説明

光学記録媒体で使用するための金属錯体

本発明は、式(I)の金属錯体、その金属錯体を含む組成物、その金属錯体又は組成物を含む記録媒体及び光学記録媒体の製造におけるその金属錯体の使用に関し、その置換基は本文中に定義されている。式(I)の金属錯体とオキソノール染料との組み合わせての使用は、驚くことに、オキソノール染料が固体状態で凝集する傾向を比較的弱めて、吸収曲線が固体状態でも有利に狭いままになるようにし、その結果、高い反射率ならびに所望のスペクトル領域での高い感度及び良好な再生特性を有する記録媒体が利用可能になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の金属錯体、その金属錯体を含む記録媒体及び光学記録媒体の製造におけるその金属錯体の使用に関する。式(I)の金属錯体をたとえばオキソノール染料と組み合わせて使用することは、驚くことに、オキソノール染料が固体状態で凝集する傾向を比較的弱めて、固体状態でも吸収曲線が有利に狭いままになるようにし、その結果、高い反射率ならびに所望のスペクトル領域での高い感度及び良好な再生特性を有する記録媒体が利用可能になった。
【0002】
Lacroixらは、Chem. Mater. 8 (1996)の541〜545で、以下の金属錯体の合成及び二次非線形光学性を記載している。
【0003】
【化14】

【0004】
JP60−44390Aは、658nmでの屈折率に影響しない無色の金属錯体(安定剤)を開示している。
【0005】
EPC54条(3)にしたがって最高の技術水準を形成するWO03/042989は、少なくとも一つのオキソノール染料及び少なくとも一つの金属錯体を含む組成物ならびにその組成物を含む記録媒体を開示している。WO03/042989では、以下の金属錯体が明示的に挙げられている。
【0006】
【化15】

【0007】
本発明は、以下の式
【0008】
【化16】

【0009】
(式中、
Meは、第7、8、9、10、11又は12亜族、好ましくは第9、10又は11亜族の遷移金属であり、
1及びD2は、互いに独立して、非置換であってもよいし、1個以上の基R5及びR6によって置換されていてもよい炭素環式又は複素環式の環もしくは環系であり、
1及びR4は、互いに独立して、水素原子、ペルフルオロアルキル基、非置換であるか置換されているアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
2及びR3はシアノ基であるか、あるいは
2とR3とがいっしょになって、五ないし七員の複素環式環を形成するか、あるいは
2とR3とがいっしょになって、少なくとも1個の電子求引性置換基によって置換されているか、少なくとも1個の電子供与性置換基によって置換されている、芳香族炭素環式環を形成し、
5及びR6は、ハロゲン原子、たとえばフッ素、塩素もしくは臭素、基−NR89、基−SO2NR89(R8及びR9は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、C1〜C24アルキルカルボニル基、Eによって置換及び/もしくはDによって中断されているアルキル基、C6-24アリール−カルボニル基もしくはC7-24アラルキル−カルボニル基、アリール基又はアラルキル基であるか、あるいは、R8とR9とがいっしょになって、場合によってはDによって中断されていることができる五ないし七員の複素環式環を形成する)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、Eによって置換及び/もしくはDによって中断されているアルキル基、Eによって置換及び/もしくはDによって中断されているアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、Eによって置換及び/もしくはDによって中断されているアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、フェニル基、エステル基、たとえばホスホン酸、リン酸もしくはカルボン酸エステル基、カルボキシアミド基、スルファミド基、アンモニウム基、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸もしくはリン酸基又はそれらの塩であり、
2とR3とがいっしょになって、少なくとも1個の電子求引性置換基によって置換されている芳香族炭素環式環を形成するならば、置換基R5の少なくとも1個及び置換基R6の少なくとも1個が電子供与性基であり、あるいは、R2とR3とがいっしょになって、少なくとも1個の電子供与性置換基によって置換されている芳香族炭素環式環を形成するならば、置換基R5の少なくとも1個及び置換基R6の少なくとも1個が電子求引性基であり、
Dは、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR10であり、そして
Eは、−OR11、−SR11、−NR1213、−COR14、−COOR15、−CONR1213、−CN又はハロゲンであり、
10、R12及びR13は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
11は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
14は、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、そして
15は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である)
の金属錯体(ただし、以下の化合物
【0010】
【化17】

【0011】
を除く)に関する。
【0012】
式(I)の金属錯体をたとえばオキソノール染料と組み合わせて使用することは、驚くことに、オキソノール染料が固体状態で凝集する傾向を比較的弱めて、固体状態でも吸収曲線が有利に狭いままになるようにし、その結果、高い反射率ならびに所望のスペクトル範囲での高い感度及び良好な再生特性を有する記録媒体が利用可能になる。加えて、式(I)の金属錯体は、安定剤として機能するだけでなく、吸収剤としても機能し、すなわち、658nmでの屈折率に寄与する。
【0013】
本発明にしたがって、アルキル基とは、非置換であってもよいし、置換されていてもよい直鎖状又は分岐鎖状のC1-24アルキル基、好ましくはC1-8アルキル基、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル又はオクチル、エトキシカルボニルエチル、シアノエチル、ジエチルアミノエチル、クロロエチル、アセトキシエチル及び部分的又は完全にハロゲン化されたC1-8アルキル基であると理解される。ハロゲン原子の例は、フッ素、塩素又は臭素である。
【0014】
本発明にしたがって、ペルフルオロアルキル基とは、直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C24ペルフルオロアルキル、たとえば−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−(CF23CF3及び−C(CF33であると理解される。
【0015】
本発明にしたがって、アルコキシ基とは、直鎖状又は分岐鎖状のC1-24アルコキシ基、すなわちO−C1-24アルキル、好ましくはO−C1-8アルキル、たとえばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、2−ペンチルオキシ、3−ペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシ又は2−エチルヘキシルオキシであると理解される。
【0016】
本発明にしたがって、芳香族炭素環式環又はアリール基とは、非置換であってもよいし、置換されていてもよいC6-24アリール基、好ましくはC6-12アリール基、たとえばフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、ビフェニリル、2−フルオレニル、フェナントリル、アントリル又はテルフェニリルであると理解される。
【0017】
本発明にしたがって、アラルキル基とは、非置換であってもよいし、置換されていてもよいC7-24アラルキル基、好ましくはC7-12アラルキル基、たとえばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェネチル、9−フルオレニル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−オクチル、ω−フェニル−ドデシル又は3−メチル−5−(1′,1′,3′,3′−テトラメチル−ブチル)−ベンジルであると理解される。
【0018】
上記のように、前述の基は、Eによって置換及び/又は望むならばDによって中断されていてもよい。中断は当然、単結合によって互いに接続された少なくとも2個の炭素原子を含む基の場合にのみ可能である。C6〜C18アリールは中断されていない。中断されたアリールアルキル又はアルキルアリールは、アルキル部分に単位Dを含有する。1個以上のEによって置換及び/又は1個以上の単位Dによって中断されているC1〜C18アルキルは、たとえば、(CH2CH2O)n−Rx(nは、1〜9の範囲の数であり、Rxは、H又はC1〜C10アルキルもしくはC2〜C10アルカノイルである)(たとえばCO−CH(C25)C49)、CH2−CH(ORy′)−CH2−O−Ry(Ryは、C1〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル、フェニル、C7〜C15フェニルアルキルであり、Ry′は、Ryと同じ定義を含むか、あるいはHである)、C1〜C8アルキレン−COO−Rz、たとえばCH2COORz、CH(CH3)COORz、C(CH32COORz(Rzは、H、C1〜C18アルキル、(CH2CH2O)1-9−Rxであり、Rxは、上記と同じ定義を含む)、たとえばCH2CH2−O−CO−CH=CH2、CH2CH(OH)CH2−O−CO−C(CH3)=CH2
【0019】
−(CH22OCH3、−(CH2CH2O)2CH2CH3、−CH2−O−CH3、−CH2CH2−O−CH2CH3、−CH2CH2CH2−O−CH(CH32、−[CH2CH2O]Y1−CH3(Y1=1〜3)、−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH2CH3及び−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3である。
【0020】
本発明にしたがって、「それらの塩」とは、アニオン、たとえば−O-、−COO-などと、金属カチオン、たとえばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、金属錯体カチオン又はアンモニウムカチオンとの組み合わせをいう。
【0021】
本発明にしたがって、「エステル基」とは、カルボン酸エステル−C(O)OR101、ホスホン酸エステル−P(O)OR102OR103及びリン酸エステル−OP(O)OR102OR103(式中、R101は、非置換であるか、置換されているアルキル、アリール又はアラルキル基であるか、−O−又は−S−によって1回以上中断されており、非置換であるか、ヒドロキシ基によって置換されているアルキル基であり、R102及びR103は、水素原子、非置換であるか、置換されているアルキル、アリール又はアラルキル基であるか、−O−又は−S−によって1回以上中断されており、非置換であるか、ヒドロキシ基によって置換されているアルキル基である)、たとえば−C(O)OCH2CH2OCH2CH2OCH(CH32及び−C(O)OCH2CH2OCH2CH2OHである。
【0022】
「スルファミド基」とは、基−SO2NR89(R8及びR9は、上記で定義したとおりである)を示す。
【0023】
アミノ基−NR89の例は、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、フェニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、エチルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノもしくはクロロアセチルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ又はピロリジノである。
【0024】
1-24アルコキシカルボニル基とは、直鎖状又は分岐鎖状のC(O)O−C1-24アルキル基、好ましくはC(O)O−C1-8アルキル基、たとえばメトキシ−、エトキシ−、n−プロポキシ−、イソプロポキシ−、n−ブトキシ−、sec−ブトキシ−、イソブトキシ−又はtert−ブトキシ−カルボニルであると理解される。C6-24アリール−又はC7-24アラルキル−カルボニル基の例は、それぞれフェニルカルボニル基及びベンジルカルボニル基である。
【0025】
本発明にしたがって、「アンモニウム基」とは、基−NR106107108(R106、R107及びR108は、水素原子、又は非置換であるか、置換されているアルキル、アリールもしくはアラルキル基である)であると理解される。
【0026】
(芳香族)複素環(又は環系)の例は、炭素原子3〜12個を有する複素環、たとえば2−チエニル、2−フリル、1−ピラゾリル、2−ピリジル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、2−イミダゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリルであるか、あるいは非置換であるか、1〜6個のエチル、メチル、エチレン及び/又はメチレン置換基によって置換されている、チオフェン、フラン、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、ピリジンもしくはベンゼン環からなる他の環系である。
【0027】
飽和複素環式環の例は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個又は2個のヘテロ原子を有する炭素原子4〜6個のヘテロシクロアルカン、たとえばテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、チオラン、ピペリジン、γ−ブチロラクトン、5−アミノペンタン酸ラクタム又はピロリジンである。
【0028】
芳香族炭素環式環又は環系の例は、炭素原子6〜24個を有する芳香環、たとえばフェニル又はナフチルである。
【0029】
式(I)中の基に関して先に記した定義は、特に断りがない限り、本発明の全てに適用される。
【0030】
2とR3とがいっしょになって、五ないし七員の複素環式環を形成するならば、式
【0031】
【化18】

【0032】
(式中、Xは、>O、>S、>S=O又は>SO2であり、R1、R4、Me、D1、D2、R5及びR6は、先に定義したとおりである)
によって示される金属錯体が好ましい。
【0033】
一つの態様で、本発明は、置換基R5の少なくとも1個及び置換基R6の少なくとも1個が電子求引性基であり、R2とR3とがいっしょになって、少なくとも1個の電子供与性置換基によって置換されている芳香族炭素環式環を形成する式Iの金属錯体に関する。そのような化合物の例を以下に記す。
【0034】
【化19】

【0035】
式中、
2及びA3は、電子供与性置換基、特にヒドロキシ基、C1〜C18アルコキシ基、C6〜C24アリールオキシ基、C7〜C24アラルキルオキシ基又は基−NR89であり、
53及びR63は、電子求引性置換基、特に−NO2、ハロゲン原子、特に塩素又は臭素原子、基−SO2−NR89であり、R1、R4、R8及びR9は、先に定義したとおりである。
【0036】
さらに好ましい態様では、本発明は、置換基R5の少なくとも1個及び置換基R6の少なくとも1個が電子供与性基であり、R2とR3とがいっしょになって、少なくとも1個の電子求引性置換基によって置換されている芳香族炭素環式環を形成する式I、特に式IIIの金属錯体に関する。
【0037】
Meは、好ましくは、第9、10又は11亜族の遷移金属、特にCo3+、非常に特別にはCu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Co2+又はZn2+であり、R1及びR4は、好ましくは水素原子、C1-4ペルフルオロアルキル基、特に−CF3もしくは−C25、又はC1-4アルキル基、特にメチルもしくはエチル基である。
【0038】
2及びR3は、好ましくはシアノ基又は式
【0039】
【化20】

【0040】
(N及びMeは、わかりやすくするために加えた。形成される環が太字で強調されている)(式中、Xは、>O、>S、>S=O又は>SO2であり、A1及びA4は、互いに独立して、水素原子、アルコキシ基、アルキル基、−O−又は−S−によって1回以上中断されているアルキル基であり、A2及びA3の少なくとも一方、好ましくはA2及びA3は、電子求引性置換基、特に−NO2、ハロゲン原子、特に塩素又は臭素原子、基−SO2−NR89であり、他方は水素原子である)
の基である。
【0041】
基D1及びD2の例は、
【0042】
【化21】

【0043】
(式中、
1、X2、X3は、基=CH−、−O−、−S−又は−NR200−であり、R200は、水素原子又はアルキル基であり、R55は、水素原子又はC1〜C18アルキル基であり、
56、R57、R58及びR59は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基又は1個以上の酸素原子によって中断されているC1〜C18アルキル基であり、
4及びX5は、互いに独立して、硫黄又は酸素原子であり、R5は、先に定義したとおりである)
である。
【0044】
好ましい基D1及びD2は以下の構造を有する。
【0045】
【化22】

【0046】
式中、
53は、OH、−OC1〜C24アルキル、たとえばCH3O−、C25O−、C49O−、C817O−、C1225O−、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシもしくはC1837O−、RxO−[CH2CH2−O−]x(Rxはメチル基であり、xは1であるか、あるいは、Rxがエチル基であり、xが2であるか、あるいは、Rxがブチル基であり、xが2であるか、あるいは、Rxがメチル基であり、xが3である)、−NR89(R8及びR9はC1〜C24アルキル又は(CH2y−OH(yは1〜24である)である)であるか、あるいは
【0047】
【化23】

【0048】
である。
【0049】
式(I)の金属錯体は着色しており、屈折率に寄与する。したがって、本発明はまた、情報の光学記憶における式(I)の金属錯体の使用に関する。
【0050】
本発明にしたがって、以下の式
【0051】
【化24】

【0052】
(式中、
Meは、Cu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Co2+、Co3+又はZn2+であり、
Xは、>O、>S、>S=O又は>SO2であり、
1、A4、A5及びA6は、互いに独立して、水素原子、アルコキシ基、アルキル基、−O−又は−S−によって1回以上中断されているアルキル基であり、
2及びA3の少なくとも一方、好ましくはA2及びA3は、電子求引性置換基、特に−NO2、ハロゲン原子、特に塩素又は臭素原子、基−SO2−NR89であり、他方は水素原子であり、
1及びR4は、請求項1で定義したとおりであり、
51、R52、R54、R61、R62及びR64は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C18アルキル基であり、
53及びR63は、互いに独立して、ヒドロキシ基、C1〜C18アルコキシ基、C6〜C24アリールオキシ基、C7〜C24アラルキルオキシ基又は基−NR89(R8及びR9は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基、Eによって置換及び/又はDによって中断されているC1〜C18アルキル基、C6〜C24アリール基、C7〜C24アラルキル基であり、D及びEは、請求項1で定義したとおりである)もしくはそれらの塩であるか、あるいは
53とR52、R53とR54、R63とR62及び/又はR63とR64が、互いに独立して、
【0053】
【化25】

【0054】
(式中、
10、A10′、A11、A11′、A12及びA12′は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C8アルキル基であるか、あるいは
10′とA11′とがいっしょになって、二重結合を形成し、そして
13は、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)
であるか、あるいは
53とR52とR54及び/又はR63とR62とR64が、
【0055】
【化26】

【0056】
(式中、
14、A14′、A15、A15′、A17、A17′、A18、A18′、A19、A19′、A20及びA20′は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)
であり、
55及びR65は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C18アルキル基であり、
56、R57、R58、R59、R66、R67、R68及びR69は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基又は1個以上の酸素原子によって中断されているC1〜C18アルキル基であり、
4及びX5は、互いに独立して、硫黄又は酸素原子である)
を有する金属錯体。
【0057】
式II、III又はIII中、置換基は、以下の好ましい意味を有する。
Meは、Co3+、特にCu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Co2+又はZn2+であり、
Xは、>O、>S、>S=O又は>SO2であり、
1、A4、A5及びA6は水素原子であり、
2及びA3は−NO2であり、
1及びR4は、互いに独立して、水素原子、ペルフルオロC1〜C8アルキル基又はC1〜C8アルキル基であり、
51、R52、R54、R61、R62及びR64は水素原子であるか、あるいは
51とR52とがいっしょになって及び/又はR61とR62とがいっしょになって、非置換であるか置換されているフェニル環を形成し、
53及びR63は、互いに独立して、ヒドロキシ基、C1〜C18アルコキシ基、基−NR89(R8及びR9は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基、基−(CH2n−OH、基−(CH2CH2O)n−R16であり、nは、1〜9の範囲の数であり、R16は、H又はC1〜C10アルキルである)又はそれらの塩であるか、あるいは
53とR52、R53とR54、R63とR62及び/又はR63とR64が、互いに独立して、
【0058】
【化27】

【0059】
(式中、
10、A10′、A11、A11′、A12及びA12′は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C8アルキル基であるか、あるいは
10′とA11′とがいっしょになって、二重結合を形成し、そして
13は、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)
であるか、あるいは
53とR52とR54及び/又はR63とR62とR64が、
【0060】
【化28】

【0061】
(式中、
14、A14′、A15、A15′、A17、A17′、A18、A18′、A19、A19′、A20及びA20′は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)
である。
【0062】
より好ましいものは、式
【0063】
【化29】

【0064】
(式中、X1は、基−O−、−S−又は−NR200−であり、R200は、水素原子又はアルキル基であり、
55及びR65は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C18アルキル基であり、
56、R57、R58、R59、R66、R67、R68及びR69は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基、又は1個以上の酸素原子によって中断されているC1〜C8アルキル基である)、
【0065】
【化30】

【0066】
(式中、
Meは、Co3+、特にCu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Co2+又はZn2+であり、
1は水素であり、R4はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり、
52、R54、R62及びR64は水素原子であり、
53及びR63は、互いに独立して、ヒドロキシ基、C1〜C18アルコキシ基、基−NR89(R8及びR9は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基、基−(CH2n−OH、基(CH2CH2O)n−R16であり、nは、1〜9の範囲の数であり、そしてR16は、H又はC1〜C10アルキルである)又はそれらの塩であるか、あるいは
53とR52、R53とR54、R63とR62及び/又はR63とR64が、互いに独立して、式
【0067】
【化31】

【0068】
の基(式中、A13は、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)であるか、あるいは
53とR52とR54及び/又はR63とR62とR64が、式
【0069】
【化32】

【0070】
の基である)
を有する金属錯体である。
【0071】
最も好ましいものは、以下に掲げる金属錯体である。
【0072】
【化33】

















【0073】
先に記載した金属錯体は、WO03/042989、EP−A−200843、EP−A−162811、EP−A−362139及びEP−A−436470に記載されている方法にしたがって、又はそれと同様にして調製することができる。
【0074】
さらなる態様で、本発明は、
(a)
【0075】
【化34】

【0076】
をはじめとする本発明の金属錯体、ならびに
(b)染料
を含む組成物に関する。
【0077】
式I、II、III又はIVの化合物に加えて記録層で使用することができるさらなるクロモフォア(染料)は、たとえば、シアニン類及びシアニン金属錯体(US−A−5,958,650)、スチリル化合物(US−A−6,103,331)、オキソノール染料(EP−A−833314、US−B−6,225,024)、アゾ染料及びアゾ金属錯体(JP−A−11/028865)、フタロシアニン類(EP−A−232427、EP−A−337209、EP−A−373643、EP−A−463550、EP−A−492508、EP−A−509423、EP−A−511590、EP−A−513370、EP−A−514799、EP−A−518213、EP−A−519419、EP−A−519423、EP−A−575816、EP−A−600427、EP−A−676751、EP−A−712904、WO−98/14520、WO−00/09522、CH−693/01)、ポルフィリン類及びアザポルフィリン類(EP−A−822546、US−5998093)、ジピロロメテン染料及びその金属キレート化合物(EP−A−822544、EP−A−903733)、キサンテン染料及びその金属錯塩(US−5851621)もしくは四角酸化合物(EP−A−568877)又はオキサジン類、ジオキサジン類、ジアザスチリル類、ホルマザン類、アントラキノン類又はフェノチアジン類、ならびにWO03/098617、特にWO03/098617の実施例1〜75及びWO03/098618、特にWO03/098618の実施例1〜48に記載されているローダミン類及びローダミン/消光剤混合物である。
【0078】
適切な染料の例は、アルキル基ではなく重金属カチオンによる複素環式窒素の錯化によって第四級化が達成される非荷電ジアザ−スチリリウムクロモフォア、特に
【0079】
【化35】

【0080】
又は上記クロモフォアと以下の消光剤もしくは以下の消光剤混合物との混合物
【0081】
【化36】

【0082】
スクアリウム染料と、場合によっては消光剤としての1:2ニッケルホルマザン染料との混合物、特に
【0083】
【化37】

【0084】
アニオン性オキソノール染料(又はオキソノール染料の混合物)をカチオン性消光剤(パラコートタイプ)と合わせたもの、特に
【0085】
【化38】

【0086】
ジピロロメテンクロモフォア、特に
【0087】
【化39】

【0088】
シアニン染料、特に
【0089】
【化40】

【0090】
又はシアニン染料をキノン−ジインモニウム(Kayasorb)タイプ又は金属アゾ錯体と合わせたもの、特に
【0091】
【化41】

【0092】
又はシアニン染料をアゾコバルト錯体と合わせたもの(一部、イオン対として)、特に
【0093】
【化42】

【0094】
又はシアニン染料の混合物、特に
【0095】
【化43】

【0096】
である。
【0097】
好ましくは、組成物は、MeがNi2+、Cu2+又はCo2+である式I、II、III又はIVの金属錯体と、WO03/042989に記載されている式
【0098】
【化44】

【0099】
(式中、
1、D2、B1及びB2は、各場合とも置換基であり、Y3及びZ1は、各場合とも、炭素環式環又は複素環式環の形成に必要な原子の群であり、G1及びG2は、各場合とも、共役二重結合を有する鎖の形成に必要な原子の群であり、Y1は、=O、=NR109又は=C(CN)2であり、R109は置換基であり、Y2は、−O、−NR109又は−C(CN)2であり、R109は置換基であり、Lは、置換されていてもよいメチン基であるか、又はポリメチン基を完成させる基であり、3、5又は7個のメチン基が接続されて、共役二重結合を有し、置換されていてもよい鎖を形成することが可能であり、x及びyは、0又は1であり、Mk+は、有機又は無機カチオンであり、kは、1〜10の整数である)
のオキソノール染料とを含む。
【0100】

【0101】
【化45】

【0102】
(式中、
130、R131、R132、R133、R134、R135及びR136、p、q及びrは、以下に定義するとおりであり、
141及びR141′は、互いに独立して、水素原子、非置換であるか、置換されているC1-12アルキル基、C5-7シクロアルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル基又は複素環式基であり、
142及びR142′は、互いに独立して、水素原子、シアノ基、基C(O)OR146、C(O)NR146147もしくはC(O)R147、非置換であるか、置換されているC1-12アルキル基、C5-7シクロアルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル基又は複素環式基であり、R146及びR147は、非置換であるか、置換されているC1-12アルキル基、C5-7シクロアルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル基又は複素環式基であるか、あるいは、R146及びR147が、それらが結合する窒素原子といっしょになって、五又は六員環を形成し、
143及びR143′は、互いに独立して、水素原子、カルボン酸基又はアルキル基である)
を有するオキソノール類、特に、以下の一般式
【0103】
【化46】

【0104】
(式中、
141及びR141′は、互いに独立して、水素原子、C1-4アルキル基、たとえばメチルもしくはエチル又はぺルフルオロ−C1-4アルキル基、たとえばトリフルオロメチル、ヒドロキシ−C1-4アルキル基又は−O−によって1回以上中断されているC1-18アルキル基、たとえばCH2CH2CH2−O−CH(CH32、C6-12アリール基、たとえばフェニル又はC7-12アラルキル基、たとえばベンジルであり、
142及びR142′は、互いに独立して、水素原子、シアノ又はカルボキシアミド基であり、
143及びR143′は、互いに独立して、水素原子、カルボン酸基もしくはその塩又はC1-4アルキル基であり、
144及びR144′は、互いに独立して、水素原子、C1-4アルキル基、C6-12アリール又はC7-12アラルキル基であるか、あるいは
144とR144′とがいっしょになって、五又は六員環、たとえばシクロヘキセニル又はシクロペンテニル環を形成し、
145は、水素原子、ハロゲン原子、特に塩素原子、非置換であるか、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシで置換されているC6-12アリール基、たとえばフェニルもしくはp−メチルフェニル、又はC7-12アラルキル基、たとえばベンジルである)
のオキソノール染料、又は以下の一般式
【0105】
【化47】

【0106】
(式中、
a、Rb、Ra′及びRb′は、互いに独立して、水素原子、C1-8アルキル基、特にC1-4アルキル基、ヒドロキシ−C1-8アルキル基、C1-8アルケニル基、たとえば−CH2−CH=CH2、非置換であるか、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシで置換されているC6-12アリール、たとえばフェニル、又はC7-12アラルキル基、たとえばベンジルであり、
144及びR144′は、互いに独立して、水素原子、C1-4アルキル基、C6-12アリール又はC7-12アラルキル基であるか、あるいは
144とR144′とがいっしょなって、五員環又は六員環、たとえばシクロヘキセニル又はシクロペンテニル環を形成し、
145は、水素原子、ハロゲン原子、特に塩素原子、非置換であるか、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシで置換されているC6-12アリール基、たとえばフェニルもしくはp−メチルフェニル、又はC7-12アラルキル基、たとえばベンジルである)
のオキソノール染料。
【0107】
特に好ましいものは、MeがCo2+、Ni2+又はCu2+である式I、II、III又はIVの金属錯体と、US−B1−6225024に記載されている式
【0108】
【化48】

【0109】
(式中、
121、R122、R123及びR124は、互いに独立して、水素原子、置換されているか、非置換であるアルキル基、置換されているか、非置換であるアリール基、置換されているか、非置換であるアラルキル基、又は置換されているか、非置換である複素環式基であり、L21、L22及びL23は、互いに独立して、置換基を有してもよいメチン基であり、mは、整数0、1、2又は3であり、mが2又は3である場合、基L22及びL23は、同じであっても異なってもよく、k及びMk+は、先に定義したとおりである)
のオキソノール染料とのイオン対である。
【0110】
特に好ましいものは、式
【0111】
【化49】

【0112】
(式中、
121、R122、R123及びR124は、互いに独立して、水素原子、C1-8アルキル基、C1-8ぺルフルオロアルキル基、たとえばトリフルオロメチル、C1-8アルケニル基、C1-4アルコキシ−C1-4アルキル基、ヒドロキシ−C1-4アルキル基、R89N−C1-4アルキル基(R8及びR9は、先に定義したとおりである)、C6-10アリール基、たとえばフェニル、C7-10アラルキル基、たとえばベンジル又は炭素原子2〜10個を有する複素環式基であるか、あるいは
121とR122とがいっしょになって及び/又はR123とR124とがいっしょになって、好ましくは炭素原子3〜10個を有する、非置換であるか、置換されている炭素環式環、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチル、又は好ましくは炭素原子2〜10個を有する、非置換であるか、置換されている複素環式環、たとえば非置換であってもよいし、1個以上のC1-4アルキル及び/又はC1-4アルコキシ基によって置換されていてもよいピペリジル、クロマニルもしくはモルホリルを形成し、
130、R131、R132、R133、R134、R135及びR136は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、たとえば塩素もしくは臭素、C1-8アルキル基、C1-8ぺルフルオロアルキル基、たとえばトリフルオロメチル、C6-10アリール基、たとえばフェニル、C7-10アラルキル基、たとえばベンジル、又は炭素原子2〜10個を有する複素環式基であるか、あるいは
互いに1,3−位に位置する2個の置換基R130、R131、R132、R133、R134、R135及びR136がいっしょになって、炭素原子5又は6個を有する、非置換であるか、置換されている炭素環式環、たとえば非置換であってもよいし、1個以上のC1-4アルキル及び/又はC1-4アルコキシ基によって置換されていてもよいシクロヘキセニル又はシクロペンテニルを形成し、
p、q及びrは、0又は1である)
のオキソノール化合物である。
【0113】
MeがCu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Co2+又はZn2+である、すなわち金属錯体が中性であるならば、式Vのオキソオール類は、有機又は無機カチオンと組み合わせて使用される。カチオンの例は、水素カチオン、金属カチオン、たとえばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、鉄及び銅イオン、金属錯体カチオン、カチオン性染料を含むアンモニウムカチオン、ならびにピリジニウムカチオン、オキソニウム、スルホニウム、ホスホニウム、セレン及びヨードニウムイオンである。本発明にしたがって、カチオンは一般に、アンモニウムカチオン及びWO03/042989に記載されているカチオン性染料から選択される。
【0114】
本発明のさらなる態様は、基材及び少なくとも一つの記録層を含む光学記録媒体であって、記録層が、
【0115】
【化50】

【0116】
をはじめとする本発明の金属錯体、又は本発明の組成物を含む光学記録媒体に関する。
【0117】
したがって、本発明はまた、光学記録媒体の製造における本発明の金属錯体又は本発明の組成物の使用に関する。
【0118】
記録層はまた、1種のオキソノール染料ではなく、当該化合物と、たとえば2、3、4又は5種のオキソノール染料との混合物を含むこともできる。混合物、たとえば異性体又は同族体の混合物ならびに異なる構造体の混合物の使用は、しばしば、可溶性の増大及び/又は凝集傾向の低下をもたらすことができる。適宜、イオン対化合物の混合物は、異なるアニオン、異なるカチオン又は異なるカチオンと異なるアニオンの両方を有することができる。
【0119】
本発明にしたがって使用されるオキソノール染料は、式(I)の金属錯体と組み合わされて、極大値が540〜640nm又は450nm未満の範囲に位置する狭い吸収バンドを有する。式(I)の金属錯体の使用は、驚くことに、オキソノール染料が固体状態で凝集する傾向を比較的弱めて、固体状態でも吸収曲線が有利にも狭いままになるようにする。
【0120】
本発明にしたがって、光学記憶媒体に使用されるような、固体フィルムの形態で使用される金属錯体又は組成物は、吸収バンドの長波長の側で、600〜700nmの範囲で2.0〜3.0のピーク値に達し、390〜430nmの範囲で1.9を超えるピーク値に達する高い屈折率を有し、その結果、高い反射率ならびに所望のスペクトル範囲での高い感度及び良好な再生特性を有する媒体を達成することができる。
【0121】
適用される層のための支持体として機能する基材は、有利には、半透明(T≧10%)又は好ましくは透明(T≧90%)である。支持体は一般に、厚さ0.01〜10mm、好ましくは0.1〜5mmである。
【0122】
記録層は、好ましくは透明な基材と反射層との間に位置する。記録層の厚さは、10〜1000nm、好ましくは30〜300nm、特に60〜120nmである。記録層の吸収は一般に、吸収極大で0.1〜1.0である。層の厚さは、非常に特別に、読み取り波長における非書き込み状態及び書き込み状態それぞれの屈折率に依存して、非書き込み状態では強め合う干渉が得られるが、書き込み状態では弱め合う干渉が得られる、又はその反対になるように選択される。
【0123】
厚さが10〜150nmであることができる反射層は、好ましくは、高い反射率(R≧45%、特にR≧60%)を低い透明度(T≦10%)と併せて有する。さらなる実施態様では、たとえば複数の記録層を有する媒体では、反射体層も同様に半透明である、すなわち、比較的高い透明度(たとえばT≧50%)及び低い反射率(たとえばR≦45%)を有することもできる。
【0124】
一番上の層、たとえば層構造に依存して反射層又は記録層は、有利には、さらに、厚さが一般に0.1〜1000μm、好ましくは0.1〜50μm、特に0.5〜15μmである保護層を設けられる。このような保護層はまた、望むならば、それに適用される、好ましくは厚さ0.1〜5mmであり、支持基材と同じ材料からなる第二の基材層のための接着性向上剤として働くことができる。
【0125】
記録媒体全体の反射率は、好ましくは少なくとも15%、特に少なくとも40%である(たとえばDVD−Rの場合、45%)。
【0126】
本発明の記録層の主要な特徴は、レーザダイオードの前記波長範囲における非常に高い初期反射率であり、この反射率は、特に高い感度、高い屈折率、固体状態における狭い吸収バンド、種々のパルス間隔でのスクリプト幅の良好な均一さ、良好な光安定性、及び非ハロゲン化溶媒、特にアルコール類中での良好な可溶性によって改変することができる。
【0127】
本発明の金属錯体又は組成物の使用は、高い屈折率を有する、有利にも均質で非晶質で低散乱性の記録層を生じさせ、吸収エッジは固相ででも驚くほど特に急峻である。さらなる利点は、昼光中及び低出力密度レーザ放射線下での高い光安定性と、同時に、高出力密度レーザ放射線下での高い感度、均一なスクリプト幅、高いコントラスト、そしてまた良好な熱安定性及び貯蔵安定性である。
【0128】
比較的高い記録速度で、得られる結果は、既知の記録媒体で得られる結果よりも驚くほど良好である。マークは、周囲の媒体に対してより正確に画定され、熱的に誘発される変形は起こらない。また、エラー率(BLER又はPI Sim 8)及びマーク長における統計的偏差(ジッタ)は、通常の記録速度及び比較的高い記録速度のいずれでも低く、その結果、大きな速度範囲にわたってエラーのない記録及び再生を達成することができる。利点は、600〜700nm(好ましくは630〜690nm)の全範囲で得られるが、特に640〜689nm、より特別には650〜670nm、非常に特別には658±5nmで顕著である。
【0129】
適切な基材は、たとえば、ガラス、鉱物、セラミックス及び熱硬化性又は熱可塑性プラスチックである。好ましい支持体は、ガラス及びホモ又はコポリマープラスチックである。適切なプラスチックは、たとえば、熱可塑性ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、熱硬化性ポリエステルならびにエポキシ樹脂である。基材は、純粋な形態であることもできるし、たとえばJP04/167239で記録層の光安定剤として提案されているように、通例の添加物、たとえばUV吸収剤又は染料を含むこともできる。後者の場合、支持基材に添加される染料は、記録層の染料に対して浅色方向に少なくとも10nm、好ましくは少なくとも20nmシフトした吸収極大を有することが有利であろう。
【0130】
基材は、有利には、書き込み又は読み出し波長の入射光の少なくとも90%が透過することができるよう、600〜700nmの範囲の少なくとも一部で透過性である。基材は、好ましくは、深さ50〜500nm、幅0.2〜0.8μm、2本のトラック間隔0.4〜1.6μm、特に深さ100〜200nm、幅0.3μm、2本の間隔0.6〜0.8μmの、らせん状の案内溝をコーティング側に有している。
【0131】
したがって、本発明の組成物は、現在では通例の0.4μmのピット幅及び0.74μmのトラック間隔を有するDVD媒体における使用に特に有利に適している。
【0132】
また、安定性をさらに増すために、望むならば、公知の安定剤、たとえばJP04/025493で光安定剤として記載されているニッケルジチオレートを、通例の量で加えることが可能である。
【0133】
オキソノール染料が式Iの金属錯体と組み合わせて使用されるならば、記録層は、オキソノール染料又は当該化合物の混合物を、有利には、屈折率に対して実質的な影響を加えるのに十分な量で含む。このような量は、一般には少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも80重量%である。
【0134】
式(I)の金属錯体化合物の適切な濃度は、オキソノール化合物に基づいて一般に1〜1000重量%、好ましくは30〜60重量%である。
【0135】
記録媒体は、通例の添加物、たとえば膜形成剤、さらなる通例の成分、たとえば他のクロモフォア(たとえば300〜1000nmで吸収極大を有するもの)、UV吸収剤及び/又は他の安定剤、消光剤、たとえば蛍光消光剤、融点降下剤及び分解促進剤を含むことができる。
【0136】
式Iの金属錯体の他に、さらなる安定剤又は蛍光消光剤、たとえば窒素もしくは硫黄含有エノレート、フェノレート、ビスフェノレート、チオレート、ビスチオレート又はアゾ、アゾメチンもしくはホルマザン染料の金属錯体、たとえば(登録商標)Irgalan Bordeaux EL(Ciba Spezialitatenchemie社)又は類似化合物、ヒンダードフェノール類及びそれらの誘導体(適宜、アニオンX-としても)、たとえば(登録商標)Cibafast AO(Ciba Spezialitatenchemie社)、ヒドロキシフェニル−トリアゾール類、−トリアジン類又は他のUV吸収剤、たとえば(登録商標)Cibafast Wもしくは(登録商標)Cibafast P(Ciba Spezialitatenchemie社)又はヒンダードアミン類(TEMPO又はHALS、同じくニトロキシド類又はNOR−HALSの形態、適宜、アニオンX-としても)を使用することができる。
【0137】
多くのこのような構造が、その一部は光学記録媒体とで関連して、たとえばUS−A−5,219,707、JP−A−06/199045、JP−A−07/76169又はJP−A−07/262604から公知である。
【0138】
本発明の記録媒体は、式(I)の化合物を含むことに加えて、イオンがたとえば使用成分から生じることができる塩、たとえば塩化アンモニウム、塩化ペンタデシルアンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、メチルスルホン酸ナトリウム又はメチル硫酸ナトリウムをさらに含むことができる。さらなる塩は、存在するならば、記録層の全重量に基づいて好ましくは20重量%までの量で存在することができる。
【0139】
反射層に適した反射材料として、特に、記録及び再生に使用されるレーザ放射線の良好な反射を提供する金属、たとえば、元素周期表のIII、IV及びV主族の金属ならびに亜族の金属がある。Al、In、Sn、Pb、Sb、Bi、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuならびにそれらの合金が特に適している。高い反射率及び製造しやすさの理由で、特に好ましいものは、アルミニウム、銀、銅、金又はそれらの合金の反射層である。
【0140】
保護層に適した材料としては主にプラスチックがあり、その薄い層が支持体又は一番上の層に、直接又は接着層を介して適用される。さらに改変する、たとえば書き込みすることができる良好な表面性質を有する、機械的かつ熱的に安定なプラスチックを選択することが有利である。プラスチックは、熱硬化性プラスチック又は熱可塑性プラスチックであることができる。好ましいものは、特に簡単かつ安価に製造される放射線硬化性(たとえばUV線硬化性)の保護層である。多様な放射線硬化性材料が公知である。放射線硬化性モノマー及びオリゴマーの例は、ジオール類、トリオール類及びテトラオール類のアクリレート及びメタクリレート、芳香族テトラカルボン酸と、アミノ基に対して少なくとも二つのオルト位にC1〜C4アルキル基を有する芳香族ジアミン類とのポリイミド類、ならびにジアルキルマレイミジル基、たとえばジメチルマレイミジル基を有するオリゴマーである。
【0141】
本発明の記録媒体は、さらなる層、たとえば干渉層を有することができる。また、複数(たとえば2枚)の記録層を有する記録媒体を構成することも可能である。そのような材料の構成及び使用は当業者には公知である。好ましいものは、記録層と反射層との間及び/又は記録層と基材との間に配置され、絶縁材料、たとえばEP−A−353393に記載されているように、TiO2、Si34、ZnS又はシリコーン樹脂からなる干渉層である。
【0142】
本発明の記録媒体は、そのもの公知の方法によって製造することができ、使用材料及びそれらの機能に依存して種々のコーティング法を使用することが可能である。
【0143】
適切なコーティング法は、たとえば、浸漬、流し塗り、はけ塗り、ナイフ塗布及びスピンコーティングならびに高減圧下で実施される蒸着法である。たとえば流し塗り法を使用する場合、有機溶媒中の溶液を一般に使用する。適切なコーティング法及び溶媒は、たとえばEP−A−401791に記載されている。
【0144】
記録層は、好ましくは、染料溶液をスピンコートすることによって適用され、満足であることがわかった溶媒は、特に、アルコール類、たとえば2−メトキシエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、アミルアルコール又は3−メチル−1−ブタノール及びそれらの混合物である。エーテル類(ジブチルエーテル)、ケトン類(2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、5−メチル−2−ヘキサノン)又は飽和もしくは不飽和の炭化水素(トルエン、キシレン)を、たとえば混合物(たとえばジブチルエーテル/2,6−ジメチル−4−ヘプタノン)又は混合成分の形態で使用することもできる。
【0145】
したがって、本発明は、有機溶媒、特に非ハロゲン化有機溶媒中の式(I)の化合物の溶液を、くぼみを有する基材に適用する、光学記録媒体の製造方法に関する。適用は、好ましくはスピンコートによって実施される。
【0146】
金属反射層の適用は、好ましくは、スパッタリング、真空下の蒸着又は化学蒸着法(CVD)によって実施される。金属反射層の適用の場合、支持体に対する高い付着度のため、スパッタリング技術が特に好ましい。これらの技術は公知であり、専門文献(たとえばJ. L. Vossen及びW. Kernの「Thin Film Processes」Academic Press, 1978)に記載されている。
【0147】
本発明の記録媒体の構造は、主として読み出し方法によって統制される。公知の機能原理は、透過又は好ましくは反射の変化の計測を含むが、透過又は反射ではなく蛍光を計測することも公知である。
【0148】
記録媒体が反射の変化に基づいて作動する場合、記録媒体は、たとえば次のように構成することができる。透明な支持体/記録層(場合によっては多層化)/反射層及び、有効ならば保護層(必ずしも透明でなくてもよい);又は支持体(必ずしも透明でなくてもよい)/反射層/記録層、及び有効ならば透明な保護層。前者の場合、光は支持体側から入射するが、後者の場合、照射は、記録層側、又は可能な場合は保護層側から入射する。いずれの場合でも、光検出器が光源と同じ側に設けられる。最初に述べた記録媒体の構造は、一般にDVD−Rに好ましく、後で述べた構造(反転構造)は、特に、青ないし紫の範囲の記録系の場合に望ましい(DVR、EP−A−822546及びEP−A−1103962)。
【0149】
記録媒体が光透過の変化の原理で作動する場合、たとえば以下の構造が考えられる。透明な支持体/記録層(場合によっては多層化)、及び有効ならば透明な保護層。記録及び読み出しのための光は、支持体側又は記録層側から入射することもできるし、可能な場合は、保護層側から入することもでき、この場合、光検出器は常に反対側に位置する。
【0150】
適切なレーザは、600〜700nmの波長を有するレーザ、たとえば、602、612、633、635、647、650、658、670又は680nmの波長を有する市販のレーザ、特に半導体レーザ、たとえば、特に約635、650又は658nmの波長を有するGaAsAl、InGaAlP又はGaAsレーザダイオードである。記録は一般に、マーク長にしたがってレーザを変調させ、その放射線を記録層に収束させることにより、ポイントごとに実施される。
【0151】
本発明の方法は、多大な信頼性及び安定性で、非常に良好な機械的及び熱的安定性ならびに高い光安定性及び明確なピット境界区域によって際立つ情報の記憶を可能にする。特別な利点は、高いコントラスト、低いジッタ及び驚くほど高いシグナル/ノイズ比を含み、そのため問題のない読み出しが達成される。
【0152】
情報の読み出しは、たとえば「CD-Player und R-DAT Recorder」(Claus Biaesch-Wiepke, Vogel Buchverlag, Wurzburg 1992)に記載されているように、レーザ放射線を使用して吸収又は反射の変化を記録することにより、そのもの公知の方法にしたがって実施される。
【0153】
本発明の情報収容媒体は、特に、WORMタイプの光学情報材料である。これは、たとえば、再生用DVD(digital versatile disc)として、コンピュータ用の記憶材料として、又は身分証明・セキュリティカードとして使用することもできるし、回折光学素子、たとえばホログラムの製造に使用することもできる。
【0154】
したがって、本発明はまた、本発明の記録媒体を使用する、情報を光学的に記録、記憶及び再生する方法に関する。記録及び再生は、有利には、600〜700nmの波長範囲で起こる。
【0155】
そのうえ、本発明の組成物は、種々の用途、たとえば凹版/フレキソ印刷、シートオフセット印刷及びシートメタル印刷ならびに有利に狭い吸収曲線を有するカラーフィルタの製造に関して優れた塗布性を有する印刷インクの製造に適している。したがって、本発明はまた、オキソノール類が特に好ましいものである本発明の組成物を含む印刷インク又はカラーフィルタ(光学フィルタ)に関する。本発明は、特に、支持層及びフィルタ層を含み、フィルタ層が本発明の組成物を含む光学フィルタに関する。光学フィルタそのものは、たとえば電気光学系、たとえばTVスクリーン、液晶表示装置、電荷結合素子、プラズマ表示装置又はエレクトロルミネセンス表示装置などに使用することができる。
【0156】
フィルタ層は、本発明の組成物を、高分子量有機材料中に分散した状態で、フィルタ層の全重量に基づいて1〜75重量%、好ましくは5〜50重量%、最も好ましくは25〜40重量%含有する。支持層は、好ましくは実質的に無色である(400〜700nmの全可視範囲でT≧95%)。カラーフィルタの製造及びカラーフィルタの製造で使用される高分子量材料に関するさらなる詳細は、たとえば、High-Technology Applications of Organic Colorants, Peter Gregory, Plenum Press, New York and London 1991, p. 15 to 25、WO01/04215及びWO02/10288に記載されている。560〜620nmの範囲に吸収極大を有する光学フィルタは、たとえば、プラズマ表示装置のための非常に狭いバンドの光学フィルタとして適している(たとえばEP−A−1124144を参照)。
【0157】
本発明の印刷インクは、本発明の組成物を、印刷インクの全重量に基づいて賢明には0.01〜40重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは5〜10重量%の濃度で含有し、たとえば、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷又は紙、板、金属、木、皮革、プラスチックもしくは織物に対する連続的もしくは滴下的インクジェット印刷に使用することもできるし、一般的知識である調合にしたがって、特殊な用途、たとえば出版、包装もしくは運輸、物流管理、広告、セキュリティ印刷又はオフィス分野でボールペン、フェルトペン、サインペン、インク染めパッド、インクリボンもしくはインクジェットプリンタカートリッジに使用することもできる。
【0158】
以下の例が本発明を説明する。断りのない限り、%及び部の数値はそれぞれ重量%及び重量部である。
【0159】
実施例
実施例1
【0160】
【化51】

【0161】
Lacroixら、Chem. Mater. 8 (1996)、541〜545にしたがって金属錯体を調製した。
【0162】
ジアミノマレオニトリル(5.41g、50mmol)、塩化ニッケル(II)(11.89g、50mmol)及び無水エタノール(950ml)の溶液を70〜72℃で攪拌した。高温のエタノール(575ml)中4−ジエチルアミノ−l−サリチルアルデヒド(19.33g、100mmol)の溶液を1時間かけて加えると、結晶質の沈殿物が徐々に形成した。加熱をさらに1時間継続したのち、4時間かけて混合物を25℃に放冷した。沈殿物をろ別し、エタノールで洗浄したのち、真空中60℃で乾燥させた。収量25.3g(98%)
【0163】
応用例
実施例1の化合物1重量%をクロロホルムに溶解し、0.2μmテフロンフィルタに通してろ過した。次いで、この染料溶液を厚さ1.2mmの平坦なガラス基板(直径120mm)に毎分250回転で塗布し、その後、毎分600回転でスピンコーティングを実施した。均一な固体層が得られ、この層は、70℃で15分間乾燥させると、λmax594nmで0.30の吸光度を示した。こうして形成した層の屈折率n及び吸光係数kを、光学計測システム(ETA-RT、ETA-Optik)を使用することによって測定した。658nmでの値は、n(658nm)=2.33、k(658nm)=0.084であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式
【化1】


(式中、
Meは、第7、8、9、10、11又は12亜族、好ましくは第9、10又は11亜族の遷移金属であり、
1及びD2は、互いに独立して、非置換であってもよいし、1個以上の基R5及びR6によって置換されていてもよい炭素環式又は複素環式の環もしくは環系であり、
1及びR4は、互いに独立して、水素原子、ペルフルオロアルキル基、非置換であるか置換されているアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
2及びR3はシアノ基であるか、あるいは
2とR3とがいっしょになって、五ないし七員の複素環式環を形成するか、あるいは
2とR3とがいっしょになって、少なくとも1個の電子求引性置換基によって置換されているか、少なくとも1個の電子供与性置換基によって置換されている、芳香族炭素環式環を形成し、
5及びR6は、ハロゲン原子、たとえばフッ素、塩素もしくは臭素、基−NR89、基−SO2NR89(R8及びR9は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、C1〜C24アルキルカルボニル基、Eによって置換及び/もしくはDによって中断されているアルキル基、C6-24アリール−カルボニル基もしくはC7-24アラルキル−カルボニル基、アリール基又はアラルキル基であるか、あるいは、R8とR9とがいっしょになって、場合によってはDによって中断されていることができる五ないし七員の複素環式環を形成する)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、Eによって置換及び/もしくはDによって中断されているアルキル基、Eによって置換及び/もしくはDによって中断されているアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、Eによって置換及び/もしくはDによって中断されているアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、フェニル基、エステル基、たとえばホスホン酸、リン酸もしくはカルボン酸エステル基、カルボキシアミド基、スルファミド基、アンモニウム基、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸もしくはリン酸基又はそれらの塩であり、
2とR3とがいっしょになって、少なくとも1個の電子求引性置換基によって置換されている芳香族炭素環式環を形成するならば、置換基R5の少なくとも1個及び置換基R6の少なくとも1個が電子供与性基であり、あるいは、R2とR3とがいっしょになって、少なくとも1個の電子供与性置換基によって置換されている芳香族炭素環式環を形成するならば、置換基R5の少なくとも1個及び置換基R6の少なくとも1個が電子求引性基であり、
Dは、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR10であり、そして
Eは、−OR11、−SR11、−NR1213、−COR14、−COOR15、−CONR1213、−CN又はハロゲンであり、
10、R12及びR13は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
11は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
14は、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、そして
15は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である)
の金属錯体(ただし、以下の化合物
【化2】


を除く)。
【請求項2】
以下の式
【化3】


(式中、
Meは、Co3+、特にCu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Co2+又はZn2+であり、
Xは、>O、>S、>S=O又は>SO2であり、
1、A4、A5及びA6は、互いに独立して、水素原子、アルコキシ基、アルキル基、−O−又は−S−によって1回以上中断されているアルキル基であり、
2及びA3の少なくとも一方、好ましくはA2及びA3は、電子求引性置換基、特に−NO2、ハロゲン原子、特に塩素又は臭素原子、基−SO2−NR89であり、他方は水素原子であり、
1及びR4は、請求項1で定義したとおりであり、
51、R52、R54、R61、R62及びR64は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C18アルキル基であり、
53及びR63は、互いに独立して、ヒドロキシ基、C1〜C18アルコキシ基、C6〜C24アリールオキシ基、C7〜C24アラルキルオキシ基、基−NR89又はそれらの塩であり、R8及びR9は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基、Eによって置換及び/又はDによって中断されているC1〜C18アルキル基、C6〜C24アリール基又はC7〜C24アラルキル基であり、D及びEは、請求項1で定義したとおりであるか、あるいは
53とR52、R53とR54、R63とR62及び/又はR63とR64が、互いに独立して、
【化4】


(式中、
10、A10′、A11、A11′、A12及びA12′は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C8アルキル基であるか、あるいは
10′とA11′とがいっしょになって、二重結合を形成し、そして
13は、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)
であるか、あるいは
53とR52とR54及び/又はR63とR62とR64が、
【化5】


(式中、
14、A14′、A15、A15′、A17、A17′、A18、A18′、A19、A19′、A20及びA20′は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)
であり、
55及びR65は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C18アルキル基であり、
56、R57、R58、R59、R66、R67、R68及びR69は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基又は1個以上の酸素原子によって中断されているC1〜C18アルキル基であり、
4及びX5は、互いに独立して、硫黄又は酸素原子である)
を有する、請求項1記載の金属錯体。
【請求項3】
Meが、Co3+、特にCu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Co2+又はZn2+であり、
Xが、>O、>S、>S=O又は>SO2であり、
1、A4、A5及びA6が水素原子であり、
2及びA3が−NO2であり、
1及びR4が、互いに独立して、水素原子、ペルフルオロC1〜C8アルキル基又はC1〜C8アルキル基であり、
51、R52、R54、R61、R62及びR64が水素原子であるか、あるいは
51とR52とがいっしょになって及び/又はR61とR62とがいっしょになって、非置換であるか置換されているフェニル環を形成し、
53及びR63が、互いに独立して、ヒドロキシ基、C1〜C18アルコキシ基、基−NR89(R8及びR9は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基、基−(CH2n−OH、基−(CH2CH2O)n−R16であり、nは、1〜9の範囲の数であり、R16は、H又はC1〜C10アルキルである)又はそれらの塩であるか、あるいは
53とR52、R53とR54、R63とR62及び/又はR63とR64が、互いに独立して、
【化6】


(式中、
10、A10′、A11、A11′、A12及びA12′は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C8アルキル基であるか、あるいは
10′とA11′とがいっしょになって、二重結合を形成し、
13は、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)
であるか、あるいは
53とR52とR54及び/又はR63とR62とR64が、
【化7】


(式中、
14、A14′、A15、A15′、A17、A17′、A18、A18′、A19、A19′、A20及びA20′は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)
である、式II、III又はIVを有する、請求項2記載の金属錯体。
【請求項4】

【化8】


(式中、
1は、基−O−、−S−又は−NR200−であり、R200は、水素原子又はアルキル基であり、
55及びR65は、互いに独立して、水素原子又はC1〜C18アルキル基であり、
56、R57、R58、R59、R66、R67、R68及びR69は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基又は1個以上の酸素原子によって中断されているC1〜C18アルキル基である)、
【化9】


(式中、
Meは、Co3+、特にCu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+、Co2+又はZn2+であり、
1は水素であり、R4はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり、
52、R54、R62及びR64は水素原子であり、
53及びR63は、互いに独立して、ヒドロキシ基、C1〜C18アルコキシ基、基−NR89(R8及びR9は、互いに独立して、水素原子、C1〜C18アルキル基、基−(CH2n−OH、基(CH2CH2O)n−R16であり、nは、1〜9の範囲の数であり、そしてR16は、H又はC1〜C10アルキルである)又はそれらの塩であるか、あるいは
53とR52、R53とR54、R63とR62及び/又はR63とR64が、互いに独立して、式
【化10】


の基(式中、A13は、水素原子又はC1〜C8アルキル基である)であるか、あるいは
53とR52とR54及び/又はR63とR62とR64が、式
【化11】


の基である)
を有する、請求項3記載の金属錯体。
【請求項5】
下記の、請求項4記載の金属錯体。
【化12】


















【請求項6】
(a)請求項1〜5のいずれか1項記載の金属錯体、及び
(b)染料
を含む組成物。
【請求項7】
式I、II、III又はIV中、Meが、Ni2+、Cu2+又はCo2+であり、前記染料が、式
【化13】


(式中、
1、D2、B1及びB2は、各場合とも置換基であり、Y3及びZ1は、各場合とも、炭素環式環又は複素環式環の形成に必要な原子の群であり、G1及びG2は、各場合とも、共役二重結合を有する鎖の形成に必要な原子の群であり、Y1は、=O、=NR109又は=C(CN)2であり、R109は置換基であり、Y2は、−O、−NR109又は−C(CN)2であり、R109は置換基であり、Lは、置換されていてもよいメチン基であるか、又はポリメチン基を完成させる基であり、3、5又は7個のメチン基が接続されて、共役二重結合を有し、置換されていてもよい鎖を形成することが可能であり、x及びyは、0又は1であり、Mk+は、有機又は無機カチオンであり、kは、1〜10の整数である)
のオキソノール染料である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
基材及び少なくとも一つの記録層を含む光学記録媒体であって、前記記録層が、請求項1〜5のいずれか1項記載の金属錯体又は請求項6又は7記載の組成物を含むものである光学記録媒体。
【請求項9】
光学記録媒体、カラーフィルタ(光学フィルタ)及び印刷インクの製造における、請求項1〜5のいずれか1項記載の金属錯体又は請求項6又は7記載の組成物の使用。
【請求項10】
溶媒、特に非ハロゲン化溶媒中の請求項1〜5のいずれか1項記載の金属錯体又は請求項6又は7記載の組成物の溶液を、くぼみを有する基材に適用する、光学記録媒体の製造方法。

【公表番号】特表2007−513064(P2007−513064A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530174(P2006−530174)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050706
【国際公開番号】WO2004/102551
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】