説明

光学部材の製造方法および光学部材

【課題】耐摩耗性を有し、かつ透明性を有する光学部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】粒子と分散媒による分散液を塗工した後、バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を塗工し、粒子と粒子の間にバインダーを充填させた層を形成し、前記層を乾燥させる工程を含む光学部材の製造方法。また、基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層のバインダー内部には、複数の空隙(ボイド)が含有され、中空粒子11の空孔14とは別に、空隙(ボイド)13を有している状態を示す光学部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐摩耗性および透明性を有する光学部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学部材の光入出射界面での反射を抑えるために、屈折率の異なる光学膜を数十から数百nmの厚みで単層あるいは複数層を積層した反射防止膜を形成することが知られている。これら反射防止膜を形成するためには、蒸着、スパッタリング等の真空成膜法やディップコート、スピンコート等の湿式成膜法が用いられる。
反射防止膜の最表層に用いられる材料には屈折率が低く、透明な材料である、シリカやフッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどの無機材料やシリコーン樹脂や非晶質のフッ素樹脂などの有機材料を用いることが知られている。
近年、更に反射率を低く抑えるために、空気の屈折率1.0を利用する低屈折膜を反射防止膜に用いることが知られている。シリカやフッ化マグネシウムの層内に空隙を形成することによって屈折率を下げることができる。例えば、屈折率1.38のフッ化マグネシウムの薄膜内に30%(体積)の空隙を設けることによって屈折率を1.27まで下げることが可能となる。
空隙を形成する方法として、シリカやフッ化マグネシウム微粒子をバインダーとともに成膜し、微粒子間に空隙を形成し、低屈折率の反射防止膜を得ることが知られている(特許文献2)。
また、その他の空隙を形成する方法としては、中空シリカ粒子を用い、粒子内に空隙を形成する方法が知られている。この中空粒子を用いることによって反射防止膜を形成する方法である(特許文献3)。
一方、反射防止膜のような光学部材に中空シリカ粒子を用いた場合、透明性や外観に問題が発生することが知られている。中空シリカ粒子と混合する有機溶剤や有機高分子との親和性が悪く、塗料化時に凝集し、散乱を発生するためである。この課題を解決するために有機高分子を含まない塗料によって膜を形成し、凝集を抑制することによって散乱のない低屈折膜を用いた反射防止膜を形成する方法が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151800号公報
【特許文献2】特WO02/018982号公報
【特許文献3】特開2001−233611号公報
【特許文献4】特開2009−73170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献4に記載の反射防止膜は散乱を抑制するために、有機高分子に代表されるバインダーを含まない。反射防止膜の最表層は、低屈折率や透明性が求められる一方で耐摩耗性も求められる。そのためバインダーを含まない膜では耐摩耗性が不十分であるという課題があった。
【0005】
また一方でより低い屈折率を得るために粒子間の空隙を利用し、バインダー内部にも空隙を持たせた場合、粒子の凝集などによってボイドが不均一になりボイドサイズが局所的に大きくなる影響によって透明性が不十分であるという課題があった。
【0006】
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性を有し、かつ透明性を有する光学部材の製造方法および光学素子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する光学部材の製造方法は、基材上に反射防止膜を形成する工程を有する光学部材の製造方法であって、前記反射防止膜を形成する工程は、粒子と分散媒による分散液を塗工した後、バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を塗工し、前記粒子と前記粒子の間に前記バインダーを充填させた層を形成し、前記層を乾燥させる工程を含むこと特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決する光学部材は、基材上に反射防止膜が形成された光学部材であって、前記反射防止膜は、前記基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層を有し、前記層は、前記粒子と前記粒子の間にバインダーが充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐摩耗性を有し、かつ透明性を有する光学部材の製造方法及び光学部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の光学部材の一実施形態を示す模式図である。
【図2】実施例1反射防止膜の走査型透過電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例7から25の反射防止膜の膜厚と散乱値のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の光学部材の一実施形態を示す模式図である。同図において、本発明の光学部材は、基材上に反射防止膜が形成された光学部材であって、前記反射防止膜は、
前記基材表面に対して平行方向に整列された粒子11が複数段積み重なって形成された層を有し、前記層は、前記粒子11と前記粒子11の間にバインダー12が充填されている。粒子11はバインダー12で結合されており、バインダー12には複数の空隙(ボイド)13が形成されている。16は基材である。
【0013】
そして、前記層は、基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成されていることを特徴とする。ここで基材表面に対して平行方向に整列された状態とは、各段に配列される各粒子の頂点の高さが基材表面と平行な面に対して粒子半径以上ずれていない状態であり、且つ局所的な空隙(ボイド)部を除いて、基材表面に対して平行方向に整列されたほとんどの粒子と粒子の距離が粒子半径以下に隣接している状態のことである。基材表面に対して平行方向に整列しているかどうかは、基材表面の法線と平行な方向の反射防止膜の断面を観察することにより求める。例えば、反射電子顕微鏡によって、層を基材表面の法線と平行な方向の断面を観察したものを画像処理によって観察する。画像処理方法としては、image Pro PLUS(メディアサイバネティクス社製)など市販の画像処理を用いることができる。段ごとに、粒子が、基材表面に対して平行方向に整列しているということは、基材表面と平行な面に対して段ごとの粒子の高さが一定であるということである。そのため、基材法線方向から反射電子像観察で膜表面を観察した場合には粒子の球を確認することができる。基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成されている状態においては、粒子間の隙間の偏在がないためボイドが小さく均一となる。特に粒子が中空粒子の場合は、散乱が抑えられるため顕著な効果を発現する。
【0014】
また、本発明の光学部材における反射防止膜に配列された粒子の2次元充填度は0.8以上0.88以下であることを特徴とする。ここで2次元充填度とは、粒子と面全体の面積比率のことである。この面積比率は反射電子顕微鏡によって膜を基材表面の法線と平行な方向の断面を観察したものを画像処理によって測定することができる。画像処理方法としては、image Pro PLUS(メディアサイバネティクス社製)など市販の画像処理を用いることができる。所定の画像領域において、必要であれば適宜コントラスト調整を行い、粒子測定によって粒子の面積を測定し、所定の画像領域の面積に対する比率を算出し求めることができる。この2次元充填度は粒子の配列状態を示しており、充填度が大きいものほど粒子は配列した状態であり、その結果粒子間の隙間が小さくなる。粒子が真球であり、最も密に配列した場合の2次元充填度は六方充填配置となり2次元充填度は約0.90となる。
【0015】
このような充填度すなわち配列性の違いは主に粒子の分散状態によって変化する。粒子が分散媒に均一に分散している場合は粒子が配列しやすい。分散したような状態であっても分散媒の影響により若干凝集した状態であれば配列性は悪化する。配列性が悪化すると粒子間の隙間が大きくなるため、基材面方向のボイドが大きくなる。そのため、2次元充填度0.8未満となると平面方向に大きなボイドが発生し、可視光において散乱が大きくなってくるため、0.8以上であることが好ましい。また粒子は配列性が良いほど好ましいが2次元充填度が0.88より大きい配列性の膜を製作することは実質困難である。
【0016】
粒子11は、内部に空孔14を有し、前記空孔14の外側の周囲にシェル15を有する粒子からなることが好ましい。空孔14に含まれる空気(屈折率1.0)によって反射防止膜の屈折率を下げることができる。空孔は単孔、多孔どちらでも良く適宜選択することができる。中空粒子を構成する材質としては、低屈折率のものが好ましく、SiO、MgF、フッ素、シリコーンなどの有機樹脂が挙げられるが、粒子の製造が容易であるSiOがより好ましい。SiOの中空粒子の製造方法としては、例えば、特開2001−233611号公報や、特開2008−139581等に記載されている方法で作製することが可能である。中空粒子により、基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層の屈折率を下げることが可能となる。粒子が、中空粒子の場合は、より本発明の効果を発現するため好ましいが、SiO、MgF、フッ素、シリコーンなどの、金属酸化物または有機樹脂の中実粒子であってもよい。
【0017】
前記中空粒子の平均粒子径は15nm以上100nm以下、好ましくは15nm以上60nm以下が望ましい。中空粒子の平均粒子径が15nm未満の場合、コアとなる粒子を安定的に作ることが難しい。また100nmをこえる場合、粒子間の空隙の大きさが大きくなるため、大きなボイドが発生しやすく、また粒子の大きさに伴う散乱が発生するため好ましくない。
【0018】
ここで中空粒子の平均粒子径とは、平均フェレ径である。この平均フェレ径は透過電子顕微鏡像によって観察したものを画像処理によって測定することができる。画像処理方法としては、image Pro PLUS(メディアサイバネティクス社製)など市販の画像処理を用いることができる。所定の画像領域において、必要であれば適宜コントラスト調整を行い、粒子測定によって各粒子の平均フェレ径を測定し、平均値を算出し求めることができる。
【0019】
前記中空粒子のシェル15の厚みが平均粒子径の10%以上50%以下、好ましくは20%以上35%以下が望ましい。シェルの厚みが10%未満であると粒子の強度が不足するため好ましくない。また50%を超えると中空の効果が屈折率に顕著には現れないため好ましくない。
【0020】
本発明の基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層に含有される中空粒子の含有量は、基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層全体に対して50wt%以上85wt%以下、好ましくは75wt%以上85wt%以下が望ましい。
【0021】
本発明におけるバインダーは、膜の耐摩耗性、密着力、環境信頼性によって適宜選択することが可能であるが、シランアルコキシ加水分解縮合物が好ましい。前記シランアルコキシ加水分解縮合物の重量平均分子量としては、ポリスチレン換算で1000以上3000以下が好ましい。重量平均分子量が1000未満であると硬化後のクラックが入りやすく、また塗料としての安定性が低下する。また3000をこえると粘度が上昇するためバインダー内部の空隙(ボイド)が不均一になりやすくなるため大きな空隙(ボイド)が発生しやすくなる。
【0022】
本発明の基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層に含有されるバインダーの含有量は、基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層に対して15wt%以上50wt%以下、好ましくは15wt%以上25wt%以下が望ましい。
【0023】
本発明の基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層のバインダー内部には、複数の空隙(ボイド)が含有されている。バインダー内部にボイドが含有されているとは、バインダー自体が空隙を有している状態であり、中空粒子11の空孔14とは別に、空隙(ボイド)13を有している状態のことである。このように中空粒子の空孔とは別にバインダーが空隙を有することによって、さらに反射防止膜の屈折率を下げることが可能となる。
【0024】
バインダーにはボイドが含有されており、かつ前記バインダーに含有されている断面面積が1000nm以上のボイドの個数が、バインダーの断面面積1μmに対して10個以下であることを特徴とする。すなわち、バインダーに含有されるボイドの断面面積は、大部分が1000nm未満である。
【0025】
このバインダー内部のボイドは、前記低屈折率層を構成している中空粒子間の隙間の体積より、バインダーの体積が少ない状態によって発生する。このようなボイド発生の有無は、成膜塗料に含まれる中空粒子とバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液との比率によって調整することが可能である。しかしながら、塗料に含まれるバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液の量が減り、中空粒子間の隙間の体積が大きくなるにつれて、バインダーが局所的に偏在しやすくなるため、ボイドのサイズが不均一になる。一般的な粒子である場合、このような不均一な状態は問題とならないが、中空粒子で空孔の壁が薄くなってくると、ボイドと中空粒子の空孔は屈折率の有効媒質近似によってより大きなボイドとして光に検知されるようになる。そのためボイドサイズが不均一になり、断面面積1000nm以上のボイドが発生し、個数が多くなってくると可視光において散乱が大きくなってくるため、10個/μm以下であることが好ましい。より好ましくは断面面積1000nm以上のボイドがないことが望ましい。
【0026】
基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層のバインダーに含有される空隙(ボイド)の全体の含有量は、5体積%以上25体積%以下、好ましくは10体積%以上20体積%以下が望ましい。ここで体積%とは、層全体の体積に対する空隙(ボイド)全体の体積の割合(体積比)である。
【0027】
本発明の基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層の膜厚dは、前記中空粒子の平均粒子半径をaとした時、
【0028】
【数1】


の範囲であることが好ましい。
【0029】
本発明の反射防止膜は中空粒子とバインダーを分けて成膜されるが、粒子と溶媒を含んだ塗料の成膜後は、断面積1000nm以上のボイドは少ない。しかしながら、すでに成膜された粒子に、バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を塗工すると、溶液によってすでに成膜されていた粒子が泳動してしまったり、乾燥収縮時等に粒子が凝集してしまう。これにより、1000nm以上のボイドが発生してしまう場合がある。これにより散乱が発生しまう場合がある。このボイドの発生は、粒子の充填性を高め、粒子の運動を抑制することによって低減することができることが鋭意検討の結果わかった。本発明の反射防止膜では粒子が六方最密状に配列しており、膜厚は粒子の充填性と粒子の層数によって制御される。そのため、六方最密状に充填した場合の1層の厚み、
【0030】
【数2】


の膜厚周期でより充填した状態となる。1層目は粒子が球形であるため光学有効膜厚としては実験的に3/5a程度となる。そのため、2層目以降の粒子が最も充填した状態の膜厚としては、
【0031】
【数3】


となり、最も1000nm2以上のボイドが発生しにくく、散乱が小さくなる。そのため、(式1)の範囲の膜厚で用いることがより散乱を小さくできるため好ましい。
【0032】
基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層の厚さは、80nm以上200nm以下が好ましい。この範囲で層の厚さを設計することによって、単層時、複数層の膜を有した場合においても可視域において反射率を低減できるため好ましい。
【0033】
次に、本発明に係る光学部材の製造方法についてその一例を説明する。
【0034】
本実施形態は、基材上に、粒子と分散媒による分散液を塗工した後、バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液をさらに塗工し、前記粒子と前記粒子の間に前記バインダーを充填させた層を形成し、前記層を乾燥させること特徴とする。
【0035】
まず粒子のみを成膜することにより、バインダーの阻害を受けることなく粒子の配列性を向上させることができる。またその後バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を成膜しても、粒子の配列性を維持したまま、粒子と粒子の間にバインダーを充填することができる。このようにして前記粒子と前記粒子の間に前記バインダーを介在させて形成された膜は、耐摩耗性を持ち、散乱を抑えることができる。
【0036】
分散液に用いられる粒子としては表面がメチル基などによって表面修飾されているものがスラリー時に粘度が低くなるため望ましい。そのため粒子が中空シリカの場合においては、中空粒子の壁を形成するための前駆体としてはメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどのメチル基が修飾された3官能シランを用いることが望ましい。また、前駆体に用いる材料としては上記3官能シランとテトラエトキシシランなどの4官能シランを混合して用いても良く、安定した粒子製造を実現できる組成を選択すればよい。
【0037】
粒子と分散媒を含有した分散液に含まれる粒子の濃度は、所望の膜厚が成膜できる範囲で低いことが望ましい。固形分濃度が高くなると粘度が高くなるため、粒子の配列性が低下し、また分散状態が悪化するため、内部に均一なボイドを形成することが困難となる。そのためより固形分濃度が低い状態で成膜可能な条件で成膜することが望ましい。
【0038】
また、バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液のバインダーを形成するために必要な成分の濃度としては、成膜された粒子の膜に対して所望の含有量となる濃度で成膜すれば良く、溶媒、成膜条件によって濃度は適宜選択することができる。
【0039】
分散液に用いる分散媒としては、粒子との親和性が良好なものを適宜選択することが可能である。親和性が低い分散媒であると凝集が見られる。またバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液に含まれる溶媒と、バインダーを形成するために必要な成分との親和性が低い場合は、バインダーを形成するために必要な成分が相溶しない。また塗料として分散、相溶していたとしても、成膜中に凝集や分離を起こし、白化現象を生じる。分散媒、溶媒として好適なものとしては、沸点が100℃以上200℃以下のものを用いることが好ましい。例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エチル−1−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどまたはそれらを混合したものを用いることができる。
【0040】
本実施形態に用いられる分散液には、中空粒子を用いることが好ましいが、中実の金属酸化物粒子を用いても良い。また、中空粒子と中実粒子を混合して用いてもよい。中実の金属酸化物粒子を用いることによって膜の耐摩耗性を向上することができる。その際に用いる粒子としては特に限定されないが、SiO2、MgF2などの屈折率の低い粒子を用いることが屈折率の観点から好ましい。金属酸化物粒子の平均粒子径は、10nm以下が好ましい。
【0041】
塗工に用いる基材としてはガラス、樹脂などを用いることができる。またその形状は限定されることはなく、平面、曲面、凹面、凸面、フィルム状であっても良い。
【0042】
塗工方法としては、中空粒子と溶媒を含有する塗料においては特に制限はない。しかし、後のバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液の成膜においては、粒子を成膜した後に再度成膜を行うため、ディップコートのような浸漬式の場合は、基材に付着した粒子の欠落が発生するため好ましくない。それ以外は特に限定されることはなく、スピンコート法、スプレーコート法、など液状塗工液の一般的な塗工方法を用いることができる。上記した粒子欠落の観点、またレンズのような曲面を有する基材へ膜厚を均一に成膜できる点から、塗料はスピンコートで成膜することが好ましい。
【0043】
塗工後は乾燥を行う。乾燥は乾燥機、ホットプレート、電気炉などを用いることができる。乾燥条件は、基材に影響を与えず且つ中空粒子内の有機溶媒を蒸発できる程度の温度と時間とする。一般的には300℃以下の温度を用いることが好ましい。
【0044】
また反射防止膜は、前記基材表面に対して平行方向に整列された粒子11が複数段積み重なって形成された層と基材との間に、高屈折率層及び中屈折率層などを単層あるいは複数層有していてもよい。高屈折率層、中屈折率層としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、アルミナ、シリカ、フッ化マグネシウムなどを挙げることができる。これらの材料を、蒸着法、スパッタリングなどによって、基材上に堆積させて成膜することが可能である。
【0045】
また反射防止膜は、前記基材表面に対して平行方向に整列された粒子11が複数段積み重なって形成された層の上に、撥水、撥油などの機能性を有する層を単層、あるいは複数層形成しても良い。例えば、フッ素を含有した塗料や、シリコーン塗料などが挙げられる。
【0046】
これらの屈折率層や機能性を有する層は、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法などを用いて形成することができる。
【0047】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
(実施例1、2、3)
基材上に粒子と分散媒による分散液を塗工した後、バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を塗工し、乾燥させて光学部材を製造した。実施例1〜3ではバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液の固形分濃度を変えて評価を行った。
実施例1から3についてそれぞれ以下のように調製した。
【0049】
(粒子と分散媒による分散液)
中空シリカスラリーIPA分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア1110、平均フェレ径55nm・固形分濃度20.5wt%、)6.0gに1−メトキシ−2−プロパノール(関東化学製 鹿特級)28.1gで希釈を行った。それにより、分散液(固形分濃度3.6wt%)を調整した。
【0050】
(バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液)
シランアルコキシ加水分解縮合物(ハネウェル社製 アキュグラスT−11(111) 固形分濃度4.5wt%)6gを1−メトキシ−2−プロパノール(関東化学製 鹿特級)29.5g(固形分濃度0.76wt% 実施例1)、48.0g(固形分濃度0.5wt% 実施例2)、21.0g(固形分濃度1.0wt% 実施例3)でそれぞれ希釈を行なった。それにより各溶液を調整した。前記カッコ内の固形分濃度の数値は、調整した各溶液の濃度を表す。
【0051】
(成膜)
φ39mm厚さ2mmのガラス基材BK7上に、本実施例の、粒子と分散媒による分散液を0.2ml滴下し、スピンコーターを用いて3000rpmで30秒間の条件によって成膜を行った。粒子と分散媒による分散液が成膜された基材に各実施例のバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を0.2ml滴下し、スピンコーターを用いて3000rpmで30秒間の条件によって成膜を行った。その後、成膜を行った基材を200℃、1hrで焼成を行い、膜を形成し、実施例1から3の光学部材を得た。
【0052】
(評価)
実施例1〜3において作製された光学部材をレンズ反射率測定機(オリンパス株式会社製 USPM−RU)を用いて波長400nmから700nmの反射率を測定し、基材の屈折率と最小反射率となる波長より屈折率を求めた。初期の屈折率は実施例1では1.25、実施例2では1.23、実施例3では1.27であった。
【0053】
次に、コットン布(旭化成ケミカルズ社製 クリント)で300g/cmの荷重をかけ、20回往復させた後、同様に屈折率の測定を行った結果、屈折率に変動はなく、また傷も観察されなかった。
【0054】
次に散乱の評価を以下のように行った。光学部材が常に同じ位置になるように基材ホルダーを設置した。基材ホルダーに照度計(T−10M コニカミノルタセンシング社製)を設置し、照度を計測しながら、基材面側に垂直方向からの照度が4000luxとなるように白色光を照射した。次に白色光照射側が基材成膜面となるように後述する比較例1の反射防止付き基板を設置した。設置した基板を45°に傾け、照射面の反対面の法線方向からカメラ(レンズ:EF50mm F2.5 コンパクトマクロ キヤノン(株)製、カメラ:EOS−7D キヤノン(株)製)で撮影を行った。カメラの撮影条件は、ISO400、ホワイトバランス晴れ、絞り20、シャッタースピード10秒で行った。撮影を行った画像における基材面の700pix×700pixの任意4箇所について平均輝度値を算出したものを散乱値として、散乱の評価を行った。この基材を45°に傾け、成膜面の裏面からプロジェクターで白色光を照射し、散乱状態を確認した。その結果、実施例1の散乱値は17、実施例2の散乱値は15、実施例3の散乱値は19の光学部材が得られた。どの実施例においても散乱値は小さく、透明の光学部材が得られた。
【0055】
また、この基材のボイド状態を確認するために基材断面方向に収束イオンビーム装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製 SMI3200F)により100nmの厚みで切り出し、断面状態を走査型透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー製 S−5500)により、倍率25000倍の視野で明視野の透過観察を行った。ボイド部は白く強調されて観察された。前記透過撮影画像をImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製)を用いてボイドである白い部分の粒子測定行い、断面面積1000nm以上のサイズのボイドを数えた。その結果、どの実施例においても0個/μmであった。
【0056】
図2は、実施例1の膜の断面を撮影した、走査型透過電子顕微鏡写真である。図2は各粒子の頂点の高さが粒子半径以上ずれていないことがわかり、基材表面に対して平行方向に整列された粒子が3段積み重なった状態であった。また断面積1000nm以上の大きなボイドはなく、局所的に粒子の偏在のない状態であり、粒子間の隙間が均一な状態であった。実施例2、3についても同様に配列状態を確認した結果、基材表面に対して平行方向に整列された粒子が3段積み重なった状態であった。
【0057】
次に実施例1、2及び3の光学部材について2次元充填度の評価を行った。この光学部材の表面状態を確認するために、走査型反射電子顕微鏡により、倍率100000倍の観察を行った。どの実施例においても基材表面に対して平行方向に整列された粒子が3段積み重なった状態が確認された。前記撮影画像をImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製)を用いて500nm×500nmの任意の領域について表面粒子部の面積を求め、評価面積に対する粒子部の面積比率を求め2次元充填度とした。その結果実施例1は2次元充填度0.86、実施例2は2次元充填度0.88、実施例3は2次元充填度0.85あった。
【0058】
(比較例1)
本比較例では塗料の経時変化により分散状態の違う塗料を用いて作製した2次元充填度の異なる反射防止膜ついて評価を行った。
【0059】
(塗料調製)
中空シリカスラリーIPA分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア1110、平均フェレ径50nm・固形分濃度20.5wt%、)18.0gにシランアルコキシ加水分解縮合物A(ハネウェル社製 アキュグラスT−11(111) 固形分濃度4.5wt%)13.7gを混合した塗料原液Bを作製した。
【0060】
次に10gの塗料原液Bを2−n−ブトキシエタノール(キシダ化学製 特級)20.9gで希釈を行い、塗料を調整した。
【0061】
(成膜)
φ39mm厚さ2mmのガラス基材BK7上に、塗料を0.2ml滴下し、スピンコーターを用いて3000rpmで30秒間の条件によって成膜を行った。その後、成膜を行った基材を200℃、1hrで焼成を行い、膜を形成し、比較例1の光学部材を得た。
【0062】
(評価)
比較例1において作製された光学部材を実施例1と同様に屈折率と耐摩耗性の評価を行った結果、初期の屈折率は1.23であり、耐摩耗性試験後の屈折率にも変動はなく、また傷も観察されなかった。
【0063】
散乱についても実施例1と同様に評価した。散乱値は32であった。
【0064】
また、この光学部材のボイド状態を確認するために実施例1と同様の方法で断面面積1000nm以上のサイズのボイドを数えた結果、12個/μmであった。
【0065】
また実施例1と同様に粒子の配列状態を確認したところ、粒子の頂点の高さが粒子半径以上ずれていることが確認され、粒子が基材表面に対して平行方向に整列されていない状態であった。
【0066】
次に実施例1と同様の方法で、2次元充填度の評価を行った。粒子が、基材表面に対して平行方向に整列されておらず、2次元充填度を求めることができなかった。
【0067】
(実施例4〜6、比較例2)
粒子と分散媒による分散液とバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液をそれぞれ以下のように調製した。
【0068】
(粒子と分散媒による分散液)
中空シリカスラリーIPA分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア1110、平均フェレ径50nm・固形分濃度20.5wt%、)6.0gに2−n−ブトキシエタノール(キシダ化学製 特級)22gで希釈を行なった。それにより粒子と分散媒による分散液(固形分濃度4.4wt%)を調整した。
【0069】
(バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液)
シランアルコキシ加水分解縮合物(ハネウェル社製 アキュグラスT−11(111) 固形分濃度4.5wt%)6gを2−n−ブトキシエタノール(キシダ化学製 特級)29.5gで希釈を行い、溶液(固形分濃度0.76wt%)を調整した。
【0070】
(成膜)
φ39mm厚さ2mmのガラス基材BK7上に、粒子と分散媒による分散液を調製10分後(実施例4)、3時間後(実施例5)、4℃で1週間放置後(実施例6)、の各分散液を室温、液温とも23℃で0.2ml滴下し、スピンコーターを用いて2000rpmで90秒間の条件によって成膜を行った。この各分散液各粒子と分散媒による分散液が成膜された基材に、調製後3時間放置したバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を0.2ml滴下し、スピンコーターを用いて2000rpmで90秒間の条件によって成膜を行った。その後、成膜を行った基材を200℃、1hrで焼成を行い、膜を形成し、実施例4、5、6の光学部材を得た。また、分散液を調整後4℃で1ヶ月保存した液(比較例2)も作製した。この液についても室温、液温とも23℃で0.2ml滴下し、スピンコーターを用いて2000rpmで90秒間の条件によって成膜を行った。この液が成膜された基材に、調製後3時間放置したバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を0.2ml滴下し、スピンコーターを用いて2000rpmで90秒間の条件によって成膜を行った。その後、成膜を行った基材を200℃、1hrで焼成を行い、膜を形成し、比較例2の光学部材を得た。
【0071】
(評価)
実施例4〜6、比較例2において作製された光学部材を実施例1と同様に屈折率と耐摩耗性の評価を行った結果、初期の屈折率は1.23であり、耐摩耗性試験後の屈折率にも変動はなく、また傷も観察されなかった。
【0072】
散乱についても同様に評価した結果、実施例4の散乱値は22、実施例5の散乱値は25、実施例6の散乱値は30、実施例7の散乱値は32の反射防止膜付き基材が得られた。比較例1と比べて実施例4、5、6において散乱値が低減していることが確認されたが、比較例2においては比較例1と同等の散乱値であった。
【0073】
実施例1と同様の方法で実施例4、5、6及び比較例2の光学部材について2次元充填度の評価を行った。その結果実施例4は2次元充填度0.88、実施例5は2次元充填度0.83、実施例6は2次元充填度0.80、比較例2は2次元充填度0.78であった。2次元充填度が0.8以上の膜においては比較例1と比較して散乱値の低下があることが確認された。しかし2次元充填度が0.78であった比較例2においては散乱値が比較例1と同等であった。
【0074】
また、実施例4、5、6の基材のボイド状態を確認するために比較例1と同様の方法で断面面積1000nm以上のサイズのボイドを数えた結果、どの実施例も0個/μmであった。また実施例1と同様に粒子の配列状態を確認したところ、粒子の頂点の高さが粒子半径以上ずれていないことがわかった。比較例2においては、粒子が凝集してしまい粒子の配列が乱れ、粒子の頂点の高さが粒子半径以上となっていた。また、基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なった状態にはなかった。
実施例7〜24
本実施例では粒子と分散媒による分散液の固形分濃度とスピンコート条件を変更し、膜厚の異なる反射防止膜ついて評価を行った。
【0075】
粒子と分散媒による分散液とバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液をそれぞれ以下のように調製した。
【0076】
(粒子と分散媒による分散液)
中空シリカスラリーIPA分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア1110、平均フェレ径50nm・固形分濃度20.5wt%、)6.0gに2−n−ブトキシエタノール(キシダ化学製 特級)で希釈を行なった。それにより固形分濃度3.6wt%、3.8wt%、4.0wt%、4.2wt%、4.4wt%の分散液を調整した。
【0077】
(バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液)
シランアルコキシ加水分解縮合物(ハネウェル社製 アキュグラスT−11(111) 固形分濃度4.5wt%)6gを2−エチル−1−ブタノール(東京化成工業(株)製 EP)27.8gで希釈を行い、固形分濃度0.8wt%の溶液を調整した。
【0078】
(成膜)
膜厚の異なる反射防止膜を得るために分散液の濃度とスピンコート回転数を変えて、その他は実施例1と同じように、実施例7〜24を行った。各実施例の分散液濃度及び、スピンコート回転数を表1に示す。
【0079】
φ39mm厚さ2mmのガラス基材BK7上に、実施例7の粒子と分散媒による分散液を0.2ml滴下し、スピンコーターを用いて表1の条件で90秒間成膜を行った。次に、粒子と分散媒による分散液が成膜された基材に、調製した固形分濃度0.8wt%のバインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を0.2ml滴下し、粒子と分散媒による分散液と同じ条件でスピンコーターを用いて成膜を行った。その後、成膜を行った基材を200℃、1hrで焼成を行い、膜を形成し、光学部材を作製した。同様に、実施例8〜24についても表1の条件で膜を形成し、光学部材を作製した。
【0080】
【表1】

【0081】
(評価)
本実施例において作製された光学部材を実施例1と同様にレンズ反射率測定機(オリンパス株式会社製 USPM−RU)を用いて波長400nmから700nmの反射率を測定し、基材の屈折率と最小反射率となる波長より屈折率及び膜厚を求めた。また耐摩耗性、散乱についても実施例1と同様に評価を行った。これらの結果を表2に示す。
【0082】
【表2】

【0083】
どの実施例においも初期の屈折率は1.25であり、耐摩耗性試験後の屈折率にも変動はなく、また傷も観察されなかった。また、表2の膜厚と散乱値の関係を図3に示す。散乱値は膜厚に対して周期性を持っていることが確認された。また実施例7〜25では平均粒子半径25nmの粒子を用いており、膜厚が最密充填に近い膜厚となる71nmと112nmの付近で散乱値が小さく、71nm以下、112nm以上及びその中間の膜厚では散乱値が大きくなることが確認された。また散乱値の極小値の膜厚差としては約40nmであった。
【0084】
本発明の反射防止膜は、光の入出射面での界面反射光量を抑制する機能を有する光学素子、例えばカメラやビデオカメラをはじめとする撮像機器、もしくは液晶プロジェクターや電子写真機器の光走査装置をはじめとする投影機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
11 中空粒子
12 バインダー
13 ボイド
14 空孔
15 シェル
16 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に反射防止膜を形成する工程を有する光学部材の製造方法であって、前記反射防止膜を形成する工程は、粒子と分散媒による分散液を塗工した後、バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液を塗工し、前記粒子と前記粒子の間に前記バインダーを充填させた層を形成し、前記層を乾燥させる工程を含むこと特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項2】
前記バインダーを形成するために必要な成分はシランアルコキシ加水分解縮合物であることを特徴とする請求項1記載の光学部材の製造方法。
【請求項3】
前記粒子と分散媒を含有した分散液および前記バインダーを形成するために必要な成分を含有する溶液は、スピンコート法で塗工されることを特徴とする請求項1または2記載の光学部材の製造方法。
【請求項4】
前記分散媒は、1−メトキシ−2−プロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、およびブチルセロソルブのいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
【請求項5】
前記粒子は、シリカを含む中空粒子であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
【請求項6】
前記反射防止膜を形成する工程は、前記粒子と前記粒子の間に前記バインダーを介在させた層とは別の層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
【請求項7】
前記別の層を形成する工程は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、アルミナ、シリカ、またはフッ化マグネシウムを堆積させて形成することを特徴とする請求項6記載の光学部材の製造方法。
【請求項8】
基材上に反射防止膜が形成された光学部材であって、
前記反射防止膜は、前記基材表面に対して平行方向に整列された粒子が複数段積み重なって形成された層を有し、
前記層は、前記粒子と前記粒子の間にバインダーが充填されていることを特徴とする光学部材。
【請求項9】
前記層は、前記粒子の2次元充填度が0.8以上0.88以下であることを特徴とする請求項8記載の光学部材。
【請求項10】
前記バインダーは空隙を含み、前記空隙の、前記層に対する体積比は、5体積%以上25体積%以下であることを特徴とする請求項8または9記載の光学部材。
【請求項11】
前記粒子は、シリカを含む中空粒子であることを特徴とする請求項8乃至10いずれか1項記載の光学部材。
【請求項12】
前記層の厚さdは、前記中空粒子の平均粒子半径をaとした時、
【数1】


であることを特徴とする請求項11記載の光学部材。
【請求項13】
前記層の厚さは、80nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項11または12記載の光学部材。
【請求項14】
前記中空粒子の平均粒子径が15nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項11乃至13いずれか1項記載の光学部材。
【請求項15】
前記中空粒子のシェルの厚みが平均粒子径の10%以上50%以下であることを特徴とする請求項請求項12乃至14いずれか1項記載の光学部材。
【請求項16】
前記反射防止膜は、さらに単層または複数層を有することを特徴とする請求項8乃至15いずれか1項記載の光学部材。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−41275(P2013−41275A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161543(P2012−161543)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】