説明

光安定性試験装置

【課題】試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を均一化する。
【解決手段】複数の蛍光灯30,30,・・・を、環境試験室11の試料載置面21の上方に対向する上部空間の周辺部分に偏在させて配置し、試料載置面21における蛍光灯30,30,・・・からの光の放射照度の分布を、試料載置面21の中央部における放射照度に対して±25%の範囲内とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光安定性試験装置に関し、特に、試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を均一化するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医薬品等の光安定性を試験するための環境試験室を有する光安定性試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この光安定性試験装置では、ボックス状の環境試験室の上部に棒状の蛍光灯が複数並設され、環境試験室の下部にターンテーブル等の試料台が設けられている。
【0003】
そして、蛍光灯から光線を照射しながら試料台の試料載置面を回転させることで、試料載置面に載置された試料に対して満遍なく光線を照射するようにしている。
【特許文献1】特開2003−14615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の光安定性試験装置では、試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布が不均一でバラツキが生じることがあり、試料載置面における試料の載置位置によっては正確な光安定性の試験結果が得られないおそれがある。以下、放射照度の分布について説明する。
【0005】
図14は、従来の光安定性試験装置における蛍光灯の配置を示す平面図である。なお、図14では、装置正面、装置背面、左右方向をそれぞれ矢印で示す方向に定義する。
【0006】
図14に示すように、棒状に形成された複数の蛍光灯30,30,・・・は、その長手方向と装置前後方向とが同一方向となるように且つ左右方向に並列に、環境試験室11の上部空間に配設されている。ここで、複数の蛍光灯30,30,・・・は、2本おきに装置前後方向に位相を異にして配置されている。このような配置にすることで、蛍光灯30を左右方向に一列に整列させた場合に比べてソケット31,31が邪魔にならず、限られた収容スペース内により多くの蛍光灯30を収容できるようになっている。
【0007】
図15は、従来の光安定性試験装置の試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を示す平面図である。図15では、試料載置面21及びその周辺部を複数のブロックに区画して、各ブロックにおける放射照度を測定している。ここで、1つのブロックの大きさは50mm×50mmである。なお、図15において、斜線で塗りつぶされているブロックは、試料載置面21の中央部における放射照度に対して±10%の範囲内であることを示し、×印が付されているブロックは±25%以上の範囲であることを示している。斜線や×印の描かれていないブロックは、放射照度が±10%から±25%の範囲であることを示している。
【0008】
図15に示すように、従来の光安定性試験装置では、試料載置面21の中央部近傍の放射照度が高く、試料載置面21の周辺部に向かうほど放射照度が低くなっていることが分かる。具体的に、放射照度が±10%の範囲内のブロックが、装置前後方向に長軸を有する楕円形状に分布している。そして、試料載置面21の外周部、特に左右方向端部では、中央部における放射照度の±25%以上の放射照度となっている。
【0009】
これは、試料載置面21の中央部においては、並設した複数の蛍光灯30,30,・・・からそれぞれ光線が均等に照射されて重ね合わされるのに対し、試料載置面21の外周部分においては複数の蛍光灯30,30,・・・から照射される光線の光強度に強弱が生じているからであると考えられる。
【0010】
具体的に、装置右端側のブロックに注目すると、その上方に配置されている装置右端側の蛍光灯30からは光線が直接照射されるために光強度は強いが、装置左端側の蛍光灯30から照射される光線は、装置右端のブロックに到達するまでの間に減衰されて光強度が弱まることとなり、照射された光線が重ね合わされた結果、試料載置面21の中央部に比べて光強度が弱まるからであると考えられる。
【0011】
このような放射照度の不均一が生じると、試料載置面21に載置する試料の位置によって光安定性の試験結果が異なるおそれがあり、好ましくない。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を均一化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、請求項1の発明は、ボックス状の環境試験室を有する装置本体と、
前記環境試験室の下部に設けられ、上面に試料を載置するための試料載置面を有する試料台と、
前記環境試験室の上部に前記試料載置面の上方に対向して設けられ、該試料載置面に載置された試料に光線を照射するための複数の蛍光灯とを備えた光安定性試験装置であって、
前記複数の蛍光灯は、前記試料載置面における該蛍光灯からの光の放射照度の分布が、該試料載置面の中央部における放射照度に対して±25%の範囲内となるように、前記環境試験室の該試料載置面の上方に対向する上部空間の周辺部分に偏在して配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項1の発明では、複数の蛍光灯が環境試験室の試料載置面の上方に対向する上部空間の周辺部分に偏在して配置され、試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布が、試料載置面の中央部における放射照度に対して±25%の範囲内とされる。
【0015】
請求項2の発明は、前記複数の蛍光灯は、平面視において少なくとも前後方向及び左右方向の何れか一方向に対して対称となるように配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の発明は、前記複数の蛍光灯は、平面視において90度又は180度の回転対称となるように配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項2又は3の発明では、平面視において少なくとも前後方向及び左右方向の何れか一方向に対して対称となるように、若しくは、90度又は180度の回転対称となるように、複数の蛍光灯が配置される。
【0018】
請求項4の発明は、前記環境試験室の側壁面は、光線の反射率が20%以上の反射材で構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4の発明では、環境試験室の側壁面を構成する反射材により、蛍光灯から照射された光線の20%以上が反射され、1次反射光及び2次反射光が試料載置面上の試料に照射される。
【0020】
請求項5の発明は、前記蛍光灯は棒状に形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6の発明は、前記蛍光灯は円環状に形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項7の発明は、前記蛍光灯は点状に形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
請求項5乃至7の発明では、棒状、円環状、又は点状等の様々な形状の蛍光灯を用いて、光安定性試験が行われる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、複数の蛍光灯を環境試験室の試料載置面の上方に対向する上部空間の周辺部分に偏在して配置するようにしたから、試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を、試料載置面の中央部における放射照度に対して±25%の範囲内とすることができ、試料載置面における放射照度の分布を均一化することができる。これにより、試料載置面における試料の載置位置によって放射照度が異なってしまうことを防止して、より正確な光安定性試験を行うことができ、信頼性が向上する。
【0025】
また、環境試験室の側壁面を光線の反射率が20%以上の反射材で構成したから、蛍光灯から照射された光線を反射して1次反射光及び2次反射光を試料に対して的確に照射することができ、放射照度の分布をさらに均一化する上で有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る光安定性試験装置の構成を模式的に示す正面図である。図1に示すように、光安定性試験装置10は、ボックス状の環境試験室11を有する装置本体12と、環境試験室11の下部に設けられ、上面に試料S,S,・・・を載置するための試料載置面21を有する試料台20と、環境試験室11の上部に試料載置面21の上方に対向して設けられ、試料載置面21に載置された試料S,S,・・・に光線を照射するための複数の蛍光灯30,30,・・・とを備えている。
【0028】
前記装置本体12には、図示しない開閉扉が装置正面側に開閉自在に取り付けられており、この開閉扉を開閉することで、環境試験室11を開放又は閉塞することができるようになっている。環境試験室11内では、試料載置面21に載置された試料Sとしての医薬品等に対して、紫外線を含む光線が蛍光灯30,30,・・・から照射され、試料Sの光安定性が試験される。すなわち、医薬品の製造承認申請を受けるために必要な耐光試験のデータを得ることができる。
【0029】
前記環境試験室11の側壁面は、蛍光灯30から照射される光線の反射率が20%以上の反射材13で構成されており、本実施形態では、ステンレスのB2板を用いている。
【0030】
前記装置本体12における環境試験室11の下方には、環境試験室11内の温度又は湿度条件や、蛍光灯30の放射照度や紫外線強度等を制御するための制御部14が設けられている。
【0031】
前記試料台20は、試料Sを載置する試料載置面21を有しており、試料載置面21は、回転軸22を中心に回転自在に構成されている。回転軸22は、試料台20内部に設けられた図示しないモータにより回転駆動される。
【0032】
なお、本実施形態では、試料台20の試料載置面21を回転自在に構成したものについて説明したが、この形態に限定するものではなく、例えば、試料載置面21が単に設置されているだけで回転しない構成としても構わない。
【0033】
前記複数の蛍光灯30,30,・・・は、紫外線を含む光線を試料Sに対して照射するためのものであり、棒状に形成され且つその両端に差込プラグ(図示せず)が設けられており、環境試験室11の上部に設けられたソケット31,31,・・・に差し込むことで、環境試験室11の上部空間に取り付けられる。
【0034】
図2は、蛍光灯の配置を示すA−A矢視断面図である。なお、図2では、装置正面、装置背面、左右方向を矢印で示す方向に定義する。
【0035】
図2に示すように、複数の蛍光灯30,30,・・・は、試料載置面21の上方に対向する上部空間の周辺部分に偏在して配置されている。具体的に、環境試験室11内の左端側には、棒状に形成された複数の蛍光灯30,30,・・・の長手方向と装置前後方向とが同一方向となるように且つ左右方向に並列に4本配置されている。これら蛍光灯30,30,・・・は、環境試験室11の奥行き長さよりも短い長さに形成されており、それぞれの蛍光灯30の正面側端が装置正面寄りに配置されることで、蛍光灯30の背面側端と装置背面との間には隙間が設けられている。
【0036】
また、環境試験室11内の右端側にも同様に、蛍光灯30の長手方向と装置前後方向とが同一方向となるように且つ左右方向に並列に4本配置されている。それぞれの蛍光灯30の背面側端が装置背面寄りに配置されることで、蛍光灯30の正面側端と装置正面との間には隙間が設けられている。
【0037】
このように、環境試験室11内の左端側と右端側にそれぞれ配置された蛍光灯30,30,・・・は、装置前後方向において互いに位相を異にして配置されている。
【0038】
そして、これら蛍光灯30,30,・・・と装置正面及び装置背面との隙間には、蛍光灯30の長手方向と装置左右方向とが同一方向となるように、蛍光灯30,30,・・・がそれぞれ3本ずつ並列に配置されている。
【0039】
ここで、左右方向に延びる蛍光灯30,30,・・・のうち、装置正面の隙間に配置された蛍光灯30,30,・・・は、その左側端が装置左端側で前後方向に延びる蛍光灯30,30,・・・の正面側端寄りに配置される。
【0040】
また、装置背面の隙間に配置された蛍光灯30,30,・・・は、その右側端が装置右端側で前後方向に延びる蛍光灯30,30,・・・の背面側端寄りに配置される。
【0041】
このようにすれば、試料載置面21の中央部を除く周辺領域に、複数の蛍光灯30,30,・・・が「ロ」の字型に配置される。この場合、複数の蛍光灯30,30,・・・は、平面視において180度の回転対称となっている。
【0042】
なお、図2では、左右方向に延びる蛍光灯30,30,・・・の両端部から、前後方向に延びる蛍光灯30,30,・・・がなるべくはみ出さないように「ロ」の字型を形成するような配置としているが、これに限定するものではなく、例えば、図3に示すように、前後方向に延びる蛍光灯30,30,・・・を、さらに左右方向外方に配置することで「ロ」の字型の中空部の面積を大きくするようにしても構わない。
【0043】
図4は、本実施形態に係る光安定性試験装置の試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を示す図である。図4では、試料載置面21及びその周辺部を複数のブロックに区画して、各ブロックにおける放射照度を測定している。ここで、1つのブロックの大きさは50mm×50mmである。なお、斜線で塗りつぶされているブロックは、試料載置面21の中央部における放射照度に対して±10%の範囲内であることを示し、×印が付されているブロックは±25%以上の範囲であることを示している。
【0044】
図4に示すように、本実施形態に係る光安定性試験装置10では、試料載置面21の中央部における放射照度に対して±10%の範囲内である領域が、試料載置面21の中央部を中心に略円形状、より正確には左右方向に若干長くなった長軸を有する楕円形状に分布していることが分かる。そして、中央部における放射照度に対して±25%以上の範囲となる放射照度は、測定領域の四隅に分布するのみとなっている。このように、試料載置面21内では、放射照度の分布が中央部の±25%の範囲内におさまっており、試料載置面21における蛍光灯からの光の放射照度の分布が均一化されていることが分かる。
【0045】
図5は、本実施形態に係る光安定性試験装置の環境試験室の側壁面における光線の反射率を向上させた場合の試料載置面における放射照度の分布を示す図である。なお、図4に示す例では、環境試験室11の側壁面としてステンレスのB2板を用いたが、図5に示す例では、光沢性のあるステンレスのBA板を用いている。この他にも、アルミ板や、金メッキを施した金メッキ板などを用いても構わない。
【0046】
図5に示すように、環境試験室11の側壁面における光線の反射率を向上させた場合には、試料載置面21の中央部における放射照度に対して±10%の範囲内である領域が、試料載置面21の略全面に広がっている。そして、中央部における放射照度に対して±25%以上の範囲となる放射照度は、測定領域の四隅に分布するのみとなっている。このように、試料載置面21内では、放射照度の分布が中央部の±25%の範囲内におさまっており、試料載置面21における蛍光灯からの光の放射照度の分布がさらに均一化されていることが分かる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る光安定性試験装置10によれば、試料載置面21における蛍光灯30からの光の放射照度の分布を、試料載置面21の中央部における放射照度に対して±25%の範囲内として、試料載置面21における放射照度の分布を均一化することができる。これにより、試料載置面21の載置位置によって試料Sに照射される放射照度が異なってしまうことを防止して、より正確な光安定性試験を行うことができ、信頼性が向上する。
【0048】
また、環境試験室11の側壁面を光線の反射率が20%以上の反射材13で構成したから、蛍光灯30から照射された光線を反射して1次反射光及び2次反射光を試料Sに対して的確に照射することができ、放射照度の分布をさらに均一化する上で有利となる。
【0049】
<その他の実施形態>
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0050】
例えば、前記実施形態の光安定性試験装置10において、複数の蛍光灯30,30,・・・の配置を図6に示すような配置としてもよい。
【0051】
すなわち、図6に示すように、環境試験室11内の左端側及び右端側には、棒状に形成された複数の蛍光灯30,30,・・・の長手方向と装置前後方向とが同一方向となるように且つ左右方向に並列に3本ずつ配置されている。これら蛍光灯30は、前後方向の略中央位置に配置されている。
【0052】
一方、環境試験室11内の正面側及び背面側にも同様に、棒状に形成された複数の蛍光灯30,30,・・・の長手方向と装置左右方向とが同一方向となるように且つ前後方向に並列に3本ずつ配置されている。これら蛍光灯30は、左右方向の略中央位置に配置されている。そして、装置前後方向に延びる蛍光灯30と左右方向に延びる蛍光灯30とは、前後方向及び左右方向においてオーバーラップしないように配置されている。
【0053】
このような配置にすれば、複数の蛍光灯30,30,・・・は、平面視において前後方向及び左右方向に対して対称となり、さらに、90度又は180度の回転対称となる。
【0054】
なお、装置の小型化により、環境試験室11内の装置前後方向の長さが図6に示す環境試験室11に比べて短い場合には、図7に示すように、正面側及び背面側に配置された蛍光灯30をそれぞれ1本ずつ取り除いて前後方向に並列に2本ずつ配置するようにすればよい。この場合には、複数の蛍光灯30,30,・・・は、平面視において前後方向及び左右方向に対して対称となり、さらに、180度の回転対称となる。
【0055】
また、図6及び図7に示す配置例では、装置前後方向に延びる蛍光灯30と左右方向に延びる蛍光灯30とは、左右方向においてオーバーラップしないように配置されているが、装置が大型化してしまうため、以下のような配置としてもよい。
【0056】
すなわち、図8に示すように、環境試験室11内の左端側及び右端側には、棒状に形成された複数の蛍光灯30,30,・・・の長手方向と装置前後方向とが同一方向となるように且つ左右方向に並列に2本ずつ配置されている。これら蛍光灯30は、前後方向の略中央位置に配置されている。
【0057】
一方、環境試験室11内の正面側及び背面側にも同様に、棒状に形成された複数の蛍光灯30,30,・・・の長手方向と装置左右方向とが同一方向となるように且つ前後方向に並列に3本ずつ配置されている。これら蛍光灯30は、左右方向の略中央位置に配置さている。そして、左右方向に延びる蛍光灯30は、図6及び図7に示す配置に比べて試料載置面21の中央部寄りに配置され、装置前後方向に延びる蛍光灯30と左右方向に延びる蛍光灯30とは、左右方向においてオーバーラップしている。この場合には、複数の蛍光灯30,30,・・・は、平面視において前後方向及び左右方向に対して対称となり、さらに、180度の回転対称となる。
【0058】
また、図9では、図8で用いた蛍光灯30に比べて長さの短い蛍光灯40を用いた配置例を示している。図9に示すように、環境試験室11内の左端側及び右端側には、棒状に形成された2本の蛍光灯40,40が装置前後方向に同軸となるように配置され、この2本の蛍光灯40,40の組が左右方向に並列に2組ずつ配置されている。
【0059】
一方、環境試験室11内の正面側及び背面側にも同様に、棒状に形成された2本の蛍光灯40,40が左右方向に同軸となるように配置され、この2本の蛍光灯40,40の組が装置前後方向に並列に3組ずつ配置されている。この場合には、複数の蛍光灯40,40,・・・は、平面視において前後方向及び左右方向に対して対称となり、さらに、180度の回転対称となる。
【0060】
また、図10では、環境試験室11内の左端側及び右端側に配置された蛍光灯40aと、正面側及び背面側に配置された蛍光灯40bとの長さが異なる場合について例示している。
【0061】
図10に示すように、環境試験室11内の左端側及び右端側には、棒状に形成された2本の蛍光灯40a,40aが装置前後方向に同軸となるように配置され、この2本の蛍光灯40a,40aの組が左右方向に並列に3組ずつ配置されている。
【0062】
一方、環境試験室11内の正面側及び背面側には、棒状に形成された蛍光灯40b,40b,・・・の長手方向と装置左右方向とが同一方向となるように且つ前後方向に並列に3本ずつ配置されている。この場合には、複数の蛍光灯40a,40bは、平面視において前後方向及び左右方向に対して対称となり、さらに、180度の回転対称となる。
【0063】
なお、図10では、環境試験室11内の左端側及び右端側に配置された蛍光灯40aの方が、正面側及び背面側に配置された蛍光灯40bよりも短い場合について例示しているが、この形態に限定するものではない。
【0064】
また、図11では、環境試験室11内に並列に配置した複数の蛍光灯30,30,・・・のうち、環境試験室11の中央部の蛍光灯30を取り除いたような配置とすることで、環境試験室11の上部空間の周辺部分に蛍光灯30を偏在させた場合について例示している。
【0065】
図11に示すように、環境試験室11内の左端側及び右端側には、棒状に形成された複数の蛍光灯30,30,・・・の長手方向と装置前後方向とが同一方向となるように且つ左右方向に並列に4本ずつ配置されている。これら蛍光灯30は、前後方向の略中央位置に配置されている。この場合には、複数の蛍光灯30,30,・・・は、平面視において前後方向及び左右方向に対して対称となり、さらに、180度の回転対称となる。
【0066】
このようにすれば、環境試験室11の上部空間の周辺部分に蛍光灯30を偏在して配置することができ、前記実施形態と同様に、環境試験室11の上部空間全体に蛍光灯30を並列に配置した場合に比べて、試料載置面21における蛍光灯30からの光の放射照度が均一化されるため好ましい。なお、試料載置面21の中央部の蛍光灯30,30,・・・の本数をさらに減らして、中空部の面積を大きくするようにしても構わない。
【0067】
また、図12に示すように、円環状の蛍光灯50を用いるようにしても構わない。すなわち、直径の異なる3本の円環状の蛍光灯50,50,・・・を、試料載置面21の中央部を中心に同心円状に配置するようにすればよい。この場合には、複数の蛍光灯50,50,・・・は、平面視において前後方向及び左右方向に対して対称となり、さらに、90度及び180度の回転対称となる。
【0068】
また、図13に示すように、電球状に形成された点状の蛍光灯55,55,・・・を互いに間隔をあけて複数配置するようにしても構わない。すなわち、環境試験室11の上部空間に、環境試験室11の中心部を同心とする外径の異なる3つの仮想正方形の4辺に沿って、互いに間隔をあけて複数の蛍光灯55,55,・・・が配置されている。
【0069】
なお、図13に示す例では、点状の蛍光灯55,55,・・・として電球状に形成されたものについて説明したが、この形態に限定するものではなく、例えば、LED(Light Emitting Diode)やHIDランプ (High Intensity Discharge Lamps) 等の点状の光源を用いるようにしても構わない。
【0070】
この場合には、複数の蛍光灯55,55,・・・は、平面視において前後方向及び左右方向に対して対称となり、さらに、90度及び180度の回転対称となる。
【0071】
なお、上述した蛍光灯の本数は、図面を用いて説明した本数に限定するものではなく、装置の大きさ等に応じて本数を増減させるようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明は、試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を均一化することができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る光安定性試験装置の構成を模式的に示す正面図である
【図2】蛍光灯の配置例を示すA−A矢視断面図である。
【図3】蛍光灯の別の配置例を示すA−A矢視断面図である。
【図4】試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を示す図である。
【図5】環境試験室の側壁面における光線の反射率を向上させた場合の試料載置面における放射照度の分布を示す図である。
【図6】他の実施形態に係る蛍光灯の配置例を示す平面図である。
【図7】他の実施形態に係る蛍光灯の配置例を示す平面図である。
【図8】他の実施形態に係る蛍光灯の配置例を示す平面図である。
【図9】他の実施形態に係る蛍光灯の配置例を示す平面図である。
【図10】他の実施形態に係る蛍光灯の配置例を示す平面図である。
【図11】他の実施形態に係る蛍光灯の配置例を示す平面図である。
【図12】他の実施形態に係る蛍光灯の配置例を示す平面図である。
【図13】他の実施形態に係る蛍光灯の配置例を示す平面図である。
【図14】従来の光安定性試験装置における蛍光灯の配置を示す平面図である。
【図15】従来の光安定性試験装置の試料載置面における蛍光灯からの光の放射照度の分布を示す平面図である。
【符号の説明】
【0074】
10 光安定性試験装置
11 環境試験室
12 装置本体
13 反射材
20 試料台
21 試料載置面
30 蛍光灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス状の環境試験室を有する装置本体と、
前記環境試験室の下部に設けられ、上面に試料を載置するための試料載置面を有する試料台と、
前記環境試験室の上部に前記試料載置面の上方に対向して設けられ、該試料載置面に載置された試料に光線を照射するための複数の蛍光灯とを備えた光安定性試験装置であって、
前記複数の蛍光灯は、前記試料載置面における該蛍光灯からの光の放射照度の分布が、該試料載置面の中央部における放射照度に対して±25%の範囲内となるように、前記環境試験室の該試料載置面の上方に対向する上部空間の周辺部分に偏在して配置されていることを特徴とする光安定性試験装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の蛍光灯は、平面視において少なくとも前後方向及び左右方向の何れか一方向に対して対称となるように配置されていることを特徴とする光安定性試験装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記複数の蛍光灯は、平面視において90度又は180度の回転対称となるように配置されていることを特徴とする光安定性試験装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか1項において、
前記環境試験室の側壁面は、光線の反射率が20%以上の反射材で構成されていることを特徴とする光安定性試験装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうち何れか1項において、
前記蛍光灯は棒状に形成されていることを特徴とする光安定性試験装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のうち何れか1項において、
前記蛍光灯は円環状に形成されていることを特徴とする光安定性試験装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のうち何れか1項において、
前記蛍光灯は点状に形成されていることを特徴とする光安定性試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−128980(P2008−128980A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317548(P2006−317548)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000134730)ナガノサイエンス株式会社 (11)
【Fターム(参考)】