説明

光学表面の表面仕上げツール

本発明のツールは、
−横方向端面(113)を備えた剛性支持体(104)と、
−横方向端面に押し付けられると共にこれを覆う弾性的に圧縮可能なインターフェイスと、
−光学表面に押し付けられるようになっていて、それ自体端面(113)の反対側でこの端面と整列してインターフェイスに押し付けられると共にこれを覆う可撓性パッドと、
−支持体(104)を端面(113)を横方向に越えて位置する可撓性パッドの周辺部分に連結するばね戻し手段(115)と、
−ベース(130)の一部である可撓性フランジ(131)とを有し、可撓性フランジ(131)は、可撓性フランジ(131)によって包囲されている剛性支持体(104)も又、ベース(130)の一部をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学表面の表面仕上げに関する。
【背景技術】
【0002】
「表面仕上げ」という用語は、あらかじめ形成された光学表面の表面状態を改変することを目的とする任意の作業を意味する。これは、具体的には、光学表面の粗さを改変する(減少させ又は増大させる)と共に(或いは)その凹凸を減少させることを目的とする研磨、研削又は艶消し作業を意味している。
【0003】
光学表面を表面仕上げするツールであって、横方向端面を備えた剛性支持体と、横方向端面に押し付けられると共にこれを覆う弾性的に圧縮可能なインターフェイスと、光学表面に押し付けられるようになっていて、端面の反対側でこの端面と整列してインターフェイスに押し付けられると共にこれを覆う可撓性パッドとを有するツールが、既に知られている。
【0004】
光学表面の粗さを減少させるため、ツールを光学表面に接触させ、パッドがインターフェイスの変形により光学表面の形状を保つために光学表面に対するツールの十分な圧力を維持する。
【0005】
光学表面に流体を吹き付けながら、光学表面をツールに対して回転駆動し(又はこれとは逆の関係にしても良い)、光学表面をツールによってスイープする。
【0006】
回転駆動されるのは一般に、光学表面であり、光学表面がツールをこするだけで、ツールを協働して回転駆動するのに十分である。
【0007】
表面仕上げ作業では、パッド又は流体に含有させることができる研磨剤が必要である。
【0008】
表面仕上げ中、弾性的に圧縮可能なインターフェイスは、ツールの支持体の端面と光学表面との間の曲率の差を補償し、同一のツールが、種々の曲率及び形状を備えた光学表面の範囲に適するようになる。
【0009】
仏国特許出願第2,834,662号明細書は、曲率(凸度、凹度)及び形状(球面、トーリック、非球面、累進焦点又はこれらの任意の組合せ若しくはより一般的に「フリーフォーム(freeform)」の観点で十分に広範な光学表面に適合しているが、表面仕上げ中、良好な安定性を有し且つ良好な品質の確実且つ迅速な表面仕上げを可能にするこの種の表面仕上げツールを提案しており、この仏国特許出願は、米国特許出願公開第2005/0101235号明細書に一致している。
【0010】
上述の特許文献により提案されているツールの一実施形態について添付の図面の図1〜図3を参照して以下に説明する。
【0011】
図1は、このツール及び表面仕上げされるべき光学表面を備えたオフサルミックレンズの分解組立て斜視図である。
【0012】
図2は、図1のレンズの光学表面の表面仕上げ中、組み立てられた状態で示されたこのツールの断面図である。
【0013】
図3は、このツールによる表面仕上げ中のこのオフサルミックレンズを示す概略平面図であり、このツールが、光学表面を2つの位置でスイープしている状態で示されており、かかる2つの位置のうちの一方は、破線で示されている。
【0014】
光学表面2、この場合オフサルミックレンズ3のフェースのうちの1つを表面仕上げするツール1が示されている。図1では、図2の場合と同様、問題の光学表面2は、凹面として示されているが、凸面であっても等しく良好である。
【0015】
ツール1は、少なくとも3つの部品、即ち、剛性部品4、弾性的に圧縮可能な部品5及び可撓性部品6のスタックで形成され、これら部品4,5,6を以下、それぞれ、支持体、インターフェイス及びパッドと呼ぶ。
【0016】
特に図1で明らかなように、支持体4は、互いに重ね合わされてペグ9により互いに嵌め合わされるようになった2つのジョー、即ち、下側ジョー7と上側ジョー8を有し、ペグ9は、上側ジョー8の一方のフェース10から突き出ていて、下側ジョー7のフェース12にペグに向いて形成された相補形の穴11内に収容されるようになっている。
【0017】
図1で理解できるように、支持体4は、全体として円対称の筒体であり、長手方向を定める対称軸線xを有している。
【0018】
ツール1の対称軸線xと光学表面2との交点のところでの光学表面2の法線は、符号nで示されている。
【0019】
下側ジョー7は、穴11が形成されているそのフェース12と反対側の側部に、実質的に横方向に延びる端面13を有し、インターフェイス5が、この端面に押し付けられてこれを覆っている。
【0020】
パッド6は、支持体4に関してインターフェイス5の他方の側でインターフェイス5に押し付けられている。
【0021】
詳細に説明すると、パッド6は、端面13と反対側でこれと整列してインターフェイス5の少なくとも一部を覆っている。
【0022】
パッド6を光学表面2にこすり付けることにより、吹き付け流体中に含まれ又はパッド6それ自体に混ぜ込まれた研磨剤によって、光学表面2上の表面的な材料の除去が保証される。その目的は、以下において明らかになるように、表面状態を改変することにある。
【0023】
パッドは、端面13と整列状態にある中央部分6a及び端面13を越えて横方向に配置された周辺部分14を有する。
【0024】
この周辺部分14は、ばね戻し手段15によって支持体4に連結されている。
【0025】
周辺部分14は、中央部分6aと整列状態にあり、休止時には、実質的にこの中央部分と同一平面上に位置する。
【0026】
図1及び図2に示す例では、パッド6は、周辺部分14が中央部分6aに連結されていて一体になっており、したがって、周辺部分と中央部分は、事実、単一の部品を形成するようになっている。
【0027】
図1に実線で示された実施形態では、パッド6は、花の形をしており、かくして、複数個の花弁状部14bを有し、これら花弁状部は、中央部分6aから横方向に突き出ていて、パッド6の周辺部分14を形成すると共に各々端面13を越えて横方向に延びている。
【0028】
図1に一点鎖線で示された変形例では、周辺部分14は、中央部分6aを包囲したリング14aの形をしている。
【0029】
この場合、荷重が加わらなければ、パッド6は、一体品の状態である場合、材料の円板の形をしており、この円板の厚さは、図1に示されているようにその直径と比較して小さく、かくして、周辺部分14,14aは、端面13に対してフランジを形成している。
【0030】
以下に説明する戻し手段15を支持体4とパッド6の周辺部分14、即ち、実際には、フランジ14a又は花弁状部14bとの間に直接設けるのが良い。
【0031】
インターフェイス5は、端面13と整列して配置された中央部分5aだけでなく、端面13を横方向に越えた周辺部分16をも有している。
【0032】
この周辺部分16は、中央部分5aと整列状態にあり、荷重が加わらなければ、例えば中央部分5aを包囲したリングの形をしており、事実、パッド6の周辺部分14と戻し手段15との間に配置される。
【0033】
図1及び図2で理解できるように、インターフェイス5は、一体品であり、その中央部分5aと周辺部分16は、事実、互いに連結して一緒になって単一の部品を形成しており、周辺部分16は、端面13に対してフランジを形成している。
【0034】
かくして、荷重が加わらない場合、一体形インターフェイス5は、材料の円板の形をしており、この円板の厚さは、例えば、その横方向寸法(即ち、その直径)と比較して小さい。
【0035】
インターフェイス5とパッド6が両方共一体品である場合、インターフェイス5とパッド6は、同程度の横方向寸法を有する。具体的に言えば、インターフェイス5及びパッド6が各々、材料の円板の形態をしている場合、構成の便宜上、これらは、好ましくは、同一の直径を有する。しかしながら、加工表面に対するツールのエッジ効果を弱めるために、インターフェイスの直径とは異なる直径、特にこれよりも大きな直径のパッドを用いても良く、このことは均等範囲に属する。
【0036】
さらに、以下において明らかになる理由で、変形可能なリング17が、インターフェイス5の周辺部分16と戻し手段15との間に位置した状態で設けられている。
【0037】
実際には、このリング17は、パッド6に対して周辺部分16の他方の側で、即ち、支持体4と同一の側で周辺部分16に固定されており、したがって、支持体4は、リング17によって包囲されるようになる。
【0038】
このリング17は、好ましくは、円形の縦断面を有するが、より複雑な形状、特に長円形、多角形、矩形又は正方形の断面を有しても良く、これは均等範囲に属する。さらに、リング17は、支持体4と同心状に周辺部分16に設けられている。
【0039】
次に、戻し手段15につき説明する。
【0040】
戻し手段は、支持体4から横方向に突き出た少なくとも1つの弾性的に撓むことができる葉状部18を有し、この葉状部は、一方において、第1の端部18aによって支持体4にしっかりと連結され、他方において、第1の端部18aと反対側の自由端部と呼ばれる第2の端部18bによりパッド6の周辺部分14にしっかりと連結されている。
【0041】
その結果、この葉状部18と整列して周辺部分14に長手方向に加わる力の効果として、葉状部18が変形し、この力と逆向きの反力が周辺部分14に加わる。
【0042】
実際、戻し手段15は、パッド6の周辺部分14の全体に作用するよう支持体4の周囲のところに一様に分布して設けられた複数個のかかる葉状部18を有する。
【0043】
戻し手段15は、事実、支持体4にしっかりと固定された星形部品19の形態をしている。
【0044】
星形部品19は、中間部分20を有し、複数個の枝部18がこの中央部分から突き出ており、各枝部は、横方向平面内に半径方向に延びる弾性的に撓むことができる葉状部を形成している。
【0045】
星形部品19を支持体4に固定するため、その中央部分20は、実際、支持体4のジョー7,8相互間にクランプされ、この中央部分は、その中央に設けられていて、上側ジョー8のペグ9が貫通した貫通穴21によって心出しされ、この組立体は、上側ジョー8及び星形部品19の中央部分20を貫通した状態で下側ジョー7に嵌り込む固定手段、例えばねじによって保持される。
【0046】
上述の実施形態の場合のように、一体パッド6が複数個の花弁状部14bを有している場合、星形部品19には、花弁状部14bと同数の枝部18が設けられ、星形部品19は、各枝部18が花弁状部14bと整列して延びるよう差し向けられている。かくして、パッド6が7つの花弁状部14bを有する場合、星形部品19は、各々が各花弁状部14bについて戻しばね力を提供するようになった7つの枝部18を有する。
【0047】
リング17は、インターフェイス5に固定され、かかる固定は、任意の手段によって行うことができる。ただし、特に簡単なので接着が好ましい。
【0048】
図示の実施形態では、インターフェイス5の直径、パッド6の直径及び星形部品19の直径は、支持体4の直径の値の少なくとも2倍の値を有する。
【0049】
さらに、オフサルミックレンズの表面仕上げが問題である場合、インターフェイス5の直径及びパッド6の直径は、レンズ3の直径に実質的に等しいように選択され、その結果、支持体4の直径は、レンズ3の直径よりも非常に小さい。
【0050】
ツール1の使用法が、図2及び図3に示されている。
【0051】
この場合、オフサルミックレンズの非球面凸状フェース2を表面仕上げし又は研削することが問題である。
【0052】
レンズ3を回転支持体(図示せず)に取り付け、それにより、レンズを固定軸線Y回りに回転駆動する。
【0053】
ツール1をパッド6がその形状を保つのに十分な力でこのフェース2に押し付ける。この場合、ツール1は、光学表面2に対して偏心状態で自由に回転することができる。それにもかかわらず、適当な手段によりツールを強制的に回転駆動する手段を設けても良い。
【0054】
光学表面2とパッド6を相対的にこすり合わせることは、ツール1を支持体4の対称軸線4と実質的に一致した軸線回りにレンズ3と同一方向に回転駆動するのに十分である。
【0055】
光学表面2にパッドがこの機能それ自体を実行するかどうかに応じて、非研磨性吹き付け流体又は研磨性吹き付け流体を吹き付ける。
【0056】
光学表面2の全体をスイープするため、表面仕上げ中、ツール1を半径方向軌道に沿って動かし、ツール1の回転軸線Xと光学表面2の交点は、2つの方向転換点、即ち、内側方向転換点Aと内側方向転換点Bとの間で行ったり来たりし、これら点A,Bは両方共、レンズ3の回転軸線Yから距離を置いたところに位置している。
【0057】
パッド6の中央部分6aは、インターフェイス5の中央部分5aの圧縮性により、光学表面2の形状を保つよう変形する。
【0058】
パッド6の周辺部分14に関し、この周辺部分は、可撓性葉状部18の変形により光学表面2の形状を保つよう変形する。
【0059】
支持体4の剛性が所与の場合、端面13と整列した大抵の部分について材料を除去し、即ち、この材料の除去は、本質的にパッド6の中央部分6aによって行われる。
【0060】
パッド6の周辺部分14及びインターフェイス5の周辺部分16に関し、これら周辺部分は、一方において、パッド及びインターフェイスが中央部分5a,6aに制限されている標準型ツールと比較してツール1のスパン又は着座度が増大しており、他方において、戻し手段15がパッド6の周辺部分14と光学表面2との間の永続的な接触を維持するので、本質的に安定化の役割を果たす。
【0061】
変形可能なリング17は、葉状部18によりインターフェイス5の周辺部、したがって、パッド6に及ぼされる荷重の分布状態を均等化する。
【0062】
この結果、光学表面2上のツール1の設置場所がどこであれ、又、その回転速度がどのようであれ、その回転軸線Xは、光学表面2の法線nと常時同一直線上に位置し又は実質的に同一直線上に位置し、したがって、ツール1の向きは、常時最適状態にある。
【0063】
図1及び図2に示す実施形態では、支持体4の端面13は、平らである。
【0064】
したがって、ツール1は、種々の曲率を持つ或る特定の範囲の光学表面2を表面仕上げするようになっている。
【0065】
ツール1の適合性を変更するため、可撓性葉状部18をひねることにより戻し手段15にあらかじめ荷重を掛けて、荷重を掛けなくても葉状部が既にいずれにせよ既に撓んだようにすることが可能である。
【0066】
荷重を掛けない場合、葉状部18が真っ直ぐであり又は端面13から撓んで離れている場合、ツール1は、凹状光学表面2向きであり、荷重が掛けられていない場合に葉状部18が端面13と同一の側で撓んでいる場合、ツール1は、凸状光学表面2向きである。
【0067】
図示していない第1の形態では、支持体4の端面13は、凸状であり、かくして、ツール1は、顕著な凹度を有する光学表面2向きである。
【0068】
図示していない第2の形態では、支持体4の端面13は、これとは対照的に凹状であり、かくして、ツール1は、顕著な凸度の光学表面2向きである。
【0069】
当然のことながら、端面13の凹状又は凸状具体化例と上述したような戻し手段15の予備荷重を組み合わせることが可能である。
【0070】
仏国特許出願第2,857,610号明細書は、ばね戻し手段が、星形部品、例えば図1及び図2に示す部品19の形態を取るのではなく、支承方式で直接又はインターフェイス、例えばインターフェイス5を介在させて(リング17のような変形可能なリングは設けられない)パッド6のようなパッドの周辺部分と協働する連続周辺部分を有することを提案しており、戻しばね部分は、連続周辺部分に加えて、内側が支持体4のような支持体にしっかりと固定された平らな又は湾曲したフランジを含み、このフランジが、有孔又は中実壁によって形成されている。なお、この仏国特許出願は、国際公開第2005/007340号パンフレットに相当している。
【0071】
これらばね戻し手段の周辺部分が連続していることにより、ツールにより行われる表面仕上げの規則性が増大する。
【0072】
本発明は、同一種類の表面仕上げツールであるが、表面仕上げの規則性を単純さ、便利さ及び経済性に関するその品質と共に一段と向上させる表面仕上げツールを提供することを目的とする。
【0073】
【特許文献1】仏国特許出願第2,834,662号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0101235号明細書
【特許文献3】仏国特許出願第2,857,610号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/007340号パンフレット
【発明の開示】
【0074】
この目的のため、本発明は、光学表面を表面仕上げするツールであって、
−横方向端面を備えた剛性支持体を有し、
−端面に押し付けられると共にこれを覆う弾性的に圧縮可能なインターフェイスを有し、
−光学表面に押し付けられるようになっていて、端面の反対側でこの端面と整列してインターフェイスの少なくとも一部に押し付けられると共にこれを覆う可撓性パッドを有し、パッドが、端面と整列して配置された中央部分と呼ばれる部分及び端面を横方向に越えて配置された周辺部分と呼ばれる部分を有し、
−周辺部分を支持体に連結するばね戻し手段を有し、周辺部分とばね戻し手段の組合せが、ツールを表面仕上げ中安定化させる手段を形成し、ツールが、本質的に中央部分の付近で表面仕上げを行うようになっている、ツールにおいて、
剛性支持体は、支持体を包囲した可撓性フランジを含むベースの一部であり、弾性的に圧縮可能なインターフェイスは、端面と同一の側に位置したフランジの端面に押し付けられると共にこれを覆っていることを特徴とするツールを提案する。
【0075】
フランジにより、インターフェイスとツールの残部との間の接触領域が特に広くなり、それにより、加工されるべき表面に加えられる圧力の一様な分布が保証される。
【0076】
したがって、本発明のツールは、高品質の見栄えを提供する表面仕上げを行うことができる。
さらに、この広い接触領域により、インターフェイスを特に接着により剛性支持体に結合するのが容易になる。
【0077】
得られる結果の品質又は製作又は使用の簡単さ又は便利さの理由で好ましい特徴は、次の通りである。
−フランジの端面は、支持体の端面と面一をなしている。
−フランジは、花弁状部に細分されている。
−剛性支持体は、表面仕上げ機のスピンドルのヘッドを受け入れるキャビティを有する。
−キャビティは、環状リブにより境界付けられた球形部分を有する。
−剛性支持体は、ばね戻し手段のリブを受け入れる溝を側壁に有する。
−ばね戻し手段は、星形部品によって形成され、星形部品の各枝部は、その自由端部の側に且つベースの方に向いた側に、カスプを有する。
−カスプは各々、外方側部に、トーラスの一部として構成された表面を有し、表面により、星形部品は、変形可能なリングを受け入れるようになっている。
−ベースは、プラスチック材料で一体に形成されている。
−ばね戻し手段は、プラスチック材料で一体に成形された星形部品によって形成されている。
−ベースは、プラスチック材料で一体に成形され、ばね戻し手段は、プラスチック材料で一体に成形された星形部品によって形成され、ベースを形成するプラスチック材料は、星形部品を形成するプラスチック材料とは異なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0078】
本発明の開示は、非限定的な例として以下に与えられ、添付の図面を参照して行われる好ましい実施形態についての詳細な説明が次に続く。
【0079】
ツール1に関する同一の参照符号は、以下において、本発明のツールに用いられているが、かかる符号に100だけ加えてある。
【0080】
一般的に言って、ツール101は、ツール1と同様に構成され、即ち、
−横方向端面113を備えた剛性支持体104を有し、
−端面に押し付けられると共にこれを覆う弾性的に圧縮可能なインターフェイス105(図7)を有し、
−レンズ、例えばレンズ3の光学表面、例えば光学表面2に押し付けられるようになっていて、端面113の反対側でこの端面と整列してインターフェイス105の少なくとも一部に押し付けられると共にこれを覆う可撓性パッド106(図7)を有し、パッド106は、端面113と整列して配置された中央部分及び端面113を横方向に越えて配置された周辺部分を有し、
−周辺部分106を支持体104に連結するばね戻し手段115(この場合、星形部品119によって形成される)を有し、支持体104は、インターフェイス105の周辺部分と戻し手段115との間に設けられた変形可能なリング117によって横方向に包囲されており、パッド106の周辺部分とばね戻し手段の組合せは、ツールを表面仕上げ中安定化させる手段101をなし、ツール101が、本質的にパッド106の中央部分の付近で表面仕上げを行うようになっている。
【0081】
本発明によれば、支持体104は、中心に設けられた剛性支持体104を横方向に越えて配置された可撓性周辺部分131を有するベース130の一部である。
【0082】
周辺部分131は、全体として、インターフェイス105及びパッド106の外径とほぼ同じ外径(大きな直径)を有する可撓性フランジを形成している。
【0083】
可撓性フランジ131の内径(小さな直径)は、支持体104の外径に一致し、フランジ131は、支持体104の側壁から突き出ている。
【0084】
図4〜図6に示す例では、支持体104及び可撓性周辺フランジ131は、プラスチック材料から一体に成形され、支持体104は、所要の剛性を有するために少なくとも表面113の付近では中実であり、これに対し、フランジ131は、可撓性であるために薄肉を有する。
【0085】
図4〜図6に示す好ましい実施形態では、フランジ131は、12個の等角度間隔を置いて分布して設けられると共に半径方向に差し向けられたスロット133を有し、その結果、フランジ131は、12個の花弁状部134に細分され、花弁状部は各々、切頭扇形の全体的形状を有している。
【0086】
フランジ131を花弁状部に細分することにより、フランジは、可撓性になり、その結果、フランジは、研磨されるべき表面の種々の曲率に一致することができるようになる。
【0087】
支持体104の端面113は、同一側に位置するフランジ131の表面132と面一をなす。
【0088】
支持体104とフランジ131を一体に形成することにより、加工されるべき表面に印を付ける端面113のエッジの効果が減少し、その結果、ツール101は、高品質の外観を提供する表面仕上げを行うことができる。
【0089】
フランジ131と支持体104との間の厚さの差により、表面132,113の反対側には、フランジ131と支持体104との間の接合部のところに肩135が設けられている。
【0090】
一般的に言って、端面113及び肩135を一部とする遠位部分136よりも小さな外径を有する近位部分137を備えた帽子形の外側輪郭を有している。
【0091】
近位部分137は、支持体104、より一般的には、ベース130を、一方においてこの場合星形部品119により形成されたばね戻し手段115に連結すると共に他方においてツール101を図2及び図3を参照して上述した仕方で光学表面、例えば光学表面2と協働させることができる表面仕上げ機のスピンドルに連結するのに役立つ。
【0092】
近位部分137は、端面113と反対の側に開口すると共にこの部分137中を部分136の付近まで軸方向に延びる環状凹部138を有している。
【0093】
凹部138の内側側面は、表面仕上げ機のスピンドルのヘッドを受け入れる環状ブッシュ139を画定している。
【0094】
このようにするため、ブッシュ139は、スピンドルヘッドを受け入れるキャビティ140を構成している。キャビティ140は、全体として球の3/4の形状をした球形部分141、環状リブ142及び切頭円錐形部分143を有し、環状リブ142は、部分141と部分143との間に位置している。
【0095】
キャビティ140内に受け入れられるよう設計されたスピンドルヘッドは、部分141と同様な形状の部分球状端部及びリブ142よりも直径の小さな円筒形部分を有している。
【0096】
ブッシュ139と表面仕上げ機のスピンドルは、単純なクリップ止め動作によって互いに組み立てられ、ブッシュ139の壁は、凹部138により、スピンドルヘッドの球形部分が部分141内に嵌まるように変形できるのに十分薄い。
【0097】
スピンドルヘッドがキャビティ140に嵌まり込むと、ツール101は、玉継手のようにスピンドルと協働する。
【0098】
球形部分141は、端面113に特に近く位置し、それにより、ツール101がツール101と協働関係をなさなくてはならない表面、例えば光学表面2に対して最適な向きを取ることができることは注目されよう。
【0099】
環状ブッシュ144が、近位部分137の側壁及び凹部138の外部側壁によって画定されている。
【0100】
星形部品119に設けられていて、ばね戻し手段115を形成するリブ148を受け入れるために、溝147が部分137の側壁に形成されている。
【0101】
環状ブッシュ144は、ブッシュ144の壁が比較的薄く、且つ環状凹部138が必要な隙間を提供するために、リブ148を溝147内に配置できるよう変形可能である。
【0102】
星形部品119に設けられたリブ148は、この部品の中央部分120のボア内に突き出ており、このボアは、支持体104の遠位部分137の側面の直径に一致した直径を有している。
【0103】
星形部品119の中央部分120が支持体104上の定位置にあるとき、これら2つの部品は、これらの共通軸線X回りに互いに対して回転することができる。
【0104】
図5では、星形部品119の枝部118は各々、フランジ131の花弁状部134の各々に対して角度的に心出しされているが、この相対的位置決めは、異なっていても良い。
【0105】
部品119の枝部118の各々は、その自由端部の近くで且つベース130の方に向いた側部に、カスプ又は舌状突起145を有し、このカスプは、中心が部品119の中心軸線に一致したトーラス又は円環体の一部分、したがって、全体としてツール101の一部として構成された表面146を有している。
【0106】
種々のカスプ145の表面146は、互いに且つ変形可能なリング117の外面と対応関係にある。
【0107】
より正確に言えば、リング117は、これが図5及び図6に示す仕方でカスプ145に当接したその場所を取ることができるよう僅かに引き伸ばされなければならず、リング117の弾性によって、このリングは、表面146に押し付けられたままになる。
【0108】
特に図6で分かるように、リング117は、定位置に位置している場合、ばね戻し手段115(星形部品)119と可撓性フランジ131との間にサンドイッチされる。
【0109】
上述したように、インターフェイス100及びパッド106の直径は、フランジ131の外径に一致する。
【0110】
インターフェイス105とベース130との連結は、インターフェイス105とベース130の表面113,132相互間に設けられた両面接着手段150によって行われる。
【0111】
図示の例では、弾性的に圧縮可能なインターフェイス105は、パッド106と同一側に位置する艶のある表皮を備えた厚さが9mmオーダのフォームである。
【0112】
この表皮と反対側の側には、即ち、両面接着手段150と同一側には、厚さが例えば23マイクロメートルのポリエステル(PET)フィルム151が熱溶接されている。
【0113】
弾性的に圧縮可能なインターフェイス105と可撓性パッド106との連結は、マスチックの層152、ここでは厚さ0.5mmの層によって行われている。
【0114】
さらに、図7に示す例の場合、可撓性パッド106は、1mmオーダの厚さを有し、両面接着手段150は、0.32mmオーダの厚さを有する。
【0115】
インターフェイス105及びパッド106の直径は、55mmオーダのものである。
【0116】
星形部品119及びベース130は、各々、プラスチック材料から一体に射出成形される。
【0117】
図示の例では、スピンドルヘッドとの協働のために良好な耐摩耗性を提供すると同時にクリップ止めを可能にするために端面113の付近で剛性であると同時にフランジ131及び環状ブッシュ139,141の領域が可撓性でなければならないベース130は、ポリプロピレン(PP)又は高密度ポリエチレン(例えばPEHD1000)製である。
【0118】
所要の弾性を得るため、星形部品119は、好ましくは、1500〜4000N/mm2の弾性率を有するためにポリオキシメチレン(POM)又はポリアミド(PA)製である。
【0119】
かくして、星形部品119とベース130は、好ましくは、互いに異なる材料で作られている。というのは、これらは、互いに異なる物理的制約に取り組まなければならないからであり、星形部品は、良好なばね戻り特性を備えなければならないばね戻し手段を形成し、ベースは、スピンドルヘッドとの協働のために良好な耐摩耗性を有すると共にインターフェイス105との容易な結合を可能にしなければならない。
【0120】
図示の例では、変形可能なリング117は、例えばニトリル製の単純な市販のOリングである。
【0121】
支持体104の端面113は、曲率半径が70mmオーダの部分球形である。
【0122】
ベース130に荷重が加えられていない場合、即ち、外部荷重が存在していない場合、上述したように、表面113と面一をなしているフランジ131の表面132は、切頭円錐形のように構成され、その小さい方の直径は、表面113の最も大きな直径に一致し、表面131の傾斜角(頂点のところの角度)は、表面132との接合領域の表面113の接線によって与えられる。
【0123】
フランジ131により、インターフェイス105とツールの残部、この場合、ベース130との間の接触領域は、これが表面113と表面132の両方によって形成されているので、特に広い。
【0124】
これにより、加工されるべき表面、例えばレンズ3の表面2に及ぼされる圧力の一様な分布が保証される。
【0125】
特に、端面13の鋭利なエッジが加工されるべき表面に印を付ける恐れは、図1〜図3に示された先行技術のツールの場合と同様、回避される。
【0126】
より一般的に言えば、これにより、ツール101は、特に高品質の外観を有する表面仕上げ作業を行うことができる。
【0127】
さらに、表面113及び表面132の両方を利用できるようにすることにより、インターフェイス105と剛性支持体104との結合が容易になる。
【0128】
次に、図8を参照してベース130の変形例130′を説明する。同一の参照符号は、類似のコンポーネントについて用いられているが、この参照符号の後には添え字「′」が付けられている。
【0129】
ベース130′は、ベース130と同様に構成されるが、端面113′の曲率半径Rは、非常に小さく、30mmオーダのものである。
【0130】
ベース130′を有するツールは、非常に大きく面取りされた表面に特に適している。
【0131】
図9及び図10にそれぞれ示すベース130の変形例130″及び変形例130′″については、同一の参照符号が上述したように用いられるが、それぞれの符号の後には、添え字「″」及び添え字「′″」が付けられている。
【0132】
一般的に言って、ベース130″及びベース130′″は、ベース130又はベース130′と同様に構成されるが、これらのフランジ131″及びフランジ131′″は、それぞれ、8つの花弁状部134″及び花弁状部134′″を有し、これら花弁状部は、それぞれ、半径方向には差し向けられていないスロット133″及びスロット133′″によって画定されている。
【0133】
より詳細に説明すると、スロット133″は、湾曲しており、スロット133′″は、直線上であるが、半径方向ではない方向に配置されている。
【0134】
図示していない形態では、本発明のツールのベースは、8個又は12個以外の数、例えば、6個又は16個の花弁状部を有し、花弁状部を画定するスロットは、種々の形状、例えば、起伏部を有する。
【0135】
ベース130の図示されていない他の形態では、フランジ131に代えて、花弁状部には細分されていない可撓性フランジが用いられる。
【0136】
図示されていない別の形態では、支持体104は、異なる形状のものであり、例えば、図1〜図3に示す先行技術のツールの場合のようにジョーを形成する2つの部分で構成されている。
【0137】
本発明のツールの別の形態では、ベース以外のコンポーネントの構成は、別のように、例えば、図1〜図3に示すようになっている。
【0138】
多くの他の変形例が、環境の関数として可能であり、この関係で、本発明の範囲は説明すると共に図示した例には限定されないことを指摘しておく。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】このツール及び表面仕上げされるべき光学表面を備えたオフサルミックレンズの分解組立て斜視図である。
【図2】図1のレンズの光学表面の表面仕上げ中、組み立てられた状態で示されたこのツールの断面図である。
【図3】このツールによる表面仕上げ中のこのオフサルミックレンズを示す概略平面図であり、このツールが、光学表面を2つの位置でスイープしている状態で示されて要る図である。
【図4】本発明のツールの一部分、より詳細には、ベース、変形可能なリング及び星形部品の分解組立て斜視図である。
【図5】本発明のツールのこの部分を組立て状態で示す平面図である。
【図6】図5のVI−VI線矢視断面側面図である。
【図7】弾性的に圧縮可能なインターフェイス及び可撓性パッドを含む本発明のツールの別の部分の概略断面図である。
【図8】ベースの一形態の断面側面図である。
【図9】本発明のツールが有するベースの別の形態を示す底面図である。
【図10】本発明のツールが有するベースの別の形態を示す底面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学表面を表面仕上げするツールであって、
−横方向端面(113;131′)を備えた剛性支持体(104;104′;104″;104′″)を有し、
−前記端面(113;113′)に押し付けられると共にこれを覆う弾性的に圧縮可能なインターフェイス(105)を有し、
−前記光学表面に押し付けられるようになっていて、前記端面(113;113′)の反対側でこの端面と整列して前記インターフェイス(105)の少なくとも一部に押し付けられると共にこれを覆う可撓性パッド(106)を有し、前記パッド(106)が、前記端面(113;113′)と整列して配置された中央部分と呼ばれる部分及び前記端面(113;113′)を横方向に越えて配置された周辺部分と呼ばれる部分を有し、
−前記周辺部分を前記支持体(104;104′;104″;104′″)に連結するばね戻し手段(115)を有し、前記周辺部分と前記ばね戻し手段(115)の組合せが、前記ツールを表面仕上げ中安定化させる手段を形成し、前記ツールが、本質的に前記中央部分の付近で表面仕上げを行うようになっている、ツールにおいて、
前記剛性支持体(104;104′;104″;104′″)は、前記支持体(104;104′;104″;104′″)を包囲した可撓性フランジ(131;131′;131″;131′″)を含むベース(130;130′;130″;130′″)の一部であり、前記弾性的に圧縮可能なインターフェイス(105)は、前記端面(113;113′)と同一の側に位置した前記フランジの端面(132)に押し付けられると共にこれを覆っている、ツール。
【請求項2】
前記フランジ(131;131′;131″;131′″)の前記端面(132)は、前記支持体(104;104′;104″;104′″)の前記端面(113;113′)と面一をなしている、請求項1記載のツール。
【請求項3】
前記フランジ(131;131′;131″;131′″)は、花弁状部(134;134′;134″;134′″)に細分されている、請求項1又は2記載のツール。
【請求項4】
前記花弁状部(134;134′)は、半径方向に差し向けられた直線状スロット(133)によって細分されている、請求項3記載のツール。
【請求項5】
前記花弁状部(134′″)は、半径方向以外の向きを有する直線状スロット(133′″)によって細分されている、請求項3記載のツール。
【請求項6】
前記花弁状部(134″)は、湾曲したスロット(133″)によって細分されている、請求項3記載のツール。
【請求項7】
前記剛性支持体(104)は、表面仕上げ機のスピンドルのヘッドを受け入れるキャビティ(140)を有する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のツール。
【請求項8】
前記キャビティ(140)は、環状リブ(142)により境界付けられた球形部分(140)を有する、請求項7記載のツール。
【請求項9】
前記剛性支持体(104)は、前記ばね戻し手段(115)のリブ(148)を受け入れる溝(147)を側壁に有する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のツール。
【請求項10】
前記ばね戻し手段(115)は、星形部品(119)によって形成され、前記星形部品の各枝部(118)は、その自由端部の側に且つ前記ベース(130;130′;130″;130′″)の方に向いた側に、カスプ(145)を有する、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のツール。
【請求項11】
前記カスプ(145)は各々、外方側部に、トーラスの一部として構成された表面(146)を有し、前記表面(146)により、前記星形部品は、前記変形可能なリング(117)を受け入れるようになっている、請求項10記載のツール。
【請求項12】
前記ベース(130;130′;130″;130′″)は、プラスチック材料で一体に形成されている、請求項1〜11のうちいずれか一に記載のツール。
【請求項13】
前記ばね戻し手段(115)は、プラスチック材料で一体に成形された星形部品(119)によって形成されている、請求項1〜12のうちいずれか一に記載のツール。
【請求項14】
前記ベース(130;130′;130″;130′″)は、プラスチック材料で一体に成形され、前記ばね戻し手段(115)は、プラスチック材料で一体に成形された星形部品(119)によって形成され、前記ベースを形成する前記プラスチック材料は、前記星形部品(119)を形成する前記プラスチック材料とは異なる、請求項1〜13のうちいずれか一に記載のツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−534208(P2009−534208A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507108(P2009−507108)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000650
【国際公開番号】WO2007/128894
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(591019759)エシロール アンテルナショナル コムパニー ジェネラル ドプテイク (27)
【Fターム(参考)】