説明

光安定化効果顔料

本発明は、一以上の仮焼されたバナジウム含有酸化物層が、単独であるいは硫酸塩、硼酸塩または燐酸塩が混合されて基体に被覆されてなる光安定化効果顔料;その製造法;およびプラスチック、塗料、被覆、印刷用インキ、化粧品、フィルム、証券印刷、レーザー・マーキング、熱防護または彩色種苗におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一以上の仮焼されたバナジウム含有酸化物層が、単独でまたは硫酸塩、硼酸塩または燐酸塩と混合されて基体に被覆されてなる光安定化効果顔料;その製造方法;およびプラスチック、塗料、被覆剤、印刷用インキ、化粧品、フィルム、証券印刷、レーザー・マーキング、熱防護または彩色種苗への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外用のプラスチック部品および表面被覆層は、しばしば極度の気候条件および長期にわたる長時間の強烈な光照射に曝され、材料が劣化する。これは、変色、脆化並びに機械的および化学的安定性の低下から明らかである。その原因は、酸化もしくは光による結合剤の分解、または液体もしくは水蒸気の形態の水の作用による分解である。更に、使用された顔料、特にチタン酸化物層を含む真珠光沢のある顔料は、光および気候の影響に対する使用媒体の抵抗力を損なう。その理由は、使用媒体の有機成分の光分解を加速する二酸化チタン層の特殊な光活性にある。
【0003】
これらの老化過程を抑制するためには、安定剤、例えばUV光吸収物質が、屋外使用の配合物に加えられる。更に、追加の無機層を顔料に付与してもよい。例を挙げればWO98/58017号は、ポリオレフィン、抗酸化剤および真珠光沢のある顔料からなる組成物を開示し、これは低い黄変傾向を示すと言われている。この抗酸化剤は、混合物の必須成分であり、使用媒体の有用性を制限するものである。何故ならば、使用される物質の破壊を避けるために、この抗酸化剤を他の共成分と調和させなければならないからである。
【0004】
ドープ剤添加による二酸化チタン顔料の光安定性の増大はよく知られている。例を挙げれば、DE 2 407 429号には、二酸化チタン顔料サスペンション上へのバナジウム化合物の析出を記述しているが、そこでは着色化合物の形成または顔料のくすみを防ぐために、どんなことがあっても顔料を仮焼してはならない。しかしながら、安定性が低いことは無仮焼顔料の本質的特徴であり、例えば表面被覆またはプラスチックのような使用期間の長い使用には、きわめて不都合である。
【0005】
DE 2 545 243号は、水含有の二酸化チタンに、バナジウム、銅および/またはマンガンの群からの金属イオンを添加し、ついで600〜1100℃で仮焼することにより、増大された光化学的安定性を有する二酸化チタン顔料製造方法を開示する。この方法は、使用範囲を塗料、被覆剤、またはプラスチックに制限する純二酸化チタン顔料に限定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、本発明の目的は、顔料性質に変化を見せずに、普通の全使用媒体および使用用法に制限を加えず使用することができる、改良された使用特性を有する光安定化効果顔料を提供することであった。更に、その光安定化効果顔料は、容易に廉価で入手できるべきであり、換言すれば、その製造が容易で廉価であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この複雑な目的は、本発明に従い、光安定化効果顔料により達成され、そこでは一以上の仮焼されたバナジウム含有の酸化物層が、単独であるいは硫酸塩、硼酸塩または燐酸塩が混合されて基体を被覆する。
【0008】
本発明による効果顔料は、改良された光安定性で特徴付けられ、容易に入手でき、また、考えられる全使用媒体および使用法に受け入れられる。これらは、化学的に安定で不活性であり、光安定性とともに効果顔料の通常の特色、例えば光沢、着色強度、色の多様性を示す。更に、本発明の顔料は、各種の基体を用いて、簡単な方法で製造できる。実施態様によっては、本発明の顔料製造方法は、効果顔料の製造に直接に組み込むことが可能である。これは、装置の複雑性が低いことを意味し、また、望まれる顔料性質、例えば光沢、色または隠蔽力の調節が簡易である。本発明の顔料の使用は、処方中または適用時に、更に光安定化剤添加の減少または全面省略を可能にし、これらの配合物の製造と使用の複雑性および/またはコストも減少させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による効果顔料は、規則的または不規則な形の基体が使用できる。好ましい態様では、基体が、薄片状、球状または針状の支持体および/または金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリド、またはこれらの材料の混合物を含む、一以上の透明、半透明および/または不透明層で被覆された、薄片状、球状または針状形の支持体からなる。薄片状支持体の基体を用いることが特に好ましい。
【0010】
適当なのは、例えば薄片状のTiO2、合成または天然の雲母、ガラス薄片、金属薄片、薄片状SiO2、Al23または薄片状鉄酸化物である。金属薄片は、とりわけアルミニウム、チタン、青銅、鋼鉄または銀、好ましくはアルミニウムおよび/またはチタンからなる。金属薄片は、ふさわしい処理で不動態体化されてもよい。好ましい実施態様では、支持体が、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたはこれらの材料の混合物を含む一以上の透明、半透明および/または不透明の層で、被覆されてもよい。この金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたはその混合物の層は、低屈折率(屈折率<1.8)でも高屈折率(屈折率≧1.8)でもよい。適当な金属酸化物および金属酸化物水和物は、当業者に知られているいかなる金属酸化物または金属酸化物水和物、例えばアルミニウム酸化物、アルミニウム酸化物水和物、珪素酸化物、珪素酸化物水和物、鉄酸化物、錫酸化物、セリウム酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、クロム酸化物、チタン酸化物、特に二酸化チタン、チタン酸化物水和物およびこれらの混合物、例えばリメナイトまたは偽板チタン石である。使用できる金属亜酸化物は、例えばチタン亜酸化物である。適当な金属は、例えばクロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅または合金;適当な金属弗化物は、例えばマグネシウム弗化物である。使用できる金属窒化物または金属オキシニトリドは、例えばチタン、ジルコニウムおよび/またはタンタルの諸金属の窒化物またはオキシニトリドである。金属酸化物、金属、金属弗化物および/または金属酸化物水和物の層は、好ましくは金属酸化物および/または、金属酸化物水和物層は、きわめて好ましくは支持体上に配置される。更に、高−および低屈折率の金属酸化物、金属酸化物水和物、金属または金属弗化物層を有する、好ましくは高−および低屈折率層を互い違いにした多層構造も存在できる。特に好ましいのは、高屈折層と低屈折層とが含まれる層セットであり、一以上の層セットを、支持体上に配置できる。高屈折層と低屈折層との順序は、多層構造に組み込まれる支持体に合わせることができる。他の実施態様では、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドの層が、着色材または他の元素が混合され、またはドーピングされることができる。適当な着色材または他の元素は、例えば磁鉄鉱、クロム酸化物のような有色金属酸化物、またはベルリン青、群青、バナジウム酸ビスマス、フタロシアニン、コバルト青のような着色顔料、あるいはインジゴ、アゾ顔料、フタロシアニン、カルミン紅のような、有機または無機の着色顔料;またはイットリウムまたはアンチモンのような元素である。光安定性のほかに、こうした層を含有する光安定化効果顔料は、その質感に関しては広範な種類の色を示し、また、多くの場合干渉による視角に左右される色の変化(カラーフロップ)を示す。
【0011】
好ましい実施態様では、支持体上の外側の層は、高屈折率の金属酸化物である。この外側の層は、付加的に前述の層セット上にあってもよく、または高屈折率支持体の場合には、層セットの一部であってもよく、また例えばTiO2、チタン亜酸化物、Fe23、SnO2、ZnO、ZrO2、Ce23、CoO、Co34、V25、Cr23および/または例えばリメナイトまたは偽板チタン石のようなこれらの混合物でもよい。TiO2が特に好ましい。
【0012】
本発明で、特に好ましい実施態様では、基体はチタン酸化物であるか、チタン酸化物を含有する基体であって、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたはこれらの混合物を含む、一以上の透明、半透明および/または不透明層で被覆された支持体に基づくものである。金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたはこれらの混合物を含む、一以上の透明、半透明および/または不透明層で被覆された、薄片状、球状または針状形の支持体の外側の層は、好ましくはチタン酸化物を含有する。特に、これらの基体は、例えばプラスチックのような、顔料の周りの使用媒体の安定性に対しては、逆効果を生じ得るチタン酸化物の高い光活性によって区別される。本発明によれば、このような基体は、特に光安定化され種々の使用を容易にする。
【0013】
基体寸法は、それ自体で決まるのではなく、基体形状および適用領域に左右される。薄片状支持体および/または一以上の金属酸化物、金属または金属弗化物の層で被覆されている薄片状支持体に基づく基体は、厚みが一般には0.05〜5μm、特に0.1〜4.5μmである。長さまたは巾の寸法は、通常1〜250μm、好ましくは2〜200μm、特に2〜100μmである。球状支持体および/または一以上の金属酸化物、金属または金属弗化物の層で被覆された球状支持体を含む基体は、一般には10nm〜100μm、好ましくは500nm〜50μm、特に1〜20μmの平均直径を持つ。
【0014】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたはそれらの混合物の層の厚さは、通常は3〜300nm、また、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたはその混合物の層の厚さは、好ましくは20〜200nmである。金属層の厚さは、好ましくは4〜50nmである。
【0015】
基体に配置される、仮焼されバナジウムを含有する酸化物層に適しているのは、Al、Ca、Sr、Zn、Si、Zr、Ce、Tiまたはそれらの混合物の酸化物であり、好ましくはTiO2、Ai23、Ce23、ZnO、ZrO2および/またはSiO2が使われる。特に好ましいのは、前述酸化物の混合物で、ZnOが酸化物の層のものが特別に適当な成分である。これらの酸化物の層は、高い透明性と、固有の色が全くないか極めて薄く、また高光沢で特徴付けられ、その結果、基体の彩色性状は変わっていない。更に、仮焼後には、これら材料は無水で化学的に不活性な表面を与える。複数被覆された支持体の場合、バナジウム含有酸化物層が、多層構造に組み込まれ、これが製造能力を簡略化する。したがって、例えば多層被覆顔料の外層は、バナジウム含有チタン酸化物層でよく、これは、光安定性のほかに、例えば干渉が原因で、顔料の光学的性質に影響を及ばす。
【0016】
バナジウム含有酸化物層のバナジウム含量は、V25として計算し、かつ、顔料全体を基にして、0.002〜0.2重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。バナジウム含有酸化物層中のバナジウム濃度は、バナジウム含有酸化物層の表面方向に傾斜して、増大または減少することができる。バナジウム含有酸化物層中のバナジウム濃度は、好ましくは、バナジウム含有酸化物層の表面方向に傾斜して増大する。これは、顔料の光安定性が更に増大することを可能にする。使用媒体と接触する顔料表面の光活性が、特に大幅に減少されるからである。また、バナジウムの所要量を減少させることができ、顔料の色彩および光沢の特性での起こりうる変化を防ぐ。
【0017】
更なる実施態様では、本発明の顔料を、気候の影響に抗して更に安定化させる有機の被覆が、仮焼されたバナジウム含有酸化物層に付加的に適用できる。これは、本発明による顔料の例えば安定性のほかに、湿度に対する高い抵抗性も要求される屋外用の表面被覆での使用を可能にする。この形成された有機被覆は、更に、配合物としてのまたは使用の際の周囲の媒体へのカップリング剤として作用し、その結果、例えば分散性のような使用特性を改良する。
【0018】
有機被覆は、下記一般式のオルガノシラン、同アルミナート、同チタナートおよび/または同ジルコナートから形成される。
4-n-mZ−Rn(−B−Y)m
ここで、XはOH、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ;ZはSi、Al、Ti、Zr;Rはアルキル、フェニルまたは水素;Bは有機の少なくとも二官能の基(アルキレン、アルキレンオキシアルキレン);Yはアルキル、アミノ、置換されたアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シロキサン、アセトキシ、イソシアナート、ビニル、アクリロイル、エポキシド、エポキシプロピルオキシ、イミダゾールまたはウレイド基;n、mは0、1、2、3であり、ここでn+m≦3である。
【0019】
これらのカップリング剤は、表面に結合するアンカー基(X4-n-mZ)、少なくとも一つの疎水性基(R、B)および一以上の官能基(Y)からなる。このカップリング剤は、好ましくは、Z=Siの化合物である。このアンカー基は、加水分解反応条件下で、対応するヒドロキシ基に転化するアルコキシシランからなることが好ましい。後者は、仮焼されたバナジウム含有金属酸化物表面に結合でき、酸素橋状結合を通じてアンカー効果を奏すことができる。加えて、種々のカップリング剤の使用も可能であり、これらは混合物としてまたは単独で使用可能である。
【0020】
この有機被覆は、適当な官能基の選択により、使用媒体と調和できる。加えて、その官能基と使用媒体中の対応する官能部位との間の反応により、カップリング剤を通じて、追加の結合が形成できる。特別の実施態様では、本発明の顔料の表面が、使用媒体に調和するよう有機官能性の組み合わせによって一部変性される。有機被覆内に種々カップリング剤の混合物を使用するのもこの目的に適合する。顔料表面の疎水性は、例えばアルキルシランのような、アルキル含有のカップリング剤の結合により調和させられる。オルガノシランの他に好ましいのは、その加水分解物、均一もしくは不均一オリゴマーおよび/またはポリマーの使用であり、それらも同様に単独でまたはシラン、ジルコン酸塩、アルミン酸塩、ジルコアルミン酸塩および/またはカルボキシジルコンアルミナートを組み合わせて、有機被覆として使用することができる。特に好ましいのは、種々のカップリング剤の混合物を含む有機被覆で、特に相互に異なっている官能基Yを有するもので、これにより特別の適用範囲が開ける。
【0021】
オルガノシランの例は、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、i−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、好ましくはn−オクチルトリメトキシシランおよびn−オクチルトリエトキシシランである。適当なアルコールを含まない好適なオルガノシランオリゴマーの加水分解物は、とりわけ、商品名ダイナシラン(登録商標)で、シベントから市販されている製品、例えばダイナシランHS2926、ダイナシランHS2909、ダイナシランHS2907、ダイナシランHS2781、ダイナシランHS2776、ダイナシランHS2627である。また、ビニルシランやアミノシランのオリゴマーの加水分解物が有機被覆に適している。官能性オルガノシランは、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、好ましくは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランである。シランポリマー系の例は、WO98/13426号の中に記述され、また、例えばシベントからハイドシル(登録商標)の商品名で市販されている。
【0022】
この有機被覆は、仮焼されたバナジウム含有酸化物層の表面性質に、積極的影響力を持つ。有機被覆が後被覆された表面は、無処理の酸化物よりもより疎水性であり、かつより極性が低く、それ故、カップリング剤および有機溶媒でより好く濡らされる。これが、特に表面被覆に用いられるカップリング剤系と本発明の顔料のより好い相溶性という結果になる。更に、この有機被覆は、顔料表面の立体的遮蔽によって、顔料粒子の凝集を抑え、その分散能を改良する。
【0023】
本発明の目的は、一以上のバナジウム含有の水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の層を、単独でまたは硫酸塩、燐酸塩および/または硼酸塩が混合されて基体に適用し、続いて得られた顔料を仮焼する光安定化効果顔料を製造する方法によって達成される。本発明による方法は、一段階で行われることができ、したがって、費用がかからずまた簡単である。多層構造の基体の場合、本発明による方法は、顔料製造方法中に直接組み込むことができる。
【0024】
バナジウム含有の水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の一以上の層による被覆は、湿式化学法またはゾル・ゲル法で行われ、その沈着は、好ましくは湿式化学法で行われる。湿式化学法を適用する場合は、相応するバナジウム含有の酸化物、水酸化物、および/または酸化物水和物での被覆が生ずる。この目的のために、基体が溶媒または溶媒混合物、好ましくは水に懸濁させられ、水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の層の形成に適合する金属塩の溶液、および一以上のバナジウム化合物が添加される。それぞれの水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の沈着に必要なpHは、当業者に知られている方法で、設定および最適化される。
【0025】
このバナジウム化合物は、水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の層の被覆中に、どの時点でも、また、例えば固体形態で、または一以上のバナジウム化合物の溶液のようなどの様な形態ででも導入できる。バナジウム化合物は、好ましくは溶液形態で加えられる。その際、水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の層形成に適当である金属塩の溶液によって、および/または被覆過程において、例えばpHまたは溶媒量のような被覆要因の設定に必要である補助溶液によって実施することができる。バナジウム化合物は、好ましくはpH調整に必要な補助溶液を介して加えられ、この際の補助溶液は、例えば塩酸または水酸化ナトリウム溶液のような酸または塩基の水溶液である。
【0026】
更なる実施態様では、バナジウム化合物は、水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の層中に、バナジウム濃度が、バナジウム含有層の表面方向に、増大または減少するような勾配で導入される。この勾配形成は、バナジウム添加の時点および速度によって調節される。例えばバナジウム濃度を表面方向に増大しようとするならば、水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の層を、基体へ適用する終点という特定的なバナジウム化合物添加によって形成できる。バナジウム化合物は、ここではpH制御に必要な補助溶液中に加えることができ、この溶液をもって水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の水和物の層が沈着する。所望の勾配の大きさは、添加速度の調節によって可能である。本発明に関連して実行できる、他のあらゆる可能な勾配調整は、当業者の知識の範囲である。
【0027】
適当なバナジウム化合物は、溶媒または溶媒混合物に可溶な種々の酸化状態にあるほぼ全てのバナジウム化合物、例えばバナジウム(IV)またはバナジウム(V)化合物である。特に好ましく使用されるのは、バナジル(IV)塩、例えば塩化バナジルまたは硫酸バナジル、バナジウム酸塩類または酸化バナジウム(V)の溶液、特にメタバナジウム酸ナトリウムである。
【0028】
水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の層形成に好適な金属塩は、対応するハロゲン化物、硝酸塩および/または硫酸塩、対応するハロゲン化物および/または硝酸塩が好ましく用いられる。硫酸塩、燐酸塩および/または硼酸塩は、適当な金属塩からの、あるいは対応する硫酸塩、燐酸塩または硼酸塩の供給源からの酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物と一緒に共沈積される。適当な硫酸塩源は、硫酸および例えばナトリウム硫酸塩、カリウム硫酸塩またはリチウム硫酸塩のようなあらゆる可溶性硫酸塩であり、適当な燐酸源は、燐酸および、例えばナトリウム燐酸塩、燐酸水素二ナトリウム、またはカリウム燐酸塩のようなあらゆる可溶性燐酸塩であり、また、適当な硼酸塩源は、例えばナトリウム硼酸塩または二硼酸ナトリウムのような、あらゆる可溶性硼酸塩である。硫酸塩、燐酸塩および/または硼酸塩の量および例えばpHや温度のような沈着条件は、当業者に知られている方法で最適化される。
【0029】
このようにして得られた顔料は、続いて仮焼される。この仮焼は、300〜900℃、好ましくは600〜900℃で実施される。仮焼によって、沈着された酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物が、脱水され、対応する酸化物に変換されて、圧密化される。
【0030】
本発明による方法の更なる実施態様では、本発明による顔料を風化作用にも抗して更に安定化させる有機被覆が、仮焼されたバナジウム含有酸化物層に追加して適用できる。この有機被覆は、60℃よりも高い、好ましくは70℃よりも高い温度の溶液中で形成される。適合する溶媒は、有機溶剤、水またはそれらの混合物であり、好ましくは水が用いられる。有機被覆の適用に必要な反応時間は、少なくとも5分であり、好ましくは10〜90分であるが、所望により延長もできる。得られた顔料は、当業者によく知られた方法、例えば濾過、乾燥および篩い分けによって単離される。
【0031】
本発明の光安定化効果顔料は、良好な光安定性に加えて、良好な使用特性で識別される。仮焼により、酸化物層は脱水され、圧密化され、顔料表面の空孔率が減少する。圧密化された表面は、少しの水しか吸収されず、したがって表面被覆での界面層への水の吸収による不利な結果が減少できる。仮焼は、また水酸化物または酸化物水和物の形態中の化学的に結合されている水を除去する。これは例えばポリエステルのような熱可塑ポリマー中に存在する水が、昇温下でのポリマーの加水分解の原因になるので、プラスチック中の顔料使用の利点となる。水酸化物または酸化物水和物で被覆された顔料の場合、プラスチックの加工処理中に水の遊離が生じ得るので、望まれないポリマー鎖の分解の原因となる。本発明の顔料の場合、酸化物層の仮焼は、水がプラスチック中の顔料の加工処理間にも出て行かないことを意味し、そのためこの顔料がこの適用範囲に特にふさわしい。
【0032】
改良された使用特性により、ここに記述された光安定化効果顔料は、さまざまの使用に適する。したがって、本発明は、本発明による光安定化効果顔料の使用に関し、プラスチックの着色;例えば水性塗料または粉末塗料の被覆のような表面被覆、ペンキ、印刷用インキ、化粧用配合品、紙、セラミック材料、ガラス、フィルム用;証券印刷分野;例えば彩色種苗のような農業分野;紙またはプラスチックのレーザー・マーキング;熱防護;また、例えばパーレット、ペーストなどの顔料組成物の製造用、印刷インクや表面被覆に用いるのが好ましいペレット、顆粒、細片などのような乾燥配合物の使用に関する。例えば化粧用配合物のように、そこで用いられる材料の毒性が役割を担う使用では、バナジウム含有酸化物層の製造には、バナジウム(IV)化合物の使用が好ましい。本発明の顔料は、カラーシステムで用いられる種々の公知の結合剤に使用することができ、また、水性系と溶剤系の両系に使用できる。この顔料は、当業者に知られている全ての方法によって、それぞれの使用媒体に添加することができる。
【0033】
化粧品の場合、本発明の効果顔料は、例えばマニキュア液、彩色粉おしろい、口紅またはアイシャドー、石鹸、歯磨きなどの装飾化粧製品および配合物に特に適している。本発明による顔料は、勿論、化粧品原料およびいかなる型の助剤も処方中に組み合わせられる。これらとして、とりわけ、油、脂肪、ワックス、フィルム形成料、保存料および、例えばベントナイト、ヘクトライト、珪素二酸化物、Ca珪酸塩、ゼラチン、高分子量炭水化物および/または表面活性助剤等の濃化剤および流動性添加剤のような、一般に応用性を決定する助剤が挙げられる。本発明の顔料を含有する配合物は、親油性、親水性または疎水性でよい。分離した水性相と非水性相を有する不均一配合物の場合、本発明による粒子は、両相の一方に存在しても、両相にわたって分配されていてもどちらでもよい。
【0034】
水性処方のpH値は、1〜14、好ましくは2〜11、特に好ましくは5〜8である。本発明による顔料の配合物中の濃度は、限定されない。それは、使用法次第で0、001(すすぎ落とす製品、例えばシャワーゲル)〜100%(例えば効果顔料を基体として用いる場合の、特定用途用の光沢効果製品)となる。本発明による顔料は、更に、化粧料活性成分と組み合わせてもよい。適当な活性成分は、例えば駆虫剤、UV A/BC−防護フィルター(例えばOMC、B3、MBC)、抗老化活性成分、ビタミンおよびその誘導体(例えばビタミンA、C、E等)、自己日焼け剤(例えばとりわけDHA、エリトロロース)および、他の化粧用活性成分、例えばビサボロール、IPO、エクトイン、エンブリカ、アラントイン、ビオフラボノイドおよびこれらの誘導体である。
本発明による効果顔料は、プラスチック中への使用が特に好適で、例えば農業用シート、赤外反射性フィルム、シート、ギフトフォイル、プラスチック容器および成形物といった当業者に周知のあらゆる使用がある。特にプラスチック中では、本発明による効果顔料の光安定性が、それから製造される製品の耐用期間を延長させるからである。本発明による効果顔料を配合するのが適当なプラスチックは、あらゆる普通のプラスチック、例えば熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である。可能性のある応用とプラスチック、加工処理法と使用できる添加剤は、例えばRD472005中に、またはR.Glausch、M.Kieser、R.Maisch、G.Pfaff、J.Weitzel著、「真珠光沢顔料」、Curt R.Vincentz出版社、1996、83ff.中に記述されており、その開示内容をここに編入する。この配合は、あらゆる公知のプラスチックに、当業者の知っているあらゆる手法、例えば単なる物理的混合により、また、プラスチックに塗られた有機被覆中の対応官能基との反応によって化学的に実施できる。特に、本発明による効果顔料は、例えばあるプラスチックでの使用に必要とされる高い剪断エネルギーが加わる使用法に適している。したがって、驚くことにも、本発明による光安定化は、きわめて大きな機械的応力が付加された後にも依然存続することが見出されている。これは、安定剤と干渉層との極めて強い相互作用によるものである。
【0035】
表面被覆およびインキへのこの顔料の使用については、例えば粉末被覆、水性被覆、自動車塗料;グラビュア、オフセット、スクリーンまたはフレキソ印刷向きの印刷用インキ;または屋外適用の被覆用などの、当業者に知られているあらゆる適用範囲が可能である。 印刷用インキ、多様の結合剤、特に、水溶性タイプの製造に適合するのは、例えば、アクリレート、メタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリビニルブチラート、フェノール樹脂、マレイン樹脂、澱粉、またはポリビニルアルコールを基礎とするものである。この表面被覆は、水系または溶剤系の被覆でよく、構成成分の選択は、当業者の一般知識に任される。本発明による顔料は、例えば、自動車塗料または水系塗料のような、その顔料の格別の安定性により、屋内と屋外の使用の全てに適する表面被覆内に使われる。粉末塗装配合物では、本発明の効果顔料は他の付加的有機被覆なしに簡単に添加することができ、これらの使用において、はっきりした輝きまたはきらめきの効果とともに、明るい金属性光沢を示す。屋外での使用では、粉吹きや灰色化の発生が大幅に遅延し、あるいは高度耐候安定化配合物、いわゆる超耐久性粉末被覆では、ほぼ完全に回避される。先行技術で公知であるシランを基礎とする耐候安定化物の場合、粉末被覆マトリックスとのとの不和合性が、特にいわゆるドライブレンド分野でしばしば発生し、これは焼き固められた粉末被覆層中の強い顔料の会合から明白である。この欠陥が、本発明による効果顔料の場合にはほとんど観察されないのは、主に無機の耐候安定化層による。
【0036】
広範な応用性によって、本発明は、また、一以上の本発明による光安定化効果顔料を含む、プラスチック、塗料、被覆剤、印刷用インキ、化粧品処方、紙、セラミック材料、ガラス、フィルム、種、顔料、顔料組成物および乾燥合剤にも関係する。
【0037】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するためのものであるが、それを限定するものではない。
【実施例】
【0038】
光活性の測定:
顔料試料は、プラスチックマトリックス中に添加されて、Pb2+のPbへの還元度は、目視で観察された。灰色変色の評価は、ISO105−PartA02(DIN54001に対応)による。試験尺度は、5(きわめて良好)から1(きわめて劣等)に亘る。
比較例1:
粒子寸法10−50μmの100gの雲母薄片が、1Lの水に懸濁され、攪拌下で、75℃まで加熱される。このサスペンション中に、3.35gのSnCl4の10%水溶液が1時間のうちに計量しながら供給された。その間、32%水酸化ナトリウム溶液の添加により、pH値が1.8に保たれた。続いての攪拌時間30分の後に、237gのTiCl4の30%水溶液を12時間のうちに、計量しながら供給された。その間、32%水酸化ナトリウム溶液の添加により、pH値が1.8に保たれた。この混合物は、続いて30分間攪拌され、そのpH値は、水酸化ナトリウム溶液を用いて、4.0に調整される。この結果生じた中間物は、雲母含量を基準として、約2%の酸化錫および100%の二酸化チタンを含む。
【0039】
顔料は、濾過により、上澄みから分離され、洗われる。120℃での乾燥の後、顔料は、45分間800℃で仮焼され、得られた青い干渉色を有する効果顔料は、ふるい分け(網目巾63μm)で、粗大な粒分を除去した。この顔料の光活性は1と評価される。
実施例1:
バナジウム顔料が、Ti02層形成間にpHを一定に保つために使われる水酸化ナトリウム溶液に、64mgのバナジン酸ナトリウム・4H2Oを添加して、比較例1に記述したように製造される。この顔料は、その結果として、全重量を基準にして、0.03%の酸化バナジウム(V)のドーピングを含んでいる。この顔料の光活性は3と評価される。
実施例2:
母体の顔料サスペンションが、比較例1に記述したように製造される。続いて、そのpHは、水酸化ナトリウム溶液を使って、6.5に調整される。60mlの水中に3.35gの塩化亜鉛の溶液が、1時間かけて加えられ、この間、その中に53mgのバナジン酸ナトリウムを溶かした5%水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHは一定に保たれる。顔料は、比較例1に記述したようにして製造した。この顔料は、全重量を基に計算して、2%の酸化亜鉛および0.025%の酸化バナジウム(V)を含んでいる。この顔料の光活性は4と評価される。
実施例3:
顔料サスペンションが、基本的に比較例1に記述したように製造される。被覆後、サスペンションのpHは、水酸化ナトリウム溶液を用いて、5.0に調整される。100mlの水に9.5gの塩化アルミニウム・6H2Oの溶液が、1時間をかけて加えられ、その間、その中に100mgの酸化バナジウム(V)が溶解させられていた5%水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHが一定に保たれる。顔料は、比較例1に記述したように作り上げられる。
【0040】
この顔料は、全重量を基に計算して、2%の酸化アルミニウムおよび0.1%の酸化バナジウムを含んでいる。この顔料の塊体の色調は、帯黄色である。この顔料の光活性は3〜4と評価される。
実施例4
顔料サスペンションが、基本的に比較例1に記述したように製造される。被覆の最初の75%では、32%水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHが調整される。残りの被覆用の水酸化ナトリウム溶液には、64mgのバナジン酸ナトリウムが溶解されている。
この顔料は、比較例1に記述したように作り上げられる。この顔料は、全重量を基に計算して、0.025%の酸化バナジウムを含んでいる。製造条件により、ドーピングは勾配のある形で、主に外側のTiO2層中に起こる。この顔料の光活性は3〜4と評価される。
実施例5:
100gの新たに製造してまだ仮焼されていない、4.0%の二酸化錫および62%のルチルで被覆された二酸化珪素薄片が、酸化バナジウムムおよび酸化ジルコニウムの後被覆に関連して、母液中に供給されることになる。5.23gのZrOCl2・8H2Oの5%水溶液が、水酸化ナトリウム溶液を用いてpH3.0に調整され、75℃の温度に保たれているサスペンション(容積約1.5L)中に、激しい攪拌下で、1時間かけて、計量しながら供給される。この間、32mgのNH4VO4が前もって水酸化ナトリウム溶液に加えられていた、5%水酸化ナトリウム溶液の添加によって、pHが一定に保たれる。
続いての30分間の攪拌後に、水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHは4.0に調整され、効果顔料は、濾過により、上澄みから分離され、洗われる。120℃の乾燥の後、顔料は、45分間800℃で仮焼され、得られた緑金色の干渉色を有する顔料は、篩分け(網目巾63μm)で粗大な粒分を除去した。この顔料の光活性は、3−4と評価される。
実施例6:
バナジウム含有顔料が、比較例1の記述のようにして製造される。ここでは、54mgのバナジル(IV)硫酸塩が、TiCl4溶液中に溶解される。この顔料は、全重量を基準にして0.03%のバナジウム(V25として計算)がドーピングされている。この顔料の光活性は、3と評価される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の仮焼されたバナジウム含有酸化物層が、単独であるいは硫酸塩、硼酸塩または燐酸塩が混合されて基体に被覆されてなることを特徴とする、光安定化効果顔料。
【請求項2】
基体が、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたはこれらの材料の混合物からなる、薄片状、球状または針状の支持体および/または透明、半透明および/または不透明の一以上の層で被覆されている、薄片状、球状または針状の支持体であることを特徴とする、請求項1の光安定化効果顔料。
【請求項3】
基体が、一以上の透明、半透明および/または不透明の、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたは、これらの材料の混合物からなる層で被覆された、薄片状、球状または針状の支持体に基づく、チタン酸化物またはチタン酸化物含有基体である、ことを特徴とする、請求項1または2の光安定化効果顔料。
【請求項4】
一以上の透明、半透明および/または不透明の、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたは、これらの材料の混合物からなる層で被覆させられた、薄片状、球状または針状に形作られた、支持体の外層が、チタン酸化物を含むことを特徴とする、請求項3の光安定化効果顔料。
【請求項5】
仮焼されたバナジウム含有酸化物層が、Al、Ca、Sr、Zn、Si、Zr、Ce、Tiの酸化物またはそれらの混合物からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項の光安定化効果顔料。
【請求項6】
バナジウム含有量が、全体の顔料を基にし、V25として計算して、0.002〜0.2重量%であることを特徴とする、請求項1〜5の光安定化効果顔料。
【請求項7】
バナジウム含有酸化物層中のバナジウム濃度が、バナジウム含有酸化物層の表面方向に向かって勾配をもって増大または減少することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項の光安定化効果顔料。
【請求項8】
仮焼されたバナジウム含有酸化物層に、付加的に有機被覆が施されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項の光安定化効果顔料。
【請求項9】
一以上のバナジウム含有の水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物層を、単独であるいは硫酸塩、燐酸塩および/または硼酸塩を混合して基体に被覆し、続いて仮焼することを特徴とする、請求項1の光安定化効果顔料の製造方法。
【請求項10】
基体が、一以上の透明、半透明および/または不透明の、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属弗化物、金属窒化物、金属オキシニトリドまたは、これらの材料の混合物からなる層で被覆された、薄片状、球状または針状の支持体に基づく、チタン酸化物またはチタン酸化物含有基体である、ことを特徴とする、請求項9の光安定化効果顔料の製造方法。
【請求項11】
水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物の層を、湿式化学法および/またはゾル・ゲル法によって、適所に被覆させることを特徴とする、請求項9または10の製法。
【請求項12】
層中のバナジウム含有酸化物濃度が、バナジウム含有酸化物層の表面方向に向かって勾配をもつて増大または減少するように、水酸化物、酸化物水和物および/または酸化物層に、バナジウム化合物が導入されることを特徴とする、請求項9〜11の一項の方法。
【請求項13】
仮焼が、300〜900℃の温度で行われることを特徴とする、請求項9〜12の一項の方法。
【請求項14】
仮焼されたバナジウム含有酸化物層に、付加的に有機被覆が施されていることを特徴とする、請求項9の方法。
【請求項15】
プラスチック、塗料、被覆、印刷用インキ、化粧用配合物、紙、セラミック材料、ガラス、フィルム、証券印刷、レーザー・マーキング、熱防護、彩色種苗、乾燥配合剤または顔料組成物における、請求項1の光安定化効果顔料の使用。
【請求項16】
一以上の請求項1の光安定化効果顔料を含む、プラスチック、塗料、被覆、印刷用インキ、化粧品処方、紙、セラミック材料、ガラス、フィルム、種、顔料組成物または乾燥合剤。

【公表番号】特表2007−505987(P2007−505987A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529713(P2006−529713)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004418
【国際公開番号】WO2004/104110
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】