説明

光学部品用樹脂原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品

【課題】優れた透明性を有すると共に、熱に対して安定で黄変が発生せず、クラックを発生させず、形状安定性も優れた光学部品用樹脂を製造するための原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品を提供する。
【解決手段】特定の化学式を有する、アダマンチル基を含む(メタ)アクリレート化合物(A)と、質量平均分子量が140〜2500である(メタ)アクリレート化合物(B)および、ラクトン系酸化防止剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(C)を含有する光学部品用樹脂原料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた透明性を有すると共に、熱に対して安定で黄変が発生せず、クラックを発生させず、形状安定性も優れた光学部品用樹脂を製造するための原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、透明性樹脂として、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、脂環型オレフィンポリマー(例えば、特許文献1参照)及びエポキシ樹脂などが知られている。これらの透明性樹脂は、工業的にも大量に製造され、その良好な透明性を生かして各分野で大量に使用されている。
【0003】
また、これらの透明性樹脂は、その良好な透明性に加えて、軽量性、成形性を活かしガラス代替品として利用されている。さらに、透明性樹脂は、近年の軽薄短小化、部品点数の削減を反映して、ハンダリフロー工程で耐えうる材料が望まれており、そのためには光線透過率などの光学特性に加えて非常に高い耐熱性が求められている。
【0004】
しかしながら、上記の透明性樹脂は、耐熱性が必ずしも充分ではない。例えば上記の透明性樹脂のうちで耐熱性の最も高い樹脂とされるポリカーボネート樹脂でも、その耐熱性の指標であるガラス転移温度は150℃程度であり、より高い耐熱性を持つ新しい透明樹脂の開発が望まれている。
【0005】
透明性樹脂として、具体的には、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート系重合体やポリカーボネート系重合体が既に光学部品用樹脂材料の用途に供せられている。しかし、上記ポリ(メタ)アクリレート系重合体の中のポリメチルアクリレートは、耐熱性、耐熱安定性、耐溶剤性などの性能に劣ると共に、吸水性が大きく耐水性にも劣るので、これらの性能の要求される分野では利用できない。また、ポリメチルメタクリレートは、光学部品用樹脂材料の用途に供せられるが、ハンダリフロー工程に耐えうるような非常に高い耐熱性、耐熱安定性の要求される分野には適用できない。
【0006】
光学部品用樹脂材料の分野において、従来から知られているポリ(メタ)アクリレート系重合体が有する上述の問題を改善する方法として、多環式脂環族アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体や、多環式脂環族アルキル(メタ)アクリレートと各種の(メタ)アクリレート系単量体の共重合体を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【0007】
この特許文献2及び3に記載の多環式脂環族アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体やその共重合体は、いずれも従来から使用されているポリメチル(メタ)アクリレートに比べて耐熱性及び耐熱安定性は改善されるが、その改善幅は小さく、ハンダリフロー工程に耐える耐熱性には達していない。特許文献4にアダマンチル(メタ)アクリレートについて公開されているが、光学部材用途で用いるには耐熱性が不十分でありハンダリフロー工程時変形や破断が発生する。
このため光学部品用樹脂材料の分野において、優れた透明性を有すると共に、熱に対して安定で黄変が発生せず、クラックを発生させず、形状安定性も優れた材料の開発が強く要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−105131号公報
【特許文献2】特公平7−17713号公報
【特許文献3】特開平6−208001号公報
【特許文献4】特開2006−213851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みて為されたものであり、優れた透明性を有すると共に、熱に対して安定で黄変が発生せず、クラックを発生させず、形状安定性も優れた光学部品用樹脂を製造するための原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アダマンチル基を含み、剛直な部位を有する(メタ)アクリレート化合物(A)と柔軟な部位を有する(メタ)アクリレート化合物(B)及び特定構造の脂肪族化合物(C)を含む樹脂組成物が上記目的に適うものであることを見出した。
即ち本発明は、以下の光学部品用樹脂原料組成物、光学部品用樹脂及び光学部品を提供するものである。
【0011】
1.下記一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)、下記一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)および、ラクトン系酸化防止剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(C)を含有し、かつ
(1)(メタ)アクリレート化合物(A)は、Xが少なくとも1つはアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含むこと、
(2)(メタ)アクリレート化合物(B)の質量平均分子量が140〜2500であること、(3)(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との比率が、40〜100質量%:60〜0質量%であること、
及び
(4)(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との合計量100質量部に対して、酸化防止剤(C)0.01〜5質量部を含有すること、
を特徴とする光学部品用樹脂原料組成物。
【0012】
【化1】

(Xは多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は単環式脂肪族炭化水素基、Yは独立に直接結合、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基、R1は独立に水素原子又はメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
【0013】
【化2】

〔Z1は、エーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び/又は-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)、R2は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜8の整数である。〕
【0014】
2.(メタ)アクリレート化合物(B)が下記の一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物である上記1の光学部品用樹脂原料組成物。
【化3】

(Z2は、エーテル結合を含んでも良い炭素数1〜30の直鎖状又はエーテル結合を含んでも良い炭素数3〜30の分岐状脂肪族炭化水素基、単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれる一種以上の有機基、Y1はエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基、R4は独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示し、pは2〜20の整数である。R2およびmは前式と同様である。)
【0015】
3.一般式(III)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)のY1が、-(CH2)r-、-(CH3CH)r-で表されるアルキレン基(rは5〜30の整数)又は-(CR5−CR6)q-で表されるプロピレン基(R5、R6のどちらかが水素原子で他方がメチル基、qは2〜15の整数)である上記2の光学部品用樹脂原料組成物。
4.(メタ)アクリレート化合物(A)の20〜100質量%がアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物である上記1〜3のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
5.一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)において、nが1であるものとnが2〜4であるものの比率が50〜0質量%:50〜100質量%である上記1〜4のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
6.一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)におけるmが4〜8の整数であり、Z1の分子量が400以下であり、Z1中にエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)以外の有機基を15〜50質量%を含有する上記1〜5のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
【0016】
7.酸化防止剤(C)が、さらにリン系酸化防止剤を含有する上記1〜6のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
8.酸化防止剤(C)のラクトン系酸化防止剤の分子量が300〜1500の範囲である上記1〜7のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
9.酸化防止剤(C)のヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量が300〜1500の範囲である上記1〜8のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
10.1〜9のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物を重合して得られた光学部品用樹脂。
11.上記10の光学部品用樹脂を成形して得られた光学部品。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、優れた透明性を有すると共に、熱に対して安定で黄変が発生せず、クラックを発生させず、形状安定性も優れた光学部品用樹脂が得られる原料組成物、光学部品用樹脂及び光学部品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物は、次の一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)と、一般式(II)で表される(メタ)クリレート化合物(B)を含有するものである。なお、「(メタ)アクリレート化合物」は、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の双方を含むことを示す。
次に本発明の光学部品用樹脂原料組成物の各成分を説明する。
【0019】
【化4】

(Xは、多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は単環式脂肪族炭化水素基、Yは独立に、直接結合、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基、R1は独立に水素原子又はメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
【0020】
【化5】

〔Z1は、エーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び/又は-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)、R2は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜8の整数である。〕
【0021】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物において、(メタ)アクリレート化合物(A)は、光学部品用樹脂において主にハードセグメントとなるものであり、重合した際に分子間で運動性が低い部位になる。
先ず、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)において、Xの多環式脂肪族炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、ノルボルニル基、1−メチル−ノルボルニル基、5,6−ジメチル−ノルボルニル基、イソボルニル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、9−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンタニル基及び、下記の一般式で表されるアダマンチル基などがある。
【0022】
【化6】

上式中、Uは炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基又は、2つのUが一緒になって形成された=Oを示す。kは0〜15の整数を示す。また、複数のUは同じでもよく、異なっていてもよい。
これらの中で、ジシクロペンタニル基、1−アダマンチル基が好ましく、特に1−アダマンチル基が好適である。なお、上記例示の各基は、モノイル基のみならず、ジイル基、トリイル基およびテトライル基を包含する。
【0023】
一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物が、一種であっても二種以上の組み合わせであってもよい。
一般式(I)において、アダマンチル基を含み、nが1である化合物としては、アダマンチルメタノール(メタ)アクリレート及びアダマンチルエタノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0024】
前記の、nが2である化合物としては、アダマンチルジメタノールジ(メタ)アクリレート及びアダマンチルジエタノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記の、nが3である化合物としては、アダマンチルトリメタノールトリ(メタ)アクリレート及びアダマンチルトリエタノールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0025】
Yは独立に、直接結合、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基、アルキレン基であり、具体的には、-C-、-C-C-、-C-C-C-、-C-C-C-C-、-C(C)-C-、-C(C2)-C-などがあり、オキシアルキレン基として具体的には、-C-O-、-C-C-O-、-C-C(C)-O-、-C-C-C-O-、-C-C-C-C-O-、-C-C-O-C-、-C-O-C-などがある。
XとYの部分は重合した際にハードセグメント部位にあたるので、Xは、多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は単環式脂肪族炭化水素基であることが必須となり、Yは直接結合、炭素数4以下のアルキレン基又炭素数4以下のオキシアルキレン基であることが必須となる。
【0026】
(メタ)アクリレート化合物(A)において、アダマンチル基を含む(メタ)アクリレート化合物を含有するものの比率は、20〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることが更に好ましい。該比率を20質量%以上とすることにより、熱に対する変色性を抑制することができる。(実施例29〜42を参照)
【0027】
前記の芳香族炭化水素基としては、ビフェニル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセン基、ビスフェノール基及び、下記の芳香族炭化水素化合物の残基などを挙げることができる。なお、上記例示の各基は、モノイル基のみならず、ジイル基、トリイル基およびテトライル基を包含する。
【化7】

【0028】
前記の単環式脂肪族炭化水素基としてシクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
なお、上記例示の各基は、モノイル基のみならず、ジイル基、トリイル基およびテトライル基を包含する。
このようにXが芳香族炭化水素基や単環式脂肪族炭化水素基からなる(メタ)アクリレート化合物としては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0029】
(メタ)アクリレート化合物(A)は、一般式(I)において、nが1であるものとnが2〜4であるものの比率が50〜0質量%:50〜100質量%であることが必要であり、該比率が40〜0質量%:60〜100質量%であることが好ましい。
一般式(I)においてnが1であるものの比率が50質量%以下とすることにより、熱履歴後にクラックが発生せず、形状安定性に優れた光学用樹脂が得られる。Xがアダマンチル基のみの場合や、nが1だけである場合は耐熱性や安定性に影響を与える(比較例1を参照)。
【0030】
(メタ)アクリレート化合物(B)は、下記の一般式(II)表される(メタ)クリレート化合物であり、一種であっても二種以上の組み合わせであっても良く、架橋密度の観点からmが2以上の化合物が好ましい。
(メタ)アクリレート化合物(B)の質量平均分子量は140〜2500であり、好ましくは190〜2000である。(メタ)アクリレート化合物(B)の質量平均分子量が2500を越えると熱履歴後に形状の変化を招く可能性がある。
【0031】
【化8】

〔Z1は、エーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び/又は-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)、R2は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜8の整数である。〕
【0032】
(メタ)アクリレート化合物(B)のZ1には、上記のエーテル結合を含んで良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基や-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基を含まれていれば、他に炭素数5以下の該直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基などを含んでいても良い。
これらのエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基や-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基が光学部品用樹脂におけるソフトセグメントとなるものである。ソフトセグメント(いわゆる屈曲性部位を多く有する部位)は分子内でポリマー鎖の運動性が高くなり、柔軟な部位になる。
【0033】
また、(メタ)アクリレート化合物(B)のZ1が、上記のエーテル結合を含んで良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基である場合は下記の一般式(IV)であることが好ましく、又は(メタ)アクリレート化合物(B)のZ1が、-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基である場合は下記の一般式(V)で表される化合物であることが好ましい。
【化9】

(Z2はエーテル結合を含んでも良い炭素数1〜30の直鎖状又はエーテル結合を含んでも良い炭素数3〜30の分岐状脂肪族炭化水素基、単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれる一種以上の有機基、Y1はエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基、R4は独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示し、pは2〜20の整数である。R2およびmは前式と同様である。)
【0034】
2の単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基については一般式(I)で説明したのと同様である。またR4の炭素数1〜4のアルキレン基も一般式(I)で説明したのと同様である。
2のエーテル結合を含んでも良い炭素数1〜30の直鎖状脂肪族炭化水素基とはアルキレン基やオキシアルキレン基を示す。アルキレン基やオキシアルキレン基については一般式(I)のYで説明と同様である。
2のエーテル結合を含んでも良い炭素数3〜30の分岐状脂肪族炭化水素基とはイソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソヘキシル基等が挙げられる。それらの炭素と炭素の間にエーテル結合を含んでも良い。
【0035】
1の非環状炭化水素基の具体的は例としては、-(CH2)r-、-(CH3CH)r-で表されるアルキレン基(rは5〜30の整数)、-(CR5−CR6)q-表されるプロピレン基〔R5、R6のどちらかが水素原子で他方がメチル基、qは2〜15の整数〕、-(CH2O)r-、-(CH3CHO)r-〔rは5〜30の整数〕等で表されるアルコキシ基である。
さらに、上記の一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)のYが、-(CH)r-で表される直鎖アルキレン基(rは5〜30の整数)又は-(CR5−CR6)q-で表されるプロピレン基(R5、R6のどちらかが水素原子で他方がメチル基、qは2〜15の整数)である化合物であることが好ましい。
【0036】
一般式(III)で表される(メタ)アクリレート化合物でmが2の化合物としては、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(サートマー・ジャパン(株)製)、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0037】
一般式(III)で表される(メタ)アクリレート化合物でmが3以上の化合物としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、多官能性ポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0038】
一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物でmが2の化合物としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、pが2〜20のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジオールジアクリレート(サートマー・ジャパン(株)製)などが挙げられる。好ましくは、pが2〜20のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
【0039】
一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物でmが3以上の化合物としては、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、pが2〜20のアルコキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、pが2〜20のアルコキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、pが2〜20のアルコキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、pが2以上のアルコキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)におけるmが4〜8の整数である化合物では、Z1の分子量が400以下であり、Z1中にエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)以外の有機基である(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0040】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物は、化合物(A)および化合物(B)の合計量に対して、化合物(A)が40〜100質量%、化合物(B)が60〜0質量%であることを要する。化合物(A)が45〜99質量%、化合物(B)が55〜1質量%であることが好ましく、化合物(A)が50〜95質量%、化合物(B)が50〜5質量%であることが更に好ましい。化合物(A)が40質量%以上であると添加効果が得られて熱に対する変形、変色が抑えられるとともに、低線膨張率で低含水率となる。
なお、本発明の光学部品用樹脂原料組成物は化合物(B)が0質量%の場合もあるが、この場合には実施例で後に示すように熱履歴2でクラックが発生し易いものの、熱履歴1ではクラックが発生せず、全光線透過率の低下が見られず、YI値の増加が小さいので光学部品用樹脂原料として使用可能である。
【0041】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物において酸化防止剤(C)として使用されるラクトン系酸化防止剤としては、特開平7−233160号公報及び特開平7−247278号公報に記載されているものを使用することができる。また、HP−136〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標、化合物名;5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン〕などの市販品を挙げることができる。ラクトン系酸化防止剤の質量平均分子量としては300〜1500の範囲のものが好ましく、330〜1300の範囲のものがさらに好ましい。質量平均分子量が該範囲では組成物や配合物に対する十分な溶解性が得られて耐熱黄変性が発現される。
【0042】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox3114(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox3125(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、アデカスタブAO−20(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−50(株式会社ADEKA製、商標)、アデカスタブAO−60(株式会社ADEKA製、商標)、アデカスタブAO−80(株式会社ADEKA製、商標)、アデカスタブAO−30(株式会社ADEKA製、商標)、アデカスタブAO−40(株式会社ADEKA製、商標)、BHT(武田薬品工業(株)製、商標)、Cyanox1790(サイアナミド社製、商標)、SumilizerGP(住友化学(株)製、商標)、SumilizerGM(住友化学(株)製、商標)、SumilizerGS(住友化学(株)製、商標)及び、SumilizerGA−80(住友化学(株)製、商標)などの市販品を挙げることができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量平均分子量としては300〜1500の範囲のものが好ましく、330〜1300の範囲のものがさらに好ましい。質量平均分子量が該範囲では組成物や配合物に対する十分な溶解性が得られて耐熱黄変性が発現される。
【0043】
リン系酸化防止剤としてはIRAGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS12(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS38(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS P−EPQ(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS126(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、ADKSTAB 329K(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB PEP-36(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB PEP−8(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB HP−10(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB 2112(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB 260(株式会社ADEKA製、商標)、ADKSTAB 522A(株式会社ADEKA製、商標)、Weston 618(GE社製、商標)、Weston 619G(GE社製、商標)、及びWeston 624(GE社製、商標)などの市販品を挙げることができる。
リン系酸化防止剤の質量平均分子量としては300〜1500の範囲のものが好ましく、330〜1300の範囲のものがさらに好ましい。質量平均分子量が該範囲では組成物や配合物に対する十分な溶解性が得られて耐熱黄変性が発現される。
【0044】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物(単に「原料組成物」とも云う)においては、酸化防止剤(C)として上記のラクトン系酸化防止剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種を含有するものであり、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との組み合わせることが好ましい。
原料組成物には、(A)成分に相当するアダマンタン構造を含む炭化水素基がエステル結合した(メタ)アクリレート酸化防止剤や、(B)成分に相当する他の多官能基を持つ(メタ)アクリレート酸化防止剤を含有させることもできる。
原料組成物における酸化防止剤(C)の含有量は、(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.01〜5質量部であり、好ましくは0.02〜3質量部である。酸化防止剤(C)の含有量が(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との合計量100質量部に対して5質量部を超えると透明性の低下や、C成分の気化に伴う熱に対する変形、割れを発生させる可能性がある。0.01質量部未満では熱に対する効果を発揮できず黄変や、変形、割れを発生させる可能性がある。
【0045】
原料組成物には、必要に応じてラジカル重合開始剤を配合することができる。熱によって開裂して開始ラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ジイソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びm−トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチル)シクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン及び2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオジカーボネート、α−クミルペルオキシネオジカーボネート、t−ブチルペルオキシネオジカーボネート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート及びジブチルペルオキシトリメチルアジペートなどのアルキルパーエステル類;ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(1,1−ブチルシクロヘキサオキシジカーボネート)、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート及び1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボキシ)ヘキサンなどのパーオキシカーボネート類;1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン及び(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネートなどが挙げられる。
【0046】
ラジカル重合開始剤として、上記の熱ラジカル重合開始剤の他に、光、電子線又は放射線で開始ラジカルを生成するラジカル重合開始剤を用いることができる。
このようなラジカル重合開始剤としては、ベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン〔IRGACURE651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン〔DAROCUR1173、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン〔IRGACURE2959、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン〔IRGACURE127、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン〔IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1〔IRGACURE369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モノホリニル)フェニル]−1−ブタノン〔IRGACURE379、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド〔DAROCUR TPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド〔IRGACURE819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム〔IRGACURE784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]〔IRGACURE OXE 01、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)〔IRGACURE OXE 02、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕などを挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
ラジカル重合開始剤の使用量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.05〜5質量部である。熱による開始重合の場合は、ラジカル重合開始剤を含む原料組成物を通常40〜200℃程度に加熱して重合させることができる。光による開始重合の場合は、水銀キセノンランプなどを光源として用い、紫外光、可視光を原料組成物に照射することにより重合させることができる。
【0048】
本発明の原料組成物には、前記の酸化防止剤の他に、必要に応じて、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機化合物との密着性改良を目的とした成分などを配合することができる。
滑剤としては、高級ジカルボン酸金属塩及び高級カルボン酸エステル等を使用することができる。
【0049】
光安定剤としては、公知のものを使用することができるが、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤である。ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ADKSTAB LA−77、同LA−57、同LA−52、同LA−62、同LA−67、同LA−68、同LA−63、同LA−94、同LA−94、同LA−82及び同LA−87〔以上、株式会社ADEKA製〕、Tinuvin123、同144、同440及び同662、Chimassorb2020、同119、同944〔以上、CSC社製〕、Hostavin N30(Hoechst社製)、Cyasorb UV−3346、同UV−3526(以上、Cytec社製)、Uval 299(GLC)及びSanduvorPR−31(Clariant)などを挙げることができる。
これらの光安定剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
光安定剤の使用量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計量100質量部に対して、通常、0.005〜5質量部であり、好ましくは0.02〜2質量部である。
酸化チタンや酸化ケイ素などの無機化合物との密着性改良を目的とした成分としては、シラン化合物のメタクリオキシ基やアクリロキシ基を含むシランカップリング剤などが挙げられる。これを上記原料組成物に含有させ、光学部品を重合、成形しても良い。
【0051】
本発明の光学部品は、上記の原料組成物を重合・成形することによって製造することができる。原料組成物の重合に際し、化合物(A)を主成分とするモノマー成分に上記ラジカル重合開始剤を加えて予備重合を行なってもよい。このような予備重合を行うことにより、原料組成物の粘度を調整することができる。
【0052】
重合・成形法としては通常の熱硬化性樹脂の成形と同様の方法を用いることができる。例えば、上記の原料組成物又はその予備重合物を用い、これらの液状樹脂の射出成形、圧縮成形、トランスファー成形及びインサート成形などで、重合・成形する方法が挙げられる。また、ポッティング加工やコーティング加工で成形体を得ることもできる。さらに、例えばUV硬化成形など光硬化樹脂の成形と同様の方法によっても成形体を得ることができる。
【0053】
本発明の光学部品は、液状樹脂成形法により製造されることが好ましい。液状樹脂成形法としては、常温で液状の原料組成物又はその予備重合物を高温の金型に圧入して加熱硬化させる液状樹脂射出成形、液状の原料組成物を金型に入れ、プレスによって加圧し、硬化させる圧縮成形、加温した液状の原料組成物に圧力をかけて金型に圧入することにより原料組成物を硬化させるトランスファー成形などが挙げられる。
【実施例】
【0054】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、得られた樹脂の評価(耐熱試験を含む)を次のように行った。
【0055】
(1)熱履歴後のクラックの有無
実施例および比較例において得られた樹脂の、厚み2mm、縦25mm、横25mmの板状体のサンプルを用い、次の耐熱試験を行った。
(耐履歴1の場合)
板状体3枚を厚さ3mmのステンレス鋼板の上に乗せ、250℃で10分間放置した後(以上を「耐履歴1」と云う)、その板状体のクラックの有無を確認し、下記の基準で評価した。
○:クラックが入っていない。
△:長さ10mm以上のクラックが発生した枚数が2枚以下、
又は全てのクラックの長さが10mm未満である。
×:3枚とも長さ10mm以上のクラックが発生した。
(耐履歴2の場合)
表面温度が30℃以下のサンプル3枚を熱工程炉〔(株)田村製作所製TAS20−15N〕に入れ、175℃、200℃および280℃の炉で等速に450秒かけて熱炉入口から出口までコンベアに載せて移動させた。温度パターンとしてはサンプル表面の温度が200℃以上であり、かつその時間が220秒以上であり、その中で250℃以上が30秒以上となる。
これを5サイクルした後(以上を「耐履歴2」と云う)、サンプルのクラックの有無を、下記の基準で評価した。
○:クラックが入っていない。
△:長さ10mm以上のクラックが発生した枚数が2枚以下、
又は全てのクラックの長さが10mm未満である。
×:3枚とも長さ10mm以上のクラックが発生した。
【0056】
(2)形状安定性評価(熱履歴1後)
前記と同様の、厚み2mm、縦25mm、横25mmの板状体を用い、その板状体3枚を厚さ3mmのステンレス鋼板の上に乗せ、250℃で10分間放置した後、その板状体の縁の変形度合いを目視にて確認し、下記の基準で評価した。
○:縁の部分が熱履歴前と同様であり、形状安定性に優れる。
△:縁の部分が一部丸みを帯びており、形状安定性は普通である。
×:縁の部分が一様に丸みを帯びており、形状安定性に劣る。
【0057】
(3)光線透過率
肉厚3mmの試験片を用いてJIS K7105に準拠して測定した(単位%)。測定装置はHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いた。
測定は試験片をオーブンに入れる前(初期特性)と、上記の熱履歴1および熱履歴2の後の光線透過率を測定した。
光線透過率の評価を次のように行った。
(a)初期全光線透過率:試験片をオーブンに入れる前の光線透過率(%)
(b)全光線透過率の低下量(△250℃全光線透過率):初期光線透過率と、熱履歴1後および熱履歴2後の全光線透過率の差の絶対値(%)
【0058】
(4)黄変度(YI値)
YI値の測定装置は、SZ optical SENSOR(日本電色工業(株)製)により、縦30mm×横30mm×肉厚3mmの試験片を用いて行った。
黄変度(YI値)の評価を次のように行った。
(a)初期黄変度(初期YI値):試験片をオーブンに入れる前のYI値
(b)YI値の増加量(△250℃YI値):初期YI値と、熱履歴1および熱履歴2の後のYI値の差の絶対値
【0059】
(5)溶解性
アダマンタンアクリレート化合物10gに対し、酸化防止剤(C)を0.1g入れた液を作成する。その溶液を室温で20分間攪拌する。溶解しない場合は上限温度80℃までの範囲で加熱しても良い。室温にて、60分間放置し、その際の液の状態から溶解性を評価する。
溶解性の判断は、溶液が無色透明な場合は○とし、溶液は無色透明では無いが沈澱物がなく懸濁状態である場合は△とし、それ以外の場合は×とした。
【0060】
(6)質量減少量(熱履歴2後)
初期サンプルの質量(W0)に対して、上記の熱履歴2後の質量(W1)を測定し、以下の式により質量減少量(%)を測定しました。
質量減少量(%)=〔(W1−W0)/W1〕×100
【0061】
製造例1(1,3−アダマンタンジメタノールジメタクリレートの合成)
攪拌羽根、Dean−Stark冷却器、温度指示計及び三方コックを取付けた2000mlの4ツ口フラスコに、1,3−アダマンタンジメタノール[100g,0.51mol]、メタクリル酸[110.2g、1.28mol]、98質量%硫酸[4.60g、0.046mol]、メトキノン[0.092g, アクリル酸に対して1000wtppm]およびトルエン 1000mLを投入した。
このフラスコを130℃のオイルバスで加熱、攪拌し、共沸により反応系内から水を除去しながら3時間反応を行った。室温付近まで冷却後、分液ロートに移し、5質量%NaCl水溶液、5質量%Na3PO4水溶液、5質量%NaCl水溶液の順に洗浄を行った。有機層をわけ、硫酸マグネシウムで脱水し、40℃にてトルエンを留去することで目的の下記化学式で表される1,3−アダマンタンジメタノールジメタクリレート(収率86%、GC純度97質量%)を得た。
【化10】

【0062】
実施例1〜14
化合物(A)として下記化学式で表される1−アダマンチルメタクリレート〔大阪有機化学工業(株)製〕30質量部及び上記の製造例1で得られた1,3−アダマンタンジメタノールジメタクリレート45質量部、化合物(B)としてSR−499〔サイートマー・ジャパン(株)製〕25質量部に、酸化防止剤(C)として後記の第8表に示す(C1)〜(C10)の化合物を加えて混合し、原料組成物を得た。
この原料組成物を用い、2枚の3mm厚みで、縦、横それぞれ70mmのステンレス板の間に、2枚の0.1mの厚みで縦、横それぞれ70mmのステンレスのシートを挟み、そのシートの間に3mm厚みで縦、横それぞれ70mmテフロン(登録商標)製スペーサを挟み込むことにより得られる容器を用いて樹脂の成形を行った。
液状の原料組成物を上記の容器に流しこみ、硬化物を得た。テフロン(登録商標)製のスペーサ部には3mmの厚みで、縦、横それぞれ30mmの窓と原料組成物をその窓内に流し込める通路を設け、この容器に硬化液を流し込み、液漏れしないように容器を押さえ、窒素雰囲気下(酸素濃度5%以下)のオーブンにて110℃で3時間、次いで160℃で1時間加熱を行い、重合・成形した後、室温に冷却することで、上述の評価法に適合した形状無色透明な板状体を得た。評価結果を第1表に示す。
なお、製品表面がヒケて平らになっていない場合は、紙やすりや、研磨剤を用いて研磨し表面を平らにして光学特性の評価に使用した。
【化11】

【0063】
実施例15〜28
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート30質量部及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP)45質量部、化合物(B)としてSR−499〔サイートマー・ジャパン(株)製〕25質量部を用いた他は実施例1〜14と同様に行った。評価結果を第2表に示す。
【0064】
実施例29〜42
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP)に代えてトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP)45質量部を用いた他は実施例15〜28と同様に行った。評価結果を第3表に示す。
【0065】
実施例43〜56
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート50質量部のみとし、化合物(B)としてSR−502〔サイートマー・ジャパン(株)製〕40質量部とSR−399〔サイートマー・ジャパン(株)製〕10質量部を用いた他は実施例1〜14と同様に行った。評価結果を第4表に示す。
【0066】
実施例57〜70
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート50質量部のみ、化合物(B)としてSR−415〔サイートマー・ジャパン(株)製〕40質量部とSR−399〔サイートマー・ジャパン(株)製〕10質量部を用いた他は実施例1〜14と同様に行った。評価結果を第5表に示す。
【0067】
実施例71〜84
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート30質量部及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP)70質量部を用い、化合物(B)を使用しなかった他は実施例1〜14と同様に行った。評価結果を第6表に示す。
【0068】
比較例1
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート100質量部のみを使用し、化合物(B)および酸化防止剤(C)を使用しなかった他は実施例1〜14と同様に行った。評価結果を第7表に示す。
【0069】
比較例2
化合物(B)および酸化防止剤(C)を使用しなかった他は実施例15〜28と同様に行った。評価結果を第7表に示す。
【0070】
比較例3
酸化防止剤(C)に代えて(11)ヒドロキシルアルミニウム化合物(FS042)を1質量部使用した他は実施例15〜28と同様とした。評価結果を第7表に示す。
【0071】
比較例4
酸化防止剤(C)に代えて(12)ビタミン系化合物(ビタミンC)を1質量部使用した他は実施例15〜28と同様とした。評価結果を第7表に示す。
【0072】
比較例5
酸化防止剤(C)に代えて(13)ビタミンE系化合物(イルガノックスE201)を1質量部使用した他は実施例15〜28と同様とした。評価結果を第7表に示す。
【0073】
比較例6
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート30質量部及びトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP)50質量部を用い、化合物(B)としてSR−499〔サイートマー・ジャパン(株)製〕20質量部を用い、酸化防止剤(C)を使用しなかった他は実施例15〜28と同様に行った。評価結果を第7表に示す。
【0074】
比較例7
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート30質量部のみ、化合物(B)としてSR−502〔サイートマー・ジャパン(株)製〕45質量部とSR−399〔サイートマー・ジャパン(株)製〕25質量部を用い、酸化防止剤(C)を使用しなかった他は実施例15〜28と同様に行った。評価結果を第7表に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
【表7】

【0082】
以上の実施例および比較例から明らかなように、本願発明の全ての実施例では熱履歴1および熱履歴2後にクラックの発生が殆どなく、形状安定性も優れており、透明度も優れて安定しており、かつ、初期黄変度(YI値)が低く加熱してもYI値の増加量が極めて小さいことが分かる。
これに対して酸化防止剤(C)を含有しない比較例において、初期の透明度や黄変度(YI値)に優れているものの、化合物(B)を含有しない比較例1では熱履歴1後にクラックが発生し、比較例3および比較例7以外の比較例では熱履歴2後にクラックが発生している。比較例3および比較例7ではクラック発生が無いが、YI値の増加が著しく、黄変するので、ハンダリフロー工程に耐える耐熱性を有しないものである。
なお、酸化防止剤(C)としてBHTを用いた実施例2,16,30,44,58および、化合物(B)を含有しない実施例71〜74および76では熱履歴2後にクラックが発生しているが、熱履歴1後はクラックが発生しておらず、YI値の増加が比較例2〜5と比較して小さいことから黄変度が小さいものである。
実施例71〜74および76と、比較例3および比較例7以外の比較例で、熱履歴2後の全光線透過率の低下量およびYI値の増加量を記載していないが、これはクラックが発生したために測定できなかったものである。
【0083】
ポリマーが分解する際、アダマンタン構造が共役ジエン構造になると黄変する。すなわち、分解の初期段階であるラジカルが捕獲されて分解時のペルオキシラジカルなどの酸素ラジカルが発生し、分解が永続的に行われる。そのラジカルをトラップし、酸素ラジカルの不活性化合物に変えるのが酸化防止剤の働きである。しかし、分解を抑制するための酸化防止剤が反応後、キノン構造を有したりし、分解反応は抑制されるが、着色化合物になる可能性がある。
これに対して本願発明は分解抑制効果が高く、着色しない酸化防止剤を選択したものであり、本願発明により、特定の構造を有する、アダマンチル基を含む(メタ)アクリレート化合物(A)と低分子量の(メタ)アクリレート化合物(B)を含む樹脂組成物に対して特定の酸化防止剤(C)を用いることにより、優れた耐熱黄変性が得られる。
【0084】
各実施例及び比較例で使用した原料および重合開始剤の化合物名および化学式は次の通りである。
化合物(A)
(1)A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学製)
化合物名:トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン−3,8(又は3,9又は4,8)−ジイルジメチル=ジアクリレート
【化12】

【0085】
(2)DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学製)
化合物名:トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン−3,8(又は3,9又は4,8)−ジイルジメチル=ジメタクリレート
【化13】

【0086】
化合物(B)
(1)SR−499:エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート〔サートマー・ジャパン(株)製、CAS.28961−43−5, 既存化学物質7−775,平均分子量560〕
化合物名:8−[7−(アクリロイルオキシ)−2,5−ジオキサヘプタン]−8−エチル−3,6,10,13−テトラペンタデカン−1,15−ジイル=ジアクリレート
【化14】

【0087】
(2):SR−399:ジペンタエリストールペンタアクリレート〔サートマー・ジャパン(株)製) 、平均分子量525〕
化合物名:2−(アクリロイルオキシ)メチル−2−({2,2−ビス[(アクリロイルオキシ)メチル]−3−ヒドロキシプロパン-1−イル]オキシ}メチルプロパン−1,3−ジイル=ジアクリレート
【化15】

【0088】
(3)SR−502:エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクラレート〔サートマー・ジャパン(株)製、平均分子量692〕
化合物名:11−[10−(アクリロイルオキシ)−2,5、8−トリオキサデカン−1−イル]−11−エチル−3,6,9,13,16,19−ヘキサオキサヘンイコサン−1,21−ジイル=ジアクリレート
【化16】

【0089】
(4)SR−415:エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート〔サートマー・ジャパン(株)製,平均分子量1176〕
化合物名:20−エチル−20−(21−オキソ−2,5,8,11,14,17,20−ヘプタオキサトリコス−22-エンイル)-3,6,9,12,15,18,22,25,28,31,34,37-ドデカオキサノナトリアコンタン-1,39-ジイルジアクリレート
【化17】

【0090】
酸化防止剤(C)およびそれに類する化合物(C')については化合物名と化学式などを第8表および第8表に示す。
【0091】
【表8】

【0092】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)、下記一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)および、ラクトン系酸化防止剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(C)を含有し、かつ
(1)(メタ)アクリレート化合物(A)は、Xが少なくとも1つはアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含むこと、
(2)(メタ)アクリレート化合物(B)の質量平均分子量が140〜2500であること、(3)(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との比率が、40〜100質量%:60〜0質量%であること、
及び
(4)(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との合計量100質量部に対して、酸化防止剤(C)0.01〜5質量部を含有すること、
を特徴とする光学部品用樹脂原料組成物。
【化1】

(Xは多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は単環式脂肪族炭化水素基、Yは独立に直接結合、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基、R1は独立に水素原子又はメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
【化2】

〔Z1は、エーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び/又は-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)、R2は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜8の整数である。〕
【請求項2】
(メタ)アクリレート化合物(B)が下記の一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物である請求項1に記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【化3】

(Z2は、エーテル結合を含んでも良い炭素数1〜30の直鎖状又はエーテル結合を含んでも良い炭素数3〜30の分岐状炭化水素基、単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれる一種以上の有機基、Y1はエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基、R4は独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示し、pは2〜20の整数である。R2およびmは前式と同様である。)
【請求項3】
一般式(III)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)のY1が、-(CH2)r-、-(CH3CH)r-で表されるアルキレン基(rは5〜30の整数)又は-(CR5−CR6)q-で表されるプロピレン基(R5、R6のどちらかが水素原子で他方がメチル基、qは2〜15の整数)である請求項2に記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項4】
(メタ)アクリレート化合物(A)の20〜100質量%がアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項5】
一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)において、nが1であるものとnが2〜4であるものの比率が50〜0質量%:50〜100質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項6】
一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)におけるmが4〜8の整数であり、Z1の分子量が400以下であり、Z1中にエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)以外の有機基を15〜50質量%を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項7】
酸化防止剤(C)が、さらにリン系酸化防止剤を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項8】
酸化防止剤(C)のラクトン系酸化防止剤の分子量が300〜1500の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項9】
酸化防止剤(C)のヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量が300〜1500の範囲である請求項1〜8のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物を重合して得られた光学部品用樹脂。
【請求項11】
請求項10に記載の光学部品用樹脂を成形して得られた光学部品。

【公開番号】特開2010−170125(P2010−170125A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291191(P2009−291191)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】