説明

光導性タッチスクリーン

本発明は、ディスプレイのスクリーン(301)上で入力位置を検出する検出システムを有する表示装置に関する。光導体(302)は、スクリーン(301)に隣接して配置されている。光導体(302)は、光導体(302)に光を入射するよう配置された光源(308)を有する。光導体(302)とその周囲との間の光学的な整合は、光源(308)の光(310)が通常は全反射によって光導体(302)の内部に閉じこめられるように適合される。しかし、ユーザが光導体(302)との物理的接触を確立することで、全反射の状態は乱れ、光は光導体(302)から取り出されうる。表示装置において、光検出手段(303)は、前記光を検出し、この検出をユーザ接触が起きた入力位置に関連づけるように配置されている。ディスプレイは、望ましくは、LCD、O−LED又はP−LED型ディスプレイである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用座標検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザとコンピュータとの間の双方向性を改善するために、タッチスクリーンディスプレイが、マルチメディア情報キオスク、文教センター、自動販売機、ビデオゲーム等に導入されている。タッチスクリーンディスプレイは、物理的接触によって影響を及ぼされうる表示スクリーンであり、ユーザがコンピュータスクリーン上のタッチング・アイコン、画像、言語又は視覚対象によりコンピュータと交信することを可能にする。タッチング、即ち、入力位置でのスクリーンとの物理的接触の確立は、たいてい、指、スクリーンが汚れて染みが付くことを防止するペン、及び他の適切なスタイラスを用いて為される。
【0003】
一般的に、多目的なタッチスクリーンは、ディスプレイ又はタッチ領域の種類とは無関係である。タッチスクリーンは、指又は比較的大きな物体を用いて入力するよう、ペン入力に対する解像度とは異なる解像度を実現し、且つ、携帯電話のディスプレイから広告板までの範囲の様々な大きさを実現すべきである。タッチスクリーンは、更に、周囲の照明、電界、浮遊容量等とは無関係であるべきである。
【0004】
特願平11−273293号は、タッチパネル、タッチパネルを備えた表示装置及び表示装置を備えた電子機器を開示する。導光板は、照明手段により照射される。照明手段の光は、導光板の2つの側面から入射し、照明手段に対向する導光板の側面に配置された光センサで受光される。光は、導光板内で全反射され、導光板の表面がペン又は指先で触れられると、導光板の外部に導かれ、結果的に、光センサでの光量は減少する。このようにして、タッチパネル上での入力位置が検出される。
【0005】
上記従来技術では、タッチスクリーンを用いることによって入力位置の検出を達成するために、導光板内の光がセンサから離れた方向で屈折するので、光センサでの減少した光量が検出される。
【0006】
これは、導光板の端でのセンサアレーの構築と、概して照明手段の反対の側面に配置される表示装置の構築とを必要とする。結果として、表示装置は、表示装置内に配置された既存の基板のどこにもセンサを置くこと又は一体化することができないので、より大きくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、光導体を含むタッチスクリーンを有する小型の表示装置を提供することを目的とする。本目的は、請求項1に従う表示装置によって実現される。好ましい実施例は、従属請求項によって定義される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に従って、ディスプレイを有する表示装置は、前記ディスプレイの表示スクリーン上で入力位置を検出するためのシステムを設けられる。従って、表示スクリーンは、タッチスクリーンを構成し、これとユーザは交信することができる。ユーザ交信が発生するスクリーン上の座標は、以下、「入力位置」と呼ばれる。
【0009】
検出システムは、スクリーンに隣接配置された光導体を有する。光導体は、光を光導体に入射するよう配置された光源を有する。望ましくは、光導体は、光を光導体に入射するよう光導体の1つの側に配置された、例えばLED又は他の拡散光源のような、光源を有する。
【0010】
光導体は、光源の光が全反射によって光導体内部に通常閉じこめられるように、光学的にその周囲に適合される。上記文中の「通常」とは、ユーザ交信が起こらない状態に言及することが理解されるべきである。例えば、光導体の屈折率は、その周囲の屈折率よりも高くても良い。
【0011】
表示装置のユーザが指、ペン又は他の指示物体を用いて表示スクリーンとの物理的接触を確立すると、光導体内部の光の全反射状態は乱され、結果として、光は光導体から取り出されて、望ましくは、スクリーンから離れた方向に向けられる。スクリーンは、ユーザ/見る者から十分に離れた方向にある。
【0012】
表示装置は、光導体から取り出された光を検出するよう、例えば光検出器のような形をした光検出手段を有する。これは、光検出手段が表示スクリーンの端ではなくて表示スクリーン自体の面内に配置可能であるので、有利である。これは、サイズの低減された表示装置をもたらす。
【0013】
光検出手段は、光導体からユーザ交信が起こった入力位置(表示スクリーン上での接触点)へ取り出された光の検出イベントに適応するよう配置される。望ましくは、光検出手段は、タッチスクリーン上の異なる入力位置に結合された複数の光センサ又は光検出器を有する。望ましくは、光センサ又は光検出器の夫々1つは、表示スクリーン上で単一の入力位置又は入力領域(ボタン)に結合される。例えば、複数の光センサ又は光検出器は、ディスプレイの夫々の画像素子に対して1つ設けられる。
【0014】
本発明は、入射光の信頼性のある検出が、携帯電話、様々な形式のモニタ装置、テレビ受像機、映写スクリーン等を含め、本発明が適用可能であるLCD、CRT、例えばOLED又はPLEDデバイスのような異なる形式のLED技術のような、ほとんどのディスプレイ形式で提供されうるので、有利である。光導体において全反射される光は、ユーザがタッチスクリーンとの接触を確立すると、光導体から取り出されて、表示装置に向けられる、という事実は、光検出手段が、望ましくは、ディスプレイ内の基板のどこにでも、即ち、滑らかで、統合された光の検出法が提供されるディスプレイの面内に組み込まれうるので、有利である。
【0015】
本発明の実施例に従って、表示装置は、アクティブマトリクスディスプレイを有し、光検出手段は、望ましくは、表示装置のアクティブマトリクス基板に組み込まれる。例えば、表示装置は、アクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AM−LCD)、アクティブマトリクス有機LEDディスプレイ(AM−OLED)又はアクティブマトリクス・ポリマーLEDディスプレイ(AM−PLED)を有する。
【0016】
本実施例では、望ましくは、光検出手段は、アクティブマトリクス基板の薄膜トランジスタ(TFT)を有する。TFTを形成する半導体物質の特性は、光電気である。これは、TFTが光にさらされる場合に、光誘起漏れ電流がTFTで引き起こされることを意味する。従って、例えば従来の液晶ディスプレイでのTFTは、光除去層によって如何なる入射光からも遮蔽される。
【0017】
前記層に開口部を作ることによって、又は特定の波長を通さない他の物質層で前記層を置き換えることによって、TFTは、意図的に(特定の波長の)外部光を感知するようにされ得る。本実施例は、既存のTFTが光検出器として使用され、ひいては、システムにおいて更なる光検出器が使用される必要性がないので、滑らかで、統合された解法が提供されうるという利点を有する。これは、タッチスクリーンを有する特に小型な表示装置の構造を可能とする。
【0018】
代替的に、表示装置は、光導体から取り出されて、表示装置に向けられた光を検出するよう配置された感光性基板を有する。この代替的な実施例は、また、統合された解法を提供し、検出は、ディスプレイの面内で提供されうる。望ましくは、その場合、タッチスクリーン上の入力位置に結合された様々な領域は、感光性基板での検出イベントを表示スクリーンの入力位置に関連づけることができるように、感光性基板内に決められるべきである。
【0019】
本発明の更なる他の実施例に従って、光導体は、表示装置のフロントプレートに配置される。これは、更なる光導体が表示装置の外部表面に配置されることが不要となって、既存のディスプレイのフロントプレートが光導体として用いられるという利点を有する。実際のディスプレイのフロントプレートに光導体を組み込むことは、表示装置をより小型にする。
【0020】
本発明の更なる他の実施例に従って、光を光導体に入射するよう配置された光源は赤外線光を放射する。これは、光を光導体に入射するように光導体の1つの側に配置された光源は、赤外線光が人間の目には可視的ではなく、シリコン光検出器の使用を可能にするので、ディスプレイの視認性の劣化を引き起こさないという利点を有する。
【0021】
本発明の他の実施例に従って、光学フィルタは、光検出手段での光入射に対する選択度を増すよう、光検出手段上に配置される。単色光に対して、光学フィルタは、光に対する選択度を高める。選択度は、光検出器により受光される光を周囲光と区別するために必要とされうる。光検出器及び/又は光学フィルタは、光源がパルス形式である場合に、パルス状の光との同期化によって、及び/又は興味のある帯域幅のみを通過させるよう配置された光学フィルタによって、パルス状の光を処理するよう構成される。
【0022】
本発明の更なる特性及び利点は、添付の特許請求の範囲及び以下の記述を検討すると明らかとなる。当業者には、本発明の様々な特徴が、後述する実施例以外の実施例を作るよう組み合わせ可能であることが理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を、添付の図面を参照して更に詳細に説明する。
【0024】
図1は、キーボード101及びLCDフラットスクリーン102を配置されたラップトップ形状の表示装置を示す。この表示装置において、本発明は有利に適用され得る。光導体及び光検出手段を有する本発明に従う座標検出システムは、以下で述べるように、多種多様な方法で表示装置において配置可能である。例えば、光導体は、表示装置の外部に、望ましくは、表示装置100のフロントプレートに配置可能である。光検出手段は、以下で述べるように、望ましくは表示装置の内部に配置される。
【0025】
図2の上側は、表示装置のスクリーン201の正面図を示す。スクリーン201上で、光導体202は接着剤を用いて配置され、あるいは、代替的に、光導体は表示装置のフロントプレート内に配置されている。光検出手段203(図2の上側には示されていない。)は、表示装置内の基板の如何なる場所にも、即ち、ディスプレイの面内に配置可能であり、滑らかで、統合された光の検出法が提供される。光検出手段は、CPU204又は処理能力を有する幾つかの他の適切な手段へ接続されている。一般に、CPUは、座標検出システムが適用される装置において既存の処理手段を有し、前記装置は、例えば、ラップトップ型コンピュータ、携帯電話、映写スクリーン、テレビ受像機等である。ペン205の形をした位置決め装置は、スクリーンとの接触206を確立するよう、ユーザにより用いられる。
【0026】
図2の下側は、表示装置のスクリーン201の側面図を示す。薄膜トランジスタ(TFT)の形をした光検出手段203は、入射光を検出するよう、表示装置のアクティブマトリクス基板209で一体化されている。光導体202は、光導体に光を入射するよう配置された光源208を有する。光導体202とその周囲との間の整合は、光源208の光210が全反射によって光導体の内部に閉じこめられるように、適合される。留意すべきは、光検出手段203は、必ずしもTFTを有するわけではないことである。基板209は、光導体202から取り出されて、表示装置に向けられた光を検出するよう配置された感光材から構成されることが可能である。
【0027】
図3は、スクリーン301の側面図を示す。例えばペン305による光導体302との物理的な接触は、全反射を乱す。これによって、光310は、光源308から光導体302を介してアクティブマトリクス基板309内の光検出手段303(TFT、感光板等)へ放射される。全反射の状態が乱され、光が光導体302から取り出されて光検出手段303へ向けられる場合に、光源から光導体を介して光検出手段303に衝突する光311の入射位置を決定することにより、ディスプレイ上での接触点306を決定することが可能である。接触点306では、光311は、複数の方向で散乱される。言い換えると、接触点306は、光311を放射する光源として働くと言うことができる。図3は、多数の方向で一様に生ずるこのような散乱の概略図を示す。光入力のために、光導体302は透明であって、光入力は、光導体を通り抜けて、光検出手段303で検出される。
【0028】
図4において、光導体402は、スクリーンのフロントプレートに配置されており、従って、座標検出法をより一層コンパクトにする。
【0029】
図5は、本発明が適用可能である表示装置501の一部の概要図を示す。表示装置501は、行、即ち選択電極507と、列、即ちデータ電極506とが交差する領域において、素子又は画素508のマトリクスを有する。行電極は、行駆動部504により選択され、一方、列電極は、データレジスタ505を介してデータを供給される。この目的のために、入来データ502は、必要ならば、処理装置503において最初に処理される。行駆動部504とデータレジスタ505との間の相互の同期化は、駆動ライン509を介して行われる。
【0030】
行駆動部504からの信号は、薄膜トランジスタ(TFT)510を介して画像電極を選択する。TFT510のゲート電極523は、行電極507へ電気的に接続されており、そのソース電極524は、列電極506へ電気的に接続されている。列電極506に存在する信号は、TFTを介して、ドレイン電極525へ結合された画素508の画像電極へ伝送される。他の画像電極は、例えば、1つ(又はそれ以上)の共通のカウンタ電極へ接続されている。データレジスタ505は、また、スイッチ511を有する。スイッチ511によって、入来データが列電極506へ伝送され得る(状態511a)か、あるいは、検知段階の間に、TFT510の状態が検知され得る(スイッチ511の状態511b)。
【0031】
半導体物質の特性は、光電気である。これは、TFTが光にさらされる場合に、光誘起漏れ電流がTFT510で引き起こされることを意味する。従って、従来のディスプレイでのTFTは、例えば黒マトリクス層のような、光除去層(図示せず。)によって如何なる入射光からも遮蔽される。光除去層に開口部を作ることによって、又は特定の波長を通さない他の物質層で光除去層を置き換えることによって、TFTは、(特定の波長の)外部光を感知するようにされ得る。
【0032】
光ビームは、TFT510を局部的に照射しても良く、TFTに関連したキャパシタに蓄積される電圧は、照射時に下がる。新しい情報を書き込む前に、次の書き込み周期の間にこの電圧降下を検知すること(スイッチ511の状態511b)は、意図的に照射された画素と、照射されない画素との間の識別を可能とする。検知された情報は、処理装置503に記憶され、専用のソフトウェアを用いることによって、表示装置外部からディスプレイ上に衝突する光の入射点が検出可能である。上記実施例の多種多様な変更、変形及び組み合わせは、当業者には明らかとなりうる。従って、上記実施例は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の適用範囲を限定しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明が適用され得る従来技術の表示装置の一例を示す。
【図2】光導体が本発明の実施例に従って配置された表示装置のスクリーンの正面図及び側面図を示す。
【図3】全反射が乱された場合の光導体の側面図を示す
【図4】スクリーンのディスプレイ・フロントプレートに配置された光導体の側面図を示す。
【図5】本発明が適用可能である表示装置の一部の概要図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを有し、該ディスプレイのスクリーン上で入力位置を検出するよう配置された表示装置であって、
前記スクリーンは、光導体と、該光導体に光を入射するよう配置された光源とを有し、
前記光導体は、前記光源から放射された光が、全反射によって前記光導体の内部に閉じこめられて、ユーザが前記入力位置で前記スクリーンとの物理的な接触を確立する場合に前記光導体から取り出されるように、光学的にその周囲に適合され、
当該表示装置は、前記光導体から取り出された光を検出するための光検出手段を更に有し、前記取り出された光の検出を前記入力位置に関連づける、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光検出手段は、前記ディスプレイのスクリーン上の異なった入力位置に結合された複数の光センサ又は光検出器を有する、ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記光検出手段は、前記ディスプレイの基板と一体化されている、ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記ディスプレイは、アクティブマトリクス型ディスプレイである、ことを特徴とする請求項3記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記基板は、前記ディスプレイのスクリーンの画像素子に結合された薄膜トランジスタを設けられ、
前記光検出手段は、前記薄膜トランジスタを有する、
ことを特徴とする請求項4記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記光導体は、光学的に前記スクリーンに適合される、ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光導体は、当該表示装置のフロントプレートと一体化されている、ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記光導体に光を入射するよう配置された光源は、赤外範囲で光を放射する、ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記光検出手段は、前記光導体から取り出された光の選択度を増すよう、光学フィルタを設けられている、ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−506178(P2007−506178A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526780(P2006−526780)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051747
【国際公開番号】WO2005/029394
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】