説明

光学部品、表示装置用照明装置および表示装置

【課題】加熱による反りの発生を低減可能で、装置の大型化を伴うことなく、しかも光拡散効果を具備した光学部品を提供する。
【解決手段】本発明の光学部品は、表示装置用照明装置に用いられ、透光性の板状体400を備える光学部品450であって、前記板状体400には、当該板状体400の板厚方向に空気を流通させる複数の流通孔430が形成されており、前記流通孔430は、光を散乱させる機能を有した光散乱構造431を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品、表示装置用照明装置および表示装置に関し、より具体的には光学部品において表面の乾燥状態(吸水状態)の相違によって生じ得る反りの発生を低減し、そのような反りに起因した表示品位の低下を改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図8に液晶表示装置10Zに用いられる従来のバックライト20Zを説明するための断面図を示す。バックライト20Zは液晶表示装置10Zにおいて液晶パネル30Zの背面に配置されている。そして、バックライト20Zにおいて、ランプハウス200Z内にはランプ100Zが並べられており、ランプ100Zに向き合いかつランプハウス200Zに蓋をするように樹脂製の拡散板400Zが配置されており、拡散板400Z上には拡散シート等の光学シート500Zが配置されている。
【0003】
一般的に樹脂は水分を吸うと膨張し、水分が蒸発して乾燥すると収縮する。なお、樹脂は熱によっても膨張・収縮するが、吸水・乾燥による膨張・収縮の方がその量は大きい。
【0004】
バックライト20Zが多湿環境下に置かれると、樹脂製部材、例えば拡散板400Zは吸水により膨張する。そして、吸水した状態でバックライト20Zを点灯すると、ランプ100Zの熱によって拡散板400Zから水分が蒸発する。このとき、拡散板400Zにおけるランプ100Z側の主面420Z(図9参照)はランプ100Zに近くランプ100Zの熱を直接受けるので、当該主面420Zでは、拡散板400Zにおける上記主面420Zとは反対側の主面410Z(図9参照)よりも、水分が蒸発しやすい。さらに、反対側の主面410Z上には光学シート500Zが載せられているので、当該主面410Z側からは水分が蒸発しにくい、すなわちランプ100Z側の主面420Zの方が水分が蒸発しやすい。このため、ランプ100Z側の主面420Zの方が吸水量が少なくなる、すなわち乾燥の度合いが高くなる。かかる乾燥の度合いの相違に起因してランプ100Z側の主面420Zの方が大きく収縮するので、図9に示すように、拡散板400Zは液晶パネル30Zの側へ隆起するように反りが生じる。
【0005】
このような拡散板400Zの反りは、光学シート500Zを介して液晶パネル30Zを圧迫し、均一性が要求される液晶層の厚さを乱すことになる。その結果、液晶パネル30Zの表示品位が低下してしまう。このような問題を解決するために、例えば特許文献1、2に開示されたような技術がある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−53749公報
【特許文献2】特開2005−202315公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、通気孔で換気することによりバックライト装置内部の温度上昇を抑えて拡散板の反り返りを防止する技術が開示されているが、このような構成によると拡散効果が十分に得られない場合がある。また、特許文献2には、反り抑制部材によって拡散板の反り返りを規制する技術が開示されているが、部品点数が増大し、装置の大型化に繋がる場合がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、上述のような反りの発生を防止ないし抑制することが可能で、装置の大型化を伴うことなく、しかも光散乱効果を具備した光学部品を提供することを目的とし、さらにはそのような光学部品によって表示品位を改善可能な表示装置用照明装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の光学部品は、表示装置用照明装置に用いられ、透光性の板状体を備える光学部品であって、前記板状体には、当該板状体の板厚方向に空気を流通可能な複数の空気流通部が形成されており、前記空気流通部は、光を散乱させる機能を有した光散乱構造を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、空気流通部により空気の流通が確保され、例えば表示装置用の光源が配置される主面(第2主面)側から反対の主面(第1主面)側に効果的に熱気が流通することとなる。したがって、板状体の部材を介した熱伝導に比べて空気の対流の方が速く、当該板状体の部材内で熱を均一にすることが可能となる。その結果、部材の第1主面と第2主面との間で水分蒸発量の相違が生じ難くなり、ひいては乾燥度合いの相違も生じなくなって反り発生を効果的に防止ないし抑制することが可能となる。また、空気流通部は光散乱構造を備えるため、当該光学部品を表示装置用照明装置の光散乱板として好適に用いることができる。つまり、本発明によれば、加熱を受けても反りの発生を防止でき、しかも部品点数が増大するものでもないため装置の大型化も伴わず、光散乱機能を備えた光学部品を提供することが可能となる。
【0011】
前記空気流通部は、前記板状体の板厚方向に貫通する流通孔として構成されるとともに、前記光散乱構造として、前記流通孔の孔軸方向が当該板状体の内部で複数段階に変化する構成を有するものとすることができる。このように孔軸方向が板状体内部で複数段階に変化すると、その変化した部分で光の屈折が生じることとなり、光を散乱させる機能が発現されることとなる。その結果、光の散乱機能を高めることが可能となる。なお、孔軸方向を変化させるためには、板厚方向に孔をジグザグに形成して貫通させる構成が好適である他、例えば微細な孔が板厚方向にランダムに連結されてなる構成等を採用することができる。
【0012】
前記板状体は、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂のいずれかを用いてなるものとすることができる。このような樹脂は吸湿性が極めて低いため、当該板状体の第1主面側と第2主面側との間の乾燥度合いの差が生じ難く、その結果、加熱による反り発生も生じ難いものとなる。
【0013】
前記板状体は、アクリル樹脂に対してポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、オレフィン樹脂のいずれかを混入した樹脂を用いてなるものとすることができる。このように相対的に吸湿性の高いアクリル樹脂に対して、相対的に吸湿性の低いポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、オレフィン樹脂のいずれかを混入した樹脂によって板状体を構成することで、当該板状体の吸湿性を低くでき、ひいては当該板状体の第1主面側と第2主面側との間の乾燥度合いの差を生じ難くして、加熱による反り発生を生じ難いものとすることができる。なお、前記板状体は、透光性樹脂に対して透光性無機材料を混入した材料を用いたものとすることもできる。
【0014】
前記板状体は、軟質フォームよりなるものとすることができる。軟質フォームは多孔性の発泡樹脂等に代表され、当該孔が前記流通孔を構成して、第1主面と第2主面との間で導風可能となるため、片側面だけ乾燥する不具合が生じ難く、拡散材なしでも板状体自身の構造で拡散板として機能させることができる。また、軟質フォームによると重量が低減され、安価なためコスト削減にも寄与することが可能となる。
【0015】
前記板状体は、繊維を編んだシート材よりなるものとすることができる。具体的には、透光性の繊維を編んでなるシートを複数枚重ね合わせてなるシート材が好ましい。この場合、繊維間の隙間が前記流通孔を構成して、第1主面と第2主面との間で導風可能となるため、片側面だけ乾燥する不具合が生じ難く、拡散材なしでも板状体自身の構造で拡散板として機能させることができる。
【0016】
前記板状体は、複数の球状樹脂を数珠繋ぎにしたシート材よりなるものとすることができる。この場合、数珠繋ぎにされた球状樹脂間に隙間が形成され、当該隙間が前記流通孔を構成して、第1主面と第2主面との間で導風可能となるため、片側面だけ乾燥する不具合が生じ難く、拡散材なしでも板状体自身の構造で拡散板として機能させることができる。
【0017】
前記板状体は、複数の微細孔を有する薄膜シートを複数積層した積層シート材よりなるものとすることができる。具体的には、高密度でランダムに穴が開いた薄膜樹脂シートを重ね合わせて形成されたシート材が好ましい。この場合、積層されたシート間の微細孔が当該板状体の板厚方向に連なって前記流通孔を構成して、第1主面と第2主面との間で導風可能となるため、片側面だけ乾燥する不具合が生じ難く、拡散材なしでも板状体自身の構造で拡散板として機能させることができる。
【0018】
次に、上記課題を解決するために、本発明の表示装置用照明装置は、上述した本発明に係る光学部品と、前記光学部品の一主面に対して光照射可能に配設された光源と、を備えることを特徴とする。このような構成によれば、上述の効果を発現して表示装置の表示品位改善に貢献する表示装置用照明装置を提供することができる。
【0019】
そして、前記光源は、冷陰極管(CCFL)と、熱陰極管(HCFL)と、外部電極蛍光管(EEFL)と、発光ダイオード(LED)と、キセノン管とのいずれかであることが好ましい。このような光源は発熱が特に大きいため、上述の反り防止効果が好適に発現されることとなる。
【0020】
また、前記光学部品は当該表示装置用照明装置において拡散板として機能する。つまり、光学部品は光散乱構造を備えるため、当該光学部品を拡散板として表示装置用照明装置に具備させることができる。
【0021】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の表示装置は、上述した本発明に係る表示装置用照明装置と、前記光源から出射し前記光学部品を透過した光について透過制御を行う光制御部材とを備えることを特徴とする。このような構成によれば、上述の反り防止効果によって、光学部品の反りによって光制御部材が圧迫されるのを防止することができる。したがって、そのような圧迫に起因した表示品位の低下が改善された表示装置を提供することができる。なお、前記光制御部材は液晶パネルであることが好ましく、このような構成によれば、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明によれば、表面の乾燥状態(吸水状態)の相違によって生じる反りを防止ないし抑制可能で、散乱機能を備えた光学部品を安価に提供することができ、さらにそのような光学部品によって表示品位を改善可能な表示装置用照明装置を提供ことができ、その結果、表示品位が改善された表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に本発明の実施形態に係る表示装置10を説明するための分解斜視図を示す。表示装置10は、いわゆる液晶表示装置であり、表示装置用照明装置(以下、単に「照明装置」とも呼ぶ)20と、液晶パネル(光制御部材)30と、表示装置用フレーム40とを含んでいる。また、照明装置20は、ランプ(光源)100と、ランプハウス200と、反射シート(図示せず)と、ランプホルダ300と、樹脂製の拡散板(板状体)400からなる光学部品(光学部材)450と、光学シート500と、照明装置用フレーム600とを含んでいる。なお、ここでは、ランプ100として冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)を図示している。
【0024】
まず、照明装置20を説明する。ランプハウス200は器形状部分を有しており、当該器形状部分の底部には反射シート(図示せず)が敷かれ、さらに複数のランプ100が並べられている。なお、ランプ100の数は図示の18本に限られない。ランプホルダ300はランプハウス200の上記器形状部分内に収容された枠形状のランプハウス内部分を有しており、当該ランプハウス内部分によってランプ100が保持されている。また、ランプホルダ300はランプハウス内部分から外側へ張り出した鍔部分を有しており、当該鍔部分上に拡散板400が載せられている。なお、ランプホルダ300および反射シートは例えば白色をしており、これによってランプ100からの光を反射して発光光(または照明光)の明るさ向上に貢献している。
【0025】
光学部品450を構成する拡散板400は、透光性を有し且つ吸湿性が極めて低い材料より構成されている。具体的な材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂の他、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、メタクリルスチレン、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン等の合成樹脂製品を例示することができ、またガラス等の無機材料であっても良い。さらには、アクリル樹脂に対してポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、オレフィン樹脂のいずれかを混入した樹脂を用いてなるものを採用しても良い。
【0026】
拡散板400は互いに平行な第1主面410と第2主面420とを有しており、両主面410,420の距離すなわち拡散板400の厚さは例えば2mmである。拡散板400は、第2主面420にランプ100からの光が照射されるように配置されており、ランプ100群に対向しランプハウス200の器形状部分に蓋をするように配置されている。このとき、ランプ100は、拡散板400の第2主面420側に配置されており、第1主面410の平面視において拡散板400と重なっている。なお、拡散板400については後に詳述する。拡散板400は、ランプ100群からの光を拡散させる役割をするとともに、光学シート500を保持する役割もする。すなわち、拡散板400の第1主面410上に光学シート500が配置されている。
【0027】
光学シート500は、例えば拡散シート、プリズムシート、レンズシート、DBEF−D(Dual Brightness Enhancement Film-Diffuse)等の各種光学シートの1枚または複数枚から成る。なお、光学シート500を構成する各種光学シートの枚数は図示の3枚に限られない。また、光学シート500に同種の光学シート(例えば拡散シート)を複数枚含ませても構わない。
【0028】
そして、光学シート500の側から照明装置用フレーム600がランプハウス200に装着され、例えばネジ(不図示)によってランプハウス200に固定されている。これにより、拡散板400および光学シート500が照明装置20において支持される。
【0029】
このような照明装置20に液晶パネル30が組み合わされて表示装置10が構成されている。すなわち、照明装置用フレーム600上に光学シート500に対向するように液晶パネル30が配置されている(したがって、液晶パネル30は拡散板400の第1主面410側に配置されている)。なお、照明装置用フレーム600には液晶パネル30を位置決めし支持するためのパネル支持部が切り起こし加工によって形成されている。そして、液晶パネル30の側から表示装置用フレーム40が装着され、例えばネジ(不図示)によって照明装置用フレーム600に固定されている。これにより、液晶パネル30が表示装置10において支持されている。
【0030】
表示装置10では、ランプ100から出射した光は、拡散板400および光学シート500を介して液晶パネル30に照射され、液晶パネル30の各画素(または各セル)によって光強度(階調)が制御されたり着色されたりする。すなわち、液晶パネル30はランプ100から出射し拡散板400および光学シート500を透過した光を光強度や色等について制御して表示光を作り出す。このため、液晶パネル30を「光制御部材」と呼ぶことができる。
【0031】
次に、表示装置10の照明装置20が備える拡散板400の詳細な構成について、図2〜図4を参照しつつ説明する。図2は拡散板400の斜視図、図3は拡散板400の平面図、図4は拡散板400の拡大断面図である。
本実施形態の光学部品450を構成する拡散板400は軟質フォームよりなり、内部に複数の孔(空気流通部)430をランダムに有し、当該複数の孔430同士が連結することにより拡散板400の板厚方向に空気ないし水分が通り抜け可能となっている。具体的には、図4の断面図に示すように、矢印の方向に沿って第2主面420側から第1主面410側に空気が流通するものとなっており、当該孔430は空気の流通孔として機能することとなる。
【0032】
一方、上記孔(流通孔)430は光を散乱させる機能も有している。具体的には図4の矢印に示すように、孔軸方向が当該拡散板430の内部においてジグザグに形成され、このようなジグザグ構造(光拡散構造)431によって光が拡散されることとなっている。つまり、各孔430は第2主面側から第1主面側に直線状に連結されておらず、ジグザグに連結され、そのジグザグ構造を構成するランダムな孔壁部(樹脂により構成)と、孔内の空気との屈折率差によって光の屈折がランダムに生じ、当該拡散板400を透過する光が好適に散乱するものとなっている。
【0033】
なお、軟質フォームは熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂を何らかの方法によって体積膨張させた低密度のプラスチックである(本実施形態では、密度50%前後)。膨張の結果、その内部は小さい蜂の巣或いは中空の球(孔430)が凝集したような細胞構造、すなわち泡構造をとっている。当該泡(孔430)の作り方は公知の方法によるが、例えば1)樹脂成型工程で機械的に泡立てする方法、2)気体又は低沸点液体を成型樹脂中に混入する物理的方法、3)加熱によって気体を樹脂中に放出するような発泡剤を樹脂に含有させる、或いは発泡基を高分子に結合する化学的方法などがある。いずれの場合も、樹脂は発泡のため一時、液状或いは可塑化状を経ることとなる。なお、成型方法としては、例えばスラブ成型、モールド成型、ラミネート成型、注入成型等を採用することができる。
【0034】
このような拡散板400によれば、流通孔430により板厚方向への空気の流通が確保されるため、光源100が配置された第2主面420側から反対の第1主面410側に効果的に熱気が流通する。したがって、孔430を設けずに拡散板400の部材自身を媒体とした熱伝導に比べて空気の対流の方が速くなり、当該拡散板400の部材内で熱を均一にすることが可能となる。その結果、拡散板400の第1主面410と第2主面420との間で水分蒸発量の相違が生じ難くなり、ひいては乾燥度合いの相違も生じなくなって図9に示したような反り発生を効果的に防止ないし抑制することが可能となる。また、流通孔430は光を散乱させる構造431を備えるため、当該拡散板400は照明装置20の光散乱板として好適なものとなっている。
【0035】
次に、拡散板400の変形例について説明する。
図5に示す拡散板400aは、繊維510,520を編んだシート材よりなるものである。具体的には、透光性の繊維510(縦糸),520(横糸)を編んでなるシートを複数枚重ね合わせたシート材により構成されている。
【0036】
この場合、繊維510,520間の隙間が流通孔430を構成して、第1主面410と第2主面420との間で導風可能となる。したがって、拡散板400aにおいて、光源100が配置された第2主面420側だけ乾燥する不具合が生じ難く、図9に示したような反りが生じる不具合を効果的に防止ないし抑制することが可能となる。
【0037】
また、図6に示す拡散板400bは、複数の球状樹脂(樹脂ボール)530を数珠繋ぎにしたシート材よりなるものである。具体的には、個々の球状樹脂530に対して接着剤を塗布し、各球状樹脂530を同一平面内で面方向に接着させることで、当該球状樹脂530で構成されたシートを形成することができ、当該シートを複数枚重ね合わせて拡散板400bを構成している。なお、球径は40μm前後、最大でも100μm程度の物を用いるが画面サイズ・画素数によっては増減しても差し支えない。
【0038】
この場合、数珠繋ぎにされた球状樹脂530,530間に隙間が形成され、当該隙間が流通孔430を構成して、第1主面410と第2主面420との間で導風可能となる。したがって、拡散板400bにおいて、光源100が配置された第2主面420側だけ乾燥する不具合が生じ難く、図9に示したような反りが生じる不具合を効果的に防止ないし抑制することが可能となる。
【0039】
また、図7に示す拡散板400cは、複数の微細孔540a(541a,542a)を有する複数の薄膜シート540(541,542)を、それぞれ積層してなる積層シート材よりなるものである。具体的には、微細孔540a(541a,542a)は、高密度でランダムな位置に開口しており、各シート540(541,542)の重ね合わせにより、当該微細孔540a(541a,542a)がジグザグ状に積層されて流通孔を構成する。
【0040】
この場合も、微細孔540a(541a,542a)によって構成される流通孔により、第1主面410と第2主面420との間で導風可能となる。したがって、拡散板400cにおいて、光源100が配置された第2主面420側だけ乾燥する不具合が生じ難く、図9に示したような反りが生じる不具合を効果的に防止ないし抑制することが可能となる。
【0041】
以上の説明は本願発明のあくまでも一例に過ぎず、種々の変形や応用が考えられる。例えば、照明装置20の光源として、例示したランプ100(冷陰極管)の代わりに、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)、熱陰極管(HCFL;Hot Cathode Fluorescent Lamp)、外部電極蛍光管(EEFL;External Electrode Fluorescent Lamp)、キセノン管等を用いることができる。また、拡散板400の直下にランプ100が配置される上述の直下型照明装置だけでなくエッジライト型照明装置にも本発明の構成を適用できる。さらに、拡散板400だけでなく、表面の乾燥状態(吸水状態)の相違によって反りが生じうる種々の光学部品(樹脂製に限られない)にも本発明の構成を適用することができる。なお、樹脂製の光学部品によれば、樹脂の特性から、安価である、加工性がよい、軽い、光の透過性が高い等の利点がある。
【0042】
さらに、液晶パネル30以外の非自発光型表示パネルを「光制御部材」として照明装置20と組み合わせて表示装置10を構成することも可能である。ここで、照明装置20から出射される光(照明光)の光強度(階調)や色等を制御可能な部材を「光制御部材」と呼ぶとき、液晶パネル30等の表示パネル以外にも、例えば駅等に設置されるバックライト付き看板における当該看板も「光制御部材」に該当する。このとき、上記バックライト付き看板は「表示装置」に該当するとともに、当該バックライトは「表示装置用照明装置」に該当する。さらに、プレゼンテーション等で利用されるオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)や、レントゲン写真を裏面から照らすためのシャウカステンや、製図等で利用されるバックライトボックス等についても照明装置20を応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置を説明するための分解斜視図。
【図2】図1の表示装置に用いた拡散板の全体構成を示す斜視図。
【図3】図1の表示装置に用いた拡散板の平面構成を示す平面図。
【図4】図1の表示装置に用いた拡散板の要部構成を示す断面図。
【図5】拡散板の一変形例について全体構成を示す斜視図。
【図6】拡散板の異なる変形例について全体構成を示す斜視図。
【図7】拡散板の異なる変形例について全体構成を示す斜視図。
【図8】従来の液晶表示装置用バックライトを説明するための断面模式図。
【図9】図8の液晶表示装置用バックライトの問題点を説明するための断面模式図。
【符号の説明】
【0044】
20…表示装置用照明装置、400…拡散板(板状体)、430…流通孔、431…光散乱構造、450…光学部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置用照明装置に用いられ、透光性の板状体を備える光学部品であって、
前記板状体には、当該板状体の板厚方向に空気を流通可能な複数の空気流通部が形成されており、
前記空気流通部は、光を散乱させる機能を有した光散乱構造を備えることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記空気流通部は、前記板状体の板厚方向に貫通する流通孔として構成されるとともに、前記光散乱構造として、前記流通孔の孔軸方向が当該板状体の内部で複数段階に変化する構成を有することを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記流通孔が、前記板状体内部においてジグザグに折れ曲がって当該板状体を貫通することを特徴とする請求項2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記板状体は、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂のいずれかを用いてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項5】
前記板状体は、アクリル樹脂に対してポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、オレフィン樹脂のいずれかを混入した樹脂を用いてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項6】
前記板状体は、透光性樹脂に対して透光性無機材料を混入した材料を用いてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項7】
前記板状体は、軟質フォームよりなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項8】
前記板状体は、繊維を編んだシート材よりなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項9】
前記板状体は、複数の球状樹脂を数珠繋ぎにしたシート材よりなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項10】
前記板状体は、複数の微細孔を有する薄膜シートを複数積層したシート材よりなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の光学部品と、
前記光学部品の一主面に対して光照射可能に配設された光源と、を備えることを特徴とする表示装置用照明装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示装置用照明装置と、
前記光源から出射し、前記光学部品を透過した光について透過制御を行う光制御部材とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
前記光制御部材が液晶パネルであることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−229471(P2009−229471A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191475(P2006−191475)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】