説明

光安定性有機日焼け止め組成物

本発明は、i)少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めおよびii)少なくとも1種の光安定剤を含む日焼け止めカプセルに関し、さらに、これらのカプセルを含む局所適用のための組成物と、これらのカプセルと組成物の製造および使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願第09/904904号(2001年7月16日に出願され;US20030108492A1の下に公開された)および米国特許出願第10/022343号(2001年12月20日に出願され;US20030157035A1の下に公開された)に関連する。米国の国内段階のためにはこの出願は、Chaudhuri,Ratan K.により2003年6月3日に出願され、「光安定性有機日焼け止め組成物」という名称の出願番号10/452199(代理人整理番号EMI−0057)の一部係属出願である。
【0002】
本発明は、i)少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めおよびii)少なくとも1種の光安定剤を含む日焼け止めカプセルに関し、さらに、それは、これらのカプセルを含む局所適用のための組成物と、これらのカプセルと組成物の製造および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
局所用日焼け止め組成物は、例えば日焼け、ガンおよび光老化のような、日光による急性または慢性の悪影響に対して、露出された皮膚を保護する手段として、屋外での仕事または余暇の際に広く使用されている。多くの効果的な日焼け止め製剤が市販され、あるいは、美容または薬学文献に記載されている。一般に、日焼け止め製剤は、活性成分として紫外線吸収化合物を含む、クリーム、ローションまたはオイルとして調合されている。日焼け止めは、紫外線の透過を遮り、それが皮膚に進入することを防止することにより機能する。
【0004】
Zecchinoら(米国特許第5008100号)によれば、日焼け止め剤を、有効性が低下する順に強い発色体(低分子量有機化合物と、二酸化チタンのような無機化合物)および微弱な発色体(高分子有機固体)とすることができる。
【0005】
有機日焼け止めは、それらが吸収する放射線のタイプに応じて、UV−Aフィルター、UV−Bフィルターまたは広域スペクトルフィルター(1つの分子にUV−AおよびUV−B官能性がある)に分類される。UV−A日焼け止めは、紫外スペクトルの320〜400nmの領域にある放射線を吸収し、UV−B日焼け止めは、紫外スペクトルの290〜320nm領域にある放射線を吸収する。
【0006】
広帯域日焼け止め(UV−AおよびUV−B官能性)は、紫外スペクトルの290〜400nmの領域にある放射線を吸収し、2つの極大をもち、1つはUV−B領域に、他方はUV−A領域にある。
【0007】
UV日焼け止めに関する代表的な参考文献は次の通りである。米国特許第3278448号は、ケイ皮酸誘導体、例えば、2欄20行に4−ヒドロキシ−3,5−ジtertブチル−αカルボエトキシ−ケイ皮酸エーテルエステルを開示し、米国特許第3538226号は、1欄15〜31行、2欄1〜12行ならびに3欄30〜55行および60行にケイ皮酸アルキルエステル誘導体を記載し、米国特許第5175340号は、フェニル環上にヒドロキシル基およびアルコキシ基をもつケイ皮酸アルキルエステル誘導体を記載し、また、米国特許第5830441号は、2欄1〜21行の一般式によりシアノまたはシンナミル基を含むUV吸収剤を記載する。
【0008】
シンナミド化合物を開示する他の参考文献としては、米国特許第5601811号、米国特許第4335054号、米国特許第5124354号、米国特許第5294643号および米国特許第5514711号が挙げられる。
【0009】
残念ながら、日焼け止め組成物またはカプセルに用いられる高発色性低分子有機化合物のいくつかは光安定性でなく、太陽光による損傷からの保護は行われなくなる。例えばUV−A日焼け止めであるアボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体は、通常、光不安定性である。さらに、アボベンゾンの光不安定性は、オクチルメトキシシンナメート(UV−B有機日焼け止め)と組み合わされた場合、相当に増大する。ほとんどの研究において、オクチルメトキシシンナメート(OMC)は、比較的光安定性であると見なされてきた。アボベンゾン(約360nm)およびOMC(約310nm)の吸収極大は、励起1重項−1重項のエネルギー移動が直接起こることを許すほど十分に重なっていない。しかし、一方の励起3重項から他方への移動は、エネルギーレベルが適切であれば可能である。
【0010】
OMCの3重項状態は、8−メトキシソラレンおよび5−メトキシソラレンの3重項状態を消滅させ、続いて、E/Z異性化を受けることが示された(Morliere P.,O.Avice,T.S.Melo,L.Dubertret,M.Giraud and R.Santus,「定常状態および閃光光分解による、いくつかのシンナメート日焼け止めの光化学的性質の研究」Photochem.Photobiol,36,395−399(1982);Morliere P.,G.Huppe,D.Averbeck,A.R.Young,R.SantusおよびL.Dubertret,「ベルガモット油のin−vitro光安定性および光増感性」.シンナメート日焼け止めの効果.J.Photochem.Photobiol.B,Biol,7,199−208(1990))。これは、OMCの3重項状態が3重項エネルギー移動に利用可能であり、続いて化学反応が起こることを明白に示している。
【0011】
驚くべきことに、アボベンゾンの3重項状態が利用できて、適切に重なった3重項状態をもつ近くの別の分子にエネルギーを移せる。OMCが存在すれば適切な標的受容体となる。OMCは3重項状態エネルギー移動を受けると、E/Z光異性化し、次にOMCは光分解する。アボベンゾンの光不安定性により、それらが一緒に存在する場合に、OMCの光分解が引き起こされると思われる。このために、ジベンゾイルメタン誘導体(例えばアボベンゾン)とオクチルメトキシシンナメートを組み合わせた広いスペクトル(UV−AおよびUV−B)の日焼け止め組成物またはカプセルを得ることには限界がある。
【0012】
多くの有機日焼け止めは光安定性がないだけでなく、それらは皮膚または体毛を保護する酸化防止性をもたない。
【0013】
理想的な日焼け止め配合物/組成物は、無毒で、皮膚組織に非刺激性であり、一様で連続的な膜として簡便に塗布することができなければならない。製品は、保管に際しての貯蔵寿命が許容できるものであるように、化学的に、また物理的に安定でなければならない。製剤を付けた後、長期間に渡ってその保護作用が保持されることは特に望ましい。そのためには、活性剤が皮膚上に存在する際には、化学および/または光分解を起こしてはならない。
【0014】
UV吸収組成物を安定化する方法は知られている。この分野における代表的開示として、米国特許第5567418号、米国特許第5538716号、米国特許第5951968号および米国特許第5670140号が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
酸化防止剤は、遊離基による損傷から保護することにより機能すると考えられている。有効な失活剤であるためには、遊離基が発生している所に酸化防止剤が適切な濃度で存在していなければならないと考えられる。酸化防止剤は低濃度で用いられ、別個の成分であるから、それらは発生している所で利用できない恐れがあり、望ましいレベルの皮膚保護を低下させる。これらの欠点から、1つの分子に酸化防止と日焼け止め機能をもつ光安定剤が存在して、皮膚、体毛、塗料、繊維、木材、プラスチック、ポリマー、着色剤、着色ワックス系粒子などを太陽光による損傷に対して保護する効果を向上させた、光安定性日焼け止め組成物またはカプセルを提供することが求められている。
【0016】
ジベンゾイルメタン誘導体を安定化させるのに適する新たな種類の光安定剤が、国際特許出願WO2003/007906Aにより知られている。そこに開示されている最も好ましい光安定剤は、ジアルキルベンザルマロネートまたはそれらの誘導体である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
こうして、本発明は、(a1)少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めおよび(b)少なくとも1種の光安定剤を含むカプセルに関する。
【0018】
このカプセルは、所望により、(a2)少なくとも1種のUV−B液体有機日焼け止めおよび/または(c)少なくとも1種の可溶化剤、および/または(d)少なくとも1種の化学的または薬学的に許容される担体を含有する。特に好ましい組成物は、(a1)、(a2)、(b)および/または(c)と、所望により(d)を含有する。
【0019】
さらに、本発明は、前記の日焼け止めカプセルおよび、局所適用に適する少なくとも1種の担体を含む、局所適用に適する組成物に関する。
【0020】
前記日焼け止めカプセルは、通常、全組成物の重量に対して、0.5〜10%、好ましくは1〜8%のUV−A有機日焼け止めがあるのに必要とされる量で存在する。
【0021】
カプセル中に、前記の少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めと前記の少なくとも1種の光安定剤は、通常約3:1〜約1:3、好ましくは約1:0.8〜1:2の重量比で存在する。
【0022】
特定の実施形態において、本発明は、ジベンゾイルメタンまたはその誘導体類に属する少なくとも1種のUV−A有機日焼け止め;ジアルキルベンザルマロネートまたはその誘導体類に属する少なくとも1種の光安定剤;サリチレートまたはシンナメートまたはこれらの組合せに属することが好ましい少なくとも1種のUV−B液体有機日焼け止め、および/または、エステル、長鎖脂肪酸もしくはアルコールであることが好ましい少なくとも1種の可溶化剤;さらに、所望により、少なくとも1種の化粧品または医薬として許容できる担体を含む、光安定性日焼け止め組成物またはカプセルに関する。
【0023】
前記日焼け止めカプセルは、所望により好ましくは事実上液体でUV−A有機日焼け止めを好ましくは少なくとも15%まで可溶化できる、1種以上の長鎖脂肪アルコールまたはエステルまたはアミドあるいはこれらの組合せを含有する。これらのアルコールまたはエステルは、単独であるいは共可溶化剤として、有機UV−B日焼け止めと組み合わせて、使用できる。本発明に適する例示的な長鎖アルコールまたはエステルとしては、ココグリセリド、デシルオレアート、C12〜C15アルキルベンゾエート、カプリン/カプリントリグリセリド、セタリルエチルヘキシルヘキサノエート、ジオクチルアジペート、グリセリルジラウレート、ステアラミド、ジメチルベハナミド、b−アラニン誘導体、例えば、エチルブチルアセチルアミノプロパン(IR3535)などが挙げられる。長鎖脂肪アルコールまたはエステルは、通常0〜80%の範囲の量でカプセルに存在する。
【0024】
カプセル化された形で有機UVフィルターを用いると利点がある。具体的には、カプセル化により以下の利点が生じる。
【0025】
− UVフィルターの溶解性とは無関係にカプセル壁を親水性にできる。第1に、例えば、疎水性のUVフィルターでさえ純粋に水性の配合物に組み入れることが可能である。さらに、疎水性UVフィルターを含む製剤を付けた際にしばしば不快に感じられるオイルのような印象を防げる。
【0026】
− 特定のUV−Aフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、美容配合物においては劣った光安定性しか示さない。これらのフィルターまたはこれらのフィルターの光安定性を損なう化合物、例えば前記のケイ皮酸誘導体をカプセル化することにより、全体としての配合物の光安定性を向上させることが可能である。ジベンゾイルメタン誘導体を他の光安定剤と一緒にカプセル化することにより、配合物全体の光安定性をさらに向上させることができる。
【0027】
− 文献には、有機UVフィルターが皮膚に浸透すること、およびヒトの皮膚に直接付けた際のそれらに付随する刺激性が繰り返し議論されている。本明細書に提案する相当物質のカプセル化により、皮膚への浸透の問題が克服される。
【0028】
− 日焼け止め製品は、世界中であらゆる年齢と性別の人々により広く使用されているが、これらの製品中の活性成分のいくつかは接触皮膚炎を引き起こす可能性があると言われているだけでなく、いくつかのこれら化学物質の光励起された化学種は光接触皮膚炎を引き起こすかもしれない。また、いくつかの日焼け止め化合物はまた日光の下で1重項酸素の生成を促進する。したがって、シリカのような透明マトリックス中に日焼け止め活性成分をカプセル化することは、それらおよび/または潜在的光分解生成物を、生組織から実質的に隔離しながら、日焼け止めの光吸収能からの利益を得るうまいやり方である。
【0029】
− 一般に、個々のUVフィルターまたは他の成分をカプセル化することにより、相互作用が妨げられるので、結晶化過程、沈殿および塊状化のような、個々の配合成分が互いに相互作用する結果として生じる配合の問題を避けることが可能である。本発明の好ましい一実施形態において、UV−A日焼け止めおよび光安定剤は、可溶化剤と一緒にカプセル化されて、これらの成分の日焼け止め性能はさらに最大限に活用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
こうして本発明によれば、UV−Aフィルター、光安定剤および所望により加えられる1種以上の前述した他のUVフィルターが、カプセル状で存在する。カプセルが非常に小さく、それらが直接目で確認できなければ、さらに有利である。前記の効果を実現するには、カプセルが十分に安定で、カプセル化された活性成分(UVフィルター)を周囲に放出しないかあるいは僅かな程度にそれを放出するだけであることもまた必要とされる。
【0031】
適切なカプセルは無機または有機ポリマーからなる壁を有する。例えば米国特許6242099号は、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンからなる球殻を有する適切なカプセルの調製を記載する。
【0032】
本発明により特に好ましく使用できるカプセルは、出願WO00/09652号、WO00/72806号およびWO00/71084号に記載されているゾル−ゲル法により得られる壁をもつ。本発明の場合においては、それらの壁がシリカゲル(シリカ;不定形酸化ケイ素水酸化物)からなるカプセルが好ましい。対応するカプセルの調製は、例えば上記引用特許出願により当業者に知られており、当該出願内容はまた明らかに本出願の主題の一部をなす。
【0033】
別の好ましい実施形態において、カプセルは、主にオルガノポリシロキサンからなるカプセル壁をもつ。オルガノポリシロキサン壁をもつカプセルを製造する方法は、例えば米国特許第6337089号および米国特許第6252313号に記載されており、これらの特許は参考文献として本明細書に含められる。好ましくは、オルガノポリシロキサンは、次の一般式により表される1種以上の化合物を重縮合させることにより合成される:
nSi(OH)m(4-m-n)
(式中、m+n≦4という条件で、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し;Rは、1個の炭素原子が直接ケイ素原子に結合している有機の基を表し、nが1を超える場合、R基の各々は同じであっても異なっていてもよく;また、Yは、アルコキシ基、水素およびシロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基を表し、(4−m−n)が1を超える場合、各基Yは同じであっても異なっていてもよい)。
【0034】
光安定性を増すために、好ましくは、本発明の日焼け止めカプセルは、米国特許第6468509号、米国特許第6436375号および米国特許第6238650号に記載されるゾル−ゲルカプセル化法により調製される。
【0035】
こうして、少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めおよび少なくとも1種の光安定剤をカプセル壁の前駆体物質と混合し、前駆体を縮合させることによって壁を形成することによる、日焼け止めカプセルの製造方法は、本発明の他の実施形態である。
【0036】
好ましい一実施形態において、前記方法は、前駆体の重縮合がゾル−ゲル過程の間に起こることを含む。
【0037】
前記方法の別の好ましい実施形態において、前駆体はポリシロキサンプレポリマーである。
【0038】
本発明に適する例示的なジベンゾイルメタン誘導体としては、これらに限定されないが、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメチルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンが挙げられる。
【0039】
特に好ましいのは、1(p−tert ブチルフェニル)−3−(p−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン(CAS 70356−09−1)と同じである、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(一般名称はアボベンゾンである)であり、ロッシュより「パルゾール1789」、あるいは、メルクKGaA/EMDケミカルズにより「ユーソレックス9020」の商標で市販されている。この日焼け止めは次の構造式をもつ。
【0040】
【化1】

【0041】
アボベンゾンのエノール形が好ましい日焼け止めである。
【0042】
ジベンゾイルメタン誘導体は、好ましい組成物に、組成物の全重量に対して、0.5重量%〜35重量%の範囲、好ましくは10重量%〜25重量%の範囲の濃度で存在する。
【0043】
本発明の組成物の光安定剤は、通常、日焼け止め活性をもつ化合物である、すなわち、それらは290〜400nmの紫外線領域内で発色性であり、また酸化防止性も示す。
【0044】
好ましくは、光安定剤は、WO2003/007906号において開示されているものの中から選択され、この特許の内容は明らかに本出願の主題の一部をなす。
【0045】
さらに、光安定剤は、好ましくは、式IまたはIIの化合物である:
【0046】
【化2】

【0047】
式中、Aは、発色性を付与する部分であり;R1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2、−C(O)N(R42および−CNからなる群から選択され;Xは、OまたはNHまたはN−C1〜C8アルキルであり;R2は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C20アルキルであり;R3は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C20アルキルであり;各R4は、独立して、水素または直鎖もしくは分岐状のC1〜C8アルキルであり;R5は、水素または直鎖もしくは分岐状C1〜C8アルキルまたは直鎖もしくは分岐状C1〜C8アルコキシであり;R6は、独立して、直鎖もしくは分岐状C1〜C8アルキルである。
【0048】
式IのAは、好ましくは、紫外線波長範囲内で発色して式Iの前記化合物にUV吸収活性を付与する部分であって、部分Aは1つの2価の基または2つの1価の基を含み、少なくとも1つの基がカルボニル(C=O)官能基をもつ。
【0049】
好ましい実施形態において、−R5および−O−R6は、互いに独立して、直鎖もしくは分岐状C1〜C8アルコキシ基から選択され、好ましくは前記の少なくとも1種の式IまたはIIの化合物は、式IIIまたはIVの化合物から選択される少なくとも1種の化合物である。
【0050】
【化3】

【0051】
式中、R1は、−C(O)CH3、−CO2(C1〜C8アルキル)、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1〜C4アルキル)、−C(O)N(C1〜C4アルキル)2および−CNからなる群から選択され;Xは、OまたはNHまたはN−C1〜8アルキルであり;R2は、C1〜C12アルキルである。
【0052】
本発明による好ましいカプセルは、式VまたはVIの化合物から選択される少なくとも1種の化合物である、少なくとも1種の式IまたはIIの化合物を含む。
【0053】
【化4】

【0054】
式中、 R1は、−C(O)CH3、−CO2(C1〜C8アルキル)、−C(O)NH2、−C(O)N(C1〜C4アルキル)2、および−CNからなる群から選択され;Xは、OまたはNHまたはN−C1〜8−アルキルであり;R2は、C1〜C12アルキルであり;R5は、C1〜C8直鎖もしくは分岐状アルキルである。
【0055】
別の好ましいカプセルは少なくとも1種の式IおよびIIの化合物を含み、−R5および−O−R6が、互いに独立して、直鎖もしくは分岐状C1〜C4アルコキシであり、好ましくは、−R5および−O−R6は同じであって、メトキシまたはエトキシである。
【0056】
別の好ましいカプセルは少なくとも1種の式IおよびIIの化合物を含み、Xが酸素であり、R2は、好ましくは、直鎖もしくは分岐状C1〜C4アルキルである。
【0057】
別の好ましいカプセルは少なくとも1種の式IおよびIIの化合物を含み、R1が、CO23、好ましくは、C(O)CH3であり、R3は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである。
【0058】
別の好ましいカプセルは少なくとも1種の式IおよびIIの化合物を含み、R1は、−C(O)N(R42であって、少なくとも1つのR4は水素であり、他方は水素または直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである。
【0059】
別の好ましいカプセルは少なくとも1種の式IおよびIIの化合物を含み、R1は、−C(O)N(R42であって、各R4は、独立して直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである。
【0060】
別の好ましいカプセルは少なくとも1種の式IおよびIIの化合物を含み、XはN−メチルまたはN−エチルである。
【0061】
別の好ましいカプセルは少なくとも1種の式IおよびIIの化合物を含み、R2およびR3の少なくとも一方は、直鎖もしくは分岐状のC8〜C20アルキルであって、好ましくは、R2およびR3は、それぞれ、直鎖もしくは分岐状C8アルキルであるか、あるいは、R2およびR3の少なくとも一方が、直鎖もしくは分岐状のC12〜C20アルキルである。
【0062】
別の好ましいカプセルは少なくとも1種の式IおよびはIIの化合物を含み、式IまたはIIの前記化合物は、エチル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソプロピル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソアミル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、2−エチルヘキシル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、ジエチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−(2−エチルヘキシル)−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジイソアミル−3,5−ジメトキシ4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジパルミトイル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−ドデシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−イソプロピル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、エチル−α−シアノ−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、エチル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソプロピル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、2−エチルヘキシル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、ジエチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−(2−エチルヘキシル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジイソアミル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジパルミトイル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−ドデシル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−イソプロピル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−(2−エチルヘキシル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンジリデンマロネート、ジ−イソアミル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−tert.ブチル−ベンジリデンマロネート、イソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルシンナメート、およびイソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−tert.ブチルシンナメートからなる群から選択される。
【0063】
式IまたはIIの化合物の1種以上は、好ましくは、日光に曝されることによる光分解に対して他の日焼け止め剤を安定化させることができる。
【0064】
好ましい化合物は、下の式IIaの化合物である。
【0065】
【化5】

【0066】
式中、各Rは、独立して、直鎖もしくは分岐状のC1〜C8アルキルであり;R1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2、および−C(O)N(R42、および、−CNからなる群から選択され;Xは、OまたはNHまたはN−C1〜C8アルキルであり;R2は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C20アルキルであり;R3は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C20アルキルであり;各R4は、独立して、水素または直鎖もしくは分岐状のC1〜C8アルキルである。
【0067】
好ましい化合物に含まれるのは、Rが直鎖もしくは分岐状C1〜C4アルキルであり、Xが酸素であり、また、R2が直鎖もしくは分岐状C1〜C12アルキルである、式IIaの化合物である。これらの化合物の中で、より好ましいものは、C(O)CH3またはCO23(R3は直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである)のR1をもつ。R1がC(O)N(R42である化合物では、R4は、好ましくは、水素または直鎖もしくは分岐状C1〜C4アルキルである。
【0068】
2およびR3としてC1〜C4アルキルをもつ化合物が好ましいが、R2およびR3が直鎖もしくは分岐状のC8〜C20アルキルまたはC12〜C20アルキルである化合物は相当に有用である。
【0069】
好ましい化合物群は、R1およびR2が式IIに対して定義されたものであって、R3がC1〜C8アルキルであり、また、R4がC1〜C8アルキルである、式IIIまたはIVの化合物である。
【0070】
【化6】

【0071】
1種以上の式IまたはIIの化合物は、好ましくは、日光に曝されることによる光分解に対して日焼け止め剤を安定化させることができる。
【0072】
好ましい化合物に含まれるのは、R1が直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルであり、Xが酸素であり、また、R2が直鎖もしくは分岐状のC1〜C12アルキルである、式IIの化合物である。これらの化合物の中で、より好ましいものは、C(O)CH3またはCO23(R3は直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである)のR1をもつ。R1がC(O)N(R42である化合物では、R4は、好ましくは、水素または直鎖もしくは分岐状C1〜C4アルキルである。
【0073】
2およびR3としてC1〜C4アルキルをもつ化合物が好ましいが、R2およびR3が直鎖もしくは分岐状のC8〜C20アルキルまたはC12〜C20アルキルである化合物は相当に有用であってもよい。
【0074】
以下において、日焼け止め配合物または日焼け止め組成物として、局所適用に適する組成物がしばしば言及される。これは、これらの組成物が、少なくとも1種のカプセル化されたUV−A日焼け止め化合物を必ず含んでいるという事実による。しかし、本発明による組成物は必ずしも日焼け止め配合物として市販されるわけではない。本発明の組成物は、例えばデイケア、スキンケア、ヘアケアまたはパーソナルケア組成物として市販してもよい。
【0075】
本発明は少なくとも1種の式I〜VIの化合物を含む日焼け止め用配合物も提供する。このような組成物中の式I〜VIの化合物の量は、通常、日焼け止めの全重量に対して、0.1〜40wt%の範囲である。
【0076】
これらの日焼け止め配合物は、UV−Bおよび/またはUV−A線のフィルターとして1種以上の追加の有機日焼け止め剤を含んでいてもよく、あるいは、それらは、1種以上の金属酸化物日焼け止め剤、例えば二酸化チタンまたは酸化亜鉛をさらに含んでもよい。
【0077】
これらの日焼け止め配合物は、さらに、担体と、分散剤、保存剤、消泡剤、芳香剤、オイル、ワックス、噴霧剤、染料、顔料、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、湿潤剤、皮膚摩擦剤(exfoliant)およびエモリエントからなる群から選択される少なくとも1種の成分とを含んでもよい。これらの日焼け止め配合物は、化粧品として許容できる担体と、1種以上の化粧品用補助剤を含む化粧組成物の形態であってもよい。前記日焼け止め配合物は、所望により、UV吸収性をもたない通常の酸化防止剤または他の安定剤を含んでいてもよい。
【0078】
これらの日焼け止め組成物またはカプセルを用いる方法並びに日焼け止め配合物の光安定性を向上させる方法も提供される。日焼け止め配合物を用いる方法は、式I〜VIの化合物を含む日焼け止め配合物を基質に塗布することを含む。好ましい基質は皮膚と体毛である。他の基質としては、これらに限定されないが、塗料、繊維、木材、プラスチック、ポリマー、着色剤、着色ワックス系物品などが挙げられ、本発明の組成物は、これらの基質に塗布されるか、あるいは、このような基質の調製の間に混合される。
【0079】
日焼け止め配合物、特にカプセル内の日焼け止め配合物の光安定性を向上させるために、日焼け止め配合物に光が当てられた時の日焼け止めのUV吸収の低下を少なくするのに十分な量で式I〜VIの化合物が日焼け止め配合物に添加される。典型的な量は、前記日焼け止め配合物の全重量に対して、0.1%〜40wt%の範囲にある。より典型的には、前記の量は、1wt%〜25wt%の範囲内にある。式I〜VIの有機日焼け止め化合物の量は、好ましくは、日焼け止め配合物の約3wt%〜約15wt%の範囲である。先に言及され、また以下により詳細に説明される他の成分は、それぞれ、一般に、日焼け止め配合物の約0.1wt%〜約10wt%の量で用いられる。残りの部分としては、化粧品または医薬として許容できる担体が含まれる。
【0080】
日焼け止め配合物は、活性成分が一様な層として塗布される助けとなるように、分散剤、乳化剤または増粘剤を含んでもよい。日焼け止め配合物に適する分散剤には、例えばキトサンを含めて、水相、油相において、またはエマルジョンの一部として、有機または無機日焼け止め剤を分散させるのに有用であるものが含まれる。
【0081】
乳化剤は、日焼け止め配合物に、1種以上の式I〜VIの化合物あるいは日焼け止め配合物の他の成分を分散させるために使用できる。適切な乳化剤としては、例えば、グリセロールステアレート、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ジメチコンコポリホスフェート、ヘキサデシル−D−グルコシド、オクタデシル−D−グルコシドなどのような通常の乳化剤が挙げられる。
【0082】
増粘剤は、日焼け止め配合物の粘度を増加させるために使用できる。適切な増粘剤には、カルボマー、アクリレート/アクリロニトリルのコポリマー、キサンタンガムおよびこれらの組合せが含まれる。カルボマー増粘剤には、B.F.グッドリッチの架橋カルボポールアクリルポリマーが含まれる。日焼け止め配合物中の増粘剤の量は、水を除いた固形分重量に対して、約0.001〜約5重量%、好ましくは、0.01〜約1重量%、最適には、約0.1〜約0.5重量%の範囲である。
【0083】
皮膚または体毛に塗布される日焼け止め配合物の重要でない任意的な補助成分としては、保存剤、防水剤、香料、消泡剤、植物抽出物(アロエベラ、ウィッチヘーゼル、キュウリなど)、乳白剤、スキンコンディショニング剤および着色剤が挙げられ、それぞれ個々の機能を果たすのに効果のある量で用いられる。
【0084】
日焼け止め配合物は、所望により防水性を高める成分、例えばジメチコンコポリオールホスフェート、ジイソステアロイルトリメチロールプロパン、シロキシシリケート、キトサン、ジメチコン、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート、PVP/エイコセンのコポリマーおよびアジピン酸/ジエチレングリコール/グリセリンのクロスポリマーなどのようなポリマー膜を形成する化合物を含んでもよい。防水剤は、約0.01〜約10重量%のレベルで存在する。
【0085】
所望により、日焼け止め配合物は、1種以上のスキンコンディショニング剤を含み得る。これらには、湿潤剤、皮膚摩擦剤およびエモリエントが含まれる。
【0086】
湿潤剤は、潤いを与え、鱗屑の形成を減らし、また、蓄積した鱗屑が皮膚から取り除かれるように促すことを目的とする多価アルコールである。典型的な多価アルコールには、ポリアルキレングリコール、より好ましくは、アルキレンポリオールとそれらの誘導体が含まれる。例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボキシレート、ヒドロキシプロピルソルビトール、へキシレングリコール、エトキシジグリコール1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリンおよびこれらの混合物が含まれる。最も好ましい湿潤剤はグリセリンである。湿潤剤の量は、日焼け止め組成物またはカプセルの重量に対して、1〜30重量%、好ましくは、2〜20重量%、最適には、約5〜10重量%の範囲である。
【0087】
本発明において使用するのに適する皮膚摩擦剤は、α−ヒドロキシカルボン酸、βヒドロキシカルボン酸およびこれらの酸の塩から選択できる。最も好ましいのは、グリコール酸、乳酸およびサリチル酸、ならびにこれらのアルカリ金属またはアンモニウムの塩である。
【0088】
適切なエモリエントには、皮膚または体毛を柔軟にする目的で知られている作用剤が含まれ、それらは、炭化水素、脂肪酸、脂肪アルコールおよびエステルから選択できる。ワセリンは、一般的な炭化水素性のエモリエントコンディショニング剤である。使用できる他の炭化水素には、アルキルベンゾエート、ミネラルオイル、ポリデセンのようなポリオレフィン、およびイソヘキサデカンのようなパラフィンが含まれる。脂肪酸および脂肪アルコールは、通常、約10〜30個の炭素原子をもつ。例には、ミリスチン、イソステアリン、ヒドロキシステアリン、オレイン、リノール、リシノール、ベヘンおよびエルカの酸ならびにアルコールがある。エステルエモリエントは、トリグリセリドエステル、アセトグリセリドエステル、エトキシル化グリセリド、脂肪酸のアルキルエステル、エーテルエステル、多価アルコールエステルおよびワックスエステルから選択される1種以上であってもよい。他のエモリエントまたは疎水性の作用剤としては、C12〜C15アルキルベンゾエート、ジオクチルアジペート、オクチルステアレート、オクチルドデカノール、ヘキシルラウレート、オクチルドデシルネオペンタノエート、シクロメチコン、ジカプリルエーテル、ジメチコン、フェニルトリメチコン、イソプロピルミリステート、カプリル/カプリングリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、およびデシルオレエートが挙げられる。
【0089】
日焼け止め配合物は、所望により微細な表面処理二酸化チタンと、微細な未処理および表面処理酸化亜鉛を含む1種以上の前記無機日焼け止め剤を含んでもよい。好ましくは、日焼け止め組成物またはカプセル中の二酸化チタンは、5〜150nm、好ましくは10〜100nmの平均1次粒子径をもつ。二酸化チタンは、アナターゼ、ルチルまたは非晶質構造であってもよい。好ましくは、日焼け止め組成物またはカプセル中の酸化亜鉛は、5nm〜150nm、好ましくは10nm〜100nmの平均1次粒子径をもつ。
修飾二酸化チタン組成物の例としては、以下が挙げられる。
【0090】
ユーソレックス(登録商標)T−45D(アルミナおよびシメチコンで表面処理、45%のイソノニルイソノノエート(isononoate)分散物);
ユーソレックス(登録商標)T−Aqua(水酸化アルミニウムで表面処理、25%の水分散物);
ユーソレックス(登録商標)T−2000(アルミナおよびシメチコンで表面処理);および
ユーソレックス(登録商標)T−AVO(シリカで表面処理);全てメルクKGaA/EMDケミカルズから入手可能。
【0091】
日焼け止め配合物はまた、1種以上の追加の低分子有機発色化合物も含んでもよい。これらは、UV−A、UV−Bまたは広帯域フィルターであってもよい。適切なUV−A日焼け止めには、ベンゾフェノン誘導体、メンチルアンスラニレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、およびベンジリデン−ジオキソイミダゾリン誘導体が含まれる。
【0092】
UV−B有機日焼け止めは、好ましくは液体であり、好ましくはジベンゾイルメタン誘導体を、好ましくは少なくとも15%まで可溶化できる。適切なUV−B日焼け止めの例としては、シンナメート、サリチレートおよびジフェニルアクリレート、これらの誘導体およびこれらの組合せが挙げられる。好ましいUV−B日焼け止めは、サリチレートまたはシンナメート単独、あるいは組合せである。特に、本発明に適する好ましいUV−B有機日焼け止めとしては、サリチレート誘導体およびシンナメート誘導体が挙げられる。
【0093】
サリチレート、例えば、ホモサラート、エチルヘキシルサリチレートおよびジプロピレングリコールサリチレートは、λmax約306nmをもつUV−B吸収剤である。
【0094】
【化7】

【0095】
他のサリチレートもまた本発明により含まれる。本発明の組成物は、所望により0〜80%の範囲の量で存在する少なくとも1種のサリチレートを含む。
【0096】
シンナメート誘導体、例えば、エチルヘキシルメトキシシンナメート(4A)、イソアミル−p−メトキシシンナメート(4B)、シノキサート(4C),イソプロピルメトキシシンナメート(4D),ジイソプロピルメチルシンナメート(4E)およびグリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート(4F)は、全て、λmax約310nmをもつUV−B吸収剤である。
【0097】
【化8】

【0098】
他のシンナメートもまた本発明により含まれる。本発明の組成物は、所望により0〜80%の範囲の量で存在する少なくとも1種のシンナメートを含む。
【0099】
適切な広帯域日焼け止めの例としては、ベンゾトリアゾール誘導体および、アニソトリアゾン(anisotriazone)のようなトリアジン誘導体が含まれる。他には、エチルヘキシルトリアゾンおよびジエチルヘキシルブタミドトリアゾンが挙げられる。
【0100】
導入し得る特に有用な有機日焼け止め剤は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル p−アミノ安息香酸、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセロール p−アミノベンゾエート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p−ジメチルアミノ安息香酸、2−エチルヘキシル p−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル−5−スルホニオベンゾオキサゾン酸およびこれらの混合物である。
【0101】
導入し得る有用な市販の有機日焼け止め剤の例には、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、4−イソプロピルジベンゾイルメタンがあり、全て、EMDケミカルズ社(米国)およびメルクKGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により販売されている、ユーソレックス(商標)シリーズである。所望により、全ての追加の有機UVフィルターは、別に、あるいは混合物としてカプセル化されて、カプセル化された形で使用できる。これらの有機UVフィルターは、通常、0.5〜10重量%、好ましくは1〜8%の量で配合物中に組み込まれる。
【0102】
日焼け止め配合物はさらなる酸化防止剤を含んでもよい。安定性を付与する適切な酸化防止剤の例には、p−ヒドロキシ安息香酸およびその誘導体(p−ヒドロキシ安息香酸のエチルイソブチル、グリセリルエステル);サリチレート(オクチルアミル、フェニル、ベンジル、メンチル、グリセロールおよびジプロピレングリコールエステル);クマリン誘導体;フラボン類;ヒドロキシもしくはメトキシ置換ベンゾフェノン;尿酸またはタンニン酸およびその誘導体が含まれる。
【0103】
UVを吸収するレベルで日焼け止め活性を付与する以外に、式I〜VIの化合物を、スキンケア配合物、ヘアケア配合物または、化粧品配合物のような他のパーソナルケア配合物に、酸化防止活性を付与するレベルで組み入れることができる。これらの化合物は、ヘアケア、スキンケアおよび化粧品の配合物などのパーソナルケア配合物に、通常の酸化防止剤と共に、あるいはそれなしで使用できる。
【0104】
さらなる酸化防止機能をもたせるためには、式IまたはIIの化合物のフェニル基は、「3,5−アルコキシ,4−ヒドロキシ」または「3−アルコキシ−4−ヒドロキシ」の置換基様式をもつべきであることが見出された。式IまたはIIの化合物はまた、UV吸収機能(UV領域における発色)を与える、拡張された芳香環との共役をもつ。非芳香族官能基の構造は広い範囲で変わり得て、上の式II、III、およびIVにおいて例が与えられている。
【0105】
好ましくは、本発明の日焼け止め配合物により、約290nm〜400nmの波長をもつ紫外線から、好ましくは約290〜370nmの範囲の波長から保護される。本発明の日焼け止め配合物はまた、通常、約2〜60の範囲の日焼け防止指数(SPF)、好ましくは約10〜約45のSPF範囲を有する。目標とするSPF範囲は、無機および有機発色化合物の組合せにより実現できる。SPFは、連邦官報,August 25,1978,Vol.43,No.166,pages 38259−38269(処方箋なしで販売されるヒト用の日焼け止め薬剤),連邦食品医薬品局)に記載のように、ヒトの皮膚上で当技術分野で周知の方法により求められる。例えば、J.Soc.Cosmet.Chem.44:127−133 (May/June 1989)に記載のようにin−vitroモデルを用いて、SPFのおよその値を求めることも可能である。
【0106】
本発明の組成物は、通常の手段により、記載されるようにして調製できる。前記の日焼け止めカプセルと局所適用に適する担体とを混合することによる、局所適用のための組成物の製造方法は、本発明の他の実施形態である。
【0107】
WO2003/007906Aに記載されているようにして、式I〜VIの化合物を得ることができる。例えば、好ましい化合物は、対応する、式Bの3,5−ジアルコキシ,4−ヒドロキシベンズアルデヒド(式中、Rは上に定義された通りである):
【0108】
【化9】

【0109】
と、先に定義されたUV吸収部分「A」を与える化合物との縮合により得ることができる。例は、式、R1−CH2−C(O)XR2(R1およびR2およびXは先に定義された通りである)の化合物である。
【0110】
式Bのベンズアルデヒドは市販品から得られる、あるいは、4位の選択的脱モノメチル化により3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒドから調製できる。別法として、シリンガアルデヒドは、3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ブロモベンズアルデヒドから、ナトリウムメトキサイドを用いてブロムをメトキシで置換することにより調製できる。この方法によりシリンガアルデヒドが得られる。次に、シリンガアルデヒドを、マロン酸エステルまたはアセチルアセトアセテートまたは類似の化合物と縮合させて、望みのUV吸収構造が得られる。
【0111】
本発明での2種の化合物の調製方法が下に例示される。
【0112】
【化10】

【0113】
一実施形態において、本発明は、i)少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めおよびii)少なくとも1種の式VIIの化合物:
【0114】
【化11】

【0115】
(式中、各Rは、独立して、直鎖もしくは分岐状のC1〜C8アルキルであり;R1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2、−C(O)N(R42および−CNからなる群から選択され;Xは、OまたはNHまたはN−C1〜C8アルキル、好ましくはN−メチルまたはN−エチルであり;R2は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C20アルキルであり;R3は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C20アルキルであり;また、R4は、独立して、水素または直鎖もしくは分岐状のC1〜C8アルキルである)を含む、日焼け止め組成物またはカプセルに関し、前記組成物は、所望により、少なくとも1種のUV−B液体有機日焼け止めおよび/または少なくとも1種の可溶化剤を含む。
【0116】
別の実施形態において、式IIのR1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42からなる群から選択される。別の実施形態において、RはC1〜C4アルキルであり、Xは酸素であり、またR2は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである。さらに別の実施形態において、R1はCO23であり、R3は直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである。別の実施形態において、R1はC(O)CH3である。さらに別の実施形態において、R1は−C(O)N(R42であり、少なくとも1つのR4は水素であり、他方は水素または直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである。さらに別の実施形態において、R1は−C(O)N(R42であり、各R4は、独立して、直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである。さらに別の実施形態において、RはC1〜C4アルキルであり、R1はCO23であり、R2およびR3の少なくとも1つは直鎖もしくは分岐状のC8〜C20アルキルである。別の実施形態において、R2およびR3はそれぞれ直鎖もしくは分岐状のC8アルキルである。さらに別の実施形態において、R2およびR3の少なくとも1つは直鎖もしくは分岐状のC12〜C20アルキルである。別の実施形態において、Rはメチルまたはエチルである。
【0117】
別の実施形態において、UV−A有機日焼け止めは、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンであり、式IIの化合物は、ジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−ベンザルマロネートである。
【0118】
別の実施形態において、前記の4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンとジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−ベンザルマロネートは、約3:1〜約1:3、好ましくは、約1:0.8〜1:2の重量比で存在する。
【0119】
さらに別の実施形態において、本発明のカプセルは、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンを含み、式IIの化合物は、ジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−ベンザルマロネートおよびホモサラートである。
【0120】
別の実施形態において、UV−A有機日焼け止めは、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンであり、式IIの化合物は、ジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−ベンザルマロネートである。別の実施形態において、前記の4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンとジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−ベンザルマロネートは、1:2または1:3の比で存在する。
【0121】
さらに別の実施形態において、本発明のカプセルは、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−ベンザルマロネートおよびオクチルメトキシシンナメート(オクチノキセート)を含む。
【0122】
別の実施形態において、本発明の日焼け止め組成物またはカプセルは、i)少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めおよびii)少なくとも1種の式IIIまたはIVの化合物
【0123】
【化12】

【0124】
(式中、R1は、−C(O)CH3、−CO2(C1〜C8アルキル)、−C(O)NH2、−C(O)N(C1〜C4アルキル)2および−CNからなる群から選択され;XはOまたはNHまたはN−Cl〜C8アルキルであり;R2は、C1〜C12アルキルである)を含み、前記組成物は、所望により、少なくとも1種のUV−B液体有機日焼け止めおよび/または少なくとも1種の可溶化剤を含む。
【0125】
別の実施形態において、式IIIまたはIVのR1は、−C(O)CH3、−CO2(C1〜C8アルキル)、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1〜C4アルキル)、および−C(O)N(C1〜C4アルキル)2からなる群から選択される。別の実施形態において、Xは酸素であり、R2は直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルであり、R1は,−CO2(C1〜C4アルキル)、−C(O)NH(C1〜C4アルキル)、−C(O)CH3、−C(O)NH2、および−C(O)N(C1〜C4アルキル)2からなる群から選択される。さらに別の実施形態において、R1は、−CO2818である。
【0126】
別の実施形態において、式IIの化合物は、以下からなる群から選択される:エチル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;イソプロピル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;イソアミル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;2−エチルヘキシル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;ジエチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジ−(2−エチルヘキシル)−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジイソアミル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジパルミトイル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジ−ドデシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;およびジ−イソプロピル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート。
【0127】
別の実施形態において、式IIの化合物は、290〜400nmの範囲、好ましくは320nmを超える波長の放射線を吸収するのに有効な量で存在する。
【0128】
一実施形態において、日焼け止め組成物またはカプセルは、0.1〜40wt%の式IIの化合物と、所望により、UV−B線、UV−A線または両方のフィルターとなる追加の有機日焼け止め剤を含み、前記作用剤は無機金属酸化物日焼け止め剤であってもよい。好ましくは、式IIの化合物は、追加の日焼け止め剤を光に曝されることによる分解に対して安定化する。
【0129】
別の実施形態において、本発明は、本発明の日焼け止め組成物またはカプセルまたはパーソナルケア組成物を基質、例えば皮膚または毛髪に塗布することを含む、紫外線から基質を保護する方法に関する。
【0130】
別の実施形態において、本発明は、i)少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めおよびii)エチル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;イソプロピル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;イソアミル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;2−エチルヘキシル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;ジエチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジ−(2−エチルヘキシル)−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジイソアミル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジパルミトイル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジ−ドデシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;およびジ−イソプロピル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、日焼け止め組成物またはカプセルに関する。この日焼け止めは、さらに、少なくとも1種のUV−B液体有機日焼け止めおよび/または少なくとも1種の可溶化剤を含んでいてもよく、ゾル−ゲル法によるカプセル化により調製されることが好ましい。
【0131】
別の実施形態において、日焼け止め組成物またはカプセルは、式IIの化合物以外の酸化防止剤をさらに含む。この酸化防止剤は、例えば、トコフェロール、トコフェリルアセテート、アスコルビン酸、エンブリカ酸化防止剤、プロアントシアニジン、ローズマリー酸化防止剤、緑茶ポリフェノール、没食子酸、エラグ酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)および/またはブチルヒドロキシアニソール(BHA)であってもよい。
【0132】
別の実施形態において、式IまたはIIの化合物は、エチル−α−シアノ−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;エチル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;イソプロピル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;イソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;2−エチルヘキシル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート;ジエチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジ−(2−エチルヘキシル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジイソアミル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジパルミトイル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジ−ドデシル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジ−イソプロピル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート;ジ−(2−エチルヘキシル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンジリデンマロネート;ジ−イソアミル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−tert.ブチル−ベンジリデンマロネート;イソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルシンナメート;およびイソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−tert.ブチルシンナメートからなる群から選択される。
【0133】
別の実施形態において、式IまたはIIの化合物は、290〜400nmの範囲、好ましくは320nmを超える波長の放射線を吸収するのに有効な量で存在する。
【0134】
一実施形態において、日焼け止め組成物またはカプセルは、0.1〜40wt%の式IまたはIIの化合物を含み、所望により、UV−B線、UV−A線または両線のフィルターとなる追加の有機日焼け止め剤を含み、この日焼け止め剤は、無機金属酸化物日焼け止め剤であってもよい。好ましくは、式IまたはIIの化合物は、追加の日焼け止め剤を光に曝されることによる分解に対して安定化する。
【0135】
i)少なくとも1種の前記のカプセルおよびii)局所適用に適する担体を含む局所適用のための組成物は、本発明のさらなる実施形態である。
【0136】
好ましくは、局所適用のための組成物は、iii)保存剤、消泡剤、芳香剤、オイル、ワックス、噴霧剤、染料、顔料、防水剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、湿潤剤、皮膚摩擦剤およびエモリエントからなる群から選択される、少なくとも1種の補助剤をさらに含む。
【0137】
局所適用のための組成物は、好ましくは、クリーム、軟膏、懸濁液、粉末、油性ローション、含油アルコールローション、脂肪ゲル、含油アルコールゲル、固形スティック、気泡、エマルジョン、分散液、スプレー、エアロゾル、口紅、ファンデーション、メイクアップ、ルースまたはプレス粉末、アイブラッシュ、アイシャドウおよびネイルエナメルからなる群から選択される形態になっている。
【0138】
局所適用のための組成物は、好ましくは、UV−B線、UV−A線または両線のフィルターとなる少なくとも1種の追加の有機日焼け止め剤を含み、好ましくは、UV−B線、UV−A線または両線のフィルターとなる追加の有機日焼け止め剤の少なくとも1種はカプセル化されている。
【0139】
別の実施形態において、局所適用のための組成物は、トコフェロール、トコフェリルアセテート、アスコルビン酸、エンブリカ酸化防止剤、プロアントシアニジン、ローズマリー酸化防止剤、緑茶ポリフェノール、没食子酸、エラグ酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)およびブチルヒドロキシアニソール(BHA)からなる群から好ましくは選択される、少なくとも1種の他の酸化防止剤を含む。
【0140】
さらに別の実施形態において、日焼け止め組成物またはカプセルは、式Vの化合物以外の光安定剤を含まず、式Vの化合物は、前記日焼け止め配合物の0.1%〜40wt%の範囲内の量で存在する。
【0141】
別の実施形態において、日焼け止め組成物またはカプセルは、式Vの化合物以外の酸化防止剤を含み、他の前記の酸化防止剤は、例えば、トコフェロール、トコフェリルアセテート、アスコルビン酸、エンブリカ酸化防止剤、プロアントシアニジン、ローズマリー酸化防止剤、緑茶ポリフェノール、没食子酸、エラグ酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)およびブチルヒドロキシアニソール(BHA)であってもよい。
【0142】
さらに別の実施形態において、式Vの化合物は、酸化から配合物の成分を保護するのに有効な量で存在する。
【0143】
さらに別の実施形態において、本発明は、前記の日焼け止め組成物またはカプセルを基質に塗布することを含む、紫外線から基質を保護する方法に関する。
【0144】
さらに詳細に記載しなくても、当業者は、これまでの説明を用いて、本発明を十分に利用することができると考えられる。したがって、以下の好ましい具体的な実施形態は、単なる例示であり、如何なる仕方においても開示の他の部分を制限しないと解釈されるべきである。本明細書において引用された全ての出願、特許および公報の全ての開示と優先権書類の開示は、参照を通じて本明細書に組み込まれる。以下の実施例は全てが必ずしも実際に実施されたわけではない。
【実施例】
【0145】
A.光安定剤の調製
実施例I
2−エチルヘキシル−α−アセト−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート
3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒドの硫酸を用いる40℃で8時間のモノ脱メチル化により3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(シリンガアルデヒド)が生成する。シリンガアルデヒドと2−エチルヘキシルアセトアセテートを、反応媒体としてのピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で持続的な共沸下で水を除去しながら縮合することにより、標記生成物を得る。反応は約1.5時間で終了する。収量は代表的には92%である。

実施例II
ジエチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒドの硫酸を用いる40℃で8時間のモノ脱メチル化により上記実施例Iと同様にシリンガアルデヒドを生成する。
【0146】
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(シリンガアルデヒド)とジエチルマロネートを、反応媒体としてのピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で持続的な共沸下で水を除去しながら縮合することにより、標記生成物を得る。反応は約7.5時間で終了する。
実施例III
エチル−α−メチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート
3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒドの硫酸を用いる40℃で8時間のモノ脱メチル化により上記実施例Iと同様にシリンガアルデヒドが生成する。
【0147】
トリフェニルホスフィンとエチル−2−ブロモプロピオネートをベンゼン媒体中で70〜75℃で8時間反応させ、次いで1N水酸化ナトリウムによりフェノールフタレインの終点まで室温で塩基性化することにより、ウィッティヒ塩を調製する。ベンゼンによる抽出、ベンゼン抽出物の濃縮および石油エーテル(60〜80℃)の添加によりトリフェニルメチルカルボエトキシメチレンホスホランが固体生成物として生成する。3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(シリンガアルデヒド)とトリフェニルメチルカルボエトキシメチレンホスホランをキシレン中、還流温度で7時間縮合し、後処理した後標記の化合物が生成する。
実施例IV
エチル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−シンナメート
3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒドの硫酸を用いる40℃で8時間のモノ脱メチル化により上記実施例Iと同様にシリンガアルデヒドが生成する。
【0148】
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(シリンガアルデヒド)とエチルアセトアセテートを反応媒体としてピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で縮合することにより標記生成物を得る。反応は約3.5時間で終了する。
実施例V
ジ−(2−エチルヘキシル)−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒドの硫酸を用いる40℃で8時間のモノ脱メチル化により上記実施例Iと同様にシリンガアルデヒドが生成する。2−エチルヘキシルアルコールを用い、窒素雰囲気中、硫酸の存在下、140〜155℃で2時間、無溶媒条件でジエチルマロネートをエステル交換し、後処理した後高真空の蒸留をすることにより、ジ−6−エチルヘキシルマロネートを得る。
【0149】
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(シリンガアルデヒド)とジ−2−エチルヘキシルマロネートを反応媒体としてピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で持続的な共沸下で水を除去しながら縮合することにより、ジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートが生成する。反応は約9時間で終了する。収量は代表的には91%である。
実施例VI
ジ−イソアミル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
ジ−2−エチルヘキシルマロネートをジ−イソアミルマロネートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例Vを繰り返した。収量は代表的には90%を超えた。
実施例VII
ジ−イソプロピル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
ジ−2−エチルヘキシルマロネートをジ−イソプロピルマロネートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例Vを繰り返した。収量は代表的には90%を超えた。
実施例VIII
ジ−ドデシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
ジ−2−エチルヘキシルマロネートをジ−ドデシルマロネートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例Vを繰り返した。収量は代表的には90%を超えた。
実施例IX
イソ−プロピル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−シンナメート
エチルアセトアセテートをイソ−プロピルアセトアセテートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IVを繰り返した。目的物の収量は88%であった。
実施例X
イソ−ブチル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−シンナメート
エチルアセトアセテートをイソ−ブチル−アセトアセテートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IVを繰り返した。目的物の収量は89%であった。
実施例XI
イソ−アミル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−シンナメート
エチルアセトアセテートをイソ−アミルアセトアセテートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IVを繰り返した。目的物の収量は89%であった。
実施例XII
エチル−α−シアノ−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート
バニリンとエチルシアノアセテートを反応媒体としてピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で持続的な共沸下で水を除去しながら縮合することにより、標記の生成物を得る。反応は約1.5時間で終了する。収量は代表的には95%である。
実施例XIII
ジエチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
3−メトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(バニリン)とジエチルマロネートを反応媒体としてピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で持続的な共沸下で水を除去しながら縮合することにより、標記の生成物を得る。反応は約6.5時間で終了する。
実施例XIV
エチル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−シンナメート
3−メトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(バニリン)とエチルアセトアセテートを反応媒体としてピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で縮合することにより標記の生成物を得る。反応は約3.5時間で終了する。
実施例XV
ジ−(2−エチルヘキシル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
2−エチルヘキシルアルコールを用い、窒素雰囲気中、硫酸の存在下、140〜155℃で2時間、無溶媒条件でジメチルマロネートをエステル交換し、後処理した後高真空の蒸留をすることにより、ジ−6−エチルヘキシルマロネートを得る。
【0150】
3−メトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(バニリン)とジ−2−エチルヘキシルマロネートを、反応媒体としてのピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で持続的な共沸下で水を除去しながら縮合することにより、ジ−2−エチルヘキシル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートを生成する。反応は約9時間で終了する。収量は代表的には91%である。
実施例XVI
ジ−イソアミル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−ベンジリデンマロネート
ジ−2−エチルヘキシルマロネートをジ−イソアミルマロネートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IVを繰り返す。収量は代表的には90%を超える。
実施例XVII
ジ−イソプロピル−3−エトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
ジ−2−エチルヘキシルマロネートをジ−イソプロピルマロネートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IVを繰り返す。収量は代表的には90%を超える。
実施例XVIII
ジ−ドデシル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート
ジ−2−エチルヘキシルマロネートをジ−ドデシルマロネートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IVを繰り返す。収量は代表的には90%を超える。
実施例XIX
イソ−プロピル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−シンナメート
エチルアセトアセテートをイソ−プロピルアセトアセテートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IIIを繰り返す。目的物の収量は88%である。
実施例XX
イソ−ブチル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−シンナメート
エチルアセトアセテートをイソ−ブチルアセトアセテートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IIIを繰り返す。目的物の収量は89%である。
実施例XXI
イソ−アミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−シンナメート
エチルアセトアセテートをイソ−アミルアセトアセテートで置き換えて縮合工程を行う以外、実施例IIIを繰り返す。目的物の収量は89%である。
実施例XXII
ジイソアミル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルベンジリデンマロネート
3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルベンズアルデヒドとジ−イソアミルマロネートを、反応媒体としてのピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で持続的な共沸下で水を除去しながら縮合することにより、標記の生成物を得る。反応は約3時間で終了する。収量は代表的には90〜95%である。
実施例XXIII
イソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−シンナメート
3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルベンズアルデヒドとイソアミルアセトアセテートを、反応媒体としてのピペリジン−酢酸およびベンゼンの存在下、還流温度で持続的な共沸下で水を除去しながら縮合することにより、標記の生成物を得る。反応は約4時間で終了する。収量は代表的には90〜95%である。
B.同時カプセル封入材料の調製
実施例1A:ホモメチルサリチレート(ホモサラート,HMS),ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン,BMDBM)およびジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート(オキシネックスST)の同時カプセル封入
10gのBMDBMを30gのHMSおよび10gのオキシネックスSTに溶解する。得られた混合物を51.4gのテトラエトキシシラン(TEOS)に溶解し、基本的にS25KR−18G分散装置(IKA)を備えたウルトラ−トゥラックスT−25を用い、高剪断力で、有機相を1%のセチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)を含有する240gの水溶液に19,000rpmで乳化させる。均一化プロセスの間、容器壁を氷−水浴に浸漬することにより冷却する。pH11.3の350NaOH水溶液を含有する、ユーロスターパワーコントロール−ビスクP4撹拌機を備えたIKA LR−A1000実験室用反応装置中に得られた乳濁液を注ぐ。乳濁液を室温で24時間撹拌する。生成物を20,000gの遠心分離により沈殿させ、脱イオン水に再懸濁させることにより洗浄し、再度沈殿させ、最後に1%のポリビニルピロリドン(PVPK30、ISP)中に再懸濁させ、懸濁液中に21.4%のHMS、7.5%のBMDBMおよび7.8%のオキシネックスSTを含有する安定な分散物を得る。
【0151】
得られた懸濁液は1.828の粒径D−90を有し、滑らかで、心地よい感触があり、種々の化粧品媒体と組み合わせて日焼け防止組成物または紫外線から皮膚を保護するのに有効なカプセルを得ることができる。
実施例2A:ホモサラート(HMS)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)およびジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート(オキシネックスST)の同時カプセル封入
ジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート(オキシネックスST)の量を15gに増やし、かつHMSの量を25gに減らす以外、実施例1Aを繰り返す。上記の通常の方法により懸濁液中に18.2%のHMS、7.4%のBMDBMおよび12.1%のオキシネックスSTを含有する安定な分散を得る。
実施例3A:ホモサラート(HMS)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)およびイソアミル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメートの同時カプセル封入
ジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートの代わりにイソアミル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメートを用いる以外、実施例1Aを繰り返す。
実施例4A:オクチルサリチレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)およびジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートの同時カプセル封入
ホモメチルサリチレートをオクチルサリチレートで置き換える以外、実施例1Aを繰り返す。
実施例5A:カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)およびジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートの同時カプセル封入
ホモメチルサリチレートをカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドで置き換える以外、実施例1Aを繰り返す。
実施例6A:メトキシ(エトキシ)n−プロピルジヒドロキシメチルシラン、メチルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランの加水分解物の共重縮合物から構成されるオルガノポリシロキサンからなるカプセル壁を有する、ホモサラート(HMS)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)およびジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート(オキシネックスST)の同時カプセル封入
a)カプセル壁の前駆ポリマーの調製
12cmの内径を有し、機械撹拌装置を備え、滴下漏斗および還流冷却器を備えた上蓋を有する2リットルの丸底筒状ガラス反応容器に予め90gの水、10gのポリオキシエチレン修飾シリコーン[信越シリコーン株式会社製、KF−354A(商標名)、およびメトキシ(エトキシ)n−プロピルジヒドロキシメチルシランの両末端をトリメチルシリル基で置換することにより調製する]および0.2gの18%塩酸を装入する。4.4gのメチルトリエトキシシランおよび1.2gのフェニルトリエトキシシランの混合物を50℃で撹拌しながら滴下漏斗から滴下して加える。混合物をさらに50℃で6時間撹拌し、次いで撹拌しながら1.6gの4%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して加え、pHを7.0に調整する。その後混合物を50℃で1時間撹拌する。
【0152】
b)コア材料の添加および乳化
5.0gのホモサラート(HMS)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDBM)およびジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート(3:1:1w/w比)の混合物を1)の方法で調製した反応溶液に600rpmで撹拌しながら加え、混合物をさらに600rpmで4時間撹拌する。
【0153】
c)凝固防止およびカプセル壁の硬化処理
0.5gのトリメチルクロロシランを反応容器中の2)の方法で調製した溶液に50℃、600rpmで撹拌しながら加え、次いで、直ちに1gの20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して加える。反応溶液の温度が次第に上昇し還流する。アルコールを含む蒸気を留去し、残存する混合物をさらに150rpmで撹拌しながら6時間加熱し、還流させる。この反応溶液を室温で150rpmで撹拌しながら冷却し、コア材料を含有するマイクロカプセルを得る。
【0154】
実施例7A:メトキシ(エトキシ)n−プロピルジヒドロキシメチルシラン、メチルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランの加水分解物の共重縮合物から構成されるオルガノポリシロキサンからなるカプセル壁を有する、ホモサラート(HMS)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)およびジエチルヘキシル3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートの同時カプセル封入
ジエチルヘキシル3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートをジエチルヘキシル3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートで置き換える以外、実施例7Aを繰り返す。
【0155】
実施例8A:メトキシ(エトキシ)n−プロピルジヒドロキシメチルシラン、メチルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランの加水分解物の共重縮合物から構成されるオルガノポリシロキサンからなるカプセル壁を有する、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)およびジエチルヘキシル3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートの同時カプセル封入
ホモサラートをカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドに置き換える以外、実施例6Aを繰り返す。
C.同時カプセル封入材料の処方
実施例1B:実施例1Aからの同時カプセル封入材料を用いる日焼け止めローション
【0156】
【表1】

【0157】
実施例2B:実施例1Aからの同時カプセル封入材料を用いる日焼け止めローション
【0158】
【表2】

【0159】
実施例3B:DHAを含む同時カプセル封入材料を用いる日焼け止めローション
【0160】
【表3】

【0161】
実施例4B:同時カプセル封入材料および防虫剤(IR3535等)を含む日焼け止めローション
【0162】
【表4】

【0163】
実施例5B:同時カプセル封入材料および美白剤を含む日焼け止めローション
【0164】
【表5】

【0165】
実施例6B:別々に調製した2種の同時カプセル封入材料を含む日焼け止めローション
【0166】
【表6】

【0167】
実施例7b:アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよび光安定剤のゾル−ゲルカプセルを含む日焼け止めローション
【0168】
【表7】

【0169】
実施例8b:アボベンゾン、ホモサラートおよび光安定剤のゾル−ゲルカプセルを含む日焼け止めローション
操作は、オクチノキセートをホモサラートで置き換える以外、実施例4に記載された操作と同様である。
【0170】
実施例9b:アボベンゾン、溶解剤および光安定剤のゾル−ゲルカプセルを含む噴霧用日焼け止めローション
【0171】
【表8】

【0172】
D.光安定性の検討
この実施例は、アボベンゾンの光安定性におけるジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンザルマロネート(オキシネックスST)の効果を示す。ジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンザルマロネートは332nmにλmax(MeOH、εmax18,600cm-1mol-1)または337nmにλmax(EtOH:H2O/70:30、εmax19,840cm-1mol-1)を有する黄色の粘性液体である。これはジフェニルピクリルヒドラジド(DPPH)試験法により決定される抗酸化活性(IC50=85±8μg/ml)を有する。
方法
約14.8mgの配合物を顕微鏡スライド(マイクロスライド、1つの表面をつや消しにしてある、サイズ、76×26mm、チャンスプロパー社、スポンレイン、英国)の粗面側に均一に延展する。蒸発(約20分)させた後、スライドを秤量し、各スライドをある係数により5枚の平均値に規格化する。次に3枚のスライドに照射(5および10MED;5MED:3時間19分;10MED:6時間38分)し、2枚のスライドには照射せずにおく。照射終了後、混合物を含む完成スライドをメタノールで洗浄し、残存するアボベンゾンをUVスペクトル分析およびHPLCにより測定する。
【0173】
【表9】

【0174】
【表10】

【0175】
【表11】

【0176】
【表12】

【0177】
DPPH試験法
250mLのエタノール(USP)に溶解した、25mgの1,1−ジフェニル−2−ピクリル−ヒドラジルACS#1898−66−4(シグマ#D−9132、ロット99H3601)のDPPH濃縮物(2.5X)を測定日に新たに調製する。DPPH使用液は、100mLのこの濃縮液を最終容量250mL(100μM/mL)に希釈することにより調製する。ブランクの13×100mmのホウケイ酸ガラス製ねじ蓋式エタノール(USP)管を分光計(ミルトンロイスペクトロニック20+)の517nmでのゼロとして用い、DPPH使用溶液の対照管を同じ条件で測定し、0%活性として採用する。各0.25%および0.5%(RTおよび45℃)の試験溶液を管に加え、4mLのDPPH使用液を直ちに加え、直ちに蓋をして混合する。20分後各試料の吸収を517nmで読み取る。
【0178】
活性減少のパーセント(%RA)は以下の式:

%活性減少=100 A(0)−A(20)/A(0)

を用いて計算する。
【0179】
ここで、A(0)は517nmにおけるDPPH使用液のゼロとしたエタノールブランクに対する吸光度であり、A(20)は抗酸化剤とDPPH使用液を併せた20分後の517nmにおける吸光度である。
【0180】
最終分析混合物中の抗酸化剤(mg/ml)の濃度は、最終分析容量中の各化合物の個々の分量の希釈度、および希釈系列の各濃度において活性パーセントとして表示し、プロットした%RAに基づいて計算する。
【0181】
アボベンゾン(配合物中)の光安定化は2枚のガラススライドの間に設けられた配合材料の薄いフィルム(約50〜100μの厚さで、非吸収領域における透過信号が85%を超えていなければならない)を用いて実施し、次いでUV−B光(Q−UV加速耐候試験機、Qパネル社)により照射した。アボベンゾンの光分解は照射前後の配合物品中のアボベンゾンの相対的減少により計算した。UV−B光下での1時間の照射は1.4MED(最小赤斑線量)と同等である。この検討にはベックマンコウルターDU−640分光計を120nm/分のスキャン速度で用いた。すべてのスペクトルは200〜600nmで記録した。オキシネックス(登録商標)STの有効性をコラパンTQ(ジ−2−エチルヘキシルナフタレート、H&R)と比較した。配合物中のアボベンゾンのHMSおよびオキシネックス(登録商標)STまたはTQにおけるアボベンゾン光安定化を2:6:2の比率(w/w)を用いることにより測定した。
【0182】
アボベンゾンの安定性は、オキシネックス(登録商標)ST光安定剤(1:1、w/w)の存在下で3倍(24%〜81%)増大することを認めた。さらに、オキシネックス(登録商標)STを1:2または1:3の比で用いるとき、アボベンゾンの安定化はさらに改善された。他方、TQは単独で使用するとき、アボベンゾンの光安定化に実質的に影響しなかった。TQはホモサラートと組み合わせたときもアボベンゾンを安定化できなかった。しかし、HMSの存在下での、アボベンゾンに対するオキシネックス(登録商標)STの安定化効果は約3倍(14%〜56%)高かった。オキシネックスSTもOMC存在下のアボベンゾンの光安定化を約2倍(36%〜73%)改善する。
【0183】
in vitro試験により、HMS(6%)およびオキシネックス(登録商標)ST(2%)の存在下、アボベンゾン(2%)が適切な臨界波長およびSPF(>30)を有することが示された。アボベンゾンの溶解性をオキシネックス(登録商標)STおよびHMSの種々の比率において試験した。
【0184】
結果を以下にまとめる。
【0185】
【表13】

【0186】
HMSおよびオキシネックス(登録商標)STの様々な比率でのアボベンゾンの溶解性を考慮すると、ゾル−ゲル法を用いるアボベンゾン(UV−パールAvo)のカプセル化については以下の比率:アボベンゾン/オキシネックス(登録商標)ST/HMS:20/20/60および25/25/50が好ましい。
【0187】
【表14】

【0188】
OMCおよびオキシネックス(登録商標)STの様々な比率でのアボベンゾンの溶解性を考慮すると、ゾル−ゲル法を用いるアボベンゾン(UV−パールアボ)のカプセル化については以下の比率:アボベンゾン/オキシネックス(登録商標)ST/OMC:20/20/60および25/25/50が好ましい。
【0189】
上記の実施例は、一般的または具体的に記載された反応物および/または実施例で用いた本発明の操作条件を置き換えることにより、同様の効果を繰り返すことができる。以上の記載から、当業者は本発明の本質的な特徴を容易に解明することができ、本発明の思想および範囲から外れることなく、種々の用途および条件に合わせるために本発明を変更および修正することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)少なくとも1種のUV−A有機日焼け止め、および
ii)少なくとも1種の光安定剤、
を含む日焼け止めカプセル。
【請求項2】
前記光安定剤が、式IまたはIIの化合物である請求項1に記載の日焼け止めカプセル。
【化1】


(式中、Aは、発色性を付与する部分であり、R1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2、−C(O)N(R42および−CNからなる群から選択され、Xは、OまたはNHまたはN−C1〜C8アルキルであり、R2は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C20アルキルであり、R3は、直鎖もしくは分岐状のC1〜C20アルキルであり、また各R4は、独立して、水素または直鎖もしくは分岐状のC1〜C8アルキルであり、R5は、水素または直鎖もしくは分岐状C1〜C8アルキルまたは直鎖もしくは分岐状C1〜C8アルコキシであり、R6は、独立して、直鎖もしくは分岐状C1〜C8アルキルである。)
【請求項3】
Aが、紫外線波長範囲内で発色することにより、式Iの前記化合物にUV吸収活性を付与する部分であって、部分Aが1つの2価の基または2つの1価の基を含み、少なくとも1つの前期基がカルボニル(C=O)官能基を有する請求項2に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項4】
−R5および−O−R6が、互いに独立して、直鎖もしくは分岐状C1〜C8アルコキシ基であって、好ましくは、前記の式IまたはIIの少なくとも1種の化合物が、式IIIまたはIVの化合物から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【化2】


(式中、R1は、−C(O)CH3、−CO2(C1〜C8アルキル)、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1〜C4アルキル)、−C(O)N(C1〜C4アルキル)2および−CNからなる群から選択され、アルキルであり、またR2は、C1〜C12アルキルである。)
【請求項5】
前記の式IまたはIIの化合物の少なくとも1種が、式VまたはVIの化合物から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【化3】


(式中、R1は、−C(O)CH3、−CO2(C1〜C8アルキル)、−C(O)NH2、−C(O)N(C1〜C4アルキル)2、および−CNからなる群から選択され、Xは、OまたはNHまたはN−C1〜C8アルキルであり、R2は、C1〜C12アルキルであり、またR5は、C1〜C8直鎖もしくは分岐状アルキルである。)
【請求項6】
−R5および−O−R6が、互いに独立して、直鎖もしくは分岐状C1〜C4アルコキシ基であり、好ましくは、−R5および−O−R6が同じであって、メトキシまたはエトキシである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項7】
Xが酸素であり、R2が好ましくは直鎖もしくは分岐状C1〜C4アルキルである、請求項1〜3および6のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項8】
1が、CO23、好ましくはC(O)CH3であって、R3が直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである、請求項1〜3、6および7のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項9】
1が、−C(O)N(R42であって、少なくとも1つのR4が水素であり、他方が水素または直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである、請求項1〜3、6および7のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項10】
1が、−C(O)N(R42であって、各R4が、独立して、直鎖もしくは分岐状のC1〜C4アルキルである、請求項1〜3、6および7のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項11】
2およびR3の少なくとも一方が、直鎖もしくは分岐状のC8〜C20アルキルであって、好ましくは、R2およびR3が、それぞれ、直鎖もしくは分岐状のC8アルキルであるか、または、R2およびR3の少なくとも一方が、直鎖もしくは分岐状のC12〜C20アルキルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項12】
式IまたはIIの前記化合物が、エチル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソプロピル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソアミル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、2−エチルヘキシル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、ジエチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−(2−エチルヘキシル)−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジイソアミル−3,5−ジメトキシ4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジパルミトイル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−ドデシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−イソプロピル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、エチル−α−シアノ−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、エチル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソプロピル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、2−エチルヘキシル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、ジエチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−(2−エチルヘキシル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジイソアミル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジパルミトイル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−ドデシル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−イソプロピル−3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−(2−エチルヘキシル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンジリデンマロネート、ジ−イソアミル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−tert.ブチル−ベンジリデンマロネート、イソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルシンナメート、およびイソアミル−α−アセチル−3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−tert.ブチルシンナメートからなる群から選択される、請求項1または2に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項13】
前記カプセルがゾル−ゲル法カプセル化により調製され、前記カプセルの壁が、好ましくは、本質的にシリカゲルおよび/またはシリカからなる請求項1〜12のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項14】
前記カプセル壁が主にオルガノポリシロキサンからなり、前記オルガノポリシロキサンの壁が、好ましくは、次の一般式により表される1種または複数の化合物を重縮合させることにより合成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル:
nSi(OH)m(4-m-n)
(式中、m+n≦4という条件で、mは1〜4の整数を表し、nは0〜3の整数を表し;Rは、1個の炭素原子が直接ケイ素原子に結合している有機の基を表し、nが1を超える場合、R基の各々は同じであっても異なっていてもよく;また、Yは、アルコキシ基、水素およびシロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基を表し、(4−m−n)が1を超える場合、各基Yは同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項15】
前記の少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めが、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメチルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンおよび2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンからなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項16】
0.1〜40wt%の少なくとも1種の式IまたはIIの化合物を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項17】
サリチレート類もしくはシンナメート類に属するか、またはそれらの組合せであることが好ましい少なくとも1種のUV−B有機日焼け止め液体、ならびに/あるいは、エステル、長鎖脂肪酸またはアルコールであることが好ましい少なくとも1種の可溶化剤をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項18】
i)2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメチルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、および2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンからなる群から選択される少なくとも1種のUV−A有機日焼け止め;および
ii)エチル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソプロピル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、イソアミル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、2−エチルヘキシル−α−アセチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナメート、ジエチル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−(2−エチルヘキシル)−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジイソアミル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジパルミトイル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、ジ−ドデシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネート、およびジ−イソプロピル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロネートからなる群から選択される式IまたはIIの化合物の少なくとも1種、
を含む請求項1または2に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項19】
前記の少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めおよび前記の少なくとも1種の光安定剤が、約3:1〜約1:3、好ましくは約1:0.8〜1:2の重量比で存在する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項20】
前記光安定剤が、好ましくは、ジ−2−エチルヘキシル−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−ベンザルマロネートである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の日焼け止めカプセル。
【請求項21】
i)請求項1〜20のいずれか一項に記載の少なくとも1種のカプセル、および
ii)局所適用に適する担体、
を含む局所適用のための組成物。
【請求項22】
iii)保存剤、消泡剤、芳香剤、オイル、ワックス、噴霧剤、染料、顔料、防水剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、湿潤剤、皮膚摩擦剤およびエモリエントからなる群から選択される少なくとも1種の補助剤、を含む請求項21に記載の局所適用のための組成物。
【請求項23】
クリーム、軟膏、懸濁液、粉末、油性ローション、含油アルコールローション、脂肪ゲル、含油アルコールゲル、固形スティック、気泡、エマルジョン、分散液、スプレー、エアロゾル、口紅、ファンデーション、メイクアップ、ルースまたはプレス粉末、アイブラッシュ、アイシャドウまたはネイルエナメルからなる群から選択される形態を取る、請求項21または22に記載の局所適用のための組成物。
【請求項24】
UV−B線、UV−A線または両方のフィルターとなる少なくとも1種の追加の有機日焼け止め剤を含み、好ましくは、UV−B線、UV−A線または両方のフィルターとなる前記少なくとも1種の追加の有機日焼け止め剤がカプセル化されている、請求項21〜23のいずれか一項に記載の局所適用のための組成物。
【請求項25】
トコフェロール、トコフェリルアセテート、アスコルビン酸、エンブリカ酸化防止剤、プロアントシアニジン、ローズマリー酸化防止剤、緑茶ポリフェノール、没食子酸、エラグ酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)および/またはブチルヒドロキシアニソール(BHA)から選択されることが好ましい、少なくとも1種の追加の酸化防止剤を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載の局所適用のための組成物。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか一項に記載の組成物を基質に塗布することを含む、紫外線から基質を保護する方法。
【請求項27】
前記基質が皮膚または体毛である、請求項26に記載の紫外線から基質を保護する方法。
【請求項28】
前記基質が、塗料、繊維、木材、プラスチック、ポリマー、着色剤、またはワックス系着色物品である、請求項26に記載の紫外線から基質を保護する方法。
【請求項29】
少なくとも1種のUV−A有機日焼け止めと少なくとも1種の光安定剤を、カプセル壁の前駆体物質と混合し、前記前駆体を縮合させることによって前記壁を形成することによる日焼け止めカプセルの製造方法。
【請求項30】
前記前駆体の前記縮合がゾル−ゲル過程の間に起こる請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記前駆体がポリシロキサンプレポリマーである請求29に記載の方法。
【請求項32】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の少なくとも1種のカプセルと、局所適用に適する担体を混合することによる、局所適用のための組成物の製造方法。

【公表番号】特表2007−524593(P2007−524593A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508213(P2006−508213)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005716
【国際公開番号】WO2004/105712
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】