説明

光実装材料用樹脂組成物及びその製造方法、並びに、該光実装材料用樹脂組成物を用いた光実装材料、光実装部品、及び、光モジュール

【課題】 石英やパイレックス(登録商標)などと同等の線膨張係数を有するとともに、優れた難燃性を発現する光実装材料、光実装部品、光モジュールが得られる新たな光実装材料用樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 樹脂と無機微粒子とを含有する光実装材料用組成物であって、前記無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/またはカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その平均慣性半径が50nm以下であることを特徴とする光実装材料用樹脂組成物を使用することによって、線膨張係数が小さく、難燃性に優れる光実装材料の成形体、光実装部品、光モジュールが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ通信に使用される光実装部品、及び、光モジュール、並びに、これらに好適に使用される光実装材料、及び、光実装材料用樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネットの普及に伴って、光信号による大容量の情報を送信できる光ファイバを家庭まで引き込む高速通信サービス「FTTH(Fiber to the home)」が提供されつつある。光ファイバを各家庭まで引き込む方法として、局側から送信される光信号を光スプリッタで分岐し、局側と各家庭とを1対多で接続する方法が採用されている。
【0003】
光信号の送信局と各家庭と1対多で接続する光ファイバ網には、光ファイバの他、光ファイバ同士を接続する光コネクタや、局側の光信号を分岐する部品として、例えば、図1に示すように、1チャンネルの光ファイバアレイ1と光導波路3と多チャンネルの光ファイバアレイ1’などの光実装部品から構成される光モジュールが普及しつつある。
【0004】
図2は、図1における多チャンネルの光ファイバアレイ1’の斜視拡大図であり、光ファイバアレイ用基板7には、光ファイバ5を収納するためのV溝9が設けられ、光ファイバ5が埋設されている。
【0005】
通常、光ファイバアレイや光導波路の基板は、石英、パイレックス(登録商標)などの硬質無機材料で形成されている。このような硬質材料からなる光ファイバアレイ基板に、光ファイバを収納するスペース(溝)を形成する場合、予め作製した基板に研削、研磨などの機械加工を施して溝を形成する方法、若しくは、溶融させたガラスを金型を用いて成型加工する方法などがあるが、いずれの方法も数μmオーダの加工精度は出にくい。そのため、石英、パイレックス(登録商標)製の光ファイバアレイと光導波路と光ファイバからなる光モジュールは、極めて高価であり、光ファイバ網を一層普及するために、斯かる光モジュールを大量生産して低価格で供給することが求められている。
【0006】
このような状況の下、光ファイバアレイを構成する基板の一部を樹脂組成物からなるものに代替することが検討されている(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1には、基板に、複数の溝を有する樹脂層が形成され、前記溝に光ファイバが収納されている光ファイバアレイが開示されている。特許文献2には、光ファイバ又はレンズを嵌挿又は担持するための複数の孔を備えたマイクロホールアレイであって、前記孔を備えた複数の筒状部と、前記筒状部の外周面の全体又は前記外周面の一部分に密接に設けられた本体基材とより構成されており、前記筒状部は、樹脂により形成されたものであり、前記本体基材は、セラミックス、ガラス、金属、又はこれらの複合物のいずれかにより形成されたマイクロホールアレイが開示されている。
【0007】
一方、高分子材料からなる光導波路装置に関する技術としては、例えば、特許文献3及び特許文献4がある。特許文献3には、高分子材料よりなるコアおよび該コアを取り囲み該コアよりも屈折率の低い材料よりなるクラッドを少なくとも含む高分子光導波路の製造方法において、平坦な表面の一部に連続した凸部を有する金型上に該クラッドの材料を表面が平坦になるように配置して下部クラッドとする工程、該下部クラッドの上に平坦な基板を配置する工程、該平坦な基板が下になるように上下を反転させる工程、該金型を除去する工程、該下部クラッドの、該金型の凸部にできた溝に該コアの材料を配置する工程、該コアの材料の、該溝からはみ出した部分を除去する工程、該コアを覆うように該下部クラッドの上に該クラッドの材料を配置する工程、及び、該平坦な基板を除去する工程よりなる光導波路の製造方法が開示されている。
【0008】
特許文献4には、光導波路のコア部となる凹凸形状が形成されている基板上に、高分子と基板を剥離するための犠牲層を形成した金型を作製し、溶融状態または溶液状態のコアとなる高分子を塗布し、該高分子を紫外線あるいは熱によって硬化させたのち、更に、その上から溶融状態または溶液状態の下部クラッドとなる高分子を塗布、硬化し、その後犠牲層を除去することにより、金型を剥離する工程を含むことを特徴とするリッジ型高分子光導波路の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−236233号公報
【特許文献2】特開2003−107283号公報
【特許文献3】特開平8−313747号公報
【特許文献4】特開2001−318257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光導波路と光ファイバアレイからなる光モジュールには、テルコーディア規格により85℃、85RHの湿熱試験や85℃〜−40℃の熱サイクル試験においても、光軸がずれず光信号を伝達できることが要求されている。従来の樹脂組成物からなる光実装材料では、石英やパイレックス(登録商標)などの無機材料に比べて、線膨張係数が大きいため、常温で光軸を合せていても85℃及び−40℃では膨張率に差が生じて光軸がずれ、光信号を伝達できないという問題がある。そのため樹脂組成物からなる光実装材料では、実用化できるものが提供されていないのが現状である。また、光通信用の光実装材料には、難燃性が要求されているが、難燃性を発現させるためには、ハロゲン系、リン系、又は、アンチモン系などの環境に対する負荷の大きい難燃剤を樹脂に添加する必要がある。しかしながら、上記特許文献1には、樹脂組成物に添加する難燃剤に関する記載がなく、光実装部品をセラミックス系から高分子系材料に代替する上で必要な難燃性が確保されているとは言えない。また、特許文献2に開示されている樹脂組成物では、ハロゲン系難燃剤が使用されているが、これらの難燃剤を使用することは、環境上好ましくない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、石英やパイレックス(登録商標)などと同等の線膨張係数を有するとともに、優れた難燃性を発現する光実装材料、光実装部品、光モジュールが得られる新たな光実装材料用樹脂組成物及びその製造方法を提供すること目的とする。
【0011】
本発明は、さらに、光導波路用として好適に使用し得る光実装材料用樹脂組成物およびこれを用いた光導波路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決することのできた本発明の光実装材料用樹脂組成物とは、樹脂と無機微粒子とを含有する光実装材料用樹脂組成物であって、前記無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/またはカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その平均慣性半径が50nm以下であることを特徴とする。すなわち、本発明は、アルコキシド化合物及び/またはカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その平均慣性半径が50nm以下のナノレベルの無機微粒子を樹脂に分散させることによって、得られる光実装材料の線膨張係数を小さくするとともに、難燃性を発現させるところに要旨がある。前記樹脂として好ましいのは、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である。
【0013】
また、本発明の光実装材料用樹脂組成物が、さらに平均粒子径が0.1μm以上100μm以下の無機化合物を2質量%以上95質量%未満含有することも好ましい態様である。上記無機化合物を併用することによって、前記無機微粒子による成形品の難燃性、熱的性質(線膨張係数)、機械的性質の改善効果を一層著しいものとすることができる。
【0014】
本発明には、上記光実装用樹脂組成物を硬化することにより得られる光実装材料、及び、その成形体が含まれる。また、前記成形体は、ガラス転移温度以下での線膨張係数が80ppm以下であることが好ましい。
【0015】
また本発明には、ハロゲンフリーの樹脂成形体であって、UL−94に規定する難燃性がV−1以上であり、ガラス転移温度以下での線膨張係数が80ppm以下であることを特徴とする光実装部品用の樹脂成形体も含まれる。
【0016】
本発明には、上記光実装材料及び/又はその成形体を使用することを特徴とする光実装部品が含まれる。前記光実装部品として好ましいのは、光ファイバアレイ、マイクロホールアレイ、又は、光導波路装置である。
【0017】
本発明には、上記光実装部品からなる光モジュールが含まれる。
【0018】
本発明の光実装材料の成形体の製造方法は、樹脂と無機微粒子とを含有する光実装材料用樹脂組成物であって、前記無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その平均慣性半径が50nm以下である光実装材料用樹脂組成物を加圧成形することを特徴とする。
【0019】
本発明の光導波路装置は、コアと前記コアを被覆するクラッドとを有する光導波路を備える光導波路装置であって、前記コア又はクラッドの少なくとも一方が、前記光実装材料用樹脂組成物を硬化してなるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、得られる光実装材料及びその成形体の線膨張係数を制御でき、線膨張係数が石英やパイレックス(登録商標)などと同等レベルの光実装材料、及び、その成形体を得ることができる。
【0021】
また本発明によれば、ハロゲン系、リン系、及び、アンチモン系などの環境負荷の大きい難燃剤を使用することなく、光実装材料に要求される実用レベルの難燃性を有する光実装材料及びその成形体、並びに、光実装部品、及びこれを用いた光モジュールを提供できる。
【0022】
本発明の製造方法によれば、光実装材料の成形体をプレス成形により作製することができ、光ファイバアレイ基板にV溝などを簡易に形成することができる。また、50〜250℃程度の低温で加工することができ、従来の石英製基板を作製する際に必要とされている1000℃前後の高温で加工する必要がなく、経済的である。
【0023】
本発明の光実装材料用樹脂組成物は、光導波路用としても好適であり、光実装材料用樹脂組成物中の無機微粒子の含有率を変化させることによって、得られるコア及びクラッドの屈折率を制御することができる。コア及びクラッドに使用される光実装材料の樹脂成分が同一であるため、コアとクラッドとの密着性が良好であり、信頼性の高い光導波路が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の光実装材料用樹脂組成物は、樹脂と無機微粒子を含有する光実装材料用樹脂組成物であって、前記無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/またはカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その平均慣性半径が50nm以下であることを特徴とする。
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0026】
(1)樹脂について
まず、本発明の光実装材料用樹脂組成物が含有する樹脂について説明する。本発明の光実装材料用樹脂組成物が含有する樹脂としては、硬化性樹脂が好ましく、より好ましくは熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂である。
【0027】
本発明における「硬化性樹脂」は、硬化性を有するとともに、高分子量からオリゴマー程度の分子量を有する樹脂を含有するものであれば特に限定されず、例えば、液状若しくは固形の硬化性樹脂からなる態様、液状若しくは固形の硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物若しくは溶剤(非硬化性)などを含有する態様、及び、液状若しくは固形の非硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物とを含有する態様などが挙げられる。液状若しくは固形の非硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物を含有する態様としては、例えば、PMMAなどのアクリル樹脂のオリゴマー成分と(メタ)アクリレートモノマーなどを含有する態様を挙げるこができる。
【0028】
本発明では、前記硬化性樹脂として、例えば、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、又は、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を好適に使用することができ、これらの化合物を単独、或いは、少なくとも2種以上の混合物として使用することもできる。以下、詳細に説明する。
【0029】
(1−1)多価フェノール化合物について
前記多価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものを好適に使用することができる。上記多価フェノール化合物において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型、ビフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
【0030】
上記多価フェノール化合物において、有機骨格とは、多価フェノール化合物を構成する芳香環骨格同士を結合し、炭素原子を必須とする部位を意味するものである。また、炭素数が2以上の有機骨格としては、環構造を有することが好ましい。環構造とは、脂肪族環、芳香族環等といった環を有する構造であり、環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が好ましい。更に、有機骨格としては、トリアジン環、フォスファゼン環等の窒素原子を含有する環構造及び/又は芳香環を有することが好ましく、中でもトリアジン環及び/又は芳香環を有することが特に好ましい。なお、多価フェノール化合物は、上記以外の芳香族骨格や有機骨格を有していてもよく、また、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が1の有機骨格(メチレン)を介して結合してなる構造を同時に有していてもよい。
【0031】
上記多価フェノール化合物は、有機骨格として窒素原子を含有する環構造を有する場合には窒素原子含有率が1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、得られる光実装材料の難燃性が充分なものとはならないおそれがあり、50質量%を超えると、物性と難燃性とが充分に両立されたものとはならないおそれがある。より好ましくは、3〜30質量%であり、更に好ましくは、5〜20質量%である。なお、窒素原子含有率とは、多価フェノール化合物を100質量%としたときの多価フェノール化合物を構成する窒素原子の質量割合である。
【0032】
本発明において使用できる多価フェノール化合物としてはまた、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格を形成する化合物(以下、芳香族骨格を形成する化合物ともいう)と、炭素数が2以上の有機骨格を形成する化合物(以下、有機骨格を形成する化合物ともいう)とを必須成分とする反応原料によって製造されるものであることが好適である。
【0033】
上記反応原料とは、芳香族骨格を形成する化合物と、有機骨格を形成する化合物とを必須成分とし、必要により用いられる他の化合物を含み、また、反応を行うために必要により用いられる溶剤等を含む混合物を意味する。なお、芳香族骨格を形成する化合物、及び、有機骨格を形成する化合物はそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
上記芳香族骨格を形成する化合物としては、芳香族環に1個又は2個以上のフェノール性水酸基が結合する化合物であればよく、1個又は2個以上の水酸基以外の置換基が結合していてもよい。上記芳香族骨格を形成する化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、混合クレゾール、p−ヒドロキシエチルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、混合イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,4−ジ−s−ブチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール等が好適である。また、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、カテコール、レゾルシン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等が好適であり、α−ナフトール、β−ナフトール等の多環式の芳香族骨格を形成する化合物も好適である。
【0035】
上記有機骨格を形成する化合物としては、(1)α−ヒドロキシアルキル基、α−アルコキシアルキル基及びα−アセトキシアルキル基のいずれかを有する芳香族系化合物、(2)不飽和結合を有する化合物、(3)アルデヒド、ケトン等のカルボニル基を有する化合物、(4)これら特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物、(5)アミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基及びジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物等が好適である。
【0036】
上記(1)の芳香族系化合物としては、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p−ジアセトキシメチルベンゼン、m−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールジメチルエーテル、m−ジアセトキシメチルベンゼン、p−ジヒドロキシイソプロピルベンゼン、p−ジメトキシイソプロピルベンゼン、p−ジアセトキシイソプロピルベンゼン、トリヒドロキシメチルベンゼン、トリヒドロキシイソプロピルベンゼン、トリメトキシメチルベンゼン、トリメトキシイロプロピルベンゼン、4,4′−ヒドロキシメチルビフェニル、4,4′−メトキシメチルビフェニル、4,4′−アセトキシメチルビフェニル、3,3′−ヒドロキシメチルビフェニル、3,3′−メトキシメチルビフェニル、3,3′−アセトキシメチルビフェニル、4,4′−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、4,4′−メトキシイソプロピルビフェニル、4,4′−アセトキシイソプロピルビフェニル、3,3′−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、3,3′−メトキシイソプロピルビフェニル、3,3′−アセトキシイソプロピルビフェニル、2,5−ヒドロキシメチルナフタレン、2,5−メトキシメチルナフタレン、2,5−アセトキシメチルナフタレン、2,6−ヒドロキシメチルナフタレン、2,6−メトキシメチルナフタレン、2,6−アセトキシメチルナフタレン、2,5−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,5−メトキシイソプロピルナフタレン、2,5−アセトキシイソプロピルナフタレン、2,6−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,6−メトキシイソプロピルナフタレン、2,6−アセトキシイソプロピルナフタレン等が好適である。
【0037】
上記(2)の不飽和結合を有する化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テルペン類等が好適である。上記(3)のカルボニル基を有する化合物としては、炭素数5〜15の各種アルデヒド類又はケトン類が好適であり、ベンズアルデヒド、オクタナール、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、シクロヘキサンジアルデヒド、トリシクロデカンジアルデヒド、ノルボルナンジアルデヒド、スベルアルデヒド等が好ましい。
【0038】
上記(4)の特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物において、カルボニル基と不飽和結合とを有する化合物としては、イソプロペニルベンズアルデヒド、イソプロペニルアセトフェノン、シトロネラール、シトラール、ペリルアルデヒド等が好適である。また、α−ヒドロキシアルキル基又はα−アルコキシアルキル基と、不飽和結合とを有する化合物としては、ジヒドロキシメチルスチレン、ジヒドロキシメチルα−メチルスチレン、ジメトキシメチルスチレン、ジメトキシメチルα−メチルスチレン、ヒドロキシメチルジビニルベンゼン、ヒドロキシメチルジイソプロピルベンゼン、メトキシメチルジビニルベンゼン、メトキシメチルジイソプロピルベンゼン等が好適である。
【0039】
上記(5)のアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、及び、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物としては、メラミン、ジヒドロキシメチルメラミン、トリヒドロキシメチルメラミン、アセトグアナミン、ジヒドロキシメチルアセトグアナミン、テトラヒドロキシメチルアセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチルベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチルベンゾグアナミン、尿素、ジヒドロキシメチル尿素、テトラヒドロキシメチル尿素、エチレンジアミン、ジヒドロキシメチルエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルエチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、p−キシリレンジアミン、p−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、m−キシリレンジアミン、m−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、4,4′−オキシジアニリン、4,4′−オキシジヒドロキシメチルアニリン、4,4′−メチレンジアニリン、4,4′−メチレンジヒドロキシメチルアニリン等が好適である。これらの中でも、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のトリアジン骨格を有する化合物等が好ましい。
【0040】
上記反応原料としては、芳香族骨格を形成する化合物(以下、原料Aともいう)と、上記(1)〜(5)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料Bともいう)とを必須成分とすることが好ましい。より好ましくは、原料Aと、上記(1)〜(4)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B1ともいう)と、上記(5)の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B2ともいう)とを必須成分とすることである。この場合の反応原料の反応順序としては、反応開始前に原料A、原料B1及び原料B2をあらかじめ混合させておき、原料Aと原料B1との反応が完結する前に原料B2を反応させることが好ましく、例えば、原料Aと原料B1と原料B2とを同時に反応させるか、又は、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることが好ましい。これにより、難燃性をより確実に向上させることができ、また、電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等に好適に適用することができるものとなる。より好ましくは、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることである。
【0041】
上記多価フェノール化合物を製造するときに用いる原料Aと原料Bとの配合モル比としては、1/1以上が好ましく、また、10/1以下が好ましい。1/1よりも原料Aが少ないと、本発明の光実装材料用樹脂組成物の製造の際にゲル化するおそれがあり、10/1よりも原料Aが多いと、樹脂組成物の難燃性が発現しにくくなるおそれがある。より好ましくは、光実装材料用樹脂組成物が高温度で高強度を発揮することが可能となることから、1.3/1以上であり、また、8/1以下である。更に好ましくは、1.8/1以上であり、また、5/1以下である。
【0042】
上記多価フェノール化合物は、上記反応原料を触媒の存在下に反応させてなるものであることが好ましい。多価フェノール化合物の製造に用いることができる触媒としては、上記反応原料を反応させることができるものであればよい。上記触媒において原料B1を反応させる場合には、酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の無機酸や有機スルホン酸の他、三フッ化ホウ素若しくはその錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘテロポリ酸等の超強酸、活性白土、合成ゼオライト、スルホン酸型イオン交換樹脂、パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂等の固体酸触媒等が好適である。上記原料B1を反応させる場合の触媒の使用量としては、それぞれの酸強度によって適宜設定されるが、原料B1に対して、0.001〜100質量%が好ましい。これらの範囲で均一系となるような触媒としては、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等が好ましく、これらの使用量としては0.001〜5質量%が好ましい。不均一系のイオン交換樹脂や活性白土等の使用量としては、1〜100質量%が好ましい。
【0043】
上記触媒において原料B2を反応させる場合には、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物及びこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が好適であり、酸触媒としては、塩酸、硫酸、スルホン酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸、ルイス酸、酢酸亜鉛等の2価金属塩等の塩基性触媒が好適である。また、原料B2の反応後に必要に応じて、中和、水洗して塩類などの不純物を除去することが好ましい。なお、触媒としてアミン類を使用した場合には中和、水洗等の不純物除去は行わないことが望ましい。
【0044】
上記多価フェノール化合物は、原料Aにおける芳香環と、原料Bにおける置換基とが縮合して得られることになるが、この際に多価フェノール化合物と共にカルボン酸やアルコール、水等が副生することになる。このように副生するカルボン酸やアルコール、水は、反応中や反応後に減圧下で留去したり、溶媒との共沸等の操作を行ったりすることにより煩雑な工程を必要とすることなく反応生成物から容易に取り除くことが可能である。なお、反応生成物とは、上記のように反応させることにより得られるものすべてを含む混合物を意味し、多価フェノール化合物や副生するカルボン酸やアルコール、水の他に、必要に応じて用いられる触媒や後述する溶媒等を含むことになる。
【0045】
上記多価フェノール化合物の製造での反応条件において、反応温度としては、副生するカルボン酸や、アルコール、水等が揮発して留去される温度とすることが好ましく、100〜240℃とすることが好ましい。より好ましくは、110〜180℃であり、更に好ましくは、130〜160℃である。このように、多価フェノール化合物の製造では、カルボン酸等が副生することになるが、反応生成物から容易に取り除くことが可能である。また、使用する原料、触媒の種類や量、反応温度等に依存するが、反応時間としては、原料Aと原料Bとの反応が実質的に完結するまで、すなわちカルボン酸やアルコール、水が生じなくなるまでとすることが好ましく、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。
【0046】
上記多価フェノール化合物の製造における反応方法としては、溶媒の存在下で反応を行ってもよく、溶媒としては、原料Aと原料Bとの反応に不活性な有機溶媒を用いることが好ましく、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等を用いることができる。溶媒を用いることにより、原料を溶媒中に溶解させて均質化することができる。また、原料B1を反応させる場合には無溶媒で反応を行うことが好ましい。
【0047】
上記多価フェノール化合物の製造において、反応生成物からカルボン酸、アルコール、水等の副生物や溶媒を取り除く場合、0.1〜10kPaの減圧下、上記温度で蒸留することにより留去させることが好適である。このとき、未反応のフェノール類も留去されることもあるため、反応が実質的に完結した後に行うことが好ましい。
【0048】
(1−2)重合性不飽和結合を有する化合物について
前記重合性不飽和結合を有する化合物としては、、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。すなわち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、フマレート基を有する化合物及びマレイミド基を有する化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとしないで、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
【0049】
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
【0050】
上記(ポリ)エステル(メタ)アクリレートとは、主鎖にエステル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、例えば、脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬社製の「R−629」又は「R−644」)、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の単官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類;
ピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトール又はジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール又はヘキサオール等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)ペンタンジオール、(ポリ)メチルペンタンジオール、(ポリ)ヘキサンジオール等のジオール成分と、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アルケニルコハク酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多塩基酸からなるポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート;上記ジオール成分と多塩基酸とε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトンとからなる環状ラクトン変性ポリエステルジオールの(メタ)アクリレート等の多官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類等が好適である。
【0051】
上記ウレタン(メタ)アクリレートとは、主鎖にウレタン結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物との反応によって得られる化合物であることが好適である。
【0052】
上記少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はグリシジル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物や、上記の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とε−カプロラクトンとの開環反応物等が好適である。
【0053】
上記イソシアネート化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアヌレート体等のポリイソシアネート;これらイソシアネート化合物と各種のポリオールとのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート等が好適である。
【0054】
上記ポリイソシアネートの製造原料としてのポリオールとしては、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物、メチルバレロラクトン変性物等;
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール類;アジピン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール等のポリオールとのエステル化反応物である脂肪族ポリエステルポリオール類;テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸とネオペンチルグリコール等のポリオールとのエステル化反応物である芳香族ポリエステルポリオール類;ポリカーボネートポリオール類;アクリルポリオール類;ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等の多価水酸基化合物;上記の多価水酸基含有化合物の末端エーテル基のモノ及び多価水酸基含有化合物;上記の多価水酸基含有化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸等のジカルボン酸とのエステル化により得られる多価水酸基含有化合物;グリセリン等の多価水酸基化合物と、動物、植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリド等の多価水酸基含有化合物等が好適である。
【0055】
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2′,6,6′−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
【0056】
上記(ポリ)エーテル(メタ)アクリレートとは、主鎖にエーテル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、例えば、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール類、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等の多価水酸基化合物と、(メタ)アクリル酸とから誘導される多官能(メタ)アクリレート類;ネオペンチルグリコール1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテルを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS等の水添ビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;トリスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添トリスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;p,p′−ビフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;p,p′−ジヒドロキシベンゾフェノン類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトール又はジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオール等の多価アルコールの単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート又は多官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類等が好適である。
【0057】
上記アルキル(メタ)アクリレート又はアルキレン(メタ)アクリレートとは、主鎖が直鎖アルキル、分岐アルキル、直鎖アルキレン基又は分岐アルキレン基であり、側鎖又は末端にハロゲン原子及び/又は水酸基を有していてもよい(メタ)アクリレートであり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ネリル(メタ)アクリレート、ゲラニル(メタ)アクリレート、ファルネシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、トランス−2−ヘキセン(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートの炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート(以下、ジ、トリ、テトラ等の多官能の総称として「ポリ」を用いる。)、グリセリンのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ヘキサオール等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の臭素原子を持つ(メタ)アクリレート;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−8−メチルデシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリレート類等が好適である。
【0058】
上記芳香環を有する(メタ)アクリレートとは、主鎖又は側鎖に芳香環を有する(メタ)アクリレートであり、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールSジアクリレート等のジアクリレート類等が好適である。
【0059】
上記脂環構造を有する(メタ)アクリレートとは、主鎖又は側鎖に、構成単位に酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい脂環構造を有する(メタ)アクリレートであり、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、ビシクロヘプチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンチルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロオクチル(メタ)アクリレート、トリシクロヘプチル(メタ)アクリレート、コレステロイド骨格置換(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート類;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS等の水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、水添トリスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、水添p,p′−ビフェノール類のジ(メタ)アクリレート;「カヤラッドR684」(日本化薬社製)等のジシクロペンタン系ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシ(メタ)アクリレート等の環状構造を持つ多官能(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート等が好適である。
【0060】
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸ポリマーとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応物又はグリシジル(メタ)アクリレートポリマーと(メタ)アクリル酸との反応物等のポリ(メタ)アクリル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート;トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル(メタ)アクリレート;ヘキサキス[((メタ)アクリロイルオキシエチル)シクロトリフォスファゼン]等のフォスファゼン(メタ)アクリレート;ポリシロキサン骨格を有する(メタ)アクリレート;ポリブタジエン(メタ)アクリレート;メラミン(メタ)アクリレート等を用いてもよい。これらの(メタ)アクリロイル基を有する化合物の中でも、1分子中に1〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
【0061】
上記ビニル基を有する化合物としては、他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよいアルキルビニルエーテル(以下、アルキルビニルエーテルともいう)、他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよいシクロアルキルビニルエーテル(以下、シクロアルキルビニルエーテルともいう)、ビニルエーテル基がアルキレン基と結合し、更に置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基及び芳香族基からなる群より選択される1種以上の基と、エーテル結合、ウレタン結合及びエステル結合からなる群より選択される1種以上の結合を介して結合している構造を有するモノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテル(以下、モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルともいう)等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
【0062】
上記アルキルビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、ヒドロキシメチルビニルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、4−アミノブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、イソオクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、イソノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、イソデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、イソドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、イソトリデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、イソペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、メチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。
【0063】
上記シクロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、シクロプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシシクロプロピルビニルエーテル、2−クロロシクロプロピルビニルエーテル、シクロプロピルメチルビニルエーテル、シクロブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロブチルビニルエーテル、3−クロロシクロブチルビニルエーテル、シクロブチルメチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロペンチルビニルエーテル、3−クロロシクロペンチルビニルエーテル、シクロペンチルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロへキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−アミノシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が好適である。
【0064】
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、エーテル結合を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールメチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールメチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、
テトラメチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールメチルビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル等が好適である。
【0065】
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、ウレタン結合を有する化合物としては、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテルと1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物のウレタン化反応によって得られる化合物であることが好ましい。
【0066】
上記1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルエチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル等が好適である。
【0067】
上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;プロピルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族のイソシアネート類等が好適である。また、上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物の1種類以上の二量体又は三量体等のポリイソシアネートを上記ウレタン結合を有する化合物の原料として用いてもよい。
【0068】
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、ウレタン結合を有する化合物としては、上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物のうち、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と各種のアルコール類とのウレタン化反応によって得られるアダクト体を用いてもよい。
【0069】
上記アルコール類としては、1分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ化合物等が好適であり、平均分子量が100000以下のものが好ましい。上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジクロロネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキシド付加ビスフェノ−ルA、プロピレンオキシド付加ビスフェノ−ルA、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0070】
上記アルコール類としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いてもよい。上記ポリエステルポリオールとしては、上述のアルコール類のうちのポリオール成分とカルボン酸との反応によって得られるものが好ましい。上記カルボン酸としては、公知慣用の各種のカルボン酸、又はそれらの酸無水物等を用いることができ、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジメチル−ないしはジエチルエステル等の5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸もしくはピロメリット酸、又はこれらの酸無水物やメタノール、エタノール等のアルコールとのエステル化合物等が好適である。また、ε−カプロラクトンと上述のポリオール成分との開環反応によって得られるラクトンポリオールを用いてもよい。
【0071】
上記ポリエーテルポリオールとしては、公知慣用のものを用いることができ、例えば、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキシド変性ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド変性ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のエーテルグリコール、3官能以上のポリオールを開始剤として環状エーテルを開環重合してできるポリエーテルポリオール等が好適である。
【0072】
上記ポリカーボネートポリオールは、カーボネートと各種のポリオールとのエステル交換反応によって得られるものが好ましい。上記カーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニル−トリル−カーボネート、フェニル−クロロフェニル−カーボネートもしくは2−トリル−4−トリル−カーボネート;ジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートのようなジアリール−ないしはジアルキルカーボネート等好適である。上記ポリカーボネートポリオールの製造原料としてのポリオールとしては、上記アルコール類、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオール等が好適である。
【0073】
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、エステル結合を有する化合物は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアルキレングリコールのモノビニルエーテルと1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物とのエステル化反応によって得られるものが好適である。
【0074】
上記1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアルキレングリコールのモノビニルエーテルとしては、上記のウレタン結合を有する化合物における、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテル等が好適である。
【0075】
上記1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物としては、公知のカルボン酸及びその酸無水物を用いることができ、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸;5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジメチル−又はジエチルエステル等の5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸若しくはピロメリット酸、又はこれらの酸無水物等が好適である。更に、これらのカルボン酸のうち、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物と上記のウレタン結合を有する化合物におけるアルコール類との反応によって得られるカルボン酸を用いることもできる。
【0076】
上記フマレート基を有する化合物としては、例えば、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマル酸エステル類、フマル酸と多価アルコールとのエステル化反応物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0077】
上記マレイミド基を有する化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−イソプロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート等の単官能脂肪族マレイミド類;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−2−トリフルオロメチルフェニルマレイミド等の芳香族単官能マレイミド類;N,N′−メチレンビスマレイミド、N,N′−エチレンビスマレイミド、N,N′−トリメチレンビスマレイミド、N,N′−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N′−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド;N,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N′−(4,4′−ジフェニルオキシ)ビスマレイミド、N,N′−p−フェニレンビスマレイミド、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、N,N′−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N′−2,6−トリレンビスマレイミド、N,N′−〔4,4′−ビス(3,5−ジメチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N′−〔4,4′−ビス(3,5−ジエチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド等の芳香族ビスマレイミド類等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0078】
本発明の重合性不飽和結合を有する化合物として用いることができるその他の化合物としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド類;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド類;酢酸ビニル、ケイ皮酸ビニル等のカルボン酸ビニル誘導体;スチレン、ジビニルスチレン等のスチレン誘導体;ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリルアルコールエトキシアクリレート、エポキシステアリルアクリレート、2−(1−メチル−4−ジメチル)ブチル−5−メチル−7−ジメチルオクチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノールポリアルコキシアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールポリプロピレンオキサイド変性アクリレート、ブトキシポリプロピレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールラクトン変性アクリレート、ラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルオキシエチルアクリレート等のアクリレート類;
アクリロイルモルホリン、ダイアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニルアミド類;ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;クロルフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ラウリルマレイミド等のマレイミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、2,2−ジ(グリシジルオキシフェニル)プロパンのアクリル酸付加物、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
【0079】
(1−3)グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物について
本発明で使用できるグリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらを上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3′,4′−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
【0080】
本発明では、硬化性樹脂として、熱可塑性樹脂などの非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを含有するものを使用することもできる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなるABS樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリイミドなどを挙げることができる。前記硬化性化合物としては、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、及び、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物について例示した中から、適宜選択して使用すればよい。
【0081】
(2)無機微粒子について
本発明の光実装材料用樹脂組成物は、上記樹脂と無機微粒子とを含有し、前記無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/またはカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その質量平均慣性半径が50nm以下である。
【0082】
上記加水分解縮合物とは、加水分解反応により得られたものを更に縮合反応することによって得られる化合物をいう。以下に、アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物の加水分解反応及び縮合反応を示す。
M(OR+aHO(加水分解)→M(OH)+aROH
M(OH)→M(OH)→MO2/c(縮合物)
(式中、Mは金属元素若しくは非金属元素を表し、Rはアルキル基又はアシル基を表す。a、b及びcは任意の数値である。)
上記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、下記一般式(1);
M(OR (1)
(式中、Mは金属元素若しくは非金属元素、Rはアルキル基又はアシル基を表し、nは1〜7の整数を表す。)で表される化合物及び/又は下記一般式(2);
(RM(OR(2)
(式中、M及びRは一般式(1)と同様である。Rは有機基を表し、m及びpは1〜6の整数を表す。)で表される化合物が好適である。
【0083】
上記一般式(1)及び(2)におけるRのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好適であり、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が好ましい。また、Rのアシル基としては、炭素数1〜4のアシル基が好適であり、アセチル基、プロピオニル基、ブチニル基等が好ましい。
【0084】
上記一般式(2)におけるRの有機基としては、炭素数1〜8の有機基が好適であり、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基;3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2−メルカプトプロピル基等のメルカプト基含有アルキル基;2−アミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−アミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基等のアミノ基含有アルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基含有有機基;ビニル基、3−(メタ)アクリルオキシプロピル基等の不飽和基含有有機基等が好ましい。
【0085】
上記一般式(1)及び(2)における金属元素若しくは非金属元素Mとしては、上記一般式(1)及び一般式(2)に示す化合物の構造を取り得る金属元素若しくは非金属元素であれば周期表のどの元素でもよく、例えば、B、Al、Ca、In、Tl等のIIIB族;C、Si、Ge、Sn、Pb等のIVB族;Ti、Zr、Zn、Ca、Na、Li、Te、Mg、Ni、Cr、Ba、Ta、Mo、Tb、Cs等を挙げることができる。
【0086】
また、前記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、Mが異なる2種以上のものを併用する、或は、2種類以上のMを複合的に含有するものを使用してもよい。特に、光実装材料の用途においては、絶縁性が要求されるため、イオン伝導性の低いものを選択することが好ましく、前記金属元素若しくは非金属元素Mとしては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く典型金属元素、遷移金属元素、又は、非金属元素が好ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く典型金属元素としては、Al又はInが好適であり、非金属元素としては、Siが好適である。
【0087】
上記MがSiである場合のアルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アニリン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;テトラアセチルオキシシラン、テトラプロピオニルオキシシラン等のテトラアシルオキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、エチルトリアセチルオキシシラン等のトリアシルオキシシラン類;ジメチルジアセチルオキシシラン、ジエチルジアセチルオキシシラン等のジアシルオキシシラン類等が好適である。これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0088】
上記MがSi以外である場合のアルコキシド化合物としては、Cu(OCH、Zn(OC、B(OCH、Al(OCH、Al(OC、Al(iso−OC、Al(OC、Ga(OC、Y(OC、Ge(OC、Pb(OC、P(OCH、Sb(OC、VO(OC、Ta(OC、W(OC、La(OC、Nd(OC、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(iso−OC、Ti(OC、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等の単一金属アルコキシド;La[Al(iso−OC、Mg[Al(iso−OC、Mg[Al(sec−OC、Ni[Al(iso−OC、(CO)Zr[Al(OC、Ba[Zr(OC等の複合金属アルコキシド等が好適である。
【0089】
上記加水分解及び縮合反応においては反応を促進するために、金属キレート化合物を使用することもできる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。上記金属キレート化合物としては、Zr(OR(RCOCHCOR4−q、Ti(OR(RCOCHCOR4−r、及び、Al(OR(RCOCHCOR4−sからなる群より選択される1種以上の化合物やこれらの部分加水分解物等が好適である。
【0090】
上記金属キレート化合物におけるR及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜6の有機基を表し、Rは、炭素数1〜6の有機基又は炭素数1〜16のアルコキシル基を表し、q及びrは、0〜3の整数、sは、0〜2の整数である。R及びRにおける炭素数1〜6の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基等が好適である。また、Rにおける炭素数1〜16のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が好適である。
【0091】
上記金属キレート化合物としては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム等のチタニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が好適である。これらの中でも、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。
【0092】
上記金属キレート化合物の使用量としては、上記一般式(1)で表される化合物及び/又は上記一般式(2)で表される化合物100重量部に対して、30重量部以下が好ましい。30重量部を超えると、成形品の表面外観が低下するおそれがある。より好ましくは、20重量部以下であり、更に好ましくは、10重量部以下である。
【0093】
本発明における無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であることから、その他の異なる反応機構の製造法により得られる無機微粒子とは異なる微細構造を有しており、例えば、無機微粒子がSi、Al、P、Fe、Ag、Sn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Sb、La等の金属元素若しくは非金属元素を含有してなる場合、核磁気共鳴(NMR)測定により確認することができる。一例として、Siを含有する場合について述べると、1個のSi原子の周りを4個の酸素原子が配位したSiO原子団が構成する正四面体が基本構造となっており、SiO原子団同士が酸素原子を共有化するか否かで異なる微細構造をとる。シリカをハロゲン化珪素の加熱分解や加熱還元化した珪砂の空気酸化により製造した場合、すべてのSiO原子団は酸素原子を共有化するため、Si−NMR測定を行うと、−120〜−100ppmにピークトップを持つQシリカ成分のみが観測される。これに対して本発明に記載のアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物の場合、酸素原子を共有しないSiO原子団が出現し、Qシリカ成分とともに−100ppm〜−90ppmにピークトップを持つQシリカ成分も確認される。このようなNMR測定は、無機微粒子がアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であるかどうかを確認するための有力な手法となり得、更に無機微粒子により期待される各種性能がどの程度付与されうるかを調べることも可能である。
【0094】
本発明で使用する無機微粒子は、その平均慣性半径(質量平均)が50nm以下であり、より好ましくは45nm以下であり、さらに好ましくは40nm以下である。樹脂中に分散させる無機微粒子の平均慣性半径を50nm以下にすることによって、得られる光実装材料の線膨張係数が小さくなる。本発明で使用する「アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合して得られるものであって、その平均慣性半径が50nm以下の無機微粒子」の製造方法としては、上述した樹脂成分を含有してなる液体媒体中で、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合して無機微粒子を得る方法が好適である。樹脂成分を含有する液体媒体中で加水分解縮合物を得ることによって、有機−無機の複合化が行われ、マトリックスである樹脂中に、無機微粒子が微細に分散した有機−無機ハイブリッド(複合体)である本発明の光実装材料用樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られた有機−無機ハイブリッドは、優れた硬化性及び難燃性を発揮するものである。
【0095】
上記無機微粒子の具体的な製造方法としては、まず、樹脂を含有してなる液体媒体、好ましくは樹脂を含有してなる溶液を調製し、その溶液にアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物と、水又はそれを含有する溶媒とを投入して、加水分解反応及び縮合反応を行えば良い。上記樹脂成分を含有してなる液体媒体としては、上記樹脂成分と溶剤、可塑剤、若しくは、滑剤として、エーテル結合、エステル結合、及び窒素原子よりなる群から選択される少なくとも一つ以上の構造を有する化合物を使用することが好ましい。
【0096】
上記エーテル結合を有する化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ペラトロール、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シオネール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、グリセリンエーテル、クラウンエーテル、メチラール、アセタール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が好適である。
【0097】
上記エステル結合を有する化合物としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノブチリン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、酪酸エステル類、イソ酪酸エステル類、イソ吉草酸エステル類、ステアリン酸エステル類、安息香酸エステル類、ケイ皮酸エチル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、γ−ブチロラクトン類、シュウ酸エステル類、マロン酸エステル類、マレイン酸エステル類、酒石酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、フタル酸エステル類、二酢酸エチレン類等が好適である。
【0098】
上記窒素原子を含有してなる化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、α−トルニトリル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム等が好適である。
【0099】
上記エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた構造を複数有する化合物としては、例えば、N−エチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
【0100】
上記溶媒等の使用量としては、樹脂100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、また、500重量部以下が好ましい。より好ましくは、20重量部以上であり、また、200重量部以下である。上記その他の溶媒としては、メタノール、エタノール等が好適である。
【0101】
上記樹脂を含有する液体媒体中での加水分解及び縮合の反応条件において、反応温度としては、0〜120℃とすることが好ましい。より好ましくは、10〜100℃であり、更に好ましくは、20〜80℃である。また、反応時間としては、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。上記無機微粒子を調製する場合における反応条件としては、反応温度は調製する無機微粒子により適宜設定すればよく、反応圧力は常圧としても加圧してもよいが、本発明では、例えば、反応温度を100℃以下、好ましくは、50〜100℃とし、更に好ましくは、70〜100℃とし、反応圧力を常圧とし、反応時間を4〜10時間とすることができる。
【0102】
本発明の光実装材料用樹脂組成物は、上記無機微粒子を1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、50質量%以下、より好ましくは40質量%以下含有することが好ましい。1質量%未満であると、得られる光実装材料の難燃性や熱的性質の改善効果が発現しない可能性がある。50質量%を超えると、高粘度化して組成物を均一に混合できないおそれがある。
【0103】
本発明の光実装材料用樹脂組成物が、さらに、質量平均粒子径が0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、100μm以下、より好ましくは50μm以下の無機化合物を含有することも好ましい態様である。上記無機化合物を併用することによって、上記無機微粒子による成形品の難燃性、熱的性質(線膨張係数)、機械的性質の改善効果をより著しいものとすることができる。また、質量平均粒子径が0.1μm〜100μmの無機化合物の含有量を制御することによって、得られる光実装材料の成形体の線膨張係数を制御することができる。質量平均粒子径が0.1μm〜100μmの無機化合物の含有率は、上記光実装材料用樹脂組成物中、2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、95質量%未満、より好ましくは90質量%以下であることが望ましい。無機化合物の含有率を上記範囲にすることによって、ポリメチルメタクリレートやポリイミドなどのポリマー系材料の線膨張係数(40〜60ppm程度)から石英系材料の線膨張係数(8ppm)程度まで調整することが可能となる。
【0104】
特に本態様では、平均慣性半径が50nm以下の無機微粒子と質量平均粒子径が0.1μm〜100μmの無機化合物という粒子径の異なるものを併用することによって、本発明の光実装材料用樹脂組成物中に含有される無機成分全体の割合を著しく高めることができ、その結果、得られる光実装材料の線膨張係数を石英やパイレックス(登録商標)などの無機物と同等レベルに小さくすることができるとともに、難燃性も向上する。すなわち、平均粒子径が0.1μm〜100μmの無機化合物の含有率を80質量%以上95質量%未満にすることによって、10ppm以下の線膨張係数を有する光実装材料が得られる。
【0105】
前記無機化合物としては、線膨張係数が10ppm以下のセラミックスを使用することが好ましい。線膨張係数が低いセラミックスを使用すれば、得られる光実装材料の線膨張係数を小さくすることができる。前記線膨張係数が10ppm以下のセラミックスとしては、線膨張係数が0.5ppm程度の非晶質シリカ、1.0ppm程度のコーディエライト、−8ppm程度のβ−ユークリプタイトなどが挙げられる。これらの中でも、非晶質シリカである溶融シリカを使用することが好ましい態様である。
【0106】
本発明の光実装材料用樹脂組成物は、上述した樹脂と無機微粒子の他に、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有しても良い。
【0107】
(3)光実装材料用樹脂組成物の硬化方法について
以下、本発明の光実装材料用樹脂組成物の硬化方法について説明する。本発明の光実装材料用樹脂組成物の硬化には、使用する樹脂の性質に応じて、従来公知の方法を採用することができる。
【0108】
(3−1)多価フェノール化合物の場合
樹脂成分として、多価フェノール化合物を含有する本発明の光実装材料用樹脂組成物は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも2つ有する化合物を挙げることができ、上記グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも2個以上有する化合物としては、1分子内に平均2個以上のグリシジル基及び/又はエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好適であり、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル、ジクロロパラキシレン等を縮合反応させて得られる多価フェノールを、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族多環式エポキシ樹脂等が好適である。また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類及び/又はビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0109】
上記多価フェノール化合物とエポキシ樹脂系硬化剤との配合質量比(多価フェノール化合物/エポキシ樹脂系硬化剤)としては、30/70以上となるようにすることが好ましく、また、70/30以下となるようにすることが好ましい。30/70未満であると、形成される硬化物の機械物性等が低下するおそれがあり、70/30を超えると、難燃性が不充分となるおそれがある。より好ましくは、35/65以上であり、また、65/35以下である。上記硬化には硬化促進剤を使用してもよく、上記硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)等のアミン類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等が好適である。
【0110】
(3−2)重合性不飽和結合を有する化合物を含有する場合について
樹脂成分として、重合性不飽和結合を有する化合物を含有する光実装材料用樹脂組成物の硬化方法としては、活性エネルギー線の照射による硬化方法、熱による硬化方法が挙げられるが、本発明の樹脂組成物が200〜400nmに固有の分光感度を有しており、光重合開始剤不在下において、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を照射することによって重合させることができ、とりわけ、254nm、308nm、313nm、365nmの波長の光が硬化に有効であるので、活性エネルギー線の照射による硬化方法が好適である。また、本発明の樹脂組成物は、空気中及び/又は不活性ガス中のいずれにおいても硬化させることができる。
【0111】
重合性不飽和結合を有する化合物を含有する本発明の樹脂組成物は、上述した紫外線又は可視光線以外の活性エネルギー線の照射によっても硬化させることができ、活性エネルギー線としては、ラジカル性活性種を生成させることができるものであればよく、上述した紫外線又は可視光線の他に、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波、赤外線、レーザー光線等が好適であり、ラジカル性活性種を発生させる化合物の吸収波長を考慮して適宜選択すればよい。
【0112】
上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の光発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が好適である。上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の照射時間としては、活性エネルギー線の波長照射量によって適宜設定すればよいが、0.1マイクロ秒〜30分が好ましく、0.1ミリ秒〜1分がより好ましい。
【0113】
上記活性エネルギー線の照射による硬化においては、硬化反応をより効率的に行うために、公知慣用の光重合開始剤を添加して硬化させてもよい。上記光重合開始剤の配合量としては、本発明の硬化性樹脂成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると、光重合が効率的に進行しないおそれがあり、10質量部を超えても、硬化速度の更なる向上効果はなく、逆に硬化が不充分となるおそれがある。
【0114】
上記光重合開始剤としては、分子内結合開裂型の光重合開始剤、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられる。上記分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−「4−(1−メチルビニル)フェニル」プロパン}(ラムベルティ社製エサキュアーKIP100)、4−(2−アクリロイル−オキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン(チバ・ガイギー社製「ZLI3331」等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインアルキル等のベンゾイン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとの混合物(チバ・ガイギー社製「イルガキュア500」)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」)、ビスアシルホスフィンオキサイド(チバガイギー社製「CGI1700」)等のアシルホスフィンオキサイド系、ベンジル及びベンジル誘導体、メチルフェニルグリオキシエステル、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(日本油脂社製BTTB)等が好適である。
【0115】
上記分子内水素引き抜き型光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル及びο−ベンゾイル安息香酸アルキル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系、ミヒラーケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好適である。
【0116】
上記光重合開始剤として用いることができるその他の化合物としては、2,2−ジメトキシ−1,2ージフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン及びその誘導体、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、1,1−ジアルコキシアセトフェノン、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンー1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−フェニルホスフィンオキサイド等が好適である。
【0117】
上記光重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤を用いることもできる。上記光カチオン重合開始剤としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe−ヘキサフルオロホスフェート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が好適である。これらは市場より容易に入手することができ、例えば、SP−150、SP−170(旭電化社製);イルガキュア261(チバ・ガイギー社製);UVR−6974、UVR−6990(ユニオンカーバイド社製);CD−1012(サートマー社製)等が好適である。光カチオン重合開始剤としては、これらの中でも、オニウム塩を使用することが好ましい。また、オニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩及びジアリールヨードニウム塩のうち少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0118】
上記活性エネルギー線の照射による硬化においては、更に、光増感剤を併用することが好ましい。上記光増感剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、光重合が効率的に進行しないおそれがあり、20質量%を超えると、塗膜内部へ紫外線が透過するのを妨げ、硬化が不充分となるおそれがある。より好ましくは、0.5〜10質量%である。
【0119】
上記光増感剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類等が好適である。
【0120】
重合性不飽和化合物を含有する本発明の樹脂組成物の硬化においては、更に添加剤を添加して硬化してもよく、添加剤としては、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等が好適である。
【0121】
(3−3)グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物の場合
樹脂成分として、グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する本発明の光実装材料用樹脂組成物は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、上記グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を上述した多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
【0122】
上記グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する本発明の光実装材料用樹脂組成物の硬化においては、硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。
【0123】
また、上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。硬化時間としては、1〜15時間が好ましい。より好ましくは、5〜10時間である。
【0124】
(4)光実装材料、光実装材料の成形体、光実装部品、及び、光モジュールについて
本発明において、「光実装材料」とは、光ファイバ通信において使用され得る材料であれば、特に限定されず、例えば、光ファイバアレイ、マイクロホールアレイ、光導波路装置、光コネクタ、レンズアレイなどの光実装部品を構成する成形部材、若しくは、光実装部品を組み立てる際の構造用接着剤などを含むものである。本発明において、光実装部品を構成する成形部材として、上述した本発明の光実装材料用樹脂組成物を硬化して得られる成形体を使用することが好ましい態様である。また本発明の光実装部品は、上記光実装材料を使用するものであれば、特に限定されず、具体的には、上記光実装材料を使用した光ファイバアレイ、マイクロホールアレイ、光導波路装置、光コネクタ、レンズアレイ、及び、これらを収納する匡体などを挙げることができる。
【0125】
本発明の光実装材料の成形体は、ガラス転移温度以下での線膨張係数が80ppm以下であり、より好ましくは60ppm以下であり、さらに好ましくは10ppm以下であることが望ましい。本発明によれば、線膨張係数が石英やパイレックス(登録商標)とほぼ同等である光実装材料の成形体が得られ、石英やパイレックス(登録商標)からなる材料と併用しても、温度変化に伴う光軸のずれなどの問題が少ない。
【0126】
また、光ファイバ通信用として使用される光実装材料には、難燃性が必要とされるが、本発明の光実装材料用樹脂組成物を硬化して得られる光実装材料は、微細な無機微粒子が樹脂中に分散することによって優れた難燃性を有しているので、環境に悪影響を及ぼすハロゲン系、リン系やアンチモン系難燃剤を使用する必要がないというメリットもある。
【0127】
本発明に光実装材料の成形体は、特に限定されるものではないが、好ましくはUL−94に規定するV−1以上の難燃性、より好ましくはV−0の難燃性を有する。
【0128】
従って、本発明は以下のような態様に変形してもよい。すなわち、本発明の光実装部品用の樹脂成形体は、ハロゲンフリーの樹脂成形体であって、UL−94に規定する難燃性がV−1以上であり、ガラス転移温度以下での線膨張係数が80ppm以下であることを特徴とする。ここで、ハロゲンフリーとは、成形体中に含まれるハロゲン含有量が900ppm以下であることを意味する。上記ハロゲンフリーの樹脂成形体は、例えば、ハロゲン系難燃剤を使用することなく、上述した本発明の光実装用樹脂組成物を使用して成形することによって得られる。
【0129】
(5)本発明の光実装材料の成形体の製造方法
本発明の光実装材料の成形体の製造方法は、樹脂と無機微粒子とを含有する光実装材料用樹脂組成物であって、前記無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その平均慣性半径が50nm以下である光実装材料用樹脂組成物を加圧成形することを特徴とする。
【0130】
上記加圧成形としては、例えば、プレス成形、注型成形を挙げることができ、プレス成形が好適である。前記加圧成形の圧力としては、1気圧(0.1MPa)〜100気圧(10MPa)が好ましく、より好ましくは5気圧(0.5MPa)〜80気圧(8MPa)、さらに好ましくは10気圧(1MPa)〜50気圧(5MPa)である。また、前記加圧成形の温度としては、80℃〜250℃が好ましく、より好ましくは100℃〜200℃である。
【0131】
(6)本発明の光実装部品
以下、本発明の光実装部品について、図面を参照しながらさらに詳細に説明するが、本発明は、図面に記載された態様に限定されるものではない。
【0132】
図3は、本発明の光実装材料を光ファイバアレイに使用した態様を例示する正面図であり、光ファイバアレイ1’は、第一基板7と光ファイバ5と光及び/又は熱硬化性接着剤層13と第二基板11とで構成され、第一基板7には光ファイバ5を収納するためのV字状の溝9が設けられ、光ファイバ5が埋設されている。光ファイバ5は光及び/又は熱硬化性接着剤層13とV字状の溝9によって固定されている。本態様では、光ファイバアレイ用の基板7及び11、光及び/又は熱硬化性接着剤層13の少なくとも1つに本発明の光実装材料用樹脂組成物を使用すればよく、例えば、第一基板7と光及び/又は熱硬化性接着剤層13に本発明の光実装材料用樹脂組成物を使用し、第二基板11に石英製の基板を用いる態様も本発明に含まれる。これらの中でも、第一基板7、第二基板11、光及び又は熱硬化性接着剤層13のすべてに本発明の光実装材料用組成物を使用することが好ましい。
【0133】
本発明の光実装材料を使用した光ファイバアレイは、線膨張係数が石英やパイレックス(登録商標)とほぼ同等であり、石英やパイレックス(登録商標)からなる光導波路と接続しても、温度変化に伴う光軸のずれなどの問題が少ない。また、光ファイバアレイ用V溝基板を作製する際には、通常、光ファイバアレイを構成する第一基板(下基板)にV溝が設けられているが、必ずしも斯かる態様には限定されず、第二基板(上基板)にのみV溝が設けられている態様、第一基板と第二基板の両方にV溝が設けられている態様であっても良い。
【0134】
光ファイバアレイ用V溝基板の作製は、任意の形状の光実装材料成形体をダイヤモンドカッターなどを用いて所定の大きさに切断し、研削、研磨などの機械加工を施して光ファイバを収納するためのV溝を形成しても良いが、所望のV溝が得られるようにした凹凸を設けた金型を用いて、本発明の光実装材料用樹脂組成物の硬化と成形とを同時に行って、光ファイバアレイ用基板にV溝を設けることが好ましい。斯かる製造方法を採用すれば、寸法精度の高い光ファイバアレイ用V溝基板の安定な量産が可能になる。尚、基板に設ける溝の形状は、V字状に限定されるものではなく、U字状、矩形状など、必要に応じて適宜変更することができる。
【0135】
図4は、本発明の光ファイバアレイの変形例である。本態様の光ファイバアレイは、光ファイバ5と第一基板7と第二基板11とで構成されている。本態様では、予め作製したV溝基板(第一基板7)の溝に光ファイバ5を収納し、次いで、予めシート状に加工した本発明の光実装材料10を載置し、プレス成形して前記シート状材料を硬化することによって、光ファイバ5の固定と第二基板11の形成を同時に行う点で好ましい態様である。
【0136】
図5及び図6はそれぞれ、本発明の光実装材料を光導波路装置に使用した態様を例示する側面図及び正面図である。光導波路装置15は、光導波路用第一基板17、光導波路回路19、光及び/又は熱硬化性接着剤層21、光導波路用第二基板23とで構成されている。光導波路回路19は、さらに下部クラッド19aと上部クラッド19cとコア19bを有し、コア19bは、上部クラッド19cと下部クラッド19aによって埋設されている。本態様では、光導波路用の基板17及び23、光導波路回路19、光及び/又は熱硬化性接着剤層21の少なくとも1つに本発明の光実装材料用樹脂組成物が使用されていればよく、好ましくは、光導波路用の基板17及び23、光導波路回路19、光及び/又は熱硬化性接着剤層21のすべてに本発明の光実装材料用樹脂組成物を使用することが好ましい。また図5の態様では、光導波路用第二基板23(上基板)が光導波路上の全面に設けられているが、光導波路用第二基板(上基板)は、光導波路上の一部にのみ設けられていてもよく、例えば、ファイバアレイに接続される導波路のそれぞれの端面から3〜5mm程度の幅に設ける態様であってもよい。
【0137】
光導波路回路19には、所望の回路を設定することができ、例えば、直線導波路、屈曲導波路、交差導波路、分岐導波路、及び、これらを組み合わせた導波路回路から構成され、波長選択フィルタ、光スイッチ、レーザ光源、LED、受光素子などの光実装部品、演算用・制御用ICなどの電気部品、又は、これらの電気部品を駆動させるための電気回路を含んでも良い。斯かる電気回路は、光導波回路に直接作製しても良いし、コネクタや電気配線を介して光導波路回路に接続されてもよい。また、光導波路の入口側及び出口側に、ファイバ接続用のV溝を光導波路用基板(第一基板及び/又は第二基板)の成形と同時に設けることも好ましい態様である。
【0138】
本発明の光モジュールとは、上述した光実装部品を複数を用いて構成されたものであって、独立した一部品として交換などができるように一体化されたものであり、例えば、1×n合分波器、光スイッチ、ONU(Optical Network Unit)、WDMフィルター、アッラネーター、アイソレーターなどを例示できる。図7は、1チャンネルの光信号をnチャンネルの光信号に変換(分岐或いは合成)する1×n合分波器(光モジュール)を例示する側面図であり、1チャンネルの光ファイバアレイ1とnチャンネルの光ファイバアレイ1’と光導波路装置15とからなる。図7では、各光ファイバアレイ1及び1’と光導波路装置15とは、光/熱硬化接着剤剤25で固定されるとともに、ハウジング27、29に収納され、シール剤31によって封止されている。尚、必要に応じて、ハウジング蓋27は、シール剤33によって接着されていてもよい。本発明では、光/熱硬化性接着剤25、ハウジング27及び29、シール剤31及び33などに本発明の光実装材料用樹脂組成物を適用してもよい。
【0139】
(7)本発明の光導波路装置
本発明の光導波路装置は、光導波路装置を構成する成形部材または接着剤などの少なくとも一つが、上述した本発明の光実装材料用樹脂組成物を硬化してなるものであればよい。例えば、コアとクラッドとを有する光導波路を備える装置であって、コアまたはクラッドの少なくとも一方が、上述した本発明の光実装材料用樹脂組成物を硬化してなるものである光導波路装置や、光導波路装置の基板(図5中の第一基板、又は、第二基板に相当するもの)の少なくとも一方が、本発明の光実装材料用樹脂組成物を硬化してなるものである光導波路装置などを挙げることができる。
【0140】
コアとクラッドとを有する光導波路を備える光導波路装置であって、コアまたはクラッドの少なくとも一方が、上述した本発明の光実装材料用樹脂組成物を硬化してなるものである態様においては、本発明の光実装材料用樹脂組成物は、平均慣性半径が50nm以下である小さな無機微粒子が分散しているので、光透過性を有しており、光導波路のコアまたはクラッドなどの成形部材として好適に適用できる。本発明の光実装材料用樹脂組成物を光導波路のコアまたはクラッドとして使用する場合、光実装材料用樹脂組成物中の無機微粒子の含有率を変化させることによって、得られるコア及びクラッドの屈折率を制御することができる。同一の樹脂成分を使用して、平均慣性半径が50nm以下の無機微粒子の含有率を変えて、コア及びクラッドの屈折率を制御する態様は、コア及びクラッドに使用される光実装材料の樹脂成分が同一であるため、コアとクラッドとの密着性が良好になり、信頼性の高い光導波路が得られる点で好ましい態様である。この場合、光実装材料用樹脂組成物中の平均慣性半径が50nm以下の無機微粒子の含有率は、1質量%以上、50質量%以下が好ましく、5質量%以上、40質量%以下がより好ましい。1質量%以上、50質量%以下とすることによって、光導波路のコア及びクラッドの透明性を保持できるとともに、コア及びクラッドとして好適な屈折率が得られる。
【0141】
尚、光導波路装置とは、光導波路を備える装置であって、光導波路は、通常、平面構造であって、コアと該コアを被覆するクラッドとからなり、コアとクラッドとの屈折率の差を利用して、光がコアとクラッドの界面で反射を繰返しながら、コアを透過していく。クラッドとしては、通常、屈折率がコアの屈折率よりも小さい材料を使用する。光導波路の種類としては、例えば、下部クラッドと上部クラッドと線状コアとを有し、該線状コアが、下部クラッドと上部クラッドとによって埋設されている埋め込み型光導波路、埋め込み型の光導波路において、コア材料として空気の屈折率よりも高いものを選択し、上部クラッドとして空気を採用するリッヂ型光導波路、板状のコアが、それぞれ板状の上部クラッドと下部クラッドとに挟まれるように積層されているスラブ型光導波路、などを挙げることができる。また、光導波路は、上述したように直線導波路、屈曲導波路、交差導波路、又は、分岐導波路などを組み合わせた光導波路回路にしてもよい。
【0142】
本発明において、光導波路装置の製造方法は、特に限定されず、例えば、以下のような方法を挙げることができる。
【0143】
(ア)コアに相当する溝が設けられたマスター型を作製し、このマスター型を利用して、下部クラッド成型用型を作製する。この際マスター型に設けられたコアに相当する溝のパターンが、下部クラッド成型用型に転写される。次いで、下部クラッド成型用型を用いて下部クラッドを成形する。下部クラッドには、下部クラッド成型用型に転写されたコアに相当する溝のパターンがさらに転写される。そして、下部クラッドに設けられたコアに相当する溝に、コア用樹脂組成物を充填し硬化させてコアを形成する。次いで、上部クラッド用の樹脂組成物を塗布して、硬化させて上部クラッドを形成する。
【0144】
(イ)シリコンウエハ、石英、樹脂などの任意の基板上に下部クラッド用樹脂組成物を塗布して硬化して下部クラッドを作製する。得られた下部クラッドにコア用樹脂組成物を塗布して硬化させる。硬化後のコア膜にフォトレジストを塗布した後、光回路パターンが付されたフォトマスクを使用して露光及び現像を行うことで、光回路パターンを形成する。次いで、ドライエッチング(例えば、RIE反応性イオンエッチング)、或は、酸、アルカリ、又は、有機溶剤等を用いたウエットエッチングを行って、フォトレジストが載っていない部分のコア膜を選択的に除去した後、フォトレジストを剥離する。その後、上部クラッド用樹脂組成物を塗布して硬化することで、埋め込み型光導波路を得ることができる。
【0145】
(ウ)シリコンウエハ、石英、樹脂などの任意の基板上に下部クラッド用樹脂組成物を塗布して硬化して下部クラッドを作製する。得られた下部クラッドにコア用樹脂組成物を塗布する。光回路パターンが付いたフォトマスクを介してUV光を照射し、コア層を選択的に硬化させる。未硬化のコア用樹脂組成物(UV光が当たっていない部分)を、酸、アルカリ、有機溶剤などを用いて除去した後、上部クラッド用樹脂組成物を塗布して硬化することで、埋め込み型光導波路装置を得ることができる。
【0146】
(エ)コアに相当する溝が反転した凸状のマスター型を作製し、このマスター型にシリコーン樹脂を流し込み、コア成形用型を作製する。既存の方法により作製した樹脂製の下部クラッドを任意の基板上に作製し、得られた下部クラッドに上述のコア成形用型を当接させる。この際、前記基板の背面から圧力を加えたり、コア成形用型の溝部分を真空ポンプなどを用いて負圧を加えることも好ましい態様である。次いで、下部クラッドと当接させたコア成形用型の溝部分にコア用樹脂組成物を流し込み硬化させた後、コア成形用型を取り外し、その後上部クラッド用樹脂組成物を塗布し、成形することにより光導波路装置を得ることができる。
【0147】
(オ)凸状のマスター型上に、適宜、剥離層を形成した後、下部クラッド用樹脂組成物を塗布する。必要に応じて、塗布した下部クラッド用樹脂組成物の上面に透明基板を置き、UVを照射して硬化させる。この際、下部クラッド用樹脂組成物を加圧してもよい。硬化させた下部クラッドをマスター型から剥離する(必要であれば、水、酸、アルカリ、有機溶剤へ浸漬する)。下部クラッドに設けられた溝にコア用樹脂組成物を充填し硬化させ、次いで、上部クラッド用の樹脂組成物を塗布して、硬化させて上部クラッドを形成する。
【0148】
(カ)その他スクリーン印刷、インクジェット印刷技術などを用いて、下部クラッドにコア用樹脂組成物を直接形成させる方法や、下部クラッドに直接溝を形成し、コアを埋め込む方法などを挙げることができる。
【0149】
尚、(ア)〜(カ)の方法において、クラッド用樹脂組成物又はコア用樹脂組成物を充填、或は、塗布する方法としては、スピンコート、バーコート、ディップコート、スプレーコートなどの既存の方法を適宜選択することができる。
【0150】
以下、コア及びクラッドの両方に本願発明の光実装材料用樹脂組成物を使用する態様に基づいて、前記(ア)の光導波路の製造方法についてさらに詳細に説明するが、本発明は、斯かる態様に限定されるものではない。
【0151】
まず、石英、シリコンなどの基板にコアに相当する溝を設けたマスター基板に、二液混合型のシリコーン樹脂を塗布して硬化させて、表面に溝が設けられたシリコーン材料製のクラッド成型用型を調製する。シリコーン材料製クラッド成型用型を作製するのは、成型されるクラッドとの離型性が向上するからである。前記シリコーン材料としては、硬化後、シリコーンゴム、又は、シリコーン樹脂となる硬化性シリコーンゴムオリゴマー若しくはシリコーンモノマー、又は、硬化性シリコーン樹脂オリゴマー若しくはモノマーなどの硬化性シリコーン材料が好ましく、硬化性ポリシロキサンがより好ましい。また、前記硬化性ポリシロキサンは、一液硬化型若しくは二液硬化型のものでも良く、熱硬化型のものでも室温硬化型のものでも良い。前記硬化性シリコーン材料としては、通常、液状シリコーンと称されているものが用いられ、硬化剤と組合せて用いる二液混合型のものが好ましい。剥離性に優れ、機械強度に優れるからである。また、低粘度の硬化性シリコーン材料を使用すれば、作製時に巻き込む泡の除去等の加工性や転写パターンの精細な型取りをすることができる。
【0152】
硬化性シリコーン材料の具体例としては、例えば、アルキルシロキサン、アルケニルシロキサン、アルキルアルケニルシロキサン及びポリアルキル水素シロキサンを含むものが好ましく、特にアルキルアルケニルシロキサンとアルキル水素シロキサンの2成分混合系で低粘度、室温硬化するものが、剥離性、加工性の点から好ましい。
【0153】
次に、シリコーン材料製のクラッド成型用型を用いて、クラッドを成型する。具体的には、シリコーン材料製のクラッド成型用型の溝が形成されている側に、本発明の光実装材料用樹脂組成物を溝が埋まるように塗布し、さらに平坦な基板を積層して、前記光実装材料用樹脂組成物を硬化させることにより得られる。得られたクラッドの表面には、コアに相当する溝のパターンが転写されている。
【0154】
次に、クラッドの表面に形成された溝にコアを形成する。コアを形成する方法としては、クラッド表面に設けられた溝に本発明の光実装材料用樹脂組成物を充填し、硬化させることにより得られる。クラッド表面に設けられた溝に前記光実装材料用樹脂組成物を充填させる方法としては、例えば、スピンコート法、バーコート法、ディプコート法、スプレコート法などを挙げることができる。そして、クラッドにコアを形成した後、前記クラッドのコアを形成した側に、コアを被覆するように上部クラッドを形成する。上部クラッドを形成する方法としては、特に限定されず、本願発明の光実装材料用樹脂組成物をクラッドのコアを形成した側に塗布し、硬化させて上部クラッド層を形成する方法を挙げることができる。
【0155】
また、本発明の光実装材料用樹脂組成物を光導波路装置の基板(図5中の第一基板、第二基板に相当するもの)として使用する場合、本発明の光実装材料用樹脂組成物をプレス成形して、直径3〜8インチ、厚さ500μmの円形の平板を作製し、斯かる基板上に従来の方法で石英系、又は、ポリマー系の導波路回路を作製する。光導波路回路を作製後、光導波路回路上に、光/熱硬化性接着剤を塗布し、第二基板を載置して、斯かる接着剤を硬化させた後、ダイシングソーなどを用いて所望の大きさに切り出して光導波路を得る。また、直径3〜8インチ、厚さ500μmの円形の平板から、予め所定の大きさの第一基板を切り出してから、上記と同様の方法により光導波路を作製するようにしてもよい。
【実施例】
【0156】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0157】
[無機微粒子の粒度分布および質量平均粒子径の測定方法]
後述する樹脂組成物A及びBについては、乳鉢で粉砕し300メッシュのふるいを透過したものを1mmφの石英ガラス製キャピラリーに振動を与えながら充填して測定試料とし、また、後述する樹脂C、D、E、及び、Fについては、60℃まで加温したものを1mmφの石英ガラス製キャピラリーに振動を与えながら充填して測定試料とし、小角X線散乱を使用して、以下の条件で測定した。
測定条件:使用機器:RINT−2400(理学電気社製)
多層膜ミラーモノクロメーターを通して入射X線を単色化、3個のスリットを通過した後、測定試料に照射し、真空パスを通じてカメラ長250mmに設置したシンチレーションカウンターで散乱X線を検出した。
測定条件
使用X線:CuKα線
管電圧・管電流:40kV,200mA
操作方法:Fixed time法
測定方法:透過法(2θ単独操作)
操作範囲2θ、ステップ間隔:0.1〜5.0deg、0.01deg
計数時間:5.0秒
測定後、得られた散乱プロファイルからFaukuchenの方法によりギニエプロットを作成して慣性半径を算出した。
【0158】
[線膨張係数の測定方法]
線膨張係数は、TMA測定(島津製作所TMA50)を用いて、下記の条件で測定した。
雰囲気:N、温度:20〜200℃、昇温速度:10℃/分
【0159】
[屈折率の測定]
光実装材料用樹脂組成物にカチオン系エポキシ硬化剤(三新化学(株)製「サンエイドSI100L」)を1質量%混合し、Siウエハ上に膜厚が5μmになる回転数でスピンコートした。製膜済みのウエハを窒素雰囲気に調整したオーブンに入れて昇温を開始、110℃に到達したところで1時間保持し、さらに昇温して180℃1時間保持することにより屈折率測定用サンプルを得た。得られた樹脂組成物の屈折率をプリズムカプラーSPA−4000(SAIRON TECHNOLOGY社製)を用いて測定した。測定波長は830nmとした。
【0160】
[光実装材料用樹脂組成物の合成]
(合成例1)
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口1リッターフラスコにフェノール432.9g、ベンゾグアナミン172.2g、37%ホルムアルデヒド溶液179.2gを仕込み、窒素気流中で60℃で白濁液を撹拌しながらアンモニア水9mlを滴下した。反応液が透明になったところで80℃まで昇温し、撹拌しながら4時間保持し、反応液の昇温を再開した。100℃付近から留去し始めた生成水をトラップに捕集しながら180℃まで昇温し、4時間保持した。水を160g回収したところで水の生成が終了したので、60℃まで冷却した後、メタノール100gと酢酸8.3gを投入した。次に4つ口フラスコ内の反応液中にPTFEチューブを2本差し込み、20℃に温度を保ちながらテトラメトキシシラン210.1gと水99.4gをそれぞれ別のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間掛けて投入し、投入後60℃で4時間保持した。さらに窒素流通下で昇温を再開し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに捕集しながら180℃まで撹拌を続け、減圧下で未反応フェノールを留去、冷却後に乳白色固形の樹脂組成物Aを得た。収量486g、熱軟化温度は98℃、水酸基価は204g/mol、無機微粒子含有率は、16.5%であった。
【0161】
(合成例2)
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口2リッターフラスコにp−キシリレングリコール302.6g、フェノール687.0g、p−トルエンスルホン酸12.6gを仕込み、窒素気流中で昇温を開始した。115℃付近から水が生成し始め、トラップに水を捕集しながら150℃まで昇温し、6時間保持した。水を79g回収したところで水の生成が終了したので、60℃まで冷却した後、ジグリム176gを投入した。次に、4つ口フラスコ内の反応液中にPTFEチューブを2本差し込み、20℃に温度を保ちながらテトラメトキシシラン336.4gと水157.8gをそれぞれ別のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間掛けて投入し、投入後60℃で4時間保持した。さらに窒素流通下で昇温を再開し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールとジグリムとをトラップに捕集しながら180℃まで撹拌を続け、減圧下で未反応フェノールを留去、冷却後に乳白色固形の樹脂組成物Bを得た。収量619g、熱軟化温度は52℃、水酸基価は193g/mol、無機微粒子含有率は、20.7%であった。
【0162】
(合成例3)
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口500mlリッターフラスコにクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名「EOCN−102S」、エポキシ当量210g/mol)168g、エチレングリコールジアクリレート122.3gを仕込み、80℃で撹拌しながら溶解した後、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル0.011g、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド1.01gを投入し、空気流通下、110℃でアクリル酸59.1gを2時間掛けて滴下投入した。投入後反応液を空気流通下115℃で6時間撹拌し、反応酸価が7mgKOH/g以下になったのを確認して、40℃まで冷却した。次に4つ口フラスコ内の反応液中にPTFEチューブを2本差し込み、40℃に温度を保ちながらテトラメトキシシラン121.78gと5%アンモニア水57.6gをそれぞれ別のチューブを通じてローラーポンプを用いて4時間掛けて投入し、投入後60℃で4時間保持した。さらに空気流通下、650mmHgで昇温を再開し、65℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに捕集しながら120℃まで撹拌を続けた。留去が終了したのち、室温まで冷却し、乳白色液状の樹脂組成物Cを得た。収量398g、無機微粒子含有率は、13.6%、不揮発分含有率は72%であった。
【0163】
(合成例4)
ガスインレット、冷却管、撹拌棒付きの4つ口500mlリッターフラスコに脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、商品名「CEL2021P」)165.65g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート165.65gを仕込み、室温にてよく撹拌して均一溶液になったところで、テトラメトキシシラン82.01g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン54.57gを投入して室温にて撹拌し均一溶液を得た。この混合液に撹拌しながらイオン交換水51.31gを室温にて2時間かけて滴下し、引き続き80℃まで昇温して4時間保持した。次にトリエチルフォスフェート3.20gを投入し更に2時間保持した後、減圧下で揮発成分としてのメタノールとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを留去し、冷却後に無色透明な粘稠な液体である樹脂組成物Dを得た。収量260g、エポキシ当量は171g/mol、無機微粒子含有率は29.5質量%であった。
【0164】
(合成例5)
合成例3のテトラメトキシシランと5%アンモニア水を投入して無機微粒子を分散させる工程を省いて樹脂組成物Eを得た。収量331g、無機微粒子含有率は0%、不揮発分含有率は65%であった。
【0165】
(合成例6)
ガスインレット、冷却管、撹拌棒付きの4つ口500mlリッターフラスコに脂環式液状エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製、商品名セロキサイド「CEL2021P」)164.74g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート164.74gを仕込み、室温にてよく撹拌して均一溶液になったところで、テトラメトキシシラン52.55g、フェニルトリメトキシシラン41.07g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン32.64gを投入して室温にて撹拌し均一溶液を得た。この混合液に撹拌しながらイオン交換水43.55gを室温にて2時間かけて滴下し、引き続き80℃まで昇温して4時間保持した。次にトリエチルフォスファイト0.76gを投入し更に2時間保持した後、減圧下で揮発成分としてのメタノールとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを留去し、冷却後に無色透明な粘稠な液体である樹脂組成物Fを得た。収量240g、エポキシ当量は219g/mol、無機微粒子含有率は29.5質量%、25℃での粘度は6,810mPa・sであった。
【0166】
(合成例7)
ガスインレット、冷却管、撹拌棒付きの4つ口500mlリッターフラスコにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、「エピコート828EL」)206.08g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート206.08gを仕込み、室温にてよく撹拌して均一溶液になったところで、テトラメトキシシラン27.07g、フェニルトリメトキシシラン21.16g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン16.81gを投入して室温にて撹拌し均一溶液を得た。この混合液に撹拌しながらイオン交換水22.43gを室温にて2時間かけて滴下し、引き続き80℃まで昇温して4時間保持した。次にトリエチルフォスファイト0.38gを投入し更に2時間保持した後、減圧下で揮発成分としてのメタノールとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを留去し、冷却後に無色透明な粘稠な液体である樹脂組成物Gを得た。収量245g、エポキシ当量は190g/mol、無機微粒子含有率は15.3質量%、25℃での粘度は4,330mPa・sであった。
【0167】
樹脂組成物A〜Gについて、無機微粒子の慣性半径を求めた結果を表1にまとめた。
【0168】
【表1】

【0169】
表1から、樹脂組成物A〜D、F〜Gには、平均慣性半径が50nm以下の無機微粒子が樹脂に分散していることが分かる。
【0170】
[光ファイバアレイ基板用樹脂組成物の作製]
上記のようにして得られた樹脂組成物A〜Bを表2に示すように配合し、ロール表面温度70℃、ロール圧3〜5MPaの条件で、加熱型ロール混練機で10分間混練し、得られた混練物を液体窒素に浸漬して冷却し、光ファイバアレイ基板用樹脂組成物1〜4を得た。
【0171】
上記光実装用樹脂組成物1〜4を180℃、8MPaで5分間プレス成形した。プレス成形後、成形物を型から取り外し、窒素雰囲気下に置換したオーブンで180℃で5時間ポストキュアして厚さ3mmの平板(光実装用材料)を作製した。得られた平板について、島津製作所TMA50を用いて、TMA測定をした。また同時にUL−94に準拠して難燃性試験を行った。結果を併せて表2に示した。
【0172】
【表2】

【0173】
エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製「エピコート828EL」
フェノールアラルキル樹脂:三菱化学社製「XLC3L」
溶融シリカ:電気化学工業社製「FB−8S」(平均粒子径6.5μm)
硬化促進剤:四国化成工業社製2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール
カップリング剤:日本ユニカー製「A−187」
CTE1:線膨張係数(Tg以下)
CTE2:線膨張係数(Tg超)
【0174】
得られた平板中のシリカ含有量が同量のものを比較すると、実施例の樹脂組成物1及び2の成形体は、比較例の樹脂組成物4の成形体より線膨張係数が小さく、特にTg以下での線膨張係数は従来より使用されている石英とほぼ同等であることが分かる。一方、比較例の樹脂組成物4は、無機化合物の充填率を高めたにも拘らず、線膨張係数が小さくなく、さらには難燃性も低くなった。
【0175】
これらの結果より、本発明の光実装材料用樹脂組成物を使用することによって、光ファイバの実装信頼性が高くなると考えられる。また、光実装材料用樹脂組成物3のように溶融シリカ添加量を減量することにより、線膨張係数(CTE1)の値をポリイミドなどと同等に調整することも可能となり、プラスチック製光実装部品やプラスチック製光ファイバを実装する際の信頼性向上に繋がる。また、実施例の樹脂組成物1〜3の比較、及び、樹脂組成物3と4との比較から、樹脂組成物が無機微粒子を含有することによって、難燃性が向上することが分かる。
【0176】
[光ファイバアレイ接着剤用樹脂組成物の作製]
上記のようにして得られた樹脂組成物C〜Eを用いて、表3に示すように配合し、3本のロールを有する混練機を用いて、室温下、ロール圧3〜5MPaの条件で3パス混練し、得られた混練物を、100メッシュのステンレス製濾過布を用いて濾過して、光ファイバアレイ接着剤用樹脂組成物5〜8を作製した。
【0177】
上記光ファイバアレイ接着剤用樹脂組成物5〜8をガラス板上に200μmの厚さになるように塗布して、表面にテトロンフィルムをかぶせて高圧水銀ランプを用いて7J/cmの紫外線を30分間照射し硬化した。得られた硬化物からテトロンフィルムをはがしてTMA用サンプルを調製し、TMA測定を実施した。また、アセトンで脱脂処理をして乾燥した厚さ3mmのガラス板上に、上記光ファイバアレイ接着剤用樹脂組成物5〜8を200μmの厚さになるように塗布して、さらに、アセトンで脱脂処理をして乾燥した厚さ3mmのガラス板をかぶせて、高圧水銀ランプを用いて7J/cmの紫外線を30分間照射し、上記樹脂組成物5〜8を硬化させて接着強度測定用サンプルを作製し、接着強度を測定した。線膨張係数、剪断接着強度について測定した結果を併せて表3に示す。
【0178】
【表3】

【0179】
光ラジカル発生剤:チバ・スペシャリティケミカルズ社製「イルガキュア184」
光酸発生剤:旭電化工業社製「アデカオプトマーSP170」
溶融シリカB:アドマテックス社製「E−2」(平均粒子径0.5μm)
脂環式エポキシ樹脂:ダイセル化学工業製、商品名「CEL2021P」
【0180】
[光ファイバアレイA〜Cの作製]
(1)光ファイバアレイ基板用樹脂組成物1〜3を180℃、8MPaの条件で5分間プレス成形して、V溝が32本形成されたファイバアレイ基板A〜C(10mm×5mm×1.5mm)を作製した。尚、金型として、ファイバアレイ基板のV溝を作製するための、約90℃の山形の突条が32本一組で10mm間隔に設けられている上型を用い、下型には鏡面処理されたものを使用した。また、上記樹脂組成物1〜3を厚さ1mmのシート状に引き伸ばした後に冷却し、さらに10mm×5mm×1mmのサイズに切断して、光ファイバアレイ基板(第二基板)用シートA′〜C′を作製した。
(2)次に、樹脂被覆の一部を剥離したクラッド径125μmの石英製光ファイバを整列器を用いて端面をそろえて250μm間隔で整列させ、整列器で保持したまま上記のようにして得たV溝基板A及びBのそれぞれのV溝に光ファイバを収納した。また、樹脂被覆の一部を剥離したクラッド径125μmのプラスチック製光ファイバを整列器を用いて端面をそろえて250μm間隔で整列させ、整列器で保持したまま上記のようにして得たV溝基板CのV溝に光ファイバを収納した。
【0181】
収納したV溝基板A〜Cの上面の開放部に光ファイバアレイ基板(第二基板)用シートA′〜C′をそれぞれ載せて、加熱プレス機を用いて、室温→100℃、0.4MPa、5分間の条件で圧着し、プレス後、窒素雰囲気に置換したオーブン中で180℃5時間の条件でポストキュアをして、光ファイバアレイA〜Cを作製した。
【0182】
得られた光ファイバアレイA〜Cをマイクロスコープ(ハイスコープ KH−2700、はいロックス社製)で観察し、光ファイバの収納状態を評価した。光ファイバアレイA〜Cのいずれにおいても、光ファイバの収納位置は、プレス型の設計による推定値の3%以下であり、光ファイバは高精度で所定位置に収納されていた。
【0183】
[光ファイバアレイD及びEの作製]
(1)光ファイバアレイA〜Cと同様の方法により、樹脂組成物1及び2を用いて、V溝が32本形成された光ファイバアレイ用基板D及びE(10mm×5mm×1.5mm)を作製した。また、下記表4に示す光ファイバアレイ用接着剤9及び10を作製した。
【0184】
【表4】

【0185】
(2)次に、樹脂被覆の一部を剥離したクラッド径125μmのPMMA製光ファイバ(日立電線社製)を整列器を用いて端面をそろえて250μm間隔で整列させ、整列器で保持したまま上記のようにして得たV溝基板D、及び、EのそれぞれのV溝に光ファイバを収納した。光ファイバが収納されたV溝基板D及びEの上面の開放部に光ファイバアレイ用接着剤9及び10をそれぞれ塗布して、V溝と光ファイバとの隙間にも接着剤が侵入していることを確認した後、10mm×5mm×1mmの石英製平板をかぶせ、高圧水銀ランプを用いて7J/cmの紫外線を30分間照射して接着剤を硬化させて、光ファイバアレイD及びEを作製した。
【0186】
得られた光ファイバアレイD及びEをマイクロスコープ(ハイスコープ KH−2700、ハイロックス社製)で観察し、光ファイバの収納状態を評価した。光ファイバアレイD及びEのいずれにおいても、光ファイバの収納位置は、プレス型の設計による推定値の3%以下であり、光ファイバは高精度で所定位置に収納されていた。
【0187】
[光導波路用樹脂組成物の屈折率]
樹脂組成物F及びG、並びに、ダイセル化学工業製「CEL2021P」及びジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」の屈折率を測定した結果を表5に示した。
【0188】
【表5】

【0189】
表5より、樹脂組成物Fとダイセル化学工業製「CEL2021P」の屈折率を比較すると、平均慣性半径が50nm以下の無機微粒子を約30%含有させることによって、屈折率が約1.3%低下していることが分かる。また、樹脂組成物Gとエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」の屈折率を比較すると、平均慣性半径が50nm以下の無機微粒子を約15%含有させることによって、屈折率が約0.7%低下していることが分かる。これらの結果より、平均慣性半径が50nm以下の無機微粒子の含有率に応じて、光実装材料用樹脂組成物を硬化して得られる光実装材料の屈折率を制御できることが分かる。
【0190】
[光導波路装置の作製]
幅5cm、長さ5cm、厚さ525μmのシリコン基板の表面に、幅200μm、深さ200μmの溝が1mm間隔で40本形成されたものをマスター型として用い、これに二液混合型シリコーン樹脂(信越シリコーン製)を塗布し、室温で24時間放置して硬化させて型取りを行いクラッド成形用(シリコーンゴム製)の型を作製した。
【0191】
次に、クラッド用樹脂組成物びコア用樹脂組成物としてそれぞれ、表6に示した配合処方のものを用いてクラッド及びコアを形成した。まず、先に作製したクラッド成型用の型にクラッド用樹脂組成物を適量流し込み、石英(SiO)基板を載せ、上からUV照射および熱処理を行い硬化させた。UV硬化条件としては300nm〜400nmの波長域の紫外線を用いて、エネルギー密度10mW/cm、照射時間を30分とし、熱処理条件は100℃×30分とした。
【0192】
その後、硬化した石英基板付きクラッドをクラッド成型用の型(シリコーンゴム製)より離型した。得られた溝付きクラッドに、コア用樹脂組成物を溝部分にのみ充填し、UV照射による硬化を行い200μm角のコアを作製した。最後に、コア形成面に、クラッド用樹脂組成物をスピンコートし、前記と同様の条件でUV照射および熱処理による硬化を行って、厚さ100μmの上部クラッドを作製し、4cmの長さに切断することにより、光導波路装置1〜4を得た。得られた光導波路装置を用いて、波長850nmにおける4cmの導波損失(接続損を含む)、及び、85℃×85%Rh×200時間の加湿処理後の波長850nmでの損失変動を測定した。導波損失および損失変動について測定した結果を表6に併せて示した。
【0193】
【表6】

【0194】
光酸発生剤:三新化学工業社製サンエード「SI100L」
増感剤:川崎化成社製DBA
【0195】
光導波路装置1〜3は、クラッドまたはコアのいずれかに本発明の光実装材料用樹脂組成物を用いたものである。クラッドまたはコアのいずれかに本発明の光実装材料用樹脂組成物を使用することによって、加湿処理後の損失変動が小さくなり、光導波路としての信頼性向上が示唆された。一方、従来の材料を使用した光導波路4は、損失変動が大きくなっていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、光ファイバ通信に使用される光実装部品、及び、光モジュール、並びに、こられに使用される光実装材料に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】光ファイバアレイと光導波路からなる光モジュールの平面図。
【図2】光ファイバアレイの拡大斜視図。
【図3】本発明の光ファイバアレイを例示する説明図。
【図4】本発明の光ファイバアレイの変形例。
【図5】本発明の光導波路を例示する説明図(側面図)。
【図6】本発明の光導波路装置を例示する説明図(正面図)。
【図7】本発明の光モジュールを例示する説明図。
【符号の説明】
【0198】
1:1チャンネル光ファイバアレイ、1’:nチャンネル光ファイバアレイ、3:光導波路、5:光ファイバ、7:光ファイバアレイ用第一基板(下基板)、9:V溝、10:シート剤、11:光ファイバアレイ用第二基板(上基板)、13:光/熱硬化性接着剤層、15:光導波路装置、17:光導波路用第一基板(下基板)、19:光導波路回路、21:光/熱硬化性接着剤層、23:光導波路用第二基板(上基板)、25:光/熱硬化性接着剤、27:ハウジング蓋、29:ハウジング、31:シール剤、33:シール剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と無機微粒子とを含有する光実装材料用樹脂組成物であって、前記無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/またはカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その平均慣性半径が50nm以下であることを特徴とする光実装材料用樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である請求項1に記載の光実装材料用樹脂組成物。
【請求項3】
前記樹脂組成物が、さらに平均粒子径が0.1μm以上100μm以下の無機化合物を2質量%以上95質量%未満含有するものである請求項1又は2に記載の光実装材料用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の光実装材料用樹脂組成物を硬化して得られる光実装材料。
【請求項5】
請求項4の光実装材料の成形体。
【請求項6】
ガラス転移温度以下での線膨張係数が80ppm以下である請求項5の光実装材料の成形体。
【請求項7】
ハロゲンフリーの樹脂成形体であって、UL−94に規定する難燃性がV−1以上であり、ガラス転移温度以下での線膨張係数が80ppm以下であることを特徴とする光実装部品用の樹脂成形体。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかの光実装材料及び/又はその成形体を使用することを特徴とする光実装部品。
【請求項9】
光ファイバアレイ、マイクロホールアレイ、又は、光導波路装置のいずれかである請求項8に記載の光実装部品。
【請求項10】
請求項8又は9の光実装部品からなる光モジュール。
【請求項11】
樹脂と無機微粒子とを含有する光実装材料用樹脂組成物であって、前記無機微粒子は、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であって、その平均慣性半径が50nm以下である光実装材料用樹脂組成物を加圧成形することを特徴とする光実装材料の成形体の製造方法。
【請求項12】
コアと前記コアを被覆するクラッドとを有する光導波路を備える光導波路装置であって、前記コア又はクラッドの少なくとも一方が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光実装材料用樹脂組成物を硬化してなるものであることを特徴とする光導波路装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−131876(P2006−131876A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194372(P2005−194372)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】