説明

光情報記録媒体再生方法、および光情報記録媒体

【課題】最適な再生レーザパワーを決定し、かつ、安定した超解像再生を実現する。
【解決手段】光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置(10)において、上記光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより記録された多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報を読み取るとともに、当該媒体情報に基づいて、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層であって、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を読み取る場合に、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を読み取るのに必要なパワーよりも小さく、かつ光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上のパワーで読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超解像再生技術を用いて光情報記録媒体を再生するための光情報記録媒体再生方法、および光情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度情報化、情報通信およびマルチメディア技術の発展によって、光情報記録媒体の高密度化、大容量化の要求が高まっている。
【0003】
その要求に応える技術として、情報記録層を多層化する多層化技術や、光情報記録媒体再生装置が有する解像限界の長さより短い記録マークの再生を可能とする再生膜を用いた超解像技術等がある。
【0004】
まず、多層化技術について説明する。はじめに、多層化技術の中でも、単純な構造の2層化技術について説明する。なお、2層光情報記録媒体は、例えば、特許文献1に示されているように、再生レーザ入射面側より順に、第1情報記録層、第2情報記録層を設け、中間層により各情報記録層を分離した構造となっている。また、第1記録層は再生光が透過する半透明層になっているため、再生レーザ入射面から入射した再生レーザが、各情報記録層にフォーカス可能で、それぞれの記録層において情報の記録/再生ができる。したがって、この2層化技術を用いれば、上記光情報記録媒体の情報記録容量を、単純計算で、約2倍にすることが可能である。
【0005】
なお、3層以上の情報記録層をもつ光情報記録媒体の構造に関しても、上記の2層化技術の例と同様に、再生レーザ入射面より、第1記録層、第2記録層、第3記録層、…、第n記録層と順に情報記録層を設け、中間層により各情報記録層を分離するという構造を採用できる。
【0006】
また、上記光情報記録媒体については、超解像技術を用いたものではなく、各層に記録された最短の記録マーク長は、光情報記録媒体再生装置が有する解像限界の長さより長いものである。
【0007】
次に、超解像技術について説明する。超解像技術とは、再生光学系における光学的な分解能の限界(以下、光回折限界と称する。)以下の記録マーク長の信号を再生する技術である。より具体的には、光源から照射される光の波長をλ、光スポットを形成するための対物レンズの開口数をNAとすると、光スポット径は、ほぼλ/NAで表される。
【0008】
この光回折限界以下の記録マーク長の記録マークを記録/再生する技術を超解像技術と呼ぶ。また、この超解像技術を用いた光情報記録媒体を再生することを超解像再生と呼ぶ。
【0009】
また、光スポット系の1/4であるλ/(4NA)程度の長さが、超解像技術を用いない従来の光情報再生装置の解像限界となることが知られている。以下では、この限界のことを単純に解像限界と呼ぶ。なお、実際には、理論以外にも光学系内の他要素の影響を受けるので、解像限界の値は波長および開口数から求められる理論値からある程度の差を生じる場合がある。
【0010】
上記のように超解像技術を用いれば、解像限界を超える記録マーク長の記録マークを記録/再生することが可能となるので光情報記録媒体の情報記録容量を向上させることができる。
【0011】
特許文献2において、超解像技術として、Super−ROMといわれる情報の再生に寄与する凹凸形状のプリピットの超解像技術を用いた超解像光情報記録媒体が提案されている。
【0012】
この超解像光情報記録媒体は、現在のところ再生メカニズムの詳細は解明されていないが、再生専用型ディスクの反射膜に、従来用いられてきたAlやAuの代わりにMo,W,Si,Ge等を用いることにより、従来の光学系では再生できなかった解像限界より小さな記録ピット長の信号の再生が可能となるものである。
【0013】
また、前述の多層化技術と超解像技術とを併せた、すなわち、多層光情報記録媒体の各情報記録層に超解像技術を利用する技術、いわゆる多層超解像技術が、さらなる情報記録容量の増加を可能とする技術として期待されている。ここで、上記多層化技術としては前述の2層化技術を応用し、適用することができる。いうなれば2層超解像技術というべきものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2007−026503号公報(2007年2月1日公開)」
【特許文献2】日本国公開特許公報「特開2001−250274号公報(2001(平成13)年9月14日公開)」
【特許文献3】日本国公開特許公報「特開2004−362718号公報(2004(平成16)年12月24日公開)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、一般的に、超解像技術において超解像再生を可能にするためには、通常より高い再生レーザパワーを必要とする。超解像技術の一例として、情報記録層の上に、いわゆるマスク層を設けるマスク型超解像技術がある。
【0016】
このマスク方超解像技術には、その特性の違いによって、ヒートモード方式とフォトンモード方式の2つの方式があるが、ヒートモード方式であってもフォトンモード方式であっても、マスク領域やアパーチャー領域を作るのに、媒体中に高温や大きな光量が必要とする。そのために通常より高い再生レーザパワーが必要となる。また、マスク型超解像技術ではない他の超解像技術、例えば特許文献2に記載の超解像技術においても、通常より高い再生レーザパワーが必要であることが報告されている。
【0017】
一方で、不適切に高い再生レーザパワーで、情報記録層を再生することは、記録マークの破壊につながる。
【0018】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高密度な光情報記録媒体である多層超解像光情報記録媒体を、安定して再生する光情報記録媒体再生方法、および光情報記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様に係る光情報記録媒体再生方法によれば、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層され、内径穴の近傍部に、光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより、多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報が記録されている光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生方法であって、 上記光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより記録された多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報を読み取る段階と、上記多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報に基づいて、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層であって、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を読み取る場合に、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を読み取るのに必要なパワーよりも小さく、かつ光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上のパワーで読み取る段階とを含む、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の一態様に係る光情報記録媒体によれば、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層され、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層では、入射面から最も遠い情報記録層よりも小さく、かつ光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上のパワーの再生レーザによって読み出し可能となっており、内径穴の近傍部に、光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより、多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報が記録されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高密度な光情報記録媒体である多層超解像光情報記録媒体を、安定して再生することができる。
【0022】
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって充分に分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明における実施形態を示すものであり、光情報記録媒体再生装置の制御部の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における実施形態を示すものであり、光情報記録媒体再生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明における例示的な2層光情報記録媒体の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明における参考例1に係る光情報記録媒体再生装置が示すジッタについての再生レーザパワーの依存性である。
【図5】本発明におけるディスク#1および比較例1に係る光情報記録媒体の再生時に計測されるbERについての再生レーザパワー依存性である。
【図6】本発明におけるディスク#2および比較例2に係る光情報記録媒体の再生時に計測されるCNRについての再生レーザパワー依存性である。
【図7】本発明におけるディスク#1に係る光情報記録媒体の第1情報記録層が示す規格化反射率の再生回数依存性である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0025】
(光情報記録媒体再生装置について)
図2は、本実施の形態に係る光情報記録媒体再生装置の概略構成の一例を示したブロック図である。同図に示される、光情報記録媒体再生装置10は、光情報記録媒体100を光学的に再生可能なものである。上記光情報記録媒体100は、2層超解像光情報記録媒体100aでもよいし、2層超解像光情報記録媒体以外の通常の光情報記録媒体100bでもよい。
【0026】
なお、本実施の形態においては、光情報記録媒体再生装置10が再生する多層超解像光情報記録媒体の一例として2層超解像光情報記録媒体100aを再生する例について説明するが、これに限られず、3層以上の情報記録層を有した超解像光情報記録媒体を再生してもよい。また、光情報記録媒体再生装置10が再生する通常の光情報記録媒体100bについても、2層以上の情報記録層を有した光情報記録媒体を再生するようにしてもよい。
【0027】
光情報記録媒体再生装置10は、図2に示すように、レーザ制御回路14A、信号処理回路14B、ヘッドアンプ16、RFアンプ17A、RF信号の信号処理回路17B、サーボ処理回路18、制御部19、スピンドルモータ20、光ピックアップ21、光ピックアップ用モータ22を備えている。光ピックアップ21は、偏光ビームスプリッタ12、レーザ光源13、および検出器15を備えている。
【0028】
光情報記録媒体再生装置10は、まず、スピンドルモータ20により光情報記録媒体100を回転させ、制御部19により光ピックアップ用モータ22を制御して光ピックアップ21を移動させる。次に、レーザ制御回路14Aによりレーザ光源13から再生レーザ光を出射させる。
【0029】
信号処理回路14Bは、レーザ制御回路14Aが利用する信号を生成するためのものである。例えば、光情報記録媒体再生装置10が、光情報記録媒体の記録機能を備えている場合、記録用信号を生成して、レーザ制御回路14Aが該記録用信号を用いてレーザ光源13を制御する。
【0030】
この再生レーザ光が、偏光ビームスプリッタ12を介して、光情報記録媒体100に照射され、光情報記録媒体100からの反射光が、再び偏光ビームスプリッタ12を介して検出器15に到達する。光ピックアップ21には図示しない対物レンズを有しており、レーザ光源13のレーザ波長および対物レンズの開口数としては、例えばBlu−ray Disc(登録商標)再生装置で用いられるレーザ波長は略405nmであり、対物レンズの開口数は略0.85である。
【0031】
検出器15は、到達した反射光に基づいて電気信号を出力し、該電気信号は、ヘッドアンプ16にて増幅され、サーボ処理回路18に送られ、各種のサーボ制御が行われる。また、該電気信号は、RFアンプ17Aにてさらに増幅され信号処理回路17Bに送られる。そして、該電気信号は、信号処理回路17B経由して、制御部19へ送られる。
【0032】
(光情報記録媒体再生装置の制御部について)
次に、図1を参照しながら、光情報記録媒体再生装置10の制御部19について詳細に説明する。図1は、制御部19の要部構成を示しているブロック図である。図示のように、制御部19は、アクセス位置制御部23、信号処理部24、媒体識別部25、パワー制御部26、および再生クロック制御部27を備えている。
【0033】
アクセス位置制御部23は、光情報記録媒体100の所望の位置に光ピックアップ21がアクセスするように、光ピックアップ用モータ22を制御する。
【0034】
信号処理部24は、ヘッドアンプ16より送られる媒体識別信号を処理し、媒体識別部25に与える。媒体識別部25は、信号処理部24により与えられた上記媒体識別信号に基づいて、光情報記録媒体100が2層超解像光情報記録媒体100aであるか否か等の識別を行う。
【0035】
パワー制御部26は、媒体識別部25による光情報記録媒体100の識別結果に基づいて、2層超解像光情報記録媒体100aであると識別すれば、レーザ制御回路14Aを制御して、再生レーザパワーを設定する。具体的には、第1情報記録層を再生するときは、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1に設定し、第2情報記録層を再生するときは、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2に設定する。上記第1情報記録層の再生レーザパワーPr1および第2情報記録層の再生レーザパワーPr2について、詳しくは後述する。
【0036】
再生クロック制御部27は、媒体識別部25による光情報記録媒体100の識別結果に基づいて、信号処理回路17Bにて利用される再生クロックを通常の光情報記録媒体100bに適した再生クロックとするか、あるいは、超解像光情報記録媒体100aに適した再生クロックに切り替える。
【0037】
ここで、図3を参照しながら、超解像光情報記録媒体100aについて説明する。図3は、2層情報記録媒体の概略構成を示す断面図である。ここでは、例示的に超解像光情報記録媒体100aは2層超解像光情報記録媒体であるものとする。超解像光情報記録媒体100aは、透光層101aと、第1情報記録層102a、中間層103aと、第2情報記録層104aと、基板105aからなる。
【0038】
そして、再生クロック制御部27より送られてきた再生クロックと、信号処理回路17Bを介してRFアンプ17Aより送られてきた電気信号を用いて、光情報記録媒体再生装置10は、光情報記録媒体100に記録された情報を再生する。
【0039】
また、超解像光情報記録媒体100aを再生する場合に、第1情報記録層102aと第2情報記録層104aとのうちいずれの情報記録層をフォーカスするかについて説明すると、以下の通りである。サーボ処理回路18で利用されるフォーカスエラー信号は、光ピックアップ21の図示しない対物レンズを超解像光情報記録媒体100aから離れた位置からフォーカス方向に順次移動させてフォーカスサーチ処理を行うことで、各情報記録層を通過する毎にS字特性を描く。そのS字特性をカウントし、それを反映して光ピックアップ21を制御することにより、第1情報記録層102aと第2情報記録層104aの選択を行う。
【0040】
(光情報記録媒体の媒体識別方法について)
次に、光情報記録媒体再生装置10が、これから再生しようとする光情報記録媒体100が、2層超解像光情報記録媒体100aか否かを識別する媒体識別方法について述べる。
【0041】
まず、光情報記録媒体100に、所定の方法で、当該光情報記録媒体100が2層超解像光情報記録媒体100aであるか否かを示す媒体情報を付加しておく方法が挙げられる。
【0042】
具体的には、2層超解像光情報記録媒体100aに、光情報記録媒体再生装置10の有する解像限界以上の記録マーク長の記録マークにより、再生する光情報記録媒体が2層超解像光情報記録媒体100aであることを示す媒体情報を記録しておく。そして、通常の光情報記録媒体100bで利用する低い再生レーザパワーにて、上記媒体情報を再生し、該媒体情報に基づいて、当該光情報記録媒体100が2層超解像光情報記録媒体100aであるか否かを判定することが可能である。
【0043】
これにより、誤って高い再生レーザパワーで第1情報記録層や第2情報記録層にフォーカスしてしまい、各層を不可逆的に再生不可としてしまうことを防ぐことができる。また、上記媒体情報は、媒体情報を現すバーコードを光情報記録媒体100の内径穴の近傍部に形成することによって記録されてもよい。
【0044】
あるいは、スピンドルモータ20により光情報記録媒体100を回転させる前に、媒体情報を判定する媒体判定手段を用いてもよい。例えば、光情報記録媒体100の一部、または光情報記録媒体100を収容するカートリッジの一部の切り欠き等によって、それを機械的に認識する方法等が考えられる。
【0045】
上記の方法によって予め媒体情報が認識され、2層超解像光情報記録媒体100aを再生する場合、まず、光情報記録媒体再生装置10が、2層超解像光情報記録媒体100a用の再生レーザパワーで再生を行う。そして、その他の超解像光情報記録媒体に関する情報(アドレス情報や後述する第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1min等)を読み出す。上記その他の超解像光情報記録媒体に関する情報は、光情報記録媒体再生装置10の有する解像限界以下の記録マーク長を含むパターンで再生可能であるため、その他の超解像光情報記録媒体に関する情報を含め、より高密度化が可能となる。また、後述の第1情報記録層の再生レーザパワーPr1、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2の情報が上記媒体判定手段で判定できてもよい。
【0046】
このとき、2層超解像光情報記録媒体の再生開始時は、第1情報記録層から再生することが好ましい。これにより、再生開始時に誤って高い再生レーザパワーである第2情報記録層の再生レーザパワーPr2で第1情報記録層を再生し、第1情報記録層を不可逆的に再生不可能な状態としてしまうことを防ぐことが可能となる。
【0047】
ただし、再生開始時に第1情報記録層から再生することが好ましいのは、2層超解像光情報記録媒体に関してのみで、nが3以上のn層超解像光情報記録媒体においてはその限りではない。
【実施例】
【0048】
(光情報記録媒体について)
次に、本実施の形態に係る光情報記録媒体再生装置10で再生される超解像光情報記録媒体100aおよび通常の光情報記録媒体100bについて説明する。
【0049】
従来の2層光情報記録媒体の、一例としては、図3に示す構造を有する参考例1の2層光情報記録媒体100cが挙げられる。
【0050】
〔参考例1〕
従来の光情報記録媒体再生装置において、従来の2層光情報記録媒体を再生する場合について図3を参照して説明する。ここでは、光情報記録媒体再生装置が光情報記録媒体を再生する一例として、従来の情報記録層を2層有する光情報記録媒体である2層光情報記録媒体100cを再生する場合について説明する。同図に示すように、2層光情報記録媒体100cは、透光層101cと、第1情報記録層102cと、中間層103cと、第2情報記録層104cと、基板105cとからなり、再生レーザ入射面より、この順に積層された構造となっている。
【0051】
透光層101cは透明樹脂層(膜厚75μm)で形成されて、第1情報記録層102cは半透明反射膜(Au、膜厚15nm)で形成されて、中間層103cは透明紫外線硬化樹脂層(膜厚25μm)で形成されて、第2情報記録層104cは反射膜(Au、膜厚50nm)で形成され、基板105cは樹脂基板で形成されている。
【0052】
また、参考例1の光情報記録媒体再生装置において再生する2層光情報記録媒体100cの中間層103cおよび基板105cには、図示しない凹および/または凸からなるプリピットが設けられており、これらのプリピット上に半透明反射膜および反射膜が積層されることにより、半透明反射膜および反射膜に凹凸が転写された状態となり、第1情報記録層102cおよび第2情報記録層104cに記録マークとしてのプリピットが形成されている。
【0053】
したがって、上記2層光情報記録媒体100cはいわゆる再生専用光情報記録媒体である。また、参考例1の2層光情報記録媒体100cのプリピット、すなわち記録マークは、Blu−ray Disc(登録商標)で採用されている1−7PP変調方式に基づいた記録パターンで形成されており、最短記録マーク長である2Tマーク長は149nmである。ここで、Tは、クロック1周期分の時間を表す。
【0054】
この参考例1の2層光情報記録媒体100cにおける第1情報記録層102cおよび第2情報記録層104cのジッタの再生レーザパワー依存性を、青色レーザ光の波長である波長405nm半導体レーザと、NA(開口数)0.85の光学系を有するディスク測定機にて測定した結果が図4である。
【0055】
ジッタとは、再生信号の時間軸方向の揺らぎを示す指標のことである。そのため、ジッタは、媒体の再生信号特性を表す指標の一つとなるものであり、小さい値ほどよい再生信号特性であることを表す。一般的に媒体の再生信号特性としてはジッタが良く使われる。
【0056】
また、図4における太い点線が示す閾値30は、一般的に光情報記録媒体再生装置が安定して光情報記録媒体100に記録された情報を正しく読み取ることのできるジッタ値の閾値、すなわち、光情報記録媒体再生装置が、光情報記録媒体100を、安定して再生するために必要とするジッタの閾値である。
【0057】
図4に示すとおり、2層光情報記録媒体100cの第1情報記録層102cおよび第2情報記録層104cが示すジッタはともに再生レーザパワーに依存せずほぼ一定であり、かつ、上述の閾値30以下である。光情報記録媒体再生装置の再生レーザパワーは、ジッタ値が上述の閾値30以下となる再生レーザパワーであればよいので、参考例1の場合にみられる再生信号特性を示す2層光情報記録媒体100cの場合、第1情報記録層102cおよび第2情報記録層104cの再生レーザパワーともに広いレーザパワー範囲から選択することが可能である。
【0058】
(従来の光情報記録媒体再生装置における再生レーザパワーについて)
従来の光情報記録媒体再生装置においては、第1情報記録層102cと第2情報記録層104cとを再生する際の再生レーザパワーは等しく設定されている。例えば図4中では0.7mW等の値を、第1情報記録層102cと第2情報記録層104cの再生レーザパワーとして採用することができる。
【0059】
これは、第1情報記録層102cと第2情報記録層104cとを再生する際の再生レーザパワーが異なると、APC(オートパワーコントロール)等による再生レーザパワー制御が複雑になったり、光情報記録媒体再生装置において同一の再生回路で第1情報記録層102cと第2情報記録層104cを再生することが難しくなったりする等の理由からである。
【0060】
このように、従来の2層光情報記録媒体100cを再生する光情報記録媒体再生装置、では第1情報記録層および第2情報記録層を再生する際の再生レーザパワーは等しい。
【0061】
本発明の発明者は、多層超解像光情報記録媒体を用いて、レーザパワーの違いによる再生信号特性をCNR、ジッタ、bERなどの指標で評価し、従来の実用化されている2層光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置のように、第2情報記録層の再生レーザパワーと等しい再生レーザパワーで第1情報記録層を再生すると、第1情報記録層が劣化することを見出した。
【0062】
〔2層超解像光情報記録媒体〕
多層超解像光情報記録媒体の一例として、以下の2層超解像光情報記録媒体であるディスク#1およびディスク#2を挙げ、詳細を示す。なお、ディスク#1およびディスク#2の構造については参考例1と同様、図3の構造を参照して説明する。
【0063】
〔ディスク#1〕
ディスク#1としての2層超解像光情報記録媒体100dは、透光層101dと、第1情報記録層102dと、中間層103dと、第2情報記録層104dと、基板105dとからなり、再生レーザ入射面より、この順に積層された構造となっている。
【0064】
透光層101dは透明樹脂層(膜厚75μm)で形成され、第1情報記録層102dは温度感応層(酸化亜鉛、膜厚60nm)および光吸収層(Ta、膜厚7.5nm)で形成され、中間層103dは透明紫外線硬化樹脂層(膜厚25μm)で形成され、第2情報記録層104dは温度感応層(酸化亜鉛、膜厚60nm)および光吸収層(Ta、膜厚15nm)で形成され、基板105dは樹脂基板で形成されている。2層超解像光情報記録媒体100dに使用した超解像技術は特許文献3に記載の技術に基づいて形成したものである。
【0065】
〔ディスク#2〕
ディスク#2としての2層超解像光情報記録媒体100eは、透光層101eと、第1情報記録層102eと、中間層103eと、第2情報記録層104eと、基板105eとからなり、再生レーザ入射面より、この順に積層された構造となっている。
【0066】
透光層101eは透明樹脂層(膜厚75μm)で形成され、第1情報記録層102eは機能層(Si、膜厚5nm)で形成され、中間層103eは透明紫外線硬化樹脂層(膜厚25μm)で形成され、第2情報記録層104eは機能層(Si、膜厚50nm)で形成され、基板105eは樹脂基板で形成されている。2層超解像光情報記録媒体100eに使用した超解像技術は特許文献2に記載のものである。
【0067】
〔比較例1・比較例2〕
比較のため光情報記録媒体再生装置10において以下の性質をもつ光情報記録媒体を再生した結果について説明する。2層超解像光情報記録媒体100dおよび100eが超解像特性を有することを示すための比較用であり、超解像技術を必要としない光情報記録媒体である。
【0068】
比較例1および比較例2で再生した光情報記録媒体は、透光層と、情報記録層と、基板とからなり、再生レーザ入射面より、この順に積層された構造となっている。
【0069】
透光層は透明樹脂層(膜厚100μm)で形成され、情報記録層は反射膜(Au、比較例1では膜厚50nm、比較例2では膜厚20nm)で形成され、基板は樹脂基板から形成されている。
【0070】
ディスク#1の2層超解像光情報記録媒体100dの中間層103dおよび基板105dと、ディスク#2の2層超解像光情報記録媒体100eの中間層103eおよび基板105eと、比較例1および比較例2の基板とには、図示しない凹および/または凸からなるプリピットが設けられている。
【0071】
上記のプリピット上にディスク#1では、上記のプリピット上に温度感応層および光吸収層が積層されることにより、光吸収層に、凹凸が転写された状態となり、記録マークとしてのプリピットが形成されている。
【0072】
同様に、ディスク#2では、上記のプリピット上に機能層が積層されることにより、機能層に、凹凸が転写された状態となり、記録マークとしてのプリピットが形成されている。また、比較例1および比較例2では、上記のプリピット上に反射膜が積層されることにより、反射膜に凹凸が転写された状態となり、記録マークとしてのプリピットが形成されている。
【0073】
したがって、2層超解像光情報記録媒体100d、比較例1、2層超解像光情報記録媒体100eおよび比較例2はいわゆる再生専用光情報記録媒体である。
【0074】
2層超解像光情報記録媒体100dおよび比較例1の光情報記録媒体のプリピット、すなわち記録マークは、Blu−ray Disc(登録商標)で採用されている1−7PP変調方式に基づいた記録パターンで形成されており、最短記録マーク長である2Tマーク長は、93nmである。1−7PP変調方式はランダムパターン方式と呼ばれ、規則的に長さが異なる複数の記録マークが所定の方式にしたがって、信号再生する方向に配置された方式である。
【0075】
2層超解像光情報記録媒体100eおよび比較例2の光情報記録媒体のプリピット、すなわち記録マークは、単一周波数繰り返しパターンが形成されており、記録マーク長は100nmである。単一周波数繰り返しパターン方式はモノトーンパターン方式と呼ばれ、マーク・スペース比が1:1に配置された方式である。
【0076】
(再生信号特性の測定)
次に、上記2層超解像光情報記録媒体100dおよび100eと、上記比較例1および比較例2に係る通常の光情報記録媒体とを再生した場合について、再生信号特性をディスク測定機で測定した結果について説明する。
【0077】
(ディスク#1測定)
図5は、ディスク#1に係る2層超解像光情報記録媒体100dにおける第1情報記録層102dおよび第2情報記録層104d、および比較例1に係る通常の光情報記録媒体の情報記録層を再生したとき計測されるbER(bit Error Rate)の再生レーザパワー依存性を表したグラフである。測定は、青色レーザ光の波長である波長405nm半導体レーザと、NA(開口数)0.85の光学系を有するディスク測定機で測定した。
【0078】
上記光学系は、Blu−ray Disc(登録商標)再生装置と同様の光学系である。上述したように解像限界はλ/(4NA)で表されるので、上記ディスク測定機の有する解像限界の長さは約120nmとなる。したがって、2層超解像光情報記録媒体100dおよび比較例1に係る光情報記録媒体の最短記録マーク長93nmは、上記ディスク測定機の光学系に対しては解像限界以下の長さである。
【0079】
また、bERとは、再生信号のビット誤り率のことで、媒体の再生信号特性を表す指標の一つであり、値が小さいほどよい再生信号特性であることを示す。
【0080】
最短記録マーク長が解像限界以下の短さになると、一般的な再生信号特性を表す指標であるジッタの値が非常に悪くなり、指標としては機能しなくなる。すなわち、ジッタの値によって再生信号特性を評価することができなくなる。
【0081】
ジッタの値がよい場合、bERの値も良くなる。しかし、ジッタの値が悪い場合でも、bERの値がよい場合がある。bERは最終的に実用的な光情報記録媒体再生装置に必要な評価指標値であり、bERが良ければシステムとしては成立するため、本測定においては媒体の再生信号特性を表す指標としてbERを用いた。
【0082】
図5において太点線で示される閾値40は、一般的に光情報記録媒体再生装置が安定して光情報記録媒体に記録された情報の再生を可能にするbERの閾値、すなわち一般的な光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性の閾値である。図5に示すとおり、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dおよび第2情報記録層104dの再生時に計測されるbERは比較例1の情報記録層の再生時に計測されるbERより十分小さい。
【0083】
また、図5より明らかなように、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dおよび第2情報記録層104dの再生時に計測されるbERが上述の閾値40以下となる再生レーザパワーの範囲はそれぞれ異なった範囲を有している。具体的には、第1情報記録層102dでは1.0mW〜3.7mWの範囲、第2情報記録層104dでは、2.7mW〜5.0mWの範囲である。
【0084】
上記の測定結果から、第1情報記録層102dの再生レーザパワー範囲は、第2情報記録層104dの再生レーザパワー範囲より低く、再生レーザパワー軸上において、再生レーザパワー減少方向に寄る傾向にあることを見出した。
【0085】
2層超解像光情報記録媒体では、第2情報記録層104dの再生時には、必ず第1情報記録層102dを透過した再生光で再生を行うため、第2情報記録層104dに届くレーザ光量が減少する。そのため、第2情報記録層104dを再生するのに必要な再生レーザパワーは第1情報記録層102dよりも高い再生レーザパワーが必要となる。
【0086】
また、従来の光情報記録媒体再生装置と同様、第1情報記録層102dおよび第2情報記録層104dにおいて、ともにbERが閾値40以下の値を示し、等しい再生レーザパワー(例えば、図5中では2.8mW)が存在していることもわかる。
【0087】
(ディスク#2測定)
図6は、ディスク#2の2層超解像光情報記録媒体100eにおける第1情報記録層102eおよび第2情報記録層104e、および比較例2に係る光情報記録媒体の情報記録層のCNR(Carrier to Noise Ratio)の再生レーザパワー依存性を表したグラフである。測定は、2層超解像光情報記録媒体100dの時と同様、青色レーザ光の波長である波長405nm半導体レーザと、NA(開口率)0.85の光学系を有するディスク測定機で測定した。
【0088】
上述したように解像限界はλ/(4NA)で表されるので、上記ディスク測定機の有する解像限界の長さは約120nmとなる。したがって、2層超解像光情報記録媒体100eおよび比較例2の記録マーク長100nmは、上記ディスク測定機に対しては解像限界以下の長さである。
【0089】
CNRとは、記録マークの形成方式がモノトーン方式である場合における単一周波数繰り返し信号についての評価指標の一つであり、媒体の再生信号特性を表す指標の一つであり、値が大きいほどよい再生信号特性であることを示す。
【0090】
単一周波数繰り返し信号の評価指標としては、ジッタやbERでなくCNRが一般的であるため、本測定においては媒体の再生信号特性を表す指標としてCNRを用いた。
【0091】
図6中で示した太点線で示される閾値50は、一般的に光情報記録媒体再生装置が安定して光情報記録媒体に記録された情報の再生を可能にするCNRの閾値、すなわち一般的な光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性の閾値である。
【0092】
図6に示すとおり、2層超解像光情報記録媒体100eの第1情報記録層102eおよび第2情報記録層104eのCNRは、比較例2の情報記録層のCNRより十分大きいことがわかる。
【0093】
また、図6より明らかなように、2層超解像光情報記録媒体100eの第1情報記録層102eおよび第2情報記録層104eが示すCNRが上述の閾値50以上となる再生レーザパワー範囲はそれぞれ異なった範囲を有している。具体的には、第1情報記録層102eでは0.6mW〜1.2mWの範囲、第2情報記録層104eでは、1.1mW以上の範囲である。
【0094】
本発明の発明者は、上記の測定結果から、2層超解像光情報記録媒体100eの第1情報記録層102eの再生レーザパワー範囲は、第2情報記録層104eの再生レーザパワー範囲より低く、再生レーザパワー軸上において、再生レーザパワーの減少方向に寄る傾向にあることを見出した。
【0095】
また、従来の光情報記録媒体再生装置同様、2層超解像光情報記録媒体100eの第1情報記録層102eおよび第2情報記録層104eにおいて、ともにCNRが閾値50以上の値を示し、等しい再生レーザパワー(例えば、図6中では1.1mW)が存在していることもわかる。
【0096】
ここで、本発明の発明者は、従来の光情報記録媒体再生装置と同様に、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dおよび第2情報記録層104dを等しい再生レーザパワーで再生すると、第1情報記録層102dの再生劣化が起こり第1情報記録層102eに記録された情報の再生ができなくなることを見出した。このことは、2層超解像光情報記録媒体100eについても同様である。
【0097】
なお、上記等しい再生レーザパワーとは、例えば、2層超解像光情報記録媒体100dにおいては、第1情報記録層102dと第2情報記録層104dの再生時に計測されるbERがともに閾値以下である3.0mWのことを指し、2層超解像光情報記録媒体100eにおいては、第1情報記録層102eと第2情報記録層104eのCNRがともに閾値以上である1.1mWのことを指す。
【0098】
(再生回数について)
図7は、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dを所定の再生レーザパワーで再生したときにおける、再生回数と規格化反射率との相関について示したグラフである。同図は、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dを、再生レーザパワーが1.2mW、1.6mW、2.0mW、2.8mWであるときにおいて、それぞれ再生したときの再生信号の最大戻り光量の規格化反射率の再生回数依存性を示している。規格化反射率とは、各再生回数での反射率を、再生回数1回での反射率を基準に、規格化した反射率のことである。例えば、再生回数1のとき、規格化反射率は1.0の値をとる。
【0099】
図7より明らかなように、再生レーザパワーが大きくなるほど、再生回数が増大するに伴い規格化反射率の変化量が大きくなっている。これは、特性が悪化していることを示している。例えば、再生レーザパワーが2.8mWのとき、再生回数2000回で50%以上の反射率変動が起こっている。
【0100】
一般的には、1枚の光情報記録媒体を再生する場合、一時停止の際など次の再生命令が来るまで光ピックアップが1つの同一トラック上に止まることがあるため、安定して再生できるためには2000回以上再生できるような再生耐性は必要である。
【0101】
反射率が大きく変化するとフォーカスがかからなくなることもある。さらに、再生信号振幅が、光情報記録媒体に記録された情報を再生するのに必要な再生信号振幅範囲から外れ、記録された情報の再生が困難になることもある。そのため、光情報記録媒体を安定して再生するには反射率は一般的に10%〜20%の変動までに抑えることが必要である。
【0102】
したがって、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dは、再生レーザパワー2.8mWで、2000回再生することで、必要とされる上記再生耐性と、反射率の変動の特性とを満たさなくなっている。そのため、2層超解像光情報記録媒体100dの再生時において、再生レーザパワーに2.8mWを採用することは、実質的に不可能である。
【0103】
また、測定の結果、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dを再生レーザパワー2.0mW以下で再生した場合は、2000回再生後もbERは閾値以下であった。一方、再生レーザパワー2.8mWで2000回再生した場合のbERの値は、閾値より不可逆的に非常に大きな値となることがわかった。再生レーザパワーが大きくなるほど、再生回数に伴うbERの悪化の程度は増大する。したがって、bER特性の観点からも、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dを再生する際、再生レーザパワーに2.8mWを採用することは、実質的に不可能である。
【0104】
一方、第2情報記録層104dの再生時には、必ず第1情報記録層102dを透過した再生レーザで再生を行うため、実際に照射した再生レーザが第2情報記録層104dに到達したとき、再生レーザパワーは減少している。そのため、再生レーザパワーを2.8mWにしても、第2情報記録層104dに到達した時点の再生レーザパワーは2.8mWよりも小さくなるため、第2情報記録層104dの反射率およびbERは安定する。
【0105】
したがって、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dおよび第2情報記録層104dを、従来の光情報記録媒体再生装置のように等しい再生パワーで再生することは、実質的に不可能である。
【0106】
また、2層超解像光情報記録媒体100eの第1情報記録層102eに関しても、2層超解像光情報記録媒体100dと同様に、再生レーザパワーに1.1mWを採用すると、再生回数の増大とともに反射率が減少することで、特性が悪化し、いずれは再生不可能となることがわかった。
【0107】
したがって、ディスク#2の2層超解像光情報記録媒体100eに関しても、第1情報記録層102eおよび第2情報記録層104eを、従来の光情報記録媒体再生装置のように等しい再生パワーで再生することは、実質的に不可能であることがわかった。
【0108】
前記〔背景技術〕において述べたように、一般的に、超解像技術は高い再生レーザパワーが必要である。また、第2情報記録層104eの再生時には、必ず第1情報記録層102eを透過した再生光で再生を行う。そのため、実際に第2情報記録層104eに届くレーザ光量は減少する。その結果、超解像再生を可能にするために必要な温度や光量の条件を満たさなくなる。したがって、第2情報記録層104eを超解像再生するには、第1情報記録層102eよりも高い再生レーザパワーを必要とする。
【0109】
(第1情報記録層を再生するときの再生レーザパワー)
次に、光情報記録媒体再生装置10がn層の情報記録層が積層された多層超解像光情報記録媒体を再生するときの、再生レーザパワーについて説明する。再生レーザ入射面側からn番目の情報記録層を第n情報記録層とする。再生レーザパワーである第1情報記録層の再生レーザパワーPr1および第n情報記録層の再生レーザパワーPrnについて述べる。以下においては、一例として、2層超解像光情報記録媒体100dを再生する場合、すなわち、nが2のときの、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2について説明する。
【0110】
第1情報記録層の再生レーザパワーPr1は、光情報記録媒体再生装置10が第1情報記録層102dを再生するときに設定する再生レーザパワーである。また、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2は、光情報記録媒体再生装置10が第2情報記録層104dを再生するときに設定する再生レーザパワーである。
【0111】
ここで、第1情報記録層102dの再生時に光情報記録媒体再生装置10が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワーを第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1minとする。例えば、図5において、第1情報記録層102dの再生時に計測されるbERが上述の閾値40以下となる再生レーザパワーは、1.0mW〜3.7mWの範囲であるので、このとき、第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1minは1.0mWと設定することができる。
【0112】
第2情報記録層の再生レーザパワーPr2は、第2情報記録層104dを再生時に光情報記録媒体再生装置10が必要とする再生信号特性を満たす再生レーザパワー範囲であればいかなる値に設定してもよい。例えば、図5においては、第2情報記録層104dの再生時に計測されるbERが上述の閾値40以下となる再生レーザパワーは、2.7mW〜5.0mWの範囲であり、この範囲で第2情報記録層の再生レーザパワーPr2を設定することができる。
【0113】
ただし、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2が上記レーザパワー範囲内で、低い再生レーザパワー値であるほどレーザの消費電力を抑えることができる。そのため、図5に示したように、第2情報記録層104dの再生時に計測されるbERが閾値40以下となる再生レーザパワーが、2.7mW〜5.0mWの範囲であるような再生信号特性を得られた場合においては、2.7mWを第2情報記録層の再生レーザパワーPr2として採用することが望ましいといえる。
【0114】
第2情報記録層の再生レーザパワーPr2を決める方法は、限定されない。例えば、スピンドルモータ20により光情報記録媒体100を回転させる前に、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2の設定関する情報を認識する手段(例えば、ディスクの一部、またはディスクを収容しているカートリッジの一部に切り欠き等が入っており、それを機械的に認識する方法等)を用いて2層超解像光情報記録媒体100dの再生開始前に第2情報記録層の再生レーザパワーPr2を設定してもよい。
【0115】
また、光情報記録媒体再生装置10の有する解像限界以上の記録マーク長により第2情報記録層の再生レーザパワーPr2の設定に関する情報が記録されていれば、まず通常の2層光情報記録媒体100c等で利用する低い再生レーザパワーにてその情報を読み出した後に、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2の設定をしてもよいし、あるいは、2層超解像光情報記録媒体100dに予め用意されたテストリード領域を利用してテストリード、すなわち、再生レーザパワーを上下に変動させて再生信号特性の再生レーザパワー依存性を測定し、上記再生レーザパワー範囲に入る第2情報記録層の再生レーザパワーPr2を設定する方法を用いてもよい。
【0116】
ここで、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1は、第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1min以上であり、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2より小さい値である。第1情報記録層の再生レーザパワーPr1、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2および第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1minは、以下の数式(1)を満たす関係にある。
【0117】
Pr1min≦Pr1<Pr2 … (1)
まず、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2より小さい値でなければいけない理由は、前記「従来の光情報記録媒体再生装置における再生レーザパワーについて」において詳細を述べたように、従来の光情報記録媒体再生装置10では第1情報記録層の再生レーザパワーPr1と第2情報記録層の再生レーザパワーPr2が等しい値であったが、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dを再生する際は、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1が第2情報記録層の再生レーザパワーPr2と等しいかそれ以上であると第1情報記録層102dの再生が不可能となってしまうためである。また、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1が第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1minより小さい場合、第1情報記録層102dを再生時に光情報記録媒体再生装置10が必要とする再生信号特性を満たすことができず、第1情報記録層102dの再生することが不可能であるため、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1は第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1min以上である必要がある。
【0118】
また、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1のとりうる再生レーザパワー範囲としてさらに好ましくは、以下の数式(2)の関係を満たすことである。
【0119】
1.05×Pr1min≦Pr1≦0.95×Pr2 … (2)
理由は次の通りである。一般的に、光情報記録媒体再生装置のレーザ自身の製造ばらつきや、光情報記録媒体再生装置の光学系の組み立てばらつき、光情報記録媒体の製造ばらつき、再生時の環境の変化等が存在するため、再生システムとして、実用的な再生信号特性を得るための再生レーザパワー範囲である再生レーザパワーマージンが必要となる。すなわち、再生レーザパワーマージンは再生レーザパワーの変動に対する余裕を表す。
【0120】
一般的に、再生レーザパワーマージンの量は、光情報記録媒体再生装置の光学系の、例えば光ピックアップの精度が高いほど小さくなるが、媒体ばらつき等が存在するため、5%以上は必要である。したがって、数式(1)で示した第1情報記録層の再生レーザパワーPr1の範囲に対して、上限値および下限値がそれぞれ5%の再生レーザパワーマージンを有する第1情報記録層の再生レーザパワーPr1の設定、すなわち、数式(2)で示した関係を満たすように設定することにより、2層超解像光情報記録媒体100dの第1情報記録層102dを再生する際に、光情報記録媒体再生装置10のレーザ光源自身の製造ばらつきや、光情報記録媒体再生装置10の光学系の組み立てばらつき、2層超解像光情報記録媒体100dの製造ばらつきや、再生時の環境の変化等に影響されることがなくなる。
【0121】
そのため、光情報記録媒体再生装置10が必要とする再生信号特性を満たした上で、従来の光情報記録媒体再生装置より再生回数の増大に伴う反射率や再生信号特性の変化がほぼなく、安定した第1情報記録層102dの再生が可能となる。
【0122】
第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1minを決める方法も、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2のときと同様限定されない。上述した第2情報記録層の再生レーザパワーPr2を決める方法と同様の方法等が考えられるが、テストリードにて第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1minを決定する方法の場合、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2のときと異なり、テストリードの結果を反映して第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1minは1点に決定される。
【0123】
第1情報記録層の再生レーザパワーPr1を決める方法も、限定されない。ただし、上述の数式(1)、より好ましくは数式(2)で示した第1情報記録層の最小再生レーザパワーPr1minと第2情報記録層の再生レーザパワーPr2から定められる再生レーザパワー範囲に入っていることが必要である。
【0124】
(層間移動)
次に、光情報記録媒体再生装置が多層超解像光情報記録媒体を再生するときにおいて、フォーカスしている情報記録層を第1情報記録層から第n情報記録層へ、またはフォーカスしている情報記録層を第n情報記録層から第1情報記録層へ変更する際の、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1および第n情報記録層の再生レーザパワーPrnについて述べる。以下においても、一例として、2層超解像光情報記録媒体100dを再生する場合について説明する。すなわちnは2である。
【0125】
フォーカスする情報記録層を第1情報記録層102dから第2情報記録層104dへ、またはフォーカスしている情報記録層を第2情報記録層104dから第1情報記録層102dへ変更する際は、再生レーザパワーが第2情報記録層の再生レーザパワーPr2より低いことが好ましい。
【0126】
フォーカスしている情報記録層を第1情報記録層102dから第2情報記録層104dへ、またはフォーカスしている情報記録層を第2情報記録層104dから第1情報記録層102dへ変更する(層間移動)際の再生レーザパワーが第2情報記録層の再生レーザパワーPr2以上の場合、第1情報記録層102dにフォーカスした際に、再生レーザパワーが高いため、第1情報記録層102dを不可逆的に再生不可としてしまう問題がある。これに対し、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2より低い場合、上記の問題、すなわち第1情報記録層102dを不可逆的に再生不可としてしまうことを防ぐ効果がある。
【0127】
また、フォーカスしている情報記録層を第1情報記録層102dから第2情報記録層104dへ、またはフォーカスしている情報記録層を第2情報記録層104dから第1情報記録層102dへ変更する(層間移動)際の再生レーザパワーが第1情報記録層の再生レーザパワーPr1であることがより好ましい。理由は以下の通りである。
【0128】
第2情報記録層の再生レーザパワーPr2より低く第1情報記録層の再生レーザパワーPr1ではない再生レーザパワーをPrxとし、フォーカスしている情報記録層を第1情報記録層102dから第2情報記録層104dへ、またはフォーカスしている情報記録層を第2情報記録層104dから第1情報記録層102dへ変更する(層間移動)際の再生レーザパワーをPrxとする。
【0129】
このとき、再生レーザパワーPrxは、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2とも異なるため、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1と第2情報記録層の再生レーザパワーPr2の再生レーザパワー変更の間に一度Prxにする必要がある。この結果、1回の層間移動に対し2度レーザパワーを変更することになり、時間のロスを生じる。また、Prxが第1情報記録層の再生レーザパワーPr1や第2情報記録層の再生レーザパワーPr2と大きく異なる値となると、各情報記録層にフォーカスがかからなく可能性があるという問題がある。
【0130】
フォーカスしている情報記録層を第1情報記録層102dから第2情報記録層104dへ、またはフォーカスしている情報記録層を第2情報記録層104dから第1情報記録層102dへ変更する(層間移動)際の再生レーザパワーが第1情報記録層の再生レーザパワーPr1であることにより、時間のロスを生じることなく、フォーカスがかからないということを防ぐ効果がある。
【0131】
以上、多層超解像光情報記録媒体の一例として2層超解像光情報記録媒体100dを再生可能な光情報記録媒体再生装置10について説明したが、上記説明中の2層超解像光情報記録媒体をnが2以上のn層光情報記録媒体、第2情報記録層104dを第n情報記録層、第2情報記録層の再生レーザパワーPr2を第n情報記録層の再生レーザパワーPrnとしたとき、情報記録層数がn層(nは2以上の整数)の多層超解像光情報記録媒体を再生可能な光情報記録媒体再生装置とすることができる。
【0132】
なぜなら、第1情報記録層と第n情報記録層の再生レーザパワーや耐久性の関係は、nが2から2以上になっても変わらないからである。
【0133】
このことは、例えば、第n情報記録層の再生時には、必ず第1情報記録層を通った再生光で再生を行うため、超解像再生を可能にするために必要な温度や光量のために、第1情報記録層よりも高い再生レーザパワーを必要とすることから明らかである。
【0134】
また、第1情報記録層は、第n情報記録層の再生を可能にするため、ある程度の光を透過する必要があり、そのため反射膜や光吸収層、機能層の厚さを薄くする必要が生じるため、材料等の状態が不安定な状態となり、反射率等の再生回数に伴う変化が大きくなるという事実からも導かれる。
【0135】
(発明の作用効果)
また、本発明は以下のように表現することも可能である。すなわち、本発明は、情報が高密度に記録された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置に関するものである。
【0136】
本発明は、レーザービーム等の光を用いて情報を記録および再生、あるいは、再生のみが可能な光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置に関し、特に、回折限界光スポット径で決まる光学的分解能以下の記録マークを再生可能な超解像光情報記録媒体技術を用いた光情報記録媒体の光情報記録媒体再生装置、光情報記録媒体再生方法および光情報記録媒体に関する。
【0137】
本発明の光情報記録媒体再生装置は、光情報記録媒体再生装置が有する解像限界の長さより短い記録マークの再生を可能とする再生膜を含む情報記録層をn層(nは2以上の整数)有する多層光情報記録媒体を再生可能な光情報記録媒体再生装置であって、該光情報記録媒体の、最も再生光入射面に近い第1情報記録層を再生する再生レーザパワーをPr1、最も再生光入射面から遠い第n情報記録層を再生する再生レーザパワーをPrn、第1情報記録層の再生時に該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワーをPr1minとしたとき、Pr1min≦Pr1<Prn、であることを特徴としている。
【0138】
これによれば、多層超解像光情報記録媒体の最も再生光入射面に近い第1情報記録層を再生する際に、光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たし、従来の光情報記録媒体再生装置より再生回数に伴う反射率や再生信号特性の悪化が改善され、第1情報記録層の安定した再生が可能となる。
【0139】
本発明の光情報記録媒体再生装置は、波長略405nmのレーザと開口数略0.85の対物レンズよりなる光学系を有し、120nmより短い記録マークが形成された情報記録層をn層(nは2以上の整数)有する多層光情報記録媒体を再生可能な光情報記録媒体再生装置であって、該光情報記録媒体の、最も再生光入射面に近い第1情報記録層を再生する再生レーザパワーをPr1、最も再生光入射面から遠い第n情報記録層を再生する再生レーザパワーをPrn、第1情報記録層の再生時に該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワーをPr1minとしたとき、Pr1min≦Pr1<Prn、であることを特徴としている。
【0140】
これによれば、Blu−ray Disc(登録商標)再生装置のような青色レーザ波長のレーザと開口数略0.85の対物レンズよりなる光学系を有する光情報記録媒体再生装置で、再生専用型の多層超解像光情報記録媒体の最も再生光入射面に近い第1情報記録層を再生する際に、光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たし、従来の光情報記録媒体再生装置より再生回数に伴う反射率や再生信号特性の悪化が改善され、第1情報記録層の安定した再生が可能となる。
【0141】
本発明の光情報記録媒体再生装置は、波長略405nmのレーザと開口数略0.85の対物レンズよりなる光学系を有し、120nmより短い記録マークを含む複数の記録マークが形成されることにより情報が記録される情報記録層をn層(nは2以上の整数)有する多層光情報記録媒体を再生可能な光情報記録媒体再生装置であって、該光情報記録媒体の、最も再生光入射面に近い第1情報記録層を再生する再生レーザパワーをPr1、最も再生光入射面から遠い第n情報記録層を再生する再生レーザパワーをPrn、第1情報記録層の再生時に該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワーをPr1minとしたとき、Pr1min≦Pr1<Prn、であることを特徴としている。
【0142】
これによれば、Blu−ray Disc(登録商標)再生装置のような青色レーザ波長のレーザと開口数略0.85の対物レンズよりなる光学系を有する光情報記録媒体再生装置で、記録型の多層超解像光情報記録媒体の最も再生光入射面に近い第1情報記録層を再生する際に、光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たし、従来の光情報記録媒体再生装置より再生回数に伴う反射率や再生信号特性の悪化が改善され、第1情報記録層の安定した再生が可能となる。
【0143】
本発明の光情報記録媒体再生装置は、1.05×Pr1min≦Pr1≦0.95×Prn、を満たすことを特徴としている。
【0144】
ここで、光情報記録媒体再生装置では、再生時の環境変化に備えて、再生システムとして再生パワーに余裕を持たせる必要がある。再生時の環境変化には、光情報記録媒体再生装置のレーザ自身の製造ばらつき、光情報記録媒体再生装置の光学系の組み立てばらつき、光情報記録媒体の製造ばらつき、などが考えられる。
【0145】
また、光情報記録媒体再生装置が高精度であるほど、余裕を持たせる量は小さくなるが、一般的な光情報記録媒体再生装置においては5%以上の余裕率が必要である。そこで、本発明のPr1において、上限値および下限値にそれぞれ5%の再生パワーに余裕を持たせるPr1の設定、すなわち、1.05×Pr1min≦Pr1≦0.95×Prnとすることを特徴としている。
【0146】
これによれば、多層超解像光情報記録媒体の最も再生光入射面に近い第1情報記録層を再生する際に、光情報記録媒体再生装置のレーザ自身の製造ばらつきや、光情報記録媒体再生装置の光学系の組み立てばらつき、光情報記録媒体の製造ばらつき、再生時の環境の変化等に影響されることなく、光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たし、従来の光情報記録媒体再生装置より再生回数に伴う反射率や再生信号特性の悪化が改善され、第1情報記録層のより安定した再生が可能となる。
【0147】
本発明の光情報記録媒体再生装置は、フォーカスしている情報記録層を第1情報記録層から第n情報記録層へ、またはフォーカスしている情報記録層を第n情報記録層から第1情報記録層へ変更する(以降、層間移動)際は、再生レーザパワーがPrnより低いことを特徴としている。
【0148】
これによれば、第n情報記録層から第1情報記録層にフォーカスした際に、再生レーザパワーがPrn以上に設定されていると、第1情報記録層を不可逆的に再生不可としてしまう問題がある。これに対し、Prnより低く設定されている場合、上記のような問題が生じずに、第1情報記録層を不可逆的に再生不可となることを防ぐ。好ましくは、再生レーザパワーはPr1であることが好ましい。
【0149】
Prnより低くPr1ではない再生レーザパワーをPrxとして、フォーカスしている情報記録層を第1情報記録層から第n情報記録層へ、またはフォーカスしている情報記録層を第n情報記録層から第1情報記録層へ変更する際の再生レーザパワーがPrxの場合、第1情報記録層の再生レーザパワーPr1、第n情報記録層の再生レーザパワーPrnのどちらとも異なる値に設定されるため、Pr1とPrnの再生レーザパワー変更の間に一度Prxにする必要があり、1回の層間移動に対し、2度レーザパワーを変更することになり、また、層間移動が遅くなるという問題がある。また、PrxがPr1もしくはPrnと大きく異なる値が設定されると、各情報記録層にフォーカスできない可能性がある。
【0150】
したがって、再生レーザパワーがPr1であることにより、層間移動の際、時間的に効率よくフォーカスすることが可能となる。
【0151】
本発明の光情報記録媒体再生装置は、nが2である該光情報記録媒体の再生開始時は、第1情報記録層から再生することを特徴としている。これによれば、第2情報記録層から再生するような光情報記録媒体再生装置の場合、誤って第1情報記録層にフォーカスがかかり、高い再生レーザパワーであるPr2で第1情報記録層を再生し、第1情報記録層を不可逆的に再生不可としてしまう問題を生じる可能性があるため、第1情報記録層から再生する光情報記録媒体再生装置であることにより、上記のような問題を防ぐことができる。また、nが2である2層超解像光情報記録媒体において、再生開始前にPr1およびPr2の値を識別可能な媒体である場合、再生を開始する際、第1情報記録層はPr1で、第2情報記録層はPr2で、再生を開始することで、時間的に効率よく再生できる。
【0152】
なお、本実施の形態においては光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置について開示したが、これに限られず、再生または記録専用の装置の他、再生および記録の両方が可能な装置が含まれ、その使用形態において据え置き用、携帯用の如何を問うものではない。
【0153】
以上のように、本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置において、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生する再生レーザパワーが、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生する再生レーザパワーより小さく、かつ、該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に設定されていることを特徴としている。
【0154】
また、本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、光学系として、波長が400nm以上、410nm以下であるレーザ光を照射可能なレーザ光源と、開口数が0.83以上、0.87以下である対物レンズとを備え、長さが120nm以下の上記記録マークが形成されることにより情報が記録される情報記録層が複数積層された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置において、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生する再生レーザパワーが、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生する再生レーザパワーより小さく、かつ、該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に設定されていることを特徴としている。
【0155】
また、本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、光学系として、波長が400nm以上、410nm以下であるレーザ光を照射可能なレーザ光源と、開口数が0.85である対物レンズとを備え、長さが120nm以下の上記記録マークが形成された情報記録層が複数積層された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置において、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生する再生レーザパワーが、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生する再生レーザパワーより小さく、かつ、該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に設定されていることを特徴としている。
【0156】
また、本発明に係る光情報記録媒体再生方法は、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置の制御方法において、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生するとき、再生レーザパワーを、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生する再生レーザパワーより小さく、かつ、該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に設定することを特徴としている。
【0157】
上記構成によれば、上記光情報記録媒体の、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生するときは、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生するときの再生レーザパワーよりも小さい再生レーザパワーで、かつ、光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に再生レーザパワーを設定し、レーザ光を照射し、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生する。そのため、不適切に高い再生レーザパワーで、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生することを防ぎ、さらに、繰り返しの再生に伴う反射率や再生信号特性の悪化を防ぐことができる。それゆえ、上記光情報記録媒体のような多層超解像光情報記録媒体を、安定して再生することが可能となる。
【0158】
ここで、従来の光情報記録媒体再生装置においては、n(nは2以上の整数)層の情報記録層を有する多層情報記録媒体を再生する際に、再生レーザ入射面から1番目の情報記録層である第1情報記録層を再生するときも、n番目の情報記録層である第n情報記録層を再生するときも、同じ再生レーザパワーを採用していた。例えば、従来の2層光情報記録媒体を再生するときは、第1情報記録層と、第2情報記録層を再生するときに、再生レーザパワーは同じであった。
【0159】
しかし、本発明の発明者は、2層超解像光情報記録媒体の第1情報記録層と、第2情報記録層を再生するときに、同じ再生レーザパワーで再生すると、第1情報記録層の記録マークが劣化し、その結果、第1情報記録層に記録されている情報の再生ができなくなることを見出した。
【0160】
そして、上記の構成は、Blu−ray Disc(登録商標)再生装置において採用される青色レーザのようなレーザ光であって、波長が400nm以上、410nm以下であるレーザ光を照射可能なレーザ光源と、開口数0.85の対物レンズとからなる光学系を有する光情報記録媒体再生装置にも、適用することができる。なお、上記開口数は、±0.02程度の誤差を生じたとしても、本発明の作用効果にはほとんど影響が無い。すなわち、開口数は、0.83以上、0.87以下であればよい。
【0161】
また、120nmより短い記録マークを含む複数の記録マークが形成された情報記録層や、120nmより短い記録マークを含む複数の記録マークが形成ことにより情報が記録される情報記録層等を再生するときにも適用することができる。
【0162】
なお、上記光情報記録媒体は、情報が記録済みであり、読み取り専用の光情報記録媒体(再生専用型)であってもよいし、情報が一部記録済みであり、追記可能な光情報記録媒体であって、かつ、前記情報が複数の情報記録層の少なくとも1層に形成された光情報記録媒体(記録再生型)であってもよい。
【0163】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生する再生レーザパワーが、さらに、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生する再生レーザパワーの0.95倍以下に設定され、かつ、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生するときに、該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワーの1.05倍以上に設定されていることを特徴とする。
【0164】
一般的に、再生時に再生品質を左右する要因として、例えば、光情報記録媒体再生装置のレーザ自身の製造ばらつきや、光情報記録媒体再生装置の光学系の組み立てばらつき、光情報記録媒体の製造ばらつき、再生時の環境変化等が挙げられる。
【0165】
上記の要因に対処するため、実用的な再生信号特性を得るための再生レーザパワー範囲である再生レーザパワーマージンが必要となる。すなわち、再生レーザパワーマージンは再生レーザパワーの変動に対する余裕を表す。一般的に、再生レーザパワーマージンの量は、光情報記録媒体再生装置の光学系の、例えば光ピックアップの精度が高いほど小さくなるが、媒体ばらつき等が存在するため、理論値の上限値および下限値に対して、5%以上は必要である。
【0166】
このように、再生レーザパワーマージンの理論値の上限値および下限値に対して、5%以上の余裕をもたせた構成とすることで、さらに、光情報記録媒体再生装置のレーザ光源自身の製造ばらつきや、光情報記録媒体再生装置の光学系の組み立てばらつき、光情報記録媒体の製造ばらつきや、再生時の環境の変化等に影響されることがなくなる。
【0167】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、或る情報記録層から、他の情報記録層へフォーカスを層間移動させる際に、上記再生レーザ入射面に最も遠い情報記録層を再生するための再生レーザパワーよりも小さい再生レーザパワーを維持しながらフォーカスを移動させることを特徴とする。
【0168】
上記構成によれば、再生レーザ入射面から遠い情報記録層と、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層との間において、フォーカスを層間移動させるときも、不適切に高い再生レーザパワーで、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生することを防ぎ、さらに、繰り返しの再生に伴う反射率や再生信号特性の悪化を防ぐことができる。
【0169】
また、上記構成において、さらに、再生レーザパワーを上記再生レーザ入射面に近い情報記録層を再生するための再生レーザパワーに維持しながらフォーカスを移動させることが望ましい。
【0170】
このとき、フォーカスの層間移動において、再生レーザパワーの変更は1度で済むため効率が良く、また、フォーカスがかからないということを防ぐことができる。
【0171】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、上記情報記録層の積層数が2であるときは、上記再生レーザ入射面に近い情報記録層から再生することを特徴とする。
【0172】
仮に、光情報記録媒体再生装置が、情報記録層の積層数が2である二層光情報記録媒体の再生を開始するときに、再生レーザ入射面から遠い情報記録層から再生するものとする。このとき、誤って、再生レーザ入射面から遠い情報記録層の再生レーザパワーで、再生レーザ入射面に近い情報記録層を再生してしまった場合には、再生レーザ入射面に近い情報記録層を不可逆的に再生不可としてしまうおそれがある。
【0173】
上記構成によれば、不適切に大きな再生レーザパワーで、再生レーザ入射面から近い情報記録層に照射することを防ぐことができ、再生レーザ入射面から近い情報記録層の再生特性を劣化させることがない。
【0174】
以上のように、上記課題を解決するために、本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置において、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生する再生レーザパワーが、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生する再生レーザパワーより小さく、かつ、該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に設定されていることを特徴としている。
【0175】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、光学系として、波長が400nm以上、410nm以下であるレーザ光を照射可能なレーザ光源と、開口数が0.83以上、0.87以下である対物レンズとを備え、長さが120nm以下の上記記録マークが形成されることにより情報が記録される情報記録層が複数積層された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置において、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生する再生レーザパワーが、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生する再生レーザパワーより小さく、かつ、該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に設定されていることを特徴としている。
【0176】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る光情報記録媒体再生装置の制御方法は、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層された光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置の制御方法において、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生するとき、再生レーザパワーを、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生する再生レーザパワーより小さく、かつ、該光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に設定することを特徴としている。
【0177】
上記構成によれば、上記光情報記録媒体の、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生するときは、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を再生するときの再生レーザパワーよりも小さい再生レーザパワーで、かつ、光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上に再生レーザパワーを設定し、レーザ光を照射し、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生する。そのため、不適切に高い再生レーザパワーで、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を再生することを防ぎ、さらに、繰り返しの再生に伴う反射率や再生信号特性の悪化を防ぐことができる。それゆえ、上記光情報記録媒体のような多層超解像光情報記録媒体を、安定して再生することが可能となる。
【0178】
ここで、従来の光情報記録媒体再生装置においては、n(nは2以上の整数)層の情報記録層を有する多層情報記録媒体を再生する際に、再生レーザ入射面から1番目の情報記録層である第1情報記録層を再生するときも、n番目の情報記録層である第n情報記録層を再生するときも、同じ再生レーザパワーを採用していた。例えば、従来の2層光情報記録媒体を再生するときは、第1情報記録層と、第2情報記録層を再生するときに、再生レーザパワーは同じであった。
【0179】
しかし、本発明の発明者は、2層超解像光情報記録媒体の第1情報記録層と、第2情報記録層を再生するときに、同じ再生レーザパワーで再生すると、第1情報記録層の記録マークが劣化し、その結果、第1情報記録層に記録されている情報の再生ができなくなることを見出した。
【0180】
そして、上記の構成は、Blu−ray Disc(登録商標)再生装置において採用される青色レーザのようなレーザ光であって、波長が400nm以上、410nm以下であるレーザ光を照射可能なレーザ光源と、開口数0.85の対物レンズとからなる光学系を有する光情報記録媒体再生装置にも、適用することができる。なお、上記開口数は、±0.02程度の誤差を生じたとしても、本発明の作用効果にはほとんど影響が無い。すなわち、開口数は、0.83以上、0.87以下であればよい。
【0181】
また、120nmより短い記録マークを含む複数の記録マークが形成された情報記録層や、120nmより短い記録マークを含む複数の記録マークが形成ことにより情報が記録される情報記録層等を再生するときにも適用することができる。
【0182】
なお、上記光情報記録媒体は、情報が記録済みであり、読み取り専用の光情報記録媒体(再生専用型)であってもよいし、情報が一部記録済みであり、追記可能な光情報記録媒体であって、かつ、前記情報が複数の情報記録層の少なくとも1層に形成された光情報記録媒体(記録再生型)であってもよい。
【0183】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る光情報記録媒体再生方法によれば、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層され、内径穴の近傍部に、光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより、多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報が記録されている光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生方法であって、 上記光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより記録された多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報を読み取る段階と、上記多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報に基づいて、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層であって、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を読み取る場合に、再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を読み取るのに必要なパワーよりも小さく、かつ光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上のパワーで読み取る段階とを含む。
【0184】
また、本発明の態様2に係る光情報記録媒体によれば、学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層され、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層では、入射面から最も遠い情報記録層よりも小さく、かつ光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上のパワーの再生レーザによって読み出し可能となっており、内径穴の近傍部に、光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより、多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報が記録されている。
【0185】
上記構成によれば、高密度な光情報記録媒体である多層超解像光情報記録媒体を、安定して再生することができる。
【0186】
本発明の一側面に係る光情報記録媒体は、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層され、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層では、入射面から最も遠い情報記録層よりも小さいパワーの再生レーザによって読み出し可能となっており、上記情報記録層の少なくとも1つには各層の再生レーザパワーの設定に関する情報が記録されている。
【0187】
また、本発明の一側面に係る光情報記録媒体再生装置は、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層され、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層では、入射面から最も遠い情報記録層よりも小さいパワーの再生レーザによって読み出し可能となっており、上記情報記録層の少なくとも1つには各層の再生レーザパワーの設定に関する情報が記録されている光情報記録媒体、を再生する光情報記録媒体再生装置であって、上記情報に基づいて、各層の再生レーザパワーを設定する。
【0188】
また、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0189】
多層に積層された光情報記録媒体を超解像再生する光情報記録媒体再生装置等に広く好適に利用できる。
【符号の説明】
【0190】
10 光情報記録媒体再生装置
12 偏光ビームスプリッタ(光学系)
13 レーザ光源(光学系)
15 検出器(光学系)
19 制御部
21 光ピックアップ(光学系)
26 パワー制御部
100 光情報記録媒体
100a 超解像光情報記録媒体
100d 2層超解像光情報記録媒体(光情報記録媒体)
100e 2層超解像光情報記録媒体(光情報記録媒体)
101 透光層
102 第1情報記録層(再生レーザ入射面に最も近い情報記録層)
103 中間層
104 第2情報記録層(再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層)
105 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層され、
内径穴の近傍部に、光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより、多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報が記録されている光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生方法であって、
上記光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより記録された多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報を読み取る段階と、
上記多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報に基づいて、光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層であって、再生レーザ入射面に最も近い情報記録層を読み取る場合に、
再生レーザ入射面から最も遠い情報記録層を読み取るのに必要なパワーよりも小さく、かつ光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上のパワーで読み取る段階とを含む、
光情報記録媒体再生方法。
【請求項2】
光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む情報記録層が複数積層され、
再生レーザ入射面に最も近い情報記録層では、入射面から最も遠い情報記録層よりも小さく、かつ光情報記録媒体再生装置が必要とする再生信号特性を満たす最小の再生レーザパワー以上のパワーの再生レーザによって読み出し可能となっており、
内径穴の近傍部に、光学系の解像限界より長い長さの記録マークにより、多層超解像光情報記録媒体か否かを示す媒体情報が記録されている光情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77372(P2013−77372A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265782(P2012−265782)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2010−134351(P2010−134351)の分割
【原出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】