説明

光学装置およびプロジェクタ

【課題】 部品点数を削減し製造コストを低減できるとともに、反射ミラーの設置および姿勢調整を容易に実施できる光学装置およびプロジェクタを提供する。
【解決手段】光学装置は、反射ミラー424における反射面の裏面に取り付けられ反射ミラー424の面外方向に膨出して凸曲面形状を有し反射ミラー424が側壁401Gに沿って配置された際に側壁401Gに当接する膨出部404Aと、反射ミラー424における反射面の裏面にそれぞれ取り付けられ膨出部404Aを挟むようにそれぞれ配置され反射ミラー424の面外方向に突出する一対の固定部404Cとを備える。側壁401Gには、反射ミラー424の収納方向Rに沿って延出し、一対の固定部404Cの移動を案内しかつ、一対の固定部404Cを遊嵌状態で配置可能とする一対の固定用溝部401Jが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置およびプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束の光路上に配置される複数の光学部品と、内部に光束の照明光軸が設定され、複数の光学部品を収納して所定位置に配置する光学部品用筐体とを有する光学装置を備えるプロジェクタが利用されている
ここで、光学部品としては、光源から射出された光束の光学特性を変更する複数の光学素子、および、光源から射出された光束を反射および/または透過し、該光束を所定の照明光軸上に導光する複数のミラー等が用いられている。
このようなプロジェクタでは、より鮮明な投影画像を得るために、光学部品としての光学素子の相対位置や、ミラーの反射面の傾斜位置のずれを防止する必要がある。そして、これらのうち、ミラーの姿勢を調整可能な保持構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のミラー保持構造では、ミラーの下端側の中央部を光学部品用筐体に形成された1つの突起部と、光学部品用筐体に固定ビスにて取り付けられた略U字形板ばねとで挟持する。また、ミラーの上端側の2箇所を光学部品用筐体に回動可能に取り付けられた2つの偏心円板と、光学部品用筐体に固定ビスにて取り付けられた略U字形板ばねとで挟持する。そして、ドライバ等の工具を用いて各偏心円板を独立して回動させることで、ミラーの鉛直方向の傾きと水平方向の傾きのうちの少なくとも一方を調整可能にしている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−321661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のミラー保持構造では、ミラーを光学部品用筐体に設置するには、2つの板ばねおよび2つの偏心円板が必要であるため、部品点数が増加し、製造コストが増加してしまう、という問題がある。
また、ミラーを光学部品用筐体に設置する際に、2つの板ばねおよび2つの偏心円板をそれぞれ光学部品用筐体に取り付ける作業が必要となる。さらに、ミラーの姿勢を調整するには、2つの偏心円板をドライバ等の工具により回動させる必要がある。したがって、ミラーの設置および姿勢調整において、作業者に煩雑な作業を実施させてしまう、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、部品点数を削減し製造コストを低減できるとともに、反射ミラーの設置および姿勢調整を容易に実施できる光学装置およびプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学装置は、光源から射出された光束の光路上に配置される反射ミラーを含む複数の光学部品と、内部に前記光束の照明光軸が設定され、前記複数の光学部品を前記照明光軸に対する所定位置に収納保持する光学部品用筐体とを備えた光学装置であって、
前記光学部品用筐体は、開口部を有し前記開口部を介して前記複数の光学部品が内部に収納される容器状の部品収納部材と、前記部品収納部材の前記開口部を閉塞する蓋状部材とで構成され、前記反射ミラーは、前記部品収納部材の側壁に沿って設置され、前記反射ミラーにおける反射面の裏面に取り付けられ前記反射ミラーの面外方向に膨出して凸曲面形状を有し前記反射ミラーが前記側壁に沿って設置された際に前記側壁に当接する膨出部と、前記反射ミラーにおける反射面の裏面にそれぞれ取り付けられ前記膨出部を挟むようにそれぞれ配置され前記反射ミラーの面外方向に突出する一対の固定部とを備え、前記側壁には、前記部品収納部材への前記反射ミラーの収納方向に沿って延出し、前記反射ミラーを前記部品収納部材に収納する際に前記一対の固定部の移動を案内しかつ、前記一対の固定部を遊嵌状態で配置可能とする一対の固定用溝部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、膨出部および一対の固定部は、一体的に形成されたものであってもよく、あるいは、別体で構成されたものであってもよい。
本発明では、反射ミラーの反射面の裏面に、膨出部および一対の固定部を取り付けておく。そして、一対の固定部を部品収納部材の側壁に形成された一対の固定用溝部に挿入することで、一対の固定用溝部に案内されながら一対の固定部が移動し、開口部を介して反射ミラーを部品収納部材内に収納して側壁の所定の設置位置に容易に設置できる。この際、一対の固定部が一対の固定用溝部に遊嵌状態で配置されるため、膨出部が側壁に当接可能となる。この後、膨出部と側壁とを当接させた状態で、例えば反射ミラーを動かすことで、膨出部の凸曲面形状に沿って反射ミラーを三次元的に動かすことができ、反射ミラーの姿勢調整を容易に実施できる。また、反射ミラーの姿勢調整を実施した後、一対の固定部と一対の固定用溝部との間に接着剤を充填することで、反射ミラーを側壁に接着固定できる。したがって、少なくとも膨出部および一対の固定部を備えていれば反射ミラーの設置および姿勢調整を容易に実施でき、従来のミラー保持構造と比較して、部品点数を削減でき、製造コストの低減を図れる。
また、上述したように、予め、反射ミラーの反射面の裏面に、膨出部および一対の固定部を取り付けておけば、反射ミラーを部品収納部材に設置する作業も容易に実施できる。
さらに、一対の固定部と一対の固定用溝部との間に接着剤を充填することで反射ミラーを側壁に対して固定すれば、簡単な構成で部品収納部材に対する反射ミラーの固定状態を強固にでき、反射ミラーの姿勢状態を良好に維持できる。
したがって、部品点数を削減することで製造コストを低減できるとともに、反射ミラーの設置および姿勢調整を作業者に煩雑な作業を強いることなく容易に実施でき、本発明の目的を達成できる。
【0008】
本発明の光学装置では、前記反射ミラーにおける反射面の裏面に取り付けられ、前記反射ミラーの裏面に沿って延出し前記反射ミラーの端縁から平面的に突出するミラー姿勢調整レバーを備えていることが好ましい。
本発明によれば、光学装置がミラー姿勢調整レバーを備え、ミラー姿勢調整レバーが反射ミラーの端縁から平面的に突出しているので、ミラー姿勢調整レバーを例えば手で掴み、該ミラー姿勢調整レバーを動かすことで、反射ミラーの姿勢調整をさらに容易に実施できる。
【0009】
本発明の光学装置では、前記膨出部、前記一対の固定部、および前記ミラー姿勢調整レバーは、一体的に形成された成形品であることが好ましい。
本発明によれば、膨出部、一対の固定部、およびミラー姿勢調整レバーが一体的に成形された成形品であるので、部品点数をさらに削減できるとともに、反射ミラーへの膨出部、一対の固定部、ミラー姿勢調整レバーの取付作業を容易に実施でき、すなわち、反射ミラーの設置作業をさらに容易に実施できる。
【0010】
本発明の光学装置では、前記蓋状部材には、前記反射ミラーの設置位置に対応して開口が形成され、前記ミラー調整レバーは、前記反射ミラーが前記光学部品用筐体に設置された際、その先端が前記蓋状部材の開口を介して突出することが好ましい。
本発明によれば、ミラー姿勢調整レバーの先端は、部品収納部材と蓋状部材とを組み合わせた状態で蓋状部材の開口を介して突出するので、部品収納部材内に全ての光学部品を設置し、部品収納部材の開口部を蓋状部材にて閉塞した後でも、蓋状部材の開口を介して突出したミラー姿勢調整レバーを動かすことができ、すなわち、反射ミラーの姿勢調整を実施することができる。したがって、反射ミラーの姿勢調整後に光学装置の製造を完了することができ、光学装置の製造を迅速に実施できる。
【0011】
本発明の光学装置では、前記膨出部および前記一対の固定部は、前記膨出部の膨出方向の高さ寸法をHa、前記一対の固定部の突出方向の長さ寸法をHbとすると、Hb/2≦Ha<Hbの関係を満たすように形成されていることが好ましい。
ところで、膨出部および一対の固定部を、Ha<Hb/2の関係を満たすように形成した場合には、反射ミラーの姿勢調整を実施している際での一対の固定部の先端部分の移動量が大きくなる。このため、反射ミラーの姿勢調整を実施している際に、一対の固定部の先端部分が一対の固定用溝部の内周面に機械的に干渉しやすい。また、一対の固定部との機械的な干渉を回避するためには、一対の固定用溝部の溝形状を大きく形成する必要がある。
本発明によれば、膨出部および一対の固定部を、Hb/2≦Ha<Hbの関係を満たすように形成しているので、上述したHa<Hb/2の関係を満たすように膨出部および一対の固定部を形成した場合と比較して、反射ミラーの姿勢調整を実施している際での一対の固定部の先端部分の移動量を小さくできる。このため、反射ミラーの姿勢調整を実施している際に、一対の固定部の先端部分が一対の固定用溝部の内周面に機械的に干渉することを回避可能となり、反射ミラーの姿勢調整を円滑にかつ、高精度に実施できる。また、一対の固定部との機械的な干渉を回避するために、一対の固定用溝部の溝形状を大きく形成する必要もない。
【0012】
本発明の光学装置では、前記一対の固定用溝部は、前記部品収納部材および前記蓋状部材を組み合わせた状態で前記蓋状部材と平面的に干渉しない位置に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、一対の固定用溝部が部品収納部材および蓋状部材を組み合わせた状態で蓋状部材と平面的に干渉しない位置に形成されているので、部品収納部材内に全ての光学部品を設置し、部品収納部材の開口部を蓋状部材にて閉塞した後でも、反射ミラーの姿勢調整を実施し反射ミラーを部品収納部材に固定する際、一対の固定部と一対の固定用溝部との間に接着剤を充填可能な構成となる。したがって、反射ミラーの姿勢調整を実施して部品収納部材に対して固定した後に光学装置の製造を完了することができ、光学装置の製造を迅速に実施できる。
【0013】
本発明の光学装置では、前記側壁には、前記反射ミラーの平面方向に沿って延出し、前記反射ミラーが挿抜可能とされるミラー収納用溝部が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、側壁にはミラー収納用溝部が形成されているので、ミラー収納用溝部に沿って反射ミラーをスライドさせることで該反射ミラーを所定位置に設置でき、反射ミラーの設置作業をさらに容易に実施できる。
【0014】
本発明のプロジェクタは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、前記光変調装置にて形成された光学像を拡大投射する投射光学装置とを備えるプロジェクタであって、上述した光学装置を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクタは、上述した光学装置を備えているので、上述した光学装置と同様の作用・効果を享受できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔1.プロジェクタの外観構成〕
図1および図2には、本発明に係る光学装置を含むプロジェクタ1が示されており、図1は上方前面側から見た斜視図であり、図2は下方背面側から見た斜視図である。
このプロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投射面上に拡大投射する光学機器であり、後述する光学装置を含む装置本体を内部に収納する外装ケース2および外装ケース2から露出する投射レンズ3を備えている。このプロジェクタ1は、大型店舗内や、パブリックスペース等に配置され、投射画像を大画面表示することによって、多数の観察者に映像情報を提供するものである。
投射レンズ3は、後述する光変調装置としての液晶パネルにより光源から射出された光束を画像情報に応じて変調形成された光学像を拡大投射する投射光学装置としての機能を具備するものであり、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。
【0016】
外装ケース2は、投射方向に沿った奥行き寸法がこれに直交する軸方向寸法よりも大きな直方体形状をなし、装置本体を覆う面状体10と、ケース強度を負担する不図示のフレーム体とを備えて構成されている。
面状体10は、装置本体の上部を覆うアッパーケース11と、装置本体の下部を覆うロアーケース12と、装置本体の前面部分を覆うフロントケース13とを備えている。これら各ケース11〜13は、射出成形等によって成形された合成樹脂製の一体成形品である。
【0017】
アッパーケース11は、装置本体の上部を覆う筐体上面部11Aと、この筐体上面部11Aの幅方向端部から略垂下する筐体側面部11B,11Cと、筐体上面部11Aの後端部から略垂下する筐体背面部11Dとを備えている。
このアッパーケース11の筐体上面部11Aと、筐体側面部11B,11Cとが交差する稜線部分には、プロジェクタ1の投射方向略中央から後端側に向かって面取加工が施され、稜線に沿って凹状にへこんだ凹部111が形成されている。この凹部111は、プロジェクタ1を2台スタックさせた際に、2台のプロジェクタ1を連結するパイプ状の支持部材を挿入するために形成されている。
また、筐体側面部11Bには、冷却空気導入用のスリット状の開口部112が形成されている。
【0018】
筐体上面部11Aの略中央部分には、プロジェクタ1の起動・調整操作を行うための操作パネル14が設けられている。この操作パネル14は、起動スイッチ、画像・音声等の調整スイッチを含む複数のスイッチを備え、プロジェクタ1による投射時には、操作パネル14中の調整スイッチ等を操作することにより、画質・音量等の調整を行うことができる。
また、筐体上面部11Aの投射方向前方には、複数の孔141が形成されていて、この内部には、音声出力用のスピーカが収納されている。
これら操作パネル14およびスピーカは、後述する装置本体を構成する制御基板と電気的に接続され、操作パネル14による操作信号はこの制御基板で処理される。
【0019】
筐体背面部11Dは、ほぼ前面が開口された枠状に構成され、この開口部分には、画像信号等を入力するためのコネクタ群15が露出するとともに、その隣は、光源装置を収納する開口部とされ、通常は、光源装置収納用の蓋部材16によって覆われている。尚、コネクタ群15は、後述する制御基板と電気的に接続され、コネクタ群15を介して入力した画像信号は、制御基板によって処理される。
また、筐体上面部11Aの後端部及び筐体背面部11Dの上端部分は、アッパーケース11から脱着可能な蓋部材113が取り付けられていて、この蓋部材113内部には、LANボード等の拡張基板を挿入することができるようになっている。
【0020】
ロアーケース12は、アッパーケース11との係合面を中心としてアッパーケース11と略対称に構成され、筐体底面部12A、筐体側面部12B,12C、および筐体背面部12Dを備えている。
そして、筐体側面部12B,12C、および筐体背面部12Dは、その上端部分でアッパーケース11の筐体側面部11B,11C、及び筐体背面部11Dの下端部分と係合する。尚、筐体背面部12Dは、アッパーケース11の筐体背面部11Dと同様に、ほぼ前面が開口され、係合後の開口部分から前述したコネクタ群15が露出するとともに、両開口部分に跨って蓋部材16が取り付けられる。
また、筐体背面部12Dの角隅部には、さらに開口部が形成されており、この開口部からインレットコネクタ17が露出している。さらに、筐体側面部12Bには、アッパーケース11の筐体側面部11Bに形成された開口部112に応じた位置に開口部122が形成されている。
【0021】
筐体底面部12Aには、プロジェクタ1の後端側略中央に固定脚部18が設けられているとともに、先端側幅方向両端に調整脚部19が設けられている。
調整脚部19は、筐体底面部12Aから面外方向に進退自在に突出する軸状部材から構成され、軸状部材自体は、外装ケース2の内部に収納されている。このような調整脚部19は、プロジェクタ1の側面部分に設けられる調整ボタン191を操作することにより、筐体底面部12Aからの進退量を調整することができる。
これにより、プロジェクタ1から射出された投射画像の上下位置を調整し、適切な位置に投射画像を形成することができるようになる。
【0022】
また、筐体底面部12Aには、筐体底面部12Aの略中央に投射方向に沿って延びる凸条のリブ状部20と、このリブ状部20と直交するようにプロジェクタ1の幅方向に沿って延びる複数のリブ状部21、22とが形成されている。そして、中間部分の2本のリブ状部21の間には、詳しくは後述するが、外部から冷却空気を取り込むための吸気用開口部が形成されていて、フィルタ23によって覆われている。このフィルタ23で塞がれた吸気用開口部の後端側には、やはり冷却空気取り込み用の吸気用開口部24が形成されているが、フィルタで覆われる構成とはなっていない。
プロジェクタ1の幅方向に沿って延びるリブ状部21、22の端部には、ねじ孔21Aが4箇所形成されている。このねじ孔21Aには、プロジェクタ1を天井吊り下げとした場合の天井吊り下げ用の金具が装着される。
さらに、筐体底面部12Aの装置後端側端縁には、係合部26が形成されており、この係合部26には、前述したコネクタ群15を覆って塵埃等がこれらに付着することを防止するためのカバー部材が取り付けられるようになっている。
【0023】
フロントケース13は、前面部13Aおよび上面部13Bを備えて構成され、前面部13Aの外周部分には、面外方向に延びるリブ13Cが形成されており、アッパーケース11、ロアーケース12の投射方向先端側とこのリブ13Cが係合する。
前面部13Aは、ロアーケース12の筐体底面部12Aからアッパーケース11の筐体上面部11Aに向かって装置後端側に傾斜しており、その方向は投射面から遠ざかるように傾斜している。このようにしたのは、プロジェクタ1を天井吊り下げにした際に、フロントケース13の前面部13Aが下面を向くので、フロントケース13に塵埃が付着しにくくなるためであり、通常設置の状態よりもメンテナンスしにくい天井吊り下げの場合を考慮したためである。
【0024】
このような前面部13Aの略中央部分には開口部27が形成されており、この開口部27からは投射レンズ3が露出する。
この開口部27には、隣接してスリット状の開口部28が形成されており、プロジェクタ1の装置本体内部を冷却した空気は、この開口部28から排出される。
さらに、前面部13Aの角隅部近傍には、孔29が形成されており、この孔29からは、不図示のリモートコントローラの操作信号を受信するための受光部30がある。
尚、本例においては、プロジェクタ1の背面側にも受光部30が設けられており、図2に示されるようにアッパーケース11の筐体背面部11Dの角隅部に受光部30がある。これにより、リモートコントローラを使用する場合、装置前面側、装置背面側のいずれの方向からもリモートコントローラの操作信号を受信することができるようになっている。
【0025】
上面部13Bは、アッパーケース11の筐体上面部11Aの略中央まで延出し、具体的には図示を略したが、投射レンズ3の基端部近傍まで達している。このようにしたのは、投射レンズ3を変更する際に、フロントケース13を取り外すだけで投射レンズ3を交換できるようにするためであり、アッパーケース11およびロアーケース12からフロントケース13を取り外すと、上面部13Bが外れて開口され、投射レンズ3の基端部取付部分が露出するようになっている。
【0026】
〔2.プロジェクタの内部構成〕
図3ないし図5は、プロジェクタ1の内部を示す斜視図である。
このような外装ケース2の内部には、図3〜図5に示されるように、プロジェクタ1の装置本体が収納されており、この装置本体は、光学装置としての光学ユニット4(図5)、制御基板5、および電源ブロック6を備えて構成される。
【0027】
〔2-1.光学ユニットの構造〕
図6は、光学ユニット4の内部を示す斜視図である。
図7は、光学ユニット4の光学系を模式的に示す図である。
光学ユニット4は、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、投射レンズ3を介してスクリーン上に投射画像を形成する。この光学ユニット4は、図7に示されるように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光変調装置および色合成光学系を一体化した電気光学装置44と、これら光学部品41〜44を収納する光学部品用筐体としての光学部品用筐体40(図5、図6)とに機能的に大別される。尚、本例における光学ユニット4は、三板式のプロジェクタに採用されるものであり、光学部品用筐体40内で光源から射出された白色光を三色の色光に分離する空間色分離型の光学ユニットとして構成されている。
【0028】
インテグレータ照明光学系41は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系であり、光源装置411、平行化凹レンズ412、第1レンズアレイ413、第2レンズアレイ414、偏光変換素子415、および重畳レンズ416を備えて構成される。
【0029】
光源装置411は、放射光源としての光源ランプ417、リフレクタ418、およびリフレクタ418の光束射出面を覆うフロントガラス419を備え、光源ランプ417から射出された放射状の光線を、平行化凹レンズ412及びリフレクタ418で反射して略平行光線とし、外部へと射出する。本例では、光源ランプ417として高圧水銀ランプを採用しているが、これ以外にメタルハライドランプやハロゲンランプを採用することもある。また、本例では、楕円面鏡からなるリフレクタ418の射出面に平行化凹レンズ412を配置した構成を採用しているが、リフレクタ418として放物面鏡を採用することもできる
【0030】
第1レンズアレイ413は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備している。各小レンズは、光源ランプ417から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。
第2レンズアレイ414は、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ414は、重畳レンズ416とともに、第1レンズアレイ413の各小レンズの像を液晶パネル441R、441G、441B上に結像させる機能を有する。
【0031】
偏光変換素子415は、第2レンズアレイ414からの光を一定方向の偏光光に変換するものであり、これにより、電気光学装置44での光の利用率が高められている。
具体的に、偏光変換素子415によって1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ416によって最終的に電気光学装置44の液晶パネル441R、441G、441B上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441R、441G、441Bを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ417からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子415を用いることにより、光源ランプ417から射出された光束を全て1種類の偏光光に変換し、電気光学装置44における光の利用効率を高めている。なお。このような偏光変換素子415は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0032】
色分離光学系42は、インテグレータ照明光学系41から射出された光束を曲折する反射ミラー421と、2枚のダイクロイックミラー422,423と、反射ミラー424とを備え、ダイクロイックミラー422、423によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を有している。反射ミラー424は、詳しくは後述するが、部品収納部材401に対して姿勢を調整できるようになっている。
リレー光学系43は、入射側レンズ431と、リレーレンズ433と、反射ミラー432、434とを備え、色分離光学系42で分離された色光である赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
【0033】
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー422では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束のうち、赤色光成分と緑色光成分とは反射し、青色光成分は透過する。ダイクロイックミラー422によって透過した青色光は、反射ミラー424で反射し、フィールドレンズ425を通って、青色用の液晶パネル441Bに到達する。このフィールドレンズ425は、第2レンズアレイ414から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ425も同様である。
【0034】
また、ダイクロイックミラー422を反射した赤色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー423によって反射し、フィールドレンズ425を通って、緑色用の液晶パネル441Gに到達する。一方、赤色光は、ダイクロイックミラー423を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ425を通って、赤色光用の液晶パネル441Rに到達する。
なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ425に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0035】
図8は、電気光学装置44を示す分解斜視図である。
電気光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、色分離光学系42で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板442と、各入射側偏光板442の後段に配置される光変調装置としての液晶パネル441R、441G、441Bと、各液晶パネル441R、441G、441Bの後段に配置される視野角補正板443および射出側偏光板444と、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム445とを備える。
【0036】
液晶パネル441R、441G、441Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、図8に示されるように、液晶パネル441Gを例に取れば、パネル本体4411と、このパネル本体4411を収納する保持枠4412とを備えている。尚、以下の説明では、液晶パネル441R、441Bについては特段言及しないが、液晶パネル441Gと略同様の構成である。
パネル本体4411は、図示を略したが、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されたものであり、一対の透明基板の入射側及び射出側には防塵ガラスが貼り付けられている。
保持枠4412は、パネル本体4411を収納する凹部を有する部材であり、その四隅部分には、孔4413が形成されている。
【0037】
このような液晶パネル441R、441G、441Bの前段に配置される入射側偏光板442(図7)は、色分離光学系42で分離された各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、サファイアガラス等の基板に偏光膜が貼付されたものである。また、基板を用いずに、偏光膜をフィールドレンズ425に貼り付けてもよい。
視野角補正板443は、基板上に液晶パネル441Gで形成された光学像の視野角を補正する機能を有する光学変換膜が形成されたものであり、このような視野角補正板443を配置することにより、黒画面時の光漏れを低減し投射画像のコントラストが大幅に向上する。
【0038】
射出側偏光板444は、液晶パネル441Gで光変調された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、本例では、2枚の第1偏光板(プリポラライザ)444P及び第2偏光板(アナライザ)444Aから構成されている。このように射出側偏光板444を2枚構成としたのは、入射する偏光光を、第1偏光板444P、第2偏光板444Aのそれぞれで按分させて吸収することにより、偏光光で発生する熱を両偏光板444P、444Aで按分させ、それぞれの過熱を抑えるためである。
【0039】
クロスダイクロイックプリズム445は、射出側偏光板444から射出され、各色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成するものである。
クロスダイクロイックプリズム445には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
このクロスダイクロイックプリズム445の下面には、プリズム固定板4451が紫外線硬化型接着剤により固着されている。このプリズム固定板4451は、クロスダイクロイックプリズム445の対角線に沿って伸びる脚部4452を備え、各脚部4452の先端部分には孔4453が形成されている。
そして、電気光学装置44は、この孔4453部分に挿入される不図示のねじ等によって前述したヘッド体403のL字水平分に接合固定される。
【0040】
前述した液晶パネル441G、視野角補正板443、第1偏光板444P及び第2偏光板444Aは、パネル固定板446を介してクロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面に固定される。
パネル固定板446は、平面視略C字形状の固定部本体4461と、この固定部本体4461の先端側に腕部4462を介して突設されるピン4463とを備える。このうち、固定部本体4461のC字先端には、視野角補正板443が固定される台座4464と、C字先端側縁に沿って延出し、視野角補正板443の外形位置基準となる位置決め部4464Aとが形成されている。
そして、液晶パネル441G、視野角補正板443、第1偏光板444P及び第2偏光板444Aを、パネル固定板446によってクロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面に固定する場合、まず、固定部本体4461のC字内側の空間に第1偏光板444P、第2偏光板444Aを挿入し、バネ部材4465によって該空間内に、これら偏光板444P、444Aが一定距離離間配置するように付勢しながら固定する。
【0041】
次に、視野角補正板443の外形位置を位置決め部4464Aにて合わせながら、視野角補正板443の端面を台座4464に熱伝導性テープまたは接着剤等で貼り付けた後、クロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面にパネル固定板446を固定する。
そして、パネル固定板446のピン4463に紫外線硬化型接着剤を塗布した後、未硬化の状態で液晶パネル441Gの孔4413を挿通する。
同様の手順で液晶パネル441R、441Bも、紫外線硬化型接着剤が未硬化の状態でパネル固定板446に仮止めしておき、各液晶パネル441R、441G、441Bに赤、緑、青の各色光を導入し、クロスダイクロイックプリズム445の光束射出端面から射出された各色光を観察しながら、液晶パネル441R、441G、441B相互の位置調整を行い、位置調整が終了したら、紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して、液晶パネル441R、441G、441Bの位置決め固定を行う。
【0042】
光学部品用筐体40は、図5または図6に示されるように、部品収納部材401と、この部品収納部材401の開口部分を塞ぐ蓋状部材402とを備えている。そして、これら部品収納部材401および蓋状部材402は、射出成形等による合成樹脂製品である。
【0043】
部品収納部材401は、図6に示されるように、後述する光源装置が収納される光源収納部401A及び光学部品を収納する部品収納部401Bを備え、この部品収納部401Bは、底面部401C及び側壁部401Dからなる上部に開口部401B1を有する容器状に形成され、側壁部401Dには、複数の溝部401Eと、反射ミラー424を設置する反射ミラー設置部401Fが設けられている。この溝部401Eには、反射ミラー424を除く種々の光学部品が上方から開口部401B1を介してスライド式に嵌め込まれる。また、反射ミラー設置部401Fは、反射ミラー424が設置される部分であり、反射ミラー424の保持構造を説明する際に、同時に説明する。そして、これら溝部401Eおよび反射ミラー設置部401Fにより各光学部品は、光学部品用筐体40内に規定された照明光軸A(図7)上に精度よく配置される。
【0044】
蓋状部材402は、図5に示されるように、部品収納部材401に応じた平面形状を有し、部品収納部401Bの開口部401B1を塞ぐ蓋状部材として構成される。また、蓋状部材402には、複数の開口部が形成され、例えば、反射ミラー424の姿勢を調整可能とする後述するミラー姿勢調整部材の一部を光学ユニット4の外部に露出させる開口402Aが形成されている。
また、部品収納部材401の光束射出側端部には、金属製の側面略L字状のヘッド体403が配置され、このヘッド体403のL字水平部分には電気光学装置44が取り付けられるとともに、L字垂直部分には投射レンズ3の基端部分が接合固定される。
【0045】
〔2-2.制御基板の構造〕
制御基板5は、図3及び図4に示されるように、光学ユニット4の上側を覆うように配置され、2段に積層配置されるメイン基板51を備え、上段側基板51Aには、演算処理装置等の制御部本体が実装され、下側基板51Bには、各液晶パネル441R、441G、441Bの駆動用ICが実装されている。また、この制御基板5は、図示を略したが、このメイン基板51の後端側で接続され、外装ケース2の筐体背面部11D、12Dに起立するインターフェース基板を備えている。
インターフェース基板の背面側には、前述したコネクタ群15が実装されていて、コネクタ群15から入力する画像情報は、このインターフェース基板を介してメイン基板51に出力される。
メイン基板51上の演算処理装置は、入力した画像情報を演算処理した後、液晶パネル駆動用ICに制御指令を出力する。駆動用ICは、この制御指令に基づいて駆動信号を生成出力して液晶パネル441を駆動させ、これにより、画像情報に応じて光変調を行って光学像が形成される。
【0046】
〔2-3.電源ブロックの構造〕
電源ブロック6は、光学ユニット4に隣接して、プロジェクタ1の外装ケース2の投射方向に沿って延出して設けられ、図示を略したが、電源ユニット及びランプ駆動ユニットを備えている。
電源ユニットは、前述したインレットコネクタ17に接続された電源ケーブルを通して外部から供給された電力をランプ駆動ユニットや制御基板5等に供給するものである。
ランプ駆動ユニットは、前述した光源装置411に安定した電圧で電力を供給するための変換回路であり、電源ユニットから入力した商用交流電流は、このランプ駆動ユニットによって整流、変換されて、直流電流や交流矩形波電流となって光源装置411に供給される。
このような電源ブロック6の前方には、図3に示されるように、排気ファン61が設けられており、プロジェクタ1内部の各構成部材を冷却した空気は、この排気ファン61によって集められ、外装ケース2の開口部28から装置外部に排出される。
【0047】
〔2-4.冷却構造〕
図9は、プロジェクタ1の冷却系を示す図である。
このようなプロジェクタ1内部は、光源装置411や電源ブロック6の発熱により加熱されるため、内部に冷却空気を循環させて、光源装置411、電気光学装置44、電源ブロック6を効率的に冷却させる必要がある。このため、本例では、図9に示されるように3つの冷却流路C1、C2、C3が設定されている。
冷却流路C1は、インテグレータ照明光学系41を構成する光源装置411及び偏光変換素子415を冷却する流路であり、図2における吸気用開口部24の装置内部に設けられるシロッコファン71で吸引した冷却空気を、ダクト72によって光学部品用筐体40の光源収納部401Aの側方から光源装置411、偏光変換素子415に供給し、これらを冷却する。冷却後の空気は、排気ファン61によって吸引され、プロジェクタ1の外部に排出される。
【0048】
冷却流路C2は、光変調及び色合成を行う電気光学装置44を冷却する流路であり、図2におけるフィルタ23が設けられた位置に形成される吸気用開口部の装置内側に設けられるシロッコファン(後述)で吸引した冷却空気を、電気光学装置44の下方から上方に向かって供給して、前記の液晶パネル441R、441G、441Bや、入射側偏光板442、視野角補正板443、射出側偏光板444を冷却する。冷却後の空気は、メイン基板51の下面及びアッパーケース11の筐体上面部11Aに沿って流れ、メイン基板51に実装された回路素子を冷却しながら、排気ファン61によって外部に排出される。
【0049】
冷却流路C3は、電源ブロック6を冷却する流路であり、電源ブロック6の後端側に設けられる吸気ファン62により、アッパーケース11の筐体側面部11Bに形成された開口部112、ロアーケース12の筐体側面部12Bに形成された開口部122から冷却空気を取り込み、取り込まれた冷却空気の一部は、電源ユニット及びランプ駆動ユニットに供給され、これらを冷却した後、排気ファン61によって外部に排出される。
【0050】
〔3.反射ミラーの保持構造〕
次に、上述した反射ミラー424の保持構造を図面に基づいて説明する。
図10は、反射ミラー424の保持構造を示す分解斜視図である。
図11は、ミラー姿勢調整部材404の構造を示す図である。
図12は、反射ミラー424の保持構造を上方側から見た平面図である。
反射ミラー424は、図10に示すように、ミラー姿勢調整部材404を介して部品収納部材401における反射ミラー設置部401Fに姿勢調整可能に設置される。
【0051】
ミラー姿勢調整部材404は、部品収納部材401内の照明光軸A(図7)に対する反射ミラー424の姿勢を調整するものであり、図10ないし図12に示すように、膨出部404Aと、ミラー姿勢調整レバー404Bと、一対の固定部404Cとを備える。
膨出部404Aは、図10または図11に示すように、平面視略矩形状の板状体から構成され、該板状体の一側面には面外方向に膨出する凸曲面404A1(図11)が形成され、該凸曲面404A1と反対側の端面404A2(図10)が平面状に形成されている。
【0052】
ミラー姿勢調整レバー404Bは、図10または図11に示すように、略四角柱状に形成され、一側面が膨出部404Aの端面404A2と略平行となりかつ、端面404A2から段落ちするように膨出部404Aと一体的に接続している。また、ミラー姿勢調整レバー404Bの一側面には、図10または図11に示すように、左右側端縁に沿って延出し、前記一側面から突出する一対の突出部404B1が形成されている。これら突出部404B1の突出方向端部404B2は、図10または図12に示すように、膨出部404Aの端面404A2と面一となるように形成されている。そして、ミラー姿勢調整部材404が反射ミラー424に固定された際には、ミラー姿勢調整レバー404Bは、図10に示すように、一対の突出部404B1により反射ミラー424との間に隙間を形成するとともに、膨出部404Aから上方に向けて延出し、その先端が反射ミラー424の上端縁から平面的に突出するように配置される。
【0053】
一対の固定部404Cは、反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fに固定する部分であり、膨出部404Aを挟んで反射ミラー設置部401Fへの反射ミラー424の収納方向R(図10)と略直交する方向に並列配置している。これら一対の固定部404Cは、図10ないし図12に示すように、膨出部404Aの左右方向端部から膨出部404Aの端面404A2に沿って外側にそれぞれ例えば5〜10mmの長さで突出するとともに、突出方向先端が略90°屈曲して反射ミラー424から離間する方向にそれぞれ突出する断面略L字形状を有している。そして、一対の固定部404Cの反射ミラー424に対向する各端面404C1は、図10に示すように、膨出部404Aの端面404A2と面一となる。
上述した膨出部404Aの端面404A2、ミラー姿勢調整レバー404Bの突出方向端部404B2、および一対の固定部404Cの各端面404C1は、反射ミラー424における反射面の裏面に接着固定される取付面404Dとして機能する。
【0054】
ここで、膨出部404Aの凸曲面404A1、および一対の固定部404Cは、以下の関係を満たすことが好ましい。
すなわち、図12に示すように、取付面404Dから凸曲面404A1の頂部404A3までの高さ寸法をHaとし、取付面404Dから反射ミラー424に離間する方向に突出する一対の固定部404Cの突出方向の長さ寸法をHbとした場合に、以下の数1に示す関係を満たすことが好ましい。
【0055】
[数1]
Hb/2≦Ha<Hb
【0056】
本実施形態では、Ha=Hb/2となるように膨出部404Aの凸曲面404A1、および一対の固定部404Cを形成している。
以上説明した、膨出部404A、ミラー姿勢調整レバー404B、および一対の固定部404Cは、合成樹脂等を射出成型することにより一体的に形成された成形品である。
【0057】
反射ミラー設置部401Fは、反射ミラー424を内部の照明光軸A(図7)に対する所定位置に設置する部分である。この反射ミラー設置部401Fは、図10または図12に示すように、部品収納部材401の側面であり、平面視略矩形状の側壁401Gと、側壁401Gの左右両端縁に位置する1対の起立リブ401Hと、側壁401Gの左右方向略中央部分に位置する調整部材当接部401Iと、調整部材当接部401Iの左右両側に位置する一対の固定用溝部401Jとで構成される。
このうち、1対の起立リブ401Hは、断面略L字形状を有し、L字状開口部分が互いに対向するように形成されている。すなわち、図10または図12に示すように、1対の起立リブ401Hと側壁401Gとでミラー収納用溝部401Kが形成され、このミラー収納用溝部401Kに反射ミラー424を上方から収納方向R(図10)にスライドさせることで反射ミラー設置部401Fに反射ミラー424が収納される。
【0058】
調整部材当接部401Iは、反射ミラー424の反射面の裏面に接着固定されたミラー姿勢調整部材404を構成する膨出部404Aの凸曲面404A1と当接する部分であり、図10または図12に示すように、側壁401Gの上方側端縁から下方側端縁にかけて外側に向けて窪む凹形状に形成されている。そして、凹形状の底部は、略平面状に形成され、この部分に膨出部404Aの凸曲面404A1が当接する。
【0059】
図13は、蓋状部材402に対する一対の固定用溝部401Jの位置を説明するための図である。
一対の固定用溝部401Jは、反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fに設置する際に反射ミラー424の反射面の裏面に接着固定されたミラー姿勢調整部材404を構成する一対の固定部404Cの移動を案内しかつ、一対の固定部404Cを遊嵌状態で配置する。これら一対の固定用溝部401Jは、収納方向R(図10)に沿って、側壁401Gの上方側端縁から下方側端縁にかけて外側に向けて窪む凹形状にそれぞれ形成されている。また、一対の固定用溝部401Jの上方側の角部分には、図10、図12または図13に示すように、面取り加工が施されている。このような形状にすることで、一対の固定部404Cを一対の固定用溝部401J内に導きやすくなり、反射ミラー設置部401Fに対する反射ミラー424の設置を容易に実施できる。
ここで、これら一対の固定用溝部401Jは、図13に示すように、部品収納部材401と蓋状部材402とを組み合わせた状態で、蓋状部材402と平面的に干渉せず、すなわち、蓋状部材402よりも平面視で外側に位置するように形成されている。
【0060】
次に、反射ミラー設置部401Fへの反射ミラー424の設置方法を説明する。
先ず、反射ミラー424の反射面の裏面に、ミラー姿勢調整部材404を接着固定する。
この後、ミラー姿勢調整部材404が取り付けられた反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fの上方から収納方向Rに移動させ、ミラー収納用溝部401Jにスライドさせて収納する。この際、反射ミラー424に取り付けられたミラー姿勢調整部材404は、調整部材当接部401Iおよび一対の固定用溝部401Jに案内され、反射ミラー424が反射ミラー設置部401Fの所定位置に設置される。
【0061】
そして、部品収納部材401の開口部401B1に蓋状部材402を設置し、部品収納部材401の開口部401B1を閉塞する。なお、この際、部品収納部材401には、他の光学部品41、421〜423、425、43、44(ヘッド体403およびこのヘッド体403に固定された投射レンズ3も含む)も収納されているものとする。この状態では、蓋状部材402の開口402A(図5)を介してミラー姿勢調整部材404のミラー姿勢調整レバー404Bの先端が突出している。
この後、光源装置411を点灯させ、光学部品用筐体40内に光束を導入させる。そして、光学部品41〜44を介し投射レンズ3にて拡大投射され、例えばスクリーン上に投影された投影画面を確認しながら、反射ミラー424の姿勢調整を実施する。
具体的に、蓋状部材402の開口402Aから突出したミラー姿勢調整レバー404Bの先端を手で掴み、膨出部404Aの凸曲面404A1を調整部材当接部401Iに当接させた状態で、蓋状部材402の平面方向に例えば前後左右にミラー姿勢調整レバー404Bを移動させることで、凸曲面404A1の形状に沿って反射ミラー424が三次元的に移動し、反射ミラー424の反射面の姿勢調整が実施される。
ここで、本実施形態では、反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fの所定位置に設置した状態を0°とした場合に、前記所定位置から傾斜角度が±3°の範囲内で反射ミラー424の姿勢調整を実施する。
【0062】
反射ミラー424の姿勢調整を実施した後、蓋状部材402よりも平面視で外側に位置する一対の固定用溝部401Jと一対の固定部404Cとの間に瞬間接着剤を注入し、一対の固定用溝部401Jと一対の固定部404Cとを接着固定することで、反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fに対して位置決め固定する。
【0063】
上述した実施形態においては、膨出部404A、ミラー姿勢調整レバー404B、および一対の固定部404Cを有するミラー姿勢調整部材404を、反射ミラー424の反射面の裏面に接着固定しておき、一対の固定部404Cを側壁401Gに形成された一対の固定用溝部401Jに挿入することで、一対の固定用溝部401Jに案内されながら一対の固定部404Cが移動し、開口部401B1を介して反射ミラー424を部品収納部401B内に収納して反射ミラー設置部401Fに容易に設置できる。この際、一対の固定部404Cが一対の固定用溝部401Jに遊嵌状態で配置されるため、膨出部404Aの凸曲面404A1が側壁401Gに形成された調整部材当接部401Iに当接可能となる。そして、ミラー姿勢調整レバー404Bを手で掴み、膨出部404Aを調整部材当接部401Iに当接させた状態で、ミラー姿勢調整レバー404Bを動かすことで、膨出部404Aの凸曲面404A1の形状に沿って反射ミラー424を三次元的に動かすことができ、反射ミラー424における反射面の姿勢調整を容易に実施できる。また、反射ミラー424の姿勢調整を実施した後、一対の固定部404Cと一対の固定用溝部401Jとの間に瞬間接着剤を充填することで、反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fに接着固定できる。このことにより、従来のように2つの板ばねおよび2つの偏心円板等の部品点数の多いミラー保持構造と比較して、部品点数を削減し、製造コストの低減を図れる構成となる。
また、予め、反射ミラー424の反射面の裏面に、ミラー姿勢調整部材404を接着固定しておくことで、反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fに設置する作業も容易に実施できる。
さらに、一対の固定部404Cと一対の固定用溝部401Jとの間に瞬間接着剤を充填することで反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fに対して固定すれば、簡単な構成で部品収納部材401に対する反射ミラー424の固定状態を強固にでき、反射ミラー424の姿勢状態を良好に維持できる。
【0064】
そして、ミラー姿勢調整部材404は、膨出部404A、ミラー姿勢調整レバー404B、および一対の固定部404Cが一体的に成形された成形品であるので、部品点数をさらに削減できるとともに、反射ミラー424への膨出部404A、ミラー姿勢調整レバー404B、および一対の固定部404Cの取付作業を容易に実施でき、すなわち、反射ミラー424の反射ミラー設置部401Fへの設置作業をさらに容易に実施できる。
【0065】
ここで、反射ミラー424を所定位置から傾斜角度が±3°の範囲内で姿勢調整を実施するので、反射ミラー424の回転中心、すなわち、凸曲面404A1の仮想中心を反射ミラー424の反射面に位置するように設定する必要がない。このため、膨出部404Aにおける凸曲面404A1の形状を高精度に形成する必要がなく、凸曲面404A1を調整部材当接部401Iに当接させ凸曲面404A1の形状に沿って反射ミラー424を三次元的に移動するだけで、反射ミラー424を良好に姿勢調整することができる。
また、ミラー姿勢調整レバー404Bの先端は、反射ミラー424の上端縁から突出しかつ、部品収納部材401に対して蓋状部材402に接続した際に蓋状部材402の開口402Aを介して突出するので、部品収納部材401内に全ての光学部品41〜44を設置し、部品収納部材401に対して蓋状部材402を接続した後でも、蓋状部材402の開口402Aを介して突出したミラー姿勢調整レバー404Bを動かすことができ、すなわち、反射ミラー424の姿勢調整を実施することができる。したがって、反射ミラー424の姿勢調整後に光学ユニット4の製造を完了することができ、光学ユニット4の製造を迅速に実施できる。
さらに、一対の固定用溝部401Jが部品収納部材401および蓋状部材402を接続した状態で蓋状部材402よりも平面視で外側に位置するように形成されているので、部品収納部材401内に全ての光学部品41〜44を設置し、部品収納部材401に対して蓋状部材402を接続した後でも、反射ミラー424の姿勢調整を実施し反射ミラー424を部品収納部材401に固定する際、一対の固定部404Cと一対の固定用溝部401Jとの間に瞬間接着剤を充填できる。したがって、反射ミラー424の姿勢調整を実施して部品収納部材に対して固定した後に光学ユニット4の製造を完了することができ、光学ユニット4の製造を迅速に実施できる。
【0066】
ところで、膨出部404Aおよび一対の固定部404Cとして、上述したように、取付面404Dから凸曲面404A1の頂部404A3までの高さ寸法をHaとし、取付面404Dから反射ミラー424に離間する方向に突出する突出方向の長さ寸法をHbとした場合に、以下の数2に示す関係を満たすように形成した場合には、以下の問題がある。
【0067】
[数2]
Ha<Hb/2
【0068】
上記数2に示す関係を満たした場合には、反射ミラー424の姿勢調整を実施している際での一対の固定部404Cにおける反射ミラー424から離間する方向に突出する先端部分の移動量が大きくなる。このため、反射ミラー424の姿勢調整を実施している際に、一対の固定部404Cの前記先端部分が一対の固定用溝部401Jの内周面に機械的に干渉しやすい。また、一対の固定部404Cとの機械的な干渉を回避するためには、一対の固定用溝部401Jの溝形状を大きく形成する必要がある。
本実施形態では、上記数1に示す関係を満たすように膨出部404Aおよび一対の固定部404Cを形成しているので、上記数2に示す関係を満たすように膨出部404Aおよび一対の固定部404Cを形成した場合と比較して、反射ミラー424の姿勢調整を実施している際での一対の固定部404Cの前記先端部分の移動量を小さくできる。このため、反射ミラー424の姿勢調整を実施している際に、一対の固定部404Cの前記先端部分が一対の固定用溝部401Jの内周面に機械的に干渉することを回避でき、反射ミラー424の姿勢調整を円滑にかつ、高精度に実施できる。また、一対の固定部404Cとの機械的な干渉を回避するために、一対の固定用溝部401Jの溝形状を大きく形成する必要もない。
さらに、本実施形態では、Ha=Hb/2を満たすように膨出部404Aおよび一対の固定部404Cを形成しているので、一対の固定部404Cにおける反射ミラー424から離間する方向に突出する長さ寸法を必要以上に短くすることがない。このため、一対の固定部404Cと一対の固定用溝部401Jとの固定状態を強固にでき、反射ミラー424の姿勢を良好に維持できる。
【0069】
そしてまた、側壁401Gの左右両端部にはミラー収納用溝部401Kが形成されているので、ミラー収納用溝部401Kに沿って反射ミラー424をスライドさせることで該反射ミラー424を反射ミラー設置部401Fに容易に設置でき、反射ミラー424の設置作業をさらに容易に実施できる。
【0070】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
前記実施形態では、ミラー姿勢調整部材404は、反射ミラー424における反射面の裏面に接着固定されていたが、これに限らず、両面テープ等により取り付ける構成を採用してもよい。
前記実施形態では、膨出部404A、ミラー姿勢調整レバー404B、および一対の固定部404Cは、一体的に形成された構成を説明したが、これに限らない。例えば、膨出部404A、ミラー姿勢調整レバー404B、および一対の固定部404Cをそれぞれ別体で構成してもよい。この際、ミラー姿勢調整レバー404Bは、その先端が反射ミラー424の上端縁から平面的に突出すれば、いずれの位置に固定してもよい。
【0071】
前記実施形態では、一対の固定部404Cは、膨出部404Aを挟んで反射ミラー設置部401Fに対する反射ミラー424の収納方向に直交する方向に並列配置されていたが、これに限らず、膨出部404Aを挟んで配置されていれば、いずれの配置状態を採用してもよい。例えば、一対の固定部404Cを前記収納方向に直交する方向と交差する方向にそれぞれ配置する構成を採用してもよい。
また、前記実施形態では、一対の固定部404Cにおいて、取付面404Dからの突出方向の長さ寸法Hbをそれぞれ同一に設定していたが、これに限らず、上記数1の関係を満たしていれば、異なる長さ寸法で構成してもよい。
【0072】
前記実施形態において、ミラー姿勢調整レバーと膨出部および一対の固定部とを別体で構成し、さらに反射ミラー設置部401Fの起立リブ401Hを省略した構成を採用してもよい。
具体的に、図14は、前記実施形態の変形例を示す図である。
反射ミラー424における反射面の裏面には、前記実施形態で説明した膨出部404Aおよび一対の固定部404Cと、ミラー姿勢調整レバー504Bとが接着固定される。これら膨出部404Aおよび一対の固定部404Cとミラー姿勢調整レバー504Bとは、図14に示すように、別体で構成される。
そして、反射ミラー424を反射ミラー設置部501Fに設置する際には、予め、反射ミラー424の裏面に上述した膨出部404Aおよび一対の固定部404Cの取付面404Dとミラー姿勢調整レバー504Bの基端部分とをそれぞれ接着固定しておく。この状態の反射ミラー424を、反射ミラー設置部501Fの上方から収納方向Rに、ミラー姿勢調整レバー504Bの先端部分が部品収納部材401の外側に位置するように部品収納部材401内に収納する。この際、膨出部404Aの凸曲面404Aが反射ミラー設置部501Fの調整部材当接部401Iに当接するとともに、一対の固定部404Cが反射ミラー設置部501Fの一対の固定用溝部401Jに遊嵌状態で配置される。この状態では、ミラー姿勢調整レバー504Bにより、反射ミラー424が反射ミラー設置部501Fに対して付勢された状態で支持される。
この状態で、ミラー姿勢調整レバー504Bの上方に突出した部位を手で掴み、前記実施形態と同様に、反射ミラー424の姿勢調整を実施する。そして、反射ミラー424の姿勢調整後は、前記実施形態と同様に、一対の固定部404Cと一対の固定用溝部401Jとの間に瞬間接着剤を注入して反射ミラー424を反射ミラー設置部501Fに対して固定する。
このような構成では、前記実施形態と比較して起立リブ401Hを省略でき、光学ユニット4の製造コストの低減を図れるとともに、反射ミラー424の反射ミラー設置部501Fへの設置をさらに容易に実施できる。
【0073】
前記実施形態において、側壁401Gには、左右方向略中心部分に外側に窪むように形成された調整部材当接部401Iを有していたが、調整部材当接部401Iを形成せずに、膨出部404Aの凸曲面404A1を直接、側壁401Gに当接させる構成を採用してもよい。
前記実施形態において、調整部材当接部401Iおよび一対の固定用溝部401Jは、側壁401Gにおける上端縁から下端縁にかけて形成されていたが、これに限らず、膨出部404Aおよび一対の固定部404Cの位置に応じて形成すればよく、下端縁まで形成しなくてもよい。
前記実施形態において、ミラー収納用溝部401Kの形状は、前記実施形態で説明した形状に限らない。反射ミラー424をスライドさせて挿抜可能とする形状であれば、いずれの形状を採用してもよい。
前記実施形態において、反射ミラー424以外の反射ミラー421,432,434も反射ミラー424と同様に、姿勢調整可能に光学部品用筐体40に保持される構成を採用してもよい。
【0074】
前記実施形態では、3つの液晶パネル441R,441G,441Bを用いたプロジェクタ1を説明したが、これに限らない。例えば、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光学部品用筐体40は、平面視略L字状の形状を有していたが、その他の形状を採用してもよく、例えば、平面視略U字状の形状としてもよい。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の光変調装置を用いたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の光変調装置を用いてもよい。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを説明したが、本発明では、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、反射ミラー424の保持構造をプロジェクタ1に採用した構成を説明したが、これに限らず、その他の光学機器に前記反射ミラーの保持構造を採用してもよい。
【0075】
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の光学装置は、部品点数を削減し製造コストを低減できるとともに、反射ミラーの設置および姿勢調整を容易に実施できるため、ホームシアターやプレゼンテーションで利用されるプロジェクタの光学装置として有用である。さらに、本発明の光学装置を製造する時、光軸調整を行う特別の装置、治具を必要とせず、製造コスト低減に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施形態に係る光学装置を備えたプロジェクタを上方から見た全体斜視図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタを下方から見た全体斜視図。
【図3】前記実施形態におけるプロジェクタの内部を示す斜視図。
【図4】前記実施形態におけるプロジェクタの内部を示す斜視図。
【図5】前記実施形態におけるプロジェクタの内部を示す斜視図。
【図6】前記実施形態における光学ユニットの内部を示す斜視図。
【図7】前記実施形態における光学ユニットの光学系を模式的に示す図。
【図8】前記実施形態における電気光学装置を示す分解斜視図。
【図9】前記実施形態におけるプロジェクタの冷却系を示す図。
【図10】前記実施形態における反射ミラーの保持構造を示す分解斜視図。
【図11】前記実施形態におけるミラー姿勢調整部材の構造を示す図。
【図12】前記実施形態における反射ミラーの保持構造を上方側から見た平面図。
【図13】前記実施形態における蓋状部材に対する一対の固定用溝部の位置を説明するための図。
【図14】前記実施形態の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0078】
1・・・プロジェクタ、3・・・投射レンズ(投射光学装置)、4・・・光学ユニット(光学装置)、40・・・光学部品用筐体、401・・・部品収納部材、401B1・・・開口部、401G・・・側壁、401J・・・固定用溝部、401K・・・ミラー収納用溝部、402・・・蓋状部材、402A・・・開口、404A・・・膨出部、404B,504B・・・ミラー姿勢調整レバー、404C・・・固定部、411・・・光源装置、424・・・反射ミラー、441R,441G,441B・・・液晶パネル(光変調装置)、A・・・照明光軸、R・・・収納方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光束の光路上に配置される反射ミラーを含む複数の光学部品と、内部に前記光束の照明光軸が設定され、前記複数の光学部品を前記照明光軸に対する所定位置に収納保持する光学部品用筐体とを備えた光学装置であって、
前記光学部品用筐体は、開口部を有し前記開口部を介して前記複数の光学部品が内部に収納される容器状の部品収納部材と、前記部品収納部材の前記開口部を閉塞する蓋状部材とで構成され、
前記反射ミラーは、前記部品収納部材の側壁に沿って設置され、
前記反射ミラーにおける反射面の裏面に取り付けられ前記反射ミラーの面外方向に膨出して凸曲面形状を有し前記反射ミラーが前記側壁に沿って設置された際に前記側壁に当接する膨出部と、前記反射ミラーにおける反射面の裏面にそれぞれ取り付けられ前記膨出部を挟むようにそれぞれ配置され前記反射ミラーの面外方向に突出する一対の固定部とを備え、
前記側壁には、前記部品収納部材への前記反射ミラーの収納方向に沿って延出し、前記反射ミラーを前記部品収納部材に収納する際に前記一対の固定部の移動を案内しかつ、前記一対の固定部を遊嵌状態で配置可能とする一対の固定用溝部が形成されていることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学装置において、
前記反射ミラーにおける反射面の裏面に取り付けられ、前記反射ミラーの裏面に沿って延出し前記反射ミラーの端縁から平面的に突出するミラー姿勢調整レバーを備えていることを特徴とする光学装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学装置において、
前記膨出部、前記一対の固定部、および前記ミラー姿勢調整レバーは、一体的に形成された成形品であることを特徴とする光学装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の光学装置において、
前記蓋状部材には、前記反射ミラーの設置位置に対応して開口が形成され、
前記ミラー調整レバーは、前記反射ミラーが前記光学部品用筐体に設置された際、その先端が前記蓋状部材の開口を介して突出することを特徴とする光学装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学装置において、
前記膨出部および前記一対の固定部は、前記膨出部の膨出方向の高さ寸法をHa、前記一対の固定部の突出方向の長さ寸法をHbとすると、Hb/2≦Ha<Hbの関係を満たすように形成されていることを特徴とする光学装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学装置において、
前記一対の固定用溝部は、前記部品収納部材および前記蓋状部材を組み合わせた状態で前記蓋状部材と平面的に干渉しない位置に形成されていることを特徴とする光学装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学装置において、
前記側壁には、前記反射ミラーの平面方向に沿って延出し、前記反射ミラーが挿抜可能とされるミラー収納用溝部が形成されていることを特徴とする光学装置。
【請求項8】
光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、前記光変調装置にて形成された光学像を拡大投射する投射光学装置とを備えるプロジェクタであって、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学装置を備えていることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−78567(P2006−78567A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259830(P2004−259830)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】