説明

光導波路およびその方法

【課題】導波路構造、並びにコア領域およびその横に隣接するクラッド領域からなる当該構造を形成するための方法を提供する。本発明の実施例の導波路構造は、コア領域がその横に隣接するクラッド領域およびクラッド層によって共同的に取り囲まれている。そのような構造を形成するための方法も提供する。
【解決手段】光誘発熱現像性フィルムであって:第一の屈折率を有するポリマーマトリックスと;前記ポリマーマトリックスと相溶性があり、前記第一の屈折率と異なる第二の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーと;プロカタリストと;コカタリストとを含み、前記コカタリストは、化学線の照射に伴い、前記プロカタリストを潜在活性形態に変換し、前記潜在活性形態は、第一の温度での加熱に伴い、活性形態に変換する光誘発熱現像性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本出願は2003年11月21日出願の米国仮出願第60/523,978号および2004年7月2日出願の同第60/585,235号の優先権を主張する。それらの出願の内容の全てを本出願に組み込むこととする。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、光導波路およびそれを形成するための方法に関する。
【0003】
背景
レーザーまたは発光ダイオードのような光源から発生した光周波搬送波を使用するデータ移送がますます重要になっている。そのような光周波搬送波を一地点から他地点に導くための一つの手段が光導波路である。光導波路は、光周波搬送波の光に対して実質的に透明な第一の媒体と、第一の媒体よりも低屈折率の第二の媒体とを含んでいる。この第一の媒体は、第二の媒体によって取り囲まれているか、もしくは第二の媒体の内側に封入されている。第一の媒体の端部から導入された光は、第二の媒体との境界で内部全反射を起こし、これによって、第一の媒体の軸に沿って導かれる。恐らく、最も頻繁に使用されている光輸送媒体は細長く繊維状に形成されたガラスである。
しかしながら、ガラス光ファイバーは、長距離のデータ輸送には便利であるが、回路の高密度化によって使用上の問題を引き起こしたり、高コストになったりするので、複雑な高密度回路には好ましくない。一方で、ポリマー材料は、合理的コストで、信頼性があり受動的で実用的なコンポーネントを作成することができ、しかも集積光学に必要な機能が実行できる点で、有望視されている。
【0004】
したがって、光硬化法を利用してポリマー材料から光カップリング装置を形成することや、さらに最近では光導波路を形成するための研究が活発に行われている。例えば、ブースらの米国特許第5,292,620号では、所定の形状を有する導波路構造、ならびにその構造を形成するための光硬化法を利用した方法が開示されている。620特許の構造は、積層マトリックスに少なくとも1本の管状の導波路が埋め込まれる。この方法では、まず、導波路および接続構造を、支持基板に取り外し可能に、光硬化性フィルム内に形成する。上記形成後、導波路を有する光硬化性フィルムを、支持基板から取り外し、第一と第二の光硬化性フィルムの間に積層する。この方法では、導波路チャネル領域に隣接する光硬化性層の領域および接続領域がその層の平面においてクラッド層としての役割を果たし、第一および第二の光硬化性層は前記平面の上下でクラッド層としての役割を果たす。
一方、日本国特許公開公報第2004-35838号、同平10-48443号および同2001-296438号は、ポリマーフィルムに化学線を照射してポリマーの化学構造を変化させ、これによって導波路構造を得る方法を開示している。
【0005】
本発明の実施例を次の図面を参照しながら下記に説明する。
詳細な説明
本発明の実施例を下記に説明する。ここに記述する典型的な実施例に対して、様々な改良、変更もしくは変化を加えることは当業者には自明である。そのような全ての改良、変更もしくは変化は、それが本発明の教示に基づくものであっても、またそのような教示事項から発展させたものであっても、本発明の範囲内であると考えらる。
【0006】
「ノルボルネン系モノマー」という用語は、例えば下記の構造式「A」に従う少なくとも1個のノルボルネン部位を含むモノマーを意味し、「ノルボルネン系ポリマー」という用語は、そのようなモノマーから形成され、例えば下記構造式「B」に従う少なくとも一個の繰り返し単位を有するポリマーを意味する。

更に、「ノルボルネン系モノマー」という用語の使用は多環オレフィンを含む。これはカチオン性パラジウム開始剤によって重合されて、ベータ水素化物脱離やそれに相当する停止反応を引き起こさない増殖種になる。また、さらに、「ノルボルネン系ポリマー」という用語の使用は、そのようなモノマーから形成されるポリマー材料を含む。
「架橋剤」および「架橋モノマー」という用語は、代替可能に使用され、これらは、それぞれが重合可能な上記「A」で示されるノルボルネン系部位を少なくとも2個含むモノマーを意味する。後に詳細に記述するように、そのような架橋剤としては、連続多環環構造(fused multicyclic ring systems)および連結多環環構造(linked multicyclic ring systems)の両方が挙げられる。
【0007】
「導波路チャンネル」または「コア」という用語は、約1μm〜約200μm、若しくは約5μm〜約100μm、若しくは約10μm〜約60μmの寸法の正方形もしくは矩形の断面を有するポリマーフィルムの一部を意味する。さらに、この導波路チャンネルまたはコアは、その横に隣接する「クラッド領域」と呼ばれる領域の屈折率よりも高い屈折率を有している。例えば、本発明の実施例の光導波路は、限定する訳ではないが、一般的には600〜1550nmの波長領域を使用したデータ通信において利用される。通常、操作波長は、材料と、その光特性に依存する。
図1は、支持基板5に配置された状態にある、本発明の実施例に従う光誘発熱現像性材料(PITDM)の導波路パターン化フィルム10の一部を示す。一般に、基板5はシリコン、二酸化ケイ素、ガラスまたは石英の基板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる。
【0008】
PITDMは、例えば、多数のノルボルネン系繰り返し単位を有するノルボルネン系ポリマーマトリックス15と、そこに分散された材料20とからなる。材料20は、例えば、光開始剤、プロカタリスト材料およびノルボルネン系モノマーを含んでいてもよい。「光開始剤」という用語はカチオンとアニオンの光開始剤の両方を含むと解され、「光酸発生剤」もしくは「光塩基発生剤」とも呼ばれる。一般に、PITDMのフィルム10は1種以上の酸化防止剤を含んでいて、望ましくないフリーラジカルの発生ならびにノルボルネン系材料の自然酸化を防止するが、そのような酸化防止剤の包含は、PITDMが酸化条件に晒されない場合や晒す期間が限られている場合には、任意である。材料20の各々はマトリックス15内に実質的に一様且つランダムに分散されている。それゆえフィルム10が形成される場合には、そのような材料20は実質的に一様且つ任意にそこに分散される。
PITDMは、いくつかある適当な実施方法のうちのいずれかを使用して、基板5に適用されてフィルムまたは層10を形成する。そのような方法としては、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、およびドクターブレード法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。本発明の典型的な実施例では、PITDMの溶液、即ち、「ワニス」または「ワニス溶液」が、ガラス基板上に注がれ、ドクターブレードを使用して、実質的に一定の厚さに広げられる。本発明の実施例では、実質的に一定な層の厚みは約5μm〜約200μmであるが、他の実施例では層10は約10μm 〜約100μmの厚みになっており、さらに別の実施例では層10は約15μm〜約65μmの厚みになっている。溶液を広げた後に、このコーティングされたガラス基板を、換気されたレベルテーブルに置いて、フィルム表面の不均一部分を水平化するとともに、溶媒を蒸発させて、図1のPITDMフィルム10として示されるような固体フィルムを形成する。なお、PITDMフィルム10はワニス溶液を実質的に一定の厚さに延ばして形成され、そのようなワニス溶液に含まれる材料20およびマトリックス15は、フィルム10内において、実質的に一様且つランダムに分布している。
【0009】
マトリックス15は、例えば、2つ以上の別個のノルボルネン系繰り返し単位を有するノルボルネン系ポリマーを含んでいる(ここで、「第一の繰り返し単位」と「第二の繰り返し単位」という用語が2つ以上の別個の繰り返し単位を意味するために使用される)。本発明のある実施例では、実質的に等量のヘキシルノルボルネン(HxNB)およびジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン(diPhNB)の重合によって得られるポリマーは、マトリックス15として有用な共重合体になる。しかしながら、本発明のある実施例では、マトリックス15は2個あるいはそれ以上の別個のノルボルネン系繰り返し単位を含んでいてもよいが、マトリックス15は適当なノルボルネン系ホモポリマーであってもよい。本発明の実施例として例示されるノルボルネン系ポリマーおよびモノマーは、優れた耐熱特性を有する光導波路を作製できる。本発明実施例で記述される典型的なノルボルネン系ポリマーは、疎水性を向上し、それゆえ吸水による寸法変化などの水による弊害を受け難いフィルムを作成することができる。本発明の実施例はノルボルネン系ポリマーを含むPITDMについて記述されるが、本発明はそのようなポリマーに限定されない。例えば、PITDMのポリマーとしては、光導波路のために十分に無色透明で、しかもモノマーと相溶性のあるものが挙げられる。ここで「相溶性のある」という用語は、モノマーが少なくとも混和してポリマーマトリックス内で相分離を起こさないことを意味する。例えば、ノルボルネン系モノマーの種々の合成プロセス、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応の組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、およびエチレン-ノルボルネン共重合が有用である。更に、例えば、カチオン性パラジウム開始剤以外の開始剤や触媒、例えばニッケルや他の遷移金属の開始剤を使用して合成される他のノルボルネン系ポリマーも有用である。ノルボルネン系ポリマー以外のポリマーとしては、光導波路のために十分に無色透明でモノマーと相溶性があり、しかもマトリックスとして機能し、その中でモノマーが重合もしくは架橋するか、さらに/もしくは、その中に脱離性ペンダントグループが含まれるものが挙げられる。マトリックスとしてのポリマーは該マトリックス内でモノマーが重合した際に透明でなければならない。典型的なポリマーは、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エポキシドおよびポリスチレンなどである。
また、マトリックス15は脱離性ペンダントグループを有する繰り返し単位を含んでいてもよい。「脱離性ペンダントグループ」という用語は、ペンダントグループまたは少なくともその一部が、例えば、化学線および/または熱エネルギーなどのエネルギー源からのエネルギー照射によって脱離する部位または部分を含むペンダントグループを意味する。通常、プロトン、アニオンまたはフリーラジカルがその部位と相互作用したり、その部分で相互作用して、マトリックスからペンダントグループまたはその一部の脱離を開始若しくは引き起こす。したがって、本発明の実施例は、「脱離性ペンダントグループ」、即ち、「酸(プロトン)脱離性ペンダントグループ」、「塩基(アニオン)脱離性ペンダントグループ」もしくは「フリーラジカル脱離性ペンダントグループ」を有していてもよい。
【0010】
脱離後、脱離されたペンダントグループはマトリックスから取り除かれ、これによって屈折率が変化する。一方、脱離したペンダントグループは、照射領域と非照射領域の間で別個の屈折率を与える場合には、マトリックス内に残存させてもよい。例えば、脱離性ペンダントグループまたはその少なくとも一部は、少なくとも部分的に脱離されて、ポリマーマトリックス内で再配列または架橋を引き起こし、これによって屈折率が変化する。それゆえ「フォトブリーチング」という用語は、脱離性ペンダントグループが、化学線照射および/または熱エネルギーの照射によってポリマーマトリックスから部分的に脱離して、そして除去、再配列若しくは架橋されてポリマーマトリックスの屈折率が、増加/減少のいずれかの変化をもたらすことを意味するために使用される。「化学線照射」という用語は、光化学系の反応を引き起こす如何なる照射をも含み、さらには、電子線照射やX線照射なども含むものと理解される。
本発明のある実施例では、マトリックス15は、−O−、−Si−フェニル、または−OSi−の部位を有するペンダントグループを有している。別の実施例では、マトリックス15は、−Si−ジフェニルまたは−OSi−ジフェニルの部位を有するペンダントグループを有している。本発明のさらに別の実施例では、マトリックス15は、diPhNBモノマーのホモポリマーまたは共重合体である。
【0011】
本発明の実施例の材料20は1個またはそれ以上の別個のモノマーを含み、そのようなモノマーの少なくとも1つは架橋性モノマーである。有用であることが見出された典型的な架橋剤はビス-(ノルボルネンメトキシ)ジメチルシラン(SiX)である。
活性剤とも呼ばれるコカタリスト(cocatalyst)は、開始剤とも呼ばれるプロカタリストを活性化する。例えば、そのような活性化は弱配位アニオン(WCA)を与えるコカタリストを含み、そのようなWCAはプロカタリストの脱離基を置換する。典型的なWCAは、テトラキス(ペンタフルオロフェニル) ホウ酸塩(FABA) 、SbF6 - 、テトラキス(ペンタフルオロフェニル) 没食子酸塩、 アルミン酸塩類、アンチモン酸塩類、 他のホウ酸塩類、 没食子酸塩類、カルボラン類及びハロカルボラン類である。本発明の実施例によると、コカタリストは適切な波長の化学線の照射によって分解し、関連部分でプロトンなどのカチオンとプロカタリストを活性化するWCAを形成する。脱離性ペンダントグループがある場合、FABA- やSbF6-の弱配位アニオンを有するカチオン性またはアニオン性の光開始剤を選択することが好ましい。
【0012】
発明の実施例において有用な典型的な材料は、ニュージャージ州クランベリーのRhodia USA社から入手したRHODORSIL(登録商標)のPHOTOINITIATOR 2074(CAS番号第178233-72-2)、および日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手したTAG-372R光開始剤(CAS 193957-54-9番)が挙げられる。さらに、日本国東京のみどり化学株式会社から入手したMPI-103(CAS番号第87709-41-9番)、日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手した TAG-371(CAS番号第193957-53-8番)、および日本国東京の東洋合成工業株式会社から入手したトリス(4-tertブチルフェニル)スルフォニウムテトラキス(ペンタペンタフルオロフェニル)ボレート(TTBPS-TPFPB)が挙げられる。
本発明の実施例はコカタリストとして特定の光開始剤(光酸発生剤)を含むPITDMについて記述されるが、本発明はそのような光開始剤に限定されない。プロカタリスト(触媒)の活性温度が化学線照射によって変化(増加若しくは減少)するかぎり、またはマトリックスのペンダントグループの特定部位が化学線照射によって脱離する限り、いかなるコカタリストやプロカタリストをも使用できる。
【0013】
PITDMがプロカタリストを含んでいる場合、一般に、それは、式IaおよびIbによって表わされる部位から選択することができる。
(E(R)3)2Pd(Q)2 Ia
[(E(R) 3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]r Ib
式IaおよびIbにおいて、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「R」はそれぞれ水素(またはその同位体のひとつ)またはアニオン性ハイドロカルビル(hydrocarbyl)を含む部位であり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子である。式Ibにおいて、「LB」はルイス塩基であり、「WCA」は弱配位アニオンであり、「a」は1,2又は3の整数であり、「b」は0,1又は2の整数である。「a」と「b」の合計は1,2又は3であり、「p」および「r」はパラジウムカチオンと弱配位アニオンが式Ibの構造にて電荷のバランスをとる数を表す。典型的な実施例において、「p」および「r」はそれぞれ1および2の整数から選択される。そのような典型的なプロカタリストはPd(PCy3)2(OAc)2 (以後、「Pd785」と呼ぶ)である。ここで、「Cy」はシクロヘキシル部位であり、「Ac」はアセタール部位を表す。上記の典型的なプロカタリストは、本発明のある実施例において、付加重合によってノルボルネン系モノマーを重合することができ、それによって優れた耐熱特性を有するポリマーもしくはポリマー材料を調製することができる。
【0014】
本発明の実施例は特定のプロカタリストを含むPITDMについて記述されるが、本発明はそのようなプロカタリストに限定されない。活性温度が化学線照射によって変化(例えば、増加もしくは減少)する限り、如何なるプロカタリストも使用できる。
酸化防止剤が材料20に含まれる場合、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals社から入手できるCiba(登録商標)のIRGANOX(登録商標)1076およびCiba(登録商標)のIRGAFOS(登録商標)168が有用であることが見出された。他の典型的な酸化防止剤としては、Ciba(登録商標)Irganox(登録商標)129、Ciba(登録商標)Irganox(登録商標)1330、Ciba(登録商標)Irganox(登録商標)1010、Ciba(登録商標)Cyanox(登録商標)1790、Ciba(登録商標)Irganox(登録商標)3114およびCiba(登録商標)Irganox(登録商標)3125が挙げられる。
【0015】
図2は、フィルム10の一部を示す。十分に乾燥した後、即ち、PITDMを含む溶液に使用された溶媒を実質的に蒸発させた後、薄膜10は実質的に乾燥固体のフィルムとなる。PITDMの乾燥フィルム10は第一の屈折率(RI)を有しており、そのような第一の屈折率(RI)は、マトリックス15に一様に分散された材料20の作用による。
図示されるように、フィルム10の領域25にマスキング35を通して化学線30を照射するが、化学線30の光源はそのような照射に対する材料20中のコカタリスト、例えばカチオン性光開始剤の感度に応じて選択される。適宜、好適な増感剤を本発明のワニス溶液に含めても良い。「増感剤」という用語は、化学線に対する光開始剤の感度を増大し、反応もしくは分解に必要な時間やエネルギーを減少させ、加えて/若しくは、光開始剤が最も反応する化学線の波長を変えるものを意味する。そのような好適な増感剤としては、限定する訳ではないが、アントラセン類 (例えば、DBA (9, 10-ジブトキシアントラセン; CAS 76275-14-4), キサントン類およびアントラキノン類が挙げられる。さらに、吸収のピーク波長に応じて、他の増感剤、例えばフェナントレン類、, クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類(fluoranthenes), ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン-9-オン類(thioxanthen-9-ones)およびその混合物が好適に使用される。ある典型的な実施例では、好適な増感剤としては、2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン, 4-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン, 1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、フェノチアジン(phenothiazine)およびその混合物が挙げられる。増感剤の典型的な量は、ワニス溶液の組成物中に対して、少なくとも0.01重量%であり、ある実施例では、少なくとも0.5重量%であり、また他の実施例では少なくとも1重量%である。本発明の実施例のワニス溶液に存在する増感剤の量は上記値の何れかの間で変化する。RHODORSIL(登録商標)2074がフィルム10中に使用されている場合、水銀灯が紫外線(UV)照射源として使用される。これは300ナノメーター(nm)未満の十分なるエネルギーを供給し、これによってRhodorsilは分解し、上記カチオンおよびWCAを形成する。照射領域25の横に隣接する部分は非照射部40であり、図示されるようにマスキング35の不透明部分によって化学線30から保護される。
【0016】
図では、化学線30をフィルム10の領域25に導くマスキング35の開口部は2個しか形成されていないが、これは簡略化のためであり、マスキング35は様々な複雑なパターンになっていてもよく、これによって光導波路のエレメントおよび/またはカップリング装置を形成することができる。なお、領域25はレーザー照射または他の平行照射源を使用して照射されてもよく、その場合、マスキングは不必要になるかもしれない。例えば、本発明の実施例に従う導波路は、「オンボード・チップ・チップ相互接続」;光学スイッチ;オプティカル・アッド・ドロップ・マルチプレクサー(OADM)などの種々の光学バックプレーン;マルチプレクサーとデマルチプレクサー;アレイド・ウエイブガイド・グランティング (AWG);マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)、およびマイクロ・オプトエレクトロ・メカニカル・システム(MOEMS) などのデータ通信装置として利用できる。更に、本発明に従う作成方法は、回析格子、ホログラフィー・フィルム、レンズ、マイクロレンズアレイおよびレンズ・キャップ構造を形成するのにも有用である。したがって、本発明の方法を使用して作ることができる導波路構造は、一般に、実施するために必要なパターンを備えたフォトマスクがあるかどうかによってのみ制限される。光導波路エレメントのパターンの複雑さに関わらず、パターンによる各照射領域25は、その横に、1個以上の非照射領域40が隣接している。
化学線30を照射すると、照射領域25のコカタリストは、照射に反応して、反応もしくは分解して、プロトン若しくは他の陽イオン、並びに弱配位アニオン(WCA)を遊離する。プロトンおよびWCAは、フィルム10の照射領域25内のその場所で、活性潜在触媒を形成する。ここで、「活性潜在」もしくは「潜在的活性」なプロカタリストまたは触媒とは、追加の変化/反応がないと、即ち、例えば、温度上昇がないと、そのような潜在的なプロカタリストまたは触媒は、室温では、領域25内において機能的もしくは有用な光導波路を十分に形成するノルボルネン系モノマーの重合を引き起こさない。 従って、保管が望まれる場合にも、その潜在プロカタリストは、例えば、約-40℃ではノルボルネン系モノマーの重合を引き起こさない。
【0017】
本発明の実施例では、そのような活性潜在触媒を得る目的で、PITDMフィルムには、0.1J/cm2〜9J/cm2、若しくは0.5J/cm2〜5J/cm2の照射エネルギーの化学線が照射される。一般に、PITDMフィルムには、200nm〜450nmのピーク波長を有する化学線が照射されるが、他の波長がコカタリストおよび/または増感剤の機能に有用であるならば、そのような他の波長を使用してもよい。
活性潜在触媒は、プロカタリストの活性化温度よりも低い活性化温度を有している。本発明のある実施例では、活性潜在触媒はプロカタリストの活性化温度より10℃〜80℃低い活性化温度を有している。
【0018】
図3は熱硬化後の図2の構造を示す。すなわち、図2の構造は、第一の温度で第一の時間加熱され、次に、第一の温度よりも高い第二の温度で第二の時間加熱される。第一の温度は活性潜在触媒を活性触媒にして領域25内のノルボルネン系モノマーの重合を引き起こす。第二の温度はそれよりも十分に高く、コカタリストが熱分解もしくは反応して、これによってプロカタリストが非照射領域内で活性化する。
本発明の実施例では、モノマーがマトリックス中で重合して、マトリックスのポリマーとは別個の他のポリマーを形成する。本発明の他の実施例では、モノマー(架橋剤)はポリマーマトリックスを架橋する。本発明の他の実施例では、モノマーが重合して、マトリックスポリマーの主鎖からのブランチポリマー、もしくはペンダントグループを形成する。
【0019】
化学線30を照射する前、PITDMフィルム10は第一の屈折率(RI)を有している。そして照射およびその後の加熱により、照射領域25は第二の屈折率になり、その横に隣接する非照射領域40は第三の屈折率になる。ここで、第二および第三の屈折率は互いに異なる。上記のように、本発明の実施例で使用されるノルボルネン系モノマーは、照射領域25内で重合された場合に、照射領域25の屈折率が第一の屈折率から第二の屈折率に変わるように選択される。それゆえ「選択的重合」という用語は、選択された領域のポリマーマトリックス内のモノマーを、その領域への化学線や熱エネルギーの照射によって、重合させることを意味する。理論に束縛されないが、非照射領域40からノルボルネン系モノマーが照射領域25へ拡散し、そこで重合し、そしてそのような非照射領域40から照射領域25へのノルボルネン系モノマーの拡散が非照射領域40の屈折率を第一の屈折率から第三の屈折率に変えていると考えられる。好都合なことに、この拡散プロセスは、重合に必要なモノマーを照射領域25に更に与え、これによって上記照射領域の屈折率変化を助けているとも考えられる。
第二の屈折率と第三の屈折率を差別化するために、マトリックス15は、一般に、モノマーの屈折率と異なる屈折率を有している。本発明のある実施例では、マトリックス15はモノマーの屈折率よりも高い屈折率を有してる。
【0020】
拡散の結果、照射領域25は、非照射領域40よりも、繰り返し単位、若しくはモノマーまたは架橋剤ユニットの濃度が高くなっている。
照射領域25の第二の屈折率が非照射領域40の第三の屈折率RIより低い場合には、そのような非照射領域40は光導波路のコア若しくはチャンネルになり、照射領域25は、その横に隣接するクラッド領域になる。また、第二の屈折率が第三の屈折率より高い場合には、照射領域25は光導波路のコアまたはチャンネルになり、非照射領域40はその横に隣接するクラッド領域になる。
【0021】
なお、上記した熱工程は、前記第一の時間によって領域25内での重合が実質的に完了する場合、特に好都合である。さらに、第二の温度は、カチオン性光開始剤などの残存するコカタリストを熱分解させて、上記した化学線30によって引き起こされる種と同じものを形成するのに十分なくらい高いことが好都合である。発明の理論に拘束されないが、この第二の加熱は、照射領域25内に未だ重合しないで残っているもの、即ち、ノルボルネン系モノマーを重合するだけではなく、非照射領域40に残るそのようなモノマーも重合させると考えられる。同様に、第二の温度への加熱は、得られる光導波路のチャンネル(コア)とその横に隣接するクラッド領域からなる構造の安定化に役立つ。必要に応じて、追加の加熱工程を付与して更なる安定化を図ってもよく、そのような場合には、一般に、追加の加熱工程は前記第二の加熱よりも20℃高い温度で実施される。
この少なくとも2回の硬化サイクルに加えて、本発明の実施例では、照射構造の熱硬化サイクルの第一の工程を開始する前に、約30分〜約60分待機することが好ましい。この待機期間がなぜ好ましいのかは確かではないが、熱硬化を遅らせることによって、プロカタリストから潜在触媒への変換がより完全もしくは均一になり、これによって照射領域内においてより均一な重合が起こるのかもしれない。
【0022】
本発明のある実施例では、光開始剤から生成したプロトンが、酸脱離性ペンダントグループの部位もしくは部分と相互作用して、そのペンダントグループの少なくとも一部の脱離が起こる。理論に束縛されないが、ペンダントグループの一部または全部は、適切な照射エネルギーを受け取った時、加えて/若しくは、適切な温度で加熱した時に、部分的または完全に脱離すると考えられる。
本発明に従う典型的な実施例V21-25およびV51のように、例えばフィルム10は、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン(diPhNB)のホモポリマーまたは共重合体を含むマトリックス15、光酸発生剤、例えばRHODORSIL(登録商標)のPHOTOINITIATOR 2074を含む。このフィルムにフォトマスクを通して化学線を照射すると、マトリックス15が領域25内において変化または反応する。
【0023】
ノルボルネン系ポリマーを使用したマトリックス15の実施例では、酸脱離性ペンダントグループを脱離するためには、領域25には、1J/cm2〜9J/cm2、特には3J/cm2〜6J/cm2の照射エネルギーが照射される。例えば、領域25には、200nm〜450nmのピーク波長を有する化学線が照射される。
照射後、フィルムは加熱され、その結果、照射領域25の屈折率が変化する。理論に拘束されないが、脱離性ペンダントグループはフィルムが加熱された時にマトリックスから除去される。別個の屈折率領域を有する導波路構造を形成する観点からは、ある実施例では、フィルムは70℃以上の温度で加熱され、また別の実施例では85℃以上の温度で加熱される。温度の上限値はフィルムの耐熱性による。ノルボルネン系ポリマーの場合には、上限は、一般には、200℃である。それゆえノルボルネン系ポリマーを含むフィルムの場合、加熱の範囲は、一般には、70℃〜195℃であり、特に85℃〜150℃である。
【0024】
本発明のある実施例においては、非照射領域40は、照射領域25よりもペンダントグループの濃度が高くなっている。
本発明の実施例では、選択的重合またはフォトブリーチングのいずれかの効果によって、もしくは選択的重合とフォトブリーチングとの組み合わせの効果によって、照射領域25と非照射領域40とは異なる屈折率になる。本発明のある実施例における選択的重合の効果を得るためには、PITDMは、上記のように、ポリマーマトリックス、モノマー、コカタリストおよびプロカタリストを含む。フォトブリーチングの効果を得るためには、上記のように、PITDMは脱離性ペンダントグループを含むポリマーマトリックスおよび光開始剤を含む。両者の効果を得るためには、PITDMは、上記のように、モノマー、プロカタリスト、脱離性ペンダントグループを含むポリマーマトリックスおよび好適な光開始剤を含む。
【0025】
選択的重合の効果を得るためには一般的には2回以上の加熱工程を実施し、一方、フォトブリーチングの効果を得るためには一回だけ加熱工程を実施すれば十分である。なお、そのような加熱工程を行った後にも、プロカタリスト、コカタリストおよび/またはその残渣が、形成後の導波路構造に残存してもよい。本発明の実施例に従って記述したように、選択的重合、フォトブリーチングまたはその組み合わせの効果によって、ガラスの光導波路に比べて、簡単な処理で、しかも短時間に光導波路構造を得ることができる。
図4は、本発明の典型的フィルムに形成された導波路パターンのエレクトロン・プローブ・ミクロ分析(EPMA)を示す。EPMAの感度を増強するために、架橋剤モノマーSiXがそのフィルムに使用されており、その結果、検出できる珪素が増大している。EPMAの上部には珪素濃度が示され、非照射領域に対応する垂直に延びる部分のそれぞれでは、隣接する照射領域に対応する部分よりも、珪素濃度が減っている。このEPMAは、非照射領域から照射領域にSiXモノマー分子の一部が拡散、そこでSiXモノマーが重合したことを示していると考えられる。
【0026】
本発明のある実施例では、フィルム10を、光導波路形成後、即ちコア領域とその横のクラッド領域を形成した後、基板5から取り除き、そしてフィルム10をクラッド領域として作用する1個またはそれ以上の層の上に積層若しくは配置してもよい。そのようなクラッド層はフィルム10の横に隣接するクラッド領域の屈折率と同程度の屈折率(RI)を有するように選択もしくは形成することができる。
図5-9は、本発明の典型的な実施例による多層光導波路構造を形成する一連のプロセスを示す。
【0027】
図5では、第一のワニス溶液からなり実質的に均一な厚さの第一の層110が基板100の上に形成される。一般に、基板100はガラス、石英、あるいはポリエチレンテレフタレート (PET)フィルムである。
本発明のある実施例では、第一の層110は、実質的に一定の厚さであり、それは約5μm〜約200μm、約10μm〜約100μm、または約15μm〜約65μmである。ワニス溶液を基板上に均一に広げるために、図1-3に関連して説明したような適当なコーティング法のいずれかが使用される。
【0028】
図6で示すように、光誘発熱現像性材料(PITDM)の第二の層120が第一の層110の上に配置される。適切な方法を使用してPITDMを含む第二のワニス溶液を広げることによって、第二の層120を第一の層110の上に形成するが、それは第一の層110が実質的に乾燥する前であってもよい。
層110および層120は実質的に互いに別個であるが、本発明のある実施例では、層110および層120のワニス溶液はその界面において相互に混ざりあってもよい。理論に拘束されなが、2つのワニス溶液のそのような混合は、多層光導波路構造が完成した際の層110と層120との間の接着性を増大させる点で好都合である。混合をコントロールするとともに、第一と第二のワニス溶液を所望の厚さに均一に広げるために、ワニス溶液は例えば所定の粘度を有している。例えば、本発明のある実施例では、第一および第二のワニス溶液は、それぞれ約100 センチポイズ〜約10000 センチポイズ、約150センチポイズ〜約5000センチポイズ、または約200センチポイズ〜約3500センチポイズの粘度を有している。本発明のある実施例では、第二のワニス溶液は第一のワニス溶液の粘度よりも高い。本発明のある実施例では、層120は、約5μm〜約200μm、約15μm〜125μm、または25μm〜100μm の塗布厚さを有している。
【0029】
図7に示すように、第三のワニス溶液の第三の層130が第二の層120の上に配置されて、三層導波路構造200を形成している。層130は、層120と同様の方法で、層120の上に適用される。
本発明のある実施例では、層130の塗布厚さは約5μm〜約200μm、約10μm〜約100μm、または約15μm〜約65μmになっている。次にこの三層構造は、約25℃〜約40℃で約15分〜約60分加熱して、ワニス溶液中の溶媒の少なくとも一部を蒸発させる。
【0030】
図7に示す三層構造200において、導波路構造、即ち、コア領域およびその横に隣接したクラッド領域は、上記層10の領域40および領域25と類似の方法で、層120に形成される。しかしながら、図5-9において、第一と第三の層110および130は、層120内の横方向に隣接するクラッド領域とは別個のクラッド領域を形成する。したがって、本発明の図5-9に示すある実施例では、クラッド層はコアや導波路層に積層されない。また、本発明のある実施例では層110、層120および層130は実質的に乾燥させないで塗布してもよいが、層110、層120および層130はいくらか乾燥させて塗布してもよい。
先に述べたように、層110、層120および層130はその界面で混合し、三層導波路構造として接着する。本発明のある実施例では、層110および層130のために、層120を形成するためのワニス溶液と類似のワニス溶液が使用される。従って、モノマーの重合が、層120の界面、加えて/もしくは、そのような界面をまたいで、層110および130内で起こりうる。
【0031】
図8に示すように、三層構造200には、マスキング350を通して化学線300が照射される。領域150だけにマスキング350を通して化学線300が照射されるが、領域140はマスキング350の不透明部分によってそのような照射から保護される。化学線300の光源は、コカタリスト、例えばカチオン性光開始剤の感度に応じて選択される。したがって、RHODORSIL(登録商標)2074が層120中に使用されている場合には、水銀灯が紫外線(UV)源として使用され、これは300ナノメーター未満(nm)の十分なるエネルギーを供給してRhodorsilを分解し、照射領域150内にカチオンとWCAとを形成する。
図8に示すマスキング350の開口部は2個であり、ここを化学線300が通過しているが、マスキング350は如何なるパターンであってもよく、このパターンによって1個またはそれ以上の光導波路エレメントおよび/またはカップリング装置を形成する。
【0032】
図9は熱硬化後の図8の構造を示す。すなわち、図9に示す構造は、第一の温度で第一の時間だけ第一の加熱を行い、構造物200内に残っている溶剤を除去し、次に、第一の温度よりも高い第二の温度で第二の時間だけ第二の加熱を行い、最後に、第二の温度よりも高い第三の温度で第三の時間だけ第三の加熱を行う。第二の温度は、活性潜在触媒を活性触媒にして領域150内のノルボルネン系モノマーの重合を引き起こすのに十分な温度である。理論に束縛されないが、化学線300の照射に伴う領域150内のノルボルネン系モノマーの重合に加えて、ノルボルネン系モノマーは層120の非照射領域140から照射領域150へ拡散し、そこで重合していると考えられる。構造200の層の照射および熱硬化は図1-3の実施例での記述と類似する。従って、前記第二の時間の後、導波路パターンは一般に構造体200内でも目視でき、そこでは照射領域150および非照射領域140のうちの一方がコア領域になり、他方がその横に隣接するクラッド領域になる。
上記第二の温度は領域150内での重合を実質的に完了するのに十分であり、また第三の温度は残存するコカタリストが熱分解して化学線300によって発生するのと同じ種を形成するのに十分なくらい高くなっている。発明の理論によって拘束されないが、第三の加熱工程は重合していない残余物、即ち領域150内のノルボルネン系モノマーを重合するだけではなく、非照射領域140に残るモノマーの重合も引き起こす。第三の温度は、得られる光導波路構造を安定化させる。
【0033】
本発明のある実施例では、層110および層130は、プロカタリスト、ポリマーマトリックス、モノマーおよびコカタリストを含んでいる。層110および層130の材料は選択的重合およびフォトブリーチングの効果に基づいて選択される。層110および層130がクラッド層として機能する場合、層110および層130のポリマーマトリックスは、層120のポリマーマトリックスとは異なっていてもよい。例えば、層120のポリマーマトリックスが相対的に高い屈折率(RI)を有している場合、層110および層130のポリマーマトリックスは相対的に低い屈折率を有している。従って、層110および層130は別個のコア領域とクラッド領域を形成しない。さらに、層110および層130のモノマーは層120のモノマーと同じであってもよく、層110および層130における触媒とモノマーの比率は層120のそれより低くなるように調節してもよい。そのようにして、層110および層130のポリマーマトリックスは、そこに含まれるモノマー屈折率と同一または同様になり、層110および層130内に別個のコア領域やクラッド領域が形成されるのが回避される。また、本発明のある実施例では、層110および層130は、脱離性ペンダントグループの繰り返し単位を含まないポリマーマトリックスであるか、加えて/もしくは、光酸発生剤を含まないようにして、層110および層130でフォトブリーチが起こらないようにしてもよい。理論に拘束されないが、モノマーは、層110および層130から層120へ拡散して重合し、隣接層のポリマー鎖になる。そのような隣接層間の接着は増大する。層110および層130のために使用される他のワニス溶液について検討し、加えて/若しくは評価した。例えば、本発明のある実施例では、層110および層130のためのワニス溶液は、ノルボルネン系繰り返し単位の少なくとも1つがエポキシ部位を有するペンダントグループを含むノルボルネン系ポリマーと酸発生剤とを含んでおり、これによってエポキシ部位を開裂する。また、そのようなワニス溶液は層110および層130間の接着を向上する。
本発明のある実施例では、ワニス溶液は、繰り返し単位の少なくとも1つがエポキシ部位またはTMSE(トリメトキシシリルエチル)部位を有するペンダントグループを含むノルボルネン系ポリマーを使用して調製することができる。典型的なノルボルネン系ポリマーはヘキシルノルボルネン(HxNB)およびノルボルネンメチルグリシジルエーテル(AGENB)の共重合体である。典型的なワニス溶液は、HxNB/AGENB共重合体および酸発生剤を含み、エポキシ部位に所望の開裂を引き起こす。そのようなワニス溶液は、コア領域並びに横方向に隣接するクラッド領域をもつ導波路層との間に優れた接着力を与える。ある実施例では、酸発生剤はRHODORSIL 2074あるいはTAG-372Rのような光開始剤であり、これは隣接する導波路層の形成時にエポキシ部位を開裂するのに適している。本発明のある実施例では、隣接する導波路層の形成とは独立してエポキシ部位が開裂するような酸発生剤を選択することができる。例えば、導波路層中のコカタリストに適した化学線を吸収しないか、もしくは光学的活性化よりも熱的に活性化される酸発生剤を選択してもよい。本発明のある実施例では、非吸収性光塩基発生剤(PBG)あるいは熱塩基発生剤(TBG)をワニス溶液において使用することができる。そのような発生剤は、エポキシ部位の開裂を引き起こす。
上記のように、本発明のある実施例では、三層導波路構造が、エポキシ部位を含むノルボルネン系繰り返し単位を含むワニス溶液を使用して形成される。
【0034】
モノマー
上記のように、PITMDはモノマーを含んでいてもよい。本発明のある実施例では、そのモノマーはノルボルネン系モノマーである。例えば、本発明のノルボルネン系モノマーは下記構造「C」で表される。

ここで、「a」は単結合または二重結合であり、R1 〜R4 はそれぞれ、水素、ハイドロカルビル基または官能置換基であり、「m」は0〜5まで整数である。「a」が二重結合の場合、R1およびR2 の一方並びにR3およびR4 の一方は存在しない。
置換基はハイドロカルビル(hydrocarbyl)基である場合、R1〜R4はハロハイドロカルビル(halohydrocarbyl)基またはパーハロハイドロカルビル(perhalohydrocarbyl)基であるか、または、パーハロカルビル(perhalocarbyl)基、例えば、トリフルオロメチル基である。ある実施例では、R1〜R4は、独立して、ハイドロカルビル(hydrocarbyl)、ハロゲン化ハイドロカルビル(halogenated hydrocarbyl)、パーハロゲン化ハイドロカルビル(perhalogenated hydrocarbyl)基であり、これらは、水素、直鎖または分岐のC1-C10 アルキル基、直鎖または分岐のC2-C10 アルケニル基、直鎖または分岐のC2-C10 のアルキニル基、C4-C12 のシクロアルキル基、C4-C12 のシクロアルケニル基、C6-C12 のアリール基、およびC7-C24 のアラルキル基であり、R1 およびR2 またはR3 およびR4 はともにC1-C10 のアルキリデニル(alkylidenyl)基を表すこととしてもよい。代表的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。代表的なアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基およびシクロヘキセニル基が挙げられる。代表的なアルキニル基としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基および2-ブチニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。代表的なシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロオクチル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。代表的なアリル基としては、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル(anthracenyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。代表的なアラアルキル(aralkyl)基としては、ベンジル基とフェネチル(phenethyl)基が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。代表的なアルキリデニル(alkylidenyl)基としては、メチリデニル(methylidenyl)基およびエチリデニル(ethylidenyl)基が挙げられる。
【0035】
[0072] ある実施例では、パーハロハイドロカルビル(perhalohydrocarbyl)基としては、パーハロゲン化されたフェニル基およびアルキル基が挙げられる。本発明の実施例で有用なハロゲン化アルキル基は、部分的または完全にハロゲン化され、直鎖か分岐しており、一般式CzX"2z+1を有している。ここで、「X”」は、独立して、ハロゲンあるいは水素であり、「z」は1〜20の整数から選択される。別の実施例では、各「X”」は、独立して、水素、塩素、フッ素および/または臭素から選ばれる。さらに別の実施例では、各「X”」は、独立して、水素あるいはフッ素のいずれかである。
別の実施例では、パーフルオロ化置換基としては、パーフルオロフェニル基、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基およびパーフルオロヘキシル基から選ばれる。ハロゲン置換基に加えて、本発明のシクロアルキル基、アリール基およびアラアルキル(aralkyl)基は、直鎖または分岐のC1-C5のアルキルまたはハロアルキル基、アリール基およびシクロアルキル基で更に置換されていてもよい。
【0036】
ペンダントグループが官能置換基である場合、「R1」〜「R4」は、独立して、(CH2)n-CH(CF3)2-O-Si(Me)3、-(CH2)n-CH(CF3)2-O-CH2-O-CH3、 (CH2)n-CH(CF3)2-O-C(O)-O-C(CH3)3、-(CH2)n-C(CF3)2-OH、(CH2)nC(O)NH2、(CH2)nC(O)Cl、 (CH2)nC(O)OR5、(CH2)n-OR5、-(CH2)n-OC(O)R5、(CH2)n C(O)R5、(CH2)n-OC(O)OR5、(CH2)nSi(R5)3、 -(CH2)nSi(OR5)3、-(CH2)n-O-Si(R5)3、および(CH2)nC(O)OR6から選択される。ここで、「n」は、独立して、0〜10の整数であり、R5は独立して水素、直鎖又は分岐のC1-C20のアルキル基、直鎖又は分岐のC1-C20のハロゲン化又はパーハロゲン化アルキル基、直鎖又は分岐のC2-C10 アルケニル基、直鎖又は分岐のC2-C10 アルキニル基、C5-C12 のシクロアルキル基、C6-C14 のアリール基、C6-C14 のハロゲン化又はパーハロゲン化アリール基、およびC7-C24 のアラルキル基を表す。R5で示される代表的なハイドロカルビル基はR1〜R4で示されるものと同じである。R1〜R4で示すようにR5で示されるハイドロカルビル基はハロゲン化又はパーハロゲン化されている。例えば、R5がC1-C20のハロゲン化又はパーハロゲン化アルキル基である場合、R5はCzX"2z+1で表される。ここで、「z」および「X”」は上記定義と同じであり、アルキル基上の少なくとも1個の「X”」はハロゲン(例えばBr、ClあるいはF)でなければならない。アルキル基がパーハロゲン化されている場合、すべての「X”」置換基がハロゲン化されている。パーハロゲン化アルキル基の例としては、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、-C7F15および-C11F23が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。パーハロゲン化アリール基の例としては、制限されないが、ペンタクロロフェニルおよびペンタフルオロフェニルが挙げられる。R6基としては、-C(CH3)3 、-Si(CH3)3、CH(R7)OCH2CH3
-CH(R7)OC(CH3)3 または次の環状基が挙げられる。

ここで、「R7」は水素あるいは直鎖または分岐のC1-C5のアルキル基を表す。このアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル、ペンチル基、t-ペンチル基およびネオペンチル基が挙げられる。上記の化学構造では、環構造から延びる単結合が環の保護基が酸置換基に結合する場所を示す。R6基の例としては1-メチル-1-シクロヘキシル基、イソボルニル(isobornyl)基、2-メチル-2-イソボルニル基、2メチル-2-アダマンチル基、テトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)基、テトラヒドロピラノイル(tetrahydropyranoyl)基、3-オクソシクロヘキサノイル(3-oxocyclohexanonyl)基、メバロンラクトニル(mevalonic lactonyl)基、1-エトキシエチル基および1-t-ブトキシエチル基が挙げられる。
また、R6 基としては、ジシクロプロピルメチル基(Dcpm)およびジメチルシクロプロピルメチル基 (Dmcp)が挙げられ、下記構造式で表される。

【0037】
本発明のある実施例では、上記モノマーは重合されて、光誘発熱現像性材料(PITDM)のためのポリマーマトリックスとして使用される。相対的に高い屈折率を有するポリマーマトリックスを得るために、芳香族、窒素、BrまたはClの部位を有するモノマーが一般的に選択され重合される。一方、相対的に低い屈折率を有するポリマーマトリックスを得るためには、アルキル、Fおよび/またはエーテルの部位を有するモノマーが一般的に使用され重合される。さらに、上記モノマーは、本発明のある実施例におけるワニス溶液の調製におけるノルボルネン系モノマーのために使用することができる。
本発明の実施例はノルボルネン系モノマーを含むPITDMに関して記述されているが、本発明はそのようなモノマーに限定されない。ノルボルネン系モノマー以外のモノマーも本発明の範囲ないである。そのようなモノマーとしては、ここで説明した重合法、若しくは付加重合法および/または開環重合法によって重合若しくは架橋されるものが挙げられる。典型的なモノマーとしては、アクリル酸塩類、メタクリル酸塩類、エポキシ類およびスチレン類などが挙げられる。
【0038】
架橋モノマー
[0078] 構造式「C」によって表わされるノルボルネン系モノマーに加えて、「架橋モノマー」もモノマーとして使用することができる。実施例においては、そのような架橋モノマーとしては、ノルボルネン系モノマーが使用できる。例えば、架橋ポリマーは、構造式「C」で示されるノルボルネン系モノマーと多官能ノルボルネン系架橋モノマーとを共重合することにより得られる。多官能ノルボルネン系架橋モノマーとは、架橋モノマーが少なくとも2個のノルボルネン系部位(ノルボルネン系二重結合)を含んでいて、各官能が本発明の触媒系存在下で重合するものを意味する。架橋性モノマーとしては連続多環環系(fused multicyclic ring systems)および連結多環環系(linked multicyclic ring systems)が挙げられる。連続多環環系の具体例は、下記構造式で示される。簡略化のため、ノルボルナジエン(norbornadiene)は連続多環環系に含まれ、重合性ノルボルネン系二重結合を含むものと考えることとする。架橋モノマーは次の利点の少なくとも一つを与える:即ち、架橋モノマーはより速く重合するのでプロセスに要する時間を短縮する;架橋モノマーは加熱しても蒸発し難くいので蒸気圧の上昇を抑える;また、架橋モノマーは光導波路の耐熱性を向上させる。

ここで、「Y」はメチレン(-CH2-) 基を表し、「m」は独立して0〜5まで整数を表わす。「m」が0である場合、「Y」は単結合である。代表的なモノマーを下記に示す。

連結多環架橋剤(linked multicyclic crosslinking agent)は下記一般式で示される。

ここで、「a」は、独立して、単結合または二重結合であり、「m」は、独立して、0〜5まで整数であり、「R9」は二価のハイドロカルビル(hydrocarbyl)基、二価のエーテル基および二価のシリル基から選択される二価の基である。「n」は0または1である。二価とは、基の各端部にあるフリーの価電子帯がノルボルネン系部位に結合していることを意味する。一実施例において、二価のハイドロカルビル基はアルキレン基と二価の芳香族基である。アルキレン基は-(CdH2d)-で表される。ここで、「d」はアルキレン鎖の炭素原子の数を表わし1〜10まで整数である。アルキレン基は実施例では直鎖または分岐のC1-C10のアルキレンであり、たとえば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレンおよびデシレンが挙げられる。分岐アルキレン基を使用する場合、アルキレン骨格の水素原子は直鎖または分岐のC1-C5のアルキル基で置換されていると考えられる。
【0039】
二価の芳香族基は、二価のフェニル基および二価のナフチル基から選択される。二価のエーテル基は、-R10-O-R10-で表される。ここで、「R10」はそれぞれ「R9」と同じものを表す。連結多環架橋剤(linked multicyclic crosslinking agent)の具体例は下記である。

一実施例において架橋剤は下記から選択される。

これは、ジメチルビス[ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-メトキシ]シランであり、またの命名ではジメチルビス(ノルボルネンメトキシ)シランもしくは「SiX」という。

ここで「n」は0〜4である。

【0040】
ノルボルネンを含む架橋剤の他の例としては、限定する訳ではないが、次の「a」から「m」が挙げられる。

ここで、「m」および「n」は、上記式に存在する場合には、それぞれ1〜4の整数である。
ある実施例では、フッ素含有ノルボルネン架橋剤が使用される。たとえば、つぎフッ素含有ノルボルネン架橋剤の1種またはそれ以上が、ある実施例で利用できる。

【0041】
本発明の実施例で有用なモノマーは上記に限定されない。上記のような典型的なモノマーは、単独であるいは組み合わせて使用してもよい。
所望の屈折率のポリマーマトリックスを形成した後、そのようなマトリックスポリマーおよび他の材料の溶液を調製する。限定する訳ではないが、上記のように、他の材料としては、一種類以上の別個のモノマー、プロカタリストおよびコカタリストが挙げられ、例えばそのようなモノマーの少なくとも一つは架橋性ノルボルネン系モノマーであり、またカチオン性光開始剤が挙げられ、また必要に応じて、上記の酸化防止剤が挙げられる。そのような溶液の屈折率はポリマーマトリックスの屈折率よりも高くなるか低くなるかの何れかである。そのような溶液を形成するために選択されるモノマーは、照射されるべき領域に相対的な屈折率を与える。したがって、本発明のある実施例では、照射領域の屈折率が相対的に高くなることが望まれる場合には、相対的に低い屈折率を有するポリマーマトリックスが、相対的に高い屈折率を重合時に与えるモノマーと組み合わせて使用される。しかしながら、一個またはそれ以上の導波路のコア領域と横方向に隣接するクラッド領域を形成するためには、ポリマーマトリックスと少なくとも1個のモノマーの他の組み合わせを使用してもよく、これによって照射領域と非照射領域とに別個の屈折率を与えることができる。
「高い」、「相対的に高い」、「低い」あるいは「相対的に低い」という用語は、屈折率の絶対値を意味するものではない。そのような用語は、領域、ポリマーあるいは材料の互いの屈折率の関係を示すにすぎない。つまり、ある材料またはポリマーが「高い」または「相対的に高い」屈折率を有しているとは、それよりも低い屈折率の他の材料、ポリマーあるいは領域と比べた時に、そのように言えるのである。
【0042】
プロカタリスト
[0087] 上記のように、本発明の実施例は下記式「Ia」および「Ib」で表わされるプロカタリスト部位を使用する。
(E(R)3)2Pd(Q)2 Ia
[(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]r Ib
下記式「Ia」および「Ib」において、「R」、「E」、「Q」および「LB」は先に定義している。式「Ia」に従う典型的なプロカタリストは、限定されるわけではないが、Pd(P-i-Pr3)2(OAc)2、Pd(PCy3)2(OAc)2、Pd(PCy3)2(O2CCMe3)2、Pd(PCp3)2(OAc)2、Pd(PCy3)2(O2CCF3)2およびPd(PCy3)2(O2CC6H5)2が挙げられる。ここで、「Cp」はシクロペンチル(cyclopentyl)を表し、「Cy」はシクロヘキシルを表す。
次のプロカタリストの合成例C1〜C4は、本発明の実施例で有用ないくつかの典型的なプロカタリストの調製例を示す。
【実施例】
【0043】
実施例C1
Pd(OAc)2(P(i-Pr)3)2の調製
[0089] 漏斗を装備した窒素充填フラスコに、P(i-Pr)3(8.51 mL(44.6 mmol))のCH2Cl2溶液(20 mL)を、Pd(OAc)2(5.00g、22.3 mmol)とCH2Cl2(30 mL)からなる-78℃の攪拌した赤茶色懸濁液に滴下した。この懸濁液は徐々に黄緑色の溶液に透き通り、その後、室温に暖め、2時間攪拌した。その後、0.45μm のフィルターでろ過した。ろ液を10mLに濃縮し、そしてヘキサン(20mL)を加えると黄色の固体が得られた。これをろ過し(空気中)、ヘキサンで洗浄し (5x 5 mL)、真空乾燥させた。収率は10.937g(89%)であった。NMRデータは次のようになった。 1H NMR (δ, CD2Cl2): 1.37 (dd, 36H, CHCH3), 1.77 (s, 6H, CCH3), 2.12 (m, 6H, CH ), 31P NMR(δ, CD2Cl2): 32.9 (s)。
【0044】
実施例C2
Pd(OAc)2(P(Cy)3)2の調製
[0090] 漏斗を装備した2口丸底フラスコで、Pd(OAc)2(5.00g、22.3 mmol)とCH2Cl2(30 mL)からなる赤茶色懸濁液を-78℃で攪拌した。漏斗に、P(Cy)3(13.12 mL(44.6 mmol))のCH2Cl2溶液(30 mL)を入れ、そして、15分かけて上記攪拌懸濁液に滴下した。その結果、徐々に赤褐色から黄色に変化した。-78℃で1時間攪拌した後、懸濁液を室温に温め、さらに2時間攪拌して、ヘキサン(20mL)で希釈した。次に、この黄色の固体を空気中でろ過し、ペンタンで洗浄し (5x 10 mL)、真空乾燥させた。2次収集物はろ液を0℃に冷却して分離し、上記同様に洗浄して乾燥させた。収率は15.42 g (88 %)であった。NMRのデータは次のようになった。1H NMR (δ, CD2Cl2): 1.18 - 1.32 (br m, 18H, Cy), 1.69 (br m, 18H, Cy), 1.80 (br m, 18H, Cy) 1.84 (s, 6H, CH3), 2.00 (br d, 12 H, Cy), 31P NMR (δ, CD2Cl2): 21.2 (s)。
【0045】
実施例C3
trans-Pd(O2C-t-Bu)2(P(Cy)3)2の調製
[0091] Pd(O2C-t-Bu)2 (1.3088 g, 4.2404 mmol) をシュレンカーフラスコ中でCH2Cl2 (10 mL)に分散させ、フラスコの内容物を-78 oCに冷却し攪拌させた。この溶液にP(Cy)3 (2.6749 g, 9.5382 mmol) のCH2Cl2 (15mL) 溶液を注射器で加え、-78 oCで1時間そして室温で2時間、攪拌した。ヘキサン(20 mL)を反応混合液に加え、表題の黄色の固体の複合体を得た (1.391 g)。その固体をろ過し、ヘキサン(10mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。ろ液から溶媒を除去し、オレンジ色の固体を得、これを次にCHCl3/ヘキサン混合液(1/1: v/v)に溶解し、得られた溶液をドラフト内で蒸発させて表記の複合体をさらに得た(648 mg)。全収率は2.039g (2.345 mmol、55.3%)であった。C46H84O4P2Pdとして計算するとCは63.54%でHは9.74%である。
【0046】
実施例C4
Pd(OAc)2(P(Cp)3)2の調製
[0092] 窒素充填フラスコに、Pd(OAc)2 (2.00g, 8.91mmol)のCH2Cl2 (〜25 mL)の赤褐色懸濁液を-78℃で攪拌した。カニューレで、P(Cp)3 (4.25, 17.83 mmol) をCH2Cl2 (〜20 mL)に溶解して上記懸濁液に10分かけて滴下した。その結果、徐々に赤褐色から黄色に変化した。懸濁液を室温に温め、さらに1時間攪拌した。溶媒を濃縮して(〜5 mL)ヘキサン(〜15 mL)を加えると黄色の固体が得られた。それを空気中でろ過し、ヘキサンで洗浄し (5x 10 mL)、真空乾燥させた。2次収集物はろ液を0℃に冷却して分離し、実施例3と同様に、ろ過し、洗浄し、乾燥させた。収率は4.88 g (85%)であった。NMRのデータは次のようになった: 1H NMR (δ, CD2Cl2): 1.52 - 1.56 (br m, 12H, Cp3), 1.67 - 1.72 (br m, 12H, Cp3), 1.74 (s, 6H, CH3), 1.85 - 1.89 (br m, 12H, Cp3), 1.96 - 1.99 (br d, 6H, Cp3), 2.03 - 2.09 (br m, 12H, Cp3). 31P NMR (δ, CD2Cl2): 22.4 (s)。
【0047】
ポリマー
実施例P1-P6、P8およびP9
[0093] 実施例P1-P6、P8およびP9は、本発明に従って使用されるマトリックスポリマーとして有用なノルボルネン系ポリマーの合成を示す。
【0048】
実施例P1
ヘキシルノルボルネン (HxNB) / ジフェニルメチル
ノルボルネンメトキシシラン (diPhNB) コポリマー(P1)の合成
[0094] HxNB (8.94g, 0.05mol), diPhNB (16.1g, 0.05mol), 1-ヘキセン (4.2 g, 0.05mol)およびトルエン (142.0g)を250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで120℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液に[Pd(PCy3)2(O2CCH3)(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Pd1446) (5.8E-3 g, 4.0E-6 mol)およびN, N-ジメチルアニリニウムテトラキス (ペンタフルオロフェニル)ボレート(DANFABA) (3.2E-3 g, 4.0E-6 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を120℃で6時間維持した。勢いよく攪拌された混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体はろ過して集め、80℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は12.0gであった(48%)。共重合体の分子量をTHF溶媒中でGPCにより測定すると(ポリスチレン換算) 、Mw = 16,196 およびMn = 8,448であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、54/46 HxNB/diPhNBであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5569であり、TMモードで1.5555であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。
【0049】
実施例 P2
ヘキシルノルボルネン/ フェネチルノルボルネンコポリマー(P2)の合成
[0095] HxNB (2.78g, 0.0156mol)、フェニルエチルノルボルネン(PENB, CAS 29415-09-6) (7.22g, 0.036mol), 1-ヘキセン (2.18g, 0.026mol)およびトルエン(57.0g)を250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで120℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (3.0E-3g, 2.1E-6 mol) およびDANFABA (6.7E-3g, 8.4E-6 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を120℃で1時間維持した。室温に冷却した後、反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体はろ過して集め、80℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥された共重合体をメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。乾燥後の重量は8.0gであった (80%)。ポリマーの分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算)、Mw = 127,332およびMn = 39,206であった。ポリマーの組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: HxNB/PENB = 22/78であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、54/46=HxNB/diPhNBであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5601であり、TMモードで1.5585であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して10wt%のコポリマー溶液とした。
【0050】
実施例 P3
HxNB/diPhNB コポリマー (P3)の合成
[0096] HxNB (8.94g, 0.050mol), diPhNB (16.1g, 0.050mol), 1-ヘキセン(2.95g, 0.035mol) および トルエン(142g)を秤量し、250mLのシーラムボトルに入れて、オイルバスで80℃ に加熱した。この溶液にPd1446 (5.8E-3g, 4.0E-6 mol) およびDANFABA(3.2E-3g, 4.0E-6 mol)を添加した。ノルボルネンモノマー/Pd1446/DANFABA の比率は25K/1/1であった。混合物を80℃ で7時間維持し、その後、20mL のアセトニトリルを加えてPd 触媒の活性を消失させた。その後、反応混合物にメタノールを滴下するとポリマーが沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、65℃のオーブンで真空で乾燥させた。この共重合体をメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。乾燥後の重量は19.8gであった (79%)。このポリマーの分子量をポリスチレンを使用したTHFでGPC法で測定すると、Mw = 86,186およびMn = 21,602であった。ポリマーのHxN2B/diPhNB比率は1H-NMRで測定され、HxNB/diPhNB = 46/54であった。このポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定すると、波長633nmで、TE モードで1.5569であり、TMモードで1.5556であった。ポリマーの(熱機械分析(TMA)測定に基づく)Tgは203℃であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。
【0051】
実施例P4
HxNB/diPhNB コポリマー (P4)の合成
[0097] HxNB (8.94g, 0.050mol), diPhNB (16.1g, 0.050mol), 1-ヘキセン (20.0g, 0.239mol) and トルエン(142g)を250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (5.80E-3g, 4.0E-6 mol)およびDANFABA (3.21E-3g, 4.01E-6 mol)を添加した。添加後、得られた溶液を80℃で6時間維持した。その後、20mL のアセトニトリルを加えてPd 触媒の活性を消失させた。その後、反応混合物にメタノールを滴下するとポリマーが沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、65℃のオーブンで真空で乾燥させた。この共重合体をメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。共重合体の分子量をポリスチレンを使用してTHFでGPC法で測定すると、Mw = 20,586およびMn = 11,613であった。ポリマーのHxNB/diPhNB比率を1H-NMRで測定すると、HxNB/diPhNB = 60/40であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、54/46=HxNB/diPhNBであった。ポリマーの屈折率はプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5547であり、TMモードで1.5540であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。
【0052】
実施例P5
ヘキシルノルボルネン/ ジフェニルメチル
ノルボルネンメトキシシランコポリマー (P5)の合成
[0098] HxNB, (8.94g, 0.050mol), diPhNB, (16.06g, 0.050mol), 1-ヘキセン (5.0 g, 0.060mol)および トルエン(142g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446, (2.90E-3 g, 2.00E-6 mol)およびDANFABA, (3.2E-3 g, 4.01E-6 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、添加した。添加後、得られた溶液を80℃で6時間維持した。勢いよく攪拌された混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は19.3gであった (77%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン基準) 、Mw = 58,749およびMn = 18,177であった。ポリマーの組成を1H-NMRで測定すると、HxNB/diPhNB=53/47であった。このポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定すると、波長633nmで、TE モードで1.5572であり、TMモードで1.5558であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。
【0053】
実施例P6
ブチルノルボルネン/ ジフェニルメチル
ノルボルネンメトキシシランコポリマー (P6)の合成
[0099] ブチルノルボルネン (BuNB, CAS 22094-81-1) (2.62g, 0.038mol), diPhNB, (22.38g, 0.057mol), 1-ヘキセン (8.83g, 0.011mol)およびトルエン(141.4g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446, (5.05E-3 g, 3.49E-6 mol)およびDANFABA (1.12E-2 g, 1.40E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、添加した。添加後、得られた溶液を80℃で2時間維持した。勢いよく攪拌した混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は7.5gであった (30%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン基準) 、Mw = 32,665およびMn = 19,705であった。ポリマーの組成を1H-NMRで測定すると、HxNB/diPhNB=28/72であった。このポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定すると、波長633nmで、TE モードで1.5785であり、TMモードで1.5771であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。
【0054】
実施例P8
ヘキシルノルボルネンホモポリマー (P8)の合成
[0100] HxNB, (10.0g, 0.056mol), 1-ヘキセン (4.71g, 0.056mol)およびトルエン(56.7g)を250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446, (4.10E-4 g, 2.80E-7 mol)およびDANFABA, (2.20E-4 g, 2.80E-7 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、添加した。添加後、得られた溶液を80℃で40分間維持した。勢いよく攪拌した混合物にメタノールを滴下するとホモポリマーが沈殿した。沈殿したホモポリマーをろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は5.8gであった (58%)。ホモポリマーの分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン基準) 、Mw = 121,541 およびMn = 59,213であった。このポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定すると、波長633nmで、TE モードで1.5146であり、TMモードで1.5129であった。ポリマーの(熱機械分析(TMA)測定に基づく)Tgは208℃であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。
【0055】
実施例P9
ヘキシルノルボルネン/ ジフェニルメチル
ノルボルネンメトキシシランコポリマー (P9)の合成
[0101] HxNB, (9.63g, 0.054mol)、diPhNB, (CAS 376634-34-3) (40.37g,
0.126mol)、 1-ヘキセン (4.54g, 0.054mol)およびトルエン (333g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446, (1.04E-2 g, 7.20E-6 mol)およびN, N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(DANFABA) (2.30E-2 g, 2.88E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、添加した。添加後、得られた溶液を80℃で2時間維持した。勢いよく攪拌した混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は19.0gであった (38%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン換算) 、Mw = 118,000およびMn = 60,000であった。ポリマーの組成を1H-NMRで測定すると、HxNB/diPhNB=32/68であった。このポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定すると、波長633nmで、TE モードで1.5695であり、TMモードで1.5681であった。乾燥させた共重合体はメシチレンに溶解して10 wt% のコポリマー溶液とした。
【0056】
実施例P11-P34
[0102] 実施例P11- P34は本発明に従ったマトリックスポリマーとして有用なノルボルネン系ポリマーの合成を示す。
【0057】
実施例P11
ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン
ホモポリマー(P11)の合成
[0103] diPhNB (30g, 0.094mol)、1-ヘキセン(1.57 g, 0.019mol)およびトルエン (170.0g) を250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液に[Pd(PCy3)2(O2CCH3)(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート (Pd1446) (1.4E-2 g, 9.4E-6 mol)およびN, N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート (DANFABA) (3.0E-2 g, 3.7E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で4時間維持した。勢いよく攪拌した混合物にメタノールを滴下するとホモポリマーが沈殿した。沈殿したホモポリマーをろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は15.0gであった (収率:50%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン換算) 、Mw = 91,000およびMn = 44,000であった。
【0058】
実施例P12
ヘキシルノルボルネン/ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン
コポリマー (P12)の合成
[0104] HxNB (10.72g, 0.06mol)、diPhNB (19.28g, 0.06mol)、1-ヘキセン(3.5 g, 0.04mol)およびトルエン (170.0g)を250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液に[Pd(PCy3)2(O2CCH3)(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート (Pd1446) (7.0E-3 g, 4.8E-6 mol)およびN, N-ジメチルアニリニウムテトラキス (ペンタフルオロフェニル)ボレート(DANFABA) (3.9E-3 g, 4.8E-6 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で3.5時間維持した。勢いよく攪拌した混合物にメタノールを滴下するとコポリマーが沈殿した。沈殿したコポリマーをろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は18.6gであった (収率:62%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン換算) 、Mw = 102,000およびMn = 38,000であった。コポリマーの組成を1H-NMRで測定すると54/46=HxNB/diPhNBであった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0059】
実施例P13
ブチルノルボルネン/ ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン
コポリマー(P13)の合成
[0105] ブチルノルボルネン (BuNB, CAS 22094-81-1) (2.62g, 0.038mol)、diPhNB, (22.38g, 0.057mol)、1-ヘキセン (8.83g, 0.011mol)およびトルエン (141.4g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446, (5.05E-3 g, 3.49E-6 mol)およびDANFABA (1.12E-2 g, 1.40E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で2時間維持した。勢いよく攪拌した混合物にメタノールを滴下するとコポリマーが沈殿した。沈殿したコポリマーをろ過して集め、60℃のオーブンで真空乾燥させた。乾燥後の重量は7.5gであった (収率:30%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン換算)、Mw = 32,665およびMn = 19,705であった。コポリマーの組成を1H-NMRで測定すると28/72 HxNB/diPhNBであった。このポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定すると、波長633nmで、TE モードで1.5785であり、TMモードで1.5771であった。
【0060】
実施例P14
ヘキシルノルボルネン/ ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン
コポリマー (P14)の合成
[0106] HxNB (9.63g, 0.054mol)、diPhNB (1.92g, 0.006 mol)、1-ヘキセン(5.04g, 0.060mol)およびトルエン(56.7g)を250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (4.30E-4 g, 3.00E-7 mol)およびDANFABA (2.40E-4 g, 3.00E-7 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で2時間維持した。勢いよく攪拌した混合物にメタノールを滴下するとコポリマーが沈殿した。沈殿したコポリマーをろ過して集め、60℃のオーブンで真空乾燥させた。乾燥後の重量は7.7gであった (収率:67%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン換算) 、Mw = 82,000およびMn = 40,000であった。コポリマーの組成を1H-NMRで測定すると89/11 HxNB/diPhNBであった。このポリマーの屈折率はプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5238であり、TMモードで1.5225であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0061】
実施例P15
ジフェニルメチル
ノルボルネンメトキシシランホモポリマー(P15)の合成
[0107] diPhNB (30g, 0.094mol)、1-ヘキセン(2.36 g, 0.028mol)およびトルエン (170.0g) を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446, (0.0135g, 9.36E-6 mol)およびDANFABA (0.030 g, 3,74E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で4時間維持した。勢いよく攪拌した混合物にメタノールを滴下するとホモポリマーが沈殿した。沈殿したホモポリマーをろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は25.18gであった (収率:21%)。ホモポリマーの分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン換算) 、Mw = 54,000およびMn = 29,000であった。得られたコポリマーの組成を1H-NMRで測定するとdiPhNBホモポリマーであった。このポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定すると、波長633nmで、TE モードで1.5926であり、TMモードで1.5910であった。乾燥させたホモポリマーを十分なトルエンに溶解して30 wt% のホモポリマー溶液とした。
【0062】
実施例P16
ブチルノルボルネン/ フェニルエチルノルボルネン
コポリマー(P16)の合成
[0108] BuNB (4.78g, 0.032 mol)、PENB (25.22g, 0.127 mol)、1-ヘキセン (13.36 g, 0.16 mol)およびトルエン (170.0g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446, (0.0092 g, 6.36E-06 mol)およびDANFABA (0.020 g, 2.54E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で50分維持した。勢いよく攪拌された混合物にメタノールを滴下するとコポリマーが沈殿した。沈殿したコポリマーをろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は23.60gであった (収率:79%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると(ポリスチレン換算) 、Mw = 73,000およびMn =28,000であった。コポリマーの組成を1H-NMRで測定すると15/85=BuNB/PENBコポリマーであった。このポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定すると、波長633nmで、TE モードで1.5684であり、TMモードで1.5657であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0063】
実施例 P17
ヘキシルノルボルネン/ フェニルエチルノルボルネンコポリマー(P17)の合成
[0109] HxNB (6.00g, 0.034 mol)、PENB (26.69g, 0.135 mol)、 1-ヘキセン (11.31 g, 0.135 mol)およびトルエン(185.35g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.0097g, 6.73E-06 mol) およびDANFABA (0.022 g, 2.69E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で50分維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体はろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は22.21gであった (68%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 95,000およびMn = 26,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 17/83=HxNB/PENBであった。ポリマーの屈折率はプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5477であり、TMモードで1.5454であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0064】
実施例 P18
デシルノルボルネン/ フェニルエチルノルボルネンコポリマー(P18)の合成
[0110] デシルノルボルネン(DeNB, CAS 22094-85-5) (6.84g, 0.029 mol)、PENB (23.16g, 0.117 mol)、1-ヘキセン(12.26 g, 0.146 mol)およびトルエン(170.0g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.0084 g, 5.84E-06 mol) およびDANFABA (0.019 g, 2.33E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で50分維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は19.74gであった (66%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 78,000およびMn = 36,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 19/81=DeNB/PENBであった。ポリマーの屈折率はプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5640であり、TMモードで1.5622であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0065】
実施例 P19
ベンジルノルボルネンホモポリマー(P19)の合成
ベンジルノルボルネン (BzNB, CAS 265989-73-9) (30.00g, 0.163 mol)、トリエチルシラン(0.227 g, 1.95E-03 mol)、エタノール(0.360 g, 7.81E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.0188 g, 1.30E-05 mol) およびDANFABA (0.042 g, 5.21E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で1.5時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下するとホモポリマーが沈殿した。沈殿したホモポリマーをろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は15.07gであった (50%)。ホモポリマーの分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 46,000およびMn = 28,000であった。ホモポリマーの組成を1H-NMRで測定すると、BzNB ホモポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5778であり、TMモードで1.5757であった。乾燥させたホモポリマーを十分なトルエンに溶解して30 wt% のホモポリマー溶液とした。
【0066】
実施例 P20
ヘキシルノルボルネン/ ベンジルノルボルネンコポリマー(P20)の合成
[0112] HxNB (8.79g, 0.049 mol)、BzNB (21.21g, 0.115 mol)、トリエチルシラン(0.23g, 1.97E-03 mol)、エタノール(0.36 g, 7.89E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.019 g, 1.32E-05 mol) およびDANFABA (0.042 g, 5.26E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で1.5時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は18.59gであった (62%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 52,000およびMn = 30,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 35/65=HxNB/BzNBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5597であり、TMモードで1.5579であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0067】
実施例 P21
デシルノルボルネン/ベンジルノルボルネンコポリマー(P21)の合成
[0113] DeNB (6.84g, 0.029 mol)、BzNB (21.56g, 0.117 mol)、1-ヘキセン(12.26 g, 0.146 mol)およびトルエン(170.0g)を500mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.0084 g, 5.84E-06 mol) およびDANFABA (0.019 g, 2.33E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた溶液を80℃で1.5時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は20.73gであった (73%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 64,000およびMn = 31,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 27/73=DeNB/BzNBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5680であり、TMモードで1.5662であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0068】
実施例 P22
ブチルノルボルネン/メチルグリシジルエーテルノルボルネンコポリマー(P22)の合成
[0114] BuNB (10.52g, 0.07 mol)、メチルグリシジルエーテルノルボルネン(AGENB, CAS 3188-75-8) (5.41g, 0.03 mol)およびトルエン(58.0g)をシーラムボトルで混合し、オイルバスで80℃ に加熱して溶液を形成した。この溶液に(η6-トルエン)Ni(C6F5)2 (0.69g, 0.0014 mol) のトルエン溶液(5g)を加えた。添加後、得られた溶液を室温で4時間維持した。トルエン溶液(87.0g)を反応溶液に加えた。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は12.74gであった (80%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 75,000およびMn = 30,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 78/22=BuNB/AGENBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5162であり、TMモードで1.5157であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0069】
実施例 P23
ヘキシルノルボルネン/メチルグリシジルエーテルノルボルネンコポリマー(P23)の合成
[0115] HxNB (12.48g, 0.07 mol)、AGENB (5.41g, 0.03 mol)、トルエン(58.0g)をドライボックス内のシーラムボトルに加えた。この溶液を80℃ のオイルバス中で攪拌した。この溶液に(η6-トルエン)Ni(C6F5)2 (0.69g, 0.0014 mol) のトルエン溶液(5g)を加えた。添加後、得られた混合物を室温で4時間維持した。トルエン溶液(87.0g)を反応溶液に加えた。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は13.78gであった (77%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 78,000およびMn = 33,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 79/21=HxNB/AGENBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5159であり、TMモードで1.5153であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0070】
実施例 P24
デシルノルボルネン/メチルグリシジルエーテルノルボルネンコポリマー(P24)の合成
[0116] DeNB (16.4g, 0.07 mol)、AGENB (5.41g, 0.03 mol)およびトルエン(58.0g)をドライボックス内のシーラムボトルに加えた。この溶液を80℃ のオイルバス中で攪拌した。この溶液に(η6-トルエン)Ni(C6F5)2 (0.69g, 0.0014 mol) のトルエン溶液(5g)を加えた。添加後、得られた混合物を室温で4時間維持した。トルエン溶液(87.0g)を反応溶液に加えた。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は17.00gであった (87%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 75,000およびMn = 30,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 77/23= DeNB/AGENBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5153であり、TMモードで1.5151であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0071】
実施例 P25
ブチルノルボルネン/ノルボルネニルエチルトリメトキシシランコポリマー(P25)の合成
[0117] BuNB (25.44g, 0.169 mol)、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン(TMSENB, CAS 68245-19-2) (4.56g, 0.019 mol)、トリエチルシラン(0.11g, 9.41E-04 mol)、エタノール(0.10 g, 2.26E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を、300mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.022 g, 1.50E-05 mol) およびDANFABA (0.036 g, 4.51E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で4時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は22.60gであった (69%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 20,000およびMn = 13,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 91/9=BuNB/TMSENBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5106であり、TMモードで1.5105であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0072】
実施例 P26
ヘキシルノルボルネン/ノルボルネニルエチルトリメトキシシランコポリマー(P26)の合成
[0118] HxNB (13.03g, 0.073 mol)、TMSENB (1.97g, 0.0081 mol)、トリエチルシラン(0.019g, 1.62E-04 mol)、エタノール(0.030 g, 6.50E-04 mol)およびトルエン(85.0g)を、300mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液に[Pd(P(iPr)3)2(OCOCH3)(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Pd1206) (0.0078 g, 6.50E-06 mol)を、濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で4時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は3.30gであった (22%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 53,000およびMn = 33,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 93/7=HxNB/TMSENBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5126であり、TMモードで1.5114であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0073】
実施例 P27
デシルノルボルネン/ノルボルネニルエチルトリメトキシシランコポリマー(P27)の合成
[0119] DeNB (22.31g, 0.095 mol)、TMSENB (7.69g, 0.032 mol)、トリエチルシラン(0.44 g, 3.81E-04 mol)、エタノール(0.70 g, 1.52E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を、500mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.015 g, 1.02E-05 mol)およびDANFABA (0.024 g, 3.05E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で4時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は12.2gであった (40.7%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 34,000およびMn = 24,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 77/23= DeNB/TMSENBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5063であり、TMモードで1.5062であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0074】
実施例 P28
ブチルノルボルネン/トリエトキシシリルノルボルネンコポリマー(P28)の合成
[0120] BuNB (25.22g, 0.168 mol)、トリエトキシシリルノルボルネン(TESNB, CAS 18401-43-9) (4.78g, 0.019 mol)、トリエチルシラン(0.011g, 9.32E-05 mol)、エタノール(0.10 g, 2.24E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を、500mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1206 (0.018 g, 1.49E-05 mol)を、濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で9時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は20.58gであった (69%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 238,000およびMn = 96,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、85/15= BuNB/TESNBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5061であり、TMモードで1.5041であった。ポリマーの(熱機械分析(TMA)測定に基づく)Tgは276℃であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0075】
実施例 P29
ヘキシルノルボルネン/トリエトキシシリルノルボルネンコポリマー(P29)の合成
[0121] HxNB (20.33g, 0.114 mol)、TESNB (3.26g, 0.013 mol)、トリエチルシラン(0.030g, 2.54E-03 mol)、エタノール(0.07 g, 1.52E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を、500mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.015 g, 1.01E-05 mol)を、濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で9時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は7.31gであった (31%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 234,000およびMn = 110,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、83/17=HxNB/TESNBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5053であり、TMモードで1.5042であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0076】
実施例 P30
デシルノルボルネン/トリエトキシシリルノルボルネンコポリマー(P30)の合成
[0122] DeNB (26.77g, 0.114 mol)、TESNB (3.26g, 0.013 mol)、トリエチルシラン(0.030g, 2.54E-03 mol)、エタノール(0.07 g, 1.52E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を、500mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.015 g, 1.01E-05 mol)を、濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で9時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は18.01gであった (60%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 283,000およびMn = 118,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、1H-NMR: 84/16=DeNB/TESNBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5034であり、TMモードで1.5018であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0077】
実施例 P31
ブチルノルボルネン/トリメトキシシリルノルボルネンコポリマー(P31)の合成
[0123] BuNB (10.97g, 0.073 mol)、トリメトキシシリルノルボルネン(TMSNB, CAS 7538-46--7) (12.95g, 0.073 mol)、トリエチルシラン(0.34g, 2.91E-04 mol)、エタノール(0.80 g, 1.75E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を、500mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.017 g, 1.16E-05 mol)およびDANFABA (0.028 g, 3.49E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で4時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は15.5gであった (65%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 48,000およびMn = 27,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、47/53=BuNB/TMSNBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5093であり、TMモードで1.5089であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0078】
実施例 P32
ヘキシルノルボルネン/トリメトキシシリルノルボルネンコポリマー(P32)の合成
[0124] HxNB (13.02g, 0.073 mol)、TMSNB (12.95g, 0.073 mol)、トリエチルシラン(0.34g, 2.91E-04 mol)、エタノール(0.80 g, 1.75E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を、500mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.017 g, 1.16E-05 mol)およぼDANFABA (0.028 g, 3.49E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で4時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は17.7gであった (68%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 55,000およびMn = 27,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、46/54= HxNB/TMSNBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5081であり、TMモードで1.5078であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0079】
実施例 P33
デシルノルボルネン/トリメトキシシリルノルボルネンコポリマー(P33)の合成
[0125] DeNB (17.05g, 0.073 mol)、TMSNB (12.95g, 0.073 mol)、トリエチルシラン(0.34g, 2.91E-04 mol)、エタノール(0.80 g, 1.75E-03 mol)およびトルエン(170.0g)を、500mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.017 g, 1.16E-05 mol)およびDANFABA (0.028 g, 3.49E-5 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で4時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は21.0gであった (70%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 82,000およびMn = 31,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、46/54= DeNB/TMSNBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5029であり、TMモードで1.5016であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
【0080】
実施例 P34
ヘキシルノルボルネン/
ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン/
ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン
ターポリマー(P34)の合成
[0126] HxNB (5.94g, 0.033 mol)、diPhNB (21.36g, 0.067 mol)、TMSENB (2.69g, 0.011 mol)、1-ヘキセン(3.73 g, 0.044 mol)およびトルエン(170.0g)を、500mLのシーラムボトル内で混合し、オイルバスで80℃ で加熱して溶液を形成した。この溶液にPd1446 (0.0064 g, 4.44E-06 mol) およびDANFABA (0.0036 g, 4.44E-6 mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液の形態で、加えた。添加後、得られた混合物を80℃で3.5時間維持した。勢いよく攪拌した反応混合物にメタノールを滴下すると共重合体が沈殿した。沈殿した共重合体をろ過して集め、60℃のオーブンで真空で乾燥させた。乾燥後の重量は10.26gであった (34%)。共重合体の分子量をTHF溶媒でGPCで測定すると (ポリスチレン換算) 、Mw = 105,000およびMn = 54,000であった。共重合体の組成を1H-NMRで測定すると、38/54/8=HxNB/diPhNB/TMSENBコポリマーであった。ポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TE モードで1.5586であり、TMモードで1.5572であった。乾燥させた共重合体を十分なトルエンに溶解して30 wt% のコポリマー溶液とした。
上記のポリマーを表1に要約する。
表1

【0081】
ワニス溶液
実施例V1-V13、V38-48およびV63-66
[0128] 実施例V1-V13、V38-48およびV63-66は、本発明の実施例による、マトリックスポリマー、ノルボルネン系モノマー、プロカタリスト、酸発生剤、任意成分の酸化防止剤および溶剤を含むワニス溶液の処方を示す。なお、下記のワニス溶液の各々は感光性材料を含んでいるので、イエローライトの下で溶液を調製した。
【0082】
実施例V1
HxNB (42.03g, 0.24 mol)およびビス-ノルボルネンメトキシジメチルシラン (SiX, CAS 376609-87-9) (7.97g, 0.026 mol)を秤量し、ガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標) IRGANOX(登録商標) 1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標) 168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のP1コポリマー溶液30.0gに、このモノマー酸化防止剤溶液3.0g 、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (4.94E-4g, 6.29E-7mol、メチレンクロライド0.1mL中)、RHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia Inc社から入手) (2.55E-3g, 2.51E-6 mol、メチレンクロライド0.1 mL中)を加えて、ワニス溶液を形成した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0083】
実施例 V2
SiX (5g, 0.0164mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このSiXに、Irganox 1076 (0.05g) およびIrgafos 168 (0.013g)を加え、SiX溶液を得た。SiX 溶液(3g)、Pd-785ストック溶液(3.10E-4g, 3.94E-7mol、メチレンクロライド0.1mL中)、Rhodorsil 2074ストック溶液 (1.60E-3g, 1.58E-6 mol 、メチレンクロライド0.1mL中)およびP2コポリマー溶液 (30g、固体3g)を混合してワニス溶液V2を得た。コポリマー/モノマーの重量比は1/1であり、モノマー/Pd触媒/光酸発生剤(PAG)のモル比は25K/1/4であった。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0084】
実施例V3
HxNB (42.03g, 0.24 mol)およびSiX (7.97g, 0.026 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標) 1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。コポリマー溶液 (10g のP3 + 20gのP4) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液3.0g、Pd785 (4.93E-4g, 6.28E-7mol 、メチレンクロライド0.1 mL中)、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (2.55E-3g, 2.51E-6 mol 、メチレンクロライド0.1 mL中)を加えて、ワニス溶液V3を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0085】
実施例V4
コポリマー溶液30.0gを、15gのP3および15gのP4とした以外はV3と同様にしてワニス溶液V4 を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0086】
実施例V5
コポリマー溶液30.0gを、20gのP3および10gのP4とした以外はV3と同様にしてワニス溶液V5を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0087】
実施例 V6
コポリマー溶液30.0gを、30gのP3とした以外はV3と同様にしてワニス溶液V6を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0088】
実施例 V7
HxNB (40.33g, 0.23 mol)およびノルボルネニルエチルメトキシシラン(Norbornenylethyltrimethoxysilane、TMSENB, CAS 68245-19-2) (9.67g, 0.039 mol)を秤量し、ガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。表1に示すように、上記のように調製したコポリマー溶液(15gのP3 + 15gのP4) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液3.0g 、Pd785 (5.02E-4g, 6.39E-7mol、メチレンクロライド0.1 mL中), RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (2.59E-3g, 2.55E-6 mol、メチレンクロライド0.1 mL中)を加えて、ワニス溶液V7を形成した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0089】
実施例V8
HxNB (42.03g, 0.24 mol)およびSiX, (7.97g, 0.026 mol)を秤量し、ガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のように調製したコポリマー溶液(P5) 18.3gに、モノマー酸化防止剤溶液3.06g 、Pd785 (3.85E-4g, 4.91E-7mol 、メチレンクロライド0.1 mL中)、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (1.99E-3g, 1.96E-6 mol 、メチレンクロライド0.1 mL中) およびメシチレン1.30gを加えてワニス溶液を得た。
【0090】
実施例V9
HxNB (42.03g, 0.24 mol)およびSiX, (7.97g, 0.026 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS168 (0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のように調製したコポリマー溶液(P6) 9.15gに、モノマー酸化防止剤溶液1.53g、Pd785 (2.52E-4g, 3.21E-7mol、メチレンクロライド0.1 mL中)、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (1.30E-3g, 1.28E-6 mol、メチレンクロライド0.1 mL中) およびメシチレン0.645gを加えてワニス溶液を得た。
【0091】
実施例V10
HxNB (42.03g, 0.24 mol)およびSiX, (7.97g, 0.026 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS168 (0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のように調製したコポリマー溶液(P3) 20gに、モノマー酸化防止剤溶液2.4g、Pd785 (3.95E-4g, 5.03E-7mol 、メチレンクロライド0.1 mL中)、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (2.55E-3g, 2.51E-6 mol 、メチレンクロライド0.1 mL中) およびトルエン2.5gを加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0092】
実施例V11
HxNB (42.03g, 0.24 mol)およびSiX, (7.97g, 0.026 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS168 (0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のように調製したコポリマー溶液(P8) 20gに、モノマー酸化防止剤溶液2.4g、Pd785 (3.95E-4g, 5.03E-7mol 、メチレンクロライド0.1 mL中)、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (2.55E-3g, 2.51E-6 mol 、メチレンクロライド0.1 mL中)およびトルエン6.12gを加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を5ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0093】
実施例V12
HxNB (42.03g, 0.24 mol)およびSiX(7.97g, 0.026 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS168 (0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のように調製したコポリマー溶液(P9) 30gに、モノマー酸化防止剤溶液1.0g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.65E-4g, 2.10E-7mol 、メチレンクロライド0.1mL中)、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (8.51E-4g, 8.38E-7 mol 、メチレンクロライド0.1mL中)およびトルエン5.0gを加えてワニス溶液を得た。
【0094】
実施例V13
HxNB (42.03g, 0.24 mol)および(SiX) (7.97g, 0.026 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS168 (0.125g)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のように調製したコポリマー溶液(P14) 30gに、モノマー酸化防止剤溶液2.0g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (3.29E-4g, 4.19E-7mol 、メチレンクロライド0.1mL中)、TAG-372R 光酸発生剤 (CAS 193957-54-9、日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手) (7.63E-4g, 8.38E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)およびトルエン10.0g加えてワニス溶液を得た。ワニス溶液13を4インチのSiO2 コーティング板に注ぎ、乾燥フィルムを形成させた。ポリマーの(熱機械分析(TMA)測定)に基づくTgは251℃であった。
【0095】
実施例V38
HxNB (16.64g, 0.093 mol)およびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (33.36g, 0.110 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記コポリマー溶液(P3) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0096】
実施例V39
HxNB (16.64g, 0.093 mol)およびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (33.36g, 0.110 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記コポリマー溶液(P34) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0097】
実施例V40
HxNB (16.64g, 0.093 mol)およびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (33.36g, 0.110 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P12) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、DBA (CAS 76275-14-4, 日本国神奈川県の川崎化成工業株式会社から入手) (4.86E-2g, 1.51E-4mol、メチレンクロライド0.1mL中)およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0098】
実施例V41
HxNB (16.64g, 0.093 mol)およびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (33.36g, 0.110 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P16) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0099】
実施例V42
HxNB (16.64g, 0.093 mol)およびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (33.36g, 0.110 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P17) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0100】
実施例V43
HxNB (16.64g, 0.093 mol)およびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (33.36g, 0.110 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P18) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0101】
実施例V44
bis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (50.0g, 0.164 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P19) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液1.44g、Pd(P(i-Pr)3)2(OAc)2 (Pd545) (1.02E-3g、1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0102】
実施例V45
bis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (50.0g, 0.164 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のように調製したコポリマー溶液(P20) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液1.44g、Pd(P(i-Pr)3)2(OAc)2 (Pd545) (1.02E-3g、1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0103】
実施例V46
bis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (50.0g, 0.164 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P21) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液1.44g、Pd(P(i-Pr)3)2(OAc)2 (Pd545) (1.02E-3g、1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0104】
実施例V47
HxNB (16.64g, 0.093 molおよびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (33.36g, 0.110 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P17) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびTAG-372R光酸発生剤(CAS 193957-54-9、日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手)(6.86E-3g、7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0105】
実施例V48
bis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (50.0g, 0.164 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P20) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液1.44g、Pd(P(i-Pr)3)2(OAc)2 (Pd545) (1.02E-3g、1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびTAG-372R光酸発生剤(CAS 193957-54-9、日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手)(6.86E-3g、7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0106】
実施例V63
bis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (50.0g, 0.164 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P24) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液1.44g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0107】
実施例V64
トリメトキシシリルエチルノルボルネン(TMSENB, CAS 68245-19-2) (20.2g, 0.0834 mol)およびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (29.80g, 0.0979 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P26) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0108】
実施例V65
トリメトキシシリルエチルノルボルネン(TMSENB, CAS 68245-19-2) (20.2g, 0.0834 mol)およびbis-ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX, CAS 376609-87-9) (29.80g, 0.0979 mol)を秤量しガラス瓶にいれた。このモノマー溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076 (0.5g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (0.125g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)を加え、モノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液(P14) 30.0gに、モノマー酸化防止剤溶液2.16g、Pd(PCy3)2(OAc)2 (Pd785) (1.47E-3g, 1.88E-6mol、メチレンクロライド0.1mL中)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (7.67E-3g, 7.54E-6 mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0109】
実施例V66
コポリマー(P14)5gに、メシチレン(20g)、IRGANOX(登録商標)1076 (0.05g), Ciba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (1.25E-2g) (両方とも米国ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)、およびRHODORSIL(登録商標) PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2, ニュージャージー州クランベリーのRhodia社より入手) (4.0E-3g、メチレンクロライド0.1mL中) を加えてワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
表2, 3および4は上記各ワニス溶液の組成の要約を示す。
表2

表3

表4

注:「R」はRhodorsil 2074を使用したことを示し、「T」はTAG-372Rを使用したことを示す。
【0110】
実施例V21-V31、V51-55、V61およびV62
実施例V21-V31、V51-55、V61およびV62は、本発明の実施例によるマトリックスポリマー、酸発生剤、任意成分の酸化防止剤および溶剤を含むワニス溶液の処方を示す。なお、下記のワニス溶液の各々は感光性材料を含んでいるので、イエローライトの下で溶液を調製した。
【0111】
実施例V21
5gのコポリマーP12に20gのメシチレン、0.05gのIrganox 1076、0.0125gのIrgafos 168およびRHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia社から入手) (4.0E-3g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0112】
実施例V22
5gのコポリマーP13に20gのメシチレン、0.05gのIrganox 1076、0.0125gのIrgafos 168およびRHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia社から入手) (4.0E-3g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0113】
実施例V23
5gのコポリマーP14に20gのメシチレン、0.05gのIrganox 1076および0.0125gのIrgafos 168を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0114】
実施例V24
0.9gのホモポリマーP11に3.6gのメシチレン、9.0E-3gのIrganox 1076、2.3E-3gのIrgafos 168およびRHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia社から入手) (1.1E-3g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0115】
実施例V25
0.9gのホモポリマーP11に3.6gのメシチレン、9.0E-3gのIrganox 1076、2.3E-3gのIrgafos 168およびRHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia社から入手) (7.5E-4g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0116】
実施例V26
0.9gのホモポリマーP11に3.6gのメシチレン、9.0E-3gのIrganox 1076、2.3E-3gのIrgafos 168およびTAG-372R光酸発生剤(ジメチル(2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル)スルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、CAS No. 193957-54-9)、日本国東京の東洋インキ製造社より入手) (7.5E-4g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0117】
実施例V27
0.9gのホモポリマーP11に3.6gのメシチレン、9.0E-3gのIrganox 1076、2.3E-3gのIrgafos 168およびRHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia社から入手) (1.1E-3g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0118】
実施例V28
0.9gのホモポリマーP11に3.6gのメシチレン、9.0E-3gのIrganox 1076、2.3E-3gのIrgafos 168およびTAG-372R光酸発生剤(ジメチル(2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル)スルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、CAS No. 193957-54-9)、日本国東京の東洋インキ製造社より入手) (7.5E-4g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0119】
実施例V29
0.9gのホモポリマーP11に3.6gのメシチレン、9.0E-3gのIrganox 1076、2.3E-3gのIrgafos 168およびTAG-372R光酸発生剤(ジメチル(2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル)スルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、CAS No. 193957-54-9)(日本国東京の東洋インキ製造社より入手) (1.1E-3g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0120】
実施例V30
0.9gのホモポリマーP11に3.6gのメシチレン、9.0E-3gのIrganox 1076、2.3E-3gのIrgafos 168およびRHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia社から入手) (7.5E-4g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0121】
実施例V31
0.9gのホモポリマーP11に3.6gのメシチレン、9.0E-3gのIrganox 1076、2.3E-3gのIrgafos 168およびTAG-372R光酸発生剤(ジメチル(2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル)スルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、CAS No. 193957-54-9)、日本国東京の東洋インキ製造社より入手) (1.1E-3g、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0122】
実施例V51
4.0gのホモポリマーP15の溶液に、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia社から入手) (1.56E-3g、1.54E-6 mol、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0123】
実施例V52
4.0gのホモポリマーP15の溶液に、TAG-372R光酸発生剤(CAS No. 193957-54-9、日本国東京の東洋インキ製造社より入手) (1.56E-3g、1.54E-6 mol、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0124】
実施例V53
4.0gのホモポリマーP15の溶液に、TAG-371光酸発生剤(CAS 193957-53-8、日本国東京の東洋インキ製造社より入手) (1.56E-3g、1.54E-6、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0125】
実施例V54
4.0gのホモポリマーP15の溶液に、トリス(4-tertブチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート光酸発生剤(「TTBPS-TPFPB」、日本国東京の東洋合成工業株式会社より入手) (1.56E-3g、1.54E-6 mol、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0126】
実施例V55
4.0gのホモポリマーP15の溶液に、NAI-105光酸発生剤(CAS 85342-62-7、日本国東京のみどり化学工業株式会社より入手) (1.56E-3g、1.54E-6 mol、0.1 mLのメチレンクロライド中)を加えてワニス溶液を調製した。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターに通して使用に供した。
【0127】
実施例V61
16.7gのコポリマーP24の溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標) 1076 (0.05g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (1.25E-2g)(両方ともニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)、およびRHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074 (CAS 178233-72-2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia Inc から入手)(0.1g、メチレンクロライド0.5 mL中)を加えて、ワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
【0128】
実施例V62
16.7gのコポリマーP24の溶液に、2種類の酸化防止剤、即ちCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標) 1076 (0.05g) およびCiba(登録商標)IRGAFOS(登録商標)168 (1.25E-2g)(両方ともニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手)、およびTAG-372R光酸発生剤(ジメチル(2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル)スルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、CAS No. 193957-54-9)(日本国東京の東洋インキ製造株式会社より入手) (0.1g、0.5 mLのメチレンクロライド中)を加えて、ワニス溶液を得た。このワニス溶液を0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して使用した。
表5は上記ワニス溶液の組成の要約を示す。
表5

【0129】
導波路
実施例WG1-WG5
実施例WG1〜WG5は、本発明に従った単層および三層の導波路構造の作製を示す。導波路を形成するための下記実施例において使用した各ワニス溶液は感光材料を含んでいるので、イエローライトの下で調製した。
【0130】
実施例WG1
単層の導波路構造の調製
適切にろ過したワニス溶液を、4"のガラス板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このコーティングされたガラス板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=3000mJ)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0131】
実施例WG2
三層の導波路構造の調製
ワニス溶液V8を厚さ250ミクロンのPETフィルム上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:70ミクロン)。その後、ワニス溶液V9を第一の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。最後に、ワニス溶液V8を第二の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。その後、このコーティングされたPETフィルムを、ホットプレート上に置き、50℃で30分間加熱してトルエンを蒸発させて固体の積層フィルムを得た。このフィルムに、ポジ型フォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し(照射量=3000mJ/cm2)、次に、ホットプレート上で45℃で30分、続いて85℃で30分間、さらに150℃で60分間加熱した。45℃のホットプレートに10分間置いた時点でフィルムに導波路パターンが目視できた。この導波路の伝播損失(Propagation loss)を、「カットバック法」で測定したところ、6.0dB/cmであった。
【0132】
実施例WG3
三層の導波路構造の調製
ワニス溶液V11を厚さ250ミクロンのPETフィルム上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:70ミクロン)。その後、ワニス溶液V10を第一の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。最後に、ワニス溶液V11を第二の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。その後、このコーティングされたPETフィルムを、ホットプレート上に置き、50℃で45分間加熱してトルエンを蒸発させて固体の積層フィルムを得た。このフィルムに、ポジ型フォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し(照射量=3000mJ/cm2)、次に、オーブンで50℃で30分、続いて85℃で30分間、さらに150℃で60分間加熱した。50℃のオーブンに10分間置いた時点でフィルムに導波路パターンが目視できた。この導波路の伝播損失(Propagation loss)を、「カットバック法」で測定したところ、3.0dB/cmであった。
【0133】
実施例WG4
三層の導波路構造の調製
ワニス溶液V13を厚さ250ミクロンのPETフィルム上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:70ミクロン)。その後、ワニス溶液V12を第一の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。最後に、ワニス溶液V13を第二の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。その後、このコーティングされたPETフィルムを、ホットプレート上に置き、50℃で45分間加熱してトルエンを蒸発させて固体の積層フィルムを得た。このフィルムに、ポジ型フォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し(照射量=3000mJ/cm2)、次に、オーブンで50℃で30分、続いて85℃で30分間、さらに150℃で60分間加熱した。50℃のオーブンに10分間置いた時点でフィルムに導波路パターンが目視できた。
【0134】
実施例WG5
三層の導波路構造の調製
Avatrel(登録商標)2000P溶液(オハイオ州ブレクスビルのPromerus LLC社から入手)を4"のガラス板上に注ぎ、スピンコーターで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:1ミクロン)。次に、これをホットプレートに置いて100℃で10分間加熱し、これにフォトマスクなしでUV光を照射した(照射量:400mJ/cm2)。続いて、110℃で15分間、その後160℃で1時間硬化させた。
次に、ワニス溶液V12を、硬化させたAvatrel 2000P層の表面に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:70ミクロン)。その後、このコーティングされたガラス板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。次の日、ワニス溶液V12から形成したこの固体フィルムに、フォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=3000mJ)、室温で30分間熟成させ、次に85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分間加熱した。導波路パターンは、85℃で30分間加熱した時点で目視できた。
次に、Avatrel 2000P溶液をワニス溶液V12から形成された硬化層の表面に注ぎ、スピンコーターで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:1ミクロン)。このコーティングされたガラス板をホットプレートに置いて100℃で10分間加熱し、これにフォトマスクなしでUV光を照射した(照射量:400mJ/cm2)。続いて、110℃で15分間、その後160℃で1時間硬化させた。導波路パターンは目視できたがフィルムの最上層のクラッド層が茶色になっていた。
【0135】
伝播損失の測定
5種類のワニス溶液V3-V7によって形成された各導波路の伝播損失は、「カットバック法」を使用して測定した。各導波路は実施例WG1に示す方法を使用して作製した単層の導波路であった。レーザーダイオードから発生させた光(830nm)を、光ファイバーを通して、各ワニス溶液から形成した導波路のコアの第一の端部に入力した。導波路はある長さを有している。反対側の第二の端部からの出力を測定した。導波路は少なくとも2つの長さに短く「カットバック」され、各長さの導波路に対して第二の端部での光出力を測定した。
各測定での総光損失は下記である。
総光損失(dB) = -10log(Pn/Po)
ここで、「Pn」はP1、P2、…Pnの各長さの導波路の第二の端部での測定された出力であり、「Po」は、光ファイバーを導波路のコアの第一の端部に結合する前の光ファイバーの端部における光源の測定出力である。次に、総光損失は下記のチャート1のようにプロットされる。このデータの最も真っ直ぐな線が下記式によって表わされる。
y=mx+b
ここで、「m」は伝播損失であり、「b」は結合損失(coupling loss)
である。
【0136】
グラフ1

各ワニス溶液V3-V7からの導波路に対する「カットバック法」による伝播損失の結果を下記の表6に示す。
表6

【0137】
実施例WG11-WG20
実施例WG11-WG20は、本発明に従った単層および三層の導波路構造の作製を示す。導波路を形成するための下記の実施例において使用した各ワニス溶液は感光性材料を含んでいるので、イエローライトの下で調製した。
【0138】
実施例WG11
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液V24を、ガラス基板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このガラス基板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=6J/cm2)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0139】
実施例WG12
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液V25を、4"のSiO2コーティング板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このコーティング板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=3J/cm2)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0140】
実施例WG13
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液V26を、4"のSiO2コーティング板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このコーティング板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=6J/cm2)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0141】
実施例 WG14
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液V27を、4"のSiO2コーティング板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このコーティング板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=3J/cm2)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0142】
実施例WG15
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液V28を、4"のSiO2コーティング板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このコーティング板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=3J/cm2)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0143】
実施例WG16
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液V29を、4"のSiO2コーティング板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このコーティング板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=3J/cm2)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0144】
実施例WG17
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液V30を、4"のSiO2コーティング板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このコーティング板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=6J/cm2)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0145】
実施例WG18
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液V31を、4"のSiO2コーティング板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、このコーティング板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=6J/cm2)、次にオーブン中で85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0146】
実施例WG19
三層の導波路構造の調製
ワニス溶液V23を厚さ1mmのガラス板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:70ミクロン)。その後、ワニス溶液V21を第一の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。最後に、ワニス溶液V23を第二の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。その後、このコーティングガラス板を、ホットプレート上に置き、50℃で30分間加熱してメシチレンを蒸発させて固体の積層フィルムを得た。。このフィルムに、ポジ型フォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し(照射量=3000mJ/cm2)、次に、ホットプレート上で85℃で30分、さらに150℃で60分間加熱した。85℃で30分間ホットプレートに置いた時点でフィルムに導波路パターンが目視できた。この導波路の伝播損失を、「カットバック法」で測定したところ、3.0dB/cmであった。
【0147】
実施例WG20
三層の導波路構造の調製
ワニス溶液V23を厚さ1mmのガラス板上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:70ミクロン)。その後、ワニス溶液V22を第一の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。最後に、ワニス溶液V23を第二の層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:80ミクロン)。その後、このコーティングガラス板を、ホットプレート上に置き、50℃で30分間加熱してメシチレンを蒸発させて固体の積層フィルムを得た。このフィルムに、ポジ型フォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し(照射量=3000mJ/cm2)、次に、ホットプレート上で85℃で30分、さらに150℃で60分間加熱した。85℃で30分間加熱した時点でフィルムに導波路パターンが目視できた。この導波路の伝播損失を、「カットバック法」で測定したところ、2.0dB/cmであった。
【0148】
伝播損失の測定
8種類のワニス溶液V24-V31から形成された単層導波路、ならびに2種類のコア層用ワニス溶液V21-V22と1種類のクラッド層用ワニス溶液V23から形成された三層導波路に関して、伝播損失を先に述べたのと同様にして測定した。
単層導波路の伝播損失の結果を下記の表7に示す。また、三層導波路の伝播損失の結果を下記の表8に示す。
表7

表8

【0149】
実施例WG21
単層の導波路構造の調製
ろ過したワニス溶液38を、石英ガラス板の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定の厚さに広げた。その後、この石英ガラス板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。フィルムにフォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=3000mJ)、次にオーブン中で45℃で30分間加熱し、次に85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分加熱した。導波路パターンは、第一の加熱後、目視できた。
【0150】
実施例WG22-36
本発明の実施例として、単層の導波路構造の実施例WG22-36を作成した。実施例WG22-36はワニス溶液と照射量を変更した点を除き、上記実施例WG21と同様にして作製した。
表9は単層の導波路構造の実施例WG21-36の伝播損失を示す。
表9

【0151】
実施例WG51
三層の導波路構造の調製
ワニス溶液V61を4”のガラス板上に注ぎ、スピンコーティングを使用して実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:1ミクロン)。次に、それをホットプレート上に置いて100℃で10分間加熱し、フォトマスクなしでUV光を照射し(照射量=400mJ/cm2)、その後110℃で15分間および160℃で1時間加熱した。
次に、ワニス溶液V38を硬化させたV61層の上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:70ミクロン)。次に、このコーティングされたガラス板を換気されたレベルテーブルに一夜置いて溶剤を蒸発させ、実質的に乾燥した固体フィルムを形成した。次の日、ワニス溶液V38から形成したこの固体フィルムに、フォトマスクを通してUV光(365nm)を照射し (照射量=3000mJ)、45℃で30分間熟成させたから、85℃で30分間加熱し、さらに150℃で60分間加熱した。導波路パターンは、85℃で30分間加熱した時点で目視できた。
次に、ワニス溶液V61の第二の部分をワニス溶液V38の硬化層の表面に注ぎ、スピンコーターで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:1ミクロン)。このコーティングされたガラス板をホットプレートに置いて100℃で10分間加熱し、これにフォトマスクなしでUV光を照射した(照射量:400mJ/cm2)。続いて、110℃で15分間、その後160℃で1時間硬化させた。導波路パターンは目視できたがフィルムの最上層のクラッド層が茶色になっていた。
【0152】
実施例WG52
単層の導波路フィルム(WG21)をガラス基板から剥離し、十分な水で洗浄し、45℃で1時間オーブンで乾燥させた。
ワニス溶液V61をPETフィルム上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:50ミクロン)。次に、それをホットプレート上に置いて45℃で10分間加熱し、フォトマスクなしでUV光を照射した(照射量=3000mJ/cm2)、最後に、このクラッドフィルムをナイフで2つに切り、PETフィルムから剥離した。
WG21フィルムを上記の2つのクラッドフィルムの間に挟み、10MPaの圧力を掛けながらオーブン内で150℃で1時間加熱した。この三層導波路の伝播損失を、「カットバック法」で測定したところ、0.08dB/cmであった。コアとクラッドの間の接着力を90度剥離試験にて測定したところ、50gf/cmであった。
【0153】
実施例WG53
単層の導波路フィルム(WG21)をガラス基板から剥離し、十分な水で洗浄し、45℃で1時間オーブンで乾燥させた。
ワニス溶液V63をPETフィルム上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:50ミクロン)。次に、それをホットプレート上に置いて45℃で10分間加熱し、フォトマスクなしでUV光を照射した(照射量=3000mJ/cm2)、最後に、このクラッドフィルムをナイフで2つに切り、PETフィルムから剥離した。
WG21フィルムを上記の2つのクラッドフィルムの間に挟み、10MPaの圧力を掛けながらオーブン内で150℃で1時間加熱した。この三層導波路の伝播損失を、「カットバック法」で測定したところ、0.08dB/cmであった。コアとクラッドの間の接着力を90度剥離試験にて測定したところ、60gf/cmであった。
【0154】
実施例WG54
単層の導波路フィルム(WG21)をガラス基板から剥離し、十分な水で洗浄し、45℃で1時間オーブンで乾燥させた。
ワニス溶液V64をPETフィルム上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:50ミクロン)。次に、それをホットプレート上に置いて45℃で10分間加熱し、フォトマスクなしでUV光を照射した(照射量=3000mJ/cm2)、最後に、このクラッドフィルムをナイフで2つに切り、PETフィルムから剥離した。
WG21フィルムを上記の2つのクラッドフィルムの間に挟み、10MPaの圧力を掛けながらオーブン内で150℃で1時間加熱した。この三層導波路の伝播損失を、「カットバック法」で測定したところ、0.08dB/cmであった。コアとクラッドの間の接着力を90度剥離試験にて測定したところ、300gf/cmであった。
【0155】
実施例WG55
単層の導波路フィルム(WG21)をガラス基板から剥離し、十分な水で洗浄し、45℃で1時間オーブンで乾燥させた。
ワニス溶液V65をPETフィルム上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:50ミクロン)。次に、それをホットプレート上に置いて45℃で10分間加熱し、フォトマスクなしでUV光を照射した(照射量=3000mJ/cm2)、最後に、このクラッドフィルムをナイフで2つに切り、PETフィルムから剥離した。
WG21フィルムを上記の2つのクラッドフィルムの間に挟み、10MPaの圧力を掛けながらオーブン内で150℃で1時間加熱した。この三層導波路の伝播損失を、「カットバック法」で測定したところ、0.08dB/cmであった。コアとクラッドの間の接着力を90度剥離試験にて測定したところ、200gf/cmであった。
【0156】
実施例WG56
単層の導波路フィルム(WG32)をガラス基板から剥離し、十分な水で洗浄し、45℃で1時間オーブンで乾燥させた。
ワニス溶液V66をPETフィルム上に注ぎ、ドクターブレードで実質的に一定厚さに広げた(ぬれた状態の厚さ:50ミクロン)。次に、それをホットプレート上に置いて45℃で10分間加熱し、フォトマスクなしでUV光を照射した(照射量=3000mJ/cm2)、最後に、このクラッドフィルムをナイフで2つに切り、PETフィルムから剥離した。
【0157】
WG32フィルムを上記の2つのクラッドフィルムの間に挟み、10MPaの圧力を掛けながらオーブン内で150℃で1時間加熱した。この三層導波路の伝播損失を、「カットバック法」で測定したところ、0.12dB/cmであった。コアとクラッドの間の接着力を90度剥離試験にて測定したところ、50gf/cmであった。
本発明の実施例としてのノルボルネン系ポリマーおよび/またはノルボルネン系モノマーは優れた透明性と伝播損失を有する光導波路を与えることが分かる。
【0158】
表10および表11は導波路WG2〜WG5、WG19〜20およびWG51〜56の要約を示す。
表10

表11

【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の例示的実施例により、導波路パターン化フィルムに導波路領域を形成する段階のうちの一段階を簡潔に示す。
【図2】本発明の例示的実施例により、導波路パターン化フィルムに導波路領域を形成する段階のうちの一段階を簡潔に示す。
【図3】本発明の一例示的実施例により、導波路パターン化フィルムに導波路領域を形成する段階のうちの一段階を簡潔に示す。
【図4】図1、2および3に描かれた一連の段階により形成される構造のエレクトロン・プローブ・ミクロ分析(EPMA)を表す。
【図5】本発明の別の例示的実施例により、導波路パターン化フィルムに導波路領域を形成する一連の段階のうちの一段階を簡潔に示す。
【図6】本発明の別の例示的実施例により、導波路パターン化フィルムに導波路領域を形成する一連の段階のうちの一段階を簡潔に示す。
【図7】本発明の別の例示的実施例により、導波路パターン化フィルムに導波路領域を形成する一連の段階のうちの一段階を簡潔に示す。
【図8】本発明の別の例示的実施例により、導波路パターン化フィルムに導波路領域を形成する一連の段階のうちの一段階を簡潔に示す。
【図9】本発明の別の例示的実施例により、導波路パターン化フィルムに導波路領域を形成する一連の段階のうちの一段階を簡潔に示す。
【図10】RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074(ニュージャージー州クランベリーのRhodia USA社から入手)の、UVスペクトルおよび積層吸収スペクトル(overlaid absorption spectra)内の特定波長における水銀灯によるエネルギー出力を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光誘発熱現像性フィルムであって:
第一の屈折率を有するポリマーマトリックスと;
前記ポリマーマトリックスと相溶性があり、前記第一の屈折率と異なる第二の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーと;
プロカタリストと;
コカタリストとを含み、前記コカタリストは、化学線の照射に伴い、前記プロカタリストを潜在活性形態に変換し、前記潜在活性形態は、第一の温度での加熱に伴い、活性形態に変換する光誘発熱現像性フィルム。
【請求項2】
前記プロカタリストは、前記第一の温度よりも高い第二の温度への加熱に伴い、前記化学線の照射なしに、活性形態に変換する請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項3】
更に少なくとも1種の酸化防止剤を含む請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項4】
前記ポリマーマトリックスはホモポリマー、コポリマーおよび三元重合体のうちの一つである請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項5】
前記ポリマーマトリックスは第一の繰り返し単位と第二の繰り返し単位とを含む請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項6】
前記第一の繰り返し単位はアルキルノルボルネンの繰り返し単位を含み、前記第二の繰り返し単位はノルボルネン系の繰り返し単位を含む請求項5に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項7】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含む請求項6に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項8】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はベンジルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項6に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項9】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はフェニルエチルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項6に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項10】
前記少なくとも1種類のモノマーは少なくとも1種類のノルボルネン系モノマーを含む請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項11】
前記少なくとも1種類のノルボルネン系モノマーはアルキルペンダントグループを有するノルボルネン系モノマーを含む請求項10に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項12】
前記少なくとも1種類のノルボルネン系モノマーはヘキシルノルボルネンおよびビス-ノルボルネンメトキシジメチルシランを含む請求項10に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項13】
前記ポリマーマトリックスはヘキシルノルボルネンの繰り返し単位およびジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含む請求項11に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項14】
前記少なくとも1種類のモノマーは架橋モノマーを含む請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項15】
前記架橋モノマーはノルボルネン系架橋モノマーを含む請求項14に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項16】
前記コカタリストは光開始剤を含む請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項17】
前記光開始剤は、化学線の照射に伴い、カチオンと弱配位アニオンとを生じるカチオン性光開始剤を含み、前記プロカタリストは前記弱配位アニオンと関連して前記潜在活性形態に変換される請求項16に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項18】
前記プロカタリストは式(E(R)3)2Pd(Q)2で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「E(R)3」中の「R」は、水素、その同位体およびハイドロカルビルを含む部位のうちの一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子である請求項2に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項19】
前記プロカタリストは式 [(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「R」は水素、その同位体、およびアニオン性ハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子であり、「LB」はルイス塩基であり、「WCA」は弱配位アニオンであり、「a」は1,2又は3の整数であり、「b」は0,1又は2の整数であり、「a」と「b」の合計は1,2又は3の整数であり、「p」および「r」はパラジウムカチオンと弱配位アニオンが上記式[(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]の構造において電荷のバランスをとる数を表す請求項2に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項20】
「p」および「r」はそれぞれ1および2の整数から選択される請求項19に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項21】
前記ポリマーマトリックスは繰り返し単位を含み、前記繰り返し単位の少なくとも一部はそれぞれ脱離性ペンダントグループを含み、前記脱離性ペンダントグループの少なくとも一部は、前記化学線の照射および前記第二の温度での加熱の結果として、前記ポリマーマトリックスから脱離して前記光誘発熱現像性フィルムから除去され、これによって前記第一の屈折率が変化する請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項22】
前記脱離性ペンダントグループは-O-、Si-フェニルおよび-OSi-からなる群から選択される請求項21に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項23】
さらに増感剤を含む請求項1に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項24】
第一の屈折率を有し、脱離性ペンダントグループを含むポリマーマトリックスと、
化学線の照射に伴ってカチオンと弱配位アニオンとを生じる光開始剤と
を含む光誘発熱現像性フィルム
【請求項25】
更に少なくとも1種類の酸化防止剤を含む請求項24に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項26】
前記ポリマーマトリックスはホモポリマー、コポリマーおよび三元重合体のうちの一つを含む請求項24に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項27】
前記ポリマーマトリックスは第一の繰り返し単位と第二の繰り返し単位とを含む請求項24に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項28】
前記第一の繰り返し単位はアルキルノルボルネン系の繰り返し単位を含み、前記第二の繰り返し単位はノルボルネン系の繰り返し単位を含む請求項27に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項29】
前記アルキルノルボルネン系の繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含む請求項28に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項30】
さらにプロカタリストと、前記ポリマーマトリックスと相溶性のある少なくとも1種類のモノマーとを含む請求項24に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項31】
前記プロカタリストは前記弱配位アニオンと関連して潜在活性形態に変換され、十分な熱の適用に伴って活性形態に変換され、前記活性形態の前記プロカタリストは前記少なくとも1種類のモノマーを重合する請求項30に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項32】
前記少なくとも1種類のモノマーは少なくとも1種類のノルボルネン系モノマーを含む請求項30に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項33】
前記少なくとも1種類のノルボルネン系モノマーはヘキシルノルボルネンおよびビス-ノルボルネンメトキシジメチルシランを含む請求項32に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項34】
前記ポリマーマトリックスはヘキシルノルボルネンの繰り返し単位およびジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含む請求項33に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項35】
前記少なくとも1種類のノルボルネン系モノマーはアルキルペンダントグループを有するノルボルネン系モノマーを含む請求項32に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項36】
前記少なくとも1種類のモノマーはノルボルネン系架橋モノマーを含む請求項30に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項37】
前記プロカタリストは式(E(R)3)2Pd(Q)2で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「E(R)3」中の「R」は水素、その同位体およびハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子である請求項30に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項38】
前記プロカタリストは式 [(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は第15族の元素であり、「R」は水素、その同位体、およびアニオン性ハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子であり、「LB」はルイス塩基であり、「WCA」は弱配位アニオンであり、「a」は1,2又は3の整数であり、「b」は0,1又は2の整数であり、「a」と「b」の合計は1,2又は3であり、「p」および「r」はパラジウムカチオンと弱配位アニオンが上記式[(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]の構造にて電荷のバランスをとる数を表す請求項30に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項39】
「p」および「r」はそれぞれ1および2の整数から選択される請求項38に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項40】
前記脱離性ペンダントグループは-O-、Si-フェニルおよび-OSi-からなる群から選択される少なくとも1種類の成分を含む請求項24に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項41】
さらに増感剤を含む請求項24に記載の光誘発熱現像性フィルム。
【請求項42】
第一の部分と前記第一の部分の横に隣接する第二の部分とを有する材料を含み、前記第一の部分は第一の屈折率を有する第一のノルボルネン系ポリマー材料を含み、前記第二の部分は前記第一の屈折率よりも低い第二の屈折率を有する第二のノルボルネン系ポリマー材料を含む光導波路。
【請求項43】
前記第一の部分は光導波路のコア部分を含み、前記第二の部分は光導波路のクラッド部分を含む請求項42に記載の光導波路。
【請求項44】
前記第一および第二のノルボルネン系材料はアルキルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項42に記載の光導波路。
【請求項45】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項44に記載の光導波路。
【請求項46】
前記第一および第二のノルボルネン系材料は第一のノルボルネン系の繰り返し単位と第二のノルボルネン系の繰り返し単位とを含む請求項42に記載の光導波路。
【請求項47】
前記第一のノルボルネン系の繰り返し単位はアルキルノルボルネンの繰り返し単位を含み、前記第二のノルボルネン系の繰り返し単位はノルボルネン系の繰り返し単位を含む請求項46に記載の光導波路。
【請求項48】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含む請求項47に記載の光導波路。
【請求項49】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はベンジルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項47に記載の光導波路。
【請求項50】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はフェニルエチルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項47に記載の光導波路。
【請求項51】
更に前記材料層に上下に隣接して配置されるクラッド層を含む請求項43に記載の光導波路。
【請求項52】
前記材料層の前記光導波路のクラッド部分および前記クラッド層は前記材料の層の前記光導波路のコア部分を取り囲み、前記クラッド層は第三のノルボルネン系ポリマー材料を含む請求項51に記載の光導波路。
【請求項53】
前記第三のノルボルネン系材料はアルキルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項52に記載の光導波路。
【請求項54】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項53に記載の光導波路。
【請求項55】
前記第三のノルボルネン系ポリマー材料はエポキシペンダントグループを有するノルボルネン系の繰り返し単位を含む請求項52に記載の光導波路。
【請求項56】
第一の屈折率を有し、ポリマーマトリックス、前記ポリマーマトリックスと相溶性のある少なくとも1種類のモノマー、プロカタリストおよびコカタリストを含む第一の材料層を用意し(ここで、前記ポリマーマトリックスおよび前記少なくとも1種類のモノマーは異なる屈折率を有し、前記コカタリストは、化学線の照射に伴い、前記プロカタリストを潜在活性形態に変換し、前記潜在活性形態は、第一の温度での加熱に伴い、活性形態に変換される);
前記第一の材料層の第一の部分に前記化学線を選択的に照射し;
前記第一の材料層を前記第一の温度で第一の加熱を行い、前記第一の屈折率を第二の屈折率に変換する光導波路の形成方法。
【請求項57】
前記プロカタリストは、前記第一の温度よりも高い第二の温度での加熱に伴い、前記化学線の照射なしに、活性形態に変換する請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記コカタリストは、化学線の照射に伴い、カチオンと弱配位アニオンとを生じる光開始剤を含み、前記プロカタリストは前記弱配位アニオンと関連して前記潜在活性形態に変換される請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1種類のモノマーは少なくとも1種類のノルボルネン系モノマーを含む請求項56に記載の方法。
【請求項60】
更に、前記第一の材料層の上に第二の材料層を用意する工程を含み、前記第二の材料層は前記第二の屈折率と異なる第三の屈折率を有する請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記第二の材料層はポリマーマトリックス、前記第二の材料の前記ポリマーマトリックスと相溶性のある少なくとも1種類のモノマー、プロカタリストおよびコカタリストを含み、前記第二の材料層の前記コカタリストは、化学線の照射に伴い、前記第二の材料層の前記プロカタリストを潜在活性形態に変換し、前記第二の材料層の前記プロカタリストは、第一の温度での加熱に伴って、活性形態に変換され、前記活性形態にある前記第二の材料層の前記プロカタリストは前記第二の材料の前記少なくとも1種類のモノマーを重合する請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第二の材料の前記コカタリストは、前記化学線の照射に伴って、カチオンと弱配位アニオンとを生じる光開始剤を含み、前記第二の材料層の前記プロカタリストは前記第二の材料層の前記弱配位アニオンと関連して前記潜在活性形態に変換される請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第二の材料層の前記ポリマーマトリックスは、エポキシペンダントグループを有するノルボルネン系の繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーを含む請求項61に記載の方法。
【請求項64】
更に、前記第一の材料層を前記第二の温度で第二の加熱を行う工程を含む請求項57に記載の方法。
【請求項65】
前記第一の材料層を、前記第二の温度よりも少なくとも20℃高い第三の温度で第三の加熱を行う請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ポリマーマトリックスはノルボルネン系ポリマーである請求項56に記載の方法。
【請求項67】
前記ポリマーマトリックスは第一の繰り返し単位と第二の繰り返し単位とを含む請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記第一の繰り返し単位はアルキルノルボルネンの繰り返し単位を含み、前記第二の繰り返し単位はノルボルネン系の繰り返し単位を含む請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含む請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はベンジルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返単位を含み、前記ノルボルネン系の繰り返し単位はフェニルエチルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記プロカタリストは式(E(R)3)2Pd(Q)2で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「E(R)3」中の「R」は水素、その同位体およびハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子である請求項56に記載の方法。
【請求項73】
前記プロカタリストは式 [(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は第15族の元素であり、「R」は水素、その同位体およびアニオン性ハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子であり、「LB」はルイス塩基であり、「WCA」は弱配位アニオンであり、「a」は1,2又は3の整数であり、「b」は0,1又は2の整数であり、「a」と「b」の合計は1,2又は3であり、「p」および「r」はパラジウムカチオンと弱配位アニオンが上記式[(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]の構造において電荷のバランスをとる数を表す請求項56に記載の方法。
【請求項74】
「p」および「r」はそれぞれ1および2の整数から選択される請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記第一の屈折率は前記第二の屈折率よりも高く、前記第一の材料層の前記第一の部分は少なくとも1つのクラッド部分を含む請求項56に記載の方法。
【請求項76】
前記第一の屈折率は前記第二の屈折率よりも低く、前記第一の材料層の前記第一の部分は少なくとも1つのコア部分を含む請求項56に記載の方法。
【請求項77】
前記少なくとも1種類のモノマーは架橋モノマーを含む請求項56に記載の方法。
【請求項78】
前記架橋モノマーはノルボルネン系架橋モノマーを含む請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第一の材料層は更に酸化防止剤を含む請求項56に記載の方法。
【請求項80】
前記第一の材料層は更に増感剤を含む請求項56に記載の方法。
【請求項81】
前記化学線は約200〜450nmのピーク波長を有する請求項56に記載の方法。
【請求項82】
前記照射の工程は、前記第一の材料層の前記第一の部分に、約1〜9 J/cm2の照射量で、前記化学線を照射する工程を含む請求項56に記載の方法。
【請求項83】
前記ポリマーマトリックスは、前記照射と第一の加熱の結果として、前記ポリマーマトリックスから少なくとも部分的に脱離して前記第一の材料層から除去される脱離性ペンダントグループを含む請求項56に記載の方法。
【請求項84】
前記脱離性ペンダントグループは-O-、Si-フェニルおよび-OSi-からなる群から選択される少なくとも1成分を含む請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記ポリマーマトリックスはジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含む請求項56に記載の方法。
【請求項86】
前記ポリマーマトリックスはヘキシルノルボルネンの繰り返し単位とジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位とを含む請求項56に記載の方法。
【請求項87】
前記第二の材料層はポリマーマトリックスと、化学線照射に伴ってカチオンおよび弱配位アニオンを生じる光開始剤とを含む請求項60に記載の方法。
【請求項88】
前記第二の材料層は、さらに前記第二の材料層の前記ポリマーマトリックスと相溶性のある少なくとも1種類のモノマーと;前記弱配位アニオンと関連して潜在活性形態に変換され、且つ前記第一の加熱に伴って前記第二の材料層の前記少なくとも1種類のモノマーを重合するプロカタリストと;を含む請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記照射の工程は前記第一の材料層をマスクエレメントでマスクする工程を含み、このマスクエレメントは、前記第一の材料層のうちの化学線に晒される前記第一の部分に対応する非マスク部分を有している請求項56に記載の方法。
【請求項90】
少なくとも1個のクラッド部分と横に隣接する少なくとも1個のコア部分とを含む導波路層を含む光導波路であって、
前記少なくとも1個の横に隣接するコア部分は第一のポリマー材料を含み、この第一のポリマー材料は第一の繰り返し単位を含み、前記第一の繰り返し単位のそれぞれは脱離性ペンダントグループを有しており、
前記少なくとも1個のクラッド部分は前記第一のポリマー材料を含み、前記脱離性ペンダントグループは、少なくとも部分的に、前記第一の繰り返し単位の少なくとも一部が欠落しており、前記少なくとも1個の横に隣接するコア部分の第一の屈折率は前記少なくとも1個のクラッド部分の第二の屈折率よりも高くなっている光導波路。
【請求項91】
前記第一のポリマー材料はノルボルネン系ポリマーである請求項90に記載の光導波路。
【請求項92】
前記第一のポリマー材料は更に第二の繰り返し単位を含む請求項90に記載の光導波路。
【請求項93】
前記第一の繰り返し単位はジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含み、前記第二の繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含む請求項92に記載の光導波路。
【請求項94】
前記第一のポリマー材料は更に少なくとも1種類のモノマーに由来する繰り返し単位を含み、前記少なくとも1種類のモノマーは前記第一のポリマー材料の屈折率よりも低い屈折率を有しており、前記少なくとも1個のクラッド部分は、前記少なくとも1種類のモノマーに由来する前記繰り返し単位の濃度が、前記少なくとも1個の横に隣接するコア部分よりも、高くなっている請求項90に記載の光導波路。
【請求項95】
前記少なくとも1種類のモノマーはノルボルネン系モノマーである請求項94に記載の光導波路。
【請求項96】
前記少なくとも1種類のモノマーは架橋モノマーである請求項94に記載の光導波路。
【請求項97】
前記架橋モノマーはノルボルネン系架橋モノマーを含む請求項96に記載の導波路。
【請求項98】
前記第一のポリマー材料はホモポリマー、コポリマーおよび三元重合体のうちの一つを含む請求項90に記載の光導波路。
【請求項99】
前記光導波路はさらにプロカタリストおよびその残渣の少なくとも1個を含んでいる請求項90に記載の光導波路。
【請求項100】
前記プロカタリストは式(E(R)3)2Pd(Q)2で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「E (R)3」中の「R」は水素、その同位体およびハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子である請求項99に記載の光導波路。
【請求項101】
前記プロカタリストは式 [(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]で表され、式中、「E (R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「R」は水素、その同位体およびアニオン性ハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子であり、「LB」はルイス塩基であり、「WCA」は弱配位アニオンであり、「a」は1,2又は3の整数であり、「b」は0,1又は2の整数であり、「a」と「b」の合計は1,2又は3であり、「p」および「r」はパラジウムカチオンと弱配位アニオンが上記式[(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]の構造において電荷のバランスをとる数を表す請求項99に記載の光導波路。
【請求項102】
「p」および「r」はそれぞれ1および2の整数から選択される請求項101に記載の光導波路。
【請求項103】
さらに酸化防止剤を含む請求項90に記載の光導波路。
【請求項104】
前記脱離性ペンダントグループは-O-、Si-フェニルおよび-OSi-からなる群から選択される少なくとも1種類の成分を含む請求項90に記載の光導波路。
【請求項105】
さらに前記導波路層の上に配置されたクラッド層を含む請求項90に記載の光導波路。
【請求項106】
前記クラッド層はノルボルネン系ポリマーを含む請求項105に記載の光導波路。
【請求項107】
更に前記光導波路層を支持する基板を含む請求項90に記載の光導波路。
【請求項108】
第一の屈折率を有するフィルムを用意し(ここで、前記フィルムは、ポリマーマトリックスおよび光開始剤を含み、前記ポリマーマトリックスは少なくとも一部が脱離性ペンダントグループを有する繰り返し単位を含み、前記光開始剤は化学線の照射に伴いカチオンと弱配位アニオンとを生じる);
前記フィルムの第一の部分に前記化学線を選択的に照射し;
前記フィルムを第一の温度で加熱し、前記繰り返し単位の少なくとも一部の前記脱離性ペンダントグループは、前記照射および加熱の結果として、少なくとも部分的に脱離して前記第一の部分から除去され、これによって前記第一の屈折率を第二の屈折率に変化させる光導波路の形成方法。
【請求項109】
前記繰り返し単位はノルボルネン系の繰り返し単位である請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記ノルボルネン系の繰り返し単位はヘキシルノルボルネンの繰り返し単位および/またはジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランの繰り返し単位を含む請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記フィルムは、さらに、少なくとも1種類のモノマーとプロカタリストとを含み、前記プロカタリストは前記弱配位アニオンと関連して潜在活性形態に変換され、前記第一の温度での加熱に伴って活性形態に変換され、前記活性形態の前記プロカタリストは前記少なくとも1種類のモノマーを重合する請求項108の方法。
【請求項112】
前記少なくとも1種類のモノマーはノルボルネン系モノマーを含む請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記少なくとも1種類のモノマーは架橋モノマーを含む請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記架橋モノマーはノルボルネン系架橋モノマーを含む請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記プロカタリストは、前記第一の温度よりも高い第二の温度への加熱に伴い、前記化学線の照射なしに、活性形態に変換される請求項111に記載の方法。
【請求項116】
さらに、前記フィルムを前記第二の温度に加熱する工程を含む請求項115に記載の方法。
【請求項117】
さらに、前記フィルムを、前記第二の温度よりも少なくとも20℃高い第三の温度に加熱する工程を含む請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記フィルムは更に酸化防止剤を含む請求項108に記載の方法。
【請求項119】
前記プロカタリストは式(E(R)3)2Pd(Q)2で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「E(R)3」中の「R」は水素、その同位体およびハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子である請求項111に記載の方法。
【請求項120】
前記プロカタリストは式 [(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]で表され、式中、「E(R)3」は第15族の中性電子ドナー配位子であり、「E」は周期律表の第15族から選択される元素であり、「R」は水素、その同位体、およびアニオン性ハイドロカルビルを含む部位の一つであり、「Q」はカルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子であり、「LB」はルイス塩基であり、「WCA」は弱配位アニオンであり、「a」は1,2又は3の整数であり、「b」は0,1又は2の整数であり、「a」と「b」の合計は1,2又は3であり、「p」および「r」はパラジウムカチオンと弱配位アニオンが上記式[(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]の構造において電荷のバランスをとる数を表す請求項111に記載の方法。
【請求項121】
「p」および「r」はそれぞれ1および2の整数から選択される請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記化学線は約200〜450nmのピーク波長を有する請求項108に記載の方法。
【請求項123】
前記照射の工程は、前記フィルムの前記第一の部分に、約1〜9 J/cm2の照射量で照射する工程を含む請求項108に記載の方法。
【請求項124】
前記脱離性ペンダントグループは-O-、Si-フェニルおよび-OSi-からなる群から選択される少なくとも1成分を含む請求項108に記載の方法。
【請求項125】
さらに前記フィルムの上に第二のフィルムを用意する工程を含み、前記第二のフィルムはポリマーマトリックスおよび光開始剤を含み、前記第二のフィルムの前記ポリマーマトリックスは少なくともその一部が脱離性ペンダントグループを有する繰り返し単位を含み、前記第二のフィルムの前記光開始剤は、化学線の照射に伴って、カチオンと弱配位アニオンとを生じる請求項108に記載の方法。
【請求項126】
前記脱離性ペンダントグループは-O-、Si-フェニルおよび-OSi-からなる群から選択される少なくとも1成分を含む請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記第一の部分は前記光導波路構造のクラッド部分を含む請求項108に記載の方法。
【請求項128】
前記照射の工程は、前記第一の部分に対応する非マスク部分を有するマスクエレメントで前記フィルムをマスクする工程を含む請求項108に記載の方法。
【請求項129】
前記フィルムは更に増感剤を含む請求項108に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−162772(P2011−162772A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−25(P2011−25)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【分割の表示】特願2006−541238(P2006−541238)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】