説明

光情報記録/再生装置

【課題】同一の装置で、ホログラム用情報記録媒体の情報記録領域と、BD、DVD、CD等に代表される既存の光ディスクの情報記録領域の両者に情報を記録し、及び/または当該両者の情報記録領域に記録された情報を再生することが可能な光情報記録/再生装置を提供する。
【解決手段】光ピックアップ11により、ホログラムメモリディスク1と光ディスク2に対し情報の記録/再生を行う光情報記録/再生装置10であり、ホログラムメモリディスク1を駆動させるステップモータ3と、光ディスク2を駆動するDCモータ4を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム用情報記録媒体と、高速回転時に情報の記録及び/または再生を行うCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク等に代表される光ディスクとの両者に対し、情報の記録を行う、または、前記両者に記録された情報を再生する、あるいは、前記情報の記録及び再生の両方を行う光情報記録/再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CDやDVD等の光学情報記録媒体(光ディスク)の情報記録領域(情報記録面)に情報を記録する及び/または当該情報記録領域に記録された情報を再生する光情報記録/再生装置がある。このような光情報記録/再生装置として、例えば、互いに間隔をおいて対向配置させた2枚の光ディスクの間に、移動可能に光ピックアップを配設したものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年では、青紫色半導体レーザを用いたブルーレイディスク(Blue-ray Disc:以下、「BD」という)規格や、HD−DVD(High Definition Digital Versatile Disc)規格等により、コンシューマ用(民生用)においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。そして、これらの光ディスクは、100GB〜1TBというHDD(Hard Disc Drive)容量に匹敵するさらなる大容量化が望まれている。
【0004】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、今までの様な短波長化と対物レンズ高NA化による従来の高密度技術とは異なった新しいストレージ技術が必要となる。そこで、近年では、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。このホログラム記録技術では、1つのホログラムで2次元的な情報を同時に記録/再生することができ、また同じ場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生に有効である。
【0005】
このようなホログラム記録技術として、信号光束をレンズで光情報記録媒体に集光すると同時に、平行光束の参照光を照射して干渉させてホログラムの記録を行い、さらに参照光の光記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式がある。(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、1つの空間光変調器において内側の画素からの光を信号光、外側の輪帯状の画素からの光を参照光として、両光束を同じレンズで光記録媒体に集光し、レンズの焦点面付近で信号光と参照光を干渉させてホログラムを記録するシフト多重方式を用いたホログラム記録技術も紹介されている。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005−276312号公報
【特許文献2】特開2004−272268号公報
【特許文献3】WO2004−102542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ホログラムを利用した光情報記録/再生装置においては、上位互換の観点から、BDやDVD等に代表される従来の光ディスクも同一の装置で記録または再生できることが望ましい。しかしながら、従来、例えば、DVD及びBDの情報記録領域に情報を記録する、及び/または当該情報記録領域に記録された情報を再生する光情報記録/再生装置は紹介されているが、コンシューマ用の光情報記録/再生装置として、ホログラム用情報記録媒体及び従来の光ディスクの両者の情報記録領域に情報を記録し、及び/または当該情報記録領域に記録された情報を再生するものは紹介されていない。
【0008】
また、例えば、特許文献1に記載された光情報記録/再生装置は、2枚の光ディスクを収納し、これらの光ディスクに情報の記録及び/または再生を行うが、これら2枚の光ディスクを回転させるための具体的な構成は記載されていない。また、ホログラム用情報記録媒体及び従来の光ディスクの両者の情報記録領域に情報を記録し、及び/または当該情報記録領域に記録された情報を再生することについても何ら言及されていない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、同一の装置で、ホログラム用情報記録媒体の情報記録領域と、BD、DVD、CD等に代表される既存の光ディスクの情報記録領域の両者に情報を記録し、及び/または当該両者の情報記録領域に記録された情報を再生することが可能な光情報記録/再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため本発明は、光ピックアップにより、光情報記録媒体に情報の記録を行う及び/または当該光情報記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録/再生装置であって、前記光情報記録媒体が、ホログラム用情報記録媒体と、高速回転時に情報の記録及び/または再生を行う光ディスクであり、前記ホログラム用情報記録媒体を駆動するホログラム用情報記録媒体駆動モータと、前記光ディスクを駆動する光ディスク駆動モータと、を備えてなる光情報記録/再生装置を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、光ピックアップにより、光情報記録媒体に情報の記録を行う及び/または当該光情報記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録/再生装置であって、前記光情報記録媒体が、ホログラム用情報記録媒体と、高速回転時に情報の記録及び/または再生を行う光ディスクであり、前記光ピックアップが、X軸方向と、当該X軸方向に直交するY軸方向に移動可能なステージに配設されてなる光情報記録/再生装置を提供するものである。
【0012】
なお、本発明では、ホログラフィを利用して情報が記録される媒体、ホログラフィを利用して記録された情報が再生される媒体、当該記録及び再生がなされる媒体を「ホログラム用情報記録媒体」と称し、BD、DVD、CD等に代表されるように、高速回転時に情報が記録される媒体、記録された情報が高速回転時に再生される媒体、高速回転時に記録及び再生がなされる媒体を「光ディスク」と称することにする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、同一の装置で、ホログラム用情報記録媒体の情報記録領域と、BD、DVD、CD等に代表される既存の光ディスクの情報記録領域の両者に情報を記録し、及び/または当該両者の情報記録領域に記録された情報を再生することが可能な光情報記録/再生装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる光情報記録/再生装置について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態にかかる光情報記録/再生装置の構成要素であるドライブの概略を示す構成図、図2は、図1に示す光情報記録/再生装置の構成要素である光ピックアップの光学系の一例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態にかかる光情報記録/再生装置10は、ホログラム用情報記録媒体としてのホログラムメモリディスク1を装着して回転させるためのステッピングモータ3と、BD、DVD、CD等に代表され、高速回転時に情報が記録及び/または再生される光ディスク2を装着して回転させるためのDCモータ4と、ホログラムメモリディスク1及び光ディスク2の各々にレーザ光を導入し、情報の記録、再生を行う光ピックアップ11と、位相共役光学系12と、ディスクキュア光学系13と、ディスク回転角度検出用光学系14と、これらを制御する制御部100と、を備えている。
【0017】
ステッピングモータ3とDCモータ4は、ホログラムメモリディスク1を着脱可能にチャッキングするためのクランプ部と、光ディスク2を着脱可能にチャッキングするためのクランプ部とが、互いに向き合うように対向して配設されている。すなわち、ホログラムメモリディスク1は、DCモータ4側となるようにステッピングモータ3に装着され、光ディスク2は、ステッピングモータ3側となるようにDCモータ4に装着されるようになっている。なお、本実施の形態では、ステッピングモータ3の回転軸3Aと、DCモータ4の回転軸4Aとが同一直線上となるように、ステッピングモータ3と、DCモータ4を配設した。
【0018】
ステッピングモータ3のクランプ部は、少なくとも一部がマグネットから構成されている。また、ホログラムメモリディスク1のクランプ部によって保持される部分には、前記マグネットによって吸着される金属等からなる領域が形成されている。このようにすることで、図1に示すように、ホログラムメモリディスク1をステッピングモータ3に装着した際に、ホログラムメモリディスク1がステッピングモータ3の下側に配置される場合であっても、ホログラムメモリディスク1は、クランプ部によって保持されることに加え、マグネットの吸着力によっても保持されるため、ホログラムメモリディスク1が落下することをさらに確実に防止することができる。
【0019】
光ピックアップ11は、ステッピングモータ3と、DCモータ4との間に配設されている。この光ピックアップ11は、図示しないガイド軸に沿って移動可能となっており、ステッピングモータ3に装着されたホログラムメモリディスク1の情報記録領域と、DCモータ4に装着された光ディスク2の情報記録領域に共通して情報を記録する、及び、記録された情報を再生するものである。また、光ピックアップ11は、ホログラムメモリディスク1に光を集光させる対物レンズ210と、光ディスク2に光を集光させる対物レンズ408とを備えている。対物レンズ210は、ホログラムメモリディスク1に対向するように配設されており、対物レンズ408は、光ディスク2に対向するように配設されている。
【0020】
光ピックアップ11は、ホログラムメモリディスク1に記録、再生を行う場合、参照光と信号光をホログラムメモリディスク1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録する。この時、記録される情報信号は、コントローラ89によって信号生成回路86を介して光ピックアップ11内の後述する空間光変調器209(図2参照)に送り込まれ、信号光は、空間光変調器209によって変調される。ホログラムメモリディスク1に照射される参照光と信号光の照射時間は、光ピックアップ11内の後述するシャッタ203(図2参照)の開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0021】
ホログラムメモリディスク1に記録した情報を再生する場合は、光ピックアップ11から出射された参照光の位相共役光を位相共役光学系12によって生成する。ここで、位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことである。この位相共役光によって再生される再生光を光ピックアップ11内の後述する光検出器219(図2参照)によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0022】
以上の記録及び再生をホログラムメモリディスク一周で行うために、ステッピングモータ3により、ホログラムメモリディスク1を回転させる。ホログラムメモリディスク1に情報を安定して記録するために十分な光エネルギーを得るため、情報の記録、再生を行う際、ホログラムメモリディスク1は静止していることが望ましい。したがって、本実施の形態では、この目的のために、ホログラムメモリディスク1の回転-静止を安定して動作できるステッピングモータ3を用いている。
【0023】
ディスクキュア光学系13は、ホログラムメモリディスク1のプリキュア及びポストキュアに用いる光ビームを生成するものである。ここで、プリキュアとは、ホログラムメモリディスク1の所望の位置に情報を記録する際、この所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程のことである。また、ポストキュアとは、ホログラムメモリディスク1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程のことである。
【0024】
ディスク回転角度検出用光学系14は、ホログラムメモリディスク1の回転角度を検出するものである。ホログラムメモリディスク1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって、ホログラムメモリディスク1の回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によって、ディスク回転モータ制御回路88を介してホログラムメモリディスク1の回転角度を制御する。
【0025】
光ピックアップ11、ディスクキュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、各々その内部に光源を有し、各々の光源には、光源駆動回路82から所定の光源駆動電流が供給される、そして、前記各々の光源は、所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0026】
また、光ピックアップ11、位相共役光学系12、ディスクキュア光学系13は、ホログラムメモリディスク1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御が行われる。そして、この位置制御により、ディスク全面での記録及び再生が可能となる。
【0027】
一方、光ピックアップ11が光ディスク2に記録を行う場合には、DCモータ4に装着された光ディスク2に、信号光を出射して情報を記録する。記録する情報信号は、コントローラ89によって信号生成回路86を介して光ピックアップ11内に送り込まれ、信号光は、対物レンズ408(絞り込みレンズ)によって光ディスク2上に光スポットとして集光され情報が記録される。
【0028】
また、光ディスク2に記録された情報を再生する際は、光ディスク2からの反射光を光ピックアップ11で電気信号に変換し、信号処理回路85に送信することでなされる。以上の記録、再生において、光ディスク2上における光スポットの焦点合わせ(オートフォーカス)及びトラック(案内溝)上への位置合わせ(トラッキング)は、サーボ信号生成回路83及びサーボ制御回路84を介して行われる。
【0029】
光ディスク2における情報の記録再生では、数百Mbpsという高速転送速度を得るために、光ディスク2を分速数千回転の高速度で回転させる必要がある。この目的のために、本実施の形態では、光ディスク2を駆動させるモータとして、光ディスク2を高速度で安定に回転させることができるDCモータ4を用いている。
【0030】
制御部100は、前述したアクセス制御回路81と、光源駆動回路82と、サーボ信号生成回路83と、サーボ制御回路84と、信号処理回路85と、信号生成回路86と、シャッタ制御回路87と、ディスク回転モータ制御回路88と、コントローラ89と、を備えて構成されている。
【0031】
なお、光情報記録/再生装置10は、例えば、ステッピングモータ3及びDCモータ4をコントローラ89に接続し、ステッピングモータ3にホログラムメモリディスク1が装着された場合には、その旨を示す信号をコントローラ89に送信し、DCモータ4に光ディスク2が装着された場合には、その旨を示す信号をコントローラ89に送信する。そして、コントローラ89は、送信された信号に基づいて、後述するように光路を切り替えて、対物レンズ210または対物レンズ408のいずれか一方に光を入射させることで、ホログラムメモリディスク1に対し情報の記録または再生を行うか、光ディスク2に対し情報の記録または再生を行うかを決定することができる。あるいは、光情報記録/再生装置10に、ホログラムメモリディスク1に対し情報の記録を行う旨を示すスイッチ、ホログラムメモリディスク1に記録された情報を再生する旨を示すスイッチ、光ディスク2に対し情報の記録を行う旨を示すスイッチ、光ディスク2に記録された情報を再生する旨を示すスイッチ等を配設し、ユーザが所望のスイッチを入れることで、処理内容を決定してもよい。
【0032】
なお、光情報記録/再生装置10の小型化を達成するため、光ピックアップ11、位相共役光学系12、ディスクキュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化してもよい。また、ホログラフィを利用した記録技術は、超高密度な情報を記録可能な技術であるため、例えば、ホログラムメモリディスク1の傾きや位置ずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。このため、光ピックアップ11内に、例えば、ホログラムメモリディスク1の傾きや位置ずれ等、許容誤差が小さいずれ要因のずれ量を検出する機構を設け、サーボ信号生成回路83でサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して、前記ずれ量を補正するサーボ機構を光情報記録/再生装置10内に備えてもよい。
【0033】
次に、光ピックアップ11により、ホログラフィを利用してホログラムメモリディスク1に信号を記録する、またはホログラムメモリディスク1に記録されている情報を再生する場合の光学的動作と、光ディスク2に情報を記録する、または光ディスク2に記録されている情報を再生する場合の光学的動作について図2を参照して説明する。
【0034】
ホログラフィを利用して、ホログラムメモリディスク1に信号を記録する、またはホログラムメモリディスク1に記録されている情報を再生する場合は、可干渉性の高い光ビームを出射するレーザ光源201から出射される光ビームを信号光ビームならびに参照光ビームとして用いる。光ディスク2に情報を記録する、または光ディスク2に記録されている情報を再生する場合は、レーザノイズを抑える目的から、レーザ光源201よりも可干渉性の低い光ビームを出射するレーザ光源331を用いる。
【0035】
ホログラムメモリディスク1への記録は、以下のようにして達成される。先ず、光源201を出射した光ビームは、コリメートレンズ202を透過し、シャッタ203に入射する。シャッタ203が開いている時は、光ビームはシャッタ203を通過した後、例えば2分の1波長板等で構成される光学素子204によってP偏光とS偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向を制御された後、PBSプリズム205に入射する。PBSプリズム205を透過した光ビームは、反射ミラー206及び207によって光路が変更されてPBSプリズム208に到達し、PBSプリズム208を経由して空間光変調器209に導入される。そして、空間光変調器209によって情報を付加された信号光ビーム211は、対物レンズ210によってホログラムメモリディスク1に集光される。
【0036】
一方、PBSプリズム205を反射した光ビームは、参照光ビーム333として働き、ミラー213及び214と、ガルバノミラー215を経由してレンズ216に入射する。レンズ216は、参照光ビーム333をレンズ217のバックフォーカス面に集光させる役割を果たしており、レンズ217のバックフォーカス面にて一度集光した参照光ビームは、レンズ217によって再度、平行光となってホログラムメモリディスク1に入射される。ここで、ガルバノミラー215は回転が可能なミラーであり、この回転によってホログラムメモリディスク1に入射する参照光333の入射角度を所望の角度に設定することができる。
【0037】
このように、信号光ビームと参照光ビームとをホログラムメモリディスク1において、互いに重ね合うように入射させることで、ホログラムメモリディスク1内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを情報記録領域に書き込むことで情報を記録する。またガルバノミラー215を回転させることで、ホログラムメモリディスク1に入射する参照光ビームの入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0038】
次に、ホログラムメモリディスク1に記録した情報を再生する場合は、参照光ビーム333のみをホログラムメモリディスク1に入射し、ホログラムメモリディスク1を透過した光ビームをガルバノミラー218にて反射させることで、その位相共役光を生成する。この位相共役光によって再生された再生光ビームは、対物レンズ210、PBSプリズム208を透過して光検出器219に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、信号光と参照光が別々のレンズによりホログラムメモリディスク1に入射する例を挙げたが、対物レンズが一つであり、信号光と参照光が当該ひとつの対物レンズに入射しディスクに照射されるような系であってもよい。
【0040】
一方、光ディスク2に情報を記録する、または光ディスク2に記録されている情報を再生する場合は、レーザ光源331から出射される光ビームを用いる。先ず、光源331を出射した光ビームは、コリメートレンズ332を透過し、偏光方向変換素子403に到達する。偏光方向変換素子403では、ここから出射される光ビームの偏光がS偏光となるように偏光方向を制御することで、PBSプリズム404に入射する光ビームを反射させ、ビームエキスパンダ405の光路へと光ビームを導く。次に、ビームエキスパンダ405を透過した光ビームは、立ち上げミラー406、例えば4分の1波長板等で構成される光学素子407を経由して円偏光の状態で対物レンズ408に入射し、光ディスク2の情報記録領域(情報記録面)上に集光され、情報の記録が行われる。
【0041】
また、光ディスク2を反射した光ビームは、前述した往路と逆の光路をたどって対物レンズ408、光学素子407、立ち上げミラー406、ビームエキスパンダ405を経て、PBSプリズム404を透過する。PBSプリズム404を透過した光ビームは、レンズ409を透過した後、情報信号や所望のサーボ信号等を検出できるように検出側回折格子410によって所望の光ビームに回折分離した後、光検出器411に集光される。
【0042】
このように、光ピックアップ11は、レーザ光源201から光を出射させるか、レーザ光源331から光を出射させるかを切り替える(選択する)、すなわち、光を、対物レンズ210及び対物レンズ408のいずれか一方に選択的に入射させることで、情報を記録または再生する媒体を決定している。
【0043】
なお、本実施の形態では、ホログラフィを利用して、ホログラムメモリディスク1に信号を記録する、またはホログラムメモリディスク1に記録されている情報を再生する場合は、可干渉性の高い光ビームを出射するレーザ光源201から出射される光ビームを信号光ビームならびに参照光ビームとして用い、光ディスク2に情報を記録する、または光ディスク2に記録された情報を再生する場合は、レーザ光源201よりも可干渉性の低い光ビームを出射するレーザ光源331を用いる場合について説明したが、これに限らず、レーザ光源331から出射された光ビームをキュア用光ビームとしてホログラムメモリディスク1に照射するか、または光ディスク2の記録用または再生用の光ビームとして光ディスク2に照射するかは、偏光方向変換素子403とPBSプリズム404の組み合わせによって照射する光量を制御することで選択してもよい。
【0044】
この理由としては、以下の理由が挙げられる。一般に信号光ビームおよび参照光ビームには、ホログラフィの観点から波長可変レーザなど可干渉性の高い光ビームが求められる一方、キュア用光ビームには、信号品質の観点から雑音の原因となる無駄なホログラムを形成しないために、可干渉性の低い光ビームが求められる。このため、可干渉性の低いレーザ光源331から出射された光ビームをキュア用光ビームとして用いることができるからである。この場合、偏光方向変換素子403は、例えば、液晶素子や波長板の抜き差し等により調整することができる。そして、キュア用光ビームは、コリメートレンズ332、偏光方向変換素子403を経由した後、PBSプリズム404及びPBSプリズム205を透過して、参照光ビームと同じ経路でホログラムメモリディスク1に照射されることになる。
【0045】
また、本実施の形態では、ホログラム用情報記録媒体として、ディスク状を有するホログラムメモリディスク1を使用した場合について説明したが、これに限らず、ホログラム用情報記録媒体は、例えば、カード型等、他の形状を有していてもよい。この場合、ホログラム用情報記録媒体は回転させるのではなく、ステッピングモータ等によって、X軸方向と、このX軸に直交するY軸方向に移動可能とすることが望ましい。また、ホログラム用情報記録媒体がディスク形状以外の形状を有する場合には、光ピックアップに、光ピックアップをX軸方向及びY軸方向に移動させる機構を設け、ホログラム用情報記録媒体は静止状態に維持しておき、この光ピックアップをX軸方向及びY軸方向の任意の位置に移動させることで、情報の記録及び情報の再生を行ってもよい。この構成の場合、光ピックアップのX軸方向及びY軸方向の移動には、例えば、ステッピングモータを用いることができる。
【0046】
そしてまた、本実施の形態では、ホログラムメモリディスク1と光ディスク2とが光ピックアップ11を挟んで対向した配置としたが、この配置は、光情報記録/再生装置10の小型化を考えた場合に特に好適である。この配置の場合、ホログラムメモリディスク1と、光ディスク2と、ステッピングモータ3と、DCモータ4とのそれぞれの位置関係は、ホログラムメモリディスク1がステッピングモータ3に装着され、光ディスク2がDCモータ4に装着される構成であれば、任意に変更する(入れ替える)ことができる。例えば、図3に示すように、ステッピングモータ3の位置と、DCモータ4の位置を入れ替え、且つDCモータ4のクランプ部が上側となるように配設してもよい。この構成の場合は、ホログラムメモリディスク1は、ステッピングモータ3によって下側から支持され、光ディスク2は、DCモータ4によって下側から支持されるため、クランプ部にマグネット等を配設しなくてもよい。
【0047】
ここで、一般に、従来の光ディスク装置では、トレイの上に光ディスク2を載せる形で光ディスク2を装置内に挿入し、下側から光ディスク2をチャッキングする構造になっている。この時、光ディスク2のレーベル面が上となるので、回転モータ及び光ピックアップはディスクの下側に位置することになる。すなわち、情報の記録、再生のためには、光ディスク2の下側からレーザ光を照射しなければならない。本発明において、このような従来型の光ディスク挿入法を踏襲する場合には、前述した図3に示すような配置が望ましい。
【0048】
また、本実施の形態では、ステッピングモータ3の回転軸3Aと、DCモータ4の回転軸4Aとが同一直線上となるように、ステッピングモータ3と、DCモータ4を配設した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図4に示すように、ステッピングモータ3の回転軸3Aと、DCモータ4の回転軸4Aをずらして配設してもよい。この場合、ステッピングモータ3に装着されたホログラムメモリディスク1と、DCモータ4に装着された光ディスク2は、互いに間隔をおいて対向配設されているが、互いの全面が重なり合わず、その一部が重なり合っていてもよい。
【0049】
そしてまた、ステッピングモータ3とDCモータ4は、例えば、図5に示すように、装着されたホログラムメモリディスク1と光ディスク2が径方向に並設されるように配設してもよい。この構成の場合、ステッピングモータ3とDCモータ4を重ねた構成に比較して、ドライブの厚さを薄くすることができる。そして、この構成の場合も、1つの光ピックアップ11により、ホログラムメモリディスク1と光ディスク2に対し情報の記録及び再生を行うことができる。
【0050】
さらにまた、本実施の形態では、1つの光ピックアップ11により、ホログラムメモリディスク1と光ディスク2に対し情報の記録及び再生を行う場合について説明したが、これに限らず、例えば、図6に示すように、ホログラムメモリディスク1に対し情報の記録及び再生を行う光ピックアップ111と、光ディスク2に対し情報の記録及び再生を行う光ピックアップ112を配設してもよい。この構成の場合、ホログラムメモリディスク1に対する情報の記録及び再生と、光ディスク2に対する情報の記録及び再生を併行して行うことができる。したがって、例えば、ホログラムメモリディスク1に対し情報の記録を行っている際に、光ディスク2に記録されている情報を再生する、ホログラムメモリディスク1及び光ディスク2に対し、各々異なった情報を併行して記録する等、マルチタスクを実現することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、図1〜図6に示すように、ステッピングモータ3に装着されるホログラムメモリディスク1、及びDCモータ4に装着される光ディスク2が、水平な状態で保持されるようにステッピングモータ3及びDCモータ4を配設した場合について説明したが、これに限らず、ステッピングモータ3及びDCモータ4は、光情報記録/再生装置10のサイズや形状、縦型、横型等のモデル等に応じて、ステッピングモータ3に装着されるホログラムメモリディスク1、及びDCモータ4に装着される光ディスク2が垂直な状態で保持されるように配設してもよく、傾斜した状態で保持されるように配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態にかかる光情報記録/再生装置の構成要素であるドライブの概略を示す構成図である。
【図2】図1に示す光情報記録/再生装置の構成要素である光ピックアップの光学系の一例を示す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態にかかる光情報記録/再生装置の構成要素であるドライブの概略を示す構成図である。
【図4】本発明の他の実施の形態にかかる光情報記録/再生装置の構成要素であるモータ及び光ピックアップの概略を示す構成図である。
【図5】本発明の他の実施の形態にかかる光情報記録/再生装置の構成要素であるモータ及び光ピックアップの概略を示す構成図である。
【図6】本発明の他の実施の形態にかかる光情報記録/再生装置の構成要素であるモータ及び光ピックアップの概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1…ホログラムメモリディスク、 2…光ディスク、 3…ステッピングモータ、4…DCモータ、 10…光情報記録/再生装置、 11…光ピックアップ、 210、408…対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ピックアップにより、光情報記録媒体に情報の記録を行う及び/または当該光情報記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録/再生装置であって、
前記光情報記録媒体が、ホログラム用情報記録媒体と、高速回転時に情報の記録及び/または再生を行う光ディスクであり、
前記ホログラム用情報記録媒体を駆動するホログラム用情報記録媒体駆動モータと、
前記光ディスクを駆動する光ディスク駆動モータと、
を備えてなる光情報記録/再生装置。
【請求項2】
前記ホログラム用情報記録媒体駆動モータがステッピングモータであり、前記光ディスク駆動モータがDCモータである請求項1記載の光情報記録/再生装置。
【請求項3】
前記ホログラム用情報記録媒体がディスク形状を有してなる請求項1または請求項2記載の光情報記録/再生装置。
【請求項4】
前記ホログラム用情報記録媒体と前記光ディスクが対向配置される請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光情報記録/再生装置。
【請求項5】
前記ホログラム用情報記録媒体がディスク形状を有し、前記ホログラム用情報記録媒体と前記光ディスクとが対向配置されてなり、
前記ホログラム用情報記録媒体駆動モータが、前記ホログラム用情報記録媒体を着脱可能に取付けるクランプ部を備え、当該クランプ部は、少なくとも一部がマグネットから構成され、前記ホログラム用情報記録媒体を吸着可能である請求項1または請求項2記載の光情報記録/再生装置。
【請求項6】
前記光ピックアップを1つ備え、当該1つの光ピックアップにより、前記ホログラム用情報記録媒体と前記光ディスクの両方に情報の記録を行う、及び/または、前記ホログラム用情報記録媒体と前記光ディスクの両方に記録された情報を再生する請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の光情報記録/再生装置。
【請求項7】
前記光ピックアップは、前記ホログラム用情報記録媒体に光を集光させるホログラム用情報記録媒体用レンズと、前記光ディスクに光を集光させる光ディスク用レンズを有し、光源から出射された光を、当該ホログラム用情報記録媒体用レンズと光ディスク用レンズとのいずれか一方に選択的に入射させることで、情報の記録及び/または再生を行う光情報記録媒体を決定する請求項6記載の光情報記録/再生装置。
【請求項8】
前記ホログラム用情報記録媒体駆動モータは、X軸方向と、当該X軸方向に直交するY軸方向に移動可能なステージに配設されてなる請求項1または請求項2記載の光情報記録/再生装置。
【請求項9】
光ピックアップにより、光情報記録媒体に情報の記録を行う及び/または当該光情報記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録/再生装置であって、
前記光情報記録媒体が、ホログラム用情報記録媒体と、高速回転時に情報の記録及び/または再生を行う光ディスクであり、
前記光ピックアップが、X軸方向と、当該X軸方向に直交するY軸方向に移動可能なステージに配設されてなる光情報記録/再生装置。
【請求項10】
前記ホログラム用情報記録媒体と前記光ディスクが対向配置される請求項9記載の光情報記録/再生装置。
【請求項11】
前記光ディスクを回転するDCモータを備えてなり、
前記ホログラム用情報記録媒体は、静止状態が維持される請求項9または請求項10記載の光情報記録/再生装置。
【請求項12】
前記光ピックアップを1つ備え、当該1つの光ピックアップにより、前記ホログラム用情報記録媒体と前記光ディスクの両方に情報の記録を行う、及び/または、前記ホログラム用情報記録媒体と前記光ディスクの両方に記録された情報を再生する請求項11記載の光情報記録/再生装置。
【請求項13】
前記光ピックアップは、前記ホログラム用情報記録媒体に光を集光させるホログラム用情報記録媒体用レンズと、前記光ディスクに光を集光させる光ディスク用レンズを有し、光源から出射された光を、当該ホログラム用情報記録媒体用レンズと光ディスク用レンズとのいずれか一方に選択的に入射させることで、情報の記録及び/または再生を行う光情報記録媒体を決定する請求項12記載の光情報記録/再生装置。
【請求項14】
ホログラム用情報記録媒体とDVDを装着可能なドライブであって、
レーザ光を出射する光学系を有する光ピックアップと、
前記ホログラム用情報記録媒体を駆動するステッピングモータと、
前記DVDを回転駆動するDCモータと、
を有するドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−80873(P2009−80873A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247832(P2007−247832)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】