説明

光式雨量計及び光式雨量計を用いた雨量計測システム

【課題】転倒ますの転倒の検出漏れと誤作動を確実に防止でき、さらに、容易かつ簡単に多段接続できる光式雨量計を提供する。
【解決手段】一定の降雨量により転倒する転倒ますと、該転倒ますの底部から下部へ伸びる棒状体と、該棒状体上に設けられる磁石と、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向であり且つ転倒ますの転倒中のタイミングで前記磁石が最も接近するように配置される、前記磁石から受ける磁界に応じて作動するファラデーセンサと、を備えた光式雨量計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転倒ますと磁石から受ける磁界に応じて作動するファラデーセンサとを用いた光式雨量計及び該光式雨量計を用いた雨量計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
雨量計には種々のものが開発されており、例えば、光ファイバを使用した雨量計としては、転倒ますと、転倒ますの姿勢変動に随伴して位置が変動する磁石と、磁石から受ける磁界に応じて作動する光スイッチを備えた雨量計が知られている(特許文献1)。特許文献1の雨量計では、磁石が転倒ますの下面周縁部に取り付けられているので、転倒ますの最初の転倒時に、特に、転倒ますの最初の転倒時に磁石が光スイッチに接近する場合に、転倒ますの転倒を検出できないことがあった。従って、特許文献1の雨量計では、一転倒目に検出漏れを起こしてしまう恐れがあった。
【0003】
また、光ファイバを使用した雨量計としては、他に、転倒ますに設けられた磁石が、転倒ますの回転によって、間隙を設けて対向する一対の光ファイバを固着し該間隙に磁性可動片を装入した固定部材上を通過する時に、磁石が磁性可動片を吸引して、光ファイバにより構成される光路を遮断することにより、転倒ますの転倒回数を検出する雨量計がある(特許文献2)。しかし、特許文献2の雨量計では、空隙内にて磁性可動片が滑動する必要があるので、磁性可動片が空隙内で引っかかり易い、磁石の磁性可動片に対する吸引力が不十分となる場合がある等、磁性可動片の動作安定性に欠き、転倒の検出漏れを起こしやすいという問題があった。また、空隙の光ファイバ端部には、ゴミやカビ等の汚れが付着しやすく、磁石が磁性可動片を吸引しなくても付着した汚れが光ファイバの光路を遮断してしまうので、誤作動を起こしやすいという問題があった。
【0004】
さらに、転倒ますに設けられた遮光板が、転倒ますの回転によって、間隙を設けて対向する一対の光ファイバを固着した支持部材の前記空隙を通過する時に、光ファイバにより構成される光路を遮断することにより、転倒ますの転倒回数を検出する雨量計がある(特許文献3)。特許文献3の雨量計では、空隙に磁性可動片のような可動部材を使用しないので、特許文献2の雨量計と比較して動作安定性を有している。しかし、特許文献3の雨量計でも、やはり、空隙の光ファイバ端部には、ゴミやカビ等の汚れが付着しやすく、遮光板が光路を遮断しなくても、付着した汚れが光ファイバの光路を遮断してしまうので、誤作動を起こしやすいという問題があった。
【0005】
また、特許文献1では、反射光量の反射レベルとパルス幅の調整が難しく、特許文献2、3の雨量計では、2芯の光ファイバを使用するので、引用文献1〜3では、雨量計を多段接続すると、システムが複雑になってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−194468号公報
【特許文献2】実公昭59−20701号公報
【特許文献3】実開昭61−94791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、転倒ますの転倒の検出漏れと誤作動を確実に防止でき、さらに、容易かつ簡単に多段接続できる光式雨量計、及び光式雨量計を簡単に多段接続でき、光式雨量計の識別が容易な光式雨量計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、一定の降雨量により転倒する転倒ますと、該転倒ますの底部から下部へ伸びる棒状体と、該棒状体上に設けられる磁石と、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向であり且つ転倒ますの転倒中のタイミングで前記磁石が最も接近するように配置される、前記磁石から受ける磁界に応じて作動するファラデーセンサと、を備えた光式雨量計である。
【0009】
この態様では、転倒ますの底部から転倒ますの雨水受容部に対して反対方向へ棒状体が延在し、この棒状体に磁石が取り付けられている。また、ファラデーセンサは、転倒ますの回転面に対して鉛直方向、すなわち、転倒ますの回転軸に対して平行方向から磁石の磁界を検知するよう配置されている。
【0010】
本発明の態様は、前記磁石は、前記棒状体上における位置変更が可能であり、前記ファラデーセンサは、前記磁石の位置変更に応じて位置変更が可能である光式雨量計である。
【0011】
本発明の態様は、前記ファラデーセンサが、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向に位置変更可能である光式雨量計である。この態様では、ファラデーセンサの位置を、転倒ますの回転面に対して鉛直方向に変更することで、ファラデーセンサと磁石との距離が変わる。
【0012】
本発明の態様は、複数の光式雨量計と、前記複数の光式雨量計から出射した反射光をそれぞれ導光する複数の第1光ファイバと、前記複数の第1光ファイバとそれぞれ光カプラを介して接続される1芯の第2光ファイバと、前記1芯の第2光ファイバが導光する前記反射光を受光し、前記反射光をパルス信号として検出する測定器とを備えた光式雨量計測システムであって、前記光式雨量計は、一定の降雨量により転倒する転倒ますと、該転倒ますの底部から下部へ伸びる棒状体と、該棒状体上に設けられる磁石と、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向であり且つ転倒ますの転倒中のタイミングで前記磁石が最も接近するように配置される、前記磁石から受ける磁界に応じて作動するファラデーセンサと、を備えた光式雨量計測システムである。
【0013】
この態様では、複数の光式雨量計から出射したファラデーセンサの反射光は、全て、1芯の第2光ファイバに導光されて測定器へ送られる。
【0014】
本発明の態様は、前記磁石は、前記棒状体上における位置変更が可能であり、前記ファラデーセンサは、前記磁石の位置変更に応じて位置変更が可能である光式雨量計測システムである。
【0015】
本発明の態様は、前記ファラデーセンサが、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向に位置変更可能である光式雨量計測システムである。
【0016】
本発明の態様は、前記測定器が、光パルス試験器(OTDR)である光式雨量計測システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様では、転倒ますの転倒途中に、棒状体に取り付けられた磁石がファラデーセンサに最も接近するので、転倒ますの転倒の検出漏れ、特に、一転倒目の検出漏れを確実に防止できる。従って、転倒ますの転倒回数を正確に積算でき、正確な雨量を算出できる。本発明の態様では、可動部材を使用せずに磁石から受ける磁界に応じて作動するファラデーセンサにて転倒ますの転倒を検出するので、動作安定性に優れており、転倒の検出漏れを確実に防止できる。本発明の態様では、磁界に応じて作動するファラデーセンサを使用するので、ゴミやカビ等の汚れがファラデーセンサに付着しても光ファイバの光路を遮断せず、誤作動を確実に防止できる。また、本発明の態様では、転倒ますの回転面に対して鉛直にファラデーセンサが設置されているので、棒状体上における磁石の位置及び磁石とファラデーセンサとの距離の調整が容易である。
【0018】
本発明の態様では、ファラデーセンサの反射光量の強弱を測定することで転倒ますの転倒回数を検出するので、光カプラ等の光分岐器を使用することで複数の光式雨量計を1芯の光ファイバに接続でき、よって、複数の光式雨量計を容易かつ簡単に多段接続できる。
【0019】
本発明の態様では、棒状体上における磁石の位置を変更することでファラデーセンサ前方を通過する磁石のスピードを変えることができるので、光式雨量計ごとに棒状体上における磁石の位置を変えることで、ファラデーセンサからの光反射パルスの幅を光式雨量計ごとに調整できる。よって、複数の光式雨量計を1芯の光ファイバに多段接続しても、光反射パルスの幅から光式雨量計を確実に識別できる。
【0020】
本発明の態様では、ファラデーセンサの位置を、転倒ますの回転面に対して鉛直方向に変更することでファラデーセンサと磁石との距離を変えることができるので、光式雨量計ごとにファラデーセンサと磁石との距離を変えることで、ファラデーセンサからの光反射パルスのレベル(パワー)を光式雨量計ごとに調整できる。よって、複数の光式雨量計を1芯の光ファイバに多段接続しても、光反射パルスのレベル(パワー)から光式雨量計を確実に識別できる。
【0021】
本発明の態様では、OTDRにてファラデーセンサからの反射光を測定するので、複数の光式雨量計を1芯の光ファイバに多段接続しても、受光パワーの、OTDRと光式雨量計との距離に対応する伝播時間から光式雨量計を確実に識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態例に係る光式雨量計の正面図である。
【図2】本発明の実施形態例に係る光式雨量計の側面図である。
【図3】本発明の実施形態例に係る光式雨量計の光反射パルス波形を調整する手段に関する説明図である。
【図4】本発明の実施形態例に係る光式雨量計測システムの説明図である。
【図5】光反射パルスの測定例を示す説明図である。
【図6】光反射パルスの測定例を示す説明図である。
【図7】光反射パルスの他の測定例を説明する概要図である。
【図8】光反射パルスの他の測定例を説明する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態例について、図面を用いながら説明する。図1、2に示すように、本発明の実施形態例に係る光式雨量計1は、外筐13と、外筐13の上部に取り付けられた雨水集めロート14と、雨水集めロート14から転倒ますへ雨水を流す受水口7と、受水口7からの雨水の流入により姿勢が変動する転倒ます2と、転倒ます2の底部から下部へ伸びる棒状体4と、棒状体4に取り付けられた磁石5と、転倒ます2をその回転軸3の両端部にて支持する2つの転倒ます支持体16と、転倒ます2の回転面に対して鉛直に設置された、前記磁石5から受ける磁界に応じて作動するファラデーセンサ6とから構成されている。ファラデーセンサ6は、転倒ます支持体16に設けられた嵌合孔(図示せず)に取り付けられている。光式雨量計1は、光ファイバ15を介して、光式雨量計1の光信号を受信する測定器11と接続されている。
【0024】
転倒ます2は、平面である底部21の一辺を除く周囲に壁部が設けられた雨水受容部22と重量部23とから構成され、雨水受容部22と重量部23は、回転軸3から底部21に対して垂直方向に伸びる壁面24を中心に対称の位置関係となっている。従って、回転軸3は底部21表面を2分割する位置にある。転倒ます2は、回転軸3を軸として所定角度まで回転するよう構成されている。回転軸3の上方には、降水を受けるための開口部71と開口部71で受けた降水を雨水受容部22へ排水するための排水口72からなるロート状の受水口7が設けられている。
【0025】
図1に示すように、雨水受容部22が重量部23よりも高い位置にて転倒ます2が転倒している場合には、受水口7で集められた雨水は排水口72から排水されて雨水受容部22へ流入する。そして、雨水受容部22への雨水の流入量が規定量に達すると、重量部23よりも雨水受容部22の方が重くなるので、雨水受容部22が重量部23よりも高い状態から重量部23が雨水受容部22よりも高い状態へ、転倒ます2が回転軸3を軸に転倒する。この転倒ます2の転倒により、雨水受容部22に溜められた雨水は、雨水受容部22の壁部の設けられていない底部21の一辺側から排水ロート12へ排出される。雨水受容部22から雨水が排出されると雨水受容部22の方が重量部23よりも軽いので、転倒ます3は、重量部23が雨水受容部22よりも高い状態から雨水受容部22が重量部23よりも高い位置へ転倒する。
【0026】
図1に示すように、棒状体4は、平面の底部21から下方へ、すなわち、底部21に対して雨水受容部22とは反対の方向へ伸びている。この実施形態例では、棒状体4は細長い矩形状の平板であり、磁石5は棒状体4の表面部の先端近傍に取り付けられている。棒状体4は、転倒ます2の転倒中のタイミングで磁石5がファラデーセンサ6に最も接近するように設置される。すなわち、転倒ます2の転倒終了時には、磁石5とファラデーセンサ6との距離は最も短い状態とはなっていない。転倒ます2の転倒中のタイミングで磁石5がファラデーセンサ6に最も接近する構成であれば、棒状体4の配置は特に限定されない。この実施形態例では、棒状体4は、底部21の表面に対して垂直方向に底部21から下方へ伸びている。また、棒状体4は、回転軸3の位置から下方へ伸びている。
【0027】
図2に示すように、ファラデーセンサ6は、転倒ます2の回転面に対して鉛直方向に配置されている。これにより、磁石5とファラデーセンサ6の磁界検知側の端面61とが対向している。従って、ファラデーセンサ6は、磁石5から受ける磁界を転倒ます2の回転面に対して鉛直の方向から検知している。また、ここでは、棒状体4が光式雨量計1の設置面に対して垂直となったとき、すなわち、底部21が水平となったときに、磁石5とファラデーセンサ6との距離が最も短くなるよう、ファラデーセンサ6を設置している。これにより、転倒ます2の転倒終了時における磁石5とファラデーセンサ6間の距離と、磁石5とファラデーセンサ6間が最短となる距離との差が大きくなるので、ファラデーセンサ6は磁石5の移動、すなわち、転倒ます2の転倒による磁界の変化を確実に検知することができる。従って、転倒ます2の転倒回数を確実且つ正確に積算できる。
【0028】
なお、磁石5とファラデーセンサ6とが最短となるときの距離、すなわち、磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙は、適宜調整可能であり、例えば、1mmである。
【0029】
次に、ファラデーセンサ6の構造について説明する。ファラデーセンサ6は、筐体と、筐体外部から筐体内へ伸びているファラデーセンサ用光ファイバと、ファラデーセンサ用光ファイバから出射した光を集光するレンズと、レンズの透過側に設けられた複屈折体と、複屈折体の透過側に設けられたファラデー素子と、ファラデー素子の透過側に設けられた反射板とから構成されている。この反射板は、ファラデー素子側とは反対側にて筐体の側面、すなわち、上記端面61と対向した構成となっている。
【0030】
ファラデーセンサ用光ファイバから出射した光は、レンズを介して複屈折体に入射し、複屈折体内で2つの偏光成分に分離され、ファラデー素子を透過し、反射板で反射される。そして、反射板で反射された反射光は、再度、ファラデー素子を透過し、複屈折体に入射して、複屈折体内で2つの偏光成分が合成されて、レンズを透過してファラデーセンサ用光ファイバに入射する。磁石5がファラデーセンサ6に接近すると、磁石5の強い磁界によりファラデー素子内の光の偏光面が回転し、反射板とファラデーセンサ用光ファイバとの間で反射光が遮断され、ファラデーセンサ用光ファイバから出射した光の反射量が減少し、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻る光量が少なくなる。
【0031】
一方で、磁石5がファラデーセンサ6から離れると、磁石5の磁界が弱まってファラデー素子内の光の偏光面が回転しなくなり、ファラデーセンサ用光ファイバから出射した光の反射量は減少せずに、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる。従って、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる光量の強弱を測定することで、転倒ます2の転倒回数を検出することができる。
【0032】
次に、磁石5の棒状体4における位置の調整と、磁石5とファラデーセンサ6との距離の調整について説明する。まず、磁石5の棒状体4における位置の調整について説明する。
【0033】
図3に示すように、本発明の実施形態例では、棒状体4上における磁石5の位置は、適宜、調整可能となっている。棒状体4上における磁石5の位置を変えることで、磁石5がファラデーセンサ6の前方を通過するスピードを調整できる。つまり、磁石5を回転軸3から相対的に近い位置、すなわち、棒状体4の先端から相対的に遠い位置に取り付けると、転倒ます2の転倒時に、磁石5がファラデーセンサ6の前方を通過するスピードは相対的に遅くなる。すると、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる反射光の光反射パルス幅は相対的に広くなる。一方で、磁石5を回転軸3から相対的に遠い位置、すなわち、棒状体4の先端から相対的に近い位置に取り付けると、転倒ます2の転倒時に、磁石5がファラデーセンサ6の前方を通過するスピードは相対的に速くなる。すると、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる反射光の光反射パルス幅は相対的に狭くなる。
【0034】
棒状体4上にて調整した磁石5の位置に対応して、ファラデーセンサ6も回転軸3から相対的に近い位置または回転軸3から相対的に遠い位置に調整することで、磁石5から受ける磁界に応じてファラデーセンサ6を作動させることができる。
【0035】
従って、棒状体4上における磁石5の位置を光式雨量計1ごとに変えることで、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる反射光のパルス幅に違いが生じるので、それぞれの光式雨量計1(すなわち、ファラデーセンサ6)が出射する上記反射光は、測定器11を用いて光反射パルスの幅から識別できる。複数の光式雨量計1が出射する上記反射光の光反射パルスをそのパルス幅からそれぞれ識別できるので、1芯の光ファイバにて、複数の光式雨量計1の転倒回数を同時に検出できる。
【0036】
棒状体4上における磁石5の位置の調整手段は、周知の手段で可能であり、例えば、磁石5とねじ部材(図示せず)を組合せ、棒状体4の長手方向に沿って所定間隔にて複数設けたねじ孔(図示せず)のいずれかにこのねじ部材を嵌めることで、棒状体4の所望の位置に磁石5を取り付けることができる。また、ファラデーセンサ6を回転軸3から相対的に近い位置または遠い位置に調整する手段も、周知の手段で可能であり、例えば、光式雨量計1の底面に対して垂直方向に伸びる転倒ます支持体16の長手方向に細長い孔部17を設けて、この孔部17の所定位置にファラデーセンサ6を固定することで、上記高さの調整ができる。
【0037】
次に、磁石5とファラデーセンサ6との距離の調整について説明する。図3に示すように、本発明の実施形態例では、磁石5とファラデーセンサ6との距離は、適宜、調整可能となっている。上記距離の調整は、転倒ます2の回転面に対して鉛直方向にファラデーセンサ6の位置を変えること、すなわち、磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙の幅を変えることにより行なうことができる。
【0038】
磁石5とファラデーセンサ6との上記空隙の幅を変えることで、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる反射光の光反射レベルを調整できる。つまり、ファラデーセンサ6を磁石5に相対的に近い位置、すなわち、上記空隙の幅が相対的に狭い位置にファラデーセンサ6を取り付けると、転倒ます2の転倒時に磁石5がファラデーセンサ6の前方を通過する際に、磁石5の磁界による光反射減衰効果は相対的に大きくなる。すると、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる反射光の光反射レベルの強弱は相対的に大きくなる。一方で、ファラデーセンサ6を磁石5に相対的に遠い位置、すなわち、上記空隙の幅が相対的に広い位置にファラデーセンサ6を取り付けると、転倒ます2の転倒時に磁石5がファラデーセンサ6の前方を通過する際、磁石5の磁界による光反射減衰効果は相対的に小さくなる。すると、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる反射光の光反射レベルの強弱は相対的に小さくなる。
【0039】
従って、上記空隙の幅を光式雨量計1ごとに変えることで、ファラデーセンサ用光ファイバへ戻ってくる反射光の光反射レベルに違いが生じるので、それぞれの光式雨量計1(すなわち、ファラデーセンサ6)が出射する上記反射光は、測定器11を用いて光反射パルスのピークの高さ(レベル)から識別できる。複数の光式雨量計1が出射する光反射パルスをそのレベルからそれぞれ識別できるので、1芯の光ファイバに複数の光式雨量計1を接続しても、それぞれの光式雨量計1の転倒回数を同時に検出できる。また、上記空隙の幅を変える手段は、周知の手段で可能であり、例えば、転倒ます支持体16の細長い孔部17の所定位置に固定されているファラデーセンサ6を、光式雨量計1の底面に対して水平方向に移動させることで、上記空隙の幅を調整できる。
【0040】
次に、本発明の光式雨量計1を用いた光式雨量計測システムについて説明する。図4に示すように、本発明の実施形態例に係る光式雨量計測システムは、複数の光式雨量計1と、複数の光式雨量計1から出射した反射光をそれぞれ光カプラ9へ導光する複数の第1光ファイバ8と、複数の第1光ファイバ8とそれぞれ光カプラ9を介して接続する1芯の第2光ファイバ10と、1芯の第2光ファイバ10が光カプラ9から導光する前記反射光を受光して前記反射光をパルス信号として検出する測定器11とを備えている。
【0041】
本発明の実施形態例に係る光式雨量計測システムは、N個(例えば、図4では3個)の光式雨量計1が、測定器11からの距離が短い順に光式雨量計1‐1、1−2、1‐3と設置されている。また、ファラデーセンサ用光ファイバが第1光ファイバ8と接続することで、それぞれ、光式雨量計1と第1光ファイバ8とが接続している。従って、本発明の実施形態例に係る光式雨量計測システムは、N個(例えば、図4では3個)の光式雨量計1に対応して、N本(例えば、図4では3本)の第1光ファイバ8と、N個(例えば、図4では3個)の光カプラ9が設置されている。図4では、光式雨量計1‐1に第1光ファイバ8‐1が接続され、第1光ファイバ8‐1に光カプラ9‐1が接続されている。光式雨量計1‐2に第1光ファイバ8‐2が接続され、第1光ファイバ8‐2に光カプラ9‐2が接続されている。そして、光式雨量計1‐3に第1光ファイバ8‐3が接続され、第1光ファイバ8‐3に光カプラ9‐3が接続されている。
【0042】
次に、光式雨量計測システムの作動のメカニズムについて説明する。まず、測定器11に最も近い位置にて第2光ファイバ10と接続されている光式雨量計1‐1が、降雨量を観測する場合について説明する。
【0043】
降雨により光式雨量計1‐1の転倒ます2が転倒すると、光式雨量計1‐1のファラデーセンサ6が、磁石5の磁界の影響を受けた反射光を出射し、ファラデーセンサ6から出射された上記反射光は、上記転倒ます2の転倒した光式雨量計1‐1と接続している第1光ファイバ8‐1へ入射する。第1光ファイバ8‐1へ入射した上記反射光は、第1光ファイバ8‐1により導光されて該第1光ファイバ8‐1と接続している光カプラ9‐1へ出射される。光カプラ9‐1に入射した上記反射光は、該光カプラ9‐1から1芯の第2光ファイバ10へ出射される。1芯の第2光ファイバ10へ出射された上記反射光は、1芯の第2光ファイバ10により導光されて測定器11に受光される。1芯の第2光ファイバ10から上記反射光を受光した測定器11は、上記反射光をパルス信号として検出する。測定器11は、上記反射光のパルス信号の回数を積算することで、光式雨量計1‐1の転倒ます2の転倒回数を積算する。
【0044】
また、降雨により、他の光式雨量計、例えば、光式雨量計1‐1よりも測定器11から距離のある位置にて第2光ファイバ10と接続されている光式雨量計1‐2の転倒ます2が転倒すると、光式雨量計1‐2のファラデーセンサ6が、磁石5の磁界の影響を受けた反射光を出射する。ファラデーセンサ6から出射された上記反射光は、上記転倒ます2の転倒した光式雨量計1‐2と接続している第1光ファイバ8‐2、第1光ファイバ8‐2と接続する光カプラ9‐2を介して、1芯の第2光ファイバ10へ出射される。光カプラ9‐2から1芯の第2光ファイバ10へ出射された上記反射光は、1芯の第2光ファイバ10により導光され、第1光ファイバ8‐1を介して光式雨量計1‐1と接続された光カプラ9‐1を通って、測定器11に受光される。
【0045】
従って、降雨により、光式雨量計1‐1、1−2の転倒ます2が転倒し、光式雨量計1‐1の上記反射光が光カプラ9‐1に入射するタイミングと、光式雨量計1‐2の上記反射光が光カプラ9‐1に入射するタイミングとが同じとなる場合、光カプラ9‐1と測定器11との間の第2光ファイバ10は、同時に2種の反射光を測定器11へ導光する。また、光式雨量計1‐1の上記反射光が光カプラ9‐1に入射するタイミングと、光式雨量計1‐2の上記反射光が光カプラ9‐1に入射するタイミングとが異なる場合、光カプラ9‐1と測定器11との間の第2光ファイバ10は、2種の上記反射光を別々のタイミングで測定器11へ導光する。
【0046】
同様に、降雨により、光式雨量計1‐1、1−2に加えて、測定器11から最も遠い位置にて第2光ファイバ10と接続されている光式雨量計1‐3の転倒ます2も転倒し、光式雨量計1‐1、1−2、1‐3のそれぞれの上記反射光が全て同じタイミングにて光カプラ9‐1に入射することとなる場合、光カプラ9‐2と光カプラ9‐3との間の第2光ファイバ10は、同時に2種の上記反射光を導光し、光カプラ9‐1と測定器11との間の第2光ファイバ10は、同時に3種の反射光を測定器11へ導光する。また、上記タイミングが全て異なる場合、光カプラ9‐2と光カプラ9‐3との間の第2光ファイバ10は、2種の上記反射光を別々のタイミングで導光し、光カプラ9‐1と測定器11との間の第2光ファイバ10は、3種の上記反射光をそれぞれ別々のタイミングで測定器11へ導光する。
【0047】
次に、本発明の実施形態例に係る光式雨量計測システムで使用する測定器について説明する。測定器11には、例えば、オシロスコープ、光パルス試験器(OTDR)等を挙げることができる。まず、測定器11にオシロスコープを用いた場合について、図5、6を用いて説明する。
【0048】
図5は、光式雨量計1‐1、1‐2、1−3ごとに、棒状体4上における磁石5の位置と、磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙の幅とを変えた状態で、転倒ます2の転倒を検出した場合の、光反射パルスの測定方法例を概略的に説明するものである。また、図5では、光式雨量計1‐1、1‐2、1−3の上記反射光を、それぞれ別々のタイミング(図5では、光式雨量計1‐1、1‐2、1−3の順)で測定器11が検出した場合の測定方法例である。
【0049】
図5の3つの光反射パルス中、中央の光反射パルスP2は、光式雨量計1‐2の転倒ます2の転倒を検出したものである。左端の光反射パルスP1は、光式雨量計1‐1の転倒ます2の転倒を検出したものである。右端の光反射パルスP3は、光式雨量計1‐3の転倒ます2の転倒を検出したものである。光式雨量計1‐1では、光式雨量計1‐2よりも、回転軸3から相対的に遠い位置に磁石5を取り付けている。従って、P1は、P2よりも、上記反射光の光反射パルス幅は相対的に狭くなっている。また、光式雨量計1‐1では、光式雨量計1‐2よりも、相対的に、上記空隙の幅が狭い位置にファラデーセンサ6を取り付けている。従って、P1はP2よりも、上記反射光の光反射パルスのレベルは相対的に大きくなっている。一方、光式雨量計1‐3では、光式雨量計1‐2よりも、回転軸3から相対的に近い位置に磁石5を取り付けている。従って、P3は、P2よりも、上記反射光の光反射パルス幅は相対的に広くなっている。また、光式雨量計1‐3では、光式雨量計1‐2よりも、相対的に、上記空隙の幅が広い位置にファラデーセンサ6を取り付けている。従って、P3はP2よりも、上記反射光の光反射パルスのレベルは相対的に小さくなっている。
【0050】
このように、それぞれの光式雨量計1について、棒状体4上における磁石5の位置と、磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙の幅とを変えることで、光式雨量計1ごとに光反射パルスの幅とレベルを変えることができるので、第2光ファイバ10が1芯であっても、それぞれの光式雨量計1の光反射パルスを容易かつ確実に識別できる。
【0051】
図6は、光式雨量計1‐1、1‐2、1−3について、それぞれ、棒状体4上における磁石5の位置と、磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙の幅を変えて、転倒ます2の転倒を検出した場合の、光反射パルスの測定方法例を概略的に説明するものである。なお、図6では、光式雨量計1‐1、1‐2、1−3の上記反射光を、それぞれ同じタイミングで測定器11が検出した場合の測定方法例である。
【0052】
光式雨量計1‐1では、光式雨量計1‐2よりも、回転軸3から相対的に遠い位置に磁石5を取り付けている。従って、光式雨量計1‐1の上記反射光の光反射パルス幅は、光式雨量計1‐2の光反射パルス幅よりも相対的に狭くなる。一方、光式雨量計1‐3では、光式雨量計1‐2よりも、回転軸3から相対的に近い位置に磁石5を取り付けている。従って、光式雨量計1‐3の上記反射光の光反射パルス幅は、光式雨量計1‐2の光反射パルス幅よりも相対的に広くなる。よって、図6に示すように、3つの光反射パルスが重なったパルス波形のうち、光反射パルス幅が最も狭い上段部の光反射パルスP1は、光式雨量計1‐1の転倒ます2の転倒を検出したものであることがわかる。光反射パルス幅が最も広い下段部の光反射パルスP3は、光式雨量計1‐3の転倒ます2の転倒を検出したものであることがわかる。そして、中段部の光反射パルスP2は、光式雨量計1‐2の転倒ます2の転倒を検出したものであることがわかる。
【0053】
このように、オシロスコープが、光式雨量計1‐1、1‐2、1−3の上記反射光を同じタイミングで検出し、その結果、P1、P2、P3が重畳した場合でも、P1、P2、P3の光反射パルスの幅とレベルがそれぞれ異なるので、第2光ファイバ10が1芯であっても、その光反射パルス波形から、それぞれの光式雨量計1の光反射パルスを容易かつ確実に識別できる。よって、それぞれの光式雨量計1‐1、1‐2、1−3の転倒ます2の転倒を検出できる。
【0054】
なお、図5における各光反射パルスP1〜P3では、それぞれ光反射パルスのレベルが異なっていたが、これに限定されない。例えば、測定器11に内蔵されている光源(図示せず)が一定の光出力動作(CW)である場合には、各光反射パルスP1〜P3のレベルが同じであっても、各光反射パルスP1〜P3が重畳する位置では、それぞれの光反射パルスのレベルの合計となり、図6のような光反射パルスの波形が得られるので、それぞれの光式雨量計1の光反射パルスを識別できる。
【0055】
また、前記光源が、光反射パルス幅の最も狭い光反射パルスよりも十分周期の短い(例えば、1桁以上)短パルス光を発振しており、各光反射パルスP1〜P3が、この短パルスのピーク値で構成される時間的包絡波形として、図5のような波形を形成する場合には、各光反射パルスP1〜P3が重畳する位置では、光反射パルスのレベルの時間平均値が図6に示すような波形となるので、この図6のような波形である光反射パルスのレベルの時間平均値を用いることで、上記CW動作時と同様にして、それぞれの光式雨量計1の光反射パルスを識別できる。ただし、短パルスのデューティ比が非常に小さい(例えば、20%以下)場合には、光反射パルスのレベルの時間平均値が小さくなるので、各光反射パルスP1〜P3が重畳する位置では、各光反射パルスのレベルの合計について、その変化を認識しにくくなることがある。このような場合は、各光反射パルスP1〜P3のレベルを変えて、上記時間的包絡波形からそれぞれの光式雨量計1の光反射パルスを識別してもよい。このとき、光反射パルスP1〜P3の上記時間的包絡波形は、各光反射パルスP1〜P3が重畳しても、それぞれのピーク値はほぼ保持されるので、図6のような光反射パルスの波形が得られる。
【0056】
このように、3個設置した光式雨量計1ごとに、棒状体4上における磁石5の位置、または磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙の幅を変えて、光式雨量計1ごとに光反射パルスの幅またはレベルを変えることで、それぞれの光式雨量計1の光反射パルスを識別してもよい。
【0057】
上記のように、1芯の第2光ファイバ10に光式雨量計1を3個または4個以上設置する場合には、特に、光式雨量計1ごとに、棒状体4上における磁石5の位置と、磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙の幅とを変えることで、それぞれの光式雨量計1の光反射パルスを容易かつ確実に識別できる。
【0058】
また、上記実施形態例に係る、1芯の第2光ファイバ10に光式雨量計1を3個設置した光式雨量計測システムに代えて、1芯の第2光ファイバ10に光式雨量計1を2個設置する場合には、図7、8に示すように、棒状体4上における磁石5の位置、または磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙の幅を変えることで、それぞれの光式雨量計1の光反射パルスを容易かつ確実に識別できる。
【0059】
つまり、図7に示すように、光式雨量計1ごとに光反射パルスP1、P2のレベルのみを変えた場合、または、図8に示すように、光式雨量計1ごとに光反射パルスP1、P2の幅のみを変えた場合、いずれの場合であっても、光反射パルスP1とP2が重なった光反射パルスの波形(すなわち、光反射パルスP1とP2が重なるタイミングで検出器11に検出された時の光反射パルスの波形。図7、8中、右端の光反射パルスの波形)は、単独の光反射パルスP1、P2の波形(すなわち、光反射パルスP1、P2が別々のタイミングで検出器11に検出された時の光反射パルスP1、P2のそれぞれの波形。図7、8中、左端、中央の光反射パルスの波形)と異なるため、光反射パルスP1、P2が重なるタイミングであっても、重ならないタイミングであっても、それぞれの光式雨量計1の光反射パルスを容易に識別できる。なお、1芯の第2光ファイバ10に光式雨量計1を2個設置する場合であっても、棒状体4上における磁石5の位置と、磁石5とファラデーセンサ6とが最短距離となるときの磁石5とファラデーセンサ6の端面61間の空隙の幅の両方を変えてもよい。
【0060】
次に、測定器11に光パルス試験器を用いた場合について説明する。光パルス試験器により、測定器11と光式雨量計1との距離に対応する伝搬時間と、この伝播時間に対応した磁石5からの磁界の変化に応じて変動する反射光の受光パワーと、を検出できる。また、図4に示すように、複数の光式雨量計1を1芯の第2光ファイバ10に多段接続しても、光式雨量計1ごとに測定器11との距離を変えることで、光式雨量計1ごとの伝播時間を変えることができる。図4では、測定器11からの距離は、光式雨量計1‐1、1−2、1‐3の順に短いので、光式雨量計1‐1、1−2、1‐3の順に伝播時間が短くなる。従って、光パルス試験器が検出する受光パワーのピークの伝播時間から、転倒ます2の転倒した光式雨量計1を識別でき、伝播時間ごとに受光パワーのピークを積算することで、それぞれの光式雨量計1の転倒回数を検出できる。
【0061】
また、光パルス試験器の測定周期は、磁石5からの磁界の変化に応じて変化する反射光の受光パワーを確実に検出する点から、光反射パルス(すなわち、受光パワーのピーク)の反射時間幅の半値幅以下の周期とするのが好ましい。光反射パルスの反射時間幅の半値幅とは、光反射パルスのピークの高さのうち、半分の高さ位置に対応する部分の時間幅を意味する。光パルス試験器の測定周期が、光反射パルスの反射時間幅の半値幅以下となるように、棒状体4上における磁石5の位置を調整し、光反射パルス幅を設定する。
【0062】
次に、本発明の他の実施形態例について説明する。上記光式雨量計の実施形態例では、磁石の取り付けられた棒状体は、転倒ますの底部表面に対して垂直方向に伸びていたが、これに代えて、上記棒状体が、転倒ますの底部表面に対して略垂直方向または所定角度、例えば転倒ますの底部表面に対して60°以上90°未満の角度にて伸びる構成としてもよい。また、上記実施形態例では、磁石の取り付けられた棒状体は、回転軸上の位置から下方へ伸びていたが、これに代えて、底部表面の周縁部以外の位置から、例えば、底部表面の回転軸上と周縁部との中間部から下方へ伸びていてもよい。
【0063】
また、上記光式雨量計測システムの実施形態例では、複数の光式雨量計について、それぞれ、棒状体上における磁石の位置と、磁石とファラデーセンサとが最短距離となるときの磁石とファラデーセンサ間の空隙の幅とを変えてそれぞれの光式雨量計を識別する態様について説明したが、測定器として、光パルス試験器を用いる場合には、光パルス試験器と光式雨量計との距離(すなわち、光反射パルスの伝播時間)から、それぞれの光式雨量計を識別できるので、複数の光式雨量計ごとに、上記した磁石の位置と、磁石とファラデーセンサ間の空隙の幅とを変えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、1芯の光ファイバにて、複数の雨量計の検出する降雨量を正確かつ簡易に測定できるので、例えば、多地点の降雨量を測定する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0065】
1 光式雨量計
2 転倒ます
3 回転軸
4 棒状体
5 磁石
6 ファラデーセンサ
8 第1光ファイバ
10 第2光ファイバ
11 測定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の降雨量により転倒する転倒ますと、該転倒ますの底部から下部へ伸びる棒状体と、該棒状体上に設けられる磁石と、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向であり且つ転倒ますの転倒中のタイミングで前記磁石が最も接近するように配置される、前記磁石から受ける磁界に応じて作動するファラデーセンサと、を備えた光式雨量計。
【請求項2】
前記磁石は、前記棒状体上における位置変更が可能であり、前記ファラデーセンサは、前記磁石の位置変更に応じて位置変更が可能である請求項1に記載の光式雨量計。
【請求項3】
前記ファラデーセンサが、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向に位置変更可能である請求項1に記載の光式雨量計。
【請求項4】
複数の光式雨量計と、前記複数の光式雨量計から出射した反射光をそれぞれ導光する複数の第1光ファイバと、前記複数の第1光ファイバとそれぞれ光カプラを介して接続される1芯の第2光ファイバと、前記1芯の第2光ファイバが導光する前記反射光を受光し、前記反射光をパルス信号として検出する測定器とを備えた光式雨量計測システムであって、
前記光式雨量計が、一定の降雨量により転倒する転倒ますと、該転倒ますの底部から下部へ伸びる棒状体と、該棒状体上に設けられる磁石と、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向であり且つ転倒ますの転倒中のタイミングで前記磁石が最も接近するように配置される、前記磁石から受ける磁界に応じて作動するファラデーセンサと、を備えた光式雨量計測システム。
【請求項5】
前記磁石は、前記棒状体上における位置変更が可能であり、前記ファラデーセンサは、前記磁石の位置変更に応じて位置変更が可能である請求項4に記載の光式雨量計測システム。
【請求項6】
前記ファラデーセンサが、前記転倒ますの回転面に対して鉛直方向に位置変更可能である請求項4に記載の光式雨量計測システム。
【請求項7】
前記測定器が、光パルス試験器である請求項4に記載の光式雨量計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72645(P2013−72645A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209520(P2011−209520)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(390012726)株式会社小松製作所 (1)