説明

光学部材用の組成物及び光学部材

【課題】 La原子及びO原子を有し、着色がない光学部材用の組成物及び、透明な光学部材を提供することを目的とする。
【解決手段】 La原子及びO原子を有する光学部材用の組成物において、前記組成物がさらに、Gd原子、Y原子、Al原子、Ga原子、Inからなる群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、Ta原子、Nb原子からなる群Bから選ばれる少なくとも1種の原子と、を有し、前記組成物の有する原子の総和を100mol%としたときに、前記La原子と、前記O原子と、前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子の総和が99mol%以上であることを特徴とする光学部材用の組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学部材用の組成物及び光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
無機材料からなる、ガラス以外の光学部材として、パイロクロア構造を有するものが知られている。特許文献1は、Bi、ZnO、Taからなる、パイロクロア構造を有するマイクロ波誘電体化合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−501856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、Biは黄色に着色しているため、特許文献1で開示しているマイクロ波誘電体化合物も黄色に着色していると考えられ、レンズ等に用いる光学部材としては、使用する波長帯域で十分な透過率が得られないと考えられる。そこで本発明は、La原子及びO原子を有し、着色がない光学部材用の組成物及び、透明な光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光学部材用の組成物は、La原子及びO原子を有する光学部材用の組成物において、前記組成物がさらに、Gd原子、Y原子、Al原子、Ga原子、Inからなる群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、Ta原子、Nb原子からなる群Bから選ばれる少なくとも1種の原子と、を有し、前記組成物の有する原子の総和を100mol%としたときに、前記La原子と、前記O原子と、前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子の総和が99mol%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る光学部材用の組成物によれば、La原子及びO原子を有する組成物であって、着色がない。したがって、この組成物から得られる光学部材は透明になると考えられるため、本発明に係る光学部材をレンズ等に用いる場合、使用する波長帯域で十分な透過率が得られると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例及び比較例で得られた結果をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態について以下に説明するが、本発明はこれらに限られない。
【0009】
(実施形態1)
実施形態1では、光学部材用の組成物について説明する。
【0010】
本実施形態に係る光学部材用の組成物は、La原子及びO原子を有する光学部材用の組成物において、前記組成物がさらに、Gd原子、Y原子、Al原子、Ga原子、Inからなる群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、Ta原子、Nb原子からなる群Bから選ばれる少なくとも1種の原子と、を有し、前記組成物の有する原子の総和を100mol%としたときに、前記La原子と、前記O原子と、前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子の総和が99mol%以上であることを特徴とする。
【0011】
本実施形態に係る光学部材用の組成物は、上記のような原子で構成されており、着色がない(白色である)。光学部材用の組成物が白色であれば、この組成物から得られる光学部材も着色せず、透明な光学部材を得られると考えられる。そのため、本実施形態に係る光学部材用の組成物から得られる光学部材をレンズ等に用いる場合、使用する波長帯域で十分な透過率が得られると考えられる。
【0012】
本実施形態に係る光学部材用の組成物の好適な例は、前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子がGd原子であり、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子がTa原子であり、前記La原子と、前記Gd原子と、前記Ta原子の総和が100mol%であり、かつ、前記La原子が2.4mol%以上38.2mol%以下、前記Gd原子が37.3mol%以上72.9mol%以下、前記Ta原子が24.5mol%以上25.3mol%以下であることを特徴とする。
【0013】
本実施形態に係る光学部材用の組成物のさらなる好適な例は、前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子がGd原子であり、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子がTa原子であり、前記La原子と、前記Gd原子と、前記Ta原子の総和が100mol%であり、かつ、前記La原子が2.5mol%以上37.5mol%以下、前記Gd原子が37.5mol%以上72.5mol%以下、前記Ta原子が25.0mol%であることを特徴とする。
【0014】
さらに、本実施形態に係る光学部材用の組成物は、下記の式(1)で示されることが好ましい。(La3−XGd1+tTaO7+u ・・・(1)
(ただし、Xは1.5≦X≦2.9、tは−0.01≦t≦0.02、uは−0.06≦u≦0.12である)
さらに、本実施形態に係る光学部材用の組成物は、下記の式(2)で示されることがさらに好ましい。
(La3−XGd)TaO ・・・(2)
(ただし、Xは1.5≦X≦2.9である)
上記の式(2)は、上記の式(1)において、tが0、かつ、uが0の場合である。
実施例で後述するように、本実施形態に係る光学部材用の組成物が上記の式(2)で示される場合、この組成物は立方晶パイロクロア構造であり、この組成物から透明な光学部材を得られると考えられる。
【0015】
(光学部材用の組成物の不純物)
本実施形態に係る光学部材用の組成物は、本実施形態に係る光学部材用の組成物の有する原子の総和を100mol%としたときに、前記La原子と、前記O原子と、前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子の総和が99mol%以上であり、不純物を1mol%以下含んでいてもよく、不純物の含有量は0.1mol%以下であることが好ましい。不純物として、Siの酸化物、Feの酸化物、Bの酸化物、Wの酸化物、Biの酸化物、Coの酸化物、Cuの酸化物などの金属酸化物などが挙げられる。
【0016】
(光学部材用の組成物の組成比の測定方法)
本実施形態において光学部材用の組成物の組成比の測定は、誘導結合プラズマ(Inductively coupled plasma、以下、ICPと略す)発光分析装置によって行うことができる。ICP発光分析装置はCIROS CCD(株式会社リガク社製)を用いることができる。
【0017】
(結晶構造の測定方法)
本実施形態において、光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造であるか否かの測定は以下の通りに行う。結晶構造の測定は、X線回折装置である、RINT2100(株式会社リガク社製)で、X線管電圧を40kV、X線管電流を40mAとして行う。
【0018】
まず、上記の装置で、2θ=10°〜80°における回折強度(counts)の測定を行い、X線回折パターンを得る。
【0019】
次に、得られたX線回折パターンに近い立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)をPDFデーターベースから選択する。選択したデータの格子定数を初期値として、粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADE(株式会社リガク社製)を用いて、最小二乗法による格子定数の精密化を数サイクル行う。
【0020】
次に、空間群(Fd−3m、#227、Z=8)、上記の精密化した格子定数、各サイトの元素占有比率、ワイコフ位置から、Mercury(Cambridge Crystallographic Data Centre社製、英国)を用いて計算することにより、X線回折パターンを得る。
【0021】
次に、計算によって得られる立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と、実測で得られたX線回折パターンとを比較し、ピークの位置が一致していれば、金属酸化物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造であるとする。ピーク位置が一致していない場合や、計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターンにはないピークが生じている場合は、立方晶パイロクロア構造ではないとする。
【0022】
(光学部材用の組成物と有機モノマーとを有する分散液)
本実施形態に係る光学部材用の組成物と有機モノマーとを有する分散液について説明する。このような分散液は、極性溶媒や非極性溶媒に、有機モノマーと本実施形態に係る光学部材用の組成物とを添加することにより得られる。分散させる際に、湿式分散方式であるビーズミル法を用いることも可能である。
【0023】
なお、上記の有機モノマーとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル、テフロン(登録商標)、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリイミド(PI)などの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)などの熱硬化性樹脂を用いることができる。一般的に、炭化水素系モノマーや脂環式モノマーは、他のモノマーよりも吸湿性が低く、かつ、線膨張係数が小さいため好ましい。
【0024】
(光学部材用の組成物と有機ポリマーとを有する複合材料)
また、上記の分散液に、光を照射したり、加熱することにより、有機モノマーを重合硬化させることで、有機モノマーの重合体の中に本実施形態に係る光学部材用の組成物を有する複合材料を作製することができる。ここで、本実施形態に係る光学部材用の組成物の線膨張係数は、一般的に、有機モノマーの重合体の単独の線膨張係数よりも小さいため、複合材料の線膨張係数は、有機モノマーの重合体の線膨張係数よりも小さい。したがって、本実施形態に係る光学部材用の組成物は、線膨張係数を小さくするための添加材として用いることもできる。
【0025】
(実施形態2)
実施形態2では、光学部材について説明する。
【0026】
本実施形態に係る光学部材は、アッベ数が25以上、かつ、屈折率が1.75以上、かつ、透過率が20%以上であり、実施形態1で説明した光学部材用の組成物からなることを特徴とする。
【0027】
本実施形態に係る光学部材は、光学部材用の組成物を構成する上記のような原子で構成されており、透明である。したがって、本実施形態に係る光学部材をレンズなどの光学素子として用いる場合、使用する波長帯域で十分な透過率が得られると考えられる。
【0028】
本実施形態に係る光学部材の好適な例は、前記La原子と、前記Gd原子と、前記Ta原子の総和が100mol%であり、かつ、前記La原子が2.4mol%以上38.2mol%以下、前記Gd原子が37.3mol%以上72.9mol%以下、前記Ta原子が24.5mol%以上25.3mol%以下であることを特徴とする。
【0029】
本実施形態に係る光学部材のさらなる好適な例は前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子がGd原子であり、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子がTa原子であり、前記La原子と、前記Gd原子と、前記Ta原子の総和が100mol%であり、かつ、前記La原子が2.5mol%以上37.5mol%以下、前記Gd原子が37.5mol%以上72.5mol%以下、前記Ta原子が25.0mol%であることを特徴とする。
【0030】
さらに、本実施形態に係る光学部材は、上記の式(1)で示されることが好ましく、式(2)で示されることがさらに好ましい。
【0031】
また、本実施形態に係る光学部材は、アッベ数(νd)と屈折率(nd)が下記の式(3)及び(4)を満たす関係にあることが好ましい。
2.20≧nd≧−0.01νd+2.25(30≦νd<55) ・・・(3)
2.20≧nd≧1.70(55≦νd≦100) ・・・(4)
ここで、上記のようにアッベ数(νd)の上限は100、屈折率(nd)の上限は2.20となっているが、適切な組成の発見や、適切な添加材の発見などにより、上限がより大きな値となる可能性がある。
【0032】
また、本実施形態に係る光学部材は、透過率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
【0033】
(光学部材の不純物)
また、本実施形態に係る光学部材は、本実施形態に係る光学部材の有する原子の総和を100mol%としたときに、前記La原子と、前記O原子と、前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子の総和が99mol%以上であることが好ましい。したがって、本実施形態に係る光学部材は不純物を1mol%以下含んでいてもよく、不純物の含有量は0.1mol%以下であることが好ましい。不純物として、Siの酸化物、Feの酸化物、Bの酸化物、Wの酸化物、Biの酸化物、Coの酸化物、Cuの酸化物などの金属酸化物が挙げられる。また、他の不純物としてバインダや焼結助剤などが挙げられる。
【0034】
(バインダ)
本実施形態におけるバインダとは、後述するように、本実施形態に係る光学部材用の組成物を焼成する際に、光学部材用の組成物同士が結合しやすくするために用いる材料である。本実施形態におけるバインダの例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、パラフィンワックス、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、マレイン化ワックス、ステアリン酸、オレイン酸、ブチルステアレート、エチルステアレート、メチルステアレート、マイクロクリスタリンワックス、ポリビニルブチラール、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ジエチルフタレート、ポリアセタールなどが挙げられる。
【0035】
(焼結助剤)
本実施形態における焼結助剤とは、本実施形態に係る光学部材用組成物や本実施形態に係る光学部材を得るために焼成する際に添加することで、必要な焼成時間を短くしたり、必要な焼成温度を低くすることができる材料である。また、本実施形態に係る光学部材が、適切な焼結助剤を有すると、有しない場合に比べて、固く、透過率が高い。本実施形態における焼結助剤として、MgO、Y、Al、SiOなどが挙げられる。
【0036】
(屈折率、アッベ数の測定方法)
本実施形態に係る光学部材の屈折率の測定はVブロック法で行うことができる。本実施形態において屈折率は、カルニュー精密屈折計KPR−2000(島津デバイス製造社製)を用いたときの、d線(587.6nm)の屈折率(nd)とする。
【0037】
また、アッベ数(νd)の測定は、上記の屈折率の測定装置で、d線(587.6nm)の屈折率(nd)、F線(486.1nm)の屈折率(nF)、C線(656.3nm)の屈折率(nC)の測定を行い、νd=(nd−1)/(nF−nC)の式に代入することで算出できる。
【0038】
(透過率の測定方法)
本実施形態に係る光学部材の透過率の測定は、紫外可視近赤外分光光度計(UV−3600、島津製作所、測定可能な波長領域:185〜3300nm)を用いて測定した直線透過率である。具体的には、本実施形態に係る光学部材の厚みを1mmとしたときに、波長400nmの光を照射したときの値である。
【0039】
(光学部材の組成比の測定方法)
本実施形態において、光学部材の組成比の測定は、光学部材用の組成物の組成比の測定方法と同様に、ICP発光分析装置によって行うことができる。ICP発光分析装置はCIROS CCD(株式会社リガク社製)を用いることができる。
【0040】
(光学部材の結晶構造の測定方法)
本実施形態において、光学部材の結晶構造の測定は、光学部材用の組成物の組成比の測定方法と同様に、X線回折装置である、RINT2100(株式会社リガク社製)で、X線管電圧を40kV、X線管電流を40mAとして行う。上記の装置で、2θ=10°〜80°における回折強度(counts)の測定を行い、X線回折パターンを得る。
【0041】
(用途)
本実施形態に係る光学部材の用途としてはレンズなどの光学素子に好適であるがこれに限られない。例えば、シンチレーター、時計の文字盤のカバーガラスなどに用いることもできる。
【0042】
(実施形態3)
実施形態3では、レンズについて説明する。
【0043】
(レンズ)
本実施形態に係るレンズは、上記、実施形態2で説明した光学部材の研磨面に反射防止膜を有することを特徴とする。ここで、レンズとは、入射させた光を屈折させることで、入射させた光を意図する方向に発散または集束させるための光学素子である。レンズとしては凹レンズ、凸レンズ、球面レンズ、非球面レンズ、回折光学素子(DOE)、屈折率分布型(GRIN)レンズなどが挙げられる。これらのレンズはフィルムカメラ、デジタルカメラ(DSC)、ビデオカメラ(VD)、携帯電話カメラ、監視カメラ、TVカメラ、映画カメラ、プロジェクターなどに用いることができる。
【0044】
本実施形態において、反射防止膜は特に限定されない。また、反射防止膜とレンズとの間に中間層を有していてもよい。ここで、中間層は特に限定されないが、中間層の屈折率の値が、レンズの屈折率と反射防止膜の屈折率との間の値であることが好ましい。
【0045】
なお、レンズの屈折率、アッベ数、透過率などの光学特性を測定する場合、例えば、レンズ表面から2μm以上の深さにおける上記光学特性を測定する。
【0046】
(実施形態4)
実施形態4では、光学部材の製造方法について説明する。
本実施形態に係る光学部材の製造方法は、実施形態1で説明した光学部材用の組成物に圧力をかけて成形体を得る工程(工程1)と、前記成形体を焼成して光学部材を得る工程(工程2)と、を有することを特徴とする。
【0047】
(光学部材用の組成物の製造方法)
本実施形態に係る光学部材用の組成物の製造方法の一例について説明する。
まず、平均粒径50μm以下の純度99重量%以上のLaの原料粉末を用い、乳鉢で30分粉砕及び混合する。なお、Laの原料粉末の純度が99重量%以上とは、原料粉末の全重量を100重量としたとき、Laは99重量以上であることを意味し、以下も同様である。
【0048】
得られた混合粉末をアルミナ坩堝に加えた後、アルミナ坩堝を電気炉内に設置する。電気炉を大気中に設置し、電気炉内の温度を室温から1600℃まで2時間で昇温し、炉内の温度が1600℃の状態を3時間保持することで、上記の混合粉末を焼成する。以下では、この、混合粉末を焼成するときの温度を焼成温度(上記では1600℃)と呼び、焼成している時間を焼成時間(上記では3時間)と呼ぶ。その後、炉内の温度を室温まで自然冷却して、仮焼成体である、光学部材用の組成物を得る。
【0049】
本実施形態に係る光学部材用の組成物は、上記の固相反応で調製できるが、その他に、火炎法、及び、RFプラズマ法、アーク放電プラズマ法を用いた気相反応、水溶液や有機溶媒中での常圧液相反応、水熱合成やソルボサーマル法を用いた高圧液相反応、超臨界反応、液相プラズマ反応、マイクロリアクター、超音波反応、マイクロ波反応などで調製することもできる。
【0050】
(原料粉末)
上記の原料粉末としてはLa酸化物、Gd酸化物、Ta酸化物などの金属酸化物や、金属炭酸塩、金属水酸化物などが挙げられる。原料粉末を構成する各粒子の平均粒径は50μm以下であることが好ましい。なぜなら、原料粉末の平均粒径が50μmよりも大きい場合、上記の固相反応の反応性が低いと考えられるからである。
また、原料粉末の純度は99重量%以上であることが好ましい。なぜなら、原料粉末の純度が99重量%以上である場合、不純物による着色が生じにくいと考えられるからである。
【0051】
(粉砕及び混合する方法)
本実施形態において粉砕及び混合する方法としては、溶媒を用いない乾式分散方式、または、溶媒を用いる湿式分散方式が挙げられる。湿式分散方式の例として、溶媒とボールミルを用いるボールミル法が挙げられる。湿式分散方式で用いる溶媒は水でも有機溶媒でもよい。上記ボールミルに使用するビーズはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)が好ましい。また、用いるビーズの直径は30μm以上25mm以下であることが好ましく、300μm以上15mm以下であることがさらに好ましい。
【0052】
(焼成温度)
上記の焼成温度は1000℃以上1800℃以下であることが好ましく、1200℃以上1700℃以下であることがさらに好ましい。焼成温度が1000℃以上である場合、原料粉末の結晶成長が十分に進むと考えられる。焼成温度が1800℃以下である場合、電気炉の耐火材が劣化しにくい。
【0053】
(焼成時間)
上記の焼成時間は0.5時間以上24時間以下であることが好ましく、1時間以上10時間以下であることがさらに好ましい。焼成時間が0.5時間以上である場合、結晶成長が十分に進むと考えられる。焼成時間が24時間以下である場合、製造コストが安くすむと考えられる。
【0054】
(工程1について)
工程1では、上記のようにして得られた光学部材用の組成物に圧力をかけて成形体を得る工程である。圧力をかける方法としては、一軸加圧成型法、冷間等方圧加圧(ColdIsostatic Press、CIP)法、射出成形法、シート成形、押出成形、鋳込成形などが挙げられる。上記の工程1において、かける圧力は1000kg/cm以上3000kg/cm以下であることが好ましい。
【0055】
(工程2について)
工程2では、上記の工程1で得られた成形体を焼成して光学部材を得る工程である。焼成温度及び焼成時間は、上記で説明した(焼成温度)、(焼成時間)と同じである。焼成する方法としては、熱間等方圧加圧(Hot Isostatic Press、HIP)法、放電プラズマ焼結(Spark Plasma Sintering、SPS)法、真空焼結法、ホットプレス法、高酸素雰囲気焼結法などを用いることができる。
【0056】
(その他の工程について)
本実施形態に係る光学部材の製造方法は、上記の工程1、2以外の工程を含んでいてもよい。例えば、工程1の前に、光学部材用の組成物とバインダを混合する混合工程を有していてもよい。バインダを混合することで、光学部材用の組成物の凝集を抑制することができる。このとき用いるバインダは、実施形態1で説明したバインダを用いることができる。混合する方法は上記の(粉砕及び混合する方法)で説明した方法を用いることができる。さらに、バインダを混合する工程の後に、熱処理やスプレードライで溶媒を蒸発させる工程を有していてもよい。
【0057】
また、工程1の前に、光学部材用の組成物を1メッシュ以上750メッシュ以下のふるいに通すことにより、粒径を揃える工程を有していてもよい。ふるいを通すことにより得られる粒子の平均粒径は1μm以上500μm以下であることが好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0059】
(結晶構造の測定方法)
以下に説明する実施例において、光学部材用の組成物の結晶構造の測定は、X線回折装置であるRINT2100(株式会社リガク社製、X線管電圧40kV、X線管電流40mA)で行った。また、回折強度(counts)の測定は、2θ=10°〜80°の範囲で行った。
【0060】
(格子定数の精密化)
格子定数の精密化には、粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADE(株式会社リガク社製)を使用した。測定したX線回折パターンに近い立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)をPDFデーターベースから選択した。選択したデータの格子定数を初期値とした。最小二乗法による格子定数の精密化を数サイクル行い、測定したX線回折パターンに対応する格子定数を決定した。2θ=28.6°〜29.0°の回折ピークは(222)面に由来のピークと同定した。
【0061】
空間群(Fd−3m、#227、Z=8)、精密化した格子定数、各サイトの元素占有比率、ワイコフ位置から、Mercury(Cambridge Crystallographic Data Centre社製、英国)を用いて計算することにより、X線回折パターンを得た。
【0062】
次に、計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と、実測で得られたX線回折パターンとを比較し、ピークの位置が一致していれば、光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造であるとした。また、ピーク位置が一致していない場合や、計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターンにはないピークが生じている場合は、立方晶パイロクロア構造ではないとした。
【0063】
(計算密度の算出)
計算密度の算出には、粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADE(株式会社リガク社製)を使用した。空間群と精密化された格子定数から体積を算出した。光学部材用の組成物の分子量と算出した体積から計算密度を算出した。
【0064】
(結晶子径の算出)
結晶子径(D)の算出には、粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADE(株式会社リガク社製)を使用した。2θ=28.6°〜29.0°の回折ピークは(222)面に由来する。測定された回折ピーク(2θ=28.6°〜29.0°)から半価幅β(222)を算出する。得られた半価幅β(222)を用いて下記のシェラー式(式(5))を用いて(222)面の結晶子径D(222)を算出した。2θ=28.6°〜29.0°回折ピークの回折強度が大きく、(222)面の結晶子径D(222)が大きいほど結晶性の良い立方晶パイロクロアが生成しているとした。
(222)=K×λCu−Kα1/β(222)cosθ ・・・(5)
ここで、K=0.9、λCu−Kα1=0.154056nm、β(222)は回折ピーク(2θ=28.6°〜29.0°)の半価幅である。
【0065】
(実施例1)
酸化ランタン(La)6mmol、酸化ガドリニウム(Gd)6mmol、酸化タンタル(Ta)4mmolをメノー乳鉢に加え、30分間混合した。混合粉末1gをアルミナ坩堝に加えた後、アルミナ坩堝を電気炉内に設置した。この電気炉を大気中に設置し、電気炉内の温度を室温から1600℃まで2時間で昇温し、炉内の温度が1600℃の状態を3時間保持して焼成を行った。加熱後、室温まで自然冷却した。このようにして得られた光学部材用の組成物は着色がなかった(白色であった)。得られた白色粉末を測定試料とし、X線回折パターンを得た。得られたX線回折パターンから立方晶パイロクロア構造(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と同定した。(222)面由来の2θ=28.64°回折ピークの最大回折強度は9222countsであった。上記の式(5)から(222)面の結晶子径は25.5nmと見積られた。粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADEを用いて格子定数の精密化を行ったところ、格子定数a=10.786Å、計算密度7.803g/cmと見積られた。計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と、実測で得られたX線回折パターンとを比較し、ピークの位置が一致していたため、得られた光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造であることがわかった。
【0066】
(実施例2)
酸化ランタン(La)5mmol、酸化ガドリニウム(Gd)10mmol、酸化タンタル(Ta)5mmolをメノー乳鉢に加え、30分間混合した。混合粉末1gをアルミナ坩堝に加えた後、アルミナ坩堝を電気炉内に設置した。この電気炉を大気中に設置し、電気炉内の温度を室温から1600℃まで2時間で昇温し、炉内の温度が1600℃の状態を3時間保持して焼成を行った。加熱後、室温まで自然冷却した。このようにして得られた光学部材用の組成物は着色がなかった(白色であった)。得られた白色粉末を測定試料とし、X線回折パターンを得た。得られたX線回折パターンから立方晶パイロクロア構造(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と同定した。(222)面由来の2θ=28.76°回折ピークの最大回折強度は9525countsであった。上記の式(5)から(222)面の結晶子径は28.7nmと見積られた。粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADEを用いて格子定数の精密化を行ったところ、格子定数a=10.726Å、計算密度8.034g/cmと見積られた。計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と、実測で得られたX線回折パターンとを比較し、ピークの位置が一致していたため、得られた光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造であることがわかった。
【0067】
(実施例3)
酸化ランタン(La)2mmol、酸化ガドリニウム(Gd)10mmol、酸化タンタル(Ta)4mmolをメノー乳鉢に加え、30分間混合した。混合粉末1gをアルミナ坩堝に加えた後、アルミナ坩堝を電気炉内に設置した。この電気炉を大気中に設置し、電気炉内の温度を室温から1600℃まで2時間で昇温し、炉内の温度が1600℃の状態を3時間保持して焼成を行った。加熱後、室温まで自然冷却した。このようにして得られた光学部材用の組成物は着色がなかった(白色であった)。得られた白色粉末を測定試料とし、X線回折パターンを得た。得られたX線回折パターンから立方晶パイロクロア構造(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と同定した。(222)面由来の2θ=28.90°回折ピークの最大回折強度は12169countsであった。上記の式(5)から(222)面の結晶子径は37.4nmと見積られた。粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADEを用いて格子定数の精密化を行ったところ、格子定数a=10.682Å、計算密度8.233g/cmと見積られた。計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と、実測で得られたX線回折パターンとを比較し、ピークの位置が一致していたため、得られた光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造であることがわかった。
【0068】
(実施例4)
酸化ランタン(La)0.4mmol、酸化ガドリニウム(Gd)11.6mmol、酸化タンタル(Ta)4mmolをメノー乳鉢に加え、30分間混合した。混合粉末1gをアルミナ坩堝に加えた後、アルミナ坩堝を電気炉内に設置した。この電気炉を大気中に設置し、電気炉内の温度を室温から1600℃まで2時間で昇温し、炉内の温度が1600℃の状態を3時間保持して焼成を行った。加熱後、室温まで自然冷却した。このようにして得られた光学部材用の組成物は着色がなかった(白色であった)。得られた白色粉末を測定試料とし、X線回折パターンを得た。得られたX線回折パターンから立方晶パイロクロア構造(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と同定した。(222)面由来の2θ=28.98°回折ピークの最大回折強度は15648countsであった。上記の式(5)から(222)面の結晶子径は59.1nmと見積られた。粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADEを用いて格子定数の精密化を行ったところ、格子定数a=10.652Å、計算密度8.384g/cmと見積られた。計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)と、実測で得られたX線回折パターンとを比較し、ピークの位置が一致していたため、得られた光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造であることがわかった。
【0069】
(比較例1)
酸化ランタン(La)10mmol、酸化ガドリニウム(Gd)5mmol、酸化タンタル(Ta)5mmolをメノー乳鉢に加え、30分間混合した。混合粉末1gをアルミナ坩堝に加えた後、アルミナ坩堝を電気炉内に設置した。この電気炉を大気中に設置し、電気炉内の温度を室温から1600℃まで2時間で昇温し、炉内の温度が1600℃の状態を3時間保持して焼成を行った。加熱後、室温まで自然冷却した。このようにして得られた光学部材用の組成物は着色がなかった(白色であった)。得られた白色粉末を測定試料とし、X線回折パターンを得た。実測で得られたX線回折パターンには、計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)にはないピークが存在したため、得られた光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造でないことがわかった。
【0070】
(比較例2)
酸化ランタン(La)6.8mmol、酸化ガドリニウム(Gd)5.2mmol、酸化タンタル(Ta)4mmolをメノー乳鉢に加え、30分間混合した。混合粉末1gをアルミナ坩堝に加えた後、アルミナ坩堝を電気炉内に設置した。この電気炉を大気中に設置し、電気炉内の温度を室温から1600℃まで2時間で昇温し、炉内の温度が1600℃の状態を3時間保持して焼成を行った。加熱後、室温まで自然冷却した。このようにして得られた光学部材用の組成物は着色がなかった(白色であった)。得られた白色粉末を測定試料とし、XRD測定した。実測で得られたX線回折パターンには、計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)にはないピークが存在したため、得られた光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造でないことがわかった。
【0071】
(比較例3)
酸化ランタン(La)6.4mmol、酸化ガドリニウム(Gd)5.6mmol、酸化タンタル(Ta)4mmolをメノー乳鉢に加え、30分間混合した。混合粉末1gをアルミナ坩堝に加えた後、アルミナ坩堝を電気炉内に設置した。この電気炉を大気中に設置し、電気炉内の温度を室温から1600℃まで2時間で昇温し、炉内の温度が1600℃の状態を3時間保持して焼成を行った。加熱後、室温まで自然冷却した。このようにして得られた光学部材用の組成物は着色がなかった(白色であった)。得られた白色粉末を測定試料とし、XRD測定した。実測で得られたX線回折パターンには、計算によって得られた立方晶パイロクロア構造のX線回折パターン(空間群Fd−3m、#227、Z=8)にはないピークが存在したため、得られた光学部材用の組成物の結晶構造が立方晶パイロクロア構造でないことがわかった。
【0072】
(まとめ)
上記、実施例1乃至4及び比較例1乃至3で得られた結果について、図1にまとめた。図1において、得られた光学部材用の組成物が、立方晶パイロクロア構造である場合を○、立方晶パイロクロア構造でない場合を×とした。また、図1において、Xは、上記の式(2)におけるXの値である。
【0073】
図1において、1)最大回折強度は、立方晶パイロクロア構造(222)面由来、2θ=28.6°〜29.0°のX線回折ピーク強度の測定値である。また、2)結晶子径は、X線回折ピーク(2θ=28.6°〜29.0°)の半値幅からシェラー式(式(5))を用いて立方晶パイロクロア(222)面の結晶子径D(222)を算出した。結晶子径の算出には、粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADE(株式会社リガク社製)を使用した。
【0074】
また、3)格子定数の精密化、及び、4)計算密度の算出には、粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADE(株式会社リガク社製)を使用した。
【0075】
図1のように、実施例に係る光学部材用の組成物は立方晶パイロクロア構造であることがわかった。また、実施例で立方晶パイロクロア構造をとるとわかった組成比だけでなく、実施例の組成比を上限、下限としたときの、間の組成比をとる場合も、立方晶パイロクロア構造をとると考えられる。例えば、実施例1及び実施例2から、La原子が37.5mol%、Gd原子が37.5mol%、Ta原子が25.0mol%のとき、及び、La原子が2.5mol%、Gd原子が72.5mol%、Ta原子が25.0mol%のときに、光学部材用の組成物が立方晶パイロクロア構造をとることがわかったが、その間の組成比、例えば、La原子が20.0mol%、Gd原子が55.0mol%、Ta原子が25.0mol%の組成比をとる場合も、立方晶パイロクロア構造をとると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
La原子及びO原子を有する光学部材用の組成物において、前記組成物がさらに、
Gd原子、Y原子、Al原子、Ga原子、Inからなる群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、
Ta原子、Nb原子からなる群Bから選ばれる少なくとも1種の原子と、
を有し、前記組成物の有する原子の総和を100mol%としたときに、前記La原子と、前記O原子と、前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子と、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子の総和が99mol%以上であることを特徴とする光学部材用の組成物。
【請求項2】
前記La原子と、前記Gd原子と、前記Ta原子の総和が100mol%であり、かつ、前記La原子が2.4mol%以上38.2mol%以下、前記Gd原子が37.3mol%以上72.9mol%以下、前記Ta原子が24.5mol%以上25.3mol%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材用の組成物。
【請求項3】
前記群Aから選ばれる少なくとも1種の原子がGd原子であり、前記群Bから選ばれる少なくとも1種の原子がTa原子であり、前記La原子と、前記Gd原子と、前記Ta原子の総和が100mol%であり、かつ、前記La原子が2.5mol%以上37.5mol%以下、前記Gd原子が37.5mol%以上72.5mol%以下、前記Ta原子が25.0mol%であることを特徴とする請求項2に記載の光学部材用の組成物。
【請求項4】
前記組成物が立方晶パイロクロア構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学部材用の組成物。
【請求項5】
前記組成物が下記の式(1)で示されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学部材用の組成物。
(La3−XGd1+tTaO7+u ・・・(1)
(ただし、Xは1.5≦X≦2.9、tは−0.01≦t≦0.02、uは−0.06≦u≦0.12である)
【請求項6】
前記組成物が下記の式(2)で示されることを特徴とする請求項5に記載の光学部材用の組成物。
(La3−XGd)TaO ・・・(2)
(ただし、Xは1.5≦X≦2.9である)
【請求項7】
アッベ数が25以上、かつ、屈折率が1.75以上、かつ、透過率が20%以上であり、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学部材用の組成物からなることを特徴とする光学部材。
【請求項8】
請求項7に記載の光学部材の研磨面に反射防止膜を有することを特徴とするレンズ。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学部材用の組成物に圧力をかけて成形体を得る工程と、
前記成形体を焼成して光学部材を得る工程と、
を有することを特徴とする光学部材の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−176883(P2012−176883A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14364(P2012−14364)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】