説明

光情報記録方法、再生方法および記録装置

【課題】ホログラフィック記録媒体にデータを記録するとき、傷や欠陥に対して信頼性を保つとともに、ユーザーデータに対しては容量効率を高く保ち、管理情報に対しては、更新の容易性を高く保つ。
【解決手段】ホログラフィック記録装置においてユーザーデータに対しては複数のブックに渡る誤り訂正符号を付加する。一方、管理情報については2個以上の異なるブックに多重書きする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光情報記録方法、再生方法および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いた、Blu−ray Disc(BD)規格やHigh Definition Digital Versatile Disc(HD DVD)規格などにより、民生用においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。
【0003】
今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disc Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0004】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、今までの様な短波長化と対物レンズ高NA化による従来の高密度技術のトレンドとは異なった新しいストレージ技術が必要となる。
【0005】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0006】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光と、参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録する技術である。
【0007】
また情報の再生時には、記録時に用いた参照光を同じ配置で記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0008】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録では、1つのホログラムで2次元的な情報を同時に記録/再生され、また同じ場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生に有効である。
【0009】
ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報には、信号光束をレンズで光情報記録媒体に集光すると同時に、平行光束の参照光を照射して干渉させてホログラムの記録を行い、さらに参照光の光記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式が記載されている。さらに本公報には、信号光をレンズで集光してそのビームウエストに開口(空間フィルタ)を配することにより、隣接するホログラムの間隔を短くすることができ、従来の角度多重記録方式に比べて記録密度/容量を増大させる技術が記載されている。
【0010】
また、ホログラム記録技術として、例えばWO2004−102542号公報(特許文献2)がある。本公報には、1つの空間光変調器において内側の画素からの光を信号光、外側の輪帯状の画素からの光を参照光として、両光束を同じレンズで光記録媒体に集光し、レンズの焦点面付近で信号光と参照光を干渉させてホログラムを記録するシフト多重方式を用いた例が記述されている。
【0011】
また、レンズシフト多重方式の一つとして規格化された標準規格ECMA-377(非特許文献1)によれば、データの信頼度を守るための誤り訂正符号としては、ページ内ではLDPC符号(LowDencity Parity-check Code)によって符号化し、ページ間ではリードソロモン符号によって符号化することによって高い信頼性を維持することが記述されている。
【0012】
また、欠陥があった箇所を交替記録し、交替の位置関係を示すdefect listを管理情報として記録すること、特に一回記録可能なディスクにおいてはTemporary Defect ListをTemporary Disc Management Areaに交替の位置情報を記録することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【特許文献2】WO2004−102542号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】ECMA-377 http://www.ecma-international.org/publications/files/ECMA-ST/ECMA-377.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、ページデータが多重記録される略同一のボリュームに対し、ディスク表面に傷や汚れが付いたときは、その傷や汚れが付いたボリュームのデータが損なわれるため、非特許文献1に記載のようなページ間の誤り訂正符号をもってしても、データの信頼性が低くなるという課題がある。更には、データの信頼性を確保しながら、データの記録効率を高く保つ必要があるという課題がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、データの信頼性を確保するとともに、データの記録効率を高く保つことである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は、その一例としてユーザーデータに対しては、データが記録されたボリューム間で誤り訂正符号を付加し、管理情報については、異なるボリュームに同一の管理情報を少なくとも二重に記録することにより解決される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、データの信頼性を確保するとともに、データの記録効率を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ホログラフィック記録媒体への記録方法を示すフローチャト。
【図2】ホログラフィック記録媒体への記録方法を示す説明図。
【図3】ホログラフィック記録媒体への記録方法を示す媒体の模擬図。
【図4】ホログラフィック記録媒体への記録方法を示すフローチャト。
【図5】ホログラフィック記録媒体への記録方法を示すフローチャト。
【図6】ホログラフィック記録媒体への管理情報の記録方法を示す説明図。
【図7】ホログラフィック記録媒体への記録方法を示すフローチャト。
【図8】ホログラフィック記録媒体へのユーザーデータの記録方法を示す説明図。
【図9】ホログラフィック記録再生装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の第1の実施例について図1を用いて説明する。図1は本実施例によるホログラフィック記録媒体への記録方法を記したフローチャートである。
【0021】
本実施例では、信号光束をレンズでホログラフィック記録媒体に集光すると同時に、平行光束の参照光を照射して干渉させてホログラムの記録を行い、さらに参照光のホログラフィック記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う角度多重方式を例に扱って説明する。なお、ボリュームにページデータが角度多重されて記録されるデータ群をブックデータまたはブックと称する。また、ボリュームとは、記録媒体上の区切られた領域をいい、ホログラフィック記録媒体上には複数のボリュームがあるものとする。
【0022】
本実施例による記録方法の処理をスタートすると(100)、記録するデータが、管理情報か、もしくはユーザーデータかを判定する(101)。ここで、管理情報は、交替処理等によって更新されるユーザーデータに関する情報を含み、例えば欠陥のあるユーザーデータが記録された領域のアドレスを示す情報などが含まれる。
【0023】
記録するデータが、ユーザーデータであると判定された場合はn個のブックに相当する量のデータを集める(102)。その後、n個のブックに対しブック間パリティを生成し、生成されたブック間パリティをm個のブックデータの構成をとるパリティブックとして構成する。そして、n個のブックに対してパリティブックを付加する(103)。一方、管理情報であると判定された場合は102、103の処理は行われない。
【0024】
こうして、ブック単位にデータ、パリティがまとめられた後、ブックに含まれる複数のページデータを各ブックごとに集め、ページデータ間のパリティを生成する(104)。そして、各ブックデータに対し、生成されたページデータ間のパリティをそれぞれ付加する(104)。次に各ページ内でパリティの生成が行われ、生成されたパリティをそれぞれ各ページに付加する(105)。こうして各パリティの生成が終了した後、ユーザーデータであれば(106−ユーザーデータ)、通常の記録が行われ(107)、管理情報であれば(106−管理情報)、例えば同じデータが一つの傷で同時に破壊されないように距離をとったボリューム2箇所に同一の管理情報のデータが記録される(108)。記録終了でなければ(109-No)、101から処理を繰り返す。109−Yesであれば処理を終了する。
【0025】
次に、本実施例におけるホログラフィック記録媒体への記録方法の一例を図2を用いて説明する。図2は、角度多重されてページデータが記録されるブックデータの記録されるボリュームの配置を示した模式図である。各○印はブックデータが記録されるボリュームを示しており、ディスク状のホログラフィック記録媒体の場合、これらのボリュームが内周側かららせん状もしくは円周上に配置されている場合についての説明とする。
【0026】
本実施例ではホログラフィック記録媒体は、管理情報が記録される領域である管理領域200と、ユーザーデータが記録される領域であるユーザーデータ領域201に分割されている。管理情報が記録されるDM0のブックデータは、202のボリュームに記録されるとともに、隣接するボリュームには記録されずに、所定の距離を離したボリューム(203)にDM0のブックデータのコピーが記録される。これにより、一つの傷や欠陥によってデータが失われる可能性を低減できる。
【0027】
一方、ユーザーデータ領域にはD0,D1,D2,D3と4個のブックデータを集める。これらに対してパリティを生成してパリティからなるブックデータP0(205)を生成して、ブック間のECC(Error Correction Code)ユニット(以下、インターブックECCユニットという)を構成する。そして、それらをボリュームに記録していく。
【0028】
なお、このブック間のパリティの訂正能力は、管理領域で一つの傷や欠陥によってデータが失われるのを避けようとした大きさの傷、欠陥に対して概ね訂正可能なようにすると良い。これにより、ユーザーデータの信頼性と管理情報のデータの信頼性を概ね同等とすることができる。
【0029】
また、管理領域で多重するデータ間の距離をユーザーデータに対するパリティの訂正能力以上にすることで、管理情報の信頼性を特に高く採ることもできる。また、同一の管理情報を3つ以上多重記録しても、管理領域の信頼性を特に高く採るができる。
【0030】
以上本実施例によれば、ユーザーデータに対しては、複数のブックを集めてブック間パリティを生成し、さらに生成したパリティからなるブックを構成し、該パリティブックを集められたブックに付加することで、ホログラフィック記録媒体上の傷に対するユーザーデータの信頼性を確保することができる。また、管理領域の多重記録される距離と同等程度の距離の傷に対して訂正可能になるように符号を生成することで、ユーザーデータを離れたボリュームに多重記録するのに比べ、データの符号効率を高く保つことができる。
【0031】
一方、比較的データ容量が小さく、更新頻度が高い管理情報に対しては、ブックを集めて訂正ブロックの構築をするということは行わず、距離の離れたボリュームに同一の管理情報のデータを記録することで、管理情報の更新をするたびに大量のブックデータを集めることなく更新が可能となり、ライトワンスの媒体でも小さい単位での追記が可能となるため、記録効率の向上が図れる。また、同一の管理情報が所定距離離れて複数記録されるのでデータの信頼性を向上させることが可能となる。
【0032】
なお、本実施例では、管理領域のデータすべてに対しブック間のパリティを付加せずに、記録したが、更新頻度の観点で管理領域のデータを分割して、更新頻度の低いものに対してはまとめてブック間パリティの付加を行い、更新頻度の高いものに対してはブック間パリティの付加を行わず、多重記録を行うように処理を分けてもよい。これにより、更に記録容量を有効に使えることができる。
【0033】
また付加するパリティデータでブックを構成するので記録の開始、終了がインターブックECCユニットに達しない単位でも0データを仮想付加することなどで、ブック単位の長さで記録の開始、終了点が選択することができる。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の第2の実施例を図3を用いて説明する。図3は本実施例により記録再生が行われる、ホログラフィック記録媒体を示す。図3において○印は角度多重されてページデータが記録されるブックデータの記録されるボリュームを示している。301,302,303,304,305,306はブックデータが記録されるボリュームが配置されるトラックを示す。各トラックのうち301は管理領域であり、302,303,304,305,306はユーザーデータ領域である。本図ではトラックを作図の都合上、四角形で表現したが、らせん状や円周状にすれば、ブックデータを記録する際に、位置あわせを行いやすいと言う効果がでる。
【0035】
管理領域301には管理情報のデータが記録されるデータブックDM0が図3上の番号1のボリュームに記録され、更にDM0のコピーが番号5のボリュームに記録されており、所定の距離を離してブックデータのコピーを記録している。
【0036】
一方、ユーザーデータエリアには、トラック302に1つのインターブックECCユニットが記録されている。
【0037】
本実施例では番号17,19,21,23のボリュームにD0,D1,D2,D3のブックデータを書き込んでいき、それに続いてD0,D1,D2,D3から生成するパリティブックデータP0,P1をそれぞれ25,27のボリュームに書き込む。
【0038】
第1の実施例と異なり1つ飛ばしの(1つずつボリュームをスキップして)ボリュームに対しインターブックECCユニットを記録することで欠陥、傷に対する耐力を向上することができる。
【0039】
またホログラフィック記録媒体に情報を記録する記録装置では、移動、位置合わせ、静止、ブックデータの記録を繰り返す、いわゆるストップアンドゴー方式を用いることがある。この方式を用いた場合、記録媒体に対して飛び飛びに記録することが、DVDなどのビットバイビット記録の媒体より容易である。そのため、一つずつ飛ばして(ボリュームをスキップして)インターブックECCユニットを記録する場合、エンコードシステムに必要とされるインターリーブ用のRAMを削減することが可能である。
【0040】
また、パリティブックデータをP0、P1の2個にしたため、パリティのデータブックが一つの傷により欠損しても再生可能とすることができる。
【0041】
すなわち、所定のボリュームをスキップしたブックデータでインターブックECCユニットを構成し、適切な訂正能力を確保できるようにECC符号を選定することで、ユーザーデータの傷欠陥耐力の向上と更新単位を小さくできることによる管理情報の扱いの容易性とが可能となる。
【0042】
なお、本実施例では、パリティブックデータはP0とP1の2つを生成する場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、訂正すべき程度に応じて1つとしてもよいし、3つ以上としてもよい。
【実施例3】
【0043】
次に、本発明の第3の実施例を図4を用いて説明する。図4は本実施例による図3に示されるホログラフィック記録媒体に対する記録方法をフローチャートに示したものであり、図2の符号も用いて説明する。
【0044】
D0,1,2,3からパリティブックデータP00,P01を生成し(401)、D0を番号17のボリュームに記録(402)、D1を番号19のボリュームに記録(403)、D2を番号21のボリュームに記録(404)、D3を番号23のボリュームに記録(405)、P00を番号25のボリュームに記録(407)、P10を番号27のボリュームに記録する。
【0045】
この状態から、もう1つのインターブックECCユニットを記録し続ける場合について以降説明する。まず、続くデータD4,5,6,7からパリティブックデータP01、P11を生成し(408)、D4を番号18のボリュームに記録(409)、D5を番号20のボリュームに記録(410)、D6を番号22のボリュームに記録(411)、D7を番号24のボリュームに記録(412)、P01を番号26のボリュームに記録(413)、P11を番号28のボリュームに記録(414)を行う。そしてこれらの記録処理に関連して管理情報の更新を番号1,5のボリュームに記録する。
【0046】
以上、本実施例によれば、所定のボリュームをスキップして記録を進めていっても、スキップされたボリュームに対して別のブックデータを記録することにより、無駄な領域が存在しにくくなるため、データの信頼性が向上するとともに、記録効率を向上させることが出きる。
【実施例4】
【0047】
次に、本発明の第4の実施例を図5を用いて説明する。図5は図3に示されたホログラフィック記録媒体に対する記録方法の一例をフローチャートに示したものである。
【0048】
本実施例では、記録を終了する箇所がインターブックECCユニット単位に満たなかった場合に、どのように処理するかを示す。
【0049】
501〜507は図4の401〜407と同様であるため説明を省略する。507の処理の後にD4,5の2ブックデータを記録して終了する場合について説明する。まず、D6,D7のブックデータはすべて0(ダミーデータ)だと仮想する。そしてD4,5と仮想のD6,7からP01、P11のブックデータを生成する(508)。D4を番号18のボリュームに記録(509)、D5を番号20のボリュームに記録(510)、P01を番号22のボリュームに記録(511)、P11を番号24のボリュームに記録を行う(512)。
【0050】
そして、これらの記録処理に関連してインターブックECCユニットのユニット長未満で記録を行ったことを示す情報など、記録に関する管理情報の更新を番号1,5の2つのボリュームに多重記録する(513)。そして、記録を終了する(514)。
【0051】
以上、本実施例によれば、インターブックECCユニット単位に拘束されずにブック単位で記録の終了および開始を行うことができるので、ライトワンスの媒体でも欠陥や傷に対して十分に耐力のあるインターブックECCユニットの符号長を選ぶことが容易に実現できる。
【実施例5】
【0052】
次に、本発明の第5の実施例を図6を用いて説明する。第4の実施例で示されたとおり、インターブックECCユニットは必ず決まった長さになるとは限らないので、インターブックECCユニットの先頭、終了する番号のボリュームをブック単位で、記録に関する情報として記録する必要が生じる。本実施例はこの方法に関するものである。
【0053】
図6にホログラフィック記録媒体への管理情報の記録方法の一例を示す。601は交替処理を表す管理情報のデータ構造の一例を示すものである。statusは、欠陥のある交替元と交替先をペアで表しているものや、欠陥のある交替元は示されているが交替先は指定されないものなどの交替処理の種別を示し、Defect Adressは交替元のアドレスを示し、Replacement Adressは交替先のアドレスを示す。ここで、交替処理をどの単位で行うのが好ましいかと言う問題がある。
【0054】
ホログラフィック記録媒体では記録データに対して定着処理(ポストキュア)が必要である場合がある。ここで、定着処理(ポストキュア)とは、ホログラフィック記録媒体内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する工程である。定着処理(ポストキュア)は少なくとも角度多重されたブック単位以上で行うことが必要であること、また、ブックはページデータが多数に渡って角度多重されたデータ群であり、ブルーレイのクラスタなどに比べると大きな単位であることから、ポストキュアの最小単位であるブック単位で交替処理を行う。その状態を、図6に示す。
【0055】
602はインターブックECCのパリティのブックのボリューム番号をすべてリストアップする形式を示したものである。また、603はインターブックECCユニットの先頭のアドレスを示し、604はインターブックECCユニットの最後のアドレスを示すものである。
【0056】
これらの形式のデータを記録が終了するごとにまとめて管理領域に登録することで、第4の実施例の場合のようにインターブックECCユニットのユニット長未満で記録を行った場合などに対しても対応が可能となる。
【0057】
また、交替処理に関するリスト形式とECCの位置のリスト形式を揃えることで、つまり、交替処理に関する位置とECCに関する位置をブック単位で表すことにより、記録後のべリファイチェックによる品質チェック結果に対応することを主とする交替処理と、その後の保存時での傷に対する対応を主とするインターブックECCを組み合わせることができるため、データ品質の維持を実現することができる。
【0058】
また、傷が増えてインターブックECCでデータ品質が不足してきた場合に、再度交替処理を加えることができる。
【実施例6】
【0059】
次に、本発明の第6の実施例について説明する。図7は、図3に示されたホログラフィック記録媒体に対する記録方法の一例をフローチャートに示したものであり、図5のフローチャートによって示される処理でブックデータD5まで一旦記録を行って記録を終了した後、追記を如何に行うかを示したものである。
【0060】
本実施例では、図5に示される記録が終了した状態のホログラフィック記録媒体に対して、D6、D7のデータを追記する例を示す。
【0061】
まずD4のブックデータを番号18のボリュームから読み出す(701)。次にD5のブックデータを番号20のボリュームから読み出す(702)。読み出したD4,D5のブックデータと新たに追記のため入力されたD6,D7のブックデータからパリティブックデータP01,P11を再生成する(703)。次に、D6を番号26のボリュームに記録(704)、D7を番号28のボリュームに記録(705)する。
【0062】
次に703で再生成されたP01を番号30のボリュームに記録する(706)。同様に703で再生成されたP11を番号32のボリュームに記録する(708)。そして、これらの記録処理に関連して新しいインターブックECCユニットの先頭アドレスと最終アドレスとともに、番号22と番号24に記録された追記前のP01、P11を無効にする情報など、記録に関する管理情報の更新を図6に示される形式などに従って番号2,6の2つのボリュームに記録する(709)。
【0063】
以上、本実施例によればインターブックECCユニット単位に満たないブック単位で記録の終了を行われた後に追記する際に、ライトワンス媒体においてもインターブックECCユニット単位に記録しなおすことができる。そのため追記された媒体は、インターECCブロック単位のECC処理を効率よく行え、再生速度を高く保つことを可能とする。
【0064】
また、本実施例によれば、インターECCブロック単位以下で記録されたデータが例えばa,b,cと続いたとき、a,b,cのそれぞれごとに仮想データをあわせてECC処理を行わなければいけなくなることにより、再生処理の負担が重くなり、再生速度が遅くなる可能性を低減できる。
【0065】
また、追記前のパリティブックデータを無効にする情報を管理情報に記録することにより、追記前のパリティブックデータを誤って再生することは無い。ここで、無効にする情報としては、例えば追記前のパリティブックデータは欠陥があるものとして取り扱い、そのデータのアドレスを示す交替処理情報を管理情報に記録してもよい。
【0066】
次に、各実施例のECCの各配置についての一例を説明する。図8は、角度多重方式のホログラフィック記録において、複数のブックを集めてECCを付加する場合の各ECCの配置について示した模式図である。ここで、イントラページECCはページ内のECCを示し、インターページECCはページ間のECCを示し、インターブックECCはブック間のECCを示す。
【0067】
図8を用いてパリティブックを付加してインターブックECCを構成する方法を、インターページECC、イントラページECCとの関係とあわせて説明する。
【0068】
803はインターブックECCである。複数のブックを集めて図のように同じページの同じ関係のデータ(例えば、同じ参照光角度で角度多重されたデータや個々のページデータが有するページ数などを示すヘッダー情報が同じデータ)を集めて複数のECCブロックを構成して(各2点破線が1個のECCブロックを示す)Parityをデータに付加する。付加されたパリティはパリティブックの同じページに付加することにして、パリティブックを構成する。
【0069】
次に、802に示されるインターページECCがデータに付加される。インターページECCは各ページから略同数のデータを集めて複数のECCブロック(各一点破線が1個のECCブロックである)を構成し、各ECCブロックにパリティを付加する。
【0070】
801はイントラページECCの付加を示す。801ではページ内のデータを一定数ずつ集めて複数のECCブロック(各実戦が1個のECCブロックを示す)に分割してECCをデータに付加する。
【0071】
以上、ここでは、ECCの付加について説明した。各ECCの符号の種類については、ホログラフィック記録媒体に記録するデータの記録密度を高くするためには、訂正能力は高いが誤訂正の確率が比較的品質の良い状況から想定されるLDPC(Low Dencity Parity−check code)をイントラページECCとして用い、誤訂正の確率が比較的品質の良い状況から存在するLDPCの特性を補うためにリードソロモン符号をインターページECCに用い、インターブックECCには対バースト性を考えてリードソロモン符号を用いることが有効である。ただし、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0072】
また、ここでは、インターブックECCで各ブックの同じページ、ページ内の同じ位置関係のデータを集めてECCブロックを生成する例を示したが、これは、構成方法をもっとも簡単にした場合である。各ブックの違うページ、違う位置関係のデータと組み合わせることで処理は複雑化するが、角度多重記録において特定の角度の記録に問題が生じる場合や、読み出し装置の一種であるCCDの欠陥などにより読み出し時に特定のドットがエラーとなるような場合に対してのエラー耐性を高くすることが可能となる。
【0073】
また、インターブックECCとインターページECCで同じ種類の訂正符号を用い、符号長を共通化し、それぞれで分割するECCブロックの数も略同一とし、インターブックECCの生成とインターページECCの生成を同時ではなく逐次行うシステムとすれば、必要となるインターリーブ用のメモリなどを一つにできシステムの簡略化に有効である。
【0074】
次に各実施例のホログラフィック記録再生装置の一例を図9を用いて説明する。図9は本発明の1実施例であるホログラフィック記録再生装置を示す図である。図9において、900はホログラフィック記録媒体であり、901はホログラフィック記録媒体を回転させるディスクモーターであり、902は記録信号から信号光を照射させる光ピックアップであり、903は、902から出射された参照光の位相共役光を位相共役光学系12にて生成する位相共役光学系である。ここで位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことである。
【0075】
904は記録済のブックデータに対して定着光を照射させるためのディスクcure光学系であり、905は、902、903、904の各光学系を目的の箇所に移動させるアクセス制御回路であり、906は光ピックアップ902、ディスクcure光学系904のレーザーを駆動する光源駆動回路である。
【0076】
907はディスクモータ901の回転制御、光ピックアップ902の位置制御、フォーカス制御などを行うサーボ制御回路であり、908はディスクcure光学系904の光束系を連続記録中と記録停止/開始で変更することによって、連続記録時のみ光束系を大きくとって定着処理を高速化したりするのに用いられる光束径制御回路である。
【0077】
909は外部機器との間で記録データもしくは再生データのやり取りを行うインターフェース回路であり、910はECCの付加や変調処理などを行う信号生成回路であり、記録時に上記実施例などで示されたパリティの生成処理などを行う信号生成回路である。
【0078】
信号生成回路910は、ページ内訂正符号生成回路911、ページ間訂正符号生成回路912、ブック間訂正符号生成回路913、生成処理用バッファRAM914を含んでいる。入力されたユーザーデータは一旦再生処理用バッファRAM914に蓄えられる。生成処理用バッファRAM914に蓄えられたデータに対しては、読み出されて以下に記する各訂正符号付加処理が行われる。ページ内訂正符号生成回路911とぺージ間訂正符号生成回路912はすべてのブックに対して訂正符号の生成処理を行う。
【0079】
一方、ブック間訂正符号生成回路913は、ユーザーデータ記録領域の入力されたユーザーデータに対して生成処理を行い、管理情報に対しては生成処理を行わない。管理情報のデータはページ内訂正符号生成回路911とぺージ間訂正符号生成回路912で訂正符号が付加された後は、多重処理回路930の制御に従って、同じデータがコピーされて2ブック分のデータが用意され、アクセス制御回路905で多重書きするするデータの位置を制御し、同じブックデータが管理領域上の2つの異なるボリュームに記録される。
【0080】
一方、920は復調処理や誤り訂正処理などを行う信号再生処理回路であり、再生時に上記実施例などで示されたライトが行われたデータを再生することにより誤り訂正などを行う。信号再生処理回路920は、ページ内訂正処理回路921、ページ間訂正処理回路922、ブック間訂正処理回路923、再生処理用バッファRAM924を含んでいる。光ピックアップから再生されたデータは一旦、再生処理用バッファRAMに蓄えられる。再生処理用バッファRAM924に蓄えられたデータに対しては、読み出されて以下に記する各訂正処理が行われる。ページ内訂正処理回路921、ページ間訂正処理回路922は、すべてのブックの再生で訂正処理を行う。
【0081】
一方、ブック間訂正処理はユーザーデータ領域のユーザーデータに対しては訂正処理を行うが、管理情報に対しては訂正処理を行わない。管理情報のデータはページ内訂正処理回路921とぺージ間訂正処理回路922で訂正処理がなされるとともに、多重処理回路930の制御によって、多重書きされたデータがアクセス制御回路905との協調で管理領域上の2つの異なるボリュームから読み出される。読み出された2つの管理情報が両方訂正不能でない場合は、両者が一致するか否かを判別し、一致すれば一致した内容で管理情報を読み出す。これにより管理情報の読み出しの確実性を上げることができる。一方の管理情報が訂正不能でデータを読み出すことができないような場合は、訂正不能でない方の情報を読み取る。これにより、可読性をあげることができる。
【0082】
以上、これによれば前述の各実施例を実現する回路を提供することができる。
【0083】
なお、もちろん上記各実施例は適宜組み合わせてもよい。
【0084】
また、上記実施例において管理情報を更新するたびに、同一の管理情報をホログラフィック記録媒体に二重に記録したが、管理情報のデータ量がブック単位を満たすまでは例えばホログラフィック記録再生装置内のメモリ(例えば、生成処理用バッファRAM914)に管理情報を保持しておき、管理情報の更新がなされ、管理情報のデータ量がブック単位を満たした場合、同一の管理情報をホログラフィック記録媒体に二重に記録してもよい。これにより更に記録効率を高めることができる。また、記録媒体にメモリを添付し管理情報のデータ量がブック単位を満たすまで、該メモリが保持することで同様の効果が得られる。
【0085】
また、上記実施例において、管理情報については同一の管理情報を2つ以上記録する場合を示したが、上記実施例でいう同一とは、必ずしも全ての情報が同一である必要はなく、管理情報の中でも特に重要となる情報、例えば欠陥管理情報等を少なくとも2重以上に記録してもよい。
【符号の説明】
【0086】
103 ブック間パリティ符号生成
104 ページ間パリティ符号生成
105 ページ内パリティ符号生成
108 データ多重記録
900 ホログラフィック記録媒体
901 ディスクモーター
902 光ピックアップ
903 位相共役光学系
904 ディスクcure光学系
905 アクセス制御回路
906 光源駆動回路
907 サーボ制御回路
908 光束径制御回路
909 インターフェース回路
910 信号生成回路
911 ページ内訂正符号生成回路
912 ページ間訂正符号生成回路
913 ブック間訂正符号生成回路
914 生成処理用バッファRAM
920 信号再生処理回路
921 ページ内訂正処理回路
922 ページ間訂正処理回路
923 ブック間訂正処理回路
924 再生処理用バッファRAM
930 多重処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィック記録媒体に情報を記録する記録方法であって、
ホログラフィック記録媒体上の複数のボリュームにデータを記録しようとする場合、
記録するデータがユーザーデータである場合、前記複数のボリューム間で誤り訂正符号を生成し、
前記生成されたボリューム間の誤り訂正符号を前記ユーザーデータに付加し、
記録するデータが管理情報である場合、異なるボリュームに同一の管理情報を記録することを特徴とする記録方法。
【請求項2】
請求項1記載の記録方法において、
前記記録方法は参照光の入射角度を異ならせることにより複数のページを多重記録しブックを生成する角度多重方式であり、
記録するデータがユーザーデータである場合、ブック間で誤り訂正符号を生成し、
前記生成されたブック間の誤り訂正符号を前記ユーザーデータに付加することを特徴とする記録方法。
【請求項3】
請求項2記載の記録方法において、
生成されたブックのページ内で誤り訂正符号を生成する処理と、
前記生成されたページ内の誤り訂正符号を付加する処理と、
生成されたブックのページ間で誤り訂正符号を生成する処理と、
前記生成されたページ間の誤り訂正符号を付加する処理と、
を有することを特徴とする記録方法。
【請求項4】
請求項2記載の記録方法において、
ユーザーデータに対して付加される、ブック間の誤り訂正符号によるパリティは、独立したブックとして、ホログラフィック記録媒体上のボリュームに記録されることを特徴とする記録方法。
【請求項5】
請求項2記載の記録方法において、
インターブックECCユニットに満たないデータ群を記録する場合、固定データを仮想的に挿入した後、前記データ群と前記固定データに対してブック間の誤り訂正符号を生成することを特徴とする記録方法。
【請求項6】
請求項5記載の記録方法において、
インターブックECCユニットの先頭のブックのアドレスを示す情報と、最終のブックのアドレスを示す情報を管理情報として記録することを特徴とする記録方法。
【請求項7】
請求項5記載の記録方法において、
前記データ群と前記固定データに対してブック間の誤り訂正符号を生成した後にデータの追記を行う場合、前記データ群を再生し、該再生されたデータ群と新たに追記するデータからブック間の誤り訂正符号の生成を行うことを特徴とする記録方法。
【請求項8】
請求項7記載の記録方法において、
前記生成された前記データ群と前記固定データに対するブック間の誤り訂正符号によるパリティは無効であることを示す情報を管理情報に記録することを特徴とする記録方法。
【請求項9】
請求項2記載の記録方法において、
前記管理情報を記録する場合、同一の管理情報を離れたボリュームに記録することを特徴とする記録方法。
【請求項10】
請求項6記載の記録方法において、
記録不良のブックに対しては他のブックに交替して交替情報を管理領域に記録する交替処理を行い、
前記アドレスを示す情報と前記交替処理の交替情報とを同じ形式で記録することを特徴とする記録方法。
【請求項11】
ブック間に渡った誤り訂正符号と、同じブック内でページ間の誤り訂正符号と、ページ内の誤り訂正符号と、が付加されたユーザーデータ及び複数の同一の管理情報が角度多重方式によって記録されたホログラフィック記録媒体からデータを再生する再生方法であって、
前記ページ内誤り訂正処理と、前記ブック内でのページ間の誤り訂正処理とがなされたデータを再生し、
再生されたデータがユーザーデータであればブック間の誤り訂正処理を行い、
再生されたデータが管理情報であれば該再生データから管理情報を再生することを特徴とする再生方法。
【請求項12】
ホログラフィック記録媒体に情報を記録する記録装置であって、
同じボリュームもしくは略同じボリュームに複数のページを多重記録し、ブックを生成する記録処理手段と、
ページ内の誤り訂正符号を生成する第1の訂正処理回路と、
ブック内のページ間の誤り訂正符号を生成する第2の訂正符号生成回路と、
ユーザーデータに対して、ブック間の誤り訂正符号を生成する第3の訂正符号生成回路と、
管理情報に対しては、異なるブックに同一の管理情報を記録する多重記録処理手段と、を備える
ことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−33226(P2012−33226A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171329(P2010−171329)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】