説明

光情報記録再生装置、光情報再生装置、光情報記録再生方法および光情報再生方法

【課題】角度多重方式のホログラフィを利用した記録または再生における制御速度を向上させる。
【解決手段】光情報記録媒体に入射する参照光を角度多重方向と垂直な方向に制御する角度制御素子と、前記参照光により再生された再生像を検出する光検出器と、前期参照光と前記光情報記録媒体との位置関係を制御する位置制御回路と、を備え、前記角度制御素子により前記参照光の角度多重方向と垂直な方向の角度をページデータの再生に適正な角度からずらした状態で前記参照光を前記光情報記録媒体に照射し、前記光情報記録媒体からの再生光の光量を前記光検出器により検出し、検出した光量の情報を基に前記参照光が照射された位置におけるホログラムの有無を検出することを特徴とする光情報再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを用いて、記録媒体から情報を記録または再生する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いた、Blu−ray Disc(TM)規格により、民生用においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disk Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0003】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、短波長化と対物レンズ高NA化による高密度化技術とは異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0004】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0005】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光を、記録媒体の内部で参照光と重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録媒体に記録する技術である。
【0006】
情報の再生時には、記録時に用いた参照光を記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0007】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録技術は、1つのホログラムによって2次元的な情報を一気に光記録媒体に記録し、さらにこの情報を再生することを可能とするものであり、そして、記録媒体のある場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生を果たすことができる。
【0008】
ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報にはホログラムを多重して記録する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、角度多重方式のホログラフィを利用した再生装置においては、少なくとも一部が記録された光情報記録媒体を再生する場合に、光情報記録媒体の所定の箇所にホログラムが記録されているかどうかを判別するための有効な手段が無いという課題があった。
【0011】
そこで本発明は、ホログラフィを利用した記録または再生における制御速度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、その一例として角度多重方向と垂直な方向に参照光を照射することで達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホログラフィを利用した記録または再生における制御速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】記録済みの領域と未記録の領域との境界を判別するフローを示す図
【図2】光情報記録再生装置の実施例を表す概略図
【図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図4】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図5】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図6】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す概略図
【図7】光情報記録再生装置内の信号生成回路の実施例を表す概略図
【図8】光情報記録再生装置内の信号処理回路の実施例を表す概略図
【図9】信号生成回路及び信号処理回路の動作フローの実施例を表す概略図
【図10】反射層を有する光情報記録媒体の層構造の実施例を示す概略図
【図11】多重記録した箇所での参照光の角度ずれの有無と再生像との関係を示す図
【図12】多重方向と垂直な方向の角度ずれの有無と再生光量走査時の光量との関係を示す図で
【図13】記録済みおよび未記録の領域の箇所と走査時に検出される光量との関係を示した図
【図14】目標とするアドレス位置へ再生光量の情報を基に位置づけを行うフローを示す図
【図15】角度多重方向と角度多重と垂直な方向を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施例を添付図面にしたがって説明する。図2はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
【0017】
光情報記録再生装置10は、入出力制御回路90を介して外部制御装置91と接続されている。記録する場合には、光情報記録再生装置10は外部制御装置91から記録する情報信号を入出力制御回路90により受信する。再生する場合には、光情報記録再生装置10は再生した情報信号を入出力制御回路90により外部制御装置91に送信する。
【0018】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、再生用参照光光学系12、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0019】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0020】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光を記録時とは逆の向きに光情報記録媒体に入射させる光波を再生用参照光光学系12にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0021】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0022】
キュア光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。
【0023】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0024】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0025】
また、ピックアップ11、そして、ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0026】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0027】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
【0028】
また、ピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0029】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源301を出射した光ビームはコリメートレンズ302を透過し、シャッタ303に入射する。シャッタ303が開いている時は、光ビームはシャッタ303を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子304によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム305に入射する。
【0030】
PBSプリズム305を透過した光ビームは、信号光306として働き、ビームエキスパンダ308によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク309、リレーレンズ310、PBSプリズム311を透過して空間光変調器312に入射する。
【0031】
空間光変調器312によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム311を反射し、リレーレンズ313ならびに空間フィルタ314を伝播する。その後、信号光は対物レンズ315によって光情報記録媒体1に集光する。
【0032】
一方、PBSプリズム305を反射した光ビームは参照光307として働き、偏光方向変換素子316によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー317ならびにミラー318を経由し、角度制御素子326を透過してガルバノミラー319に入射する。ガルバノミラー319はアクチュエータ320によって角度を調整可能のため、レンズ321とレンズ322を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0033】
角度制御素子326はガルバノミラー319で制御する角度多重方向と垂直な方向に角度を制御可能な素子であり、例えば液晶素子により構成することができる。ただし、ガルバノミラーやデフォーマブルミラー等を用いて制御しても構わないし、再生用参照光光学系12の中に同様の機構を持たせても構わない。図15に制御する角度について示す。図15は光情報記録媒体中で信号光と参照光が重なり合う様子を示しており、参照光と信号光とで構成される面内で参照光の角度をガルバノミラー319で制御することにより角度多重を行う。この角度多重方向に対して垂直な方向の角度を角度制御素子326で制御する。
【0034】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー319によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0035】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0036】
図4は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能なガルバノミラー324にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。
【0037】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ315、リレーレンズ313ならびに空間フィルタ314を伝播する。その後、再生光はPBSプリズム311を透過して光検出器325に入射し、記録した信号を再生することができる。光検出器325としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
【0038】
図9は、記録、再生時のデータ処理フローを示したものであり、図9(a)は、入出力制御回路90において記録データ受信611後、空間光変調器312上の2次元データに変換するまでの信号生成回路86での記録データ処理フローを示しており、図9(b)は光検出器325で2次元データを検出後、入出力制御回路90における再生データ送信624までの信号処理回路85での再生データ処理フローを示している。
【0039】
図9(a)を用いて記録時のデータ処理について説明する。ユーザデータを受信(901)すると、複数のデータ列に分割、再生時エラー検出が行えるように各データ列をCRC化(902)し、オンピクセル数とオフピクセル数をほぼ等しくし、同一パターンの繰り返しを防ぐことを目的にデータ列に擬似乱数データ列を加えるスクランブル(903)を施した後、再生時エラー訂正が行えるようにリード・ソロモン符号等の誤り訂正符号化(904)を行う。次にこのデータ列をM×Nの2次元データに変換し、それを1ページデータ分繰返すことで1ページ分の2次元データ(905)を構成する。このように構成した2次元データに対して再生時の画像位置検出や画像歪補正での基準となるマーカーを付加(906)し、空間光変調器312にデータを転送(907)する。
【0040】
次に図9(b)を用いて再生時のデータ処理フローについて説明する。光検出器325で検出された画像データが信号処理回路85に転送(911)される。この画像データに含まれるマーカーを基準に画像位置を検出(912)し、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正(913)した後、2値化処理(914)を行い、マーカーを除去(915)することで1ページ分の2次元データを取得(916)する。このようにして得られた2次元データを複数のデータ列に変換した後、誤り訂正処理(917)を行い、パリティデータ列を取り除く。次にスクランブル解除処理(918)を施し、CRCによる誤り検出処理(919)を行ってCRCパリティを削除した後にユーザデータを入出力制御回路90経由で送信(920)する。
【0041】
図7は、光情報記録再生装置10の信号生成回路86のブロック図である。
【0042】
入出力制御回路90にユーザデータの入力が開始されると、入出力制御回路90はコントローラ89にユーザデータの入力が開始されたことを通知する。コントローラ89は本通知を受け、信号生成回路86に入出力制御回路90から入力される1ページ分のデータを記録処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン708を経由し、信号生成回路86内サブコントローラ701に通知される。本通知を受け、サブコントローラ701は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン708を介して各信号処理回路の制御を行う。先ずメモリ制御回路703に、データライン709を介して入出力制御回路90から入力されるユーザデータをメモリ702に格納するよう制御する。メモリ702に格納したユーザデータが、ある一定量に達すると、CRC演算回路704でユーザデータをCRC化する制御を行う。次にCRC化したデータに、スクランブル回路705で擬似乱数データ列を加えるスクランブル化を施し、誤り訂正符号化回路706でパリティデータ列を加える誤り訂正符号化する制御を行う。最後にピックアップインターフェース回路707にメモリ702から誤り訂正符号化したデータを空間光変調器312上の2次元データの並び順で読み出させ、再生時に基準となるマーカーを付加した後、ピックアップ11内の空間光変調器312に2次元データを転送する。
【0043】
図8は、光情報記録再生装置10の信号処理回路85のブロック図である。
【0044】
コントローラ89はピックアップ11内の光検出器325が画像データを検出すると、信号処理回路85にピックアップ11から入力される1ページ分のデータを再生処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン811を経由し、信号処理回路85内サブコントローラ801に通知される。本通知を受け、サブコントローラ801は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン811を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路803に、データライン812を介して、ピックアップ11からピックアップインターフェース回路810を経由して入力される画像データをメモリ802に格納するよう制御する。メモリ802に格納されたデータがある一定量に達すると、画像位置検出回路809でメモリ802に格納された画像データ内からマーカーを検出して有効データ範囲を抽出する制御を行う。次に検出されたマーカーを用いて画像歪み補正回路808で、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪み補正を行い、画像データを期待される2次元データのサイズに変換する制御する。サイズ変換された2次元データを構成する複数ビットの各ビットデータを、2値化回路807において“0”、“1”判定する2値化し、メモリ802上に再生データの出力の並びでデータを格納する制御を行う。次に誤り訂正回路806で各データ列に含まれる誤りを訂正し、スクランブル解除回路805で擬似乱数データ列を加えるスクランブルを解除した後、CRC演算回路804でメモリ802上のユーザデータ内に誤りが含まれない確認を行う。その後、入出力制御回路90にメモリ802からユーザデータを転送する。
【0045】
図11は多重記録した箇所での参照光の角度ずれの有無と再生像との関係を示す図である。
【0046】
図11(a)は多重方向と垂直な角度のずれが無く、多重方向の角度ずれが無い場合の再生像の例である。再生像全体が明るくなっていることが分かる。図11(b)は多重方向と垂直な角度のずれが無く、多重方向の角度ずれが0.1度有る場合の再生像の例である。再生像全体が暗くなっていることが分かる。つまり、多重方向と垂直な角度のずれが無い場合には、再生像全体の光量は多重方向に角度のずれが有る場合には大きく変化することが分かる。
【0047】
図11(c)は多重方向と垂直な角度のずれが有り、多重方向の角度ずれが無い場合の再生像の例である。再生像は明暗の縞となっていることが分かる。図11(d)は多重方向と垂直な角度のずれが有り、多重方向の角度ずれが0.1度有る場合の再生像の例である。図11(c)と同様に再生像は明暗の縞となっていることが分かる。つまり、多重方向と垂直な角度のずれが有る場合には、再生像全体の光量は多重方向に角度をずらしてもほぼ変化しないことが分かる。
【0048】
図12は多重方向と垂直な方向の角度ずれの有無と再生光量走査時の光量との関係を示す図である。図12ではブックが連続的に隣接して記録されている箇所を、参照光を照射しながら光情報記録媒体の半径方向もしくは回転方向に走査して再生光の総光量を検出しているものとする。
【0049】
図12(a)は多重方向と垂直な角度ずれが無い場合である。図11(a)および図11(b)で示したように、僅かでも多重方向に角度ずれが発生すると再生光の光量は大きく変化するため、記録時の多重角度のばらつきや再生時の多重方向の角度制御ばらつきにより各ブック位置における再生光量の最大値は安定しない。
【0050】
図12(b)は多重方向と垂直な角度ずれが有る場合である。図11(c)および図11(d)で示したように、多重方向に角度ずれが発生していても再生光の光量は安定しているため、記録時の多重角度のばらつきや再生時の多重方向の角度制御ばらつきがあったとしても、各ブック位置における再生光量の最大値は安定して検出することができる。
【0051】
図13は記録済みおよび未記録の領域の箇所と走査時に検出される光量との関係を示した図である。
【0052】
図13(a)は光情報記録媒体における光情報記録媒体における記録済みの領域と未記録の領域とを示す。光情報記録媒体の内周から外周に向かって同心円状に記録済み領域があり、記録済みの領域の最外周は回転角度の途中で記録が終了しているものとする。
【0053】
図13(b)は角度多重と垂直な方向に参照光角度をずらした後に半径方向に光量を走査して記録済みの領域の最外周を決定する際に得られる光量について示している。記録済みの領域を走査している場合には常に閾値よりも大きい光量が検出され、ブックを通過するたびに光量のピークが得られる。記録済み領域の最外周を超えると閾値以下の光量となるため、これを検出し、最後の光量のピークの位置が記録済みの領域の最外周であると判断する。
【0054】
図13(c)は回転方向に光量を走査して記録済みの領域の終端を決定する際に得られる光量について示している。記録済みの領域を走査している場合には常に閾値よりも大きい光量が検出され、ブックを通過するたびに光量のピークが得られる。記録済み領域の最外周を超えると閾値以下の光量となるため、これを検出し、最後の光量のピークの位置が記録済みの領域の終端であると判断する。
【0055】
以上の説明によれば、角度多重と垂直な方向に参照光角度をずらして光量を走査することにより、記録済みの領域と未記録の領域との境界を安定的に検出することができる。
【0056】
図1は記録済みの領域と未記録の領域との境界を判別するフローを示す図である。ここで、光情報記録媒体1は円形であり、内周から外周に向かって同心円状に記録されているものとして説明を行う。
【0057】
まず、角度制御素子326を駆動し、角度多重と垂直な方向に参照光の角度をずらす(101)。
【0058】
次にアクセス制御回路81を制御してピックアップ11を光情報記録媒体1の半径方向に内周から外周に向かって駆動するとともに、参照光を光情報記録媒体1に照射しながら再生光を光検出器325で連続的に検出して走査する(102)。前述したとおり、光情報記録媒体1の記録済みの領域では再生光が得られ、未記録の領域では再生光が得られないため、光検出器325で得られる光量が所定の閾値以下で無ければ走査を継続し、閾値以下になれば走査を終了する(103)。走査した際の半径位置と光量との関係から半径方向の記録済みの領域の最外周の位置を算出し、アクセス制御回路81を制御してピックアップ11を位置づける(104)。
【0059】
次にディスク回転モータ制御回路88を制御して回転モータ50を駆動し、光情報記録媒体1の回転方向に参照光を光情報記録媒体1に照射しながら再生光を光検出器325で連続的に検出して走査する(105)。光検出器325で得られる光量が所定の閾値以下で無ければ走査を継続し、閾値以下になれば走査を終了する(106)。106で光量が閾値以下で無い場合には走査を継続するが、光情報記録媒体が一周しても閾値以下にならない場合は、一周全てが記録済みであると判断できるため、走査を終了する(107)。走査した際の回転角度と光量との関係から回転方向の記録済みの領域の終端位置を算出する(108)。
【0060】
最後に角度制御素子326を駆動し、角度多重と垂直な方向の参照光の角度を記録再生に適正な角度に設定する(109)。
【0061】
なお、光情報記録媒体1は円形であり、内周から外周に向かって同心円状に記録されているものとして説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、外周から内周に向かって記録されていても構わないし、螺旋状に記録されていても構わないし、光情報記録媒体が例えば矩形であっても構わない。いずれの場合でも、光情報記録媒体の形状と記録順序に適した走査を行うことにより、記録済みの領域と未記録の領域の境界を判別することが可能である。
【0062】
また、記録済みの領域が連続的である必要もなく、例えば記録済みの領域が光情報記録媒体1で分離されていたとしても、光情報記録媒体の走査を行うことによって、記録済みの領域と未記録の領域とを判断することが可能である。
【0063】
なお、未記録の領域の感光を防ぐため、プリキュアに必要なエネルギーよりも小さいエネルギーとなるように光源301を制御しても構わないし、別途設けた光情報記録媒体1が感光しないような波長の光源を用いても構わない。
【0064】
なお、処理の高速化のために、光検出器325の検出領域を制限して検出しても構わないし、光検出器325とは別に高速な光検出器を設けて光量の検出を用いても構わない。
【0065】
図6は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0066】
図6(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図6(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図6(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0067】
図6(a)に示すように媒体を挿入すると(601)、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(602)。
【0068】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出し(603)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0069】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(604)を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了する(605)。
【0070】
本発明ではコントロールデータに記録済み箇所の情報が無い場合やコントロールデータを読み出さない場合でも、光情報記録媒体で記録済みの領域と未記録の領域とを判別することができる。また、コントロールデータが記録済みの領域の終端にあるような場合、またはコントロールデータが記録済み領域の最後のブックの最終ページにあるような場合でも、角度多重と垂直な方向に参照光角度をずらして光量の走査を行うことで、記録済みの領域と未記録の領域の境界を判別できるため、コントロールデータに高速にアクセスすることができる。ここで、判別する情報としてはユーザデータであっても構わないし、コントロールデータであっても構わない。
【0071】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図6(b)に示すように、まず記録するデータを受信して(611)、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器312に送り込む。
【0072】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて例えば光源301のパワー最適化やシャッタ303による露光時間の最適化等の各種記録用学習処理を事前に行う(612)。記録用学習処理において、角度多重と垂直な方向に参照光角度をずらして光量の走査を行うことで、光情報記録媒体上の記録学習領域において記録済みの領域と未記録の領域との判別を行うこともできる。
【0073】
その後、シーク動作(613)ではアクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびにキュア光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。ここで、光情報記録媒体1がアドレス情報を持たない場合には、光情報記録媒体上のユーザデータ領域において、角度多重と垂直な方向に参照光角度をずらして光量の走査を行うことで、記録済みの領域と未記録の領域との判別を行い、記録済みの領域の終端を探索し、隣接する領域から追記を行うことができる。
【0074】
その後、キュア光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアし(614)、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録する(615)。
【0075】
データを記録した後は、キュア光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアを行う(616)。必要に応じてデータをベリファイしても構わない。
【0076】
なお、角度多重と垂直な方向に参照光角度をずらして光量の走査を行うことで、判断した記録済みの領域と未記録の領域の情報をコントロールデータとして光情報記録媒体に記録することで、次回の記録時に高速に記録済みの領域と未記録の領域との境界にアクセスして追記動作を行うこともできる。
【0077】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図6(c)に示すように、まずシーク動作(621)で、アクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびに再生用参照光光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0078】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し(622)、再生データを送信する(613)。
【0079】
従来、角度多重方式のホログラフィを利用した再生装置においては、少なくとも一部が記録された光情報記録媒体を再生する場合に、光情報記録媒体の所定の箇所にホログラムが記録されているかどうかを判別するためには、記録時にどこの箇所に記録を行ったかを示すコントロールデータを光情報記録媒体の所定の箇所に記録するか、別途設けた外部記録媒体に記録しておく必要があった。このようなコントロールデータが無い場合には、逐一各ブック位置で参照光の角度を多重方向に走査しなければ、ホログラムが記録されているかどうかを判別することができなかった。したがって、光情報記録媒体の所定の箇所にホログラムが記録されているかどうかを高速に判別するための有効な手段が無いという課題があった。しかしながら、以上の第1の実施例によれば、コントロールデータが無い場合でも、光情報記録媒体の記録済みの領域と未記録の領域との境界を高速に判別することができるため、使い勝手の良い光情報再生装置を提供することができる。
【実施例2】
【0080】
本発明の第2の実施例を添付図面にしたがって説明する。光情報再生装置の構成は第1の実施例と同様であるため説明を省略する。
【0081】
図14は目標とするアドレス位置へ再生光量の情報を基に位置づけを行うフローを示す図である。ここで、光情報記録媒体1は円形であり、内周から外周に向かって同心円状に記録されているものとして説明を行う。
【0082】
まず、目標とするアドレスの光情報記録媒体1の半径位置と回転角度を算出し、最内周から目標とするアドレスの半径位置までに記録されているブックの数と、目標とする半径位置において基準となる回転角度から目標とするアドレスの回転角度までに記録されているブックの数を算出する(1401)。次に角度制御素子326を駆動し、角度多重と垂直な方向に参照光の角度をずらす(1402)。
【0083】
次にアクセス制御回路81を制御してピックアップ11を光情報記録媒体1の半径方向に内周から外周に向かって駆動するとともに、参照光を光情報記録媒体1に照射しながら再生光を光検出器325で連続的に検出して走査する(1403)。走査していくと図12(b)で説明したように、ブックを走査する度にブック中央の位置で光量のピークが得られるため、光量のピーク数をカウントしていく。カウントが1401で算出した半径方向のブック数に到達すれば、半径方向の走査を終了し、到達していない場合は走査を継続する(1404)。半径方向の走査が終了したら、目標の半径位置にアクセス制御回路81を制御してピックアップ11を位置づける(1405)。この際に目標の半径位置は走査時の半径位置と光量との関係から算出しても構わないし、目標となる半経位置の近傍で光量が最大となるようにフィードバック制御しても構わない。
【0084】
次にディスク回転モータ制御回路88を制御して回転モータ50を駆動し、光情報記録媒体1の回転方向に参照光を光情報記録媒体1に照射しながら再生光を光検出器325で連続的に検出して走査する(1406)。走査していくとブックの位置で光量のピークが得られるため、光量のピーク数をカウントしていく。カウントが1401で算出した回転方向のブック数に到達すれば、回転方向の走査を終了し、到達していない場合は走査を継続する(1407)。回転方向の走査が終了したら、目標の回転角度に回転モータ制御回路88を制御して回転モータ50を駆動し、ピックアップ11を位置づける(1408)。この際に目標の回転角度は走査時の回転角度と光量との関係から算出しても構わないし、目標となる回転角度の近傍で光量が最大となるようにフィードバック制御しても構わない。
【0085】
最後に角度制御素子326を駆動し、角度多重と垂直な方向の参照光の角度を記録再生に適正な角度に設定する(1409)。
【0086】
なお、光情報記録媒体1は円形であり、内周から外周に向かって同心円状に記録されているものとして説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、外周から内周に向かって記録されていても構わないし、螺旋状に記録されていても構わないし、光情報記録媒体が例えば矩形であっても構わない。いずれの場合でも、光情報記録媒体の形状と記録順序に適した走査を行うことにより、目標のアドレスに位置づけすることが可能である。
【0087】
なお、未記録の領域の感光を防ぐため、プリキュアに必要なエネルギーよりも小さいエネルギーとなるように光源301を制御しても構わないし、別途設けた光情報記録媒体1が感光しないような波長の光源を用いても構わない。
【0088】
なお、処理の高速化のために、光検出器の検出領域を制限して検出しても構わないし、光検出器325とは別に高速な光検出器を設けて光量の検出を用いても構わない。
【0089】
以上の第2の実施例によれば、記録されているホログラムの位置に高速に位置づけできるため、使い勝手の良い光情報再生装置を提供することができる。
【実施例3】
【0090】
本発明の第3の実施例を添付図面にしたがって説明する。光情報再生装置の構成は第1の実施例と同様であるため説明を省略する。
【0091】
図5はピックアップ11の構成の一例を示した図である。図5において、光源501を出射した光ビームはコリメートレンズ502を透過し、シャッタ503に入射する。シャッタ503が開いている時は、光ビームはシャッタ503を通過した後、例えば1/2波長板などで構成される光学素子504によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向を制御された後、偏光ビームスプリッタ505に入射する。
【0092】
偏光ビームスプリッタ505を透過した光ビームは、偏光ビームスプリッタ507を経由して空間光変調器508に入射する。空間光変調器508によって情報を付加された信号光506は偏光ビームスプリッタ507を反射し、所定の入射角度の光ビームのみを通過させるアングルフィルタ509を伝播する。その後、信号光ビームは対物レンズ510によって光情報記録媒体1に集光する。
【0093】
一方、偏光ビームスプリッタ505を反射した光ビームは参照光512として働き、偏光方向変換素子519によって記録時又は再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー513、角度制御素子522、ならびにミラー514を経由してレンズ515に入射する。レンズ515は参照光512を対物レンズ510のバックフォーカス面に集光させる役割を果たしており、対物レンズ510のバックフォーカス面にて一度集光した参照光は、対物レンズ510によって再度、平行光となって光情報記録媒体1に入射する。
【0094】
ここで、対物レンズ510又は光学ブロック521は、例えば符号520に示す方向に駆動可能であり、対物レンズ510又は光学ブロック521の位置を駆動方向520に沿ってずらすことにより、対物レンズ510と対物レンズ510のバックフォーカス面における集光点の相対位置関係が変化するため、光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を所望の角度に設定することができる。なお、対物レンズ510又は光学ブロック521を駆動する代わりに、ミラー514をアクチュエータにより駆動することで参照光の入射角度を所望の角度に設定しても構わない。
【0095】
角度制御素子522は駆動方向520と垂直な方向に角度を制御可能な素子であり、例えば液晶素子により構成することができる。ただし、ガルバノミラーやデフォーマブルミラー等を用いて制御しても構わないし、再生用参照光光学系12の中に同様の機構を持たせても構わない。
【0096】
このように、信号光と参照光を光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また対物レンズ510又は光学ブロック521の位置を駆動方向520に沿ってずらすことによって、光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0097】
記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームをガルバノミラー516にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ510、アングルフィルタ509を伝播する。その後、再生光は偏光ビームスプリッタ507を透過して光検出器518に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0098】
図5で示した信号光と参照光とを同一の対物レンズに入射させる光学系を用いた場合でも、図1に示した光情報記録媒体の記録済みの領域と未記録の領域との境界の高速な判別を行うこともできるし、図14に示した記録されているホログラムへの高速な位置づけを行うこともできる。
【0099】
以上の第3の実施例によれば、信号光と参照光を同一の対物レンズに入射させる構成とすることで、図3で示した光学系構成に比して、大幅に小型化できる利点を有した光情報再生装置を提供することができる。
【実施例4】
【0100】
本発明の第4の実施例を添付図面にしたがって説明する。光情報再生装置の構成は第1の実施例と同様であるため説明を省略する。
【0101】
図10は、反射層を有する光情報記録媒体の層構造を示す図である。(1)は光情報記録媒体へ情報を記録している状態を示し、(2)は光情報記録媒体から情報を再生している状態を示している。
【0102】
光情報記録媒体1は、光ピックアップ11側から、透明カバー層1000、記録層1002、光吸収/光透過層1006、光反射層1010、そして第3透明保護層1012と、を備えている。参照光10Aと信号光10Bとの干渉パターンは、記録層1002に記録される。
【0103】
光吸収/光透過層1006は、情報記録時には参照光10Aと信号光10Bとを吸収し、情報再生時には参照光を透過するように物性が変換する。例えば、光記録媒体1に電圧を印加することによって光吸収/光透過層1006の着色、消色状態が変化し、すなわち、情報記録時には光吸収/光透過層1006は着色状態となって、記録層1002を通過した参照光10Aと信号光10Bとを吸収し、情報再生時には消色状態になって参照光を透過させる。光吸収/光透過層1006を通過した参照光10Aは光反射層1010で反射されて再生用参照光10Cとなる。
【0104】
また、エレクトロクロミック(EC)材料としてのWO3を光吸収/光透過層1006に用いることができる。
【0105】
この材料に電圧を加えることにより可逆的に着色、消色を生じさせ、情報記録時には着色させて光を吸収し、情報再生時には消色させて光を透過させる。
【0106】
図10で示した光情報記録媒体は、図3および図5で示したピックアップにおいて再生用参照光光学系を省略して用いることができる。
【0107】
図10で示した光情報記録媒体を用いた場合でも、図1に示した光情報記録媒体の記録済みの領域と未記録の領域との境界の高速な判別を行うこともできるし、図14に示した記録されているホログラムへの高速な位置づけを行うこともできる。
【0108】
以上の第4の実施例によれば、再生用参照光が不要となり、小型の光情報再生装置を提供することができる。
【0109】
また、以上の実施例は以下のように言い換えることもできる。すなわち、信号光と参照光との干渉パターンがページデータとして角度多重により記録されている光情報記録媒体から情報を再生する光情報再生装置において、参照光を生成する光源と、参照光が前記光情報記録媒体に入射する角度を、角度多重方向と垂直な方向に制御する角度制御素子と、参照光により再生された再生像を検出する光検出器と、を備え、この光検出器からの出力に応じてページデータの再生を制御する構成であっても、もちろん良い。
【0110】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0111】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0112】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1・・・光情報記録媒体、10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、
12・・・再生用参照光光学系、13・・・ディスクCure光学系、
14・・・ディスク回転角度検出用光学系、50・・・回転モータ、
81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、83・・・サーボ信号生成回路、
84・・・サーボ制御回路、85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、
87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、
89・・・コントローラ、90…入出力制御回路、91…外部制御装置、
201・・・光源、202・・・コリメートレンズ、203・・・シャッタ、
204・・・1/2波長板、205・・・偏光ビームスプリッタ、
206・・・信号光、207・・・参照光、
208・・・ビームエキスパンダ、209・・フェーズ(位相)マスク、
210・・・リレーレンズ、211・・・偏光ビームスプリッタ、
212・・・空間光変調器、213・・・リレーレンズ、214・・・空間フィルタ、
215・・・対物レンズ、216・・・偏光方向変換素子、217・・・ミラー、
218・・・ミラー、219・・・ミラー、220・・・アクチュエータ、
221・・・レンズ、222・・・レンズ、223・・・アクチュエータ、
224・・・ミラー、225・・・光検出器
401・・・光源、402・・・コリメートレンズ、403・・・シャッタ、
404・・・光学素子、405・・・偏光ビームスプリッタ、
406・・・信号光、407・・・偏光ビームスプリッタ、408・・・空間光変調器、
409・・・ビームエキスパンダ、410・・・リレーレンズ、
411・・・フェーズ(位相)マスク、412・・・リレーレンズ、
413・・・空間フィルタ、414・・・ミラー、415・・・ミラー、
416・・・ミラー、417・・・アクチュエータ、418・・・光検出器、
419・・・レンズ、420・・・レンズ、421・・・ミラー、
422・・・アクチュエータ、423・・・参照光、424・・・偏光方向変換素子、
425・・・対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光と参照光との干渉パターンがページデータとして角度多重により記録されている光情報記録媒体から情報を再生する光情報再生装置であって、
光を出射する光源と、
前記光を参照光と信号光に分離する光学素子と、
前記光情報記録媒体に入射する前記参照光を角度多重方向と垂直な方向に制御する角度制御素子と、
前記参照光により再生された再生像を検出する光検出器と、
前記参照光と前記光情報記録媒体との位置関係を制御する位置制御回路と、を備え、
前記角度制御素子により前記参照光の角度多重方向と垂直な方向の角度をページデータの再生に適正な角度からずらした状態で前記参照光を前記光情報記録媒体に照射し、前記光情報記録媒体からの再生光の光量を前記光検出器により検出し、検出した光量の情報を基に前記参照光が照射された位置におけるホログラムの有無を検出することを特徴とする光情報再生装置。
【請求項2】
前記光量が所定の閾値以下の場合にはホログラムが未記録の領域と判定し、前記光量が所定の閾値よりも大きい場合にはホログラムが記録済みの領域と判定することを特徴とする請求項1に記載の光情報再生装置。
【請求項3】
前記位置制御回路により前記参照光と前記光情報記録媒体との位置関係を変化させながら前記光量を検出し、光量がピークとなる位置を記録されているホログラムの中心位置として判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の光情報再生装置。
【請求項4】
信号光と参照光とを用いたホログラフィを利用して、角度多重によりホログラムが記録されている光情報記録媒体から情報を再生する光情報再生方法において、
前記光情報記録媒体に照射する参照光の多重方向と垂直な方向の角度を再生像の再生に適正な角度からずらす工程と、
前記光情報記録媒体から再生された再生光の光量を検出する工程と、
前記検出した光量の情報を基に前記参照光が照射された位置におけるホログラムの有無を検出する工程と、を含むことを特徴とする光情報再生方法。
【請求項5】
信号光と参照光との干渉パターンがページデータとして角度多重により記録されている光情報記録媒体から情報を記録または再生する光情報記録再生装置であって、
光を出射する光源と、
前記光を参照光と信号光に分離する光学素子と、
前記光情報記録媒体に入射する前記参照光を角度多重方向と垂直な方向に制御する角度制御素子と、
前記参照光により再生された再生像を検出する光検出器と、
前記信号光をページデータに変調する空間光変調器と、
前記参照光と前記光情報記録媒体との位置関係を制御する位置制御回路と、を備え、
前記角度制御素子により前記参照光の角度多重方向と垂直な方向の角度をページデータの再生に適正な角度からずらした状態で前記参照光を前記光情報記録媒体に照射し、前記光情報記録媒体からの再生光の光量を前記光検出器により検出し、検出した光量の情報を基に前記光情報記録媒体の記録済み領域の終端を検出し、隣接する未記録の領域から追記することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項6】
信号光と参照光とを用いたホログラフィを利用して、角度多重によりホログラムが記録されている光情報記録媒体から情報を再生する光情報再生方法において、
前記光情報記録媒体に照射する参照光の多重方向と垂直な方向の角度を再生像の再生に適正な角度からずらす工程と、
前記光情報記録媒体から再生された再生光の光量を検出する工程と、
前記検出した光量の情報を基に前記参照光が照射された位置におけるホログラムの記録済み領域の終端を検出する工程と、
前記検出した終端に隣接する未記録の領域から追記する工程と、を含むことを特徴とする光情報記録再生方法。
【請求項7】
信号光と参照光との干渉パターンがページデータとして角度多重により記録されている光情報記録媒体から情報を再生する光情報再生装置であって、
参照光を生成する光源と、
前記生成された参照光が前記光情報記録媒体に入射する角度を、角度多重方向と垂直な方向に制御する角度制御素子と、
前記参照光により再生された再生像を検出する光検出器と、を備え、
前記光検出器からの出力に応じてページデータの再生を制御することを特徴とする光情報再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−109793(P2013−109793A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252207(P2011−252207)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】