説明

光干渉角速度計

【課題】光干渉角速度計の自己診断機能を簡素な構成で実現する。
【解決手段】デジタル信号処理型式の光干渉角速度計に、擬似角速度信号を発生する擬似角速度信号発生回路と、位相変調信号が与えられる側の位相変調器の一方の電極に角速度計側モードでは共通電位を印加し、校正モードではランプ波状の擬似角速度信号を印加する状態に切換える切換手段と、校正モードにおいて、フィードバック信号発生回路から擬似角速度信号を打ち消すフィードバック信号が発生するか否かを判定する判定手段とを付加した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はフィードバック信号としてランプ波状を利用するクローズドループ方式の光干渉角速度計に関し、特に故障診断機能を備えた光干渉角速度計を提供しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
図5に従来から用いられているデジタル処理型のクローズドループ方式の光干渉角速度計(特許文献1)の構成の一例を示す。ここに示す光干渉角速度計(以下FOGと称す)は、フィードバック信号Vとして階段状の位相偏移を付与するデジタルフェーズランプ方式と呼ばれているもので、階段状のフィードバック信号Vの階段状の一段分の時間幅は、光学路を構成する光ファイバコイル17を通過する光の伝搬時間τに設定される。
また、位相変調も半周期をτとする±(nπ+π/2)(rad)の短波形がCW光とCCW光間の位相差として付与される。位相変調駆動回路30よりパルス幅をτとする短形状の位相変調信号Vを光ファイバコイル17の片端に配置した位相変調器16に印加し、光ファイバコイル17を伝搬する両光間に±π/(rad)の位相差を交互に付与する短形波位相変調が行われる。
【0003】
受光器18に達した干渉光は、図6のようになる。位相変調のA1の期間は、両光間の位相差が“0”の状態を示し、A2の期間は、角速度が印加されサニャック位相差Δφsが生じた状態を示す。位相変調のA1の期間φ〜φに相当する干渉光の出力I〜Iは図6に示すように同レベルとなり、干渉光の強度の差異は生じない。A2の期間は、φ、φに対応するI、Iはφ、φに対応するI、Iの干渉光強度に差異ΔIが生じる。その差異ΔIは、次式で表される。
ΔI=Po・sinΔφ ……… (1)
(1)式に示すようにφ、φに対応するI、Iとφ、φに対応するI、Iの干渉光強度の差異ΔIを検出すれば、サニャック位相差Δφを知ることができる。ここで、サニャック位相差Δφは、
Δφ=(4πRL/eλ)Ω=K・Ω ……… (2)
Ω:入力角速度
R:光ファイバコイルの半径
L:光ファイバコイルの光ファイバ長
C:光速
λ:光源波長
:サニャック係数
で表され、サニャック係数Kを比例定数として入力角速度Ωに比例する。続いて干渉光出力I〜Iは、受光器18で光電変換された後、A/D変換器19において周期τでA/D変換され、その後同期検波回路20により(1)式において周期τでA/D変換され、その後同期検波回路20により(1)式に対応するデジタル量が演算される。即ち入力角速度Ωの正弦関数に比例したデジタル量を求めることができる。
【0004】
クローズドループの方法に関する説明
クローズドループ方式の場合には、(1)式における位相差Δφは光ファイバコイル17の両光間の位相差Δφに置き換えられる。このΔφは、
Δφ=Δφ+Δφ ……… (3)
ここでΔφは、光ファイバコイル17に角速度を印加したときに生じるサニャック位相差を示す。Δφはフィードバック信号Vにより生じる位相差を示す。同期検波回路20により生成された(1)式に対応したデジタル量をフィードバック回路22に負帰還となるように与えると、積分器21の入力、即ち同期検波回路20の出力は零となり(ΔI=0)、Δφ=0となる。従って、
Δφ = −Δφ ……… (4)
の関係が成り立つ。フィードバック位相差Δφを発生させる方法は、光の伝搬時間τを一段の幅とする階段状鋸歯状波(デジタルフェーズランプ)を位相変調器15に印加し達成することができる。
【0005】
ここで、光学素子13は、例えばニオブ酸リチューム(LiNbO)の光学結晶に導波路を形成し、Y分岐結合部14、位相変調器15、16を集積化した光集積回路(光IC)が通常用いられる。光ファイバコイル17の片端に配置した位相変調器15にフィードバック信号Vを印加するとCW光は図7Bの破線で示した位相シフトを受ける。一方、CCW光は、実線で示したようにCW光に対して光の伝搬時間τだけ進んだ位相シフトを受ける。通常デジタルフェーズランプは、干渉光の周期性からフィードバック位相φfが2mπを超えたところで絶対値として2mπ減じられる。このデジタルフェーズランプの繰返し周波数fと入力角速度Ωとの間には、次の関係が成立する。
【0006】
f=(4A/nmLλ)Ω=(2R/nmλ)Ω ……… (5)
R:光ファイバコイルの半径
A:光ファイバコイルにおいて光ファイバが囲む総面積
n:光ファイバの屈折率
すなわち、デジタルフェーズランプの繰返し周波数fを計測すれば与えられた入力角速度Ωを知ることができる。デジタルフェーズランプの繰返し周波数fはフィードバック信号発生回路22からデジタルフェーズランプを取り出し、このデジタルフェーズランプをジャイロ出力パルス発生回路32に入力し、このジャイロ出力パルス発生回路32でデジタルフェーズランプの繰返し周期fに対応した正パルス出力及び負パルス出力を生成する。正パルス出力は例えば右廻りの角速度が入力された場合の出力を示し、負パルス出力は例えば左廻りの角速度が入力された場合の出力を示す。
【0007】
以上によりFOGの概略の構成及び動作が理解されよう、尚、図5に示す2mπ制御回路31は入力角速度の最大計測範囲の拡大を図るために設けられた部分である。この部分の構成及び動作は本発明に直接関係しないのでここではこれ以上の説明は省略する。必要があれば特許文献1を参照。
【特許文献1】特開平11−295077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のFOGは自己診断機能を有しないため、正常に動作するか否かの判断は、実施に回転テーブルにジャイロを載せ、物理的に入力角速度を与えての出力をチェックするか、又は、当該角速度計が故障して異常値を出力するかしないと、その角速度計自体の良否を判定することはできなかった。
この点、「特公平7−52106公報」には自己診断機能を備えた光干渉角速度計が開示されている。然し乍ら、この特許文献ではアナログ式のFOGに自己診断機能を付加した内容になっているため、擬似回転角速度信号の信頼性(電圧値そのもの、或は電圧の安定性)が悪い欠点がある。
【0009】
つまり、アナログ回路でフィードバック信号の一段に相当する擬似回転角速度信号を精度よく発生させることは難しい。又、その発生した電圧を長期に渡って安定に保持させることも難しい。これらを実現するにはコストの上昇は避けられない。
この発明の目的はコストの上昇を来すことなく、自己診断機能を備えた光干渉角速度計を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の請求項1では、少なくとも一周する光学路と、その光学路に対して右廻り光及び左廻り光を通す分岐手段と、その光学路を伝搬してきた左右両廻り光を干渉させる干渉手段と、その干渉手段と光学路の一端との間に設けられた左右両廻り光間に位相差を与える位相変調器と、干渉手段により得られる干渉光の強度を電気信号として検出する受光器と、位相変調器により位相変調された受光器からの光電変換信号を復調し、角速度情報を検出する同期検波器と、その同期検波器からの出力を積分する積分器と、その積分器の出力を入力してランプ波形状のフィードバック信号を生成するフィードバック信号発生回路とを具備し、フィードバック信号を位相変調器の位相変調信号に加算するか、又は位相変調器とは別に干渉手段と光学路の一端との間に設けた第2位相変調器に印加し、光学路の左右両廻り光間の位相差が常時零となるように制御するクローズドループ方式の光干渉角速度計において、予め設定された擬似角速度値に相当するデジタル量をタイミングパルスに同期させて積分し、ランプ波状の擬似角速度信号を発生する擬似角速度信号発生回路と、位相変調信号が与えられる側の位相変調器の一方の電極に角速度計測モードでは共通電位を印加し、校正モードではランプ波状の擬似角速度信号を印加する状態に切換える切換手段と、校正モードにおいて、フィードバック信号発生回路から擬似角速度信号を打ち消すフィードバック信号が発生するか否かを判定する判定手段とを設けた構成とした光干渉角速度計を提案する。
【0011】
この発明の請求項2では、少なくとも一周する光学路と、その光学路に対して右廻り光及び左廻り光を通す分岐手段と、その光学路を伝搬してきた左右両廻り光を干渉させる干渉手段と、その干渉手段と光学路の一端との間に設けられた左右両廻り光間に位相差を与える位相変調器と、干渉手段により得られる干渉光の強度を電気信号として検出する受光器と、位相変調器により位相変調された受光器からの光変換信号を復調し、角速度情報を検出する同期検波器と、その同期検波器からの出力を積分する積分器と、その積分器の出力を入力してランプ波形状のフィードバック信号を生成するフィードバック信号発生回路とを具備し、フィードバック信号を位相変調器の位相変調信号に加算するか、又は位相変調器とは別に干渉手段と光学路の一端との間に設けた第2位相変調器に印加し、光学路の左右両廻り光間の位相差が常時零となるように制御するクローズドループ方式の光干渉角速度計において、予め設定された擬似角速度値に相当するデジタル量をタイミングパルスに同期させて積分し、ランプ波状の擬似角速度信号を発生させる擬似角速度信号発生回路と、校正モードにおいて、擬似角速度信号発生回路が発生する擬似角速度信号を位相変調信号に、この位相変調信号に同期して加算し、その加算結果を位相変調器に印加する加算器と、校正モードにおいて、フィードバック信号発生回路から擬似角速度信号を打ち消すフィードバック信号が発生するか否かを判定する判定手段とを設けた構成とした光干渉角速度計を提案する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、フィードバック信号の一段に相当する回転速度信号をデジタル量で提供し、このデジタル量を位相変調信号の周期に同期して積分することによりランプ波状のデジタル擬似角速度信号を生成するから、デジタル量は安定であり、安価に安定した擬似角速度信号を発生させることができる。また、デジタル量は時間の経過に対しても変動しないから、擬似角速度信号も時間の経過に対して安定である。
従って、この発明によれば安価なコストで精度が良く、然も長期に安定して動作する自己診断機能を備えた光干渉角速度計を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明を実施する場合、適用する光干渉角速度計の型式としては受光器で受光した受光信号をA/D変換器でA/D変換し、デジタル信号処理により入力角速度を計測するデジタル信号処理型式のFOGであることが望ましい。
この発明では、このデジタル信号処理型式のFOGに予め設定された擬似角速度値Δφに相当するデジタル量をタイミングパルスに同期させて積分し、ランプ波状の擬似回転角速度信号を発生する擬似回転角速度信号発生回路と、角速度計側モードでは位相変調信号が印加されている側の位相変調器の共通電位が印加されている電極に対し、校正モードでは擬似角速度信号を印加する状態に切換る切換手段と、校正モードにおいてフィードバック信号発生回路から擬似角速度信号を打ち消すためのフィードバック信号が発生するか否かを判定する判定手段とを付加した構成とするものである。
【0014】
この構成によれば、擬似角速度信号はデジタル量で提供され、デジタル量を位相変調信号に同期して積分することによりランプ波状の擬似角速度信号を生成するから、精度の良い擬似角速度信号を生成することができる。また、デジタル信号から擬似角速度信号を生成するから、その変動の発生は全くない。従って、安価に安定した擬似角速度信号を得ることができる。
【実施例1】
【0015】
図1にこの発明の請求項1で提案したFOGの実施例を示す。尚、図1に示す実施例では図5に示した構成の中で光ファイバコイル17と、2mπ制御回路31に係わる部分の構成は省略し、図5と対応する部分の構成には同一符号を付して示している。
図1において新たに追加した構成は擬似角速度信号発生回路40と、切換手段50と、演算処理部60である。演算処理部60は例えばマイクロコンピュータで構成することができ、その内部に入力角速度算出手段61と、表示手段62とを備える。入力角速度算出手段61はジャイロ出力パルス発生回路32が出力するジャイロ出力パルスの周期から入力角速度Ωを算出する。その算出結果を表示手段62に表示する。
【0016】
これと共に、演算処理部60には判定手段63と校正値記憶部64とが設けられる。校正値記憶部64は予め設定した校正のための擬似角速度値に相当するデジタル値を記憶する。校正のためのデジタル値は複数設定することができ、何れの校正値を利用するかは特に図示しないが、操作パネル等に設けられた入力手段で選択して読み出すことができる。校正値記憶部64から読み出した校正値は擬似角速度信号発生回路40に入力され、この擬似角速度信号発生回路40でランプ波状の擬似角速度信号Vを発生する。
擬似角速度信号発生回路40は入力手段に極性切換手段41を有し、その後段に積分器43を配置し、更に積分器43の後段に擬似ランプ発生回路44と、D/A変換器45が配置され、D/A変換器45から出力されるランプ波状の擬似角速度信号Vが切換手段50の一方の入力に印加される。
【0017】
極性切換手段41は負極性発生手段41Aとマルチプレクサ41Bとによって構成することができる。負極性発生手段41Aは校正値記憶部64から読み出された校正値(デジタル信号)の全てのビットを極性反転し、その極性反転したデジタル値に「1」を加えて負の補数を得ることにより負のデジタル値を得る。マルチプレクサ41Bは正のデジタル値と負のデジタル値の何れかを選択し、積分器43に出力する。正のデジタル値を選択した場合は、積分器43は0から正方向にクロック発生回路24から与えられるクロック、つまり、位相変調信号Vの周期に同期して積算されるデジタル値を出力し、擬似ランプ発生回路44はその積算値を用いて0と所定値の間でランプ波状に変化するデジタル値を発生する。極性切換手段41で負のデジタル値を選択した場合は、積分器43は0から負方向に積算されるデジタル値を出力し、擬似ランプ発生回路44はその積算値を利用して0〜負の所定値の間でランプ波状に変化するデジタル値を出力する。D/A変換器45はランプ波状に変化するデジタル値をランプ波状に変化するアナログ量に変換し、擬似角速度信号Vを出力する。
【0018】
アナログの擬似角速度信号Vは切換手段50の一方の入力に印加される。切換手段50の他方の入力には共通電位を印加する。切換手段50の選択接点は位相変調器16の一方の電極に接続される。切換手段50は演算処理部60から出力されるモード切替信号により選択接点を切換制御する。つまり、角速度計側モードでは選択接点を共通電位側に転換し、位相変調器16の一方の電極に共通電位を与える。このとき位相変調器16の他方の電極には位相変調信号Vが与えられ、位相変調器16を通過する光に位相変調信号Vに相当する位相変調を与える。
【0019】
一方、校正モードでは切換手段50は擬似角速度信号Vを選択し、位相変調器16の一方の電極にランプ波状に変化する擬似角速度信号Vを印加する。この状態で位相変調器16では、この位相変調器16を通過する光に位相変調信号Vと擬似角速度信号Vとを重畳した位相変調を与える。図2に位相変調信号Vと擬似角速度信号Vと、その重畳例を示す。図2Bに示す擬似角速度信号Vの一段の高さは校正値記憶部64から読み出した擬似角速度値Δφに相当し、Δφの積算値が所定値、例えば2πに達するとランプ波形がリセットされる、このリセット処理が擬似ランプ発生回路44で施される。
【0020】
擬似角速度信号Vが位相変調器16に印加されることにより、光干渉角速度計は図5に示した光ファイバコイル17に入力角速度Ωが入力されたと等価な状態となる。この状態で光干渉角速度計が正常に動作しているものとすると、受光器18で受光する光信号の位相は標準位相から擬似角速度信号Vの量に対応した位相差が発生し、この位相差が同期検波回路20で同期検波され、その同期検波出力を積分器21で積分することにより、フィードバック信号発生回路22からは擬似角速度信号Vを打ち消す方向のフィードバック信号Vが発生する。図3に擬似角速度信号Vとフィードバック信号Vとの関係を示す。光干渉角速度計が正常に動作している場合は、擬似角速度信号Vとフィードバック信号Vの各一段の高さΔφとΔφ´は等しい値となる。
【0021】
入力角速度算出手段61はジャイロ出力パルス発生回路32から出力されるフィードバック信号Vのフライバック周期から、擬似入力角速度を算出する。判定手段63は入力角速度算出手段61が算出した擬似入力角速度と、校正値記憶部64から擬似角速度信号発生回路40へ出力した校正値とを比較し、両者が限りなく近い値であれば、つまり、フィードバック信号発生回路22から擬似角速度信号を丁度打ち消すフィードバック信号が発生していると判定することができ、光干渉角速度計が正しく動作していることが解る。両者に差が生じ、その差の値が許容値を越えている場合は光干渉角速度計の動作に異常があると判定する。この判定結果を表示手段62に表示し、異常を知らせる。従って、この発明によれば光干渉角速度計を回転テーブルに搭載し、現実に入力角速度を印加しなくても、入力角速度に対して正常に計測結果を出力するか否かを診断することができる。また、この発明によれば校正値をデジタル信号で提供し、擬似角速度信号発生回路40をデジタル回路で構成したから温度変動、或は電源の電圧変動に対して安定に動作し、コストをかけずに精度の高い自己診断機能を付加することができる。
【0022】
図4は、この発明の請求項2で提案する光干渉角速度計の実施例を示す。この実施例では位相変調駆動回路30と位相変調器16との間にアナログ加算器51を設け、このアナログ加算器51で位相変調信号Vに擬似角速度信号発生回路40から出力される擬似角速度信号Vを電気的に加算し、その加算結果を位相変調器16の一方の電極に印加する構成とした場合を示す。またこの場合、位相変調器16の他方の電極は常時共通電位に接続される。
この実施例では、角速度計側モードでは擬似角速度信号発生回路40の出力は0であるから、位相変調信号Vのみが単独で位相変調器16に印加され、光ファイバーコイルに入力される入力角速度の計測が行われる。
【0023】
一方、校正モードでは校正値記憶部64から擬似角速度信号発生回路40に校正値が入力されるから、擬似角速度信号発生回路40はランプ波状の擬似角速度信号Vを出力する。この擬似角速度信号Vをアナログ加算器51で位相変調信号Vと加算し、その加算結果を位相変調器16に印加する。この場合の印加信号の波形は図2Cに示した信号の波形と等価である。
このように、位相変調信号Vと擬似角速度信号Vを電気的に加算して位相変調器16に印加しても、図1で説明したと同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は光干渉角速度計の出荷検査の部門或は光干渉角速度計の実用現場において活用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の請求項1で提案する光干渉角速度計の実施例を説明するためのブロック図。
【図2】図1の動作を説明するための波形図。
【図3】図2と同様の波形図。
【図4】この発明の請求項2で提案する光干渉角速度計の実施例を説明するためのブロック図。
【図5】従来の技術を説明するためのブロック図。
【図6】図5の動作を説明するための波形図。
【図7】図5の動作を説明するための波形図。
【符号の説明】
【0026】
11 光源 24 クロック発生回路
12 光カプラ 30 位相変調駆動回路
13 光学素子 32 ジャイロ出力パルス発生回路
14 Y分岐係合部 40 擬似角速度信号発生回路
15、16 位相変調器 50 切換手段
17 光ファイバコイル 51 アナログ加算器
18 受光器 60 演算処理部
19 A/D変換器 61 入力角速度算出手段
20 同期検波回路 62 表示手段
21 積分器 63 判定手段
22 フィードバック信号発生回路 64 校正値記憶部
23 D/A変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一周する光学路と、その光学路に対して右廻り光及び左廻り光を通す分岐手段と、その光学路を伝搬してきた左右両廻り光を干渉させる干渉手段と、その干渉手段と上記光学路の一端との間に設けられた左右両廻り光間に位相差を与える位相変調器と、上記干渉手段により得られる干渉光の強度を電気信号として検出する受光器と、上記位相変調器により位相変調された上記受光器からの光電変換信号を復調し、角速度情報を検出する同期検波器と、その同期検波器からの出力を積分する積分器と、その積分器の出力を入力してランプ波状のフィードバック信号を生成するフィードバック信号発生回路とを具備し、上記フィードバック信号を上記位相変調器の位相変調信号に加算するか、又は上記位相変調器とは別に上記干渉手段と上記光学路の一端との間に設けた第2位相変調器に印加し、上記光学路の左右両廻り光間の位相差が常時零となるように制御するクローズドループ方式の光干渉角速度計において、
予め設定された擬似角速度値に相当するデジタル量をタイミングパルスに同期させて積分し、ランプ波状の擬似角速度信号を発生する擬似角速度信号発生回路と、
上記位相変調信号が与えられる側の位相変調器の一方の電極に角速度計測モードでは共通電位を印加し、校正モードではランプ波状の擬似角速度信号を印加する状態に切換える切換手段と、
上記校正モードにおいて、上記フィードバック信号発生回路から上記擬似角速度信号を打ち消すフィードバック信号が発生するか否かを判定する判定手段と、
を設けた構成としたことを特徴とする光干渉角速度計。
【請求項2】
少なくとも一周する光学路と、その光学路に対して右廻り光及び左廻り光を通す分岐手段と、その光学路を伝搬してきた左右両廻り光を干渉させる干渉手段と、その干渉手段と上記光学路の一端との間に設けられた左右両廻り光間に位相差を与える位相変調器と、上記干渉手段により得られる干渉光の強度を電気信号として検出する受光器と、上記位相変調器により位相変調された上記受光器からの光電変換信号を復調し、角速度情報を検出する同期検波器と、その同期検波器からの出力を積分する積分器と、その積分器の出力を入力してランプ波形状のフィードバック信号を生成するフィードバック信号発生回路とを具備し、上記フィードバック信号を上記位相変調器の位相変調信号に加算するか、又は上記位相変調器とは別に上記干渉手段と上記光学路の一端との間に設けた第2位相変調器に印加し、上記光学路の左右両廻り光間の位相差が常時零となるように制御するクローズドループ方式の光干渉角速度計において、
予め設定された擬似角速度値に相当するデジタル量をタイミングパルスに同期させて積分し、ランプ波状の擬似角速度信号を発生させる擬似角速度信号発生回路と、
校正モードにおいて、上記擬似角速度信号発生回路が発生する擬似角速度信号を上記位相変調信号に、この位相変調信号に同期して加算し、その加算結果を上記位相変調器に印加する加算器と、
上記校正モードにおいて、上記フィードバック信号発生回路から上記擬似角速度信号を打ち消すフィードバック信号が発生するか否かを判定する判定手段と、
を設けた構成としたことを特徴とする光干渉角速度計。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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