説明

光度反応フィルム用微粒子充填物質

体液試料(126)、より特には全血中の分析物を検出するための診断テスト・エレメント(110)が提案される。該診断テスト・エレメント(110)は、少なくとも1つの検出試薬を有する少なくとも1つのテスト・フィールド(116)を含み、ここで該検出試薬は、分析物の存在下において少なくとも1つの検出可能な変化、より特には光学変化を経るように配置される。テスト・フィールド(116)は、検出試薬と粒子(137)を含む少なくとも1つの検出層(118)を有する。検出層(118)の全粒子(137)の少なくとも90%は、10マイクロメートル以下の実粒径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液試料中の分析物を検出するための診断テスト・エレメント、及びこのような診断テスト・エレメントを製造するための方法に関する。このような診断テスト・エレメントは、例えば全血などの体液中の1又は複数の分析物を検出するために、例えば、グルコース、尿酸、エタノール又はラクトース、あるいは同様の分析物を検出するために使用される。しかしながら、他の応用も可能である。
【背景技術】
【0002】
先行技術においては、体液試料中の少なくとも1つの分析物を検出するために用いることができる多くの診断テスト・エレメントが知られている。少なくとも1つの分析物は、例えば代謝物であってよい。分析物の定性的検出だけでなく、定量的検出もまた行うことができる。機知の分析物は、例えば、グルコース、より特には血中グルコース、尿酸、エタノール、及び/又はラクトースである。他の種類の分析物もまた、代替的又は追加的に検出可能である。体液は、例えば全血、血漿、腸液、唾液、尿又は他の種類の体液であってよい。本発明は、更なる可能な実施形態に制限されることなく、本質的に全血中のグルコースの検出に関連して以下に記載される。
【0003】
テスト・エレメントは、一般に、分析物の定性的及び/又は定量的な検出のための少なくとも1つの検出試薬を含む。検出試薬は、一般に、少なくとも1つの分析物の存在下において、少なくとも1つの検出可能な特性、より特には物理的及び/又は化学的に検出可能な特性を変える化学物質又は化学物質の混合物を意味する。好ましくは、この特性変化は、検出すべき少なくとも1つの検出物の存在下においてのみ特異的に生じ、他の物質の存在下では生じない。しかしながら、実際には、体液試料中の存在が、通常見られないか、あるいは極めて低濃度においてのみ存在する他の化学物質の存在下でも、一定の制限内において非特異的な特性変化を容認し得る。
【0004】
少なくとも1つの特性変化は、例えば、光学的に検出可能な特性の変化、より特には色の変化であってよい。光学検出試薬を有する診断テスト・エレメントの例は、先行技術において周知である。本発明の大部分において参照することができる欧州特許第0821234 B1号には、サポート(支持体)中に存在し、色形成試薬を含む試薬系により、全血由来の分析物を検出するための診断テスト・サポートについて記載されている。診断テスト・サポートは、試料が加えられる試料充填サイドであるテスト・フィールド、分析物と試薬系の反応の結果として光学的に検出可能な変化が生じる検出サイドを含む。テスト・フィールドは、試料中に存在する赤血球が検出サイドに到達しないように構成される。さらに、テスト・フィールドは、透明スライド、及び第1塗膜層、並びに第1塗膜層に適用される第2塗膜層を有する。透明スライド上に位置する第1層は含水状態にあり、これにより、その上に存在する第2層よりも顕著に少ない光散乱を示す。
【0005】
第1塗膜層はその屈折率が水の屈折率に近似するフィラーを含み、一方、第2層は、乾燥した第2層に基づき、好ましくは少なくとも25重量%又は25重量%超の濃度において、好ましくは少なくとも、あるいは>2.0の屈折率、より特には少なくとも2.2の屈折率を有する色素を含有する。例えば、第1層はフィラー(filler)としてケイ酸アルミニウムナトリウムを含んでよい。
【0006】
米国特許第4312834号には、成分材料の検出のための診断剤が開示されている。不溶性の塗膜は、微細な形態における塗膜形成剤及びフィルム・オープナー、不溶性の無機又は有機粒子から構成されることが開示されている。該フィルム・オープナーは、塗膜によって十分な試料の取り込みが行われるように膜多孔質を与える目的を果たす。したがって、フィルム・オープナーとして例えば、色素、すなわち大きな粒径を有する粒子、例えば二酸化チタン色素を用いることが提案される。
【0007】
WO 2006/065900 A1には、生体液中の分析物の量を測定するためのテストストリップ又は電気化学センサーが開示されている。これは、分析物と反応するための酵素系を含む。該反応系は、約0.05〜20マイクロメートルの公称サイズを有する水溶性で膨潤性のポリマーマトリックス中に混合される。したがって、微粒子を用いて減少した多孔性が記載されている。
【0008】
しかしながら、実際には、先行技術において知られるテスト・エレメント、より特には少なくとも1つのテスト・フィールドを有するテスト・エレメントは、不利益や技術的な課題を有している。例えば、先行技術において知れる慣習的なテスト・フィールドは、粒状の不均一な色の発生が生じる恐れがあることが明らかとなってきている。
【0009】
しかしながら、このような不均一な色の発生は、比較的大きな測定スポットを有するために、慣習的な分析テスト装置にとっては問題とならない。例えば、商業的に入手可能な光学的な血中グルコース測定装置は、約1.5mmの直径を有する測定スポットを有する。このような直径を伴い、変化の平均係数、すなわち測定の標準偏差と平均値の割合は、例えば、1dlの血中グルコースあたり、典型的には約10〜600mgの測定範囲おいて約1.5%である。
【0010】
しかしながら、装置技術に関して、より小さな測定スポットを有する分析測定装置に対する傾向については留意すべきである。測定スポットがより小さくなれば、特に検出反応の色発生における不均一性はより顕著になる。例えば、0.5mm以下の直径を有する測定スポットでは、変化の係数は明らかに増加し、具体的には、臨床的に許容される値の約4%以上になる。統合血中グルコース測定システムの開発は、約100ナノリットル以下のより少ない血液量にますます導かれており、大きさが10マイクロメートル×10マイクロメートルの測定スポットは、特に空間分解光学を用いた場合に可能にする必要がある。しかしながら、一般に、機知のテスト・フィールドはこのような目的に必要な精度を有していない。
【発明の概要】
【0011】
発明の目的
したがって、本発明の目的は、診断テスト・エレメント、診断テスト・エレメントを製造するための方法、及び体液試料中の分析物を検出するための方法を提供することであり、これらは全て、少なくとも機知の診断テスト・エレメント及び機知の方法の不利益を回避する。特に、極めて少量の液体中においても、少なくとも1つの分析物の高精度な定量検出が可能となる。
【0012】
発明の開示
この目的は、独立請求項に記載される要件を有する本発明によって達成される。単独又はいずれかの組み合わせにおいて実現可能な本発明の更なる利点は、独立請求項に存在する。体液試料中の分析物を検出するためのテスト・エレメント、体液試料中の分析物を検出するための診断テスト・エレメントを製造するための方法、及び体液試料中の分析物を検出するための方法が提案されている。1又は複数の提案された実施形態における診断テスト・エレメントは、本発明の方法として得ることができ、そして該製造方法は、1又は複数の記載された実施形態における診断テスト・エレメントを製造するために使用することができる。したがって、診断テスト・エレメントの可能な実施形態の記載については、製造方法の記載を参照することができ、逆もまた同様である。しかしながら、原則として、他の実施形態も可能である。体液試料の分析物を検出するために提案された方法は、以下に記載される1又は複数の実施形態における診断テスト・エレメントを用いて行われる。
【0013】
本発明の第1の態様において、体液試料中の分析物を検出するための診断テスト・エレメントが提案される。当該テスト・エレメントの可能な実施形態のために、原則として上記先行技術の記載を参照することができる。したがって、少なくとも1つの分析物は、例えば定量的又は定性的に検出することができる。少なくとも1つの分析物は、特に、グルコース、尿酸、エタノール、ラクトースの1又は複数の分析物、又はこれらの分析物及び/又は他の分析物の組み合わせであってよい。他の分析物も検出可能であるが、原則としては、例えば1又は複数の上述の分析物である。体液試料は、特には全血であってよい。しかしながら、原則として他の実施形態も可能であり、上記を参考にすることができる。
【0014】
診断テスト・エレメントは、少なくとも1つの検出試薬を有する少なくとも1つのテスト・フィールドを含む。テスト・フィールドは、以下により詳しく説明されるとおり、例えば少なくとも1つのサポート・エレメントにおいて適用することができる、検出試薬の連続領域、より特には1又は複数の層を有する塗膜(フィルム)を意味する。検出試薬は、分析物の存在下において少なくとも1つの検出可能な変化を行うように配置される。より特には、当該検出可能な変化は、物理的及び/又は化学的に検出可能な変化であってよい。以下のとおり、光学的に検出可能な変化の形成における物理的な変化、より特には色の変化に対して参照される。しかしながら、原則として、他の種類の検出可能な変化もまた、代替的及び/又は追加的に考慮され、例えば化学的及び/又は電気化学的に検出可能な変化が挙げられる。検出試薬は、特に、少なくとも1つの酵素、例えばグルコース・デヒドロゲナーゼ(例えば、FAD−、NAD+−又はPQQ−依存性)及び/又はグルコースオキシダーゼを含んでよい。したがって、一般に、例えば1又は複数の以下の酵素検出法又は検出試薬を含むグルコース検出法を使用することができる:NADHのレドックス等価物ニトロソアニリン・メディエーターに送達するためのGOD、GlucDOR(PQQ−依存性GDH及びその突然変異体)、FAD−GDH、メディエーターを伴うNAD−依存性GDH(例えばジアフォラーゼ)。
【0015】
さらに、検出試薬は、代替的又は追加的に、位置メディエーター、すなわち、ある物質から他の物質に電荷を送達することができる物質を含んでよい。より特には、電子トランスファーに適当であるメディエーターを使用することができる。例えば、当該物質は、ニトロソアニリンであってよい。検出試薬は、更に、代替的又は追加的に、少なくとも1つのインジケーターを含んでよい。インジケーターは、この物質が存在する形態に依存して、検出できる少なくとも1つの特性を変化できるような物質であると理解できる。例えば、酸化及び還元形態で異なる光学特性、例えば異なる色を有することができる物質を使用できる。該インジケーターは、代替的又は追加的に、異なる電荷状態で異なる光学特性、例えば異なる色特性を有する物質を含んでよい。したがって、一般に、検出試薬は単一の物質、又は物質の混合物、例えば上述のとおり、少なくとも1つの酵素、少なくとも1つのメディエーター及び少なくとも1つのインジケーターの混合物として理解できる。このような検出試薬は、原則として、先行技術、例えば上述の先行技術において機知である。
【0016】
テスト・フィールドは、検出試薬を含む少なくとも1つの検出層を有する。単一の検出層を有する系を使用することができるか、直接的あるいは1又は複数の層を介在することにより互いの上部に適用できる複数の検出層を使用することができる。しかしながら、単一の検出層のみを有する系が特に好ましい。本発明において、層は、一般に、層物質がサポート・エレメントに平面的に適用されるか、あるいは独立した塗膜として形成されているエレメントを意味するものと理解される。層は、必ずしも必要ではないが、閉塞されていてよいが、例えば開口部(opening)を有していてもよい。しかしながら、以下により具体的に説明されるとおり、特に好ましくは、実質的に均一であり、好ましくは穴のない(hole-free)均一な層厚を有する検出層の均質な実施形態が与えられる。層厚、すなわち検出層の平均厚は、好ましくは3〜60マイクロメートル、より特には5〜15マイクロメートル、例えば8マイクロメートルである。
【0017】
検出層は粒子を含む。本発明において、粒子は、一般に、互いに直接的に連結せず、これにより、例えば乾燥状態において、検出層の他の物質なしに自由流動性の粉末を形成することができるマイクロメートル・レンジ又はナノメートル・レンジにおける固形物質を意味するものと理解される。粒子は、例えば、一般にエアロゾル、懸濁液又は粉末の固形構成物質を形成することができる。
【0018】
本発明にしたがい、粒子は、より具体的には、検出層の全ての粒子の少なくとも90%が、10マイクロメートル以下、好ましくは3マイクロメートル以下、更には1マイクロメートル以下の実粒径を有する、検出層の乾燥状態の粒径分布を有することが提案される。
【0019】
かかる条件が適合する検出層は、変化が測定可能な全ての検出層を意味するものと理解される。より具体的には、光学的に検出可能な変化、例えば色の変化が測定される場合、以下に詳細に説明されるとおり、これは、試料充填サイド上の検出層に適用される反射層又は除去層に任意に至る光学的に認識可能な全検出層であってよい。例えば、検出層は、以下に詳細に説明されるとおり、例えば反射特性を有することができる少なくとも1つの更なる層により重ねられてもよい。層は、必ずしも互いに明確に区切られている必要はない。局所的には、検出層は、検出サイドから見ると、例えば直接的又は間接的な隣接層の反射粒子及び/又は他の反射物に至る測定される各々の層を意味するものと理解される。
【0020】
粒径は、粒子の相当直径、すなわち粒子に類似する体積及び/又は表面を有するビーズの直径を意味するものと理解される。粒径分布を測定するために多様な方法を利用することができる。互いに区別しなければならないような異なる場合が存在する。原材料、例えば検出層の構成成分であってよい1又は複数のフィラーについて、粒径は、例えばレーザー分散及び/又はレーザー回折の手段により測定することができる。例えば、検出層とこれに任意に適用される除去層の層アセンブリにおいて、光学的なプロセス、例えば画像認識に基づく方法もまた使用することができる。このような方法によれば、例えば検出層中の粒径分布は、3マイクロメートル〜10マイクロメートルの範囲で測定することができる。一方、試料、例えばミクロトーム横断面の走査電子顕微鏡法等の他のプロセスも代替的又は追加的に使用できる。このようなプロセスにより、例えば検出層及びそれに任意に適用される1又は複数の層、例えば任意の除去層中の粒径及び粒径分布を決定することが可能となる。粒子の明確な同定は、例えばエネルギー分散X線分光分析(EDX)を更に用いることによって行ってもよい。電子顕微鏡法を用いる場合、解像度は、典型的にはナノメートル・レンジで十分であり、>1ナノメートルの粒径を有する全ての粒子を記録することが可能である。一般に、粒径分布を測定するための機器及び方法は当業者に機知であり、商業的に利用可能である。好ましくは検出可能な変化は光学的に検出可能な変化であるため、本発明においては、粒径分布の光学的測定を使用することができる。例えば、これは、以下に詳細に説明されるとおり、検出層の画像の自動画像解析であってよい。この自動画像認識は、例えばカメラ又は他の空間分解画像検出器の手段により検出層の少なくとも一部の画像を捕らえ、その後画像認識手段により個々の粒子を認識し、そしてサイズ分布に割り当てることにより行うことができる。一般に、例えば認識された全ての粒子を、粒径分布を測定するために使用することができる。しかしながら、実際には、粒子は一般に最小サイズ以上であると認識されるだけであるため、所定の最小サイズ以上、例えば10ナノメートル〜200ナノメートル、より特には50ナノメートル〜100ナノメートルの最小サイズ以上の粒子のみが粒径分布の測定において考慮することができる。
【0021】
本発明において、実粒径は、粒子が実際に検出層に存在する形態における検出層中の粒子の粒径を意味するものと理解される。検出層の粒子が、例えば互いに付着する集塊物及び/又は凝集体の形態において複数の一次粒子から構成される場合、集塊物又は凝集体の相当直径を用いるべきであり、一次粒子の相当直径を用いるべきではない。したがって、本発明は、その製造が上述の特性を有する粉末を用いるように検出層が製造されるが、粉末の粒子が、例えば検出層の製造において、集塊物及び/又は凝集体が、最終及び好ましくは乾燥した検出層に存在するように相互作用し、最終検出層の全粒子が集まり、上述の条件が満たされなくなる場合は含まない。
【0022】
より特には、検出層の全粒子の少なくとも80%は、5マイクロメートル以下、より特には1マイクロメートル以下の実粒径を有することができる。特に好ましくは、検出層の全粒子の少なくとも70%は、900ナノメートル以下、好ましくは800ナノメートル以下の実粒径を有する。
【0023】
検出層の粒子は、特に10ナノメートル〜5マイクロメートル、好ましくは1マイクロメートル以下の平均粒径を有することができる。平均粒径は、好ましくは20ナノメートル〜1マイクロメートルであり、特に好ましくは20ナノメートル〜500ナノメートルである。代替的又は追加的には、平均粒径は、好ましくは70ナノメートル〜5マイクロメートル、より特には70ナノメートル〜1マイクロメートルであり、特に好ましくは70ナノメートル〜500ナノメートルである。
【0024】
検出層の粒子は、特に1マイクロメートル以下、より特には500ナノメートル以下、特に好ましくは最大300ナノメートル、更に100ナノメートル以下、例えば25ナノメートル以下の平均粒径を有することができる。
【0025】
平均粒径は、例えば、通常d50として参照される粒径分布の全粒径の中央値を意味するものと理解される。この中央値は、約50%の粒子がd50値以下の粒径を有し、そして約50%の粒子が該中央値以上の粒径を有するように選択される。
【0026】
特に、粒子は1又は複数の以下の物質を含んでよい:SiO2;珪藻土;ケイ酸塩、より特にはケイ酸アルミニウムナトリウム;金属酸化物、より特には酸化アルミニウム及び/又は酸化チタン;合成酸化物質、より特にはナノ粒子酸化物質、より特にはナノ粒子酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウム及び/又は酸化チタン;カオリン;ガラス粉;沈殿シリカ;硫酸カルシウム×2 H2O。
【0027】
10ナノメートル以上、より特には20ナノメートル以上又は100ナノメートル以上の粒径を有する検出層の全粒子は好ましくは無機粒子である。上述したとおり、塗膜は一般に、互いに連結しない遊離した微粒子から構成されず、連続層を形成するため、「粒子」の用語は、有機塗膜形成剤とそれに由来して形成される有機塗膜を含まない。しかしながら、検出層の粒子は、以下に詳細に説明されるとおり、少なくとも1つのこのような塗膜形成剤中に埋め込まれていてよい。
【0028】
検出層は、特に1.1〜1.8、好ましくは1.2〜1.5の屈折率を有してよい。したがって、検出層は、乾燥状態又は湿潤状態において、水の屈折率(約1.33)に近似した屈折率を有することができる。
【0029】
診断テスト・エレメント、より特には少なくとも1つの検出試薬及び/又は少なくとも1つの検出層は、特に検出可能な変化が、60秒以下、好ましくは40秒以下、そして特に好ましくは20秒以下の時間内で完了するように設けることができる。かかる時間は反応時間としても言及される。例えば、検出可能な変化が色の変化の形態における光学変化を含む場合、反応時間は、例えば試料をテスト・フィールドに適用してから色の反応が完了するまで、相対反射が0.5秒あたり1%以下変化するまでの時間により定義されてよい。相対反射は、例えば試料の有無におけるテスト・エレメントの反射、及び/又は較正基準の反射の割合であってよい。反応時間は、例えば本発明において使用される、検出試薬のテスト化学物質の適当な選択、及び/又はテスト・フィールドの全組成、及び/又は粒径分布により設けることができる。
【0030】
テスト・フィールドは、特に体液試料を適用するための充填サイド、及び検出試薬の変化、より特には光学変化、例えば色の変化、を検出するための検出サイドを有することができる。さらに、テスト・フィールドは、少なくとも1つの除去(分離)層を有することができる。該除去層は複数の機能を有してよい。例えば、かかる層は、試料の粗成分を分離するため、より特には赤血球を分離するために設けることができる。代替的又は追加的には、除去層はまた、試料固有の色、例えば血液固有の色を覆うために設けることができる。この目的のために、以下に詳細に説明されるとおり、除去層は、例えば少なくとも1つの色素、好ましくは少なくとも1つの白色色素を含んでよい。一方、代替的又は追加的には、除去層はまた、例えば検出層に撒き散らされる測定光、及び/又は検出層に放出される光、例えば蛍光を反射するために、反射機能を満足するように設けることができる。
【0031】
除去層は、特に充填サイドに面している検出層側に配置されてよい。例えば、除去層は、検出層に直接的又は間接的に適用されてよい。間接的な適用とは、例えば1又は複数の更なる層の介在を意味するものと理解される。除去層は、試料の粗成分、特には全血の場合には赤血球が検出層の検出サイドに到達できないように、あるいは検出層にまったく到達できないように設けることができる。粗成分は、一般に、1マイクロメートル以上、より特には5マイクロメートル以上のサイズ、例えば粒径及び/又は相当直径を有する成分を意味するものと理解される。特徴的かつ固有の強い色を有する赤血球は、例えば検出サイドの上記検出試薬による血中グルコースの慣習的な色の検出に干渉するか、あるいは阻害する恐れがある。
【0032】
除去層は特に粗粒、すなわち微粒子であってよく、そして除去層の粒子は検出層の粒子よりも粗くてよい。より特には、除去層は、1マイクロメートル以上のサイズの粒子を有してよい。より特には、除去層は、光学検出に用いられる光波長以上、例えば660ナノメートルの波長以上の平均粒径を有する少なくとも1つの色素、すなわち1つの微粒子色素、好ましくは無機色素を有してよい。より特には、除去層は、上述のとおり、いずれかの血液の固有の色を光学的に覆うための少なくとも1つの色素を有してよい。除去層は、特に少なくとも1つの白色色素を有してよい。除去層は、例えば1又は複数の以下の色素を含むことができる:二酸化チタン;二酸化ジルコニウム;チタン酸バリウム;ジルコン酸バリウム;ケイ酸ジルコニウム。上述の色素及び/又は他の色素の組み合わせもまた可能である。二酸化ジルコニウム及び/又は二酸化チタンの使用が特に好ましい。色素は、好ましくは光の最適な反射のために200ナノメートル〜400ナノメートルの平均粒径を有する。
【0033】
代替的又は追加的には、除去層は、任意に少なくとも1つのフィラー、好ましくは<2.0の屈折率を有するフィラーを有してよい。このフィラーは、例えば除去層における吸着挙動及び/又は透明度を授けることが可能である。少なくとも1つのフィラーは、例えばシリカ及び/又はケイ酸塩を含んでよい。例えば、フィラーは<5マイクロメートルの平均粒径を有することができる。
【0034】
より特には、除去層は、乾燥した層、すなわち乾燥除去層に基づき、少なくとも25重量%の濃度において、少なくとも2.0、好ましくは少なくとも2.2、更には2.5の屈折率を伴う色素を有してよい。この色素は、特に二酸化チタン粒子、及び/又は二酸化ジルコニウムであってよく、あるいは該色素はこれらの種類の粒子を含んでよい。しかしながら、他の実施形態も可能である。二酸化チタン粒子又は二酸化ジルコニウム粒子は、例えば少なくとも約300ナノメートルの平均粒径を有してよい。しかしながら、好ましくは50%以内、特に好ましくは10%以内の偏差は許容される。可視光を反射する白色色素のためには、300ナノメートルの粒径が一般に最適である。二酸化チタン粒子は、特に検出サイドから放射された光を反射するために、除去層が反射層と同時に作用することができるような光散乱特性を有する。しかしながら、代替的又は追加的には、テスト・フィールドの層アセンブリはまた、上述の特性を有することができる少なくとも1つの反射層を更に含んでもよい。
【0035】
診断テスト・エレメントは、以下に説明されるとおり、層アセンブリとして形成されてよく、そして/あるいは層アセンブリを含んでよい。少なくとも1つの検出層に加えて、これは、少なくとも1つの除去層及び/又は少なくとも1つの反射層を含んでよい。テスト・フィールドは、検出サイドを有する少なくとも1つのサポート・エレメントに適用することができる。より特には、これにより、検出テスト・エレメントは、好ましくは少なくとも1つの透明な領域を有する少なくとも1つのサポート・エレメントを含むことができる。テスト・フィールドは、検出サイドを有する透明領域に適用することができる。サポート・エレメントは、例えば平面サポート・エレメントであってよく、より特にはストリップの形態におけるサポート・エレメントである。例えば、サポート・エレメントは、プラスチック層、紙層、セラミック層又は積層アセンブリ及び/又はこれらの層の組み合わせを含んでよい。例えば、サポート・エレメントは、テスト・フィールドの検出サイドが透明領域を介してのみ知覚できるように、透明領域の外側は実質的に不透明であってよい。試料の充填サイドは、サポート・エレメントの外側を向いているテスト・フィールド側に配置させることができる。診断テスト・エレメントは、体液試料が充填サイドに直接適用できるように形成されてよく、したがって、例えば充填サイドは診断テスト・エレメントのユーザーに直接アクセス可能であり、そしてユーザーは、例えば、何らかの方法により、少なくとも部分的にアクセス可能である充填サイド領域上に試料を適用することができる。あるいは、体液試料を他の場所に配置されている充填部位から充填サイドへと輸送するために配置されている輸送系が適用されてもよいが、これはあまり好ましくはない。
【0036】
検出層は、上述のとおり、粒子や検出試薬だけでなく更なる物質を含むことができる。粒子は、好ましくは検出試薬とは同一ではなく、あるいは少なくとも完全には検出試薬と同一ではない。そして、上述のとおり、検出試薬はまた複数の検出試薬又は検出試薬を一緒に形成する複数の物質の混合物であってよい。検出層は、例えば、上述の粒径分布以外は、欧州特許第821234 B1号に記載される第一塗膜層に類似していてよい。したがって、検出層は、例えば少なくとも1つの有機塗膜形成剤を含んでよい。例えばこの少なくとも1つの塗膜形成剤は、ポリビニル・プロピオネート分散系を含んでよい。しかしながら、他の塗膜形成剤もまた代替的又は追加的に使用することができる。
【0037】
本発明の第2の態様において、体液試料中の分析物を検出するための診断テスト・エレメントを製造するための方法が提案される。上に説明したとおり、この診断テスト・エレメントは、より特には、上述の1又は複数の実施形態、あるいは以下に記載される1又は複数の典型的な実施形態のような診断テスト・エレメントであってよい。診断テスト・エレメントは、少なくとも1つの検出試薬を有する少なくとも1つのテスト・フィールドを有する。検出試薬は、分析物の存在下において少なくとも1つの変化、より特には光学変化を介するように設けられる。テスト・フィールドは、検出試薬を含む少なくとも1つの検出層を有する。該方法において、検出層は、これらの粒子が、10マイクロメートル以下、好ましくは3マイクロメートル以下、更には1マイクロメートル以下の実粒径を有する検出層の全粒子の少なくとも90%を有するように産生される。特に好ましい粒径分布のために、上の記載を参照することができる。
【0038】
検出層は、特に少なくとも1つの湿潤化学処理手段、より特には1又は複数の分散、好ましくは水分散により産生することができる。このような1又は複数の分散由来の層形成プロセスは原則として当業者に知られており、同様に、上述の先行技術、より特には欧州特許第0821234 B1号を参照することができる。
【0039】
粒径分布のための上述の条件が、最終検出層に存在していることを保証するために、異なる方法を使用することができる。より特には、検出層中の粒子を提供するために少なくとも1つの粉末、例えば色素粉末を使用することができる。この粉末は、出発粉末中にすでに直接存在しているか、あるいは製造過程、例えば分散において一時的に形成され得る一次粒子の集塊物を含んでよい。しかしながら、提案される製造方法における色素粉末は、上述の粒径分布が検出層に存在するように、少なくとも部分的には集塊物を破壊するために、少なくとも1つの機械的分散プロセスの手段により処理される。分散プロセスは、一般に、粉末、例えば色素粉末が少なくとも1つの液体媒体、好ましくは水性媒体中に、この媒体に溶解する粉末が存在しないように分散され、分散が形成される方法を意味するものと理解される。分散(系)は、更なる物質と混ぜることができる。機械的な分散プロセスは、−あまり好ましくはないが追加的には利用できる化学的な分散プロセスとは対照的に−媒体中の粉末の分布が、分散における機械的作用の手段により維持される分散プロセスを意味するものと理解される。この機械的作用は、特に、機械的作用により、高いせん断力が、分散、より特には存在する粉末及び集塊物(凝集体も含まれる)において効果を有するように作用でき、これにより少なくとも部分的に破壊され、上述の粒径分布条件を満たすより小さな粒子が形成される。
【0040】
より特には、機械的分散プロセスを行うために溶解機を用いることができる。溶解機は、一般に、媒体中の粉末の分散、より特には実質的に均一な分散を維持することができ、そして同時に分散において高いせん断力を発揮する機器を意味するものと理解される。例えばこれらのせん断力は、分散が受け取られる間、互いに対して、かつ互いに近い間隔で作動している1又は複数の表面の手段により発揮されうる。例えば、ディスク型攪拌器の形態における溶解機は、回転運動がもたらされ、これにより集塊物が分裂される攪拌ディスクの手段による分散において高いせん断力が発揮されるものとして商業的に入手可能である。代替的又は追加的には、ローター/ステーター原理に従う溶解機を使用することができる。このような溶解機の手段により、検出層が産生され、上述の粒径分布の条件が満たされる分散を産生し、あるいは処理することが可能となる。
【0041】
代替的又は追加的には、機械的分散プロセスを行うため、より特にはフィラーを分散するために、スリー・ロールミル(スリー・ローラーミルとも称される)を使用することができる。このようなスリー・ロールミルによって、異なる速度で互いに逆に作動する少なくとも3つのローラー又はシリンダーが用いられる。ローラー又はシリンダー間の隙間は、一般に比較的小さくなるように、例えば1mmからナノメートル範囲となるように配置される。
【0042】
粒子を提供するための1つの可能な選択肢は、以下に詳しく説明されるとおり、上述の粒径分布についての条件を満たす、商業的に入手可能な粒子を用いることである。しかしながら、粉砕(grinding)プロセスもまた代替的又は追加的に用いることもできる。例えば、粒子を提供するために、例えば、少なくとも1つの粉末、より特には少なくとも1つの色素粉末を用いて、該粉末を少なくとも1つの粉砕工程にかけることができる。粉砕工程は、乾燥又は湿潤状態の粉末を、機械的な力の作用によってすり潰すプロセスを意味するものと理解される。多くの粉砕プロセスが知られている。例えば少なくとも1つの粉砕工程は、例えば、特にビーズミルにおける湿式粉砕工程及び/又は、特にエアー・ジェットミルにおける湿式粉砕工程を含んでよい。他の粉砕プロセスもまた当業者に知られているか、あるいは商業的に利用でき、このため、対応するミルは粉末の種類及び/又は所望の粒径分布の種類に適用できるように選択することができる。
【0043】
特に、粒子を提供する場合、合成酸化物質の粉末を用いることができる。このような合成酸化物質は、以下に詳細に説明されるとおり、上述の粒径において、ミクロマテリアル及び/又はナノマテリアルを専門とする材料販売業者から商業的に入手可能である。より特には、少なくとも1つの合成酸化物質はナノ粒子酸化物質である。ナノ粒子物質は、本発明において、一般に100ナノメートル以下の平均粒径を有する粒子の材料を意味するものと理解される。より特には、酸化物質は、酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウム及び/又は酸化チタン、例えばAl23及び/又はTiO2及び/又SiO2であってよい。より特には、上述の酸化物は、混合酸化物として存在してもよく、ナノ粒子形態において存在してもよい。
【0044】
本発明の更なる形態において、体液試料、より特には全血中の分析物を検出するための方法が提案される。上述の1又は複数の実施形態、又は以下に記載される1又は複数の実施形態における診断テスト・エレメントを用いることができる。試料は、2マイクロメートル以下、より特には0.5マイクロメートル、特に好ましくは0.3マイクロメートル、例えば100ナノメートルの体積を有する。より特には、上述のとおり、用いられる診断テスト・エレメントのテスト・フィールドの少なくとも1つの検出試薬の検出可能な変化は、光学的に検出可能な変化であってよい。この場合、検出可能な変化を検出するために空間分解光学検出器(spatially resolving optical detector)を用いることが好ましい。空間分解光学検出器は、完全には一致しない検出層の検出サイドの領域を記録することができる多数の光学センサーを有する光学検出器を意味するものと理解される。より特には、空間分解光学検出器は、少なくとも1つの画像センサー、すなわち一次元又は二次元であってよい光学検出器のアレイを含んでよい。したがって、より特には、光学検出器は、CCDチップ及び/又はCMOSチップを含んでよい。空間分解光学検出器は、検出サイド及び/又は空間分解光学検出器の画像感受性表面の検出層を画像化するための少なくとも1つの光学エレメントを含んでよい。空間分解光学検出器及び上述の少量の試料は、以下に詳細に説明するとおり、慣習的な検出層は、検出可能な変化、より特には光学的に検出可能な変化の不利な湿潤作用及び粗さによる検出における著しい不明確さに導くため、本発明の利点を提供することは明らかである。
【0045】
提案される診断テスト・エレメント、提案される製造方法、及び提案される検出方法は、上述の種類の機知の機器及び方法と比較して極めて多くの利点を有する。例えば、本発明の重要な基礎は、検出層を産生するための粒子の形態における微細な粒子の使用が、一般に凝集の形成をもたらし、このため検出層は一次粒子の小さな粒子サイズから利益を得ることができない、という認識に基づくものである。上述の粒径を有する物質から、当業界に機知な方法により産生されるテストストリップは、このため一般に凝集状態における粒子のみを有するものと考えられる。慣習的な製造方法から知られており、そして粉末における出発物質として用いられる粒子サイズは、検出層における実粒径分布においては通常見られない名目上の値に過ぎない。一般に、出発物質(一般にフィラーを意味するか、あるいは少なくとも1つのフィラーを含有する)は、検出層の製造において微細分散させる必要がある。いくつかのフィラー、例えばアエロジル(Aerosil)及び/又はアエロキシド(Aeroxide)の場合、このような物質は、簡便なディスク利便性のために多くの場合製造業者によりすでに最適化されているため、このことは通常考慮されない。
【0046】
反対に、本発明の検出層を有する診断テスト・エレメントの製造は、最終検出層中に極めて好ましい粒径分布をもたらすように行うことができる。例えば、最大50ナノメートル、好ましくは最大30ナノメートルの平均粒径を有する出発粉末を使用することができ、粒子の分散は検出層の製造前、例えばサポート・エレメントに対して検出層を産生するための分散の適用の前に提供することができ、これにより粒径は上述の条件を満たす。出発粉末の一次粒子の粒径は、例えば実質的に保存されてもよく、あるいは一次粒子の集塊物及び/又は凝集体は、製造の間に僅かな程度生じてもよい。
【0047】
分散を産生するために用いることができる出発物質は商業的に入手可能な物質、例えば既に所望の粒子サイズ又は粒径分布を有している商業的に入手可能な粉末である。しかしながら、代替的又は追加的には、出発物質の少なくとも一部、例えば少なくとも1つの粉末について、上述のとおり、好ましい粒度を有する対応する粒径分布を達成するために検出層の産生の前に、最初から粉末化することも考えられる。
【0048】
さらに、以下により詳しく説明されるとおり、分散において選択された物質に依存して、物質が増粘剤として作用し、そしてこれがゲル形成に導く場合があるため、全ての物質がこのようなプロセスに適当ではないことが明らかになってきている。より特には、一定の物質は、例えば分散に基づき、3重量%以上、より特には5重量%以上、更には20重量%以上の濃度から増粘剤として作用する恐れがある。しかしながら、上述の物質は、分散において、少なくとも最大3重量%、好ましくはそれ以上、例えば最大5重量%、又は最大20重量%においてかかる増粘作用を全く生じないか、あるいは少なくとも通常生じないため、特に有利であることがわかった。
【0049】
本発明は、更に、微細化された検出層に対してしばしば提示される技術的不利益を克服することに基づいている。例えば、検出層における色調の濃さや反応時間における微細な粒子の効果はこれまで知られていなかった。例えば、光学検出の場合、40%以上、好ましくは50%以上、更には60%以上の、反応シフトとして参照される一般反射率差、典型的には測定範囲を形成する10mg/dl〜600mg/dlのグルコース濃度における乾燥検出層のブランク値に基づく相対反射が必要とされる。反射率は一般に、通常の方向性のある反射とは対象的に、波、特に光の散乱性の無方向の反射を意味するものと理解される。反射率は、しばしば検出サイドの表面に関係し、反射度とも称される。反射度は、表面により軽減された輝度と基準白色における表面の輝度との割合を意味するものと理解される。反射率は、光学テスト・エレメント、例えば先行技術に記載され、かつ当業者に知られているテスト・エレメントにおける慣習的に測定された値である。
【0050】
さらに、10秒以下の反応時間は、一般に慣習的な診断テスト・エレメントで達成されなければならない。反応時間は、試料がテスト・フィールドに適用されてから、実質的な定常状態が生じるまでの時間を意味するものと理解される。しかしながら、特定の反応時間において、これまで、検出層中のより高密度の成分は、試料液を介して浸透し、溶解するためにより長い時間が必要となり得た。試料液は、例えば赤血球の除去後に回収される血液又は血漿であってよい。
【0051】
さらに驚くべきことには、以下に詳細に説明されるとおり、好ましい粒径分布において、反射率シフトは、粗粒の検出層と比較して実際にほとんど変化せず、また反応時間は、少なくとも同じであった。しかしながら、同時に、テスト・フィールドの極めて均一な湿潤が達成され、その結果、以下に詳細に説明されるとおり、特に変動係数が明確に低下した。上述の不利益を克服することにより、慣習的な診断テスト・エレメントと比較して、極めて高い精度を有し、また同時に、特に空間分解光学検出器を用いることにより、極めて少量の試料を測定するために適当な診断テスト・エレメントを製造することが可能となる。
【0052】
本発明の更なる詳細及び特徴は、以下の好ましい典型的な実施形態の記載と、より特にはサブクレームの記載を併せることにより明らかにされる。典型的な実施形態は、少なくとも部分的に、図面において図式的に表されている。各々の図面中の同じ参照記号は、機能が同じ又は類似するエレメント、又はこれらの機能に関して互いに対応するエレメントを意味する。本発明は典型的な実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の診断テスト・エレメントの図式的断面図を示す。
【図2A】慣習的な診断テスト・エレメント(図2A)、及び本発明の診断テスト・エレメント(図2B)のテスト・フィールドのテスト・フィールド表面の湿潤の例を示す。
【図2B】図2Aに同じ。
【図3】図2A及び2Bの診断テスト・エレメントの反射率曲線を示す。
【図4】本発明の診断テスト・エレメントの更なる実施形態の反射率曲線を示す。
【図5】異なる方法において分散された成分を伴う試料の反射率曲線を示す。
【図6A】様々な粒度の試料の顕微鏡画像を示す。
【図6B】図6Aに同じ。
【図6C】図6Aに同じ。
【図6D】図6Aに同じ。
【図7A】図6A〜6Dの濃淡値の標準偏差を示す。
【図7B】図7Aに同じ。
【図8A】図6A〜6Dの濃淡値の自己相関関数を示す。
【図8B】図8Aに同じ。
【0054】
典型的な実施形態
図1は、断面図における診断テスト・エレメント110の可能なアセンブリを図式的に示す。該アセンブリもまた本発明において使用することができる。この典型的な実施形態において、診断テスト・エレメント110は、例えばストリップの形態であってよいサポート・エレメント112を含む。したがって、全体として、診断テスト・エレメント110はテストストリップの形態にあってよい。
【0055】
サポート・エレメント112は、少なくとも1つの透明領域114を含む。透明領域114の該領域において、サポート・エレメント112に適用される、完全に又は部分的に透明領域114を覆うことができる層アセンブリが存在する。示された典型的な実施形態において、これは2つの層を含み、そしてテスト・フィールド116を形成する。示された典型的な実施形態において、テスト・フィールド116は、例えば、サポート・エレメント112と透明領域114に面する検出サイド120を有する検出層118を含む。さらに、示された典型的な実施形態において、テスト・フィールド116は、任意に、サポート・エレメント112の外側を向く検出層118のサイドにおいて除去層122を含む。この除去層122は、体液試料126の粗成分を除去するために寄与し、充填サイド128において、テスト・フィールド表面124に適用することができる。
【0056】
透明領域114は、サポート・エレメント112において、例えば開口形態、例えば穴であってよい。この場合、特に、しかしながら他の実施形態でもよいが、サポート・エレメント112に更に適用される、サポート・スライド又は他の種類のサポート、好ましくは透明サポート・スライドが存在してよい。この任意のサポート・スライドは、参照番号119として図1に示されている。このサポート・スライド119は、例えば図1に示される層アセンブリ中のサポート・エレメント112と検出層118の間に導入することができる。例えばサポート・スライド119は、反応フィルムの一部であってよく、ここで少なくとも1つの除去層122は、印刷プロセス及び/又はブレード塗工プロセス手段により、サポート・スライド119に適用される。その後、この反応フィルムは、透明領域114を有する実際のサポート・エレメント112に適用される。
【0057】
あるいは、透明領域114は、透明な物質、例えば透明なプラスチック物質で完全又は部分的に満たされていてもよく、そして/あるいは全サポート・エレメント112は、透明なサポート・エレメントの形態であってよい。この場合、特に、しかしながら他の場合であっても、少なくとも1つの検出層118及び任意に、少なくとも1つの除去層122を有する層アセンブリは、サポート・エレメント112に直接適用することもできる。あるいは、サポート・エレメント112に適用される、上記実施形態に従う反応フィルムを再び使用することもできる。
【0058】
診断テスト・エレメントの図1に示されるアセンブリは、単に例として理解されるだけであり、他の種類のアセンブリもまた可能であることに留意すべきである。例えば、複数の検出層118及び/又は複数の除去層122が存在する場合、あるいは除去層122が全くない場合も提供される。更に、図1に示されるアセンブリは、示されていない様々な他のエレメントにより補われてもよい。例えば、テスト・フィールド表面124において拡散メッシュを提供することができる。更に、テスト・フィールド表面124の一部は、例えば、試料126を適用するための到達できる充填サイド128のみを一部とするために、疎水性物質で覆われていてもよい。診断テスト・エレメント110の可能な実施形態について、例えば上述の欧州特許第0821134 B1号又は他の機知のテストストリップ・アセンブリを参照してもよい。
【実施例】
【0059】
例1
本発明は、本質的に、検出層118を設け、製造することに関する。本発明に従う上述の粒径分布を有する診断テスト・エレメント110と、慣習的な診断テスト・エレメントを比較するために、原則として、例えば欧州特許第0821134 B1号に記載される層アセンブリを用いることができる。しかしながら、本実施例においては、以下のとおり製造されたテスト・フィールド116の層アセンブリを用いた。
【0060】
試料A:
製造された比較試料(試料A)は、以下のアセンブリに従う診断テスト・エレメント110である。
a)検出層:
検出層118のための分散を産生するために、まず2つの部分溶液(部分溶液1及び2)を調製し、その後これらを組み合わせて、部分バッチを形成させる。なお、「溶液」の用語は、実在溶液が、実際に存在するか、あるいは例えば分散であるかに関わらず用いられる。酵素溶液が調製され、そして部分バッチ1と酵素溶液が混合され、コーティング組成物が供される。この目的を達成するために、以下が行われる:
【0061】
部分溶液1:0.34gのキサンタンゴムを、35.5gの0.02M グリセロール3−リン酸緩衝液、pH6.5中で24時間予め膨張させ、そして5.0gのポリビニルプロピオネート分散系と混合させる。
【0062】
部分溶液2:5.2gのトランスパフィル(transpafill)を、Ultraturrax(登録商標)により21.5gの水中で10分間分散させる。
【0063】
部分バッチ1:両方の部分溶液を併せ、そして、0.15gのテトラエチルアンモニウムクロライド、0.17gのN−オクタノイル−N−メチルグルカミド、0.06gのN−メチル−N−オクタデセニルタウレート(「Geropon T77」)、及び0.88gのPVP(MW:25000)の添加後、パドル攪拌器で1時間穏やかに攪拌する。その後、以下の部分溶液を以下の順で添加する:
・1.5gの水中、0.1gのビス−(2−ヒドロキシエチル)−(4−ヒドロキシミノシクロヘキサ−2,5−ジエニリデン)アンモニウムクロライド、
・1.5gの水中、0.65gの2,18−ホスホモリブデン酸ヘキサナトリウム塩、
NaOHでpHを6.7に調節する。
【0064】
酵素溶液:5mgのPQQ二ナトリウム塩及び0.28gのGDH(突然変異体31)、並びに0.16gの1M CaCl2溶液を、25.6gの0.1M グリセロール3−リン酸緩衝液、pH6.5に添加し、そして3時間超攪拌する。
【0065】
部分バッチ1と酵素溶液を混合し、0.4gの水中20mgのK3[Fe(CN)6]及び1.0gの2−メチル−2ブタノールの溶液と混合させ、そして30分間攪拌する。これにより、検出層118を産生するためのコーティング組成物が供される。
【0066】
このようにして産生された、90g/cm2の坪量を有するコーティング組成物を、125マイクロメートルの厚さを有するポリカーボネート・スライド形態におけるサポート・スライド119に適用し、乾燥させる。
【0067】
トランスパフィル(登録商標)は、Evonik Industries AGから商業的に入手可能なケイ酸アルミニウムナトリウムである。N−メチル−N−オクタデセニルタウレート(「Geropon T77」)の精度改善作用は、欧州特許出願第0995994号に記載されている。
【0068】
b)除去層:
本発明の典型的な実施形態において、除去層122はまた、2つの部分溶液(部分溶液1及び部分溶液2)を最初に調製し、その後これらを組み合わせることによって産生される。これは以下のとおり行われる:
【0069】
部分溶液1:13.5gの水中の1.37gのGantrez S 97のスラリーを2.2gの16%NaOHと混合し、一晩予め膨張させる。その後0.40gのテトラエチルアンモニウムクロライド、0.34gのN−オクタノイル−N−メチルグルカミド、0.06gのN−メチル−N−オクタデセニルタウレート(「Geropon T77」)、及び1.87gのPVP(MW:25000)を添加し、1時間攪拌する。
【0070】
部分溶液2:Kronosからの14.3gの二酸化チタン E 1171、及びDegussaからの1.95gの予め沈殿したシリカ FK 320を、Ultraturraxにより36.4gの水中で10分間分散させる。
【0071】
部分溶液を組み合わせた後、5.7gのポリビニルプロピオネート分散系、4.2gの水中0.15gのビス−(2−ヒドロキシエチル)−(4−ヒドロキシミノシクロヘキサ−2,5−ジエニルデン)アンモニウムクロライド、4.2gの水中2,18−ホスホモリブデン酸ヘキサナトリウム塩、0.4gの水中10mgのK3[Fe(CN)6]を添加し、そしてNaOHでpHを6.8に調節する。1.0gの2−メチル−ブタノールの添加後、1時間攪拌を行う。
【0072】
ガントレズ(Gantrez)(登録商標)の名称は、ISP International Speciality Products, Cologne, Germany由来の商品名である。これは、化学的には、マレイン酸とメチルビニルエーテルのコポリマーである。
【0073】
部分溶液1及び2を組み合わることにより産生した、45g/m2の坪量を有するコーティング組成物を、その後、上述の第1コーティングポリカーボネート・サポート・スライド119、すなわち検出層118に適用し、そして乾燥させる。
【0074】
試料B:
本発明の診断テスト・エレメント110を製造するために、この検出層118の粗さに実質的に関与する原料トランスパフィル(登録商標)上の検出層118において研削処理を行う。任意に、沈殿シリカとして作用する、除去層122中の同様の粗粒原料である珪藻土もまた研削処理にかけることができる。しかしながら、除去層122において、白色色素として寄与し、放射された光、例えば660ナノメートルの波長を有する光の反射を示す二酸化チタンの研磨は行うべきではない。この光は、例えば透明領域114を介して放射させ、そして除去層122において反射され、これにより図1中に示された典型的な実施形態における除去層122は、反射層として同時に役立つ。
【0075】
上述の祖粒フィラーであるトランスパフィル(登録商標)と、任意には、沈殿シリカファイナーを製造するために、これらは湿式粉砕工程にかけられる。これは、アジテーター・ビーズミルにより、例えば20分間行うことができ、これは約0.3マイクロメートルの粒径d50と約0.5マイクロメートルの粒径d90を与える測定値に導く。d90値は、90%の粒子がd90値よりも細かい粒径を意味する。
【0076】
このようにして産生された試料A及び試料Bは、多様な比較実験が行われることを可能にする。これらの比較実験は、特に、より密に充填された成分は、透過するためにより長い時間を必要とし、試料液を介して溶解する必要となるという不利益を除外する。
【0077】
図2A及び2Bは、タイプAの試料(図2A)及びタイプBの試料(図2B)において行われた湿潤実験を示す。これらの実験は、第一に、湿潤における研磨工程の影響を示す。各々の比較実験は、試料126の液滴130が適用されるテスト・フィールド表面124を有するテスト・フィールド116を示す。図2A及び2B中のサブイメージ132は、テスト・フィールド表面124の顕微鏡画像を示し、一方サブイメージ134は、試料126の液滴130を介する交差線136に沿った顕微鏡画像132中の濃淡値における変化を示す。使用される試料126は、50mg/dlグルコースの濃度を有するテスト液とした。
【0078】
サブイメージ134において、交差線136に沿って#により示されるピクセル位置は、任意の単位で縦軸にプロットされている。横軸は、試料126の適用後の秒数において、時間tを特定している。サブイメージ134において、濃淡値における変化が各々のケースにおいて示されている。当該サブイメージの右側は、任意の単位における濃淡値(ΔI)における変化を特定するスケールを表す。図2Aは、試料Aのテスト・フィールド表面124、すなわち商業的に入手可能なテストストリップとして現在使用されているようなテスト・フィールド物質を示す。一方、図2Bは、本発明の試料Bのテスト・フィールドを有するテスト・フィールド116を示す。
【0079】
測定値を詳細に検討することなく、特に図2Aと2B中の濃淡値における変化のサブイメージ134は、直接的な比較において、テスト・フィールド物質の粉砕が、交差線136に沿った反射率特性において、明らかにより均一な経時変化をもたらすことを示す。したがって、検出される分析物の検出に特異的な反応の開始は、図2Bの典型的な実施形態における交差線136に沿って事実上同時に影響される一方、図2Aによる粉砕されていないテスト・フィールド物質による実験においては、反応の開始の強い一時的なオフセットが見られる。例えば、交差線136に沿って、各々の位置において一時的なオフセットが生じ、これは最大3秒又はそれ以上となり得る。また、反応が即座に生じる交差線136に沿った位置、また反応が全く進行していないような位置が観察できる。
【0080】
さらに、図2Aと2Bの両方において、検出層118に中の粒子137の大半は、知覚可能である。サブイメージ132の顕微鏡画像において、透明領域114を介して検出層118に入る光線は、除去層122の色素、より特には二酸化チタン色素よりも遅れることなく反射されるため、各ケースにおいて検出層118だけが可視的である。
【0081】
図2Aによる慣習的な試料Aの粒子137は、図2Bによる本発明の試料Bの粒子137よりも顕著に大きく、広い粒径分布を有する。図2A及び2Bのサブイメージ132によるこのような顕微鏡画像により、適当な倍率における粒子の画像認識や自動認識により粒径分布もまた容易に作製することができる。代替的又は追加的には、サブイメージ134による濃淡値における変化もまた利用することができる。自動画像認識によるこのような分析的なプロセスは、原則として画像処理分野において当業者に知られている。
【0082】
したがって、分析物特異反応の経路の平衡は、粉砕したテスト・フィールド物質を用いた最初のポジティブな効果として観察することができる。さらに、図2A及び2Bからも明らかであるように、湿潤テスト・フィールド表面124にわたる反応を全体的に確立することができる。
【0083】
さらに、全体的な実験のために、粉砕した試料と粉砕していない試料の反応時間は、平均において大体同じである。例えば、全てのケースにおいて、約6〜7秒の反応時間が確立された。しかしながら、上記結果から明らであるように、粉砕されたテスト・フィールド物質についての空間分解された局所反応時間は強く平衡化され、そして反応時間における局所変化は、粉砕されたテスト・フィールド物質によって顕著に改善される。
【0084】
さらなる実験において、試料A及びBにより反射率シフトにおける実験を行う。粉砕されたテスト・フィールド物質が検出層118の不完全の透過をもたらすという上記に概要される不利益にしたがえば、検出層118のより小さな領域のみが試料126により透過され、検出反応に利用されるべきであることから、タイプBの試料について反射率シフトにおける明確な減少が観察されるはずである。
【0085】
これらの反射率測定の結果は図3に示される。試料126のグルコースの濃度cは横軸に示され、相対反射率Rは縦軸にプロットされる。試料126としてEDTA静脈血を用い、当該テスト液中のグルコース濃度は変化した。図3の曲線138は、慣習的な診断テスト・エレメント、すなわちタイプAの試料において測定された寛解を示し、一方、曲線140は、タイプBの本発明の試料の寛解を示す。これらの示されたデータから認識されるとおり、反射率シフトにおいて実質的な変化、すなわち典型的には10〜600mg/dlである、全測定範囲にわたる反射率における変化は存在しない。このため、フィラーの湿式粉砕は、光学特性及び/又は検出特性の障害をもたらさない。
【0086】
したがって、図1〜3に示される実験は、粉砕されたフィラーの使用が、反応時間の長期化又は反射率シフトの悪化における診断テスト・エレメント110の特性の障害を伴わないことを明確に示す。しかしながら、同時に、図2A及び2Bに明確に実証されているとおり、測定の均一性及び正確性は、粉砕されたテスト・フィールド化学物質の使用により明確に改善することができる。Accu-Chek(登録商標)Active 測定装置において、タイプAの試料からタイプBの試料へ移した後、1.5〜1.2%の標準偏差と平均値の割合を報告する、変化係数(CV)の改善が存在するいくつかの測定においてすでに確立されている。
【0087】
試料Bにおいて上述した湿式粉砕の代替として、代替的又は追加的な粉砕、例えば乾式粉砕工程もまた行うことができる。したがって、例えば、100ナノメートルの粒径が原則として達成される手段、例えばエアー・ジェットミルを利用することができる。
【0088】
さらに、検出層118と除去層122のための完全なコーティング組成物が粉砕された実験を行った。粉砕プロセスにおけるエネルギー入力のために、検出層118において、検出試薬、より特には酵素、の共粉砕は存在しなかった。しかしながら、このようなプロセスは、均一性、反射率シフト、及び反応時間において、全く改善しないか、あるいは僅かにしか改善をもたらさなかった。したがって、完全なコーティング組成物の粉砕は、フィラープレバッチの粉砕と比較して何ら利点を有さない。しかしながら、ストックが粉砕できるために、後者は製造技術に関して極めてシンプルである。
【0089】
例2
検出層118のための原料の粉砕は、更なる追加的なプロセスを表し、そして診断テスト・エレメント110のコストを増加させ得る。したがって、第2段階において、商業的に入手でき、かつ<<1マイクロメートルの範囲の平均粒径を出発から必要とされる原料をテストする。この目的に利用できるものは、特に、Evonic Industies AG由来のアエロシル製品範囲である。これらは、親水性のナノ粒子酸化物、より特には金属酸化物である。
【0090】
例えば、以下の代用物質を、試料Bの上述のトランスパフィル(登録商標)の代用物として同定した。
【表1】

【0091】
分散手続の間の分散において増粘作用を有する、一定の物質の実験的に測定できる特性は、「分散の間の粘度」又は「分散の間に粘度をもたらさない」ことにより表される。
【0092】
これらの代替物質の使用のために、天然に、最初に、検出層118の透過を可能にするためには孔のサイズが小さすぎ、反射率シフトと反射時間が、標準試料と比較して悪化する恐れがある。
【0093】
したがって、上記試料Aと比較して、検出層118中のトランスパフィル(登録商標)が、以下の物質により1:1で置換された試料を製造する。:
【0094】
試料C:
SiO2、アエロジルCOK84(10%Al23で混合した酸化物)、平均粒径20nm
【0095】
試料D:
TiO2、アエロキシドTiO2P25、平均粒径21ナノメートル
【0096】
試料E:
Al23、アエロキシドAlu25、平均粒径17ナノメートル
【0097】
試料F:
この第2の例における4番目の試料において、0.3マイクロメートルの全体的な平均粒径を有する沈殿したシリカと二酸化チタンの湿式粉砕混合物をトランスパフィル(登録商標)の代わりに用いる。
【0098】
反射測定は、図3による実験と同様に、これらの試料の一部において再び行う。これらの測定の結果は図4にプロットし、図3と同様にデータを示す。曲線142は、試料Aの反射率を表し、曲線144は、試料Dの反射率を表し、曲線146は、試料Eの反射率を表し、そして曲線148は、試料Fの反射率を表す。
【0099】
最初に、全ての試料のための反応時間は6秒であり、このため比較試料Aと比較して変化していないことが判明した。さらに、図4において明確に認識できるとおり、反射率シフトもまた、測定範囲にわたり実質的に同じである。曲線142及び148は、図4の大部分と重複する。
【0100】
しかしながら、この実験において、集塊物及び/又は凝集体の形成を回避するために、極めて微細に分割されたフィラーは、これらの一次粒径に近接して分散すべきことがわかる。かかる目的のために、慣習的な溶解機が使用され、そして例えば、Kinematica AG由来のPolytron(登録商標)又はMegatron(登録商標)装置、あるいはIKA Maschinenbau 由来のUltra-Turrax(登録商標)を使用することができる。
【0101】
SiO2、アエロジル型、例えば上述の試料Cのために、溶解機を用いることは困難であるものと思われる。したがって、溶解機は、好ましくはD型又はE型の試料、すなわち特に公称30ナノメートル以下の出発粉末の平均粒径を有する、酸化チタン及び酸化アルミニウムのために用いられる。一方、C型については、溶解機の使用は、SiO2アエロジル型の増粘作用及びゲル形成のために、湿った出発混合物の最大約3重量%の濃度しかの分散をもたらさない。しかしながら、低いせん断率を有する攪拌器をしようすることができ、これは、該実験において、図4の曲線として実質的に同じ結果を供した。これは、アエロジルが分散性について最適化されていたことを示す。アエロキシドTiO2P25及びアエロキシドAlu25については、該実験において、無視できるほどの増粘性が生じただけであった。
【0102】
上記フィラーに代替的又は追加的に、粉砕されているか、あるいはナノ粒子として既に商業的に入手可能な、検出層118におけるフィラーとして、例えば上記試料Aのトランスパフィル(登録商標)のための代替物として利用できる更なる物質の調査を行った。上記、アエロジル型に加えて、特に以下の物質を調査した:
・カオリン
・ガラス粉(TROVOtech, Wolfen)
・沈殿シリカ
・硫酸カルシウム×2H2
・ケイ酸アルミニウムナトリウム、例えばSipernat 44 MS (Degussa/Evonik)
【0103】
これらのフィラーは、所望の粒径又は粒径分布において既に入手可能であるか、あるいは必要とされる粒径又は粒径分布に粉砕することにより加工することが可能である。
【0104】
上記実験は、製造業者が、容易な分散性のためにアエロジル/アエロキシド型を調節しており、そして組み込みは、せん断とは独立していることを示す。
【0105】
一次粒径にまで分散する必要性をより綿密に研究するために、更なる実験が行われる。かかる目的のために、異なる方法において試料Dを再び実験に用いる。したがって、アエロキシド TiO2 P25を溶解機で分散させるか(試料G)、あるいは低速のプロペラ攪拌器で分散させる。アエロキシド TiO2 P25の添加は、予め水と混合しペーストを形成した後に行うか(試料H)、あるいは増粘剤溶液(キサンタンゴム)への固体導入により行う(試料I)。用いられる比較試料は、上記の試料Aとする。以下に記載される実験のための試料は以下のとおりである:
試料A’:上記試料Aと同じ
試料G:試料Dと同じであるが、アエロキシド TiO2 P25を溶解機で分散させる、
試料H:試料Dと同じであるが、アエロキシド TiO2 P25を低速のプロペラ攪拌器で分散させ、予め水で混合しペーストを形成した後に添加、及び
試料I:試料Dと同じであるが、アエロキシド TiO2 P25を低速のプロペラ攪拌器で増粘剤溶液(キサンタンゴム)への固体導入により分散させる。
【0106】
このようにして、トランスパフィル(登録商標)が、アエロキシド TiO2 P25と重量比1:1で置換された試料G〜Iを調製する。あるいは、診断テスト・エレメント110は上記のとおり製造される。
【0107】
テストストリップの形態において、診断テスト・エレメント110のこれらの試料により、商業的に入手可能なAccu-Chek Active 血中グルコース測定システムにおいてEDTA静脈血中の15の異なるグルコース濃度で測定を行う。ここで濃度あたりn=10の各々の測定を分析する。
【0108】
図5は、図4に示されるデータと同様に、試料A’、G、H及びIの反射率曲線を示す。曲線150は、試料A’の反射率測定を表し、曲線152は、試料Gの反射率測定を表し、曲線154は、試料Hの反射率測定を表し、そして曲線156は、試料Iの反射率測定を表す。
【0109】
測定曲線は、シェードの深さが4つの異なるコーティングについて実質的に同じであることを示す。反応速度もまた、全ての試料について6〜8秒の範囲である。
【0110】
これは、TiO2の凝集体は色素特性を有し、反応色を弱め得るため、全ての3つのケース、すなわち試料G、H及びIにおいて、アエロキシド TiO2 P25が、微細に分散されていることを示す。色の減衰は、凝集体が形成する場合、検出層118に存在する色素により生じ得る。しかしながら、微細に分散したTiO2は、この場合、粒径は光波長よりも小さいため、色素ではない。この特性は、例えば日焼け防止剤において利点が得られる。
【0111】
微粒子フィラーを有する検出フィルムの主な利点は、反応色の明確に改善された均一性であり、これはより小さな領域及びより少量の血液の測定を許容する。
【0112】
これは、異なる試料が実験されている比較実験において再び示される。かかる目的のために、テストストリップの形態における診断テスト・エレメント110を、100mg/dlのグルコースを含有する血漿でスポットし、そして反応色をCCDカメラで測定する。各々の画素を別々に読むことができるため、これらの正確性(すなわち、標準偏差)に関して多くの画素を統計的に解析する。ここでは、10画素(縁の長さ:10マイクロメートル)を、最も高い解像度、すなわち1000μm2の全領域において解析する。より低い解像度、すなわちより大きな領域のために、より多い画素において、平均化を行う。
【0113】
再び、ここで、上記試料と同様に、異なる試料を実験する:
試料A’’:上記試料Aと同じ、粉砕されていないフィラー、比較試料
試料J:試料A’’と同じであるが、トランスパフィル(登録商標)と沈殿シリカを粉砕する、
試料A’’’:上記試料Aと同じ、粗成分、比較試料、及び
試料K:トランスパフィル(登録商標)をアエロキシド TiO2 P25で置換。
【0114】
図6A〜6Cは、後の測定に基準である測定スポットの顕微鏡画像を示す。図6Aは、溶液でスポットされた試料A’’、すなわち粉砕されていないフィラーを有する試料の領域の顕微鏡画像を示す。図6Bは、試料J、すなわち粉砕テスト化合物を有する試料の類似画像を示す。図6Cは、粗成分を有する試料を再び表し、そして試料A’’に相当する試料A’’’についての画像を示し、そして図6Dは、トランスパフィル(登録商標)がアエロキシド TiO2 P25で置換された試料Kについての類似画像を示す。
【0115】
図6A〜6D中の軸標識は、各々のケースにおける、任意単位におけるCCDチップのピクセル位置を表す。さらに、図6A〜6Cの測定領域は、対応する四角によって示されており、その座標は画像中に表されている。図7A及び7Bは共に、図6A〜6Dの試料についての標準偏差を表す。各々のケースにおける縦軸のプロットは、図6A〜6D中の濃淡値の標準偏差sである。この標準偏差sは、ブランク測定と完全に反応した試料間の平均濃淡値シフトに基づき、パーセンテージとして特定される。この標準偏差sは、横軸においてプロットされた領域Aの関数として特定され、これを介して平均化が行われた。
【0116】
図7Aは、試料A’’とJの比較、すなわち、標準試料と粉砕したテスト化合物を有する試料の比較を示す。曲線158は、試料A’’についての標準偏差の経路を示し、一方参照番号160は、粉砕したテスト化合物を有する試料Jの曲線を示す。図7Bにおいて、標準試料A’’’(参照番号162)は、その標準偏差に関して試料K(参照番号164)と比較される。
【0117】
測定された結果は、標準偏差s、及びいずれかの可能性のある測定誤差が、約30×30μm2以下、すなわち<0.01mm2において、顕著に増加することを示す。粉砕化合物を有する試料J(曲線160)についての標準偏差における、かかる上昇は、明確に低く、したがって、粉砕化合物は血液量の縮小化、すなわち図6A〜6Dにおける測定スポットの縮小化のために有利である。試料Kについても同じことが言える(図7B中の曲線164)。
【0118】
試料の粒径を決定するために、上記において多様なプロセスが特定された。代替的又は追加的に適用できる更なる選択肢は、顕微鏡画像中の濃淡値分布、例えば図6A〜6D中のものを介した自己相関関数を計算することに関する。自己相関関数は、シグナルの相互相関関数であり、これはシフトτの関数である。
【0119】
試料A’’〜Kについての自己相関関数(ACFにより表される)は、図8A及び8Bにプロットされる。図8Aは、比較試料A’’(曲線166)と粉砕成分を有する試料J(曲線168)の比較を示し、そして図8Bは、粗成分を有する比較試料A’’’(曲線170)と微細成分を有する試料K(曲線172)の比較を示す。各々の場合において、自己相関関数ACFは縦軸に示され、そしてミリメートルにおける自己相関関数のシフトτは横軸に示される。自己相関関数は図6A〜6Dを解析することにより決定した。
【0120】
自己相関関数の比較において、粗フィラー(曲線166、170)は、微粒子フィラー(曲線168、172)よりも明らかに広い自己相関関数を有することがわかる。示されたデータは、自己相関関数ACFが粒径分布と相関することを示す。単純に、縮小画像、例えば図6A〜6D中の画像から、試料の粒度を決定することが可能である。例えば、自己相関関数166〜172のピークの半分の高さの幅(half-height width)は、検出層118の粒度の使用と成り得る。明らかに、曲線166〜172から粒径分布を直接読み取ることは可能ではない。機知の粒径分布を有する試料の1又は複数の伽リブレーション測定により、粒径又は粒径分布を、曲線166〜172から直接的に推定することができる。
【0121】
参照記号のリスト
110 診断テスト・エレメント
112 サポート・エレメント
114 透明領域
116 テスト・フィールド
118 検出層
119 サポート・スライド
120 検出サイド
122 除去層
124 テスト・フィールド表面
126 試料
128 充填サイド
130 液滴
132 サブイメージ、顕微鏡画像
134 サブイメージ、濃淡値における変化
136 交差線
137 粒子
138 反射率、試料A
140 反射率、試料B
142 反射率、試料A
144 反射率、試料D
146 反射率、試料E
148 反射率、試料F
150 反射率、試料A’
152 反射率、試料G
154 反射率、試料H
156 反射率、試料I
158 標準偏差、試料A’’
160 標準偏差、試料J
162 標準偏差、試料A’’'
164 標準偏差、試料K
166 自己相関、試料A’’
168 自己相関、試料J
170 自己相関、試料A’’’
172 自己相関、試料K

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液試料(126)、より特には全血中の分析物を検出するための診断テスト・エレメント(110)であって、少なくとも1つの検出試薬を有する少なくとも1つのテスト・フィールド(116)を含み、ここで該検出試薬は、分析物の存在下において少なくとも1つの検出可能な変化、より特には光学変化を経るように配置され、ここで該テスト・フィールド(116)は、検出試薬を含む少なくとも1つの検出層(118)を有し、ここで該検出層(118)は、粒子(137)を含み、ここで該検出層(118)の全粒子(137)の少なくとも90%は、10マイクロメートル以下の実粒径を有することを特徴とする、診断テスト・エレメント(110)。
【請求項2】
前記検出層(118)の全粒子(137)の少なくとも80%が、5マイクロメートル以下、より特には1マイクロメートル以下の実粒径を有する、請求項1に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項3】
前記検出層(118)の全粒子(137)の少なくとも70%が、900ナノメートル以下の実粒径を有する、請求項1又は2に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項4】
前記検出層(118)の粒子(137)が、10ナノメートル〜5マイクロメートル、好ましくは1マイクロメートル以下の平均粒径を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項5】
前記検出層(118)の粒子(137)が、1マイクロメートル以下、より特には500ナノメートル以下、特に好ましくは最大300ナノメートルの平均粒径を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項6】
前記粒子(137)が、1又は複数の以下の物質:SiO2;珪藻土;ケイ酸塩、より特にはケイ酸アルミニウムナトリウム;金属酸化物、より特には酸化アルミニウム及び/又は酸化チタン;合成酸化物質、より特にはナノ粒子酸化物質、より特にはナノ粒子酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウム及び/又は酸化チタン;カオリン;ガラス粉;沈殿シリカ;硫酸カルシウム×2 H2O、を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項7】
100nm以上の粒径を有する、検出層(118)の全粒子(137)が無機粒子(137)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項8】
前記検出層(118)が、1.0〜1.5、好ましくは1.2〜1.4の屈折率を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項9】
前記テスト・フィールド(116)が、試料(126)を適用するための充填サイド(128)、及び検出試薬中の変化、より特には光学変化を検出するための検出サイド(120)を含み、ここで該テスト・フィールド(116)は、少なくとも1つの除去層(122)を更に含み、ここで該除去層(122)は、充填サイド(128)に面する検出層(118)の側面に配置される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項10】
前記除去層(122)が、少なくとも1つの色素、より特には白色色素、好ましくは1又は複数の以下の色素:二酸化チタン;二酸化ジルコニウム;チタン酸バリウム;ジルコン酸バリウム;ケイ酸ジルコニウムから選択される色素、を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項11】
少なくとも1つのサポート・エレメント(112)を更に含み、ここで該サポート・エレメント(112)は、少なくとも1つの透明領域(114)を含み、ここで前記テスト・フィールド(116)は、少なくとも部分的に、その検出サイド(130)により透明領域(114)に適用される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)。
【請求項12】
体液試料(126)中の分析物を検出するための診断テスト・エレメント(110)、より特には請求項1〜11のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)を製造するための方法であって、ここで該診断テスト・エレメント(110)は少なくとも1つの検出試薬を有する少なくとも1つのテスト・フィールド(116)を含み、ここで該検出試薬は、分析物の存在下において少なくとも1つの変化、より特には光学変化を経るように配置され、ここで該テスト・フィールド(116)は、検出試薬を含む少なくとも1つの検出層(118)を有し、ここで該検出層(118)は、該検出層(118)が粒子(137)を含むように産生されており、ここで該検出層(118)の全粒子(137)の少なくとも90%は、10マイクロメートル以下、好ましくは1マイクロメートル以下の実粒径を有することを特徴とする、方法。
【請求項13】
粒子を提供するために少なくとも1つの粉末が使用され、ここで該粉末は、一次粒状物質の集塊物を含み、ここで該粉末は、少なくとも部分的に集塊物を粉砕するために少なくとも1つの機械的分散プロセス手段により処理されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記機械的分散プロセスを行うために少なくとも1つの溶解機が使用され、ここで検出層(118)を産生するための分散が生じる、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの粉末が、粒子(137)を提供するために使用され、ここで該粉末が、少なくとも1つの研磨段階にかけられる、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
粒子(137)を提供するときに、合成酸化物質、より特にはナノ粒子酸化物質、より特にはナノ粒子酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウム及び/又は酸化チタンの粉末が使用される、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
体液試料(126)、より特には全血中の分析物を検出するための方法であって、診断テスト・エレメント(110)に関する請求項1〜11のいずれか1項に記載の診断テスト・エレメント(110)が使用され、ここで該試料(126)は、2マイクロリットル以下、より特には0.5マイクロリットル以下の体積を有することを特徴する、方法。
【請求項18】
検出可能な変化が光学的に検出可能な変化であり、ここで空間分解光学検出器が該検出可能な変化を検出するために使用される、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2012−508372(P2012−508372A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535116(P2011−535116)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064757
【国際公開番号】WO2010/052306
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】