説明

光床

【課題】従来に比べて薄い光床を実現し、建築施工後においても大きく床を上げることなく設置が容易でメンテナスが不要の光床を実現し、また、従来の光床に比べ一様で均一な明るさの発光面を有する光床を実現する。
【解決手段】
光床100は、ベースフレーム103と、上フレーム102a、下フレーム102b、ガラス板104とを重ね合わせて構成されている。上フレーム102aの内部には照明装置110が配置される。また、ガラス板104は、所定のクッション材112を介して上フレーム102a上に重畳して配置される。ガラス板104は、上側ガラス板104aと、下側ガラス板104bと、それら2枚のガラス板に挟まれている乳半シート104cとから構成されている。このような位置に乳半シート104cが存在することによって、照明装置110が発する光が、この乳半シート104cの全面に広く行き渡り、輝度ムラ等が生じにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展示対象である物品を載置する光床に関する。特に、発光手段を設けた光床に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の展示においては、演出が極めて重要である。そのために、照明は極めて重要な要素である。特に、床からの光のように下方からの光は物品に通常とは異なる輝き・陰影を醸し出すものであるため、より美的な展示をする場合にしばしば用いられる手段である。
【0003】
また、下方からの柔らかい光を得るために、しばしば、光源と、光拡散板を組み合わせた照明床や、展示のために物品を載せられるようにした照明台の如き構造がしばしば用いられる。
【0004】
先行文献
例えば、下記特許文献1には、照明床や、照明ディスプレイ等に利用可能な光源が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、面状発光体となる光ファイバ照明装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−255532号公報
【特許文献2】特開2000−082312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、このように下方からの光を実現するために、発光手段と、光拡散板を用いた構成はしばしば用いられる。
【0008】
しかし、発光する展示台を構成する場合、その上に物品を載せる関係上、ある程度の強度が必要となる。また、発光する床を構成する場合も、その上を人が通る場合が多いので、ある程度の強度が求められる。
【0009】
そのため、従来の光床は、フレーム及び透明ガラス及び光源等の部材を構成することによって、必要な強度を確保していた。
【0010】
しかしながら、従来の光床においては、光床を構成するフレーム等によって光が遮られ、一面完全に明暗がない一様の明るさを有する光の面(床面)を実現することは困難であった。
【0011】
さらに、従来の光床では、予め光床を設置することを想定して室内の施工を行わなければ、光床と室内の床を同一面に仕上げることは困難であった。
【0012】
本発明は、係る課題に鑑みなされたものであり、その目的は、場所による明るさの変化が少なく、より一様な・均一な明るさの発光面を有する光床を実現することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、従来に比べて薄い光床を実現し、建築竣工後でも大きく床面を上げることがなく設置が可能な光床を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明は、上記課題を解決するために、平板状の枠体と、前記枠体の上面に重ねて配置される上板と、前記枠体の内部に設けられた照明装置と、を含む光床において、前記上板は、第1の透明板と、第2の透明板と、前記第1の透明板と前記第2の透明板の間に挿入された光拡散板と、を含むことを特徴とする光床である。
【0015】
(2)また、本発明は、上記(1)記載の光床において、前記光拡散板は、乳白色の半透明板であることを特徴とする光床である。
【0016】
(3)また、本発明は、上記(1)記載の光床において、前記上板と、前記枠体との間にクッション材が配置されていることを特徴とする光床である。
【0017】
(4)また、本発明は、上記(1)記載の光床において、前記照明装置は、導光板と、前記導光板の縁部に設けられている発光手段と、を含むことを特徴とする光床である。
【0018】
(5)また、本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光床を複数枚並べて配置して構成した展示ステージである。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明によれば、より一様な・均一な明るさの発光面を有する光床を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づき説明する。
【0021】
1.光床の構成
本実施の形態における光床の一例を、図1に示した。図1Aはガラス板104を示す。また、図1Bは上フレーム102aを示す。また、図1Cはアクリル導光板120を含む照明装置110を示す。さらに、図1Dは下フレーム102bとベースフレーム103を組み合わせた図である。下フレーム102bは、所定の間隔を開けてベースフレーム103に固定・配置されている。上フレーム102aは、下フレーム102bにはめ込むように固定される。また、上フレーム102aの上面にガラス板104が重畳して配置される。そして、下フレーム102bの内部に照明装置110が配置される。なお、以下では、上フレーム102aと下フレーム102bを構成して成る部材をフレーム102と呼ぶ。
【0022】
さて、この図1のように、光床100は、1辺が90cm程度の矩形をなしている。そして、この光床100を縦方向や横方向に連続して並べることによって、展示ステージが構成される。展示ステージについては後に詳述する。
【0023】
光床100を並べた場合の断面図が図2に示されている。この図に示すように、光床100は、ベースフレーム103、下フレーム102b、及び上フレーム102aから構成される枠の内部に照明装置110を備えている。そして、この照明装置110によって照らされる上板104が、上フレーム102aの上面に、クッション材112を介して取り付けられている。
【0024】
1.1 照明装置の詳細
照明装置110の詳細図が図3に示されている。この図に示すように、照明装置110は、アクリル導光板120と、アルミ反射板121と、カバー129と、から構成される。カバー129の内部には、LED126と、LEDアルミ基盤124と、アルミ放熱フィン128と、が配置されている。LEDアルミ基盤124には、所定の間隔で孔が設けられ、この孔にLED126がそれぞれ取り付けられている。また、LEDアルミ基盤124には、アルミ放熱フィン128が取り付けられている。このような構成によって、LED126から発生する熱が効率よく放熱されるので、LED126の寿命を延ばすことができる。
【0025】
1.2 ガラス板の詳細
ガラス板104は、所定のクッション材112を介して上フレーム102a上に取り付けられている。図2に示すように、ガラス板104は、上側ガラス板104aと、下側ガラス板104bと、それら2枚のガラス板に挟まれている乳半シート104c、から構成して成る合わせガラスである。なお、乳半シート104cは、乳白色で半透明のシートで、光を拡散する目的で配置される。
【0026】
なお、この乳半シート104cは、請求の範囲の光拡散板の好適な一例に相当する。
【0027】
また、この光床100を複数個並べる場合には、隣接するこのガラス板104の間には所定のシール材113が充填され、いわゆる目地が埋められた状態とするのである。シール材113は一般的なシール材、シリコンコーキング材が用いられる。複数個並べたものは、展示ステージ200と呼び、その詳細は後述する。
【0028】
2. 特徴・作用
以上、本実施の形態の光床100は、これまで図1〜図3で説明したような構成を採用する。
【0029】
(1)本実施の形態において特徴的なことは、第1に、光拡散板として動作する乳半シート104cが、上側ガラス板104aと下側ガラス板14bとの間に配置されていることである。このような位置に乳半シート104cが存在することによって、発光手段110が発する光が、この乳半シート104cの全面に広く行き渡り、輝度ムラ等が生じにくくなるのである。
【0030】
これに対して、仮に、乳半シート104cを下側ガラス板104bの下面に位置させると、上フレーム102aと、乳半シート104cとが極めて近接した位置になるので、フレーム102の影やクッション材112の跡がはっきりと見えてしまう。
【0031】
また、仮に、乳半シート104cを上側ガラス板104aの上面に位置させると、乳半シート104cに傷が付きやすくなり、この傷が発光面上で目立ってしまうことが予想され、装飾上好ましくない。
【0032】
これらに対して、本実施の形態においては、上側ガラス板104aと下側ガラス板104bとの間に乳半シート104cを配置したので、傷が付きやすくなることもなく、さらに、フレーム102の影が強く出てしまうこともない。
【0033】
本実施の形態では、上側ガラス板104aと、下側ガラス板104bの厚みはそれぞれ12mmの倍強化ガラスとしたが、必要となる強度が得られる範囲で厚みを変えてもかまわないし、上側ガラス板104aと下側ガラス板104bとで異なる厚みを採用してもかまわない。特に、フレーム102の影が強く出てしまうことを防止するためには、下側ガラス板104bの厚さは大きい方が好ましい。
【0034】
(2)本実施の形態で採用する照明装置110は光源としてLED126を用いている。この結果、発熱量を減少させることができるので、より厚みを薄くして光床100を構成することができる。本願発明者が実際に製作した例では、高さ8cmを実現している。この高さでも内部は十分に低い温度に保つことができる。
【0035】
(3)本実施の形態の光床100では、上板104が上フレーム102aに対してクッション材112を介して載置されている。したがって、取り外しが容易であり、内部の照明装置のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0036】
3.展示ステージ
上述した光床100を複数個配列して、より大きな展示ステージ200を構成することも好適である。
【0037】
図4には、円形の展示ステージを構成する場合の光床100の配置を示す平面図が示されている。この図に示すように、正方形型の光床100を5個×5個配置し、その周囲に曲線部分を辺として含む光床100を配置させることによって、円形の展示ステージ200を構成している。
【0038】
このように光床100としては、矩形の平面形状だけでなく、曲面を有する形状の光床でもかまわない。そのような形状の光床100を組み合わせることによって円形や楕円形の展示ステージ200を構築することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】光床が用いるフレームの斜視図である。
【図2】光床の断面図である。
【図3】照明装置の詳細図である。
【図4】光床を複数個配置して構成して展示ステージの平面図である。
【符号の説明】
【0040】
100 光床
102 フレーム
102a 上フレーム
102b 下フレーム
103 ベースフレーム
104 ガラス板
104a 上側ガラス板
104b 下側ガラス板
104c 乳半シート
110 照明装置
112 クッション材
113 シール材
124 LEDアルミ基盤
126 LED
128 アルミ放熱フィン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の枠体と、
前記枠体の上面に重ねて配置される上板と、
前記枠体の内部に設けられた照明装置と、
を含む光床において、
前記上板は、
第1の透明板と、
第2の透明板と、
前記第1の透明板と前記第2の透明板の間に挿入された光拡散板と、
を含むことを特徴とする光床。
【請求項2】
請求項1記載の光床において、
前記光拡散板は、乳白色の半透明板であることを特徴とする光床。
【請求項3】
請求項1記載の光床において、
前記上板と、前記枠体との間にクッション材が配置されていることを特徴とする光床。
【請求項4】
請求項1記載の光床において、
前記照明装置は、
導光板と、
前記導光板の縁部に設けられている発光手段と、
を含むことを特徴とする光床。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の光床を複数枚並べて配置して構成した展示ステージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−16052(P2009−16052A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173170(P2007−173170)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(503005320)株式会社 エス・ディー・エル (3)
【Fターム(参考)】