説明

光導波板用シリコーンゴム組成物及び光導波板

【解決手段】(A)成分として下記平均組成式(I)
1aSiO(4-a)/2 (I)
(R1は同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基であり、かつ1分子中の少なくとも2個は脂肪族不飽和基、aは1.95〜2.05の正数)
で表される重合度が100以上のオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)比表面積が200m2/gを超える煙霧質シリカ 70〜150質量部、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量
からなる光導波板用シリコーンゴム組成物。
【効果】本発明のシリコーンゴム組成物は、押し出し成型、カレンダー成型等が可能なミラブルタイプの材料であり、その硬化物はシリカを含有していても、高い透明性を持ち、携帯電話の等のキーパッド照光用バックライト装置の光導波板として最適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサンを主成分とし、ヒドロシリル化反応によって硬化するミラブルタイプの光導波板用シリコーンゴム組成物及び光導波板に関し、特に高透明、高硬度の成型物が得られるため、携帯電話のキーパッド照光用バックライト装置の光導波板に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の夜間使用のため、多くのキーパッドは照光用バックライト装置を備えているが、従来は発光ダイオード(LED)をキーパッドの裏側に多数個配置する構成であった。しかし、最近の携帯電話の高機能化に伴い、照光用バックライト装置にも薄型化、軽量化、高輝度化、コストダウンの要求が高まっており、液晶ディスプレイ(LCD)でも採用されている光導波板による照光用バックライト装置が提案された。これは、LED光源と、該光源に対向する端面から光を内部に導入して拡散し、照光したいキー部分に設置した反射面で光を反射して反射光を外部に投射する光導波板から構成されている(特許文献1:特開2003−59321号公報参照)。この装置の特徴は、LEDを横方向に設置することで薄型化が可能になり、従来の裏側にLEDを設置したタイプに比べてLED個数を減少してもキーパッド全面を均一に、高輝度に照光可能となった。また、消費電力も低下したので電池の小型、軽量化も進み、低コスト化にも寄与した。
【0003】
LCDバックライト装置の光導波板は、光学的特性のみを要求されるが、LEDを光源とするキーパッド照光用バックライト装置の光導波板は、キー入力の変位(クリック)をスイッチング素子に伝達する役目も担うので、高透明であることに加え、弾性やその温度依存性が小さいこと、薄く均一な厚みで表面平滑なフィルムを成型できること等も必要となる。一般にアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂は高透明でフィルム成型性は良好であるが、弾性の温度依存性、特に低温領域では脆化のため、キー入力時にクラックが発生することがあった。そこで、LEDの封止材等の光学材料にも応用されている高透明なシリコーン系樹脂(特許文献2:特開2002−265787号公報、特許文献3:特開2006−202952号公報、特許文献4:特開2006−342200号公報参照)が低温特性に優れている点で注目された。しかしながらこれらに用いられている材料は液状タイプの材料であり、光導波板を製造する際の工程が煩雑となり、コストアップの要因となる問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−59321号公報
【特許文献2】特開2002−265787号公報
【特許文献3】特開2006−202952号公報
【特許文献4】特開2006−342200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、液状タイプに比べ、カレンダー成型、押し出し成型性に優れた透明性の高いミラブル型シリコーンゴム組成物からなり、特にバックライト装置用として好適な光導波板用シリコーンゴム組成物及び光導波板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ミラブルタイプのシリコーンゴム組成物に、所定量以上のシリカを分散させることにより、シリカが充填された系でも高透明の材料が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記光導波板用シリコーンゴム組成物及び光導波板を提供する。
(1)(A)成分として下記平均組成式(I)
1aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基であり、かつ1分子中の少なくとも2個は脂肪族不飽和基である。aは1.95〜2.05の正数である。)
で表される重合度が100以上のオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)BET比表面積が200m2/gを超える煙霧質シリカ 70〜150質量部、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量
からなることを特徴とする光導波板用シリコーンゴム組成物。
(2)(B)成分が、表面処理されたシリカであることを特徴とする(1)記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
(3)シリカの表面処理剤がヘキサメチルジシラザンである(1)又は(2)記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
(4)平均組成式(I)において、脂肪族不飽和基を除くR1がメチル基である(1)〜(3)のいずれかに記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
(5)該シリコーンゴム組成物の厚さ2mmの硬化物シートの全光線透過率が90%以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
(6)該シリコーンゴム組成物の厚さ2mmの硬化物フィルムのヘイズ値が10以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
(7)キーパッド照光用のバックライト装置用である(5)又は(6)記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のシリコーンゴム組成物を硬化させてなる光導波板。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシリコーンゴム組成物は、押し出し成型、カレンダー成型等が可能なミラブルタイプ(即ち、ロールミル等の混練機での混練が可能な)の材料であり、その硬化物はシリカを含有していても、高い透明性を持ち、携帯電話等のキーパッド照光用バックライト装置の光導波板として最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のシリコーンゴム組成物において、主剤(ベースポリマー)としての(A)成分は下記平均組成式(I)で表される重合度が100以上のオルガノポリシロキサンである。
1aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基であり、かつ1分子中の少なくとも2個は脂肪族不飽和基である。aは1.95〜2.05の正数である。)
【0010】
上記平均組成式(I)中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基を示し、通常、炭素数1〜12、特に炭素数1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基、あるいはこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子又はシアノ基等で置換した基が挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、ビニル基が好ましい。
【0011】
具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位(R12SiO2/2)がジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるもの、又はこの主鎖を構成するジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるジメチルポリシロキサン構造の一部にフェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を有するジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン単位等を導入したもの等が好適である。
【0012】
特に、オルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上のアルケニル基、シクロアルケニル基等の脂肪族不飽和基を有するものが好ましく、この脂肪族不飽和基としてはアルケニル基、特にビニル基であることが好ましい。この場合、全R1中0.01〜20モル%、特に0.02〜10モル%、更には0.02〜5モル%が脂肪族不飽和基であることが好ましい。なお、この脂肪族不飽和基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。また、aは1.95〜2.05、好ましくは1.98〜2.02、より好ましくは1.99〜2.01の正数である。また、全R1中90モル%以上、好ましくは95モル%以上、更に好ましくは脂肪族不飽和基を除く全てのR1がアルキル基、特にはメチル基であることが、透明性の確保の点から望ましい。
【0013】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、分子鎖末端がトリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ジメチルヒドロキシシロキシ基、ジメチルビニルシロキシ基、メチルジビニルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基(R13SiO1/2)で封鎖され、主鎖が前記したジオルガノシロキサン単位(R12SiO2/2)の繰り返しからなる直鎖状のものを好ましく挙げることができる。
特に好ましいものとしては、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、メチルトリフルオロプロピルビニルポリシロキサン等を挙げることができる。
【0014】
このようなオルガノポリシロキサンは、例えばオルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合することにより、あるいは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体、4量体等)をアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。これらは基本的に直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、(A)成分としては、分子量(重合度)や分子構造の異なる2種又は3種以上の混合物であってもよい。
【0015】
なお、上記オルガノポリシロキサンの重合度は100以上、好ましくは100〜100,000、より好ましくは1,000〜100,000、特に好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜20,000であり、特に室温(25℃)において自己流動性のない生ゴム状であるものが好ましい。なお、この重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算の重量平均重合度として測定することができる。
【0016】
(B)成分のBET比表面積200m2/gを超える煙霧質シリカは、透明性に優れ、また機械的強度の優れたシリコーンゴム組成物を得るために添加されるもの(即ち、補強性充填剤)である。またシリコーンゴム組成物の透明性向上のため、BET比表面積が200m2/gを超える必要があり、好ましくは210m2/g以上、より好ましくは250m2/g以上である。BET比表面積が200m2/g以下だと、硬化物の透明性が低下してしまう。なお、BET比表面積の上限には特に制限はないが、作業性等の点から、通常、500m2/g以下、好ましくは400m2/g以下程度のものであればよい。
【0017】
通常、シリコーンゴム組成物に使用される補強性シリカとしては煙霧質シリカ(即ち、ヒュームドシリカ)、沈降シリカ等が挙げられるが、沈降シリカを用いると透明性が低下するため、本発明においては煙霧質シリカが用いられる。
またこれらの表面をクロロシラン、アルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等で疎水化処理したものも好適に用いられる。特にヘキサメチルジシラザンによる処理が、透明性が高くなり、好ましい。
【0018】
(B)成分の煙霧質シリカの添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、70〜150質量部、好ましくは70〜120質量部である。70質量部未満だと、シリコーンゴムコンパウンドを硬化させたシートの透明性が低下する。150質量部を超えると、シリコーンポリマー中へのシリカの分散が困難となる。
【0019】
本発明のシリコーンゴム組成物の(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、架橋剤として作用するものであり、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子(SiH基)を含有するもので、下記平均組成式(II)
2bcSiO(4-b-c)/2 (II)
(ここで、R2は炭素数1〜6の置換又は非置換の一価炭化水素基で、好ましくは脂肪族不飽和結合を有さないものである。具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等の非置換の一価炭化水素基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基等の上記一価炭化水素基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子やシアノ基で置換された置換アルキル基等の置換の一価炭化水素基である。bは0.7〜2.1、cは0.01〜1.0、かつb+cは0.8〜3.0、好ましくはbは0.8〜2.0、cは0.10〜1.0、より好ましくは0.18〜1.0、更に好ましくは0.2〜1.0、かつb+cは1.0〜2.5を満足する正数で示される。)
で示される従来から公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが適用可能である。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は2〜300個、特に4〜200個程度の室温で液状のものが好適に用いられる。なお、ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)は分子鎖末端にあっても側鎖にあっても、その両方にあってもよく、1分子中に少なくとも2個(通常2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば3〜200個)、より好ましくは4〜150個程度含有するものが使用される。
【0020】
上記の(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体等や上記各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基やフェニル基等のアリール基で置換されたもの等が挙げられる。
【0021】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜30質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜10質量部とすることが好ましい。
【0022】
また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基等の脂肪族不飽和基に対する(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)のモル比が0.5〜5モル/モル、好ましくは0.8〜4モル/モル、より好ましくは1〜3モル/モルとなる量で配合される。
【0023】
(D)成分のヒドロシリル化反応触媒は、公知のものが適用可能で、例えば、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属触媒が挙げられる。なお、このヒドロシリル化反応触媒の配合量は触媒量とすることができ、通常、白金族金属として(A)成分に対し、0.5〜1,000ppm、好ましくは1〜200ppm程度である。
【0024】
本発明のシリコーンゴム組成物には、上記成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、難燃性付与剤、着色剤等を添加することができる。
【0025】
本発明のシリコーンゴム組成物は、上述した成分の所定量を2本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練りすることによって得ることができる。
【0026】
本発明のシリコーンゴム組成物を成形する場合、成形方法としては、特に限定されないが、プレス成型、押し出し成型、カレンダー成型等が可能である。また、その硬化条件は特に限定されない。一般的には、80〜300℃、特に100〜250℃で5秒〜1時間、特に30秒〜30分程度の加熱硬化を採用することができる。また、100〜200℃で10分〜10時間程度ポストキュアーをしてもよい。
【0027】
本発明のシリコーンゴム組成物は、プレス成型等の方法で成形、硬化することにより高透明なシリコーンゴムが得られ、これらは通常LEDを光源とする携帯電話のキーパッド照光用バックライト装置の光導波板等に好適に用いられるものである。
【0028】
また、厚さ2mmの硬化物シートの全光線透過率が、スガ試験機(株)製直読ヘイズコンピューターHGM−2による測定値で90%以上(即ち、90〜100%)であることが好ましい。該全光線透過率が90%未満であると光導波板等に使用したときの光拡散が大きすぎ、入射光が光導波板の最遠部まで届かず、輝度にムラが生じてしまう。
【0029】
更に、厚さ2mmの硬化物シートのヘイズ値が、スガ試験機(株)製直読ヘイズコンピューターHGM−2による測定値で10以下(即ち、0〜10)、特に8以下(0〜8)であることが好ましい。該ヘイズ値が10を超える場合は光拡散が大きすぎて、光導波板等に使用したときの入射光が光導波板の最遠部まで届かず、輝度にムラが生じてしまう。
【実施例】
【0030】
以下、実施例と比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、配合量の単位は質量部である。また、重量平均分子量、重量平均重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算値である。
【0031】
[実施例1]
ジメチルシロキサン単位((CH32SiO2/2)99.425モル%、メチルビニルシロキサン単位((CH2=CH)(CH3)SiO2/2)0.50モル%、ジメチルビニルシロキシ単位((CH2=CH)(CH32SiO1/2)0.025モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン100部、BET比表面積300m2/gのヒュームドシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)70部、分散剤としてヘキサメチルジシラザン16部、水4部を添加し、ニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理してコンパウンドを調製した。
上記コンパウンド100部に対し、付加架橋硬化剤としてC−25A(白金触媒)/C−25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)(共に信越化学工業(株)製)それぞれ0.5部/2.0部を2本ロールで混練後添加し、均一に混合した後、120℃、70kgf/cm2の条件で10分間プレスキュアーを行い、次いで200℃で4時間ポストキュアーを行い、試験用シートを作製した。
【0032】
[実施例2]
BET比表面積300m2/gのヒュームドシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)の添加量を80部、ヘキサメチルジシラザン18.5部、水4.6部
とした以外は実施例1と同様な方法によりシートを成型した。
【0033】
[実施例3]
BET比表面積300m2/gのヒュームドシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)の添加量を100部、ヘキサメチルジシラザン23部、水5.7部
とした以外は実施例1と同様な方法によりシートを成型した。
【0034】
[実施例4]
BET比表面積380m2/gのヒュームドシリカ(商品名アエロジル380、日本アエロジル(株)製)の添加量を70部、ヘキサメチルジシラザン20.3部、水5.1部とした以外は実施例1と同様な方法によりシートを成型した。
【0035】
[比較例1]
BET比表面積300m2/gのヒュームドシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)の添加量を50部、ヘキサメチルジシラザン11.4部、水2.9部
とした以外は実施例1と同様な方法によりシートを成型した。
【0036】
[比較例2]
BET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ(商品名アエロジル200、日本アエロジル(株)製)の添加量を70部、ヘキサメチルジシラザン16部、水4部とした以外は実施例1と同様な方法によりシートを成型した。
【0037】
【表1】

【0038】
透明性評価方法:厚さ2mmシートの全光線透過率、ヘイズ値を測定した。
スガ試験機(株)製直読ヘイズコンピューターHGM−2による測定値
物性特性測定法
ゴム組成物を120℃/10分の条件で硬化させ、JIS K6249に準じて、可塑度及び硬さ(デュロメーターA)を測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分として下記平均組成式(I)
1aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基であり、かつ1分子中の少なくとも2個は脂肪族不飽和基である。aは1.95〜2.05の正数である。)
で表される重合度が100以上のオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)BET比表面積が200m2/gを超える煙霧質シリカ 70〜150質量部、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量
からなることを特徴とする光導波板用シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
(B)成分が、表面処理されたシリカであることを特徴とする請求項1記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
シリカの表面処理剤がヘキサメチルジシラザンである請求項1又は2記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
【請求項4】
平均組成式(I)において、脂肪族不飽和基を除くR1がメチル基である請求項1乃至3のいずれか1項記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
【請求項5】
該シリコーンゴム組成物の厚さ2mmの硬化物シートの全光線透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
【請求項6】
該シリコーンゴム組成物の厚さ2mmの硬化物フィルムのヘイズ値が10以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
【請求項7】
キーパッド照光用のバックライト装置用である請求項5又は6記載の光導波板用シリコーンゴム組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物を硬化させてなる光導波板。

【公開番号】特開2010−83978(P2010−83978A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253690(P2008−253690)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】