説明

光干渉断層計を用いた画像形成方法、及び光干渉断層装置

【課題】 被検査物の画像情報どうしの光軸方向に関する位置関係を関連付けることができる光干渉断層法を用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】 まず、光軸方向に関する第1の焦点4301の位置における被検査物の第1の画像情報4302を取得する。
次に、光軸方向に関して、第1の焦点4301とは異なる第2の焦点4303の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点位置を変える。
また、第2の焦点4303の位置における被検査物の第2の画像情報4304を取得する。
ここで、被検査物の断層画像情報4305であって、且つ第1或いは第2の焦点の少なくとも一方の焦点の位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をフーリエドメイン法により取得する。
そして、第3の画像情報を用いて、第1及び第2の画像情報との光軸方向に関する位置関係を関連付けて、被検査物の断層像または三次元像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉断層計を用いた画像形成方法及び光干渉断層装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低コヒーレンス光の干渉を利用したイメージング装置が実用化されている。これは、OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計あるいは光干渉断層法)と呼ばれている。
【0003】
OCTは、眼科領域において、眼底あるいはその近傍の断層像を得る目的で用いられている。また、眼科以外においても、OCTは皮膚の断層像の観察や、内視鏡やカテーテルに組み込むことで消化器や循環器の壁面断層撮影等が試みられている。
【0004】
OCTの種類としては、TD−OCT(Time Domain OCT:タイムドメイン法)と呼ばれる方法が、特許文献1に開示されている。この方法について、図32を用いて簡単に説明する。
ここで図32は、TD−OCTを表す模式図である。
【0005】
照射手段3201により照射された光は分割手段3202により、参照光と信号光に分割される。参照光は、可動参照ミラー3203により反射される。可動参照ミラー3203は、図で示したように、1次元方向に機械的に動くことにより、被検査物3205に入射する信号光の光軸方向における被検査物3205内の測定位置を規定する。
【0006】
信号光は光走査光学系3204を経て、被検査物3205に入射し、反射される。光走査光学系3204は、被検査物3205に入射する信号光を所定方向に走査する。可動参照ミラー3203と被検査物3205からのそれぞれの反射光は互いに干渉し合い、その干渉光を検出手段3207によって検出し、被検査物3205に関する情報を測定する。
【0007】
TD−OCTは、可動参照ミラー3203によるAスキャン(被検査物への入射光の軸方向もしくは被検査物内の深さ方向の走査)により、逐次取得される干渉光の強度データをベースにして画像データを構築する方法である。
【0008】
光走査光学系3204を、被検査物3205に入射する信号光を該被検査物の面内の一方向(例えばx方向)に走査することで、Aスキャンによる1次元データを連続的に取得できる。
【0009】
そして、連続的に取得される画像を用いて、2次元断層画像を得ることができる。また、前記信号光を前記面内の二方向(例えばx方向とy方向)に走査することで、3次元イメージング画像を得ることができる。
【0010】
ここで、TD−OCTによる測定速度を上げるためには、可動参照ミラー3203を高速に動かす必要があるが、可動参照ミラー3203の高速化には機械的な限界がある。
【0011】
また、他のOCTの種類として、SD−OCT(Spectral Domain OCT:スペクトラルドメイン法)と呼ばれる方法が、非特許文献1に開示されている。この方法について、図33を用いて簡単に説明する。
【0012】
ここで図33は、SD−OCTを表す模式図である。図33において、図32と異なる構成は、可動参照ミラーが固定参照ミラー3308である点と、回折格子等の分光器3309を用いている点と、検出手段がラインセンサなどの分光検出手段3310である点である。3305は被検査物、3306は測定領域、3304は走査光学系、3302は光分割手段、3308は反射手段、3301は光源である。
【0013】
SD−OCTは、分光器3309により分光したスペクトルを分光検出手段3310により検出し、波長軸に関する干渉光強度情報を断層位置軸に関する情報へフーリエ変換することにより、時間的に一括して画像データを取得する方法である。このSD−OCTは、被検査物3305内の深さ方向の画像データを一括して得られるため、深さ方向に時間的に逐次走査するTD−OCTに比べて、測定速度を上げることができる。
【0014】
ここで、SD−OCT(スペクトラルドメイン法)は、FD−OCT(フーリエドメイン法)の一つであり、他にはSS−OCT(Source Swept−OCT)がある。
【特許文献1】米国特許明細書第5,321,501号
【特許文献2】特表2002−515593号公報(第9から19頁、第1図、第2図)
【非特許文献1】Handbook of Optical Coherence Tomography (2006)(第145、149頁、第2、3図、および、第338頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
一般にSD−OCTによる断層像は、横分解能(被検査物の深さ方向を縦分解能というのに対して、横分解能とは、各深さ位置での面内方向の画像に関する分解能のことである。)を上げることが難しいことが指摘されている。
【0016】
本発明者らは、TD−OCTにより断層像を形成するにせよ、SD−OCTにより断層像を形成するにせよ、参照ミラー3203をメカニカルに高速で可動させることが難しい現状を踏まえ、以下に示すアイデアに想到した。
【0017】
即ち、まず、被検査物の深さ方向(z方向)に関して、特定の焦点を含む位置における一次元像(x方向あるいはy方向の像)あるいは二次元像(xy平面)を取得する。そして、前記深さ方向に関して、前記焦点の位置を変えて、それぞれの焦点位置を含む一次元像や二次元像を順次取得し、それらの画像を深さ方向に沿って積層することで断層像や三次元像を形成するのである。
【0018】
しかしながら、焦点位置を変えて一次元像や二次元像を取得する場合、被検査物内の深さ方向に関して、特定の焦点位置で一次元方向(あるいは二次元方向)に走査をしてから、次の焦点位置に移動し、走査を繰り返すことになる。このため、被検査物が動いたり、測定系への擾乱や振動により、ある焦点位置で取得したデータと、別の焦点位置で取得したデータとの深さ方向の間隔に、大きなずれが生じ易いという問題を見出した。
【0019】
例えば、眼底の断層撮像においては、神経や細胞の層の厚さの変化自体を疾病の診断指標に用いることなどが行われている。このため、被検査物の画像情報どうしの深さ方向に関する位置情報を関連付ける必要があるという認識に至った。このとき、FD−OCT(フーリエドメイン法)を用いて一括して取得した深さ方向の断層情報を利用することができる。
【0020】
以上説明したように、本発明の目的は、被検査物の画像情報どうしの深さ方向(被検査物に光を入射する方向である光軸方向)に関する位置関係を関連付けることができる新規な光干渉計断層法を用いた画像形成方法、及び光干渉断層装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1の本発明に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点の位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程とを含み、
前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0022】
第2の本発明に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物のCスキャン像である第1の画像情報を、タイムドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物のCスキャン像である第2の画像情報を、タイムドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点の位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報を、スペクトラルドメイン法により取得する工程とを含み、
前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0023】
第3の本発明に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報を、フーリエドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報を、フーリエドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程と、
前記第1あるいは第2の画像情報取得工程の少なくとも一方の工程により得られる前記被検査物の断層情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0024】
第4の本発明に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の前記光軸方向に関する断層画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程とを含み、
前記断層画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0025】
また、別の本発明に係る光干渉断層計を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点を含む位置における該被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点とは異なる第2の焦点を含む位置における前記被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程とを含み、
前記第1及び第2の画像情報取得工程によりそれぞれ得られる画像情報同士の位置関係を、前記第3の画像情報を用いて補正して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0026】
また、別の本発明に係る光干渉断層計を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点を含む位置における該被検査物のCスキャン像を、タイムドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点とは異なる第2の焦点を含む位置における前記被検査物のCスキャン像を、タイムドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をスペクトラルドメイン法により取得する工程とを含み、
前記第1及び第2の画像情報取得工程によりそれぞれ得られる画像情報同士の位置関係を、前記第3の画像情報を用いて補正して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0027】
また、別の本発明に係る光干渉断層計を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点を含む位置における該被検査物の一次元あるいは二次元像を、スペクトラルドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点とは異なる第2の焦点を含む位置における前記被検査物の一次元あるいは二次元像を、スペクトラルドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程と、
前記第1あるいは第2の画像情報取得工程の少なくとも一方の工程により得られる前記被検査物の断層情報を用いて、前記第1及び第2の画像情報取得工程によりそれぞれ得られる画像情報同士の前記光軸方向の位置関係を補正して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0028】
また、別の本発明に係る光干渉断層計を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点を含む位置における該被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点とは異なる第2の焦点を含む位置における前記被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の前記光軸方向に関する断層画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程とを含み、
前記第1及び第2の画像情報取得工程によりそれぞれ得られる画像情報同士の位置関係を、前記断層画像情報を用いて補正して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0029】
また、別の本発明に係る光干渉断層計を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する該被検査物の一次元あるいは二次元像を、前記光軸方向に関する焦点位置を変えながら、スペクトラルドメイン法によりそれぞれ取得して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。
【0030】
また、別の本発明に係る光干渉断層装置は、上述の本発明における画像形成を行うための装置であって、
被検査物に光を入射するための光源と、前記光源からの光を信号光と参照光に分割するための光分割手段と、該参照光と信号光との干渉光を分光して検知するための検知手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した本発明によれば、被検査物の画像情報どうしの深さ方向(被検査物に光を入射する方向である光軸方向)に関する位置関係を関連付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る光干渉断層計(光干渉断層法とも換言できる。)を用いた画像形成方法は、少なくとも以下の1)から4)の工程を有する。
【0033】
1)被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点を含む位置における該被検査物の第1の画像情報(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を取得する第1の画像情報取得工程
2)前記光軸方向に関して、前記第1の焦点とは異なる第2の焦点を含む位置における前記被検査物の第2の画像情報(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を取得する第2の画像情報取得工程
3)前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程
4)前記第1及び第2の画像情報取得工程によりそれぞれ得られる画像情報同士の位置関係を、前記第3の画像情報を用いて補正して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する工程
上記工程に関して、図1を用いて説明する。なお、上記工程1)、2)及び3)の工程の順番は特に限定されるものではなく、例えば、1)2)3)の順でも、1)3)2)の順でも、3)2)1)の順でもよい。
【0034】
同図において、1は光源(例えば、低コヒーレント光源、SLDなど)であり、その波長は、特に制限されるものではないが、400nmから2μmの範囲である。
そして、OCTを実現するための波長幅としては、例えば1pm以上、好ましくは10pm以上、更に好ましくは30pm以上の波長幅であることがよい。チタンサファイアレーザなどの超短パルスレーザなどを光源に用いることもできる。
【0035】
2は光分割手段であり、光源1からの入力光が、ここで、信号光(被検知物に入射する光)と参照光(反射板3に向かう光)とに分割される。4は、信号光を1次元方向あるいは二次元方向にスキャンするための手段である。5はレンズ、6は被検査物、7はレンズ5によりフォーカシングされる所定の焦点位置と、その近傍を示している。8は、信号光と参照光との干渉光を分割するための手段、10は入力光を波長毎に分けるための分光器、11は波長ごとに検知するためのセンサアレイである。9は、干渉光を検知するための検知手段である。
【0036】
ここで、工程1)における第1の焦点は、有限な幅を持つものである。また、焦点の大きさは、特に限定されるものではない。後述する第2の焦点や第3の焦点についても同様である。
【0037】
また、一次元像とは、例えば、ある焦点位置における被検査物の面内の一方向(x方向あるいはy方向であり、深さ方向に直交する方向のことである。)の像のことである。更にまた、二次元像とは、例えば、ある焦点位置における被検査物の面内の二方向(x方向あるいはy方向であり、深さ方向に直交する方向のことである。)の像のことであり、Cスキャン像と呼ばれることもある。なお、工程2)においても同様のことが言える。Cスキャン像を取得するOCTをTS−OCTというが、これに関しては後述する。
【0038】
なお、第1の焦点を含む位置における被検査物の一次元あるいは二次元像と、第2の焦点を含む位置における一次元あるいは二次元像同士は、実質的に平行であることが望ましいが、必ずしも平行である必要はない。例えば、両画像が交差するような画像の関係にあってもよい。
【0039】
前記第3の画像情報は、前記フーリエドメイン法の一つであるスペクトラルドメイン法(SD−OCT)により取得する。なお、同じくフーリエドメイン法の一つである、SS−OCT(Source Swept−OCT)を利用することもできる。特に、フーリエドメイン法による断層方向の画像は、縦分解能が高く、本発明では、それを利用して、被検査物に関する前記第1の画像情報と第2の画像情報との深さ方向の位置関係を補正する。工程4)における位置関係の補正とは、例えば、第1及び第2の画像情報取得工程で得られる画像同士を被検査物の深さ方向に関して補正したり、前記光軸方向に関する補正を意味する。
【0040】
前記補正について、以下で説明する。
【0041】
(補正の制御の種類)
補正の制御の種類は、主に2種類あり、制御のフローが閉じているか開いているかによって、クローズループとオープンループと呼ばれる。
【0042】
クローズループは、深さ方向に関する画像情報どうしの位置関係を、画像情報を取得しながら補正する手法で、追尾と呼ばれることがある。また、オープンループは、深さ方向に関する画像情報どうしの位置関係を、画像情報を取得した後に補正する手法である。
【0043】
ここで、上記2つの制御は、以下で述べる3つの検出手法のいずれにも適用できる。
【0044】
なお、本発明は、これらの補正に限定されるものではない。
【0045】
次に、補正の検出手法について述べる。なお、補正の検出手法として、実施例2で詳述している位置合わせ例(相関関数を用いる例など)が好適だが、本発明の検出手法はこれらに限定されるものではない。
【0046】
(第1の補正の検出手法)
第1の補正の検出手法について、図43を用いて説明する。
【0047】
前記第3の画像情報は、前記第1の焦点4301の位置における前記光軸方向に沿った断層画像情報4305である。ここで、本発明において、焦点の位置における被検査物の画像情報は、その焦点を含む位置における被検査物の画像情報と換言することもできる。また、本発明における焦点とは、ダイナミックフォーカシングによりフォーカシングした点のことであり、焦点の大きさについて特に限定するものではない。
【0048】
また、前記第3の画像情報は、前記第2の焦点4303の位置における前記被検査物の断層情報を含んでいる。
【0049】
さらに、前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報4302と前記第2の画像情報4304との前記光軸方向に関する位置関係を補正する。
【0050】
ここで、前記第2の画像情報4304を取得した際に、すでに取得されている前記断層画像情報4305を用いることにより、前記第2の画像情報4304の深さ方向の位置ずれを検知することができる。この位置ずれを補正しながら(追尾しながら)前記被検査物の断層像または三次元像を形成することができる。もちろん、以下の検出手法においても、位置ずれを補正しながら前記被検査物の断層像または三次元像を形成することができることは上述した。
【0051】
(第2の補正の検出手法)
第2の補正の検出手法について、図44を用いて説明する。
【0052】
前記第3の画像情報は、フーリエドメイン法により取得され、且つ前記被検査物の前記第1の焦点4401の位置における前記光軸方向に沿った第1の断層像4405を含む。
【0053】
また、前記第3の画像情報は、フーリエドメイン法により取得され、且つ前記被検査物の前記第2の焦点4403の位置における前記光軸方向に沿った第2の断層像4406を含む。
【0054】
そして、前記第1の断層像4405と前記第2の断層像4406との重複する領域4407における情報を用いて、前記補正を行う。すなわち、前記第1及び第2の断層像4405、4406にそれぞれ関連付けられている前記第1の画像情報4402と前記第2の画像情報4404との光軸方向に関する位置関係を補正する。
【0055】
別の第2の補正は以下のとおりである。
【0056】
すなわち、前記第3の画像情報として、前記第1の焦点4401の位置及び前記第2の焦点4403の位置の両方の位置における該被検査物の断層画像4405、4406をそれぞれフーリエドメイン法により取得する。そして、それぞれの断層画像の重複している箇所4407の情報を用いて前記補正を行う。
【0057】
(第3の補正の検出手法)
第3の補正の検出手法について、図45を用いて説明する。
【0058】
まず、被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点4501の位置における該被検査物の第1の画像情報4502(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を取得する。
【0059】
次に、前記光軸方向に関して、前記第1の焦点4501の位置から該第1の焦点4501とは異なる第2の焦点4503の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える。
【0060】
また、前記第2の焦点4503の位置における前記被検査物の第2の画像情報4504(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を取得する。
【0061】
更にまた、前記被検査物の前記光軸方向に関する断層画像情報4505をフーリエドメイン法により取得する。
【0062】
ここで、前記断層画像情報4505を、前記光軸方向に関して、前記第1及び第2の焦点4501、4503の位置とは異なる第3の焦点4508の位置で取得することができる。このとき、前記断層画像情報4505を、該第1及び第2の焦点4501、4503の位置における被検査物の画像情報を含み取得することが好ましい。
【0063】
これにより、前記断層画像情報4505を用いて、前記第1の画像情報4502と前記第2の画像情報4504との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する。
【0064】
(別の補正)
ここで、別の補正は、以下のとおりである。
【0065】
すなわち、前記第3の画像情報は、スペクトラルドメイン法により取得され、且つ前記被検査物の前記第1の焦点の位置を含む前記光軸方向に沿った断層画像情報である。そして、該断層画像情報と前記第2の画像情報取得工程により得られる画像とを用いて、前記補正を行うことができる。
【0066】
また別の補正は、以下のとおりである。
【0067】
すなわち、前記第3の画像情報は、スペクトラルドメイン法により取得され、且つ前記被検査物の前記第1の焦点の位置を含む前記光軸方向に沿った第1の断層像の少なくとも一部を含む。
【0068】
また、前記第3の画像情報は、スペクトラルドメイン法により取得され、且つ前記被検査物の前記第2の焦点の位置を含む前記光軸方向に沿った第2の断層像の少なくとも一部を含む。
【0069】
ここで、前記第1の断層像と前記第2の断層像との重複する領域における情報を用いて、該第1及び第2の断層像にそれぞれ関連付けられている前記第1及び第2の画像情報取得工程により得られる画像情報同士の位置関係を補正することができる。
【0070】
更にまた別の補正は、以下のとおりである。
【0071】
すなわち、前記第3の画像情報として、前記第1の焦点の位置及び前記第2の焦点の位置の両方の位置における該被検査物の断層画像をそれぞれフーリエドメイン法により取得する。そして、それぞれの断層画像の重複している箇所の情報を用いて前記補正を行うこともできる。
【0072】
なお、具体的な補正の手法に関しては、各実施例において詳述しているが、本発明にて供される補正は当該方法に限定されるものではない。
【0073】
(a)第1及び第2の画像情報=TD−OCT
前記第1及び第2の画像情報取得工程は、タイムドメイン法により前記被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する工程とすることができる。
【0074】
(b)TS−OCTをSD−OCT画像で補正
本実施形態1に係る光干渉断層計を用いた画像形成方法は、具体的には以下の工程により実施することができる。
【0075】
1)被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点を含む位置における該被検査物のCスキャン像を、タイムドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程
2)前記光軸方向に関して、前記第1の焦点とは異なる第2の焦点を含む位置における前記被検査物のCスキャン像を、タイムドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程
3)前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をスペクトラルドメイン法により取得する工程
4)前記第1及び第2の画像情報取得工程によりそれぞれ得られる画像情報同士の位置関係を、前記第3の画像情報を用いて補正して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する工程
(c)SD−OCT取得時、焦点位置限定しないパターン
また、本実施形態1に係る発明は、以下の工程によっても実施することができる。
【0076】
1)被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点を含む位置における該被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する第1の画像情報取得工程
2)前記光軸方向に関して、前記第1の焦点とは異なる第2の焦点を含む位置における前記被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する第2の画像情報取得工程
3)前記被検査物の前記光軸方向に関する断層画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程
4)前記第1及び第2の画像情報取得工程によりそれぞれ得られる画像情報同士の位置関係を、前記断層画像情報を用いて補正して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する工程
なお、フーリエドメイン法として、SD−OCTを用いて、補正を行う際には、以下の点を考慮するのがよい。タイムドメイン法による断層像を取得する際にAOMなどの周波数シフタを用いている場合、該周波数シフタの駆動回路からの基準信号により、分光器に入力される光強度も相対的に上下してしまう。これを回避する為に、分光器を利用して、スペクトラルドメイン法により断層情報を得る際には、周期の整数又は半整数倍の時間で取得される光強度情報を積分した値を用いるのがよい。あるいは、前記周波数シフタの基準信号と同期させて、スペクトラルドメイン法により強度検出してもよい。
【0077】
補正は、2つの焦点位置における光軸方向の断層像における重複領域同士をあわせることで、補正することができる。
【0078】
(d)DF(ダイナミックフォーカシング)の適用
OCTにおける画像データ取得において、被検査物の面内方向(xy方向)、深さ方向(z軸方向)共に、高い分解能を有することが求められる。
【0079】
ここで、被検査物の深さ方向の分解能を縦分解能(Rz)、被検査物の深さ方向に対して直交する面内方向の分解能を横分解能(Rxy)とする。縦分解能は
Rz=kz×(λ^2/Δλ) ・・・ (式1)
で表され、光源の波長幅(Δλ)に反比例する。ここで、kzは0.4程度の定数である。横分解能は
Rxy=k1×(λ/NA) ・・・ (式2)
で表され、レンズ等の集光系の開口数NA(Numerical Aperture)に反比例する。ここで、k1は0.5程度の定数である。さらに、集光系の焦点深度DOF(Depth of Focus)は
DOF=k2×(λ/NA^2) ・・・ (式3)
で表され、集光系の口径の二乗に反比例する。ここで、k2は0.6程度の定数である。
【0080】
(式2)と(式3)から分かるように、横分解能を高くすること(このときRxyの値は小さくなる。)と、焦点深度を深くすることは、光学原理的なトレードオフの関係にある。OCTが実用化されている眼底診断装置においては、例えばλ=0.84μm、NA=0.02程度の値が用いられており、この数値を(式2)と(式3)に代入すると、Rxy=20μm、DOF=2mm程度となる。
【0081】
被検査物の深さ方向の焦点深度を保ったまま、高い横分解能を得る方法として、DF(ダイナミックフォーカシング、あるいは動的フォーカス)と呼ばれる方法が、前記特許文献1に開示されている。ここで図34を用いてDFを説明する。
【0082】
図34(a)はDFでない場合の模式図である。このとき、レンズ3401は固定されており、3406を主光線とする光束3403となるようにする。これにより、第1の焦点3404と第2の焦点3405とがほぼ同じ大きさとなり、横分解能は低いが焦点深度3407が深くすることができる。
【0083】
一方、図34(b)はDFの場合の模式図である。このとき、レンズ(あるいは合焦光学系)は、3418から3411まで、3419の範囲を可動することができる。また、レンズは、3416を主光線とし、3418の位置にあるとき光束は3413で、3411の位置にあるとき光束は3420となる。これにより、合焦光学系でフォーカシングし続けることができるので、第1の焦点3414と第2の焦点3415との横分解能が高く、且つ焦点深度3417を深くすることができる。
【0084】
ここで、図34(a)と(b)の円で示した領域3402は、被検査物5の断面図を表している。
【0085】
DFをTD−OCTに適用する場合には、可動参照ミラーの動作に同期させて合焦光学系をフォーカスすることにより、高い横分解能で測定データを取得し続けることができる。
【0086】
本実施形態に係る発明においても、動的フォーカス(DF)を用いて、前記第1の焦点や第2の焦点を定め、各焦点を含む断層画像情報を得ることができる。なお、後述する他の実施形態においてもDFを適用できることはいうまでもない。
【0087】
(e)TS−OCT
TS−OCT(Transversal Scan OCT)と呼ばれる方法は、前記特許文献1に開示されている。本実施形態に係る発明においても、第1の画像情報取得工程や第2の画像情報取得工程の際に、各焦点位置における断層像をTS−OCTによる取得することができる。
【0088】
この方法は、前述した図32の構成と類似の構成により実現されるが、その走査方法の違いからAOM(音響光学変調器)等の周波数シフタが好適には用いられる。周波数シフタにより疎密な進行波を発生させ、動く回折格子として利用することで、参照光の位相をリニアに変化させることができる。この周波数シフタを用いることにより、画像データのキャリアである搬送波を発生させることになる。
【0089】
TS−OCTの走査方法は、上述のTD−OCTやSD−OCTのAスキャンをベースとした走査方法とは異なり、Cスキャン(被検査物内の深さ方向に直交する面内方向の走査)による2次元画像の取得をベースにしている。そして、これら2次元画像を被見物内の深さ方向に、複数枚取得し、それらを用いて3次元画像を形成する。
【0090】
この走査方法において、可動参照ミラーは2次元画像を取得してから被検査物内の深さ方向に移動するため、1回移動したら次移動するまでにするまで、Aスキャンに比べて時間的に余裕がある。このためTS−OCTは、合焦光学系を動かす際に、可動参照ミラーと同期させ易く、前述のDFに適した走査方法であるといえる。
【0091】
(第2の実施形態:SD−OCT画像をSD−OCT画像で補正)
本実施形態に係る光干渉断層計を用いた画像形成方法は、以下の工程を有する。
1)被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点を含む位置における該被検査物の一次元あるいは二次元像を、スペクトラルドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程
2)前記光軸方向に関して、前記第1の焦点とは異なる第2の焦点を含む位置における前記被検査物の一次元あるいは二次元像を、スペクトラルドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程
3)前記第1あるいは第2の画像情報取得工程の少なくとも一方の工程により得られる前記被検査物の断層情報を用いて、
前記第1及び第2の画像情報取得工程によりそれぞれ得られる画像情報同士の前記光軸方向の位置関係を補正して、
前記被検査物の断層像または三次元像を形成する工程
本実施形態に係る画像形成方法を行う為の構成を図2に示す。21は光源、22は光分割手段(合成機能も兼ねているが、それぞれ別の部材にすることもできる。)、23は反射板、24は光走査手段(一次元あるいは二次元方向にスキャン)、25はレンズである。26は被検査物であり、27はレンズ25による焦点位置及びその近傍を表す。28は分光器、29は波長ごとに検知する為のセンサアレイである。センサアレイ29により、前記第1及び第2画像情報が取得できる。
【0092】
本実施形態における画像形成方法においては、上述の実施形態1において説明した事項が矛盾しない限りそのまま当てはめることができる。
【0093】
(第3の実施形態:DF付きSD−OCT)
また、本実施形態に係る光干渉断層計を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する該被検査物の一次元あるいは二次元像を、前記光軸方向に関する焦点位置を変えながら、スペクトラルドメイン法によりそれぞれ取得して、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。焦点位置は、上述のダイナミックフォーカシング機構を適用して、定めることができる。
【0094】
特に、焦点位置における画像情報を選択的に残して、その他の部分の画像情報を逐次削除していくことで、データ量を削減することができる。
【0095】
本実施形態における画像形成方法においては、上述の実施形態1において説明した事項が矛盾しない限りそのまま当てはめることができる。
【0096】
(第4の実施形態:装置)
本実施形態に係る装置は、既述の実施形態において説明した画像形成方法を行うための光干渉断層装置である。
【0097】
具体的には、少なくとも被検査物に光を入射するための光源と、前記光源からの光を信号光と参照光に分割するための光分割手段と、該参照光と信号光との干渉光を分光して検知するための検知手段とを有する。各手段の詳細については、下記実施例において詳述している。
【0098】
なお、本実施形態に係る装置として、以下のように構成することもできる。
【0099】
(装置1)
光源からの光を参照光と信号光に分割する分割光学系と、信号光を被検物に導き、披検物内の検査位置を変化させる被検光学系と、当該被検物からの反射光を参照光と合成する合成光学系を具備する。
【0100】
そして、前記被検物に属する所定の検査点およびその近傍から拡がる反射光を集光してコリメートする光学系の略瞳位置、または当該瞳を通過する光束を面積分割することが可能な瞳以外の位置において、振幅分割手段を具備する。あるいは、瞳分割の作用を持つための光束分割手段と換言することもできる。
【0101】
振幅分割手段とは、所定の部分面積で前記反射光を振幅分割する手段である。当該分割された各々の光束の少なくとも一つを前記参照光との非分光的な干渉信号として検出する非分光干渉信号検出手段と、他の光束の少なくとも一つを前記参照光との分光的な干渉信号として検出する分光干渉信号検出手段を具備する。そして、当該分光干渉信号検出手段により得られた前記分光的干渉信号であるところの干渉光信号対波長の関数に対して所定の数値変換を行う数値変換手段を備える。当該数値変換手段により前記分光干渉信号を干渉光信号対光到達位置の関数に変換する。
【0102】
この装置において、被検光学系により複数の検査位置について前記非分光干渉信号検出手段により得られた干渉光信号対検査位置の関数について、異なる検査位置を測定した際に披検物の原点が擾乱により移動したことを以下のように認識する。具体的には、前記他の分光干渉信号検出手段の出力である前記分光干渉信号より数値変換されて得られた前記干渉光信号対光到達位置の関数を用いて認識し、前記干渉光信号対検査位置の関数の検査位置情報について調整を行うことが望ましい。
【0103】
(装置2)
光源からの光を参照光と信号光に分割する分割光学系と、信号光を被検物に導き、披検物内の検査位置を変化させる被検光学系と、当該被検物からの反射光を参照光と合成する合成光学系を具備する。
【0104】
そして、前記被検物に属する所定の検査点およびその近傍から拡がる反射光を集光してコリメートする光学系の略瞳位置または当該瞳を通過する光束を面積分割することが可能な瞳以外の位置において、振幅分割手段を具備する。振幅分割手段とは、所定の部分面積で前記反射光を振幅分割する手段である。更に、当該分割された各々の光束の少なくとも一つを前記参照光との分光的な干渉信号として検出する分光干渉信号検出手段と、他の光束の少なくとも一つを前記参照光との分光的な干渉信号として検出する他の分光干渉信号検出手段を具備する。そして、前記複数の分光干渉信号検出手段により得られた前記複数の分光的干渉信号であるところの干渉光信号対波長の関数の複数に対して所定の数値変換を行う数値変換手段を備える。当該数値変換手段により、前記複数の分光干渉信号を複数の干渉光信号対光到達位置の関数に変換することができる。
【0105】
ここで、前記被検光学系により複数の検査位置について前記分光干渉信号検出手段の一つにより得られた干渉光信号対検査位置の関数について、異なる検査位置を測定した際に披検物の原点が擾乱により移動したこと以下のように認識する。具体的には、前記他の分光干渉信号検出手段の出力である前記分光干渉信号より数値変換されて得られた前記干渉光信号対光到達位置の関数を用いて認識する。そして、前記干渉光信号対検査位置の関数の検査位置情報について調整を行うことができる。
【0106】
なお、前記装置1あるいは装置2において、前記被検物からの反射光の振幅分割する振幅分割手段を、時分割方式の分割手段により構成することもできる。
【0107】
(装置3)
フーリエドメイン法が、SS−OCTの場合、前記第1及び第2の画像情報を取得するためのTD−OCT用の光源と、前記第3の画像情報を取得するためのSS−OCT用の光源が必要である。すなわち、
また、前記光源は、複数の中心波長を照射するための第1の光源と、単一の中心波長を照射するための第2の光源である。
【0108】
更に、TD−OCTを用いる場合、前記参照光の周波数と前記信号光の周波数とに差を持たせるための周波数シフタを有することが好ましいことはすでに述べた。
【0109】
このとき、前記周波数シフタが、前記第2の光源が照射する光の経路に配置され、
前記第1の光源が照射する光の経路は、前記第2の光源が照射する光の経路とは異なるように配置する。この構成により、前記第1の光源が照射する光が、前記周波数シフタによる影響を受けることがない。前記周波数シフタによる影響については後述する。
【0110】
(第5の実施形態:各実施形態にダイナミックフォーカシングを適用)
本実施形態に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法は、以下の工程により実施することができる。
【0111】
なお、本実施形態は、第1の実施形態に前述のダイナミックフォーカスを適用したものである。
【0112】
1)被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を取得する第1の画像情報取得工程
2)前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程
3)前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を取得する第2の画像情報取得工程
4)前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点の位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程
5)前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する工程
ここで、前記関連付けられた前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を補正することが好ましい。なお、前記補正に関しては、第1の実施形態で述べた補正手法を矛盾しないように好適に用いることができる。これにより、深さ方向に関する画像情報どうしの位置関係の補正することができる。また、ダイナミックフォーカシングにより、横分解能の高い画像情報を取得することができる。
【0113】
また、前記第1及び第2の画像情報取得工程が、前述のタイムドメイン法により前記被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する工程とすることができる。さらに、前記第3の画像情報を、前述のスペクトラルドメイン法により取得することができる。もちろん、前述のSS−OCTを利用することによって、前記第3の画像情報を取得することもできる。
【0114】
(a)TS−OCT画像をSD−OCT画像で補正
次に、別の本実施形態に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法について説明する。
【0115】
ここでは、前述のTS−OCT(Transversal Scan OCT)とSD−OCT(Spectral Domain OCT:スペクトラルドメイン法)を適用している。以下の工程により実施することができる。
【0116】
1)被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物のCスキャン像である第1の画像情報を、タイムドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程
2)前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程
3)前記第2の焦点の位置における前記被検査物のCスキャン像である第2の画像情報を、タイムドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程
4)前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をスペクトラルドメイン法により取得する工程
5)前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する工程
ここで、前記関連付けられた前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を補正することが好ましい。なお、前記補正に関しては、第1の実施形態で述べた補正を矛盾しないように好適に用いることができる。これにより、深さ方向に関する画像情報どうしの位置関係の補正することができる。また、ダイナミックフォーカシングにより、横分解能の高い画像情報を取得することができる。
ただし、本発明に係る補正はこれらに限定されるものではない。
【0117】
また、本実施形態に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法に、以下の手段を好適に用いることができる。
【0118】
(a−1)周波数シフタによる影響
ここで、第1の実施形態で述べたように、スペクトラルドメイン法を用いて補正を行う際には、以下の点を考慮するのがよい。
【0119】
タイムドメイン法による断層像を取得する際に、AOMなどの周波数シフタを用いることが好ましい。前記周波数シフタは、時間に対してリニアに位相(周波数)をシフトさせるものである。本実施形態においては、光分割手段(第1の光分割手段)によって分割された参照光と信号光とのそれぞれの周波数に差を持たせることが好ましい。これにより、前記参照光と前記信号光とが干渉した際に、うなり(ビート、差周波)を発生させることができる。
【0120】
ここで、異なる周波数どうしを干渉させた光を検波することを、ヘテロダイン検波と言う。
【0121】
被検査物の画像情報を取得するために、被検査物での反射による光の変化を検出する。しかし、光は前記反射によって変化する以外にも、光が通過する経路中の屈折率によっても変化する。屈折率が変化する原因は、例えば、装置の揺れや光の経路中の空気の温度変化などである。上述のうなりには、屈折率の変化が光の波長の変化として表れ、前記被検査物での反射による光の変化が振幅の変化として表れる。これにより、うなりの振幅の変化を見ることにより、被検査物の画像情報を精度良く取得することができる。
【0122】
また、光分割手段を用いて干渉光を分割し、一方の光が位相反転する。この位相反転した光を検出した情報と、もう一方の光を検出した光とで差分を取ると、光源から発生した光に由来する直流成分が消去された情報を取得することができる。これにより、S/N比を向上させることができる。
【0123】
ところで、断層情報をスペクトラルドメイン法により取得する際、この検知手段として、分光器を用いる。前記分光器に入力される前記うなりは、分光器で分光されている間に、分光された周波数がそれぞれ相対的にシフトしてい、前記断層情報はノイズを含んだ検出となってしまう。ここで、前記分光器に光が入力される時間よりも、前記周波数シフタによる光の周波数シフトの時間間隔は、一般的に短い。
【0124】
以上のような、スペクトラルドメイン法による検出時に問題となる前記周波数シフタによる影響を回避する為に、以下の方法を用いるのが好ましい。
【0125】
(a−2)基準信号と同期
まず、前記周波数シフタの駆動回路からの基準信号と同期させる方法がある。これにより、スペクトラルドメイン法による検出時には、スペクトラルドメイン法の検知手段が取得する信号が、タイムドメイン法の検知手段が取得する信号よりも強くなるように、前記周波数シフタを制御することができる。
【0126】
例えば、以下のように前記周波数シフタを制御することが好ましい。
【0127】
すなわち、前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記参照光或いは前記信号光の周波数をシフトさせるように制御する。具体的には、前記周波数シフタの電源をオンにして動作させる。
【0128】
そして、前記断層情報を取得する際には、前記参照光或いは前記信号光の周波数をシフトしないように制御する。具体的には、前記周波数シフタの電源をオフにして動作を中止させる。
【0129】
もちろん、本発明は、前記周波数シフタを用いることに限定されない。また、本発明は、前記周波数シフタを用いたとしても、上記制御を行うことに限定されない。
【0130】
(a−3)透過及び反射する光の強度の割合を調整
また、光経路変換手段を用いて、光の経路を変換する方法もある。
【0131】
例えば、前記光経路変換手段を下記のように制御することが好ましい。
【0132】
まず、前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記タイムドメイン法により画像を取得するための経路を光が通るように制御する。また、前記第3の画像情報を取得する際には、前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための経路を光が通るように制御する。
【0133】
ここで、前記光経路変換手段には、光スイッチを用いることができる。光スイッチは、光の経路を高速かつ低損失に切り替えることができ、光通信などに用いられる。光スイッチの種類には、機械的に光の経路を切り替えるものや、熱光学効果(温度による屈折率の変化)を利用して光の効果を切り替えるものがある。このとき、光の経路に、光ファイバを適用することができるが、本発明はこれに限らない。
【0134】
このとき、前記周波数シフタを用いて、下記のように制御することもできる。すなわち、前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記参照光或いは前記信号光の周波数をシフトさせるように制御する。さらに、前記第3の画像情報を取得する際には、前記参照光或いは前記信号光の周波数をシフトしないように制御する。
【0135】
もちろん、本発明は、前記周波数シフタを用いることに限定されない。また、本発明は、前記周波数シフタを用いたとしても、上記制御を行うことに限定されない。
【0136】
(a−4)空間偏光変調器
さらに、光分割手段を透過及び反射する光の強度の割合を調整する方法もある。上記調整は、偏光を変換するための空間偏光変調器を用いることによって行うことができる。前記空間偏光変調器を制御して偏光の変換を高速に行うことにより、光分割手段(第2の光分割手段)の反射率(透過率)を調整することができる。ここで、前記第2の光分割手段は、前記参照光と前記信号光との干渉光を2つに分割するための手段である。すなわち、前記干渉光を、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光と前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光とに分割する。そして、前記第2の光分割手段を下記のように制御する。
【0137】
例えば、前記空間偏光変調器を以下のように制御する。すなわち、前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光の方が、前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光よりも強くなるように制御する。さらに、前記第3の画像情報を取得する際には、前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光の方が、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光よりも強くなるように制御する。もちろん、上述した周波数シフタの制御と組み合わせることもできるが、本発明はこれに限らない。
【0138】
ここで、前記空間偏光変調器を、PEM(Photoelastic Modulator:光弾性変調器)やEOM(Electro optic modulator:電気光変調器)などで構成することができる。
【0139】
(a−5)光干渉断層装置
本実施形態に係る画像形成方法を行うための光干渉断層装置について説明する。
【0140】
まず、被検査物に光を入射するための光源と、前記光源からの光を信号光と参照光に分割するための第1の光分割手段と、該参照光と該信号光との干渉光を検知するための検知手段とを有する。
【0141】
前記光源には、水による吸収の影響が大きな波長帯域よりも短く、可視光の波長帯域よりも大きい、840nmを中心波長とする光を発生することのできるものが好ましい。また、前記第1の光分割手段や前記検知手段に関しては、以下の実施例で詳述する。
【0142】
また、本実施形態の制御を行うための制御部を設けることが好ましい。
さらに、上述したように、前記周波数シフタ、前記第2の光分割手段、空間偏光変調器を用いることが好ましい。
【0143】
以上の構成については、実施例5で詳述する。
【0144】
(b)SD−OCT画像をSD−OCT画像で補正
また、別の本実施形態に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法について説明する。なお、本実施形態は、第2の実施形態に前述のダイナミックフォーカシングを適用したものである。
【0145】
1)被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を、フーリエドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程
2)前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程
3)前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を、フーリエドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程
4)前記第1或いは第2の画像情報取得工程の少なくとも一方の工程により得られる前記被検査物の断層情報を用いて、前記第1及び第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する工程
ここで、前記関連付けられた前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を補正することが好ましい。なお、前記補正に関しては、第1の実施形態で述べた補正を矛盾しないように好適に用いることができる。これにより、深さ方向に関する画像情報どうしの位置関係の補正することができる。また、ダイナミックフォーカシングにより、横分解能の高い画像情報を取得することができる。
【0146】
また、前記第1及び第2の画像情報を、前述のスペクトラルドメイン法により取得することができる。もちろん、前述のSS−OCTを利用することにより、前記第1及び第2の画像情報を取得することもできる。
【0147】
本実施形態に係る画像形成方法を行うための光干渉断層装置は、以下の構成を有する。すなわち、被検査物に光を入射するための光源と、前記光源からの光を信号光と参照光に分割するための光分割手段と、該参照光と該信号光との干渉光を検知するための検知手段である。
【0148】
なお、本実施形態における画像形成方法においては、第1及び第2の実施形態において説明した事項を、矛盾しない限りそのまま当てはめることができる。
【0149】
(c)FD−OCT取得時、焦点位置限定しないパターン
さらに、別の本実施形態に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法について説明する。なお、本実施形態は、第1の実施形態の(c)に、前述のダイナミックフォーカシングを適用したものである。
【0150】
1)被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を取得する第1の画像情報取得工程
2)前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程
3)前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報(一次元像、二次元像あるいは三次元像)を取得する第2の画像情報取得工程
4)前記被検査物の前記光軸方向に関する断層画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程
5)前記断層画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する工程
ここで、前記関連付けられた前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を補正することが好ましい。なお、前記補正に関しては、第1の実施形態で述べた補正を矛盾しないように好適に用いることができる。これにより、深さ方向に関する画像情報どうしの位置関係の補正することができる。また、ダイナミックフォーカシングにより、横分解能の高い画像情報を取得することができる。
ただし、本発明に係る補正はこれらに限定されるものではない。
【0151】
また、上記実施形態では、フーリエドメイン法により断層画像情報を取得する際の焦点位置を、特に限定していない。
【0152】
なお、前記断層画像情報4505を、前記光軸方向に関して、前記第1及び第2の焦点4501、4503の位置とは異なる第3の焦点4508の位置で取得することができる。このとき、前記断層画像情報4505を、該第1及び第2の焦点4501、4503の位置における被検査物の画像情報を含み取得することが好ましい。
【0153】
以下、本発明に係る実施例について説明する。
【実施例】
【0154】
(実施例1:TD−OCT像+補正用SD−OCT像)
実施例1について、図3を用いて説明する。
【0155】
まず、光源101により出射した光が、単一モード光ファイバ102により導光され、ファイバ端より出射した光はコリメートレンズ103によって平行光に変換され、分割光学系104により参照光と信号光に分割される。
【0156】
参照光は、周波数シフタ105によって、その光周波数がΔfだけシフトされた後、光ディレイ部106により反射され、反射ミラー108によって合成光学系116に導かれる。ここで、光ディレイ部106の位置は光路長が所定の長さとなるように、位置駆動装置107によって制御される。
【0157】
信号光は、導光分割光学系109へ入射された後、被検査物である眼114及び眼底観察対象部位115に対する被検光学系に導かれる。ここで、被検光学系とは、導光分割光学系109、光走査光学系110、走査レンズ111、眼用レンズ112により形成されている。また、眼用レンズ112はフォーカス位置駆動装置113により、入射光の光軸方向に駆動される。このとき、フォーカス位置駆動装置113は、光ディレイ部の駆動と同期して駆動する。さらに、光走査光学系110は、光軸に対して2直交方向の傾斜角を持たせるように信号光の主光線を傾斜させる作用を持つ。これにより、走査レンズ111、眼用レンズ112を通過した光束が眼の瞳(虹彩)上で角度走査される。この結果、眼の光学作用によって、眼底観察対象部位115に眼底上の光軸方向(深さ方向)に対して垂直面(x−y面)内を走査するように構成した。眼底観察対象部位115からの反射光や後方散乱光のうち、眼底観察対象部位115に入射したときと略同一の光路を通って入射光と逆方向に進行する光は、導光分割光学系109によって、その一部が合成光学系116へ導かれる。
【0158】
次に、合成光学系116により参照光と信号光とが合成され、複素振幅として加算された合成振幅を持つ干渉光の一部は、集光光学系118に入射する。そして、単一モード光ファイバ119に光結合され、ファイバのモードと一致した成分が選択され、ファイバ内を伝播し、光電変換検出器120に入射する。さらに、電気信号に変換されて、OCT処理装置121dへと伝えられる。ここで、ファイバのモードと一致した成分とは、眼底観察部位115上の点からの発散光と共役な共焦点成分である。
【0159】
参照光と信号光との干渉光の複素振幅として加算された合成振幅は、周波数シフタ105によって生じた周波数差Δfを搬送波周波数として持つヘテロダイン干渉の振幅をもつ。ここで、ヘテロダイン干渉による波は、周波数Δfで振幅絶対値が時間的に振動するものである。さらに、この合成振幅の振幅絶対値の時間的振動は逆位相となることが知られている。こうして、いわゆるTD−OCT法により検知対象物の深さ方向に関して、個々の焦点位置におけるCスキャン像(深さ方向をz軸方向とした場合それに交差するxy面内方向の画像)を取得することができる。
【0160】
一方、合成光学系116による干渉光の一部は、分光用回折格子125に入射する。そして、波長分離結像レンズ126により集光し、ラインセンサ127にて波長毎に強度検出することにより、分光干渉信号検出する。すなわち、フーリエドメイン法の一つであるSD−OCT法により、検知対象物の深さ方向に関して、所定の焦点位置における被検知物の断層像を含む画像情報が取得されることになる。そして、TD−OCT法による複数のCスキャン像同士をその深さ方向に関して、SD−OCT像を用いて補正することになる。補正の手法に関しては後述する。
【0161】
なお、位置駆動装置107、光走査光学系110、フォーカス位置駆動装置113、光電変換検出器120、ラインセンサ127はそれぞれ、OCT処理装置121a、121b、121c、121d、121eによる入出力により駆動や検出を行う。
【0162】
(実施例2:瞳分割(1)異なる透過率)
実施例2について、図4を用いて説明する。実施例2は、実施例1の変形例であり、新たに瞳分割光学系401を構成に加えている。また、集光光学系402、単一モード光ファイバ403、光変換検出器404も構成に加えている。
【0163】
合成光学系116により参照光と信号光が合成された干渉光は、一部が集光光学系118に入射し、さらに一部が集光光学系402に入射する。ここで、合成光学系から集光光学系118向かう光は、瞳分割光学系401により分割され、分光用回折格子405に入射する。そして、波長分離結像レンズ406により集光し、ラインセンサ407にて波長毎に強度検出される。瞳分割光学系401による分割は、光走査光学系110において分割する場合と同様の効果を得ることができる。
【0164】
ここで、光走査光学系110は、主光線が交わる瞳位置と等価である。瞳分割光学系401を用いて、分光干渉を低NAで検出することにより、深い焦点深度で深さ方向の画像を一括取得することができる。
【0165】
一方、集光光学系402に入射した光は、単一モード光ファイバ403に光結合され、ファイバのモードと一致した成分が選択され、ファイバ内を伝播し、光電変換検出器404に入射し、電気信号に変換され、OCT処理装置121fへと伝えられる。ここで、集合光学系402、単一モード光ファイバ403、光源等に起因する光強度雑音は、2つの光電変換検出器120と光電変換検出器404とで同相となる。このため、差動検出を行なうことによって、雑音低減を図ることができる。
【0166】
次に、瞳分割光学系401について、図5の模式図を用いて説明する。図5(a)は本実施例の瞳分割方法であり、透過部分501と半透過半反射部分502から構成される。本実施例で用いた瞳分割光学系401は、図5(b)のように、ガラス基板上に、透過部分504が所定の有効径で規定され、それより周囲は保持手段503となっている。中心部はクロムをガラス基板上に蒸着してなる半透過半反射膜505によって構成されている。半透過・半反射膜505の透過率と反射率は、略同一比率であり、10%程度の吸収を差し引き、透過45%、反射45%程度で構成される。もちろん、この透過率と反射率に限るものではない。
【0167】
また、瞳分割方法として、図5(c)のように構成することもできる。透過部分507と半透過半反射部分506から構成され、透過部分507は四重極状に配置される。具体的には、瞳分割光学系401を図5(d)のように、四重極状に配置された透過部分510と半透過半反射膜509で構成され、半透過半反射膜509より周囲は保持手段508となっている。この瞳分割方法では、透過部分の面積が少ないので、半透過半反射膜の透過率を、その反射率よりも高く設定することが望ましい。例えば、80%に設定することが望ましいが、これに限るものではない。
【0168】
続いて、本実施例の光学干渉検出系の信号処理、制御及び画像化を行うOCT処理部121について、図8を用いて説明する。図8は、OCT処理部121の機能ブロック図を模式的に示したものである。
【0169】
まず、光電変換検出器120、124からの電気信号は増幅器801を含んだ回路により、差動増幅され、搬送波周波数Δfを中心としたバンドパスフィルタおよび検波回路を持つフィルタ・検波部802を通る。その後、デジタルサンプリング部803によってアナログデジタル変換された後、中央処理部804に送られる。中央処理部804では、以下の比較処理を行う。
時系列で送信される検波後のデジタル光干渉信号を以下の信号と比較する。
【0170】
具体的には、XYスキャナドライバ806からのスキャナ位置信号・同期信号、光ディレイ駆動ドライバ807からのディレイ位置信号・同期信号及びフォーカスドライバ808からのフォーカス位置信号と比較する。
【0171】
これによって、光干渉信号と眼底観察対象部位上の位置とを対応付ける。この後、所定の画素毎に光干渉信号が割り振られ、画像化が行われる。この画像は所謂TS−OCT画像である。一方、ラインセンサ407からの分光干渉信号はライン画像取込部809を通じて取込まれ、波長軸を断層方向の位置の軸にFFT(高速フーリエ変換)処理部によって変換され、所謂Aスキャン1本分の断層画像データが形成される。この画像は所謂SD−OCT画像である。
【0172】
ここで図7を用いて、本実施例におけるTD−OCT画像とSD−OCT画像の違いを説明する。
【0173】
700は、被検査物の深さ方向に関する断層像である。図7(a)において、TD−OCT画像701、703は高い横分解能を持ち、かつ深さ方向には1画素分の大きさを取得するのに対し、SD−OCT画像702、704は低い横分解能を持ち、深さ方向に1走査線分の画像を同時に取得する。
【0174】
横分解能の高低について、図6を用いて説明する。図6(a)と図6(b)はそれぞれ、SD−OCTとTD−OCTに対応した、光学的な模式図である。
【0175】
まず、図6(a)について説明する。集光光学系は、601から603まで、609の範囲を可動することができる。更にまた、集光光学系が603にあるとき、集光光学系603を透過した604を主光線とする光束605が眼底観察対象部位602に入射する。このとき、607が第1の焦点である。また、集光光学系が601にあるとき、集光光学系601を透過した604を主光線とする光束606が、眼底観察対象部位602に入射する。このとき、608が第2の焦点である。以上のように構成することで、低NAの光束605、606が、第1及び第2の焦点607、608のように低い横分解能で、かつ深い焦点深度610とすることができる。
【0176】
次に、図6(b)について説明する。集光光学系は、611から613まで、619の範囲を可動することができる。更にまた、集光光学系が613にあるとき、集光光学系613を透過した614を主光線とする光束615が眼底観察対象部位612に入射する。このとき、617が第1の焦点である。また、集光光学系が611にあるとき、集光光学系611を透過した614を主光線とする光束616が、眼底観察対象部位612に入射する。このとき、618が第2の焦点である。ここで、高NAの光束615と616のそれぞれは、第1及び第2の焦点617、618のように高い横分解能で、かつ浅い焦点深度で入射する。しかし、集光光学系が、観察部位の深さに応じ駆動することにより、深い焦点深度620とすることができる。
【0177】
このように本実施例においては、2種類の異なるOCTの画像が同時に得られる。図8における中央処理部804の作用はさらに、TS−OCT画像とSD−OCT画像を対応させることと、眼底観察対象部位の異なる点同士で画像を比較し、位置合わせを行った画像を再合成することである。
【0178】
図7(b)、(c)、(d)は、この位置合わせの概念を模式的に示したものである。それぞれ、断層画像700のある深さにおける横方向への走査時の複数点の画像を並べたものである。TD−OCT画像705、707、709と、SD−OCT画像706、708、710がそれぞれ対応している。図7(b)と図7(c)でTS−OCT画像705と707は、深さ方向の情報をそれ自身に持たないが、それぞれに対応したSD−OCT画像706、708があり、これらには深さ方向の情報を持っている。このため、SD−OCT画像どうしを比較し、相関解析することにより、図7(b)の取得時と図7(c)の取得時の間にある深さ方向の位置ずれを補正することが可能である。同様に図7(c)と図7(d)も補正が可能である。ここでは、図7(b)と図7(c)との間で層間隔が広がってしまい、図7(c)と図7(d)との間で層間隔が狭まってしまっているところを、SD−OCT画像の比較(例えば、708と710)によりこれを本来の等間隔に修正する。
そして、高い横分解能のTS−OCT画像を断層方向にも位置ずれなく、3次元画像の再構成、または断層画像の再構成をするものである。再構成された画像は画像表示部805に表示される。
【0179】
以上により、高い横分解能を持つTS−OCT画像が、断層方向の位置ずれによる画像劣化を含むことなく構成され、表示されるOCT光干渉計測装置が提供される。
【0180】
なお、本実施例では、SD−OCT画像間の比較は中央処理部804が自動的に行うが、これは画像表示部805に表示して、手動により行うことも可能である。また、本実施例では、中央処理部804の記憶装置が格納するデータ量を削減するため、以下の手法を取り入れる。即ち、図7(b)と図7(c)との間で層間隔修正を行った後に、図7(b)のSD−OCT画像データは消去するというように、逐時にSD−OCT画像による位置補正を行い、不要になったSD−OCTデータは消去する方法を用いている。記憶装置を大容量として、全てのSD−OCT画像データを保存しておくことももちろん可能である。
【0181】
(位置合わせ例)
本実施例におけるSD−OCT画像間の具体的な位置合わせの方法について、図9を用いて説明する。もちろん、本発明の位置合わせはこの方法に限らない。
【0182】
まず、x走査およびz走査の順で走査を行ってx−zの2次元断層像を得る場合に、z位置の異なる線画像間の位置ずれを補正する方法について、図9を用いて説明する。
【0183】
図9(a)は3次元画像空間を表し、902は被検査物901の2次元断層像である。また図9(b)は、2次元断層像902において、位置合わせを行う対象である第1の線画像903及び第2の線画像904を示した。これらの線画像の中で同じx位置に対応する位置合わせ用の第1の位置合わせ点905及び第2の位置合わせ点906を指定する。第1の位置合わせ点905の画素座標を(0、L)、第2の位置合わせ点906の画素座標を(0、L+1)とし、線画像を取得する際の走査開始点を位置合わせ点として選択した。ここで、x方向の全走査画素数をNxとし、画素座標を(x画素番号、z画素番号)とした。
【0184】
なお、走査線内での位置合わせ点の位置の選び方は他にも可能である。例えば図9(c)に示すように、第3の線画像のほぼ中央である第3の位置合わせ点915を(Nx/2、L)、第4の線画像のほぼ中央である第4の位置合わせ点916を(Nx/2、L+1)と選ぶことも可能である。
【0185】
線画像を取得する際の走査開始位置や終了位置で位置合わせを行う場合は、走査速度が遅く、画像取得時間が長くなり、画像のSN比が高くなるという利点がある。一方、線画像の中央で位置合わせを行う場合は、画像の中央で位置合わせを行うため、もっとも注目されることの多い画像中央部分を中心として位置精度が高くなるという利点がある。
【0186】
位置合わせに用いるSD−OCT画像の画素の概要について、図10を用いて説明する。図10(a)は、集光光学系1001を透過した光束が、眼底観察対象部位1004に入射し、同じ光路を通って集光される様子を表したものである。本実施例におけるSD−OCTは、低NAの光束により緩く、DOFが広く結像される。この様子を図10の1002と1003により示している。また図10(b)に、TS−OCT画素1005と、位置合わせに用いるSD−OCT画素1006を模式的に示した。
【0187】
図11(a)に、対象となる撮像対象の1例を示した。撮像対象1101に、図10(b)のSD−OCT画素1006を重ね合わせたのが、図11(b)の1102である。そして、各画素で得られる信号強度を画像化した模式図がSD−OCT画像1103である。ここでは、横方向(x方向)にほぼ一様な撮像対象としたが、横方向(x方向)にほぼ一様な撮像対象でなくてもよい。例えば、図11(c)のように、横方向(x方向)に対して傾いた要素を持つ撮像対象1104とする。ここで撮像対象1104に、図10(b)のSD−OCT画素1006を重ね合わせたのが、図10(d)の1105である。そして、各画素で得られる信号強度を画像化した模式図が、SD−OCT画像1103である。
【0188】
次に図12を用いて、位置合わせの方法及び位置ずれの検出方法について説明する。図12(a)の1201は、第1の線画像の位置合わせ点を含むSD−OCT画像である。ここで、G(J、L)は画像データをあらわし、Jがx方向、Lがz方向の画素番号を示す指標である。TS−OCT画素の位置であるSD−OCT画像中心をL=Lとし、その上下にLずつの画素が取得されているとする。
【0189】
図12(b)は、第1の線画像の位置合わせ点で取得されたSD−OCT画像1202の画素座標をG1(J、L)とする。このとき、第2の線画像の位置合わせ点で取得されたSD−OCT画像1203の画素座標は、SD−OCT画像1202のz座標に対してz方向に1画素だけずれているため、G2(J、L−1)となる。
【0190】
位置ずれが無い場合は、G1(J、L)とG2(J、L−1)は同じ値を持つが、位置ずれがある場合には異なる値となる。図12(c)に位置ずれがある場合を示した。位置ずれ1206の画素数をMとする。この位置ずれの値を評価するために、本実施例では相関関数を用いた。位置ずれ画素数Mの値はG1(J、L)とG2(J、L−1−M)の相関関数において、Mをパラメータとし、これを最大化することによって、最適な位置ずれ値が求められる。相関関数は、G1(J、L)とG2(J、L−1−M)とそれぞれの平均値を用いて、以下の式で与えられる。
【0191】
【数1】

【0192】
ここで、σ1とσ2はそれぞれG1、G2の標準偏差である。なお、最大化の方法は、全数検査、線形最適化法など、各種の最適化の方法から適宜選択して用いることができる。
【0193】
また、相関関数の他にも、評価関数を用いても良い。評価関数は以下の式で与えられる。
【0194】
【数2】

【0195】
なお、位置合わせの精度をあげる必要がある場合には、画素を1/2や1/4分割した単位のずらし量をパラメータとして、相関関数や評価関数等を計算することもできる。
【0196】
続いて、C−scan画像どうしの位置合わせの例を、図13を用いて説明する。ここで、x走査及びy走査によるx−yの2次元画像、所謂C−scan像を得た後、z方向にピッチ送りをして、xy−zの3次元画像1301を得る際に、z位置の異なるC−scan画像どうしの位置ずれを補正する方法について説明する。図13(a)は3次元画像空間を表し、1302と1303はそれぞれ、被検査物1301におけるC−scan画像をそれぞれ表している。
【0197】
図13(b)には、第1のC−scan画像1302又は第2のC−scan画像1303を示している。また1304は、位置合わせのための位置合わせ点を示している。第1のC−scan画像1302における第1の位置合わせ点を(Nx/2、Ny/2、L)、第2のC−scan画像1303における第2の位置合わせ点を(Nx/2、Ny/2、、L+1)とし、C−scanの中心点を位置合わせ点として選択する。ここで、x方向の全走査画素数をNx、y方向の全走査画素数をNyとし、C−scan画像における位置合わせ点の画素座標を(x画素番号、y画素番号、z画素番号)としている。
【0198】
このように指定された位置合わせ点どうしで、それぞれの位置合わせ点の深さ方向の画像情報も取得されるSD−OCT画像を用いて、上述の2次元断層像内の異なる走査線同士の位置合わせの例と同じ検出方法及び操作を行なう。これにより、z方向へのピッチ移動をはさんだ2枚のC−scan画像どうしのz方向の位置合わせもできる。
【0199】
なお、C−scan画像における位置合わせ点の選び方は他にも可能であり、例えば図13(c)に示すように、x−y走査開始位置とx−y走査終了位置を含んだ3点を用いて求めた位置ずれを平均化してからC−scan全体を補正する方法も可能である。また、図13(c)に示すように、さらに増やして5点とすることも可能である。さらに、複数の位置合わせ点の位置ずれ量を平均化するのでなく、それぞれの位置ずれを、対応する位置合わせ点の近傍の補正に用いて、C−scan画像として並進だけでなく、その面のゆがみも補正することも可能である。
【0200】
以上では、所定の位置合わせ点を決め、その深さ方向のSD−OCT画像、即ちz方向の1次元画像を用いて位置合わせを行った。しかし例えば、図14に示すように、特定の位置合わせ点を決めずに、全ての点で取得したSD−OCT画像により構成される図14(b)の2次元画像1404と、図14(c)の2次元画像1414の2次元画像とを比較することもできる。こうすることにより、位置ずれを検出することもできる。例えば、両画像における特徴的な箇所(1405、1415)同士は、同じ深さ位置にあることを考慮して、両画像間の深さ関係を補正する。ここで、図14(a)は3次元画像空間を表し、1402は被検査物1401における深さ方向の2次元画像を表している。このような場合には、例えば2次元画像どうしの相関関数を評価関数としてこれを最大化することが可能であり、その場合には、パラメータとして、全体の並進ずれ以外に伸び縮みなど各種のパラメータを含むことが可能である。また、複数のパラメータについての最適化には、非線形最適化法やその他の最適化手法を用いることが可能である。
【0201】
また、2次元画像の中で特徴点や特徴構造1405と1415を抽出して、これを元に位置合わせを行う方法も広く知られており、これらを用いることも当然可能である。ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムなどを適宜用いることも可能である。
【0202】
同様に、C−scan画像どうしの位置ずれ補正については、C−scan画像1枚につき3次元SD−OCT画像が得られるため、3次元SD−OCT画像同士の比較により、位置ずれを検出することもできる。
【0203】
なお、上記の2次元画像や3次元画像の比較によれば、深さ方向(z方向)の位置ずれや伸び縮みだけでなく、横方向(x方向)に関しても情報を得られるため、横方向の画像ずれの補正をしても構わない。
【0204】
その他の位置合わせの方法は、深さ方向について、ハードウエアによる追尾システムにより粗い位置補正フィードバックを行った上で、本発明の画素レベルの精度を持つ位置合わせを行っても良い。位置補正フィードバックは、深さ方向の情報を取得している際には停止させるように制御することが望ましい。この場合、相関関数の計算を行なう場合に端部でフレームアウトをして、計算対象外となる画素数が減少するため、より効率的で高精度な位置合わせが可能となる。
【0205】
(実施例3:瞳分割(2)異なる透過率)
実施例3について、図15と図16を用いて説明する。ここで本実施例は、実施例2の変形例である。図15において、図4における瞳分割光学系401を瞳分割光学系1501に変更した構成を示した。本実施例におけるその他の構成については、第2実施例と同じである。
【0206】
ここで、瞳分割光学系1501を図16の模式図により説明する。図16(a)は本実施例の瞳分割方法であり、透過部分1601と反射部分1602から構成される。具体的には図16(b)のように、ガラス基板上に空洞を構成し、透過部分1604としている。中心部の反射膜1605を支えるために、3本の梁1606が周囲から構成されている。中心部の表面はクロムをガラス基板上に蒸着してなる反射膜によって構成されており、反射膜204の反射率は約10%程度の吸収を引き、90%程度で構成される。以上の瞳分割方法と構成により、本実施例ではTS−OCT部に相当する瞳部分で不要反射や吸収の影響を避け、透過率の高い構成をとる。一方、SD−OCT部に相当する瞳部分で反射率の高い構成を実施することにより、それぞれ信号対雑音比を向上させる。ここで、梁の数は3本に限らない。
【0207】
なお、瞳分割の方法は図16(c)のような四重極状などとすることもできる。この場合、透過部分1608と反射部分1607となる。具体的には、図16(d)で示したように、空洞1611と反射膜部分1610という構成となり、梁を用いることなく構成することが可能である。また1619は保持手段である。
【0208】
また、他の瞳分割方法として、瞳分割光学系を単純なビームスプリッタに変更する方法もある。ビームスプリッタの全面は、透過率と反射率の比を意図的に区別せずに構成されている。これにより、SD−OCT検出系、即ち、分光用回折格子405、波長分離結像レンズ406、ラインセンサ407へ入射する光束はTS−OCT検出系へ入射する光束と同様に高NAを持つ。
【0209】
これにより、位置補正用のSD−OCT画像は、深さ方向中心部のみが高い横分解能を持ち、深さ方向周辺部は低い横分解能を持つ。従って、このSD−OCT画像は、横方向の構成成分が多く、傾きの少ない構造で構成された撮像対象に対しては、有効に位置補正が可能である。これにより、TS−OCTの瞳での分布を一様に保ったまま位置補正を加えることが可能となる。また、分割光学系をシンプルなビームスプリッタとすることも可能となる。
【0210】
(実施例4:瞳分割(3)偏光)
実施例4について、図17と図18を用いて説明する。ここで本実施例は、実施例2の変形例であり、光の偏光特性を利用して瞳分割を行った。
【0211】
まず図17について説明する。光源101により射出した光が、単一モード光ファイバ102により導光され、ファイバ端より射出した光はコリメートレンズ103によって平行光に変換され、空間を伝搬する。偏光規定光学系1701により直線偏光となった光束は、次に半波長板1702で45度偏光、即ちp偏光とs偏光が半分ずつ同位相で足された偏光状態となり、分割光学系104に入射した。ここで、本実施例における分割光学系104は、偏光ビームスプリッタにより構成した。このため、p偏光の参照光は透過し、s偏光の信号光は反射されて、分割する。
参照光は周波数シフタ105によって、その光周波数がΔfだけシフトされ、次に光ディレイ部106により反射されるが、光ディレイ部の位置は、光路長が所定の長さとなるように、位置駆動装置107により制御する。参照光は続いて反射ミラー108によって合成光学系116に導かれる。
【0212】
一方、信号光は分割光学系104により、導光分割光学系109へ入射された後、被検査物である眼114及び眼底観察対象部位115に対する被検光学系に導いた。ここで被検光学系とは、導光分割光学系109、光走査光学系110、走査レンズ111、眼用レンズ112により形成されている。また、光走査光学系110は、光軸に対して2直交方向の傾斜角を持たせるように信号光束の主光線を傾斜させる作用を持つ。これにより、走査レンズ111、眼用レンズ112を通過した光束が眼の瞳(虹彩)上で角度走査される。この結果、眼の光学作用によって、眼底観察対象部位115が眼底上の光軸方向(深さ方向)に対して垂直な面(x−y面)内を走査するように構成した。ここで、本実施例における導光分割光学系109は、偏光ビームスプリッタで構成されている。このため、s偏光である信号光は被検査物方向へ反射される。また、本実施例では4分の1波長板1703が導光分割光学系109と光走査光学系110の間に配置されており、光軸に対する進相軸、遅相軸の方位は入射するs偏光が被検査物側では円偏光になるように適宜調整されている。眼底観察対象部位115からの反射光や後方散乱光のうち、眼底観察対象部位115に入射したときと略同一の光路を通って入射光と逆方向に進行する光は、再度4分の1波長板1703によって、今度は円偏光からp偏光に変換される。そして、導光分割光学系109の偏光ビームスプリッタを透過し、合成光学系116へと導かれる。
【0213】
次に、合成光学系116により参照光と信号光とが合成され、複素振幅として加算された合成振幅を持つ干渉光の一部は、集光光学系118に入射する。そして、部分面積偏光調整板1705により、部分的に偏光を調整され、光束分割光学系である偏光ビームスプリッタ1706を透過した光束は、非分光的干渉信号検出系である集光光学系118、単一モード光ファイバ119、光電変換検出器120へと導かれる。また、反射した光束は分光的干渉信号検出系である分光用回折格子405に入射され、波長分離結像レンズ406により集光し、ラインセンサ407にて波長毎に強度検出される。
【0214】
一方、合成光学系116による干渉光の一部は、集光光学系402に入射し、単一モード光ファイバ403、光電変換検出器404を通じた非分光的干渉信号と差動検出され、同相雑音成分を除去した後、TS−OCT画像化される。また、分光的干渉信号はSD−OCT画像化され、適宜位置補正されて再構成された高い横分解能のOCT画像が得られる。
【0215】
ここで、部分面積偏光調整板1705の構成を、図18を用いて説明する。図18(a)は、偏光無調整部分1801と半波長板作用部分1802が同心円で構成された部分面積偏光調整板1705の模式図である。本実施例における部分面積偏光調整板1705は、図18(b)に示すように、ガラス基板上に設定された有効径内の透過領域1804とその中心に円形の水晶板で構成された半波長板1805を、ガラス基板と面接合したものである。進相軸の向きは45度に設定され、直線偏光の偏光面を90度回転する作用を持つ。
【0216】
また、図18(c)のように、偏光無調整部分1807を四重極状に構成することもできる。このとき、1806は半波長板作用部分である。具体的には、図18(d)のように、保持手段1808、半波長板作用部分1809、偏光無調整部分1807と構成することができる。
【0217】
なお、本実施例では半波長板を用いて偏光の回転角を90度としたが、これは適宜半波長板以外でも、回転角は90度以外でもよく、その場合には、光束分割光学系である偏光ビームスプリッタ1706における透過と反射の比を適宜調整することができる。
【0218】
(実施例5:時分割)
本発明の第5実施例について、図19を用いて説明する。ここで本実施例は、第4実施例の変形例で、瞳分割を高速に時分割で行う例である。図19において、図17における部分面積偏光調整板1705を空間偏光変調器1901に変更した構成を示した。また、空間偏光変調器1901は、変調器ドライバ1902と接続し、さらにOCT処理装置121gと接続されている。本実施例におけるその他の構成については、第4実施例と同じである。
【0219】
ここで、空間偏光変調器1901の作用は、瞳を通る光束を面積分割するために、半波長板の作用である偏光変換を、所定の部分面積において生じさせ、この偏光変換を時間に応じて高速に切り替えることである。空間偏光変調器1901は、PEM(Photoelastic Modulator:光弾性変調器)やEOM(Electro optic modulator:電気光変調器)のような素子で構成される。また、PEMやEOMなどと1/4波長板等の光学素子とを組み合わせて使用することもある。PEMやEOMは、結晶に対して電圧や外力を印加することによって、透過する光の位相等を変調する素子であり、非常に高速に光変調をすることが可能である。空間偏光変調器1901を動作させると、透過した光の一部の偏光状態が変化し、偏光ビームスプリッタ1706での反射率が変化する。例えば、空間偏光変調器1901を動作させることによって部分面積の偏光をs偏光として、偏光ビームスプリッタ1706から分光用回折格子405へ反射させることにより、SD−OCT画像を得ることが出来る。空間偏光変調器1901の動作を停止させれば、光束の大部分が偏光ビームスプリッタ1706を透過し、高感度なTS−OCT画像を得ることが出来る。
【0220】
ここで、OCT処理装置121gは内部で管理している処理モードに応じて変調器ドライバ1902を制御し、空間偏光変調器1901の切り替えを行う。本実施例では、略1μ秒毎に交互に偏光変換有り無しを切り替えた。この時のタイミングチャートを図42に示す。(a)OCT処理装置121は内部ではTS−OCT取得モードとSD−OCT取得モードを管理している。(b)OCT処理装置121がSD−OCT取得モードにおいては、変調器ドライバ1902を通して空間偏光変調器1901を作用させる。ここで、TS−OCTモードの時には120光電変換検出器によってTS−OCTの信号を取得し(d)、SD−OCTモードの時には407ラインセンサーによってSD−OCTの信号を取得する(e)。これによってTS−OCT情報を生じせしめる非分光干渉信号検出と、SD−OCT情報を生じせしめる分光干渉信号検出が交互に動作する。画素データとしては(f)に示すように、TS−OCTとSD−OCTのデータが交互に取得される。一画素のTS−OCTとSD−OCTデータを計測し終わる時間は、本実施例では2μ秒である。
【0221】
以上により、瞳を時分割で光束分割することが可能となり、TS−OCTにおいても全瞳から部分的な面積の光束を失うことなくOCT画像を得ることができる。さらに、略同時に取得したと見なせるSD−OCT画像により、位置補正を行うことが可能となる。
【0222】
ここで、空間偏光変調器1901と偏光ビームスプリッタ1706を用いて行った光線の分割を、別の手段により行うこともできる。すなわち、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術等を用いた光スイッチ素子を用いる。これにより、高速に光線を制御することが可能である。
【0223】
また、これまで述べてきたように、TD−OCTでは図19のように周波数シフターが用いられることが多い。これは、周波数シフターを用いて参照光と信号光に周波数差Δfを持たせることによって、周波数差Δfを搬送波周波数とするヘテロダイン検出を行うためである。TD−OCT測定時の干渉信号は、周波数Δfの振幅絶対値の時間変化として測定され、それ以外の周波数を持つノイズ信号の影響を排除できる。一方で、SD−OCTでは偏光ビームスプリッタ1706で合成された光を分光用回折格子405で分光して光強度を検出し、このスペクトル干渉縞をフーリエ変換することによって奥行き方向の情報を得る。このため、SD−OCTではすべての波長の光を検出する必要があり、波長もしくは周波数を限定して検出することはしない。それゆえに、SD−OCTでは周波数シフター105で参照光と信号光に周波数差Δfを与える必要がなく、さらには周波数シフター105を停止させることにより不要な信号の混入を排除し、より正確なSD−OCT信号を取ることが可能となる。よって、偏光変換と概同期させて周波数シフター105を停止開始させる構成がより望ましい。この場合には図42(c)に示すように、105周波数シフターはOCT処理装置121内部の動作モードによって制御され、TS−OCT取得モードの時にオンとなり、SD−OCT取得モードの時にオフとなる。
【0224】
(実施例6:光束限定手段)
本発明の実施例6について、図20を用いて説明する。ここで本実施例は、実施例4の変形例であり、新たに光束限定手段を構成に加えている。
【0225】
図20において、分光干渉信号検出のための分光用回折格子125、波長分離結像レンズ126、ラインセンサ127に至る光路中に、絞りとしての光束限定手段2001を配置した。光束限定手段2001の作用は、深い焦点深度が得るために、中心部光束のみを選択的に透過し、残りをブロックすることである。これにより、分光干渉信号検出を経てOCT処理部121eによって検出されるSD−OCT画像は、深い焦点深度を持った画像となる。このため、深さ方向の位置補正の精度を上げることができる。
【0226】
(実施例7)
本実施例について、図21と図22を用いて説明する。ここで本実施例は、本発明の他の実施例に対して適用できる例である。
【0227】
図21は、集光レンズ2101から光ファイバ2102における光の空間モードを模式的に示した図である。本発明における他の実施例において、集光レンズへ入射する光束は中心部が分割されてその光量が減っている。即ち、周辺光束の光量が多くなっている。このような光束をレンズにより集光した場合のファイバ入射端における光強度分布は本来の基本モード2104に比べ、主ピークは幅が狭いものの、副ピーク複数が大きい分布2105となる。そこで、光ファイバのモードフィールド径2103を分布2105の主ピークにあわせたものにする。これにより、光ファイバ伝播モード分布2106と分布2107の主ピークが重なり、より効率的に高い空間分解能の成分を持つ光束が検出器に導かれる。
【0228】
図22は、このような高い空間分解能の成分をさらに効率的に検出器に導くためのモード変換光学系2205の例を示した模式図である。円錐プリズム2203により、分布2202を持つ光束はよりガウス分布の基本モードに近い光束に変換され、これを集光レンズ2204により略ガウス分布2207の集光された光モードに変換したのち、光ファイバ2102に入射する。円錐プリズム2203と集光レンズ2204の代わりに、石英基板2208上の両面にリソグラフィーによりエッチングされた等間隔同心円回折格子2209、非等間隔同心円回折格子2210を構成して同様の光モード変換作用を持たせることが可能である。以上より、高い分解能の成分を効率的に検出して、TS−OCT画像を形成することが可能となる。
【0229】
なお、瞳分割調整された光束による高い分解能を持つ光モードを構成することが望ましい場合には、合成光学系と集光レンズの間に適宜、瞳分割光学系を入れて光モードを調整することができる。
【0230】
(実施例8:光ファイバ)
本発明の実施例8について、図23を用いて説明する。ここで本実施例は、実施例1の変形例で、光ファイバを用いた。
【0231】
光源2301により射出した光が、単一モード光ファイバ2302により導光され、ファイバ対応型の分割光学系2351により参照光と信号光に分割される。
【0232】
参照光は、周波数シフタ2305によって、その光周波数がΔfだけシフトされる。次に光サーキュレータ2352を通過した後、コリメータ2353により略平行光となり、光ディレイ部2306により反射される。ここで、光ディレイ部の位置は、光路長が所定の長さとなるように、位置駆動装置2307によって制御される。参照光は続いてコリメータ2353により光ファイバに戻り、光サーキュレータ2352により、ファイバ対応型分割光学系2354により、ファイバ対応型合成光学系2355と2356にそれぞれ送られる。
【0233】
信号光は、分割光学系2351により、光サーキュレータ2357を通過し、コリメータ2358に入射され、平行光となる。その後、半波長板2359によりp偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ2360を透過し、部分面積4分の1波長板2361を通過する。当該通過した後、光走査光学系2310、走査レンズ2311、眼用レンズ2312により、被検査物である眼2314及び眼底観察対象部位2315に対して形成された被検光学系を往復する。ここで、光走査光学系2310は、光軸に対して2直交方向の傾斜角を持たせるように信号光束の主光線を傾斜させる作用を持つ。これにより、走査レンズ2311、眼用レンズ2312を通過した光束が眼の瞳(虹彩)上で角度走査される。この結果、眼の光学作用によって、眼底観察対象部位2315が眼底上の光軸に垂直な面(x−y面)内を走査するように構成した。
【0234】
眼底観察対象部位2315からの反射光や後方散乱光のうち、眼底観察対象部位2315に入射したときと略同一の光路を通って入射光と逆方向に進行する光は、部分面積4分の1波長板2361によって、偏光される。具体的には、その所定の一部分である中心部分のみが波長板の往復の光学作用により、入射時とは90度回転した偏光に変換される。これにより、偏光ビームスプリッタにおいて、中心部光束は反射され、周縁部光束は透過して、もとの光路を戻る。
【0235】
透過した周縁部光束はコリメータ2358により集光してファイバに戻り、光サーキュレータ2357により合成光学系2355に送られる。一方、反射した中心部光束は、集光レンズ2362により集光してファイバに入射し、合成光学系2356に送られる。それぞれの光束は合成光学系2355、2356にて参照光と合波され、光電変換検出器2320により、非分光的干渉信号が検出される。一方、分光用回折格子2325、波長分離結像レンズ2326、ラインセンサ2327により、分光的干渉信号が検出される。OCT処理部2321へ送られ、それぞれTS−OCT画像、SD−OCT画像として画像化し、適宜処理される。
【0236】
位置駆動装置2307、光走査光学系2310、フォーカス位置駆動装置2313、光電変換検出器2320、ラインセンサ2327は夫々以下の装置による入出力により駆動等を行なう。即ち、OCT処理装置2321a、2321b、2321c、2321d、2321eによる入出力により駆動や検出を行う。
【0237】
(実施例9:SDをSDで補正(1)装置1つ)
本発明の実施例9について、図24を用いて説明する。ここで本実施例は、実施形態2を特定したものであり、SD−OCTの撮像を高NAの結像系とDFを用いて行った。高NAにより取得されたSD−OCT画像を、高横分解能を持つ中心画素と、その深さ方向の周辺の低横分解能を持つ位置合わせ用の画素とに分け、位置合わせの補正を行った。
【0238】
まず、光源101により射出した光が、単一モード光ファイバ102により導光され、ファイバ端より射出した光はコリメートレンズ103によって平行光に変換され、分割光学系104により参照光と信号光に分割される。
【0239】
参照光は、光ディレイ部106で反射し、続いて反射ミラー108によって、合成光学系116に導かれる。
【0240】
信号光は、導光分割光学系109へ入射された後、被検査物である眼114及び眼底観察対象部位115に対する被検光学系に導かれる。ここで、被検光学系とは、導光分割光学系109、光走査光学系110、走査レンズ111、眼用レンズ112により形成されている。眼用レンズ112はフォーカス位置駆動装置113により、入射光の光軸方向に駆動される。また、光走査光学系110は、光軸に対して2直交方向の傾斜角を持たせるように信号光束の主光線を傾斜させる作用を持つ。これにより、走査レンズ111、眼用レンズ112を通過した光束が眼の瞳(虹彩)上で角度走査される。この結果、眼の光学作用によって、眼底観察対象部位115に眼底上の光軸方向(深さ方向)に対して垂直面(x−y面)内を走査するように構成した。眼底観察対象部位115からの反射光や後方散乱光のうち、眼底観察対象部位115に入射したときと略同一の光路を通って入射光と逆方向に進行する光は、導光分割光学系109によって、その一部が合成光学系116へ導かれる。
【0241】
次に、合成光学系116により参照光と信号光が合成され、複素振幅として加算された合成振幅を持つ干渉光が分光用回折格子2401に入射する。そして、波長分離結像レンズ2402によって集光し、ラインセンサ2403にて波長毎に強度検出され、SD−OCT画像を得るために、OCT処理部121hへ送られる。
【0242】
眼用レンズ112とフォーカス位置駆動装置113により構成されるフォーカス機構により得ることができ、高横分解能の画素のみを最終的な画像構成要素として用いる。また、それ以外に同時に得られる画素は位置合わせに用いる。
【0243】
続いて、本実施例の位置合わせについて説明する。この位置合わせに用いる位置合わせ点や位置合わせの画像との関係などは、第2実施例の位置合わせの例で説明した図9と図13を用いることができる。
【0244】
位置合わせ点において取得される位置合わせ用のSD−OCT画素の概要について、図25に示した。図25(a)は、集光光学系2501を透過した光束が、眼底観察対象部位2502に入射し、同じ光路を通って集光される様子を表したものである。本実施例ではSD−OCTは高NAの光束により急峻に、DOFが狭く結像される。また、図25(b)に、位置合わせ点であるSD−OCT画素2503とその上下に位置合わせに用いるSD−OCT画素2504と2505を模式的に示した。
【0245】
図26(a)に、対象となる撮像対象の1例を示した。撮像対象2601に、図25(b)のSD−OCT画素2503、2504、2505を重ね合わせたのが、図26(b)の2602である。そして、各画素で得られる信号強度を画像化した模式図が、SD−OCT画像2603である。ここでは、横方向(x方向)にほぼ一様な撮像対象とした。このような撮像対象では、SD−OCT画像2603に模式的に示したように、深さ方向(z方向)によく分解される。位置合わせの具体的な例は、第2実施例に示したものと同様に行うことができる。
【0246】
次に、横方向(x方向)にほぼ一様な撮像対象でない場合について述べる。例えば、図26(c)のように、横方向(x方向)に対して傾いた要素を持つ撮像対象2604とする。ここで撮像対象2604に、図25(b)のSD−OCT画素2503、2504、2505を重ね合わせたのが、図26(d)の2605である。傾きがSD−OCT画素の横解像度に比べて急な場合には、SD−OCT画像2606に示すように、深さ方向(z方向)には解像されなくなるため、これを深さ方向の位置合わせに用いることは困難となる。よって、本実施例は横方向(x方向)の構成成分が多く、傾きの少ない構造で構成された撮像対象に向いている。
【0247】
以上により、SD−OCT画像をその撮像深さ中心部の高分解能の画素と、撮像深さ周辺部の位置合わせ用画素に分けて、用いることにより、1つのSD−OCT計測系だけで、位置が補正された高い横分解能を持つ画像を取得することができる。ただし、SD−OCTであっても、1次元分の画像情報は画像としては用いていないため、走査はTS−OCTと同じだけ必要となる。
【0248】
(実施例10:SDをSDで補正(2)装置2つ)
実施例10について、図27を用いて説明する。ここで本実施例は、実施例9の変形例であり、新たに分光用回折格子2701、波長分離結像レンズ2702、ラインセンサ2703、OCT処理部121iを構成に加えた。これらにより、高分解能を持つSD−OCTの画像処理部とは別に、位置合わせ用の画像を取得することができる。
【0249】
ここで、本実施例においては、高分解能を持つSD−OCTの画像処理において、Aスキャン(深さ方向の走査)の走査線一本分の画像を常に一括で取得できる。しかし、走査線一本分の画像のうち、フォーカスが合焦している一画素部分のみを用いるため、それ以外の深さ方向の画像は除去することが望ましい。
【0250】
また本実施例さらなる変形例として、図28のように、新たに光束限定手段を構成に加えている方法もある。
【0251】
分光用回折格子2701、波長分離結像レンズ2702、ラインセンサ2703に至る光路中に、絞りとしての光束限定手段2801を配置した。光束限定手段2801の作用は、深い焦点深度が得るために、中心部光束のみを選択的に透過し、残りをブロックすることである。これにより、分光干渉信号検出を経てOCT処理部121iによって検出されるSD−OCT画像は、深い焦点深度を持った画像となる。このため、深さ方向の位置補正の精度を上げることができる。
【0252】
なお、フォーカス駆動装置と同期して光ディレイ部を駆動させても良い。この構成により、深さ方向の撮像中心部を指定できる。
【0253】
(実施例11:TDをSSで補正)
実施例11について、図36を用いて説明する。ここで本実施例は、第1実施例の変形例であり、SD−OCTの代わりにSS−OCTを用いて位置補正を行う構成である。TD−OCTとSS−OCTでは使用する光源が異なることから、新たにSS−OCT用の波長走査光源3601とコリメータ3602を加えた。一方で、SS−OCTにおいては、SD−OCTのように干渉信号の分光は必要なく、波長走査光源3601による照射波長と検出信号を解析することによって断層情報を得ることが可能である。干渉信号の取得はTD−OCTと同一の光電変換検出器120を用いて行うことが可能である。
【0254】
ここで、本実施例においては、TD−OCTとSS−OCTの計測を高速に時分割で行う例を示す。
【0255】
TD−OCT用の光源101から照射された光は実施例1と同様に導光され、最終的に干渉信号が光電変換検出器120で検出される。
【0256】
一方でSS−OCT用の波長走査光源3601から照射された光は、コリメータ3602によって平行光とされ、分割光学系104により参照光と信号光に分割される。参照光は、周波数シフター105を通過し、光ディレイ部106により反射され、反射ミラー108によって合成光学系116に導かれる。ここで、SS−OCTにおいてもSD―OCTの場合と同様に周波数シフトによって信号強度が上下するため、光照射と概同期させて周波数シフトを停止したり、検出信号を周期の整数もしくは半整数倍の時間で積分しても良い。また、周波数シフトを停止させないために、図37のような構成も可能である。図37はマイケルソン干渉計を基本としたものである。波長走査光源3601から照射した光は、非対称分割光学系3701において周波数シフター105側にはほとんど分岐されず、分割光学系116に進む。一方でTD−OCTの光源101から照射された光の参照光は、多くが周波数シフター105を通り、実施例1と同様の経路となる。
【0257】
分割光学系104もしくは非対称分割光学系3701から分岐した信号光は、TD−OCTの経路と同様に眼114に導かれた上で、合成光学系116に導かれる。そこで参照光と信号光が合成され、複素振幅として加算された合成振幅を持つ干渉光の一部は、集光光学系118に入射する。そして、単一モード光ファイバ119に光結合され、ファイバのモードと一致した成分が選択され、ファイバ内を伝播し、光電変換検出器120に入射する。さらに、電気信号に変換されて、OCT処理装置121dへと伝えられる。ここで取得した干渉信号と、同期取得した光源走査信号を用いて断層情報を得る。このようにして得たSS−OCT情報を用いて、TD−OCTの複数画像を補正する。なお、前実施例のように瞳分割を行って、SS−OCT計測時に深い焦点深度を得ることも可能である。
【0258】
さらに、他のSS−OCTによる補正の実施例について、図38を用いて説明する。図38において、波長走査光源3601とコリメータ3602からSS−OCTの光が分割光学系3801に導かれる。ここで、光は参照光と信号光に分岐され、参照光は分割光学系104に、参照光はミラー3802に導光される。信号光は分割光学系104においてさらに、分割光学系109へと導光される信号光と、周波数シフター105へと向かう第二の参照光に分割される。周波数シフトを受けない参照光と、周波数シフトされる第二の参照光は、合成光学系3803で合成されてTD−OCTと同一の参照光経路を進む。このように、参照光には周波数シフトを受ける成分と受けない成分があるが、信号強度としては周波数シフター105を通らない方が強い。さらには、例えば分割光学系104の透過反射比率を90:10のように非対称にしておけば、さらに周波数シフトの影響を少なくすることが可能である。以降の経路はTD−OCTと同様で、眼114を通り、合成光学系116で信号光と参照光が合成されて光電変換検出器120、124に入射する。一方でTD−OCT用の光源101から照射された光は、実施例1と同様に分割光学系104に導光され、信号光は分割光学系109へ、参照光は周波数シフター105へと導光される。分割された信号光と参照光は実施例1と同様に、眼114やミラー106を通って合成光学系116に入射し、合成されて光電変換検出器120、124で検出される。
【0259】
TD−OCTの干渉信号とSS−OCTの干渉信号は同様に光電変換検出器120、124に入射する。ここで、TD−OCTの信号周波数とSS−OCTの信号周波数を異なる周波数にしておくことにより、光電変換検出器120、124で検出した信号を、周波数フィルタ3804を通すことで分割することが可能となる。TD−OCTの信号周波数は参照光の周波数シフト量であり、SS−OCTの信号周波数は波長走査光源3601の掃引周期と波長純度で決まるものである。分割されたTD−OCT、SS−OCTそれぞれの干渉信号から、補正した断層画像を得ることが可能となる。
【0260】
(実施例12:TDの信号経路にSD検出系を入れない)
実施例12について、図39を用いて説明する。TD−OCTの画像品質を向上させるためには、眼から光電変換検出器への光路中に光学部品を置かずダイレクトに入射させることが有効である。
【0261】
実施例12は実施例2の変形例であり、位置補正用のSD−OCTの検出系を別の位置に具備している。分岐光学系である3901と3902を備えている。
【0262】
まず、光源101により出射した光が、単一モード光ファイバ102により導光され、ファイバ端より出射した光はコリメートレンズ103によって平行光に変換され、分割光学系104により参照光と信号光に分割される。
【0263】
信号光は分岐光学系3901を通過し、TD−OCTと同様に眼まで導光される。眼から返って来た信号光は、再度、導光分割光学系109に導かれ、合成光学系116に行くTD−OCTの信号光と、分岐光学系3901に向かうSD−OCTの信号光に分岐される。
【0264】
参照光は、周波数シフター105によって、その光周波数がΔfだけシフトされた後、光ディレイ部106により反射され、反射ミラー108によって合成光学系116に導かれる。ここで、光ディレイ部106の位置は光路長が所定の長さとなるように、位置駆動装置107によって制御される。
【0265】
光ディレイ部106からの参照光は分岐光学系3902によって、TD−OCTの参照光の経路と、分岐光学系3901に向かうSD−OCTの参照光とに分岐される。TD−OCTの参照光は合成光学系116により信号光と合成され、実施例2と同様にヘテロダイン検波が行われて画像情報を得る。
【0266】
一方でSD−OCTの信号光と参照光は、分岐光学系3901で合成される。ここで合成された干渉信号は、分光用回折格子125に入射して、波長分離結像レンズ126により集光し、ラインセンサ127にて波長毎に強度検出される。検出した分光干渉信号から断層情報を得て、前期補正方法によってTD−OCTの情報を補正する。
【0267】
(その他の実施例)
その他の実施例について、図29を用いて説明する。導光分割光学系109で反射された被検査物からの反射光が、分割光学系104を透過し、集光レンズ2901に入射する。集光レンズ2901により単一モード光ファイバ2902に入射し、光電変換検出器2903により光強度信号を検出され、OCT処理部121jに送信される。
【0268】
ここで、本実施例の光学干渉検出系の信号処理、制御及び画像化を行うOCT処理部121について、図30を用いて説明する。図30は、OCT処理部121の機能ブロック図を模式的に示したものである。光電変換検出器2903から得られた電気信号は、増幅器3001で増幅され、デジタルサンプリング部3002でデジタイズされる。この後、この電気信号は中央処理部804において、XYスキャナドライバ805との対応を行うことにより、被検査物における位置が分かり、SLO(Scanning Laser Ophtalmoscope)画像を得ることができる。
【0269】
また、実施例12の構成にSLOの機能を追加した構成を図40に示す。分岐光学系3901、3902を具備するのは実施例12と同様であるが、SLO画像取得系には周波数シフター105を通る参照光を入射させないことが望ましい。そこで、SD−OCTの参照光の経路にスイッチ4001を具備する。スイッチ4001を遮断することによって、分岐光学系3901を通してSLO用光電変換素子2903に参照光が入射することを防ぐ。SD−OCTの信号検出と、SLO画像取得とを切り替え、そのタイミングに同期させてスイッチ4001をオンオフさせればよい。
【0270】
さらに、別の構成を図41に示す。これは、SD−OCTの参照光の経路を、TD−OCTの参照光の経路と分岐させたものである。参照光を分岐させることによって、SD−OCTの参照光が周波数シフトされることがなくなり、信号の積分や周波数シフターの停止等、特別な処理が必要ではなくなる。
【0271】
分岐光学系104から導光分割光学系109へ入射された信号光は、スイッチ4101へ進むSD−OCT用の参照光と、光走査光学系110に向かう本来の信号光へと分岐される。光走査光学系110に向かった信号光は、眼に入射され、再度導光分割光学系109へと導光される。一方で、スイッチ4101に向かったSD−OCTの参照光は、位置駆動装置4103によって駆動されるミラー4102によって反射されて導光分割光学系109に導光される。導光分割光学系109において、参照光と信号光が合成されて分岐光学系104方向に導光される。分岐光学系104を直進した光は、分岐光学系4103によって、SLOの光電変換検出器2903とSD−OCTの分光器125に分岐される。SD−OCTを測定する時には、スイッチ4101を開け、SLOを測定する時にはスイッチを閉じる。
【0272】
一方で、TD−OCTの信号光は導光分割光学系109を直進して、合成光学系116で参照光と合成されて干渉信号となり、光電変換検出器120、124によって信号検出し、画像情報を得る。
【0273】
TD−OCT、SD−OCT、SLOの情報を適宜取得することによって、TD−OCTの画像情報を縦方向および横方向で位置補正することが可能となり、より高画質な画像を得ることが可能となる。
【0274】
また、その他の実施例について、図29を用いて説明する。周波数シフタとして、光音響変調器を2つ用いた構成とした。41MHzで駆動される光音響変調器2904により+41MHzの周波数シフトをした+1次回折光を40MHzで駆動される光音響変調器2905に入射し、この−1次回折光を用いることにより、1MHzの周波数シフトを得ることができる。これにより、光音響変調器の高い周波数シフトをより低い周波数シフトへ調整することができる。さらに、回折光の回折角度の波長依存性を打ち消し、各波長成分の光の進行方向は互いに平行となり、進行しても互いの間の拡がりを抑えることができる。
【0275】
さらに、その他の実施例として、図31を用いて説明する。TS−OCT画像を得るための光検出光学系として共焦点光学系と点センサの変わりに、より高次元のエリアセンサを用いたフルフィールドOCTにもできる。本実施例において、SD−OCTの構成に、センサの次元をあげたエリアセンサ3101、3106を用いて、線集光タイプのSD−OCTを用いた。ここで、3103と3104はシリンドリカルレンズ、3105は線スリットである。
【0276】
なお、本発明の実施例において、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、シーケンスの流れなどは種々に変更する事が可能である。
【0277】
上記実施例おいて使用する周波数シフタは、TS−OCT像を取得する場合の構成にも組み入れることができる。
【0278】
斯かる場合、SD−OCTのラインセンサの出力(光強度vs波長)は、周波数シフタのシフト周波数(キヤリア周波数)の周期で時間的に(同じ形のまま)上下することがあるので、この上下の周期よりも長い時間で積分してとることが望ましい。つまり、SD−OCT像を取得する場合の装置構成に、周波数シフタを利用することもできる。
【0279】
なお、周波数シフタのシフト周波数、即ちキヤリア周波数は1〜10MHzが望ましい。なお、キャリア周波数が1〜10MHzの場合のTS−OCTの画素のサンプリングの速さは、数100kHz〜数MHz程度とするのがよい。
【0280】
なお、TS−OCT像の方が,SD−OCT像よりも速く画像サンプリングできる場合は、TS−OCTの1画素1画素全部にSD−OCTを必ず実施しなくても,位置合わせに必要な画素にだけSD−OCTを実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0281】
本発明の高分解能のOCT光干渉計測装置は、眼底観察や皮膚、内視鏡などの生体観察ならびに、産業上の品質管理などを含み、各種の診断装置、検査装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0282】
【図1】本発明に係る光干渉断層計を説明するための模式図
【図2】本発明に係る光干渉断層計を説明するための模式図
【図3】本発明の第1実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図4】本発明の第2実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図5】本発明の第2実施例における瞳分割光学系の構成を示す模式図
【図6】本発明の第2実施例における眼底観察対象部位に入射した光束の様態を示す摸式図
【図7】本発明の第2実施例により取得され、処理される断層画像を示す模式図
【図8】本発明の第2実施例におけるOCT処理部の機能ブロックを示す摸式図
【図9】本発明の第2実施例における線画像間の位置合わせ位置を示す模式図
【図10】本発明の第2実施例におけるTD−OCT画素及びSD−OCT画素を示す模式図
【図11】本発明の第2実施例におけるSD−OCT画像を示す摸式図
【図12】本発明の第2実施例におけるSD−OCT画像どうしの位置ずれの検出を示す模式図
【図13】本発明の第2実施例における2次元画像どうしの位置合わせ点を示す模式図
【図14】本発明の第2実施例におけるSD−OCT2次元画像どうしの位置合わせ箇所を示す模式図
【図15】本発明の第3実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図16】本発明の第3実施例における瞳分割光学系の構成を示す模式図
【図17】本発明の第4実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図18】本発明の第4実施例における瞳分割光学系の構成の例を示す模式図
【図19】本発明の第5実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図20】本発明の第6実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図21】本発明の第7実施例における光モードの概要を説明する模式図
【図22】本発明の第7実施例における光モード変換の例を示す模式図
【図23】本発明の第8実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図24】本発明の第9実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図25】本発明の第9実施例におけるSD−OCT画素構成を示す模式図
【図26】本発明の第9実施例におけるSD−OCT画像を示す摸式図
【図27】本発明の第10実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図28】本発明の第10実施例における変形例を示す模式図
【図29】本発明のその他の実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図30】本発明のその他の実施例におけるOCT処理部の機能ブロックを示す摸式図
【図31】本発明のその他の実施例における干渉計測装置の構成を示す模式図
【図32】従来における光干渉計測装置(TD)の構成を示す模式図
【図33】従来における光干渉計測装置(SD)の構成を示す模式図
【図34】眼底観察対象部位に入射した光束の様態を示す摸式図
【図35】画像どうしの位置ずれを示す模式図
【図36】本発明の第11実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図37】本発明の第11実施例における他の構成例を示す模式図
【図38】本発明の第11実施例における更なる構成例を示す模式図
【図39】本発明の第12実施例における光干渉計測装置の構成を示す模式図
【図40】本発明の第12実施例にSLOを含めた構成例の模式図
【図41】本発明におけるSD−OCTとTD−OCTの組み合わせ例の模式図
【図42】本発明の実施例5におけるタイミングチャートの一例
【図43】本発明に係る光断層干渉計による深さ方向に関する断層像どうしの位置関係を補正する手法の一例を説明するための模式図
【図44】本発明に係る光断層干渉計による深さ方向に関する断層像どうしの位置関係を補正する手法の一例を説明するための模式図
【図45】本発明に係る光断層干渉計による深さ方向に関する断層像どうしの位置関係を補正する手法の一例を説明するための模式図
【符号の説明】
【0283】
101 光源
104 分割光学系
105 周波数シフタ
106 光ディレイ部
107 位置駆動装置
110 光走査光学系
113 フォーカス位置駆動装置
116 合成光学系
117 瞳分割光学系
118 集光光学系
119 単一モード光ファイバ
125 分光用回折格子
120 光電変換検出器
125 分光用回折格子
127 ラインセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層法を用いた画像形成方法であって、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点の位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程とを含み、
前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記第3の画像情報は、前記第1の焦点の位置における前記光軸方向に沿った断層画像情報であり、且つ前記第2の焦点の位置における前記被検査物の断層情報を含んでおり、
前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記第3の画像情報は、フーリエドメイン法により取得され、且つ前記被検査物の前記第1の焦点の位置における前記光軸方向に沿った第1の断層像と、
フーリエドメイン法により取得され、且つ前記被検査物の前記第2の焦点の位置における前記光軸方向に沿った第2の断層像とを含み、
前記第1の断層像と前記第2の断層像との重複する領域における情報を用いて、該第1及び第2の断層像にそれぞれ関連付けられている前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記第3の画像情報として、前記第1の焦点の位置及び前記第2の焦点の位置の両方の位置における該被検査物の断層画像をそれぞれフーリエドメイン法により取得し、それぞれの断層画像の重複している箇所の情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の画像情報取得工程が、タイムドメイン法により前記被検査物の一次元あるいは二次元像を取得する工程であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記第3の画像情報をスペクトラルドメイン法により取得することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項7】
光干渉断層法を用いた画像形成方法であって、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物のCスキャン像である第1の画像情報を、タイムドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物のCスキャン像である第2の画像情報を、タイムドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点の位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報を、スペクトラルドメイン法により取得する工程とを含み、
前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
請求項1に記載の画像形成方法を行うための光干渉断層装置であって、
被検査物に光を入射するための光源と、前記光源からの光を信号光と参照光に分割するための第1の光分割手段と、該参照光と該信号光との干渉光を検知するための検知手段とを有することを特徴とする光干渉断層装置。
【請求項9】
前記参照光の周波数と前記信号光の周波数とに差を持たせるための周波数シフタと、
制御部とを有し、
前記制御部は、
前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記参照光或いは前記信号光の周波数をシフトさせ、且つ、
前記第3の画像情報を取得する際には、前記参照光或いは前記信号光の周波数をシフトしないように、
前記周波数シフタを制御することを特徴とする請求項8に記載の光干渉断層装置。
【請求項10】
前記干渉光が通る経路を変換するための光経路変換手段と、
制御部とを有し、
前記制御部は、
前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記干渉光は、前記タイムドメイン法により画像を取得するための経路を通り、且つ、
前記第3の画像情報を取得する際には、前記干渉光は、前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための経路を通るように、
前記光経路変換手段を制御することを特徴とする請求項8に記載の光干渉断層装置。
【請求項11】
前記干渉光を、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光と前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光とに分割するための第2の光分割手段と、
前記第2の光分割手段を透過する光の偏光を変化させるための空間偏光変調器と、
制御部とを有し、
前記制御部は、
前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光の方が、前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光よりも強く、且つ、
前記第3の画像情報を取得する際には、前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光の方が、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光よりも強くなるように、
前記空間偏光変調器を制御することを特徴とする請求項8に記載の光干渉断層装置。
【請求項12】
前記参照光の周波数と前記信号光の周波数とに差を持たせるための周波数シフタと、
前記干渉光を、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光と前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光とに分割するための第2の光分割手段と、
前記第2の光分割手段を透過する光の偏光を変化させるための空間偏光変調器と、
制御部とを有し、
前記制御部は、
前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記参照光或いは前記信号光の周波数をシフトさせ、且つ、
前記第3の画像情報を取得する際には、前記参照光或いは前記信号光の周波数をシフトしないように、前記周波数シフタを制御し、
前記第1或いは前記第2の画像情報を取得する際には、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光の方が、前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光よりも強く、且つ、
前記第3の画像情報を取得する際には、前記スペクトラルドメイン法により画像を取得するための光の方が、前記タイムドメイン法により画像を取得するための光よりも強くなるように、
前記空間偏光変調器を制御することを特徴とする請求項8に記載の光干渉断層装置。
【請求項13】
瞳分割の作用を持つための光束分割手段を有することを特徴とする請求項8に記載の光干渉断層装置。
【請求項14】
前記参照光の周波数と前記信号光の周波数とに差を持たせるための周波数シフタを有し、
前記光源は、複数の中心波長を照射するための第1の光源と、単一の中心波長を照射するための第2の光源であって、
前記周波数シフタが、前記第2の光源が照射する光の経路に配置され、
前記第1の光源が照射する光の経路は、前記第2の光源が照射する光の経路とは異なることを特徴とする請求項8に記載の光干渉断層装置。
【請求項15】
光干渉断層法を用いた画像形成方法であって、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報を、フーリエドメイン法により取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報を、フーリエドメイン法により取得する第2の画像情報取得工程と、
前記第1あるいは第2の画像情報取得工程の少なくとも一方の工程により得られる前記被検査物の断層情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の画像情報をスペクトラルドメイン法により取得することを特徴とする請求項15に記載の画像形成方法。
【請求項17】
請求項15に記載の画像形成方法を行うための光干渉断層装置であって、
被検査物に光を入射するための光源と、前記光源からの光を信号光と参照光に分割するための光分割手段と、該参照光と該信号光との干渉光を検知するための検知手段とを有することを特徴とする光干渉断層装置。
【請求項18】
光干渉断層法を用いた画像形成方法であって、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関する第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の前記光軸方向に関する断層画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程とを含み、
前記断層画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項19】
前記断層画像情報は、前記光軸方向に関して、前記第1及び第2の焦点の位置とは異なる第3の焦点の位置で取得され、且つ該第1及び第2の焦点の位置における被検査物の画像情報を含み取得されることを特徴とする請求項18に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2008−298767(P2008−298767A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66055(P2008−66055)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】