みを有し、第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと一緒に加えられる場合、所望な全体の厚みを有する配列装置を形成する。より詳しくは、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、配列装置を形成する方法は、(前述のように)液晶材料を含む第1の少なくとも部分的なコーティングを形成し、その後に、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングを連続して形成する工程を含むことができる。すなわち、第1の少なくとも部分的なコーティングを形成した後に、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングは、その前のコーティングの少なくとも一部に連続して液晶材料を付与する工程、液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させ、その結果、液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分が前のコーティングの全体的な方向に対してほぼ平行な少なくとも1つの全体的な方向を有する、工程および液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化する工程によって形成することができる。さらに、少なくとも部分的なコーティングのそれぞれは、独立して選択された厚みを有することができる。例えば、限定されないが、さらなる少なくとも部分的なコーティングのそれぞれは、1ミクロン〜25ミクロンの範囲の厚みを有することができ、さらに5ミクロン〜20ミクロンの範囲の厚みを有することができる。別の非限定的な実施形態によれば、さらなる少なくとも部分的なコーティングのそれぞれは、6ミクロンを超える厚みを有することができ、さらに少なくとも10ミクロンの厚みを有することができる。
【0050】
他の非限定的な実施形態によれば、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、少なくとも2つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを連続して形成する工程を含むことができる。別の非限定的な実施形態では、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、少なくとも3つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを連続して形成する工程を含むことができる。これらの非限定的な実施形態によれば、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングの各々は連続して形成されるが、種々の非限定的な実施形態によれば、複数のコーティングを連続して形成するのに必要な時間は、複数のコーティングと同じ厚みを有する同じ液晶材料の単一のコーティングを付与し、配列させるのに必要な時間より短くてもよい。
【0051】
さらに、前述のように、直前のコーティングの少なくとも一部分とそれぞれの連続したコーティングとを少なくとも部分的に配列させることによって、1つのコーティングから次のコーティングへと全体的な方向(またはパターンまたはデザインを一緒になって形成することができる複数の全体的な方向)を「移す」ことが可能である。例えば、本明細書中で限定されないが、第1の少なくとも部分的なコーティングがデザインを一緒になって形成する複数の全体的な方向を有する複数の領域を含む場合、このデザインは、前述のように少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングと第1の少なくとも部分的なコーティングとを配列させることによって、少なくとも1つのさらなるコーティングに移すことができる。さらに、配列装置が複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングを含む場合、そのデザインは、前のコーティングとそれぞれのコーティングとを連続して配列させることによって、それぞれのさらなる少なくとも部分的なコーティングに移すことができる。
【0052】
前述のように、第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みならびにさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みおよび数は、配列装置全体の所望の厚みを達成するように選択することができる。本明細書中で限定されないが、1つの非限定的な実施形態によれば、第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計は10ミクロン〜50ミクロンの範囲にある。別の非限定的な実施形態によれば、第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計は20ミクロン〜40ミクロンの範囲にある。なお別の非限定的な実施形態によれば、この合計は20ミクロンを超え、さらに少なくとも22ミクロンであることができる。
【0053】
別の非限定的な実施形態は、光学基材の少なくとも一部分の上に光学色素のための配列装置を作製する方法を提供し、この方法は、上記光学基材の少なくとも一部分の上に少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程、および上記第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に、上記第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも上記第1の全体的な方向に対して全体的に平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む少なくとも1つのさらなる部分的なコーティングを形成する工程を包含し、ここで、上記第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと上記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計は、20ミクロンを超える。
【0054】
なお別の非限定的な実施形態は、光学基材の少なくとも一部分上に光学色素のための配列装置を作成する方法を提供し、この方法は、上記光学基材の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的なコーティングを形成する工程を包含し、上記少なくとも部分的なコーティングは、上記光学基材の少なくとも一部分に少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、上記少なくとも部分的なコーティングは少なくとも6ミクロンの厚みを有する。この非限定的な実施形態によれば、光学基材の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、上記光学基材の少なくとも一部分の上に液晶材料を付与し、上記液晶材料が6ミクロンを超える厚みを有する工程、上記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させ、上記液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分が少なくとも第1の全体的な方向を有する工程および上記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程を含むことができる。本明細書中で限定されないが、この非限定的な実施形態によれば、少なくとも部分的なコーティングは少なくとも10ミクロンの厚みを有することができ、さらに50ミクロン〜1000ミクロンの範囲の厚みを有することができる。
【0055】
前述のように、液晶材料を、配向表面を有する別の構造と配列させることによって液晶材料を配列させる工程は、かなりの量の時間がかかる場合があり、そして/または配向表面に隣接する液晶材料の特定の部分のみを配列させる場合がある。しかし、本願発明者らは、特定の配列の非接触方法、配列の接触方法および非接触方法の組み合わせを用いることによって、液晶材料の配列が素早くなり、そして/またはさらに終了することを観察した。このようにして、上述の非限定的な実施形態によれば、必要ではないが、液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させることは、液晶材料の少なくとも一部分を磁場および電場のうち少なくとも1つに暴露する工程を含むことができる。さらに、この非限定的な実施形態によれば、液晶材料の少なくとも一部分を配列させることは、別の構造、例えば、限定されないが、少なくとも部分的に配列した液晶材料または配向装置のコーティングと液晶材料の少なくとも一部分とを配列させつつ、液晶材料の少なくとも一部分を磁場または電場のうち少なくとも1つに暴露する工程を含むことができる。配向装置の非限定的な実施例は、以下に詳細に記載される。
【0056】
例えば、1つの特定の非限定的な実施形態によれば、少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、溶媒またはキャリア中の液晶ポリマーの溶液または混合物を光学基材の少なくとも一部分の上に付与し、液晶ポリマーが6ミクロンを超える厚みを有する工程を含むことができる。その後、非限定的な実施形態によれば、液晶ポリマーの少なくとも一部分は、液晶ポリマーの少なくとも一部分を磁場または電場のうち少なくとも1つに暴露することによって、少なくとも部分的に配列させることができる。さらに、液晶ポリマーの少なくとも一部分は、少なくとも一部分と別の構造とを配列させつつ、該当部分を磁場または電場のうち少なくとも1つに暴露することによって少なくとも部分的に配列させることができる。液晶ポリマーの少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させた後、液晶ポリマーの少なくとも一部分を、例えば、上述のような液晶ポリマーの少なくとも一部分を乾燥させることによって、少なくとも部分的に硬化させることができる。
【0057】
図1を参照して、1つの非限定的な実施形態は、透明の型16の表面14に隣接する光学基材12の表面10の少なくとも一部分を配置して型領域17を規定することによって、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む少なくとも部分的なコーティングを含む配列装置を光学基材の少なくとも一部分上に作成する方法を提供する。透明の型16の表面14は、凹レンズ型であるかまたは負の球状であることができ、または所望または必要とされる任意の他の形状を有することができる。さらに、必要ではないが、ガスケットまたはスペーサー15は、光学基材12と透明の型16との間に配置され、所望のオフセットを提供し、および/または液晶材料を含有することができる。光学基材12を位置決めした後に、液晶材料18を、光学基材の12の表面10および透明の型16の表面14によって規定される型領域17に導入し、液晶材料18の少なくとも一部分がそれらを通って流れることができる。その後で、液晶材料18の少なくとも一部分を、例えば、電場、磁場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射および直線偏光可視光照射に暴露することによって、少なくとも部分的に配列させ、少なくとも部分的にポリマー化させることができる。ポリマー化の後、それらの表面の少なくとも一部分に結合した少なくとも部分的に配列した液晶材料の少なくとも部分的なコーティングを有する光学基材を、型からはずすことができる。
【0058】
あるいは、液晶材料18は、それらに隣接する光学基材12の表面10の少なくとも一部分を配置する前に、透明の型16の表面14に導入することができ、その結果、表面10の少なくとも一部分が、液晶材料18の少なくとも一部分と接触し、液晶材料18が表面10と表面14との間を流れる。その後で、液晶材料18は、前述のように少なくとも部分的に配列し、ポリマー化する。ポリマー化の後、それらに結合した液晶材料18の少なくとも部分的なコーティングを有する光学基材12を、型からはずすことができる。
【0059】
図1で示されないが、さらにまたは代替的に、液晶材料を型に導入する前に、少なくとも第1の全体的な方向を有する配向装置は、透明の型の表面の少なくとも一部分の上に付与することができ、および/または、光学基材の表面と液晶材料とを接触させる前に、光学基材の表面の少なくとも一部分の上に付与することができる。さらに、この非限定的な実施形態によれば、液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させることは、型の表面上で液晶材料の少なくとも一部分と配向装置の少なくとも一部分とを、および/または光学基材の表面上に配向装置の少なくとも一部分とを少なくとも部分的に配列させることを含むことができる。さらに、前述のように、少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも一部分を、加工を容易にするための配列中に、磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射、および/または直線偏光可視光線照射に暴露することができる。
【0060】
本明細書中で限定されないが、少なくとも部分的なコーティングを作成する上述のオーバーモールディング方法が多焦点眼科用レンズ上のコーティングの形成において、または比較的厚い配列装置が望ましい他の適用のための少なくとも部分的なコーティングを形成するために特に有用であり得ることが考察される。
【0061】
本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配列装置において使用するのに適した液晶材料の非限定的な例としては、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶モノマーおよび液晶メソゲンが挙げられる。例えば、1つの非限定的な実施形態では、第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料および少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料は、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶モノマーおよび液晶メソゲンから独立して選択することができる。本明細書中で使用される場合、用語「プレポリマー」は、部分的にポリマー化した材料を意味する。
【0062】
本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用するのに適した液晶モノマーとしては、一官能性および多官能性液晶モノマーが挙げられる。さらに、本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態によれば、液晶モノマーは、架橋性の液晶モノマーであり得、さらに、光架橋性の液晶モノマーであり得る。本明細書中で使用される場合、用語「光架橋性」は、化学線に暴露されると架橋可能な材料(例えばモノマー、プレポリマーまたはポリマー)を意味する。例えば、光架橋可能な液晶モノマーとしては、重合開始剤の存在下または非存在下のいずれかで、紫外線照射および/または可視光照射に暴露すると架橋可能な液晶モノマーが挙げられる。
【0063】
本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用するのに適した架橋可能な液晶モノマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリル酸、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、無水物、エポキシド、水酸化物、イソシアネート、ブロックイソシアネート、シロキサン、チオシアン酸エステル、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテルおよびそれらの混合物から選択される官能基を有する液晶モノマーが挙げられる。本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配列装置の少なくとも部分的なコーティングにおいて使用するのに適切な光架橋可能な液晶モノマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリル酸、アルキン、エポキシド、チオールおよびそれらの混合から選択される官能基を有する液晶モノマーが挙げられる。
【0064】
本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用するのに適切な液晶ポリマーおよびプレポリマーとしては、主鎖液晶ポリマーおよびプレポリマーおよび側鎖液晶ポリマーおよびプレポリマーが挙げられる。主鎖液晶ポリマーおよびプレポリマーでは、ロッド状構造または円盤状構造の基および/または液晶メソゲンはポリマー骨格内に主として配置される。側鎖液晶ポリマーおよびプレポリマーでは、ロッド状構造または円盤状構造の基および/または液晶メソゲンは主に、ポリマーの側鎖内に配置される。さらに、本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態によれば、液晶ポリマーまたはプレポリマーは架橋可能であり、さらに光架橋可能である。
【0065】
本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用するのに適切な液晶ポリマーおよびプレポリマーの非限定的な例としては、限定されないが、アクリレート、メタクリル酸、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、無水物、エポキシド、水酸化物、イソシアネート、ブロックイソシアネート、シロキサン、チオシアン酸エステル、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテルおよびそれらの混合から選択される官能基を有する主鎖および側鎖ポリマーおよびプレポリマーが挙げられる。本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配列装置の少なくとも部分的なコーティングと組み合わせて使用するのに適切な光架橋可能な液晶ポリマーおよびプレポリマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリル酸、アルキン、エポキシド、チオール、およびそれらのブレンドから選択される官能基を有するポリマーおよびプレポリマーが挙げられる。
【0066】
本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用するのに適切な液晶メソゲンとしては、サーモトロピック液晶メソゲンおよびリオトロピック液晶メソゲンが挙げられる。さらに、本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用するのに適切な液晶メソゲンの非限定的な例としては、コラマティック(またはロッド状)液晶メソゲンおよび円板状(または円盤状)液晶メソゲンが挙げられる。
【0067】
さらに、本明細書中で限定されないが、本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配列装置を作成する方法は、1つ以上の接着を容易にするために液晶材料を含む種々の少なくとも部分的なコーティングのいずれかを付与し、液晶材料によって光学基材の少なくとも一部分を濡らす前に、少なくとも1つの少なくとも部分的な下塗りコーティングを光学基材の少なくとも一部分上に形成する工程をさらに含むことができる。本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用できる下塗りコーティングの非限定的な例としては、カップリング剤、カップリング剤の少なくとも部分的な加水分解物、およびそれらの混合物を含むコーティングが挙げられる。本明細書中で使用される場合、「カップリング剤」は、少なくとも1つの表面上の基と反応、結合、および/または関連する少なくとも1つの基を有する材料を意味する。1つの非限定的な実施形態では、カップリング剤は、表面と類似または非類似の表面であり得る少なくとも2つの表面の界面で分子架橋として役立つことができる。本明細書中で限定されないが、カップリング剤は、モノマー、オリゴマー、プレポリマーおよび/またはポリマーであり得る。このような物質としては、限定されないが、有機金属化合物(例えばシラン、チタン酸塩、ジルコン酸、アルミン酸塩、ジルコニウムアルミン酸塩、それらの水解物)およびそれらの混合物が挙げられる。本明細書中で使用される場合、句「カップリング剤の少なくとも部分的な加水分解物」は、カップリング剤が加水分解される際に加水分解可能な基の少なくともいくつかから全てを意味する。カップリング剤および/またはカップリング剤の加水分解物に加えて、下塗りコーティングは、他の接着促進成分を含むことができる。例えば、本明細書中で限定されないが、下塗りコーティングは、さらに接着を促進する量のエポキシ含有材料を含むことができる。接着を促進する量のエポキシ含有材料は、コーティング組成物を含有するカップリング剤に添加される場合、エポキシ含有材料を本質的に含まないコーティング組成物を含有するカップリング剤と比較した場合、続けて付与されるコーティングの接着性を向上させることができる。本明細書において開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用するのに適した下塗りコーティングの他の非限定的な例としては、米国特許第6,602,603号および同第6,150,430号(これらは本明細書中で参考として具体的に援用される)に記載されるものが挙げられる。さらに、1つの非限定的な実施形態によれば、下塗りコーティングは、コーティング成分と基材表面との相互作用およびその逆の相互作用を防ぐためのバリアコーティングとして役立ち得る。
【0068】
光学色素のための配列装置を眼科用基材の少なくとも一部分上に作成する方法の別の非限定的な実施形態は、光学基材の少なくとも一部分の上に、少なくとも1つの全体的な方向を有する配向装置を付与する工程、配向装置の少なくとも1つの全体的な方向に対してほぼ平行な少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む第1の少なくとも部分的なコーティングを配向装置の少なくとも一部分の上に形成する工程、およびその後に、上記少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に上記第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した結晶材料を含む少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程を含む方法を含む。液晶材料を含む少なくとも部分的なコーティングを形成する適切な非限定的な方法、およびこのようなコーティングを形成するために使用可能な液晶材料の適切な非限定的な例は、上に記載される。
【0069】
本明細書中で記載される場合、用語「配向装置」は、配向装置の少なくとも一部分に直接的または間接的にさらされる1つ以上の他の構造の位置決めを容易にすることが可能な機構を意味する。必要ではないが、液晶材料を含む種々の少なくとも部分的なコーティングに関して前述のように、本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配向装置は、第1の全体的な方向を有する第1の配列した領域と、第1の全体的な方向とは異なる第2の全体的な方向を有する第1の配列した領域に隣接する少なくとも第2の配列した領域とを含むことができる。さらに、配向装置は、複数の領域を有することができ、ここで、それぞれの領域は、共に所望のパターンまたはデザインを形成するように、残りの領域と同じまたは異なる全体的な方向を有する。または、配向装置は、1つ以上の異なる種類の配向装置を含むことができる。
【0070】
本明細書中で開示される種々の他の非限定的な実施形態と組み合わせて使用できる配向装置の非限定的な例としては、少なくとも部分的に配列した配列媒体を含む少なくとも部分的なコーティング、少なくとも部分的に配列したポリマーシート、少なくとも部分的に処理した表面、ラングミュアーブロジェット膜、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
例えば、本明細書中で限定されないが、配向装置が少なくとも部分的に配列した配列媒体を含む少なくとも部分的なコーティングを含む種々の非限定的な実施形態によれば、配向装置を付与する工程は、配列媒体を光学基材の少なくとも一部分の上に付与する工程と、配列媒体を少なくとも部分的に配列させる工程を含むことができる。配列媒体を少なくとも部分的に配列させる工程の非限定的な方法としては、上述の液晶材料を含む少なくとも部分的なコーティングを配列させる方法が挙げられる。例えば、本明細書中で限定されないが、1つの非限定的な実施形態では、配列媒体は、磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射、直線偏光可視光線照射および剪断力のうち少なくとも1つに暴露することによって少なくとも部分的に配列させることができる。さらに、配列媒体が光配向性材料(以下に議論される)である場合、配列媒体は、直線偏光紫外線照射を用いて配列させることができる。本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用するのに適した配列媒体の非限定的な例は、光配向性材料およびこすり合わせた配列材料を含む。
【0072】
本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて配列媒体として使用するのに適した光配向性材料の非限定的な例は、光配向性高分子網目を含む。適切な光配向性高分子網目の特定の非限定的な例としては、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルラ酸誘導体、およびポリイミドが挙げられる。例えば、1つの非限定的な実施形態によれば、配向装置は、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルラ酸誘導体、およびポリイミドから選択される少なくとも部分的に配列した光配向性高分子網目を含む少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングを含むことができる。本明細書中に開示される種々の特定の非限定的な実施形態と組み合わせて配列媒体として使用することができる桂皮酸誘導体の非限定的な例としては、ポリ桂皮酸ビニル、パラメトキシ桂皮酸のポリビニルエステルが挙げられる。
【0073】
本明細書中で使用される場合、用語「こすり合わせ配向材料」は、別の最適なテクスチャード加工の材料と上記材料の表面の少なくとも一部分とをこすり合わせることによって少なくとも部分的に配列させることができる材料を意味する。例えば、本明細書中で限定されないが、1つの非限定的な実施形態では、こすり合わせ配向材料は、適切なテクスチャード加工の布またはベルベットブラシでこすり合わせることができる。本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて配列媒体として使用するのに適したこすり合わせ配向材料の非限定的な例としては、(ポリ)イミド、(ポリ)シロキサン、(ポリ)アクリレート、(ポリ)クマリンが挙げられる。このように、例えば、本明細書中で限定されないが、1つの非限定的な実施形態では、配列媒体を含む少なくとも部分的なコーティングは、ポリイミドの表面の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させるために、ベルベットまたは布地でこすり合わされたポリイミドを含む少なくとも部分的なコーティングであることができる。
【0074】
さらに、前述のように、本明細書中に開示される特定の非限定的な実施形態にかかる配向装置は、少なくとも部分的に配列したポリマーシートを含むことができる。例えば、本明細書中で限定されないが、ポリビニルアルコール(「PVA」)のシートは、ポリマーシートを伸ばし、その後に、シートを光学基材の表面の少なくとも一部分に結合して配向装置を形成することによって、少なくとも部分的に配列させることができる。あるいは、配列したポリマーシートは、加工中(例えば限定されないが、押出中)に、ポリマー鎖を少なくとも部分的に配列させる方法によって作成することができる。なおさらに、少なくとも部分的に配列したポリマーシートは、光配向方法を用いて作成することができる。例えば、限定されないが、光配向性材料のシートは、例えば、注型によって形成することができ、直線偏光紫外線照射に対する暴露によって少なくとも部分的に配列させることができる。
【0075】
なおさらに、本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配向装置は、少なくとも部分的に処理された表面を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「処理された表面」は、物理的に改変され、表面の少なくとも一部分に少なくとも1つの配列した領域が作成された表面の少なくとも一部分を指す。少なくとも部分的に処理された表面の非限定的な例としては、少なくとも部分的にこすり合わされた表面、少なくとも部分的にエッチングされた表面、および少なくとも部分的にエンボス加工された表面が挙げられる。さらに、少なくとも部分的に処理された表面は、例えば、光リソグラフィックプロセスまたはインターフェログラフィックプロセスを用いてパターン化することができる。本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配向装置を形成するのに有用な少なくとも部分的に処理された表面の非限定的な例としては、化学的にエッチングされた表面、プラズマエッチングされた表面、ナノエッチングされた表面(例えば、走査型トンネル顕微鏡または原子間力顕微鏡を用いてエッチングされた表面)、レーザーエッチングされた表面、および電子線エッチングされた表面が挙げられる。
【0076】
1つの特定の非限定的な実施形態では、配向装置は、少なくとも部分的に処理された表面を含み、配向装置を付与する工程は、金属塩(例えば、金属酸化物または金属フッ化物)を表面の少なくとも一部分に蒸着し、その蒸着をエッチングして配向装置を作成する工程を含むことができる。金属塩を蒸着するのに適切な技術の非限定的な例としては、プラズマ蒸着、化学気相成長、およびスパッタリングが挙げられる。エッチングプロセスの非限定的な例は、上に記載される。
【0077】
本明細書中で使用される場合、用語「ラングミュアーブロジェット膜」は、表面上の1つ以上の少なくとも部分的に配列した分子膜を意味する。例えば、本明細書中で限定されないが、ラングミュアーブロジェット膜は、液体および基材の相対表面張力に起因して、分子膜によって少なくとも部分的に覆われるように基材を液体に1回または数回浸漬し、次いで液体から基材を除去することによって形成することができ、分子膜の分子は、全体的な方向に少なくとも部分的に配列される。本明細書中で使用される場合、分子膜との用語は、単分子膜(すなわち、モノレイヤー)および1つより多いモノレイヤーを含む膜を指す。
【0078】
別の非限定的な実施形態は、少なくとも部分的に配列した相分離したポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングを光学基材の少なくとも一部分上に形成する工程を含む、光学基材の少なくとも一部分上に光学色素のための配列装置を作成する方法を提供する。この非限定的な実施形態によれば、少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、マトリックス相形成材料およびゲスト相形成材料を含む相分離ポリマー系を光学基材の少なくとも一部分の上に付与し、その後に、上記マトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト相形成材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させ、その結果、上記マトリックス相形成材料の少なくとも一部分が第1の全体的な方向を有し、上記ゲスト相形成材料の少なくとも一部分が、上記少なくとも第1の全体的な方向とほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する工程を含むことができる。少なくとも部分的に配列した後に、ゲスト相形成材料の少なくとも一部分は、ポリマー化により誘発される相分離および溶媒により誘発される相分離のうち少なくとも1つによってマトリックス相形成材料の少なくとも一部分から分離し、マトリックス相およびゲスト相を形成することができる。
【0079】
本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態によれば、マトリックス相形成材料は、液晶モノマー、液晶プレポリマーおよび液晶ポリマーから選択される液晶材料を含むことができる。さらに、種々の非限定的な実施形態によれば、ゲスト相形成材料は、液晶メソゲン、液晶モノマー、液晶ポリマーおよび液晶プレポリマーから選択される液晶材料を含むことができる。このような材料の非限定的な例は、上に詳細に記載される。
【0080】
相分離ポリマー系のマトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト形成層の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる非限定的な方法としては、液晶材料を配列させるための上述の方法が挙げられる。例えば、本明細書中で限定されないが、マトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト形成層の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、当該部分を以下:磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射、直線偏光可視光線照射および剪断力のうち少なくとも1つに暴露する工程を含むことができる。さらに、この部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、以下にさらに詳細に記載されるように、配向装置とこの部分とを少なくとも部分的に配列させる工程を含むことができる。
【0081】
前述のように、マトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト形成材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させた後に、ゲスト相形成材料の少なくとも一部分は、ポリマー化誘導性相分離および溶媒により誘導される相分離のうち少なくとも1つによって、マトリックス相形成材料の少なくとも一部分から分離することができる。マトリックス相形成材料およびゲスト形成材料の分離の明確性について、マトリックス相形成材料から分離されるゲスト相形成材料と関連して本明細書中に記載されるが、この用語は、2つの相形成材料間のいかなる分離もカバーすることを意図していることが理解されるべきである。すなわち、この用語は、マトリックス相形成材料からのゲスト相形成材料の分離およびゲスト相形成材料からのマトリックス相形成材料の分離、および両方の相形成材料の同時分離、またはそれらの任意の組み合わせをカバーすることを意図している。本明細書中で限定されないが、相分離中に、相分離系の成分(すなわち、マトリックス相形成材料およびゲスト形成材料)が、各相形成材料のナノスケール(すなわちナノメートルサイズ)領域のゲルを最初に形成することによって互いに分離すると一般的に考えられている。これらの領域は、後に別個の相領域が合着する。
【0082】
1つの特定の非限定的な実施形態では、相分離ポリマー系は、液晶モノマーを含むマトリックス相形成材料および少なくとも1つの液晶メソゲンを含むゲスト相形成材料の混合物を含むことができる。この非限定的な実施形態によれば、ゲスト相形成材料の少なくとも一部分をマトリックス形成材料の少なくとも一部分から分離させる工程は、ポリマー化誘導性相分離を含むことができる。すなわち、マトリックス相の液晶モノマーの少なくとも一部分をポリマー化させ、ゲスト相形成材料の少なくとも1つの液晶メソゲンの少なくとも一部分から分離することができる。本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて使用可能な非限定的なポリマー化方法としては、光により誘導されるポリマー化および熱により誘導されるポリマー化が挙げられる。
【0083】
別の特定の非限定的な実施形態では、相分離ポリマー系は、液晶モノマーを含むマトリックス相形成材料およびマトリックス相の液晶モノマーとは異なる機能性を有する低粘度液晶モノマーを含むゲスト相形成材料の混合物を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「低粘度液晶モノマー」は、室温で自由に流れる液晶モノマー混合物または液体を指す。非限定的な実施形態によれば、ゲスト相形成材料の少なくとも一部分をマトリックス形成材料の少なくとも一部分から分離させる工程は、ポリマー化誘導性相分離を含むことができる。すなわち、マトリックス相の液晶モノマーの少なくとも一部分を、ゲスト相の液晶モノマーがポリマー化しない条件下でポリマー化することができる。マトリックス相形成材料のポリマー化中に、ゲスト相形成材料は、マトリックス相形成材料から分離される。その後に、ゲスト相形成材料の液晶モノマーを、別個のポリマー化プロセスにおいてポリマー化することができる。
【0084】
別の特定の非限定的な実施形態では、相分離ポリマー系は、液晶ポリマーを含むマトリックス相形成材料およびマトリックス形成材料の液晶ポリマーとは異なる液晶ポリマーを含むゲスト相形成材料の少なくとも1つの共通の溶媒中の溶液を含むことができる。この非限定的な実施形態によれば、ゲスト相形成材料の少なくとも一部分をマトリックス形成材料の少なくとも一部分から分離させる工程は、ポリマー化により誘導される溶媒を含むことができる。すなわち、少なくとも1つの共通の溶媒中の少なくとも一部分を、液晶ポリマーの混合物から蒸発させることができ、それにより2つの相が互いに分離する。
【0085】
別の非限定的な実施形態は、光学基材の少なくとも一部分の上に配向装置を付与する工程、および配向装置の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的に配列した相分離ポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングを形成する工程を含む、光学基材の少なくとも一部分上に光学色素のための配列装置を作成する方法を提供する。非限定的な実施形態によれば、液晶ポリマーを含むマトリックス相形成材料および液晶ポリマーを含むゲスト相形成材料を含む相分離ポリマー系を、配向装置の少なくとも一部分の上に付与することができる。その後に、相分離ポリマー系のマトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させ、マトリックス形成材料の少なくとも部分的に配列した部分が少なくとも第1の全体的な方向を有し、ゲスト相形成材料の少なくとも部分的に配列した部分が少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する。マトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト相形成材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させた後、ポリマー化誘導性相分離および溶解誘導性相分離のうち少なくとも1つによって、ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、マトリックス形成材料の少なくとも一部分から分離する。
【0086】
さらに、この非限定的な実施形態によれば、マトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト相形成材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、配向装置の少なくとも一部分と当該部分を配列させる工程を含むことができる。さらに、必要ではないが、マトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、単独または配向装置と当該部分との配列と組み合わせて、磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射、直線偏光可視光線照射および剪断力のうち少なくとも1つに暴露し、その部分を少なくとも部分的に配列させることができる。配向装置を付与する非限定的な方法、および相分離ポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングを形成するための適切な非限定的な方法および材料は、上に詳細に記載される。
【0087】
概して、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配向装置の少なくとも部分的に配列した相分離ポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングの厚みは、配向装置全体の所望な厚みが達成されるように選択することができる。例えば、限定されないが、種々の非限定的な実施形態によれば、相分離ポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングの厚みは、1ミクロン〜100ミクロン、10ミクロン〜50ミクロン、および20〜40ミクロンの範囲であることができる。
【0088】
前述のように、一般的に、液晶材料を配列させるのに必要とされる時間は、一部分では、液晶材料の厚みに依存する。しかし、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態にかかる配向装置の少なくとも部分的に配列した相分離ポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングを形成することによって、相分離ポリマーを含む液晶材料を配列させるのに必要とされる時間は、同じ厚みを有する液晶材料の単一相のコーティングを配列させるのに必要な時間と比較して、減少させることができる。例えば、1つの非限定的な実施形態では、相分離ポリマーを含み、15〜20ミクロンの範囲の厚みを有する少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも部分的に配列した光配向性材料を含む配向装置の少なくとも一部分上で形成することができる。さらに、この非限定的な実施形態によれば、相分離ポリマー系のマトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト相形成材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、30分未満待つ工程を含むことができる。
【0089】
別の非限定的な実施形態は、(i)少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマー、および(ii)少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配した少なくとも部分的に配列した液晶材料を含むシートを形成する工程を含む、光学色素のための配列装置を作成する方法を提供する。さらに、この非限定的な実施形態によれば、少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配した少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーは、少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ並行な少なくとも第2の全体的な方向を有することができる。
【0090】
例えば、本明細書中で限定されないが、1つの非限定的な実施形態によれば、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマー、および少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配した少なくとも部分的に配列した液晶材料を含むシートを形成する工程は、液晶材料を含むマトリックス相形成材料および液晶材料を含むゲスト相形成材料を含む相分離ポリマー系を基材の少なくとも一部分上に付与する工程を含むことができる。その後で、マトリックス相形成材料の少なくとも一部分およびゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させることができる。相形成材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させた後、ゲスト相形成材料の少なくとも一部分は、ポリマー化誘導性相分離および溶媒により誘導される相分離のうち少なくとも1つによって、マトリックス相形成材料の少なくとも一部分から分離することができ、少なくとも部分的に配列した相分離したポリマーコーティングを基材から除去しシートを形成することができる。
【0091】
別の非限定的な実施形態によって、少なくとも部分的に配列された液晶ポリマーマトリックスの少なくとも一部内に分配した少なくとも部分的に配列された液晶ポリマーマトリックスおよび少なくとも部分的に配列された液晶材料を含むシートを形成するのは、少なくとも部分的に配列された液晶ポリマーシートを形成し、そして少なくとも1つの液晶メソゲン(弱毒病原体)を、部分的に配列された液晶ポリマーシートの少なくとも一部に吸収することを含みうる。例えば、この非限定的な実施形態により、液晶ポリマーを含むシートは、例えば押出により、形成中に液晶ポリマーを少なくとも部分的に配列しうるポリマーシートを形成する方法によって、形成し、そして少なくとも部分的に配列されうる。代わりに、液晶ポリマーは、上に説明される液晶材料を少なくとも部分的に配列する非限定的な方法の内の1つによって基板上に形成し、そして少なくとも部分的に配列されうる。例えば、ここでは限定しないが、液晶材料の少なくとも一部を、磁界または電解にさらしうる。少なくとも部分的に配列させた後、液晶ポリマーを、少なくとも部分的に硬化させ、基板から取出して、少なくとも部分的に配列された液晶ポリマーマトリックスを含むシートを形成しうる。さらになお、液晶ポリマーシートを、注型し、少なくとも部分的に硬化させ、そして続いて、少なくとも部分的に配列された液晶ポリマーを含むシートを形成しうる。
【0092】
少なくとも部分的に配列された液晶ポリマーを含むシートを形成した後、少なくとも1つの液晶メソゲンを、液晶ポリマーシートの少なくとも一部に吸収させうる。例えば、ここで限定しないが、担体中の液晶メソゲンの溶液または混合物を、液晶ポリマーの一部に付与し、そしてその後、液晶メソゲンを、加熱を伴うか、または伴わないかのいずれかで、液晶ポリマーシートに拡散させることによって、液晶メソゲンを、液晶ポリマーの少なくとも一部に吸収させうる。代わりに、液晶ポリマーシートを、担体中の液晶メソゲンの溶液または混合物に浸漬し、そして液晶メソゲンを、加熱を伴うか、または伴わないかのいずれかでの拡散により、液晶ポリマーシートに吸収させうる。
【0093】
非限定的な実施形態によって、少なくとも部分的に配列された液晶ポリマーマトリックスの少なくとも一部内に分配した少なくとも部分的に配列された液晶ポリマーおよび少なくとも部分的に配列された液晶材料を含むシートを形成することは、液晶ポリマーシートを形成し、液晶ポリマーシートの少なくとも一部を、少なくとも1つの液晶メソゲンと共に吸収させ、そしてその後、液晶ポリマーの少なくとも一部およびそこに分配された少なくとも1つの液晶メソゲンの少なくとも一部を少なくとも部分的に配列することを含む。ここで限定しないが、例えば、液晶ポリマーシートの少なくとも一部、およびそこに分配された少なくとも1つの液晶メソゲンの少なくとも一部を、液晶ポリマーシートを収縮させることによって、少なくとも部分的に配列しうる。さらに、この非限定的な実施形態によって、液晶ポリマーシートを、それに限定されないが、押出および注型のような従来のポリマー加工技術を使用して形成しうる。
【0094】
一般的に言って、ここに開示される種々の非限定的な実施形態によって、少なくとも部分的に配列された液晶ポリマー、およびそこに分配された少なくとも部分的に配列された液晶材料を含むシートは、配列装置の所望の全体の厚みを達成するために必要ないずれかの厚みを有しうる。例えば、1つの非限定的な実施形態で、シートの厚みは、1ミクロンから100ミクロンまでの範囲内にありうる。別の非限定的な実施形態では、シートの厚みは、10ミクロンから50ミクロンまでの範囲内にありうる。さらに別の非限定的な実施形態では、シートの厚みは、20ミクロンから40ミクロンまでの範囲内にありうる。
【0095】
さらに、種々の非限定的な実施形態よって、液晶ポリマーおよびそこに分配された液晶材料を含むシートを、シートの少なくとも一部を光学基板に積層、融合、鋳型内キャスティング、および接着結合することの少なくとも1つによって、光学基板の少なくとも一部に結合しうる。
【0096】
別の非限定的な実施形態は、光学基板の少なくとも一部に相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングを形成することを含む、光学的色素についての配列装置を製造する方法を提供する。ここで使用される場合、用語「相互貫入高分子網目」は、互いに結合されない、その少なくとも一方が架橋されたポリマーの絡まった組合せを意味する。従って、ここで使用される場合、用語、相互貫入高分子網目は、半相互貫入高分子網目を含む。例えば、L.H.Sperling、「introduction to Physical Polymer Science、John Wiley & Sons、New York(1986年)46頁を参照。この非限定的な実施形態によって、その方法は、光学基板の少なくとも一部に配列装置を与えること、そしてその配列装置の少なくとも一部に、重合性組成物および液晶材料を付与することを含む。その後、液晶材料の少なくとも一部は、配列装置の少なくとも一部で少なくとも部分的に配列形成されうる。液晶材料の少なくとも一部を少なくとも部分的に配列形成した後、少なくとも部分的なコーティングの一部は、液晶材料の少なくとも一部を、少なくとも部分的に硬化させ、そして重合性組成物の少なくとも一部を、少なくとも部分的に硬化させる二重硬化工程にかけられうる。この非限定的な実施形態によって、液晶材料の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化させるのは、重合性組成物を少なくとも部分的に硬化させる前、後、または基本的に同時に生じうる。
【0097】
例えば、1つの非限定的な実施形態では、相互貫入高分子網目の液晶材料の少なくとも一部を、紫外線照射にかけて、液晶材料の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化させうる。その後、重合性組成物の少なくとも一部を、熱エネルギーにさらすことによって、少なくとも部分的に硬化させうる。本明細書中で限定しないが、この非限定的な実施形態によって、重合性組成物は、ジヒドロキシおよびイソシアネートモノマーを包含でき、そして液晶材料は、液晶モノマーを包含できる。本明細書中で使用される場合、用語「熱エネルギー」は、あらゆる形態の熱を意味する。
【0098】
別の非限定的な実施形態では、重合性組成物の少なくとも一部は、液晶材料の少なくとも一部に、少なくとも部分的に硬化させる紫外線照射にその液晶材料の少なくとも一部をさらす前に、重合性組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化させるのに十分な熱エネルギーにさらされうる。さらに、液晶材料の少なくとも一部は、コーティングの少なくとも一部を熱エネルギーにさらす前、間または後に、そして液晶材料の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化させる前に、少なくとも部分的に配列されうる。
【0099】
さらに別の非限定的な実施形態では、重合性組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化させることは、例えば、少なくとも部分的なコーティングをUVおよび熱エネルギーに同時にさらすことによって、液晶材料の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化させるのと基本的に同時に起こりうる。
【0100】
一般に、ここに開示される種々の非限定的な実施形態による相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングは、配列装置の所望の厚みを達成するのに必要なあらゆる厚みを有しうる。例えば、ここに限定しないが、1つの非限定的な実施形態では、相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングの厚みは、1から100ミクロンまでの範囲内にありうる。さらに、ここに開示される種々の非限定的な実施形態では、相互貫入高分子網目の重合性組成物は、少なくとも部分的なコーティングが全体で、非等方性である場合、等方性材料または非等方性材料でありうる。
【0101】
種々の非限定的な実施形態による光学エレメントは、ここに記載される。ここで図2に関して、1つの非限定的な実施形態は、それの少なくとも一部に結合された少なくとも部分的に配列された液晶材料を含む少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティング224を含む光学色素についての眼科用基材222および配列装置(一般に223と示される)を含む一般に220と示される眼科用エレメントを提供する。ここで使用される場合、用語「に結合される」は、対象物との直接接触にあるか、またはそれの少なくとも一方が対象物と直接接触している1つまたはそれより多くの他の構造物または材料を通して対象物に接触していることを意味する。このような配列装置を形成する非限定的な方法は、上に詳細に説明される。さらに、ここに開示される光学エレメントおよび眼科用エレメントの種々の非限定的な実施形態と関連して使用されうる光学エレメントおよび基板、ならびに眼科用エレメントおよび基材の非限定的な例は、上に詳細に説明される。
【0102】
上に検討されるとおり、厚い単相液晶コーティングを配列させるために要する時間は、一般に、同じ材料のより薄いコーティングを配列させるために要する時間より長い。従って、要求されないが、厚い配列装置を有する光学エレメントが望まれる所定の非限定的な実施形態によれば、配列装置は、複数の少なくとも部分的なコーティングを包含しうる。例えば、続く図2に関連して、1つの非限定的な実施形態によれば、配列装置223の少なくとも部分的なコーティング224の少なくとも1つは、第1の少なくとも部分的なコーティング226の少なくとも一部の上に、少なくとも部分的に配列された液晶材料、および少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティング228を含む、第1の少なくとも部分的なコーティング226を含みうる。
【0103】
ここで限定しないが、例えば、種々の非限定的な実施形態によって、第1の少なくとも部分的なコーティング226は、0.5ミクロンから20ミクロンまで、0.5ミクロンから10ミクロンまで、および2ミクロンから8ミクロンまでの範囲に入る厚み(一般に227と示される)を有しうる。さらに、例えば、そして制限なしに、ここに開示される種々の非限定的な実施形態によって、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティング228は、1ミクロンから25ミクロンまでの範囲に入る厚み(一般に229と示される)を有し得て、さらに、5ミクロンから20ミクロンまでの範囲に入る厚みを有しうる。さらに別の非限定的な実施形態によって、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、6ミクロンより大きな厚みを有し得て、そしてさらに、少なくとも10ミクロンの厚みを有しうる。
【0104】
なおさらに、ここに開示される種々の非限定的な実施形態によって、第1の少なくとも部分的なコーティング226は、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティング228より薄い可能性がある。例えば、そして限定なしに、1つの非限定的な実施形態では、第1の少なくとも部分的なコーティング226は、2ミクロンから8ミクロンまでの範囲に入る厚みを有し得て、そして少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティング228は、10ミクロンから20ミクロンまでの範囲に入る厚みを有しうる。このようなコーティングを製造する非限定的な方法は、上に詳細に記載される。
【0105】
さらに、ここに開示される種々の非限定的な実施形態によって、配列装置の少なくとも部分的(複数)なコーティング(またはシート)は、さらに、配列助触媒、運動性増強添加剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、重合インヒビター、溶剤、光安定化剤(それに限定されないが、紫外線吸収剤および封鎖アミン光安定化剤(HALS)のような光安定化剤のような)、熱安定化剤、離型剤、レオロジー制御剤、均展剤(それに限定されないが、界面活性剤のような)、フリーラジカルスカベンジャー、および接着助触媒(ヘキサンジオールジアクリレートおよびカップリング剤のような)から選択される少なくとも1つの添加剤を包含しうる。
【0106】
ここで使用される場合、用語「配列助触媒」は、それが添加される材料の配列の速度および均一性の少なくとも一方を促進しうる添加剤を意味する。ここに開示される種々の非限定的な実施形態による少なくとも部分的なコーティング(およびシート)中に存在しうる配列助触媒の非限定的な例は、本明細書中で参考として具体的に援用される米国特許番号第6,338,808号および米国特許公報第2002/0039627号に開示されるものを含む。
【0107】
ここに開示される種々の非限定的な実施形態による少なくとも部分的なコーティング(およびシート)中に存在しうる運動性増強添加剤の非限定的な例は、エポキシ含有化合物、有機ポリオール、および/または可塑剤を含む。このような運動性増強添加剤のさらに特定の例は、本明細書中で参考として具体的に援用される米国特許番号第6,433,043号および米国特許広報第2003/0045612号に開示される。
【0108】
ここに開示される種々の非限定的な実施形態による少なくとも部分的なコーティング(およびシート)中に存在しうる光重合開始剤の非限定的な例は、切断型光重合開始剤および分離型光重合開始剤を含む。切断型光重合開始剤の非限定的な例は、アセトフェノン、α−アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アクリルホスフィンオキシド、およびビスアシルホスフィンオキシドまたはこのような開始剤の混合物を含む。このような光重合開始剤の市販の例は、Ciba Chemicals,Inc.から入手可能であるDAROCURE(登録商標)4265である。分離型光重合開始剤の非限定的な例は、ベンゾフェノン、ミッシェルのケトン、チオキサントン、アントラキノン、カンファーキノン、フルオレン、ケトコウマリンまたはこのような開始剤の混合物を含む。
【0109】
ここに開示される種々の非限定的な実施形態による少なくとも部分的なコーティング(およびシート)中に存在しうる光重合開始剤の別の非限定的な例は、可視光線光重合剤である。適切な可視光線光重合剤の非限定的な例は、米国特許番号第6,602,603号の第12欄第11行目〜第13欄第21行目までで説明される(これは、本明細書中で参考として具体的に援用される)。
【0110】
熱重合開始剤の非限定的な例は、有機ペルオキシ化合物およびアゾビス(有機ニトリル)化合物を含む。熱重合開始剤として有用である有機ペルオキシ化合物の特に非限定的な例は、三級ブチルペルオキシイソプロピルカルボネートのようなペルオキシモノカルボネートエステル;ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカルボネート、ジ(二級ブチル)ペルオキシジカルボネートおよびジイソプロピルペルオキシジカルボネートのようなペルオキシジカルボネートエステル;2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドおよびp−クロロベンゾイルペルオキシドのようなジアシペルオキシド;t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシオクチレートおよびt−ブチルペルオキシイソブチラートのようなペルオキシエステル;メチルエチルケトンペルオキシド、およびアセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシドを含む。1つの非限定的な実施形態では、使用される熱重合開始剤は、生じる重合物を脱色しないものである。
【0111】
熱重合開始剤として使用されうるアゾビス(有機ニトリル)化合物の非限定的な例は、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレノニトリル)またはそれの混合物を含む。
【0112】
重合阻害剤の非限定的な例は、ニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、クロラニル、DPPH、FeCl、CuCl、酸素、硫黄、アニリン、フェノール、p−ジヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、および2,4,6−トリメチルフェノールを含む。
【0113】
ここに開示される種々の非限定的な実施形態による少なくとも部分的なコーティング(およびシート)中に存在しうる溶剤の非限定的な例は、コーティングおよび素子および基板に適合性があり、および/またはコーティングが付与される外側表面の均一な被覆を確保しうる、コーティングの固形成分を溶解するものを含む。有力な溶剤は、それに限定されないが、以下のものが挙げられる:アセトン、アミルプロピオネート、アニソール、ベンゼン、ブチルアセテート、シクロヘキサン;エチレングリコールのジアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールジメチルエーテルおよびそれらの誘導体(CELLOSOLVE(登録商標)工業用溶剤として販売される);ジエチレングリコールジベンゾエート、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメトキシベンゼン、エチルアセテート、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピオネート、プロピレンカルボネート、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、2−メトキシエチルエーテル、3−プロピレングリコースメチルエーテル、およびそれの混合物。
【0114】
さらに、先に検討されるとおり、1つまたはそれより多くの光学色素は、ここに開示される種々の非限定的な実施形態による配列装置の少なくとも部分的なコーティング(およびシート)と接触しうる。
【0115】
再び図2に関して、少なくとも部分的に配列された液晶材料を含む少なくとも部分的なコーティング224の少なくとも1つに加えて、眼科用エレメント220は、さらに、配列装置223の少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティング224の少なくとも一部と、眼科用基材222との間に配置される配列装置230を包含しうる。適切な配列装置およびそれを製造する方法の非限定的な例は、上に説明される。
【0116】
さらに、図示しないが、配列装置に加えて、本明細書で開示した種々の非限定な実施形態にしたがった光学エレメントにはさらに、配列装置の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分と、光学基材の間、または配列装置の少なくとも一部分と、光学基材の間に入りこむ、少なくとも部分的な下塗りコーティングが含まれうる。そのようなコーティングの非限定例は、以上で詳細に列挙している。
【0117】
図3に関して、別の非限定的な実施形態によって、光学基材332と、上記光学基材の少なくとも一部分に連結した光学色素のための、配列装置(一般的に333で示している)を含む、光学エレメント(一般的に330で示している)が提供される。この非限定的な実施形態に従って、配列装置333には、6ミクロンより大きな厚さ(一般的に335で示している)を有し、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、少なくとも部分的なコーティング334が含まれる。さらに、本非限定的な実施形態に従って、少なくとも部分的なコーティング334は、少なくとも10ミクロンの厚さ335を有する。さらに他の非限定的な実施形態に従って、少なくとも部分的なコーティング334は、50ミクロン〜1000ミクロンまたはそれ以上の範囲の厚さ335を有しうる。そのようなコーティングを作製するための非限定方法および物質は、以上で詳細に記載している。
【0118】
他の非限定的な実施形態によって、少なくとも部分的に配列した相分離ポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングを含む光学色素のための配列装置が提供され、上記相分離ポリマーには、その少なくとも一部分が、少なくとも1つの第1の全体的方向で、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含むマトリックス相と、マトリックス相内に分配した液晶材料を含むゲスト相を含み、そこで、ゲスト相の少なくとも一部分の液晶材料は、一般的に、少なくとも1つの第1の全体的な方向と平行な少なくとも1つの第2の全体的な方向で、少なくとも部分的に配列していた。さらに、本非限定的な実施形態に従って、配列装置は、光学基材に連結して、光学エレメントを形成する。例えば、1つの非限定的な実施形態に従って、光学基材と、上記光学基材の少なくとも一部分に連結した光学色素を含む光学エレメントが提供され、上記配列装置には、少なくとも部分的に配列した相分離ポリマーを含む、少なくとも部分的なコーティングが含まれる。そのような配列装置を形成する非限定方法は、上に記載している。
【0119】
ここで図4に関連して、別の非限定的な実施形態によって、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマー446と、液晶ポリマー446の少なくとも1つの部分内で分配した、少なくとも部分的に配列した液晶材料447を含むシート444を含む、光学色素のための、配列装置(一般的に443で示している)が提供され、ここで、少なくとも部分的に配列した液晶材料447は、液晶ポリマー446の、少なくとも第1の全体的な方向と全体的に平行な少なくとも1つの第2の全体的な方向を有する。1つの非限定的な実施形態に従って、シート444は、以上で議論したように相分離ポリマー系から形成可能である。あるいは、他の非限定的な実施形態に従って、シート444は、先に議論した吸入膨潤技術を用いて形成可能である。
【0120】
本明細書で限定はしないけれども、以上で議論したように、種々の非限定的な実施形態に従って、シートを、光学基材の少なくとも一部分に連結可能である。シートを、光学基材の少なくとも一部分に連結する非限定方法には、ラミネート加工、融解、イン−モールドキャスティング、接着結合およびこれらの混合が含まれる。本明細書で使用するところの、語句「鋳型内キャスティング(in−mold casting)」には、限定はしないが、シートを鋳型内に入れ、基材が、基材の少なくとも一部上に(例えばキャスティングによって)形成される、重ね合わせ、および基材がシートの周りに形成される、注入鋳型成形のような、種々の鋳型成形技術が含まれる。
【0121】
1つの非限定的な実施形態によって、光学基材ならびに少なくとも一つの第1の方向を有する少なくとも部分的な配列した液晶ポリマーおよび少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーマトリックスの少なくとも一部分内に分配される少なくとも一つの第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、シートを含む配列装置が提供される。さらに、本非限定的な実施形態に従って、少なくとも第2の全体的な方向は、一般的に、液晶ポリマーの少なくとも第1の全体的な方向に平行でありうる。上で議論したように、種々の方法を使用して、配列装置のシートを、光学基材に連結可能である。
【0122】
別の非限定的な実施形態によって、ポリマーおよび少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む相互貫入高分子網目の少なくとも部分的なコーティングを含む、光学色素のための配列装置が提供される。さらに、先に述べたように、配列装置は、光学基材の少なくとも一部分に連結可能である。例えば、1つの非限定的な実施形態によって、光学基材および上記光学基材の少なくとも一部分に連結した光学色素に対する配列装置を含む光学エレメントが提供され、ここで、上記配列装置には、ポリマーおよび少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、相互貫入高分子網目の少なくとも部分的なコーティングが含まれる。少なくとも部分的に配列した相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングを形成する非限定方法を、上で列挙している。
【実施例】
【0123】
ここで、本明細書中で開示される種々の非限定的な実施形態は、以下の非限定実施例において例示される。
【0124】
(実施例1)
(パートA)
2つのコーティング組成物(表1にて、コーティング組成物1およびコーティング組成物2として示した)を、撹拌しながら、列挙した順で、ビーカーに表1にて列挙した物質を添加することによって形成した。
【0125】
【表1】

(1) RM82は、EMD Chemicals,Inc.より入手可能な液晶モノマー(LCM)であり、C394410の分子式を有することが報告されている。
(2) RM105は、EMD Chemicals,Inc.より入手可能な液晶モノマー(LCM)であり、C2328の分子式を有することが報告されている。
(3) RM257は、EMD Chemicals,Inc.より入手可能な液晶モノマー(LCM)であり、C333210の分子式を有することが報告されている。
(4) RM23は、EMD Chemicals,Inc.より入手可能な液晶モノマー(LCM)であり、C2323の分子式を有することが報告されている。
(6) BYK(登録商標)添加物は、BYK Chemie、USAから入手可能な、ポリエーテル改変ポリ−ジメチル−シロキサンであることが報告されているシリコーン界面活性剤である。
(7)Irgacure(登録商標)819は、Ciba−Geigy Corporationより入手可能な光重合開始剤である。
(8)Licristal(登録商標)E7は、EM Industriesより入手可能な液晶メソゲン混合物である。
【0126】
さらにとりわけ、コーティング組成物1は、非相分離ポリマー系であり、コーティング組成物2は、上で記載した液晶モノマー、およびLicristal(登録商標)E7液晶メソゲンを含むゲスト相形成物質を含む、マトリックス相形成物質を含む相分離ポリマー系である。
【0127】
(パートB)
(Homaliteから入手可能な)CR−39(登録商標)モノマーのポリマー化から形成された、2”×2”×0.25”(5.08cm×5.08cm×0.635cm)六(6)つの平方試験基材を、液体石鹸および水の溶液中で洗浄し、脱イオン水でリンスし、続いて、イソプロピルアルコールにてリンスした。その清浄試験基材を乾燥させ、1分間、100ワットの出力で、酸素100ミリリットル(mL)/分にて、酸素プラズマで処理した。
【0128】
(パートC)
配向設備を、以下のように、4つの試験基材それぞれの上で形成した。その命名がシクロペンタノン中の4重量パーセントを意味していると報告されているHuntsman Advanced MaterialsからのStaralignTM2200 CP4溶液として入手可能な、光配向性高分子網目の溶液を、基材上へ、2〜3秒間、StaralignTM溶液を分配することによって、各基材の表面の一部分に付与した。StaralignTM溶液を、基材上に分配した時に、基材を、約2〜3分間、800回転/分で回転させた。その後、コート基材を、130℃にて15分間維持したオーブン内に入れた。
【0129】
付与後、光配向性高分子網目を、(Electronic Instrumentation and Technology,Inc.より入手可能な)UV Power PuckTM電気光学放射計を用いて測定した場合に18ミリワット/cmのピーク強度のUVA(320nm〜390nm)にて、1分間、直線偏光紫外線放射に暴露することによって、少なくとも部分的に配列させた。直線偏光UV照射の供給源は、BLAK−RAY Model B−100A Longwave UV Lampであった。光源を、照射が基材の表面に対して垂直な平面中で直線的に偏光するように、配向した。光配向性高分子網目の少なくとも一部分を配列させた後、基材を室温まで冷却し、覆われているままにした。
【0130】
(パートD)
コーティング組成物1およびコーティング組成物2のコーティングを、次いで、以下のようにパートCで調製した二(2)つの基材上で形成した。各基材に関して、2つのコーティング組成物の1つを、スピンコーティングによって、基材の表面上で、配向設備の少なくとも一部分に付与した。さらにとりわけ、およそ1mLの選択したコーティング組成物を、基材として、配向設備の少なくとも一部分に分配し、任意の過剰物を、全てのサンプルに関して、3分間、400回転/分にて回転させる前に乾燥させた。コーティング組成物を付与した後、基材を、60分までの間、45℃のオーブン内に入れ、コーティング組成物の少なくとも一部分の異方性物質を、配向設備と配列させた。コーティングの配列は、オーブンより基材を取り除き、より詳細に以下で記載されるように、Edmund Industrial Opticsからの2つの交差偏光フィルム(cross−polarized film)(#45669)を用いて基材を試験することによって、この時間の間、定期的に確認した。
【0131】
配列を確認するために、本配置を通して可視光が伝達するようにコート基材が少なくとも1つのフィルムと平行であるように、コート基材を交差偏光フィルム間に配置させた。少なくとも部分的な配列を、1つの偏光フィルムが、45度時計回り、または半時計回りに回転した時に、伝達可視光の増加を観察し、他方、この配置を通して可視光源を見ることによって、立証した。
【0132】
配列の後、コーティングを、硬化させることによって少なくとも部分的に固定した。コーティング組成物2の硬化の間、マトリックス相形成物質がポリマー化したので、ゲスト相形成物質の液晶メソゲンは、マトリックス相形成物質の液晶モノマーから分離した。得られたコーティングには、そこに分配されたゲスト相(すなわち液晶メソゲン)と共に液晶ポリマーマトリックスを含む、相分離ポリマーが含まれる。
【0133】
配列までの時間を、以上で言及した方法を用いて、コーティング組成物1とコーティング組成物2でコートした基材に関して測定した。分の結果を表IIで列挙している。
【0134】
【表2】

表1の結果は、コーティング組成物2の相分離ポリマー系が、コーティング組成物1の液晶モノマー系よりも短い時間で、少なくとも部分に配列したことを示している。
【0135】
(実施例2)
コーティング1または2を、表IIIで記載したコーティングパラメータを用いて、パートCにおいて上で調製した残りの四(4)つの基材上で形成した。
【0136】
【表3】

サンプル4は単一基材を表し、サンプル4に対する第1のコーティング(A)を、表IIIにおいて上で示したように付与し、配列してサンプル4(A)を形成した。その後、さらなるコーティング(B)を、第1のコーティング(A)に付与し、表IIIで示したように配列して、サンプル4(B)を形成した。従って、サンプル4Bは、その上に付与された2つのコーティングを有する。
【0137】
コーティングの付与後、少なくとも部分的な配列が起こる時間を、既に記載したように決定した。その後、コーティングをさらに、カットオフフィルターがコート基材の表面上約1mmであるように、(390ナノメートル未満の紫外線波長を除く)カットオフフィルターでコート基材を覆うことによって、さらに硬化させた。得られたアセンブリを、(Eye Ultraviolet,Incより入手した)紫外線コンベヤー硬化ライン上に置き、長さ10”の2つの紫外線「D型」400ワット/インチヨウ化鉄ドープ水銀ランプ(一方は、コンベアーの2.5”上に配置され、他方は、コンベアーの6.5”上に配置される)の真下で、3フィート/分で搬送した。硬化の間、本明細書中の以前に記載したUV Power PuckTM 電気光学放射計を用いて測定した場合、UAV(320nm〜390nm)のピーク強度は0.239ワット/cmであり、UVV(395nm〜445nm)のピーク強度は、0.416ワット/cmであった。UVコンベヤー硬化ラインは、酸素レベルが100ppm未満である窒素大気を有していた。
【0138】
実施例1にて先に議論したように、コーティング組成物2の硬化の間、ゲスト相形成物質が、マトリックス相形成物質から分離した。さらに、以上で議論したように、上記手順を、コーティング組成物1を用いて、サンプル4(B)に関して2回繰り返した。
【0139】
(実施例3)
実施例2で調製したサンプルを、さらに、以下のように、配列の程度およびコーティングの厚さを評価するために分析した。各サンプル上の各2つの領域「a」および「b」に対する配列の程度を、(先に記載した)配列を確認するための技術を用いて、定量的な様式で決定し、「良好(good)」、「不十分(poor)」または「極めて不十分(very poor)」の評価に割り当てた。
【0140】
各領域「a」および「b」の厚さを以下のように決定した。各サンプルに関して、厚さ約100ミクロンの断片を、ダイアモンド湿潤のこぎりを用いて、各領域「a」および「b」において作製した。各断片を、1.498の屈折率を有する液体中に浸し、デジタルカメラを備えた偏光顕微鏡で試験した。断片の顕微鏡写真を、Diagnostic Instruments Model3.2.0デジタルカメラで作製し、基材上のコーティングの厚さを、Spotソフトウェア、version3.5.6.2を用いて決定した。屈折率液体中に浸す際、サンプル4(B)のコーティング(B)が、断片より分離した。分離したコーティング(B)を、ストリップに切断し、そのストリップの厚さを、上で言及したデジタルカメラを備えた偏光顕微鏡とSpotソフトウェアを用いて、空気中、端で測定した。これらの分析の結果を、表IVに列挙している。
【0141】
【表4】

(実施例4)
少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む少なくとも部分的なコーティングを含む配列装置を有する基材を、以下のように、オーバーモールディング工程によって調製した。
【0142】
(パートA)
(実施例1にて以上で記載した)表V中で列挙した各液晶モノマーの各々を、撹拌しながら、列挙した順番で、ビーカー中に添加した。
【0143】
【表5】

ついでアニソール(7.0グラム)をビーカーに添加し、得られた混合物を、60℃まで熱し、視覚観察によって固体が溶解したと決定されるまで撹拌した。得られた液晶モノマー溶液は、65パーセント固体であった。その後、本質的に全ての溶媒を、空気を用いて2時間散布することによって取り出し、オーバーモールディング溶液を生成した。
【0144】
(パートB)
CR−39(登録商標)モノマーから調製された六つのベースレンズを、レンズを、酸素プラズマでの処理の前に10分間、100℃にてオーブン中で乾燥させたことを除いて、実施例1のパートBの手順に従って清浄した。
【0145】
(パートC)
直線偏光紫外線光への90秒の暴露を、少なくとも部分的に、光配向性高分子網目を配列するために使用したことを除いて、実施例1のパートCの手順に従って、レンズの表面上およびガラス鋳型の表面上に、光配向性高分子網目を含む少なくとも部分的に配列したコーティングを含む配向設備を形成した。
【0146】
(パートD)
段階3で記載したように配向設備を形成させた後に、鋳型を、配向設備に面するように、平面表面上に配置した。鋳型表面を覆うのに十分な量のオーバーモールディング溶液を、鋳型の中心に注いだ。Teflon(登録商標)環状スリーブを、スペーサーとしての利用のために、鋳型の端に配置した。レンズ上の配向設備が、オーバーモールディング溶液に接触するように、レンズを鋳型に隣接して配置し、その結果、レンズの上の配向設備はオーバーモールディング溶液に接触し、オーバーモールディング溶液を、レンズと鋳型との間の領域を満たすように広げた。クランプを付与して、アセンブリを形成させ、液晶材料を少なくとも部分的に配向設備と配列させるように、45℃のオーブン中に30分間置いた。その後、アセンブリを、実施例1のパートCにて記載した紫外線コンベヤー硬化ラインに配置した。硬化の後、コートレンズを鋳型から取り出した。実施例1のパートBにおいて上で記載した交差偏光フィルムを用いたコートレンズの実験によって、よい配列が実証された。
【0147】
オーバーモールディングコーティングの厚さを以下のように決定した。断面を、レンズの中心と外端間の中間領域にて、レンズより得た。断面を、1.550屈折率の液体でコーティングし、顕微鏡スライド上に置き、カバースリップで覆った。ついでコーティング厚の測定を、Leitz偏光顕微鏡およびSpotデジタルカメラを用いて行った。これらの測定に基づいて、コーティングは、61+/−5ミクロン〜65+/−5ミクロンの範囲の厚さを有することが決定された。
【0148】
本記載および実施例が、本発明の明確な理解に関して、本発明の局面を例示していることが理解されるべきである。当業者に明らかであり、従って本発明のよりよい理解を容易にはしない特定の局面は、本記載を単純化するために、提示されてはいない。本発明は、特定の実施様態に関連して記載されてはいるけれども、本発明は、開示された特定の実施様態または実施例に限定はされず、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の精神および目的の範囲内の改変を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態は、図面と組み合わせて読まれる場合、よりよく理解される。
【図1】図1は、本明細書中に開示される1つの非限定的な実施形態に従うオーバーモールディングアセンブリの模式的な断面図である。
【図2】図2は、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態に従う光学エレメントの模式的な断面図である。
【図3】図3は、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態に従う光学エレメントの模式的な断面図である。
【図4】図4は、本明細書中に開示される1つの非限定的な実施形態に従う配列装置の模式的な上部平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用基材の少なくとも一部分の上に光学色素のための配列装置を作製する方法であって、該方法は、以下:
該眼科用基材の少なくとも一部分の上に、第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程;および
該第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程
を包含し、
該第1の少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも第1の全体的な方向を有する、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、
該少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも該第1の全体的な方向に対してほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、以下:
前記眼科用基材の少なくとも一部分の上に、液晶材料を付与する工程;
該液晶材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させて、その結果、該液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分は、少なくとも第1の全体的な方向を有する工程;および
該液晶材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に硬化させる工程
を包含する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記液晶材料を付与する工程は、以下:
スピンコーティング、スプレーコーティング、スプレーコーティングおよびスピンコーティング、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、キャスティング、ロールコーティング、ワイヤコーティングならびにオーバーレイ
のうちの少なくとも1つを包含する、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、以下:
磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射、直線偏光可視光線照射および剪断力
のうち少なくとも1つに、該部分を暴露する工程を包含する、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程は、以下:
紫外線照射、可視光線照射および熱エネルギーのうち少なくとも1つに、該部分を暴露することによって、該部分を少なくとも部分的に硬化させる工程を包含する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、以下:
前記第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に、液晶材料を付与する工程;
該液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させて、その結果、該少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分は、該第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ平行な、少なくとも第2の全体的な方向を有する工程;および
該第2の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に硬化させる工程
を包含する、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料は、前記第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料と同じであるか、または異なっている、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、前記液晶材料を付与する工程は、以下:
スピンコーティング、スプレーコーティング、スプレーコーティングおよびスピンコーティング、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、キャスティング、ロールコーティング、ワイヤコーティングならびにオーバーレイ
のうち少なくとも1つを包含する、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、該部分と、前記第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料の少なくとも一部分とを、少なくとも部分的に配列させる工程を包含する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、該部分を少なくとも部分的に配列させながら、以下:
磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射および直線偏光可視光線照射
のうち少なくとも1つに、該部分を暴露する工程をさらに包含する、方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法であって、前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程は、以下:
紫外線照射、可視光線照射および熱エネルギー
のうち少なくとも1つに、該部分を暴露することによって、該部分を少なくとも部分的に硬化させる工程を包含する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと、前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計が、20ミクロンを超える、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、該方法は、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングを含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、少なくとも2つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを連続して形成する工程を包含する、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程の前に、少なくとも1つの少なくとも部分的な下塗りコーティングを、前記眼科用基材の少なくとも一部分の上に形成する工程をさらに包含する、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であて、前記第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程の前に、前記眼科用基材の少なくとも一部分の上に配向装置を付与する工程をさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記配向装置を付与する工程は、以下:
少なくとも部分的に配列した配列媒体の少なくとも部分的なコーティングを、前記眼科用基材の少なくとも一部分の上に形成する工程;
該眼科用基材の少なくとも一部分の上に、少なくとも部分的に配列したポリマーシートを付与する工程;
該眼科用基材の少なくとも一表面の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に処理する工程;および
ラングミュアーブロジェット膜を、該眼科用基材の少なくとも一部分の上に形成する工程
のうちの少なくとも1つを包含する、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、前記配向装置は、配列媒体を含む少なくとも部分的に配列したコーティングを含み、該配列媒体は、光配向性材料およびゴム配向性材料から選択される、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記配列媒体は、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルラ酸誘導体およびポリイミドから選択される光配向性材料である、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、前記配列媒体の少なくとも一部分は、剪断力、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射および直線偏光可視光線照射のうちの少なくとも1つによって、少なくとも部分的に配列される、方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法であって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料は、前記配向装置の少なくとも一部分と配列することによって、少なくとも部分的に配列され、そして、少なくとも1つのさらなる部分的なコーティングの前記少なくとも部分的に配列した液晶材料は、該第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料の少なくとも一部分と配列することによって、少なくとも部分的に配列される、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法に従って作製される、配列装置。
【請求項23】
光学基材の少なくとも一部分の上に光学色素のための配列装置を作製する方法であって、該方法は、以下:
該光学基材の少なくとも一部分の上に、第1の少なくとも部分的なコーティングを形成する工程;および
該第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分の上に、少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを形成する工程
を包含し、
該第1の少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも第1の全体的な方向を有する、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、
該少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、該第1の少なくとも部分的なコーティングの液晶材料の少なくとも該第1の全体的な方向に対してほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する、少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、
該第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと、該少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計が、20ミクロンを超える、方法。
【請求項24】
請求項23の方法に従って作製される、配列装置。
【請求項25】
光学基材の少なくとも一部分の上に光学色素のための配列装置を作製する方法であって、該方法は、以下:
該光学基材の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的なコーティングを形成する工程
を含み、
該少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、該少なくとも部分的なコーティングは、6ミクロンを超える厚みを有する、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記光学基材の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、以下:
該光学基材の少なくとも一部分の上に液晶材料を付与し、その結果、該液晶材料が、6ミクロンを超える厚みを有する工程;
該液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させ、その結果、該液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分が、少なくとも第1の全体的な方向を有する工程;および
該液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程
を包含する、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させる工程は、磁場および電場のうちの少なくとも1つに、該部分を暴露する工程を包含する、方法。
【請求項28】
請求項25に記載の方法であって、前記光学基材の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、以下:
該光学基材の表面の少なくとも一部分を、透明な鋳型の表面に隣接して配置し、その結果、該光学基材の表面の該部分と、該透明な鋳型の表面とが、鋳型領域を規定する工程;
液晶材料を該鋳型領域に導入し、その結果、該液晶材料の少なくとも一部分が、該光学基材の表面の少なくとも一部分を少なくとも部分的にコーティングする工程;
該液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に配列させ、その結果、該液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分が、少なくとも第1の全体的な方向を有する工程;
該液晶材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的にポリマー化させる工程;ならびに
該光学基材および該液晶材料を、該透明の鋳型から分離する工程
を包含する、方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法であって、前記光学基材の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的なコーティングを形成する工程は、以下:
透明の鋳型の表面の少なくとも一部分の上に、液晶材料を導入する工程;
該液晶材料の少なくとも一部分と光学基材の表面の少なくとも一部分とを接触させて、その結果、該液晶材料の少なくとも一部分は、該光学基材の表面の一部分と該透明の鋳型の表面の一部分との間を通って流れ、そして、該光学基材の表面の少なくとも一部分を、少なくとも部分的にコーティングする工程;
該液晶材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させ、その結果、該液晶材料の少なくとも部分的に配列した部分は、少なくとも第1の全体的な方向を有する工程;
該液晶材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的にポリマー化する工程;ならびに
該光学基材および該液晶材料を、該透明の鋳型から分離する工程
を包含する、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記透明の鋳型の表面の少なくとも一部分および前記光学基材の表面の少なくとも一部分のうち少なくとも1つは、少なくとも第1の全体的な方向を有する配向装置を含む、方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法であって、前記光学基材は、多焦点分割眼科用レンズである、方法。
【請求項32】
請求項25の方法に従って作製される、配列装置。
【請求項33】
光学基材の少なくとも一部分の上に、相分離したポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングを含む光学色素のための配列装置を作製する方法であって、該方法は、以下:
該光学基材の少なくとも一部分の上に相分離ポリマー系を付与し、ここで、該相分離ポリマー系は、液晶材料を含むマトリックス相形成材料および液晶材料を含むゲスト相形成材料を含む、工程;
該マトリックス相形成材料の少なくとも一部分および該ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させ、その結果、該マトリックス相形成材料の少なくとも部分的に配列した部分は、第1の全体的な方向を有し、そして、該ゲスト相形成材料の少なくとも部分的に配列した一部分は、該第1の全体的な方向とほぼ平行な第2の全体的な方向を有する、工程;ならびに
ポリマー化誘導性相分離および溶解誘導性相分離のうち少なくとも1つによって、該ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、該マトリックス相形成材料の少なくとも一部分から分離させる工程
を包含する、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、前記相分離するポリマー系を付与する工程は、前記光学基材の少なくとも一部分の上に、前記マトリックス相形成材料、前記ゲスト相形成材料および少なくとも1つの共通の溶媒を含む溶液を付与する工程を包含する、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、ここで:
前記マトリックス相形成材料は、液晶ポリマーであり、そして、前記ゲスト相形成材料は、該マトリックス相形成材料の液晶ポリマーとは異なる液晶ポリマーであり;そして
該ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、該マトリックス形成材料の少なくとも一部分から分離させる工程は、前記少なくとも1つの共通の溶媒の少なくとも一部分をエバポレートする工程を包含する、方法。
【請求項36】
請求項33に記載の方法であって、ここで:
前記マトリックス相形成材料は、液晶モノマーであり、そして、前記ゲスト相形成材料は、液晶メソゲンおよび該マトリックス相形成材料の液晶モノマーとは異なる低粘度液晶モノマーから選択され;そして
該ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、該マトリックス相形成材料の少なくとも一部分から分離させる工程は、該マトリックス相形成材料の液晶モノマーの少なくとも一部分をポリマー化させる工程を包含する、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記マトリックス相形成材料の液晶モノマーの少なくとも一部分をポリマー化させる工程は、光誘導性ポリマー化および熱誘導性ポリマー化のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法であって、前記ゲスト相形成材料は、低粘度液晶モノマーであり、そして、該ゲスト相形成材料の少なくとも一部分は、前記マトリックス相形成材料の液晶モノマーの少なくとも一部分をポリマー化した後に、少なくとも部分的にポリマー化される、方法。
【請求項39】
請求項33に記載の方法であって、前記マトリックス相形成材料は、液晶モノマー、液晶プレポリマーおよび液晶ポリマーから選択される液晶材料を含む、方法。
【請求項40】
請求項33に記載の方法であって、前記ゲスト相形成材料は、液晶メソゲン、液晶モノマー、液晶プレポリマーおよび液晶ポリマーから選択される液晶材料を含む、方法。
【請求項41】
請求項33に記載の方法であって、前記マトリックス相形成材料の少なくとも一部分および前記ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させる工程は、以下:
磁場、電場、直線偏光赤外線照射、直線偏光紫外線照射、直線偏光可視光線照射および剪断力
のうちの少なくとも1つに、該部分を暴露する工程を包含する、方法。
【請求項42】
請求項33に記載の方法であって、該方法は、前記相分離ポリマー系を前記光学基材の少なくとも一部分の上に付与する前に、該光学基材の少なくとも一部分の上に配向装置を付与する工程をさらに包含する、方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、前記マトリックス相形成材料の少なくとも一部分および前記ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させる工程は、該部分と前記配向装置の少なくとも一部分とを、少なくとも部分的に配列させる工程を包含する、方法。
【請求項44】
請求項42に記載の方法であって、前記少なくとも部分的に配列した相分離したポリマーを含む少なくとも部分的なコーティングは、15ミクロン〜20ミクロンの範囲の厚みを有し、そして、前記マトリックス相形成材料の少なくとも一部分および前記ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させる工程は、30分未満の間、待つ工程を包含する、方法。
【請求項45】
シートを形成する工程を包含する、光学色素のための配列装置を作製する方法であって、該シートは、以下:
第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマー:および
少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配され、前記第1の全体的な方向とほぼ平行な第2の全体的な方向を有する、少なくとも部分的に配列した液晶材料
を含む、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記シートを形成する工程は、以下:
基材の少なくとも一部分の上に相分離ポリマー系を付与する工程であって、ここで、該相分離ポリマー系は、液晶材料を含むマトリックス相形成材および液晶材料を含むゲスト相形成材料を含む、工程;
該マトリックス形成材料の少なくとも一部分および該ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させて、その結果、該マトリックス相形成材料の少なくとも部分的に配列した部分は、少なくとも第1の全体的な方向を有し、そして、該ゲスト相形成材料の少なくとも部分的に配列した部分は、該少なくとも第1の全体的な方向とほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する、工程;
ポリマー化誘導性相分離および溶媒誘導性相分離のうちの少なくとも1つによって、該マトリックス相形成材料の少なくとも一部分から、該ゲスト相形成材料の少なくとも一部分を、分離させる工程;ならびに
該基材からコーティングを除去して、前記シートを形成する工程
を包含する、方法。
【請求項47】
請求項45に記載の方法であって、前記シートを形成する工程は、以下:
少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーのシートを形成する工程;および
少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内で、少なくとも1つの液晶メソゲンを膨潤させ、その結果、該少なくとも1つの液晶メソゲンの少なくとも一部分は、該少なくとも第1の全体的な方向とほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する、工程
を包含する、方法。
【請求項48】
請求項45に記載の方法であって、前記シートを形成する工程は、以下:
液晶ポリマーのシートを形成する工程;
該液晶ポリマーシートの少なくとも一部分内で、少なくとも1つの液晶メソゲンを膨潤させる工程;および
該液晶ポリマーの少なくとも一部分および該少なくとも1つの液晶メソゲンの少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配列させて、その結果、該液晶ポリマーの少なくとも部分的に配列した部分は、少なくとも第1の全体的な方向を有し、該少なくとも1つの液晶メソゲンの少なくとも部分的に配列した部分は、少なくとも該第1の全体的な方向にほぼ平行な、少なくとも第2の全体的な方向を有する、方法。
【請求項49】
請求項45に記載の方法であって、前記配列装置は、光学基材のシートの少なくとも一部分は、積層、融合、鋳型内キャスティングおよび接着結合のうちの少なくとも1つによって、該光学基材の少なくとも一部分に結合される、方法。
【請求項50】
相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングを含む配列装置を作製する方法であって、該方法は、以下:
光学基材の少なくとも一部分の上に、配向装置を付与する工程;
ポリマー化可能組成物および液晶材料を、該配向装置の少なくとも一部分の上に付与する工程;
該液晶材料の少なくとも一部分と、該配向装置の少なくとも一部分とを、少なくとも部分的に配列させる工程;
該液晶材料の少なくとも一部分および該ポリマー化可能組成物の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に硬化させる工程
を包含する、方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程は、前記ポリマー化可能組成物の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程の前に起こる、方法。
【請求項52】
請求項50に記載の方法であって、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程は、前記ポリマー化可能組成物の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程の後に起こる、方法。
【請求項53】
請求項50に記載の方法であって、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程は、前記ポリマー化可能組成物の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程と本質的に同時に起こる、方法。
【請求項54】
請求項50に記載の工程であって、前記ポリマー化可能組成物は、ジヒドロキシモノマーおよびイソシアネートモノマーであり、そして、前記液晶材料は、液晶モノマーである、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法であって、前記ポリマー化可能組成物の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程は、該部分を熱エネルギーに暴露する工程を包含し、前記液晶材料の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化される工程は、該部分を紫外線照射に暴露する工程を包含する、方法。
【請求項56】
眼科用基材;および
該眼科用基材の少なくとも一部分に結合した、光学色素のための配列装置
を含み、ここで、該配列装置は、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングを含む、
眼科用エレメント。
【請求項57】
請求項56に記載の眼科用エレメントであって、前記眼科用基材は、矯正レンズ、非矯正レンズ、部分的に形成されたレンズおよびレンズブランクから選択される、眼科用エレメント。
【請求項58】
請求項56に記載の眼科用エレメントであって、前記眼科用基材は、非着色眼科用基材、着色眼科用基材、直線偏光眼科用基材、フォトクロミック眼科用基材または着色フォトクロミック眼科用基材から選択される、眼科用エレメント。
【請求項59】
請求項56に記載の眼科用エレメントであった、前記眼科用基材は、有機眼科用基材である、眼科用エレメント。
【請求項60】
請求項56に記載の眼科用エレメントであって、前記少なくとも部分的に配列した液晶材料は複数の領域を有し、複数の領域のそれぞれは、残りの領域と同じかまたは異なる全体的な方向を有し、一緒になってデザインまたはパターンを形成する、エレメント。
【請求項61】
請求項56に記載の眼科用エレメントであって、前記配列装置は、
前記眼科用基材の少なくとも一部分に結合した第1の少なくとも部分的なコーティングと、
該第1の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分に結合した少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングを含み、
該第1の少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含み、
該少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは、少なくとも該第1の全体的な方向とほぼ平行な少なくとも第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、眼科用エレメント。
【請求項62】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングは0.5ミクロン〜20ミクロンの範囲の厚みを有する、眼科用エレメント。
【請求項63】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングは0.5ミクロン〜10ミクロンの範囲の厚みを有する、眼科用エレメント。
【請求項64】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングは2ミクロン〜8ミクロンの範囲の厚みを有する、眼科用エレメント。
【請求項65】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは1ミクロン〜25ミクロンの範囲の厚みを有する、眼科用エレメント。
【請求項66】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは5ミクロン〜20ミクロンの範囲の厚みを有する、眼科用エレメント。
【請求項67】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは6ミクロンを超える厚みを有する、眼科用エレメント。
【請求項68】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングは少なくとも10ミクロンを超える厚みを有する、眼科用エレメント。
【請求項69】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計は10ミクロン〜50ミクロンの範囲にある、眼科用エレメント。
【請求項70】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計は20ミクロン〜40ミクロンの範囲にある、眼科用エレメント。
【請求項71】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングは2ミクロン〜8ミクロンの範囲の厚みを有し、前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みは5ミクロン〜20ミクロンの範囲にある、眼科用エレメント。
【請求項72】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計は20ミクロンを超える、眼科用エレメント。
【請求項73】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記第1の少なくとも部分的なコーティングの厚みと前記少なくとも1つのさらなる少なくとも部分的なコーティングの厚みとの合計は少なくとも22ミクロンである、眼科用エレメント。
【請求項74】
請求項61に記載の眼科用エレメントであって、前記配列装置が、複数のさらなる少なくとも部分的なコーティングを含む、眼科用エレメント。
【請求項75】
請求項56に記載の眼科用エレメントであって、前記配列装置の少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分と前記眼科用基材との間に入る配向装置をさらに含み、該配向装置は、少なくとも部分的に配列した配列媒体を含む少なくとも部分的なコーティングを含み、該少なくとも部分的に配列した配列媒体は、光配向性材料およびゴム配向性材料から選択される、眼科用エレメント。
【請求項76】
請求項75に記載の眼科用エレメントであって、前記配向装置は複数の領域を有し、該複数の領域のそれぞれは、残りの領域と同じかまたは異なる全体的な方向を有し、一緒にデザインまたはパターンを形成する、眼科用エレメント。
【請求項77】
請求項56に記載の眼科用エレメントであって、前記光学色素は、前記配列装置の少なくとも一部分と接触する、眼科用エレメント。
【請求項78】
請求項56に記載の眼科用エレメントであって、前記配列装置の少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングは、以下:配列助触媒、運動性増強添加剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、重合インヒビター、溶媒、光安定剤、熱安定剤、離型剤、レオロジー調整剤、均展剤、フリーラジカルスカベンジャーおよび接着助触媒から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、眼科用エレメント。
【請求項79】
請求項56に記載の眼科用エレメントであって、該眼科用エレメントは、前記配列装置の少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分と前記眼科用基材との間に少なくとも1つの下塗りコーティングをさらに含む、眼科用エレメント。
【請求項80】
光学基材;および
該光学基材の少なくとも一部分に結合した光学色素のための配列装置
を含み、
該配列装置は、6ミクロンを超える厚みを有する少なくとも部分的なコーティングを含み、光学エレメントの少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、光学エレメント。
【請求項81】
請求項80に記載の光学エレメントであって、該光学エレメントは、眼科用エレメント、ディスプレイエレメント、ウィンドウ、鏡ならびに能動的および受動的な液晶セルエレメントから選択される、光学エレメント。
【請求項82】
請求項80に記載の光学エレメントであって、前記光学基材が、非着色眼科用基材、着色眼科用基材、直線偏光眼科用基材、フォトクロミック眼科用基材または着色フォトクロミック眼科用基材から選択される、光学エレメント。
【請求項83】
請求項80に記載の光学エレメントであって、前記配列装置の少なくとも部分的なコーティングが少なくとも10ミクロンの厚みを有する、光学エレメント。
【請求項84】
請求項80に記載の光学エレメントであって、前記配列装置の少なくとも部分的なコーティングが50ミクロン〜1000ミクロンの範囲の厚みを有する、光学エレメント。
【請求項85】
請求項80に記載の光学エレメントであって、前記少なくとも部分的なコーティングの少なくとも部分的に配列した液晶材料は複数の領域を含み、該複数の領域のそれぞれは、残りの領域と同じかまたは異なる全体的な方向を有し、一緒にデザインまたはパターンを形成する、光学エレメント。
【請求項86】
請求項80に記載の光学エレメントであって、前記光学色素は、前記少なくとも部分的に配列した液晶材料の少なくとも一部分と接触する、光学エレメント。
【請求項87】
請求項80に記載の光学エレメントであって、前記光学基材と前記配列装置の少なくとも部分的なコーティングとの間に入る配向装置をさらに含む、光学エレメント。
【請求項88】
少なくとも部分的なコーティングを含む、光学色素のための配列装置であって、該配列装置は、以下:
少なくとも第1の全体的な方向に少なくとも部分的に配列する液晶材料を含むマトリックス相;および
該マトリックス相内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する液晶材料を含むゲスト相
を含み、該少なくとも第2の全体的な方向は、該少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ平行である、配列装置。
【請求項89】
光学基材;および
該光学基材の少なくとも一部分に結合した少なくとも部分的なコーティングを含む配列装置
を含み、
該少なくとも部分的なコーティングは少なくとも第1の全体的な方向に少なくとも部分的に配列する液晶材料を含むマトリックス相および該マトリックス相内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する液晶材料を含むゲスト相を含み、該少なくとも第2の全体的な方向は少なくとも該第1の全体的な方向に対してほぼ平行である、光学エレメント。
【請求項90】
請求項89に記載の光学エレメントであって、該光学エレメントは、眼科用エレメント、ディスプレイエレメント、ウィンドウ、鏡ならびに能動的および受動的な液晶セルエレメントから選択される、光学エレメント。
【請求項91】
請求項89に記載の光学エレメントであって、前記光学基材は、非着色光学基材、着色光学基材、直線偏光光学基材、フォトクロミック光学基材または着色フォトクロミック光学基材から選択される、光学エレメント。
【請求項92】
請求項89に記載の光学エレメントであって、前記少なくとも部分的なコーティングは1ミクロン〜100ミクロンの範囲の厚みを有する、光学エレメント。
【請求項93】
請求項89に記載の光学エレメントであって、前記少なくとも部分的なコーティングは10ミクロン〜50ミクロンの範囲の厚みを有する、光学エレメント。
【請求項94】
請求項89に記載の光学エレメントであって、前記少なくとも部分的なコーティングは20ミクロン〜40ミクロンの範囲の厚みを有する、光学エレメント。
【請求項95】
請求項89に記載の光学エレメントであって、配向装置が、前記配列装置の少なくとも1つの少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部分と前記光学基材の少なくとも一部分との間に入る、光学エレメント。
【請求項96】
請求項95に記載の光学エレメントであって、前記配向装置は複数の領域を有し、該複数の領域のそれぞれは、残りの領域と同じかまたは異なる全体的な方向を有し、一緒にデザインまたはパターンを形成する、光学エレメント。
【請求項97】
請求項89に記載の光学エレメントであって、光学色素が、前記配列装置の少なくとも一部分と接触する、光学エレメント。
【請求項98】
シートを含む光学色素のための配列装置であって、該シートは、
少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマー、および
該少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料
を含み、
該少なくとも第2の全体的な方向は、該少なくとも第1の全体的な方向に対してほぼ平行である、配列装置。
【請求項99】
光学基材;および
該光学基材の少なくとも一部分に結合した光学色素のための配列装置
を含む光学エレメントであって、該配列装置はシートを含み、該シートは、
少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶ポリマー、および
少なくとも部分的に配列した液晶ポリマーの少なくとも一部分内に分配した少なくとも第2の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料
を含み、少なくとも該第2の全体的な方向は、少なくとも該第1の全体的な方向に対してほぼ平行である、光学エレメント。
【請求項100】
請求項99に記載の光学エレメントであって、該光学エレメントは、眼科用エレメント、ディスプレイエレメント、ウィンドウ、鏡ならびに能動的および受動的な液晶セルエレメントから選択される、光学エレメント。
【請求項101】
請求項99に記載の光学エレメントであって、光学色素が前記配列装置の少なくとも一部分と接触する、光学エレメント。
【請求項102】
ポリマーを含む相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングおよび少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、光学色素のための配列装置。
【請求項103】
光学基材;および
該光学基材の少なくとも一部分に結合した光学色素のための配列装置を含む光学エレメントであって、該配列装置は、ポリマーを含む相互貫入高分子網目を含む少なくとも部分的なコーティングおよび少なくとも第1の全体的な方向を有する少なくとも部分的に配列した液晶材料を含む、光学エレメント。
【請求項104】
請求項103に記載の光学エレメントであって、該光学エレメントは、眼科用エレメント、ディスプレイエレメント、ウィンドウ、鏡ならびに能動的および受動的な液晶セルエレメントから選択される、光学エレメント。
【請求項105】
請求項103に記載の光学エレメントであって、前記光学基材は、非着色光学基材、着色光学基材、直線偏光光学基材、フォトクロミック光学基材または着色フォトクロミック光学基材から選択される、光学エレメント。
【請求項106】
請求項103に記載の光学エレメントであって、光学色素が前記配列装置の少なくとも一部分と接触する、光学エレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−519013(P2007−519013A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517144(P2006−517144)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/016504
【国際公開番号】WO2005/006034
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(504175051)トランジションズ オプティカル, インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】