説明

光情報再生装置

【課題】2つの光の光路差の調整が容易で、信号増幅効果が高い、干渉型の光情報信号の検出を行う光情報再生装置を提供する。
【解決手段】光源101から出射した光束を、信号光としての第1の光束102と、光情報記録媒体には集光しない参照光としての第2の光束103とに分割し、信号光と参照光の間の位相関係が互いに異なる状態で光学的に干渉させて、検出する光情報記録再生装置であって、前記第1または前記第2の光束を、第1のレンズ113、第2のレンズ114により前後にデフォーカスさせて、それらの差信号からフォーカス誤差信号を得るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を情報記録媒体に照射して、情報を再生する情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、青色半導体レーザと、NA0.85の高NA対物レンズを用いるブルーレイディスク(BD)の製品化に至って、光学系の分解能としてはほぼ限界に達し、さらなる大容量化に向けては、今後、記録層の多層化が有力となると考えられる。近年、記録層を2層ないし3層有するブルーレイディスクが市販されており、レコーダの映像保存媒体やパソコンのデータ保存媒体として用いられている。
【0003】
このような多層光ディスクにおいては各記録層からの検出光量がほぼ同等となる必要性から、記録層の数を増やすのに伴いそれぞれの記録層の反射率は小さくせざるを得ない。このため、各記録層からの検出信号のS/N比が低下するという課題がある。
【0004】
そこで、検出信号の増幅技術が開発されている。この増幅技術の一例として、特開2008−310942号には、下記の技術が述べられている。光ディスクからの微弱な反射光(信号光)を、光ディスクに照射する前に分岐した光ディスクに照射しない光(参照光)と合波して干渉によって増幅する。この時、合波光を無偏光ビームスプリッタで2つに分岐してそれぞれλ/2板またはλ/4板を透過させた後、偏光ビームスプリッタの透過光と反射光の差動検出を行うことで、分岐した2つの光の位相関係が異なる4つの干渉光を検出する。光ディスク回転時の面ぶれによって信号光の光路長が変化し4つの干渉光の出力が変動するのにかかわらず、4つの出力を選択的に演算することにより、再生信号の安定した増幅が得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−310942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、信号光と参照光との干渉光から生成する高S/N比の再生信号、フォーカス誤差信号に対して16個の検出器が必要であり、検出器の数が非常に多く、結果としてアンプノイズやショットノイズの影響でS/N比が低下してしまう。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、2つの光の光路差の調整が容易で、信号増幅効果が高い、干渉型の光情報信号の検出を行う光情報再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記の課題を解決するために、光源から出射した光束を、信号光としての第1の光束と、光情報記録媒体には集光しない参照光としての第2の光束とに分割し、信号光と参照光の間の位相関係が互いに異なる状態で光学的に干渉させて、検出する光情報記録再生装置であって、前記第1または前記第2の光束を、前後にデフォーカスさせて、それらの差信号からフォーカス誤差信号を得るようにする構成とした。
【0009】
より、具体的に説明すると、下記の通りである。
【0010】
(1)光源から出射した光束を第1の光束と第2の光束とに分割し、
光情報記録媒体に集光して照射し反射した第1の光束を信号光として第1の検出器と第2の検出器とに導き、
光情報記録媒体には集光しない第2の光束を参照光として前記第1の検出器と第2の検出器とに導き、
前記第1および第2の検出器上でそれぞれ信号光と参照光を、信号光と参照光の間の位相関係が互いに異なる状態で光学的に干渉させて、検出する光情報再生装置であって、
前記第2の光束は、前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた前記第1の光束に対して前後にデフォーカスされた光束とし、
第1の光束と、前側にデフォーカスされた第2の光束との干渉光を、前記第1の検出器で検出して、前記第1の検出器の出力から信号Sig1を生成し、
第1の光束と、後ろ側にデフォーカスされた第2の光束との干渉光を、前記第2の検出器で検出して、前記第2の出器の出力から信号Sig2を生成し、
前記信号Sig1と前記信号Sig2との和から再生RF信号を、
前記信号Sig1と前記信号Sig2との差からフォーカス誤差信号を得ることとした。
【0011】
このように、前記第1の検出器では、前記第1の光束が前記光情報記録媒体の所定の層に対して前側に所定の量だけデフォーカスした時に、前記信号Sig1の干渉による増幅効果が最大となる。また、前記第2の検出器では、前記第1の光束が前記光情報記録媒体の所定の層に対して後ろ側に所定の量だけデフォーカスした時に、前記信号Sig2の干渉による増幅効果が最大となる。すなわち、各々の検出器から、前記光記録媒体の所定の層に対して前後に所定の量だけデフォーカスした時に出力が最大となる2つの信号Sig1、Sig2が得られる。そこで、この2つの信号の和をとることによって、デフォーカスがゼロの時に出力が最大となる再生RF信号が得られる。また、この2つの信号の差をとることによって、デフォーカスがゼロの時に出力がゼロとなり、デフォーカスの符号に応じて出力の符号の異なるフォーカス誤差信号が得られ、S/N比の高い再生RF信号とフォーカス誤差信号を同時に生成することができる。
【0012】
(2)また、(1)の別の手段として、
前記第2の光束を、前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた前記第1の光束に対して前後にデフォーカスされた光束とする代わりに、
前記第1の光束を、前記第1および第2の検出器に焦点を合わせた前記第2の光束に対して前後にデフォーカスされた光束とし、
第2の光束と、前側にデフォーカスされた第1の光束との干渉光を、前記第1の検出器で検出して、前記第1の検出器の出力から信号Sig1を生成し、
第2の光束と、後ろ側にデフォーカスされた第1の光束との干渉光を、前記第2の検出器で検出して、前記第2の出器の出力から信号Sig2を生成し、
前記信号Sig1と前記信号Sig2との和から再生RF信号を、
前記信号Sig1と前記信号Sig2との差からフォーカス誤差信号を得ることとした。
【0013】
これにより、前記第1の検出器では、前記第1の光束が前記光情報記録媒体の所定の層に対して後ろ側に所定の量だけデフォーカスした時に、前記信号Sig1の干渉による増幅効果が最大となる。また、前記第2の検出器では、前記第1の光束が前記光情報記録媒体の所定の層に対して前側に所定の量だけデフォーカスした時に、前記信号Sig2の干渉による増幅効果が最大となる。すなわち、各々の検出器から、前記光記録媒体の所定の層に対して前後に所定の量だけデフォーカスした時に出力が最大となる2つの信号Sig1、Sig2が得られる。そこで、この2つの信号の和をとることによって、デフォーカスがゼロの時に出力が最大となる再生RF信号が得られる。また、この2つの信号の差をとることによって、デフォーカスがゼロの時に出力がゼロとなり、デフォーカスの符号に応じて出力の符号の異なるフォーカス誤差信号が得られ、S/N比の高い再生RF信号とフォーカス誤差信号を同時に生成することができる。
【0014】
(3)また(1)の別の手段として、
光源から出射した光束を第1の光束と第2の光束とに分割し、
光情報記録媒体に集光して照射し反射した第1の光束を信号光として第1の検出器と第2の検出器と第3の検出器とに導き、
光情報記録媒体には集光しない第2の光束を参照光として前記第1の検出器と第2の検出器と第3の検出器とに導き、
前記第1、第2および第3の検出器上でそれぞれ信号光と参照光を、信号光と参照光の間の位相関係が互いに異なる状態で光学的に干渉させて、検出する光情報再生装置であって、
前記第2の光束は、前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた前記第1の光束に対して前後にデフォーカスされた光束と、デフォーカスされていない光束とし、
第1の光束と、デフォーカスされていない第2の光束との干渉光を、前記第3の検出器で検出して、前記第3の検出器の出力Sig3から再生RF信号を得ることとし、
さらに、第1の光束と、前側にデフォーカスされた第2の光束との干渉光を、前記第1の検出器で検出して、前記第1の検出器の出力から信号Sig1を生成し、
第1の光束と、後ろ側にデフォーカスされた第2の光束との干渉光を、前記第2の検出器で検出して、前記第2の出器の出力から信号Sig2を生成し、
前記信号Sig1と前記信号Sig2との差からフォーカス誤差信号を得ることとした。
【0015】
このように再生信号とフォーカス誤差信号の検出を別にすることによって、再生信号は前記第1の光束が前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた時に最も効果的な増幅が得られると同時に、フォーカス誤差信号は、第2の光束に付与するデフォーカス量によって引込み可能な焦点ずれ範囲を適当に設計することが可能となる。
【0016】
(4)また、(3)の別の手段として、
前記第2の光束を、前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた前記第1の光束に対して前後にデフォーカスされた光束と、デフォーカスされていない光束とする代わりに、
前記第1の光束を、前記第1、第2および第3の検出器に焦点を合わせた前記第2の光束に対して前後にデフォーカスされた光束と、デフォーカスされていない光束とし、
第2の光束と、デフォーカスされていない第1の光束との干渉光を、前記第3の検出器で検出して、前記第1の検出器の出力Sig3から再生RF信号を得ることとし、
さらに、第2の光束と、前側にデフォーカスされた第1の光束との干渉光を、前記第1の検出器で検出して、前記第2の検出器の出力から信号Sig1を生成し、
第2の光束と、後ろ側にデフォーカスされた第1の光束との干渉光を、前記第2の検出器で検出して、前記第3の出器の出力から信号Sig2を生成し、
前記信号Sig1と前記信号Sig2との差からフォーカス誤差信号を得ることとした。
【0017】
このように再生信号とフォーカス誤差信号の検出を別にすることによって、再生信号は前記第1の光束が前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた時に最も効果的な増幅が得られると同時に、フォーカス誤差信号は、第1の光束に付与するデフォーカス量によって引込み可能な焦点ずれ範囲を適当に設計することが可能となる。
【0018】
(5)また(1)の別の手段として、
前記第1の光束の信号光は第1の信号光と第2の信号光とに分割され、
前記第2の光束の参照光は第1の参照光と第2の参照光とに分割され、
前記第1の信号光と前記第1の参照光との干渉光を前記第1の検出器で検出し、
前記第2の信号光と前記第2の参照光との干渉光を前記第2の検出器で検出する光情報再生装置であって、
前記第1の検出器の出力から再生RF信号を得ることとし、
さらに、前記第2の参照光の光路中に前記第2の参照光を前後にデフォーカスさせる手段を設け、前記デフォーカス手段は、前記第2の参照光を時刻tまたはt+Δtにおいて前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた前記第2の信号光に対して前または後にデフォーカスさせ、時刻tにおける前記第2の検出器の出力Sig2(t)と、時刻t+Δtにおける前記第2の検出器の出力Sig2(t+Δt)の差からフォーカス誤差信号を得ることとした。
【0019】
このように再生信号とフォーカス誤差信号の検出を別にすることによって、再生信号は前記第1の光束が前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた時に最も効果的な増幅が得られると同時に、フォーカス誤差信号は、第2の光束に付与するデフォーカス量によって引込み可能な焦点ずれ範囲を適当に設計することが可能となる。
【0020】
(6)また(5)の別の手段として、
前記第1の光束の信号光は第1の信号光と第2の信号光とに分割され、
前記第2の光束の参照光は第1の参照光と第2の参照光とに分割され、
前記第1の信号光と前記第1の参照光との干渉光を前記第1の検出器で検出し、
前記第2の信号光と前記第2の参照光との干渉光を前記第2の検出器で検出する光情報再生装置であって、
前記第1の検出器の出力から再生RF信号を得ることとし、
さらに、前記第2の信号光の光路中に前記第2の信号光を前後にデフォーカスさせる手段を設け、前記デフォーカス手段は、前記第2の信号光を時刻tまたはt+Δtにおいて前記第2の検出器に焦点を合わせた前記第2の参照光に対して前または後にデフォーカスさせ、時刻tにおける前記第2の検出器の出力Sig2(t)と、時刻t+Δtにおける前記第2の検出器の出力Sig2(t+Δt)の差からフォーカス誤差信号を得ることとした。
【0021】
このように再生信号とフォーカス誤差信号の検出を別にすることによって、再生信号は前記第1の光束が前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた時に最も効果的な増幅が得られると同時に、フォーカス誤差信号は、第2の光束に付与するデフォーカス量によって引込み可能な焦点ずれ範囲を適当に設計することが可能となる。
【0022】
(7)前記の第1、第2、第3の検出器はそれぞれ4つの検出器(PD1、PD2、PD3、PD4;PD1A、PD2A、PD3A、PD4A;PD1B、PD2B、PD3B、PD4B)からなり、
前記信号光と参照光の間の位相関係は、前記第1、第2、第3の4つの検出器上で互いにほぼ90度ずつ異なることとし、位相がほぼ180度異なる検出器の対(PD1とPD2、PD3とPD4、PD1AとPD2A、PD3AとPD4A、PD1BとPD2B、PD3BとPD4B)で信号光と参照光の干渉光をそれぞれ差動検出し、2組の差動信号Sig11とSig12、Sig21とSig22、Sig31とSig32を生成することとする。
【0023】
これにより、前記第1、第2、第3の4つの検出器でもって、360度の位相関係のうち、ほぼ90度ずつずれた4つの位相状態を同時に検出することができる。再生信号は光の位相状態の360度の変化に応じて正弦波状に変化するため、90度ずつ位相状態のずれた4つの信号を観測することで、任意の位相状態での信号状態を演算によって再現することが可能となる。すなわち任意の位相状態での安定した再生・検出が実現される。
【0024】
なお、上記は、ほぼ90度ずつ位相状態をずらすことを説明したが、ほぼ120度ずつずらし、0度、120度、240度位相状態がずれた3つの信号を観測することによっても、安定した再生、検出が実現できる。
【0025】
(8)前記(7)において、前記第1、第2、第3の4つの検出器で得られる前記2組の差動信号Sig11、Sig12およびSig21、Sig22およびSig31、Sig32は、それぞれ位相がほぼ180度異なる干渉光の対を電流差動型の差動検出器によって検出する。
【0026】
これにより、参照光強度による検出器の飽和を避けることができ、十分な増幅効果が得られ、十分なS/N比を確保することが可能となる。
【0027】
(9)さらに、(7)または(8)の前記第1の4つの検出器で得られる前記2組の差動信号Sig11、Sig12のそれぞれの2乗を加算して和信号Sig1を得る演算とした。
【0028】
また、前記第2の4つの検出器で得られる前記2組の差動信号Sig21、Sig22のそれぞれの2乗を加算して和信号Sig2を得る演算とした。
【0029】
また、前記第3の4つの検出器で得られる前記2組の差動信号Sig31、Sig32のそれぞれの2乗を加算して和信号Sig3を得る演算とした。
【0030】
これにより、4つの検出器では位相が90度ずつずれているため、Sig11またはSig21またはSig31は信号光と参照光の間の位相関係に対して正弦だとすると、Sig12またはSig22またはSig32は余弦となる。したがって、両者の2乗和をとることで、常に一定した最大出力信号を得ることが可能になる。
【0031】
(10)前記第1または第2の光束を前後にデフォーカスさせる手段は、曲線回折格子によることとする。曲線回折格子は、同心円状に配置され、そのピッチが周辺ほど細かくなる、いわゆるフレネルゾーンプレートを、中心をずらしてカットしたものであり、フレネルゾーンプレートの効果として回折光にレンズ作用を与えることができる。このレンズ作用は、+1次回折光と、−1次回折光とで方向が逆向きとなり、+1次回折光に凸レンズ作用を与えると、−1次回折光には凹レンズ作用が加わる。逆に、+1次回折光に凹レンズ作用を与えると、−1次回折光には凸レンズ作用が加わる。
【0032】
これにより、前記第1または第2の光束から前後逆向きに同じ量だけ焦点ずれのある光束を制御性よく形成することができる。
【0033】
(11)前記第1または第2の光束に付与する前後のデフォーカス波面収差は、その符号が異なり、絶対値が略等しいことが望ましい。この時、第1または第2の光束と、前側にデフォーカスした第2または第1の光束との干渉光を検出する検出器から得られる信号をSig1、第1または第2の光束と、後ろ側にデフォーカスした第2または第1の光束との干渉光を検出する検出器から得られる信号をSig2として、再生RF信号はSig1+Sig2で、フォーカス誤差信号はSig1−Sig2、またはSig2−Sig1で得ることとした。
【0034】
これにより、S/N比の高い再生RF信号とフォーカス誤差信号を同時に生成することができる。
【0035】
(12)前記第1または第2の光束に付与する前後のデフォーカス波面収差は、その絶対値が異なってもよい。この時、第1または第2の光束と、前側にデフォーカスした第2または第1の光束との干渉光を検出する検出器から得られる信号をSig1、第1または第2の光束と、後ろ側にデフォーカスした第2または第1の光束との干渉光を検出する検出器から得られる信号をSig2として、さらにこれらの信号に係数を乗算し、再生RF信号はaSig1+aSig2で、フォーカス誤差信号はbSig1−bSig2で得ることとした。ここで、a1,a2,b1,b2は所定の係数である。
【0036】
これにより、S/N比の高い再生RF信号とフォーカス誤差信号を同時に生成することができる。
【0037】
(13)信号光と参照光との間の光学的位相差(光路長差)を調整する手段を、参照光の光路中に設けることとした。
【0038】
これにより、信号光と参照光の間の位相差を、光源の可干渉距離よりも常に小さくできる。例えば、可干渉距離が100μmの場合、光路長差が常に100μm以下となるように制御することで、確実に干渉性を確保でき、干渉による安定した光信号増幅の効果が得られる。
【0039】
(14)また、本発明の光情報記録再生装置は、
光源と、
前記光源から出射された光束を分割する第1の光分岐素子と、
前記光源から出射され、前記第1の光分岐素子によって分割された光束の一方を光情報記録媒体に集光する集光光学系と、
前記集光光学系において集光される光の焦点位置を可変にする可変焦点機構と、
前記光情報記録媒体に集光して反射した信号光を検出する第1の検出器と、
前記光情報記録媒体に集光して反射した信号光と、前記分割された光束の他方から得られる参照光とを光学的に干渉させる干渉光学系と、
前記干渉光学系における干渉光を複数に分割する分割光学系と、
前記分割光学系において分割された複数の干渉光を、位相関係が互いに異なる状態で、それぞれ検出する第2の複数の検出器と、
前記第1の検出器によって検出された信号光から得られる焦点ずれ信号と、前記第2の複数の検出器によって検出された干渉光から得られる焦点ずれ信号と、を切り替える手段とを有し、
前記切り替える手段によって切り替えて、前記可変焦点機構を制御することとした。
【発明の効果】
【0040】
従来の光ディスク装置と同等のサイズで作製可能で、信号増幅効果が高く、安価な干渉型の光学的情報検出方法、光ピックアップおよび光ディスク装置が実現される。特に、複数の記録層を有する多層光ディスクに対して高S/N比の検出信号を得ることができる。具体的には、従来技術(特許文献1)では信号光と参照光との干渉光から生成する高S/N比の再生信号とフォーカス誤差信号に対して16個の検出器を必要とするのに対し、本発明では2組または3組のN個(Nは3以上)の検出器で足り、6個(2組×Nが3の場合)以上12個(3組×Nが4の場合)以下に減らすことができる。
【0041】
特に、複数の記録層を有する多層光ディスクに対してS/N比の高い光情報信号を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの構成例を示す図。
【図2】本発明の光情報記録再生装置の構成例を表す概略図。
【図3】本発明の光ピックアップの検出光学系の構成例を示す図。
【図4】信号光と参照光の偏光方向と検出光の偏光方向を示す図。
【図5】本発明の実施例の再生信号とフォーカス誤差信号のシミュレーション結果を示す図。
【図6】本発明の実施例において、参照光に付与するデフォーカス波面収差量と、再生信号振幅およびフォーカス誤差信号の引込範囲のシミュレーション結果を示す図。
【図7】本発明の実施例による2層BDの再生信号とフォーカス誤差信号のシミュレーション結果を示す図。
【図8】本発明のフォーカス制御のフローを示す図。
【図9】本発明の参照光光路長調整手段のフローを示す図。
【図10】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図11】本発明の演算回路の一実施例を示す図。
【図12】本発明の光ピックアップ光学系と信号演算方法の一実施例を示す図。
【図13】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図14】本発明で用いる曲線回折格子を示す図。
【図15】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図16】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図17】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図18】偏光位相変換分離素子の説明図。
【図19】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図20】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図21】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図22】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図23】偏光位相変換分離素子の説明図。
【図24】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図25】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図26】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図27】本発明の光ピックアップの検出光学系の別の構成例を示す図。
【図28】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図29】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図30】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図31】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【図32】本発明の光情報検出方法を実現する光ピックアップの別の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0044】
実施例1では、参照光に対して、異符号のデフォーカスを与える例について説明する。
[光ピックアップ光学系の構成]
図1は本発明の光信号検出方法を実現する光ピックアップ2の光学系の概略図を示したものである。本実施例の光ピックアップ光学系は、半導体レーザから出射された光を光ディスクに導き反射させ、該反射光(信号光)と参照光とを干渉させて干渉光を生成するための干渉光学系と、生成された干渉光を分離し、分離された各々の干渉光に位相差を付与して複数の検出器で検出するための検出光学系とにより構成される。
【0045】
<信号光と参照光の生成>
半導体レーザ101から出射した光は、コリメートレンズ111によって平行光にされ、λ/2板121を透過し、偏光ビームスプリッタ131に入射し、第1の光束102と第2の光束103に分離される。偏光ビームスプリッタは分離面に入射するp偏光(以降、水平偏光と呼ぶ)をほぼ100%透過し、s偏光(以降、垂直偏光と呼ぶ)をほぼ100%反射させる機能を有している。半導体レーザ101から出射した光の偏光状態はp偏光となっており、λ/2板121の光軸周りの回転角度を調整することにより、λ/2板121を透過する光の偏光方向を任意に変更し、偏光ビームスプリッタ131での透過光と反射光との強度比を任意に調整することができる。
【0046】
<信号光の2分割検出>
偏光ビームスプリッタ131によって反射された垂直偏光の第1の光束102は、λ/4板122を透過することによって円偏光に変換された後、対物レンズ112で集光され、1つないし複数の情報記録層を有する光ディスク3に照射される。回転モータ201によって回転させられている光ディスク3で反射した第1の光束102(以降、信号光と呼ぶ)は、対物レンズ112で再び平行光に戻され、λ/4板122で直線偏光に戻されるが、ディスク面での反射によって円偏光の回転方向が反転するため、直線偏光の方向は元の光と直交する水平偏光となる。このため、λ/4板122を透過した水平偏光の信号光102は偏光ビームスプリッタ131を透過してハーフミラーであるビームスプリッタ132へ向かう。
【0047】
ビームスプリッタ132に入射した信号光102は、第1の信号光102aと第2の信号光102bとに分割される。ビームスプリッタ132で反射した第1の信号光102aは、偏光ビームスプリッタ133を透過し、検出光学系11へ向かう。また、ビームスプリッタ132を透過した第2の信号光102bは、偏光ビームスプリッタ134を透過し、検出光学系12へ向かう。
【0048】
<デフォーカス参照光の2分割検出>
一方、λ/2板121と偏光ビームスプリッタ131を透過した水平偏光の第2の光束103(以降、参照光と呼ぶ)は、λ/2板123によって垂直偏光に変換された後、参照光反射手段141で反射され、ハーフミラーであるビームスプリッタ135へ向かう。
【0049】
ビームスプリッタ135に入射した参照光103は、第1の参照光103aと第2の参照光103bとに分割される。ビームスプリッタ135で反射した第1の参照光103aは、第1のレンズ113を透過してある所定のデフォーカス波面収差W20を付与された後、偏光ビームスプリッタ133で反射され、検出光学系11へ向かう。また、ビームスプリッタ135を透過した第2の参照光103bは、第2のレンズ114を透過して第1のレンズ113で第1の参照光103aに付与されるのとは反対符号のデフォーカス波面収差−W20を付与された後、偏光ビームスプリッタ134で反射され、検出光学系12へ向かう。
【0050】
このとき、第1の信号光102aと第1の参照光103aとは検出光学系11で、第2の信号光102bと第2の参照光103bとは検出光学系12で、互いに偏光方向が直交した状態、すなわち信号光は水平偏光、参照光は垂直偏光の状態で合成されている。
【0051】
<前後デフォーカス量の規定>
第1のレンズ113で第1の参照光103aに付与されるデフォーカス波面収差と第2のレンズ114で第2の参照光103bに付与されるデフォーカス波面収差の絶対値は略等しいことが望ましい。あるいは、光ディスクで反射されて検出光学系11、12へ向かう信号光102に対して、第1の参照光103aと第2の参照光103bは光束の規格化半径をr(光軸はr=0、周辺光束はr=1)として、それぞれ+W20、−W20のデフォーカス波面収差が付与され、信号光102に対して前後にデフォーカスされることが望ましい。例えば第1のレンズ113は焦点距離fの凸レンズとし、第2のレンズ114は焦点距離−fの凹レンズとする。
[光情報記録再生装置の全体構成]
図2は本発明の光信号検出方法を実現する光情報記録再生装置の全体的な構成の一例を示したものである。
【0052】
<ドライブ全体構成、制御機構>
光情報記録再生装置1は、光ピックアップ2と回転モータ201を備えており、光ディスク3は回転モータ201によって回転可能な構成となっている。
【0053】
光ピックアップ2は、光を光ディスク3に照射してデジタル情報を記録および/または再生する役割を果たす。光ピックアップ2で検出された再生光は電流電圧(IV)変換された後、信号処理回路203に入力される。信号処理回路203によって再生信号やサーボ信号が生成され、コントローラ202に送られる。コントローラ202はサーボ信号に基づき、サーボ制御回路204やアクセス制御回路205、自動位置制御手段206を制御する。サーボ制御回路204は後述する光ピックアップ2の対物レンズやビームエキスパンダの位置制御などを、アクセス制御回路205はアクチュエータ2aにより光ピックアップ2の位置制御を、自動位置制御手段206は回転モータ201により光ディスク3の回転制御を行う。これにより光ディスク3の任意の位置に光スポット102sを位置づける。また、コントローラ202は再生か記録かによって、またディスクの種類によってレーザドライバ207を制御し、光ピックアップ2に含まれる半導体レーザを適当なパワー/波形で発光させる。また、後述の通り、記録時には光ピックアップ2の信号光102に多くの光量が必要となる一方、再生時は参照光の光量によって再生光の増幅率が決まるため、記録・再生時ともにサーボ制御回路204で回転アクチュエータ121aを制御し、λ/2板121の光軸周りの回転角度を適当に調整する。
【0054】
<信号光と参照光の生成>
光ピックアップ2上に搭載された波長405nmの青色半導体レーザ101から出射した光は、コリメートレンズ111によって平行光にされ、λ/2板121を透過し、偏光ビームスプリッタ131によって第1の光束102と第2の光束103に分離される。
【0055】
偏光ビームスプリッタ131で反射された垂直偏光の第1の光束102は、偏光性のビームスプリッタ136を透過し、λ/4板122を透過することによって円偏光に変換された後、1つないし複数の情報記録層を有する光ディスク3の基板厚の変化により発生する球面収差を補正するビームエキスパンダ115を透過し、NA0.85の対物レンズ112で集光され、光ディスク3に照射される。光ディスク3で反射された信号光は、対物レンズ112、ビームエキスパンダ115、λ/4板122を透過し、水平偏光となる。ビームスプリッタ136は垂直偏光を100%透過し、水平偏光の一部を反射、一部を透過するという性質を持つように設計されており、一部の信号光はビームスプリッタ136で反射され、残りは透過する。
【0056】
<信号光の検出>
ビームスプリッタ136で反射された一部の信号光102は、集光レンズ116で集光され、シリンドリカルレンズ117により非点収差を与えられて検出器13へと導かれる。検出器13の出力信号から信号処理回路203によってフォーカス誤差信号(FES)やトラッキング誤差信号(TES)のサーボ信号や、再生RF信号を出力する。該サーボ信号、かつ/または後述の検出光学系11、12の出力信号から信号処理回路203によって生成されるフォーカス誤差信号に基づきコントローラ202はサーボ制御回路204を介して、ビームエキスパンダ115の光軸方向の位置を変えるレンズアクチュエータ115aや、対物レンズ112の光軸方向や光ディスク半径方向の位置を変える対物レンズアクチュエータ112aを制御し、光ディスク3の任意の位置に光スポット102sを位置づける。
【0057】
<信号光、参照光の検出>
ビームスプリッタ136を透過した残りの信号光102は、前述の通り偏光ビームスプリッタ131を透過し、ビームスプリッタ132で第1の信号光102aと第2の信号光102bとに分離され、水平偏光の状態で検出光学系11と検出光学系12へ向かう。一方で、λ/2板121と偏光ビームスプリッタ131を透過した水平偏光の第2の光束103(以降、参照光と呼ぶ)は、前述の通りλ/2板123によって垂直偏光に変換された後、参照光反射手段141によって反射され、ビームスプリッタ135で第1の参照光103aと第2の参照光103bとに分離され、第1のレンズ113、第2のレンズ114によってそれぞれ所定のデフォーカスを付与された後、垂直偏光の状態で検出光学系11と検出光学系12へ向かう。第1の信号光102aと第1の参照光103aとは検出光学系11で、第2の信号光102bと第2の参照光103bとは検出光学系12で、互いに偏光方向が直行した状態で合成されている。そして具体的には後述するように、検出光学系11、12の出力信号から信号処理回路203によってフォーカス誤差信号(FES)のサーボ信号や、再生RF信号を出力する。
【0058】
以降、検出器13の出力信号から得られる、信号光102のみから生成される再生RF信号とフォーカス誤差信号を、後述する検出光学系11、12から得られる、信号光102と参照光103の干渉光から生成されるそれらと区別するため、検出器13から得られる信号をそれぞれRF1、FES1、検出光学系11、12から得られる信号をそれぞれRF2、FES2と記す。
【0059】
<参照光光路長調整手段141の制御>
ここで、コントローラ202はサーボ信号に基づきサーボ制御回路204で対物レンズアクチュエータ112aを制御すると同時に、参照光光路長調整手段141aを制御し、対物レンズ112の移動に伴う信号光の光路長の変化に合わせて、参照光光路長調整手段141aによって参照光反射手段141の位置を制御し、参照光103と信号光102との光路長の差が常に半導体レーザ101のコヒーレント長以下になるようにする。これにより、参照光と信号光は常にほぼ完全コヒーレントな状態が保たれる。または、コントローラ202は図9に示すように後述する再生RF信号RF2をモニタしながら信号光102と参照光103の干渉度が最大となるように参照光光路長調整手段141aを制御する。これにより、参照光による信号光の安定した増幅が得られる。
【0060】
<λ/2板121回転の別例>
本実施例では、偏光ビームスプリッタ131に入射する光束の偏光方向をλ/2板121の回転により制御しているが、例えば代わりに、電圧の印加によって光の偏光方向が切り替わる液晶素子板を用いて光束の偏光方向を制御してもよい。
【0061】
<第1の光束と第2の光束の別例>
本実施例ではビームスプリッタ131の反射光(垂直偏光)を第1の光束(信号光)として、透過光(水平偏光)を第2の光束(参照光)として用いているが、その逆でも構わない。この場合も、検出光学系11、12において信号光102と参照光103の偏光方向が直交するようにすればよい。
【0062】
<ビームエキスパンダ115の別例>
本実施例において球面収差補正機構として2枚組エキスパンダレンズの一部を動かす例を示しているが、これは例えばコリメートレンズ111をアクチュエータに搭載して動かしてもよい。また、電圧駆動の液晶可変位相変調素子を用いて波面を直接変調してもよい。
【0063】
<ビームスプリッタ136の別例>
ビームスプリッタ136は、垂直偏光を100%反射し、水平偏光の一部を反射、一部を透過するという性質を持っていてもよい。この時、λ/4板122、ビームエキスパンダ115、対物レンズ112、光ディスク3は、ビームスプリッタ136による垂直偏光の反射光路中に配置される。また、集光レンズ116、シリンドリカルレンズ117、検出器13は、光ディスク3によって反射された信号光102のビームスプリッタ136の透過光路中に配置される。
【0064】
<サーボ方式の別例>
本実施例では、光ディスク3で反射した信号光102からフォーカス誤差信号を取得するため、集光レンズ116で収束光とされた信号光にシリンドリカルレンズ117で非点収差を付与し、非点収差法を用いて検出器13でフォーカス誤差信号FES1を取得しているが、例えばスポットサイズ法、ナイフエッジ法などを用いても構わない。この場合にはシリンドリカルレンズ117は不要となる。また、トラッキング誤差信号の取得には、一般的な光ピックアップで用いられるプッシュプル法やDPD(Differential Phase Detection)法などを用いればよい。また、複数の受光部から成る検出器13で検出され、IV変換された各信号出力の和から、光ディスク強度信号RF1を得ることができる。
【0065】
[光ピックアップ検出光学系の構成]
図3は、光ピックアップ2の検出光学系11の光学系構成の一例を示したものである。検出光学系12についても構成と機能は同じであるので説明は割愛する。
【0066】
検出光学系11に入射した水平偏光の信号光102と垂直偏光の参照光103の合成光はレンズ301で集光され、ハーフミラーであるビームスプリッタ302によって2つに分割される。
【0067】
<合成光の検出>
ビームスプリッタ302を透過した合成光は、λ/2板303によって偏光方向を45度回転させられた後、偏光ビームスプリッタ305によって直交する直線偏光に分離され、第1の検出器307a(PD1)と第2の検出器307b(PD2)によって検出される。本実施例では検出器307a、307bはレンズ301による信号光102の焦点位置に配置される。2つの検出器PD1、PD2で検出される光の偏光成分P、Sと、信号光の偏光方向(Esig)と参照光の偏光方向(Eref)の関係を示したのが図4である。検出器PD1ではP偏光すなわちEsigとErefのP偏光方向の射影成分が検出され、検出器PD2ではS偏光すなわちEsigとErefのS偏光方向の射影成分が検出される。S偏光方向の射影成分では、この図の場合、Erefの符号が反転して見える。検出光学系11の検出器PD1、PD2で検出される信号を式で表すと、それぞれ次のようになる。
【0068】
【数1】

【0069】
【数2】

【0070】
ここで、絶対値の二乗になっているのは、検出されるのは光のエネルギーであるからである。ここでは簡単のためにEsigとErefは完全コヒーレンスであることを仮定している。
【0071】
<他方の合成光の検出>
ビームスプリッタ302で反射された合成光は、λ/4板304によって円偏光に変換される。この時信号光102と参照光103で元の偏光方向が90度異なるため、逆の回転方向の円偏光に変換される。これらの円偏光が、偏光ビームスプリッタ306によって直交する直線偏光に分離され、第3の検出器307c(PD3)と第4の検出器307d(PD4)によって検出される。本実施例では検出器307c、307dはレンズ301による信号光102の焦点位置に配置される。2つの検出器PD3、PD4で検出される光の偏光成分P、Sと、信号光の偏光方向(Esig)と参照光の偏光方向(Eref)の関係も同様に図4で表されるが、EsigとErefの間に90度の位相差がついているのが、PD1とPD2の例とは異なる。検出光学系11の検出器PD3、PD4で検出される信号を式で表すと、それぞれ次のようになる。
【0072】
【数3】

【0073】
【数4】

【0074】
式中のexp(±iπ/4)はλ/4板でEsig、Erefで±45度(90度の差)の位相差がつけられていることを表している。ビームスプリッタ302、偏光ビームスプリッタ305、306によって分割された信号光102と参照光103の位相差は、数(1)〜(4)に示すように、検出光学系11の4つの検出器PD1、PD2、PD3、PD4上でそれぞれ、0°、180°、90°、270°と互いに異なっている。
【0075】
<信号の差動検出>
このようにして、各々の検出器で検出される信号には、光ディスク3上の情報には無関係な成分|Eref|が含まれているため、検出光学系11の差動回路308a、308bでそれぞれPD1とPD2、PD3とPD4の出力の差動信号をとると、
【0076】
【数5】

【0077】
【数6】

【0078】
となり、信号光振幅強度と参照光振幅強度の積の形の信号が得られる。これは、参照光の強度を大きくすれば大きな信号出力を得られることを示している。即ち信号光の強度を増幅できることを示している。
【0079】
このようにして検出光学系11で生成された差動信号Sig11とSig12は、信号処理回路203に入力される。そして、後述のようにフォーカス誤差信号(FES)のサーボ信号や、再生RF信号が生成され、コントローラ202に送られる。
【0080】
<2組の2乗和信号生成>
ここで、数(5)及び数(6)にはsin、cosが付随しており、これは信号光と参照光との間の位相差を表している。ところが参照光と信号光は別の光路を通り、ディスクの回転に合わせてフォーカスサーボにより対物レンズ112が上下して追随するため、信号光の光路長は絶え間なく変化することになる。したがって、数(5)及び数(6)の位相項が確定せず、この方式で得られる信号は大きく変化してしまう。
【0081】
そこで、信号演算回路203により検出光学系11で生成された差動信号Sig11とSig12の二乗和の演算を行って信号Sig1を得ることとした。
【0082】
【数7】

【0083】
このように演算を行うことにより、信号光と参照光の位相が変化した場合でも、安定して確実に一定の信号を得ることができる。数(7)のように二乗加算の演算を行うことにより出力Sig1は信号光強度|Esig|に比例した信号が得られるため、再生RF信号は従来のCD、DVD、BDと同じ信号波形が得られる。またその増幅率は|Eref|であり、参照光強度を強くすることにより、増幅率を上げることができることがわかる。また、二乗和の後平方根を取って再生RF信号としても良い。平方根を取る演算を行うと、信号光強度の平方根に比例した出力となるため、再生RF信号は従来の光磁気ディスクと同じ信号波形となる。
【0084】
図1の検出光学系12においても検出光学系11と同様に、4つの検出器PD1A、PD2A、PD3A、PD4A(307A、B、C、D)の各出力から、差動回路によって数(5)のように2つの差動信号Sig21、Sig22を生成し、さらに数(7)のように二乗和演算
【0085】
【数8】

【0086】
によりSig2を得ることとする。
【0087】
<2組の信号Sig1、Sig2生成の別例>
本実施例に記載の効果を得るための光ピックアップ2の検出光学系11、12の検出器の数や、各検出器上での信号光と参照光の位相差は上記のとおりとは限らず、原理的には3つ以上の検出器で、各検出器上での信号光と参照光の位相差を互いに異なるように検出を行えばよい。例えば、図27に検出光学系11に3つの検出器を用い、信号光と参照光の位相差が各検出器上でそれぞれ0度、120度、240度となる場合の検出方法を示す。検出光学系12についても構成と機能は同じであるので説明は割愛する。
【0088】
検出光学系11に入射した水平偏光の信号光102と垂直偏光の参照光103の合成光はレンズ301で集光され、無偏光ビームスプリッタ2701、2702によって3つの光束に分離され、それぞれ45度偏光を透過する偏光子2703、2704、2705を通過した後に検出器2706、2707、2708によって検出される。この3つの光束のうち、一つには信号光と参照光の間に120度の位相差を発生させるような位相板2709が、もう一つには信号光と参照光の間に240度の位相差を発生させるような位相板2710がそれぞれ挿入されている。また、各検出器上での光量が等しくなるように、無偏光ビームスプリッタ2701は透過率と反射率の比が2対1に、無偏光ビームスプリッタ2702は透過率と反射率が等しくなるようなものを使用する。この時、各検出器上に入射する光の強度はそれぞれ次式のように表せる。
【0089】
【数9】

【0090】
これらの光の検出信号から、次式のように信号光と参照光の間の位相差に依存しない増幅信号Sig1を得ることができる。
【0091】
【数10】

【0092】
<2組の信号Sig1、Sig2生成の別例>
また、本実施例に記載の効果を得るためのSig1(またはSig2)の別の演算として、数(5)(6)の差動信号Sig11、Sig12に係数を乗算し、加算することによって信号出力を得てもよい。すなわち、数(11)によってSig1を得ることとした。係数α、βは数(12)の演算によって求める。Sig2も同様であるので説明は割愛する。
【0093】
【数11】

【0094】
【数12】

【0095】
ここで、上線は平均値を表す。すなわち2つの差動出力Sig11、Sig12を数10ナノ秒から数100マイクロ秒にわたって平均化し、その平均出力を用いて、数(12)により係数を求め、乗算器に設定し、数(11)の係数加算演算によって最終的な信号出力を得る。式(12)の分母はα+β=1となるように規格化するためであって、原理的には(雑音がなければ)分母は常に一定になるはずであり、式(12)の代わりに単純にSig11の平均値をα、Sig12の平均値をβとしても、ほぼ同様の効果が得られる。
【0096】
<2組の2乗和信号Sig1、Sig2からRF信号とFESを得る方法>
ここで、図1の検出光学系11に入射する第1の参照光103aは第1のレンズ113によってある所定のデフォーカス波面収差W20を付与されており、対物レンズ112で集光された信号光102が光ディスク3の情報記録層に合焦した時の第1の信号光102aに対して前側にデフォーカスしている。検出光学系11で検出される再生光は、第1の信号光102aと第1の参照光103aの干渉光であるので、再生光が最も増幅される、すなわち干渉の効果が最も強くなるのは、光ディスク3が回転モータ201によって回転されてディスクの面ぶれが起きている最中で、光ディスク3の前記情報記録層が信号光102の焦点位置からある量Δだけ光軸方向にずれて光ディスク3で反射された信号光102が第1の参照光103aと同様に前側にW20だけデフォーカスした時である。
【0097】
一方、図1の検出光学系12に入射する第2の参照光103bは第2のレンズ114によってある所定のデフォーカス波面収差−W20を付与されており、対物レンズ112で集光された信号光102が光ディスク3の情報記録層に合焦した時の第2の信号光102bに対して後ろ側にデフォーカスしている。検出光学系12で検出される再生光は、第2の信号光102bと第2の参照光103bの干渉光であるので、再生光が最も増幅される、すなわち干渉の効果が最も強くなるのは、光ディスク3が回転モータ201によって回転されてディスクの面ぶれが起きている最中で、光ディスク3の前記情報記録層が信号光102の焦点位置からある量−Δだけ光軸方向にずれて光ディスク3で反射された信号光102が第2の参照光103bと同様に後ろ側にW20だけデフォーカスした時である。
【0098】
このように、2つの検出光学系11、12において、再生光が最も増幅される対物レンズ112と光ディスク3の情報記録層の相対位置関係を、信号光102の前記情報記録層への合焦時に比べて同程度だけ前後にずらすことができる。そこで、この2つの信号の差分を取ることにより、すなわち
【0099】
【数13】

【0100】
により、フォーカス誤差信号を得ることとした。また、2つの信号の和を取る、すなわち
【0101】
【数14】

【0102】
により、参照光103によって増幅された信号光102の強度信号を得ることとした。信号光102と参照光103から再生RF信号RF2およびフォーカス誤差信号FES2を得るための検出光学系11(検出器307a、b、c、d)、12(検出器307A、B、C、D)を含む光学系および信号処理回路203で行われる信号演算方法のブロック図を図12に纏める。図12の1201は2乗演算回路、1202は加算回路、1203は差動回路を示す。
【0103】
<2組の2乗和信号Sig1、Sig2からRF信号とFESを得る実例>
図5は本発明による再生RF信号およびフォーカス誤差信号を計算機シミュレーションにより確認した結果である。シミュレーションではスカラー回折理論に基づき、光検出器上の光強度分布をフーリエ積分により求めた。計算条件は波長λ=405nm、対物レンズ開口数NA=0.85、検出系集光レンズNA0.085(復路倍率10倍)、検出器サイズは50μm角とし、光ディスクは基板厚0.1mmの単層BDを想定した。第1のレンズ113および第2のレンズ114で付与されるデフォーカス波面収差量W20は0.1λ(57.7mλrms)とし、図5(a)は2組の2乗和信号Sig1(実線)、Sig2(鎖線)、(b)はこれらの和信号から得られる数(14)に示す再生RF信号RF2(実線)、(c)はこれらの差信号から得られる数(13)に示すフォーカス誤差信号FES2の結果を示す。(a)(b)には参考のためにW20=0λの場合の結果も合わせて点線で示す。図5(a)に示すように、出力が最大となるデフォーカスがゼロの位置に対して、前後にずれた2つの信号Sig1、Sig2が生成できる。そして図5(b)に示すように、これらの和信号を取ることにより、デフォーカスがゼロ、すなわち、対物レンズ112で集光された信号光102が光ディスク3の情報記録層に合焦した時に最大となる再生RF信号が得られる。また図5(c)に示すように、これらの差信号を取ることにより、デフォーカスに対してS字の形をした、フォーカス誤差信号が得られる。
【0104】
図6にデフォーカス波面収差量W20と再生RF信号の増幅率(W20=0の時で正規化)およびフォーカス誤差信号の引込範囲の関係を示すシミュレーション結果を示す。これによると、デフォーカス波面収差量W20によってフォーカス誤差信号の引込範囲を制御することができる。一方で、デフォーカス波面収差量W20が大きいと再生信号の増幅率が低下し、フォーカス誤差信号のゼロ点付近での線形性が悪くなるため、本実施例では第1のレンズ113および第2のレンズ114で付与されるデフォーカス波面収差量W20は0.4λ以下であることが望ましい。
【0105】
図7に層間隔が5μmの2層ディスクに本発明を適用した時の(a)再生RF信号RF2および(b)フォーカス誤差信号FES2のシミュレーション結果を実線で示す。比較のため、光検出器13の出力から得られる再生RF信号RF1およびフォーカス誤差信号FES1のシミュレーション結果を合わせて点線で示す。RF1およびFES1の計算条件は波長λ=405nm、対物レンズ開口数をNA=0.85、有効光束径は3mm、検出系集光レンズ開口数をNA2=0.085(復路倍率10倍)、シリンドリカルレンズ117により付与される非点隔差は検出系において1mm、検出器は50μm角の4分割光検出器とし、光ディスクの基板厚は手前から0.095mm、0.1mmとした。2層ディスクの層間隔が5μmと従来の2層BDに比べて非常に狭いため、検出器13から得られる再生信号RF1は各層からの反射光が殆ど分離できておらず、フォーカス誤差信号FES1も記録層0μmの位置でゼロクロスしていない。一方で、検出光学系11、12から得られる再生信号RF2は各層からの反射光がきれいに分離しており、フォーカス誤差信号FES2も分離した2つのS字信号が得られている。したがって、参照光との干渉光を検出することにより、信号光のみの強度信号を検出するより、光ディスク3の面ぶれによる信号光のデフォーカスに対して非常に選択性の高い信号が得られ、結果として多層光ディスクの層間クロストークに強い再生RF信号およびフォーカス誤差信号が得られる。
【0106】
<前後デフォーカス量とSig1、Sig2からRF信号とFESを得る別例>
本実施例に記載の効果を得るための、第1のレンズ113により第1の参照光103aに付与されるデフォーカス波面収差Wと第2のレンズ114により第2の参照光103bに付与されるデフォーカス波面収差Wとは、上記のとおり異符号で絶対値が略同じであるとは限らず、原理的にはWとWの絶対値が異なってもよい。このとき、数(13)(14)に示すRF信号とフォーカス誤差信号の別の演算として、数(7)(8)の2乗和信号Sig1、Sig2に係数を乗算し、それぞれを加算または減算することによって信号出力を得てもよい。すなわち、数(15)(16)によってRF2、FES2を得ることとした。
【0107】
【数15】

【0108】
【数16】

【0109】
係数aとaは、対物レンズ112で集光される信号光102が光ディスク3の情報記録層に合焦した時に、RF2が略最大となるように設定する必要がある。そこで例えば係数aとaは数(17)の演算によって求める。
【0110】
【数17】

【0111】
ここで、上線は平均値を表す。すなわち2つの信号Sig1、Sig2を数10ナノ秒から数100マイクロ秒にわたって平均化し、その平均出力を用いて、数(17)により係数を求め、乗算器に設定し、数(15)の係数加算演算によって最終的な信号出力を得る。式(15)の係数a、aはa+a=1となるように規格化している。または、RF信号振幅は図6に示すようにデフォーカス波面収差W20に対してW20<0.2λの範囲でほぼ線形の関係にあるので、各波面収差の絶対値によって数(18)に示すように係数a、aを決定してもよい。
【0112】
【数18】

【0113】
例えば、図6に示すように、λ=405nm、対物レンズ開口数NA=0.85の光学系においてc=9.16である。
【0114】
係数bとbは、対物レンズ112で集光される信号光102が光ディスク3の情報記録層に合焦した時に、FES2=0、すなわちbSig1とbSig2とが等しくなるように設定する必要がある。そこで、例えば光情報記録再生装置1の初期調整時に、単層の光ディスク3に対して検出器13で生成されるフォーカス誤差信号FES1を用いてフォーカス制御を行い、FES2=0となるように係数bとbを求めればよい。式(16)の係数b、bはb+b=1となるように規格化している。
【0115】
<フォーカス誤差信号の切り替え>
本実施例では信号光102のみを検出する検出器13と、信号光102と参照光103の合成光を検出する検出光学系11、12の出力から各々フォーカス誤差信号FES1、FES2を生成することができる。FES2はFES1に比べて図7で示した通り層間クロストークの影響が小さいが、対物レンズ112の焦点位置から離れた層からのS字のフォーカス誤差信号が小さくなり、多層光ディスクの層数を数えたり、記録層の切り替え(層間ジャンプ)を行ったりするのには不向きである可能性がある。そこで、図8に示すように、例えば層数の少ない光ディスクを再生する時や、光ディスク3を光情報記録再生装置1にセットして層数をカウントするなど光情報記録再生装置1の初期調整を行う時、多層光ディスクの記録層切り替え(層間ジャンプ)を行う時など、記録層だけでなく記録層以外のS字のフォーカス誤差信号も必要な時はフォーカス誤差信号としてFES1を用い、層間クロストークの影響をできるだけ受けずに多層光ディスクの記録再生を行う時はフォーカス誤差信号としてFES2を用いるように、図1に示す光情報記録再生装置1のコントローラ202でフォーカス誤差信号を切り替えてもよい。コントローラ202からサーボ制御回路204を介して対物レンズアクチュエータ112aにFES1=0またはFES2=0となるようにフィードバック制御することで、対物レンズ112のフォーカス制御が可能となる。
【0116】
<検出光学系11、12の別例>
なお、図3に示す本実施例の光ピックアップ2の検出光学系では、ビームスプリッタ302の前にレンズ301を配置し、合成光を4つの検出器307a〜dに集光しているが、レンズ301の代わりにビームスプリッタ302と偏光ビームスプリッタ305および306との間に、または偏光ビームスプリッタ305と検出器307a、bおよび偏光ビームスプリッタ306と検出器307c、dとの間に別々のレンズを配置してもよい。
【0117】
<半導体レーザ101の別例>
半導体レーザ101に例えばDFBレーザなどのコヒーレンス長が数cm〜数mと非常に長いレーザを用いてもよい。この場合、コヒーレンス長がディスクの面ぶれによる信号光の光路長変化(〜数100μm)よりも十分長いため、参照光光路長調整手段141が不要となり、光情報記録再生装置1の構成が簡易となる。
【実施例2】
【0118】
実施例では、図1に示すように、第1の参照光103aと第2の参照光103bに対して、第1のレンズ113と第2のレンズ114によって符号の異なるデフォーカスを付与したが、本発明の別の実施形態として、図10に示すように、符号の異なるデフォーカスを付与するのは第1の信号光102aと第2の信号光102bでも構わない。図10の光ピックアップ2のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0119】
λ/2板121と透過し偏光ビームスプリッタ131を透過した参照光103は、前述の通りλ/2板123によって垂直偏光に変換された後、参照光反射手段141によって反射され、ビームスプリッタ135で第1の参照光103aと第2の参照光103bとに分離され、垂直偏光の状態で検出光学系11と検出光学系12へ向かう。一方、光ディスク3で反射され偏光ビームスプリッタ131を透過した信号光102は、ビームスプリッタ132で第1の信号光102aと第2の信号光102bとに分離され、第1のレンズ113、第2のレンズ114によってそれぞれ所定のデフォーカスを付与された後、水平偏光の状態で検出光学系11と検出光学系12へ向かう。第1の信号光102aと第1の参照光103aとは検出光学系11で、第2の信号光102bと第2の参照光103bとは検出光学系12で、互いに偏光方向が直行した状態で合成されている。検出光学系11、12の光学系構成は図3に示したものと同じであるが、本実施例では検出器307a、b、c、dはレンズ301による参照光103の焦点位置に配置される。これにより、実施例1と同様の発明の効果が得られる。
【実施例3】
【0120】
実施例1または2では、前記第1または第2の光束を前後にデフォーカスさせる手段として第1のレンズ113と第2のレンズ114を用いていたが、曲線回折格子を用いてもよい。曲線回折格子は、同心円状に配置され、そのピッチが周辺ほど細かくなる、いわゆるフレネルゾーンプレートを、中心をずらしてカットしたものであり、フレネルゾーンプレートの効果として回折光にレンズ作用を与えることができる。このレンズ作用は、+1次回折光と、−1次回折光とで方向が逆向きとなり、+1次回折光に凸レンズ作用を与えると、−1次回折光には凹レンズ作用が加わる。逆に、+1次回折光に凹レンズ作用を与えると、−1次回折光には凸レンズ作用が加わる。これにより、前記第1または第2の光束から前後逆向きに同じ量だけ焦点ずれのある光束を制御性よく形成することができる。
【0121】
図13に本実施例の光信号検出方法を実現する光ピックアップ2の光学系の概略図を示す。なお、図13の光ピックアップ2の構成および機能に関して、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。光ディスク3で反射した信号光102は、対物レンズ112、λ/4板122を透過し、水平偏光の状態で偏光ビームスプリッタ131を透過し、直線回折格子1302に入射する。直線回折格子1302に入射した信号光102は第1の信号光102aと第2の信号光102bに分割され、偏光ビームスプリッタ1303を透過して、それぞれ検出光学系11、12へと向かう。一方、λ/2板121と透過し偏光ビームスプリッタ131を透過した参照光103は、λ/2板123によって垂直偏光に変換された後、参照光反射手段141によって反射され、曲線回折格子1301に入射する。曲線回折格子1301に入射した参照光103は前述の通り+1次回折光の第1の参照光103aと−1次回折光の第2の参照光103bに分割され、偏光ビームスプリッタ1303で反射されて、それぞれ検出光学系11、12へと向かう。第1の参照光103aは曲線回折格子1301によって偏向されると同時にある所定のデフォーカス量が付与される。一方第2の参照光103bは曲線回折格子1301によって光軸から第1の参照光103aとは反対の方向に偏向されると同時に、第1の参照光103aとは符号の異なるデフォーカス量が付与される。検出光学系11、12の光学系構成は図3に示したものと同じであるが、本実施例では検出器307a、b、c、dはレンズ301による信号光102の焦点位置に配置される。これにより、検出光学系11、12に向かう信号光102、参照光103は図1および実施例1で説明した状態と同じになる。
【0122】
図14に曲線回折格子1301の一例を示す。ただし、簡単のため、実際よりもピッチを広く、曲線の曲率を大きく表示している。半導体レーザ101の波長をλ=405nm、対物レンズ112の開口数をNA=0.85、光束径をφ=3mm、検出光学系11、12のレンズ301の焦点距離をf2=17.647mm(復路倍率10倍)、検出光学系11、12の4つの検出器PD1〜4の光軸からのずれをΔ=0.1mmとすると、曲線回折格子1301および直線回折格子1302で参照光103および信号光102に付与される傾き波面収差W11は、回折格子による回折角をθとして
【0123】
【数19】

【0124】
の関係から、W11=20.99λである。曲線回折格子1301で参照光103に付与されるデフォーカス波面収差をW20=0.1λとすると、曲線回折格子1301は実際にはほぼ直線回折格子となる。なお、図14に示した例はW20=1λ、W11=5λとしたときの曲線回折格子1301のパターンである。
【0125】
このように本実施例の構成により、信号光と参照光の干渉光を検出する光学系を簡素化でき、小型な光ピックアップが実現できる。
【実施例4】
【0126】
実施例3では、図13に示すように、第1の参照光103aと第2の参照光103bに対して、曲線回折格子1301によって符号の異なるデフォーカスを付与したが、本発明の別の実施形態として、符号の異なるデフォーカスを付与するのは第1の信号光102aと第2の信号光102bでも構わない。本実施例では図28に示すように、偏光ビームスプリッタ131と偏光ビームスプリッタ1303の間の信号光光路中に曲線回折格子1301を、偏光ビームスプリッタ131と偏光ビームスプリッタ1303の間の参照光光路中に直線回折格子1302を配置すればよい。これにより、実施例3と同様の発明の効果が得られる。
【実施例5】
【0127】
実施例3または実施例4では、信号光と参照光を2つに分割する手段として、別々の回折格子、曲線回折格子1301と直線回折格子1302とを用いたが、図15に示すように偏光性回折格子1501を用いてもよい。偏光性回折格子1501は、実施例3に示すように、水平偏光の信号光102には曲線回折格子として、垂直偏光の参照光103には直線回折格子として作用するようにする。または、実施例4に示すように、水平偏光の信号光102には直線回折格子として、垂直偏光の参照光103には曲線回折格子として作用するようにする。これにより、実施例3または4に比べて光ピックアップ内の回折格子の数を減らすことができ、実施例3または4と同様の発明の効果が得られる。
【実施例6】
【0128】
実施例3または実施例4では、検出光学系11と検出光学系12は別の光学系を用いているが、共通の光学部品を用いてもよい。図16に本実施例の光信号検出方法を実現する光ピックアップ2の光学系の概略図を示す。なお、図16の光ピックアップ2の構成および機能に関して、既に説明した図1、図13に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0129】
信号光102は直線回折格子1302で第1の信号光102aと第2の信号光102bとに分割され、偏光ビームスプリッタ1303を透過し、レンズ301によって集光される。一方、参照光103は曲線回折格子1301で第1の参照光103aと第2の参照光103bとに分割され、偏光ビームスプリッタ1303で反射され、レンズ301によって集光される。
【0130】
第1の信号光102aと第2の参照光103aの合成光の一部は、ハーフミラーであるビームスプリッタ302を透過し、λ/2板303で偏光方向を回転され、偏光ビームスプリッタ305で分離されて、検出器307aと307bとで検出される。合成光の他方は、ビームスプリッタ302で反射され、λ/4板304で偏光方向を回転され、偏光ビームスプリッタ306で分離されて、検出器307cと307dで検出される。検出器307aと307b、307cと307dで差動検出すると、数(5)および数(6)で示した差動信号Sig11とSig12が得られる。さらにその2乗和を取ることにより、数(7)に示した2乗和信号Sig1が得られる。
【0131】
同様に、第2の信号光102bと第2の参照光103bの合成光の一部は、ハーフミラーであるビームスプリッタ302を透過し、λ/2板303で偏光方向を回転され、偏光ビームスプリッタ305で分離されて、検出器307Aと307Bとで検出される。合成光の他方は、ビームスプリッタ302で反射され、λ/4板304で偏光方向を回転され、偏光ビームスプリッタ306で分離されて、検出器307Cと307Dで検出される。検出器307Aと307B、307Cと307Dで差動検出し、さらにその2乗和を取ることにより、数(8)に示した2乗和信号Sig2が得られる。
【0132】
このように本実施例の構成により、信号光と参照光の干渉光を検出する光学系を簡素化でき、小型な光ピックアップが実現できる。
【実施例7】
【0133】
前記の実施例では、検出器出力間の差動演算を、単純な差動回路によって実現する例が示されているが、実際には検出器それぞれに電流電圧(IV)変換アンプが付随しており、IVアンプと一体となった検出器(OEIC)からの電気出力信号を用いるのが普通である。しかしながら、IV変換回路自体はノイズの発生源になる。これは、アンプに内蔵された帰還抵抗の熱雑音によるもので、熱雑音は抵抗値により一意的に決まる。したがって、本発明のように検出器の数を増やすことはアンプノイズの増大にもつながる。そこでアンプノイズの増大を抑える差動検出方法として、図11に記載の回路構成を用いる方法がある。この方法は検出器PD1、PD2を直結し、IVアンプ1101をPD1とPD2の接続点に接続したもので、2つの検出器に対して一つのアンプで差動信号を得ることができるため、原理的には3dBのノイズ低減が可能である。また、アンプ入力段で既に差動演算が終わっているため、DC成分がキャンセルされアンプの飽和の恐れがなく、高ゲインのIV変換を行うことが可能となる。すなわち、帰還抵抗1102を大きくすることが可能となる。熱雑音は帰還抵抗1102の平方根に比例し、出力は帰還抵抗1102に比例するため、出力/雑音比は帰還抵抗1102の平方根に比例して大きくなる。即ち、高いS/Nを得ることが可能になる。
【実施例8】
【0134】
図17は光情報記録再生装置1における光ピックアップ2の光学系構成の別の一例を示したものである。図1、図10、13、15に示す光ピックアップ2の検出光学系(図3)では、数(1)(2)(3)(4)に示す信号を別の光検出器で検出したが、これを1つにパッケージ化された検出器1705により受光し、信号演算回路203により信号演算を行うのでも良い。光ディスク3で反射された信号光102と参照光反射手段141で反射された参照光103は曲線回折格子1301、直線回折格子1302によって分割され、偏光ビームスプリッタ1303に入射し、第1の信号光102aと第1の参照光103a、および第2の信号光102bと第2の参照光103bとがそれぞれ合成される。各合成光は無偏光回折格子1706によって光軸に平行に戻された後、偏光位相変換分離素子1700に入射し、2つの光の干渉による位相差が異なる4つの光に分割されて、レンズ1704で集光され、各合成光に対して検出器1705上に設けられた4つのPD(307a、b、c、dおよび307A、B、C、D全部で8つ)でそれぞれ検出される。
【0135】
図18は、偏光位相変換分離素子1700の構造と機能を説明する図である。偏光位相変換分離素子1700は、無偏光回折格子1701と、角度選択性偏光変換素子1702と、偏光分離回折格子1703とからなる。図17ではこれらを一体化された状態で図示したが、ここでは説明の便宜上、離して示している。機能としては一体化されていても、分離されていても変わらない。2つの合成光に対する偏光位相変換分離素子1700の機能は同じであるので、第1の信号光102aと第1の参照光103aとの合成光を用いて偏光位相変換分離素子1700の機能を説明する。
【0136】
第1の信号光102aと第1の参照光103aとが無偏光回折格子1701に入射すると、偏光方向を問わずに2つの光はともに2つの異なる進行方向の光にそれぞれ分離する。これは無偏光回折格子1701をブレーズ化することにより容易に実現可能である。一方は直進する0次光、他方は所定の回折角で回折する1次回折光である。次に、これらの光は角度選択性偏光変換素子1702に入射する。ここで、直進する0次光には何ら位相差を生じないが、傾いて入射した1次回折光については信号光と参照光の間に90度の位相差が発生する。そのためには、光学軸1702aが角度選択性偏光変換素子1702の入射面に対して垂直な一軸異方性を持っており、無偏光回折格子1701の回折光の回折方向が第1の信号光102aの偏光方向または第1の参照光103aの偏光方向と一致していれば良い。この時、角度選択性偏光変換素子1702の厚さ、屈折率異方性量(垂直方向屈折率と面内屈折率の差)と1次回折光の入射角により、1次回折光の信号光成分、参照光成分の間の位相差を一意的に決めることができるのである。
【0137】
さらに、角度選択性偏光変換素子1702の出射光を、偏光分離回折格子1703に入射させる。偏光分離回折格子は、たとえば特許第3832243号に記載の素子を用いることができる。これは液晶や、ニオブ酸リチウム、水晶などの異方性材料によりブレーズ格子を形成することにより容易に実現できる。すなわち偏光方向により屈折率が異なる材質であるため、ある偏光方向とそれと直交する偏光方向とで格子によって加わる位相分布が逆転するように配置すればよいのである。これにより、1次回折光と−1次回折光が直交する偏光方向となるようにすることができる。あるいは、ウォラストンプリズムのような異方性光学結晶を張り合わせて作られる素子で代用してもよい。本実施形態で分離する偏光の方向は、信号光と参照光に対して45度の方向と、それに垂直な方向である。以上のようにして分離された4つの光における、信号光成分と参照光成分の干渉の位相差は、図中に示したように0°、90°、180°、270°とすることができる。
【0138】
また、曲線回折格子1301、直線回折格子1302、無偏光回折格子1706、1701、偏光分離回折格子1703のどれでも回折しない0次光が発生するような設計が可能である。そこで、検出器1705の中心である光軸付近に受光部1705oを設けてもよい。受光部に信号光かつ/または参照光を照射し、受光部1705oで検出された出力を用いて偏光位相変換分離素子1700や検出器1705の位置・傾き調整をしてもよい。
【0139】
このように本実施例の構成により、信号光と参照光の干渉光を検出する光学系を簡素化でき、小型な光ピックアップが実現できる。
【0140】
【特許文献2】特許第3832243号
【実施例9】
【0141】
前記の実施例では、光ディスク3で反射した信号光102と、参照光反射手段141で反射した参照光103の合成光を、第1の4つの検出器と第2の4つの検出器において、信号光と参照光の位相関係がほぼ90度ずつ異なる状態で検出したが、本実施例では、信号光と参照光の合成光を第1の4つの検出器と第2の4つの検出器と第3の4つの検出器で検出することとした。
【0142】
<3組の検出光学系構成(1組RF用、2組FES用)>
図19は本実施例の光ピックアップ2の光学系の一例を示す図である。なお、図19の光ピックアップ2の構成および機能に関して、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0143】
光ディスク3で反射した信号光102は対物レンズ112、λ/4板122を透過して水平偏光となり、偏光ビームスプリッタ131を透過し、ビームスプリッタ137で分割される。ビームスプリッタ137で反射した第3の信号光102cは、偏光ビームスプリッタ139を透過して検出光学系14へ向かう。一方、ビームスプリッタ137を透過した信号光102dは、ハーフミラーであるビームスプリッタ132で第1の信号光102aと第2の信号光102bとに分離され、検出光学系11と検出光学系12へ向かう。
【0144】
また、λ/2板121と偏光ビームスプリッタ131を透過した水平偏光の参照光103は、λ/2板123によって垂直偏光に変換された後、参照光反射手段141によって反射され、ビームスプリッタ138で分割される。ビームスプリッタ138で反射した第3の参照光103cは、偏光ビームスプリッタ139で反射され検出光学系14へ向かう。一方、ビームスプリッタ138を透過した参照光103dは、ハーフミラーであるビームスプリッタ135で第1の参照光103aと第2の参照光103bとに分離され、第1のレンズ113、第2のレンズ114によってそれぞれ所定のデフォーカスを付与された後、検出光学系11と検出光学系12へ向かう。
【0145】
<3組の2乗和信号Sig1、2、3得る方法、RF、FES演算>
第1の信号光102aと第1の参照光103aとは検出光学系11で、第2の信号光102bと第2の参照光103bとは検出光学系12で、第3の信号光102cと第3の参照光103cとは検出光学系14で、互いに偏光方向が直行した状態で合成されている。検出光学系11、12、14はそれぞれ例えば図3に示した構成で実現される。そして、検出光学系11、12の出力からそれぞれ2乗和信号Sig1、Sig2を生成し、これらの差信号から数(13)に示すようにフォーカス誤差信号FES2を得ることとした。一方、検出光学系14においても、4つの検出器PD1B、PD2B、PD3B、PD4Bの各出力から、差動回路によって数(5)のように2つの差動信号Sig31、Sig32を生成し、さらに数(7)のように二乗和演算
【0146】
【数20】

【0147】
によりSig3を得ることとする。そして、Sig3を再生RF信号RF2とすることとした。または、
【0148】
【数21】

【0149】
により、参照光103によって増幅された信号光102の再生RF信号を得ることとした。
【0150】
本実施例により、再生RF信号とフォーカス誤差信号を別の検出光学系の出力から独立に生成することができるため、参照光によって効率よく増幅された再生RF信号が得られると同時に、フォーカス誤差信号の引込範囲を再生信号の増幅率とは独立に設計することができる。
【0151】
<第3と第1、2の信号(参照)光分けるビームスプリッタ137(138)の別例>
ビームスプリッタ137による第3の信号光102cと残りの信号光102dとの分光比は任意であるが、再生RF信号振幅を多く得るため、第3の信号光102cの光量を信号光102dの光量に比べて多くすることが望ましい。また、ビームスプリッタ138による第3の参照光103cと残りの参照光103dとの分光比も任意である。
【0152】
<3組の検出光学系の別構成(曲線回折格子)>
図20は本実施例の光ピックアップ2の光学系の別の例を示す図である。なお、図20の光ピックアップ2の構成および機能に関して、既に説明した図1、図13に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0153】
図20に示す光ピックアップでは、第3の信号光102cと第1、第2の信号光102a、bを生成するのに、曲線回折格子1301を用いる。また、第3の参照光103cと第1、第2の参照光103a、bを生成するのに直線回折格子1302を用いる。具体的には、曲線回折格子1301の0次回折光を第3の信号光102c、±1次回折光を第1、第2の信号光102a、bとし、直線回折格子1302の0次回折光を第3の参照光103c、±1次回折光を第1、第2の参照光103a、bとする。曲線回折格子1301の±1次回折光には、前述の通り凸レンズ作用と凹レンズ作用が加わる。
【0154】
曲線回折格子、直線回折格子ともに、格子の溝深さによって0次光と±1次光の回折効率を自由に制御することができる。回折格子の屈折率をn、溝深さをd[λ]、溝幅のデューティ比をτとすると、0次光と±1次光の回折効率はそれぞれ
【0155】
【数22】

【0156】
【数23】

【0157】
で与えられる。例えばn=1.5、τ=0.5、d=0.3λとすると、η=79.4%、η±1=8.4%となる。
【0158】
第1、2の信号光102a、bと第1、2の参照光103a、bは、偏光ビームスプリッタ1303で合波され、それぞれ検出光学系11、12へ向かい、前述の通り、フォーカス誤差信号FES2を生成するのに用いられる。第3の信号光102cと第3の参照光103cは、偏光ビームスプリッタ1303で合波され、検出光学系14へ向かい、前述の通り再生RF信号を生成するのに用いられる。
【0159】
このような構成により、信号光と参照光の干渉光を検出する光学系を簡素化でき、小型な光ピックアップが実現できる。
【0160】
<3組の検出光学系の別構成(光学部品共通化)>
図21は本実施例の光ピックアップ2の光学系の別の例を示す図である。なお、図21の光ピックアップ2の構成および機能に関して、既に説明した図1、図16、図20に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0161】
図21に示す光ピックアップでは、図20と同様に、第3の信号光102cと第1、第2の信号光102a、bを生成するのに、曲線回折格子1301を用いる。また、第3の参照光103cと第1、第2の参照光103a、bを生成するのに直線回折格子1302を用いる。図20では検出光学系11、12、14は別の光学系を用いているが、図16と同様に、共通の光学部品を用いてもよい。第3の信号光102cと第3の参照光103cの合成光は検出器307e、f、g、hで、第1の信号光102aと第1の参照光103aの合成光は検出器307a、b、c、dで、第2の信号光102bと第2の参照光103bの合成光は検出器307A、B、C、Dで検出される。
【0162】
このような構成により、信号光と参照光の干渉光を検出する光学系を簡素化でき、小型な光ピックアップが実現できる。
【0163】
<3組の検出光学系の別構成(光学系集積化)>
図22は本実施例の光ピックアップ2の光学系の別の例を示す図である。なお、図22の光ピックアップ2の構成および機能に関して、既に説明した図1、図17に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0164】
図22に示す光ピックアップ2では、図20と同様に、第3の信号光102cと第1、第2の信号光102a、bを生成するのに、曲線回折格子1301を用いる。また、第3の参照光103cと第1、第2の参照光103a、bを生成するのに直線回折格子1302を用いる。また、数(1)(2)(3)(4)に示す信号を1つにパッケージ化された検出器1705により受光し、信号演算回路203により信号演算を行う。
【0165】
光ディスク3で反射された信号光102と参照光反射手段141で反射された参照光103はそれぞれ曲線回折格子1301、直線回折格子1302によって分割され、偏光ビームスプリッタ1303に入射し、第1の信号光102aと第1の参照光103a、および第2の信号光102bと第2の参照光103b、および第3の信号光102cと第3の参照光103cとがそれぞれ合成され、無偏光回折格子1706に入射する。ここで、各合成光は無偏光回折格子2203上で重ならないようにするため、予めビームエキスパンダ2201、2202によってビーム径が小径化されている。そして、無偏光回折格子2203は、第1の信号光102aと第1の参照光103aの合成光、および第2の信号光102bと第2の参照光103bの合成光が透過する領域にのみ格子パターンが形成され、第3の信号光102cと第3の参照光103cの合成光が透過する光軸近傍の領域には格子パターンが形成されていないこととする。これにより、第1の信号光102aと第1の参照光103aの合成光、および第2の信号光102bと第2の参照光103bの合成光は無偏光回折格子2203によって光軸に平行に戻される。また、第3の信号光102cと第3の参照光103cの合成光は光軸に平行のまま無偏光回折格子2203を透過する。各合成光は偏光位相変換分離素子1700に入射し、2つの光の干渉による位相差が異なる4つの光に分割されて、レンズ1704で集光され、各合成光に対して検出器1705上に設けられた4つのPD(307a、b、c、dおよび307A、B、C、Dおよび307e、f、g、h全部で12)でそれぞれ検出される。
【0166】
図23は、偏光位相変換分離素子1700の構造と機能を説明する図である。図18に示した偏光位相変換分離素子1700の構造や機能と同じであるが、本構成では、第3の信号光102cと第3の参照光103cの合成光に対しても、偏光位相変換分離を行う。以上のようにして3つの各合成光に対して分離された4つの光における、信号光成分と参照光成分の干渉の位相差は、図中に示したように0°、90°、180°、270°とすることができる。
【0167】
このような構成により、信号光と参照光の干渉光を検出する光学系を簡素化でき、小型な光ピックアップが実現できる。
【実施例10】
【0168】
実施例9では、第1の参照光103aと第2の参照光103bに対して、符号の異なるデフォーカスを付与したが、本発明の別の実施形態として、符号の異なるデフォーカスを付与するのは第1の信号光102aと第2の信号光102bでも構わない。例えば図19に示す光ピックアップ2では、第1のレンズ113によって第1の参照光103aを前に、第2のレンズ114によって第2の参照光103bを後ろにデフォーカスさせたのに対し、例えば図29に示すように、第1のレンズ113によって第1の信号光102aを前に、第2のレンズ114によって第2の信号光102bを後ろにデフォーカスさせてもよい。または、図20、図21、図22に示す光ピックアップ2では、図14に示す曲線回折格子1301によって参照光103を前後にデフォーカスさせ、直線回折格子1302によって信号光102にはデフォーカスを付与しないのに対し、例えば曲線回折格子1301を信号光102の光路中に配置し、直線回折格子1302を参照光103の光路中に配置し、曲線回折格子1301によって信号光102を前後にデフォーカスさせ、直線回折格子1302によって参照光103にはデフォーカスを付与しないのでも構わない。これにより、実施例9と同様の発明の効果が得られる。
【実施例11】
【0169】
本実施例では、信号光と参照光を第1の4つの検出器と第2の4つの検出器で検出することとし、第1の4つの検出器から再生RF信号RF2を、第2の4つの検出器からフォーカス誤差信号FES2を生成することとした。
【0170】
<2組の検出光学系構成(1組RF用、1組FES用)>
図24は本実施例の光ピックアップ2の光学系の一例を示す図である。なお、図24の光ピックアップ2の構成および機能に関して、既に説明した図1、図19に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0171】
光ディスク3で反射した信号光102は対物レンズ112、λ/4板122を透過して水平偏光となり、偏光ビームスプリッタ131を透過し、ビームスプリッタ137で第1の信号光102aと第2の信号光102bとに分離され、それぞれ検出光学系14と検出光学系12へ向かう。
【0172】
また、λ/2板121と偏光ビームスプリッタ131を透過した水平偏光の参照光103は、λ/2板123によって垂直偏光に変換された後、参照光反射手段141によって反射され、ビームスプリッタ138で第1の参照光103aと第2の参照光103bとに分離される。ビームスプリッタ138で反射された第1の参照光103aは、偏光ビームスプリッタ133で反射され、検出光学系14へ向かう。ビームスプリッタ138を透過した第2の参照光103bは、液晶素子118を透過して偏光ビームスプリッタ134で反射され、検出光学系12へ向かう。
【0173】
<2組の2乗和信号Sig2、3得る方法、RF、FES演算>
第1の信号光102aと第1の参照光103aとは検出光学系14で、第2の信号光102bと第2の参照光103bとは検出光学系12で、互いに偏光方向が直行した状態で合成されている。検出光学系12、14はそれぞれ例えば図3に示した構成で実現される。そして、検出光学系14の出力から数(20)のように2乗和信号Sig3を生成し、これを再生RF信号RF2とすることとした。また、検出光学系12の出力から数(8)にように2乗和信号Sig2を生成し、フォーカス誤差信号FES2を次のように生成することとした。
【0174】
ビームスプリッタ138を透過した第2の参照光103bは液晶素子118に入射する。液晶素子118は、印加される電圧に応じて入射する光束にある所定のデフォーカス波面収差を付与する機能を有している。そこで、コントローラ202はサーボ制御回路204を介して液晶素子118に印加する電圧を制御する。例えば、液晶素子118に矩形波、正弦波、または鋸波状の電圧を印加する。これにより、液晶素子118に印加される電圧が時刻tで+V、または時刻t+Δtで−Vとなり、入射光束に付与されるデフォーカス波面収差が+W20または−W20となる。この変調に同期してコントローラ202は検出光学系12の出力から2乗和信号Sig2(t)、Sig2(t+Δt)を生成し、
【0175】
【数24】

【0176】
として、フォーカス誤差信号を得ることとした。
【0177】
本実施例により、再生RF信号とフォーカス誤差信号を別の検出光学系の出力から独立に生成することができるため、参照光によって効率よく増幅された再生RF信号が得られると同時に、フォーカス誤差信号の引込範囲を再生信号の増幅率とは独立に設計することができる。
【0178】
<2組の検出光学系の別構成(液晶→レンズの抜差し)>
図24に示す光ピックアップでは前後のデフォーカス波面収差±W20を付与するのに液晶素子を用いたが、例えば図25に示すようにレンズの抜差しによって実現してもよい。
【0179】
ビームスプリッタ138を透過した第2の参照光103bは、第1のレンズ119a、第2のレンズ119bを透過し、偏光ビームスプリッタ134で反射され、検出光学系12へ向かう。コントローラ202はアクチュエータ119cによって第2のレンズ119bを抜差しするのと同期して、数(24)に示す検出光学系12の出力から生成される2乗和信号Sig2の時間差動信号からフォーカス誤差信号FES2を生成する。また、第1のレンズ119aは正のパワーφを有し、第2のレンズ119bが挿入されている時、第1のレンズ119aと第2のレンズ119bの合成パワーは−φとなるようにした(レンズ間隔が0の時は、第2のレンズ119bのパワーは−2φとすればよい)。
【0180】
<2組の検出光学系の別構成(液晶→レンズ収束、反射ミラーの前後駆動)>
また、本実施例の前後のデフォーカス波面収差±W20を付与する手段は、例えば図26に示すように参照光を反射ミラーに集光し、該反射ミラーの前後駆動することによって実現してもよい。
【0181】
ビームスプリッタ138を透過した第2の参照光103bは、λ/2板124によって水平偏光とされ、偏光ビームスプリッタ134を透過する。さらにλ/4板125によって円偏光とされた後、レンズ120によって反射手段142に集光される。反射手段142によって反射された第2の参照光103bはレンズ120によって再び平行光とされた後、λ/4板125によって垂直偏光とされ、偏光ビームスプリッタ134で反射され、検出光学系12へ向かう。コントローラ202はアクチュエータ142aによって反射手段142を第2の参照光103bのレンズ120による焦点付近で光軸方向に駆動させるのと同期して、数(24)に示す検出光学系12の出力から生成される2乗和信号Sig2の時間差動信号からフォーカス誤差信号FES2を生成する。ここで、アクチュエータ142aは、第2の参照光103bに付与されるデフォーカス波面収差が+W20または−W20となるように反射手段142を光軸方向に駆動した。
【0182】
<第3と第1、2の信号(参照)光分けるビームスプリッタ137(138)の別例>
本実施例において、ビームスプリッタ137による第1の信号光102aと第2の信号光102bとの分光比は任意であるが、再生RF信号振幅を多く得るため、第1の信号光102aの光量を第2の信号光102bの光量に比べて多くすることが望ましい。また、ビームスプリッタ138による第1の参照光103aと第2の参照光103bとの分光比も任意である。
【実施例12】
【0183】
実施例11では、第2の参照光103bに対して、前後のデフォーカスを付与したが、本発明の別の実施形態として、前後のデフォーカスを付与するのは第2の信号光102bでも構わない。例えば図24に示す光ピックアップ2では、液晶素子118によって第2の参照光103bを前後にデフォーカスさせたのに対し、図30に示すように、液晶素子118によって第2の信号光102bを前後にデフォーカスさせてもよい。また、図25に示す光ピックアップ2では第2の参照光103bを第1のレンズ119a、第2のレンズ119bを透過させ、第2のレンズ119bをアクチュエータ119cで抜差しすることによって第2の参照光103bを前後にデフォーカスさせたのに対し、図31に示すように、第2の信号光102bを第1のレンズ119a、第2のレンズ119bを透過させ、第2のレンズ119bをアクチュエータ119cで抜差しすることによって第2の信号光102bを前後にデフォーカスさせてもよい。また、図26に示す光ピックアップ2では、第2の参照光103bをレンズ120で反射手段142に集光し、該反射手段142をアクチュエータ142aでレンズ120の焦点近傍で光軸方向に駆動させることによって第2の参照光103bを前後にデフォーカスさせたのに対し、図32に示すように、第2の信号光102bをレンズ120で反射手段142に集光し、該反射手段142をアクチュエータ142aでレンズ120の焦点近傍で光軸方向に駆動させることによって第2の信号光102bを前後にデフォーカスさせてもよい。図32に示す光ピックアップ2では、ビームスプリッタ138を透過した第2の参照光103bはλ/2板によって垂直偏光から水平偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ134を透過し、検出光学系12へ向かう。ビームスプリッタ137を透過した水平偏光の第2の信号光102bは、偏光ビームスプリッタ134を透過する。さらにλ/4板125によって円偏光とされた後、レンズ120によって反射手段142に集光される。反射手段142によって反射された第2の信号光102bはレンズ120によって再び平行光とされた後、λ/4板125によって垂直偏光とされ、偏光ビームスプリッタ134で反射され、検出光学系12へ向かう。コントローラ202はアクチュエータ142aによって反射手段142を第2の信号光102bのレンズ120による焦点付近で光軸方向に駆動させるのと同期して、数(24)に示す検出光学系12の出力から生成される2乗和信号Sig2の時間差動信号からフォーカス誤差信号FES2を生成する。ここで、アクチュエータ142aは、第2の信号光102bに付与されるデフォーカス波面収差が+W20または−W20となるように反射手段142を光軸方向に駆動した。
【0184】
これにより、実施例11と同様の発明の効果が得られる。
【符号の説明】
【0185】
1…光情報記録再生装置、
2…光ピックアップ、2a…アクチュエータ、
3…光ディスク、
11、12、14…検出光学系、13…検出器、
101…半導体レーザ、
102…第1の光束(信号光)、
102a…第1の信号光、102b…第2の信号光、102s…光スポット、
103…第2の光束(参照光)、
103a…第1の参照光、103b…第2の参照光、
102c…第3の信号光、102d…信号光、
103c…第3の参照光、103d…参照光、
111…コリメートレンズ、
112…対物レンズ、112a…対物レンズアクチュエータ、
113…第1のレンズ、114…第2のレンズ、
115…ビームエキスパンダ、115a…レンズアクチュエータ、
116…集光レンズ、117…シリンドリカルレンズ、
118…液晶素子、
119a…第1のレンズ、119b…第2のレンズ、119c…アクチュエータ、
120…集光レンズ、
121…λ/2板、122…λ/4板、123…λ/2板、
121a…回転アクチュエータ、
124…λ/2板、125…λ/4板、
131、133、134、136、139…偏光ビームスプリッタ、
132、135…ビームスプリッタ、
137、138…ビームスプリッタ、
141…参照光反射手段、141a…参照光光路長調整手段、
142…反射手段、142a…アクチュエータ、
201…回転モータ、202…コントローラ、203…信号処理回路、
204…サーボ制御回路、205…アクセス制御回路、206…自動位置制御手段、
207…レーザドライバ、
301…レンズ、302…ビームスプリッタ、
303…λ/2板、304…λ/4板、305、306…偏光ビームスプリッタ、
307a、b、c、d、A、B、C、D、e、f、g、h…検出器、
308a、b…差動回路、
1101…IVアンプ、1102…帰還抵抗、
1201…2乗演算回路、1202…加算回路、1203…差動回路、
1301…曲線回折格子、1302…直線回折格子、1303…偏光ビームスプリッタ、
1501…偏光性回折格子、
1700…偏光位相変換分離素子、1701、1706…無偏光回折格子、
1702…角度選択性偏光変換素子、1702a…光学軸、
1703…偏光分離回折格子、
1704…レンズ、1705…検出器、1705o…受光部、
2201、2202…ビームエキスパンダ、2203…無偏光回折格子、
2701、2702…無偏光ビームスプリッタ、2703、2704、2705…偏光子、
2706、2707、2708…検出器、2709、2710…位相板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射した光束を、信号光としての第1の光束と、光情報記録媒体には集光しない参照光としての第2の光束とに分割する分割手段と、
前記信号光と前記参照光の干渉光を検出する検出器と、
前記検出器上で、前記信号光と前記参照光の間の位相関係が互いに異なる状態で光学的に干渉させる手段と、
前記第1または前記第2の光束を、前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた他方の光束に対して前後にデフォーカスさせる手段と、
前記前後にデフォーカスさせた干渉光の差信号から、フォーカス誤差信号を求める手段と、
を有することを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
前記検出器は、第1の検出器と第2の検出器を有し、
前記第1の検出器では、前記第1の光束と、前側にデフォーカスさせた前記第2の光束の干渉光を検出し、
前記第2の検出器では、前記第1の光束と、後側にデフォーカスさせた前記第2の光束の干渉光を検出するものであり、
前記第1の検出器で検出した信号と、前記第2の検出器で検出した信号との和信号から、RF信号を求める手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項3】
前記検出器は、第1の検出器と第2の検出器を有し、
前記第1の検出器では、前記第2の光束と、前側にデフォーカスさせた前記第1の光束の干渉光を検出し、
前記第2の検出器では、前記第2の光束と、後側にデフォーカスさせた前記第1の光束の干渉光を検出するものであり、
前記第1の検出器で検出した信号と、前記第2の検出器で検出した信号との和信号から、RF信号を求める手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項4】
前記検出器は、第1の検出器と第2の検出器と第3の検出器を有し、
前記第2の光束は、前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた前記第1の光束に対して前後にデフォーカスされた光束と、デフォーカスされていない光束であって、
前記第1の光束と、前記デフォーカスされていない第2の光束との干渉光を、前記第3の検出器で検出して、RF信号を得る手段と、
前記第1の光束と、前記前側にデフォーカスされた第2の光束との干渉光を、前記第1の検出器で検出し、
前記第1の光束と、前記後側にデフォーカスされた第2の光束との干渉光を、前記第2の検出器で検出し、
前記第1の検出器で検出した信号と、前記第2の検出器で検出した信号との差信号から、フォーカス誤差信号を求める
ことを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記検出器は、第1の検出器と第2の検出器と第3の検出器を有し、
前記第1の光束は、前記第1、第2および第3の検出器に焦点を合わせた前記第2の光束に対して前後にデフォーカスされた光束と、デフォーカスされていない光束であって、
前記第2の光束と、前記デフォーカスされていない第1の光束との干渉光を、前記第3の検出器で検出して、RF信号を得る手段と、
前記第2の光束と、前記前側にデフォーカスされた第1の光束との干渉光を、前記第1の検出器で検出し、
前記第2の光束と、前記後側にデフォーカスされた第1の光束との干渉光を、前記第2の検出器で検出し、
前記第1の検出器で検出した信号と、前記第2の検出器で検出した信号との差信号から、フォーカス誤差信号を求める
ことを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項6】
前記検出器は、第1の検出器と第2の検出器を有し、
前記第1の光束の信号光は第1の信号光と第2の信号光とに分割され、
前記第2の光束の参照光は第1の参照光と第2の参照光とに分割され、
前記第1の信号光と前記第1の参照光との干渉光を前記第1の検出器で検出して、RF信号を得、
前記第2の信号光と前記第2の参照光との干渉光を前記第2の検出器で検出し、
前記デフォーカスさせる手段は、前記第2の参照光の光路中に設けられ、前記デフォーカス手段は、前記第2の参照光を時刻t及びt+Δtにおいて前記光情報記録媒体の所定の層に焦点を合わせた前記第2の信号光に対して前及び後にデフォーカスさせ、時刻tにおける前記第2の検出器の出力Sig2(t)と、時刻t+Δtにおける前記第2の検出器の出力Sig2(t+Δt)の差から前記フォーカス誤差信号を得る
ことを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項7】
前記検出器は、第1の検出器と第2の検出器を有し、
前記第1の光束の信号光は第1の信号光と第2の信号光とに分割され、
前記第2の光束の参照光は第1の参照光と第2の参照光とに分割され、
前記第1の信号光と前記第1の参照光との干渉光を前記第1の検出器で検出して、RF信号を得、
前記第2の信号光と前記第2の参照光との干渉光を前記第2の検出器で検出し、
前記デフォーカスさせる手段は、前記第2の信号光の光路中に設けられ、前記デフォーカス手段は、前記第2の信号光を時刻t及びt+Δtにおいて前記第2の検出器に焦点を合わせた前記第2の参照光に対して前及び後にデフォーカスさせ、時刻tにおける前記第2の検出器の出力Sig2(t)と、時刻t+Δtにおける前記第2の検出器の出力Sig2(t+Δt)の差から前記フォーカス誤差信号を得る
ことを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項8】
前記検出器は、第1の検出器と第2の検出器を有し、
前記第1検出器は、4つの検出器を有しており、
前記第1の光束の信号光と前記第2の光束の参照光の間の位相関係は、前記第1の検出器における前記4つの検出器上で互いにほぼ90度ずつ異なっており、
前記第1の検出器において、位相がほぼ180度異なる検出器の対で前記干渉光をそれぞれ差動検出して、Sig11,Sig12を得、
前記第2検出器は、4つの検出器を有しており、
前記第1の光束の信号光と前記第2の光束の参照光の間の位相関係は、前記第2検出器における前記4つの検出器上で互いにほぼ90度ずつ異なっており、
前記第2の検出器において、位相がほぼ180度異なる検出器の対で前記干渉光をそれぞれ差動検出して、Sig21,Sig22を得、
前記Sig11,Sig12,Sig21,Sig22に基づいて、前記フォーカス誤差信号を求めることを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項9】
更に、前記検出器は、第3の検出器を有し、
前記第3検出器は、4つの検出器を有しており、
前記第1の光束の信号光と前記第2の光束の参照光の間の位相関係は、前記第3の検出器における前記4つの検出器上で互いにほぼ90度ずつ異なっており、
前記第3の検出器において、位相がほぼ180度異なる検出器の対で前記干渉光をそれぞれ差動検出して、Sig31,Sig32を得、
前記Sig31,Sig32に基づいて、RF信号を求めることを特徴とする請求項8記載の情報再生装置。
【請求項10】
前記それぞれの差動検出は、電流差動型の差動検出器によって検出することを特徴とする請求項8記載の情報再生装置。
【請求項11】
前記Sig11、Sig12のそれぞれの2乗を加算して和信号Sig1を得、
前記Sig21、Sig22のそれぞれの2乗を加算して和信号Sig2を得、
前記Sig1と前記Sig2の差信号から、前記フォーカス誤差信号を得ることを特徴とする請求項8記載の情報再生装置。
【請求項12】
前記デフォーカスさせる手段は、曲線回折格子であることを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項13】
前記デフォーカスさせる手段によって、前記第1または第2の光束に付与する前後のデフォーカス波面収差は、その符号が異なり、絶対値が略等しいことを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項14】
前記信号光と前記参照光との間の光学的位相差を調整する手段が、前記参照光の光路中に設けられていることを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
【請求項15】
光源と、
前記光源から出射された光束を分割する第1の光分岐素子と、
前記光源から出射され、前記第1の光分岐素子によって分割された光束の一方を光情報記録媒体に集光する集光光学系と、
前記集光光学系において集光される光の焦点位置を可変にする可変焦点機構と、
前記光情報記録媒体に集光して反射した信号光を検出する第1の検出器と、
前記光情報記録媒体に集光して反射した信号光と、前記分割された光束の他方から得られる参照光とを光学的に干渉させる干渉光学系と、
前記干渉光学系における干渉光を複数に分割する分割光学系と、
前記分割光学系において分割された複数の干渉光を、位相関係が互いに異なる状態で、それぞれ検出する第2の複数の検出器と、
前記第1の検出器によって検出された信号光から得られる焦点ずれ信号と、前記第2の複数の検出器によって検出された干渉光から得られる焦点ずれ信号と、を切り替える手段とを有し、
前記切り替える手段によって切り替えて、前記可変焦点機構を制御することを特徴とする光情報再生装置。

【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−114705(P2013−114705A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258428(P2011−258428)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】