光情報記録装置、光情報再生装置、光情報記録再生装置、光情報記録方法、光情報再生方法および光情報記録再生方法
【課題】ホログラムの再生品質を向上可能な波面収差検出方法および補償方法を得る。
【解決手段】参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞がホログラムとして記録されたホログラム記録媒体を再生する光情報再生装置において、記録されたホログラムに前記参照光を照射し得られた再生光を検出する光検出器と、前記参照光を分岐し第1の参照光と第2の参照光を生成する光学素子と、前記第1の参照光と前記第2の参照光を干渉させることで波面収差を検出する波面検出器と、前記参照光の波面を補償する波面補償器を具備し、前記波面検出器の出力に基づいて前記波面補償器を調整することを特徴とする光情報再生装置で解決できる。
【解決手段】参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞がホログラムとして記録されたホログラム記録媒体を再生する光情報再生装置において、記録されたホログラムに前記参照光を照射し得られた再生光を検出する光検出器と、前記参照光を分岐し第1の参照光と第2の参照光を生成する光学素子と、前記第1の参照光と前記第2の参照光を干渉させることで波面収差を検出する波面検出器と、前記参照光の波面を補償する波面補償器を具備し、前記波面検出器の出力に基づいて前記波面補償器を調整することを特徴とする光情報再生装置で解決できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを用いて光情報記録媒体に情報を記録、光情報記録媒体から情報を再生する、光情報記録装置、光情報再生装置、光情報記録再生装置、光情報記録方法、光情報再生方法および光情報記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いた、Blu−ray Disc(TM)規格により、民生用においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disk Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0003】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、短波長化と対物レンズ高NA化による高密度化技術とは異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0004】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0005】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光を、記録媒体の内部で参照光と重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録媒体に記録する技術である。
【0006】
情報の再生時には、記録時に用いた参照光を記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0007】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録技術は、1つのホログラムによって2次元的な情報を一気に光記録媒体に記録し、さらにこの情報を再生することを可能とするものであり、そして、記録媒体のある場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生を果たすことができる。
【0008】
以上のようなホログラム記録再生技術として、例えば特開2010−61718号公報(特許文献1)がある。本公報には、「光学装置においては、その光路中を進む間にレンズ等の光学素子によって光の波面が歪んでしまう。そして、互いに異なる光学装置間では、光学系の配置を互いに同一にしたとしても、光の波面の歪み方は異なってしまう。したがって、一般に、ホログラム記録装置とホログラム再生装置との間でも、参照光の波面形状が異なったものとなってしまい、そのため、記録時と再生時との間で、参照光が同一の波面形状とならず、再生データのSNR(SN比)が低下してしまう、という問題」に対して、「参照光の光路中に、該参照光の波面を検出する光検出器と、該参照光の波面を調整する波面制御器を配設し、該波面制御器において、該光検出器により検出された参照光の波面形状が、ホログラム記録媒体への信号記録時における前記参照光の波面形状となるように調整するように構成」で解決する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−61718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に記載の方法は媒体に入射する参照光の波面と、記録時の参照光の波面が一致するように調整する方法について記載されているが、実際には媒体の歪みなどによって波面が乱れるという更なる課題があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、より再生品質を向上可能な波面収差検出方法および補償方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、その一例として参照光を分離し、分離された参照光同士の干渉を計測することで解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホログラムにおける記録再生処理において参照光波面検出精度を向上させることができ、適切に波面補償を行うことで再生性能を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図2】光情報記録再生装置の実施例を表す概略図
【図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図4】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図5】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図6】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す概略図
【図7】光情報記録再生装置内の信号生成回路の実施例を表す概略図
【図8】光情報記録再生装置内の信号処理回路の実施例を表す概略図
【図9】信号生成回路及び信号処理回路の動作フローの実施例を表す概略図
【図10】通常再生時のピックアップ内の光路の例を表す概略図
【図11】調整動作時のピックアップ内の光路の例を表す概略図
【図12】波面収差検出回路の処理過程の実施例を表す概略図
【図13】補償量算出回路の処理過程の実施例を表す概略図
【図14】記録動作時のピックアップの動作フローの実施例を表す概略図
【図15】再生動作時のピックアップの動作フローの実施例を表す概略図
【図16】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図17】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図18】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図19】ピックアップ内の光学素子配置の実施例を表す概略図
【図20】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図21】調整動作時のピックアップ内の光路の例を表す概略図
【図22】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図23】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。図2はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
【0017】
光情報記録再生装置10は、入出力制御回路90を介して外部制御装置91と接続されている。記録する場合には、光情報記録再生装置10は外部制御装置91から記録する情報信号を入出力制御回路90により受信する。再生する場合には、光情報記録再生装置10は再生した情報信号を入出力制御回路90により外部制御装置91に送信する。
【0018】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、再生用参照光光学系12、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0019】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0020】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光を記録時とは逆の向きに光情報記録媒体に入射させる光波を再生用参照光光学系12にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0021】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0022】
キュア光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。
【0023】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0024】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0025】
また、ピックアップ11、そして、ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0026】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0027】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
【0028】
また、ピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0029】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源301を出射した光ビームはコリメートレンズ302を透過し、シャッタ303に入射する。シャッタ303が開いている時は、光ビームはシャッタ303を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子304によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム305に入射する。
【0030】
PBSプリズム305を透過した光ビームは、信号光306として働き、ビームエキスパンダ308によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク309、リレーレンズ310、PBSプリズム311を透過して空間光変調器312に入射する。
【0031】
空間光変調器312によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム311を反射し、リレーレンズ313ならびに空間フィルタ314を伝播する。その後、信号光は対物レンズ315によって光情報記録媒体1に集光する。
【0032】
一方、PBSプリズム305を反射した光ビームは参照光307として働き、偏光方向変換素子316によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー317ならびにミラー318を経由してガルバノミラー319に入射する。ガルバノミラー319はアクチュエータ320によって角度を調整可能のため、レンズ321とレンズ322を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0033】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー319によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0034】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0035】
図4は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能なガルバノミラー324にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。
【0036】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ315、リレーレンズ313ならびに空間フィルタ314を伝播する。その後、再生光はPBSプリズム311を透過して光検出器325に入射し、記録した信号を再生することができる。光検出器325としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
【0037】
図5はピックアップ11の別の構成を示した図である。図5において、光源501を出射した光ビームはコリメートレンズ502を透過し、シャッタ503に入射する。シャッタ503が開いている時は、光ビームはシャッタ503を通過した後、例えば1/2波長板などで構成される光学素子504によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向を制御された後、偏光ビームスプリッタ505に入射する。
【0038】
偏光ビームスプリッタ505を透過した光ビームは、偏光ビームスプリッタ507を経由して空間光変調器508に入射する。空間光変調器508によって情報を付加された信号光506は偏光ビームスプリッタ507を反射し、所定の入射角度の光ビームのみを通過させるアングルフィルタ509を伝播する。その後、信号光ビームは対物レンズ510によってホログラム記録媒体1に集光する。
【0039】
一方、偏光ビームスプリッタ505を反射した光ビームは参照光512として働き、偏光方向変換素子519によって記録時又は再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー513ならびにミラー514を経由してレンズ515に入射する。レンズ515は参照光512を対物レンズ510のバックフォーカス面に集光させる役割を果たしており、対物レンズ510のバックフォーカス面にて一度集光した参照光は、対物レンズ510によって再度、平行光となってホログラム記録媒体1に入射する。
【0040】
ここで、対物レンズ510又は光学ブロック521は、例えば符号520に示す方向に駆動可能であり、対物レンズ510又は光学ブロック521の位置を駆動方向520に沿ってずらすことにより、対物レンズ510と対物レンズ510のバックフォーカス面における集光点の相対位置関係が変化するため、ホログラム記録媒体1に入射する参照光の入射角度を所望の角度に設定することができる。なお、対物レンズ510又は光学ブロック521を駆動する代わりに、ミラー514をアクチュエータにより駆動することで参照光の入射角度を所望の角度に設定しても構わない。
【0041】
このように、信号光と参照光をホログラム記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また対物レンズ510又は光学ブロック521の位置を駆動方向520に沿ってずらすことによって、ホログラム記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0042】
記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光をホログラム記録媒体1に入射し、ホログラム記録媒体1を透過した光ビームをガルバノミラー516にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ510、アングルフィルタ509を伝播する。その後、再生光は偏光ビームスプリッタ507を透過して光検出器518に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0043】
図5で示した光学系は、信号光と参照光を同一の対物レンズに入射させる構成とすることで、図3で示した光学系構成に比して、大幅に小型化できる利点を有する。
【0044】
図6は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0045】
図6(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図6(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図6(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0046】
図6(a)に示すように媒体を挿入すると(601)、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(602)。
【0047】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出し(603)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0048】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(604)を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了する(605)。
【0049】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図6(b)に示すように、まず記録するデータを受信して(611)、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送り込む。
【0050】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて例えば光源301のパワー最適化やシャッタ303による露光時間の最適化等の各種記録用学習処理を事前に行う(612)。
【0051】
その後、シーク動作(613)ではアクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびにキュア光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0052】
その後、キュア光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアし(614)、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録する(615)。
【0053】
データを記録した後は、キュア光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアを行う(616)。必要に応じてデータをベリファイしても構わない。
【0054】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図6(c)に示すように、まずシーク動作(621)で、アクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびに再生用参照光光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0055】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し(622)、再生データを送信する(613)。
【0056】
図9は、記録、再生時のデータ処理フローを示したものであり、図9(a)は、入出力制御回路90において記録データ受信611後、空間光変調器312上の2次元データに変換するまでの信号生成回路86での記録データ処理フローを示しており、図9(b)は光検出器325で2次元データを検出後、入出力制御回路90における再生データ送信624までの信号処理回路85での再生データ処理フローを示している。
【0057】
図9(a)を用いて記録時のデータ処理について説明する。ユーザデータを受信(901)すると、複数のデータ列に分割、再生時エラー検出が行えるように各データ列をCRC化(902)し、オンピクセル数とオフピクセル数をほぼ等しくし、同一パターンの繰り返しを防ぐことを目的にデータ列に擬似乱数データ列を加えるスクランブル(903)を施した後、再生時エラー訂正が行えるようにリード・ソロモン符号等の誤り訂正符号化(904)を行う。次にこのデータ列をM×Nの2次元データに変換し、それを1ページデータ分繰返すことで1ページ分の2次元データ(905)を構成する。このように構成した2次元データに対して再生時の画像位置検出や画像歪補正での基準となるマーカーを付加(906)し、空間光変調器312にデータを転送(907)する。
【0058】
次に図9(b)を用いて再生時のデータ処理フローについて説明する。光検出器325で検出された画像データが信号処理回路85に転送(911)される。この画像データに含まれるマーカーを基準に画像位置を検出(912)し、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正(913)した後、2値化処理(914)を行い、マーカーを除去(915)することで1ページ分の2次元データを取得(916)する。このようにして得られた2次元データを複数のデータ列に変換した後、誤り訂正処理(917)を行い、パリティデータ列を取り除く。次にスクランブル解除処理(918)を施し、CRCによる誤り検出処理(919)を行ってCRCパリティを削除した後にユーザデータを入出力制御回路90経由で送信(920)する。
【0059】
図7は、光情報記録再生装置10の信号生成回路86のブロック図である。
【0060】
出力制御回路90にユーザデータの入力が開始されると、入出力制御回路90はコントローラ89にユーザデータの入力が開始されたことを通知する。コントローラ89は本通知を受け、信号生成回路86に入出力制御回路90から入力される1ページ分のデータを記録処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン708を経由し、信号生成回路86内サブコントローラ701に通知される。本通知を受け、サブコントローラ701は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン708を介して各信号処理回路の制御を行う。先ずメモリ制御回路703に、データライン709を介して入出力制御回路90から入力されるユーザデータをメモリ702に格納するよう制御する。メモリ702に格納したユーザデータが、ある一定量に達すると、CRC演算回路704でユーザデータをCRC化する制御を行う。次にCRC化したデータに、スクランブル回路705で擬似乱数データ列を加えるスクランブル化を施し、誤り訂正符号化回路706でパリティデータ列を加える誤り訂正符号化する制御を行う。最後にピックアップインターフェース回路707にメモリ702から誤り訂正符号化したデータを空間光変調器312上の2次元データの並び順で読み出させ、再生時に基準となるマーカーを付加した後、ピックアップ11内の空間光変調器312に2次元データを転送する。
【0061】
図8は、光情報記録再生装置10の信号処理回路85のブロック図である。
【0062】
コントローラ89はピックアップ11内の光検出器325が画像データを検出すると、信号処理回路85にピックアップ11から入力される1ページ分のデータを再生処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン811を経由し、信号処理回路85内サブコントローラ801に通知される。本通知を受け、サブコントローラ801は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン811を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路803に、データライン812を介して、ピックアップ11からピックアップインターフェース回路810を経由して入力される画像データをメモリ802に格納するよう制御する。メモリ802に格納されたデータがある一定量に達すると、画像位置検出回路809でメモリ802に格納された画像データ内からマーカーを検出して有効データ範囲を抽出する制御を行う。次に検出されたマーカーを用いて画像歪み補正回路808で、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪み補正を行い、画像データを期待される2次元データのサイズに変換する制御する。サイズ変換された2次元データを構成する複数ビットの各ビットデータを、2値化回路807において“0”、“1”判定する2値化し、メモリ802上に再生データの出力の並びでデータを格納する制御を行う。次に誤り訂正回路806で各データ列に含まれる誤りを訂正し、スクランブル解除回路805で擬似乱数データ列を加えるスクランブルを解除した後、CRC演算回路804でメモリ802上のユーザデータ内に誤りが含まれない確認を行う。その後、入出力制御回路90にメモリ802からユーザデータを転送する。
【0063】
ここで、以上で説明した本実施例の光情報記録再生装置において、参照光波面収差を検出し、参照光波面収差を補償する方法について、図1、図11乃至図13を用いて詳細に説明する。
【0064】
図1は参照光波面収差検出および補償を行うピックアップ11の構成であり、上記で説明した図4と図1が相違するのは、1/4波長板101、ハーフミラー102、波面補償器103、光検出器104、1/4波長板105である。また図10、図11は図4、図1における光ビームの経路を図示したものであるが、図中の矢印はビームの光軸などを示しているわけではなく、単に要素の通過順序を示しているにすぎない。
【0065】
図4における再生動作では図10のように、PBSプリズム305を反射した光ビームを参照光とするだけであるが、図1における波面収差補償動作では図11のように、PBSプリズム305を反射した光ビームは1/4波長板101により円偏光になり、ハーフミラー102に入射する。
【0066】
ハーフミラー102を透過した光ビームは、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能な波面補償器103にて反射させることで、再生用参照光を生成する。この再生用参照光は元来た経路を逆に進み、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過し光検出器104に入射する。
【0067】
一方、ハーフミラー102を反射した光ビームは、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過し光検出器104に入射する。この光ビームを基準光と呼ぶ。
【0068】
上記の参照光と基準光が干渉し、光検出器104上に干渉縞を形成する。この干渉縞(図12(a))は波面収差検出回路1101において、干渉縞から位相差を計算し(図12(b))、非連続点を接続する(図12(c))ことで波面収差量を算出する。補償量算出回路1102では、この算出した波面収差を打ち消すように波面補償器103に対する補償量を算出し(図13(a))、波面補償器103を制御する(図13(b))。なお、波面収差検出回路1101における波面収差量を算出する方法としては、フリンジスキャン法などの干渉計による各種波面算出を用いてもよく、本方式に限定するものではない。また、波面補償器103はデフォーマブルミラーや液晶素子など波面を制御できれば何を使用してもよく、波面補償器103に限らずピックアップ11を構成する素子の位置や特性を制御してもよい。さらに、本実施例では波面収差から直接的に補償量を算出しているが、収差が最小となるようにフィードバック制御を用いて波面補償器103を制御してもよい。
【0069】
また、図1の1/4波長板105は、本方式を使用すると光情報記録媒体1に入射する参照光が円偏光となるため、信号光も同様に円偏光とするために挿入されるものである。
【0070】
以上の説明は図4の再生時への適用を例にしたが、図3の記録時においても波面補償器103の角度をアクチュエータ323で調整することによって、参照光の光路が図4と同じになることから同様に適用することが可能である。但し、記録時に使用する場合には、参照光が光情報記録媒体1に入射するまでの光路中に波面補償器103を配置する方が好ましい。
【0071】
さらに、図5の光学系に対して適用した構成を図16に示す。上記で説明した図5と図16が相違するのは、1/4波長板1601、ハーフミラー1602、波面補償器1603、光検出器1604、1/4波長板1605である。なお、以降の実施例においても同様に図5の光学系に対して適用することが可能である。
【0072】
以上の構成によれば、ホログラムにおける記録再生光学系において干渉計による波面検出を行うことができ高精度の波面補償が可能になるとともに、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらに通常記録再生動作と波面収差補償動作を同時に実施することができ、再生性能を改善することが可能となる。
【0073】
なお、図22に示すように本実施例の波面収差検出動作を光情報記録媒体1がない状態で行うことも可能である。これにより媒体に依存しない波面収差補償が可能であり、媒体を含めない光学系の初期調整に用いると効果的である。さらに、一部の光学系の調整に本実施例を適用することも可能である。例えばレンズ321、322およびミラー319のみの調整を行いたい場合には、図23に示すように基準光を生成するためのハーフミラー102をミラー319の前段に配置することにより、収差が発生し易いであろう光学系に限定して調整を実施することが可能である。また、図16の光学系にあっては、対物レンズでの収差が課題となる場合には、対物レンズ通過前の一方の参照光と、対物レンズ通過後の他方の参照光との干渉を測ることで、対物レンズにおける波面の乱れを計測し、フィードバック制御することも可能となる。前述したように、これらの調整時の制御対象は波面補償器103に限らずピックアップ11を構成する素子の位置や特性であってもよい。ここで説明したように、基準光を生成するための素子や波面補償器103は図1の場所に限定するものではなく、光路中であればどこに挿入、もしくは置換してもよい。このことは他の実施例においても同様に適用可能である。
【実施例2】
【0074】
本実施例が実施例1と異なるのは、波面収差検出および補償手順である。
【0075】
図14のフローは記録時における波面補償動作フローを示したものである。このフローのように記録時に使用する際は、参照光が光情報記録媒体1に入射するまでの光路中に波面補償器103が配置されている方が好ましい。
【0076】
まず光情報記録媒体1には予め基準ページとなるものが記録されているものとし、その記録位置に光情報記録媒体1を移動する(1401)。次にこの基準ページを再生(1402)、SNRなどの再生品質評価指標が最良となるように波面補償器103を制御し(1403)、この時の光検出器104上の干渉縞を記憶しておく(1404)。次に記録する目標位置に光情報記録媒体1を移動し(1405)、記憶した干渉縞と記録時の光検出器104上の干渉縞とを補償量算出回路1102で比較し、差分が最小となるような補償量を算出し、波面補償器103を制御(1406)、ホログラムを記録する(1407)。この1406における補償量算出動作は、例えば記憶した干渉縞と記録時の干渉縞との位相差(図12(c))の差分を演算し、その差分に基づいて補償量を決定すれば実現できる。これら1405から1407までの動作を記録が完了するまで繰り返す(1408)。なお、基準ページの代わりに記録済みのページを使用してもよい。
【0077】
図15のフローは再生時における波面補償動作フローを示したものである。
まず光情報記録媒体1には予め基準ページとなるものが記録されているものとし、その記録位置に光情報記録媒体1を移動する(1501)。次にこの基準ページを再生(1502)、SNRなどの再生品質評価指標が最良となるように波面補償器103を制御し(1503)、この時の光検出器104上の干渉縞を記憶しておく(1504)。次に再生する目標位置に光情報記録媒体1を移動し(1505)、記憶した干渉縞と再生時の光検出器104上の干渉縞とを補償量算出回路1102で比較し、差分が最小となるような補償量を算出し、波面補償器103を制御(1506)、ホログラムを再生する(1507)。この1506における補償量算出動作は、例えば記憶した干渉縞と再生時の干渉縞との位相差(図12(c))の差分を演算し、その差分に基づいて補償量を決定すれば実現できる。これら1505から1507までの動作を再生が完了するまで繰り返す(1508)。なお、基準ページの代わりに記録済みのページを使用してもよい。
【0078】
以上の手順によれば、ホログラムにおける記録再生光学系において干渉計による波面検出を行うことができ高精度の波面補償が可能になるとともに、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらに再生品質評価指標が最良となる波面になるように制御することができ、再生性能を改善することが可能となる。
【0079】
なお、本実施例は実施例1に対して説明したが、他の実施例においても同様に適用可能である。
【実施例3】
【0080】
本実施例が実施例1と異なるのは、波面収差検出方法である。
【0081】
図17は参照光波面収差検出および補償を行うピックアップ11の構成であり、上記で説明した図1と図17が相違するのは、ハーフミラー102がなく、光検出器104の代わりに波面センサ1701が配置されている点である。
【0082】
図17における波面収差補償動作ではPBSプリズム305を反射した光ビームは1/4波長板101により円偏光になり、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能な波面補償器103にて反射させることで、再生用参照光を生成する。この再生用参照光は元来た経路を逆に進み、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過し波面センサ1701に入射する。
【0083】
この波面センサ1701は単一光束で波面収差を計測可能なシャックハルトマン波面センサなどを用いることにより実現でき、波面収差検出回路1101で検出した波面収差を基に、補償量算出回路1102で補償量を算出し、波面補償器103を制御する。なお、本実施例における波面センサ1701の例としてシャックハルトマン波面センサを例に説明したが、これに限定するものではなく波面収差を計測できれば何を使用してもよい。
【0084】
また、図1の1/4波長板105は、本方式を使用すると光情報記録媒体1に入射する参照光が円偏光となるため、信号光も同様に円偏光とするために挿入されるものである。
【0085】
以上の構成によれば、ホログラムにおける記録再生光学系において簡単な構成により波面検出を行うことができるとともに、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらに通常記録再生動作と波面収差補償動作を同時に実施することができ、再生性能を改善することが可能となる。
【実施例4】
【0086】
本実施例が実施例1と異なるのは、基準光および参照光の生成方法である。
【0087】
図18は参照光波面収差検出および補償を行うピックアップ11の構成であり、上記で説明した図4と図18が相違するのは、1/4波長板101、ハーフミラー102の代わりに1/2波長板1801、フォトニック結晶素子1802が配置され、1/4波長板105がない点である。
【0088】
ここで、フォトニック結晶素子とは屈折率が周期的に変化する構造体である。本実施例ではフォトニック結晶素子の光学軸に垂直な直線偏光を透過し、平行な直線偏光を反射するといった特性を有する素子として使用しているが、このような特性を有する素子であれば何を使用してもよい。
【0089】
まず、記録動作について図19(a)を用いて説明する。
【0090】
図18において、PBSプリズム305を反射した光ビームは1/2波長板1801に入射する。この時、1/2波長板の光学軸を入射光の偏光面に対して平行もしくは垂直に配置し、フォトニック結晶素子1802の光学軸をこの偏光面に対して垂直となるように配置することでフォトニック結晶素子1802を透過する。この光ビームは、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射する。
【0091】
再生動作について図19(b)を用いて説明する。
【0092】
再生した光がPBSプリズム311を透過するように参照光の偏光面を記録時と90°旋光させる必要がある。よって、1/2波長板の光学軸を入射光の偏光面に対して45°に配置することで1/2波長板1801の透過光の偏光面が90°旋光し、フォトニック結晶素子1802の光学軸をこの偏光面に対して垂直となるように配置することでフォトニック結晶素子1802を透過する。この光ビームは、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射する。
【0093】
次に本実施例における波面収差補償動作について図19(c)を用いて説明する。
【0094】
図18において、PBSプリズム305を反射した光ビームは1/2波長板1801に入射する。この時、1/2波長板の光学軸を入射光の偏光面に対して22.5°に配置することで1/2波長板1801の透過光の偏光面が45°旋光し、フォトニック結晶素子1802の光学軸をこの偏光面に対して45°となるように配置する。これにより、フォトニック結晶素子1802に入射した光ビームのうち、フォトニック結晶素子1802の光学軸に垂直な成分は透過し参照光となり、平行な成分は反射し基準光とすることが可能である。以降の動作は実施例1と同様である。
【0095】
なお、この波面収差補償動作のまま記録再生動作を行うことも可能であり、その際は必要となる参照光の偏光面に合わせて、フォトニック結晶素子1802の光学軸を90°切替えればよい。これにより実施例1のように常時波面収差補償動作を行うことが可能となる。
【0096】
以上の構成によれば、実施例1におけるハーフミラー102を使用しないことから光の損失を抑えることが可能であり、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらにホログラムにおける記録再生光学系において干渉計による波面検出を行うことができ高精度の波面補償が可能になるとともに、通常記録再生動作と波面収差補償動作を同時に実施することができ、再生性能を改善することが可能となる。
【0097】
なお、本実施例は実施例1に対して説明したが、他の実施例においても同様に適用可能である。
【実施例5】
【0098】
本実施例が実施例1と異なるのは、波面収差検出方法である。
【0099】
図20は参照光波面収差検出および補償を行うピックアップ11の構成であり、上記で説明した図1と図20が相違するのは、光検出器104の代わりに1/4波長板2001、ミラー2002が配置されている点である。また図21は図20における光ビームの経路を図示したものであるが、図中の矢印はビームの光軸などを示しているわけではなく、単に要素の通過順序を示しているにすぎない。
【0100】
図20における波面収差補償動作では図21のように、PBSプリズム305を反射した光ビームは1/4波長板101により円偏光になり、ハーフミラー102に入射する。
【0101】
ハーフミラー102を透過した光ビームは、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能な波面補償器103にて反射させることで、再生用参照光を生成する。この再生用参照光は元来た経路を逆に進み、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過する。
【0102】
一方、ハーフミラー102を反射した光ビームは、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過する。この光ビームを基準光と呼ぶ。
【0103】
上記の参照光と基準光は、1/4波長板2001、ミラー2002、1/4波長板2001と経る過程で偏光面が90°旋光し、PBSプリズム305を反射する。その後PBSプリズム311を反射し光検出器325に入射し、光検出器325上に干渉縞を形成する。この干渉縞を実施例1と同様に処理することで波面収差補正が可能となる。
【0104】
以上の構成によれば、波面収差検出用の光検出器と、再生用の光検出器を共用できることからコストを抑えることが可能であり、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらにホログラムにおける記録再生光学系において干渉計による波面検出を行うことができ高精度の波面補償が可能となる。
【0105】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0106】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0107】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1・・・光情報記録媒体、10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、12・・・再生用参照光光学系、13・・・ディスクCure光学系、14・・・ディスク回転角度検出用光学系、50・・・回転モータ、81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、83・・・サーボ信号生成回路、84・・・サーボ制御回路、85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、89・・・コントローラ、90…入出力制御回路、91…外部制御装置、301・・・光源、302・・・コリメートレンズ、303・・・シャッタ、304・・・1/2波長板、305・・・偏光ビームスプリッタ、306・・・信号光、307・・・参照光、308・・・ビームエキスパンダ、309・・フェーズ(位相)マスク、310・・・リレーレンズ、311・・・偏光ビームスプリッタ、312・・・空間光変調器、313・・・リレーレンズ、314・・・空間フィルタ、315・・・対物レンズ、316・・・偏光方向変換素子、317・・・ミラー、318・・・ミラー、319・・・ミラー、320・・・アクチュエータ、321・・・レンズ、322・・・レンズ、323・・・アクチュエータ、324・・・ミラー、325・・・光検出器、501・・・光源、502・・・コリメートレンズ、503・・・シャッタ、504・・・光学素子、505・・・偏光ビームスプリッタ、506・・・信号光、507・・・偏光ビームスプリッタ、508・・・空間光変調器、509・・・ビームエキスパンダ、510・・・リレーレンズ、511・・・フェーズ(位相)マスク、512・・・リレーレンズ、513・・・空間フィルタ、514・・・ミラー、515・・・ミラー、516・・・ミラー、517・・・アクチュエータ、518・・・光検出器、519・・・レンズ、520・・・レンズ、521・・・ミラー、522・・・アクチュエータ、523・・・参照光、524・・・偏光方向変換素子、525・・・対物レンズ、101・・・1/4波長板、102・・・ハーフミラー、103・・・波面補償器、104・・・光検出器、105・・・1/4波長板、1101・・・波面収差検出回路、1102・・・補償量算出回路、1601・・・1/4波長板、1602・・・ハーフミラー、1603・・・波面補償器、1604・・・光検出器、1605・・・1/4波長板、1701・・・波面センサ、1801・・・1/2波長板、1802・・・フォトニック結晶素子、2001・・・1/4波長板、2002・・・ミラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを用いて光情報記録媒体に情報を記録、光情報記録媒体から情報を再生する、光情報記録装置、光情報再生装置、光情報記録再生装置、光情報記録方法、光情報再生方法および光情報記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いた、Blu−ray Disc(TM)規格により、民生用においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disk Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0003】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、短波長化と対物レンズ高NA化による高密度化技術とは異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0004】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0005】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光を、記録媒体の内部で参照光と重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録媒体に記録する技術である。
【0006】
情報の再生時には、記録時に用いた参照光を記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0007】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録技術は、1つのホログラムによって2次元的な情報を一気に光記録媒体に記録し、さらにこの情報を再生することを可能とするものであり、そして、記録媒体のある場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生を果たすことができる。
【0008】
以上のようなホログラム記録再生技術として、例えば特開2010−61718号公報(特許文献1)がある。本公報には、「光学装置においては、その光路中を進む間にレンズ等の光学素子によって光の波面が歪んでしまう。そして、互いに異なる光学装置間では、光学系の配置を互いに同一にしたとしても、光の波面の歪み方は異なってしまう。したがって、一般に、ホログラム記録装置とホログラム再生装置との間でも、参照光の波面形状が異なったものとなってしまい、そのため、記録時と再生時との間で、参照光が同一の波面形状とならず、再生データのSNR(SN比)が低下してしまう、という問題」に対して、「参照光の光路中に、該参照光の波面を検出する光検出器と、該参照光の波面を調整する波面制御器を配設し、該波面制御器において、該光検出器により検出された参照光の波面形状が、ホログラム記録媒体への信号記録時における前記参照光の波面形状となるように調整するように構成」で解決する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−61718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に記載の方法は媒体に入射する参照光の波面と、記録時の参照光の波面が一致するように調整する方法について記載されているが、実際には媒体の歪みなどによって波面が乱れるという更なる課題があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、より再生品質を向上可能な波面収差検出方法および補償方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、その一例として参照光を分離し、分離された参照光同士の干渉を計測することで解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホログラムにおける記録再生処理において参照光波面検出精度を向上させることができ、適切に波面補償を行うことで再生性能を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図2】光情報記録再生装置の実施例を表す概略図
【図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図4】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図5】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図6】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す概略図
【図7】光情報記録再生装置内の信号生成回路の実施例を表す概略図
【図8】光情報記録再生装置内の信号処理回路の実施例を表す概略図
【図9】信号生成回路及び信号処理回路の動作フローの実施例を表す概略図
【図10】通常再生時のピックアップ内の光路の例を表す概略図
【図11】調整動作時のピックアップ内の光路の例を表す概略図
【図12】波面収差検出回路の処理過程の実施例を表す概略図
【図13】補償量算出回路の処理過程の実施例を表す概略図
【図14】記録動作時のピックアップの動作フローの実施例を表す概略図
【図15】再生動作時のピックアップの動作フローの実施例を表す概略図
【図16】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図17】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図18】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図19】ピックアップ内の光学素子配置の実施例を表す概略図
【図20】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図21】調整動作時のピックアップ内の光路の例を表す概略図
【図22】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図23】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。図2はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
【0017】
光情報記録再生装置10は、入出力制御回路90を介して外部制御装置91と接続されている。記録する場合には、光情報記録再生装置10は外部制御装置91から記録する情報信号を入出力制御回路90により受信する。再生する場合には、光情報記録再生装置10は再生した情報信号を入出力制御回路90により外部制御装置91に送信する。
【0018】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、再生用参照光光学系12、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0019】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0020】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光を記録時とは逆の向きに光情報記録媒体に入射させる光波を再生用参照光光学系12にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0021】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0022】
キュア光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。
【0023】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0024】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0025】
また、ピックアップ11、そして、ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0026】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0027】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
【0028】
また、ピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0029】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源301を出射した光ビームはコリメートレンズ302を透過し、シャッタ303に入射する。シャッタ303が開いている時は、光ビームはシャッタ303を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子304によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム305に入射する。
【0030】
PBSプリズム305を透過した光ビームは、信号光306として働き、ビームエキスパンダ308によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク309、リレーレンズ310、PBSプリズム311を透過して空間光変調器312に入射する。
【0031】
空間光変調器312によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム311を反射し、リレーレンズ313ならびに空間フィルタ314を伝播する。その後、信号光は対物レンズ315によって光情報記録媒体1に集光する。
【0032】
一方、PBSプリズム305を反射した光ビームは参照光307として働き、偏光方向変換素子316によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー317ならびにミラー318を経由してガルバノミラー319に入射する。ガルバノミラー319はアクチュエータ320によって角度を調整可能のため、レンズ321とレンズ322を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0033】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー319によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0034】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0035】
図4は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能なガルバノミラー324にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。
【0036】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ315、リレーレンズ313ならびに空間フィルタ314を伝播する。その後、再生光はPBSプリズム311を透過して光検出器325に入射し、記録した信号を再生することができる。光検出器325としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
【0037】
図5はピックアップ11の別の構成を示した図である。図5において、光源501を出射した光ビームはコリメートレンズ502を透過し、シャッタ503に入射する。シャッタ503が開いている時は、光ビームはシャッタ503を通過した後、例えば1/2波長板などで構成される光学素子504によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向を制御された後、偏光ビームスプリッタ505に入射する。
【0038】
偏光ビームスプリッタ505を透過した光ビームは、偏光ビームスプリッタ507を経由して空間光変調器508に入射する。空間光変調器508によって情報を付加された信号光506は偏光ビームスプリッタ507を反射し、所定の入射角度の光ビームのみを通過させるアングルフィルタ509を伝播する。その後、信号光ビームは対物レンズ510によってホログラム記録媒体1に集光する。
【0039】
一方、偏光ビームスプリッタ505を反射した光ビームは参照光512として働き、偏光方向変換素子519によって記録時又は再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー513ならびにミラー514を経由してレンズ515に入射する。レンズ515は参照光512を対物レンズ510のバックフォーカス面に集光させる役割を果たしており、対物レンズ510のバックフォーカス面にて一度集光した参照光は、対物レンズ510によって再度、平行光となってホログラム記録媒体1に入射する。
【0040】
ここで、対物レンズ510又は光学ブロック521は、例えば符号520に示す方向に駆動可能であり、対物レンズ510又は光学ブロック521の位置を駆動方向520に沿ってずらすことにより、対物レンズ510と対物レンズ510のバックフォーカス面における集光点の相対位置関係が変化するため、ホログラム記録媒体1に入射する参照光の入射角度を所望の角度に設定することができる。なお、対物レンズ510又は光学ブロック521を駆動する代わりに、ミラー514をアクチュエータにより駆動することで参照光の入射角度を所望の角度に設定しても構わない。
【0041】
このように、信号光と参照光をホログラム記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また対物レンズ510又は光学ブロック521の位置を駆動方向520に沿ってずらすことによって、ホログラム記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0042】
記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光をホログラム記録媒体1に入射し、ホログラム記録媒体1を透過した光ビームをガルバノミラー516にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ510、アングルフィルタ509を伝播する。その後、再生光は偏光ビームスプリッタ507を透過して光検出器518に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0043】
図5で示した光学系は、信号光と参照光を同一の対物レンズに入射させる構成とすることで、図3で示した光学系構成に比して、大幅に小型化できる利点を有する。
【0044】
図6は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0045】
図6(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図6(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図6(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0046】
図6(a)に示すように媒体を挿入すると(601)、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(602)。
【0047】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出し(603)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0048】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(604)を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了する(605)。
【0049】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図6(b)に示すように、まず記録するデータを受信して(611)、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送り込む。
【0050】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて例えば光源301のパワー最適化やシャッタ303による露光時間の最適化等の各種記録用学習処理を事前に行う(612)。
【0051】
その後、シーク動作(613)ではアクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびにキュア光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0052】
その後、キュア光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアし(614)、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録する(615)。
【0053】
データを記録した後は、キュア光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアを行う(616)。必要に応じてデータをベリファイしても構わない。
【0054】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図6(c)に示すように、まずシーク動作(621)で、アクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびに再生用参照光光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0055】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し(622)、再生データを送信する(613)。
【0056】
図9は、記録、再生時のデータ処理フローを示したものであり、図9(a)は、入出力制御回路90において記録データ受信611後、空間光変調器312上の2次元データに変換するまでの信号生成回路86での記録データ処理フローを示しており、図9(b)は光検出器325で2次元データを検出後、入出力制御回路90における再生データ送信624までの信号処理回路85での再生データ処理フローを示している。
【0057】
図9(a)を用いて記録時のデータ処理について説明する。ユーザデータを受信(901)すると、複数のデータ列に分割、再生時エラー検出が行えるように各データ列をCRC化(902)し、オンピクセル数とオフピクセル数をほぼ等しくし、同一パターンの繰り返しを防ぐことを目的にデータ列に擬似乱数データ列を加えるスクランブル(903)を施した後、再生時エラー訂正が行えるようにリード・ソロモン符号等の誤り訂正符号化(904)を行う。次にこのデータ列をM×Nの2次元データに変換し、それを1ページデータ分繰返すことで1ページ分の2次元データ(905)を構成する。このように構成した2次元データに対して再生時の画像位置検出や画像歪補正での基準となるマーカーを付加(906)し、空間光変調器312にデータを転送(907)する。
【0058】
次に図9(b)を用いて再生時のデータ処理フローについて説明する。光検出器325で検出された画像データが信号処理回路85に転送(911)される。この画像データに含まれるマーカーを基準に画像位置を検出(912)し、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正(913)した後、2値化処理(914)を行い、マーカーを除去(915)することで1ページ分の2次元データを取得(916)する。このようにして得られた2次元データを複数のデータ列に変換した後、誤り訂正処理(917)を行い、パリティデータ列を取り除く。次にスクランブル解除処理(918)を施し、CRCによる誤り検出処理(919)を行ってCRCパリティを削除した後にユーザデータを入出力制御回路90経由で送信(920)する。
【0059】
図7は、光情報記録再生装置10の信号生成回路86のブロック図である。
【0060】
出力制御回路90にユーザデータの入力が開始されると、入出力制御回路90はコントローラ89にユーザデータの入力が開始されたことを通知する。コントローラ89は本通知を受け、信号生成回路86に入出力制御回路90から入力される1ページ分のデータを記録処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン708を経由し、信号生成回路86内サブコントローラ701に通知される。本通知を受け、サブコントローラ701は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン708を介して各信号処理回路の制御を行う。先ずメモリ制御回路703に、データライン709を介して入出力制御回路90から入力されるユーザデータをメモリ702に格納するよう制御する。メモリ702に格納したユーザデータが、ある一定量に達すると、CRC演算回路704でユーザデータをCRC化する制御を行う。次にCRC化したデータに、スクランブル回路705で擬似乱数データ列を加えるスクランブル化を施し、誤り訂正符号化回路706でパリティデータ列を加える誤り訂正符号化する制御を行う。最後にピックアップインターフェース回路707にメモリ702から誤り訂正符号化したデータを空間光変調器312上の2次元データの並び順で読み出させ、再生時に基準となるマーカーを付加した後、ピックアップ11内の空間光変調器312に2次元データを転送する。
【0061】
図8は、光情報記録再生装置10の信号処理回路85のブロック図である。
【0062】
コントローラ89はピックアップ11内の光検出器325が画像データを検出すると、信号処理回路85にピックアップ11から入力される1ページ分のデータを再生処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン811を経由し、信号処理回路85内サブコントローラ801に通知される。本通知を受け、サブコントローラ801は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン811を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路803に、データライン812を介して、ピックアップ11からピックアップインターフェース回路810を経由して入力される画像データをメモリ802に格納するよう制御する。メモリ802に格納されたデータがある一定量に達すると、画像位置検出回路809でメモリ802に格納された画像データ内からマーカーを検出して有効データ範囲を抽出する制御を行う。次に検出されたマーカーを用いて画像歪み補正回路808で、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪み補正を行い、画像データを期待される2次元データのサイズに変換する制御する。サイズ変換された2次元データを構成する複数ビットの各ビットデータを、2値化回路807において“0”、“1”判定する2値化し、メモリ802上に再生データの出力の並びでデータを格納する制御を行う。次に誤り訂正回路806で各データ列に含まれる誤りを訂正し、スクランブル解除回路805で擬似乱数データ列を加えるスクランブルを解除した後、CRC演算回路804でメモリ802上のユーザデータ内に誤りが含まれない確認を行う。その後、入出力制御回路90にメモリ802からユーザデータを転送する。
【0063】
ここで、以上で説明した本実施例の光情報記録再生装置において、参照光波面収差を検出し、参照光波面収差を補償する方法について、図1、図11乃至図13を用いて詳細に説明する。
【0064】
図1は参照光波面収差検出および補償を行うピックアップ11の構成であり、上記で説明した図4と図1が相違するのは、1/4波長板101、ハーフミラー102、波面補償器103、光検出器104、1/4波長板105である。また図10、図11は図4、図1における光ビームの経路を図示したものであるが、図中の矢印はビームの光軸などを示しているわけではなく、単に要素の通過順序を示しているにすぎない。
【0065】
図4における再生動作では図10のように、PBSプリズム305を反射した光ビームを参照光とするだけであるが、図1における波面収差補償動作では図11のように、PBSプリズム305を反射した光ビームは1/4波長板101により円偏光になり、ハーフミラー102に入射する。
【0066】
ハーフミラー102を透過した光ビームは、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能な波面補償器103にて反射させることで、再生用参照光を生成する。この再生用参照光は元来た経路を逆に進み、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過し光検出器104に入射する。
【0067】
一方、ハーフミラー102を反射した光ビームは、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過し光検出器104に入射する。この光ビームを基準光と呼ぶ。
【0068】
上記の参照光と基準光が干渉し、光検出器104上に干渉縞を形成する。この干渉縞(図12(a))は波面収差検出回路1101において、干渉縞から位相差を計算し(図12(b))、非連続点を接続する(図12(c))ことで波面収差量を算出する。補償量算出回路1102では、この算出した波面収差を打ち消すように波面補償器103に対する補償量を算出し(図13(a))、波面補償器103を制御する(図13(b))。なお、波面収差検出回路1101における波面収差量を算出する方法としては、フリンジスキャン法などの干渉計による各種波面算出を用いてもよく、本方式に限定するものではない。また、波面補償器103はデフォーマブルミラーや液晶素子など波面を制御できれば何を使用してもよく、波面補償器103に限らずピックアップ11を構成する素子の位置や特性を制御してもよい。さらに、本実施例では波面収差から直接的に補償量を算出しているが、収差が最小となるようにフィードバック制御を用いて波面補償器103を制御してもよい。
【0069】
また、図1の1/4波長板105は、本方式を使用すると光情報記録媒体1に入射する参照光が円偏光となるため、信号光も同様に円偏光とするために挿入されるものである。
【0070】
以上の説明は図4の再生時への適用を例にしたが、図3の記録時においても波面補償器103の角度をアクチュエータ323で調整することによって、参照光の光路が図4と同じになることから同様に適用することが可能である。但し、記録時に使用する場合には、参照光が光情報記録媒体1に入射するまでの光路中に波面補償器103を配置する方が好ましい。
【0071】
さらに、図5の光学系に対して適用した構成を図16に示す。上記で説明した図5と図16が相違するのは、1/4波長板1601、ハーフミラー1602、波面補償器1603、光検出器1604、1/4波長板1605である。なお、以降の実施例においても同様に図5の光学系に対して適用することが可能である。
【0072】
以上の構成によれば、ホログラムにおける記録再生光学系において干渉計による波面検出を行うことができ高精度の波面補償が可能になるとともに、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらに通常記録再生動作と波面収差補償動作を同時に実施することができ、再生性能を改善することが可能となる。
【0073】
なお、図22に示すように本実施例の波面収差検出動作を光情報記録媒体1がない状態で行うことも可能である。これにより媒体に依存しない波面収差補償が可能であり、媒体を含めない光学系の初期調整に用いると効果的である。さらに、一部の光学系の調整に本実施例を適用することも可能である。例えばレンズ321、322およびミラー319のみの調整を行いたい場合には、図23に示すように基準光を生成するためのハーフミラー102をミラー319の前段に配置することにより、収差が発生し易いであろう光学系に限定して調整を実施することが可能である。また、図16の光学系にあっては、対物レンズでの収差が課題となる場合には、対物レンズ通過前の一方の参照光と、対物レンズ通過後の他方の参照光との干渉を測ることで、対物レンズにおける波面の乱れを計測し、フィードバック制御することも可能となる。前述したように、これらの調整時の制御対象は波面補償器103に限らずピックアップ11を構成する素子の位置や特性であってもよい。ここで説明したように、基準光を生成するための素子や波面補償器103は図1の場所に限定するものではなく、光路中であればどこに挿入、もしくは置換してもよい。このことは他の実施例においても同様に適用可能である。
【実施例2】
【0074】
本実施例が実施例1と異なるのは、波面収差検出および補償手順である。
【0075】
図14のフローは記録時における波面補償動作フローを示したものである。このフローのように記録時に使用する際は、参照光が光情報記録媒体1に入射するまでの光路中に波面補償器103が配置されている方が好ましい。
【0076】
まず光情報記録媒体1には予め基準ページとなるものが記録されているものとし、その記録位置に光情報記録媒体1を移動する(1401)。次にこの基準ページを再生(1402)、SNRなどの再生品質評価指標が最良となるように波面補償器103を制御し(1403)、この時の光検出器104上の干渉縞を記憶しておく(1404)。次に記録する目標位置に光情報記録媒体1を移動し(1405)、記憶した干渉縞と記録時の光検出器104上の干渉縞とを補償量算出回路1102で比較し、差分が最小となるような補償量を算出し、波面補償器103を制御(1406)、ホログラムを記録する(1407)。この1406における補償量算出動作は、例えば記憶した干渉縞と記録時の干渉縞との位相差(図12(c))の差分を演算し、その差分に基づいて補償量を決定すれば実現できる。これら1405から1407までの動作を記録が完了するまで繰り返す(1408)。なお、基準ページの代わりに記録済みのページを使用してもよい。
【0077】
図15のフローは再生時における波面補償動作フローを示したものである。
まず光情報記録媒体1には予め基準ページとなるものが記録されているものとし、その記録位置に光情報記録媒体1を移動する(1501)。次にこの基準ページを再生(1502)、SNRなどの再生品質評価指標が最良となるように波面補償器103を制御し(1503)、この時の光検出器104上の干渉縞を記憶しておく(1504)。次に再生する目標位置に光情報記録媒体1を移動し(1505)、記憶した干渉縞と再生時の光検出器104上の干渉縞とを補償量算出回路1102で比較し、差分が最小となるような補償量を算出し、波面補償器103を制御(1506)、ホログラムを再生する(1507)。この1506における補償量算出動作は、例えば記憶した干渉縞と再生時の干渉縞との位相差(図12(c))の差分を演算し、その差分に基づいて補償量を決定すれば実現できる。これら1505から1507までの動作を再生が完了するまで繰り返す(1508)。なお、基準ページの代わりに記録済みのページを使用してもよい。
【0078】
以上の手順によれば、ホログラムにおける記録再生光学系において干渉計による波面検出を行うことができ高精度の波面補償が可能になるとともに、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらに再生品質評価指標が最良となる波面になるように制御することができ、再生性能を改善することが可能となる。
【0079】
なお、本実施例は実施例1に対して説明したが、他の実施例においても同様に適用可能である。
【実施例3】
【0080】
本実施例が実施例1と異なるのは、波面収差検出方法である。
【0081】
図17は参照光波面収差検出および補償を行うピックアップ11の構成であり、上記で説明した図1と図17が相違するのは、ハーフミラー102がなく、光検出器104の代わりに波面センサ1701が配置されている点である。
【0082】
図17における波面収差補償動作ではPBSプリズム305を反射した光ビームは1/4波長板101により円偏光になり、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能な波面補償器103にて反射させることで、再生用参照光を生成する。この再生用参照光は元来た経路を逆に進み、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過し波面センサ1701に入射する。
【0083】
この波面センサ1701は単一光束で波面収差を計測可能なシャックハルトマン波面センサなどを用いることにより実現でき、波面収差検出回路1101で検出した波面収差を基に、補償量算出回路1102で補償量を算出し、波面補償器103を制御する。なお、本実施例における波面センサ1701の例としてシャックハルトマン波面センサを例に説明したが、これに限定するものではなく波面収差を計測できれば何を使用してもよい。
【0084】
また、図1の1/4波長板105は、本方式を使用すると光情報記録媒体1に入射する参照光が円偏光となるため、信号光も同様に円偏光とするために挿入されるものである。
【0085】
以上の構成によれば、ホログラムにおける記録再生光学系において簡単な構成により波面検出を行うことができるとともに、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらに通常記録再生動作と波面収差補償動作を同時に実施することができ、再生性能を改善することが可能となる。
【実施例4】
【0086】
本実施例が実施例1と異なるのは、基準光および参照光の生成方法である。
【0087】
図18は参照光波面収差検出および補償を行うピックアップ11の構成であり、上記で説明した図4と図18が相違するのは、1/4波長板101、ハーフミラー102の代わりに1/2波長板1801、フォトニック結晶素子1802が配置され、1/4波長板105がない点である。
【0088】
ここで、フォトニック結晶素子とは屈折率が周期的に変化する構造体である。本実施例ではフォトニック結晶素子の光学軸に垂直な直線偏光を透過し、平行な直線偏光を反射するといった特性を有する素子として使用しているが、このような特性を有する素子であれば何を使用してもよい。
【0089】
まず、記録動作について図19(a)を用いて説明する。
【0090】
図18において、PBSプリズム305を反射した光ビームは1/2波長板1801に入射する。この時、1/2波長板の光学軸を入射光の偏光面に対して平行もしくは垂直に配置し、フォトニック結晶素子1802の光学軸をこの偏光面に対して垂直となるように配置することでフォトニック結晶素子1802を透過する。この光ビームは、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射する。
【0091】
再生動作について図19(b)を用いて説明する。
【0092】
再生した光がPBSプリズム311を透過するように参照光の偏光面を記録時と90°旋光させる必要がある。よって、1/2波長板の光学軸を入射光の偏光面に対して45°に配置することで1/2波長板1801の透過光の偏光面が90°旋光し、フォトニック結晶素子1802の光学軸をこの偏光面に対して垂直となるように配置することでフォトニック結晶素子1802を透過する。この光ビームは、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射する。
【0093】
次に本実施例における波面収差補償動作について図19(c)を用いて説明する。
【0094】
図18において、PBSプリズム305を反射した光ビームは1/2波長板1801に入射する。この時、1/2波長板の光学軸を入射光の偏光面に対して22.5°に配置することで1/2波長板1801の透過光の偏光面が45°旋光し、フォトニック結晶素子1802の光学軸をこの偏光面に対して45°となるように配置する。これにより、フォトニック結晶素子1802に入射した光ビームのうち、フォトニック結晶素子1802の光学軸に垂直な成分は透過し参照光となり、平行な成分は反射し基準光とすることが可能である。以降の動作は実施例1と同様である。
【0095】
なお、この波面収差補償動作のまま記録再生動作を行うことも可能であり、その際は必要となる参照光の偏光面に合わせて、フォトニック結晶素子1802の光学軸を90°切替えればよい。これにより実施例1のように常時波面収差補償動作を行うことが可能となる。
【0096】
以上の構成によれば、実施例1におけるハーフミラー102を使用しないことから光の損失を抑えることが可能であり、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらにホログラムにおける記録再生光学系において干渉計による波面検出を行うことができ高精度の波面補償が可能になるとともに、通常記録再生動作と波面収差補償動作を同時に実施することができ、再生性能を改善することが可能となる。
【0097】
なお、本実施例は実施例1に対して説明したが、他の実施例においても同様に適用可能である。
【実施例5】
【0098】
本実施例が実施例1と異なるのは、波面収差検出方法である。
【0099】
図20は参照光波面収差検出および補償を行うピックアップ11の構成であり、上記で説明した図1と図20が相違するのは、光検出器104の代わりに1/4波長板2001、ミラー2002が配置されている点である。また図21は図20における光ビームの経路を図示したものであるが、図中の矢印はビームの光軸などを示しているわけではなく、単に要素の通過順序を示しているにすぎない。
【0100】
図20における波面収差補償動作では図21のように、PBSプリズム305を反射した光ビームは1/4波長板101により円偏光になり、ハーフミラー102に入射する。
【0101】
ハーフミラー102を透過した光ビームは、前述のように参照光として光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能な波面補償器103にて反射させることで、再生用参照光を生成する。この再生用参照光は元来た経路を逆に進み、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過する。
【0102】
一方、ハーフミラー102を反射した光ビームは、1/4波長板101により直線偏光になりPBSプリズム305を透過する。この光ビームを基準光と呼ぶ。
【0103】
上記の参照光と基準光は、1/4波長板2001、ミラー2002、1/4波長板2001と経る過程で偏光面が90°旋光し、PBSプリズム305を反射する。その後PBSプリズム311を反射し光検出器325に入射し、光検出器325上に干渉縞を形成する。この干渉縞を実施例1と同様に処理することで波面収差補正が可能となる。
【0104】
以上の構成によれば、波面収差検出用の光検出器と、再生用の光検出器を共用できることからコストを抑えることが可能であり、媒体透過後の参照光の波面を測定することで媒体による波面歪みの影響を抑圧でき、さらにホログラムにおける記録再生光学系において干渉計による波面検出を行うことができ高精度の波面補償が可能となる。
【0105】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0106】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0107】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1・・・光情報記録媒体、10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、12・・・再生用参照光光学系、13・・・ディスクCure光学系、14・・・ディスク回転角度検出用光学系、50・・・回転モータ、81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、83・・・サーボ信号生成回路、84・・・サーボ制御回路、85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、89・・・コントローラ、90…入出力制御回路、91…外部制御装置、301・・・光源、302・・・コリメートレンズ、303・・・シャッタ、304・・・1/2波長板、305・・・偏光ビームスプリッタ、306・・・信号光、307・・・参照光、308・・・ビームエキスパンダ、309・・フェーズ(位相)マスク、310・・・リレーレンズ、311・・・偏光ビームスプリッタ、312・・・空間光変調器、313・・・リレーレンズ、314・・・空間フィルタ、315・・・対物レンズ、316・・・偏光方向変換素子、317・・・ミラー、318・・・ミラー、319・・・ミラー、320・・・アクチュエータ、321・・・レンズ、322・・・レンズ、323・・・アクチュエータ、324・・・ミラー、325・・・光検出器、501・・・光源、502・・・コリメートレンズ、503・・・シャッタ、504・・・光学素子、505・・・偏光ビームスプリッタ、506・・・信号光、507・・・偏光ビームスプリッタ、508・・・空間光変調器、509・・・ビームエキスパンダ、510・・・リレーレンズ、511・・・フェーズ(位相)マスク、512・・・リレーレンズ、513・・・空間フィルタ、514・・・ミラー、515・・・ミラー、516・・・ミラー、517・・・アクチュエータ、518・・・光検出器、519・・・レンズ、520・・・レンズ、521・・・ミラー、522・・・アクチュエータ、523・・・参照光、524・・・偏光方向変換素子、525・・・対物レンズ、101・・・1/4波長板、102・・・ハーフミラー、103・・・波面補償器、104・・・光検出器、105・・・1/4波長板、1101・・・波面収差検出回路、1102・・・補償量算出回路、1601・・・1/4波長板、1602・・・ハーフミラー、1603・・・波面補償器、1604・・・光検出器、1605・・・1/4波長板、1701・・・波面センサ、1801・・・1/2波長板、1802・・・フォトニック結晶素子、2001・・・1/4波長板、2002・・・ミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞がホログラムとして記録されたホログラム記録媒体を再生する光情報再生装置において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出する光検出器と、
前記参照光を分岐し第1の参照光と第2の参照光を生成する光学素子と、
前記第1の参照光と前記第2の参照光を干渉させることで波面収差を検出する波面検出器と、
前記参照光の波面を補償する波面補償器と、を具備し、
前記波面検出器の出力に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光情報再生装置において、
前記第1の参照光とは記録媒体入射前の参照光であり、
前記第2の参照光とは記録媒体入射後の参照光である、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光情報再生装置において、
前記第1の参照光とは第一の光学系入射前の参照光であり、
前記第2の参照光とは第一の光学系入射後の参照光である、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光情報再生装置において、
予め記録されたホログラムの再生品質を基に前記波面補償器を調整、前記波面検出器の出力を基準波面として記憶し、
所望のホログラムを再生する際には、前記波面検出器の出力と前記基準波面の比較結果に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光情報再生装置において、
前記波面検出器と前記光検出器を共用する、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項6】
参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞がホログラムとして記録されたホログラム記録媒体を再生する光情報再生装置において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出する光検出器と、
前記記録媒体を透過した後の前記参照光の波面収差を検出する波面検出器と、
前記参照光の波面を補償する波面補償器と、を具備し、
前記波面検出器の出力に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項7】
参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞をホログラムとしてホログラム記録媒体に記録する光情報記録装置において、
前記参照光を分岐し第1の参照光と第2の参照光を生成する光学素子と、
前記第1の参照光と前記第2の参照光を干渉させることで波面収差を検出する波面検出器と、
前記参照光の波面を補償する波面補償器と、を具備し、
前記波面検出器の出力に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光情報記録装置において、
前記第1の参照光とは記録媒体入射前の参照光であり、
前記第2の参照光とは記録媒体入射後の参照光である、
ことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項9】
請求項7に記載の光情報再生装置において、
前記第1の参照光とは第一の光学系入射前の参照光であり、
前記第2の参照光とは第一の光学系入射後の参照光である、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項10】
請求項7に記載の光情報記録装置において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出する光検出器を具備し、
予め記録されたホログラムの再生品質を基に前記波面補償器を調整、前記波面検出器の出力を基準波面として記憶し、
所望のホログラムを再生する際には、前記波面検出器の出力と前記基準波面の比較結果に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項11】
請求項7に記載の光情報記録装置において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出する光検出器を具備し、
前記波面検出器と前記光検出器を共用する、
ことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項12】
参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞をホログラムとしてホログラム記録媒体に記録し、ホログラムが記録されたホログラム記録媒体を再生する光情報記録再生方法において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出し、
前記参照光を分岐し第1の参照光と第2の参照光を生成し、
前記第1の参照光と前記第2の参照光を干渉させることで波面収差を検出し、
前記波面収差に基づいて前記参照光の波面を調整する、
ことを特徴とする光情報記録再生方法。
【請求項1】
参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞がホログラムとして記録されたホログラム記録媒体を再生する光情報再生装置において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出する光検出器と、
前記参照光を分岐し第1の参照光と第2の参照光を生成する光学素子と、
前記第1の参照光と前記第2の参照光を干渉させることで波面収差を検出する波面検出器と、
前記参照光の波面を補償する波面補償器と、を具備し、
前記波面検出器の出力に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光情報再生装置において、
前記第1の参照光とは記録媒体入射前の参照光であり、
前記第2の参照光とは記録媒体入射後の参照光である、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光情報再生装置において、
前記第1の参照光とは第一の光学系入射前の参照光であり、
前記第2の参照光とは第一の光学系入射後の参照光である、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光情報再生装置において、
予め記録されたホログラムの再生品質を基に前記波面補償器を調整、前記波面検出器の出力を基準波面として記憶し、
所望のホログラムを再生する際には、前記波面検出器の出力と前記基準波面の比較結果に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光情報再生装置において、
前記波面検出器と前記光検出器を共用する、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項6】
参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞がホログラムとして記録されたホログラム記録媒体を再生する光情報再生装置において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出する光検出器と、
前記記録媒体を透過した後の前記参照光の波面収差を検出する波面検出器と、
前記参照光の波面を補償する波面補償器と、を具備し、
前記波面検出器の出力に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項7】
参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞をホログラムとしてホログラム記録媒体に記録する光情報記録装置において、
前記参照光を分岐し第1の参照光と第2の参照光を生成する光学素子と、
前記第1の参照光と前記第2の参照光を干渉させることで波面収差を検出する波面検出器と、
前記参照光の波面を補償する波面補償器と、を具備し、
前記波面検出器の出力に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光情報記録装置において、
前記第1の参照光とは記録媒体入射前の参照光であり、
前記第2の参照光とは記録媒体入射後の参照光である、
ことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項9】
請求項7に記載の光情報再生装置において、
前記第1の参照光とは第一の光学系入射前の参照光であり、
前記第2の参照光とは第一の光学系入射後の参照光である、
ことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項10】
請求項7に記載の光情報記録装置において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出する光検出器を具備し、
予め記録されたホログラムの再生品質を基に前記波面補償器を調整、前記波面検出器の出力を基準波面として記憶し、
所望のホログラムを再生する際には、前記波面検出器の出力と前記基準波面の比較結果に基づいて前記波面補償器を調整する、
ことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項11】
請求項7に記載の光情報記録装置において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出する光検出器を具備し、
前記波面検出器と前記光検出器を共用する、
ことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項12】
参照光と信号光とを干渉させ、得られた干渉縞をホログラムとしてホログラム記録媒体に記録し、ホログラムが記録されたホログラム記録媒体を再生する光情報記録再生方法において、
記録されたホログラムに前記参照光を照射し、得られた再生光を検出し、
前記参照光を分岐し第1の参照光と第2の参照光を生成し、
前記第1の参照光と前記第2の参照光を干渉させることで波面収差を検出し、
前記波面収差に基づいて前記参照光の波面を調整する、
ことを特徴とする光情報記録再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−109795(P2013−109795A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252209(P2011−252209)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]