説明

光学装置

【課題】好適な温度特性を有する光学装置を提供する。
【解決手段】光が通過可能な光通過領域の外側に備えられ、Lab表色系における明度Lが40未満であって、波長900nm以上1700nm未満の光の反射率が30%以上となる第1層(32)と、前記光透過領域の外側であって前記第1層の内側に備えられ、金属粉(38)を含有する第2層(33)とを含むことを特徴とする光学装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラに備えられるレンズ鏡筒等の光学装置は、野外でのイベント撮影等に用いられた場合のように、太陽光のような赤外線を含む光線を多量に照射される環境下で使用される場合がある。従来技術に係る光学装置では、太陽光が多量に照射される環境下で用いられた場合、輻射熱によって光学装置の温度が上昇するという問題が発生している。
【0003】
レンズ鏡筒等の温度上昇を防止するための従来技術としては、例えば筐体の表面に可逆感温変色層を備えた光学装置が知られている(特許文献1等参照)。しかし、従来技術に係る光学装置は、輻射熱による光学装置の温度上昇を十分に抑制することができず、特に濃色の外装の場合に日照による温度上昇を抑制することは困難であった。
【0004】
また、レンズ鏡筒のような光学装置は、撮影者等が光学装置の表面を直接手で振れて操作できるように設計されているものが多く存在する。しかし、従来技術に係る光学装置は、太陽光を照射される環境で使用される際、その輻射熱によって表面温度が上昇し、光学装置の操作が快適に行えない状態となる場合があり、問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−49370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、好適な温度特性を有する光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る光学装置は、
光が通過可能な光通過領域(15)の外側に備えられ、Lab表色系における明度Lが40未満であって、波長900nm以上1700nm未満の光の反射率が30%以上となる第1層(32,132)と、
前記光透過領域と前記第1層との間に備えられ、金属粉(38,138)を含有する第2層(33,133)とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の観点に係る光学装置は、
光が通過可能な光通過領域(15)の外側に備えられ、Lab表色系における明度Lが40以上70未満であって、波長900nm以上1700nm未満の光の反射率が50%以上となる第1層(32,132)と、
前記光透過領域と前記第1層との間に備えられ、金属粉(38,138)を含有する第2層(33,133)とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第3の観点に係る光学装置は、
光が通過可能な光通過領域(15)の外側に備えられ、Lab表色系における明度Lが70以上であって、波長900nm以上1700nm未満の光の反射率が70%以上となる第1層(32,132)と、
前記光透過領域と前記第1層との間に備えられ、金属粉(38,138)を含有する第2層(33,133)とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、例えば、前記第2層は、前記金属粉が内部に分散された樹脂(39,139)を有してもよい。
【0011】
また、例えば、前記金属粉は平板形状を有してもよい。
【0012】
また、例えば、前記第2層は、Lab表色系における明度Lが70以上であってもよい。
【0013】
また、例えば、前記金属粉は、Au,Ag,Al,Ni,Cuのうちいずれかの金属元素を含んでいてもよい。
【0014】
また、例えば、前記第2層は、塗布により形成された膜であってもよい。
【0015】
また、例えば、前記第1層は、塗布により形成された膜であってもよい。
【0016】
また、例えば、前記第1層は、Si,Al,Ti,Fe,Zn,Co,Mg,Ca,Sr,Ba,Cuのうちから選択された少なくとも1つの元素を含有してもよい。
【0017】
また、例えば、前記第2層の厚みは、前記第1層の厚みより薄くてもよい。
【0018】
また、例えば、前記第1層は、前記金属粉より粒径が小さい金属粉(148)を含んでもよい。
【0019】
また、例えば、前記第1層は、遮熱性能を有する遮熱顔料(36,136)を有し、前記第1層の金属粉は、前記遮熱顔料より小さくてもよい。
【0020】
また、例えば、前記第1層は、前記第2層より金属光沢が少なくてもよい。
【0021】
また、例えば、前記第1層の金属粉は、ITO(スズドープ酸化インジウム)および酸化亜鉛のうち少なくとも1つからなるものであってもよい。
【0022】
また、例えば、前記第2層の金属粉は、金属単体および合金のうち少なくとも1つを含有するものであってもよく、前記第1層の金属粉は、金属酸化物を含有するものであってもよい。
【0023】
なお上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るレンズ鏡筒の全体図である。
【図2A】図2Aは、図1に示すレンズ鏡筒における第1領域の断面図である。
【図2B】図2Bは、第1に示すレンズ鏡筒における第2領域の断面図である。
【図3】図3は、図2Aに示す第1領域の表面付近の拡大図である。
【図4】図4は、遮熱塗膜および非遮熱塗膜に光が照射された場合の照射光波長と反射率との関係を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態の変形例に係る筐体の断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係るレンズフードの全体図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る支持台取付部の全体図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係るカメラの全体図である。
【図9】図9は、本発明の実施例について行った照射実験の実験装置の概略図である。
【図10】図10は、照射実験で用いたサンプルの概略断面図である。
【図11】図11は、照射実験結果の一例を表すグラフである。
【図12】図12は、第2実施形態に係るレンズ鏡筒における第1領域の表面付近を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るレンズ鏡筒10の全体図である。レンズ鏡筒10は、レンズ鏡筒10の外周を構成する筐体12を有している。筐体12は、無底の略円筒形状を有している。筐体12の内側には、筐体12の中心軸Lに沿う方向に、光が通過可能な光通過領域15が形成されている。
【0026】
筐体12の内部に形成されている光通過領域15には、光学レンズ群13が備えられる。光学レンズ群13は、レンズ鏡筒10の一方の端部である被写体側の端部12aから入射した光を、レンズ鏡筒10の他方の端部である撮像面側の端部12bに、出射する。また、本実施形態に係るレンズ鏡筒10は、被写体側から入射した光の像を、当該光を撮像面側に出射した後の所定の位置で、形成できる。
【0027】
レンズ鏡筒10の外周を形成する筐体12の撮像面側の端部12bには、不図示のカメラ本体部が取り付けられる。カメラ本体部は、レンズ鏡筒10に備えられる光学レンズ群13によって形成される光の像を記録する記録媒体等を有する。また、筐体12の被写体側の端部12aには、レンズ鏡筒10の光通過領域15に不要な光が入射することを防止するために、図6に示すようなレンズフード50を取り付けることができる。
【0028】
なお、実施形態では主としてレンズ鏡筒10を例に挙げて説明を行うが、本発明に係る光学装置としては、これに限定されない。本発明に係る光学装置としては、レンズ鏡筒の他に、例えばレンズフード、カメラボディおよびカメラ(レンズ鏡筒とカメラとが一体化したもの)等が挙げられる。また、本発明に係る光学装置は、スチルカメラや、スチルカメラに備えられるレンズ鏡筒に限定されるものではなく、ビデオカメラ、テレコンバータ、望遠鏡、双眼鏡、単眼鏡を含む。
【0029】
図1に示すレンズ鏡筒10は、筐体12を支持する支持台を取付け可能な支持台取付部16を有する。支持台取付部16は、レンズ鏡筒10の筐体12を挿通させるリング部17と、三脚等の支持台を取付けるための支持台固定孔28が形成されている座部18とを有する。また、支持台取付部16のリング部17には、筐体12に対して支持台取付部16を固定するための取付ねじ19が備えられている。
【0030】
また、レンズ鏡筒10には、レンズ鏡筒10に備えられる光学レンズ群13の焦点調整を行うための回転環14が取り付けられている。回転環14は、光学レンズ群13を構成する焦点調整レンズの移動を操作するための操作部材である。レンズ鏡筒10およびカメラ等を使用する撮影者は、回転環14を回転させることによって、光学レンズ群13の一部である焦点調整レンズの移動を操作し、レンズ鏡筒10の焦点調整を行うことができる。
【0031】
なお、レンズ鏡筒10に取り付けられる回転環14は、本実施形態のように光学レンズ群13の焦点調整を行うフォーカス環に限られない。例えば、光学レンズ群13と撮像面の焦点距離を調整するズーム環や、光学レンズ群13を透過する光の量を調整する絞り環等であってもよい。
【0032】
筐体12には、赤外線の反射率が互いに異なる第1領域24(図1において斜線でハッチングを施した部分)と第2領域26が形成されている。後述のように、第1領域24には遮熱塗膜層と下地層とが備えられており、第2領域26には非遮熱塗膜層が備えられている。
【0033】
本実施形態のレンズ鏡筒10に備えられる筐体12は、筐体12の中心軸Lに沿って回転環14より被写体側に、第1領域24を有する。また、筐体12は、回転環14より撮像面側に、第2領域26を有する。第1領域24には、図2Aに示すように、筐体本体部30の外周面に沿って遮熱塗膜層32と下地層33とが備えられる。それに対して、第2領域26には、図2Bに示すように、筐体本体部30の外周面に沿って非遮熱塗膜層34が備えられる。
【0034】
図2Aは、図1におけるIIA−IIA線に沿う断面図であり、筐体12の第1領域24の断面を表している。なお、筐体本体部30の内側に備えられる光学レンズ群13等については、図示を省略している。
【0035】
図2Aに示すように、第1領域24では、光通過領域15が内部に備えられる筐体12の外側表面に、遮熱塗膜層32が備えられる。さらに、遮熱塗膜層32の内側には下地層33が備えられており、下地層33の内側には筐体本体部30が備えられる。
【0036】
第1実施形態に係る遮熱塗膜層32は、図3に示すように、塗膜aによって構成されている。塗膜aは、図4に示すように、可視光領域(波長400nm以上800nm以下)の光の反射率が約10%で、Lab表色系における明度Lが40未満であり、黒色に近い色に見える塗膜である。また、塗膜aは、赤外線領域(波長900nm以上1700nm未満)の光の反射率が、約40%である。
【0037】
塗膜aは、黒色に近い色に見える塗膜であるが、同程度の明度を有する他の塗膜(例えば塗膜d)に比べて、物体に熱エネルギーを与える光を反射する反射率が高い。すなわち、可視領域の光の反射率については、塗膜aも、塗膜dもほぼ同等であり、約10%の反射率を有している。しかし、赤外線領域の光の反射率については、塗膜dが可視光領域とほぼ同じの約10%の反射率しか有しないのに対して、塗膜aは、可視光領域の光の反射率より30%程度高い約40%の反射率を有する。
【0038】
遮熱塗膜層32を構成する塗膜としては、塗膜aのように、赤外線領域の光の反射率が、可視光領域の光の反射率より10%以上高いことが好ましく、20%以上高いことがさらに好ましい。ここで、塗膜の反射率のうち、赤外線領域の光の反射率は、以下の式1を用いて表される。
【0039】
【数1】

【0040】
数式1において、Rλ(i)は各波長λ(i)の光の反射率、λ(i)はλ(1)=900,λ(2)=910,λ(3)=920,・・・λ(n)=1700nmとする。
【0041】
また、塗膜の反射率のうち、可視光領域の光の反射率は、以下の式2を用いて表される。
【0042】
【数2】

【0043】
数式2において、Rλ(i)は各波長λ(i)の光の反射率、λ(i)はλ(1)=400,λ(2)=410,λ(3)=420,・・・λ(n)=800nmとする。
【0044】
図3に示すように、塗膜aは、樹脂部37と、塗膜aの反射率を高めるための赤外線反射顔料36とを含む。樹脂部37は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フタル樹脂等によって構成されるが、特に限定されない。なお、樹脂部37の構成は、遮熱塗膜層32の塗膜性能等を考慮して決定される。
【0045】
赤外線反射顔料36は、主として赤外線の反射率を向上させる目的で、遮熱塗膜層32に含有される顔料である。赤外線反射顔料36は、例えば、Si,Al,Ti,Fe,Zn,Co,Mg,Ca,Sr,Ba,Cuのうちから選択された少なくとも1つの元素を含有し、赤外域の反射率が高い。また、赤外線反射顔料36の形状としては特に限定されないが、板状もしくは箱形形状を有することが、遮熱塗膜層32に入射した赤外線を効率的に反射するために好ましい。
【0046】
図2Aに示すように、筐体12の第1領域24では、遮熱塗膜層32の内側に下地層33が備えられる。本実施形態における下地層33は、図3に示すように、金属粉38が内部に分散された樹脂部39を有する。下地層33に含まれる金属粉38としては、特に限定されないが、日照反射率が高く、酸化しにくい金属粉が好ましく、たとえばAu,Ag,Al,Ni,Cuのうちいずれかの金属元素を含むものが好ましい。金属粉38は、単体金属の粉末であってもよく、合金の粉末であってもよい。下地層33に含まれる金属粉38の量としては、特に限定されないが、重量比で下地層33全体の5%〜20%程度とすることが好ましい。また、下地層33は、金属粉を8〜12重量%程度含むことが更に好ましい。金属粉38の形状および粒径についても、特に限定されないが、金属粉38が平板形状を有することが、下地層33の反射率を向上させる観点から好ましい。なお、本実施形態に係る下地層33は、遮熱塗膜層32とは異なり、赤外線反射顔料36を含有しない。
【0047】
下地層33における樹脂部39は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フタル樹脂等によって構成されるが、特に限定されない。なお、樹脂部39の構成は、筐体本体部30および遮熱塗膜層32に対する下地層33の密着性や、金属粉38の樹脂部39に対する分散性等を考慮して決定される。筐体本体部30および遮熱塗膜層32に対する下地層33の密着性は、筐体本体部30に対する遮熱塗膜層32の密着性より高いことが好ましく、この場合、下地層33は、遮熱塗膜層32の筐体本体部30への固着性を高めるプライマー層の役割を兼ねる。
【0048】
下地層33の色は、特に限定されないが、Lab表色系における明度Lが70以上であることが好ましい。下地層33の明度Lが高い場合、一般的には、赤外線領域の光の反射率も高い傾向にあるため、このような下地層33は、下地層33に入射する赤外線を効率的に反射することができる。
【0049】
図2Bは、図1におけるIIB−IIB線に沿う断面図であり、筐体12の第2領域26の断面を表している。なお、筐体本体部30の内側に備えられる光学レンズ群13等については、図示を省略している。
【0050】
図2Bに示すように、第2領域26では、光通過領域15が内部に備えられる筐体12の最外側表面に、非遮熱塗膜層34が備えられる。
【0051】
本実施形態に係る非遮熱塗膜層34は、図4に示す塗膜dによって構成されている。塗膜dは、遮熱塗膜層32を構成する塗膜aと同様に、黒色に近い色に見える塗膜であるが、先述のように、塗膜aに比べて、物体に熱エネルギーを与える光を反射する反射率が低い。
【0052】
筐体12の第1領域24に備えられる遮熱塗膜層32および下地層33は、例えば、遮熱塗膜層32(塗膜a)および下地層33の原料となる塗料を、筐体本体部30に塗布することによって形成される。図2Aに示す第1領域24を形成する場合、まず、筐体本体部30の外側表面に、スプレー塗布等によって下地層33を形成する(図3)。さらに下地層33の上に、塗膜aからなる遮熱塗膜層32を、スプレー塗布等によって形成する。なお、下地層33は、金属を含む薄膜であってもよく、この場合、下地層は、筐体本体部30の表面に蒸着またはスパッタ、イオンプレーティングなどのドライメッキ等により形成される。
【0053】
また、図2Bに示す第2領域26を形成する場合は、筐体本体部30の外側表面に塗膜dからなる非遮熱塗膜層34を、スプレー塗布等によって形成する。なお、筐体本体部30は、Mg、Al等を含む金属材料や、ポリカーボネイト等の樹脂材料によって形成されている。
【0054】
本実施形態に係るレンズ鏡筒10では、図2Aおよび図3に示すように、第1領域24に、遮熱塗膜層32が備えられる。遮熱塗膜層32は、Lab表色系における明度Lが40未満であり黒色に近い色に見える塗膜aによって構成されており、赤外線領域の光の反射率が30%以上であるため、同程度の明度を有する他の塗膜に比べて物体に熱エネルギーを与える光を反射する反射率が高い。
【0055】
したがって、本実施形態に係るレンズ鏡筒10は、例えば太陽光が多量に照射される環境下で用いられた場合でも、遮熱塗膜層32が赤外線を反射することによって、筐体12の温度が上昇することを効果的に防止することができる。また、筐体12の温度上昇が防止されるため、レンズ鏡筒10を使用する撮影者等は、レンズ鏡筒10の表面を直接手で振れながら、レンズ鏡筒10を快適に操作することができる。
【0056】
また、遮熱塗膜層32を構成する塗膜aは、Lab表色系における明度Lが40未満であり、黒色に近い色に見える。筐体12の外側表面は、遮熱塗膜層32の色である黒色に近い色に見えるため、筐体12は、白色等の明度Lが高い塗膜を備える筐体12に比べて目立ちにくい。したがって、黒色に近い色に見える筐体12を備えるレンズ鏡筒10は、スポーツ競技等の撮影に用いられる場合であっても、観客のスポーツ観戦等の妨げになりにくい。
【0057】
さらに、筐体12の第1領域24には、図2Aに示すように、遮熱塗膜層32の内側に金属粉38を含む下地層33が備えられる。下地層33は、赤外線および可視光線の反射率が高い金属粉38を含むため、赤外線のように物体に熱エネルギーを与える光を、効率的に反射することができる。したがって、下地層33は、下地層33の外側に備えられる遮熱塗膜層で反射できなかった日照等に含まれる赤外線を反射することができる。
【0058】
このように、遮熱塗膜層32と、遮熱塗膜層32の内側に備えられる下地層33とを有する本実施形態に係るレンズ鏡筒10は、遮熱塗膜層32だけでなく、下地層33も高い反射率で赤外線を反射するので、筐体12の温度上昇を効果的に防止することができる。
【0059】
また、下地層33は、遮熱塗膜層32の内側(下層)に備えられるため、筐体12の外側表面の色(外見の色)に与える影響が少ない。したがって、下地層33の明度Lを高く(例えば70以上)とし、遮熱塗膜層32を下地層33より明度Lの低い塗膜によって構成することも可能である。これによって、本実施形態に係るレンズ鏡筒10は、筐体12の外側表面の色の明度が低く目立ちにくいという特徴を有しつつ、筐体12の温度上昇を効果的に防止できる。
【0060】
明度Lの低い塗膜は、可視光領域の光の反射率が低く、また、一般的には、赤外線領域の光の反射率も低い傾向にある。そのため、明度Lの低い塗膜の場合、たとえ赤外線反射顔料36や金属粉38を添加しても、赤外線領域の光の反射率の値(絶対値)が高い塗膜を得ることが難しい。その反対に、明度Lの高い塗膜では、可視光領域の光の反射率が高く、また、一般的には、赤外線領域の光の反射率も高い傾向にある。そのため、明度Lの高い塗膜の場合、比較的容易に赤外線領域の光の反射率の値(絶対値)が高い塗膜を得られる。
【0061】
さらに、下地層33は、遮熱塗膜層32の筐体本体部30への固着性を高めるプライマー層の役割を兼ねてもよい。また、下地層33がプライマー層の役割を兼ねる場合は、下地層33の厚さを遮熱塗膜層32より薄くすることが、遮熱塗膜層32の塗膜強度等を確保する観点から好ましい。
【0062】
図1に示すように、本実施形態に係るレンズ鏡筒10では、遮熱塗膜層32および下地層33を有する第1領域24が、筐体12の被写体側の領域に備えられている。したがって、レンズ鏡筒10は、撮影者が直接手で触れやすい部分である筐体12の被写体側の部分について、筐体12の温度上昇を効果的に防止することができる。例えば、第1領域24は、筐体12の被写体側の端部12aから3分の2よりも被写体側の部分に備えられることが好ましい。
【0063】
野外での撮影に好適に用いられる望遠レンズ等のレンズ鏡筒10は、重量が大きいものも多い。したがって、このようなレンズ鏡筒10を用いる撮影者等は、筐体12の被写体側部分に片手を添えた状態で、撮影を行うことが多いからである。また、レンズ鏡筒10に備えられる回転環14は、撮影者の手元に近い側に配置したほうが操作し易いため、第1領域24より撮像面側に備えられることが好ましい。
【0064】
またレンズ鏡筒10は、レンズ鏡筒10に備えられた支持台取付部16に三脚等の支持台を取り付けて、レンズ鏡筒10を三脚等によって支持した状態で用いられる場合もある。このような場合、撮影者等は、筐体12の被写体側部分を一方の手で触り、他方の手をカメラのレリーズボタンに添えることによってレンズ鏡筒10を両手で保持し、レンズ鏡筒10を安定させた状態で撮影を行うことが多い。図1に示すレンズ鏡筒10は、支持台取付部16より被写体側に第1領域24が備えられるため、レンズ鏡筒10における被写体側の部分の温度上昇を効果的に防止することができる。したがって、本実施形態に係るレンズ鏡筒10は、このような使用に適している。
【0065】
第1領域24は、筐体12の外側表面全体に備えられていても良いが、本実施形態に係るレンズ鏡筒10のように、筐体12の一部には、非遮熱塗膜34を有する第2領域26が備えられていても良い(図1)。例えば、第2領域26は、筐体12の内部に備えられるモータまたは電子基板等の発熱源に近接するように備えられていてもよい。これによって、レンズ鏡筒10は、筐体12の内部で発生した赤外線(放射熱)を、非遮熱塗膜34が備えられており、比較的赤外線の反射率の低い第2領域26から放出することによって、筐体12の温度上昇を抑制できる。
【0066】
第1実施形態に係るレンズ鏡筒10における第1領域24は、図3に示すように、塗膜aによって構成される遮熱塗膜層32と、金属粉38が内部に分散された下地層33とを有する。しかし、第1領域24に備えられる遮熱塗膜層32は、塗膜aに限定されず、例えば図4に示す塗膜b,c,eであってもよい。
【0067】
塗膜bは、図4に示すように、可視光領域の光の反射率が約25%で、Lab表色系における明度が40以上70未満である。また、塗膜bは、赤外線領域の光の反射率が、約60%である。塗膜bは、第1実施形態において説明した塗膜aと同様に、塗膜bと同程度の明度を有する他の一般的な塗膜に比べて、赤外線領域の光の反射率が高い。また、塗膜bは、赤外領域の光の反射率が、可視光領域の光の反射率(約25%)より約35%高い。
【0068】
また塗膜cは、図4に示すように、可視光領域の光の反射率が約65%で、Lab表色系における明度が70以上である。また、塗膜cは、赤外線領域の光の反射率が、約85%である。塗膜cは、塗膜aおよび塗膜bと同様に、塗膜cと同程度の明度を有する他の一般的な塗膜に比べて、赤外線領域の光を反射する反射率が高い。また、塗膜cは、赤外領域の光の反射率が、可視光領域の光の反射率(約65%)より約15%高い。
【0069】
遮熱塗膜層32は、図4に示す、塗膜a〜cのように、赤外線領域(波長900nm〜1700nm)の光に対して、略一定の反射率を有していても良いが、これに限定されない。たとえば、塗膜eにように、一部の波長の光に対して反射率が低くても、数式1で示す赤外線の反射率が、数式2で示す可視光の反射率に対して高いものであれば、遮熱塗膜層32を構成する塗膜として好適である。
【0070】
図4に示す塗膜b,c,eによって、第1領域24における遮熱塗膜層を構成した場合であっても、これらの遮熱塗膜層および下地層33を備える筐体は、赤外線領域の光の反射率が高く、遮熱性の高い筐体を実現できる。したがって、塗膜b,c,eによって構成される遮熱塗膜層と、下地層33とを備えるレンズ鏡筒は、第1実施形態に係るレンズ鏡筒10と同様の効果を有する。
【0071】
また、図1に示す筐体12は、筐体12の被写体側に第1領域24が備えられ、撮像面側に第2領域26が備えられるが、第1領域24および第2領域26の配置としてはこれに限定されない。例えば図5に示す筐体46のように、筐体46の上方側に第1領域24が備えられ、下方側に第2領域26が備えられていても良い。距離目盛り20等が配置される筐体46の上方側は、上方から日照等を浴びやすいため、上方側に赤外線の反射率が高い第1領域24を配置したレンズ鏡筒は、日照等による温度上昇を効果的に防止することができる。
【0072】
第1領域24が備えられる筐体としては、図1に示すレンズ鏡筒10の筐体12に限られない。例えば、図6において斜線ハッチングで示すように、第1領域24は、レンズフード50の筐体51に備えられてもよい。これによって、レンズフード50は、太陽光等からの赤外線の照射によって、筐体51の温度が上昇することを抑制することができる。
【0073】
また、図7において斜線ハッチングで示すように、第1領域24は、支持台取付部54の筐体55に備えられてもよい。これによって、支持台取付部54は、太陽光等からの赤外線の照射によって、筐体55の温度が上昇することを抑制することができる。あるいは、図8に示すように、第1領域24は、レリーズボタン59等を有するカメラ61の筐体57に備えられてもよい。これによって、カメラ61は、太陽光等からの赤外線の照射によって、筐体57の温度が上昇することを抑制することができる。
【0074】
第2実施形態
図12は、第2実施形態に係るレンズ鏡筒の第1領域124の断面を拡大した拡大断面図であり、第1実施形態に係るレンズ鏡筒10における図3に相当する図である。第2実施形態に係るレンズ鏡筒は、第1領域124の構成が異なる他は、第1実施形態に係るレンズ鏡筒10と同様であるため、第1実施形態と同様の部分については、説明を省略する。
【0075】
図12に示すように、第1領域124では、光通過領域が内部に備えられる筐体の外側表面に、遮熱塗膜層132が配置されている。遮熱塗膜層132の内側には、下地層133が備えられており、下地層133の内側には筐体本体部130が備えられる。
【0076】
筐体本体部130は、第1実施形態に係る筐体本体部30と同様に、Mg、Al等を含む金属材料、カーボン、またはポリカーボネイト等の樹脂材料によって形成されている。下地層133は、第1実施形態に係る下地層33と同様であり、樹脂部139と第1金属粉138とを含む。すなわち、第1金属粉138は、第1実施形態の下地層33における金属粉22と同様の金属粉であり、樹脂部139についても、第1実施形態に係る樹脂部39と同様である。
【0077】
本実施形態において、下地層133は、筐体本体部130の外表面に形成されているが、下地層133と筐体本体部130の間には、下地層133と筐体本体部130の固着性を高めるためのプライマー層が形成されていてもよい。
【0078】
下地層133の外側には、遮熱塗膜層132が備えられている。遮熱塗膜層132は、樹脂部137と、遮熱顔料136と、第2金属粉148を有する。下地層133の樹脂部137は、第1実施形態に係る樹脂部37と同様である。
【0079】
遮熱顔料136は、第1領域124または遮熱塗膜層132における赤外線の反射率を向上させる目的で、遮熱塗膜層132に含有される顔料である。遮熱顔料136は、例えば、Si,Al,Ti,Fe,Zn,Co,Mg,Ca,Sr,Ba,Cuのうちから選択された少なくとも1つの元素を含有し、赤外線の透過率が高い。
【0080】
また、遮熱塗膜層132には、遮熱顔料136に加えて、第2金属粉148が含まれる。第2金属粉148は、遮熱塗膜層132の中に伝導電子を付与し、遮熱塗膜層132の熱伝導を向上させる。第2金属粉148は、下地層133に含まれる第1金属粉138より小さい。第2金属粉148の粒径は、数nm〜数十nmとすることが、第2金属粉148の添加によって生じる遮熱塗膜層132の色の変化を抑制する観点から好ましい。これに対して、下地層133に含まれる第1金属粉138の粒径は、数μm〜数十μmとすることが、赤外線の反射率を向上させる観点から好ましい。
【0081】
また、第2金属粉148は、遮熱塗膜層132に含まれる遮熱顔料136よりも小さいことが好ましい。第2金属粉148は、第2金属粉148の添加によって生じる遮熱塗膜層132の色の変化を抑制する観点から、十分に小さい大きさとすることが好ましいからである。
【0082】
遮熱塗膜層132に含まれる第2金属粉148としては、特に限定されないが、例えば金属酸化物からなることが好ましく、例えば、ITOまたは酸化亜鉛のような透明導電体からなることが特に好ましい。これによって、第2金属粉148の添加によって第1領域124に金属光沢が発生したり、第2金属粉148の添加によって遮熱塗膜層132の色が変化することを、効果的に防止することができる。一方、下地層133に含まれる第1金属粉138は、赤外線だけでなく可視光の反射率も高い金属単体または合金を用いても問題ない。下地層133の表面が遮熱塗膜層132に覆われており、下地層133による可視光の反射が、第1領域124の外観色に与える影響が少ないためである。
【0083】
また、遮熱塗膜層132は、下地層133より金属光沢が少ないことが好ましい。第1領域124の表面に配置されている遮熱塗膜層132の金属光沢を少なくすることによって、レンズ鏡筒が野外イベント撮影等で使用された場合でも、レンズ鏡筒の筐体が太陽光等を反射して目立つことを防止できる。
【0084】
第2実施形態に係る遮熱塗膜層132も、第1実施形態に係る遮熱塗膜層32(図3)と同様に、可視光領域および赤外線領域の光に対して、図4の塗膜aと同様の反射率を有する。すなわち、遮熱塗膜層132は、可視光領域(波長400nm以上800nm以下)の光の反射率が約10%で、Lab表色系における明度Lが40未満であり、黒色に近い色に見える塗膜である。また、遮熱塗膜層132は、赤外線領域(波長900nm以上1700nm未満)の光の反射率が、約40%である。ただし、遮熱塗膜層132としては、図4の塗膜aと同様の反射率を有するものに限定されず、図4の塗膜b,c,eと同様の反射率を有するものであってもよい。
【0085】
第1領域124に備えられる遮熱塗膜層132および下地層133は、第1実施形態に係る遮熱塗膜層132および下地層33と同様に、遮熱塗膜層132および下地層133の原料となる塗料を、筐体本体部130に塗布することによって形成することができる。この際、塗料の塗布は、スプレー塗布等によって行うことができる。
【0086】
第2実施形態に係るレンズ鏡筒では、遮熱塗膜層132の中に、下地層133に含まれる第1金属粉138より小さい第2金属粉148が含まれる。第2金属粉148は、遮熱塗膜層132の熱伝導を向上させるため、本実施形態に係るレンズ鏡筒は、筐体の一部だけに太陽光等を浴びるような場合であっても、遮熱塗膜層132の一部だけが局所的に熱くなることを防止することができる。したがって、本実施形態に係るレンズ鏡筒は、太陽光が筐体の一部だけに連続的に照射されるおそれのある野外撮影等においても好適に用いられる。また、本実施形態に係る遮熱塗膜層132は、熱伝導性に優れているため、第1領域124の一部分に太陽光を照射された場合でも、第1領域124全体から効率的に放熱することができる。
【0087】
また、第2金属粉148は、第1金属粉138より小さいため、第2金属粉148を遮熱塗膜層132に添加したことによって生じる第1領域124の色の変化を抑制することができる。これにより、本実施形態に係るレンズ鏡筒は、遮熱性能を有しているにもかかわらず、筐体の外観色を大きく制限されることがないため、より自由なデザインを選択することができる。また、第2実施形態に係るレンズ鏡筒は、第1実施形態に係るレンズ鏡筒と同様の効果を奏する。
【0088】
実施例
以下に、実施例に基づき、上述の実施形態に係る筐体の温度特性を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例では、図3に示すような第1領域24の温度特性を評価するために、図9および図10に示すような筐体サンプル70を用意した。
【0089】
筐体サンプル70は、図9に示すように、外寸法が約縦50mm×横150mm×厚み1mmの矩形平板形状を有する。また、筐体サンプル70は、図10に示すように、マグネシウム合金板72と、下地層74と、遮熱塗膜層76とによって構成される。
【0090】
マグネシウム合金板72は、光学装置の筐体として用いられるものと同様の材料によって作成されており、第1実施形態に係るレンズ鏡筒10における筐体本体部30(図3)に相当する。マグネシウム合金板72の一方の表面に、スプレー塗布によって下地層74を形成し、その下地層74の上に、スプレー塗布によって遮熱塗膜層76を形成することによって、図10に示す筐体サンプル70を得た。
【0091】
筐体サンプル70としては、表1に示すように、下地層74が互いに異なる4種類(サンプルNo.1〜No.4)を作成した。サンプルNo.1〜No.3は、実施例1〜3として用意したサンプルであり、これらの筐体サンプル70の下地層74は、表1に示すように、金属粉38が内部に分散された樹脂により構成される(図3参照)。サンプルNo.1〜No.3に係る筐体サンプル70の下地層74は、厚さが異なるのみで、組成は同一である。実施例1〜3に係る下地層74を構成する塗膜としては、金属粉を5〜20重量%含むものを使用した。なお、下地層74を構成する塗膜は、金属粉を8〜12重量%程度含むことが更に好ましい。
【0092】
【表1】

【0093】
サンプルNo.4は参考例として用意したサンプルであり、サンプルNo.4の下地層74は、金属粉を含まない樹脂により構成される。なお、遮熱塗膜層76は、4つのサンプルとも同様であり、厚さ30μmの塗膜a(図3および図4参照)である。
【0094】
準備した各筐体サンプル70(サンプルNo.1〜No.4)に、図9に示すように熱電対80を取り付けたのち、遮熱塗膜側74側からXeランプ78で光を照射して、照射時間に対する温度変化を測定した。なお、Xeランプ78と筐体サンプル70の間には、フライアイ82を設置し、筐体サンプル70に入射される光を平行光とした。
【0095】
図11は、サンプルNo.1(実施例1)と、サンプルNo.4(参考例)について、Xeランプの照射時間(横軸)と、各筐体サンプルの温度(縦軸)との関係を表したものである。筐体サンプル70にXeランプ78を照射すると、最初の数分間は温度が急激に上昇するが、その後は温度変化が安定した。温度変化が安定した後の所定時間(12分後)における筐体サンプル70の温度を、表1に示す。
【0096】
下地層が金属粉を含むサンプルNo.1〜No.3(実施例1〜3)は、下地層が金属粉を含まないサンプルNo.4(参考例)に対して、ランプ照射後の温度(12分後)が1.9〜4.4℃低い。これによって、実施例に示すような金属粉を含む下地層74は、輻射熱による筐体の温度上昇を抑制するということが確認された。これは、金属粉を含む下地層(実施例1〜3)が、金属粉を含まない下地層(参考例)より赤外線を効率的に反射することによって、サンプルNo.1〜No.3の温度上昇が抑制されたものであると考えられる。
【符号の説明】
【0097】
10… レンズ鏡筒
12,46,51,55,57… 筐体
13… 光学レンズ群
15… 光通過領域
24… 第1領域
26… 第2領域
32… 遮熱塗膜層
33… 下地層
36… 赤外線反射顔料
38… 金属粉
39… 樹脂部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が通過可能な光通過領域の外側に備えられ、Lab表色系における明度Lが40未満であって、波長900nm以上1700nm未満の光の反射率が30%以上となる第1層と、
前記光透過領域と前記第1層との間に備えられ、金属粉を含有する第2層とを含むことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
光が通過可能な光通過領域の外側に備えられ、Lab表色系における明度Lが40以上70未満であって、波長900nm以上1700nm未満の光の反射率が50%以上となる第1層と、
前記光透過領域と前記第1層との間に備えられ、金属粉を含有する第2層とを含むことを特徴とする光学装置。
【請求項3】
光が通過可能な光通過領域の外側に備えられ、Lab表色系における明度Lが70以上であって、波長900nm以上1700nm未満の光の反射率が70%以上となる第1層と、
前記光透過領域と前記第1層との間に備えられ、金属粉を含有する第2層とを含むことを特徴とする光学装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された光学装置であって、
前記第2層は、前記金属粉が内部に分散された樹脂を有することを特徴とする光学装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された光学装置であって、
前記金属粉は平板形状を有することを特徴とする光学装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された光学装置であって、
前記第2層は、Lab表色系における明度Lが70以上であることを特徴とする光学装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記金属粉は、Au,Ag,Al,Ni,Cuのうちいずれかの金属元素を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記第2層は、塗布により形成された膜であることを特徴とする光学装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記第1層は、塗布により形成された膜であることを特徴とする光学装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記第1層は、Si,Al,Ti,Fe,Zn,Co,Mg,Ca,Sr,Ba,Cuのうちから選択された少なくとも1つの元素を含有することを特徴とする光学装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記第2層の厚みは、前記第1層の厚みより薄いことを特徴とする光学装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記第1層は、前記第2層の前記金属粉よりも粒径が小さい金属粉を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項13】
請求項12に記載された光学装置であって、
前記第1層は、遮熱性能を有する遮熱顔料を有し、前記第1層の金属粉は、前記遮熱顔料より小さいことを特徴とする光学装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載された光学装置であって、
前記第1層は、前記第2層より金属光沢が少ないことを特徴とする光学装置。
【請求項15】
請求項12から請求項14までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記第1層の金属粉は、ITO(スズドープ酸化インジウム)および酸化亜鉛のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする光学装置。
【請求項16】
請求項12から請求項15までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記第2層の金属粉は、金属単体および合金のうち少なくとも1つを含有し、前記第1層の金属粉は、金属酸化物を含有することを特徴とする光学装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−197993(P2010−197993A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254385(P2009−254385)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】