説明

光学部材及びそれを備えた撮像デバイス

【課題】レンズを形成する際の樹脂の赤外波長カット膜への浸入を防ぎ、樹脂からなるレンズとガラスからなる赤外波長カットフィルタとの固定による線膨張の違いに起因するレンズの剥がれを抑制し、かつ赤外波長カット膜からでるゴミが撮像素子上に落ちるのを回避し得る光学部材及びそれを備えた撮像デバイスを提供する。
【解決手段】光透過性基板1上に赤外波長カット膜3が設けられ、さらにその上に、赤外波長カット膜3側に第1の平坦面を有するレンズ2が設けられている。レンズ2は、レンズ有効径Rよりも外周部で光透過性基板1と固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラやビデオカメラなどに使用されている赤外波長カット膜と集束レンズとを含む光学部材及びそれを備えた撮像デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像素子として、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合)素子やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)素子が多く用いられている。これらの撮像素子は、比較的広い波長範囲の光に対して感度をもち、可視光領域のみならず、近赤外領域(750〜2500nm)の光に対しても良好な感度をもっている。しかし、通常のカメラの用途では、人間の目に見えない赤外領域の光は必要ではなく、また、近赤外光が撮像素子に入射すると、解像度の低下や画像ムラなどの不都合を引き起こすことになる。このため、カメラの光学系には色ガラスなどの赤外カットフィルタが挿入され、入射する光の中の近赤外光をカットしている。
【0003】
近年、ビデオカメラ、デジタルカメラ、特に携帯電話に搭載するカメラモジュールにおいて、小型化、軽量化の要望が大きくなっている。小型化を実現するために、レンズの焦点距離を短くすることによって、光学系全体の光軸方向の薄型化をする手法がある。しかしながら、光学系全体の光軸方向の薄型化により、レンズから撮像素子までの距離が小さくなると、光軸周辺部を通る光線において、その光線が撮像素子に入射する際、入射角が大きくなってしまう。
【0004】
入射角が大きくなると以下の2つの問題が生じる。
【0005】
1つ目の問題は、赤外波長カットフィルタに入射角度依存性があることに起因する。すなわち、入射角度依存性により、入射角の小さい光軸中心部では赤外波長領域の光は十分にカットされるが、光線が中心から光軸周辺部に行くに伴って、撮像素子への入射角が大きくなり、その結果、赤外波長領域の光はカットされず、赤色波長の光がカットされてしまうことになる。このため、撮像素子から、電気信号に変換されて得た画像は、中心部から周辺部に行くにつれ、青みが強くなる傾向を示す。この結果、入射角度が大きくなるほど、赤外波長カットフィルタにカットされる光の波長が短くなっていくことは、画面の色ムラの原因となる。
【0006】
2つ目の問題は、光軸周辺部の光量が光軸中心部に対して少なくなることである。すなわち、撮像素子から電気信号に変換された画像は、中心部から周辺部に行くにつれ、暗くなる傾向を示す。
【0007】
例えば、特許文献1では、板状光透過性基板の一方の平坦面に赤外波長カットフィルタである赤外波長カット膜を設け、その赤外波長カット膜の上に樹脂製の集束レンズを直接形成することが開示されている。具体的には、図15に示すように、光透過性基板101上に赤外波長カット膜103が設けられ、さらにその上に樹脂からなるレンズ102が形成されている。また、図示しないが、図面上側から入射した光線は、レンズ102により屈折され赤外波長カット膜103に入射する。入射した光線は、赤外波長カット膜103により赤外波長領域の光線がカットされる。その後、光線は光透過性基板101を通過し、最終的に撮像素子107上に結像する。
【0008】
光学系の光軸を通過する光線がレンズ102の中心部を通って撮像素子107に入射するとき、赤外波長カット膜103に対する入射角は0°である。一方、撮像素子107の端部に入射する光線は、レンズ102により光軸側へ集束するように屈折され、レンズ102がない場合の入射角よりも小さい入射角で赤外波長カット膜103に入射し、その赤外波長カット膜103を通過した光が撮像素子107に入射する。このように、レンズ102は入射角を低減するレンズとして機能する。
【0009】
また、その他の従来例では、図16に示す撮像デバイスが挙げられる。上記の特許文献1と異なる箇所は、赤外波長カット膜203がパッケージ207側に配置され、レンズ202と光透過性基板201とが直接接着されていることである。レンズ202は非球面(同図には表示せず)で、光軸周辺部の入射角を小さくする効果がある。このレンズ202により、赤外波長カット膜の角度依存性を少なくさせて画像の色ムラを抑制する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−234038号公報(2005年9月2日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の技術には、以下に述べる幾つかの問題点を有している。
【0011】
まず、従来の図15に示す構成においては、レンズ102の原材料は液体状の樹脂からなっており、この樹脂を紫外線又は熱にて硬化させることにより定形のレンズを作製する。ここで、樹脂の硬化を赤外波長カット膜103上で行うと、赤外波長カット膜103の微小クラックに樹脂が浸入し、赤外波長カット膜103の特性が劣化する。また、樹脂は硬化により体積収縮が起こる。このため、ガラスからなる赤外波長カット膜103に接したまま樹脂が硬化すると、この硬化した樹脂がガラスからなる赤外波長カット膜103から剥がれる可能性もある。
【0012】
このことから、赤外波長カット膜103上とは別の場所で樹脂を硬化させる必要がある。この場合、樹脂を硬化して作製したレンズ102を赤外波長カット膜103上に貼り付けることになるが、レンズ102の平面全面で貼れば、体積膨張率の違いにより剥がれ易くなる。すなわち、赤外波長カット膜103と樹脂との線膨張係数は一般的に一桁以上異なるため、温度変化により、レンズ102の剥がれの原因、及び赤外波長カット膜103の割れの原因となる。
【0013】
また、レンズ102を赤外波長カット膜103上に貼り付ける場合には、光線が通る領域に接着剤を設ける構成になるため、接着剤への光学特性の要求がシビアになり、その要求との兼ね合いで十分な接着力を得ることができない可能性がある。
【0014】
一方、従来例の図16に示す構成では、赤外波長カット膜203を形成した側に固体撮像素子206を設ける構成となる。この構成では、赤外波長カット膜203からでる微小な破片、ゴミが固体撮像素子206上に落ちることになり、電気信号に変換された画像のしみが生じる。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レンズを形成する際の樹脂の赤外波長カット膜への浸入を防ぎ、樹脂からなるレンズとガラスからなる赤外波長カットフィルタとの固定による線膨張の違いに起因するレンズの剥がれを抑制し、かつ赤外波長カット膜からでるゴミが撮像素子上に落ちるのを回避し得る光学部材及びそれを備えた撮像デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の光学部材は、上記課題を解決するために、光透過性基板上に赤外波長カット膜が設けられ、さらにその上側に、赤外波長カット膜側に第1の平坦面を有するレンズが設けられていると共に、上記レンズは、レンズ有効径よりも外周部で上記光透過性基板と固定されていることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、赤外波長カット膜が設けられているので、赤外波長をカットし、解像度の低下や画像ムラなどの不都合を除去することができる。
【0018】
また、レンズは、レンズ有効径よりも外周部で上記光透過性基板と固定されている。この結果、レンズは、レンズ有効径内ではガラスからなる赤外波長カット膜と固定されていないことになる。したがって、樹脂からなるレンズをガラスからなる赤外波長カット膜上で直接形成したり、樹脂からなるレンズをガラスからなる赤外波長カット膜に貼り付けたりした場合に生じたレンズと赤外波長カット膜との線膨張の違いによる剥がれを抑制することができる。また、レンズと光透過性基板とは全面で接着されるのではなく、レンズの外周部で固定されるため、線膨張の違いによる影響が生じない。さらに、レンズ有効径内で貼り付けた場合は、接着剤は光透過性を有するものに限定されたが、レンズ有効径よりも外周部で固定することとなり光学特性を必要としない接着剤の使用が可能となり、接着力の大きなものを優先的に用いることができる。
【0019】
また、図15に示す特許文献1のように、光透過性基板101に樹脂からなるレンズ102を直接形成する場合は、固体撮像素子106とレンズ102との位置合わせが難しいが、本発明の構成では、レンズから固体撮像素子を確認しながら位置合わせをすることが容易である。
【0020】
また、本発明の構成では、樹脂の硬化を赤外波長カット膜上で行うものではないといえる。樹脂の硬化を赤外波長カット膜上で行うと、必然的に、レンズ有効径内ではガラスからなる赤外波長カット膜とレンズとが固定されるためである。すなわち、本発明では、予め形成したレンズが用いられる。
【0021】
したがって、樹脂の硬化を赤外波長カット膜上で行わないので、樹脂の赤外波長カット膜への浸入による赤外波長カット膜へのダメージを抑制し、赤外波長カット膜の特性が劣化するのを抑制することができる。
【0022】
さらに、本発明の構成では、赤外波長カット膜は光透過性基板上に設けられているので、光透過性基板の下側に設けられる撮像素子に赤外波長カット膜のゴミが落ちることもない。
【0023】
それゆえ、レンズを形成する際の樹脂の赤外波長カット膜への浸入を防ぎ、樹脂からなるレンズとガラスからなる赤外波長カットフィルタとの固定による線膨張の違いに起因するレンズの剥がれを抑制し、かつ赤外波長カット膜からでるゴミが撮像素子上に落ちるのを回避し得る光学部材を提供することができる。
【0024】
また、本発明の光学部材では、前記光透過性基板は、前記レンズ側に第2の平坦面を有する一方、前記赤外波長カット膜は、上記光透過性基板の第2の平坦面に設けられていることが好ましい。
【0025】
これにより、光透過性基板の第2の平坦面上に赤外波長カット膜を形成することによって、光透過性基板の3次元形状の表面に赤外波長カット膜を形成するよりも製造が簡易になり、より低価格及び高性能の光学部材を提供することができる。
【0026】
また、本発明の光学部材では、前記レンズと前記赤外波長カット膜との間には第1の反射防止膜が設けられていることが好ましい。
【0027】
すなわち、レンズを、レンズ有効径よりも外周部で上記光透過性基板と固定させるために、例えば接着剤を使用することが考えられる。この場合、必然的に、レンズと赤外波長カット膜との間に空気層ができ、その結果、レンズと赤外波長カット膜との間で屈折率の違いに基づく反射が生じる。
【0028】
この点、本発明では、レンズと赤外波長カット膜との間には第1の反射防止膜が設けられているので、レンズ面からの反射光を除去することができ、撮像に十分な光量を得ることができる高性能の光学部材を提供することができる。
【0029】
また、本発明の光学部材では、前記第1の反射防止膜は、前記レンズの第1の平坦面に設けられていることが好ましい。
【0030】
これにより、第1の反射防止膜を、レンズの第1の平坦面に設けることによって、蒸着法、スパッタ法、スピンコート法等の各種成膜法を適宜選択して品質のよい反射防止膜を用いることができる。
【0031】
また、本発明の光学部材では、前記第1の反射防止膜は、空気層を介して前記赤外波長カット膜と対向していることが好ましい。
【0032】
これにより、第1の反射防止膜と赤外波長カット膜とが直接触れない構成となる。この結果、互いの接触による傷、品質の劣化を防ぐことができるため、品質の高い光学部材を提供することができる。
【0033】
また、本発明の光学部材では、前記空気層は、前記赤外波長カット膜と、前記第1の反射防止膜と、上記赤外波長カット膜と前記レンズとを接着する接着材とによって封止されていることが好ましい。
【0034】
これにより、大気中の湿気等に由来する水の浸入を防止することができ、レンズへの露付きを抑制することができるため、耐環境性を有する光学部材を提供することができる。また、大気中の埃等が空気層に混入することによる赤外波長カット膜又は第1の反射防止膜上への埃等の付着を防ぐこともできる。
【0035】
また、本発明の光学部材では、前記レンズにおける有効径よりも外周部には、前記赤外波長カット膜側に突出し、かつ該赤外波長カット膜と前記第1の反射防止膜との間に空気層を設ける外周突起部が該赤外波長カット膜に当接するように形成されていてもよい。
【0036】
すなわち、外周突起部はレンズの一部であり、突起の高さを精密に制御することが可能である。このため、接着剤等の固定材を使用するよりもその厚みの制御が容易になることによって、レンズの第1の平坦面と光透過性基板の第2の平坦面との間に傾きが生じ難くなり、レンズと光透過性基板との平行度を保てるようになる。したがって、光軸のズレが生じ難くなることにより、光学系の信頼性を高めることができる。
【0037】
また、本発明の光学部材では、前記空気層は、前記赤外波長カット膜と、前記第1の反射防止膜と、前記外周突起部と、上記外周突起部と前記第1の反射防止膜とを固定する接着剤とによって封止されていることが好ましい。
【0038】
これにより、大気中の湿気等に由来する水の浸入を防止することができ、レンズへの露付きを抑制することができるため、耐環境性を有する光学部材を提供することができる。また、大気中の埃等が空気層に混入することによる赤外波長カット膜又は第1の反射防止膜上への埃等の付着を防ぐこともできる。
【0039】
また、本発明では、レンズに外周突起部を設けて、赤外波長カット膜とレンズとの接着面積を小さくする。このため、樹脂からなるレンズとガラスからなる赤外波長カット膜との線膨張の違いに起因する剥がれを防止することができる。
【0040】
また、本構成においては、例えば、外周突起部の外側においてレンズと赤外波長カット膜とがシール樹脂にて封止される。したがって、レンズ有効径内においては、シール樹脂と赤外波長カット膜とが接触しないため、シール樹脂に起因する赤外波長カット膜へ傷や浸食によるダメージを抑制し、耐久性の高い光学部材を提供することができる。
【0041】
また、本発明の光学部材では、前記レンズは、前記光透過性基板への対向面とは反対側面の断面が、非球面形状となるように形成されていることが好ましい。
【0042】
これにより、光軸周辺部の光線の入射角を小さくすることができ、赤外波長カット膜の角度依存性を抑制することができる。その結果、得られる画像の色むらを抑制することが可能となる。また、レンズの非球面形状により、レンズ中心部とレンズ周辺部との光量差を小さくすることができ、ディストーション(distortion)等の収差を補正することも可能となるため、高品質の光学部材を提供することができる。
【0043】
また、本発明の光学部材では、前記レンズは、前記光透過性基板への対向面とは反対側面の断面が、光軸中心部とレンズ有効径外周との間に最大厚みを有する非球面形状となるように形成されていることが好ましい。
【0044】
また、本発明の光学部材では、前記レンズは、前記光透過性基板への対向面とは反対側面の断面が、光軸中心部に最大値を有し、かつ、レンズ有効径外周とレンズ最外周との間に最小厚みを有する非球面形状となるように形成されていることが好ましい。
【0045】
これらレンズの具体的構成により、確実に、光軸周辺部の光線の入射角を小さくすることができ、赤外波長カット膜の角度依存性を抑制することができる。
【0046】
また、本発明の光学部材では、前記レンズには、前記光透過性基板への対向面とは反対側面に、第2の反射防止膜が形成されていてもよい。
【0047】
これにより、レンズの外側の空気層とレンズとの間における屈折率の違いに基づく反射を防止することができる。
【0048】
また、本発明の光学部材では、前記レンズは、複数個が1列のシート状に製造されたものであることが好ましい。
【0049】
また、本発明の前記の光学部材では、前記レンズは、複数個がアレイ状に製造されたものであることが好ましい。
【0050】
このように、レンズを1列のシート状又はアレイ状に製造することによって、一度に大量のレンズを作製することができる。この結果、製造時間の短縮、及び製造コストの削減を図ることができ、迅速に安価な光学部材を提供することができる。
【0051】
また、本発明の光学部材では、前記製造された1列のシート状のレンズが光透過性基板上に設けられた後、個々に切り離されていることが好ましい。
【0052】
また、本発明の前記の光学部材では、製造されたアレイ状のレンズが前記光透過性基板上に設けられた後、個々に切り離されていることが好ましい。
【0053】
このように、シート状又はアレイ状のレンズと光透過性基板との切断を一緒に行うことにより、切断工程を減らすことができる。また、レンズと光透過性基板とのズレを生じることなく製造することができ、安価で高品質の光学部材を提供することができる。
【0054】
また、本発明の撮像デバイスは、上記課題を解決するために、上記記載の光学部材を備えた撮像デバイスであって、上記光学部材における前記光透過性基板の、前記レンズとは反対側には、上記光透過性基板側に開口部を有するパッケージが設けられていると共に、上記パッケージ内には、該パッケージに固定された固体撮像素子と、上記固体撮像素子を覆い、かつ上記開口部を閉塞する光透過性の防塵カバーとが設けられていることを特徴としている。
【0055】
上記の構成によれば、固体撮像素子を覆い、かつ開口部を閉塞する光透過性の防塵カバーを有するパッケージの上に光学部材が設けられている。
【0056】
したがって、レンズを形成する際の樹脂の赤外波長カット膜への浸入を防ぎ、樹脂からなるレンズとガラスからなる赤外波長カットフィルタとの固定による線膨張の違いに起因するレンズの剥がれを抑制し、かつ赤外波長カット膜からでるゴミが撮像素子上に落ちるのを回避し得る光学部材を備えた撮像デバイスを提供することができる。
【0057】
本発明の光学部材は、上記課題を解決するために、光透過性基板上に赤外波長カット膜が設けられ、さらにその上側に、赤外波長カット膜側に第3の平坦面を有するレンズが設けられ、かつ上記光透過性基板の側壁と接するように樹脂が設けられていると共に、上記レンズは、レンズ有効径よりも外周部で上記樹脂と固定されていることを特徴としている。
【0058】
上記の発明によれば、レンズは、レンズ有効径内では例えばガラスからなる赤外波長カット膜と固定されていないことになる。したがって、例えば樹脂からなるレンズを例えばガラスからなる赤外波長カット膜上で直接形成したり、例えば樹脂からなるレンズを例えばガラスからなる赤外波長カット膜に貼り付けたりした場合に生じたレンズと赤外波長カット膜との線膨張の違いによる剥がれを抑制することができる(剥がれは生じない)。
【0059】
また、上記の構成によれば、レンズはレンズ有効径よりも外側で樹脂と接着される。このため、赤外波長カット膜とレンズとを接着する場合とを比較すると、光透過性基板から赤外波長カット膜が剥がれることにより、レンズが同時に光透過性基板から剥がれるという課題を解決することができる。
【0060】
また、本発明の光学部材では、前記光透過性基板は、前記レンズ側に第4の平坦面を有する一方、前記赤外波長カット膜は、上記光透過性基板の第4の平坦面に設けられていることが好ましい。
【0061】
これにより、光透過性基板の第4の平坦面上に赤外波長カット膜を形成することによって、光透過性基板の3次元形状の表面に赤外波長カット膜を形成するよりも製造が容易になり、より低価格及び高性能の光学部材を提供することができる。
【0062】
また、本発明の光学部材では、前記レンズにおける、該レンズの光軸方向から見たときの平面形状は、前記光透過性基板全体の平面形状及び前記樹脂の一部の平面形状を含んでいることが好ましい。
【0063】
また、本発明の光学部材では、前記レンズにおける、該レンズの光軸方向から見たときの平面形状は、前記光透過性基板の一部の平面形状及び前記樹脂の一部の平面形状を含んでいることが好ましい。
【0064】
これにより、レンズは完全に又は概ね光透過性基板上に形成され、その光学的性能により光線を屈折させ、光透過性基板を通して固体撮像素子に光線を導くことができる。加えて、上記光透過性基板上以外で、レンズと樹脂とを接着できる接着箇所を作ることができる。この結果、光透過性基板に接着する場合と比較して、レンズの接着力を高めることができ、より信頼性の高い光学部材を提供することができる。
【0065】
また、本発明の光学部材では、前記樹脂は、前記レンズ側に前記光透過性基板の第4の平坦面と平行な第5の平坦面を有していると共に、前記レンズは、上記樹脂の第5の平坦面に接着剤により固定されていることが好ましい。
【0066】
これにより、光透過性基板の第4の平坦面を基準として樹脂を成型することができ、樹脂の第5の平坦面を光学系の基準とすることができる。さらに、レンズを第5の平坦面に取り付けることによって、レンズに対して傾きの少ない調整を行うことができ、光学系の信頼度を高めることができる。
【0067】
また、本発明の光学部材では、前記樹脂の第5の平坦面は、前記光透過性基板の第4の平坦面と同一平面上に存在するか、又は該第4の平坦面よりも前記レンズ側には突出していないことが好ましい。
【0068】
この構成では、光透過性基板の周りを樹脂が取り囲むことになる。これにより、レンズ有効径内には光透過性基板が位置する一方、レンズ有効径外は樹脂が位置する。したがって、レンズ有効径外でレンズと樹脂とが接着されることにより、光透過性基板におけるレンズに対する剥がれを抑制した光学部材を提供することができる。
【0069】
また、本発明の光学部材では、前記光透過性基板の第4の平坦面は、前記樹脂の第5の平坦面よりも前記レンズの第3の平坦面側に配設されていることが好ましい。
【0070】
この構成では、樹脂の第5の平坦面を光透過性基板の第4の平坦面よりも一段下げることになる。これにより、光透過性基板の周辺を樹脂で埋める場合に、樹脂が光透過性基板の第4の平坦面の表面に回り込むという課題を解決することができる。
【0071】
また、本発明の光学部材では、前記レンズにおける有効径よりも外周部には、前記樹脂の第5の平坦面側に突出し、かつ前記レンズの第3の平坦面と前記光透過性基板の第4の平坦面との間に空気層を設ける外周突起部が該第5の平坦面に当接するように形成されていることが好ましい。
【0072】
すなわち、外周突起部は、レンズの一部であり、この外周突起部の高さを精密に制御することが可能である。このため、接着剤等の固定剤を使用するよりもその厚みの制御が容易になることによって、レンズの第3の平坦面と樹脂の第5の平坦面との間に傾きが生じ難くなり、レンズと光透過性基板との平行度を保てるようになる。したがって、光軸のずれが生じ難くなることにより、光学系の信頼性を高めることができる。
【0073】
さらに、空気層を設けるので、レンズと光透過性基板とが直接触れ合わず、線膨張の違いによる光透過性基板のレンズからの剥がれや、樹脂による赤外線カット膜への損傷を抑制することができる。
【0074】
また、本発明の光学部材では、前記レンズの第3の平坦面には、第3の反射防止膜が設けられていることが好ましい。
【0075】
これにより、レンズと空気層との屈折率の違いによるフレネル反射を抑制することができ、結果として撮像系として観測されるフレア光を抑制することができる。
【0076】
また、本発明の光学部材では、前記空気層は、前記レンズの第3の平坦面に設けられた第3の反射防止膜と、前記外周突起部と、前記光透過性基板上に設けられた赤外波長カット膜と、前記樹脂の第5の平坦面とによって封止されていることが好ましい。
【0077】
これにより、大気中の湿気等に由来する水の浸入を防止することができ、レンズへの露付きを抑制することができるため、耐環境性を有する光学部材を提供することができる。
【0078】
また、本発明の撮像デバイスは、上記課題を解決するために、上記記載の光学部材を備えた撮像デバイスであって、上記光学部材における前記光透過性基板の、前記レンズとは反対側には、固体撮像素子が設けられていると共に、上記固体撮像素子は、前記樹脂に封止されていることを特徴としている。
【0079】
上記の発明によれば、レンズを直接形成した撮像デバイスを形成することができ、薄型小型の撮像デバイスを提供することができる。
【発明の効果】
【0080】
本発明の光学部材は、以上のように、無機材料からなる光透過性基板上にガラスからなる赤外波長カット膜が設けられ、さらにその上に樹脂からなるレンズが設けられていると共に、上記レンズは、レンズ有効径よりも外周部で上記光透過性基板と固定されているものである。
【0081】
また、本発明の撮像デバイスは、以上のように、光透過性基板上に赤外波長カット膜が設けられ、さらにその上側に、赤外波長カット膜側に第3の平坦面を有するレンズが設けられ、かつ上記光透過性基板の側壁と接するように樹脂が設けられていると共に、上記レンズは、レンズ有効径よりも外周部で上記樹脂と固定されているものである。
【0082】
また、本発明の撮像デバイスは、以上のように、上記記載の光学部材を備えた撮像デバイスであって、上記光学部材における前記光透過性基板の、前記レンズとは反対側には、上記光透過性基板側に開口部を有するパッケージが設けられていると共に、上記パッケージ内には、該パッケージに固定された固体撮像素子と、上記固体撮像素子を覆い、かつ上記開口部を閉塞する光透過性の防塵カバーとが設けられているものである。
【0083】
また、本発明の撮像デバイスは、以上のように、上記記載の光学部材を備えた撮像デバイスであって、上記光学部材における前記光透過性基板の、前記レンズとは反対側には、固体撮像素子が設けられていると共に、上記固体撮像素子は、前記樹脂に封止されているものである。
【0084】
それゆえ、レンズを形成する際の樹脂の赤外波長カット膜への浸入を防ぎ、樹脂からなるレンズとガラスからなる赤外波長カットフィルタとの固定による線膨張の違いに起因するレンズの剥がれを抑制し、かつ赤外波長カット膜からでるゴミが撮像素子上に落ちるのを回避し得る光学部材及びそれを備えた撮像デバイスを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1から図7に基づいて説明すると以下の通りである。
【0086】
まず、本実施の形態の光学部材10の構成について、図1に基づいて説明する。図1は、上記光学部材10を示す断面図である。
【0087】
同図に示すように、光学部材10は、光透過性基板1と、高分子樹脂のレンズ2と、赤外波長カット膜3と、反射防止膜4と、接着材としてのシール樹脂8とを備えている。
【0088】
上記光透過性基板1は、ガラス等の無機材料からなる板状に形成されており、2つの平坦面1a・1bを持っている。上記光透過性基板1における、レンズ2側の第2の平坦面としての平坦面1a上には、赤外波長カット膜3が形成されている。赤外波長カット膜3は、SiOやMgF等の誘電体多層膜から構成され、一般的な蒸着成膜法によって成膜されている。この赤外波長カット膜3は、低域透過フィルタであり入射光の中の赤外波長だけを選択的に光の干渉効果を用いて取り出すことができる。
【0089】
なお、赤外波長カット膜3の成膜方法は上述した成膜法のみに限定されず、例えば、スパッタ法、スピンコート法等を用いることができる。
【0090】
上記レンズ2は、液体状の高分子樹脂を原材料とし、この液体状の高分子樹脂を紫外線(UV)又は熱により硬化して成型したものからなっている。このレンズ2の表面は非球面形状に形成されている。このように、レンズ2の表面を非球面形状に形成することにより、後に詳述するように、レンズ2の外周部において、入射光の入射角を小さくすることが可能になる。なお、本実施の形態では、レンズ2の原材料として高分子樹脂を用いているが、必ずしもこれに限らず、レンズ2の形状が簡易なものであれば、ガラスを成形したものを用いても良い。ガラスにより形成したレンズ2を用いれば、レンズ形状の変形による影響を考慮する必要がない。これにより、レンズ2は、有機・無機のいずれでも良い。
【0091】
また、レンズ2は、非球面側とは反対側、つまり光透過性基板1側に第1の平坦面としての平坦面2aを有しており、その平坦面2a上に第1の反射防止膜としての反射防止膜4が蒸着成膜法により成膜されている。
【0092】
上記反射防止膜4の成膜法は、蒸着成膜法に限らず、例えばスピンコート法又はスパッタ法等の方法を用いることも可能である。
【0093】
また、レンズ2と赤外波長カット膜3との間には、レンズ有効径Rよりも外周部にシール樹脂8が形成されている。この構成によって、レンズ2のレンズ有効径Rよりも内周側において、空気層5が形成される。ここで、上述したレンズ有効径Rとは、レンズ2の外径を指すのではなく、光線の通過する領域の最外周部を示している。
【0094】
また、シール樹脂8は、取り付け精度等も考慮してレンズ有効径Rよりも僅かに大きい範囲で形成すればよい。その結果、レンズ2を透過する光線に影響することはない。
【0095】
上記の構成により、入射光は、レンズ2、反射防止膜4、及び空気層5の順に透過してから赤外波長カット膜3に到達することになる。ここで、高分子樹脂の屈折率をn1とし、空気の屈折率をn0とすると、一般に、n1≫n0であり、レンズ2の屈折率n1と空気の屈折率n0とは大きく異なる。その結果、レンズ2と空気層5との境界で入射光の反射が生じ、入射光の光量の減少により、光の損失が発生する。そこで、本実施の形態では、反射防止膜4を設けることによって、入射光の反射を抑制し、かつ光の損失を減少している。
【0096】
すなわち、上記反射防止膜4では、可視光領域において、薄膜の表面で反射する光と薄膜を透過して奥で反射する光とを干渉させることによって、レンズ2表面からの反射を抑制することができるようになっている。
【0097】
なお、本実施の形態では、反射防止膜4は、第1の反射防止膜として、レンズ2における、非球面側とは反対側の平坦面2aに設けられているが、必ずしもこれに限らず、反射防止膜4を、第2の反射防止膜として、レンズ2の非球面側に設けることも可能である。
【0098】
これにより、レンズ2の外側の空気層とレンズ2との間における屈折率の違いに基づく反射を防止することができる。
【0099】
次に、上記シール樹脂8は、例えば、無機材料と有機材料との両方に接着性を有する光硬化性の接着剤からなっている。本実施の形態では、ガラスからなる光透過性基板1は無機材料であり、高分子樹脂からなるレンズ2は有機材料である。この二つの材料がシール樹脂8により接着される。その接着は、紫外(UV)光を照射することにより行われる。なお、レンズ2がガラスからなっている場合には、シール樹脂8は、無機材料に接着性を有する光硬化性の接着剤で足りる。
【0100】
また、シール樹脂8としては、レンズ有効径Rの領域を除いた矩形や円径形状のものや、矩形を有するものであり、レンズ有効径Rの外周に複数枚を貼り付ける等して設ける。
【0101】
ここで、シール樹脂8において重要なポイントは、厚さを均一的に保つことである。シール樹脂8の厚さが不均一であれば、光透過性基板1の平坦面とレンズ2の平坦面とが傾くことになる。その結果、図示しない光学系の光軸が傾き、レンズ2によるコマ収差が増大することになる。したがって、厚さを均一に保つことによって、光透過性基板1の平坦面とレンズ2の平坦面とを平行に保つことができる。なお、上記シール樹脂8は上述した光硬化性の接着剤に限定されるものではなく、例えば、シートの両面に接着剤が形成された両面テープ状のものを用いてもよい。
【0102】
本実施の形態の光学部材10の構成によれば、レンズ2のレンズ有効径Rの内周部において、レンズ2と光透過性基板1との間にシール樹脂8の厚みによる微小ギャップが生じる。この微小ギャップである空気層5によりレンズ2と光透過性基板1のレンズ有効径Rの内周部での直接の接触を防ぐことができる。
【0103】
ここで、空気層5には、大気中の水分が流入し、露が付く恐れがある。また、大気中の埃等が空気層5に混入すると、赤外波長カット膜3又は反射防止膜4の上に埃等が付着する恐れがある。そのため、レンズ2と光透過性基板1とを接着するシール樹脂8の接着部では完全に封止されることが好ましい。
【0104】
また、本実施の形態では、空気層5の存在によって、レンズ有効径Rの内周部においてはレンズ2と光透過性基板1とが直接的に接触しないことにより、レンズ2と光透過性基板1との摩擦による傷を防ぐと共に、樹脂の赤外波長カット膜3への浸食を防ぐ効果もある。ここで、レンズ2は高分子樹脂からなるものであり、光透過性基板1はガラス等の無機材料からなるものである。従来技術ではこれらの二つの材料が大面積において接着されていた。これらの材料の熱膨張係数は、一般的に一桁以上異なっている。この違いにより、温度が変化すると、接着面積が大きければ大きいほど、膨張応力が大きく発生するため、接着樹脂の剥がれや樹脂割れの現象が生じ易くなる。本実施の形態では、レンズ2のレンズ有効径Rの外周部にて接着することによって、空気層5を設けることになる。その結果、光透過性基板1とレンズ2との接着面積を小さくすることにより、接着樹脂の剥がれや樹脂割れの問題を解決することができる。また、シール樹脂8を軟質性のものを使用にすることによって、光透過性基板1とレンズ2との熱膨張によるずれに対応することが可能である。
【0105】
次に、上記構成の光学部材10を備えた本実施の形態の撮像デバイス20の構成について、図2に基づいて説明する。図2は、光学部材10を防塵カバーとして用いた撮像デバイス20の構成を示す断面図である。
【0106】
上記撮像デバイス20は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等に用いられ、光電変換を利用することによって光学結像の光学情報を電気信号に変換するイメージセンサである。撮像デバイス20は、セラミックや樹脂等の絶縁性の素材で構成される凹型のパッケージ7を有し、このパッケージ7は後述する光学系において集光された光が入射する開口部を備えている。パッケージ7の内部の底面中央部分には、CCD或いはCMOS等の固体撮像素子6が接着剤で固定されている。この固体撮像素子6はボンディングワイヤ(図示せず)によって外側の電極と電気的に接続されている。なお、図示しないが、その電極はパッケージ7を貫通して外部と接続されている。
【0107】
本実施の形態では、光学部材10が、レンズ2を外側に配置した状態で、パッケージ7の開口部に装着される。その結果、光学部材10が防塵カバーとして開口部を閉塞し、パッケージ7は密封され、ゴミ等の浸入が防止される。
【0108】
次に、前述した本実施の形態のレンズ2の表面形状とその光路とについて、図3に基づいて、詳述する。図3は、本実施の形態のレンズ2を光学系に適用した図である。ここで、レンズ2の説明を詳細にするため、レンズ2と固体撮像素子6との関係を強調した構成としている。
【0109】
図3に示すように、まず、アパチャー21を通過した光線は、第1レンズ群22及び第2レンズ群23を通過し、光学部材10に入射する。入射光線は、光学部材10に設けられたレンズ2で屈折された後、反射防止膜4、空気層5、赤外波長カット膜3、及び光透過性基板1の順に透過する。最後に、光線は固体撮像素子6上で結像される。ここで、光学系の光軸を通過する光線は、レンズ2の中心部を通って赤外波長カット膜3に対して入射角0°で入射した後、固体撮像素子6に入射する。一方、固体撮像素子6の端部に入射する光線は、レンズ2により光軸側へ集束するように屈折され、レンズ2が無い場合の入射角よりも小さい入射角で、赤外波長カット膜3に入射し、その赤外波長カット膜3を通過した光が固体撮像素子6に入射する。
【0110】
ここで、本実施の形態のレンズ2は、図1に示すように、レンズ2の外側面は、非球面形状に形成されている。この非球面形状は、例えば、レンズ有効径Rの内周部において、光軸中心部とレンズ有効径Rの外周との間に最大厚みを持っており、光軸中心部の厚みはその最大厚みよりも小さくなっている。
【0111】
上記非球面形状のレンズ2では、光軸中心部において、入射光の入射角は小さいため、光軸中心部でのレンズ2が凹状の形であるとしても、光軸中心部付近の入射する赤外光を充分にカットすることができる。また、レンズ有効径Rの外周と光軸中心部との間に最大厚みを持っていることによって、レンズ有効径Rよりも外周部の赤外波長カット膜3に入射する入射光の入射角を小さくすることができる。
【0112】
この結果、従来ではレンズへの入射角が大きいため、赤外光がカットされず赤色の光をカットされてしまうことに起因する色ムラが生じていたが、本実施の形態のレンズ2では、赤外波長カット膜3への光の入射角を小さくできるため、レンズ有効径Rよりも外周部の赤外光をカットする性能が向上できる。その結果、従来のレンズ有効径Rよりも外周部での入射角が大きいことにより赤色の光がカットされることに起因する色ムラを抑制し、光学性能を向上することができる。この結果、撮像デバイス20の光学特性を向上することができる。
【0113】
また、上述したように、レンズ2は入射角の低減レンズとして機能するので、固体撮像素子6の端部側へ行くに伴って入射角が大きくなることを抑制できる。この結果、赤外波長カット膜3の入射角度依存性を抑制することができ、固体撮像素子6によって変換される画像の中心色調と画像の周辺色調との差を低減し、画像の色調を均一化することができる。
【0114】
また、レンズ2は赤外波長カット膜3に対する入射角を低減できるだけでなく、固体撮像素子6の端部側へ行くに伴って減少する光量の変化を抑制できる。この結果、固体撮像素子6によって変換される画像の中心と周辺との光量の差も低減し、画像の明るさを均一化することができ、高性能、小型の撮像デバイス20を提供することができる。
【0115】
また、レンズ2を非球面化することにより、各種の収差が良好に補正できるため、ディストーション等の各種収差が抑制され、良好な画像が得られる。したがって、高性能な撮像デバイス20を提供することができる。
【0116】
なお、本発明においては、必ずしも上記形状の非球面形状に限定されない。例えば、図4に示すように、光軸中心部に最大厚みを有したり、レンズ有効径Rの外周とレンズ最外周との間に最小厚みを有する非球面形状となるように形成されたレンズ2Sとすることも可能である。これによっても、同様の効果を奏すると共に、レンズ2周辺の機械的な強度を確保して、レンズ2の変形を防止したり、接着領域を確保するといった効果も奏する。
【0117】
なお、ここで示した光学系は、3枚のレンズ22・23・2から構成されているが、必要に応じて適宜、レンズ枚数を決定すればよい。本実施の形態で示す平面を有するレンズ2を用いれば、固体撮像素子6の表面に近接させてレンズ2を配置することが可能であり、通常のレンズ枚数を有する光学系と比べて光学系の小型化・薄型化をすることができる。
【0118】
次に、本実施の形態の上記レンズ2の作製法について、図5(a)(b)に基づいて説明する。図5(a)(b)は、レンズ2の作製方法を示す図であって、図5(a)はレンズシート25の平面図であり、図5(b)はレンズシート25の側面図である。
【0119】
図5(a)(b)に示すように、本実施の形態では、例えば、レンズ2の材料である高分子樹脂はスタンパーによりアレイ状のレンズシート25に成型される。レンズシート25は複数のレンズ2からなり、平面状に形成されている。レンズシート25は、成型後、ダイシングされ、個々のレンズ2に分割される。なお、上記の説明では、高分子樹脂をシート状へ成型する方法についてはスタンパーを用いているが、本発明においては必ずしもこの方法に限定されるものでなく、切削を用いた形成方法、又はグレースケールマスクによって露光する形成方法でもよい。
【0120】
次いで、レンズ2を成型したレンズシート25から、ダイシングによって個々のレンズ2を作製する。その後に、前記シール樹脂8により、光透過性基板1と接着させる。
【0121】
ここで、レンズシート25は成型された後、すぐにダイシングしなくてもよい。以下にその作製法について、図6(a)(b)を用いて説明する。図6(a)(b)は、レンズ2の他の作製方法を示す図であり、図6(a)はレンズシート26及び光透過性基板シート11を示す平面図、図6(b)はレンズシート26と光透過性基板シート11との貼り付けを示す側面図である。
【0122】
図6(a)(b)に示すように、レンズ2の材料である高分子樹脂はスタンパーによりレンズシート26に成型される。その後、レンズシート26を、個々のレンズサイズにダイシングせずに、このレンズシート26と同じ大きさの光透過性基板シート11をレンズシート26の下側に置く。すなわち、光透過性基板シート11はレンズサイズにダイシングされず、レンズシート26に接着され、レンズシート26と光透過性基板シート11とを一緒にダイシングする。これにより、レンズ2と光透過性基板シート11との一体物が個々に切り離される。
【0123】
上記の作製方法によれば、レンズシート26と光透過性基板シート11とを一緒にダイシングすることによって、ダイシング工程を削減することが可能となる。つまり、上記アレイ状に製造することによって、一度に大量のレンズを作製することができる。この結果、製造時間の短縮、製造コストの削減を行うことができ、迅速に安価な光学部材を提供することができる。
【0124】
また、上記のようにアレイ状のレンズ2と光透過性基板シート11との切断を同時に行うことができるため、切断工程を減らすことができると共に、さらにレンズ2と光透過性基板シート11とのずれを生じることなく製造することができ、安価で高品質の光学部材を提供することができる。
【0125】
なお、上記の説明では、アレイ状のレンズシート25にレンズ2を成型したが、必ずしもこれに限らず、例えば、図7(a)(b)に示すように、1列のシート状にレンズ2を作製することも可能である。図7(a)はレンズシート列27及び光透過性基板シート列12を示す平面図であり、図7(b)はレンズシート列27と光透過性基板シート列12との貼り付けを示す側面図である。
【0126】
上述のように、レンズシート列27を1列状に製造することによって、一度に大量のレンズ2を作製することができる。この結果、製造時間の短縮、製造コストの削減を行うことができ、迅速に安価な光学部材を提供することができる。
【0127】
また、上記の作製方法によれば、1列状のレンズ2及び光透過性基板シート列12の切断を同時に行うことができるため、切断工程を減らすことができると共に、さらに、レンズ2と光透過性基板シート列12とのずれを生じることなく製造することが可能になり、安価で高品質の光学部材10を提供することができる。
【0128】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図8に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0129】
なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
図8は、本実施の形態の光学部材30の概略的な構成を示す断面図である。
【0131】
図8に示すように、本実施の形態の光学部材30は、レンズ32の非球面の反対側面である平坦面(第1の平坦面)のレンズ有効径Rの外周部において、赤外波長カット膜3側に突き出た外周突起部としての微小突起部39を有する高分子樹脂のレンズ32と、レンズ32の外周部にシール樹脂38とを備えている。微小突起部39は、光透過性基板1上の赤外波長カット膜3に当接している。また、突き出た微小突起部39と赤外波長カット膜3とは、微小突起部39の外側からシール樹脂38により固定される。
【0132】
すなわち、前記実施の形態1のレンズ2では、非球面の反対面におけるレンズ有効径Rよりも外周部が平坦面であったことに対して、本実施の形態では、レンズ32の非球面の反対面は、レンズ有効径Rの外周部に突き出た微小突起部39を有している。この構成によって、レンズ32と光透過性基板1とに囲まれた空気層5が形成される。
【0133】
上記レンズ32は、高分子樹脂を射出成型法で成型することにより作製され、一面が非球面形状であり、その反対面には、平坦部と突き出た微小突起部39が有する。したがって、このレンズ有効径Rの内側は平坦部である。また、図8に示すように、レンズ32の非球面形状は、実施の形態1のレンズ2の非球面と同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0134】
上記の構成によれば、レンズ32は、赤外波長カット膜3に対して入射角が低減されるため、レンズ有効径Rよりも外周部の赤外光をカットする性能を向上することができる。その結果、赤色の光がカットされることに起因する色ムラを抑制することができる。
【0135】
また、レンズ32は非球面の反対側に平坦面(第1の平坦面)を有している。そして、この平坦面の上に、該平坦面を覆うように反射防止膜4が蒸着により形成される。
【0136】
ここで、反射防止膜4を形成するときの蒸着法においてマスクを用いていない場合には、平坦部以外のレンズ有効径Rの外周部、すなわち微小突起部39にも成膜される。しかしながら、レンズ有効径Rの外周部に成膜された反射防止膜4については、反射防止膜4の厚みが無視できるほど薄いため、反射防止膜4の厚みにより空気層5の厚みが変化することや、光透過性基板1の平坦部とレンズ32の平坦面との平行度が変化させることはないと考えられる。
【0137】
このように、本実施の形態では、レンズ32の微小突起部39が設けられているため、光透過性基板1とレンズ32との間に、微小ギャップである空気層5が形成される。微小突起部39は、レンズ32の一部であり、突起の高さを精密に制御することが可能である。このため、実施の形態1で用いたシール樹脂8よりも、さらに、その厚みの制御が簡単になるという効果がある。したがって、レンズ32の平坦面と光透過性基板1の平坦面との間に傾きが生じ難くなる。つまり、レンズ32と光透過性基板1との平行度を保てるようになる。その結果、光軸のズレは生じ難くなることにより、光学系の信頼性が高めることができる。
【0138】
また、レンズ32に微小突起部39を設けることにより、光透過性基板1とレンズ32との接着面積を小さくするため、樹脂からなるレンズ32とガラスからなる光透過性基板1との線膨張の違いに起因する剥がれを防止することができる。また、上記のように、レンズ有効径Rの内周においては、シール樹脂38と光透過性基板1上の赤外波長カット膜3とが接触しないため、樹脂の接着剤に起因する赤外波長カット膜3へ傷や浸食によるダメージを抑制し、耐久性の高い光学部材10を提供することができる。
【0139】
さらに、レンズ32と光透過性基板1との接着は、シール樹脂38により行われる。シール樹脂38は、無機材料及び有機材料に接着性を有する光硬化性の接着剤である。空気層5には、大気中の水分が流入することによって、露が付く恐れがある。また、大気中の埃等が空気層5に混入されると、赤外波長カット膜3又は反射防止膜4の上に埃等が付着する可能性がある。したがって、埃の付着や結露を防ぐため、シール樹脂38により、レンズ32と光透過性基板1とが完全に封止されることが好ましい。
【0140】
また、本実施の形態の光学部材30は、上記実施の形態1の光学部材10と同様に、撮像素子パッケージの防塵カバーとして使用される。
【0141】
本実施の形態では、レンズ32に微小突起部39を設けた構成としたが、レンズ材料としてガラスを用いる場合や、レンズサイズが小さいために微小突起部39を成型により形成できない場合には、微小突起部39に代わって、金属又は樹脂性の図示しないスペーサを用いても構わない。スペーサを挟んで光透過性基板1とレンズ32とを配置した後、スペーサの厚みに影響しないように周辺部をシール樹脂38により固定すれば同様の効果を得ることができる。さらに、スペーサとして黒色等の遮光性を有するものを用いることによって、図3に示した光学系を有するカメラモジュール内で発生するフレアやゴーストの原因となる不要光の抑制を行うことができる。
【0142】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0143】
図9は、本実施の形態の光学部材40における概略的構成を示す断面図である。
【0144】
本実施の形態の光学部材40は、実施の形態1の光学部材10に比べると、反射防止膜4がなく、レンズ2と赤外波長カット膜3とが接触したものからなっている。ただし、両者の接触面での接着は行っておらず、レンズ有効径Rの外周部であるレンズ2の外面側に設けられたシール樹脂18にて両者が固定されている。
【0145】
すなわち、実施の形態1において説明したように、図1の光学部材10においてはレンズ2と赤外波長カット膜3とを固定するために、レンズ2と赤外波長カット膜3との間にシール樹脂8が用いられている。その結果、空気層5ができるので、必然的に、レンズ2と空気層5との境界で入射光の反射が生じ、入射光の光量の減少により、光の損失が発生することになっていた。そこで、実施の形態1では、反射防止膜4を設けることによって、入射光の反射を抑制でき、かつ光の損失を減少することができるものとなっていた。
【0146】
これに対して、本実施の形態では、レンズ2と赤外波長カット膜3とが接触したものからなっていると共に、シール樹脂18をレンズ2の外側に設けて、レンズ2と赤外波長カット膜3とを固定している。
【0147】
この構成によれば、レンズ2と赤外波長カット膜3との間に空気層が形成されず、かつレンズ2と赤外波長カット膜3とを接触させることによって、光透過性基板1の屈折率n2とレンズ2の屈折率n1との関係は、n1≒n2(少し異なる程度)が成り立つので、入射光が殆ど反射されない。したがって、反射防止膜を省略することができる。
【0148】
この結果、部品点数を削減することができるようになる。
【0149】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について図10〜図13を用いて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜3と同じである。
【0150】
図10は、本実施の形態の光学部材50を備えた撮像デバイス70の概略的構成を示す断面図である。
【0151】
本実施の形態の撮像デバイス70は固体撮像素子56を含んでいる。本実施の形態では、固体撮像素子56の上にスペーサ57を配置し、さらにその上に光学部材50に含まれる光透過性基板51を配置している。この構成により実施の形態1で述べたようなパッケージ7を用いることなく、固体撮像素子56と光透過性基板51とのスペーシングを行うことができる。また、スペーサ57により固体撮像素子56と光透過性基板51との間隔の制御ができるため、光透過性基板51と固体撮像素子56との距離を縮めることができ、省スペースな撮像デバイス70を提供することができる。
【0152】
本実施の形態では、上記光透過性基板51と固体撮像素子56とを大気中の埃や湿気から保護するため、熱可塑性の樹脂55を用いて周囲を封止する。したがって、樹脂55は、光透過性基板51の側壁51bと接している。
【0153】
この際、金型を用いることによって、樹脂55を目標の形に成形することができる。ここで、樹脂55のレンズ52側の面は第5の平坦面としての平坦面55aにすることが好ましい。この平坦面55aを、光学系を組み立て調整する際の基準面である光透過性基板51の第4の平坦面としての平坦面51aと平行にすれば、同様に基準面とすることができる。また、レンズ52を接着する面として使用するためにも平行かつ平坦面であることが好ましい。
【0154】
ここで、樹脂55の平坦面55aは、光透過性基板51の平坦面51aと最大同一平面上にまで存在することができるが、できれば同一平面上にないこと、つまり平坦面55aが平坦面51aよりも低いことが好ましい。仮に、同一平面上にあれば、樹脂55を成型する際に、樹脂55が光透過性基板51の平坦面51a上に回り込むことになり撮像デバイス70の歩留まりが極端に低下することになる。
【0155】
上記光透過性基板51の平坦面51aには赤外波長カット膜53が形成されており、さらにその上側にはレンズ52が設けられている。
【0156】
上記レンズ52は、赤外波長カット膜53側に第3の平坦面としての平坦面52aを有している。また、レンズ52のレンズ有効径Dは光透過性基板51の外形寸法と同じかそれ以下であり、有効光束は全て光透過性基板51を通過して固体撮像素子56で光電変換される。レンズ52の外径は、光透過性基板51の外形寸法よりも大きく、光透過性基板51からはみ出る大きさとなっている。
【0157】
ここで、レンズ52は、基準面である平坦面52aに設けられた赤外波長カット膜53の一部の面と接触して、傾きが調整される。また、レンズ52は、光線入射方向から図示しないカメラで観測されながら面内方向の位置調整が行われる。以上の調整により、レンズ52の位置調整、及び傾き調整が終了する。
【0158】
また、レンズ52はレンズ有効径Dよりも外側で樹脂55の平坦面55aと接着剤としてのシール樹脂58により固定される。このとき、レンズ52と赤外波長カット膜53とは当接しているが、接着はされていない。このため、樹脂からなるレンズとガラスからなる赤外波長カット膜53との固定による線膨張の違いに起因するレンズ52の剥がれを抑制することができる。加えて、レンズ52、シール樹脂58及び樹脂55は全て樹脂であるため、線膨張係数が類似しており、ガラスからなる赤外波長カット膜53上に形成する場合に比べて、レンズ剥がれが生じ難い。また、樹脂同士は接着性及び密着性がよいので、レンズ剥がれを防止することができる。
【0159】
図11にこの撮像デバイス70の平面図を示す。簡略化のためレンズ52は外形のみ図示している。光透過性基板51は、長方形であり四隅は全てレンズ52に覆われている。樹脂55は上面からみると正方形であり、レンズ52よりも大きい。
【0160】
ここで、レンズ52は領域52bにおいて上記シール樹脂58によって固定されている。すなわち、光透過性基板51に当接する面以外の、レンズ52の平坦面52aと樹脂55との段差によって生じた隙間は全てシール樹脂58によって埋められる。これにより、隙間からのレンズ割れ及びシール樹脂割れをなくすことができる。
【0161】
上記撮像デバイス70の変形例について説明する。図14は撮像デバイス70の変形例である撮像デバイス70aを示す平面図である。
【0162】
上記撮像デバイス70aではレンズ62(外形のみ図示)が小さく形成されており、外径の一部が光透過性基板51に重なり、一部が上記シール樹脂58と重なっている。このような状態において、レンズ62は光透過性基板51側に前記平坦面52aを有し、その平坦面52aと光透過性基板51上に設けられた赤外波長カット膜53とは当接している。また、当接していない部分、つまり領域62bで示す部分についてレンズ62と樹脂55との間に隙間が生じている。したがって、この領域62bにシール樹脂58を埋めることによって、レンズ62と樹脂55との接着を行っている。
【0163】
このように、レンズ62の外径を小さくすることにより、レンズ62の原料である樹脂の量を削減することができ、より低コストな撮像デバイス70aを提供することができる。
【0164】
ところで、このような図11及び図12に示す光透過性基板51の平坦面51aと樹脂55の平坦面55aとが同一平面上になく、レンズ52・62の外径が光透過性基板51よりも大きい場合、或いは部分的に大きい場合には、レンズ52・62を形成するための樹脂を光透過性基板51上で直接硬化させることができない。
【0165】
そこで、本実施の形態では、樹脂からなるレンズ52・62を以下の方法で形成することが考えられる。このレンズ52・62の製造方法について、図12及び図13(a)(b)に基づいて説明する。図13(a)は図12のA−A’断面を示すものであり、図13(b)は図12のB−B’断面を示すものである。
【0166】
レンズ52・62を形成するための樹脂は、図13(a)(b)に示すように、光硬化性の光硬化樹脂71であり、紫外光を照射して硬化させる。ガラス型72は、例えば、SCHOTT GLAS社製の商品名「BK7」等の硼珪酸ガラスや石英等の光透過性の無機物質からなる金型であり、紫外線を透過する。ガラス型72には光硬化樹脂71が金型の基準面72aまで注入されており、光硬化樹脂71とガラス型72の基準面72aとは同一面上になっている。ガラス型72の基準面72aと光透過性基板51とを接触させて位置合わせした後、ガラス型72を通して紙面下方から紫外光を照射させ、光硬化樹脂71を硬化させることによって、光硬化樹脂71からなるレンズ52・62を形成する。
【0167】
しかしながら、実際には、この工程では、光透過性基板51上に光硬化樹脂71からなるレンズ52・62の形成が可能でない。すなわち、断面A−A’においては、ガラス型72の基準面72aと光透過性基板51(正確には前記赤外波長カット膜53)とが外周部で密着しているが、断面B−B’においては、ガラス型72の径が光透過性基板51よりも大きいため、光硬化樹脂71と樹脂55との微小な間隙73が生じている。
【0168】
このとき、光硬化樹脂71は、まだ硬化しておらず、液体状態のため流動し、微少である間隙73に毛細管現象により移動する。このため、ガラス型72内では、移動した光硬化樹脂71分に相当する空気が流入し、レンズ形状を形成することができないという課題が生じる。
【0169】
すなわち、光透過性基板51の平坦面51aと樹脂55の平坦面55aとが同一平面上になく、レンズ52・62の外形が光透過性基板51よりも大きい場合には、光硬化樹脂71を直接形成することはできない。したがって、本実施の形態では、予めレンズ52・62を別途に形成した後、光透過性基板51及び樹脂55の平坦面55aにレンズ52・62を接着している。
【0170】
このように、本実施の形態の光学部材50では、光透過性基板51上に赤外波長カット膜53が設けられ、さらにその上側に、赤外波長カット膜53側に平坦面52aを有するレンズ52が設けられ、かつ光透過性基板51の側壁51bと接するように樹脂55が設けられていると共に、レンズ52は、レンズ有効径Dよりも外周部で樹脂55と固定されている。
【0171】
これにより、レンズ52は、レンズ有効径D内では例えばガラスからなる赤外波長カット膜53と固定されていないことになる。したがって、例えば樹脂55からなるレンズ52を例えばガラスからなる赤外波長カット膜53上で直接形成したり、例えば樹脂からなるレンズ52を例えばガラスからなる赤外波長カット膜53に貼り付けたりした場合に生じたレンズ52と赤外波長カット膜53との線膨張の違いによる剥がれを抑制することができる(剥がれは生じない)。
【0172】
また、上記の構成によれば、レンズ52はレンズ有効径Dよりも外側で樹脂55と接着される。このため、赤外波長カット膜53とレンズ52とを接着する場合とを比較すると、光透過性基板51から赤外波長カット膜53が剥がれることにより、レンズ52が同時に光透過性基板51から剥がれるという課題を解決することができる。
【0173】
また、本実施の形態の光学部材50では、光透過性基板51は、レンズ52側に平坦面51aを有する一方、赤外波長カット膜53は、この光透過性基板51の平坦面51aに設けられていることが好ましい。
【0174】
これにより、光透過性基板51の平坦面51a上に赤外波長カット膜53を形成することによって、光透過性基板51の3次元形状の表面に赤外波長カット膜53を形成するよりも製造が容易になり、より低価格及び高性能の光学部材50を提供することができる。
【0175】
また、本実施の形態の光学部材50では、レンズ52における、該レンズ52の光軸方向から見たときの平面形状は、光透過性基板51の平面形状及び樹脂55の一部の平面形状を含んでいることが好ましい。
【0176】
また、本実施の形態の光学部材50では、レンズ62における、該レンズ62の光軸方向から見たときの平面形状は、光透過性基板51の一部の平面形状及び前記樹脂の一部の平面形状を含んでいることが好ましい。
【0177】
これにより、レンズ52は完全に光透過性基板51上に形成され、レンズ62は概ね光透過性基板51上に形成される。このため、レンズ52・62の光学的性能により光線を屈折させ、光透過性基板51を通して固体撮像素子56に光線を導くことができる。加えて、光透過性基板51上以外で、レンズ52・62と樹脂55とを接着できる接着箇所を作ることができる。この結果、光透過性基板51に接着する場合と比較して、レンズ52・62の接着力を高めることができ、より信頼性の高い光学部材50を提供することができる。
【0178】
また、本実施の形態の光学部材50では、樹脂55は、レンズ52・62側に光透過性基板51の平坦面51aと平行な平坦面55aを有していると共に、レンズ52・62は、樹脂55の平坦面55aと接着剤により固定されていることが好ましい。
【0179】
これにより、光透過性基板51の平坦面51aを基準として樹脂55を成型することができ、樹脂55の平坦面55aを光学系の基準とすることができる。さらに、52・62を平坦面55aに取り付けることによって、レンズ52・62に対して傾きの少ない調整を行うことができ、光学系の信頼度を高めることができる。
【0180】
また、本実施の形態の光学部材50では、樹脂55の平坦面55aは、光透過性基板51の平坦面51aと同一平面上に存在するか、又は該平坦面51aよりもレンズ52・62側には突出していないことが好ましい。
【0181】
この構成では、光透過性基板51の周りを樹脂55が取り囲むことになる。これにより、レンズ有効径D内には光透過性基板51が位置する一方、レンズ有効径D外は樹脂55が位置する。したがって、レンズ有効径D外でレンズ52・62と樹脂55とが接着されることにより、光透過性基板51におけるレンズ52・62に対する剥がれを抑制した光学部材50を提供することができる。
【0182】
また、本実施の形態の光学部材50では、光透過性基板51の平坦面51aは、樹脂55の平坦面55aよりもレンズ52・62の平坦面52a側に配設されていることが好ましい。
【0183】
この構成では、樹脂55の平坦面55aを光透過性基板51の平坦面51aよりも一段下げることになる。これにより、光透過性基板51の周辺を樹脂55で埋める場合に、樹脂55が光透過性基板51の平坦面51aの表面に回り込むという課題を解決することができる。
【0184】
また、本実施の形態の撮像デバイス70・70aは、上記の光学部材50を備えた撮像デバイスであって、上記光学部材50における光透過性基板51の、レンズ52・62とは反対側には、固体撮像素子56が設けられていると共に、固体撮像素子56は、樹脂55に封止されている。
【0185】
この結果、レンズ52・62を直接形成した70・70aを形成することができ、薄型小型の70・70aを提供することができる。
【0186】
〔実施の形態5〕
本発明のさらに他の実施の形態について図14を用いて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜4と同じである。
【0187】
図14は、本実施の形態の光学部材80を備えた撮像デバイス90の概略的構成を示す断面図である。
【0188】
撮像デバイス90は、レンズ82の非球面の反対側面に第3の平坦面としての平坦面82aを有すると共に、レンズ有効径Dの外周部において、樹脂55側に突き出た外周突起部としての微小突起部82bを有する樹脂のレンズ82と、このレンズ82の外周部に接着剤としてのシール樹脂88とを備えている。
【0189】
上記微小突起部82bは、樹脂55の平坦面55aに当接している。また、突き出た微小突起部82bと樹脂55の平坦面55aとは、微小突起部82bの外側からシール樹脂88により固定される。
【0190】
すなわち、前記実施の形態4のレンズ52・62では、非球面の反対面におけるレンズ有効径Dよりも外周部が平坦面52aであったことに対して、本実施の形態では、レンズ82の非球面の反対面は、レンズ有効径Dの外周部に突き出た微小突起部82bを有している。この構成によって、レンズ82と光透過性基板51とに囲まれた空気層85が形成される。
【0191】
微小突起部82bは、レンズ82の一部であり、突起の高さを精密に制御することが可能である。このため、レンズ82の厚みの制御が簡単になるという効果があり、光学系の信頼性が高めることができる。
【0192】
また、レンズ82の平坦面82aには、第3の反射防止膜としての反射防止膜84が設けられている。これにより、レンズ82と空気層85との屈折率差によって起こる入射光の反射を抑制することができる。したがって、フレア光の少ない光学部材80及びそれを備えた撮像デバイス90を提供することができる。
【0193】
また、空気層85は、レンズ82の平坦面82aに設けられた反射防止膜84と、光透過性基板51の平坦面51aに設けられた赤外波長カット膜53と、レンズ82の微小突起部82bとシール樹脂88とによって密閉される。この結果、空気層85内への埃の侵入を防ぎ、大気中の湿気成分由来の露付きを防止することができる。
【0194】
このように、本実施の形態の光学部材80では、レンズ82におけるレンズ有効径Dよりも外周部には、樹脂55の平坦面55a側に突出し、かつレンズ82の平坦面82aと光透過性基板51の平坦面51aとの間に空気層85を設ける微小突起部82bが平坦面55aに当接するように形成されている。
【0195】
したがって、光軸のずれが生じ難くなることにより、光学系の信頼性を高めることができる。
【0196】
さらに、空気層85を設けるので、レンズ82と光透過性基板51とが直接触れ合わず、線膨張の違いによる光透過性基板51のレンズ82からの剥がれや、樹脂55による赤外波長カット膜53への損傷を抑制することができる。
【0197】
また、本実施の形態の光学部材80では、レンズ82の平坦面82aには、反射防止膜84が設けられていることが好ましい。
【0198】
これにより、レンズ82と空気層85との屈折率の違いによるフレネル反射を抑制することができ、結果として撮像系として観測されるフレア光を抑制することができる。
【0199】
また、本実施の形態の光学部材80では、空気層85は、レンズ82の平坦面82aに設けられた反射防止膜84と、微小突起部82bと、光透過性基板51上に設けられた赤外波長カット膜53と、樹脂55の平坦面55aとによって封止されている。
【0200】
これにより、大気中の湿気等に由来する水の浸入を防止することができ、レンズ82への露付きを抑制することができるため、耐環境性を有する光学部材80を提供することができる。
【0201】
また、本実施の形態の撮像デバイス90は、上記光学部材80を備えた撮像デバイスであって、光学部材80における光透過性基板51の、レンズ82とは反対側には、固体撮像素子56が設けられていると共に、固体撮像素子56は、樹脂55に封止されている。
【0202】
それゆえ、レンズ82を直接形成した撮像デバイス90を形成することができ、薄型小型の撮像デバイス90を提供することができる。
【0203】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明は、無機材料からなる光透過性基板上にガラスからなる赤外波長カット膜が設けられ、さらにその上に樹脂からなるレンズが設けられている光学部材及びそれを備えた撮像デバイスに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】本発明における光学部材の実施の一形態を示すものであり、光学部材の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記光学部材を備えた撮像素子デバイスの概略構成を示す断面図である。
【図3】上記撮像素子デバイスの光学系における光路を示す断面図である。
【図4】上記光学部材におけるレンズの他の非球面形状を示す断面図である。
【図5】上記レンズの作製方法を示すものであって、(a)はレンズシートを示す平面図であり、(b)はレンズシートを示す側面図である。
【図6】上記レンズの他の作製方法を示すものであって、(a)はレンズシート及び光透過性基板シートを示す平面図であり、(b)はレンズシートと光透過性基板シートとを貼り付けたものを示す側面図である。
【図7】上記レンズの他の作製方法を示すものであって、(a)はレンズシート列及び光透過性基板シート列を示す平面図であり、(b)はレンズシート列と光透過性基板シート列とを貼り付けたものを示す側面図である。
【図8】本発明における光学部材の他の実施の形態を示すものであり、光学部材の概略的な構成を示す断面図である。
【図9】本発明における光学部材のさらに他の実施の形態を示すものであり、光学部材の概略的な構成を示す断面図である。
【図10】本発明における光学部材及びそれを備えた撮像デバイスのさらに他の実施の形態を示すものであり、光学部材及びそれを備えた撮像デバイスの概略的な構成を示す断面図である。
【図11】上記光学部材及びそれを備えた撮像デバイスの概略的な構成を示す平面図である。
【図12】上記光学部材及びそれを備えた撮像デバイスの変形例の概略的な構成を示す平面図である。
【図13】(a)は図12のA−A’線断面図であり、(b)は図12のB−B’線断面図である。
【図14】本発明における光学部材及びそれを備えた撮像デバイスのさらに他の実施の形態を示すものであり、光学部材及びそれを備えた撮像デバイスの概略的な構成を示す断面図である。
【図15】従来例を示すものであり、撮像デバイスの概略的な構成を示す断面図である。
【図16】他の従来例を示すものであり、撮像デバイスの概略的な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0206】
1 光透過性基板
1a 平坦面(第2の平坦面)
2 レンズ
2a 平坦面(第1の平坦面)
2S レンズ
3 赤外波長カット膜
4 反射防止膜(第1の反射防止膜)
5 空気層
6 固体撮像素子
7 パッケージ
8 シール樹脂(接着材)
10 光学部材
11 光透過性基板シート
12 光透過性基板シート列
18 シール樹脂
20 撮像素子デバイス
21 アパチャー
22 第1レンズ群
23 第2レンズ群
25・26 レンズシート
27 レンズシート列
30 光学部材
32 レンズ
38 シール樹脂
39 微小突起部(外周突起部)
40 光学部材
50 光学部材
51 光透過性基板
51a 平坦面(第4の平坦面)
51b 側壁
52 レンズ
52a 平坦面(第3の平坦面)
52b 領域
55 樹脂
53 赤外波長カット膜
55a 平坦面(第5の平坦面)
56 固体撮像素子
57 スペーサ
58 シール樹脂(接着剤)
62 レンズ
62b 領域
70 撮像デバイス
70a 撮像デバイス
71 光硬化樹脂
72 ガラス型
72a 基準面
73 間隙
80 光学部材
82 レンズ
82a 平坦面(第3の平坦面)
82b 微小突起部(外周突起部)
84 反射防止膜(第3の反射防止膜)
85 空気層
88 シール樹脂(接着剤)
D レンズ有効径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板上に赤外波長カット膜が設けられ、さらにその上側に、赤外波長カット膜側に第1の平坦面を有するレンズが設けられていると共に、
上記レンズは、レンズ有効径よりも外周部で上記光透過性基板と固定されていることを特徴とする光学部材。
【請求項2】
前記光透過性基板は、前記レンズ側に第2の平坦面を有する一方、
前記赤外波長カット膜は、上記光透過性基板の第2の平坦面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
【請求項3】
前記レンズと前記赤外波長カット膜との間には第1の反射防止膜が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
【請求項4】
前記第1の反射防止膜は、前記レンズの第1の平坦面に設けられていることを特徴とする請求項3記載の光学部材。
【請求項5】
前記第1の反射防止膜は、空気層を介して前記赤外波長カット膜と対向していることを特徴とする請求項3又は4記載の光学部材。
【請求項6】
前記空気層は、前記赤外波長カット膜と、前記第1の反射防止膜と、上記赤外波長カット膜と前記レンズとを固定する接着材とによって封止されていることを特徴とする請求項5記載の光学部材。
【請求項7】
前記レンズにおける有効径よりも外周部には、前記赤外波長カット膜側に突出し、かつ該赤外波長カット膜と前記第1の反射防止膜との間に空気層を設ける外周突起部が該赤外波長カット膜に当接するように形成されていることを特徴とする請求項6記載の光学部材。
【請求項8】
前記空気層は、前記赤外波長カット膜と、前記第1の反射防止膜と、前記外周突起部と、上記外周突起部と前記第1の反射防止膜とを固定する接着剤とによって封止されていることを特徴とする請求項7記載の光学部材。
【請求項9】
前記レンズは、前記光透過性基板への対向面とは反対側面の断面が、非球面形状となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項10】
前記レンズは、前記光透過性基板への対向面とは反対側面の断面が、光軸中心部とレンズ有効径外周との間に最大厚みを有する非球面形状となるように形成されていることを特徴とする請求項9記載の光学部材。
【請求項11】
前記レンズは、前記光透過性基板への対向面とは反対側面の断面が、光軸中心部に最大値を有し、かつ、レンズ有効径外周とレンズ最外周との間に最小厚みを有する非球面形状となるように形成されていることを特徴とする請求項9記載の光学部材。
【請求項12】
前記レンズには、前記光透過性基板への対向面とは反対側面に、第2の反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項13】
前記レンズは、複数個が1列のシート状に製造されたものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項14】
前記製造された1列のシート状のレンズが光透過性基板上に設けられた後、個々に切り離されていることを特徴とする請求項13に記載の光学部材。
【請求項15】
前記レンズは、複数個がアレイ状に製造されたものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項16】
前記製造されたアレイ状のレンズが前記光透過性基板上に設けられた後、個々に切り離されていることを特徴とする請求項15に記載の光学部材。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の光学部材を備えた撮像デバイスであって、
上記光学部材における前記光透過性基板の、前記レンズとは反対側には、上記光透過性基板側に開口部を有するパッケージが設けられていると共に、
上記パッケージ内には、該パッケージに固定された固体撮像素子と、上記固体撮像素子を覆い、かつ上記開口部を閉塞する光透過性の防塵カバーとが設けられていることを特徴とする撮像デバイス。
【請求項18】
光透過性基板上に赤外波長カット膜が設けられ、さらにその上側に、赤外波長カット膜側に第3の平坦面を有するレンズが設けられ、かつ上記光透過性基板の側壁と接するように樹脂が設けられていると共に、
上記レンズは、レンズ有効径よりも外周部で上記樹脂と固定されていることを特徴とする光学部材。
【請求項19】
前記光透過性基板は、前記レンズ側に第4の平坦面を有する一方、
前記赤外波長カット膜は、上記光透過性基板の第4の平坦面に設けられていることを特徴とする請求項18記載の光学部材。
【請求項20】
前記レンズにおける、該レンズの光軸方向から見たときの平面形状は、前記光透過性基板全体の平面形状及び前記樹脂の一部の平面形状を含んでいることを特徴とする請求項19記載の光学部材。
【請求項21】
前記レンズにおける、該レンズの光軸方向から見たときの平面形状は、前記光透過性基板の一部の平面形状及び前記樹脂の一部の平面形状を含んでいることを特徴とする請求項19記載の光学部材。
【請求項22】
前記樹脂は、前記レンズ側に前記光透過性基板の第4の平坦面と平行な第5の平坦面を有していると共に、
前記レンズは、上記樹脂の第5の平坦面に接着剤により固定されていることを特徴とする請求項20又は21記載の光学部材。
【請求項23】
前記樹脂の第5の平坦面は、前記光透過性基板の第4の平坦面と同一平面上に存在するか、又は該第4の平坦面よりも前記レンズ側には突出していないことを特徴とする請求項22記載の光学部材。
【請求項24】
前記光透過性基板の第4の平坦面は、前記樹脂の第5の平坦面よりも前記レンズの第3の平坦面側に配設されていることを特徴とする請求項22記載の光学部材。
【請求項25】
前記レンズにおける有効径よりも外周部には、前記樹脂の第5の平坦面側に突出し、かつ前記レンズの第3の平坦面と前記光透過性基板の第4の平坦面との間に空気層を設ける外周突起部が該第5の平坦面に当接するように形成されていることを特徴とする請求項23又は24記載の光学部材。
【請求項26】
前記レンズの第3の平坦面には、第3の反射防止膜が設けられていることを特徴とする請求項25記載の光学部材。
【請求項27】
前記空気層は、前記レンズの第3の平坦面に設けられた第3の反射防止膜と、前記外周突起部と、前記光透過性基板上に設けられた赤外波長カット膜と、前記樹脂の第5の平坦面とによって封止されていることを特徴とする請求項26記載の光学部材。
【請求項28】
請求項18〜27のいずれか1項に記載の光学部材を備えた撮像デバイスであって、
上記光学部材における前記光透過性基板の、前記レンズとは反対側には、固体撮像素子が設けられていると共に、
上記固体撮像素子は、前記樹脂に封止されていることを特徴とする撮像デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−250285(P2008−250285A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242892(P2007−242892)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】