説明

光学部品の切換機構、レンズ鏡筒及び撮像装置

【課題】 光学部品を光路上と光路外との間を移動させ、ガタつきによる不正確な位置決めがなされない光学部品の切換機構を提供する。
【解決手段】 光学部品31と、光学部品31を保持するホルダ部材32と、光軸に対して直交する平面上で、光学部品31を、光軸位置から退避位置に亘って回転駆動させる駆動モータ41を有する駆動機構40と、駆動モータ41を保持する保持部材37と、ホルダ部材32の回転を規制する規制部材36aとを備え、駆動機構40は、駆動モータ41と、平面上に設けられ駆動モータ41の回転軸43に取り付けられるウォーム44と、ウォーム44と噛み合いホルダ部材42と一体に設けられるウォームホイール42cとからなり、ウォーム44が回転し光学部品31を光軸位置における規制部材36aに向かって駆動させる回転送り方向が、駆動モータ41に近接する方向である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等に用いられ、赤外光を遮蔽等する光学部品を光軸上にある状態と光軸上にない状態とで切換えを行う光学部品の切換機構、この切換機構を用いたレンズ鏡筒、さらに、このレンズ鏡筒を備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画や静止画を撮像するビデオカメラやデジタルスチルカメラ等には、レンズ鏡筒が、カメラ本体と一体または別体に設けられる。このレンズ鏡筒は、例えば、変倍をする機能を有するレンズ群、変倍または被写体距離の変化に伴う像面変動を補正する機能を有するレンズ群などが円筒状の鏡筒本体に組み込まれて構成される。
【0003】
また、このレンズ鏡筒においては、入射光量を調整するための各種フィルタ、例えば、赤外光を遮蔽するための赤外光カットフィルタが、光路上に設けられている。
【0004】
ところで、近年のビデオカメラ等には、様々な撮影モードがあり、通常時の撮影の他に、夜間撮影を可能とする、いわゆるナイトショット撮影モードを備えるものもある。このナイトショット撮影モードでは、赤外光を積極的に取り込む必要があることから、上述の赤外光カットフィルタを光路上から取り除く必要がある。
【0005】
そこで、この赤外光カットフィルタを光路外に移動させる機構である光学部品の切換機構を備えるレンズ鏡筒が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この光学部品の切換機構には、手動で切換えを行うものや、モータを駆動源として電動で切換えるものがある。手動による切換えでは、ユーザの操作方法によっては、メカ機構に余計な負荷がかかり故障する場合がある。
【0007】
また、電動による切換えでは、モータからの駆動源を伝達するリンク機構が複雑なものとなり、これらリンク機構の組立精度等により、ガタつきが生じる場合があった。さらに、電動による切換えでは、上述のガタつきを考慮して、大きめの光学部品が用いられるようにしており、このことから、レンズ鏡筒自体の大型化または高額化につながっていた。
【0008】
【特許文献1】特開平11−194417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上述のような従来の実情に鑑みてなされたものであり、光学部品を光路上と光路外との間を移動させ、ガタつきによる不正確な位置決めがなされない光学部品の切換機構、この切換機構を有するレンズ鏡筒、及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明に係る光学部品の切換機構は、光学部品と、上記光学部品を保持するホルダ部材と、光軸に対して直交する平面上で、上記ホルダ部材に保持された光学部品を、該光軸上にある光軸位置から該光軸上にない退避位置に亘って回転駆動させる駆動モータを有する駆動機構と、少なくとも上記ホルダ部材に保持された光学部品の回転が上記光軸位置において規制される、上記ホルダ部材の回転を規制する規制部材とを備える。そして、上記駆動機構は、上記駆動モータと、該駆動モータの回転軸に取り付けられるウォームと、該ウォームと噛み合い上記ホルダ部材に設けられるウォームホイールとからなり、上記ウォームが回転し上記光学部品を上記光軸位置における上記規制部材に向かって駆動させる回転送り方向が、上記駆動モータに近接する方向である。
【0011】
また、本発明に係るレンズ鏡筒及び撮像装置は、上述の光学部品の切換機構を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、駆動モータに設けられるウォームが回転し上記光学部品を上記光軸位置における規制部材に向かって駆動させる回転送り方向が、駆動モータに近接する方向となるように形成されている。このため、本発明では、光学部品が規制部材に規制された状態からさらに駆動モータを駆動させることで、ウォームが取り付けられる回転軸が駆動モータから引き抜かれる方向に力が働くこととなる。しかし、この回転軸には、駆動モータ内へ引き戻される力が働き、駆動モータの停止後にこの引き戻し力により、ウォームが駆動モータに近接する方向に力が作用する。そして、ウォームが駆動モータに近接する方向に力が作用することから、ウォームと噛み合ったウォームホイールを介して光学部品を規制部材に向かう方向に力が作用する。そのため、本発明では、ホルダ部材を光軸位置に保持し続けることとなる。したがって、ホルダ部材に保持された光学部品は、光軸位置に正確に位置合わせされ、ガタつき等を考慮した大きめのサイズとする必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の光学部品の切換機構を有するレンズ鏡筒について、図面を参照して詳細に説明をする。本発明のレンズ鏡筒5は、図1に示すようなデジタルビデオカメラ1に用いられ、焦点を可変とすることができる、いわゆるズーム機能を有するものである。なお、レンズ鏡筒5は、デジタルビデオカメラ1に限らず、静止画の撮像を主とする電子スチルカメラに一体的に取り付けられるものであってもよく、また、一眼レフカメラの交換レンズとして用いられるものであってもよい。
【0014】
<撮像装置>
撮像装置として示すデジタルビデオカメラ1は、例えば、本体部2と、この本体部2の一側面に開閉可能に取り付けられたパネル部3と、このパネル部3とは反対側の本体部2の他側面に回動可能に取り付けられたグリップ部4とを備えている。
【0015】
本体部2は、被写体の像を撮影するための撮像ユニットを有しており、この本体部2の前面には、1群レンズ11を外部に臨ませるレンズ鏡筒5が突出して設けられている。また、本体部2の上面部2aには、音声を収録するための音声収録ユニットとして、マイクロフォン等のステレオマイク6が設けられている。
【0016】
<レンズ鏡筒>
レンズ鏡筒5は、図2に示すように、全体が略筒形状の鏡筒本体10と、鏡筒本体10内に複数のレンズ群11〜15と、赤外光カットガラス切換部16とが設けられている。なお、図2に示すレンズ鏡筒5は、1群レンズ11の一部を除いては、デジタルビデオカメラ1の本体部2内に配設される。そのため、図2においては、化粧パネルを除いたものを示すが、交換レンズとして用いる場合には、グリップ部、化粧パネル等が設けられる。
【0017】
レンズ鏡筒5には、図3に示すように、複数のレンズユニットが保持されている。このレンズ鏡筒5が保持するレンズ系は、5組のレンズユニットであるレンズ群を同一光軸7上に配置した5群レンズ11〜15からなるレンズ系である。これら5群レンズ11〜15は、略円筒状の鏡筒本体10に取り付けられている。また、レンズ鏡筒5は、鏡筒本体10内の対向する壁面に亘って複数本のガイド軸20が架設されている。このガイド軸20には、2群レンズ12、4群レンズ14が摺動可能に嵌挿されている。
【0018】
なお、ガイド軸20は、図3においては、2本形成される図を示しているが、これに限らず、適宜設けるようにしてもよい。また、可動レンズである2群レンズ12及び4群レンズ14がガイド軸20に嵌挿されていることを述べたが、これに限らず、それぞれ、別のガイド軸を設け、それらのガイド軸に嵌挿されるようにしてもよい。
【0019】
5群レンズ11〜15及び赤外光カットガラス切換部16を保持する鏡筒本体10は、一端10a側から光が入射される略円筒状からなり、樹脂成型により形成されている。鏡筒本体10は、一端10a側に1群レンズ11が設けられ、他端10b側において撮像素子17が設けられる。
【0020】
鏡筒本体10により保持される5群レンズ11〜15は、鏡筒本体10内を被写体側から順に光軸7が一致するように配置され、1群レンズ11、3群レンズ13及び5群レンズ15が、鏡筒本体10に固定され、2群レンズ12と4群レンズ14とが、光軸7方向に移動可能に保持されている。
【0021】
5群レンズ11〜15のうち、鏡筒本体10の一端10a側に配置される1群レンズ11は、被写体に対向される3つの対物レンズである第1のレンズ11a、第2のレンズ11b、第3のレンズ11cからなっている。1群レンズ11の第1乃至第3のレンズ11a〜11cは、レンズ周囲を保持する1群レンズ保持枠21に保持され、この1群レンズ保持枠21を介して鏡筒本体10の一端10a側に固定されている。1群レンズ11の第1のレンズ11aは、十分な周辺光量を得られるだけの有効径を有し、鏡筒本体10の径と略同一である。すなわち、第1のレンズ11aの径に応じて、鏡筒本体10の大きさが決まる。この1群レンズ11では、入射光が第1のレンズ11a、第2のレンズ11b、第3のレンズ11cを順に透過し、2群レンズ12に出射する。
【0022】
2群レンズ12は、正の屈折率を有するレンズ12a、負の屈折率を有するレンズ12bからなり、光軸7上を望遠及び広角方向に移動し画角を変更する機能、いわゆる変倍機能を備える。2群レンズ12のレンズ12a、12bは、レンズ周囲を保持する2群レンズ保持枠22に保持されている。この2群レンズ保持枠22は、中央部に厚さ方向、すなわち光軸方向に貫通して形成された貫通孔22aにレンズ12a、12bが取り付けられる。2群レンズ保持枠22は、光路外に図示しない貫通孔が設けられ、この貫通孔にガイド軸20が嵌挿され、ガイド軸20の軸方向、すなわち光軸方向に摺動可能となる。2群レンズ保持枠22には、駆動モータが接続され、この駆動モータからの駆動力により、光軸方向に駆動される。この2群レンズ12のレンズ12a、12bを透過した光は、3群レンズ13に入射される。
【0023】
3群レンズ13は、鏡筒本体10に3群レンズ保持枠23を介して固定される2枚の正の屈折率を有するレンズ13a、13bと、負の屈折率を有するレンズ13cとからなっている。3群レンズ13の後段には、レンズ14aからなる4群レンズ14が配置されている。
【0024】
4群レンズ14は、3群レンズ13の後段の鏡筒本体10内を、光軸7上をテレ及びワイド方向に移動し変倍するとともに、被写体距離の変化に伴う像面変動を補正する機能、いわゆるフォーカス機能を備える。4群レンズ14のレンズ14aは、レンズ周囲を保持する4群レンズ保持枠24に保持されている。
【0025】
この4群レンズ保持枠24は、2群レンズ保持枠22と同様に、中央部に厚さ方向、すなわち光軸方向に貫通して形成された貫通孔24aにレンズ14aが取り付けられる。また、4群レンズ保持枠24は、光路外にガイド軸20が嵌挿される貫通孔を有し、ガイド軸20に沿って、すなわち光軸方向に摺動可能となる。4群レンズ保持枠24には、駆動モータが接続され、この駆動モータからの駆動力により、光軸方向に駆動される。4群レンズ14の後段には、レンズ15a、15bからなる5群レンズ15が配置されている。
【0026】
5群レンズ15は、鏡筒本体10に5群レンズ保持枠25を介して固定される1枚の負の屈折率を有するレンズ15aと、正の屈折率を有するレンズ15bとからなっている。5群レンズ15の後段には、光軸7上に赤外光カットガラス31を出し入れする赤外光カットガラス切換部16が配置されている。
【0027】
赤外光カットガラス切換部16は、シャーシ26を介して鏡筒本体10に固定され、シャーシ26上を赤外光カットガラス31を回動させることで、当該赤外光カットガラス31を光軸7上に出し入れする。この赤外光カットガラス切換部16の詳細は、後述する。
【0028】
赤外光カットガラス切換部16の後段には、撮像素子17(CCD(Charge-Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等)が配置されている。撮像素子17は、レンズ鏡筒5の鏡筒本体10の他端10b側で光軸7上に位置するように、設けられている。撮像素子17は、撮像素子17の周囲を保持する保持枠27に保持され、この保持枠27を介して鏡筒本体10の他端10b側に固定されている。なお、撮像素子17は、レンズ鏡筒5に取り付けられることに限らず、レンズ鏡筒5とは別体にデジタルビデオカメラ1の本体部2に固定される構成であってもよい。
【0029】
2群レンズ12と4群レンズ14とは、それぞれ別個独立に光軸7に沿ってテレ方向とワイド方向に移動する。この2群レンズ12と4群レンズ14とは、テレ又はワイド方向に移動することによって、ズーム(変倍)調整とフォーカス調整とを行う。すなわち、ズーム時には、2群レンズ12と4群レンズ14をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってズーム調整を行う。また、フォーカス時には、4群レンズ14をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってフォーカス調整を実行する。
【0030】
なお、レンズ鏡筒5は、上述のように、5群レンズ構成に限らず、鏡筒本体を有し、この鏡筒本体に、少なくとも1つのレンズ群が設けられているものであれば、いかなるものであってもよい。レンズ鏡筒5は、例えば、4群レンズ14の後段に、振動等によって発生する像ぶれを補正する補正レンズを設けるようにしてもよい。さらに、レンズ鏡筒5は、3群レンズ13の前段ないしレンズ13aとレンズ13bとの間に、絞り機構を設けたり、偏光フィルタを介在させてもよい。
【0031】
<赤外光カットガラス切換部16>
次に、5群レンズ15の後段に設けられる赤外光カットガラス切換部16について詳述する。
【0032】
赤外光カットガラス切換部16は、図4及び図5に示すように、シャーシ26と、光学部品の1つである赤外光カットガラス31と、赤外光カットガラス31を保持するホルダ部材32と、ホルダ部材32を回動駆動させる駆動機構40と、駆動機構40等をシャーシ26に固定するカバー部材33とからなる。赤外光カットガラス切換部16は、赤外光をカットする赤外光カットガラス31を、光軸7上にある光軸位置と光軸7上にない退避位置とに亘って移動させる。
【0033】
なお、便宜上、光軸方向をz軸方向、z軸と直交し、鏡筒本体10に配置されたときの鉛直方向をx軸方向、z軸及びx軸と直交する水平方向をy軸方向として説明をする。
【0034】
赤外光カットガラス切換部16のシャーシ26は、その主面が、鏡筒本体10の断面形状と略同一に、樹脂成型により形成されている。シャーシ26には、主面の周縁に、立壁部26aが形成され、この立壁部26aに囲まれる領域に、ホルダ部材32、駆動機構40が収容されている。シャーシ26には、主面の略中央部に5群レンズ15からの出射光の光路となる開口部34が設けられている。シャーシ26は、開口部34近傍に、ホルダ部材32の回動軸となるボス35がz軸方向に立設されている。また、シャーシ26には、ホルダ部材32の回動を規制する2つの規制片36a、36bが設けられている。規制片36a、36bは、いわゆるホルダ部材32のメカ端を規定する部材である。一方の規制片36aは、赤外光カットガラス31が光軸7上にある光軸位置を規定するものであり、他方の規制片36bは、光軸7上にない退避位置を規定するものである。また、シャーシ26には、ホルダ部材32の回動領域上にホルダ部材32が摺動する円弧状の摺動片26bが設けられている。さらに、シャーシ26の立壁部26aには、カバー部材33の位置決めを行う位置決め孔26cが形成されている。
【0035】
また、シャーシ26には、図6乃至図8に示すように、ボス35に隣接するように、後述する駆動機構40の駆動モータ41を保持するモータ保持部37が設けられている。このモータ保持部37は、略円柱状の駆動モータ41のモータ本体42が載置される凹部37aが設けられている。モータ保持部37の凹部37aは、駆動モータ41の回転軸43がx軸方向となり、回転軸43に取り付けられるウォーム44とホルダ部材32のウォームホイール32cとが噛み合う位置に形成されている。モータ保持部37の凹部37aで、駆動モータ41の回転軸43の軸方向端部には、立壁部37bが形成され、この立壁部37bにモータ本体42のxy平面における位置決め片42aが挿通される位置決め孔37cが設けられている。さらに、モータ保持部37の凹部37aには、立壁部37bと離間する位置に、モータ本体42の軸方向の位置決めを行う軸決め部材としてのモータ本体42の周面を受けるV字状の傾斜部37dが設けられている。モータ保持部37は、位置決め孔37cにモータ本体42の位置決め片42aが挿通されることで、xy平面、すなわち光軸7に直交する平面における位置決めが行われる。そして、傾斜部37dにより、駆動モータ41の回転軸43の軸方向の位置決めが行われる。なお、モータ保持部37は、位置決め孔37cが設けられることに限らず、モータ本体42のxy平面における位置決めを行えるものであれば、いかなる構成であってもよい。例えば、凹部37a側に位置決め片を設け、この位置決め片と対応する位置決め孔をモータ本体側に設けるようにしてもよい。
【0036】
また、モータ保持部37の凹部37aは、ウォーム44が取り付けられる駆動モータ41の回転軸43の軸方向全長と比べてやや長めの寸法に形成されている(図8参照。)。これは、赤外光カットガラス切換部16では、駆動モータ41及びウォーム44がx軸方向に移動する余地を残すためのものである。赤外光カットガラス切換部16は、ウォーム44とウォームホイール32cとの噛み合いにより発生する喰い付きを駆動モータ41側で補うためのものである。
【0037】
ホルダ部材32に保持される赤外光カットガラス31は、1群レンズ11側から透過される入射光のうち、赤外光のみを遮蔽する光学部品である。赤外光カットガラス31は、撮像素子17と略同一の主面形状を有し、例えば略矩形である。なお、本実施の形態においては、赤外光カットガラスを用いることについて説明をするが、これに限らず、撮影状況に応じた光学部品、例えば、光路長を補正するガラス、可視光をカットするレンズ等であってもよい。
【0038】
赤外光カットガラス31を保持するホルダ部材32は、全体薄板状で、赤外光カットガラス31の周縁を保持する枠体である。ホルダ部材32には、中央に赤外光カットガラス31と略同一の大きさの開口部32aが形成されている。また、ホルダ部材32は、主面略矩形の一の角部近傍にボス35が回動可能に遊嵌される軸受部32bと、この軸受部32bの周囲に形成されるウォームホイール32cとを備える。ホルダ部材32の軸受部32bは、ボス35に遊嵌されることで、ホルダ部材32全体を光軸7と直交する平面上、すなわちxy平面上を回動可能とする。また、ホルダ部材32のウォームホイール32cは、軸受部32bの軸方向すなわちz軸方向の周囲に形成される扇形の歯車である。ウォームホイール32cは、駆動機構40のウォーム44と噛み合い、駆動モータ41からの駆動力が伝達され、ウォーム44の回転に応じて、ホルダ部材32を回動させる。ウォームホイール32cは、赤外光カットガラス31が光軸上にある光軸位置と光軸上にない退避位置との間を回動できるように歯車が形成されている。ホルダ部材32は、シャーシ26の規制片36a、36bにより回動量が規制される。すなわち、ホルダ部材32は、駆動機構40により回動され、規制片36aにx軸方向に平行なホルダ部材32の側面が当接することで、光軸位置とされる。また、ホルダ部材32は、駆動機構40により回動され、規制片36bにy軸方向に平行なホルダ部材32の上面が当接することで、退避位置とされる。なお、ホルダ部材32の回動量を規制する規制片36a、36bは、上述の位置に形成されることに限らず、ホルダ部材32の回動を所定位置で規制することができるものであればよい。例えば、規制片36bについては、シャーシ26のy軸方向に平行な立壁部26aがその役割を果たすようにしてもよい。また、規制片36aについては、ホルダ部材32のx軸方向に平行な下面が当接する位置に設けるようにしてもよい。さらに、赤外光カットガラス切換部16では、光軸位置において精度よく位置決めできればよく、規制片36bについては、必ずしも精度が要求されず、あるいは設けなくてもよい。
【0039】
赤外光カットガラス切換部16のカバー部材33は、ホルダ部材32及び駆動機構40を覆う。カバー部材33は、光軸7に対応する略中央部に5群レンズ15からの出射光が入射される開口部33aが形成されている。また、カバー部材33には、駆動モータ41と対向する位置に駆動モータ41をz軸方向に付勢して押さえる付勢部38が形成されている。また、カバー部材33には、シャーシ26と固定するネジ39が挿通される挿通孔33bと、シャーシ26との位置決めを行う位置決め片33cが設けられている。カバー部材33は、位置決め片33cを、シャーシ26の立壁部26aの位置決め孔26cに挿通することで、位置合わせを行い、ネジ39によりシャーシ26の所定位置に固定される。位置決め片33cは、付勢部38が設けられる位置と離間するカバー部材33周面に立設されている。これにより、カバー部材33は、ネジ39によるシャーシ26への固定により確実に、付勢部38における駆動モータ41の付勢・保持が行われる。
【0040】
カバー部材33の付勢部38は、駆動モータ41と対向する位置に設けられる片持ち梁状の突片であり、カバー部材33がシャーシ26に固定されることで、駆動モータ41のモータ本体42の周面をz軸方向に付勢する。カバー部材33は、ホルダ部材32の軸受部32bがボス35から抜け落ちることを防止するとともに、駆動モータ41をz軸方向に付勢する。
【0041】
なお、付勢部38は、通常の使用において駆動モータ41自体が移動せず、ホルダ部材32が回動され、規制片36aと当接した際に、ウォーム44の歯車とウォームホイール32cのギアとの喰い付きを防止するために駆動モータ41の出力に応じて移動できる程度の付勢力が付与されている。
【0042】
ホルダ部材32を回動駆動させる駆動機構40は、駆動モータ41と、回転軸43に固定されるウォーム44と、ホルダ部材32に一体に形成されるウォームホイール32cとからなる。駆動機構40は、駆動モータ41からの回転駆動力をウォーム44、ウォームホイール32cを介してホルダ部材32に伝達する機構である。すなわち、駆動機構40は、赤外光カットガラス31を、光軸上にある光軸位置と光軸上にない退避位置との間に亘って回動駆動させる。駆動機構40の駆動モータ41は、シャーシ26のモータ保持部37に保持される。
【0043】
駆動機構40の駆動モータ41は、有底筒状のモータ本体42と、このモータ本体42内に一対のステータ磁石を備える。そして、駆動モータ41は、ステータ磁石の内側に、中心に回転軸43を有するロータコイルが設けられている。駆動モータ41のモータ本体42は、有底筒状であり、その一方端面に位置決め片42aが形成され、他方端面から軸方向に沿って回転軸43が臨まされている。駆動モータ41の位置決め片42aは、シャーシ26のモータ保持部37の位置決め孔37cに挿通され、駆動モータ41の位置決めを行う。ウォーム44は、駆動モータ41のロータコイルに設けられる回転軸43に軸支される。駆動モータ41に設けられるウォーム44は、基端部(モータ本体42)側から先端部側に向かって時計回りの螺旋状となる歯車が形成されている。すなわち、ウォーム44は、そのウォーム歯車が回転し赤外光カットガラス31を規制片36aに向かって駆動させる回転送り方向が、駆動モータ41に近接する方向となるように形成されている。赤外光カットガラス切換部16では、ホルダ部材32が規制片36aと当接されてから後も、さらに駆動モータ41を駆動し続けることで、ウォーム44が取り付けられる回転軸43が駆動モータ41から引き抜かれる方向に力が働くこととなる。しかし、この回転軸43には、ステータ磁石により駆動モータ41内へ引き戻す力が働き、駆動モータ41停止後もこの引き戻し力が働き、ウォーム44が駆動モータ41に近接する方向に力が作用する。そして、ウォーム44が駆動モータ41に近接する方向に力が作用することから、ウォーム44と噛み合ったウォームホイール32cを介して赤外光カットガラス31を規制片36aに向かう方向に力が作用する。そのため、赤外光カットガラス切換部16では、ホルダ部材32を光軸位置に保持し続けることとなる。ウォーム44の回転送り方向と駆動モータ41との関係は、上述の引き戻し力を利用して、ホルダ部材32の光軸位置を維持するための構成である。
【0044】
なお、駆動機構40のウォーム44は、上述の回転方向にその歯車が形成されることに限らず、駆動モータ41、ウォーム44の歯車の回転送り方向、ウォームホイール32c、赤外光カットガラス31の位置に応じて、適宜変更される。すなわち、ウォーム44は、そのウォーム歯車が回転し赤外光カットガラス31を規制片36aに向かって駆動させる回転送り方向が、駆動モータ41に近接する方向となるように形成されればよい。例えば、駆動モータ41のモータ本体42をシャーシ26のボス35に対してx軸方向下側に設けた場合には、ウォーム44の歯車の回転送り方向は、上述と逆方向となる。
【0045】
このような構成を有する赤外光カットガラス切換部16は、モータ保持部37が、シャーシ26に一体形成されている。そして、モータ保持部37に駆動モータ41の位置決めを行う構成が全て設けられ、一体成形されることから、駆動モータ41の組立時における位置決めが精度よく行える。
【0046】
赤外光カットガラス切換部16は、駆動モータ41の回転駆動力により、ホルダ部材32が退避位置から光軸位置に亘って回転駆動される。また、赤外光カットガラス切換部16では、光軸位置において規制片36aが設けられ、この規制片36aにホルダ部材32が当接されることで、光軸位置を規定する。そして、駆動モータ41に設けられるウォーム44は、そのウォーム歯車が回転し赤外光カットガラス31を規制片36aに向かって駆動させる回転送り方向が、駆動モータ41に近接する方向となるように形成されている。赤外光カットガラス切換部16では、ホルダ部材32が規制片36aと当接されてから後も、さらに駆動モータ41を駆動し続けることで、ウォーム44が取り付けられる回転軸43が駆動モータ41から引き抜かれる方向に力が働くこととなる。しかし、この回転軸43には、ステータ磁石により駆動モータ41内へ引き戻す力が働き、駆動モータ41停止後もこの引き戻し力が働き、ウォーム44が駆動モータ41に近接する方向に力が作用する。そして、ウォーム44が駆動モータ41に近接する方向に力が作用することから、ウォーム44と噛み合ったウォームホイール32cを介して赤外光カットガラス31を規制片36aに向かう方向に力が作用する。そのため、赤外光カットガラス切換部16では、ホルダ部材32を光軸位置に保持し続けることとなる。したがって、ホルダ部材32に保持された赤外光カットガラス31は、光軸位置に正確に配置され、ガタつき等を考慮した大きめのサイズとする必要がなくなる。さらに、ホルダ部材32が光軸位置から離間する外力が作用した場合であっても、規制片36aへの当接を維持し続けることができる。
【0047】
また、赤外光カットガラス切換部16は、駆動モータ41がカバー部材33の付勢部38により付勢された状態でモータ保持部37に保持されており、回転軸43の軸方向に多少移動する余地が残されている。したがって、ウォーム44の歯車とウォームホイール32cのギアとの喰い付きを防止することができる。
【0048】
また、赤外光カットガラス切換部16は、赤外光カットガラス31が、光軸7と直交する平面上を回動することから、光軸7方向への嵩高が抑えられ、レンズ鏡筒5の全長を短くすることができる。このため、レンズ鏡筒5の小型化が実現できるとともに、撮像素子17に入射する光量を増やすことができる。
【0049】
なお、赤外光カットガラス切換部16は、赤外光カットガラス31の光軸位置における正確な位置合わせを行えることについて述べたが、退避位置においては、赤外光カットガラス31が光軸位置から退避していればよい。すなわち、退避位置においては、それほど、精度が要求されない。しかし、光軸位置における構成を、退避位置に適用するものであってもよいことは勿論である。また、赤外光カットガラス切換部16は、上述のように、レンズ鏡筒5の撮像素子17側に設けられることに限らず、鏡筒本体10内のいかなる位置に設けてもよい。
【0050】
<赤外光カットガラス切換部の動作>
次に、赤外光カットガラス切換部16のホルダ部材32が光軸7上にない退避位置にある状態から光軸位置に移動する動作について説明をする。
【0051】
図9(A)に示すように、赤外光カットガラス切換部16は、赤外光カットガラス31が光軸上にない退避位置にある。ユーザにより、赤外光カットガラス31がこの退避位置から光軸位置となるように切換操作がなされると、駆動機構40の駆動モータ41が駆動する。駆動モータ41が回転駆動されると、回転軸43に取り付けられたウォーム44が回転し、ウォーム44と噛み合ったウォームホイール32cに回転駆動力が伝達される。そして、ホルダ部材32は、規制片36aに向かって回動される。ホルダ部材32が規制片36aと当接されると、駆動モータ41は、それ以上回動できなくなる。駆動モータ41は、さらに駆動力を伝達し続けることで、ウォーム44とウォームホイール32cとが噛み合い、ホルダ部材32を図9(B)の矢印A方向に回動させる力が働く。このとき、ウォーム44と、回動が規制されたウォームホイール32cとの噛み合いにより、回転軸43がモータ本体42から引き抜かれる方向に力が働くこととなる。しかし、この回転軸43には、ステータ磁石により駆動モータ41内へ引き戻す力が働き、駆動モータ41停止後もこの引き戻し力が働き、ウォーム44が駆動モータ41に近接する方向に力が作用する。そして、ウォーム44が駆動モータ41に近接する方向に力が作用することから、ウォーム44と噛み合ったウォームホイール32cを介して赤外光カットガラス31を規制片36aに向かう方向に力が作用する。そのため、赤外光カットガラス切換部16では、ホルダ部材32を光軸位置に保持し続けることとなる。そして、赤外光カットガラス31を光軸位置に正確に切換える。また、赤外光カットガラス切換部16においては、駆動モータ41が回転軸43の軸方向に移動可能に保持されることから、駆動モータ41全体が移動することで、ウォーム44の歯車とウォームホイール32cのギアとの喰い付きを防止することができる。
【0052】
<第2の実施の形態>
続いて、本発明に係る赤外光カットガラス切換部の第2の実施の形態について説明をする。なお、以下においては、赤外光カットガラス切換部16と同様の構成については、同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
第2の実施の形態として示す赤外光カットガラス切換部は、駆動機構40のウォーム44及びウォームホイール32cに代えて、図10及び図11に示すようなウォーム51及びウォームホイール52を有する駆動機構50が設けられている。
【0054】
駆動機構50のウォーム51は、図10(A)に示すように、ウォーム44と同一の回転送り方向の歯車が形成され、駆動モータ41の回転軸43に取り付けられるものであり、歯車の先端に当接部53が設けられている。このウォーム51は、当接部53がウォームホイール52の規制部54と当接されることで、その駆動モータ41からの回転が規制され、駆動モータ41をロックする。ウォーム51の当接部53は、図11(B)に示すように、回転軸43を含む平面上に形成される当接面53aを有し、この当接面53aがウォーム51の先端の歯車と連続する。当接部53は、ホルダ部材32が規制片36aと当接されるタイミングよりやや遅いタイミングで、この当接面53aと規制部54とが当接する位置に形成されている。これにより、ウォーム51の歯車とウォームホイール52のギアとの喰い付きを防止することができる。
【0055】
ウォームホイール52の規制部54は、図10(B)及び図11(A)に示すように、ホルダ部材32が光軸位置にあるときにウォーム51の当接部53と当接される突片である。規制部54は、図11(B)に示すように、回転軸43を含むxy平面上に当接部53と当接される平面54aを有する。換言すると、規制部54は、ホルダ部材32が光軸位置にあるときにウォーム44と噛み合うウォームホイール32cの最終ギアを、ウォーム51と噛み合わない大きさに形成した突片である(図11(C)参照。)。
【0056】
ウォーム51及びウォームホイール52を有する赤外光カットガラス切換部では、ホルダ部材32が規制片36aと当接されるタイミングとやや遅いタイミングで、当接部53が規制部54と当接され、ウォーム51の回転が規制、ロックされる。そして、当接部53が規制部54と当接されることで、ウォーム51の歯車とウォームホイール52のギアとの喰い付きを防止することができる。
【0057】
なお、当接部53と規制部54とは、上述のような構成に限らず、ホルダ部材32が規制片36aと当接されるタイミングよりやや遅いタイミングで、ウォーム51の回転がウォームホイール52により規制されるものであればよい。したがって、規制部54は、回転軸43を含むxy平面上に当接部53の当接面53aが当接される平面54aを有することに限らない。また、当接部53は、規制部54をz軸方向に押圧する方向で当接されることに限らない。さらに、当接部53と規制部54とは、平面同士が当接されることについて述べたが、これに限らず、規制部54を、ホルダ部材32が規制片36aと当接する方向に押圧するように、当接部53の当接面を傾斜させるようにしてもよい。
【0058】
<変形例>
ウォーム51とウォームホイール52とを有する赤外光カットガラス切換部は、さらに、図12及び図13に示すように、光軸位置において、ホルダ部材32を規制片36aに付勢する付勢機構61を有するものであってもよい。
【0059】
変形例として示す赤外光カットガラス切換部60は、図12及び図13に示すように、ホルダ部材62に取り付けられるバネ部材63と、ホルダ部材62が光軸位置にあるときにバネ部材63により押圧されるボス64とからなる付勢機構61を備える。
【0060】
付勢機構61のバネ部材63が取り付けられるホルダ部材62は、ホルダ部材32と同一構成にさらに、バネ部材63を保持する保持部62aが形成されている。具体的には、ホルダ部材62は、全体薄板状で、赤外光カットガラス31の周縁を保持する枠体である。ホルダ部材62の保持部62aは、枠体のy軸方向下側に設けられる平面視略三角形の薄板からなる。保持部62aは、その主面に、バネ部材63の第1の弾性アーム63aの係止部63cが係止されるアーム係止部65を有する。さらに保持部62aは、バネ部材63の環状係合部63dが係合される係合部66と、第2の弾性アーム63bが係止されるアーム係止部67と、ボス68とを有する。
【0061】
保持部62aのアーム係止部65、67は、それぞれ第1及び第2の弾性アーム63a、63bを係止するものである。アーム係止部65は、ホルダ部材62の枠体の側壁と一体に形成されている。また、アーム係止部67は、断面が略コ字状に形成され、第2の弾性アーム63bが弾性可能に係止されている。係合部66は、保持部62aの主面に立設された円柱状のボスであり、このボスの先端にバネ部材63の抜け止めをする、中心がボスと偏倚した略楕円形状の抜止め部66aが形成されている。ボス68には、第2の弾性アーム63bの先端に形成された環状係止部63eが弾性可能に係止される。
【0062】
付勢機構61のバネ部材63は、第1の弾性アーム63aと第2の弾性アーム63bと、この第1及び第2の弾性アーム63a、63bとに連続されるとともに、ホルダ部材62に係合される環状係合部63dとからなる。バネ部材63の第1の弾性アーム63aは、その先端が折曲げ形成されアーム係止部65に係止される係止部63cを構成し、基端において環状係合部63dと連続されている。第2の弾性アーム63bは、基端において環状係合部63dと連続され、先端にボス68に係止される環状係止部63eが形成されている。
【0063】
バネ部材63は、1本の針金を折り曲げることで、各部が一体に形成される。バネ部材63は、第1及び第2の弾性アーム63a、63bが互いに離間する方向に付勢された状態で、ホルダ部材62の保持部62aに係止される。バネ部材63は、第1の弾性アーム63aの係止部63cがアーム係止部65に係止され、第2の弾性アーム63bがアーム係止部67に係止される。このとき、バネ部材63は、それぞれのアーム係止部65、67と、第1及び第2の弾性アーム63a、63bが互いに近接する方向には弾性変形することができるように係止されている。さらに、バネ部材63は、環状係合部63dが係合部66に係合され、ホルダ部材62と一体となるように取り付けられる。バネ部材63の環状係止部63eは、ホルダ部材62のうち、その回動支点であるボス35から一番離間する位置に係止される。そして、シャーシ26に形成されるボス64は、その一部が環状係止部63eの回動領域上に位置するように形成されている。具体的には、ボス64は、ホルダ部材62が光軸位置にあるときに、環状係止部63eを押圧し、環状係止部63eが取り付けられたホルダ部材62を規制片36aに向かって押圧する位置に設けられる。このため、ボス64は、ホルダ部材62が光軸位置にあるときに、環状係止部63eを介してホルダ部材62を規制片36a側に付勢し続ける。
【0064】
このとき、押圧された環状係止部63eは、環状係合部63dと連続され、この環状係合部63dがホルダ部材62の係合部66に係合されている。このため、ホルダ部材62は、環状係止部63eからの押圧力が伝達され、ホルダ部材62自体を規制片36a側に押圧する。そして、赤外光カットガラス切換部60では、ホルダ部材62が光軸位置にあるときに、バネ部材63とボス64とにより、ホルダ部材62を光軸位置に付勢し続けるので、赤外光カットガラス31を正確に位置合わせすることができる。
【0065】
赤外光カットガラス切換部60は、赤外光カットガラス31が退避位置から光軸位置に切換操作がなされると、駆動機構40の駆動モータ41を駆動し、ウォーム51、ウォームホイール52を介してホルダ部材62を光軸位置に向かって回動させる。そして、ホルダ部材62が光軸位置となる手前で、ホルダ部材62に取り付けられたバネ部材63の環状係止部63eの周面の一部がボス64と当接する。ボス64と当接した環状係止部63eは、さらに駆動モータ41からの駆動力が伝達され、ボス64を回避するようにバネの付勢力に抗して第1の弾性アーム63a側に収縮する。そして、ホルダ部材62は、環状係止部63eが、その中心がボス64の中心よりy軸方向でボス35側に位置するまで回動される。すなわち、赤外光カットガラス切換部60では、ホルダ部材62に取り付けられた環状係止部63eが収縮することによりボス64を回避して、ホルダ部材62の回動支点であるボス35側に位置するようにホルダ部材62全体が回動される。光軸位置に達したホルダ部材62は、規制片36aに規制され、その回動が規制されるが、このとき、環状係止部63eにおいては、ボス64に押圧されている。ボス64は、y軸方向でホルダ部材62の回動支点であるボス35側にある環状係止部63eを押圧するので、ホルダ部材62を規制片36aに向かって押圧することとなる。
【0066】
以上のような構成を有する本発明に係る赤外光カットガラス切換部60は、バネ部材63がボス64に押圧されることで、ホルダ部材62を光軸位置に維持し続ける。したがって、ホルダ部材62に保持された赤外光カットガラス31は、光軸位置に正確に配置され、ガタつき等を考慮した大きめのサイズとする必要がなくなる。さらに、ホルダ部材62が光軸位置から離間する外力が作用した場合であっても、ウォーム51及びウォームホイール52の作用と、バネ部材63の付勢力により、規制片36aへの当接を維持し続けることができる。また、赤外光カットガラス切換部60は、光軸位置においてウォーム51の当接部53がウォームホイール52の規制部54と当接し、ウォーム51の回転が規制される。このため、ウォーム51の歯車とウォームホイール52のギアとの喰い付きを防止することができる。
【0067】
また、赤外光カットガラス切換部60は、赤外光カットガラス切換部16と同様に、赤外光カットガラス31が、光軸7と直交する平面上を回動することから、光軸7方向への嵩高が抑えられ、レンズ鏡筒5の全長を短くすることができる。このため、レンズ鏡筒5の小型化が実現できるとともに、撮像素子17に入射する光量を増やすことができる。
【0068】
さらに、赤外光カットガラス切換部60では、環状係止部63e及びボス64が互いに円弧状の周面が当接されるので、ホルダ部材62の回動抵抗が低減された形状となっており、駆動モータ41への負荷が少なく、そのため、駆動モータ41を大型なものとする必要がない。
【0069】
なお、赤外光カットガラス切換部60は、上述のような、バネ部材63を有する付勢機構61を備えることに限らない。すなわち、赤外光カットガラス切換部60では、バネ部材63をシャーシ26側に設け、ボス64をホルダ部材62側に設けるようにしてもよい。さらに、バネ部材63に代えて、ボス64と当接しホルダ部材62を図13中矢印A方向に押圧する、例えばピンをホルダ部材62上に立設してもよい。このとき、立設されたピンは、ホルダ部材62が光軸位置に至る手前で、ボス64と当接することとなるが、このボス64を乗り越えて、y軸方向でボス35側に位置できるようにボス64を一旦回避する機構が必要となる。
【0070】
なお、赤外光カットガラス切換部60は、上述のように、ウォーム51及びウォームホイール52を備えるとともに、さらに、付勢機構61を備えることに限らない。例えば、付勢機構61を、第1の実施の形態として示したウォーム44及びウォームホイール32cを有する赤外光カットガラス切換部16に適用することでもよい。さらに、付勢機構61のみを有する赤外光カットガラス切換部であってもよい。
【0071】
また、本発明は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明を適用したレンズ鏡筒を備える撮像装置の外観斜視図である。
【図2】本発明を適用したレンズ鏡筒の外観斜視図である。
【図3】本発明を適用したレンズ鏡筒の断面図である。
【図4】本発明を適用した赤外光カットガラス切換部の組立斜視図である。
【図5】(A)は、赤外光カットガラス切換部の平面図であり、(B)は、I−Iにおける断面図であり、(C)は、II−IIにおける断面図である。
【図6】駆動モータの取り付け位置を説明するための要部斜視図である。
【図7】シャーシにカバー部材が取り付けられた駆動機構の要部斜視図である。
【図8】シャーシに取り付けられた駆動モータの断面図である。
【図9】赤外光カットガラス切換部の切換動作を説明するための斜視図であり、(A)は、赤外光カットガラスが退避位置にあり、(B)は、赤外光カットガラスが光軸位置にある状態を示す斜視図である。
【図10】(A)は、第2の実施の形態として示す赤外光カットガラス切換部の駆動機構を示す斜視図であり、(B)は、図(A)の裏面側からの斜視図である。
【図11】(A)は、ウォームの当接部がウォームホイールの規制部に当接し規制される様子を示す斜視図であり、(B)はその回転軸と直交する方向からの平面図であり、(C)は、要部断面図である。
【図12】(A)は、他の実施の形態として示す赤外光カットガラス切換部の付勢機構を説明するための斜視図であり、(B)は、バネ部材の平面図である。
【図13】付勢機構を有する赤外光カットガラス切換部の平面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 デジタルビデオカメラ、2 本体部、3 パネル部、4 グリップ部、5 レンズ鏡筒、6 ステレオマイク、7 光軸、10 鏡筒本体、16、60 赤外光カットガラス切換部、17 撮像素子、26 シャーシ、26a 立壁部、26b 摺動片、26c 位置決め孔、31 赤外光カットガラス、32、62 ホルダ部材、32a 開口部、32b 軸受部、32c、52 ウォームホイール、33 カバー部材、33a 開口部、33b 挿通孔、33c 位置決め片、34 開口部、35 ボス、36a 規制片、36b 規制片、37 モータ保持部、37a 凹部、37b 立壁部、37c 位置決め孔、37d 傾斜部、38 付勢部、40、50 駆動機構、41 駆動モータ、42 モータ本体、42a 位置決め片、43 回転軸、44、51 ウォーム、53 当接部、54 規制部、61 付勢機構、62a 保持部、63 バネ部材、63a 第1の弾性アーム、63b 第2の弾性アーム、63c 係止部、63d 環状係合部、63e 環状係止部、64 ボス、65 アーム係止部、66 係合部、67 アーム係止部、68 ボス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品と、
上記光学部品を保持するホルダ部材と、
光軸に対して直交する平面上で、上記ホルダ部材に保持された光学部品を、該光軸上にある光軸位置から該光軸上にない退避位置に亘って回転駆動させる駆動モータを有する駆動機構と、
少なくとも上記ホルダ部材に保持された光学部品の回転が上記光軸位置において規制される、上記ホルダ部材の回転を規制する規制部材とを備え、
上記駆動機構は、上記駆動モータと、該駆動モータの回転軸に取り付けられるウォームと、該ウォームと噛み合い上記ホルダ部材に設けられるウォームホイールとからなり、
上記ウォームが回転し上記光学部品を上記光軸位置における上記規制部材に向かって駆動させる回転送り方向が、上記駆動モータに近接する方向である光学部品の切換機構。
【請求項2】
上記光学部品は、赤外光を遮蔽する光学部品である請求項1記載の光学部品の切換機構。
【請求項3】
上記駆動モータは、該駆動モータを上記回転軸の軸方向に移動可能に保持する保持部材に保持される請求項1又は2記載の光学部品の切換機構。
【請求項4】
上記駆動モータ及び上記保持部材には、上記平面上の位置決めを行う位置決め部材と、該駆動モータの回転軸の軸方向を規定する軸決め部材とが設けられる請求項1乃至3のうちのいずれか1項記載の光学部品の切換機構。
【請求項5】
上記ウォームホイール及び上記ウォームは、上記光学部品が光軸位置にあるときに、該ウォームの回転を規制する規制部と該規制部に当接する当接部とをそれぞれ有する請求項1記載の光学部品の切換機構。
【請求項6】
一端側から光が入射される筒状の鏡筒本体内に設けられる光学部品と、
上記光学部品を保持するホルダ部材と、
上記鏡筒本体内に設けられ、光軸に対して直交する平面上で、上記ホルダ部材に保持された光学部品を、該光軸上にある光軸位置から該光軸上にない退避位置に亘って回転駆動させる駆動モータを有する駆動機構と、
少なくとも上記ホルダ部材に保持された光学部品の回転が上記光軸位置において規制される、上記ホルダ部材の回転を規制する規制部材とを備え、
上記駆動機構は、上記駆動モータと、該駆動モータの回転軸に取り付けられるウォームと、該ウォームと噛み合い上記ホルダ部材に設けられるウォームホイールとからなり、
上記ウォームが回転し上記光学部品を上記光軸位置における上記規制部材に向かって駆動させる回転送り方向が、上記駆動モータに近接する方向であるレンズ鏡筒。
【請求項7】
撮像装置本体と、
上記撮像装置本体と一体に形成、又は、連結されるレンズ鏡筒とを備え、
上記レンズ鏡筒は、
一端側から光が入射される筒状の鏡筒本体内に設けられる光学部品と、
上記光学部品を保持するホルダ部材と、
上記鏡筒本体内に設けられ、光軸に対して直交する平面上で、上記ホルダ部材に保持された光学部品を、該光軸上にある光軸位置から該光軸上にない退避位置に亘って回転駆動させる駆動モータを有する駆動機構と、
少なくとも上記ホルダ部材に保持された光学部品の回転が上記光軸位置において規制される、上記ホルダ部材の回転を規制する規制部材とを備え、
上記駆動機構は、上記駆動モータと、該駆動モータの回転軸に取り付けられるウォームと、該ウォームと噛み合い上記ホルダ部材に設けられるウォームホイールとからなり、
上記ウォームが回転し上記光学部品を上記光軸位置における上記規制部材に向かって駆動させる回転送り方向が、上記駆動モータに近接する方向である撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−156807(P2010−156807A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334609(P2008−334609)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】